説明

眼鏡レンズ加工形状取得方法

【課題】 眼鏡レンズの段付き加工形状を含む眼鏡レンズ加工形状を取得する。
【解決手段】 眼鏡フレームのリムに取り付けられている備え付けレンズに代えて、備え付けレンズよりコバが厚い屈折力を持つ度付きレンズをリムに取り付けるための眼鏡レンズ加工形状取得方法は、備え付けレンズの輪郭を取得するレンズ輪郭取得ステップと、備え付けレンズがリムに取り付けられた状態で、前記備え付けレンズ面上での、リムの内側境界を取得するリム境界取得ステップと、を有し、備え付けレンズの輪郭に基づいて度付きレンズの外形加工形状を取得し、リムの内側境界に基づいて度付きレンズの段付き加工形状を取得することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼鏡フレームのリムに取り付けられている備え付けレンズに代えて、屈折力を持つ度付きレンズをリムに取り付けるための眼鏡レンズ加工形状を取得する眼鏡レンズ加工形状取得方法に関する。
【背景技術】
【0002】
サングラス用の眼鏡フレームにおいては、異なる色のレンズをユーザにて簡単に交換可能にしたタイプ(レンズ交換タイプ・レンズ着脱タイプ)の眼鏡フレームが市場に登場してきている(例えば、特許文献1参照)。このサングラス用眼鏡フレームのリムには、備え付けレンズの縁の一部を嵌め込むための溝が形成されている。近年、このようなフレームのリムに備え付けられたレンズに代えて、度付きのレンズ(屈折度数を持つレンズ)に付け替えたいという要望が高まってきている。備え付けのサングラス用レンズの場合、そのレンズの厚みは一定であり、リムにはレンズの厚みが入る溝が形成されている。しかし、このリムの溝に度付きレンズ(屈折力レンズ)を嵌め込む場合、度付きレンズの周縁部の幅は、備え付けレンズの幅より大きいため、度付きレンズの周縁部をリムの溝に嵌るように加工する必要がある。言い換えると、度付きレンズの周縁部を、リムの溝に嵌る部分と、リムに接触(干渉)しないように切り落とした段付き部分と、に加工する必要がある。この段付き加工は、ステップ加工と呼ばれている。この段付き加工の自動化を図った眼鏡レンズ周縁加工装置として、特許文献2に示す装置が提案されている。特許文献2に示された装置は、段付き加工を可能にする周縁加工具を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2006−510065号公報
【特許文献2】特開2009−131939号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のようなサングラス用眼鏡フレームに取り付けられている備え付けレンズ(サングラス用レンズ又はデモレンズ)には、通常は段付き加工が施されていない。このため、度付きレンズを使用しようとした場合に、度付きレンズに対する段付き加工位置を特定することが難しい。また、リムの溝をノギス等で計測することによって、段付き加工位置を特定する手法が考えられるが、これには非常に手間が掛り、計測結果も不正確になりやすい。このため、現状では、一枚のレンズを加工する際に、段付き加工位置の寸法を徐々に変更し(少しずつ切り込み量を増やし)、リムに干渉せずに、溝にレンズが嵌り込むまで試行錯誤(トライアル・アンド・エラー)で加工を行っており、非常に手間が掛っている。
【0005】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、眼鏡レンズの段付き加工形状を含む眼鏡レンズ加工形状を取得できる眼鏡レンズ加工形状取得方法を提供することを技術課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下のような構成を備えることを特徴とする。
(1) 眼鏡フレームのリムに取り付けられている備え付けレンズに代えて、備え付けレンズよりコバが厚い屈折力を持つ度付きレンズをリムに取り付けるための眼鏡レンズ加工形状取得方法は、前記備え付けレンズの輪郭を取得するレンズ輪郭取得ステップと、
前記備え付けレンズがリムに取り付けられた状態で、前記備え付けレンズ面上での、リムの内側境界を取得するリム境界取得ステップと、を有し、前記備え付けレンズの輪郭に基づいて度付きレンズの外形加工形状を取得し、リムの内側境界に基づいて度付きレンズの段付き加工形状を取得することを特徴とする。
(2) (1)の眼鏡レンズ加工形状取得方法は、備え付けレンズがリムに取り付けられた状態で、リムの内側の境界に沿ってマークを付すマーク付与ステップと、マークが付された備え付けレンズをリムから取り外し、取り外した備え付けレンズを撮影したレンズ像を得るレンズ像取得ステップと、を有し、前記レンズ輪郭取得ステップは、前記レンズ像を画像処理してレンズの輪郭を取得し、前記リム境界取得ステップは、前記レンズ像を画像処理してレンズ面に付されたマークの外側の輪郭を取得するステップを含み、取得したマークの外側の輪郭に基づいてリムの内側境界を取得することを特徴とする。
(3) (2)の眼鏡レンズ加工形状取得方法において、前記リム境界取得ステップは、レンズの輪郭を取得したときの同一のレンズ像に基づいてマークの外側の輪郭を取得することを特徴とする。
