説明

硬化されたパターンの製造方法

【課題】より低温で耐薬品性に優れた硬化されたパターンを製造することができる。また、この硬化されたパターンの製造方法を利用することにより、より耐熱性の低い基板等を用いても、高品質の表示装置等を得ることが可能となる。
【解決手段】樹脂、光重合性化合物、光重合開始剤及び溶剤を含む感光性樹脂組成物から得られたパターンを、50℃〜180℃の条件下で、10mJ/cm〜10000mJ/cm露光する硬化されたパターンの製造方法において、樹脂が、炭素数2〜4の環状エーテルを有する単量体に由来する構造単位を含む樹脂である硬化されたパターンの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は硬化されたパターンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、より軽く薄い液晶ディスプレイを実現するため、プラスチック液晶ディスプレイの開発が期待されている。しかしながら、一般的なプラスチック基板の耐熱温度は100〜200℃程度しかない(非特許文献1)。
通常、液晶ディスプレイの基板面には、コート層等の透明膜、フォトスペーサ、カラーフィルタの画素等を形成するために、感光性樹脂組成物から得られる硬化されたパターンが用いられる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】シャープ技報 第85号 p.30〜33 2003年4月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高温での硬化処理が難しい場合、低温で処理するために、耐薬品性が十分満足いくものではなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の発明である。
[1]樹脂、光重合性化合物、光重合開始剤及び溶剤を含む感光性樹脂組成物から得られたパターンを、50℃〜180℃の条件下で、10mJ/cm〜10000mJ/cm露光する硬化されたパターンの製造方法において、樹脂が、炭素数2〜4の環状エーテルを有する単量体に由来する構造単位を含む樹脂である硬化されたパターンの製造方法。
[2]前記感光性樹脂組成物から得られたパターンが、リソグラフィ法により得られたパターンである[1]記載の硬化されたパターンの製造方法。
[3]炭素数2〜4の環状エーテルを有する単量体が、オキシラニル基を有する単量体である[1]又は[2]記載の硬化されたパターンの製造方法。
[4]感光性樹脂組成物が、さらに着色剤を含む組成物である[1]〜[3]のいずれか記載の硬化されたパターンの製造方法。
[5][1]〜[4]のいずれか記載の硬化されたパターンの製造方法により製造された硬化されたパターンを含む表示装置。
【発明の効果】
【0006】
本発明の硬化されたパターンの製造方法によれば、低温での処理においても、耐薬品性に優れた硬化されたパターンを製造することができる。また、この硬化されたパターンの製造方法を利用することにより、より耐熱性の低い基板等を用いても、高品質の表示装置等を得ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の硬化されたパターンの製造方法は、感光性樹脂組成物からパターンを得た後、50℃〜180℃で露光する工程(以下「硬化工程」という場合がある。)を含む。50℃〜180℃で露光することにより、感光性樹脂組成物からパターンを得たパターンの硬化が進み、硬化されたパターンとなる。このことにより、パターンの耐薬品性、耐熱性等が良好となる。
【0008】
硬化工程における加熱は、オーブン、ホットプレート等の装置を用いて行われ、加熱温度は、50℃〜180℃であり、好ましくは60℃〜180℃、より好ましくは80℃〜150℃である。
加熱時間は、30秒間〜180分間が好ましく、より好ましくは1分間〜120分間、特に好ましくは5分間〜60分間である。
【0009】
硬化工程における露光は、紫外線を発生する光源によって行われることが好ましい。紫外線を発生する光源としては、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、発光ダイオード、メタルハライドランプ、キセノンランプ、クリプトンアークランプ、エキシマランプ等が挙げられる。中でも、超高圧水銀ランプ、発光ダイオード、メタルハライドランプ等が好ましい。また、光源の発する光の最大強度となる波長が、250〜500nmであることが好ましく、300〜450nmであることがより好ましい。上記の光源であれば、硬化されたパターンの形成された基板及び基板上の構造体への損傷が抑えられ、感光性樹脂組成物から得たパターンの硬化を促進する傾向がある。
【0010】
露光量は、10mJ/cm〜10000mJ/cmであり、好ましくは30mJ/cm〜3000mJ/cmであり、より好ましくは50mJ/cm〜1500mJ/cmである。
露光に用いられる光源の照度は、5mW/cm〜150mW/cmが好ましく、より好ましくは10mW/cm〜50mW/cmである。中でも、i線(365nm)基準で上記の照度である光源が好ましい。
露光時間は、0.5秒間〜300秒間が好ましく、より好ましくは1秒間〜150秒間である。
露光量は、光源の照度(mW/cm)と露光時間(秒)との積で表されることから、照度の高い光源を用いれば、より短時間でパターンの硬化を促進することができる。
【0011】
硬化工程前のパターンを得る方法としては、フォトリソグラフィ法、インクジェット法、印刷法等が挙げられる。中でも、フォトリソグラフィ法が好ましい。
フォトリソグラフィ法は、前記感光性樹脂組成物を基板に塗布し、乾燥し、フォトマスクを介して露光し、現像することによってパターンを得る方法である。
【0012】
前記基板としては、例えば、ガラス、金属、プラスチック等が挙げられ、板状であっても、フィルム状であってもよい。
プラスチックとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ノルボルネン系ポリマー等のポリオレフィン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、セルロースエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキシド等が挙げられる。ここで、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸及びメタクリル酸からなる群から選ばれる少なくとも1種のことをいう。
これらの基板には、カラーフィルタ、各種絶縁又は導電膜、駆動回路等の構造体が形成されていてもよい。
本発明の硬化されたパターンの製造方法によれば、より低温で硬化されたパターンを形成できることから、プラスチック基板にパターンを形成する際に特に有用である。
【0013】
基板への塗布方法としては、例えば、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、CAPコーティング法、ダイコーティング法等が挙げられる。また、ディップコーター、ロールコーター、バーコーター、スピンコーター、スリット&スピンコーター、スリットコーター(ダイコーター、カーテンフローコーター、スピンレスコーターとも呼ばれることがある)、インクジェット等の塗布装置を用いて塗布してもよい。なかでも、スリットコーター、スピンコーター、ロールコーター等を用いて塗布することが好ましい。
【0014】
基板に塗布した膜の乾燥方法としては、例えば、加熱乾燥、自然乾燥、通風乾燥、減圧乾燥等の方法が挙げられる。複数の方法を組み合わせて行ってもよい。
乾燥温度としては、10〜120℃が好ましく、25〜100℃がより好ましい。また加熱時間としては、10秒間〜60分間であることが好ましく、30秒間〜30分間であることがより好ましい。
減圧乾燥は、50〜150Paの圧力下、20〜25℃の温度範囲で行うことが好ましい。
乾燥後の塗膜の膜厚は、特に限定されず、用いる材料、用途等によって適宜調整することができ、例えば、0.1〜20μmであり、好ましくは1〜6μmである。
【0015】
乾燥後の塗膜は、目的のパターンを形成するためのフォトマスクを介して、露光する。この際のフォトマスク上のパターン形状は特に限定されず、目的とする用途に応じたパターン形状が用いられる。
露光に用いられる光源としては、250〜450nmの波長の光を発生する光源が好ましい。例えば、350nm未満の光を、この波長域をカットするフィルタを用いてカットしたり、436nm付近、408nm付近、365nm付近の光を、これらの波長域を取り出すバンドパスフィルタを用いて選択的に取り出したりしてもよい。具体的には、水銀灯、発光ダイオード、メタルハライドランプ、ハロゲンランプ等が挙げられる。
