着座状態検出装置及び移動体の乗員監視システム
【課題】自動車等の移動体において、光学式のカメラを用いることなく、乗員と他の物体とを識別して、乗員の着座状態を検出することのできる着座状態検出装置、及び、この着座状態検出装置を備えた移動体の乗員監視システムを提供する。
【解決手段】座席2に着座した乗員の画像を、座席2の着座部4、背凭れ部6等に設けたアンテナ装置12、14…を介して撮像し、その撮像画像から、乗員の着座姿勢を認識して、着座姿勢が異常であればエアバッグの動作を停止させる。アンテナ装置12、14…は、乗員から発せられる熱雑音を受信するアンテナ素子を2次元配置した平面アンテナであり、乗員の画像データは、各アンテナ素子からの受信信号を検波した検波電圧にて生成する。なお、アンテナ装置は、例えばバスや飛行機の座席に組み込み、監視装置側で乗客の数を確認したり、乗客の着座姿勢を確認したりする監視システムにも利用できる。
【解決手段】座席2に着座した乗員の画像を、座席2の着座部4、背凭れ部6等に設けたアンテナ装置12、14…を介して撮像し、その撮像画像から、乗員の着座姿勢を認識して、着座姿勢が異常であればエアバッグの動作を停止させる。アンテナ装置12、14…は、乗員から発せられる熱雑音を受信するアンテナ素子を2次元配置した平面アンテナであり、乗員の画像データは、各アンテナ素子からの受信信号を検波した検波電圧にて生成する。なお、アンテナ装置は、例えばバスや飛行機の座席に組み込み、監視装置側で乗客の数を確認したり、乗客の着座姿勢を確認したりする監視システムにも利用できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の移動体において、乗員の座席への着座状態を検出する着座状態検出装置、及び、この着座状態検出装置を備えた移動体の乗員監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の着座状態検出装置としては、座席内部に圧力センサ(若しくは荷重センサ)を設け、このセンサにて、乗員が着座したときに座席に加わる圧力(荷重)を検出することにより、乗員が着座したことを検出するように構成されたものが知られている。(例えば、特許文献1、2等参照)。
【0003】
また、乗員の着座状態として、乗員の着座姿勢を検出する装置としては、光学式のカメラ(具体的には、CCDカメラ、赤外線カメラ等)で座席周囲の画像を撮像し、その撮像画像の中から乗員画像を抽出することで、着座姿勢を認識するよう構成されたものが知られている(例えば、特許文献3,4等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−221971号公報
【特許文献2】特開2005−186878号公報
【特許文献3】特開2001−213268号公報
【特許文献4】特開2007−198929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記前者のように、着座状態検出装置を圧力センサ等にて構成し、乗員の着座時に座席に加わる圧力や荷重を検出するようにした場合には、乗員が実際に着座したときと、座席に乗員以外の物体が載置されたときを区別することができないことから、座席に物体が載置されたときに、乗員の着座を誤検出してしまうという問題がある。
【0006】
一方、上記後者のように、カメラで座席周囲の画像を撮像する場合には、その撮像画像を解析することにより、座席の上に乗員が着座しているのか、物体が載置されているのかを識別することができるので、乗員の着座が誤検出されることはない。
【0007】
しかし、移動体の室内で、光学式のカメラを用いて、撮像画像から乗員を識別し得る鮮明な画像を撮像するには、撮像対象となる座席周囲を照らす光源や、その光源の点灯制御を行う制御装置が必要になることから、着座状態検出装置のコストアップを招くという問題がある。
【0008】
また、乗員をカメラで撮像するには、カメラと乗員との間に光を遮蔽する遮蔽物(例えば、新聞、雑誌等)があると、乗員を正常に撮像することができなくなり、その撮像画像から乗員の着座状態を判定することができなくなるという問題もある。
【0009】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、自動車等の移動体において、光学式のカメラを用いることなく、乗員と他の物体とを識別して、乗員の着座状態を検出することのできる着座状態検出装置、及び、この着座状態検出装置を備えた移動体の乗員監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明は、移動体の座席に着座した乗員から発せられる熱雑音を受信するためのアンテナ素子と、前記アンテナ素子による熱雑音の受信レベルから前記座席に着座した乗員を認識する認識手段と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の着座状態検出装置において、前記アンテナ素子を、複数、平面状に配置してなるアンテナ装置を備え、前記認識手段は、前記複数のアンテナ素子による熱雑音の受信レベルから、前記座席に着座した乗員の姿勢を認識することを特徴とする。
【0012】
また次に、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の着座状態検出装置において、前記アンテナ装置は、前記座席の着座部、背凭れ部、及び、ヘッドレストの少なくとも一つに内蔵されていることを特徴とする。
【0013】
また、請求項4に記載の発明は、請求項2又は請求項3に記載の着座状態検出装置において、前記アンテナ装置は、前記複数のアンテナ素子を可撓性基板に分散配置してなる平面アンテナにて構成され、前記座席の乗員側表面生地と内部のクッション材との間に設けられていることを特徴とする。
【0014】
また次に、請求項5に記載の発明は、請求項2〜請求項4の何れか1項に記載の着座状態検出装置において、前記認識手段にて認識された乗員の姿勢が予め設定された正常範囲内にあるか否かを判定し、正常範囲内になければ、その旨を乗員又は外部装置に報知する姿勢判定手段を備えたことを特徴とする。
【0015】
また更に、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の着座状態検出装置において、前記姿勢判定手段は、前記認識手段にて認識された乗員の姿勢が、前記座席に対し設けられたエアバッグを安全に起動させることのできる正常姿勢であるか否かを判定し、乗員の姿勢が正常姿勢であれば、外部のエアバッグ制御装置に対しエアバッグの動作を許可する信号を送信し、乗員の姿勢が正常姿勢でなければ、エアバッグ制御装置に対しエアバッグの動作を禁止する信号を送信することを特徴とする。
【0016】
一方、請求項7に記載の発明は、移動体に設けられ、当該移動体に乗った乗員の状態を監視する乗員監視システムであって、監視対象となる乗員が着座する複数の座席に、請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の着座状態検出装置を設け、当該移動体を運行する管理者の座席近傍に、前記管理者からの入力指令に従い、前記各着座状態検出装置を構成する認識手段から乗員の認識結果を取得し、該取得結果を管理者に報知する監視装置を設けたことを特徴とする。
【0017】
また、請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の移動体の乗員監視システムにおいて、前記監視装置は、前記管理者からの入力指令に従い、前記各着座状態検出装置の認識手段から取得した認識結果に基づき当該移動体に乗車した乗員の数を計測し、該計測結果を管理者に報知可能であることを特徴とする。
【0018】
また、請求項9に記載の発明は、請求項7又は請求項8に記載の移動体の乗員監視システムにおいて、前記着座状態検出装置として、請求項2〜請求項6の何れか1項に記載の着座状態検出装置を備え、前記監視装置は、前記管理者からの入力指令に従い、前記各着座状態検出装置の認識手段から、乗員が着座した座席における乗員の着座姿勢を取得し、該取得した着座姿勢を管理者に報知可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に記載の着座状態検出装置によれば、乗員の座席への着座状態を検出するセンサとして、座席に着座した乗員から発せられる熱雑音を受信するためのアンテナ素子を備え、認識手段が、そのアンテナ素子による熱雑音の受信レベルから、座席に着座した乗員を認識する。
【0020】
つまり、温度を持つ人体から発生される熱雑音は、物体の熱雑音より大きいことから、本発明では、この熱雑音をアンテナ素子にて受信し、その受信レベルを検出することで、座席に着座した乗員を認識するのである。
【0021】
このため、本発明の着座状態検出装置によれば、着座状態認識用のセンサとして、圧力センサや荷重センサを備えた従来装置のように、座席に物体が載置されたときに、乗員の着座を誤認識してしまうようなことはなく、この従来装置に比べて、着座状態の検出精度を向上できる。
【0022】
また、本発明の着座状態検出装置によれば、光学式のカメラで撮像した座席周囲の画像から乗員の着座状態を認識するように構成された従来装置のように、撮像対象となる座席周囲を照らす光源や、その光源の点灯制御を行う制御装置を設ける必要がないので、この従来装置に対しては、製造コストを低減することができる。
【0023】
また、乗員との間に物体を光学的に遮蔽する遮蔽物があっても、その遮蔽物が熱雑音(換言すれば高周波数の電磁波)を遮蔽するものでなければ、座席に着座した乗員を認識することができるので、この従来装置に対しても、着座状態の検出精度を向上できる。
【0024】
次に、請求項2に記載の着座状態検出装置によれば、乗員の座席への着座状態を検出するセンサとして、上述したアンテナ素子を、複数、平面状に配置(換言すれば2次元配置)してなるアンテナ装置(所謂平面アンテナ)を備える。そして、認識手段は、このアンテナ装置を構成する複数のアンテナ素子による熱雑音の受信レベルから、座席に着座した乗員の姿勢を認識する。
【0025】
つまり、アンテナ素子を複数平面状に配置してなるアンテナ装置(所謂平面アンテナ)を利用すれば、各アンテナ素子を一画素とする2次元画像データを得ることができる。そこで、請求項2に記載の着座状態検出装置では、このアンテナ装置を利用して、座席を撮像することで、その撮像画像(換言すれば各画素の信号レベル)から、座席に乗員が着座していることだけでなく、乗員の座席への着座姿勢についても認識するようにしているのである。
【0026】
そして、認識手段による認識結果は、例えば、乗員の着座姿勢が安全かどうかを判断して、安全でないときに警報を発するとか、あるいは、乗員の着座姿勢の周期的変化から乗員の居眠りを検出して警報を発するというように、移動体における乗員の安全性を高めることに利用することができる。
【0027】
ところで、このように、所謂平面アンテナを構成するアンテナ装置を用いて、乗員の着座姿勢を認識する場合、その認識精度を確保するには、アンテナ装置において隣接配置されるアンテナ素子同士が乗員の同一箇所から放射された熱雑音を受信することのないよう、各アンテナ素子の指向特性(ビーム)を鋭くする必要があるが、各アンテナ素子の指向性(ビーム)を鋭くするには限界がある。
【0028】
そこで、請求項2に記載の着座状態検出装置は、請求項3に記載のように、上記アンテナ装置を、座席の着座部、背凭れ部、及び、ヘッドレストの少なくとも一つに内蔵するとよい。
【0029】
そして、このようにすれば、アンテナ装置を乗員に接近させて、各アンテナ素子の指向性(ビーム)を低下させることができることから、各アンテナ素子の指向性(ビーム)を鋭くするよりも、簡単且つ低コストで、着座姿勢の認識精度を向上することができる。
【0030】
つまり、乗員から発する熱雑音を複数のアンテナ素子で受信することにより乗員画像を撮像する場合、各アンテナ素子の受信周波数は、画像を撮像できるように、マイクロ波帯(具体的には、EHF帯のミリメートル波(所謂ミリ波、周波数:30GHz〜300GHz)、若しくは、SHF帯のセンチメートル波(順ミリ波、周波数3GHz〜30GHz))にすればよいが、請求項3に記載のエアバッグにおいては、アンテナ素子として、ミリ波に比べて指向性が低下するSHF帯用のアンテナ素子を用いることができるようになり、アンテナ装置の製造コストを抑えることができる。
【0031】
また、熱雑音を受信可能なアンテナ素子としては、テーパードスロットアンテナが知られているが、テーパードスロットアンテナは、アンテナ素子の長さ(電波の到来方向に沿った奥行き)を電波の波長λの約4倍にする必要があり、アンテナ素子(延いては各アンテナ素子を平面状に配置したアンテナアレー)の奥行きは、受信周波数をミリ波にしても、数cmとなってしまう。
【0032】
これに対し、請求項3に記載のエアバッグ用姿勢判定装置によれば、アンテナ素子の受信周波数をミリ波よりも低いSHF帯にすることができるので、請求項4に記載のように、アンテナ装置を、複数のアンテナ素子を可撓性基板に分散配置してなる平面アンテナにて構成することができ、アンテナ装置の厚みを薄くすることができる。
【0033】
