説明

真空用接触センサ

【課題】構成簡易ながら検知範囲を広く設定し得る上に死角が少なく、かつ接近感知部を軽量とすることが可能な真空用接触センサを得る。
【解決手段】接近感知部10は、互いに接触または近接すると電気的に導通するように構成された可撓性を有する第1および第2の導電性薄板11,12を、内外方向に互いに離間した状態でアーチ状に湾曲形成してなるものであり、マニピュレータ3の先端表面部の全域を覆うように配置されている。マニピュレータ3が他物体と衝突する前に接近感知部10が他物体に当接して変形し、第1および第2の導電性薄板11,12が互いに接触または近接して電気的に導通したことを導通検出回路部20が検出することにより、マニピュレータ3が他物体と接近したことを検知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空環境下においてマニピュレータと他物体との接近を検知するための真空用接触センサに関し、特に、人工衛星等に搭載されて使用されるのに好適な真空用接触センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロボットアーム等のマニピュレータが他物体と衝突するのを防止するための接触センサとしては、下記特許文献1に記載されたものが知られている。この接触センサは、ロボットアームの全体を囲むように光ファイバを螺旋状に配置したものや、ロボットアームの一側面に螺旋状に形成された光ファイバを剥き出しの状態あるいは弾性平板間に挟持された状態で配置したものを、接近感知部(本明細書では、接触センサにおいて他物体の接近を感知する部位のことを、このように称する)として備え、他物体との接触により光ファイバが変形して光ファイバ内の透過光量が変化することを検出することにより、ロボットアームと他物体との接近を検知するように構成されている。
【0003】
一方、人工衛星等に搭載されて宇宙空間で使用されるマニピュレータが、地球観測用の光学機器等の他物体と衝突することを防止するためのセンサとしては、これまで非接触式のものが多く用いられている。非接触式のセンサは、レーザ測距の原理を利用したものや、物体の接近により磁界が変化する現象(下記特許文献2参照)を利用したものなどが知られている。
【0004】
【特許文献1】特許第3249424号公報
【特許文献2】特公昭56−29201号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の非接触式センサは、真空環境下での使用を考慮して、特別な真空対応型のセンサとして構成されていたり、真空ハウジング内に収納して用いられたりするものが多く、構造が複雑で製造コストも嵩むという問題がある。また、検出範囲が狭く死角が多いため、或る一定の方向からの他物体の接近しか検知できないという問題もある。
【0006】
一方、上記特許文献1に記載の接触センサは、真空環境下で使用することが考慮されていないため、接近感知部に樹脂材料が多用されている。このため、真空環境下で使用した場合には、樹脂から発生する微少なガスが観測機器等の他物体に悪影響を及ぼす虞がある。また、ロボットアームの全体を囲むように光ファイバを配置してなる接近感知部を用いるものは、検知範囲を広くすることができるものの、互いに隣接する光ファイバ間の隙間から接近する他物体を検知することができないなど死角は多い。また、ロボットアームの一側面に、弾性平板間に挟持された螺旋状の光ファイバを配置してなる接近感知部を用いるものは、死角は少なくできるものの、検知範囲を広くしようとすると接近感知部が大きくなり重量が嵩むという問題がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、構成簡易ながら検知範囲を広く設定し得る上に死角が少なく、かつ接近感知部を軽量とすることが可能な真空用接触センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る真空用接触センサは、真空環境下においてマニピュレータと他物体との接近を検知するために、該マニピュレータの表面部に配される接近感知部を備えてなるものであって、
前記接近感知部は、互いに接触または近接すると電気的に導通するように構成された可撓性を有する複数枚の導電性薄板を、内外方向に互いに離間した状態で湾曲形成して前記表面部の所定領域を覆うように該表面部から外方に向け凸状に形成してなるものであり、
前記マニピュレータが前記他物体と衝突する前に該他物体に前記接近感知部が当接して変形し、前記複数枚の導電性薄板が互いに接触または近接して電気的に導通したことを検出することにより、前記マニピュレータが前記他物体と接近したことを検知することを特徴とする。
【0009】