露光面全体に均一に平行光線を照射したり、マスクと基材との正確な位置合わせを行うことができるため、マスクアライナ、ステッパ等の装置を使用することが好ましい。
【0016】
露光後、現像液に接触させて所定部分、例えば、未露光部を溶解させ、現像することにより、パターンを得ることができる。現像液としては、有機溶剤でもよいが、塗膜の露光部が現像液によって溶解や膨潤が起こりにくく、良好な形状のパターンが得られるため、アルカリ性化合物の水溶液が好ましい。
現像方法は、パドル法、ディッピング法、スプレー法等のいずれでもよい。さらに現像時に基板を任意の角度に傾けてもよい。
現像後は、水洗することが好ましい。
【0017】
前記アルカリ性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、燐酸水素二ナトリウム、燐酸二水素ナトリウム、燐酸水素二アンモニウム、燐酸二水素アンモニウム、燐酸二水素カリウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、アンモニア等の無機アルカリ性化合物;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、エタノールアミン等の有機アルカリ性化合物が挙げられる。中でも、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム及びテトラメチルアンモニウムヒドロキシドが好ましい。
これらの無機及び有機アルカリ性化合物の水溶液中の濃度は、好ましくは0.01〜10質量%であり、より好ましくは0.03〜5質量%である。
【0018】
前記アルカリ性化合物の水溶液は、界面活性剤を含んでいてもよい。
界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアリールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、その他のポリオキシエチレン誘導体、オキシエチレン/オキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン等のノニオン系界面活性剤;
ラウリルアルコール硫酸エステルナトリウム、オレイルアルコール硫酸エステルナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルナフタレンスルホン酸ナトリウム等のアニオン系界面活性剤;
ステアリルアミン塩酸塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等のカチオン系界面活性剤等が挙げられる。
アルカリ性化合物の水溶液中の界面活性剤の濃度は、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.05〜8質量%、特に好ましくは0.1〜5質量%である。
【0019】
本発明の硬化されたパターンの製造方法に用いられる感光性樹脂組成物は、樹脂(A)、光重合性化合物(B)、光重合開始剤(C)及び溶剤(D)を含んで構成される。なお、本明細書においては、各成分として例示する化合物は、特に断りのない限り、単独で又は複数種を組合せて使用することができる。
【0020】
本発明の硬化されたパターンの製造方法に用いられる感光性樹脂組成物は、樹脂(A)を含む。樹脂(A)は、炭素数2〜4の環状エーテルを有する単量体に由来する構造単位を含む樹脂である。中でも、オキシラニル基を有する単量体に由来する構造単位を含む樹脂であることが好ましい。樹脂(A)が炭素数2〜4の環状エーテルを有する単量体に由来する構造単位を含むことにより、得られる硬化されたパターンの耐熱性、耐薬品性等の信頼性がより良好になる傾向がある。
樹脂(A)としては、アルカリ溶解性を有する樹脂が好ましく、炭素数2〜4の環状エーテルを有する単量体と、不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種とを重合してなる共重合体がより好ましく、オキシラニル基を有する単量体と、不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種とを重合してなる共重合体が特に好ましい。樹脂(A)が前記の樹脂であると、現像性と、得られる硬化されたパターンの耐熱性、耐薬品性等の信頼性とを兼ね備えることができる。
【0021】
樹脂(A)としては、炭素数2〜4の環状エーテルを有する単量体(a)(以下「(a)」という場合がある)と、不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種(b)(以下「(b)」という場合がある)との共重合体、(a)と(b)と、(a)と共重合可能な単量体(c)(ただし、(a)及び(b)とは異なる。)(以下「(c)」という場合がある)との共重合体等が挙げられる。
【0022】
(a)は、例えば、炭素数2〜4の環状エーテル(例えば、オキシラン環、オキセタン環及びテトラヒドロフラン環(オキソラン環)からなる群から選ばれる少なくとも1種)と環状エーテル以外の重合性基とを有する重合性化合物をいう。(a)は、炭素数2〜4の環状エーテルとエチレン性炭素−炭素二重結合とを有する単量体であることが好ましく、炭素数2〜4の環状エーテルと(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する単量体がより好ましい。
【0023】
(a)としては、例えば、オキシラニル基を有する単量体(a1)(以下「(a1)」という場合がある)、オキセタニル基を有する単量体(a2)(以下「(a2)」という場合がある)、テトラヒドロフリル基を有する単量体(a3)(以下「(a3)」という場合がある)等が挙げられる。中でも、オキシラニル基を有する単量体(a1)が好ましく、環式オレフィンをエポキシ化した構造を有する単量体(a1−2)(以下「(a1−2)」という場合がある)がより好ましい。
【0024】
オキシラニル基を有する単量体(a1)とは、オキシラニル基とオキシラニル基以外の重合性基とを有する重合性化合物を指す。(a1)は、例えば、鎖式オレフィンをエポキシ化した構造を有する単量体(a1−1)(以下「(a1−1)」という場合がある)、環式オレフィンをエポキシ化した構造を有する単量体(a1−2)が挙げられる。
(a1)としては、オキシラニル基とエチレン性炭素−炭素二重結合とを有する単量体であることが好ましく、オキシラニル基と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する単量体がより好ましい。
【0025】
(a1−1)としては、グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、β−エチルグリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテル、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、2,3−ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,4−ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,5−ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,6−ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,3,4−トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,3,5−トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,3,6−トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、3,4,5−トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,4,6−トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン等が挙げられる。
【0026】
