説明

硬化性樹脂組成物及びその用途

【課題】良好な透明性、優れた耐光性、優れた耐熱変色性、優れた密着性を有する発光素子用封止材として好適に用いられる硬化性樹脂組成物、並びに、該樹脂組成物を用いて形成された発光部品を提供する。また、射出成形に適し、硬化後において硬質であり寸歩安定性にも優れた、レンズ材料として好適な硬化性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】[A]ヒドロシリル化触媒の存在下、炭素−炭素2重結合及びエポキシ基を有する化合物(a)を含むビニル化合物(b)をヒドロシリル化反応により付加して得られるエポキシ変性シリコーン、100質量部、[B]エポキシ樹脂用硬化剤含有量が0.1質量部以上1,500質量部以下、[C]酸化防止剤成分の含有量が0.001質量部以上10質量部以下、[D]硬化触媒の含有量が0.001質量部以上10質量部以下であることを特徴とする硬化性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子用封止材やレンズ等に用いられる、エポキシ変性シリコーンを含有する硬化性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、酸無水物系硬化剤を用いたエポキシ樹脂組成物は、透明な硬化物を与え、耐熱性が高い発光ダイオードやフォトダイオード等の発光素子の封止材料として好適に用いられてきた。しかしながら、近年、光半導体の高出力化、高輝度化が進み、封止用樹脂にも良好な透明性と高い耐熱性以外に、優れた耐光性、耐酸化性、LEDのオン/オフサイクルに伴う温冷サイクル時の耐クラック性(以下、「耐クラック性」と略記する。)、温冷サイクル時の密着性(以下、「密着性」と略記する。)、並びに、250℃以上で行われる半田リフロー時の耐クラック性及び接着性(以下、「半田リフロー耐性」と略記する。)、を有する硬化物が要求されるようになり、従来用いられてきたビスフェノールA系エポキシ樹脂やビスフェノールF系エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂を主成分とする組成物では、十分な特性が得られなくなっているのが実情である。
【0003】
シロキサン骨格を繰り返し単位とし、有機基にエポキシ基を有するエポキシ変性シリコーンは、エポキシ樹脂が有する優れた透明性、耐熱性、密着性を有するばかりでなく、シリコーンが有する耐光性、耐酸化性、更には、柔軟性を併せもつことが期待されることから、該エポキシ変性シリコーンを含有する硬化性樹脂組成物が発光素子用封止材として注目されており、多くの技術が開示されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、特定範囲の分子量を有し、且つ1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するシリコーン化合物を含む硬化性組成物及びその発光素子用封止材への利用についての提案がなされている。
【0005】
また、特許文献2には、1分子中に少なくとも1つのエポキシシクロヘキシル基を有する環状シロキサンを含有する硬化性樹脂組成物及びその光半導体封止剤への利用に関する提案がなされている。
【0006】
しかしながら、これらの硬化性樹脂組成物は、近年の高出力、高輝度の発光素子用封止材として要求される高い温度領域に対する耐熱黄変性が不充分であると共に、耐光性、耐クラック性、密着性も未だ満足できるレベルにない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−171021号公報
【特許文献2】特許第4371211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、良好な透明性、優れた耐光性、優れた耐熱変色性、優れた密着性を有する発光素子用封止材として好適に用いられる硬化性樹脂組成物、並びに、該樹脂組成物を用いて形成された発光部品を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、射出成形に適し、硬化後において硬質であり寸歩安定性にも優れた、レンズ材料として好適な硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記点に鑑み、本発明者らが鋭意検討した結果、特定の構造を有するエポキシ変性シリコーンと、エポキシ樹脂用硬化剤、カチオン重合開始剤、並びに、特定の酸化防止剤を特定量含有するエポキシ変性シリコーン組成物が上記課題を解決可能であることを見出し、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は以下のとおりである。
【0011】
[1] 下記[A]成分、[B]成分、[C]成分及び[D]成分を有し、[A]成分100質量部に対する、[B]成分の含有量が0.1質量部以上1,500質量部以下、[C]成分の含有量が0.001質量部以上10質量部以下、[D]成分の含有量が0.001質量部以上10質量部以下であることを特徴とする硬化性樹脂組成物。
[A]下記<A>及び<B>の要件を同時に満足する下記平均組成式(1)によって表されるブロック型オルガノハイドロジェンシリコーンに対し、ヒドロシリル化触媒の存在下、炭素−炭素2重結合及びエポキシ基を有する化合物(a)を含むビニル化合物(b)をヒドロシリル化反応により付加して得られるエポキシ変性シリコーン。
<A>:(RSiO2/2)単位の平均連鎖長が3以上100以下。
<B>:(RHSiO2/2)単位の平均連鎖長が2以上20以下。
(RSiO1/2)(RHSiO1/2)(RSiO2/2)
(RHSiO2/2)(RSiO3/2)(HSiO3/2)(SiO4/2) ・・(1)
[但し、Rは各々独立に、A)ヒドロキシル基、B)ハロゲン原子、C)無置換又は置換された鎖状、分岐状及び環状よりなる構造群から選ばれる1種以上の構造からなる脂肪族炭化水素単位を有する、炭素数が1以上24以下及び酸素数が0以上5以下の1価又は2価の脂肪族有機基、D)無置換又は置換された芳香族炭化水素単位であって、必要に応じて無置換又は置換された鎖状、分岐状及び環状よりなる構造群から選ばれる1種以上の構造からなる脂肪族炭化水素単位を有する、炭素数が6以上24以下及び酸素数が0以上5以下の1価の芳香族有機基、からなる群から選ばれる少なくとも1種以上の有機基を表す。
上記の有機基は、前記の炭素数及び酸素数の範囲内であれば、有機基としてヒドロキシル基、アルコキシ基、アシル基、カルボキシル基、アルケニルオキシ基、アシルオキシ基、ハロゲン原子、或いは、エステル結合を含んでいてもよい。また、窒素、リン、硫黄等の酸素を除くヘテロ原子を含んでいてもよい。]
[B]エポキシ樹脂用硬化剤
[C]フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤及びアミン系酸化防止剤なる群から選ばれる少なくとも1種の酸化防止剤
[D]硬化触媒
【0012】
[2][A]成分のエポキシ変性シリコーンのエポキシ価が0.10以上0.50以下の範囲であることを特徴とする、[1]に記載の硬化性樹脂組成物。
[3]平均組成式(1)で表されるブロック型オルガノハイドロジェンシリコーンの(b+d+f)/(a+b+c+d+e+f+g)の値が0.100以上0.800以下の範囲であることを特徴とする、[1]又は[2]に記載の硬化性樹脂組成物。
[4]平均組成式(1)によって表されるブロック型オルガノハイドロジェンシリコーンにおいて、(e+f+g)の値がゼロであることを特徴とする、[1]から[3]のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
[5][A]成分のエポキシ変性シリコーンの残留SiH単位数が、全Si数に対して2%未満であることを特徴とする、[1]から[4]のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
[6][A]成分のエポキシ変性シリコーン中に残留する低沸化合物の合計量が、エポキシ変性シリコーンに対し2質量%以下であることを特徴とする、[1]から[5]のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
[7]上記の[1]から[6]のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物からなる発光素子用封止材。
[8]上記の[7]に記載の発光素子用封止材を用いて発光素子を封止して製造した発光部品。
[9]上記の[8]に記載の発光部品を用いた表示機器。
[10]上記の[1]から[6]のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物からなるレンズ。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、良好な透明性、優れた耐光性、優れた耐熱変色性、優れた密着性を有する、発光素子用封止材として好適に用いられる硬化性樹脂組成物、並びに、該樹脂組成物を用いて形成された発光部品を提供することが可能となる。
【0014】
また、本発明により、射出成形に適し、硬化後において硬質であり寸法安定性にも優れた、レンズ材料として好適な硬化性樹脂組成物を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明のエポキシ変性シリコーンを含有する発光素子用封止材及びダイボンド材を用いてなる光半導体発光素子の一例を模式的に示す断面図である。
【図2】本発明のエポキシ変性シリコーンを含有する発光素子用封止材及びダイボンド材を用いてなる光半導体発光素子の一例を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
まず、本発明において用いられる[A]成分のエポキシ変性シリコーン及びその製造方法について説明する。
【0017】
本発明において、[A]成分のエポキシ変性シリコーンを製造するために用いられるオルガノハイドロジェンシリコーンは、下記<A>及び<B>の要件を同時に満足する下記平均組成式(1)で表されるブロック型オルガノハイドロジェンシリコーンである。
<A>:(RSiO2/2)単位の平均連鎖長が3以上100以下。
<B>:(RHSiO2/2)単位の平均連鎖長が2以上20以下。
(RSiO1/2)(RHSiO1/2)(RSiO2/2)
(RHSiO2/2)(RSiO3/2)(HSiO3/2)(SiO4/2) ・・(1)
[但し、Rは各々独立に、A)ヒドロキシル基、B)ハロゲン原子、C)無置換又は置換された鎖状、分岐状及び環状よりなる構造群から選ばれる1種以上の構造からなる脂肪族炭化水素単位を有する、炭素数が1以上24以下及び酸素数が0以上5以下の1価又は2価の脂肪族有機基、D)無置換又は置換された芳香族炭化水素単位であって、必要に応じて無置換又は置換された鎖状、分岐状及び環状よりなる構造群から選ばれる1種以上の構造からなる脂肪族炭化水素単位を有する、炭素数が6以上24以下及び酸素数が0以上5以下の1価の芳香族有機基、からなる群から選ばれる少なくとも1種以上の有機基を表す。
上記の有機基は、前記の炭素数及び酸素数の範囲内であれば、有機基としてヒドロキシル基、アルコキシ基、アシル基、カルボキシル基、アルケニルオキシ基、アシルオキシ基、ハロゲン原子、或いは、エステル結合を含んでいてもよい。また、窒素、リン、硫黄等の酸素を除くヘテロ原子を含んでいてもよい。]
【0018】
なお、平均組成式(1)におけるa、b、c、d、e、f、gは、オルガノハイドロジェンシリコーン1モル中に存在する各単位のモル数を表し、a、b、e、f、gは各々0以上、cは3以上、dは2以上の値である。
また、上記の、e、f、gが各々下記式(1)、式(2)、を同時に満足する場合には、上記のa、b、e、f、gは、式(3)を満足する範囲から選択される数値である。
【0019】
e+f≠0 ・・・式(1)
g≠0 ・・・式(2)
0≦a+b≦e+f+2g+2・・・式(3)
さらに、上記のe、f、gが各々下記式(4)、式(5)、を同時に満足する場合には、上記のa、bは下記式(6)を満足する範囲から選択される数値である。
【0020】
e+f=0 ・・・式(4)
g=0 ・・・式(5)
0≦a+b≦2 ・・・式(6)
また、上記のe、f、gが各々下記式(1)、式(5)、を同時に満足する場合には、上記のa、bは下記式(7)を満足する範囲から選択される数値である。
【0021】
e+f≠0 ・・・式(1)
g=0 ・・・式(5)
0≦a+b≦e+f+2・・・式(7)
さらに、e、f、gが各々下記式(4)、式(2)、を同時に満足する場合には、上記のa、bは下記式(8)を満足する範囲から選択される数値である。
【0022】
e+f=0 ・・・式(4)
g≠0 ・・・式(2)
0≦a+b≦2g+2 ・・・式(8)
【0023】
本発明における(RSiO2/2)単位及び(RHSiO2/2)単位の平均連鎖長は、29Si−NMR法によって求められる値である。具体的には、平均組成式(1)で表されるオルガノハイドロジェンシリコーンをクロロホルム等の重水素化物に溶解して得られた溶解液に、Cr(acac)を該オルガノハイドロジェンシリコーンに対して10質量%添加して溶解させた後、更に標準物質としてテトラメチルシランを10マイクロリットル更に添加して得られた溶液を、プロトン完全デカップル条件における29Si−NMR測定し、得られるスペクトルパターンから算出される積分値を元に、計算により求めた、(RSiO2/2)単位、(RHSiO2/2)単位の各々の平均連鎖長(以下、それぞれγ、δと標記する)の値のことをいう。
【0024】
以下に、各単位の平均連鎖長の算出法について記す。
(RSiO2/2)単位の平均連鎖長(γ)は、前記の29Si−NMR法により測定して得られた、(RSiO2/2)単位が隣り合った、2連鎖由来のピークの積分値の総和をα1とし、(RSiO2/2)単位と(RHSiO2/2)単位とが隣り合った2連鎖由来の珪素のピークの積分値の総和をβとして、式(9)によって算出される値である。
γ=1+α1/β ・・・式(9)
【0025】
一方、(RHSiO2/2)単位の平均連鎖長(δ)は、前記の29Si−NMR法により測定して得られた、(RHSiO2/2)単位が隣り合った、2連鎖由来のピークの積分値の総和をα2とし、(RHSiO2/2)単位と(RSiO2/2)単位とが隣り合った2連鎖由来の珪素のピークの積分値の総和をβとして、式(10)によって算出される値である。
δ=1+α2/β ・・・式(10)
【0026】
ここで、各々のピークの積分値は、対応する単位構造に由来するピークとベースラインとで囲まれる部分の積分値のことを指す。前記の対応する単位構造に由来するピークが他のピークと部分的に重複している場合には、単位構造に由来するピークと他のピークとで形成される下に凸部の頂点からベースラインに垂線を下ろし、該ピークと垂線とベースラインで囲まれる部分の積分値のことを指す。
【0027】
以下に、Rの全てがメチル基である場合を例として、平均連鎖長の算出法を具体的に説明する。本発明において(RSiO2/2)単位で標記されるジメチルシロキシ単位を(D)、他方、本発明において(RHSiO2/2)単位で標記される水素メチルシロキシ単位を(H)とした場合、DとHの3連鎖に対応する中心に位置する珪素のケミカルシフト値は、テトラメチルシランの珪素を基準として各々以下のようになる。
【0028】
−D−D−D− : −21.8ppm
−D−D−H− : −20.5ppm
−H−D−H− : −18.8ppm
−H−H−H− : −35.0ppm
−H−H−D− : −36.2ppm
−D−H−D− : −37.5ppm
上記の−D−D−D−単位、−D−D−H−単位、−H−D−H−単位、−H−H−H−単位、−H−H−D−単位、−D−H−D−単位に相当するピークの積分値を各々、A(DDD)、A(DDH)、A(HDH)、A(HHH)、A(HHD)、A(DHD)とすると、ジメチルシロキシ単位の平均連鎖長(γD)及び水素メチルシロキシ(δD)は、各々下記式(11)及び(12)で算出することができる。
γD=1+A(DDD)/{A(DDH)+A(HDH)} ・・・式(11)
δD=1+{A(HHH)+A(HHD)}/A(DHD) ・・・式(12)
【0029】
本発明において用いられる平均組成式(1)で表されるオルガノハイドロジェンシリコーンにおいて、(RSiO2/2)単位の平均連鎖長が3未満の場合には、得られるエポキシ変性シリコーンを硬化して得られる硬化物が、温度変化によりクラックを生じるため好ましくない。一方、100を超える場合には、前記硬化物の硬度が不十分となり、該硬化物を発光素子に実装又は実装した発光部品を使用する際に表面がべたついて異物が付着するか、或いは、該発光部品表面が損傷を受けるため、好ましくない。十分な耐熱性と硬度を安定的に満足する上で、(RSiO2/2)単位の平均連鎖長は、4以上70以下の範囲が好ましく、4以上50以下の範囲がより好ましく、4以上25以下の範囲が特に好ましい。
【0030】
また、平均組成式(1)で表されるオルガノハイドロジェンシリコーンにおいて、(RHSiO2/2)単位の平均連鎖長が2未満の場合、或いは、20を超える場合には、得られるエポキシ変性シリコーンを硬化して得られる硬化物の耐熱性が不十分となるか、又は、前記硬化物が温度変化によりクラックを生じるため、好ましくない。
【0031】
得られるエポキシ変性シリコーンを硬化して得られる硬化物が充分な耐熱性を有し、且つ、温度変化によるクラックの発生を抑制すると共に、ヒドロシリル化反応時のエポキシ基の副反応を抑制して再現性よくエポキシ変性シリコーンを製造する上で、(RHSiO2/2)単位の平均連鎖長は2.2以上5未満であることが好ましく、2.3以上4.5未満であることがより好ましく、2.4以上4未満であることが更に好ましい。
【0032】
本発明において、平均組成式(1)で表されるブロック型オルガノハイドロジェンシリコーンは、前記の<A>、<B>を同時に満足すれば特に限定はなく、直鎖状、環状、分岐状、ラダー状、籠状等いずれの構造でもよい。2種以上の混合物であっても、該混合物が前記の<A>、<B>を同時に満足する場合には、用いることが可能である。
【0033】
本発明において用いられる平均組成式(1)で表されるブロック型オルガノハイドロジェンシリコーン1モルを構成する各単位のモル数は、ヒドロシリル化反応時の溶媒への溶解性が向上することから、c、dの値が各々5,000以下の範囲、且つ、e、f、gが各々100以下の範囲を同時に満足することが好ましく、立体障害を緩和してヒドロシリル化反応を安定的に、且つ、再現性よく進行させる上で、gが0であることがより好ましく、gが0、且つ、(e+f)/(a+b+c+d+e+f)の値が0.02以下、且つ、c、dの値が各々3,000以下の範囲であることが更に好ましく、gが0、且つ、(e+f)/(a+b+c+d+e+f)の値が0.01以下、且つ、c、dの値が各々2,000以下の範囲であることが特に好ましく、(g+e+f)の値がゼロ、且つ、c、dの値が各々1,000以下の範囲であることが望ましい。
【0034】
一方、本発明において用いられる平均組成式(1)で表されるブロック型オルガノハイドロジェンシリコーンをヒドロシリル化反応して得られるエポキシ変性シリコーンを用いた硬化物の耐クラック性が向上することから、cの値は4以上であることが好ましい。
【0035】
また、本発明において用いられる平均組成式(1)で表されるブロック型オルガノハイドロジェンシリコーンをヒドロシリル化反応して得られるエポキシ変性シリコーンを用いた硬化物の耐熱性が高まることから、dの値は4以上であることが好ましい。
【0036】
