説明

睡眠判定アドバイス装置

【課題】利用者の睡眠状態を判定してアドバイスをする睡眠判定アドバイス装置として、その全体のコストを低減し、障害があっても信頼性よく睡眠状態の判定やアドバイスを提供できるようにする。
【解決手段】睡眠状態の判定基準を持つ判定基準データベース(9,28)と、睡眠状態の判定を行う睡眠判定エンジン(3,25)と、睡眠状態の判定結果データを格納する判定結果データベース(10,29)と、判定された睡眠状態に応じたアドバイスを格納したアドバイスデータベース(11,30)とをローカル機(L)及びサーバ機(S)に設け、ローカル機(L)には、アドバイスの緊急度の高い短期睡眠状態に関する判定基準データベース(9)、睡眠判定エンジン(3)、判定結果データベース(10)及び判定結果アドバイスデータベース(11)を、サーバ機(S)には緊急度の低い長期睡眠状態に関するそれらを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、睡眠時の生理情報に基づいて睡眠状態の判定及びそれに応じたアドバイスを利用者に行うための睡眠判定アドバイス装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、睡眠情報を用いて健康を自己管理することを目的として、睡眠する者にとって軽拘束又は無拘束となる睡眠センサを設け、この睡眠センサにより睡眠時の心拍状態、呼吸状態、体動等の生理量から睡眠状態を推定し、寝付き、睡眠の維持、目覚め、熟睡性等の因子について客観的に評価する技術が開発されている。
【0003】
また、睡眠状態の1晩単位の短期データや1週間ないし1年間といった長期的なデータから生活改善等のアドバイスを自動生成する技術も提案されている。
【0004】
このような睡眠状態に関連する情報のアドバイスを生成する場合、そのアドバイスを生成するための1晩又は長期(1週間ないし1年間)の睡眠データの分析や、それに基づくアドバイスや警告の内容の決定の各機能をいずれもセンサ側内に持たせる方法と、データを全てネットワークを介してサーバ機にアップロードし、サーバ機側に分析部を持たせる方法とがある。
【0005】
前者の場合、特許文献1に示されるように、健康の自己管理ではなくて、介護を要する人を管理する目的のためではあるが、その介護を要する被験者の睡眠情報から在床情報を生成し、この情報をネットワークを介してデータ受信センタに提供するシステムが提案されている。
【0006】
一方、後者の場合、特許文献2に示されるように、高齢者、患者、幼児等の被験者の就寝中のデータを端末装置で監視し、この監視情報を管理センタに伝送して、その制御装置によりデータを管理することが提案されている。
【0007】
また、特許文献3に示されるように、睡眠判定アドバイス装置ではないが、家庭内の電器製品の操作情報や動作情報を検出して、家庭外の管理機関にネットワークを介して送信し、この管理機関で受信した情報を蓄積して一元管理することが提案されている。
【特許文献1】特開2004−97495号公報
【特許文献2】特開2002−52010号公報
【特許文献3】特許第3193363号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、前者の場合、短期だけでなくて長期の睡眠データの分析、アドバイスや警告の内容の決定をセンサ側で行うので、そのセンサのメモリやコンピュータを長期データを分析可能なものとする必要があり、その分、センサのコストが高くなる。特に、センサを複数利用する場合、システム全体でコストパフォーマンスが悪い。また、センサのハードウェアの故障が生じたときに長期データの復旧が困難になるばかりでなく、ソフトウェアのアップデートも必要になる問題がある。
【0009】
上記特許文献1に示されるものでは、介護を要する人を管理するために、ネットワークを介して睡眠時の情報を提供するシステムであるが、データ処理は全てローカル機で実施しているので、上記の問題が存在する。
【0010】