(a1−2)としては、ビニルシクロヘキセンモノオキサイド、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン(例えば、セロキサイド2000;ダイセル化学工業(株)製)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート(例えば、サイクロマーA400;ダイセル化学工業(株)製)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタアクリレート(例えば、サイクロマーM100;ダイセル化学工業(株)製)、式(I)で表される化合物及び式(II)で表される化合物等が挙げられる。
【0027】

【0028】
[式(I)及び式(II)において、R及びRは、互いに独立に、水素原子、又はヒドロキシ基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表す。
及びXは、互いに独立に、単結合、*−R−、*−R−O−、*−R−S−、*−R−NH−を表す。
は、炭素数1〜6のアルカンジイル基を表す。
*は、Oとの結合手を表す。]
【0029】
炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。
ヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル基、2−ヒドロキシ−1−メチルエチル基、1−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基等が挙げられる。
及びRとしては、好ましくは水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基が挙げられ、より好ましくは水素原子、メチル基が挙げられる。
【0030】
アルカンジイル基としては、メチレン基、エチレン基、1,2−プロパンジイル基、1,3−プロパンジイル基、1,4−ブタンジイル基、1,5−ペンタンジイル基、1,6−ヘキサンジイル基等が挙げられる。
及びXとしては、好ましくは単結合、メチレン基、エチレン基、*−CH−O−(*はOとの結合手を表す)及び*−CHCH−O−が挙げられ、より好ましくは単結合及び*−CHCH−O−が挙げられる。
【0031】
式(I)で表される化合物としては、式(I−1)〜式(I−15)で表される化合物等が挙げられる。好ましくは式(I−1)、式(I−3)、式(I−5)、式(I−7)、式(I−9)、式(I−11)〜式(I−15)が挙げられる。より好ましくは式(I−1)、式(I−7)、式(I−9)、式(I−15)が挙げられる。
【0032】

【0033】
式(II)で表される化合物としては、式(II−1)〜式(II−15)で表される化合物等が挙げられる。好ましくは式(II−1)、式(II−3)、式(II−5)、式(II−7)、式(II−9)、式(II−11)〜式(II−15)が挙げられる。より好ましくは式(II−1)、式(II−7)、式(II−9)、式(II−15)が挙げられる。
【0034】

【0035】
式(I)で表される化合物及び式(II)で表される化合物は、それぞれ単独で用いることができる。また、それらは、任意の比率で混合することができる。混合する場合、その混合比率はモル比で、好ましくは式(I):式(II)で、5:95〜95:5、より好ましくは10:90〜90:10、とりわけ好ましくは20:80〜80:20である。
【0036】
オキセタニル基を有する単量体(a2)とは、オキセタニル基とオキセタニル基以外の重合性基とを有する重合性化合物を指す。(a2)としては、オキセタニル基とエチレン性炭素−炭素二重結合とを有する単量体であることが好ましく、オキセタニル基と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する単量体がより好ましい。(a2)としては、3−メチル−3−メタクリルロイルオキシメチルオキセタン、3−メチル−3−アクリロイルオキシメチルオキセタン、3−エチル−3−メタクリロイルオキシメチルオキセタン、3−エチル−3−アクリロイルオキシメチルオキセタン、3−メチル−3−メタクリロイルオキシエチルオキセタン、3−メチル−3−アクリロイルオキシエチルオキセタン、3−エチル−3−メタクリロイルオキシエチルオキセタン、3−エチル−3−アクリロイルオキシエチルオキセタン等が挙げられる。
【0037】
テトラヒドロフリル基を有する単量体(a3)とは、テトラヒドロフリル基とテトラヒドロフリル基以外の重合性基とを有する重合性化合物を指す。(a3)としては、テトラヒドロフリル基とエチレン性炭素−炭素二重結合とを有する単量体であることが好ましく、テトラヒドロフリル基と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する単量体がより好ましい。
(a3)としては、具体的には、テトラヒドロフルフリルアクリレート(例えば、ビスコートV#150、大阪有機化学工業(株)製)、テトラヒドロフルフリルメタクリレート等が挙げられる。
【0038】
(b)としては、具体的には、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、o−、m−、p−ビニル安息香酸等の不飽和モノカルボン酸類;
マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、3‐ビニルフタル酸、4−ビニルフタル酸、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸、ジメチルテトラヒドロフタル酸、1、4−シクロヘキセンジカルボン酸等の不飽和ジカルボン酸類;
メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、5−カルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−6−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−6−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等のカルボキシ基を含有するビシクロ不飽和化合物類;
無水マレイン酸、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、3−ビニルフタル酸無水物、4−ビニルフタル酸無水物、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸無水物、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、ジメチルテトラヒドロフタル酸無水物、5,6−ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン無水物(ハイミック酸無水物)等の不飽和ジカルボン酸類無水物;
【0039】
こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕、フタル酸モノ〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕等の2価以上の多価カルボン酸の不飽和モノ〔(メタ)アクリロイルオキシアルキル〕エステル類;
α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸のような、同一分子中にヒドロキシ基及びカルボキシ基を含有する不飽和アクリレート類等が挙げられる。
これらのうち、共重合反応性の点やアルカリ水溶液への溶解性の点から、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸等が好ましい。
【0040】
(c)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル(メタ)アクリレート(当該技術分野では、慣用名として、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレートといわれている。)、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、プロパルギル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル類;
マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジエチル等のジカルボン酸ジエステル;
【0041】