そして、この場合、請求項4に記載のように、アンテナ装置(平面アンテナ)を、座席の乗員側表面生地と内部のクッション材との間に設けるようにすれば、各アンテナ素子を、座席に着座した乗員に密着させることが可能となり、各アンテナ素子で得られる撮像画像から、乗員の姿勢をより正確に認識することができるようになる。
【0034】
なお、請求項2〜4に記載の着座状態検出装置のように、着座状態検出用のセンサとして、アンテナ素子を平面状に配置してなるアンテナ装置(平面アンテナ)を用いる場合、アンテナ装置は、座席の着座部と、座席の背凭れ部及びヘッドレストの少なくとも一方との複数箇所に設けるとよい。
【0035】
つまり、このようにすれば、認識手段は、これら複数のアンテナ装置を用いて、座席の着座部に乗っている乗員の臀部や太股の位置と、座席の背凭れ部やヘッドレストに乗っている乗員の背中や頭の位置を検出することができるようになり、これらの検出結果から、乗員の着座姿勢をより正確に認識することができるようになる。
【0036】
また、請求項2〜4に記載の着座状態検出装置においては、更に、請求項5に記載のように、認識手段にて認識された乗員の姿勢が予め設定された正常範囲内にあるか否かを判定し、正常範囲内になければ、その旨を乗員又は外部装置に報知する姿勢判定手段を設けるとよい。つまり、このようにすれば、乗員に対し、姿勢を正すように促し、移動体運行時の安全性を高めることができる。
【0037】
そして、この姿勢判定手段は、請求項6に記載のように構成すれば、移動体の座席に設けられたエアバッグが動作したときに、エアバッグの膨らみによって乗員が怪我をするのを防止することができる。
【0038】
一方、請求項7に記載の乗員監視システムによれば、例えば、バスや電車、客船や飛行機等、乗客を乗せて運行する移動体において、乗客が座る座席を監視対象となる座席として、これら各座席に請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の着座状態検出装置を設け、当該移動体を運行する管理者(運転者や客室乗務員等)の座席近傍に監視装置を設けるようにすることで、管理者が、自分の座席に居たまま、乗客の座席への着座状態を把握することができるようになる。よって、本発明の乗員監視システムによれば、客を乗せる移動体において、乗客の乗降状態や着座状態を監視するのに好適なシステムを提供できる。
【0039】
なお、請求項7に記載の乗員監視システムにおいて、監視装置を、請求項8に記載のように、各着座状態検出装置の認識手段から取得した認識結果に基づき当該移動体に乗車した乗員の数を計測して、管理者に報知できるように構成すれば、例えば、観光バス等で出発前に乗員の人数を簡単に確認することができるようになる。
【0040】
また、請求項9に記載のように、監視対象となる座席に設ける着座状態検出装置として、請求項2〜請求項6の何れか1項に記載の着座状態検出装置を利用すれば、監視装置にて、各着座状態検出装置の認識手段から、乗員が着座した座席における乗員の着座姿勢を取得して、その取得した着座姿勢を管理者に報知することができるようになり、管理者は、乗員の着座姿勢を確認した上で、乗員(特に乗客)に対し失礼のないよう、注意を促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】第1実施形態の姿勢判定装置全体の構成を表すブロック図である。
【図2】座席内への平面アンテナの配置状態を表す説明図である。
【図3】アンテナ素子を基板に形成した平面アンテナの構成を表す説明図である。
【図4】平面アンテナの回路構成を表すブロック図である。
【図5】姿勢判定装置にて実行される姿勢判定処理を表すフローチャートである。
【図6】座席に正常姿勢で着座している乗員及びその認識状態を説明する説明図である。
【図7】チャイルドシートが後ろ向きに取り付けられた状態を説明する説明図である。
【図8】第2実施形態の乗員監視システムが搭載されたバスの概略構成を表す説明図である。
【図9】図9のバスに設けられた検出装置と監視装置の構成を表すブロック図である。
【図10】図9に示した検出装置及び監視装置で実行される乗車人数確認処理及び乗員有無判定処理を表すフローチャートである。
【図11】図9に示した検出装置及び監視装置で実行される着座姿勢確認処理及び姿勢判定処理を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
[第1実施形態]
図1は、本発明が適用された第1実施形態のエアバッグ用姿勢判定装置全体の構成を表すブロック図である。
【0043】
本実施形態のエアバッグ用姿勢判定装置(以下単に姿勢判定装置という)20は、自動車の座席毎に設けられ、その座席に着座した乗員を、その乗員から発せられる熱雑音を受信することにより撮像することで、乗員の姿勢を認識し、その認識結果から、乗員が、エアバッグを安全に起動させることのできる正常姿勢で着座しているか否かを判定して、乗員が正常姿勢で着座しているときに、エアバッグの動作を許可するためのものであり、CPU22、ROM24、RAM26等からなるマイクロコンピュータを中心に構成されている。
【0044】
また、姿勢判定装置20には、乗員を撮像するために設けられた3つのアンテナ装置(第1アンテナ12、第2アンテナ14、第3アンテナ16)をそれぞれ動作させるためのアンテナ制御部28、これら各アンテナ12、14、16からの出力をA/D変換して取り込む入力部30、この入力部30を介して入力されたデータを画像データとして保存するための画像メモリ32、及び、車内LAN(詳しくは通信線若しくは無線通信回線)に接続された通信部34、が設けられている。
【0045】
なお、通信部34は、車内LANを介して、自動車に搭載されたエアバッグ制御装置60、エンジン制御装置62、警報装置64等の各種電子機器との間で通信を行うためのものである。
【0046】
図2に示すように、上記3つのアンテナ12、14、16の内、第1アンテナ12は、座席2の着座部4に設けられ、第2アンテナ14は、座席2の背凭れ部6に設けられ、第3アンテナ16は、座席2のヘッドレスト8に設けられている。
【0047】
つまり、これら各アンテナ12、14、16は、図3に示すように、可撓性を有する多層基板50の表面に2次元配置され、パッチアンテナを構成する複数のアンテナ素子10と、多層基板50の裏面に積層された導体からなり、各アンテナ素子10に対し反射面となる接地面52と、により、変形可能な平面アンテナとして構成されている。
【0048】
そして、各アンテナ12、14、16は、座席2の着座部4、背凭れ部6、及び、ヘッドレスト8において、乗員側表面生地と内部のクッション材との間に設けられている。また、第1アンテナ12は、着座部4の背凭れ部6とは反対側の先端部分に上面から先端面にかけて湾曲した状態で配置されている。
【0049】
可撓性を有する多層基板50としては、フッ素、ポリイミド、PET、ポリエステル、PPE等からなる多層基板を利用できる。また、座席2内部の中央部にアンテナ12、14、16を配置する場合には、アンテナ12、14、16を変形可能に構成する必要はないので、多層基板50として、セラミックスあるいはガラスエポキシ等からなる硬質の多層基板を利用できる。
【0050】
また次に、図3(b)に示すように、上記各アンテナ12、14、16を構成する多層基板50において、多層基板50の裏面及び中間層(図示せず)には、出力ライン54、電源ライン56、切換信号ライン58が適宜形成されており、更に、多層基板50の裏面には、アンテナ素子10毎にIC60が実装されている。
【0051】
このIC60は、図4に示すローノイズアンプ(LNA)42、バンドパスフィルタ(BPF)43、セレクタ44を内蔵した集積回路であり、受信信号入力用の端子がスルーホール10aを介してアンテナ素子10に接続されると共に、受信信号出力用の端子が出力ライン54に接続され、電源供給用の端子が電源ライン56に接続され、切換信号入力用の端子が切換信号ライン58に接続されている。
【0052】
なお、各アンテナ12、14、16を構成する多層基板50には、出力ライン54、電源ライン56、及び切換信号ライン58を外部に引き出すための端子部59が設けられており、この端子部59を介して、図4に示す検波器45及び信号処理部46が接続される。
【0053】
次に、各アンテナ素子10に設けられたIC60内では、アンテナ素子10からの受信信号がLNA42で増幅され、BPF43にて不要な信号成分が除去され、乗員画像撮像用の所定周波数帯(本実施形態ではSHF帯)の受信信号のみがセレクタ44に入力される。
【0054】
図4に示すように、セレクタ44には、信号処理部46から切換信号ライン58を介して切換信号が入力され、この切換信号により複数のアンテナ素子10の一つが選択されて、その選択されたアンテナ素子10からの受信信号が、セレクタ44から出力ライン54を介して検波器45に出力される。
【0055】
検波器45は、受信信号を検波することにより、その電圧レベルを表す検出信号を発生する。すると信号処理部46は、その検出信号を姿勢判定装置20の入力部30に出力する。
【0056】
また、信号処理部46は、姿勢判定装置20のアンテナ制御部28から入力された制御信号に従い、電源電圧を、電源ライン56を介して各IC60(換言すればIC60内のLNA42及びセレクタ44)に供給すると共に、各IC60内のセレクタ44に切換信号を出力することで、各IC60から検波器45に順次各アンテナ素子10の受信信号を出力させ、それに対応して検波器45から出力される検出信号を順次姿勢判定装置20の入力部30へと出力する。
【0057】
なお、アンテナ12、14、16には、アンテナ素子10の温度を検出する温度センサ48が設けられており、この温度センサ48からの検出信号も、信号処理部46から姿勢判定装置20の入力部30へ出力される。
【0058】
次に、図5は、姿勢判定装置20のCPU22にて一定時間毎に繰り返し実行される姿勢判定処理を表すフローチャートである。
図5に示すように、この処理が開始されると、まずS110(Sはステップを表す)にて、エンジン制御装置62からイグニッションスイッチ(IGSW)の状態を取得し、現在IGSWがオン状態であるか否か(つまり、現在自動車のエンジンは運転中であるか否か)を判断する。
【0059】
そして、IGSWがオフ状態で、エンジンが停止している場合には、そのまま当該処理を終了し、IGSWがオン状態で、エンジン運転中であれば、S120に移行して、第1アンテナ12から画像データを取得する。
【0060】
すなわち、S120では、アンテナ制御部28を介して第1アンテナ12の信号処理部46に制御信号を出力することにより、第1アンテナ12を構成している各アンテナ素子10からの受信信号の信号レベルを順次取り込み、その取り込んだ信号レベルを画像メモリ32に順に格納することで、第1アンテナ12で得られた着座部4の画像データを記憶する。
【0061】
次に、S120にて、第1アンテナ12から画像データを取得すると、今度は、S130に移行して、第1アンテナ12に設けられた温度センサ48から第1アンテナ12の温度を取得し、続くS140にて、その取得したアンテナ温度に基づき、画像メモリ32に格納した画像データを補正する。
【0062】
つまり、アンテナ素子10にて受信される乗員からの熱雑音は、アンテナ素子10の温度によって変化することから、S140にて、アンテナ温度と予め設定された基準温度とのずれに基づき、画像データを構成する各画素値(つまり検波器45による各アンテナ素子10の検波電圧)を補正するのである。
【0063】
そして、S140にて、第1アンテナ12で得られた画像データの補正が完了すると、S150にて、その補整後の画像データの中から、乗員の2本の足を識別する。
つまり、図6に示すように、座席2に対し、乗員が正しい姿勢で着座している場合には、第1アンテナ12により得られる画像には、2本の足が写っており、しかも、乗員が大人であっても、座席2の上に前向きに設置されたチャイルドシート70上の幼児であっても、足の長さが異なるだけで、2本の足は写る。
【0064】
これに対し、乗員が座席2に対して斜めに座っていたり、図7に例示するように、チャイルドシート70を後ろ向きに設置して幼児を座らせている場合には、第1アンテナ12により2本の足が所定の向きで撮像されることはない。
【0065】
そこで、S140では、乗員の着座状態を確認するため、第1アンテナ12で得られた画像データを処理することで、乗員の2本の足が写っているか否かを識別するのである。
そして、続くS160では、S150の処理によって2本の足を識別できたか否かを判断し、2本の足を識別できていなければ、S220に移行して、エアバッグ制御装置60に対し、エアバッグの動作禁止指令を出力することにより、エアバッグの動作を停止させる。
【0066】
一方、S160にて、第1アンテナ12で得られた画像データに基づき、2本の足を識別できたと判断すると、今度は、S170、S180、S190にて、上記S120〜S140と同様の手順で、座席2の背凭れ部6に設けられた第2アンテナ14から画像データを取得し、温度補正する。
【0067】