(4) (2)の眼鏡レンズ加工形状取得方法において、前記レンズ像取得ステップは、リムから取り外した前記備え付けレンズの輪郭を得るための第1撮影条件でレンズを照明して第1レンズ像を得るステップと、第1レンズ像に対してレンズの内側の輝度が高くなるように調整された第2撮影条件でレンズを照明して第2レンズ像を得るステップと、を含み、前記レンズ輪郭取得ステップは、第1レンズ像に基づいてレンズの輪郭を抽出し、前記リム境界取得ステップは、第2レンズ像に基づいてレンズ面に付されたマークの外側の輪郭を取得することを特徴とする。
(5) (2)の眼鏡レンズ加工形状取得方法において、前記マークは、前記備え付けレンズの光透過率を低下させるインクであることを特徴とする。
(6) (2)の眼鏡レンズ加工形状取得方法において、前記マークは、前記備え付けレンズの透過率を低下させる特性を持つ高展延性の素材であり、高展延性の素材をリムの内側の境界に沿って貼り付けることを特徴とする。
(7) (6)の眼鏡レンズ加工形状取得方法において、前記高展延性の素材は粘着性を有することを特徴とする。
(8) (1)の眼鏡レンズ加工形状取得方法において、前記レンズ輪郭取得ステップは、前記備え付けレンズをリムから取り外し、取り外した備え付けレンズを撮影したレンズ像を得るレンズ像取得ステップを含み、レンズ像の輝度変化を検出し、検出した輝度変化を基にレンズの輪郭を取得することを特徴とする。
(9) (1)の眼鏡レンズ加工形状取得方法において、前記リム境界取得ステップは、リムの設計データを取得し、取得した設計データに基づいてリムの内側の境界を取得することを特徴とする。
(10) (2)の眼鏡レンズ加工形状取得方法において、前記レンズ輪郭取得ステップ及びリム境界取得ステップは、リムから外された前記備え付けレンズをカメラで撮影し、撮影されたレンズ像を画像処理するレンズ撮影装置を使用するステップを含み、前記レンズ撮影装置は、前記備え付けレンズのレンズ像を撮影するための撮像素子を有する撮影ユニットと、画像処理によりレンズ像を基に前記備え付けレンズの輪郭とマークの外側の輪郭とを取得する制御ユニットであって,備え付けレンズの輪郭に対するマークの外側の輪郭の位置を取得するために,備え付けレンズの輪郭に対して所定の内側領域で、レンズ像の輝度が変化する位置を検出する制御ユニットと、を備えることを特徴とする。
(11) 眼鏡レンズの周縁部を嵌め込む溝が形成されたレンズ枠を有する眼鏡フレームに取り付けられている備え付けレンズに代えて、屈折度数を持つ眼鏡レンズをレンズ枠に取り付けるために、眼鏡レンズの周縁部に行う段付き加工を含むレンズ加工形状を取得する眼鏡レンズ加工形状取得方法は、レンズ枠に備え付けレンズが取り付けられている状態で、備え付けレンズの屈折面側であって、眼鏡レンズに代えたときに段付き加工を必要とする屈折面側に、レンズ枠の境界に沿って遮光性を有するマークを付す第1ステップと、前記マークが付された備え付けレンズをレンズ枠から取り外す第2ステップと、前記マークが付された備え付けレンズを照明光にて照明し、備え付けレンズの撮影画像を得る第3ステップと、取得された撮影画像から備え付けレンズの輪郭情報を取得すると共に、前記マークの外側の輪郭情報を取得し、両情報から段付き加工を含むレンズ周縁加工に必要なレンズ加工形状を取得する第4ステップと、を備える、ことを特徴とする。
(12) (11)の眼鏡レンズ加工形状取得方法において、前記第4ステップは、備え付けレンズの輪郭から内側に向かって所定領域内の遮光状態の変化を検出することによって、前記マークの外側の輪郭情報を取得する、ことを特徴とする。
(13) (11)又は(12)の眼鏡レンズ加工形状取得方法において、前記備え付けレンズは可視光の透過率が低下したサングラスレンズであり、前記第3ステップは、備え付けレンズの輪郭を得るために調整された第1撮影条件で備え付けレンズを照明し、照明された備え付けレンズの第1画像を得るステップと、前記第1撮影条件とは異なる第2撮影条件であって,撮影された備え付けレンズの内側の輝度が第1画像よりも高くなるように調整された第2撮影条件で備え付けレンズを照明し、照明された備え付けレンズの第2画像を得るステップと、を含み、前記第4ステップは、前記第1画像から備え付けレンズの輪郭情報を取得し、第2画像から前記マークの外側の輪郭情報を取得する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、簡単な作業で眼鏡レンズの段付き加工形状を含むレンズ加工形状を取得できる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。初めに、リムに取り付けられている備え付けレンズ(デモレンズ、サングラスレンズ等)に代えて、屈折力を持つ度付きレンズをリムに取り付けるための加工形状を得る眼鏡レンズ加工形状取得(測定)装置と眼鏡レンズ加工装置の構成を説明する。図1は眼鏡レンズ加工形状取得装置100と眼鏡レンズ加工装置200の概略構成図である。
【0009】
