説明

短距離無線機及び短距離無線通信システム、並びにそれらの通信能力制御方法

【課題】短距離無線機同士間に無線障害物が存在しても、消費電力や無線信号の他への影響の増加を必要な最低時間内に納めたままで、無線通信確保の可能性を高める。
【解決手段】少なくとも一方の短距離無線機に、圧力センサと、送信電力や受信感度などの無線通信能力を可変制御可能な無線部とを備える。この無線機に圧力を加えると、圧力センサが圧力の大きさを検知し、圧力が大きくなるほど、無線部の無線通信能力を高くする。この無線機を、例えば、自動改札システムの非接触ICカードのリーダ・ライタ機能を有する改札機用固定通信機に適用する。この場合、定期券機能を有する非接触ICカードを定期入れに入れたままでも、改札機に押し付けることにより、固定通信機の無線通信能力を高くすることができ、通信成功の可能性を高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、近接した通信相手と無線通信を行う短距離無線機と、それを用いた短距離無線通信システムと、それらの無線機における無線通信能力の制御方法とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、公共交通機関の駅改札等において、非接触ICカード〔例えば、FeliCa(登録商標)〕を用いた定期券〔例えば、Suica(登録商標)〕を利用可能な自動改札システムの導入が進んでいる。この自動改札システムでは、改札機に、非接触ICカードのリーダ/ライタである固定通信機を備えている。ユーザにより携帯され、固定通信機と短距離無線通信を行う小型端末として、非接触ICカードそのものや、非接触ICカードを含んだ携帯電話端末などが用いられている。
【0003】
この改札システムの利用形態を見てみると、定期券機能を有する小型端末、特にカード形状の小型端末は、定期入れや財布など何らかの入れ物に入れたまま、改札機(固定通信機)と通信させている人がほとんどである。そんな中、定期入れや財布の材質、形状により、小型端末の送受信する無線信号(電波)が減衰し、改札機との通信がうまくいかず、定期入れや財布を改札機にギュウギュウと押し付けている人を良く見かける。しかし、現在のシステムでは、図9に示すように、改札機に押し付けたとしても、通信を優位に働きかけることは無いのであるが、多くの人が無意識のうちに、同じような行動をとってしまうようである。
【0004】
図9は、上述した自動改札システムの固定通信機及び小型端末のような短距離無線機同士の通信時の動作フローを示す図である。通常の場合、固定通信機は、無線信号を所定タイミングで発信し、小型端末は、固定通信機からの無線信号を受信すると応答の無線信号を発信するように構成されている。各短距離無線機(固定通信機/小型端末)はそれぞれ、相手の短距離無線機(小型端末/固定通信機)とある距離以内に近づき、相手からの無線信号を受信すると、相手との無線通信処理を開始する(ステップS21)。両者間で、通信が正常に行われ、必要なデータが送受信されると(ステップS22のYES側)、通信成功として無線通信処理を完了する(ステップS24)。
【0005】
各短距離無線機はそれぞれ、ステップS22の処理において、通信が正常に行われないと(ステップS22のNO側)、予め決められた失敗回数に達するまで、再通信を試みる(ステップS23のNO側、S21)。再通信が正常に行われれば(ステップS22のYES側)、通信成功として無線通信処理を完了する(ステップS24)。再通信を試みても正常に通信できない失敗の回数が一定値に達すると(ステップS23のYES側)、通信不可として無線通信処理を完了する(ステップS24)。
【0006】
以上説明したように、従来の短距離無線機同士の通信システムでは、ユーザが無線機に押し付け力を働かせても、通信の不具合を改善することはできない。
【0007】
ただし、圧力感知手段を備え、ユーザが加える圧力に応じて受信音量を自動制御する携帯端末が提案されている(特許文献1参照)。
【0008】
【特許文献1】特開2005−20730号公報(第1−2頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した従来の短距離無線機(自動改札機などの固定通信機、非接触ICカード定期券などの小型端末)及びそれを用いた短距離無線通信システムでは、小型端末が何らかの入れ物に入っていたりして、固定通信機との通信がうまくいかない場合がある。この場合、ユーザは、小型端末を入れ物から出すなどの対応が必要となる。
【0010】
あるいは、通常で想定される範囲内のいかなる状況であっても通信可能なほど、送信電力や受信感度などの無線通信能力を予め大きく設定しておくことで、通信を行うようにすることができる。しかし、単純に無線通信能力を上げっぱなしにするのでは、消費電力や無線信号(電波)の他への影響が懸念される。
【0011】
さらに、一時的に最適な値に無線通信能力を上げればよいと考えられるが、従来では、どのようなタイミングで、どのくらい無線通信能力を上げればよいかの判断ができない。特許文献1記載技術によれば、携帯端末において、ユーザの圧力印加に応じて、どのようなタイミングで、どのくらい受信音量を上げればよいかの判断は可能である。しかし、その判断対象(制御対象)は、正常に無線通信ができたときだけに得られる受信音声信号であり、正常に無線通信するために必要な、送信電力や受信感度などの無線通信能力ではない。特許文献1の記載からは、無線通信能力を上げることに想到することはできない。