本発明において、平均組成式(1)で表されるブロック型オルガノハイドロジェンシリコーンに対して炭素−炭素2重結合及びエポキシ基を有する化合物(a)を含むビニル化合物(b)をヒドロシリル化反応により付加して得られるエポキシ変性シリコーンを硬化して得られた硬化物の表面のべたつきが抑制されるため、平均組成式(1)で表されるブロック型オルガノハイドロジェンシリコーンのb/(a+b)の値が0.5以上であることが好ましく、0.7以上であることがより好ましく、0.9以上であることが更に好ましく、0.95以上であることが特に好ましい。
【0037】
本発明において用いられる、平均組成式(1)で表されるブロック型オルガノハイドロジェンシリコーン中のSiH単位数は、ヒドロシリル化反応後に得られるエポキシ変性シリコーンを用いた硬化物の耐熱性が高まることから、平均組成式(1)で表されるブロック型オルガノハイドロジェンシリコーンの(b+d+f)/(a+b+c+d+e+f+g)の値が0.100以上であることが好ましく、0.120以上であることがより好ましく、0.150以上であることが更に好ましい。一方、平均組成式(1)で表されるブロック型オルガノハイドロジェンシリコーンをヒドロシリル化反応する際のゲル化を抑制し、安定的に再現性よくエポキシ変性シリコーンを得ることができることから、(b+d+f)/(a+b+c+d+e+f+g)の値は、0.800以下であることが好ましく、0.700以下であることがより好ましく、0.600以下であることが更に好ましい。
【0038】
ここで、平均組成式(1)で表されるブロック型オルガノハイドロジェンシリコーンにおけるa〜gの算出法について説明する。a〜gの算出には、29Si−NMR測定、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定、更に必要に応じて、H−NMR測定によって得られる結果を用いて算出する。具体的には、まず、平均組成式(1)で表されるブロック型オルガノハイドロジェンシリコーンの29Si−NMR測定を、上記の(RSiO2/2)単位及び(RHSiO2/2)単位の平均連鎖長を算出したのと同様の方法で測定し、得られるスペクトルパターンから算出された積分値を元に、a〜gの含有分率を百分率で算出する。
【0039】
平均組成式(1)で表されるブロック型オルガノハイドロジェンシリコーンが種々の置換基を有する場合には、H−NMR測定によって得られるスペクトルパターンから算出された積分値を元に、置換基毎に各構成単位の存在率を百分率で算出する。
【0040】
得られた各構成単位の存在率と各構成単位の理論式量とを用いて、構成単位の平均的式量を算出する。
【0041】
平均組成式(1)で表されるブロック型オルガノハイドロジェンシリコーンのGPC測定によって得られた数平均分子量を平均組成式(1)で表されるブロック型オルガノハイドロジェンシリコーンの1モル当りの分子量として、上記で算出した末端基、水素アルキル単位、ジアルキルシロキシ単位の存在率を考慮した平均的式量で除して平均組成式(1)で表されるブロック型オルガノハイドロジェンシリコーンを構成する各単位の全モル数を算出する。得られた平均組成式(1)で表されるブロック型オルガノハイドロジェンシリコーンを構成する各単位の全モル数と、該各単位の存在率とから、平均組成式(1)で表されるブロック型オルガノハイドロジェンシリコーン1モルを構成する各単位のモル数を算出することができる。
【0042】
なお、平均組成式(1)によって表されるブロック型オルガノハイドロジェンシリコーンの数平均分子量は、クロロホルムを溶離液として、分子量既知の単分散ポリポリスチレン標準物質、及びスチレンモノマー(分子量104)を標準物質とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によって得られる値である。具体的には、RI検出による溶出時間から求めた検量線を予め作成し、測定試料溶液の溶出時間と検出強度から、上記の検量線を用いて算出された数平均分子量のことをさす。
【0043】
有機基Rとしては、本発明において用いられるエポキシ変性シリコーンの耐光性が良好となる、或いは、保存時の安定性が高まることから、平均組成式(1)で表されるブロック型オルガノハイドロジェンシリコーンの全Si単位の合計モル数に対する鎖状、分岐状及び環状よりなる構造群から選ばれる炭素−炭素2重結合炭化水素単位、ヒドロキシル単位、アルコキシ単位、アシル単位、カルボキシル単位、アルケニルオキシ単位、アシルオキシ単位、ハロゲン原子、或いは、エステル結合、更には、酸素及び珪素を除くヘテロ原子を含有する有機基が結合した珪素原子の合計モル数が、好ましくは30%以下、更に好ましくは10%以下、より好ましくは1%以下、特に好ましくは全く含まないように選択される。
【0044】
更に、有機基Rが、鎖状、分岐状及び環状よりなる構造群から選ばれる1種以上の構造からなる炭化水素単位を有する炭素数が1以上20以下及び酸素数が1以下からなる飽和の1価の脂肪族有機基、なる群から選択されることが望ましい。この様な有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、等の炭化水素から成る鎖状の有機基、シクロペンチル基、メチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、エチニルシクロヘキシル基、ノルボルニル基等の環状単位を含む炭化水素から成る有機基、メトキシエチル、エトキシエチル基等のエーテル結合を含む有機基等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上の有機基の混合であってよい。
【0045】
これらの内、炭化水素から成る鎖状の有機基、環状単位を含む炭化水素から成る有機基が特に望ましい。
【0046】
本発明において用いられるエポキシ変性シリコーンは、平均組成式(1)で表されるブロック型オルガノハイドロジェンシリコーンに対し、炭素−炭素2重結合及びエポキシ基を有する化合物(a)を含むビニル化合物(b)を付加して得られるエポキシ変性シリコーンであり、該エポキシ変性シリコーンの1次構造は(i)炭素−炭素2重結合及びエポキシ基を有する化合物を含むビニル化合物が付加したシロキサンのブロック単位と、(ii)(RSiO2/2)構造を有するシロキサンブロック単位とを有するブロック型構造をとなる。このため、ビニル化合物に占める炭素−炭素2重結合及びエポキシ基を有する化合物の割合によっては、得られたエポキシ変性シリコーンが白濁する場合がある。エポキシ変性シリコーンの透明性を向上させる上で、平均組成式(1)で表されるブロック型オルガノハイドロジェンシリコーンにおける鎖状、分岐状及び環状よりなる構造群から選ばれる1種以上の構造からなる炭化水素単位を有する炭素数が5以上20以下の1価の脂肪族有機基である有機基Rの数が、平均組成式(1)で表されるブロック型オルガノハイドロジェンシリコーンの全Si単位の合計モル数に対して、5%以上であることが好ましく、10%以上であることがより好ましく、15%以上であることが更に好ましい。
【0047】
一方、ヒドロシリル化反応を安定的に、再現性よく完結させる上で、前記の鎖状、分岐状及び環状よりなる構造群から選ばれる1種以上の構造からなる炭化水素単位を有する炭素数が5以上20以下の1価の脂肪族有機基である有機基Rの数が、平均組成式(1)で表されるブロック型オルガノハイドロジェンシリコーンの全Si単位の合計モル数に対して、95%以下であることが好ましく、90%以下であることがより好ましく、85%以下であることが更に好ましい。
【0048】
更に、前記の鎖状、分岐状及び環状よりなる構造群から選ばれる1種以上の構造からなる炭化水素単位を有する炭素数が5以上20以下の1価の脂肪族有機基である有機基Rが、1価の脂環式単位である場合には、耐光性が向上することから、特に好ましく用いられる。このような、1価の脂環式単位としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
【0049】
本発明において用いられる平均組成式(1)によって表されるブロック型オルガノハイドロジェンシリコーンの製造方法には特に限定はなく、従来公知の方法を利用することが可能である。
【0050】
例えば、[A−1]少なくともジアルキルシロキシ単位を有するポリジアルキルシロキサン(a−1)と少なくとも水素アルキルシロキシ単位を有するポリ水素アルキルシロキサン(a−2)とを、従来公知の触媒存在下、必要に応じて溶媒及び/又はヘキサメチルジシロキサン、1,1,3,3−ヘキサメチルジシロキサン等に代表される末端封止剤存在下で、所定の平均連鎖長を有するように平衡化反応に供することにより製造する方法が挙げられる。
【0051】
また、例えば、別な方法[A−2]として、末端に水酸基を有し、且つ、平均連鎖長が3以上100以下である(RSiO2/2)単位を含むポリジアルキルシロキサン(a−3)と、末端に水酸基を有し、且つ、平均連鎖長が2以上20以下である(RHSiO2/2)単位を含むポリ水素アルキルシロキサン(a−4)とを、従来公知の触媒存在下、必要に応じて溶媒存在下で、重縮合すること、或いは、該重縮合物を、引き続き、従来公知の触媒存在下、前記の末端封止剤存在下で末端を封止することも可能である。
【0052】
前記の(a−1)〜(a−4)は、例えば、以下の方法により製造することができる。
前記の(a−1)は、例えば、無置換又は置換された鎖状、分岐状及び環状よりなる構造群から選ばれる1種以上の構造からなる脂肪族炭化水素単位を有する、炭素数が1以上24以下及び酸素 数が0以上5以下の1価又は2価の脂肪族有機基、或いは、無置換又は置換された芳香族炭化水素単位であって、必要に応じて無置換又は置換された鎖状、分岐状及び環状よりなる構造群から選ばれる1種以上の構造からなる脂肪族炭化水素単位を有する、炭素数が6以上24以下及び酸素数が0以上5以下の1価の芳香族有機基、からなる群から選ばれる同種又は異種の2つの有機基と、2つのアルコキシ基とが珪素原子に結合したアルコキシシラン類及び/又は前記の2つのアルコキシ基の代わりに2つの塩素原子が珪素原子に結合したクロロシラン類を、従来公知の触媒存在下、或いは非存在下で加水分解後、必要に応じて重縮合することによって得ることが可能である。
【0053】
上記の加水分解を行う際には、必要に応じて、[A−1]記載の反応によって得られるオルガノハイドロジェンシリコーンが、本願発明を逸脱しない範囲となる量の下記1)〜3)を共存させることも可能である。
【0054】
1)無置換又は置換された鎖状、分岐状及び環状よりなる構造群から選ばれる1種以上の構造からなる脂肪族炭化水素単位を有する、炭素数が1以上24以下及び酸素数が0以上5以下の1価又は2価の脂肪族有機基、或いは、無置換又は置換された芳香族炭化水素単位であって、必要に応じて無置換又は置換された鎖状、分岐状及び環状よりなる構造群から選ばれる1種以上の構造からなる脂肪族炭化水素単位を有する、炭素数が6以上24以下及び酸素数が0以上5以下の1価の芳香族有機基、からなる群から選ばれる同種又は異種の3つの有機基と、1つのアルコキシ基とが珪素原子に結合したアルコキシシラン類、及び/又は前記の1つのアルコキシ基の代わりに1つの塩素原子が珪素原子に結合したクロロシラン類。
【0055】
2)テトラアルコキシシラン及び/又はテトラクロロシラン。
上記の加水分解によって得られた、或いは、加水分解後に重縮合して得られた、少なくとも水素アルキルシロキシ単位を有するポリ水素アルキルシロキサンは、引き続き、従来公知の触媒存在下、前記の末端封止剤存在下で末端を封止されたものであってもよい。
【0056】
また、前記の加水分解によって得られた、或いは、加水分解後に重縮合して得られた、少なくともジアルキルシロキシ単位を有するポリジアルキルシロキサンを、引き続き、従来公知の触媒存在下、ヘキサメチルジシロキサン、1,1,3,3−ヘキサメチルジシロキサン等に代表される末端封止剤存在下で末端を封止することも可能である。
【0057】
別な方法として、例えば、無置換又は置換された鎖状、分岐状及び環状よりなる構造群から選ばれる1種以上の構造からなる脂肪族炭化水素単位を有する、炭素数が1以上24以下及び酸素数が0以上5以下の1価又は2価の脂肪族有機基、或いは、無置換又は置換された芳香族炭化水素単位であって、必要に応じて無置換又は置換された鎖状、分岐状及び環状よりなる構造群から選ばれる1種以上の構造からなる脂肪族炭化水素単位を有する、炭素数が6以上24以下及び酸素数が0以上5以下の1価の芳香族有機基、からなる群から選ばれる同種又は異種の有機基が珪素原子に少なくとも2個以上結合した構造を有する環状シロキサン類を、従来公知の触媒、並びに、水、アルコール類、前記の末端封止剤、なる群から選ばれる1種以上の化合物の存在下、必要に応じて溶媒の存在下で、開環することにより製造することも可能である。
【0058】
上記の開環反応を行う際には、必要に応じて、[A−1]記載の反応によって得られるオルガノハイドロジェンシリコーンが、本願発明を逸脱しない範囲となる量の下記3)、4)を共存させることも可能である。
【0059】
3)無置換又は置換された鎖状、分岐状及び環状よりなる構造群から選ばれる1種以上の構造からなる脂肪族炭化水素単位を有する、炭素数が1以上24以下及び酸素数が0以上5以下の1価又は2価の脂肪族有機基、或いは、無置換又は置換された芳香族炭化水素単位であって、必要に応じて無置換又は置換された鎖状、分岐状及び環状よりなる構造群から選ばれる1種以上の構造からなる脂肪族炭化水素単位を有する、炭素数が6以上24以下及び酸素数が0以上5以下の1価の芳香族有機基、からなる群から選ばれる同種又は異種の3つの有機基と、1つのアルコキシ基とが珪素原子に結合したアルコキシシラン類。
【0060】
4)テトラアルコキシシラン。
上記の開環反応を、水存在下で実施することにより、少なくともジアルキルシロキシ単位を有するポリジアルキルシロキサンを製造した場合には、引き続き、従来公知の触媒存在下、前記の末端封止剤存在下で末端を封止することも可能である。
【0061】
前記の(a−2)は、例えば、無置換又は置換された鎖状、分岐状及び環状よりなる構造群から選ばれる1種以上の構造からなる脂肪族炭化水素単位を有する、炭素数が1以上24以下及び酸素数が0以上5以下の1価又は2価の脂肪族有機基、或いは、無置換又は置換された芳香族炭化水素単位であって、必要に応じて無置換又は置換された鎖状、分岐状及び環状よりなる構造群から選ばれる1種以上の構造からなる脂肪族炭化水素単位を有する、炭素数が6以上24以下及び酸素数が0以上5以下の1価の芳香族有機基、からなる群から選ばれる1つの有機基と1つの水素原子、並びに、2つのアルコキシ基とが珪素原子に結合したアルコキシシラン類、及び/又は前記の2つのアルコキシ基の代わりに塩素原子が珪素原子に結合したクロロシラン類を従来公知の触媒存在下、或いは非存在下で加水分解後、必要に応じて重縮合することによって得ることが可能である。上記の加水分解を行う際には、必要に応じて、本願発明を逸脱しない範囲の量の下記5)〜7)を共存させることも可能である。
【0062】
5)無置換又は置換された鎖状、分岐状及び環状よりなる構造群から選ばれる1種以上の構造からなる脂肪族炭化水素単位を有する、炭素数が1以上24以下及び酸素数が0以上5以下の1価又は2価の脂肪族有機基、或いは、無置換又は置換された芳香族炭化水素単位であって、必要に応じて無置換又は置換された鎖状、分岐状及び環状よりなる構造群から選ばれる1種以上の構造からなる脂肪族炭化水素単位を有する、炭素数が6以上24以下及び酸素数が0以上5以下の1価の芳香族有機基、からなる群から選ばれる同種又は異種の2つの有機基と1つの水素原子、並びに、1つのアルコキシ基とが珪素原子に結合したアルコキシシラン類、及び/又は前記の1つのアルコキシ基の代わりに1つの塩素原子が珪素原子に結合したクロロシラン類。
【0063】
6)テトラアルコキシシラン及び/又はテトラクロロシラン。
上記の加水分解によって得られた、或いは、加水分解後に重縮合して得られた、少なくとも水素アルキルシロキシ単位を有するポリ水素アルキルシロキサンは、引き続き、従来公知の触媒存在下、ヘキサメチルジシロキサン、1,1,3,3−ヘキサメチルジシロキサン等に代表される末端封止剤存在下で末端を封止されたものであってもよい。
【0064】
別な方法として、例えば、無置換又は置換された鎖状、分岐状及び環状よりなる構造群から選ばれる1種以上の構造からなる脂肪族炭化水素単位を有する、炭素数が1以上24以下及び酸素数が0以上5以下の1価又は2価の脂肪族有機基、或いは、無置換又は置換された芳香族炭化水素単位であって、必要に応じて無置換又は置換された鎖状、分岐状及び環状よりなる構造群から選ばれる1種以上の構造からなる脂肪族炭化水素単位を有する、炭素数が6以上24以下及び酸素数が0以上5以下の1価の芳香族有機基、からなる群から選ばれる1つの有機基と1つの水素原子とが珪素原子に結合した水素アルキルシロキシ単位からなる環状シロキサン類を、従来公知の触媒、並びに、水、アルコール類、前記の末端封止剤なる群から選ばれる1種以上の化合物の存在下、必要に応じて溶媒の存在下で、開環することにより製造することも可能である。
【0065】
上記の開環反応を行う際には、必要に応じて、[A−1]記載の反応によって得られるオルガノハイドロジェンシリコーンが、本願発明を逸脱しない範囲となる量の下記7)、8)を共存させることも可能である。
【0066】
7)無置換又は置換された鎖状、分岐状及び環状よりなる構造群から選ばれる1種以上の構造からなる脂肪族炭化水素単位を有する、炭素数が1以上24以下及び酸素数が0以上5以下の1価又は2価の脂肪族有機基、或いは、無置換又は置換された芳香族炭化水素単位であって、必要に応じて無置換又は置換された鎖状、分岐状及び環状よりなる構造群から選ばれる1種以上の構造からなる脂肪族炭化水素単位を有する、炭素数が6以上24以下及び酸素数が0以上5以下の1価の芳香族有機基、からなる群から選ばれる同種又は異種の2つの有機基と1つの水素原子、並びに、1つのアルコキシ基とが珪素原子に結合したアルコキシシラン類。
【0067】
8)テトラアルコキシシラン。
上記の開環反応を、水存在下で実施することにより、少なくとも水素アルキルシロキシ単位を有するポリ水素アルキルシロキサンを製造した場合には、引き続き、従来公知の触媒存在下、前記の末端封止剤存在下で末端を封止することも可能である。
【0068】
前記の(a−3)は、例えば、無置換又は置換された鎖状、分岐状及び環状よりなる構造群から選ばれる1種以上の構造からなる脂肪族炭化水素単位を有する、炭素数が1以上24以下及び酸素数が0以上5以下の1価又は2価の脂肪族有機基、或いは、無置換又は置換された芳香族炭化水素単位であって、必要に応じて無置換又は置換された鎖状、分岐状及び環状よりなる構造群から選ばれる1種以上の構造からなる脂肪族炭化水素単位を有する、炭素数が6以上24以下及び酸素数が0以上5以下の1価の芳香族有機基、からなる群から選ばれる同種又は異種の2つの有機基を有するアルコキシシラン類及び/又はクロロシラン類を触媒存在下、或いは非存在下で加水分解後、必要に応じて重縮合する方法によって得ることが可能である。
【0069】
上記の加水分解を行う際には、必要に応じて、得られるポリジアルキルシロキサンのジアルキルシロキシ単位の平均連鎖長が3以上100以下の範囲となる量の前記の1)、2)を共存させることも可能である。
【0070】
また、別な方法として、例えば、無置換又は置換された鎖状、分岐状及び環状よりなる構造群から選ばれる1種以上の構造からなる脂肪族炭化水素単位を有する、炭素数が1以上24以下及び酸素数が0以上5以下の1価又は2価の脂肪族有機基、或いは、無置換又は置換された芳香族炭化水素単位であって、必要に応じて無置換又は置換された鎖状、分岐状及び環状よりなる構造群から選ばれる1種以上の構造からなる脂肪族炭化水素単位を有する、炭素数が6以上24以下及び酸素数が0以上5以下の1価の芳香族有機基、からなる群から選ばれる同種又は異種の2つの有機基が珪素原子に結合した構造を有する環状シロキサン類を、従来公知の触媒、並びに、水、アルコール類なる群から選ばれる1種以上の化合物の存在下、必要に応じて溶媒の存在下で、開環することにより製造することも可能である。