装置100の筐体1には、以下に述べる光学ユニット、制御ユニットが収められている。照明ユニット10には、白色光を発する照明光源11が備えられている。筐体1の中央の空間には、眼鏡フレームに備え付けられていた備え付けレンズ400を載置するレンズテーブル20が設けられている。レンズテーブル20は、乳白色の光透過性の部材で作製されており、光源11側に拡散面が形成されている。従って、レンズ400は、拡散光により下方から照明される。レンズテーブル20の上方には、撮影ユニット30が配置されており、撮影ユニット30は、ミラー31、レンズ32、撮像素子33、を備えている。レンズ400を透過した光束は、ミラー31で反射され、レンズ32で集光され、レンズ像として撮像素子33の受光面に結像する。筐体1の下部前方には、レンズ400の加工形状及び実際のレンズ像を表示するモニタ40が設けられている。モニタ40には、制御ユニット70で取得されたレンズ像と、制御ユニット70により取得された玉型形状(レンズの輪郭加工形状)が重ね合わせて表示される。また、モニタ40はタッチパネル機能を有し、作業者の操作信号が入力可能となっている。詳細は後述するが、モニタ40では、作業者が、レンズ像を見ながら、加工形状の修正等の操作を行える。装置100を統括・制御する制御ユニット70には、光源11、撮像素子33、モニタ40、が接続されている。制御ユニット70は、レンズ400のレンズ像(撮影画像)から、レンズの輪郭情報等を取得する。また、制御ユニット70は、モニタ40からの入力に基づいて、加工形状を修正する。さらに、制御ユニット70は、加工形状の修正に際し、加工形状を示す線(曲線)のスムージング処理ができる。制御ユニット70には、画像処理により得られたレンズ400の加工形状、レンズ400の識別情報、を記憶するメモリ71が接続されている。また、メモリ71には、照明ユニット10、撮影ユニット30の撮影条件(ここでは、2種類)が記憶されている。
【0010】
また、装置100(制御ユニット70)と接続される眼鏡レンズ加工装置200は、度付きレンズである被加工レンズをチャックするチャック軸と、チャックされた被加工レンズの周縁を研削するための加工具(粗加工具、仕上げ加工具)を備えている。また、装置200は、レンズの周縁を段付き加工するためのステップ加工具(ステップベベル加工具)を備える。ステップ加工具は、被加工レンズのヤゲン後面又はレンズ肩を修正(切り落とす)ためにも使用される。眼鏡レンズ加工装置200及びステップ加工具については、特開2009−131939号公報に記載の技術を参照されたい。また、装置200は、高カーブレンズの前面及び後面にそれぞれヤゲンを形成するための加工砥石(前面ヤゲン加工砥石、後面ヤゲン加工砥石)を備えている。この加工砥石により、ヤゲンの形成だけでなく、高カーブレンズの前面及び後面の面取り加工ができる。加工砥石については、上記公報に記載の技術を参照されたい。また、装置200には、レンズの周縁に切り込み加工を施すことにより、レンズ周縁に凸部、切り欠きを形成するための加工具を備えている。具体的には、穴あけ工具であるエンドミルを指す。切り込み加工については、上記公報に記載の技術を参照されたい。
【0011】
なお、本実施形態でのレンズの照明ユニット10は、照明光がレンズテーブル20を透過する構成(透過型)としたが、これに限るものではない。反射型でもよい。照明ユニット10を撮影ユニット30と同じ側(上部)に配置し、レンズテーブル20に反射部材(例えば、再帰性反射部材)を配置し、照明光を上方から投光する構成としても良い。レンズテーブルで反射された光束を撮影ユニット30で取得する構成とする。例えば、特開2010−262034号公報に記載の技術が利用できる。
【0012】
図2は、レンズ交換タイプの眼鏡フレームと、この眼鏡フレームに用いられる備え付けレンズの構成を説明する図である。図2(a)は、眼鏡フレームの正面図、図2(b)は、図2(a)のA−A断面図、図2(c)は、左眼用の備え付けレンズ400の正面図(前方から見た図)を示す。本実施形態でいう眼鏡フレーム(以下、単にフレーム)とは、使用者が眼鏡レンズを着脱可能にするレンズ交換タイプのフレームをいう。眼鏡フレーム300は、大別して、備え付けレンズ400を保持するリム(レンズ枠)310、鼻当て320、テンプル(つる)330、を備えている。リム310には、図2(a)において、点線で示される溝Gが形成されている。溝Gには、鼻側上部に凹部G2が、耳側上部に凹部G3が形成されている。凹部G2及びG3は後述するレンズの凸部と嵌合する形状となっている。溝Gは、図2(b)に示すように、リム310の縁Cから高さ(深さ)Dだけ切り込まれて(窪んで)形成されている。また、溝Gの幅(フレームに対する前後方向の長さ)Wは、レンズ400をリム310に収めたときにガタツキが少ないように、レンズ400の厚みと同じ幅とされている。
【0013】
図2(c)に示されるレンズ400は、光学部410と、光学部410の鼻側上部に形成された凸部420と、光学部410の耳側上部に形成された凸部430と、を備えている。凸部420が凹部G2に嵌合し、凸部430が凹部G3に嵌合することで、レンズ400は溝Gに支えられ、フレーム300(リム310)に保持される。なお、フレーム300は、レンズ400を嵌め込みやすいように、若干の柔軟性を有した樹脂等の素材で形成されている。