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(2’−ヒドロキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジ(ヒドロキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジ(2’−ヒドロキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジメトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジエトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシ−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシ−5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシメチル−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−tert−ブトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シクロヘキシルオキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−フェノキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ビス(tert−ブトキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ビス(シクロヘキシルオキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等のビシクロ不飽和化合物類;
【0042】
N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−スクシンイミジル−3−マレイミドベンゾエート、N−スクシンイミジル−4−マレイミドブチレート、N−スクシンイミジル−6−マレイミドカプロエート、N−スクシンイミジル−3−マレイミドプロピオネート、N−(9−アクリジニル)マレイミド等のジカルボニルイミド誘導体類;
【0043】
スチレン、α−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メトキシスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸ビニル、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等が挙げられる。
これらのうち、共重合反応性及び耐熱性の点から、スチレン、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等が好ましい。
【0044】
(a)と(b)との共重合体においては、それぞれに由来する構造単位の比率が、前記の共重合体を構成する全構造単位の合計モル数に対して、以下の範囲にあることが好ましい。
(a)に由来する構造単位;60〜98モル%(より好ましくは65〜95モル%)
(b)に由来する構造単位;2〜40モル%(より好ましくは5〜35モル%)
(a)と(b)との共重合体の構造単位の比率が、上記の範囲にあると、保存安定性、現像性、硬化されたパターンの耐溶剤性が良好になる傾向がある。
【0045】
(a)と(b)との共重合体は、例えば、文献「高分子合成の実験法」(大津隆行著 発行所(株)化学同人 第1版第1刷 1972年3月1日発行)に記載された方法及び当該文献に記載された引用文献を参考にして製造することができる。
【0046】
具体的には、(a)及び(b)の所定量、重合開始剤及び溶剤等を反応容器中に仕込んで、窒素により酸素を置換することにより、脱酸素で、攪拌、加熱、保温する方法が例示される。なお、ここで用いられる重合開始剤及び溶剤等は、特に限定されず、当該分野で通常使用されているもののいずれをも使用することができる。例えば、重合開始剤としては、アゾ化合物(2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2,4− ジメチルバレロニトリル)等)や有機過酸化物(ベンゾイルペルオキシド等)が挙げられ、溶剤としては、各モノマーを溶解するものであればよく、感光性樹脂組成物の溶剤として後述する溶剤等を用いることができる。
【0047】
なお、得られた共重合体は、反応後の溶液をそのまま使用してもよいし、濃縮あるいは希釈した溶液を使用してもよいし、再沈殿等の方法で固体(粉体)として取り出したものを使用してもよい。特に、この重合の際に溶剤として、後述する溶剤(D)を使用することにより、反応後の溶液をそのまま使用することができ、製造工程を簡略化することができる。
【0048】
(a)と(b)と(c)との共重合体においては、それぞれに由来する構造単位の比率が、前記の共重合体を構成する全構造単位の合計モル数に対して、以下の範囲にあることが好ましい。
(a)に由来する構造単位;2〜95モル%(より好ましくは5〜80モル%)
(b)に由来する構造単位;2〜40モル%(より好ましくは5〜35モル%)
(c)に由来する構造単位;1〜65モル%(より好ましくは1〜60モル%)
(a)と(b)と(c)との共重合体の構造単位の比率が、上記の範囲にあると、保存安定性、現像性、硬化されたパターンの耐溶剤性、耐熱性及び機械強度が良好になる傾向がある。
【0049】
(a)と(b)と(c)との共重合体は、例えば、(a)と(b)との共重合体の製造方法として記載した方法と同様に製造することができる。
具体的には、(a)、(b)及び(c)の所定量、重合開始剤及び溶剤を反応容器中に仕込んで、窒素により酸素を置換することにより、脱酸素下で、攪拌、加熱、保温する方法が挙げられる。得られた共重合体は、反応後の溶液をそのまま使用してもよいし、濃縮あるいは希釈した溶液を使用してもよいし、再沈殿等の方法で固体(粉体)として取り出したものを使用してもよい。
【0050】
本発明の硬化されたパターンの製造方法に用いられる感光性樹脂組成物は、樹脂(A)以外の樹脂(AX)を含んでいてもよい。樹脂(AX)としては、例えば、(b)と(c)との共重合体、(b)と(c)との共重合体に(a)を反応させて得られる樹脂等が挙げられる。樹脂(AX)の含有量は、樹脂全量に対して、0〜50質量%であることが好ましく、0〜30質量%であることがより好ましい。
【0051】
樹脂(A)のポリスチレン換算の重量平均分子量は、好ましくは3,000〜100,000、より好ましくは5,000〜50,000である。樹脂(A)の重量平均分子量が、前記の範囲にあると、塗布性が良好となる傾向があり、また現像時に膜減りが生じにくく、さらに現像時に非露光部の抜け性が良好である傾向にある。
【0052】
樹脂(A)の分子量分布[重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)]は、好ましくは1.1〜6.0であり、より好ましくは1.2〜4.0である。分子量分布が、前記の範囲にあると、現像性に優れる傾向がある。
【0053】
樹脂(A)の酸価は、好ましくは20〜150であり、より好ましくは50〜135、特に好ましくは70〜135である。ここで酸価は樹脂(A)1gを中和するに必要な水酸化カリウムの量(mg)として測定される値であり、水酸化カリウム水溶液を用いて滴定することにより求めることができる。
【0054】
樹脂(A)の含有量は、樹脂(A)及び光重合性化合物(B)の合計量に対して、好ましくは5〜95質量%、より好ましくは20〜80質量%であり、特に好ましくは40〜60質量%である。樹脂(A)の含有量が、前記の範囲にあると、現像性、密着性、硬化されたパターンの耐溶剤性、機械特性が良好になる傾向がある。
【0055】
本発明の硬化されたパターンの製造方法に用いられる感光性樹脂組成物は、光重合性化合物(B)を含む。
光重合性化合物(B)は、光重合開始剤(C)から発生した活性ラジカル、酸等によって重合しうる化合物であって、例えば、重合性の炭素−炭素不飽和結合を有する化合物等が挙げられ、好ましくは(メタ)アクリル酸エステル化合物が挙げられる。
【0056】
重合性の炭素−炭素不飽和結合を1つ有する光重合性化合物(B)としては、前記(a)、(b)及び(c)として挙げた化合物と同じものが挙げられ、中でも、(メタ)アクリル酸エステル類が好ましい。
【0057】
重合性の炭素−炭素不飽和結合を2つ有する重合性化合物(B)としては、1,3―ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオール(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ビスフェノールAのビス(アクリロイロキシエチル)エーテル、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、3−メチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0058】