【0012】
本発明の目的は、相手無線機との間に無線障害物が存在する場合の無線通信能力増加のタイミング及び増加量を制御可能とした、短距離無線機及び無線通信システム、並びにその通信能力制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の請求項1に係る短距離無線機は、近接した通信相手と無線通信を行う短距離無線機において、外部から印加される圧力の大きさを検知する圧力検知手段と、前記圧力検知手段で検知した圧力の大きさに応じて、前記通信相手と無線通信を行うための通信能力を変化させる無線通信手段とを有することを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項2に係る短距離無線機は、請求項1に係る短距離無線機において、前記通信能力は、送信電力及び受信感度のいずれか一方、あるいは両方であることを特徴とする。
【0015】
本発明の請求項3に係る短距離無線機は、請求項1に係る短距離無線機において、固定通信機として、特定位置に設置されたことを特徴とする。
【0016】
本発明の請求項4に係る短距離無線機は、請求項1に係る短距離無線機において、小型端末として、ユーザに携帯可能とされたことを特徴とする。
【0017】
本発明の請求項5に係る短距離無線通信システムは、請求項3及び4のいずれか1項に係る第1の短距離無線機と、前記第1の短距離無線機と無線通信を行う第2の短距離無線機と、前記第1の短距離無線機及び前記第2の短距離無線機間の無線通信信号に減衰を与える無線障害物とを有し、前記無線障害物を介した状態で、前記第1の短距離無線機の圧力検知手段に外部から圧力印加可能としたことを特徴とする。
【0018】
本発明の請求項6に係る通信能力制御方法は、近接した通信相手と無線通信を行う短距離無線機における通信能力制御方法において、外部から印加される圧力の大きさを検出し、検知した圧力の大きさに応じて、前記通信相手と無線通信を行うための通信能力を変化させることを特徴とする。
【0019】
本発明の請求項7に係る通信能力制御方法は、請求項6に係る通信能力制御方法において、前記通信能力は、送信電力及び受信感度のいずれか一方、あるいは両方であることを特徴とする。
【0020】
本発明の請求項8に係る通信能力制御方法は、請求項6に係る通信能力制御方法において、前記短距離無線機は、固定通信機として、特定位置に設置された短距離無線機であることを特徴とする。
【0021】
本発明の請求項9に係る通信能力制御方法は、請求項6に係る通信能力制御方法において、前記短距離無線機は、小型端末として、ユーザに携帯可能とされた短距離無線機であることを特徴とする。
【0022】
本発明の請求項10に係る通信能力制御方法は、互いに無線通信を行う2つの短距離無線機と、前記2つの短距離無線機間の無線通信信号に減衰を与える無線障害物とを有し、前記無線障害物を介した状態で、前記2つの短距離無線機を互いに押し付け合い可能とした短距離無線通信システムにおける通信能力制御方法において、前記2つの短距離無線機のうち少なくとも一方の短距離無線機で、押し付け圧力の大きさを検知し、検知した圧力の大きさに応じて、他方の短距離無線機と無線通信を行うための通信能力を変化させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、ユーザが短距離無線機に対して圧力印加という、無意識のうちにも行ってしまうような簡単な操作を行うだけで、無線通信能力増加のタイミング及び増加量を制御できる。このため、短距離無線機同士間に無線障害物が存在する場合でも、消費電力や無線信号の他への影響の増加をそれ程招かずに(必要な最低レベル、時間内に納めたままで)、無線通信確保の可能性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
最初に、本発明の概要を説明する。
【0025】
図1は本発明の一実施の形態を示すシステム構成図であり、本発明に直接関係する部分のみを示している。なお、本発明に直接関係しない、その他の部分については、周知の技術で実現できるので詳細説明は省略する。
【0026】
図1において、短距離無線通信システムを構成する無線機1及び相手側無線機2はそれぞれ、極めて短距離(例えば、10cm程度)以内に接近した通信相手と無線通信を行う短距離無線機である。なお、無線通信は、通常、電波を用いて行うが、これに限定されず、赤外線など、その他の電磁波を用いることができる。無線機1及び相手側無線機2の間には、無線通信信号を減衰させる、何らかの無線障害物3が介在している。
【0027】
この短距離無線通信システムでは、無線機1及び相手側無線機2のいずれか一方を、特定の場所に設置された固定通信機とし、他方を、ユーザにより携帯され、固定通信機に接近・接触可能な小型端末とする。なお、無線機1及び相手側無線機2の両方とも小型端末とし、任意の場所にて互いに接近・接触させて、無線通信を行わせるようにすることができる。
【0028】