一方、サーバ機側に分析部を持たせる後者の場合、前者に比べてローカル機のコストは抑えることができる。しかし、その反面、システムの構築費用や運用費用が大きくなり、全体としてはやはりコストパフォーマンスが悪くなるのは避けられない。また、ネットワークへの接続ができない場所では、判定ができないこととなり、緊急の警告が必要なときにもそれができないという問題がある。
【0011】
本発明はかかる点に鑑みてなされたもので、その目的は、睡眠判定アドバイス装置全体の機能をローカル機とサーバ機とに分散させることにより、全体のコストを低減するとともに、障害があっても信頼性よく睡眠状態の判定やアドバイスを提供できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1の発明は、利用者の睡眠時の生理情報を検出し、その生理情報に基づき睡眠状態を判定して利用者に睡眠状態に応じたアドバイスを行う睡眠判定アドバイス装置であって、少なくとも、睡眠状態の判定基準を有する判定基準部(9,28)と、睡眠状態の判定を行う判定部(3,25)と、睡眠状態の判定結果データを格納する判定結果データ格納部(10,29)と、判定された睡眠状態に応じたアドバイスを格納したアドバイスデータ格納部(11,30)とが、利用者に対応するローカル機(L)とネットワーク(N)上のサーバ機(S)とに設けられており、これらローカル機(L)及びサーバ機(S)における判定基準部(9,28)、判定部(3,25)、判定結果データ格納部(10,29)及びアドバイスデータ格納部(11,30)は、利用者へのアドバイス情報の緊急度の高低に応じて使い分けられるようになっていることを特徴とする。
【0013】
第1の発明では、判定基準部(9,28)、判定部(3,25)、判定結果データ格納部(10,29)及びアドバイスデータ格納部(11,30)がそれぞれローカル機(L)及びサーバ機(S)の双方に設けられ、ローカル機(L)における判定基準部(9)、判定部(3)、判定結果データ格納部(10)及びアドバイスデータ格納部(11)と、サーバ機(S)におけるそれらとが、利用者にアドバイスすべきアドバイス情報の緊急度の高低に応じて使い分けられているので、判定された睡眠状態のうち、例えば緊急度の高いアドバイス情報に係る睡眠状態はローカル機(L)で処理し、緊急度の低いアドバイス情報に係る睡眠状態はサーバ機(S)で処理することで、ローカル機(L)とサーバ機(S)とで必要な機能を分散することができる。このため、ローカル機(L)のみで全ての処理を行う場合のようにローカル機(L)のメモリやコンピュータを長期データを分析可能なものとすること、或いは、サーバ機(S)のみで全ての処理を行う場合のように、システムの構築費用や運用費用が増大することはなく、全体としてコストを下げることができる。
【0014】
また、ローカル機(L)及びサーバ機(S)の双方が同時に故障する確率は低いので、いずれか一方のハードウェアが故障しても、その復旧が容易であり、引き続いてデータ処理が可能となって信頼性を高めることができる。
【0015】
第2の発明は、上記ローカル機(L)には、アドバイスする緊急度の高い睡眠状態に関する判定基準部(9)、判定部(3)、判定結果データ格納部(10)及びアドバイスデータ格納部(11)が設けられている一方、サーバ機(S)には、アドバイスする緊急度の低い睡眠状態に関する判定基準部(28)、判定部(25)、判定結果データ格納部(29)及びアドバイスデータ格納部(30)が設けられていることを特徴とする。
【0016】
第2の発明では、アドバイスする緊急度の高い睡眠状態はローカル機(L)で処理され、アドバイスする緊急度の低い睡眠状態はサーバ機(S)で処理される。このことで、ローカル機(L)のみで全ての処理を行う場合のようにローカル機(L)のメモリやコンピュータを長期データを分析可能なものとすること、サーバ機(S)のみで全ての処理を行う場合のように、システムの構築費用や運用費用が増大することはなく、全体としてコストを下げることができる。また、ローカル機(L)又はサーバ機(S)のいずれか一方のハードウェアが故障しても、その復旧が容易であり、引き続いてデータ処理が可能となって信頼性を高めることができる。
【発明の効果】
【0017】