重合性の炭素−炭素不飽和結合を3つ以上有する重合性化合物(B)としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートと酸無水物との反応物、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートと酸無水物との反応物、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレートと酸無水物カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートと酸無水物との反応物、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートと酸無水物との反応物、カプロラクトン変性トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレートと酸無水物等が挙げられる。 中でも、3官能以上のモノマーが好ましく、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートがより好ましい。
【0059】
光重合性化合物(B)の含有量は、樹脂(A)及び光重合性化合物(B)の合計量に対して、好ましくは5〜95質量%、より好ましくは20〜80質量%である。重合性化合物(B)の含有量が、前記の範囲にあると、感度や、硬化されたパターンの強度や平滑性、信頼性、機械強度が良好になる傾向がある。
【0060】
本発明の硬化されたパターンの製造方法に用いられる感光性樹脂組成物は、光重合開始剤(C)を含む。
光重合開始剤(C)としては、光の作用により活性ラジカル、酸等を発生し、重合を開始する化合物であれば特に限定されることなく、公知の重合開始剤を用いることができる。
光重合開始剤(C)としては、ビイミダゾール化合物、アセトフェノン化合物、トリアジン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物、オキシム化合物が好ましい。また、特開2008−181087号公報に記載された光カチオン重合開始剤(例えば、オニウムカチオンとルイス酸由来のアニオンとから構成されているもの)を用いてもよい。
【0061】
前記のビイミダゾール化合物としては、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2,3−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール(例えば、特開平6−75372号公報、特開平6−75373号公報等参照。)、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(アルコキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(ジアルコキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(トリアルコキシフェニル)ビイミダゾール(例えば、特公昭48−38403号公報、特開昭62−174204号公報等参照。)、4,4’5,5’−位のフェニル基がカルボアルコキシ基により置換されているイミダゾール化合物(例えば、特開平7−10913号公報等参照。)等が挙げられる。好ましくは2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2、3−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2、4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾールが挙げられる。
【0062】
前記のアセトフェノン化合物としては、ジエトキシアセトフェノン、2−メチル−2−モルホリノ−1−(4−メチルスルファニルフェニル)プロパン−1−オン、2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−2−ベンジルブタン−1−オン、2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−2−(4−メチルフェニルメチル)ブタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕プロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−イソプロペニルフェニル)プロパン−1−オンのオリゴマー等が挙げられ、好ましくは2−メチル−2−モルホリノ−1−(4−メチルスルファニルフェニル)プロパン−1−オン、2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−2−ベンジルブタン−1−オン等が挙げられる。イルガキュア369、907(以上、チバ・ジャパン社製)等の市販品を用いてもよい。
【0063】
前記のトリアジン系化合物としては、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシナフチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−ピペロニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシスチリル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
【0064】
前記のアシルホスフィンオキサイド系開始剤としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。イルガキュア819(チバ・ジャパン社製)等の市販品を用いてもよい。
【0065】
前記のオキシム化合物としては、N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)ブタン−1−オン−2−イミン、N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)オクタン−1−オン−2−イミン、N−アセトキシ−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタン−1−イミン、N−アセトキシ−1−[9−エチル−6−{2−メチル−4−(3,3−ジメチル−2,4−ジオキサシクロペンタニルメチルオキシ)ベンゾイル}−9H−カルバゾール−3−イル]エタン−1−イミン等が挙げられる。イルガキュアOXE−01、OXE−02(以上、チバ・ジャパン社製)、N−1919(ADEKA社製)等の市販品を用いてもよい。
【0066】
さらに重合開始剤(C)としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン化合物;ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン等のベンゾフェノン化合物;9,10−フェナンスレンキノン、、2−エチルアントラキノン、カンファーキノン等のキノン化合物;10−ブチル−2−クロロアクリドン、ベンジル、フェニルグリオキシル酸メチル、チタノセン化合物等が挙げられる。これらは、後述の光重合開始助剤(C1)(特にアミン類)と組み合わせて用いることが好ましい。
【0067】
さらに光重合開始助剤(C1)が含まれていてもよい。光重合開始助剤(C1)は、光重合開始剤(C)と組み合わせて用いられ、光重合開始剤によって重合が開始された光重合性化合物の重合を促進するために用いられる化合物、もしくは増感剤である。
光重合開始助剤(C1)としては、アミン化合物、チアゾリン化合物、アルコキシアントラセン化合物、チオキサントン化合物、カルボン酸化合物等が挙げられる。
アミン化合物としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、N,N−ジメチルパラトルイジン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(通称ミヒラーズケトン)、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられ、中でも4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが好ましい。EAB−F(保土谷化学工業(株)製)等の市販品を用いてもよい。
【0068】
チアゾリン化合物としては、式(III−1)〜式(III−3)で表される化合物等が挙げられる。
【0069】

【0070】