【0071】
上記の開環反応を行う際には、必要に応じて、得られるポリジアルキルシロキサンのジアルキルシロキシ単位の平均連鎖長が3以上100以下の範囲となる量の前記の3)、4)を共存させることも可能である。
【0072】
前記の(a−4)は、例えば、無置換又は置換された鎖状、分岐状及び環状よりなる構造群から選ばれる1種以上の構造からなる脂肪族炭化水素単位を有する、炭素数が1以上24以下及び酸素数が0以上5以下の1価又は2価の脂肪族有機基、或いは、無置換又は置換された芳香族炭化水素単位であって、必要に応じて無置換又は置換された鎖状、分岐状及び環状よりなる構造群から選ばれる1種以上の構造からなる脂肪族炭化水素単位を有する、炭素数が6以上24以下及び酸素数が0以上5以下の1価の芳香族有機基、からなる群から選ばれる1つの有機基と1つの水素原子、並びに、2つのアルコキシ基とが珪素原子に結合したアルコキシシラン類、及び/又は前記の2つのアルコキシ基の代わりに塩素原子が珪素原子に結合したクロロシラン類を従来公知の触媒存在下、或いは非存在下で加水分解後、必要に応じて重縮合することによって得ることが可能である。
【0073】
上記の加水分解を行う際には、必要に応じて、得られるポリ水素アルキルシロキサンの水素アルキルシロキシ単位の平均連鎖長が2以上20以下の範囲となる量の前記の5)、6)を共存させることも可能である。
【0074】
また、別な方法として、例えば、無置換又は置換された鎖状、分岐状及び環状よりなる構造群から選ばれる1種以上の構造からなる脂肪族炭化水素単位を有する、炭素数が1以上24以下及び酸素数が0以上5以下の1価又は2価の脂肪族有機基、或いは、無置換又は置換された芳香族炭化水素単位であって、必要に応じて無置換又は置換された鎖状、分岐状及び環状よりなる構造群から選ばれる1種以上の構造からなる脂肪族炭化水素単位を有する、炭素数が6以上24以下及び酸素数が0以上5以下の1価の芳香族有機基、からなる群から選ばれる1つの有機基と、1つの水素原子とが珪素原子に結合した水素アルキルシロキシ単位からなる環状シロキサン類を、従来公知の触媒、並びに、水、アルコール類なる群から選ばれる1種以上の化合物の存在下、必要に応じて溶媒の存在下で、開環することにより製造することも可能である。
【0075】
上記の開環反応を行う際には、必要に応じて、得られるポリ水素アルキルシロキサンの水素アルキルシロキシ単位の平均連鎖長が2以上20以下の範囲となる量の前記の7)、8)を共存させることも可能である。
【0076】
上記の方法等で製造されたブロック型オルガノハイドロジェンシリコーン中には、該ブロック型オルガノハイドロジェンシリコーンを製造する際に用いられた触媒が残留する場合がある。該触媒がブロック型オルガノハイドロジェンシリコーン中に残留している場合には、前記の副生する環状物等を加熱減圧条件等に供することにより除去する及び/又は前記の脱溶媒操作を行う際や、ブロック型オルガノハイドロジェンシリコーンの保存中に、シリコーンの平衡化反応が進行する場合がある。本願発明のブロック型オルガノハイドロジェンシリコーンを安定的に製造するためには、[A−1]又は[A−2]の後に該触媒を固液分離、中和、水洗等から選ばれる1種以上の操作によって除去、或いは、失活しておくことが好ましい。
【0077】
上記の[A−1]又は[A−2]の反応に引き続いて、環状物や、余剰の末端封止剤等を分離、或いは、低減する操作を行うこともできる。また、前記[A−1]又は[A−2]の反応を行う際に溶媒を用いた場合には、引き続いて、溶媒を分離、或いは、低減する操作を行うこともできる。前記の環状物や、余剰の末端封止剤等を分離、或いは、低減する操作と溶媒を分離、或いは、低減する操作とは、同時、或いは、組み合わせて行うことも当然可能である。
【0078】
前記の環状物や、余剰の末端封止剤等や、溶媒を分離、或いは、低減する方法は、本発明の平均組成式(1)によって表されるブロック型オルガノハイドロジェンシリコーンが得られれば特に限定はなく、例えば、環状物や、余剰の末端封止剤等や、溶媒を留去する方法、或いは、ブロック型オルガノハイドロジェンシリコーンが高い揮発性を有する化合物の場合、蒸留によりブロック型オルガノハイドロジェンシリコーンを分離回収する方法、等が挙げられる。この際、ブロック型オルガノハイドロジェンシリコーンと前記の環状物や、余剰の末端封止剤等や、溶媒との分離は、同時に行う方法、前記の環状物や、余剰の末端封止剤等や、溶媒とを各々個別に分離する方法、或いは、これらを混合した方法によって実施してもよい。更に、前記の分離操作は、一度に実施することも、或いは、同一又は異なる条件にて繰り返し実施することも可能である。
【0079】
前記の環状物や、余剰の末端封止剤等や、溶媒とを分離する際の雰囲気は、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、炭酸ガス等の不活性ガス、炭素数1以上4以下の低級飽和炭化水素系ガス、空気なる群から選ばれる少なくとも1種のガスの雰囲気下、流通下、減圧下又は加圧下、バブリング下、或いは、これらを組み合わせた条件下で行うことができる。これらのガスは、一種又は二種以上の混合ガスとして用いることができる。これらの内、好ましいガスは、前記不活性ガス、炭素数1以上4以下の低級飽和炭化水素系ガスであり、更に好ましくは、前記不活性ガスであり、より好ましくは窒素である。
【0080】
前記の環状物や、余剰の末端封止剤等や、溶媒とを分離する際の温度は、環状物や、余剰の末端封止剤等や、溶媒を分離し、且つ、ブロック型オルガノハイドロジェンシリコーンの変性を抑制する上で、好ましくは0℃以上400℃以下の範囲、好ましくは5℃以上350℃以下の範囲、より好ましくは30℃以上320℃以下の範囲である。前記範囲内であれは、温度は一定の温度である必要はなく、途中で温度を変化させることも可能である。
【0081】
前記の環状物や、余剰の末端封止剤等や、溶媒とを分離する工程には、環状物や、余剰の末端封止剤等や、溶媒の含有量が低減して粘度が上昇した場合においても、効率的に環状物や、余剰の末端封止剤等や、溶媒を分離し得る装置を用いることが好ましい。この様な装置としては、例えば、竪型撹拌槽、表面更新型撹拌槽反応器、表面更新型二軸混練反応器、二軸横型撹拌反応器、濡れ壁式反応器、自由落下型の多孔板型反応器、支持体に沿わせて化合物を落下させながら揮発成分を留去させる反応器等が挙げられる。これらの装置は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることも可能である。
【0082】
上記の方法等により、環状物や、余剰の末端封止剤等の含有量が低減された平均組成式(1)によって表されるブロック型オルガノハイドロジェンシリコーンを得ることができる。
【0083】
本発明において用いられるエポキシ変性シリコーンは、平均組成式(1)によって表されるブロック型オルガノハイドロジェンシリコーンのSiH単位に対し、炭素−炭素2重結合及びエポキシ基を有する化合物(a)を含むビニル化合物(b)をヒドロシリル化反応により付加して得られるものである。本発明では、ビニル化合物(b)の全部が炭素−炭素2重結合及びエポキシ基を有する化合物(a)であってもよく、また、ビニル化合物(b)の一部が炭素−炭素2重結合及びエポキシ基を有する化合物(a)であってもよい。
【0084】
本発明において用いることができる炭素−炭素2重結合及びエポキシ基を有する化合物(a)には特に限定はなく、例えば、エポキシ基及び炭素−炭素2重結合を必須構成単位として有する、無置換又は置換された鎖状、分岐状及び環状よりなる構造群から選ばれる1種以上の構造からなる脂肪族炭化水素単位を有する炭素数が3以上24以下及び酸素数が0以上5以下の化合物が例示できる。この様な化合物としては、例えば、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、2−メチルアリルグリシジルエーテル、ブテニルグリシジルエーテル、1,2−エポキシ−3−ブテン、1,2−エポキシ−4−ペンテン、1,2−エポキシ−5−ヘキセン、1,2−エポキシ−6−ヘプテン、1,2−エポキシ−7−オクテン、1,2−エポキシ−8−ノネン、1,2−エポキシ−9−デセン、1,2−エポキシ−10−ウンデセン、1,2−エポキシ−11−ドデセン、1,2−エポキシ−12−トリデセン、1,2−エポキシ−13−テトラデセン、1,2−エポキシ−14−ペンタデセン、1,2−エポキシ−15−ヘキサデセン、1,2−エポキシ−16−ヘプタデセン、1,2−エポキシ−17−オクタデセン、1,2−エポキシ−18−ノナデセン、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、4−ビニル−シクロへキセンオキサイド、1−メチル−4−イソプロペニルシクロヘキセンオキサイド、1,4−ジメチル−4−ビニル−シクロへキセンオキサイド、ビニルノルボルネンオキサイド等が挙げられる。これらは1種又は2種以上の混合物として用いることも可能である。更に、光学異性体が存在する場合には、2種以上の混合物として利用することも可能である。
【0085】
これらの内、得られるエポキシ変性シリコーンを硬化させる際の硬化速度が高まる、或いは、エポキシ変性シリコーンを用いて得られた硬化物の耐光性が高まることから、1,2−エポキシ−3−ブテン、1,2−エポキシ−4−ペンテン、1,2−エポキシ−5−ヘキセン、1,2−エポキシ−6−ヘプテン、1,2−エポキシ−7−オクテン、1,2−エポキシ−8−ノネン、1,2−エポキシ−9−デセン、1,2−エポキシ−10−ウンデセン、1,2−エポキシ−11−ドデセン、1,2−エポキシ−12−トリデセン、1,2−エポキシ−13−テトラデセン、1,2−エポキシ−14−ペンタデセン、1,2−エポキシ−15−ヘキサデセン、1,2−エポキシ−16−ヘプタデセン、1,2−エポキシ−17−オクタデセン、1,2−エポキシ−18−ノナデセン及び下記一般式(3)で表される群から選ばれる少なくとも1種の、炭素−炭素2重結合を有するエポキシシクロアルカンを用いることが好ましく、下記一般式(2)で表される群からなる少なくとも1種の、炭素−炭素2重結合を有するエポキシシクロアルカンを用いることが更に好ましい。
【0086】
CH=CR−EPO・・・(3)
[ただし、Rは水素又は炭素数1以上4以下の鎖状又は分岐状の1価の炭化水素基を表す。また、EPOは炭素数10以下のエポキシシクロアルキル基を表し、炭素数が前記範囲内であれば、鎖状、分岐状の炭化水素基を置換基として有していてもよい。]
【0087】
一般式(3)で表される化合物としては、例えば、4−ビニル−シクロへキセンオキサイド、1−メチル−4−イソプロペニルシクロヘキセンオキサイド、1,4−ジメチル−4−ビニル−シクロへキセンオキサイド、ビニルノルボルネンオキサイド、等が用いられ、更に好ましくは、4−ビニル−シクロへキセンオキサイドが用いられる。
【0088】
ビニル化合物(b)において用いることができる、炭素−炭素2重結合及びエポキシ基を有する化合物(a)以外のビニル化合物としては、例えば、
(ア)エポキシ基を含有せず、炭素−炭素2重結合を必須構成単位として有する、無置換又は置換された鎖状、分岐状及び環状よりなる構造群から選ばれる1種以上の構造からなる脂肪族炭化水素単位を有する炭素数が3以上24以下及び酸素数が0以上5以下の化合物、
【0089】
(イ)炭素−炭素2重結合を必須構成単位として有し、無置換又は置換された芳香族炭化水素単位と、必要に応じて無置換又は置換された鎖状、分岐状及び環状よりなる構造群から選ばれる1種以上の構造からなる脂肪族炭化水素単位を有する、炭素数が8以上24以下及び酸素数が0以上5以下の化合物、
【0090】
(ウ)下記一般式(4)で表される分子内に1個以上の炭素−炭素2重結合を含有するシラン、
CH=CH−SiR ・・・(4)
[但し、Rは各々独立に、a)ハロゲン原子、b)無置換又は置換された鎖状、分岐状及び環状よりなる構造群から選ばれる1種以上の構造からなる脂肪族炭化水素単位を有する炭素数が1以上10以下及び酸素数が0以上5以下の1価の脂肪族有機基、或いは、c)無置換又は置換された芳香族炭化水素単位と、必要に応じて無置換又は置換された鎖状、分岐状及び環状よりなる構造群から選ばれる1種以上の構造からなる脂肪族炭化水素単位を有する炭素数が6以上10以下及び酸素数が0以上5以下の1価の芳香族有機基、なる群から選ばれる少なくとも1種以上の有機基を表す。
上記の有機基は、前記の炭素数及び酸素数の範囲内であれば、有機基としてヒドロキシル基、アシル基、アルケニルオキシ基、アシルオキシ基、ハロゲン原子を含んでいてもよい。]
【0091】
(エ)下記平均組成式(5)で表される分子内に1個以上の炭素−炭素2重結合を含有するシロキサン、
(RSiO1/2)(RSiO2/2)(RSiO3/2)(SiO4/2) ・・(5)
[但し、Rは各々独立に、a]炭素−炭素2重結合、b)炭素数1以上10以下の鎖状、分岐状、環状からなる群から選ばれる少なくとも1種以上の構造からなる1価の脂肪族有機基、c)無置換又は置換された芳香族炭化水素単位と、必要に応じて無置換又は置換された鎖状、分岐状及び環状よりなる構造群から選ばれる1種以上の構造からなる脂肪族炭化水素単位を有する炭素数6以上10以下及び酸素数が0以上5以下の1価の芳香族有機基である。ここで、少なくともRの1個以上は炭素−炭素2重結合を有する有機基である。
【0092】
上記の有機基は、前記の炭素数及び酸素数の範囲内であれば、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アシル基、カルボキシル基、アルケニルオキシ基、アシルオキシ基、ハロゲン原子、或いは、エステル結合を含んでいてもよい。また、窒素、リン、硫黄等の酸素を除くヘテロ原子を含んでいてもよい。]
等を用いることができる。
【0093】
なお、平均組成式(5)中のp、q、r、sは、分子内に1個以上の炭素−炭素2重結合を含有するシロキサン1モル中に存在する各単位のモル数を表し、qは各々0以上の数値、rは各々0以上の数値、sは0以上の数値であり、且つ、p、q、rは同時にゼロとなることはない。
【0094】
また、上記のq、r、sが各々下記式(13)、式(14)、式(15)を同時に満足する場合には、上記のp、r、sは、式(16)を満足する範囲から選択される数値である。
q≠0 ・・・式(13)
r≠0 ・・・式(14)
s≠0 ・・・式(15)
0≦p≦r+2s+2 ・・・式(16)
【0095】
更に、上記のr、sが下記式(17)、式(18)を同時に満足する場合には、上記のpは下記式(19)を満足する範囲から選択される数値である。
r=0 ・・・式(17)
s=0 ・・・式(18)
0≦p≦2 ・・・式(19)
【0096】
また、上記のr、sが各々下記式(14)、式(18)を同時に満足する場合には、上記のp、rは、式(20)を満足する範囲から選択される数値である。
r≠0 ・・・式(14)
s=0 ・・・式(18)
0≦p≦r+2 ・・・式(20)
【0097】
更に、上記のr、sが各々下記式(17)、式(15)を同時に満足する場合には、上記のp、rは、式(21)を満足する範囲から選択される数値である。
r=0 ・・・式(17)
s≠0 ・・・式(15)
0≦p≦2s+2 ・・・式(21)
【0098】
また、分子内に1個以上の炭素−炭素2重結合を含有するシロキサンは、前記平均組成式(4)で示される構造であれば特に限定はなく、直鎖状、環状、分岐状、ラダー状、籠状等いずれの構造でもよく、これらの2種以上の混合物であってもよい。また、各々の構造単位が、ブロック的な連鎖構造を有していてもよいし、ランダムに分散していてもよく、これらの混合物であってもよい。
【0099】
上記の(ア)〜(エ)の化合物は、1種又は2種以上の混合物として用いることが可能である。また、これらの化合物には、前記の炭素数及び酸素数の範囲内であれば、ヒドロキシル基、アシル基、カルボキシル基、アルケニルオキシ基、アシルオキシ基、ハロゲン原子、或いは、エステル結合、更には、酸素原子を除く窒素、リン、硫黄等のヘテロ原子を含んでいてもよい。
【0100】
上記の(ア)エポキシ基を含有せず、炭素−炭素2重結合を必須構成単位として有する、無置換又は置換された鎖状、分岐状及び環状よりなる構造群から選ばれる1種以上の構造からなる脂肪族炭化水素単位を有する炭素数が3以上24以下及び酸素数が0以上5以下の化合物の具体例としては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、シクロペンテン、シクロヘキセン、メチルシクロヘキセン、ノルボルネン、ビニルシクロヘキサン、ビニルデカヒドロナフタレン、ジシクロペンタジエン、ノルボルナジエン、1,2,4−トリビニルシクロヘキサン、アクリル酸、メタアクリル酸、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタアクリレート、グリセリンジアクリレート、グリセリンジメタアクリレート、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル、アリルメチルエーテル、アリルエチルエーテル、アリルプロピルエーテル、メトキシポリエチレングリコールアリルエーテル(エチレングリコール単位の重合度1〜4)等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上の混合物として使用することが可能である。
【0101】
一方、(イ)炭素−炭素2重結合を必須構成単位として有し、無置換又は置換された芳香族炭化水素単位と、必要に応じて無置換又は置換された鎖状、分岐状及び環状よりなる構造群から選ばれる1種以上の構造からなる脂肪族炭化水素単位を有する、炭素数が8以上24以下及び酸素数が0以上5以下とからなる化合物の具体例としては、例えば、スチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、α―メチルスチレン、桂皮酸、等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上の混合物として使用することが可能である。
【0102】