そして、S200では、第2アンテナ14を介して得られた背凭れ部6の画像データに基づき、乗員の肩幅を認識し、S210にて、肩幅の中心が左右に大きくずれていないか否かを判断することで、乗員が背凭れ部6に対し略まっすぐに着座しているか否かを判断する。
【0068】
そして、S210にて、肩幅の中心が座席2の略中心にあり、乗員が正常に着座していると判断すると、S250に移行し、そうでなければ、S220に移行して、エアバッグ制御装置60に対し、エアバッグの動作禁止指令を出力することにより、エアバッグの動作を停止させる。
【0069】
また、S220にて、エアバッグの動作禁止指令を出力した後は、S230にて、第1アンテナ12若しくは第2アンテナ14を介して取得した画像データに基づき、座席2に乗員が着座しているか否かを判断する。
【0070】
つまり、座席2に乗員が着座していれば、第1、第2アンテナ12、14で、乗員の一部が撮像されている筈であるので、ここでは、その画像データに基づき、座席2に乗員が着座しているか否かを判断して、着座していなければ、そのまま当該処理を一旦終了し、逆に、座席2に乗員が着座していれば、S240に移行する。
【0071】
そして、S240では、警報装置64に対し、当該座席に着座している乗員の姿勢が悪いのでエアバッグの動作を停止させた旨を表す警報を発生させ、当該処理を一旦終了する。なお、この警報は、音声による案内でもよく、警報ランプの点灯でもよく、あるいは、その両方でもよい。
【0072】
一方、S250、S260、S270では、上記S120〜S140と同様の手順で、座席2のヘッドレスト8に設けられた第3アンテナ16から画像データを取得し、温度補正する。
【0073】
そして、S280では、第3アンテナ16を介して得られたヘッドレスト8の画像データに基づき、乗員の頭を認識し、続くS290にて、その認識結果と、S200にて認識した乗員の肩幅等に基づき、乗員の体格や着座状態(具体的にはチャイルドシート等の有無)を認識し、S300にて、その認識結果をエアバッグ制御装置60に送信し、当該処理を一旦終了する。
【0074】
以上説明したように、本実施形態の姿勢判定装置20によれば、座席2に着座した乗員の画像を、座席2の着座部4、背凭れ部6に設けた第1、第2アンテナ12、14を介して撮像し、その撮像画像から、乗員の姿勢が、エアバッグを安全に動作させることができる正常姿勢であるか否かを判断する(S110〜S210)。
【0075】
このため、本実施形態の姿勢判定装置20によれば、カメラを使って乗員の姿勢を監視する従来装置のように乗員を撮像するのに光源を用いる必要がなく、また、乗員との間に遮蔽物があっても、座席に着座した乗員を撮像して、その姿勢を認識することができるようになる。
【0076】
また、本実施形態では、乗員の姿勢が正常姿勢でないと判断すると、エアバッグの動作を停止させるだけでなく、座席2に着座した乗員に対し警報を発する(S220〜S240)ことから、乗員に対し姿勢を正すように促し、エアバッグの動作を停止させる頻度を低くして、車両走行時の安全性を高めることができる。
【0077】
また更に、本実施形態では、乗員の姿勢が正常姿勢であると判断した場合には、第3アンテナ16を介してヘッドレスト8の画像データを取得して乗員の頭を認識し、その認識結果と肩幅の認識結果とに基づき、乗員の体格や着座状態(具体的にはチャイルドシート等の有無)を認識して、認識結果をエアバッグ制御装置60に送信する(S250〜S300)。
【0078】
このため、本実施形態の姿勢判定装置20によれば、エアバッグ制御装置60に対し、乗員の体格や着座状態に応じてエアバッグを制御させることができ、より安全性を向上することができる。
【0079】
なお、本実施形態のエアバッグ用姿勢判定装置は、本発明(特に請求項6に記載)の着座状態検出装置に対応するものであり、第1〜第3アンテナ12、14、16が、本発明のアンテナ装置に相当し、図5の姿勢判定処理におけるS120〜S150、S170〜200、S250〜S290の処理が、本発明の認識手段に相当し、S160、S210〜S240、S300の処理が、本発明の姿勢判定手段に相当する。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について、図8〜図11を用いて説明する。
【0080】
本実施形態は、請求項7〜9に記載の乗員監視システムをバス72に適用したものであり、図8に示すように、バス72において監視対象となる複数の乗客用の座席(図では45個)76にそれぞれ設けられた複数の着座状態検出装置66と、バス72の管理者である運転者の座席(つまり運転席)前方に設けられた監視装置80と、から構成されている。
【0081】
ここで、着座状態検出装置66は、図9(a)に示すように、座席76の着座部及び背凭れ部にそれぞれ設けられた第1アンテナ12及び第2アンテナ14と、判定装置68とを備える。この着座状態検出装置66は、第1実施形態のエアバッグ用姿勢判定装置から第3アンテナ16を削除した構成となっており、判定装置68は図1に示す姿勢判定装置20と同様に構成されている。
【0082】
また、監視装置80は、図9(b)に示すように、運転者が運転席74から操作できるように配置された操作入力用の入力装置82と、運転者に各種情報を通知するための液晶ディスプレイ等からなる表示装置84と、着座状態検出装置66から取得した各種情報を記憶しておくためのシリコンディスク、ハードディスク等からなる記憶装置86と、制御装置88とから構成されている。
【0083】
そして、この制御装置88は、CPU90、ROM92、RAM94、及び、通信部96を中心とするマイクロコンピュータにて構成されており、上述の入力装置82、表示装置84、及び記憶装置86とは、インターフェイスである入・出力部98を介して接続されている。
【0084】
また、制御装置88の通信部96は、車内LAN(詳しくは通信線若しくは無線通信回線)を介して、各座席76に設けられた着座状態検出装置66(詳しくは判定装置68内の通信部34)とデータ通信可能に接続されている。
【0085】
このため、監視装置80は、各座席76に設けられた複数(図では45個)の着座状態検出装置66(詳しくは66−1、66−2、…66−45)から、各座席76への乗客の着座状態を表す情報を取得し、その取得結果を、表示装置84を介して運転者に通知することができる。
【0086】
以下、このように構成された本実施形態の監視装置80及び各検出装置66において、乗客監視のために実行される制御処理について説明する。
まず図10は、運転者が監視装置80の入力装置82を操作することにより、乗車人数確認指令を入力した際に、監視装置80の制御装置88(詳しくはCPU90)にて実行される乗車人数確認処理、及び、その乗車人数確認処理の実行時に監視装置80の制御装置88(詳しくは通信部96)から要求を受けて着座状態検出装置66の判定装置68(詳しくはCPU22)が実行する乗員有無判定処理を表している。
【0087】
図10に示すように、監視装置80側で、運転者からの乗車人数確認指令により乗車人数確認処理が起動されると、まず、S400にて、以降の処理で座席番号をカウントするのに用いられるカウンタNの値と、乗車人数をカウントするのに用いられるカウンタNの値を、それぞれ初期値:0に設定する、初期化処理が実行される。
【0088】
そして、続くS410では、座席番号のカウンタNをインクリメント(+1)し、続くS420にて、そのインクリメントしたカウンタNの値に対応するN番座席76−Nの着座状態検出装置66−Nに対し、通信部96から車内LANを介して問い合わせ信号を送信することにより、N番座席76−Nでの乗員の着座状態(詳しくは乗客が座っているか否か)を問い合わせる。
【0089】
一方、監視装置80から問い合わせ信号が送信されたN番座席76−Nの着座状態検出装置66−N側では、その問い合わせ信号を判定装置68内の通信部34が受信し、判定装置68(詳しくはCPU22)に対し、乗員有無判定処理を起動させる。
【0090】
そして、判定装置68にて乗員有無判定処理が起動されると、まずS500にて、アンテナ制御部28を介して第1アンテナ12の信号処理部46に制御信号を出力することにより、第1アンテナ12を構成している各アンテナ素子10からの受信信号の信号レベルを順次取り込み、その取り込んだ信号レベルを画像メモリ32に順に格納することで、第1アンテナ12で得られたN番座席76−Nの着座部4の画像データを記憶する。
【0091】
また、続くS510では、第1アンテナ12に設けられた温度センサ48から第1アンテナ12の温度を取得し、続くS520にて、その取得したアンテナ温度に基づき、画像メモリ32に格納した画像データを補正する。なお、このS510,S520の処理は、上述した図5のS120,S130の処理と同じである。
【0092】
そして、S520にて、第1アンテナ12で得られた画像データの補正が完了すると、続くS530にて、その補整後の画像データに基づき、N番座席76−Nに人が座っているか否かを判定し、続くS540にて、その判定結果を通信部34から車内LANを介して監視装置80に送信する。
【0093】
なお、この乗員有無判定処理では、乗員の着座姿勢を判定する必要はなく、座席76に人が座っているか否かを判定するだけでよいことから、本実施形態では、上記S500〜S530の処理にて、第1アンテナ12から座席76の着座部4の画像データを取得し、その画像データから人が座っているか否かを判断するようにしている。
【0094】
しかし、こうした着座有無の判断は、人が発する熱雑音が第1アンテナ12で受信されているか否かを判断すればよいので、必ずしも第1アンテナ12から全画像データを取得する必要はなく、第1アンテナ12を構成する一部(若しくは一つ)のアンテナ素子10から受信信号を取得して、着座有無を判定するようにしてもよい。
【0095】
そして、判定装置68において、S540にて判定結果を送信した後は、乗員有無判定処理を終了し、監視装置80からの要求を待つ待機状態に移行する。
このように、監視装置80側で、S420の処理にてN番座席への着座状態の問い合わせを行うと、その後、N番座席の着座状態検出装置66−NがN番座席に乗員(乗客)が着座しているかどうかを判定して、その判定結果を監視装置80に返信する。
【0096】
このため、監視装置80側でS420の処理を実行した後は、S430に移行して、N番座席の着座状態検出装置66−Nから判定結果を取得し、続くS440にて、その判定結果から、N番座席76−Nに乗員が着座しているか否かを判断する。
【0097】
そして、S440にて、乗員が着座していると判断されると、S450にて、乗車人数カウント用のカウンタMをインクリメント(+1)することで乗車人数をカウントアップし、続くS460にて座席番号Nを着座座席として記憶する。
【0098】
S460にて座席番号Nを記憶するか、S440にて乗員は着座していないと判断されると、S470に移行して、座席番号カウント用のカウンタNの値は、乗客用の全座席数Nmax(本実施形態では45)に達しているか否かを判断する。
【0099】
そして、カウンタNの値が全座席数Nmaxに達していなければ、次の座席番号(N+1)の座席に乗客が座っているか否かを確認するため、S410に移行し、カウンタNの値が全座席数Nmaxに達していれば、全座席に対し着座確認が終了したと判断して、S480に移行し、乗車人数カウント用のカウンタMの値を、バスに乗車している乗客の数(つまり乗車人数)Mとして記憶装置86に記憶すると共に、表示装置84に乗車人数Mを表示し、当該乗車人数確認処理を終了する。
【0100】
このように、本実施形態の乗員監視システムによれば、運転者が監視装置80の入力装置82を操作して乗車人数確認指令を入力すれば、監視装置80が、各座席76の着座状態検出装置66から乗客が着座しているか否かを表す着座情報(つまり着座有無の判定結果)を取得し、その取得した着座情報からバス72に乗車している乗客の数をカウントする。
【0101】
そして、そのカウント結果(乗車人数M)は、表示装置84に表示されることから、運転者は、表示装置84の表示画面から、乗客の乗車人数Mを簡単に確認することができ、例えば、バス72の出発前に乗車していない乗客がいないかどうかを確認することができるようになる。
【0102】
次に図11は、運転者が監視装置80の入力装置82を操作することにより、着座姿勢監視指令を入力した際に、監視装置80の制御装置88(詳しくはCPU90)にて実行される着座姿勢監視処理、その着座姿勢監視処理の実行時に監視装置80の制御装置88(詳しくは通信部96)から要求を受けて着座状態検出装置66の判定装置68(詳しくはCPU22)が実行する姿勢判定処理、及び、監視装置80において着座姿勢監視処理の実行中に運転者から画像確認指令が入力された際に実行される座席画像表示処理、を表している。
【0103】
図11に示すように、監視装置80側で、運転者からの着座姿勢監視指令により着座姿勢監視処理が起動されると、まず、S600にて、乗客が座っている着座座席の着座状態検出装置66に対し、着座姿勢判定指令を送信する。なお、着座座席は、図10に示した乗車人数確認処理で記憶装置86に記憶された着座座席の座席番号Nにより識別する。
【0104】