小型端末としての無線機1又は相手側無線機2は、非接触ICカードや、同カードを含んだ携帯電話端末などとすることができる。この場合、固定通信機としての無線機1又は相手側無線機2は、非接触ICカードのリーダ/ライタを備えるようにする。非接触ICカードへの電源供給方法としては、リーダ/ライタからの送信電波を受信し、整流、平滑、定電圧化して発生した電力を供給する方法(パッシブ型)と、内蔵する電池から電力を供給する方法(アクティブ型)とがある。小型端末が、非接触ICカードそのものの場合は、パッシブ型を、携帯電話端末の場合は、アクティブ型を採用するのが普通である。
【0029】
非接触ICカードには、定期券機能や、電子マネー機能、決済機能などを持たせることができる。非接触ICカード、すなわち、小型端末に定期券機能を持たせ、固定通信機を駅の改札機に設けて、自動改札システムを構築することができる。あるいは、非接触ICカード(小型端末)に電子マネー機能・決済機能を持たせ、固定通信機を商品の売り場や自動販売機に設けて、自動販売システム・自動支払システムを構築することができる。この場合、無線障害物3は、小型端末である非接触ICカードを収納する定期入れや財布などの何らかの入れ物、及びそれらの他の収納物などである。また、小型端末が携帯電話端末の場合も同様に、携帯電話端末を収納しているケースなどの何らかの入れ物、及び他の収納物が無線障害物3である。
【0030】
図1において、無線機1は、無線部10と、制御部11と、圧力センサ12とを有している。
【0031】
無線部10は、アンテナ101により無線信号を送受信し、無線障害物を介して対向する、アンテナ201を有する相手側無線機2との間で無線通信を行う。
【0032】
圧力センサ12は、相手側無線機2との無線通信時に、ユーザが直接的あるいは間接的に操作可能な位置に設けられ、ユーザにより加えられる圧力(圧力量)を検出する。
【0033】
制御部11は、圧力センサ12で検出された圧力の大きさに応じて、無線部10の相手側無線機2との無線通信能力を変化させる。変化対象の無線通信能力としては、送信電力や、受信感度などがある。
【0034】
無線機1が、固定通信機である場合、圧力センサ12は、アンテナ101の設けられた、小型端末との無線信号送受信部分の表面に設けられる。ユーザは、小型端末である相手側無線機2を手に持ち、無線信号送受信部分に接近させたとき、自分の手か相手側無線機2で、圧力センサ12に圧力を加えることができる。
【0035】
無線機1が、小型端末である場合、圧力センサ12は、入れ物に収納された場合でもユーザが操作可能な部分の表面に設けられる。ユーザは、無線機1を手に持ち、固定通信機である相手側無線機2に接近させたとき、相手側無線機2に押し付けるか、あるいは自分の手で直接押すことにより、入れ物の上から圧力センサ12に圧力を加えることができる。この場合の入れ物は、人の手による圧力で変形可能な程度の柔軟性を有するものとする。
【0036】
なお、相手側無線機2も無線機1と同様の構成とし、両無線機において、圧力検知により無線通信能力を変化させるようにすることができる。
【0037】
図8(分図A、B)に、圧力センサ12に加えられた圧力の大きさと、無線部10の無線通信能力(送信電力/受信感度)の大きさとの対応の様子を示す。
【0038】
分図Aは、無線通信能力が、最小値と最大値との間を連続的に変化するようにした場合の図である。圧力が第1の閾値Paに達するまでは、通信能力は初期値である最小値Laのままである。圧力が第1の閾値Paに達してから第2の閾値Pcに達するまでは、通信能力は最小値Laから最大値Lcまで連続的に変化する。圧力が第2の閾値Pcに達したあとは、最大値Lcのままとなる。
【0039】
分図Bは、無線通信能力が、最小値と最大値との間を段階的(3段階)に変化するようにした場合の図である。圧力が第1の閾値Paに達するまでは、通信能力は初期値である最小値Laのままである。圧力が第1の閾値Paに達してから第2の閾値Pcに達するまでは、通信能力は最小値La及び最大値Lcの中間値Lbとなる。圧力が第2の閾値Pcに達したあとは、最大値Lcのままとなる。なお、段階数は、任意に設定するようにすることができる。
【0040】
以上説明したように、ユーザが手に持った短距離無線機、あるいは、その通信相手の短距離無線機に対して圧力を加えるという、ユーザの習性に対応した簡単な操作を行うだけで、短距離無線機における無線通信能力増加のタイミング及び増加量を制御できる。このため、短距離無線機の少なくとも一方が何らかの入れ物に収納されているときなど、短距離無線機同士間に無線障害物が存在する場合でも、消費電力や無線信号の他への影響の増加を、必要な最低時間内に納めたままで、無線通信確保の可能性を高めることができる。
【実施例1】
【0041】
次に、本発明の短距離無線通信システムを自動改札システムに適用した実施例を説明する。
【0042】
本実施例(実施例1)のシステム構成を示す図1において、無線機1は、非接触ICカードのリーダ・ライタ機能を有する自動改札機(固定通信機)であり、相手側無線機2は、定期券機能を有する非接触ICカード(小型端末)である。相手側無線機2(小型端末)は、無線障害物3である定期入れに収納されているものとする。
【0043】
無線機1のアンテナ101は、自動改札機における定期券の接近・接触指定位置(小型端末との無線信号送受信部分)に設けられている。
【0044】
圧力センサ12は、その定期券の接近・接触指定位置の表面に設けられており、印加された圧力を検出し、圧力の大きさを示す圧力情報c1を制御部へ送信する。この圧力センサの構成や圧力検出方法は、周知技術であるため(例えば、特許文献1参照)、詳細説明は省略する。