また、(ウ)分子内に1個以上の炭素−炭素2重結合を含有するシランの具体例としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリ−t−ブトキシシラン、ビニルトリイソプロペノキシシラン等の炭素−炭素2重結合を1個有する脂肪族ビニルアルコキシシラン、ビニルフェニルメチルメトキシシラン、ビニルフェニルジエトキシシラン、ビニルジフェニルエトキシシラン等の炭素−炭素2重結合を1個有する芳香族ビニルアルコキシシラン、ジビニルジメトキシシラン、ジビニルジエトキシシラン、トリビニルメトキシシラン、トリビニルエトキシシラン等の炭素−炭素2重結合を2個以上有する脂肪族ビニルアルコキシシラン、ジビニルジフェノキシシラン、トリビニルフェノキシシラン等の炭素−炭素2重結合を2個以上有する芳香族ビニルアルコキシシラン、ビニルトリメチルシラン、ビニルエチルジメチルシラン、ビニルジエチルメチルシラン、ビニルトリエチルシラン、ビニルトリプロピルシラン、ビニルトリイソプロピルシラン、ビニルトリブチルシラン、ビニルトリ−t−ブチルシラン、ビニル−t−ブチルジメチルシラン、ビニルトリペンチルシラン、ビニルトリヘキシルシラン、ビニルトリシクロヘキシルシラン、ビニルトリヘプチルシラン、ビニルトリオクチルシラン、ビニルトリノニルシラン、ビニルトリデシルシラン、ビニルメチルシラシクロペンタン等の炭素−炭素2重結合を1個有するビニルアルキルシラン、ビニルフェニルジメチルシラン、ビニルフェニルジエチルシラン、ビニルジフェニルメチルシラン、ビニルトリフェニルシラン、ビニルトリトリルシラン等の炭素−炭素2重結合を1個有するビニルアリールシラン、ビニルベンジルジメチルシラン、ビニルベンジルジエチルシラン、ビニルジベンジルメチルシラン、ビニルトリベンジルシラン、ビニルトリフェネチルシラン等の炭素−炭素2重結合を1個有するビニルアラルキルシラン、ジビニルジメチルシラン、ジビニルジエチルシラン、ジビニルエチルメチルシラン、トリビニルメチルシラン、トリビニルエチルシラン等の炭素−炭素2重結合を2個以上有するビニルアルキルシラン、ジビニルジフェニルシラン、ジビニルジトリルシラン、トリビニルフェニルシラン、トリビニルトリルシラン等の炭素−炭素2重結合を2個以上有するビニルアリールシラン、ビニル(クロロメチル)ジメチルシラン、ビニル(トリフルオロメチル)ジメチルシラン、ビニル(3,3,3−トリフルオロプロピル)ジメチルシラン等の炭素−炭素2重結合を1個有するハロゲン置換された炭化水素基を有するビニルハロ置換アルキルシラン、ビニルジメチルフルオロシラン、ビニルジメチルクロロシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルエチルジクロロシラン、ビニルオクチルジクロロシラン、ビニル(ブロモメチル)ジクロロシラン、ビニルフェニルジクロロシラン、ビニルジフェニルクロロシラン、ビニルフェニルメチルクロロシラン等の炭素−炭素2重結合を1有し、少なくとも1個以上のハロゲン原子がケイ素原子に結合したビニルハロシラン、ジビニルジクロロシラン、トリビニルクロロシラン等の炭素−炭素2重結合を2個以上有し、ハロゲン原子がケイ素原子に結合したビニルハロシラン等が例示できる。これらの分子内に1個以上の炭素−炭素2重結合を含有するシランは1種又は2種以上の混合物として使用することが可能である。
【0103】
更に、(エ)分子内に1個以上の炭素−炭素2重結合を含有するシロキサンとしては、有機基Rのb)炭素数1以上10以下の鎖状、分岐状、環状からなる群から選ばれる少なくとも1種以上の構造からなる1価の脂肪族有機基が、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−ノニル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、ノルボニル基等の飽和炭化水素基、クロロメチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等の、ハロゲン原子で置換された飽和炭化水素基、等や、c)無置換又は置換された芳香族炭化水素単位と、必要に応じて無置換又は置換された鎖状、分岐状及び環状よりなる構造群から選ばれる1種以上の構造からなる脂肪族炭化水素単位を有する炭素数6以上10以下及び酸素数が0以上5以下の1価の芳香族有機基が、例えば、フェニル基、トリル基、ベンジル基等の芳香族炭化水素基、4−クロロベンジル基等の、ハロゲン原子で置換された芳香族炭化水素基、等が挙げられる。
【0104】
これらの内、ヒドロシリル化反応後に得られるエポキシ変性シリコーンを用いて得られる硬化物の耐光性が高まることから、ビニル化合物(b)としては、ヒドロキシル単位、アルコキシ単位、アシル単位、カルボキシル単位、アルケニルオキシ単位、アシルオキシ単位、芳香族炭化水素単位、ハロゲン原子、或いは、エステル結合、更には、酸素原子を除くヘテロ原子を含有しない(ア)エポキシ基を含有せず、炭素−炭素2重結合を必須構成単位として有する、無置換又は置換された鎖状、分岐状及び環状よりなる構造群から選ばれる1種以上の構造からなる脂肪族炭化水素単位を有する炭素数が3以上20以下及び酸素数が0以上5以下の化合物、(ウ)分子内に1個以上の炭素−炭素2重結合を含有するシラン、(エ)分子内に1個以上の炭素−炭素2重結合を含有するシロキサンなる群から選ばれる少なくとも1種以上の化合物が好ましく用いられる。(ア)エポキシ基を含有せず、炭素−炭素2重結合を必須構成単位として有する、無置換又は置換された鎖状、分岐状及び環状よりなる構造群から選ばれる1種以上の構造からなる脂肪族炭化水素単位を有する炭素数が3以上20以下及び酸素数が0以上5以下の化合物としては、ビニル化合物の取り扱い性が高まる、或いは、余剰の化合物の留去が容易となることから、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、シクロペンテン、シクロヘキセン、メチルシクロヘキセン、ノルボルネン、ビニルシクロヘキサンがより好ましく用いられる。
【0105】
一方、(ウ)分子内に1個以上の炭素−炭素2重結合を含有するシランとしては、余剰の化合物の留去が容易となることから、ビニルトリメチルシラン、ビニルエチルジメチルシラン、ビニルジエチルメチルシラン、ビニルトリエチルシランがより好ましく用いられる。また、(エ)分子内に1個以上の炭素−炭素2重結合を含有するシロキサンとしては、立体障害を緩和してヒドロシリル化反応を安定的に、且つ、再現性よく進行させることが容易となることから、qは50以下の範囲、且つ、rは10以下の範囲、sは10以下の範囲を同時に満足することが好ましく、sがゼロであるものが更に好ましく、qは20以下の範囲、且つ、rは5以下の範囲、sがゼロ、且つ、r/(p+q+r)が0.02以下であるものがより好ましく、qは15以下の範囲、且つ、rは3以下の範囲、sがゼロ、且つ、r/(p+q+r)が0.01以下であるものが特に好ましく、qは10以下の範囲、且つ、s及びr/(p+q+r)の値がゼロであるものが望ましく、例えば、ビニルペンタメチルジシロキサン、ビニルヘプタメチルトリシロキサン等の分子鎖の片末端にジメチルビニルシロキシ基を有し、且つ、他の置換基がアルキル基であるシロキサン、ビニルメチルビス(トリメチルシロキシ)シラン等の分子鎖中にジメチルビニルシロキシ基を有する、分子内に1個の炭素−炭素2重結合を含有し、他の置換基が飽和炭化水素基であるシロキサン、1,3−ジビニル−テトラメチルジシロキサン等の両末端がジメチルビニルシロキシ基であり、他の置換基が飽和炭化水素基である分子内に2個の炭素−炭素2重結合を有するシロキサン、1,3,5−トリビニル−1,1,3,5,5−ペンタメチルトリシロキサン、1,3,5−トリビニル−1,3,5−トリメチルシクロトリシロキサントリス(ビニルジメチルシロキシ)メチルシラン、1,3,5,7−テトラビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラビニル−1,3,5,7−テトラエチルシクロテトラシロキサン、等の分子内に3個以上の炭素−炭素2重結合を含有し、他の有機基が飽和炭化水素基であるシロキサン等が挙げられる。
【0106】
平均組成式(5)で表される分子内に1個以上の炭素−炭素2重結合を含有するシロキサンのp〜sの値は、平均組成式(1)で表されるブロック型オルガノハイドロジェンシリコーンで用いた方法と同様の方法にて算出することができる。
【0107】
本発明において用いられるエポキシ変性シリコーンは、平均組成式(1)で表されるブロック型オルガノハイドロジェンシリコーンに対し、炭素−炭素2重結合及びエポキシ基を有する化合物(a)を含むビニル化合物(b)を付加して得られるエポキシ変性シリコーンである。
【0108】
平均組成式(1)で表されるブロック型オルガノハイドロジェンシリコーンと同じ組成を有し、且つ、各単位構造がランダム型に配列されたランダム型オルガノハイドロジェンシリコーンに対して炭素−炭素2重結合及びエポキシ基を有する化合物(a)と炭素−炭素2重結合及びエポキシ基を有する化合物(a)以外のビニル化合物とを付加して得られたエポキシ変性シリコーンに比較して、平均組成式(1)で表されるブロック型オルガノハイドロジェンシリコーンのSiH単位に対して、炭素−炭素2重結合及びエポキシ基を有する化合物(a)と炭素−炭素2重結合及びエポキシ基を有する化合物(a)以外のビニル化合物とを付加して得られたエポキシ変性シリコーンの耐熱性が著しく高まることから、平均組成式(1)によって表されるブロック型オルガノハイドロジェンシリコーンのSiH単位の合計モル数に対し、炭素−炭素2重結合及びエポキシ基を有する化合物(a)を付加させるSiH単位のモル数の分率は、70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることが更に好ましく、95%以上であることが特に好ましい。
【0109】
本発明において用いられるエポキシ変性シリコーンは、本願の平均組成式(1)によって表されるブロック型オルガノハイドロジェンシリコーンのSiH単位に対し、炭素−炭素2重結合及びエポキシ基を有する化合物を含むビニル化合物をヒドロシリル化触媒存在下で、ヒドロシリル化反応により付加して得られるものである。
【0110】
ヒドロシリル化触媒が存在しない場合には、平均組成式(1)で表させるブロック型オルガノハイドロジェンシリコーンのSiH単位と炭素−炭素2重結合及びエポキシ基を有する化合物を含むビニル化合物とのヒドロシリル化反応が進行しない。
【0111】
本発明において用いることができるヒドロシリル化触媒としては、従来公知のものが使用可能である。この様なヒドロシリル化触媒としては、例えば、周期表第8属の金属の単体、該金属固体をアルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に担持させたもの、該金属の塩、或いは、該金属の錯体等が例示される。周期表第8族の金属としては、白金、ロジウム、ルテニウムが好ましく、特に白金が好ましい。白金を用いたヒドロシリル化反応触媒としては、例えば、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトンとの錯体、白金−ビニルシロキサン錯体、白金−ホスフィン錯体、白金−ホスファイト錯体、ジカルボニルジクロロ白金、ジシクロペンタジエニルジクロロ白金等が挙げられる。
【0112】
ヒドロシリル化反応の際に用いられる触媒の量は、平均組成式(1)で表されるブロック型オルガノハイドロジェンシリコーン、用いるビニル化合物、用いる溶媒により大きく異なるが、通常、該ブロック型オルガノハイドロジェンシリコーンの質量に対し、周期表第8属の金属原子として、0.1ppm以上1,000ppm以下の範囲で用いられる。触媒量が0.1ppm未満の場合にはヒドロシリル化反応が進行しない場合があり、1,000ppmを超える場合には、ヒドロシリル化反応に供する炭素−炭素2重結合及びエポキシ基を有する化合物を含むビニル化合物の変性が著しく生じる場合や、反応系著しく着色して透明なエポキシ変性シリコーンを回収できない場合がある。ヒドロシリル化反応を再現性ある速度で行う、或いは、本発明において用いられるエポキシ変性シリコーンを再現性よく製造する上で、好ましくは1ppm以上500ppmの範囲、より好ましくは1.5ppm以上100ppm以下の範囲、更に好ましくは2ppm以上50ppmの範囲、特に好ましくは3ppm以上25ppmの範囲、で用いられる。ヒドロシリル化反応の際に用いられる触媒の量は、上記の範囲内であれば一定である必要は無く、反応初期や反応途中において変化させてもよい。
【0113】
ヒドロシリル化反応の際に、平均組成式(1)によって表されるブロック型オルガノハイドロジェンシリコーンのSiH単位の合計モル数に対して、炭素−炭素2重結合及びエポキシ基を有する化合物(a)を含むビニル化合物(b)を共存させる合計モル数は、通常、1倍以上1000倍以下の範囲である。
【0114】
ヒドロシリル化反応終了後のエポキシ変性シリコーン中の残留SiH単位の量を低減、或いは、該エポキシ変性シリコーンを含む反応混合物から、未反応のビニル化合物を含む炭素−炭素2重結合を有する化合物を分離する工程の負荷が低減されることから、反応系に共存させる上記の炭素−炭素2重結合及びエポキシ基を有する化合物(a)を含むビニル化合物(b)の合計モル数は、平均組成式(1)によって表されるブロック型オルガノハイドロジェンシリコーンのSiH単位の合計モル数に対し、1倍以上100倍以下が好ましく、1倍以上60倍以下が更に好ましく、1倍以上50倍以下が特に好ましく、1倍以上50倍以下が望ましく、1倍以上30倍以下が特に望ましい。SiH単位の合計モル数に対して、反応系に共存させるビニル化合物(b)の合計モル数は、上記の範囲内であれば一定である必要は無く、反応初期や反応途中において変化させてもよい。
【0115】
本発明において、ヒドロシリル化反応を行う際の反応温度は、用いる平均組成式(1)で表されるブロック型オルガノハイドロジェンシリコーンの種類や分子量、或いは、炭素−炭素2重結合及びエポキシ基を有する化合物を含むビニル化合物の種類、更には、回分式、半回分式、或いは連続式等の反応様式によっても異なるが、反応速度を高め、効率的に反応を完結させる観点において0℃以上250℃以下の範囲が好ましく、10℃以上200℃以下の範囲が更に好ましく、20℃以上150℃以下の範囲がより好ましく、30℃以上120℃以下の範囲が特に好ましい。反応温度は、上記の範囲内であれば一定である必要は無く、反応初期や反応途中において変化させてもよい。
【0116】
本発明において、ヒドロシリル化反応を行う際、ヒドロシリル化反応による反応熱の除去を可能とし、得られるエポキシ変性シリコーンの変性を抑制する及び/又は付加反応による反応系の粘度上昇を抑制する、更には、ヒドロシリル化反応時に変性途中のオルガノシリコーンと炭素−炭素2重結合及びエポキシ基を有する化合物(a)を含むビニル化合物(b)との相分離を抑制してヒドロシリル化反応が高められるため、溶媒を用いることが好ましい。
【0117】
用いられる溶媒としては、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、アニソール等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン等の脂肪族炭化水素系、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン等の芳香族水素系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、ブチルセロソルブ、ブチルカルビトール等のアルコール系溶媒等が挙げられる。これらの溶媒は、1種又は2種以上の混合物として用いることが可能である。
【0118】
これらの内、ヒドロシリル化反応速度が比較的大きく、原料の溶解性及び/又は溶媒回収性の観点から、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒が好ましく、エーテル系溶媒を50質量%以上含む溶媒が更に好ましく、大気圧における沸点が120℃以下である1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテルなる群から選ばれる少なくとも1種又は2種以上の混合溶媒がより好ましく用いられる。
【0119】
用いる溶媒量は、用いるブロック型オルガノハイドロジェンシリコーンの種類や、ビニル化合物の種類等によって異なるが、通常、ヒドロシリル化反応開始時において、該混合物の全質量に対する溶媒の質量が、0.1質量%以上99.9質量%以下の範囲、好ましくは10質量%以上95質量%以下の範囲、更に好ましくは20質量%以上90質量%以下の範囲である。
【0120】
本発明において、ヒドロシリル化反応を行う際の雰囲気は、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、炭酸ガス等の不活性ガス、或いは、炭素数1以上4以下の低級飽和炭化水素系ガスや空気等の雰囲気下、流通下、減圧下又は加圧下で行うことができる。これらのガスは、一種又は二種以上の混合ガスとして用いることができる。これらの内、好ましいガスは、前記不活性ガス、炭素数1以上4以下の低級飽和炭化水素系ガスであり、更に好ましくは、前記不活性ガスであり、より好ましくは窒素である。
【0121】
本発明において、ヒドロシリル化反応を行う際の反応方法は、特に限定されず、例えば、本願の平均組成式(1)で表されるブロック型オルガノハイドロジェンシリコーンと炭素−炭素2重結合及びエポキシ基を有する化合物を含むビニル化合物とを回分式、半回分式、連続式なる群から選ばれる1種又は2種以上の組合せの方法により、逐次的、連続的、或いは、一度に反応させる方法が例示できる。
【0122】
本願の平均組成式(1)で表されるブロック型オルガノハイドロジェンシリコーンと炭素−炭素2重結合及びエポキシ基を有する化合物を含むビニル化合物の供給方式としては、必要に応じて溶媒を含有する本願の平均組成式(1)で表されるブロック型オルガノハイドロジェンシリコーンに対して、必要に応じて溶媒を含有する炭素−炭素2重結合及びエポキシ基を有する化合物を含むビニル化合物を供給する方法、必要に応じて溶媒を含有する炭素−炭素2重結合及びエポキシ基を有する化合物を含むビニル化合物に対して、必要に応じて溶媒を含有する本願の平均組成式(1)で表されるブロック型オルガノハイドロジェンシリコーンを供給する方法、必要に応じて溶媒を含有する本願の平均組成式(1)で表されるブロック型オルガノハイドロジェンシリコーンと炭素−炭素2重結合及びエポキシ基を有する化合物を含むビニル化合物とを予め混合して供給する方法等が例示できる。
【0123】
また、炭素−炭素2重結合及びエポキシ基を有する化合物を含むビニル化合物が複数の種類の化合物からなる場合には、全ての炭素−炭素2重結合及びエポキシ基を有する化合物を含むビニル化合物を一括混合した組成物を反応に供する、或いは、一部又は全部のビニル化合物を逐次に反応させることも可能である。
【0124】
その際、ヒドロシリル化反応触媒の添加方法には特に限定はなく、必要に応じて溶媒を含有する、該ブロック型オルガノハイドロジェンシリコーンに対し触媒を予め添加する方法、必要に応じて溶媒を含有する一部又は全部のビニル化合物に添加する方法、必要に応じて溶媒を含有する該ブロック型オルガノハイドロジェンシリコーンと、必要に応じて溶媒を含有するビニル化合物の双方に添加する方法、溶媒を含有する該ブロック型オルガノハイドロジェンシリコーンと一部又は全部のビニル化合物との混合物に添加する方法等が用いられる。
【0125】
オルガノハイドロジェンシリコーンのSiH単位に対して、炭素−炭素2重結合及びエポキシ基を有する化合物(a)を含むビニル化合物(b)をヒドロシリル化反応により付加させる際には、系内の水分が影響を及ぼす場合がある。ヒドロシリル化反応速度を維持する、或いは、エポキシ基の開環反応を抑制する上で、反応系の水分量は反応系の質量を基準として2質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以下であることが更に好ましく、0.1質量%以下が特に好ましく、0.05質量%以下が望ましい。
【0126】
反応混合物からエポキシ変性シリコーンを分離回収するのに先立ち、アルコール類を反応混合物と接触或いは混合して、未反応SiH単位を減少又は消失させる処理を行うこと、従来公知のヒドロシリル化触媒の失活剤又は不活性化剤を反応混合物と接触或いは混合して、該触媒を失活又は不活性化処理すること、吸着剤に反応混合物を接触、混合、或いは、流通して、ヒドロシリル化触媒等の金属成分や着色成分等を吸着除去或いは低減する処理を行うこと、或いは、これらの組み合わせの処理を行うことは、反応混合物からエポキシ変性シリコーンを分離回収する際のエポキシ変性シリコーンの変性を抑制する上で好ましく用いられる方法である。
【0127】