すると、着座座席の着座状態検出装置66側では、通信部34が、監視装置80からの着座姿勢判定指令を受信し、判定装置68(詳しくはCPU22)に対し、姿勢判定処理を起動させる。
【0105】
この姿勢判定処理は、起動後、判定装置68において、一定時間毎に実行される処理であり、この処理が起動されると、まずS700にて、アンテナ制御部28を介して第1アンテナ12及び第2アンテナ14から画像データを取得して、画像メモリ32に記憶する。
【0106】
そして、続くS710では、第1アンテナ12及び第2アンテナ14に設けられた温度センサ48から第1アンテナ12及び第2アンテナ14の温度をそれぞれ取得し、続くS720にて、その取得した各アンテナ12,14のアンテナ温度に基づき、画像メモリ32に格納した各アンテナ12,14からの画像データを補正する。
【0107】
このS700〜S720の処理は、座席76の着座部4及び背凭れ部6から見た乗員の画像データを生成するための処理であり、上述した図5のS120〜S140及びS170〜S190の処理と同じである。
【0108】
次にS730では、S720で得られた着座部4及び背凭れ部6での乗員の画像データに基づき、例えば、着座部4に乗員の臀部や太股が存在し、且つ、背凭れ部6に乗員の背中が存在するかを判断することにより、座席76に対し乗客は正しい姿勢(例えば、まっすぐ前向き)で座っているか否かを判断する。
【0109】
そして、S730にて、乗客は正しい姿勢で座っている(着座姿勢正常)と判断された際には、当該姿勢判定処理を一定時間後の起動タイミングまで一旦終了し、逆に、S730にて、乗客の着座姿勢は異常であると判断された際には、S740に移行して、着座姿勢の異常を判定した回数(異常判定回数)は、所定の閾値(複数回)に達したか否か(換言すれば着座姿勢が異常な状態が閾値で決まる所定時間以上継続したか否か)を判断する。
【0110】
そして、異常判定回数が所定の閾値に達していなければ、当該姿勢判定処理を一旦終了し、逆に、異常判定回数が所定の閾値に達していれば、S750に移行し、着座姿勢の異常を表す情報にS720にて補正した乗員の画像データ(着座部4及び背凭れ部6での画像データ)を付与した着座姿勢異常信号を監視装置80に送信し、当該姿勢判定処理を一旦終了する。
【0111】
このように、S600の処理にて、監視装置80側から着座座席の着座状態検出装置66に対し、着座姿勢判定指令を送信すると、着座状態検出装置66側では、姿勢判定処理を繰り返し実行することにより、座席76への着座姿勢が正常か否かを監視し、所定期間以上着座姿勢の異常状態が継続すると、その旨を監視装置80に通知する。
【0112】
このため、監視装置80側でS600の処理を実行した後は、S610に移行し、通信部にて、着座状態検出装置66から送信された着座姿勢異常信号が受信されたか否かを判断する。
【0113】
そして、着座姿勢異常信号が受信されていなければ、S630に移行し、逆に、着座姿勢異常信号が受信されていれば、S620にて、その信号に含まれている受信データ、つまり、座席76の着座部4及び背凭れ部6での画像データと、座席番号とを、記憶装置86に記憶した後、S630に移行する。
【0114】
S630では、記憶装置86に記憶されている受信データに基づき、着座状態検出装置66にて着座姿勢が異常と判断された座席の一覧を表示装置84に表示し、続くS640にて、運転者が入力装置82を操作することにより、表示装置84に表示された座席の一覧の中から画像を確認したい座席を選択して画像確認指令を入力したか否かを判断する。
【0115】
そして、画像確認指令が入力されていなければ、S610に移行することにより、上述したS610〜S640の一連の処理を再度実行し、画像確認指令が入力されていれば、S650にて、座席画像表示処理を起動した後、S610に移行する。
【0116】
次に、S650にて起動される座席画像表示処理は、監視装置80の制御装置88(詳しくはCPU90)にて、着座姿勢監視処理と並列に実行される処理であり、この処理が起動されると、S660にて、確認対象となる座席の画像データ(画像データが複数ある場合には最新の画像データ)を記憶装置86から読み出し、S670にて、その読み出した画像データに基づき、表示装置84に、確認対象となる座席の着座部4及び背凭れ部6から見た乗員の画像を表示する。
【0117】
そして、続くS680では、運転者から表示終了指令が入力されたか否かを判断し、表示終了指令が入力されていなければ再度S660に移行して、再度、確認対象となる座席の画像表示を行い、運転者から表示終了指令が入力されていれば、当該座席画像表示処理を終了する。
【0118】
このように、本実施形態の乗員監視システムによれば、運転者が監視装置80の入力装置82を操作して着座姿勢監視指令を入力すれば、監視装置80が、乗客が着座している着座座席の着座状態検出装置66に対し、着座姿勢判定指令を送信し、着座座席の着座状態検出装置66が乗客の着座姿勢を監視する。
【0119】
また、着座状態検出装置66は、乗客の着座姿勢が所定時間以上異常であれば、その旨を表す着座姿勢異常信号を監視装置80に送信し、監視装置80側では、その信号に基づき、着座姿勢が異常と判断された座席の一覧を表示装置84に表示する。
【0120】
このため、運転者は、表示装置84の表示画像から、乗客が正しく着座していない座席を認識し、必要に応じて乗客に対し注意を促すことができる。
また、特に、本実施形態では、乗客の着座姿勢が異常な座席の一覧を確認してから、運転者が、所望の座席の画像表示を要求すれば、その座席の第1アンテナ12及び第2アンテナ14により座席の着座部4及び背凭れ部6から撮像した乗員の画像を表示装置84に表示される。このため、運転者は、乗客に注意を促す前に、その表示画像を見て、乗員の着座姿勢が異常か否かを自身の目で確認することができる。
【0121】
なお、運転者は、監視装置80に画像確認指令を入力して、所望の座席で乗客の着座状態を撮像した画像を確認した際、着座状態が異常であれば、座席画像表示処理を継続して実行させることにより、その座席の着座状態検出装置66から送信されてくる画像データによって表示画像を更新させて、着座状態の変化を監視することができる。また、運転者は、画像を確認した結果、乗客の着座状態は問題ないと判断した際には、その座席を指定して記憶装置86に記憶された受信データを削除することもできる。
【0122】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内にて種々の態様をとることができる。
例えば、上記実施形態では、複数のアンテナ装置(12、14、16)を座席2又は76の異なる箇所(着座部4、背凭れ部6、ヘッドレスト8等)に設けることで、乗員の着座姿勢や体格等を認識するものとして説明したが、第1アンテナ12若しくは第2アンテナ14だけを着座部4又は背凭れ部6に設けるようにしても、その撮像画像から、乗員の着座姿勢を認識することはできる。また、座席に乗員が着座しているかどうかを判断するだけであれば、一つのアンテナ素子10を座席7(76)の着座部4若しくは背凭れ部6を設けるようにしてもよい。
【0123】
また、上記実施形態では、アンテナ装置(12、14、16)は、可撓性の基板にアンテナ素子10を2次元配置した平面アンテナとし、これを座席2の内部に設けるものとして説明したが、例えば、硬質の平面アンテナを座席2の横のボデー(ドア等)に配置し、座席2の横から乗員を撮像して、乗員の姿勢を認識するようにしてもよく、あるいは、車両の天井やピラーにアンテナを設けて、座席2の上方若しくは斜め前方から乗員を撮像して、乗員の姿勢を認識するようにしてもよい。
【0124】
なお、このように車両の天井やピラーにアンテナを設ける場合、アンテナと乗員との間の距離が長くなるので、各アンテナ素子の手前に誘電体レンズを設けるか、あるいは、各アンテナ素子の後方にパラボラ反射鏡を設けることで、各アンテナ素子のビーム幅を狭くして、アンテナ利得を増加させるようにするとよい。
【0125】
また、上記実施形態では、複数のアンテナ素子10からの受信信号を、セレクタ44を介して検波器45に入力することで、検波器45の数を一つにしているが、IC60内で、各アンテナ素子10のBPF43の後段に、それぞれ、検波器45を設け、各検波器45から信号処理部46に検出信号(検波電圧)を出力するようにしてもよい。そして、このようにすれば、セレクタ44が不要となる。また、この場合、アンテナ基板に切換信号伝送用の切換信号ライン58を設ける必要がないので、アンテナ装置(12、14、16)の設計が簡単になる。
【0126】
また、例えば、各アンテナ素子10に接続されるIC60をセレクタ44だけで構成し、セレクタ44を介して選択的に出力された一つの受信信号をLNA42、BPF44を介して検波器45に入力するようにしてもよい。そして、このようにすれば、一つのアンテナ装置(12、14、16)に対して、LNA42、BPF44、検波器45を一つだけ設ければよく、回路構成を簡素化することができる。
【0127】
また次に、上記実施形態では、各アンテナ12、14、16内に温度センサ48を設けるものとして説明したが、車室内に温度センサを設け、その温度センサにより検出された車室内の温度に基づき、各アンテナ12、14、16を介して得られた画像データを補正するようにしてもよい。
【0128】
また、上記実施形態では、本発明を自動車に適用したものについて説明したが、本発明は、移動体であれば、飛行機や列車、船舶等でも上記実施形態と同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0129】
2…座席、4…着座部、6…背凭れ部、8…ヘッドレスト、10…アンテナ素子、10a…スルーホール、12…第1アンテナ、14…第2アンテナ、16…第3アンテナ、20…姿勢判定装置、22,90…CPU、24,92…ROM、26,94…RAM、28…アンテナ制御部、30…入力部、32…画像メモリ、34,96…通信部、42…LNA、43…BPF、44…セレクタ、45…検波器、46…信号処理部、48…温度センサ、50…多層基板、52…接地面、54…出力ライン、56…電源ライン、58…切換信号ライン、59…端子部、60…エアバッグ制御装置、62…エンジン制御装置、64…警報装置、66…着座状態検出装置、68…判定装置、70…チャイルドシート、72…バス、74…運転席、76…座席、80…監視装置、82…入力装置、84…表示装置、86…記憶装置、98…入・出力部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の移動体において、乗員の座席への着座状態を検出する着座状態検出装置、及び、この着座状態検出装置を備えた移動体の乗員監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の着座状態検出装置としては、座席内部に圧力センサ(若しくは荷重センサ)を設け、このセンサにて、乗員が着座したときに座席に加わる圧力(荷重)を検出することにより、乗員が着座したことを検出するように構成されたものが知られている。(例えば、特許文献1、2等参照)。
【0003】
また、乗員の着座状態として、乗員の着座姿勢を検出する装置としては、光学式のカメラ(具体的には、CCDカメラ、赤外線カメラ等)で座席周囲の画像を撮像し、その撮像画像の中から乗員画像を抽出することで、着座姿勢を認識するよう構成されたものが知られている(例えば、特許文献3,4等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−221971号公報
【特許文献2】特開2005−186878号公報
【特許文献3】特開2001−213268号公報
【特許文献4】特開2007−198929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記前者のように、着座状態検出装置を圧力センサ等にて構成し、乗員の着座時に座席に加わる圧力や荷重を検出するようにした場合には、乗員が実際に着座したときと、座席に乗員以外の物体が載置されたときを区別することができないことから、座席に物体が載置されたときに、乗員の着座を誤検出してしまうという問題がある。
【0006】
一方、上記後者のように、カメラで座席周囲の画像を撮像する場合には、その撮像画像を解析することにより、座席の上に乗員が着座しているのか、物体が載置されているのかを識別することができるので、乗員の着座が誤検出されることはない。
【0007】
しかし、移動体の室内で、光学式のカメラを用いて、撮像画像から乗員を識別し得る鮮明な画像を撮像するには、撮像対象となる座席周囲を照らす光源や、その光源の点灯制御を行う制御装置が必要になることから、着座状態検出装置のコストアップを招くという問題がある。
【0008】
また、乗員をカメラで撮像するには、カメラと乗員との間に光を遮蔽する遮蔽物(例えば、新聞、雑誌等)があると、乗員を正常に撮像することができなくなり、その撮像画像から乗員の着座状態を判定することができなくなるという問題もある。