第1の発明によれば、利用者の睡眠状態を判定してその睡眠状態に応じたアドバイスをする睡眠判定アドバイス装置として、睡眠状態の判定基準を有する判定基準部(9,28)と、睡眠状態の判定を行う判定部(3,25)と、睡眠状態の判定結果データを格納する判定結果データ格納部(10,29)と、判定された睡眠状態に応じたアドバイスを格納したアドバイスデータ格納部(11,30)とをローカル機(L)及びサーバ機(S)の双方に設け、ローカル機(L)における判定基準部(9)、判定部(3)、判定結果データ格納部(10)及びアドバイスデータ格納部(11)と、サーバ機(S)におけるそれらとを、利用者にアドバイスする情報の緊急度の高低に応じて使い分けるようにしたことにより、ローカル機(L)とサーバ機(S)とで必要な機能を分散でき、ローカル機(L)のメモリやコンピュータを長期データを分析可能なものとすることや、システムの構築費用や運用費用が増大することをなくして、全体としてコストダウンを図るとともに、ローカル機(L)又はサーバ機(S)の一方のハードウェアが故障しても、その復旧を容易に行い、データ処理の継続によって信頼性の向上を図ることができる。
【0018】
また、上記第2の発明によれば、ローカル機(L)には、アドバイスする緊急度の高い睡眠状態に関する判定基準部(9)、判定部(3)、判定結果データ格納部(10)及びアドバイスデータ格納部(11)を、またサーバ機(S)には、アドバイスする緊急度の低い睡眠状態に関する判定基準部(28)、判定部(25)、判定結果データ格納部(29)及びアドバイスデータ格納部(30)をそれぞれ設けたことにより、ローカル機(L)のメモリやコンピュータを長期データを分析可能なものとすることや、システムの構築費用や運用費用が増大することはなく、全体としてコストを下げることができるとともに、ローカル機(L)又はサーバ機(S)の故障に伴う復旧が容易で、信頼性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の実施形態に係る睡眠判定アドバイス装置(A)の全体構成を示し、この睡眠判定アドバイス装置(A)は、利用者側に設置された少なくとも1台のローカル機(L)と、該ローカル機(L)にインターネット(N)(ネットワーク)を介して接続されたサーバ機(S)とで構成される。
【0020】
上記ローカル機(L)は、属性入力部(1)、生理情報収集部(2)、判定部としての短期睡眠判定エンジン(3)、睡眠環境コントローラ(4)、表示部(5)及び通信部(6)と、個人属性データベース(7)、短期測定データベース(8)、判定基準部としての短期判定基準データベース(9)、判定結果データ格納部としての短期判定結果データベース(10)、及び、アドバイスデータ格納部としての短期アドバイスデータベース(11)と、これらを接続するデータバス(12)とを備えている。
【0021】
上記属性入力部(1)は、利用者の年齢、性別、体重、身長等の個人属性を入力するもので、この入力された個人属性データは、個人属性データベース(7)に格納される。生理情報収集部(2)は、利用者の例えば1晩の睡眠時の生理情報を収集するためのもので、その収集された生理情報は短期測定データベース(8)に格納される。
【0022】
上記生理情報収集部(2)は、生理情報検知部(15)への接続により睡眠時の生理情報が入力されるようになっている。この生理情報検知部(15)は、図2に示すように、利用者(生体)の生理情報を検知する手段であって、睡眠中の呼吸、心拍、体動等の生理情報の少なくとも1つを検出する。生理情報検知部(15)は薄いマット状のもので、人が就寝するときに、マットレス(23)(又は敷き布団)を覆うシーツ(図示せず)の真下に敷いて使用される。具体的に説明すると、この生理情報検知部(15)は、複数の空気通路(17)を配列してなる感圧部(16)と、この感圧部(16)の空気通路(17)に接続された集合管部(18)と、この集合管部(18)に接続された圧力検出部(19)とを備え、感圧部(16)がシーツの真下に敷かれる。圧力検出部(19)は、上記集合管部(18)を介して空気通路(17)内の圧力変化を検出する。図3に示すように、上記感圧部(16)の複数の空気通路(17)は、互いに平行に配列された複数のチューブ(弾性部材)(T)により構成されている。このチューブ(T)は、例えばシリコンやポリエチレン等の柔軟な材料が用いられている。また、これらチューブ(T)の直径は例えば1mm〜3mm程度に選定されている。また、チューブ(T)同士の大体の位置関係を保持しておくために、縦糸(20)で各チューブ(T)を編み込んでいる。