【0014】
次に、フレーム300のリム310に度付きレンズを取り付けた場合を説明する。図3は、度付きレンズ(屈折度数を持つレンズ)500をフレーム300に取り付けた場合の断面図である。ここで、レンズ500は、凹レンズとし、光心(光軸)の厚みに対して周辺部の厚みが大きいものとする。図3(a)はレンズ500の正面図である。図3(b)はリム310に保持されたレンズ500の断面図(上記A−A断面と同様)である。図3(c)は、レンズ500の周縁部の拡大模式図である。
【0015】
加工されたレンズ500は、レンズ400の場合と同様に、光学部510、凸部520及び凸部530を備える。また、レンズ500は、図3(b)に示すように、リム310に枠入れされたときに、溝Gに収まる端部510Cと、レンズ500の後面側でリム310の縁Cに略当接するステップ部510Sと、を備えている。凸部520及び凸部530は、エンドミルにより切り込み加工にて形成される。ステップ部510Sは、ステップ加工具により段状に切り落とされて形成される。ステップ部510Sの境界部分P(図3(b)の参照)は、図3(a)において、点線Sで示される。
【0016】
レンズ500の周縁部(コバ)の厚みは、備え付けレンズ400の幅Wよりも大きい。このため、レンズ500をリム310に枠入れする場合、溝Gにレンズ500が嵌り込むように段付き加工を行う必要がある。具体的には、溝G、凹部G2及び凹部G3に対応するレンズ500の領域(位置)の厚みを幅Wと同じ(又は、それ以下)にする加工が必要となる。言い換えると、溝G,凹部G2及び凹部G3に対応する領域のレンズ500の後面側を高さDに亘って切り落とす加工である。
【0017】
レンズ500の周縁部について説明する(図3(c)参照)。レンズ500の周縁部は、平仕上げされた平坦部510H、面取りされた前面面取り部510F、面取りされた後面面取り部510R、後面側でステップ(段付き)加工されたステップ部510S、を備えている。ステップ部510Sは、レンズ後面方向(レンズ500の光軸方向に概ね沿った方向)に切り落とされ、リム310の縁と略当接するベース部510Bを有している。
【0018】
前面面取り部510Fの幅Wf、平坦部510Hの幅Wh、後面面取り部510Rの幅Wrを合わせた幅Waが、備え付けレンズ400の幅Wと一致するように加工される。ステップ部510Sの高さ(ベース部510Bから平坦部510Hまでの距離)Daが、備え付けレンズ400の高さDと一致するように加工される。ベース部510Bは、光学部510とリム310とが干渉しないように、後方に向かって略水平に切り落とされている。
【0019】
詳細な説明は略すが、装置200の粗砥石、仕上げ砥石により、生地レンズが周縁から研削され、レンズ500の外形状(切り込み前の形状)に加工される。そして、装置200の前面ヤゲン加工砥石により前面面取り部510Fが加工され、後面ヤゲン加工砥石により後面面取り部510Rが加工される。510Cの幅Waが幅Wとなると共に、高さDaが高さDとなるように、ステップ加工具により後面側が切り落とされる。装置200のエンドミルにより、凸部520及び凸部530が形成されるように、レンズ500の周縁が切り込まれる。このとき、図3(a)の点線Sが、レンズ500のステップ加工位置(段付き加工形状)となる。
【0020】
次に、レンズ500の加工形状(玉型及びステップ加工位置)を、備え付けレンズ400から取得する手法について説明する。図4は、レンズ400からステップ加工位置を取得するための一手法を示す模式図である。図4(a)は、左眼側のフレーム300(リム310)に枠入れされたレンズ400をレンズ後面側から見た図である。図4(b)は、図4(a)のA−A断面図である。図4(c)は、リム310から取り外されたレンズ400の正面図(レンズ前面側から見た図)である。
【0021】
図4(a)に示すように、ステップ加工を必要とするレンズ面上(ここでは、レンズ400の後面上)で、リム310の内側縁(内側境界)に沿って、パテ(putty)状部材(以下、パテ)600がマーク(マスク)として付されている(貼り付けられている)。パテ600の素材は、備え付けレンズ400の透過率を低下させる特性(遮光性)を有すると共に高い展延性を有し、さらに粘着性を有する。好ましくは、パテ600は、照明ユニット10での照明光を遮り、レンズ像を撮影した場合に、マークの位置(ここでは、外周縁)が画像処理で判別し易い程度の遮光性を有する。また、パテ600の素材は、作業者が指等により、光学部410にパテ600を押し広げる(延ばす)ことができる程度の展延性(塑性、柔軟性)を有する。また、パテ600の素材は、レンズ400からパテ600を剥がす場合に、パテ600がちぎれることなく一体となって剥がれる程度の展延性を有することが好ましい。パテ600は、レンズ400に貼り付いた状態を維持しつつ、レンズ400をリム310から取り外す場合には剥がれない程度の粘着性を有することが好ましい。また、パテ600は、作業者が指等で簡単に剥がせる程度の粘着性を有することが好ましい。これにより、パテ600の再利用がし易い。また、フレーム300等が汚れ難い。パテ600は、レンズ400に撥水コートが施されている場合でも、レンズ400に貼り付くことができる(ずれない)程度の粘着性を有することが好ましい。