【0009】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、自動車等の移動体において、光学式のカメラを用いることなく、乗員と他の物体とを識別して、乗員の着座状態を検出することのできる着座状態検出装置、及び、この着座状態検出装置を備えた移動体の乗員監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明は、移動体の座席に着座した乗員から発せられる熱雑音を受信するためのアンテナ素子と、前記アンテナ素子による熱雑音の受信レベルから前記座席に着座した乗員を認識する認識手段と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の着座状態検出装置において、前記アンテナ素子を、複数、平面状に配置してなるアンテナ装置を備え、前記認識手段は、前記複数のアンテナ素子による熱雑音の受信レベルから、前記座席に着座した乗員の姿勢を認識することを特徴とする。
【0012】
また次に、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の着座状態検出装置において、前記アンテナ装置は、前記座席の着座部、背凭れ部、及び、ヘッドレストの少なくとも一つに内蔵されていることを特徴とする。
【0013】
また、請求項4に記載の発明は、請求項2又は請求項3に記載の着座状態検出装置において、前記アンテナ装置は、前記複数のアンテナ素子を可撓性基板に分散配置してなる平面アンテナにて構成され、前記座席の乗員側表面生地と内部のクッション材との間に設けられていることを特徴とする。
【0014】
また次に、請求項5に記載の発明は、請求項2〜請求項4の何れか1項に記載の着座状態検出装置において、前記認識手段にて認識された乗員の姿勢が予め設定された正常範囲内にあるか否かを判定し、正常範囲内になければ、その旨を乗員又は外部装置に報知する姿勢判定手段を備えたことを特徴とする。
【0015】
また更に、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の着座状態検出装置において、前記姿勢判定手段は、前記認識手段にて認識された乗員の姿勢が、前記座席に対し設けられたエアバッグを安全に起動させることのできる正常姿勢であるか否かを判定し、乗員の姿勢が正常姿勢であれば、外部のエアバッグ制御装置に対しエアバッグの動作を許可する信号を送信し、乗員の姿勢が正常姿勢でなければ、エアバッグ制御装置に対しエアバッグの動作を禁止する信号を送信することを特徴とする。
【0016】
一方、請求項7に記載の発明は、移動体に設けられ、当該移動体に乗った乗員の状態を監視する乗員監視システムであって、監視対象となる乗員が着座する複数の座席に、請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の着座状態検出装置を設け、当該移動体を運行する管理者の座席近傍に、前記管理者からの入力指令に従い、前記各着座状態検出装置を構成する認識手段から乗員の認識結果を取得し、該取得結果を管理者に報知する監視装置を設けたことを特徴とする。
【0017】
また、請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の移動体の乗員監視システムにおいて、前記監視装置は、前記管理者からの入力指令に従い、前記各着座状態検出装置の認識手段から取得した認識結果に基づき当該移動体に乗車した乗員の数を計測し、該計測結果を管理者に報知可能であることを特徴とする。
【0018】
また、請求項9に記載の発明は、請求項7又は請求項8に記載の移動体の乗員監視システムにおいて、前記着座状態検出装置として、請求項2〜請求項6の何れか1項に記載の着座状態検出装置を備え、前記監視装置は、前記管理者からの入力指令に従い、前記各着座状態検出装置の認識手段から、乗員が着座した座席における乗員の着座姿勢を取得し、該取得した着座姿勢を管理者に報知可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に記載の着座状態検出装置によれば、乗員の座席への着座状態を検出するセンサとして、座席に着座した乗員から発せられる熱雑音を受信するためのアンテナ素子を備え、認識手段が、そのアンテナ素子による熱雑音の受信レベルから、座席に着座した乗員を認識する。
【0020】
つまり、温度を持つ人体から発生される熱雑音は、物体の熱雑音より大きいことから、本発明では、この熱雑音をアンテナ素子にて受信し、その受信レベルを検出することで、座席に着座した乗員を認識するのである。
【0021】
このため、本発明の着座状態検出装置によれば、着座状態認識用のセンサとして、圧力センサや荷重センサを備えた従来装置のように、座席に物体が載置されたときに、乗員の着座を誤認識してしまうようなことはなく、この従来装置に比べて、着座状態の検出精度を向上できる。
【0022】
また、本発明の着座状態検出装置によれば、光学式のカメラで撮像した座席周囲の画像から乗員の着座状態を認識するように構成された従来装置のように、撮像対象となる座席周囲を照らす光源や、その光源の点灯制御を行う制御装置を設ける必要がないので、この従来装置に対しては、製造コストを低減することができる。
【0023】
また、乗員との間に物体を光学的に遮蔽する遮蔽物があっても、その遮蔽物が熱雑音(換言すれば高周波数の電磁波)を遮蔽するものでなければ、座席に着座した乗員を認識することができるので、この従来装置に対しても、着座状態の検出精度を向上できる。
【0024】
次に、請求項2に記載の着座状態検出装置によれば、乗員の座席への着座状態を検出するセンサとして、上述したアンテナ素子を、複数、平面状に配置(換言すれば2次元配置)してなるアンテナ装置(所謂平面アンテナ)を備える。そして、認識手段は、このアンテナ装置を構成する複数のアンテナ素子による熱雑音の受信レベルから、座席に着座した乗員の姿勢を認識する。
【0025】
つまり、アンテナ素子を複数平面状に配置してなるアンテナ装置(所謂平面アンテナ)を利用すれば、各アンテナ素子を一画素とする2次元画像データを得ることができる。そこで、請求項2に記載の着座状態検出装置では、このアンテナ装置を利用して、座席を撮像することで、その撮像画像(換言すれば各画素の信号レベル)から、座席に乗員が着座していることだけでなく、乗員の座席への着座姿勢についても認識するようにしているのである。
【0026】
そして、認識手段による認識結果は、例えば、乗員の着座姿勢が安全かどうかを判断して、安全でないときに警報を発するとか、あるいは、乗員の着座姿勢の周期的変化から乗員の居眠りを検出して警報を発するというように、移動体における乗員の安全性を高めることに利用することができる。
【0027】
ところで、このように、所謂平面アンテナを構成するアンテナ装置を用いて、乗員の着座姿勢を認識する場合、その認識精度を確保するには、アンテナ装置において隣接配置されるアンテナ素子同士が乗員の同一箇所から放射された熱雑音を受信することのないよう、各アンテナ素子の指向特性(ビーム)を鋭くする必要があるが、各アンテナ素子の指向性(ビーム)を鋭くするには限界がある。
【0028】
そこで、請求項2に記載の着座状態検出装置は、請求項3に記載のように、上記アンテナ装置を、座席の着座部、背凭れ部、及び、ヘッドレストの少なくとも一つに内蔵するとよい。
【0029】
そして、このようにすれば、アンテナ装置を乗員に接近させて、各アンテナ素子の指向性(ビーム)を低下させることができることから、各アンテナ素子の指向性(ビーム)を鋭くするよりも、簡単且つ低コストで、着座姿勢の認識精度を向上することができる。
【0030】
つまり、乗員から発する熱雑音を複数のアンテナ素子で受信することにより乗員画像を撮像する場合、各アンテナ素子の受信周波数は、画像を撮像できるように、マイクロ波帯(具体的には、EHF帯のミリメートル波(所謂ミリ波、周波数:30GHz〜300GHz)、若しくは、SHF帯のセンチメートル波(順ミリ波、周波数3GHz〜30GHz))にすればよいが、請求項3に記載のエアバッグにおいては、アンテナ素子として、ミリ波に比べて指向性が低下するSHF帯用のアンテナ素子を用いることができるようになり、アンテナ装置の製造コストを抑えることができる。
【0031】
また、熱雑音を受信可能なアンテナ素子としては、テーパードスロットアンテナが知られているが、テーパードスロットアンテナは、アンテナ素子の長さ(電波の到来方向に沿った奥行き)を電波の波長λの約4倍にする必要があり、アンテナ素子(延いては各アンテナ素子を平面状に配置したアンテナアレー)の奥行きは、受信周波数をミリ波にしても、数cmとなってしまう。
【0032】
これに対し、請求項3に記載のエアバッグ用姿勢判定装置によれば、アンテナ素子の受信周波数をミリ波よりも低いSHF帯にすることができるので、請求項4に記載のように、アンテナ装置を、複数のアンテナ素子を可撓性基板に分散配置してなる平面アンテナにて構成することができ、アンテナ装置の厚みを薄くすることができる。
【0033】
そして、この場合、請求項4に記載のように、アンテナ装置(平面アンテナ)を、座席の乗員側表面生地と内部のクッション材との間に設けるようにすれば、各アンテナ素子を、座席に着座した乗員に密着させることが可能となり、各アンテナ素子で得られる撮像画像から、乗員の姿勢をより正確に認識することができるようになる。
【0034】
なお、請求項2〜4に記載の着座状態検出装置のように、着座状態検出用のセンサとして、アンテナ素子を平面状に配置してなるアンテナ装置(平面アンテナ)を用いる場合、アンテナ装置は、座席の着座部と、座席の背凭れ部及びヘッドレストの少なくとも一方との複数箇所に設けるとよい。
【0035】
つまり、このようにすれば、認識手段は、これら複数のアンテナ装置を用いて、座席の着座部に乗っている乗員の臀部や太股の位置と、座席の背凭れ部やヘッドレストに乗っている乗員の背中や頭の位置を検出することができるようになり、これらの検出結果から、乗員の着座姿勢をより正確に認識することができるようになる。
【0036】
また、請求項2〜4に記載の着座状態検出装置においては、更に、請求項5に記載のように、認識手段にて認識された乗員の姿勢が予め設定された正常範囲内にあるか否かを判定し、正常範囲内になければ、その旨を乗員又は外部装置に報知する姿勢判定手段を設けるとよい。つまり、このようにすれば、乗員に対し、姿勢を正すように促し、移動体運行時の安全性を高めることができる。
【0037】
そして、この姿勢判定手段は、請求項6に記載のように構成すれば、移動体の座席に設けられたエアバッグが動作したときに、エアバッグの膨らみによって乗員が怪我をするのを防止することができる。
【0038】
一方、請求項7に記載の乗員監視システムによれば、例えば、バスや電車、客船や飛行機等、乗客を乗せて運行する移動体において、乗客が座る座席を監視対象となる座席として、これら各座席に請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の着座状態検出装置を設け、当該移動体を運行する管理者(運転者や客室乗務員等)の座席近傍に監視装置を設けるようにすることで、管理者が、自分の座席に居たまま、乗客の座席への着座状態を把握することができるようになる。よって、本発明の乗員監視システムによれば、客を乗せる移動体において、乗客の乗降状態や着座状態を監視するのに好適なシステムを提供できる。
【0039】
なお、請求項7に記載の乗員監視システムにおいて、監視装置を、請求項8に記載のように、各着座状態検出装置の認識手段から取得した認識結果に基づき当該移動体に乗車した乗員の数を計測して、管理者に報知できるように構成すれば、例えば、観光バス等で出発前に乗員の人数を簡単に確認することができるようになる。
【0040】
また、請求項9に記載のように、監視対象となる座席に設ける着座状態検出装置として、請求項2〜請求項6の何れか1項に記載の着座状態検出装置を利用すれば、監視装置にて、各着座状態検出装置の認識手段から、乗員が着座した座席における乗員の着座姿勢を取得して、その取得した着座姿勢を管理者に報知することができるようになり、管理者は、乗員の着座姿勢を確認した上で、乗員(特に乗客)に対し失礼のないよう、注意を促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】第1実施形態の姿勢判定装置全体の構成を表すブロック図である。
【図2】座席内への平面アンテナの配置状態を表す説明図である。
【図3】アンテナ素子を基板に形成した平面アンテナの構成を表す説明図である。
【図4】平面アンテナの回路構成を表すブロック図である。
【図5】姿勢判定装置にて実行される姿勢判定処理を表すフローチャートである。
【図6】座席に正常姿勢で着座している乗員及びその認識状態を説明する説明図である。
【図7】チャイルドシートが後ろ向きに取り付けられた状態を説明する説明図である。
【図8】第2実施形態の乗員監視システムが搭載されたバスの概略構成を表す説明図である。
【図9】図9のバスに設けられた検出装置と監視装置の構成を表すブロック図である。
【図10】図9に示した検出装置及び監視装置で実行される乗車人数確認処理及び乗員有無判定処理を表すフローチャートである。
【図11】図9に示した検出装置及び監視装置で実行される着座姿勢確認処理及び姿勢判定処理を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