【0023】
上記集合管部(18)には各チューブ(T)用の継手部(図示せず)が形成されており、チューブ(T)は集合管部(18)に圧入により接続されている。チューブ(T)の長さはU字管状に折り曲げた状態で例えば約1m(図3の左右の幅寸法が1m)、集合管部(18)の長さは例えば約50cmであり、人が寝具上に横たわったとき、概略胸部位置を検知領域としてカバーできるものとなっている。
【0024】
集合管部(18)の先端(図3の上端)は封止されている一方、基端(図3の下端)側の圧力検出部(19)には音響マイク(21)が設置され、この音響マイク(21)が、ワイヤーハーネス(22)を介して上記ローカル機(L)(その生理情報収集部(2))に接続されている。尚、音響マイク(21)の代わりに圧力センサを用いてもよい。
【0025】
また、上記短期判定基準データベース(9)は、予め設定された短期間(この実施形態では1晩)の睡眠状態の判定基準を格納するものである。また、短期アドバイスデータベース(11)は、例えば判定結果に基づいた1晩の睡眠状態に応じたアドバイス情報を格納しているもので、このアドバイス情報は睡眠状態に対応して予め設定されている。そして、短期睡眠判定エンジン(3)は、利用者が夜に就寝して翌朝に起床するまでの1晩の睡眠状態を、個人属性データベース(7)に格納されている個人属性と、短期判定基準データベース(9)に格納されている睡眠状態の判定基準と、上記短期測定データベース(8)に格納された利用者の睡眠時の生理情報とから判定する機能を有する。この短期睡眠判定エンジン(3)により判定された睡眠状態は短期判定結果データベース(10)に格納される(この短期判定結果データベース(10)には、例えば1日〜1ヶ月の判定結果が格納される)。また、短期睡眠判定エンジン(3)は、その判定結果(短期睡眠状態)に応じたアドバイス情報を短期アドバイスデータベース(11)から取り出して、上記判定結果と共に表示部(5)に表示させる。
【0026】
さらに、通信部(6)は、インターネット(N)を介してサーバ機(S)の通信部(26)と情報の授受を行うもので、上記短期判定結果データベース(10)に格納された睡眠状態の判定結果は、インターネット(N)を介してサーバ機(S)の通信部(26)に送信されて、その長期判定結果データベース(29)に格納される。すなわち、ローカル機(L)の短期睡眠判定エンジン(3)で判定されて短期判定結果データベース(10)に格納された睡眠状態は、定期的にインターネット(N)を介してサーバ機(S)に送信されて、その長期判定結果データベース(29)に格納される。
【0027】
尚、睡眠環境コントローラ(4)は、利用者が眠る室内の温度や湿度の環境状態をコントロールするために、図示しない室内の空気調和機(室内機)に信号を送るものである。
【0028】
一方、サーバ機(S)は、判定部としての長期睡眠判定エンジン(25)及び通信部(26)と、個人属性データベース(27)、判定基準部としての長期判定基準データベース(28)、判定結果データ格納部としての長期判定結果データベース(29)、及びアドバイスデータ格納部としての長期アドバイスデータベース(30)と、これらを接続するデータバス(31)とを備えている。上記個人属性データベース(27)は、ローカル機(L)のものと同様に、利用者の個人属性のデータを格納する。
【0029】