【0045】
制御部11は、プログラム制御のプロセッサで構成され、無線部10の無線通信処理及びその送受信データを管理する。制御部11はまた、図8に示すような、圧力センサ12の検知圧力と、無線部10の無線通信能力との対応を、あらかじめ登録した圧力・通信能力対応テーブル(図示せず)を有している。ここでは、同図分図Bのように、無線通信能力が段階的に変化するようにしてあるものとする。
【0046】
制御部11は、圧力センサ12からの圧力情報c1により圧力・通信能力対応テーブルを参照して、無線部10の無線通信能力の制御情報c2を生成し、無線部10へ送信する。制御対象の無線通信能力としては、送信電力や、受信感度などがある。
【0047】
無線部10は、非接触ICカードのリーダ/ライタを備え、制御部11からの制御情報c2により指定された無線通信能力で、アンテナ101を介して、無線障害物3(定期入れ)に収容された相手側無線機2(非接触ICカード)と通信する。
【0048】
無線部10の構成例を図4〜図6に示す。
【0049】
図4は、無線通信能力のうち送信電力を制御対象とした無線部10の送信ブロックを示す図である。変調部43は、送信データに対して符号化処理、変調処理などを行い、無線周波数信号を生成する。送信増幅器42は、可変増幅器であり、変調部43からの無線信号を、電力増幅し、アンテナ41を介して送信する。通信能力制御部44は、制御情報c2に基づいて、送信増幅器42の送信電力レベル(増幅度)を決定し、送信電力制御信号c21として送信増幅器42へ送出し、その送信電力を制御する。
【0050】
図5は、無線通信能力のうち受信感度を制御対象とした無線部10の受信ブロックを示す図である。受信増幅器52は、可変増幅器であり、アンテナ51を介して受信した無線周波数信号を増幅する。復調部53は、受信増幅部からの信号に復調処理、復号化処理などを行い、受信データを出力する。通信能力制御部54は、制御情報c2に基づいて、受信増幅器52の受信感度レベル(増幅度)を決定し、受信感度制御信号c22として受信増幅器52へ送出し、その受信感度を制御する。
【0051】
図6は、無線通信能力のうち送信電力及び受信感度を制御対象とした無線部10の送信及び受信ブロックを示す図である。変調部67は、送信データに対して符号化処理、変調処理などを行い、無線周波数信号を生成する。送信増幅器66は、可変増幅器であり、変調部67からの無線周波数信号を、電力増幅し、共用器62及びアンテナ61を介して送信する。受信増幅器63は、可変増幅器であり、アンテナ61及び共用器62を介して受信した無線周波数信号を増幅する。復調部64は、受信増幅部からの信号に復調処理、復号化処理などを行い、受信データを出力する。通信能力制御部65は、制御情報c2に基づいて、送信増幅器66の送信電力レベル(増幅度)を決定し、送信電力制御信号c21として送信増幅器66へ送出し、その送信電力を制御する。通信能力制御部65はまた、制御情報c2に基づいて、受信増幅器63の受信感度レベル(増幅度)を決定し、受信感度制御信号c22として受信増幅器63へ送出し、その受信感度を制御する。
【0052】
ここでは、無線部10は、図6に示す構成を有し、送信電力及び受信感度の両方を可変制御できるものとする。
【0053】
次に、本実施例(実施例1)の動作を、図1,6,8とともに、図2のフロー図を参照して説明する。
【0054】
無線機1(自動改札機:固定通信機)は、相手側無線機2(定期券機能を有する非接触ICカード:小型端末)との通信のために、周期的に、初期設定の無線通信能力で無線信号(電波)の発信、及び受信監視を行っている。初期設定の無線通信能力とは、送信電力及び受信感度とも、最小レベルLaとした状態である。
【0055】
この状態で、ユーザが、無線障害物3を介在させながら、手に持った相手側無線機2(定期券)を無線機1(自動改札機)に接近させるとする。相手側無線機2は、自機のアンテナ201が無線機1のアンテナ101の所定距離範囲(例えば、10cm)以内に接近すると、無線機1から発信されている無線信号(電波)に反応して、無線機1との通信を試みる(図2のステップS1)。
【0056】
無線機1の無線部10は、制御部11の制御の下、相手側無線機2との通信処理を開始し、通信(必要なデータの送受信)が正常に行われたか判定する(ステップS2)。
【0057】
通信が正常に行われた場合(ステップS2のYES側)、無線部10は、成功を示す値を設定した通信結果情報c3を、制御部11へ送る。制御部11は、成功を示す通信結果情報c3を受けると、通信成功として通信処理を完了させるとともに、図示していない報知ランプや報知ブザーなどを通じて、ユーザに通信成功を報知する(ステップS7)。これにより、ユーザは、相手側無線機2(定期券)を、無線機1(自動改札機)から引き離してよいことが分かる。
【0058】
ステップS2の処理で通信が正常に行われなかった場合(NO側)、無線部10は、失敗を示す値を設定した通信結果情報c3を、制御部11へ送る。制御部11は、失敗を示す通信結果情報c3を受けると、通信を再度試みるかの判定、すなわち、失敗回数が、あらかじめ設定された一定回数に達しているかの判定を行う(ステップS3)。
【0059】