【0022】
なお、パテ600は、必ずしも粘着性を有していなくてもよい。粘着テープ等を併用することで、レンズ400にパテ600を貼り付けてもよい。
【0023】
本実施形態のパテ600は、ポリブチレンと、粘着剤と、無機鉱物充填剤と、を混合して得られた部材である。パテ600は、粘着性を有した白色の粘土状部材である。また、パテとしては、粘着性を有する軟性ゴムをひも状あるいは板状に加工した部材、粘着性を有する粘性液体(流体)であって、レンズ400に付着したあとに固まる特性を有する部材、等であってもよい。
【0024】
パテ600は、リム310の縁からレンズ400の内側方向(概ね枠中心方向)に向かって、幅Wbを確保するように貼り付けられる。幅Wbは、装置100にてパテ600を撮影し、ステップ加工位置(パテ600の外周縁位置)を抽出する際の画像処理に利用される幅である。
【0025】
レンズ400をリム310から取り外すと、図4(c)に示すように、パテ600が張り付いた状態が維持されている。レンズ400において、比較的光を透過するレンズ400(光学部410、凸部420及び430)の透過領域TPと、パテ600で遮光される遮光領域LS(斜線部)と、に分けられる。図において、パテ600の外側輪郭である外周縁OEが、リム310の内側輪郭の位置を示すこととなる。すなわち、外周縁OEは、備え付けレンズ面上でのリム310の内側境界を示すこととなる。従って、本実施形態では、外周縁OEと、レンズ400の外形状と、を検出することにより、眼鏡レンズ(度付きレンズ)の加工形状を取得できる。
【0026】
次に、パテ600が付されたレンズ400を撮影し、撮影されたレンズ像を画像処理することにより、レンズの加工形状を得る手法について説明する。図5は、装置100で取得されたレンズ400のレンズ像を説明する図である。図6は、レンズ像からステップ加工形状を検出する方法を説明する図である。
【0027】
制御ユニット70は、照明ユニット10を駆動して、レンズテーブル20置かれたレンズ400に照明光を投光し、撮影ユニット30(撮像素子33)にて透過光を撮影することでレンズ像を取得する。このとき、撮影条件の異なる2つのレンズ像を得る。本実施形態の撮影条件の変更は、照明光源11の光量を一定とし、撮像素子33のゲインを変更することにより行われる。制御ユニット70は、レンズ像を2次元(例えば、XY座標)の輝度分布として管理する。
【0028】
図5(a)に示す第1レンズ像(第1画像)451は、レンズ400の外形状(輪郭)400Cを抽出しやすくするための第1撮影条件にて照明され、撮影された撮影画像である。図5(b)に示す第2レンズ像(第2画像)452は、第1レンズ像に対してレンズ400の内側の輝度が高くなるように調整された第2撮影条件にて撮影された撮影画像である。第2撮影条件は、例えば、レンズ400が可視光の透過率が低下しているサングラスレンズであっても、レンズ400の内側に付されたマークであるパテ600の輪郭状態が抽出しやすいように、第1撮影条件よりも撮像素子33のゲインが高く調整されている。この場合、レンズ像452は、レンズ400とレンズテーブル20の境界部分で照明光の回り込み現象が発生し、レンズ400の輪郭400Cはぼやけた像となる。パテ600の輪郭は、その背景に対してコントラストが上がり、検出されやすくなる。
【0029】
図5(c)に示すレンズ像450は、レンズ像451及びレンズ像452を、画像処理によって合成したレンズ像である。レンズテーブル20上にレンズ400が静置されているため、レンズ像451とレンズ像452は、位置が変わることなく撮影される。このため、2つの異なるレンズ像451とレンズ像452を同じ基準位置でそのまま重ねることができる。このとき、制御ユニット70は、レンズ像451を画像処理し、レンズ400の輪郭情報を得て外形状(度付きレンズの外形加工形状)を得る。また、レンズ像452を画像処理し、パテ600(遮光領域LS)を得る。制御ユニット70は、これらを合成することにより、レンズ400の輪郭情報と、レンズ400の面に付されたマークであるパテ600の外側の輪郭情報と、を含むレンズ像450を得る。
【0030】
次に、ステップ加工位置の検出について説明する。図6において、レンズ450の外形状OSからレンズ像450の中心位置(画像処理により求めた、レンズ400の輪郭の幾何学中心位置)FCに向かってラインL1を引く。制御ユニット70は、外形状OSからラインL1上の画素の輝度変化を検出する。制御ユニット70は、ラインL1上の点H1までの輝度変化を確認し、大きな輝度変化、具体的には、透過領域TPの輝度値から遮光領域LSの輝度値に変化した座標上の位置を点S1として検出する。
【0031】
ここで、点H1は、制御ユニット70が、輝度変化を検出する領域を定めるための点であり、外形状OSからの距離に応じて設定される。パテ600を貼り付ける場合の幅Wbより外側(周縁側)の位置に設定される。ラインL1上における外形状OSと点H1とを結ぶ幅Wcは、幅Wbより長く設定される。点H1としては、例えば、外形状OSに凸部がある(透過領域が広い)場合にも対応するために、外形状OSから6mm程度内側に入った位置とする。