また、長期判定基準データベース(28)は、予め設定された長期間(例えば1ヶ月以上)の睡眠状態の判定基準を格納するものである。また、長期アドバイスデータベース(30)は、長期間(例えば1ヶ月以上)の睡眠状態の判定結果に応じたアドバイス情報を格納しているもので、このアドバイス情報は睡眠状態に対応して予め設定されている。そして、長期睡眠判定エンジン(25)は、利用者の長期間(例えば1ヶ月以上)の睡眠状態を、個人属性データベース(27)に格納されている個人属性と、長期判定基準データベース(28)に格納されている睡眠状態の判定基準と、長期判定結果データベース(29)に格納されて蓄積されている長期間の睡眠状態とから判定する機能を有する。この長期睡眠判定エンジン(25)により判定された睡眠状態は上記長期判定結果データベース(29)に格納される。また、長期睡眠判定エンジン(25)は、その判定結果に応じたアドバイス情報を長期アドバイスデータベース(30)から取り出して、通信部(26)に送信する。
【0030】
さらに、通信部(26)は、インターネット(N)を介してローカル機(L)の通信部(6)と情報の授受を行うもので、上記長期睡眠判定エンジン(25)により判定されて長期判定結果データベース(29)に格納された長期睡眠状態の判定結果と、その判定結果に応じたアドバイス情報とは、インターネット(N)を介してローカル機(L)の通信部(6)に送信されて、その表示部(5)に表示される。
【0031】
以上の構成により、短期睡眠状態の判定基準を有する短期判定基準データベース(9)、短期睡眠状態の判定を行う短期睡眠判定エンジン(3)、短期睡眠状態の判定結果データを格納する短期判定結果データベース(10)、及び、判定された短期睡眠状態に応じたアドバイス情報を格納した短期アドバイスデータベース(11)が、利用者に対応して配置したローカル機(L)に、また上記短期判定基準データベース(9)と同様の機能の長期判定基準データベース(28)、長期睡眠状態の判定を行う長期睡眠判定エンジン(25)、睡眠状態の判定結果データを格納する長期判定結果データベース(29)、及び、判定された長期睡眠状態に応じたアドバイス情報を格納した長期アドバイスデータベース(30)がインターネット(N)上のサーバ機(S)にそれぞれ設けられている。
【0032】
すなわち、これらローカル機(L)及びサーバ機(S)における判定基準データベース(9,28)、睡眠判定エンジン(3,25)、判定結果データベース(10,29)及びアドバイスデータベース(11,30)は、利用者へのアドバイス情報の緊急度の高低に応じて使い分けられるようになっており、ローカル機(L)には、アドバイスする緊急度の高い短期間(1晩単位)の睡眠状態に関する短期判定基準データベース(9)、短期睡眠判定エンジン(3)、短期判定結果データベース(10)、及び短期アドバイスデータベース(11)が設けられている。一方、サーバ機(S)には、アドバイスする緊急度の低い長期間(例えば1ヶ月以上)の睡眠状態に関する長期判定基準データベース(28)、長期睡眠判定エンジン(25)、長期判定結果データベース(29)、及び長期アドバイスデータベース(30)が設けられている。
【0033】
−動作−
利用者が夜に就床して入眠した後、翌朝に覚醒して起床すると、その睡眠時の生理情報が生理情報検知部(15)で検知されて生理情報収集部(2)により収集され、この生理情報は短期測定データベース(8)に格納される。そして、短期睡眠判定エンジン(3)により、上記短期測定データベース(8)に格納された利用者の睡眠時の生理情報と、個人属性データベース(7)に格納されている個人属性と、短期判定基準データベース(9)に格納されている睡眠状態の判定基準とから、短期の睡眠状態が判定される。この短期睡眠判定エンジン(3)により判定された睡眠状態は短期判定結果データベース(10)に格納されるとともに、その判定結果(睡眠状態)に応じたアドバイス情報が短期アドバイスデータベース(11)から取り出されて、上記判定結果と共に表示部(5)に表示される。
【0034】
例えば、利用者にとって緊急度の高いアドバイス情報に係る短期間の睡眠状態としては、例えば、(1)睡眠時間が4時間未満であるとき、(2)睡眠時間が今までの平均睡眠時間の60%以下であるとき、(3)前夜に深酒して睡眠時間は足りているが睡眠の質が悪いとき、(4)睡眠状態が睡眠時無呼吸症候群に該当しているもの(AHI≧10)であるとき等がある。これら睡眠情報はローカル機(L)における短期睡眠判定エンジン(3)により判定され、その判定結果がアドバイス情報と共に同じローカル機(L)の表示部(5)で表示される。上記(1)〜(4)の判定結果に対するアドバイス情報は、いずれも「車の運転は控えましょう。」、「昼寝をしましょう。」、「事故を起こす可能性が高いです。」等と表示される。