失敗回数が一定回数に達していれば(ステップS3のYES側)、通信失敗として通信処理を完了させるとともに、図示していない報知ランプや報知ブザーなどを通じて、ユーザに通信失敗を報知する(ステップS7)。通信失敗を認識したユーザは、以下に説明する方法により、圧力センサ12に、新たに圧力を加えたり、すでに圧力を加えている場合は、さらに大きな圧力を加えたりして、無線機1に、再度の通信処理(ステップS1の処理)を行わせることができる。
【0060】
ステップS3の処理で失敗回数が一定回数に達していなければ(NO側)、制御部11は、無線部10を制御して再度の通信を試みる。制御部11は、まず、圧力センサ12に圧力検知させるための信号を送り、圧力センサ12は、検知した圧力値を返送する(ステップS4)。
【0061】
このとき、ユーザはまだ、報知ランプや報知ブザーなどにより通信成功を報知されておらず、無意識的あるいは意識的に、相手側無線機2(無線障害物3ごと)を、無線機1(その圧力センサ12部分)に押し付ける傾向がある。圧力センサ12は、その押し付ける力(圧力値)を検知し、圧力情報c1として返送する。
【0062】
制御部11は、圧力情報c1による圧力値をキーとて、図示していない圧力・通信能力対応テーブルを参照する。上述したように、圧力の変化に対し無線通信能力が段階的に変化するようにしてある。すなわち、圧力が第1の閾値Pa(ユーザが軽く押し付ける程度)に達するまでは、通信能力は初期値である最小値Laのままである。圧力が増して、第1の閾値Paに達すると、通信能力は最小レベルLaより大きい中間レベルLb(例えば、Laの1.5倍)となる。圧力が更に増して第2の閾値Pc(ユーザが強く押し付ける程度)に達したあとは、最大レベルLc(例えば、Laの2倍)となる。
【0063】
制御部11は、圧力値に応じた無線通信能力の制御情報c2(例えば、中間レベルLb指定)を生成し、無線部10へ送信する。
【0064】
無線部10の通信能力制御部65は、中間レベルLbを指定した制御情報c2を受けると、送信電力制御信号c21の値及び受信感度制御信号c22の値をそれぞれ、中間レベルLb(初期状態であるLaの1.5倍)に対応する値に変更する。
【0065】
これにより、送信増幅器66が出力する無線周波数信号の電力は、初期状態の1.5倍となる。同様に、受信増幅器63の受信感度は、初期状態の1.5倍となる(ステップS5)。
【0066】
このように無線機1の送信電力及び受信感度が大きくなるため、相手側無線機2は応答がより安定し、無線機1はその応答の認識をし易くなる。この状態で、無線部10は、制御部11の制御の下、相手側無線機2との通信を再度試み(ステップS6)、通信(必要なデータの送受信)が正常に行われたか判定する(ステップS2)。
【0067】
ステップS2の処理以降は、上述したステップS3〜S6の処理を繰り返す。
【0068】
繰り返しの途中で、ユーザが相手側無線機2を無線機1(圧力センサ12)にもっと強く(第2の閾値Pc以上)押し付けた場合、制御部11は、最大レベルLcを指定した制御情報c2を生成する。通信能力制御部65は、最大レベルLcを指定した制御情報c2を受けると、送信電力制御信号c21の値及び受信感度制御信号c22の値をそれぞれ、最大レベルLcに対応する値に変更する。これにより、送信増幅器66の送信電力は、初期状態の2倍となる。同様に、受信増幅器63の受信感度は、初期状態の2倍となる(ステップS5)。したがって、相手側無線機2が、無線障害物3に収納されている場合でも、通信が成功する可能性が高くなる。
【0069】
このようにしても、なお通信に失敗する場合、ユーザは、相手側無線機2を無線障害物3より取り出し、無線機1と通信させるようにすることができる。
【0070】
なお、本実施例では、送信電力及び受信感度のレベル変化を3段階としたが、これに限定されず、更に段階数を増やすことができる。また、各段階におけるレベルの変化割合を、送信電力と受信感度とで同一としたが、異なるようにすることができる。例えば、レベルを1段上げたとき、送信電力は2倍とするが、受信感度は1.4倍とする。
【0071】
以上説明したように、本実施例(実施例1)によれば、相手側無線機2を無線障害物3に収納した場合でも、無線機1に押し付けることにより、無線機1の無線通信能力を上げさせ、通信確保の可能性を高めることができる。すなわち、定期券機能を有する非接触ICカードを定期入れに入れたまま、自動改札機に読み取らせる場合など、読み取りがうまくいかない場合に、つい、定期入れを自動改札機に押し付けてしまうというユーザの習性を上手に活用している。
【実施例2】
【0072】
上述した実施例1においては、無線機1が検知圧力に応じて無線通信能力を変化させるのは、相手側無線機2との最初の通信がうまくいかない場合であった。本実施例(実施例2)においては、相手側無線機2と通信する前から、無線機1が検知圧力に応じて無線通信能力を変化させるようにしてある。実施例2は、無線機1及び相手側無線機2間の無線障害の程度が実施例1のものより大きい場合でも適用可能である。
【0073】
実施例2のシステム構成は、実施例1のそれと同じである。すなわち、図1において、無線機1は、非接触ICカードのリーダ・ライタ機能を有する自動改札機(固定通信機)であり、相手側無線機2は、定期券機能を有する非接触ICカード(小型端末)である。相手側無線機2(小型端末)は、無線障害物3である定期入れに収納されているものとする。