[第1実施形態]
図1は、本発明が適用された第1実施形態のエアバッグ用姿勢判定装置全体の構成を表すブロック図である。
【0043】
本実施形態のエアバッグ用姿勢判定装置(以下単に姿勢判定装置という)20は、自動車の座席毎に設けられ、その座席に着座した乗員を、その乗員から発せられる熱雑音を受信することにより撮像することで、乗員の姿勢を認識し、その認識結果から、乗員が、エアバッグを安全に起動させることのできる正常姿勢で着座しているか否かを判定して、乗員が正常姿勢で着座しているときに、エアバッグの動作を許可するためのものであり、CPU22、ROM24、RAM26等からなるマイクロコンピュータを中心に構成されている。
【0044】
また、姿勢判定装置20には、乗員を撮像するために設けられた3つのアンテナ装置(第1アンテナ12、第2アンテナ14、第3アンテナ16)をそれぞれ動作させるためのアンテナ制御部28、これら各アンテナ12、14、16からの出力をA/D変換して取り込む入力部30、この入力部30を介して入力されたデータを画像データとして保存するための画像メモリ32、及び、車内LAN(詳しくは通信線若しくは無線通信回線)に接続された通信部34、が設けられている。
【0045】
なお、通信部34は、車内LANを介して、自動車に搭載されたエアバッグ制御装置60、エンジン制御装置62、警報装置64等の各種電子機器との間で通信を行うためのものである。
【0046】
図2に示すように、上記3つのアンテナ12、14、16の内、第1アンテナ12は、座席2の着座部4に設けられ、第2アンテナ14は、座席2の背凭れ部6に設けられ、第3アンテナ16は、座席2のヘッドレスト8に設けられている。
【0047】
つまり、これら各アンテナ12、14、16は、図3に示すように、可撓性を有する多層基板50の表面に2次元配置され、パッチアンテナを構成する複数のアンテナ素子10と、多層基板50の裏面に積層された導体からなり、各アンテナ素子10に対し反射面となる接地面52と、により、変形可能な平面アンテナとして構成されている。
【0048】
そして、各アンテナ12、14、16は、座席2の着座部4、背凭れ部6、及び、ヘッドレスト8において、乗員側表面生地と内部のクッション材との間に設けられている。また、第1アンテナ12は、着座部4の背凭れ部6とは反対側の先端部分に上面から先端面にかけて湾曲した状態で配置されている。
【0049】
可撓性を有する多層基板50としては、フッ素、ポリイミド、PET、ポリエステル、PPE等からなる多層基板を利用できる。また、座席2内部の中央部にアンテナ12、14、16を配置する場合には、アンテナ12、14、16を変形可能に構成する必要はないので、多層基板50として、セラミックスあるいはガラスエポキシ等からなる硬質の多層基板を利用できる。
【0050】
また次に、図3(b)に示すように、上記各アンテナ12、14、16を構成する多層基板50において、多層基板50の裏面及び中間層(図示せず)には、出力ライン54、電源ライン56、切換信号ライン58が適宜形成されており、更に、多層基板50の裏面には、アンテナ素子10毎にIC60が実装されている。
【0051】
このIC60は、図4に示すローノイズアンプ(LNA)42、バンドパスフィルタ(BPF)43、セレクタ44を内蔵した集積回路であり、受信信号入力用の端子がスルーホール10aを介してアンテナ素子10に接続されると共に、受信信号出力用の端子が出力ライン54に接続され、電源供給用の端子が電源ライン56に接続され、切換信号入力用の端子が切換信号ライン58に接続されている。
【0052】
なお、各アンテナ12、14、16を構成する多層基板50には、出力ライン54、電源ライン56、及び切換信号ライン58を外部に引き出すための端子部59が設けられており、この端子部59を介して、図4に示す検波器45及び信号処理部46が接続される。
【0053】
次に、各アンテナ素子10に設けられたIC60内では、アンテナ素子10からの受信信号がLNA42で増幅され、BPF43にて不要な信号成分が除去され、乗員画像撮像用の所定周波数帯(本実施形態ではSHF帯)の受信信号のみがセレクタ44に入力される。
【0054】
図4に示すように、セレクタ44には、信号処理部46から切換信号ライン58を介して切換信号が入力され、この切換信号により複数のアンテナ素子10の一つが選択されて、その選択されたアンテナ素子10からの受信信号が、セレクタ44から出力ライン54を介して検波器45に出力される。
【0055】
検波器45は、受信信号を検波することにより、その電圧レベルを表す検出信号を発生する。すると信号処理部46は、その検出信号を姿勢判定装置20の入力部30に出力する。
【0056】
また、信号処理部46は、姿勢判定装置20のアンテナ制御部28から入力された制御信号に従い、電源電圧を、電源ライン56を介して各IC60(換言すればIC60内のLNA42及びセレクタ44)に供給すると共に、各IC60内のセレクタ44に切換信号を出力することで、各IC60から検波器45に順次各アンテナ素子10の受信信号を出力させ、それに対応して検波器45から出力される検出信号を順次姿勢判定装置20の入力部30へと出力する。
【0057】
なお、アンテナ12、14、16には、アンテナ素子10の温度を検出する温度センサ48が設けられており、この温度センサ48からの検出信号も、信号処理部46から姿勢判定装置20の入力部30へ出力される。
【0058】
次に、図5は、姿勢判定装置20のCPU22にて一定時間毎に繰り返し実行される姿勢判定処理を表すフローチャートである。
図5に示すように、この処理が開始されると、まずS110(Sはステップを表す)にて、エンジン制御装置62からイグニッションスイッチ(IGSW)の状態を取得し、現在IGSWがオン状態であるか否か(つまり、現在自動車のエンジンは運転中であるか否か)を判断する。
【0059】
そして、IGSWがオフ状態で、エンジンが停止している場合には、そのまま当該処理を終了し、IGSWがオン状態で、エンジン運転中であれば、S120に移行して、第1アンテナ12から画像データを取得する。
【0060】
すなわち、S120では、アンテナ制御部28を介して第1アンテナ12の信号処理部46に制御信号を出力することにより、第1アンテナ12を構成している各アンテナ素子10からの受信信号の信号レベルを順次取り込み、その取り込んだ信号レベルを画像メモリ32に順に格納することで、第1アンテナ12で得られた着座部4の画像データを記憶する。
【0061】
次に、S120にて、第1アンテナ12から画像データを取得すると、今度は、S130に移行して、第1アンテナ12に設けられた温度センサ48から第1アンテナ12の温度を取得し、続くS140にて、その取得したアンテナ温度に基づき、画像メモリ32に格納した画像データを補正する。
【0062】
つまり、アンテナ素子10にて受信される乗員からの熱雑音は、アンテナ素子10の温度によって変化することから、S140にて、アンテナ温度と予め設定された基準温度とのずれに基づき、画像データを構成する各画素値(つまり検波器45による各アンテナ素子10の検波電圧)を補正するのである。
【0063】
そして、S140にて、第1アンテナ12で得られた画像データの補正が完了すると、S150にて、その補整後の画像データの中から、乗員の2本の足を識別する。
つまり、図6に示すように、座席2に対し、乗員が正しい姿勢で着座している場合には、第1アンテナ12により得られる画像には、2本の足が写っており、しかも、乗員が大人であっても、座席2の上に前向きに設置されたチャイルドシート70上の幼児であっても、足の長さが異なるだけで、2本の足は写る。
【0064】
これに対し、乗員が座席2に対して斜めに座っていたり、図7に例示するように、チャイルドシート70を後ろ向きに設置して幼児を座らせている場合には、第1アンテナ12により2本の足が所定の向きで撮像されることはない。
【0065】
そこで、S140では、乗員の着座状態を確認するため、第1アンテナ12で得られた画像データを処理することで、乗員の2本の足が写っているか否かを識別するのである。
そして、続くS160では、S150の処理によって2本の足を識別できたか否かを判断し、2本の足を識別できていなければ、S220に移行して、エアバッグ制御装置60に対し、エアバッグの動作禁止指令を出力することにより、エアバッグの動作を停止させる。
【0066】
一方、S160にて、第1アンテナ12で得られた画像データに基づき、2本の足を識別できたと判断すると、今度は、S170、S180、S190にて、上記S120〜S140と同様の手順で、座席2の背凭れ部6に設けられた第2アンテナ14から画像データを取得し、温度補正する。
【0067】
そして、S200では、第2アンテナ14を介して得られた背凭れ部6の画像データに基づき、乗員の肩幅を認識し、S210にて、肩幅の中心が左右に大きくずれていないか否かを判断することで、乗員が背凭れ部6に対し略まっすぐに着座しているか否かを判断する。
【0068】
そして、S210にて、肩幅の中心が座席2の略中心にあり、乗員が正常に着座していると判断すると、S250に移行し、そうでなければ、S220に移行して、エアバッグ制御装置60に対し、エアバッグの動作禁止指令を出力することにより、エアバッグの動作を停止させる。
【0069】
また、S220にて、エアバッグの動作禁止指令を出力した後は、S230にて、第1アンテナ12若しくは第2アンテナ14を介して取得した画像データに基づき、座席2に乗員が着座しているか否かを判断する。
【0070】
つまり、座席2に乗員が着座していれば、第1、第2アンテナ12、14で、乗員の一部が撮像されている筈であるので、ここでは、その画像データに基づき、座席2に乗員が着座しているか否かを判断して、着座していなければ、そのまま当該処理を一旦終了し、逆に、座席2に乗員が着座していれば、S240に移行する。
【0071】
そして、S240では、警報装置64に対し、当該座席に着座している乗員の姿勢が悪いのでエアバッグの動作を停止させた旨を表す警報を発生させ、当該処理を一旦終了する。なお、この警報は、音声による案内でもよく、警報ランプの点灯でもよく、あるいは、その両方でもよい。
【0072】
一方、S250、S260、S270では、上記S120〜S140と同様の手順で、座席2のヘッドレスト8に設けられた第3アンテナ16から画像データを取得し、温度補正する。
【0073】
そして、S280では、第3アンテナ16を介して得られたヘッドレスト8の画像データに基づき、乗員の頭を認識し、続くS290にて、その認識結果と、S200にて認識した乗員の肩幅等に基づき、乗員の体格や着座状態(具体的にはチャイルドシート等の有無)を認識し、S300にて、その認識結果をエアバッグ制御装置60に送信し、当該処理を一旦終了する。
【0074】
以上説明したように、本実施形態の姿勢判定装置20によれば、座席2に着座した乗員の画像を、座席2の着座部4、背凭れ部6に設けた第1、第2アンテナ12、14を介して撮像し、その撮像画像から、乗員の姿勢が、エアバッグを安全に動作させることができる正常姿勢であるか否かを判断する(S110〜S210)。
【0075】
このため、本実施形態の姿勢判定装置20によれば、カメラを使って乗員の姿勢を監視する従来装置のように乗員を撮像するのに光源を用いる必要がなく、また、乗員との間に遮蔽物があっても、座席に着座した乗員を撮像して、その姿勢を認識することができるようになる。
【0076】
また、本実施形態では、乗員の姿勢が正常姿勢でないと判断すると、エアバッグの動作を停止させるだけでなく、座席2に着座した乗員に対し警報を発する(S220〜S240)ことから、乗員に対し姿勢を正すように促し、エアバッグの動作を停止させる頻度を低くして、車両走行時の安全性を高めることができる。
【0077】
また更に、本実施形態では、乗員の姿勢が正常姿勢であると判断した場合には、第3アンテナ16を介してヘッドレスト8の画像データを取得して乗員の頭を認識し、その認識結果と肩幅の認識結果とに基づき、乗員の体格や着座状態(具体的にはチャイルドシート等の有無)を認識して、認識結果をエアバッグ制御装置60に送信する(S250〜S300)。
【0078】
このため、本実施形態の姿勢判定装置20によれば、エアバッグ制御装置60に対し、乗員の体格や着座状態に応じてエアバッグを制御させることができ、より安全性を向上することができる。
【0079】
なお、本実施形態のエアバッグ用姿勢判定装置は、本発明(特に請求項6に記載)の着座状態検出装置に対応するものであり、第1〜第3アンテナ12、14、16が、本発明のアンテナ装置に相当し、図5の姿勢判定処理におけるS120〜S150、S170〜200、S250〜S290の処理が、本発明の認識手段に相当し、S160、S210〜S240、S300の処理が、本発明の姿勢判定手段に相当する。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について、図8〜図11を用いて説明する。
【0080】