本発明の真空用接触センサにおいて前記複数枚の導電性薄板は、ドーム状や錐体状、折板状等の種々の形状に形成することができるが、形成が容易であることや検知範囲の増減に容易に対応し得ることを考慮すると、特に、それぞれがアーチ状に湾曲形成されていることが好ましい。
【0010】
また、前記複数枚の導電性薄板は、金属や黒鉛等の導電性物質で形成されたものや、このような導電性物質を樹脂に混合してなる電気伝導性樹脂により形成されたものを用いることができるが、ガスが発生しないことや耐食性、耐放射線性を考慮すると、特に、それぞれがステンレス鋼により形成されたものであることが好ましい。なお、複数枚の導電性薄板のうち最も外方(外側)に配された導電性薄板の外側の面に、絶縁処理や真空用塗装(ガスを発生しない塗料を用いる)を施してもよい。
【0011】
また、本発明の真空用接触センサは、宇宙船や宇宙ステーション、人工衛星等に搭載されて、無重力環境下または微小重力環境下において使用されるものとすることができる。
【0012】
本発明において「湾曲形成」とは、段差(折り目)が形成されないように滑らかに曲げる形成の仕方の他、段差が形成されるように折り曲げる形成の仕方も含む意である。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る真空用接触センサによれば、上述の構成を備えたことにより、以下のような作用効果を奏する。
【0014】
すなわち、本発明の真空用接触センサにおける接近感知部は、互いに接触または近接すると電気的に導通するように構成された可撓性を有する複数枚の導電性薄板を、内外方向に互いに離間した状態で湾曲形成してマニピュレータ表面部の所定領域(他物体との衝突を防止しようとする領域)を覆うように該表面部から外方に向け凸状に配置してなるものであるため、各導電性薄板の大きさを調整することにより、検知範囲を広く設定することができるとともに、所定領域に接近する他物体に対する死角を少なくすることが可能である。
【0015】
また、接近感知部の構成が非常に簡易であるため、極めて低コストで製造することができるとともに、真空環境下においても安定して作動させることが可能である。さらに、接近感知部を非常に軽量とすることができるので、マニピュレータ表面部の種々の領域に対して、接近感知部を容易に設置することができるとともに、接近感知部が他物体と当接した際の衝撃も小さくすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。図1は本発明の第1実施形態に係る真空用接触センサ(以下「第1の接触センサ」と称することがある)の接近感知部の斜視図であり、図2はその概略構成図である。また、図3は第1の接触センサと他物体との位置関係を示す側面図であり、図4はその平面図である。
【0017】
本実施形態に係る第1の接触センサは、図3および図4に示す人工衛星1に搭載された地球観測用のカメラ2の姿勢を制御するための部材(図示略)を保持したマニピュレータ3と他物体(人工衛星1やカメラ2)との接近を検知するために、該マニピュレータ3の先端表面部に配された接近感知部10と、該接近感知部10における電気的導通を検出するための導通検出回路部20(図2参照)とを備えてなり、真空かつ微小重力環境下となる大気圏外の宇宙空間において使用されるように構成されている。
【0018】
図1に示すように上記接近感知部10は、互いに接触または近接すると電気的に導通するように構成された可撓性を有する2枚の導電性薄板(第1の導電性薄板11および第2の導電性薄板12)を、内外方向に互いに離間した状態(第1の導電性薄板11が内側に、第2の導電性薄板12が外側に配される)でアーチ状に湾曲形成してなるものであり、マニピュレータ3の先端表面部の全域を覆うように該先端表面部から外方に向け凸状に配置されている。具体的には、第1および第2の導電性薄板11,12は、ステンレス鋼を材料として形成された厚さ数十μm(例えば、20〜30μm)程度の非常に薄い金属板(金属箔)からなり、絶縁性部材(例えば、セラミックス)からなる取付台13を介してマニピュレータ3の先端表面部に設置されている。
【0019】
図2に示すように第1の導電性薄板11は、図中上方に位置する平面部11aと図中右方に位置する曲面部11b(半円柱面形状をなす)と図中下方に位置する平面部11cとが、互いに滑らかに連続するように形成されているのに対し、第2の導電性薄板12は、図中上方に位置する平面部12aと図中右方に位置する曲面部12b(第1の導電性薄板11の曲面部11bの相似拡大形状をなす)との間、および該曲面部12bと図中下方に位置する平面部12cとの間に、それぞれ段差部12d,12eが形成されている。これは、第1の導電性薄板11の曲面部11bと第2の導電性薄板12の曲面部12bとの間の距離t(数mm程度、例えば5mm程度に設定される)よりも、第1の導電性薄板11の平面部11a,11cと第2の導電性薄板12の平面部12a,12cとの間の距離t,t(例えば2〜3mm程度に設定される)の方が短くなるようにするためである。これにより、接近感知部10に対して図中上方または下方から他物体が当接した場合の方が、図中右方から他物体が当接した場合よりも検知に要する時間を短縮することが可能となるので、他物体が図中上下方向からマニピュレータ3に接近する可能性が高いと想定される場合などに有効となる。