【0032】
次に、ラインL1と異なり、中心位置FCを通るラインL2上の画素の輝度変化を検出する場合を説明する。外形状OSからラインL2上の輝度変化を点H2まで検出する。点H2は、上記点H1と同様に定められた点である。ラインL2において、制御ユニット70は、輝度変化を検出できない。このとき、制御ユニット70は、ステップ加工位置がない判定する。
【0033】
ここで、パテ600は、遮光領域LSが、点H1、H2等の基準となる点を含むように貼り付けられることが好ましい。パテ600が幅Wbよりも小さい幅で貼り付けられ、パテ600の輪郭情報として複数の輪郭が検出された場合、作業者がモニタ40上で不要な情報を削除すればよい。
【0034】
このようにして取得した点S1の位置(遮光領域LSの外周縁の位置)を、同様の手法により、外形状OSに対応して取得することにより、ステップ加工位置Sを取得する。制御ユニット70は、中心位置FCを基準として、外形状OS及びステップ加工位置Sをそれぞれ極座標(半径r、角度θ)に変換し、図7に示す、度付きレンズの外形加工形状である玉型T、段付き加工形状であるステップ加工位置TS、を得る。このとき、制御ユニット70は、装置200のステップ加工具による加工径の補正を行い、ステップ加工位置TSの形状の補正を行っても良い。なお、加工具の径等の情報は、予めメモリ71に記憶されている。この技術に関しては、特開2006−95684号公報に記載の技術が応用できる。玉型Tとステップ加工位置TSは、メモリ71に記憶される。
【0035】
また、装置100は、取得した加工形状を修正する構成を備えている。制御ユニット70は、モニタ40からの信号入力により、作業者が手動でステップ加工位置SPTSの形状を修正できるモードを呼び出す。図8は、ステップ加工位置を修正する画面を示した図である。モニタ40には、レンズ像450が表示され、また、玉型T及びステップ加工位置TSがそれぞれグラフィックのラインで表示される。なお、説明の簡便のため、図8では、レンズ像450の表示は略されている。作業者は、モニタ40に表示された操作パネル41の修正モードスイッチ41aを選択し、ステップ加工位置TSを修正する。作業者は、タッチペン50を用いて、スイッチ等の操作を行う。作業者は、タッチペン50で、修正を行いたいステップ加工位置TS上の箇所2点(P1,P2)を指定する。点P1,P2で挟まれたラインLfは、修正可能領域となる。本実施形態では、点P1と点P2を結ぶ所定の曲率を持つ曲線であるラインLcが現れる。ラインLcは、タッチペン50によるドラッグにより、その曲率を変更可能となっている。このため、作業者は、タッチペン50で、ラインLcをドラッグ(指定)しながら、修正したい形状に変更させる。そして、タッチペン50をモニタ40上から離すことにより、ラインLcの形状の変更が終了する。再びスイッチ41aが選択されると、制御ユニット70は、修正モードを終了させ、修正後のステップ加工位置TSをメモリ71に記憶させる。
【0036】
以上のような構成を備える装置の動作と、眼鏡レンズの加工形状取得方法について説明する。作業者は、リム310に保持された備え付けレンズ400の後面側にパテ(マーク)600を貼り付ける。このとき、パテ600は、薄めに貼り付けることが好ましい。これにより、レンズ像の撮影において、パテ600の輪郭情報のガタツキが抑制できる。そして、作業者は、レンズ400をリム310から取り外し、レンズテーブル20に載せる。このとき、レンズ400の前面を上に向ける。作業者は、装置100を操作し、加工形状の取得を行う。制御ユニット70は、第1撮影条件及び第2撮影条件によって撮影したレンズ像451、452からレンズ像450を得る。制御ユニット70は、画像処理により、レンズ像450から輪郭情報を抽出し、加工形状(外形状玉型T及びステップ加工位置TS)を得る。作業者は、モニタ40でレンズ像450(図8では図示が略されている)とステップ加工位置TSの加工形状とを比較する。加工形状を修正する場合は、スイッチ41aを選択して修正を行う。制御ユニット70が取得した加工形状は、メモリ71に記憶される。なお、撮影条件を変える必要が無い場合(レンズ400が可視光の透過率が高い場合)には、一つのレンズ像451(又は452)から玉型T及びステップ加工位置TSの加工形状を得ることができる。
【0037】
このようにして、眼鏡レンズ(備え付きレンズ)にマークを付し、画像処理によって外形状とステップ加工位置とを取得することで、簡単に加工形状を取得できる。また、マークとしてパテ600を用いることにより、フレーム、レンズ等に汚れがつきにくい。また、パテ600の再利用性が高まり、コストを抑えることができる。
【0038】
メモリ71に記憶されたレンズの加工形状は、装置200に転送される。装置200(の制御ユニット)は、加工形状から、加工データ(粗加工軌跡、切り込み加工データ、等)を算出し、各加工具を用いて被加工レンズ(度付きレンズ500)を加工する。加工されたレンズは、フレーム300のリムに枠入れ可能となり、使用者によって簡単に度付きレンズへ交換できる。