【0074】
実施例2が実施例1と異なる点は、無線機1の動作である。実施例2の動作を図3のフロー図を参照して説明する。その他の説明のための図は、実施例1と同じものを参照する。
【0075】
無線機1(自動改札機:固定通信機)は、相手側無線機2(定期券機能を有する非接触ICカード:小型端末)との通信のために、周期的に、圧力センサ12の検知圧力に対応した無線通信能力で無線信号(電波)の発信、及び受信監視を行っている。相手側無線機2がまだ接触していない、通常の場合は、送信電力及び受信感度とも、最小レベルLaとなっている。
【0076】
この状態で、ユーザが、無線障害物3を介在させながら、手に持った相手側無線機2(定期券)を無線機1(自動改札機)に接近させるとする。しかし、無線障害物3の無線障害の程度が大きいため、相手側無線機2は、無線機1から発信されている無線信号(電波)に反応して、無線機1との通信を試みることができない。ユーザは、最終的に相手側無線機2(無線障害物3ごと)を、無線機1(その圧力センサ12部分)に押し付ける。
【0077】
無線機10の圧力センサ12は、その押し付ける力(圧力値)を検知し、圧力情報c1として制御部11は通知する(図3のステップS11)。
【0078】
制御部11は、圧力値に応じた無線通信能力の制御情報c2(例えば、中間レベルLb指定)を生成し、無線部10へ送信する。
【0079】
無線部10の通信能力制御部65は、中間レベルLbを指定した制御情報c2を受けると、送信電力制御信号c21の値及び受信感度制御信号c22の値をそれぞれ、中間レベルLb(例えば、Laの1.5倍)に対応する値に変更する。
【0080】
これにより、送信増幅器66が出力する無線周波数信号の電力は、初期状態の1.5倍となる。同様に、受信増幅器63の受信感度は、初期状態の1.5倍となる(ステップS12)。
【0081】
このように無線機1の送信電力及び受信感度が大きくなるため、相手側無線機2は応答の可能性が高くなり、無線機1はその反応を検出し易くなる。この状態で、無線部10は、相手側無線機2からの何らかの応答を検出すると、制御部11の制御の下、相手側無線機2との間で通信を試み(ステップS13)、通信(必要なデータの送受信)が正常に行われたか判定する(ステップS14)。
【0082】
ステップS14の処理で通信が正常に行われなかった場合(NO側)、失敗回数が、あらかじめ設定された一定回数に達しているかの判定する(ステップS15)。失敗回数が、一定回数に達していなければ(ステップS15のNO側)、ステップS11以降の処理を繰り返す。
【0083】
繰り返しの途中で、ユーザが相手側無線機2を無線機1(圧力センサ12)にもっと強く押し付けた場合、制御部11は、最大レベルLcを指定した制御情報c2を生成する。通信能力制御部65は、送信電力制御信号c21の値及び受信感度制御信号c22の値をそれぞれ、最大レベルLcに対応する値に変更する。これにより、送信増幅器66の送信電力は、初期状態の2倍となる。同様に、受信増幅器63の受信感度は、初期状態の2倍となる(ステップS12)。したがって、通信が成功する可能性が、より高くなる。
【0084】
ステップS14の処理で通信が正常に行われた場合(YES側)、無線機1は、通信成功として通信処理を完了させるとともに、図示していない報知ランプや報知ブザーなどを通じて、ユーザに通信成功を報知する(ステップS16)。
【0085】
ステップS15の処理で失敗回数が一定回数に達していれば(YES側)、通信失敗として通信処理を完了させるとともに、図示していない報知ランプや報知ブザーなどを通じて、ユーザに通信失敗を報知する(ステップS7)。
【0086】
以上説明したように、本実施例(実施例2)によれば、実施例1の効果に加えて、以下のような効果を期待できる。すなわち、無線機1において、無線障害物3に収納された相手側無線機2が接触できる位置まで接近しても、相手側無線機2の応答を検出できず、通信処理を開始できない程、無線障害の程度が高い場合でも対応することができる。
【実施例3】
【0087】
実施例1及び2においては、無線機1が、非接触ICカードのリーダ・ライタ機能を有する自動改札機(固定通信機)であり、相手側無線機2が、定期券機能を有する非接触ICカード(小型端末)であった。本実施例(実施例3)においては、無線機1が、定期券機能を有する非接触ICカード(小型端末)であり、相手側無線機2が、非接触ICカードのリーダ・ライタ機能を有する自動改札機(固定通信機)である点が異なっている。また、無線機1が無線障害物3(定期入れ)に収納されている。その他の基本的構成や動作は、実施例1,2の場合と同様である。ただし、実施例1,2の説明を参照する場合、無線機1と相手側無線機2とを、互いに読替えなければならない場合がある。図面は、実施例1,2と同一の図面を参照することができる。
【0088】
実施例3では、無線通信能力を変化させるのは、ユーザが携帯する無線機1(定期券機能を有する非接触ICカード:小型端末)である。このため、無線機1における圧力センサ12の設置位置や、圧力のかけ方が、実施例1,2の場合と異なる。すなわち、圧力センサ12は、無線機1が定期入れに収納された場合でもユーザが操作可能な部分の表面に設けられる。なお、この場合の定期入れは、人の手による圧力で内部の圧力センサ12に圧力をかけられる程度の柔軟性を有するものとする。