アルコキシアントラセン化合物としては、9,10−ジメトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジエトキシアントラセン、9,10−ジブトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジブトキシアントラセン等が挙げられる。
【0071】
チオキサントン化合物としては、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン等が挙げられる。
【0072】
カルボン酸化合物としては、フェニルスルファニル酢酸、メチルフェニルスルファニル酢酸、エチルフェニルスルファニル酢酸、メチルエチルフェニルスルファニル酢酸、ジメチルフェニルスルファニル酢酸、メトキシフェニルスルファニル酢酸、ジメトキシフェニルスルファニル酢酸、クロロフェニルスルファニル酢酸、ジクロロフェニルスルファニル酢酸、N−フェニルグリシン、フェノキシ酢酸、ナフチルチオ酢酸、N−ナフチルグリシン、ナフトキシ酢酸等が挙げられる。
【0073】
光重合開始剤(C)の含有量は、樹脂(A)及び光重合性化合物(B)の合計量に対して、好ましくは0.1〜40質量%、より好ましくは1〜30質量%である。
光重合開始剤(C)の合計量がこの範囲にあると、感光性樹脂組成物が高感度となり、硬化されたパターンの耐薬品性、機械強度、表面平滑性が良好になる傾向がある。
【0074】
光重合開始助剤(C1)を用いる場合、その使用量は、樹脂(A)及び重合性化合物(B)の合計量に対して、好ましくは0.01〜50質量%、より好ましくは0.1〜40質量%である。また、光重合開始剤(C)1モルあたり、好ましくは0.01〜10モル、より好ましくは0.01〜5モルである。
光重合開始助剤(C1)の量がこの範囲にあると、得られる感光性樹脂組成物の感度がさらに高くなり、硬化されたパターンのの生産性が向上する傾向にある。
【0075】
また、本発明の感光性樹脂組成物は、さらに多官能チオール化合物(T)を含有していてもよい。この多官能チオール化合物(T)は、分子内に2個以上のスルファニル基を有する化合物である。なかでも、脂肪族炭化水素基に隣接するスルファニル基を2個以上有する化合物を用いると、本発明の感光性樹脂組成物の感度が高くなるため、好ましい。
【0076】
多官能チオール化合物(T)としては、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4−ビス(メチルスルファニル)ベンゼン、ブタンジオールビス(3−スルファニルプロピオネート)、ブタンジオールビス(3−スルファニルアセテート)、エチレングリコールビス(3−スルファニルアセテート)、トリメチロールプロパントリス(3−スルファニルアセテート)、ブタンジオールビス(3−スルファニルプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(3−スルファニルプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(3−スルファニルアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−スルファニルプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−スルファニルアセテート)、トリスヒドロキシエチルトリス(3−スルファニルプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−スルファニルブチレート)、1,4−ビス(3−スルファニルブチルオキシ)ブタン等が挙げられる。
多官能チオール化合物(T)の含有量は、重合開始剤(C)に対して、好ましくは0.5〜20質量%、より好ましくは1〜15質量%である。多官能チオール化合物(T)の含有量がこの範囲にあると、感度が高くなり、また現像性が良好になる傾向がある。
【0077】
溶剤(D)は、特に限定されず、当該分野で通常使用される溶剤を用いることができる。例えば、エステル溶剤(−COO−を含む溶剤)、エステル溶剤以外のエーテル溶剤(−O−を含む溶剤)、エーテルエステル溶剤(−COO−と−O−とを含む溶剤)、エステル溶剤以外のケトン溶剤(−CO−を含む溶剤)、アルコール溶剤、芳香族炭化水素溶剤、アミド溶剤、ジメチルスルホキシド等の中から選択して用いることができる。
【0078】
エステル溶剤としては、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、2−ヒドロキシイソブタン酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸ペンチル、酢酸イソペンチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、シクロヘキサノールアセテート、γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。
【0079】
エーテル溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、3−メトキシ−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチルブタノール、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、アニソール、フェネトール、メチルアニソールなどが挙げられる。
【0080】
エーテルエステル溶剤としては、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどが挙げられる。
【0081】
ケトン溶剤としては、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、アセトン、2−ブタノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、4−メチル−2−ペンタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、イソホロンなどが挙げられる。
【0082】
アルコール溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどが挙げられる。
【0083】
芳香族炭化水素溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンなどが挙げられる。
【0084】
アミド溶剤としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどが挙げられる。
これらの溶剤は、単独でも2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0085】
上記の溶剤のうち、塗布性、乾燥性の点から、1atmにおける沸点が120℃以上180℃以下である有機溶剤が好ましい。中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、3−メトキシブチルアセテート、3−メトキシ−1−ブタノール等が好ましい。
【0086】
感光性樹脂組成物における溶剤(D)の含有量は、感光性樹脂組成物100質量%に対して、好ましくは60〜95質量%であり、より好ましくは70〜90質量%である。言い換えると、感光性樹脂組成物の固形分は、好ましくは5〜40質量%であり、より好ましくは10〜30質量%である。ここで、固形分とは、感光性樹脂組成物から溶剤(D)を除いた量のことをいう。溶剤(D)の含有量が前記の範囲にあると、塗布時の平坦性が良好になる傾向がある。
【0087】
本発明の硬化されたパターンの製造方法に用いられる感光性樹脂組成物は、界面活性剤(E)を含むことが好ましい。界面活性剤としては、例えば、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、フッ素原子を有するシリコーン系界面活性剤等が挙げられる。界面活性剤を含むことで、塗布時の平坦性が良好になる傾向がある。
【0088】
シリコーン系界面活性剤としては、シロキサン結合を有する界面活性剤が挙げられる。
具体的には、トーレシリコーンDC3PA、同SH7PA、同DC11PA、同SH21PA、同SH28PA、同SH29PA、同SH30PA、ポリエーテル変性シリコーンオイルSH8400(商品名:東レ・ダウコーニング(株)製)、KP321、KP322、KP323、KP324、KP326、KP340、KP341(信越化学工業(株)製)、TSF400、TSF401、TSF410、TSF4300、TSF4440、TSF4445、TSF−4446、TSF4452、TSF4460(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)等が挙げられる。