【0039】
なお、以上の説明では、装置100によるレンズ像の撮影条件を撮像素子33のゲインを変える構成としたが、これに限るものではない。レンズ像から抽出するための輪郭情報等の撮影条件が異なっていればよく、例えば、撮像素子33のゲインは一定で、照明光源11の発光光量を変更して撮影条件を変更する構成としてもよい。また、装置100によるレンズ像の撮影を複数回行う構成としたが、これに限るものではない。レンズの外形状が抽出しやすく、レンズ内側のマークの輪郭状態が抽出し易い条件であれば、レンズ像は一枚でもよい。
【0040】
また、以上の説明では、レンズ像から取得した玉型、ステップ加工位置を修正する構成としたが、必ずしも必要ない。
【0041】
また、以上の説明では、マークとして、粘土状の部材を用いる構成としたが、これに限るものではない。備え付けレンズの光透過率を低下させる(好ましくは遮光させる)構成であればよく、光透過率を低下させる特性(遮光特性)を持ったインクをペンで付す構成としてもよい。また、光透過率を低下させる特性を持ったシールを貼り付ける構成としてもよい。
【0042】
また、度付きレンズの外形加工形状及び段付き加工形状を取得する方法は、図1の照明ユニット10及び撮影ユニット30を備える眼鏡レンズ加工形状取得装置100の使用に限られない。例えば、眼鏡レンズ加工形状取得装置100は、フレーム300のリム310の設計データを取得し、取得した設計データに基づいてリムの内側境界を取得することでも良い。リム310の設計データは、フレーム300の製造メーカから入手される。リム310の設計データを基に、リム310の溝Gの動径データと、動径データに対する図2(b)の深さDのデータと、を得ることができる。そして、深さDのデータが得られれば、これを基にステップ加工位置TSのデータ(例えば、玉型Tの幾何中心位置FCに対する極座標データ)を得ることができる。玉型Tに関しても、リム310に取り付けら備え付けレンズ400の設計データを取得し、これに基づいて得ることができる。例えば、レンズ400の設計データをそのまま玉型Tとして取得することできる。
【0043】
このように本件発明は種々の変容が可能であり、これらに関しても、技術的思想を同一にする範囲において、本件発明に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】眼鏡レンズ加工形状取得装置を説明する図である。
【図2】眼鏡フレームと、この眼鏡フレームのリムに備え付けレンズの構成を説明する図である。
【図3】眼鏡フレームに備え付けのレンズを度付きレンズに交換した場合の構成を説明する図である。
【図4】備え付けレンズからステップ加工位置を取得する手法を説明する図である。
【図5】眼鏡レンズ加工形状取得装置で撮影したレンズ像を説明する図である。
【図6】レンズ像からステップ加工位置を取得する方法を説明する図である。
【図7】眼鏡レンズの加工形状を説明する図である。
【図8】ステップ加工位置を修正する画面を示した図である。
【符号の説明】
【0045】
10 照明ユニット
20 レンズテーブル
30 撮影ユニット
70 制御ユニット
100 眼鏡レンズ加工形状取得装置
200 眼鏡レンズ加工装置
300 眼鏡フレーム
310 フレーム
400、500 レンズ
600 パテ状部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼鏡フレームのリムに取り付けられている備え付けレンズに代えて、備え付けレンズよりコバが厚い屈折力を持つ度付きレンズをリムに取り付けるための眼鏡レンズ加工形状取得方法は、
前記備え付けレンズの輪郭を取得するレンズ輪郭取得ステップと、
前記備え付けレンズがリムに取り付けられた状態で、前記備え付けレンズ面上での、リムの内側境界を取得するリム境界取得ステップと、
を有し、
前記備え付けレンズの輪郭に基づいて度付きレンズの外形加工形状を取得し、リムの内側境界に基づいて度付きレンズの段付き加工形状を取得することを特徴とする眼鏡レンズ加工形状取得方法。
【請求項2】
請求項1の眼鏡レンズ加工形状取得方法は、備え付けレンズがリムに取り付けられた状態で、リムの内側の境界に沿ってマークを付すマーク付与ステップと、マークが付された備え付けレンズをリムから取り外し、取り外した備え付けレンズを撮影したレンズ像を得るレンズ像取得ステップと、を有し、
前記レンズ輪郭取得ステップは、前記レンズ像を画像処理してレンズの輪郭を取得し、前記リム境界取得ステップは、前記レンズ像を画像処理してレンズ面に付されたマークの外側の輪郭を取得するステップを含み、取得したマークの外側の輪郭に基づいてリムの内側境界を取得することを特徴とする眼鏡レンズ加工形状取得方法。
【請求項3】
請求項2の眼鏡レンズ加工形状取得方法において、前記リム境界取得ステップは、レンズの輪郭を取得したときの同一のレンズ像に基づいてマークの外側の輪郭を取得することを特徴とする眼鏡レンズ加工形状取得方法。
【請求項4】