本実施形態は、請求項7〜9に記載の乗員監視システムをバス72に適用したものであり、図8に示すように、バス72において監視対象となる複数の乗客用の座席(図では45個)76にそれぞれ設けられた複数の着座状態検出装置66と、バス72の管理者である運転者の座席(つまり運転席)前方に設けられた監視装置80と、から構成されている。
【0081】
ここで、着座状態検出装置66は、図9(a)に示すように、座席76の着座部及び背凭れ部にそれぞれ設けられた第1アンテナ12及び第2アンテナ14と、判定装置68とを備える。この着座状態検出装置66は、第1実施形態のエアバッグ用姿勢判定装置から第3アンテナ16を削除した構成となっており、判定装置68は図1に示す姿勢判定装置20と同様に構成されている。
【0082】
また、監視装置80は、図9(b)に示すように、運転者が運転席74から操作できるように配置された操作入力用の入力装置82と、運転者に各種情報を通知するための液晶ディスプレイ等からなる表示装置84と、着座状態検出装置66から取得した各種情報を記憶しておくためのシリコンディスク、ハードディスク等からなる記憶装置86と、制御装置88とから構成されている。
【0083】
そして、この制御装置88は、CPU90、ROM92、RAM94、及び、通信部96を中心とするマイクロコンピュータにて構成されており、上述の入力装置82、表示装置84、及び記憶装置86とは、インターフェイスである入・出力部98を介して接続されている。
【0084】
また、制御装置88の通信部96は、車内LAN(詳しくは通信線若しくは無線通信回線)を介して、各座席76に設けられた着座状態検出装置66(詳しくは判定装置68内の通信部34)とデータ通信可能に接続されている。
【0085】
このため、監視装置80は、各座席76に設けられた複数(図では45個)の着座状態検出装置66(詳しくは66−1、66−2、…66−45)から、各座席76への乗客の着座状態を表す情報を取得し、その取得結果を、表示装置84を介して運転者に通知することができる。
【0086】
以下、このように構成された本実施形態の監視装置80及び各検出装置66において、乗客監視のために実行される制御処理について説明する。
まず図10は、運転者が監視装置80の入力装置82を操作することにより、乗車人数確認指令を入力した際に、監視装置80の制御装置88(詳しくはCPU90)にて実行される乗車人数確認処理、及び、その乗車人数確認処理の実行時に監視装置80の制御装置88(詳しくは通信部96)から要求を受けて着座状態検出装置66の判定装置68(詳しくはCPU22)が実行する乗員有無判定処理を表している。
【0087】
図10に示すように、監視装置80側で、運転者からの乗車人数確認指令により乗車人数確認処理が起動されると、まず、S400にて、以降の処理で座席番号をカウントするのに用いられるカウンタNの値と、乗車人数をカウントするのに用いられるカウンタNの値を、それぞれ初期値:0に設定する、初期化処理が実行される。
【0088】
そして、続くS410では、座席番号のカウンタNをインクリメント(+1)し、続くS420にて、そのインクリメントしたカウンタNの値に対応するN番座席76−Nの着座状態検出装置66−Nに対し、通信部96から車内LANを介して問い合わせ信号を送信することにより、N番座席76−Nでの乗員の着座状態(詳しくは乗客が座っているか否か)を問い合わせる。
【0089】
一方、監視装置80から問い合わせ信号が送信されたN番座席76−Nの着座状態検出装置66−N側では、その問い合わせ信号を判定装置68内の通信部34が受信し、判定装置68(詳しくはCPU22)に対し、乗員有無判定処理を起動させる。
【0090】
そして、判定装置68にて乗員有無判定処理が起動されると、まずS500にて、アンテナ制御部28を介して第1アンテナ12の信号処理部46に制御信号を出力することにより、第1アンテナ12を構成している各アンテナ素子10からの受信信号の信号レベルを順次取り込み、その取り込んだ信号レベルを画像メモリ32に順に格納することで、第1アンテナ12で得られたN番座席76−Nの着座部4の画像データを記憶する。
【0091】
また、続くS510では、第1アンテナ12に設けられた温度センサ48から第1アンテナ12の温度を取得し、続くS520にて、その取得したアンテナ温度に基づき、画像メモリ32に格納した画像データを補正する。なお、このS510,S520の処理は、上述した図5のS120,S130の処理と同じである。
【0092】
そして、S520にて、第1アンテナ12で得られた画像データの補正が完了すると、続くS530にて、その補整後の画像データに基づき、N番座席76−Nに人が座っているか否かを判定し、続くS540にて、その判定結果を通信部34から車内LANを介して監視装置80に送信する。
【0093】
なお、この乗員有無判定処理では、乗員の着座姿勢を判定する必要はなく、座席76に人が座っているか否かを判定するだけでよいことから、本実施形態では、上記S500〜S530の処理にて、第1アンテナ12から座席76の着座部4の画像データを取得し、その画像データから人が座っているか否かを判断するようにしている。
【0094】
しかし、こうした着座有無の判断は、人が発する熱雑音が第1アンテナ12で受信されているか否かを判断すればよいので、必ずしも第1アンテナ12から全画像データを取得する必要はなく、第1アンテナ12を構成する一部(若しくは一つ)のアンテナ素子10から受信信号を取得して、着座有無を判定するようにしてもよい。
【0095】
そして、判定装置68において、S540にて判定結果を送信した後は、乗員有無判定処理を終了し、監視装置80からの要求を待つ待機状態に移行する。
このように、監視装置80側で、S420の処理にてN番座席への着座状態の問い合わせを行うと、その後、N番座席の着座状態検出装置66−NがN番座席に乗員(乗客)が着座しているかどうかを判定して、その判定結果を監視装置80に返信する。
【0096】
このため、監視装置80側でS420の処理を実行した後は、S430に移行して、N番座席の着座状態検出装置66−Nから判定結果を取得し、続くS440にて、その判定結果から、N番座席76−Nに乗員が着座しているか否かを判断する。
【0097】
そして、S440にて、乗員が着座していると判断されると、S450にて、乗車人数カウント用のカウンタMをインクリメント(+1)することで乗車人数をカウントアップし、続くS460にて座席番号Nを着座座席として記憶する。
【0098】
S460にて座席番号Nを記憶するか、S440にて乗員は着座していないと判断されると、S470に移行して、座席番号カウント用のカウンタNの値は、乗客用の全座席数Nmax(本実施形態では45)に達しているか否かを判断する。
【0099】
そして、カウンタNの値が全座席数Nmaxに達していなければ、次の座席番号(N+1)の座席に乗客が座っているか否かを確認するため、S410に移行し、カウンタNの値が全座席数Nmaxに達していれば、全座席に対し着座確認が終了したと判断して、S480に移行し、乗車人数カウント用のカウンタMの値を、バスに乗車している乗客の数(つまり乗車人数)Mとして記憶装置86に記憶すると共に、表示装置84に乗車人数Mを表示し、当該乗車人数確認処理を終了する。
【0100】
このように、本実施形態の乗員監視システムによれば、運転者が監視装置80の入力装置82を操作して乗車人数確認指令を入力すれば、監視装置80が、各座席76の着座状態検出装置66から乗客が着座しているか否かを表す着座情報(つまり着座有無の判定結果)を取得し、その取得した着座情報からバス72に乗車している乗客の数をカウントする。
【0101】
そして、そのカウント結果(乗車人数M)は、表示装置84に表示されることから、運転者は、表示装置84の表示画面から、乗客の乗車人数Mを簡単に確認することができ、例えば、バス72の出発前に乗車していない乗客がいないかどうかを確認することができるようになる。
【0102】
次に図11は、運転者が監視装置80の入力装置82を操作することにより、着座姿勢監視指令を入力した際に、監視装置80の制御装置88(詳しくはCPU90)にて実行される着座姿勢監視処理、その着座姿勢監視処理の実行時に監視装置80の制御装置88(詳しくは通信部96)から要求を受けて着座状態検出装置66の判定装置68(詳しくはCPU22)が実行する姿勢判定処理、及び、監視装置80において着座姿勢監視処理の実行中に運転者から画像確認指令が入力された際に実行される座席画像表示処理、を表している。
【0103】
図11に示すように、監視装置80側で、運転者からの着座姿勢監視指令により着座姿勢監視処理が起動されると、まず、S600にて、乗客が座っている着座座席の着座状態検出装置66に対し、着座姿勢判定指令を送信する。なお、着座座席は、図10に示した乗車人数確認処理で記憶装置86に記憶された着座座席の座席番号Nにより識別する。
【0104】
すると、着座座席の着座状態検出装置66側では、通信部34が、監視装置80からの着座姿勢判定指令を受信し、判定装置68(詳しくはCPU22)に対し、姿勢判定処理を起動させる。
【0105】
この姿勢判定処理は、起動後、判定装置68において、一定時間毎に実行される処理であり、この処理が起動されると、まずS700にて、アンテナ制御部28を介して第1アンテナ12及び第2アンテナ14から画像データを取得して、画像メモリ32に記憶する。
【0106】
そして、続くS710では、第1アンテナ12及び第2アンテナ14に設けられた温度センサ48から第1アンテナ12及び第2アンテナ14の温度をそれぞれ取得し、続くS720にて、その取得した各アンテナ12,14のアンテナ温度に基づき、画像メモリ32に格納した各アンテナ12,14からの画像データを補正する。
【0107】
このS700〜S720の処理は、座席76の着座部4及び背凭れ部6から見た乗員の画像データを生成するための処理であり、上述した図5のS120〜S140及びS170〜S190の処理と同じである。
【0108】
次にS730では、S720で得られた着座部4及び背凭れ部6での乗員の画像データに基づき、例えば、着座部4に乗員の臀部や太股が存在し、且つ、背凭れ部6に乗員の背中が存在するかを判断することにより、座席76に対し乗客は正しい姿勢(例えば、まっすぐ前向き)で座っているか否かを判断する。
【0109】
そして、S730にて、乗客は正しい姿勢で座っている(着座姿勢正常)と判断された際には、当該姿勢判定処理を一定時間後の起動タイミングまで一旦終了し、逆に、S730にて、乗客の着座姿勢は異常であると判断された際には、S740に移行して、着座姿勢の異常を判定した回数(異常判定回数)は、所定の閾値(複数回)に達したか否か(換言すれば着座姿勢が異常な状態が閾値で決まる所定時間以上継続したか否か)を判断する。
【0110】
そして、異常判定回数が所定の閾値に達していなければ、当該姿勢判定処理を一旦終了し、逆に、異常判定回数が所定の閾値に達していれば、S750に移行し、着座姿勢の異常を表す情報にS720にて補正した乗員の画像データ(着座部4及び背凭れ部6での画像データ)を付与した着座姿勢異常信号を監視装置80に送信し、当該姿勢判定処理を一旦終了する。
【0111】
このように、S600の処理にて、監視装置80側から着座座席の着座状態検出装置66に対し、着座姿勢判定指令を送信すると、着座状態検出装置66側では、姿勢判定処理を繰り返し実行することにより、座席76への着座姿勢が正常か否かを監視し、所定期間以上着座姿勢の異常状態が継続すると、その旨を監視装置80に通知する。
【0112】
このため、監視装置80側でS600の処理を実行した後は、S610に移行し、通信部にて、着座状態検出装置66から送信された着座姿勢異常信号が受信されたか否かを判断する。
【0113】
そして、着座姿勢異常信号が受信されていなければ、S630に移行し、逆に、着座姿勢異常信号が受信されていれば、S620にて、その信号に含まれている受信データ、つまり、座席76の着座部4及び背凭れ部6での画像データと、座席番号とを、記憶装置86に記憶した後、S630に移行する。
【0114】
S630では、記憶装置86に記憶されている受信データに基づき、着座状態検出装置66にて着座姿勢が異常と判断された座席の一覧を表示装置84に表示し、続くS640にて、運転者が入力装置82を操作することにより、表示装置84に表示された座席の一覧の中から画像を確認したい座席を選択して画像確認指令を入力したか否かを判断する。
【0115】
そして、画像確認指令が入力されていなければ、S610に移行することにより、上述したS610〜S640の一連の処理を再度実行し、画像確認指令が入力されていれば、S650にて、座席画像表示処理を起動した後、S610に移行する。
【0116】
次に、S650にて起動される座席画像表示処理は、監視装置80の制御装置88(詳しくはCPU90)にて、着座姿勢監視処理と並列に実行される処理であり、この処理が起動されると、S660にて、確認対象となる座席の画像データ(画像データが複数ある場合には最新の画像データ)を記憶装置86から読み出し、S670にて、その読み出した画像データに基づき、表示装置84に、確認対象となる座席の着座部4及び背凭れ部6から見た乗員の画像を表示する。
【0117】