【0020】
また、上記記取付台13は、図2に示すように、マニピュレータ3の先端表面部に不図示のボルト等により固定される基部13aと、該基部13aから図中上下の各端部から前方(図中右方)に延びる端片部13b,13cとからなり、第1の導電性薄板11の平面部11aと第2の導電性薄板12の平面部12aとが端片部13bを挟むようにして該端片部13bに図示せぬボルト等により固定され、第1の導電性薄板11の平面部11cと第2の導電性薄板12の平面部12cとが端片部13cを挟むようにして該端片部13cに図示せぬボルト等により固定されている。なお、ボルトで固定する場合には、セラミック製のボルトを用いるなど、該ボルトを介して第1および第2の導電性薄板11,12が互いに電気的に導通しないようする。
【0021】
また、第1および第2の導電性薄板11,12には、所定の電位差(図2に示す状態において真空放電が起きない程度の電位差、例えば5V程度が与えられており、リード線21,22(図2では模式的に示す)を介して上記導通検出回路部20に接続されている。この導通検出回路部20は、具体的には例えば、第1および第2の導電性薄板11,12の間に所定の電位差を与える電池や、電気的導通により回路部内を流れる電流を検出する電流計等からなり、第1および第2の導電性薄板11,12が互いに接触または近接して電気的に導通(ショート)されたことを検出するように構成されている。
【0022】
次に、上述した第1の接触センサの作用効果について説明する。図3,図4に示すように第1の接触センサは、マニピュレータ3と人工衛星1やカメラ2等の他物体との接近を検知するものであり、マニピュレータ3が人工衛星1やカメラ2と衝突する前にこれら他物体に接近感知部10が当接して変形し、第1および第2の導電性薄板11,12が互いに接触または近接して電気的に導通したことを導通検出回路部20が検出することにより、マニピュレータ3が他物体と接近したことを検知するようになっている。
【0023】
図5〜図7に、他物体と当接して変形した接近感知部10の各例を示す。図5は図中右斜め上方から接近したカメラ2と当接して変形した接近感知部10を示しており、図6は図中右方から接近したカメラ2と当接して変形した接近感知部10を示している。また、図7は図中紙面手前側から接近した他物体(図示略)と当接して変形した接近感知部10を示している。なお、各図では他物体が接近感知部10に接近したように示しているが、接近は相対的なものであって、他物体に接近感知部10が接近したとしてもよい。
【0024】
図5に示すように、図中右斜め上方から接近したカメラ2は、第2の導電性薄板12の曲面部12bと段差部12dとの境界付近で第2の導電性薄板12に当接している。この当接により第2の導電性薄板12の平面部12aが図中下方に撓み、段差部12dが第1の導電性薄板11の平面部11aに接触または近接することにより、第1および第2の導電性薄板11,12が互いに電気的に導通する。この電気的導通を、図2に示す導通検出回路部20が検出することにより、マニピュレータ3が他物体と接近したことが検知される。
【0025】
一方、図6に示すように、図中右方から接近したカメラ2は、第2の導電性薄板12の曲面部12bの中央付近で第2の導電性薄板12に当接している。この当接により第2の導電性薄板12の曲面部12bが図中左方に撓み、第1の導電性薄板11の曲面部11bに接触または近接することにより、第1および第2の導電性薄板11,12が互いに電気的に導通する。この電気的導通を、図2に示す導通検出回路部20が検出することにより、マニピュレータ3が他物体と接近したことが検知される。
【0026】
このように第1の接触センサは、接近感知部10の第1および第2の導電性薄板11,12が共にアーチ状に湾曲形成されていることにより、図5に示すような右斜め上方(右斜め下方も同様)からの他物体の接近や、図6に示すような右方(正面)からの他物体の接近に対しては検知範囲が広く死角が少ない。
【0027】