この際に用いられるアルコール類としては、例えば、炭素数1以上4以下の鎖状、分岐状及び環状よりなる構造群から選ばれる少なくとも1種以上のアルコールが挙げられる。この際に用いられるヒドロシリル化触媒の失活剤不活性化剤としては、例えば、ドデシルメルカプタン、2−メルカプトベンゾチアゾール等の含硫黄化合物類、アセトニトリル、アクリロニトリル、2−ペンテンニロリル、3−ペンテンニトリル、ベンゾニトリル、o−トルニトリル、m−トルニトリル、p−トルニトリル、フタロニトリル、イソフタロニトリル、等のニトリル類、1−ヘプチン、1−オクチン、1−デシン、3−メチル−1−ペンチン、2−プロピンー1−オール、3−ブチン−1−オール、2−ペンチン−1−オール、4−ペンチン−1−オール、4−ペンチン−2−オール、2−メチル−3−ブチン−1−オール、3−メチル−1−ペンチン−3−オール、3−メチル−1−ヘキシンー3−オール、3,5−ジメチル−1−ヘキシンー3−オール、2−フェニル−3−ブチン−2−オール、1−エチニル−1−シクロヘキサノール、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール、1,1−ジメチル−2−プロピニルアミン、3−メチル−3−(トリメチルシロキシ)−1−ブチン、ジメチル−ビス(1,1−ジメチル−2−プロピノキシ)−シラン、3−メチル−3−(トリメチルシロキシ)−1−ペンチン、3,5−ジメチル−3−(トリメチルシロキシ)−1−ヘキシン、3−エチル−3−(トリメチルシロキシ)−1−ペンチン、メチルプロピオネート、エチルプロピオネート、等のアセチレン系化合物等が挙げられる。また、ヒドロシリル化触媒等の金属成分や着色成分等を吸着除去或いは低減する吸着剤としては、例えば、活性炭、セライト、シリカゲル、アルミナ粉、イオン交換樹脂等が挙げられる。
【0128】
反応混合物からエポキシ変性シリコーンを分離回収するのに先立ち、アルコール類をエポキシ変性シリコーンを分離回収する前の混合物に接触或いは混合して、未反応SiH単位を減少又は消失させる処理を行う操作、従来公知のヒドロシリル化触媒の失活剤不活性化剤をエポキシ変性シリコーンを分離回収する前の混合物と接触或いは混合して該触媒を失活又は不活性化処理を行う操作、吸着剤にエポキシ変性シリコーンを分離回収する前の混合物を接触、混合、或いは、流通して、ヒドロシリル化触媒等の金属成分や着色成分等を吸着除去或いは低減する処理を行う操作、或いは、これらの組み合わせの操作を行う際の雰囲気は、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、炭酸ガス等の不活性ガス、炭素数1以上4以下の低級飽和炭化水素系ガス、空気なる群から選ばれる少なくとも1種のガスの雰囲気下、流通下、減圧下又は加圧下、バブリング下、或いは、これらを組み合わせた条件下で行うことができる。これらのガスは、一種又は二種以上の混合ガスとして用いることができる。これらの内、好ましいガスは、前記不活性ガス、炭素数1以上4以下の低級飽和炭化水素系ガスであり、更に好ましくは、前記不活性ガスであり、より好ましくは窒素である。
【0129】
エポキシ変性シリコーンを分離回収する前の混合物をアルコール類と接触或いは混合して、未反応SiH単位を減少又は消失させる処理を行う操作、従来公知のヒドロシリル化触媒の失活剤又は不活性化剤をエポキシ変性シリコーンを分離回収する前の混合物と接触或いは混合して、該触媒を失活又は不活性化処理する操作、吸着剤にエポキシ変性シリコーンを分離回収する前の混合物を接触、混合、或いは、流通して、ヒドロシリル化触媒等の金属成分や着色成分等を吸着除去或いは低減する処理を行う操作、或いは、これらの組み合わせの操作を行う際の温度は、エポキシ変性シリコーンの変性を抑制する上で、好ましくは0℃以上200℃以下の範囲、好ましくは5℃以上150℃以下の範囲、より好ましくは10℃以上100℃以下の範囲、更に好ましくは15℃以上80℃以下の範囲である。前記範囲内であれは、一定の温度である必要はなく、途中で温度を変化させることも可能である。
【0130】
本発明により得られるエポキシ変性シリコーンには、エポキシ変性シリコーンを製造する際に用いたヒドロシリル化触媒等の触媒の残さ、或いは、反応装置から溶出する金属成分等が混入する場合がある。例えば、SUS316合金を用いると、Fe、Ni、Cr、Mo等の金属元素が溶出する場合がある。これらの金属、中でも遷移金属成分が、本発明において用いられるエポキシ変性シリコーンを硬化物とした際に、該硬化物の耐光性に影響を与える場合がある。該硬化物の耐光性を高いレベルで維持する点において、本発明において用いられるエポキシ変性シリコーン中に含有される、周期律表3族〜11族に該当する遷移金属成分の合計量が元素換算で、20ppm以下であることが好ましく、10ppm以下であることがより好ましく、5ppm以下であることが更に好ましい。
【0131】
遷移金属成分の含有量を低減させる方法としては、例えば、ヒドロシリル化反応後の反応液を、活性炭、シリカゲル、アルミナ粉、イオン交換樹脂などの吸着剤に通して金属成分を吸着除去する方法が例示できる。また、例えば、本願のエポキシ変性シリコーンを製造する工程の反応装置から溶出する上記遷移金属元素量を考慮し、本願のエポキシ変性シリコーン中に含有される遷移金属成分の合計量が上記範囲以下となる様に、ヒドロシリル化反応に用いる触媒の使用量を低減する方法等も好ましい方法として例示される。
【0132】
得られたエポキシ変性シリコーンを含む混合物からエポキシ変性シリコーンを分離する工程に供され、本願発明のエポキシ変性シリコーンが回収される。
【0133】
本発明において、混合物からエポキシ変性シリコーンを分離回収する際のエポキシ変性シリコーンの変性を抑制する上で、分離回収する工程に供されるエポキシ変性シリコーン中に含有される全Si数に対する残留SiH単位数は2%以下であることが好ましく、1.5%以下であることがより好ましく、1%以下であることが更に好ましく、0.5%以下であることが特に好ましい。
【0134】
本願発明において、炭素−炭素2重結合を有する化合物、及び、必要に応じて用いた、ヒドロシリル化触媒の失活剤又は不活性化剤を、低沸化合物と総称し、必要に応じて用いた溶媒、及び、必要に応じて、未反応SiH単位を減少或いは消失させる処理操作に用いたアルコール類を、揮発性化合物と総称する。
【0135】
次に、エポキシ変性シリコーンを含む混合物から、エポキシ変性シリコーンを分離する方法について説明する。
【0136】
エポキシ変性シリコーンを含む混合物から、エポキシ変性シリコーンを分離する方法は、本発明において用いられるエポキシ変性シリコーンが得られれば特に限定はなく、例えば、エポキシ変性シリコーンを含む混合物から、低沸化合物と揮発性化合物とを留去してエポキシ変性シリコーンを回収する方法、或いは、エポキシ変性シリコーンが高い揮発性を有する化合物の場合、蒸留によりエポキシ変性シリコーンを分離回収する方法、等が挙げられる。
【0137】
エポキシ変性シリコーンを含む混合物から、低沸化合物と揮発性化合物とを留去してエポキシ変性シリコーンを回収する場合には、低沸化合物と揮発性化合物とを構成する各々の化合物を同時に留去する方法、或いは、低沸化合物と揮発性化合物とを構成する各々の化合物を個別に分離する方法、或いは、これらを組み合わせた方法によって実施することができる。また、蒸留によりエポキシ変性シリコーンを分離回収する場合には、1工程でエポキシ変性シリコーンを分離回収する方法、或いは、一度低沸化合物と揮発性化合物とを構成する1種以上の化合物とエポキシ変性シリコーンとの混合物を分離し、引き続いて、同一又は異なる条件にて、低沸化合物及び/又は揮発性化合物を構成する1種以上の化合物とエポキシ変性シリコーンからエポキシ変性シリコーンを1工程、又は逐次に分離する方法、或いは、これらの組み合わせによる方法によって実施することができる。
【0138】
エポキシ変性シリコーンを含む混合物から、エポキシ変性シリコーンを分離する際の雰囲気は、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、炭酸ガス等の不活性ガス、炭素数1以上4以下の低級飽和炭化水素系ガス、空気なる群から選ばれる少なくとも1種のガスの雰囲気下、流通下、減圧下又は加圧下、バブリング下、或いは、これらを組み合わせた条件下で行うことができる。これらのガスは、一種又は二種以上の混合ガスとして用いることができる。これらの内、好ましいガスは、前記不活性ガス、炭素数1以上4以下の低級飽和炭化水素系ガスであり、更に好ましくは、前記不活性ガスであり、より好ましくは窒素である。
【0139】
エポキシ変性シリコーンを含む混合物から、エポキシ変性シリコーンを分離する際の温度は、エポキシ変性シリコーン、低沸化合物と揮発性化合物の種類によっても異なるが、エポキシ変性シリコーンの変性を抑制する上で、好ましくは0℃以上200℃以下の範囲、好ましくは5℃以上150℃以下の範囲、より好ましくは10℃以上100℃以下の範囲、更に好ましくは15℃以上80℃以下の範囲である。前記範囲内であれは、エポキシ変性シリコーンを含む混合物から、エポキシ変性シリコーンを分離する際の温度は、一定の温度である必要はなく、途中で温度を変化させることも可能である。
【0140】
エポキシ変性シリコーンを含む混合物から、エポキシ変性シリコーンを分離する工程には、低沸化合物と揮発性化合物の含有量が低減してエポキシ変性シリコーンを含む混合物の粘度が上昇した場合においても、効率的に低沸化合物と揮発性化合物を分離し得る装置を用いることが好ましい。この様な装置としては、例えば、竪型撹拌槽、表面更新型撹拌槽、薄膜蒸発装置、表面更新型二軸混練器、二軸横型撹拌器、濡れ壁式反応器、自由落下型の多孔板型反応器、支持体に沿わせて化合物を落下させながら揮発成分を留去させる反応器等が挙げられる。これらの装置は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることも可能である。
【0141】
本発明の方法により得られるエポキシ変性シリコーンには、エポキシ変性シリコーンを製造する際に用いたエポキシ変性シリコーンを製造する際に用いた、炭素−炭素2重結合及びエポキシ基を有する化合物(a)を含むビニル化合物(b)に由来する、炭素−炭素2重結合を有する化合物や溶媒等の低沸化合物及び/又は揮発性化合物が残留する場合がある。
【0142】
ここで、本発明における「炭素−炭素2重結合を有する化合物」について説明する。本発明における炭素−炭素2重結合を有する化合物とは、シリコーン以外の化合物であって、分子内に1つ以上の炭素−炭素2重結合を有する化合物をいう。したがって、オルガノハイドロジェンシリコーンやエポキシ変性シリコーンについては分子内に炭素−炭素2重結合を有していてもこれには含まない。
【0143】
このような炭素−炭素2重結合を有する化合物としては、例えば、
(i)ヒドロシリル化反応に供するために添加したビニル化合物の余剰あるいは未反応物、
(ii)ヒドロシリル化反応に供するために添加したビニル化合物中に含有されていた炭素−炭素2重結合を有する不純物、
(iii)ヒドロシリル化反応に供するために添加したビニル化合物中の炭素−炭素2重結合が、ヒドロシリル化反応中に内部転移を起こして生成した副生成物、
等が挙げられる。
【0144】
前記(ii)ヒドロシリル化反応に供するために添加したビニル化合物中に含有されていた炭素−炭素2重結合を有する不純物の具体例としては、例えば、4−ビニル−シクロへキセンオキサイド中に含まれることのある4−エポキシエチル−シクロへキセン等が挙げられる。
【0145】
前記(iii)ヒドロシリル化反応に供するために添加したビニル化合物中の炭素−炭素2重結合が、ヒドロシリル化反応中に内部転移を起こして生成した副生成物としては、使用するビニル化合物の種類やヒドロシリル化反応条件によっても異なるが、例えば、ビニル化合物として1−ヘキセンを用いた場合の副生成物としては、2−ヘキセン、3−ヘキセン等が、また、例えば、ビニル化合物としてビニルシクロヘキサンを用いた場合の副生成物としては、エチリデニルシクロヘキサン等が挙げられる。
【0146】
更に、ビニル化合物として、例えば、(b−1)4−ビニル−シクロへキセンオキサイド、(b−2)1−メチル−4−イソプロペニルシクロヘキセンオキサイド、(b−3)1,4−ジメチル−4−ビニル−シクロへキセンオキサイド、(b−4)ビニルノルボルネンオキサイド等のビニル基を有するエポキシシクロアルカンを用いた場合、(b−1)〜(b−4)に対応する副生成物としては、各々、(c−1)4−エチリデニルシクロヘキセンオキサイド、(c−2)1−メチル−4−イソプロペリデニルシクロヘキセンオキサイド、(c−3)1,4−ジメチル−4−エチリデニルシクロヘキセンオキサイド、(c−4)エチリデニルノルボルネンオキサイド等が挙げられる。更に、例えば、炭素−炭素2重結合及びエポキシ基を有する化合物として、(b−5)1,2−エポキシ−5−ヘキセンを用いた場合、(b−5)に対応するビニル化合物中の炭素−炭素2重結合がヒドロシリル化反応中に内部転移を起こして生成した副生成物としては、1,2−エポキシ−4−ヘキセン、1,2−エポキシ−3−ヘキセン、1,2−エポキシ−2−ヘキセン等が挙げられる。
【0147】
本発明の方法によって得られるエポキシ変性シリコーンを用いた硬化物の耐熱変色性や耐光性が向上すると共に、本発明の方法によって得られるエポキシ変性シリコーンを用いた硬化物の耐熱変色性や耐光性が向上することから、本発明の方法によって得られるエポキシ変性シリコーン中に残留する低沸化合物の合計量は2質量%以下であることが好ましく、1.5質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることが更に好ましく、0.75質量%以下であることが特に好ましく、0.5質量%以下であることが望ましく、0.3質量%以下であることが特に望ましい。
【0148】
本発明において、低沸化合物が2種以上の成分からなる場合には、本発明における、エポキシ変性シリコーン中に残留する低沸化合物の合計量とは、エポキシ変性シリコーン中に残留する各成分の合計値を意味する。
【0149】
エポキシ変性シリコーン中に残留する低沸化合物の合計量は少ない方がよいが、残留する低沸化合物の合計量を0とするのは時間と労力がかかるのに比して、着色や変色を低減する効果が小さい。そのため、費用対効果という観点からは、エポキシ変性シリコーン中に残留する低沸化合物の合計量は、0.003質量%程度まで低減することが現実的である。
【0150】
また、エポキシ変性シリコーン中に残留する低沸化合物の内、炭素−炭素2重結合を有する化合物の残留量は、硬化物の光や熱による着色や変色低減のために、エポキシ変性シリコーンに対して1.5質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましく、0.75質量%以下であることが更に好ましく、0.5質量%以下であることが特に好ましく、0.3質量%以下であることが望ましく、0.1質量%以下であることが特に望ましい。
【0151】
本発明において、炭素−炭素2重結合を有する化合物が2種以上の成分からなる場合には、本発明における、エポキシ変性シリコーン中に残留する炭素−炭素2重結合を有する化合物の残留量とは、エポキシ変性シリコーン中に残留する各成分の合計値を意味する。
【0152】
また、エポキシ変性シリコーン中に残留する炭素−炭素2重結合を有する化合物の内、エポキシ基を有する化合物の残留量は、硬化物の光や熱による着色や変色低減のために、エポキシ変性シリコーンに対して1質量%以下であることが好ましく、0.6質量%以下であることがより好ましく、0.3質量%以下であることが更に好ましく、0.1質量%以下であることが特に好ましく、0.05質量%以下であることが望ましい。
【0153】
ここで、エポキシ変性シリコーン中に残留する、炭素−炭素2重結合及びエポキシ基を有する化合物が2種以上ある場合には、炭素−炭素2重結合及びエポキシ基を有する化合物の残留量とは、残留する各成分の合計量を意味する。
【0154】
更に、エポキシ変性シリコーン中に残留する炭素−炭素2重結合を有する化合物の内、ヒドロシリル化反応に供するために添加したエポキシ基を有する化合物(a)の炭素−炭素2重結合が内部転移を起こして生成した副生成物の残留量は、硬化物の光や熱による着色や変色低減のために、エポキシ変性シリコーンに対し0.5質量%以下であることが好ましく、0.3質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以下であることが更に好ましく、0.05質量%以下であることが特に好ましい。
【0155】
ここで、エポキシ変性シリコーン中に残留する、ヒドロシリル化反応に供するために添加した炭素−炭素2重結合及びエポキシ基を有する化合物(a)の炭素−炭素2重結合が内部転移を起こして生成した副生成物が2種以上ある場合には、ヒドロシリル化反応に供するために添加したエポキシ基を有するビニル化合物の炭素−炭素2重結合が内部転移を起こして生成した副生成物の残留量とは、残留する各成分の合計量を意味する。
【0156】
なお、ヒドロシリル化反応に供するために添加した炭素−炭素2重結合及びエポキシ基を有する化合物(a)中に、既に前記の炭素−炭素2重結合及びエポキシ基を有する化合物同志の炭素−炭素2重結合位置が異なる化合物が含有されている場合には、該含有されている炭素−炭素2重結合位置が異なる化合物は、本発明における炭素−炭素2重結合及びエポキシ基を有する化合物(a)の炭素−炭素2重結合が内部転移を起こして生成した副生成物には含めない。
【0157】
また、本発明において、ヒドロシリル化触媒の失活剤又は不活性化剤を反応混合物と接触或いは混合して、該触媒を失活又は不活性化処理した場合には、該処理に用いたヒドロシリル化触媒の失活剤又は不活性化剤の残留量は、硬化物の光や熱による着色や変色低減のために、エポキシ変性シリコーンに対して0.5質量%以下であることが好ましく、0.3質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以下であることが更に好ましく、0.05質量%以下であることが特に好ましい。
【0158】
本発明において、ヒドロシリル化触媒の失活剤又は不活性化剤が2種以上の成分からなる場合には、本発明における、エポキシ変性シリコーン中に残留するヒドロシリル化触媒の失活剤又は不活性化剤の残留量とは、エポキシ変性シリコーン中に残留する各成分の合計値を意味する。
【0159】
本発明で得られるエポキシ変性シリコーンには、エポキシ変性シリコーンを製造する際に用いた溶媒や、反応混合物をアルコール類と接触或いは混合して、未反応SiH単位を減少又は消失させる処理するために用いた揮発性化合物が残留する場合がある。本発明において用いられるエポキシ変性シリコーンを硬化物とする際に、該硬化物中に気泡の発生を抑制する上で、本発明において用いられるエポキシ変性シリコーン中に残留する揮発性化合物の合計量は、1質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以下であることがより好ましく、0.05質量%以下であることが更に好ましい。
【0160】
本発明において、揮発性化合物が2種以上の成分からなる場合には、本発明における、エポキシ変性シリコーン中に残留する揮発性化合物の合計量とは、エポキシ変性シリコーン中に残留する各成分の合計値を意味する。
【0161】
エポキシ変性シリコーン中に残留する揮発性化合物の合計量は少ない方がよいが、残留する揮発性化合物の合計量を0とするのは時間と労力がかかるのに比して、着色や変色を低減する効果が小さい。そのため、費用対効果という観点からは、エポキシ変性シリコーン中に残留する揮発性化合物の合計量は、0.0005質量%程度まで低減することが現実的である。
【0162】
本発明により得られるエポキシ変性シリコーン中に残留するSiH単位の量は、エポキシ変性シリコーンの保存安定性変性を高める上で、エポキシ変性シリコーン中に含有される全Si数に対する残留SiH単位数が2%以下であることが好ましく、1.5%以下であることがより好ましく、1%以下であることが更に好ましく、0.5%以下であることが特に好ましい。
【0163】