【0089】
ユーザは、定期入れに収納された無線機1を手に持ち、固定通信機である相手側無線機2に接近させたとき、相手側無線機2に押し付けるか、あるいは自分の手で直接押すことにより、定期入れの上から圧力センサ12に圧力を加えることができる。
【0090】
また、無線機1(非接触ICカード)は、電源として電池を搭載していてもよいが、通常、電池を搭載していない。無線機1は、受信した電波を検波、安定化して得た電力を電源としている。図7に、このような無線機1の構成例を示す。
【0091】
図7において、無線機1は、図6と同様の、アンテナ61、共用器62、受信増幅器63、復調部64、通信能力制御部65、送信増幅器66、変調部67とを有しており、更に、発電部68を有している。発電部68は、アンテナ61及び共用器62を介して受信した無線周波数信号を検波、安定化して電力を発生し、無線機1内各部に電源として供給する。
【0092】
一方、相手側無線機2は、図示していないが、一定の送信電力と受信感度で無線信号の送受信を行う無線部と、無線部の無線通信処理及びその送受信データを管理する制御部とを有する。なお、実施例1,2における無線機1と同様に、圧力検知により無線通信能力を可変するようにしてもよいが、本実施例においては、無線通信能力は可変でないものとする。また、ユーザに通信の成功、失敗を報知する報知ランプや報知ブザー(ともに図示せず)は、無線機1ではなく、相手側無線機2にあるものとする。
【0093】
次に、本実施例(実施例3)の動作を説明する。本説明においては、実施例1,2の説明中、無線機1と相手側無線機2とで読替えを行うだけでよい部分の説明は省略する。
【0094】
相手側無線機2(自動改札機:固定通信機)は、無線機1(定期券機能を有する非接触ICカード:小型端末)との通信のために、周期的に、無線信号(電波)の発信、及び受信監視を行っている。
【0095】
この状態で、ユーザが、無線障害物3(定期入れ)に収納された無線機1(定期券)を、手に持ちながら、相手側無線機2(自動改札機)に接近させるとする。無線機1は、自機のアンテナ101が相手側無線機2のアンテナ201に接近し、その無線信号(電波)検出すると、相手側無線機2との通信を試みる。
【0096】
無線機1(定期入れごと)を相手側無線機2に接触するほど接近させても、通信が成功しない場合、ユーザは、定期入れの上から無線機1の圧力センサ12に圧力をかける。
【0097】
無線機1は、圧力センサ12で検知した圧力値に応じて、無線部10の無線通信能力(送信電力や受信感度)をアップし、通信の成功の可能性を高める。
【0098】
以上説明したように、本実施例(実施例3)によれば、無線機1を無線障害物3に収納した場合でも、相手側無線機2に押し付ける(あるいは、自分の手で直接押す)ことにより、無線機1の無線通信能力を上げさせ、通信確保の可能性を高めることができる。すなわち、定期券機能を有する非接触ICカードを定期入れに入れたまま、自動改札機に読み取らせる場合など、読み取りがうまくいかない場合に、つい、定期入れを自動改札機に押し付けてしまうというユーザの習性を上手に活用している。
【実施例4】
【0099】
実施例3では、小型端末である無線機1を非接触ICカードとしたが、実施例4では、無線機1を非接触ICカード(定期券機能付き)を実装した携帯電話端末としている。システム構成や、内部の基本的な構成、動作は、実施例3と同様である。したがって、無線機1(携帯電話端末)の構成、動作のみを説明する。
【0100】
本実施例(実施例4)の無線機1は、図1に示すアンテナ101、無線部10,制御部11,圧力センサ12の他に、図示していないが、通常の携帯電話端末として必要な機能ブロックを有している。すなわち、音声情報の入出力手段、文字・数字や画像情報の入出力手段、無線通信ネットワークとの無線通信手段、情報記憶手段、電源手段、及びこれらの制御手段などを有している。これら通常の携帯電話端末部分は、周知の技術で実現でき、また、本発明と直接関係ないので、詳細説明は省略する。
【0101】
なお、非接触ICカード部分である、無線部10、制御部11、圧力センサ12に対する電源は、通常の携帯電話端末部分の電源を共用することができる。
【0102】
圧力センサ12は、携帯電話端末である無線機1が、何らかの入れ物(無線障害物3)に収納された場合でもユーザが操作可能な部分の表面に設けられる。なお、この場合の入れ物は、人の手による圧力で内部の圧力センサ12に圧力をかけられる程度の柔軟性を有するものとする
ユーザは、何らかの入れ物に収納された無線機1を手に持ち、固定通信機である相手側無線機2に接近させたとき、相手側無線機2に押し付けるか、あるいは自分の手で直接押すことにより、入れ物の上から圧力センサ12に圧力を加えることができる。
【0103】
次に、本実施例(実施例4)の動作を説明する。本説明においても、実施例1,2の説明中、無線機1と相手側無線機2とで読替えを行うだけでよい部分の説明は省略する。
【0104】
相手側無線機2(自動改札機:固定通信機)は、無線機1(定期券機能を有する非接触ICカードを実装した携帯電話端末)との通信のために、周期的に、無線信号(電波)の発信、及び受信監視を行っている。
【0105】