一方、この接近感知部10は、図5,図6の紙面と直角な方向(以下「側方」と称する)が開放されているので、この開放された領域の大きさよりも小さな他物体が側方から接近する場合には死角が生じる。しかしながら、このような側方の死角は、接近感知部10(第1および第2の導電性薄板11,12)の側方方向の長さを長くすることにより減少させることが可能であり、また、カメラ2のように接近する他物体の大きさが予め分かっており、その大きさが側方の開放された領域の大きさよりも大きい場合には、実用上における死角は少なくなる。
【0028】
図7に示すように、開放された領域よりも大きな他物体が側方から接近した場合には、第1および第2の導電性薄板11,12の側縁部分が他物体と当接し、この当接により第1および第2の導電性薄板11,12の端縁部が潰れるように変形することにより第1および第2の導電性薄板11,12が互いに電気的に導通する。この電気的導通を図2に示す導通検出回路部20が検出することにより、マニピュレータ3が他物体と接近したことを検知することができる。
【0029】
また、この第1の接触センサは、接近感知部10の第1および第2の導電性薄板11,12が共に非常に薄いテンレス板で形成されているので、極めて軽量で耐熱性や耐食性および耐放射線性に優れており、かつガスを発生する虞もない。また、接近感知部10が他物体と当接した際の衝撃も極めて小さい。このため、真空環境下、特に宇宙空間等の無重力環境下または微小重力環境下において使用するのに好適である。
【0030】
さらに、接近感知部10の構造が単純であるため作動性能に対する信頼性が高く、しかも安価に製造することができる。また、第1および第2の導電性薄板11,12の幅方向(図2において紙面と直角な方向)の長さを変更することにより、容易に検知範囲を変更することができるので、マニピュレータ3の種々の領域に対して設置することができるなど適用範囲が広いという利点がある。
【0031】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。図8は本発明の第2実施形態に係る真空用接触センサ(以下「第2の接触センサ」と称することがある)の接近感知部の斜視図であり、図9は本発明の第3実施形態に係る真空用接触センサ(以下「第3の接触センサ」と称することがある)の接近感知部の斜視図である。なお、図8および図9において、上記第1の接触センサと概念的に共通する部材については、図1〜図7で用いた番号と同一または類似の番号(共通の数字の後に英文字AまたはBを付けたもの)を用いている。
【0032】
図8に示す第2の接触センサは、上記第1の接触センサと同様の目的で使用されるものであり、マニピュレータ3の先端表面部に配された接近感知部10Aを備えてなる。この接近感知部10Aは、互いに接触または近接すると電気的に導通するように構成された可撓性を有する第1および第2の導電性薄板11A,12Aを、内外方向に互いに離間した状態でドーム状(半楕円面形状)に湾曲形成してなるものであり、取付台13Aを介してマニピュレータ3の先端表面部の全域を覆うように該先端表面部から外方に向け凸状に配置されている。上記第1および第2の導電性薄板11A,12Aは、厚さ数十μm程度の非常に薄いステンレス鋼板(ステンレス箔)を、絞り加工等によりドーム状に形成してなるものである。なお、図8では、第1の導電性薄板11Aが見えるように第2の導電性薄板12Aの一部を破断して示している。
【0033】
この第2の接触センサの接近感知部10Aは、第1および第2の導電性薄板11A,12Aをドーム状に形成したことにより、上記第1の接触センサの接近感知部10に比べて製造が難しくコスト高になるものの、他物体の接近に対する検知範囲の死角をより少なくすることができるという利点がある。
【0034】
図9に示す第3の接触センサは、上記第1の接触センサと同様の目的で使用されるものであり、マニピュレータ3の先端表面部に配された接近感知部10Bを備えてなる。この接近感知部10Bは、互いに接触または近接すると電気的に導通するように構成された可撓性を有する第1および第2の導電性薄板11B,12Bを、内外方向に互いに離間した状態で角柱面形状に湾曲形成(折り曲げ形成)してなるものであり、取付台13Bを介してマニピュレータ3の先端表面部の全域を覆うように該先端表面部から外方に向け凸状に配置されている。なお、第1および第2の導電性薄板11B,12Bが、厚さ数十μm程度の非常に薄いステンレス鋼板からなる点は、上記第1および第2の接触センサと同様である。
【0035】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、種々の態様のものを実施形態とすることができる。
【0036】
例えば、上記各実施形態では、接近感知部が2枚の導電性薄板により構成されているが、3枚以上の導電性薄板を互いに離間するように配置して接近感知部を構成することも可能である。
【0037】