本発明により得られるエポキシ変性シリコーンを用いて得られる硬化物の耐熱性が高まることから、本発明において用いられるエポキシ変性シリコーンのエポキシ価は0.10以上であることが好ましく、0.12以上がより好ましく、0.14以上が更に好ましい。一方、ヒドロシリル化反応後に得られるエポキシ変性シリコーンを用いて得られる硬化物の耐光性が高まることからエポキシ価が0.5以下であることが好ましく、0.48以下がより好ましく、0.46以下が更に好ましい。
【0164】
本発明におけるエポキシ価とは、エポキシ変性シリコーン100g中に存在するエポキシ単位の数のことをさし、具体的には、以下の方法によって測定される値のことをいう。
【0165】
<エポキシ価の測定方法>
樹脂試料をベンジルアルコールと1−プロパノールで溶解する。この溶液にヨウ化カリウム水溶液、ブロモフェノールブルー指示薬を添加した後、1規定塩酸にて滴定し、反応系内が青色から黄色になった点を当量点とする。当量点より、エポキシ変性シリコーンのエポキシ価を以下の式(22)に従って算出する。
【0166】
エポキシ価(当量/100g)=(V×N×F)/(10×W)・・・式(22)
[ただし、W、V、N、Fは各々以下の値を表す。
W:試料の重量(g)、
V:滴定量(ml)、
N:滴定に使用した塩酸の規定度(N)、
F:滴定に使用した塩酸のファクター ]
【0167】
本発明により得られるエポキシ変性シリコーンを用いて硬化物を作成する際に、用いられる硬化剤との相溶性が高まり硬化操作が容易になることから、本発明において用いられるエポキシ変性シリコーン中に含まれる分子量1,000以下の成分の含有量は20%以下であることが好ましく、15%以下であることがより好ましく、10%以下であることが更に好ましく、5%以下であることが特に好ましい。本発明により得られるエポキシ変性シリコーン中に含まれる分子量1,000以下の成分の含有量を低減させる方法は、溶媒、或いは、炭素−炭素2重結合を有する化合物、或いは、それらの混合物を分離する工程において、溶媒、或いは、炭素−炭素2重結合を有する化合物、或いは、それらの混合物と同時に分離することも可能である。
【0168】
他の方法として、予め、平均組成式(1)によって表されるブロック型オルガノハイドロジェンシリコーン中に含まれる分子量1,000以下の成分の含有量を低減させておくこともできる。この方法は、安定的且つ効率的に、エポキシ変性シリコーン中に含まれる分子量1,000以下の成分の含有量を低減させることが可能であるため、好ましく用いられる方法である。この場合、平均組成式(1)によって表されるブロック型オルガノハイドロジェンシリコーン中に含有される分子量1,000以下の成分の量を15%以下とすることが好ましく、10%以下とすることがより好ましく、5%以下とすることが更に好ましい。
【0169】
ここで、本発明により得られるエポキシ変性シリコーン及び平均組成式(1)によって表されるブロック型オルガノハイドロジェンシリコーン中に含まれる分子量1,000以下の成分の含有量について説明する。本発明において用いられるエポキシ変性シリコーン及び平均組成式(1)によって表されるブロック型オルガノハイドロジェンシリコーン中に含まれる分子量1,000以下の成分の含有量は、単分散ポリスチレンを標準物質とするGPC測定によって得られる溶出曲線において、エポキシ変性シリコーン、或いは、平均組成式(1)によって表されるブロック型オルガノハイドロジェンシリコーンの各々の溶出開始点と溶出終了点を結んで得られる該溶出ピーク面積(ピーク面積1)に対する、該溶出ピーク面積の内の標準物質から算出される分子量1,000以下に相当するピークの面積(ピーク面積2)の比率を百分率で表記した数値[すなわち、(ピーク面積2)/(ピーク面積1)×100(%)で表される数値]のことをさす。
【0170】
本発明で用いられるエポキシ変性シリコーンは、流動性等に起因する取り扱い性や加工性を向上させる観点から、該硬化性樹脂組成物の粘度が、25℃における測定値として500,000mPa・s以下の範囲であることが好ましく、200,000mPa・s以下の範囲であることがより好ましく、100,000mPa・s以下の範囲であることが更に好ましい。
【0171】
ここで、シリコーン組成物の粘度とは、回転式E形粘度計(例えば、東機産業株式会社製、「TV−22形」、ローター:3°×R14)を用い、温度25℃にて測定される値である。
【0172】
次に、本発明において用いられる[B]成分について説明する。
本発明の[B]成分は本発明の硬化性樹脂組成物の必須構成成分として用いられるエポキシ樹脂用硬化剤であり、エポキシ基との反応により架橋物を形成するために用いられる。エポキシ樹脂用硬化剤としては、一般的に使用されるアミン系硬化剤、フェノール系硬化剤、酸無水物系硬化剤のいずれのものを使用することができる。これらは、1種又は2種以上の混合物として使用することも可能である。
【0173】
アミン系硬化剤の具体例としては、例えば、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、m−キシリレンジアミン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラスピロ[5,5]ウンデカン等の脂肪族および脂環族アミン類、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン等の芳香族アミン類、ベンジルジメチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザビシクロ−(5,4,0)−ウンデセン−7,1,5−アザビシクロ−(4,3,0)−ノネン−7等の3級アミン類およびその塩類、等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上の混合物として使用することも可能である。
【0174】
フェノール系硬化剤の具体例としては、例えば、カテコール、レゾルシン、ハイドロキノン、ビスフェノールF、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビフェノール、フェノールノボラック類、クレゾールノボラック類、ビスフェノールA等の2価フェノールのノボラック化物類、トリスヒドロキシフェニルメタン類、アラルキルポリフェノール類、ジシクロペンタジエンポリフェノール類、等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上の混合物として使用することも可能である。
【0175】
酸無水物系硬化剤の具体例としては、例えば、無水コハク酸、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、3−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸、4−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸、あるいは4−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸とヘキサヒドロ無水フタル酸との混合物、テトラヒドロ無水フタル酸、メチル-テトラヒドロ無水フタル酸、無水ナジック酸、無水メチルナジック酸、無水水素化ナジック酸、無水水素化メチルナジック酸、ノルボルナン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチルノルボルナン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、1分子中に2個以上の酸無水物含有官能基を置換基として有するシリコーン類、等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上の混合物として使用することも可能である。
【0176】
これらの硬化剤の内、本発明の硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物の耐光性が高まる傾向にあるため、ヘキサヒドロ無水フタル酸、3−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸、4−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸、あるいは4−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸とヘキサヒドロ無水フタル酸との混合物、テトラヒドロ無水フタル酸、メチル-テトラヒドロ無水フタル酸、無水水素化ナジック酸、無水水素化メチルナジック酸、ノルボルナン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチルノルボルナン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、等の脂環式酸無水物類、1分子中に2個以上の酸無水物含有官能基を置換基として有するシリコーン類がより好ましく、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、ノルボルナン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチルノルボルナン−2,3−ジカルボン酸無水物が更に好ましい。
【0177】
[B]成分のエポキシ樹脂用硬化剤は、[A]成分100質量部に対して0.1質量部以上1,500質量部以下含有させることが必要である。[B]成分の硬化性樹脂組成物の含有量が[A]成分100質量部に対して0.1質量部未満の場合及び1,500質量部超過の場合には、得られる硬化物の耐熱変色性が低下するため好ましくない。[B]成分のエポキシ樹脂用硬化剤の含有量としては、[A]成分100質量部に対して1質量部以上1,000質量部以下の範囲が好ましく、5質量部以上500質量部以下の範囲がより好ましく、10質量部以上200質量部以下の範囲が更に好ましく、15質量部以上100質量部以下の範囲が特に好ましい。
【0178】
次に、本発明において用いられる[C]成分について説明する。
本発明の[C]成分は本発明の硬化性樹脂組成物の必須構成成分として用いられるフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤及びアミン系酸化防止剤なる群から選ばれる少なくとも1種の酸化防止剤であり、[A]成分のエポキシ変性シリコーン100質量部に対し、0.001質量部以上10質量部以下含有することが必要である。エポキシ変性シリコーン100質量部に対する上記酸化防止剤の含有量が0.001質量部未満の場合には、本発明の硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物の耐熱変色性が低下する、一方、[A]成分のエポキシ変性シリコーン100質量部に対する上記酸化防止剤の含有量が10質量部を超過する場合には、本発明の硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物の耐光性、耐クラック性、密着性、等が低下するため、好ましくない。
【0179】
本発明の硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物の耐熱変色性がより高まることから、[A]成分のエポキシ変性シリコーン100質量部に対する上記酸化防止剤の含有量は、0.01質量部以上であることが好ましく、0.03質量部以上であることがより好ましい。一方、本発明の硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物の耐光性や密着性、更には耐湿性が高められることから、[A]成分のエポキシ変性シリコーン100質量部に対する上記酸化防止剤の含有量は、2質量部以下であることが好ましく、1質量部以下であることがより好ましく、0.5質量部以下であることが更に好ましい。
【0180】
本発明において用いられるフェノール系酸化防止剤としては、例えば、(d−1)アルキルフェノール類、(d−2)ヒドロキノン類、(d−3)チオアルキル又はチオアリール類、(d−4)ベンジル化合物類、(d−5)トリアジン類、(d−6)β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸と一価又は多価アルコールとのエステル類、(d−7)β−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロピオン酸と一価又は多価アルコールとのエステル類、(d−8)β−(3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸と一価又は多価アルコールとのエステル類、(d−9)3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル酢酸と一価又は多価アルコールとのエステル類、(d−10)β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のアミド類、(d−11)β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のビタミン類、等が例示できる。これらは、1種又は2種以上の混合物として用いることが可能である。
【0181】
(d−1)アルキルフェノール類の具体例としては、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2−tert−ブチル−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−n−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−イソブチルフェノール、2,6−ジシクロペンチル−4−メチルフェノール、2−(α−メチルシクロヘキシル)−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジオクタデシル−4−メチルフェノール、2,4,6−トリシクロヘキシルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メトキシメチルフェノール、直鎖状又は分岐鎖状の側鎖を有するノニルフェノール類(例えば2,6−ジ−ノニル−4−メチルフェノール)、2,4−ジメチル−6−(1’−メチルウンデカ−1’−イル)フェノール、2,4−ジメチル−6−(1’−メチルヘプタデカ−1’−イル)フェノール、2,4−ジメチル−6−(1’−メチルトリデカ−1’−イル)フェノール及びそれらの混合物、4−ヒドロキシラウルアニリド、4−ヒドロキシステアルアニリド、並びにオクチルN−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)カルバマート、2,2’−メチレンビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(6−tert−ブチル−4−エチルフェノール)、2,2’−メチレンビス[4−メチル−6−(α−メチルシクロヘキシル)フェノール]、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−メチレンビス(6−ノニル−4−メチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(6−tert−ブチル−4−イソブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス[6−(α−メチルベンジル)−4−ノニルフェノール]、2,2’−メチレンビス[6−(α,α−ジメチルベンジル)−4−ノニルフェノール]、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(6−tert−ブチル−2−メチルフェノール)、1,1−ビス(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、2,6−ビス(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェノール、1,1,3−トリス(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−3−n−ドデシルメルカプトブタン、エチレングリコールビス[3,3−ビス(3’−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)ブチラート]、ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチル−フェニル)ジシクロペンタジエン、ビス[2−(3’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルベンジル)−6−tert−ブチル−4−メチルフェニル]テレフタラート、1,1−ビス(3,5−ジメチル−2−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−4−n−ドデシルメルカプトブタン、及び1,1,5,5−テトラ(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ペンタン、等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上の混合物として用いることが可能である。
【0182】
(d−2)ヒドロキノン類の具体例としては、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メトキシフェノール、2,5−ジ−tert−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−tert−アミルヒドロキノン、2,6−ジフェニル−4−オクタデシルオキシフェノール、2,6−ジ−tert−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルステアラート、及びビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)アジパート、等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上の混合物として用いることが可能である。
【0183】
(d−3)チオアルキル又はチオアリールフェノール類の具体例としては、例えば、2,4−ジオクチルチオメチル−6−tert−ブチルフェノール、2,4−ジオクチルチオメチル−6−メチルフェノール、2,4−ジオクチルチオメチル−6−エチルフェノール、2,6−ジ−ドデシルチオメチル−4−ノニルフェノール、2,2’−チオビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−オクチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−2−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(3,6−ジ−sec−アミルフェノール)、及び4,4’−ビス(2,6−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ジスルフィド、等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上の混合物として用いることが可能である。
【0184】