【0089】
フッ素系界面活性剤としては、フルオロカーボン鎖を有する界面活性剤が挙げられる。
具体的には、フロリナート(登録商標)FC430、同FC431(住友スリーエム(株)製)、メガファック(登録商標)F142D、同F171、同F172、同F173、同F177、同F183、同R30(DIC(株)製)、エフトップ(登録商標)EF301、同EF303、同EF351、同EF352(三菱マテリアル電子化成(株)製)、サーフロン(登録商標)S381、同S382、同SC101、同SC105(旭硝子(株)製)、E5844((株)ダイキンファインケミカル研究所製)等が挙げられる。
【0090】
フッ素原子を有するシリコーン系界面活性剤としては、シロキサン結合及びフルオロカーボン鎖を有する界面活性剤が挙げられる。具体的には、メガファック(登録商標)R08、同BL20、同F475、同F477、同F443(DIC(株)製)等が挙げられる。好ましくはメガファック(登録商標)F475が挙げられる。
【0091】
界面活性剤(E)は、感光性樹脂組成物100質量%に対して、0.001質量%以上0.2質量%以下であり、好ましくは0.002質量%以上0.1質量%以下、より好ましくは0.01質量%以上0.05質量%以下である。界面活性剤をこの範囲で含有することにより、塗膜の平坦性を良好にすることができる。
【0092】
本発明の硬化されたパターンの製造方法に用いられる感光性樹脂組成物は、着色剤(F)を含んでいてもよい。着色剤(F)としては、顔料、染料等が挙げられる。
着色剤(F)を含む場合、その含有量は、感光性樹脂組成物の固形分に対して、好ましくは5〜60質量%であり、より好ましくは5〜45質量%である。前記の範囲であると、所望とする分光や色濃度を得ることができる。
顔料としては、有機顔料及び無機顔料が挙げられ、カラーインデックス(The Society of Dyers and Colourists出版)でピグメントに分類されている化合物が挙げられる。
有機顔料としては、具体的には、例えばC.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、15、16、17、20、24、31、53、83、86、93、94、109、110、117、125、128、137、138、139、147、148、150、153、154、166、173、194、214などの黄色顔料;
C.I.ピグメントオレンジ13、31、36、38、40、42、43、51、55、59、61、64、65、71、73などのオレンジ色顔料;
C.I.ピグメントレッド9、97、105、122、123、144、149、166、168、176、177、180、192、209、215、216、224、242、254、255、264、265などの赤色顔料;
C.I.ピグメントブルー15、15:3、15:4、15:6、60などの青色顔料;C.I.ピグメントバイオレット1、19、23、29、32、36、38などのバイオレット色顔料;
C.I.ピグメントグリーン7、36、58などの緑色顔料;
C.I.ピグメントブラウン23、25などのブラウン色顔料;
C.I.ピグメントブラック1、7などの黒色顔料などが挙げられる。
【0093】
中でも、C.I.ピグメントイエロー138、139、150、C.I.ピグメントレッド177、242、254、C.I.ピグメントレッドバイオレット23、C.I.ピグメントブルー15:3、15:6及びC.I.ピグメントグリーン7、36、58が好ましい。これらの顔料は、単独で又は2種以上を混合して用いてもよい。
【0094】
前記顔料は、必要に応じて、ロジン処理、酸性基又は塩基性基が導入された顔料誘導体や顔料分散剤などを用いた表面処理、高分子化合物などによる顔料表面へのグラフト処理、硫酸微粒化法などによる微粒化処理、又は不純物を除去するための有機溶剤や水などによる洗浄処理、イオン性不純物のイオン交換法などによる除去処理などが施されていてもよい。また、顔料は、粒径が均一であることが好ましい。顔料分散剤を含有させて分散処理を行うことで、顔料が溶液中で均一に分散した状態の顔料分散液を得ることができる。
【0095】
前記顔料分散剤としては、市販の界面活性剤を用いることができ、例えば、シリコーン系、フッ素系、エステル系、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、ポリエステル系、ポリアミン系、アクリル系などの界面活性剤などが挙げられ、それぞれ単独で又は2種以上を組合せて用いることができる。前記界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリエチレングリコールジエステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、脂肪酸変性ポリエステル類、3級アミン変性ポリウレタン類、ポリエチレンイミン類などのほか、商品名でKP(信越化学工業(株)製)、フローレン(共栄社化学(株)製)、ソルスパース(ゼネカ(株)製)、EFKA(CIBA社製)、アジスパー(味の素ファインテクノ(株)製)、Disperbyk(ビックケミー社製)などが挙げられる。
【0096】
顔料分散剤を用いる場合、その使用量は、顔料に対して、好ましくは100質量%以下であり、より好ましくは5〜50質量%である。顔料分散剤の使用量が前記の範囲にあると、均一な分散状態の顔料分散液が得られる傾向にある。
【0097】
本発明の硬化されたパターンの製造方法に用いられる感光性樹脂組成物は、必要に応じて、充填剤、他の高分子化合物、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、連鎖移動剤等の種々の添加剤を含んでもよい。
【0098】
かくして得られる硬化されたパターンは、種々の硬化されたパターンを形成するための材料、例えば、フォトスペーサ、オーバーコート、層間絶縁膜、液晶配向制御用突起、マイクロレンズ、コート層、カラーフィルタの画素に用いられる着色パターン等、液晶表示装置や有機EL表示装置等を構成する部材として有用である。
本発明の硬化されたパターンの製造方法は、より低温で硬化されたパターンを得ることができるため、特に、耐熱性の低いプラスチック基板を用いた表示装置の製造に有用である。
【実施例】
【0099】
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明する。例中の「%」及び「部」は、特記ない限り、質量%及び質量部である。
【0100】
(合成例1)
樹脂(A1)の合成
還流冷却器、滴下ロート及び攪拌機を備えた1Lのフラスコ内に窒素を0.02L/分で流して窒素雰囲気とし、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル140部を入れ、撹拌しながら70℃まで加熱した。次いで、メタクリル酸80部、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02.6]デシルアクリレート(式(I−1)で表される化合物及び式(II−1)で表される化合物を、モル比で、50:50の混合物。)320部ならびにジエチレングリコールエチルメチルエーテル190部に溶解して溶液を調製し、この溶解液を、滴下ポンプを用いて4時間かけて、70℃に保温したフラスコ内に滴下した。
【0101】

【0102】
一方、重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)30部をジエチレングリコールエチルメチルエーテル240部に溶解した溶液を、別の滴下ポンプを用いて5時間かけてフラスコ内に滴下した。重合開始剤の溶液の滴下が終了した後、4時間、70℃に保持し、その後室温まで冷却して、固形分44.1%、酸価112mg−KOH/gの共重合体(樹脂A1)の溶液を得た。得られた樹脂A1の重量平均分子量(Mw)は7300、分散度は1.83であった。
【0103】
(合成例2)