請求項2の眼鏡レンズ加工形状取得方法において、前記レンズ像取得ステップは、リムから取り外した前記備え付けレンズの輪郭を得るための第1撮影条件でレンズを照明して第1レンズ像を得るステップと、第1レンズ像に対してレンズの内側の輝度が高くなるように調整された第2撮影条件でレンズを照明して第2レンズ像を得るステップと、を含み、前記レンズ輪郭取得ステップは、第1レンズ像に基づいてレンズの輪郭を抽出し、前記リム境界取得ステップは、第2レンズ像に基づいてレンズ面に付されたマークの外側の輪郭を取得することを特徴とする眼鏡レンズ加工形状取得方法。
【請求項5】
請求項2の眼鏡レンズ加工形状取得方法において、前記マークは、前記備え付けレンズの光透過率を低下させるインクであることを特徴とする眼鏡レンズ加工形状取得方法。
【請求項6】
請求項2の眼鏡レンズ加工形状取得方法において、前記マークは、前記備え付けレンズの透過率を低下させる特性を持つ高展延性の素材であり、高展延性の素材をリムの内側の境界に沿って貼り付けることを特徴とする眼鏡レンズ加工形状取得方法。
【請求項7】
請求項6の眼鏡レンズ加工形状取得方法において、前記高展延性の素材は粘着性を有することを特徴とする眼鏡レンズ加工形状取得方法。
【請求項8】
請求項1の眼鏡レンズ加工形状取得方法において、前記レンズ輪郭取得ステップは、前記備え付けレンズをリムから取り外し、取り外した備え付けレンズを撮影したレンズ像を得るレンズ像取得ステップを含み、レンズ像の輝度変化を検出し、検出した輝度変化を基にレンズの輪郭を取得することを特徴とする眼鏡レンズ加工形状取得方法。
【請求項9】
請求項1の眼鏡レンズ加工形状取得方法において、前記リム境界取得ステップは、リムの設計データを取得し、取得した設計データに基づいてリムの内側の境界を取得することを特徴とする眼鏡レンズ加工形状取得方法。
【請求項10】
請求項2の眼鏡レンズ加工形状取得方法において、前記レンズ輪郭取得ステップ及びリム境界取得ステップは、リムから外された前記備え付けレンズをカメラで撮影し、撮影されたレンズ像を画像処理するレンズ撮影装置を使用するステップを含み、前記レンズ撮影装置は、前記備え付けレンズのレンズ像を撮影するための撮像素子を有する撮影ユニットと、画像処理によりレンズ像を基に前記備え付けレンズの輪郭とマークの外側の輪郭とを取得する制御ユニットであって,備え付けレンズの輪郭に対するマークの外側の輪郭の位置を取得するために,備え付けレンズの輪郭に対して所定の内側領域で、レンズ像の輝度が変化する位置を検出する制御ユニットと、を備えることを特徴とする眼鏡レンズ加工形状取得方法。
【請求項11】
眼鏡レンズの周縁部を嵌め込む溝が形成されたレンズ枠を有する眼鏡フレームに取り付けられている備え付けレンズに代えて、屈折度数を持つ眼鏡レンズをレンズ枠に取り付けるために、眼鏡レンズの周縁部に行う段付き加工を含むレンズ加工形状を取得する眼鏡レンズ加工形状取得方法は、
レンズ枠に備え付けレンズが取り付けられている状態で、備え付けレンズの屈折面側であって、眼鏡レンズに代えたときに段付き加工を必要とする屈折面側に、レンズ枠の境界に沿って遮光性を有するマークを付す第1ステップと、前記マークが付された備え付けレンズをレンズ枠から取り外す第2ステップと、前記マークが付された備え付けレンズを照明光にて照明し、備え付けレンズの撮影画像を得る第3ステップと、取得された撮影画像から備え付けレンズの輪郭情報を取得すると共に、前記マークの外側の輪郭情報を取得し、両情報から段付き加工を含むレンズ周縁加工に必要なレンズ加工形状を取得する第4ステップと、を備える、ことを特徴とする眼鏡レンズ加工形状取得方法。
【請求項12】
請求項11の眼鏡レンズ加工形状取得方法において、前記第4ステップは、備え付けレンズの輪郭から内側に向かって所定領域内の遮光状態の変化を検出することによって、前記マークの外側の輪郭情報を取得する、ことを特徴とする眼鏡レンズ加工形状取得方法。
【請求項13】
請求項11又は12の眼鏡レンズ加工形状取得方法において、前記備え付けレンズは可視光の透過率が低下したサングラスレンズであり、前記第3ステップは、備え付けレンズの輪郭を得るために調整された第1撮影条件で備え付けレンズを照明し、照明された備え付けレンズの第1画像を得るステップと、前記第1撮影条件とは異なる第2撮影条件であって,撮影された備え付けレンズの内側の輝度が第1画像よりも高くなるように調整された第2撮影条件で備え付けレンズを照明し、照明された備え付けレンズの第2画像を得るステップと、を含み、前記第4ステップは、前記第1画像から備え付けレンズの輪郭情報を取得し、第2画像から前記マークの外側の輪郭情報を取得する、ことを特徴とする眼鏡レンズ加工形状取得方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−185490(P2012−185490A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−27508(P2012−27508)
【出願日】平成24年2月10日(2012.2.10)
【出願人】(000135184)株式会社ニデック (745)
【Fターム(参考)】