【0035】
このことで、これらアドバイスの緊急度の高い睡眠状態は、利用者が起床する毎に直ちに知ることができる。
【0036】
さらに、上記短期判定結果データベース(10)に格納された睡眠状態の判定結果は、定期的に、通信部(6)によりインターネット(N)を介してサーバ機(S)の通信部(26)に送信されて、その長期判定結果データベース(29)に格納されて蓄積される(図1矢印(P1)参照)。
【0037】
このサーバ機(S)においては、例えば1ヶ月以上の所定期間が経過する都度、長期睡眠判定エンジン(25)により、上記長期判定基準データベース(28)に格納されている睡眠状態の判定基準と、個人属性データベース(27)に格納されている個人属性と、上記長期判定結果データベース(29)にそれまで格納された長期間の睡眠状態とから、利用者の長期間の睡眠状態が判定され、この判定された睡眠状態は長期判定結果データベース(29)に格納される。また、長期睡眠判定エンジン(25)により、その判定結果に応じたアドバイス情報が長期アドバイスデータベース(30)から取り出され、これら長期間の睡眠状態の判定結果と、その判定結果に応じたアドバイス情報とが、通信部(26)によりインターネット(N)を介してローカル機(L)の通信部(6)に送信されて、その表示部(5)に表示される(図1矢印(P2)参照)。
【0038】
例えば、利用者にとってアドバイスの緊急度の低い長期間の睡眠状態としては、(1)休日の睡眠時間が平日よりも極端に長いとき、(2)日曜日の睡眠の質が他の日に比べて極端に悪いとき等がある。これらの睡眠状態は、上記サーバ機(S)における長期睡眠判定エンジンにより(25)判定され、その判定結果がアドバイス情報と共にローカル機(L)に送られてその表示部(5)で表示される。例えば上記(1)の判定結果に対するアドバイスは、「平日の睡眠が足りません。」と、また(2)の判定結果に対するアドバイスは、「ブルーマンデーとならないように日曜日は光を浴びて運動しましょう。」とそれぞれ表示される。このことで、利用者は睡眠習慣の改善等を行うことができる。
【0039】
−実施形態の効果−
したがって、この実施形態においては、アドバイスの緊急度の高い睡眠状態、具体的には1晩単位の生理情報に基づいて判定された睡眠状態であって、毎朝の起床時に利用者が知っておくべきものはローカル機(L)で処理され、その睡眠状態に応じたアドバイス情報が利用者に報知される。一方、アドバイスする緊急度の低い睡眠状態、具体的には長期間の睡眠状態であって、毎朝の起床時に利用者が知る必要のないものはサーバ機(S)で処理され、その睡眠状態に応じたアドバイス情報が利用者に報知される。こうすることで、ローカル機(L)のみで全ての処理を行う場合のように、そのローカル機(L)のメモリやコンピュータを長期データを分析可能なものとすることや、サーバ機(S)のみで全ての処理を行う場合のように、システムの構築費用や運用費用が増大することはなく、全体としてコストを下げることができる。
【0040】
しかも、ローカル機(L)及びサーバ機(S)の双方が同時に故障する確率は低いことから、ローカル機(L)又はサーバ機(S)のいずれか一方のハードウェアが故障したとしても、その復旧が容易で迅速に行われ、引き続いてデータ処理が可能となって、睡眠判定アドバイス装置(A)の信頼性を高めることができる。
【0041】
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。上記実施形態では、短期間を1晩とし、長期間を1ヶ月以上としているが、これはあくまでも例示であり、例えば短期間を1晩ないし数晩とし、長期間をそれよりも長い期間とすることもでき、必要に応じて期間を変更すればよい。
【0042】
また、上記実施形態では、長期睡眠判定エンジン(25)による判定結果に応じたアドバイス情報を、長期睡眠状態の判定結果と共に、インターネット(N)を介してローカル機(L)に送信して表示部(5)に表示するようにしているが、この判定結果及びアドバイス情報は、他のルート、例えばサーバ機(S)へのアクセスによるダウンロード、サーバ機(S)からの電子メールやサーバ機(S)側での印刷による郵送により利用者に報知することもできる。