また、上記第1実施形態の接近感知部10は、第2の導電性薄板12に段差部12d,12eが形成されているが、このような段差部12d,12eを形成せずに、第1および2の導電性薄板11,12との間の距離を全域に亘り略一定とすることも可能である。
【0038】
また、上記各実施形態では、導電性薄板がステンレス鋼により形成されているが、導電性薄板としては、他の金属や黒鉛等の導電性物質で形成されたものや、このような導電性物質を樹脂に混合してなる電気伝導性樹脂により形成されたものを用いることができる。
【0039】
また、上記各実施形態のものは、微小重力環境下となる大気圏外の宇宙空間において使用されるものとされているが、本発明の真空用接触センサは、真空チャンバにより真空状態とされた地球上の実験室内など、通常の重力環境下において使用することも可能である。重力環境下において使用する場合、接近感知部を構成する導電性薄板が自重により撓むことが予想されるので、このような撓みによる変形が少なくなるように、導電性薄板の形状や設置時の向きを工夫することが好ましい。例えば、上述の第1(または第3)の接触センサの場合、接近感知部10(10B)の側方に開放された領域が上下方向(鉛直方向)を向くように、接近感知部10(10B)をマニピュレータ3の長さ方向の軸線回りに90度回転させた状態で用いるようにすれば、接近感知部10(10B)を構成する第1および第2の導電性薄板11,12(11B,12B)の自重による撓みを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】第1の接触センサの接近感知部の斜視図
【図2】第1の接触センサの概略構成図
【図3】第1の接触センサと他物体との位置関係を示す側面図
【図4】第1の接触センサと他物体との位置関係を示す平面図
【図5】他物体との当接により変形した接近感知部の一例を示す図
【図6】他物体との当接により変形した接近感知部の他の例を示す図
【図7】他物体との当接により変形した接近感知部のその他の例を示す図
【図8】第2の接触センサの接近感知部の斜視図
【図9】第3の接触センサの接近感知部の斜視図
【符号の説明】
【0041】
1 人工衛星
2 カメラ
3 マニピュレータ
10 接近感知部(第1実施形態)
10A 接近感知部(第2実施形態)
10B 接近感知部(第3実施形態)
11 第1の導電性薄板(第1実施形態)
11A 第1の導電性薄板(第2実施形態)
11B 第1の導電性薄板(第3実施形態)
11a,11c (第1の導電性薄板の)平面部
11b (第1の導電性薄板の)曲面部
12 第2の導電性薄板(第1実施形態)
12A 第2の導電性薄板(第2実施形態)
12B 第2の導電性薄板(第3実施形態)
12a,12c (第2の導電性薄板の)平面部
12b (第2の導電性薄板の)曲面部
12d,12e 段差部
13,13A,13B 取付台
13a 基部
13b,13c 端片部
20 導通検出回路部
21,22 リード線


【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空環境下においてマニピュレータと他物体との接近を検知するために、該マニピュレータの表面部に配される接近感知部を備えてなる真空用接触センサであって、
前記接近感知部は、互いに接触または近接すると電気的に導通するように構成された可撓性を有する複数枚の導電性薄板を、内外方向に互いに離間した状態で湾曲形成して前記表面部の所定領域を覆うように該表面部から外方に向け凸状に配置してなるものであり、
前記マニピュレータが前記他物体と衝突する前に該他物体に前記接近感知部が当接して変形し、前記複数枚の導電性薄板が互いに接触または近接して電気的に導通したことを検出することにより、前記マニピュレータが前記他物体と接近したことを検知することを特徴とする真空用接触センサ。
【請求項2】
前記複数枚の導電性薄板は、それぞれアーチ状に湾曲形成されていることを特徴とする請求項1記載の真空用接触センサ。
【請求項3】
前記複数枚の導電性薄板は、それぞれステンレス鋼により形成されたものであることを特徴とする請求項1または2記載の真空用接触センサ。
【請求項4】
無重力環境下または微小重力環境下において使用されるものであることを特徴とする請求項1〜3までのいずれか1項記載の真空用接触センサ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−36327(P2010−36327A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−204759(P2008−204759)
【出願日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(000005430)フジノン株式会社 (2,231)
【Fターム(参考)】