そして、続くS680では、運転者から表示終了指令が入力されたか否かを判断し、表示終了指令が入力されていなければ再度S660に移行して、再度、確認対象となる座席の画像表示を行い、運転者から表示終了指令が入力されていれば、当該座席画像表示処理を終了する。
【0118】
このように、本実施形態の乗員監視システムによれば、運転者が監視装置80の入力装置82を操作して着座姿勢監視指令を入力すれば、監視装置80が、乗客が着座している着座座席の着座状態検出装置66に対し、着座姿勢判定指令を送信し、着座座席の着座状態検出装置66が乗客の着座姿勢を監視する。
【0119】
また、着座状態検出装置66は、乗客の着座姿勢が所定時間以上異常であれば、その旨を表す着座姿勢異常信号を監視装置80に送信し、監視装置80側では、その信号に基づき、着座姿勢が異常と判断された座席の一覧を表示装置84に表示する。
【0120】
このため、運転者は、表示装置84の表示画像から、乗客が正しく着座していない座席を認識し、必要に応じて乗客に対し注意を促すことができる。
また、特に、本実施形態では、乗客の着座姿勢が異常な座席の一覧を確認してから、運転者が、所望の座席の画像表示を要求すれば、その座席の第1アンテナ12及び第2アンテナ14により座席の着座部4及び背凭れ部6から撮像した乗員の画像を表示装置84に表示される。このため、運転者は、乗客に注意を促す前に、その表示画像を見て、乗員の着座姿勢が異常か否かを自身の目で確認することができる。
【0121】
なお、運転者は、監視装置80に画像確認指令を入力して、所望の座席で乗客の着座状態を撮像した画像を確認した際、着座状態が異常であれば、座席画像表示処理を継続して実行させることにより、その座席の着座状態検出装置66から送信されてくる画像データによって表示画像を更新させて、着座状態の変化を監視することができる。また、運転者は、画像を確認した結果、乗客の着座状態は問題ないと判断した際には、その座席を指定して記憶装置86に記憶された受信データを削除することもできる。
【0122】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内にて種々の態様をとることができる。
例えば、上記実施形態では、複数のアンテナ装置(12、14、16)を座席2又は76の異なる箇所(着座部4、背凭れ部6、ヘッドレスト8等)に設けることで、乗員の着座姿勢や体格等を認識するものとして説明したが、第1アンテナ12若しくは第2アンテナ14だけを着座部4又は背凭れ部6に設けるようにしても、その撮像画像から、乗員の着座姿勢を認識することはできる。また、座席に乗員が着座しているかどうかを判断するだけであれば、一つのアンテナ素子10を座席7(76)の着座部4若しくは背凭れ部6を設けるようにしてもよい。
【0123】
また、上記実施形態では、アンテナ装置(12、14、16)は、可撓性の基板にアンテナ素子10を2次元配置した平面アンテナとし、これを座席2の内部に設けるものとして説明したが、例えば、硬質の平面アンテナを座席2の横のボデー(ドア等)に配置し、座席2の横から乗員を撮像して、乗員の姿勢を認識するようにしてもよく、あるいは、車両の天井やピラーにアンテナを設けて、座席2の上方若しくは斜め前方から乗員を撮像して、乗員の姿勢を認識するようにしてもよい。
【0124】
なお、このように車両の天井やピラーにアンテナを設ける場合、アンテナと乗員との間の距離が長くなるので、各アンテナ素子の手前に誘電体レンズを設けるか、あるいは、各アンテナ素子の後方にパラボラ反射鏡を設けることで、各アンテナ素子のビーム幅を狭くして、アンテナ利得を増加させるようにするとよい。
【0125】
また、上記実施形態では、複数のアンテナ素子10からの受信信号を、セレクタ44を介して検波器45に入力することで、検波器45の数を一つにしているが、IC60内で、各アンテナ素子10のBPF43の後段に、それぞれ、検波器45を設け、各検波器45から信号処理部46に検出信号(検波電圧)を出力するようにしてもよい。そして、このようにすれば、セレクタ44が不要となる。また、この場合、アンテナ基板に切換信号伝送用の切換信号ライン58を設ける必要がないので、アンテナ装置(12、14、16)の設計が簡単になる。
【0126】
また、例えば、各アンテナ素子10に接続されるIC60をセレクタ44だけで構成し、セレクタ44を介して選択的に出力された一つの受信信号をLNA42、BPF44を介して検波器45に入力するようにしてもよい。そして、このようにすれば、一つのアンテナ装置(12、14、16)に対して、LNA42、BPF44、検波器45を一つだけ設ければよく、回路構成を簡素化することができる。
【0127】
また次に、上記実施形態では、各アンテナ12、14、16内に温度センサ48を設けるものとして説明したが、車室内に温度センサを設け、その温度センサにより検出された車室内の温度に基づき、各アンテナ12、14、16を介して得られた画像データを補正するようにしてもよい。
【0128】
また、上記実施形態では、本発明を自動車に適用したものについて説明したが、本発明は、移動体であれば、飛行機や列車、船舶等でも上記実施形態と同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0129】
2…座席、4…着座部、6…背凭れ部、8…ヘッドレスト、10…アンテナ素子、10a…スルーホール、12…第1アンテナ、14…第2アンテナ、16…第3アンテナ、20…姿勢判定装置、22,90…CPU、24,92…ROM、26,94…RAM、28…アンテナ制御部、30…入力部、32…画像メモリ、34,96…通信部、42…LNA、43…BPF、44…セレクタ、45…検波器、46…信号処理部、48…温度センサ、50…多層基板、52…接地面、54…出力ライン、56…電源ライン、58…切換信号ライン、59…端子部、60…エアバッグ制御装置、62…エンジン制御装置、64…警報装置、66…着座状態検出装置、68…判定装置、70…チャイルドシート、72…バス、74…運転席、76…座席、80…監視装置、82…入力装置、84…表示装置、86…記憶装置、98…入・出力部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の座席に着座した乗員から発せられる熱雑音を受信するためのアンテナ素子と、
前記アンテナ素子による熱雑音の受信レベルから前記座席に着座した乗員を認識する認識手段と、
を備えたことを特徴とする着座状態検出装置。
【請求項2】
前記アンテナ素子を、複数、平面状に配置してなるアンテナ装置を備え、
前記認識手段は、前記複数のアンテナ素子による熱雑音の受信レベルから、前記座席に着座した乗員の姿勢を認識することを特徴とする請求項1に記載の着座状態検出装置。
【請求項3】
前記アンテナ装置は、前記座席の着座部、背凭れ部、及び、ヘッドレストの少なくとも一つに内蔵されていることを特徴とする請求項2に記載の着座状態検出装置。
【請求項4】
前記アンテナ装置は、前記複数のアンテナ素子を可撓性基板に分散配置してなる平面アンテナにて構成され、前記座席の乗員側表面生地と内部のクッション材との間に設けられていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の着座状態検出装置。
【請求項5】
前記認識手段にて認識された乗員の姿勢が予め設定された正常範囲内にあるか否かを判定し、正常範囲内になければ、その旨を乗員又は外部装置に報知する姿勢判定手段を備えたことを特徴とする請求項2〜請求項4の何れか1項に記載の着座状態検出装置。
【請求項6】
前記姿勢判定手段は、前記認識手段にて認識された乗員の姿勢が、前記座席に対し設けられたエアバッグを安全に起動させることのできる正常姿勢であるか否かを判定し、乗員の姿勢が正常姿勢であれば、外部のエアバッグ制御装置に対しエアバッグの動作を許可する信号を送信し、乗員の姿勢が正常姿勢でなければ、エアバッグ制御装置に対しエアバッグの動作を禁止する信号を送信することを特徴とする請求項5に記載の着座状態検出装置。
【請求項7】
移動体に設けられ、当該移動体に乗った乗員の状態を監視する乗員監視システムであって、
監視対象となる乗員が着座する複数の座席に、請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の着座状態検出装置を設け、
当該移動体を運行する管理者の座席近傍に、前記管理者からの入力指令に従い、前記各着座状態検出装置を構成する認識手段から乗員の認識結果を取得し、該取得結果を管理者に報知する監視装置を設けたことを特徴とする移動体の乗員監視システム。
【請求項8】
前記監視装置は、前記管理者からの入力指令に従い、前記各着座状態検出装置の認識手段から取得した認識結果に基づき当該移動体に乗車した乗員の数を計測し、該計測結果を管理者に報知可能であることを特徴とする請求項7に記載の移動体の乗員監視システム。
【請求項9】
前記着座状態検出装置として、請求項2〜請求項6の何れか1項に記載の着座状態検出装置を備え、
前記監視装置は、前記管理者からの入力指令に従い、前記各着座状態検出装置の認識手段から、乗員が着座した座席における乗員の着座姿勢を取得し、該取得した着座姿勢を管理者に報知可能であることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の移動体の乗員監視システム。
【請求項1】
移動体の座席に着座した乗員から発せられる熱雑音を受信するためのアンテナ素子と、
前記アンテナ素子による熱雑音の受信レベルから前記座席に着座した乗員を認識する認識手段と、
を備えたことを特徴とする着座状態検出装置。
【請求項2】
前記アンテナ素子を、複数、平面状に配置してなるアンテナ装置を備え、
前記認識手段は、前記複数のアンテナ素子による熱雑音の受信レベルから、前記座席に着座した乗員の姿勢を認識することを特徴とする請求項1に記載の着座状態検出装置。
【請求項3】
前記アンテナ装置は、前記座席の着座部、背凭れ部、及び、ヘッドレストの少なくとも一つに内蔵されていることを特徴とする請求項2に記載の着座状態検出装置。
【請求項4】
前記アンテナ装置は、前記複数のアンテナ素子を可撓性基板に分散配置してなる平面アンテナにて構成され、前記座席の乗員側表面生地と内部のクッション材との間に設けられていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の着座状態検出装置。
【請求項5】
前記認識手段にて認識された乗員の姿勢が予め設定された正常範囲内にあるか否かを判定し、正常範囲内になければ、その旨を乗員又は外部装置に報知する姿勢判定手段を備えたことを特徴とする請求項2〜請求項4の何れか1項に記載の着座状態検出装置。
【請求項6】
前記姿勢判定手段は、前記認識手段にて認識された乗員の姿勢が、前記座席に対し設けられたエアバッグを安全に起動させることのできる正常姿勢であるか否かを判定し、乗員の姿勢が正常姿勢であれば、外部のエアバッグ制御装置に対しエアバッグの動作を許可する信号を送信し、乗員の姿勢が正常姿勢でなければ、エアバッグ制御装置に対しエアバッグの動作を禁止する信号を送信することを特徴とする請求項5に記載の着座状態検出装置。
【請求項7】
移動体に設けられ、当該移動体に乗った乗員の状態を監視する乗員監視システムであって、
監視対象となる乗員が着座する複数の座席に、請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の着座状態検出装置を設け、
当該移動体を運行する管理者の座席近傍に、前記管理者からの入力指令に従い、前記各着座状態検出装置を構成する認識手段から乗員の認識結果を取得し、該取得結果を管理者に報知する監視装置を設けたことを特徴とする移動体の乗員監視システム。
【請求項8】
前記監視装置は、前記管理者からの入力指令に従い、前記各着座状態検出装置の認識手段から取得した認識結果に基づき当該移動体に乗車した乗員の数を計測し、該計測結果を管理者に報知可能であることを特徴とする請求項7に記載の移動体の乗員監視システム。
【請求項9】
前記着座状態検出装置として、請求項2〜請求項6の何れか1項に記載の着座状態検出装置を備え、
前記監視装置は、前記管理者からの入力指令に従い、前記各着座状態検出装置の認識手段から、乗員が着座した座席における乗員の着座姿勢を取得し、該取得した着座姿勢を管理者に報知可能であることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の移動体の乗員監視システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−202181(P2010−202181A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−25474(P2010−25474)
【出願日】平成22年2月8日(2010.2.8)
【出願人】(000113665)マスプロ電工株式会社 (395)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月8日(2010.2.8)
【出願人】(000113665)マスプロ電工株式会社 (395)
【Fターム(参考)】
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