【0043】
さらに、上記実施形態では、アドバイスする緊急度の高い睡眠状態はローカル機(L)で処理する一方、緊急度の低い睡眠状態はサーバ機(S)で処理するようにしているが、逆に、アドバイスの緊急度の低い睡眠状態はローカル機(L)で処理する一方、緊急度の高い睡眠状態をサーバ機(S)で処理するようにすることもできる。例えば、判定結果の睡眠状態が利用者の健康に重大な影響があり、そのまま放置できない場合等は、緊急度が極めて高いので、サーバ機で処理して分析すればよい。
【0044】
尚、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、或いはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0045】
以上説明したように、本発明は、利用者の睡眠時の生理情報に基づいて睡眠状態を判定し、その睡眠状態に応じたアドバイスを利用者に行う睡眠判定アドバイス装置について有用である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係る睡眠判定アドバイス装置の全体構成を示す図である。
【図2】図2は、生理情報検知部の構成を示す概略斜視図である。
【図3】図3は、生理情報検知部の平面図である。
【符号の説明】
【0047】
A 睡眠判定アドバイス装置
L ローカル機
S サーバ機
N インターネット(ネットワーク)
2 生理情報収集部
3 短期睡眠判定エンジン(判定部)
5 表示部
8 短期測定データベース
9 短期判定基準データベース(判定基準部)
10 短期判定結果データベース(判定結果データ格納部)
11 短期アドバイスデータベース(判定結果データ格納部)
15 生理情報検知部
25 長期睡眠判定エンジン(判定部)
28 長期判定基準データベース(判定基準部)
29 長期判定結果データベース(判定結果データ格納部)
30 長期アドバイスデータベース(アドバイスデータ格納部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の睡眠時の生理情報を検出し、その生理情報に基づき睡眠状態を判定して利用者に睡眠状態に応じたアドバイスを行う睡眠判定アドバイス装置であって、
少なくとも、睡眠状態の判定基準を有する判定基準部(9,28)と、睡眠状態の判定を行う判定部(3,25)と、睡眠状態の判定結果データを格納する判定結果データ格納部(10,29)と、判定された睡眠状態に応じたアドバイス情報を格納したアドバイスデータ格納部(11,30)とが、利用者に対応するローカル機(L)とネットワーク(N)上のサーバ機(S)とに設けられており、
上記ローカル機(L)及びサーバ機(S)における判定基準部(9,28)、判定部(3,25)、判定結果データ格納部(10,29)及びアドバイスデータ格納部(11,30)は、利用者へのアドバイス情報の緊急度の高低に応じて使い分けられるようになっていることを特徴とする睡眠判定アドバイス装置。
【請求項2】
請求項1において、
ローカル機(L)には、アドバイスする緊急度の高い睡眠状態に関する判定基準部(9)、判定部(3)、判定結果データ格納部(10)及びアドバイスデータ格納部(11)が設けられている一方、
サーバ機(S)には、アドバイスする緊急度の低い睡眠状態に関する判定基準部(28)、判定部(25)、判定結果データ格納部(29)及びアドバイスデータ格納部(30)が設けられていることを特徴とする睡眠判定アドバイス装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−7150(P2007−7150A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−191813(P2005−191813)
【出願日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】