(d−4)ベンジル化合物類の具体例としては、例えば、3,5,3’,5’−テトラ−tert−ブチル−4,4’−ジヒドロキシジベンジルエーテル、オクタデシル−4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルベンジルメルカプトアセタート、トリデシル−4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルベンジルメルカプトアセタート、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)アミン、ビス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)ジチオテレフタラート、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、イソオクチル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルメルカプトアセタート、ジオクタデシル−2,2−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシベンジル)マロナート、ジ−オクタデシル−2−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)マロナート、ジ−ドデシルメルカプトエチル−2,2−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロナート、ビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル]−2,2−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロナート、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,4−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,3,5,6−テトラメチルベンゼン、及び2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)フェノール、等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上の混合物として用いることが可能である。
【0185】
(d−5)トリアジン類の具体例としては、例えば、2,4−ビス(オクチルメルカプト)−6−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2−オクチルメルカプト−4,6−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2−オクチルメルカプト−4,6−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−1,2,3−トリアジン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌラート、1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌラート、2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルエチル)−1,3,5−トリアジン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)−ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン、1,3,5−トリス(3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌラート、等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上の混合物として用いることが可能である。
【0186】
(d−6)β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸と一価又は多価アルコールとのエステル類の具体例としては、例えば、β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸と、メタノール、エタノール、n−オクタノール、i−オクタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリトリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌラート、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、及び4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタン等から選ばれる一価又は多価アルコールとのエステル、等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上の混合物として用いることが可能である。
【0187】
(d−7)β−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロピオン酸と一価又は多価アルコールとのエステル類の具体例としては、例えば、β−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロピオン酸と、メタノール、エタノール、n−オクタノール、i−オクタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリトリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌラート、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタン、及び3,9−ビス[2−{3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン等から選ばれる一価又は多価アルコールとのエステル、等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上の混合物として用いることが可能である。
【0188】
(d−8)β−(3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸と一価又は多価アルコールとのエステル類の具体例としては、例えば、β−(3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸と、メタノール、エタノール、オクタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリトリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌラート、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、及び4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタン等から選ばれる一価又は多価アルコールとのエステル、等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上の混合物として用いることが可能である。
【0189】
(d−9)3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル酢酸と一価又は多価アルコールとのエステル類の具体例としては、例えば、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル酢酸と一価又は多価アルコールと、メタノール、エタノール、オクタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリトリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌラート、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、及び4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタンから選ばれる一価又は多価アルコールとのエステル、等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上の混合物として用いることが可能である。
【0190】
(d−10)β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のアミド類の具体例としては、例えば、N,N’−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヘキサメチレンジアミド、N,N’−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)トリメチレンジアミド、N,N’−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヒドラジド、及びN,N’−ビス[2−(3−[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオニルオキシ)エチル]オキサミド、等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上の混合物として用いることが可能である。
【0191】
(d−11)β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のビタミン類の具体例としては、例えば、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロール及びそれらの混合物、トコトリエノール、並びにアスコルビン酸、等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上の混合物として用いることが可能である。、
また、本発明において用いられるリン系酸化防止剤としては、例えば、(e−1)ホスホナート類、(e−2)ホスファイト類、並びに、(e−3)オキサホスファフェナンスレン類、等が例示できる。これらは、1種又は2種以上の混合物として用いることが可能である。
【0192】
(e−1)ホスホナート類の具体例としては、例えば、ジメチル−2,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホナート、ジエチル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホナート、ジオクタデシル3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホナート、ジオクタデシル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルベンジルホスホナート、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4'−ビフェニレンジホスホナート、及び3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸のモノエチルエステルのカルシウム塩、等が例示できる。これらは、1種又は2種以上の混合物として用いることが可能である。
【0193】
(e−2)ホスファイト類の具体例としては、例えば、トリオクチルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリデシルホスファイト、オクチルジフエニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(ブトキシエチル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタンジホスファイト、テトラ(C12〜C15混合アルキル)−4,4'−イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4'−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)ジホスファイト、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ホスファイト、トリス(モノ、ジ混合ノニルフェニル)ホスファイト、水素化−4,4'−イソプロピリデンジフェノールポリホスファイト、ビス(オクチルフェニル)−ビス[4,4'−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)]−1,6−ヘキサンジオールジホスファイト、フェニル−4,4'−イソプロピリデンジフェノール−ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス[4,4'−イソプロピリデンビス(2−tert−ブチルフェノール)]ホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト)、トリス(1,3−ジ−ステアロイルオキシイソプロピル)ホスファイト、及び4,4'−イソプロピリデンビス(2−tert−ブチルフェノール)−ジ(ノニルフェニル)ホスファイト、等が例示できる。これらは、1種又は2種以上の混合物として用いることが可能である。
【0194】
(e−3)オキサホスファフェナンスレン類の具体例としては、例えば、9,10−ジヒドロ−9− オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、8−クロロ−9,10−ジヒドロ−9− オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、及び8−t−ブチル−9,10−ジヒドロ−9− オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、等が例示できる。これらは、1種又は2種以上の混合物として用いることが可能である。
【0195】
また、本発明において用いられるイオウ系酸化防止剤としては、例えば、(f−1)ジアルキルチオプロピオネート類、(f−2)オクチルチオプロピオン酸と多価アルコールとのエステル類、(f−3)ラウリルチオプロピオン酸と多価アルコールとのエステル類、及び(f−4)ステアリルチオプロピオン酸と多価アルコールとのエステル類、等が例示できる。これらは、1種又は2種以上の混合物として用いることが可能である。
【0196】
(f−1)ジアルキルチオプロピオネート類の具体例としては、例えば、ジラウリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、及びジステアリルチオジプロピオネート、等が例示できる。これらは、1種又は2種以上の混合物として用いることが可能である。
【0197】
(f−2)オクチルチオプロピオン酸と多価アルコールとのエステル類の具体例としては、例えば、オクチルチオプロピオン酸と、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、及びトリスヒドロキシエチルイソシアヌレート等から選ばれる多価アルコールとのエステル、等が例示できる。これらは、1種又は2種以上の混合物として用いることが可能である。
【0198】
(f−3)ラウリルチオプロピオン酸と多価アルコールとのエステル類の具体例としては、例えば、ラウリルチオプロピオン酸と、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、トリスヒドロキシエチルイソシアヌレート等から選ばれる多価アルコールとのエステル、等が例示できる。これらは、1種又は2種以上の混合物として用いることが可能である。
【0199】
(f−4)ステアリルチオプロピオン酸と多価アルコールとのエステル類の具体例としては、例えば、ステアリルチオプロピオン酸と、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、及びトリスヒドロキシエチルイソシアヌレート等から選ばれる多価アルコールとのエステル、等が例示できる。これらは、1種又は2種以上の混合物として用いることが可能である。
【0200】
更に、本発明において用いられるアミン系酸化防止剤としては、例えば、N,N’−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1,4−ジメチルペンチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1−エチル−3−メチルペンチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1−メチルヘプチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジシクロヘキシル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(2−ナフチル)−p−フェニレンジアミン、N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−(1−メチルヘプチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−シクロヘキシル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、4−(p−トルエンスルファモイル)ジフェニルアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、ジフェニルアミン、N−アリルジフェニルアミン、4−イソプロポキシジフェニルアミン、N−フェニル−1−ナフチルアミン、N−(4−tert−オクチルフェニル)−1−ナフチルアミン、N−フェニル−2−ナフチルアミン、オクチル化ジフェニルアミン(例えば、p,p’−ジ−tert−オクチルジフェニルアミン)、4−n−ブチルアミノフェノール、4−ブチリルアミノフェノール、4−ノナノイルアミノフェノール、4−ドデカノイルアミノフェノール、4−オクタデカノイルアミノフェノール、ビス(4−メトキシフェニル)−アミン、2,6−ジ−tert−ブチル−4−ジメチルアミノメチルフェノール、2,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N,N’,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、1,2−ビス[(2−メチルフェニル)アミノ]エタン、1,2−ビス(フェニルアミノ)プロパン、(o−トリル)ビグアニド、ビス[4−(1’,3’−ジメチルブチル)フェニル]アミン、tert−オクチル化N−フェニル−1−ナフチルアミン、モノ−及びジ−アルキル化tert−ブチル−/tert−オクチルジフェニルアミンの混合物、モノ−及びジ−アルキル化ノニルジフェニルアミンの混合物、モノ−及びジ−アルキル化ドデシルジフェニルアミンの混合物、モノ−及びジ−アルキル化イソプロピル/イソヘキシルジフェニルアミンの混合物、モノ−及びジ−アルキル化tert−ブチルジフェニルアミンの混合物、2,3−ジヒドロ−3,3−ジメチル−4H−1,4−ベンゾチアジン、フェノチアジン、モノ−及びジ−アルキル化tert−ブチル/tert−オクチルフェノチアジン類の混合物、モノ−及びジ−アルキル化tert−オクチルフェノチアジン類の混合物、N−アリルフェノチアジン,N,N,N’,N’−テトラフェニル−1,4−ジアミノブタ−2−エン、N,N−ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジ−4−イル)ヘキサメチレンジアミン、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジ−4−イル)セバカート、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オン、並びに、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オール、等が例示できる。これらは、1種又は2種以上の混合物として用いることが可能である。