この状態で、ユーザが、無線障害物3である入れ物に収納された無線機1(定期券機能付き)を、手に持ちながら、相手側無線機2(自動改札機)に接近させるとする。無線機1は、自機のアンテナ101が相手側無線機2のアンテナ201に接近し、その無線信号(電波)検出すると、相手側無線機2との通信を試みる。
【0106】
無線機1(入れ物ごと)を相手側無線機2に接触するほど接近させても、通信が成功しない場合、ユーザは、入れ物の上から無線機1の圧力センサ12に圧力をかける。
【0107】
無線機1は、圧力センサ12で検知した圧力値に応じて、無線部10の無線通信能力(送信電力や受信感度)をアップし、通信の成功の可能性を高める。
【0108】
以上説明したように、本実施例(実施例4)によれば、実施例3の効果と同様の効果を期待できる。すなわち、携帯電話端末である無線機1を無線障害物3に収納した場合でも、相手側無線機2に押し付ける(あるいは、自分の手で直接押す)ことにより、無線機1の無線通信能力を上げさせ、通信確保の可能性を高めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0109】
自動改札システム、自動販売システム、自動支払システムなど、一方の無線機をユーザが携帯する短距離無線通信システムに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本発明の一実施の形態を示すシステム構成図である。
【図2】図1に示すシステムの第1の動作例を示すフロー図である。
【図3】図1に示すシステムの第2の動作例を示すフロー図である。
【図4】本発明の無線機の無線部の第1の構成例を示すブロック構成図である。
【図5】本発明の無線機の無線部の第2の構成例を示すブロック構成図である。
【図6】本発明の無線機の無線部の第3の構成例を示すブロック構成図である。
【図7】本発明の無線機の無線部の第4の構成例を示すブロック構成図である。
【図8】分図A,Bはそれぞれ、本発明の無線機に加えられる圧力と、無線通信能力との対応関係を示す図である。
【図9】従来の自動改札システムの固定通信機及び小型端末のような、短距離無線機同士の通信時の動作フローを示す図である。
【符号の説明】
【0111】
1 無線機
2 相手側無線機
3 無線障害物
10 無線部
11 制御部
12 圧力センサ
42,66 送信増幅器
52,63 受信増幅器
44,54,65 通信能力制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
近接した通信相手と無線通信を行う短距離無線機において、
外部から印加される圧力の大きさを検知する圧力検知手段と、
前記圧力検知手段で検知した圧力の大きさに応じて、前記通信相手と無線通信を行うための通信能力を変化させる無線通信手段とを有することを特徴とする短距離無線機。
【請求項2】
前記通信能力は、送信電力及び受信感度のいずれか一方、あるいは両方であることを特徴とする請求項1記載の短距離無線機。
【請求項3】
固定通信機として、特定位置に設置されたことを特徴とする請求項1記載の短距離無線機。
【請求項4】
小型端末として、ユーザに携帯可能とされたことを特徴とする請求項1記載の短距離無線機。
【請求項5】
請求項3及び4のいずれか1項記載の第1の短距離無線機と、
前記第1の短距離無線機と無線通信を行う第2の短距離無線機と、
前記第1の短距離無線機及び前記第2の短距離無線機間の無線通信信号に減衰を与える無線障害物とを有し、
前記無線障害物を介した状態で、前記第1の短距離無線機の圧力検知手段に外部から圧力印加可能としたことを特徴とする短距離無線通信システム。
【請求項6】
近接した通信相手と無線通信を行う短距離無線機における通信能力制御方法において、
外部から印加される圧力の大きさを検出し、
検知した圧力の大きさに応じて、前記通信相手と無線通信を行うための通信能力を変化させることを特徴とする通信能力制御方法。
【請求項7】
前記通信能力は、送信電力及び受信感度のいずれか一方、あるいは両方であることを特徴とする請求項6記載の通信能力制御方法。
【請求項8】
前記短距離無線機は、固定通信機として、特定位置に設置された短距離無線機であることを特徴とする請求項6記載の通信能力制御方法。
【請求項9】
前記短距離無線機は、小型端末として、ユーザに携帯可能とされた短距離無線機であることを特徴とする請求項6記載の通信能力制御方法。
【請求項10】
互いに無線通信を行う2つの短距離無線機と、前記2つの短距離無線機間の無線通信信号に減衰を与える無線障害物とを有し、前記無線障害物を介した状態で、前記2つの短距離無線機を互いに押し付け合い可能とした短距離無線通信システムにおける通信能力制御方法において、
前記2つの短距離無線機のうち少なくとも一方の短距離無線機で、押し付け圧力の大きさを検知し、検知した圧力の大きさに応じて、他方の短距離無線機と無線通信を行うための通信能力を変化させることを特徴とする通信能力制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−113110(P2008−113110A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−293573(P2006−293573)
【出願日】平成18年10月30日(2006.10.30)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】