還流冷却器、滴下ロートおよび攪拌機を備えた1Lのフラスコ内に窒素を0.02L/分で流して窒素雰囲気とし、3−メトキシ−1−ブタノール200質量部および3−メトキシブチルアセテート105質量部を入れ、撹拌しながら70℃まで加熱した。次いで、メタクリル酸55質量部、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02.6]デシルアクリレート(式(I−1)で表される化合物および式(II−1)で表される化合物を、モル比で、50:50で混合。)175質量部およびN−シクロヘキシルマレイミド70質量部を、3−メトキシブチルアセテート140質量部に溶解して溶液を調製し、該溶解液を、滴下ポンプを用いて4時間かけて、70℃に保温したフラスコ内に滴下した。一方、重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)30質量部を3−メトキシブチルアセテート225質量部に溶解した溶液を、別の滴下ポンプを用いて5時間かけてフラスコ内に滴下した。重合開始剤の溶液の滴下が終了した後、4時間、70℃に保持し、その後室温まで冷却して、粘度(23℃)114mPa・s、固形分32.6質量%、酸価105mg−KOH/gの共重合体(樹脂A2)の溶液を得た。得られた樹脂A2の重量平均分子量Mwは、13,600、分散度は2.54であった。
なお、共重合体溶液の粘度は、B型粘度計で測定した。
【0104】
得られた樹脂の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)の測定は、GPC法を用いて、以下の条件で行なった。
装置;K2479((株)島津製作所製)
カラム;SHIMADZU Shim−pack GPC−80M
カラム温度;40℃
溶媒;THF(テトラヒドロフラン)
流速;1.0mL/min
検出器;RI
上記で得られたポリスチレン換算の重量平均分子量及び数平均分子量の比(Mw/Mn)を分子量分布とした。
【0105】
(実施例1〜4)
表1の組成物を混合して、感光性樹脂組成物1〜4を得た。
【0106】
【表1】

【0107】
表1中各成分は以下のとおりである。
樹脂(A);樹脂A
重合性化合物(B);ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD DPHA;日本化薬(株)製)
重合開始剤Ca;2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール(B−CIM;保土谷化学(株)製)
重合開始剤Cb;2−メチル−2−モルホリノ−1−(4−メチルスルファニルフェニル)プロパン−1−オン(イルガキュア907;チバ・ジャパン(株)製)
重合開始助剤C1a;4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(EAB-F;保土谷化学(株)製)
多官能チオール(T):ペンタエリスリトールテトラキス(3−スルファニルプロピオネート)(PEMP;SC有機化学(株)製)
溶剤Da;ジエチレングリコールメチルエチルエーテル
溶剤Db;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
溶剤Dc;3−エトキシプロピオン酸エチル
溶剤Dd;3−メトキシ−1−ブタノール
溶剤De;3−メトキシブチルアセテート
界面活性剤(E);ポリエーテル変性シリコーンオイル(トーレシリコーンSH8400;東レ・ダウコーニング(株)製)
溶剤(D)は、感光性樹脂組成物の固形分が表1の「固形分〔%〕」となるように混合し、溶剤(D)中の溶剤成分(Da)〜(De)の値は、溶剤(D)中での質量比を表す。
界面活性剤(E)は、感光性樹脂組成物中の含有率〔%〕を表す。
【0108】
<パターン形成>
2インチ角のガラス基板(#1737;コーニング社製)を、中性洗剤、水及びアルコールで順次洗浄してから乾燥した。このガラス基板上に、感光性樹脂組成物を、スピンコーターを用いて硬化後の膜厚が3.0μmになるような条件で塗布した。次にクリーンオーブン中、100℃で3分間プリベークして塗膜を形成した。冷却後、該感光性樹脂組成物を塗布した基板と石英ガラス製フォトマスクとの間隔を100μmとし、露光機(TME−150RSK;トプコン(株)製、光源;超高圧水銀灯)を用いて、大気雰囲気下、100mJ/cmの露光量(365nm基準)で光照射した。なお、このときの感光性樹脂組成物への照射は、超高圧水銀灯からの放射光を、光学フィルタ(UV−33;旭テクノグラス(株)製)を通過させて行った。また、フォトマスクとして、パターン(1辺が10μmである正方形の透光部を有し、当該正方形の間隔が100μm)が同一平面上に形成されたフォトマスクを用いた。
【0109】
光照射後、非イオン系界面活性剤0.12%と水酸化カリウム0.04%を含む水系現像液に上記塗膜を23℃で80秒間浸漬して現像し、水洗後、オーブン中、表2に記載した温度及び時間でポストベークを行った後、冷却せずに露光機(TME−150RSK;トプコン(株)製、光源;超高圧水銀灯)(光学フィルタなし)を用いて、光照射(ポスト露光)して、ガラス基板上に形成された硬化されたパターンを得た。
硬化されたパターンが得られた場合は○、得られなかった場合は×とした。結果を表2に示す。
【0110】
<耐薬品性評価>
パターン形成において、フォトマスクを用いない以外はパターン形成と同様にして、ガラス基板上に形成された硬化塗膜を得た。
得られた硬化塗膜を、40℃のN−メチルピロリドンに40分間浸漬し、浸漬前後の透過率の変化率及び膜厚の変化率を測定した。尚、透過率は、測色機(OSP−SP200;オリンパス(株)製)を用いて測定し、膜厚は、膜厚測定装置(DEKTAK3;日本真空技術(株)製))を用いて測定した。
【0111】
透過率変化及び膜厚変化は次式に従って算出した。
膜厚保持率(%);浸漬後の膜厚(μm)/浸漬前の膜厚(μm)×100
透過保持率(%);浸漬後の透過率(%)/浸漬前の透過率(%)×100
尚、透過率としては、400nmにおける測定値を用いた。
膜厚保持率、透過率保持率とも、97〜103%であれば、耐薬品性は良好であると判断できる。
【0112】
密着性は、浸漬後の硬化塗膜に、カッター及びスーパーカッターガイド(太佑機材社製)を用いて1mm間隔で切り込みを入れ、1mm×1mmの升目を100個作製した。次いで硬化塗膜の切り込みの升目にセロテープ(登録商標)24mm幅(ニチバン(株)社製)を貼り、セロテープ(登録商標)の上から消しゴムでこすって硬化塗膜にセロテープ(登録商標)を付着させ、2分後にセロテープ(登録商標)の端を持って、塗膜面に直角に保ちながら、一気に剥がした。その後、硬化塗膜が剥離せずに基板に残ったマス目の数を目視で数えた。
残ったマス目が95個以上であれば、耐薬品性試験における密着性は良好であると判断できる。
【0113】
【表2】


表2中、ポスト露光における露光量は、365nm基準での値である。
【0114】
このように、本発明の硬化されたパターンの製造方法によれば、より低温で耐薬品性に優れた硬化されたパターンを形成することができる。
このような硬化されたパターンを利用して表示装置を製造することにより、より耐熱性の低い基板等を用いた表示装置を製造することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明の硬化されたパターンの製造方法によれば、低温での処理においても耐薬品性に優れた硬化されたパターンを形成することができる。
また、この硬化されたパターンの製造方法を利用することにより、より耐熱性の低い基板等を用いても、高品質の表示装置等を得ることが可能となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂、光重合性化合物、光重合開始剤及び溶剤を含む感光性樹脂組成物から得られたパターンを、50℃〜180℃の条件下で、10mJ/cm〜10000mJ/cm露光する硬化されたパターンの製造方法において、樹脂が、炭素数2〜4の環状エーテルを有する単量体に由来する構造単位を含む樹脂である硬化されたパターンの製造方法。
【請求項2】
前記感光性樹脂組成物から得られたパターンが、フォトリソグラフィ法により得られたパターンである請求項1記載の硬化されたパターンの製造方法。
【請求項3】
炭素数2〜4の環状エーテルを有する単量体が、オキシラニル基を有する単量体である請求項1又は2記載の硬化されたパターンの製造方法。
【請求項4】
感光性樹脂組成物が、さらに着色剤を含む組成物である請求項1〜3のいずれか記載の硬化されたパターンの製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか記載の硬化されたパターンの製造方法により製造された硬化されたパターンを含む表示装置。

【公開番号】特開2011−185966(P2011−185966A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−47749(P2010−47749)
【出願日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】