【0201】
本発明において用いられる酸化防止剤としては、本発明の硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物の耐熱変色性がより高まることから、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤なる群から選ばれる少なくとも1種の酸化防止剤であることが好ましく、本発明のエポキシ変性シリコーン組成物を硬化して得られる硬化物の耐光性が高められることから、(d−1)、(d−2)、(d−6)〜(d−9)、(e−1)、(e−2)、並びに、(f−1)なる群から選ばれることがより好ましい。
【0202】
本発明において、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤の異なる酸化防止剤の種類を組み合わせて使用する場合の好ましい組み合わせとしては、フェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤、或いは、フェノール系酸化防止剤と硫黄系酸化防止剤との組み合わせが例示できる。
【0203】
次に、本発明において用いられる[D]成分について説明する。
本発明の[D]成分は本発明の硬化性樹脂組成物の必須構成成分として用いられる硬化触媒であり、[A]成分のエポキシ変性シリコーン100質量部に対して0.001質量部以上10質量部以下含有することが必要である。エポキシ変性シリコーン100質量部に対する上記硬化触媒の含有量が0.001質量部未満の場合には、本発明の硬化性樹脂組成物を硬化するための時間が長大となるため、好ましくない。一方、[A]成分のエポキシ変性シリコーン100質量部に対する上記硬化触媒の含有量が10質量部を超過する場合には、本発明の硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物の耐光性、耐熱変色性が低下するため、好ましくない。
【0204】
用いられる硬化触媒としては、硬化促進剤、カチオン重合触媒なる群から選ばれる少なくとも1種以上の化合物を用いることができる。
硬化促進剤としては、例えば、イミダゾール化合物、4級アンモニウム塩、ホスホニウム塩、アミン化合物、アルミニウムキレート化合物、有機ホスフィン化合物、金属カルボン酸塩やアセチルアセトンキレート化合物等が挙げられる。これらの硬化促進剤は1種又は2種以上の混合物として用いることが可能である。
【0205】
これらの化合物の具体例としては、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、トリメチルアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール等のアミン化合物及びその塩、テトラメチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムブロミド等の4級アンモニウム塩、アルミニウムキレート、テトラ−n−ブチルホスホニウムベンゾトリアゾレート、テトラ−n−ブチルホスホニウム−0,0−ジエチルホスホロジチオエート等の有機ホスフィン化合物、クロム(III)トリカルボキシレート、オクチル酸スズ、クロムアセチルアセトナート等の金属カルボン酸塩やアセチルアセトンキレート化合物が例示できる。また、市販品としてはサンアプロ社よりU−CAT SA1、U−CAT 2026、U−CAT 18X等が例示できる。これらの中でも、着色の少ない硬化物を与える観点から、イミダゾール化合物、4級アンモニウム塩、ホスホニウム塩、有機ホスフィン化合物等が好ましく用いられる。
【0206】
カチオン重合触媒の具体例としては、例えば、BF・アミン錯体、PF、BF、AsF、SbF等に代表されるルイス酸系触媒、ホスホニウム塩や4級アンモニウム塩、スルホニウム塩、ベンジルアンモニウム塩、ベンジルピリジニウム塩、ベンジルスルホニウム塩、ヒドラジニウム塩、カルボン酸エステル、スルホン酸エステル、アミンイミドに代表される熱硬化性カチオン重合触媒、ジアリールヨードニウムヘキサフロオロホスフェート、ヘキサフルオロアンチモン酸ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム等に代表される紫外硬化性カチオン重合触媒等が挙げられる。
【0207】
これらの内、ガラス転移温度が高く半田耐熱性や密着性に優れた着色の少ない透明な硬化物が得られる傾向にあるため、熱硬化性カチオン重合触媒が好ましく用いられる。このような熱硬化性カチオン重合触媒としては、例えば、スルホニウム塩系のカチオン重合開始剤であるSI−100L、SI−60L(以上、三新化学工業製)、CP−66、CP−77(以上、旭電化工業製)等を挙げることができる。
【0208】
本発明の硬化性樹脂組成物には、更に必要に応じて、エポキシ樹脂、変性剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、蛍光体、無機フィラー、消泡剤、着色剤、蛍光体、光拡散剤、熱伝導性フィラー等、従来公知の添加剤を適宜配合した硬化性組成物とすることも可能である。
【0209】
本発明において用いることができるエポキシ樹脂としては、従来公知の芳香族グリシジルエーテルに代表される芳香族系エポキシ樹脂、該芳香族系エポキシ樹脂の芳香環を水素化して得られるグリシジルエーテル類、脂環式エポキシ樹脂類、その他のエポキシ樹脂等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上の混合物として用いることができる。
【0210】
前記の芳香族系エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、テトラメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールAD、テトラメチルビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールA、テトラクロロビスフェノールA、テトラフルオロビスフェノールA等のビスフェノール類をグリシジル化したビスフェノール型エポキシ樹脂、ビフェノール、ジヒドロキシナフタレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン等のその他の2価フェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、4,4−(1−(4−(1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル)フェニル)エチリデン)ビスフェノール等のトリスフェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂、1,1,2,2,−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン等のテトラキスフェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ビスフェノールAノボラック、臭素化フェノールノボラック、臭素化ビスフェノールAノボラック等のノボラック類をグリシジル化したノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0211】
芳香族系エポキシ樹脂の芳香環の水素化反応は、例えば、ルテニウム系触媒、ロジウム系触媒等を用いる従来公知の方法により実施することが可能である。
【0212】
脂環式エポキシ樹脂類としては、従来公知の化合物、例えば、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート等が挙げられる。
【0213】
その他のエポキシ樹脂類としては、ダイマー酸グリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸グリシジルエステル等のグリシジルエステル類、トリグリシジルイソシアヌレート等のグリシジルアミン類、エポキシ化大豆油、エポキシ化ポリブタジエン等の線状脂肪族エポキシ化合物等が例示できる。
【0214】
前記のエポキシ樹脂として、芳香族系エポキシ樹脂を用いる場合、本発明の硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物の耐光性が高まることから、用いられるエポキシ樹脂の総質量に対する該芳香族系エポキシ樹脂の比率を50質量%以下とすることが好ましく、30質量%以下とすることが更に好ましく、10質量%以下とすることがより好ましく、上記のエポキシ樹脂として、芳香族系エポキシ樹脂を全く含まないエポキシ樹脂を用いることが特に好ましい。
【0215】
前記エポキシ樹脂の使用量は、[A]成分のエポキシ変性シリコーン100質量部に対して、0.1質量部以上400質量部以下の範囲とすることが好ましく、1質量部以上200質量部以下の範囲とすることより好ましく、1質量部以上100質量部以下の範囲とすることが更に好ましい。
【0216】
本発明において用いることができる変性剤としては、1分子中に2個以上の水酸基を含有するポリオール類が例示でき、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、エリスリトール、トリメチロールプロパン、1,2,4−ブタントリオール等の脂肪族系ポリオール類や、ポリカーボネートジオール、末端にシラノール基を有するシリコーン類が好ましく用いられる。これらの変性剤は、1種又は2種以上の混合物として用いることが可能である。
【0217】
変性剤の配合量は、本発明の硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物に可撓性を付与し密着性をより高められることから、[A]成分のエポキシ変性シリコーン100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上とすることが好ましい。一方、本発明の硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物の耐熱性、耐湿性を向上させることができることから、50質量部以下とすることが好ましい。より好ましくは[A]成分のエポキシ変性シリコーン100質量部に対して、0.5質量部以上30質量部以下の範囲、更に好ましくは1質量部以上20重量部以下の範囲、特に好ましくは1.5質量部以上10重量部以下の範囲である。
【0218】
本発明において用いることができるシランカップリング剤としては、例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルジメチルメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルジメチルエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)アミノメチルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)(3−アミノプロピル)トリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)(3−アミノプロピル)トリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)(3−アミノプロピル)メチルジメトキシシラン、N−[N’−(2−アミノエチル)(2−アミノエチル)](3−アミノプロピル)トリメトキシシラン、2−(2−アミノエチル)チオエチルトリエトキシシラン、2−(2−アミノエチル)チオエチルメチルジエトキシシラン、3−(N−フェニルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−(N−シクロヘキシルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、(N−フェニルアミノメチル)トリメトキシシラン、(N−フェニルアミノメチル)メチルジメトキシシラン、(N−シクロヘキシルアミノメチル)トリエトキシシラン、(N−シクロヘキシルアミノメチル)メチルジエトキシシラン、ピペラジノメチルトリメトキシシラン、ピペラジノメチルトリエトキシシラン、3−ピペラジノプロピルトリメトキシシラン、3−ピペラジノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、メルカプトメチルトリメトキシシラン、メルカプトメチルトリエトキシシラン、メルカプトメチルメチルジメトキシシラン、メルカプトメチルメチルジエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、3−(トリメトキシシリル)プロピルコハク酸無水物、3−(トリエトキシシリル)プロピルコハク酸無水物、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、シクロペンチルトリメトキシシラン、シクロペンチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、メチルシクロヘキシルジメトキシシラン、メチルシクロヘキシルジエトキシシラン、メチルシクロペンチルジメトキシシラン、メチルシクロペンチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。またこれらのシランカップリング剤の部分縮合物を用いることもできる。
【0219】
シランカップリング剤の配合量は、本発明の硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物の密着性が高められることから、[A]成分のエポキシ変性シリコーン100質量部に対して、0.1質量部以上とすることが好ましく、一方、本発明のエポキシ変性シリコーン組成物を硬化して得られる硬化物の耐熱変色性を高められることから、10質量部以下とすることが好ましい。より好ましくは0.3質量部以上5質量部以下の範囲、更に好ましくは0.5質量部以上3質量部以下の範囲である。
【0220】
本発明において用いることができる紫外線吸収剤としては、ヒンダードアミン系の紫外線吸収剤が例示でき、例えば、2,2,4,4−テトラメチル−7−オキサ−3,20−ジアザジスピロ[5.1.11.2]−ヘンエイコサン−21−オン、2,2,4,4−テトラメチル−21−オキソ−7−オキサ−3,20−ジアザジスピロ[5.1.11.2]−ヘンエイコサン−20−プロピオン酸ドデシルエステル、2,2,4,4−テトラメチル−21−オキソ−7−オキサ−3,20−ジアザジスピロ[5.1.11.2]−ヘンエイコサン−20−プロピオン酸テトラデシルエステル、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[{3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル}メチル]ブチルマロネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル-4−ピペリジル)セバケート、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピぺリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2,2’,2’’−ニトリロ[トリエチル−トリス[3,3’,5,5’−テトラ−tert−ブチル−1,1’−ビフェニル−2,2’−ジイル]]フォスファイト、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−tert−ペンチルフェノール、等を例示することができる。
【0221】
紫外線吸収剤の配合量は、本発明の硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物の耐光性と耐熱黄変性を向上させることができることから、[A]成分のエポキシ変性シリコーン100質量部に対して0.01質量部以上5質量部以下の範囲とすることがとすることが好ましい。
【0222】
本発明の硬化性樹脂組成物には、発光素子が発光した光線のエネルギーの一部又は全部を吸収して、発光波長を変換する蛍光体を配合することも可能である。蛍光体としては、無機系蛍光体、有機系蛍光体のいずれをも用いることができる。これらの内、一般的に優れた発光性を示す無機系蛍光体が好ましい。代表的な黄色蛍光体としては、例えば、一般式A5012:M(式中、成分Aは、Y、Gd、Tb、La、Lu、Se及びSmからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素、成分Bは、Al、Ga及びInからなる群から選ばれる少なくとも一つの元素、成分MはCe、Pr、Eu、Nd及びErからなる群から選ばれる少なくとも一つの元素を表す。)のガーネットのグループからなる蛍光体粒子を含有するものが好ましく用いられる。
【0223】
青色光を放射する発光ダイオードチップを備えた白色光を放射する発光ダイオード素子用の蛍光体としては、YAl12:Ce蛍光体及び/又は(Y、Gd、Tb)(Al、Ga)12:Ce蛍光体が好ましく用いられる。その他の蛍光体として、例えば、CaGa:Ce3+及びSrGa:Ce3+、YAlO:Ce3+,YGaO:Ce3+、Y(Al、Ga)O:Ce3+、YSiO:Ce3+、等が好ましく用いられる。また、混合色光を作成するためにはこれらの蛍光体の他に希土類でドープされたアルミン酸塩や希土類でドープされたオルトケイ酸塩、等が好ましく用いられる。
蛍光体の配合量は、通常、本発明の硬化性樹脂組成物100質量部に対し、0.1質量部以上100質量部以下の範囲である。
【0224】
本発明の硬化性樹脂組成物には、発光素子が発した光の拡散を高める目的や上記の蛍光体の沈降を防止する目的で無機充填剤を配合することも可能である。用いることができる無機充填剤としては、例えば、シリカ、酸化チタン、酸化亜鉛アルミナ、炭酸カルシウム、等を例示することができる。
【0225】
無機充填剤の配合量は、通常、本発明の硬化性樹脂組成物100質量部に対し、0.1質量部以上100質量部以下の範囲である。
【0226】
本発明の硬化性組成物は、透明性が求められる用途に用いることが可能な優れた透明性を有する上に、優れた耐光性、耐熱性、更には耐クラック性を有することから、発光素子用封止剤、眼鏡レンズ、光学機器用レンズ、CDやDVDのピックアップ用レンズ、自動車ヘッドランプ用レンズ、プロジェクター用レンズなどのレンズ材料、光ファイバー、光導波路、光フィルター、光学用接着剤、光ディスク基板、ディスプレイ基板、反射防止膜などのコーティング材料等、各種光学部材として用いることが可能である。
【0227】
本発明の硬化性組成物の硬化方法は公知の方法を用いることができる。
前記の公知技術の内、加熱によって硬化させる方法、或いは、紫外線(UV)を照射することによって硬化させる方法は、エポキシ樹脂の硬化方法として一般的に用いられる方法であり、本発明において好ましい方法として例示できる。加熱により硬化させる際の温度は、本発明の硬化性組成物に含有される[A]成分、[B]成分、[C]成分、並びに、必要に応じて併用されるエポキシ樹脂や[D]成分、等によって変化するため特に限定はないが、通常、20〜200℃の範囲である。
【0228】
前記の硬化反応は、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、炭酸ガス等の不活性ガス、或いは、低級飽和炭化水素系ガスや空気等の雰囲気下、減圧下又は加圧下で硬化させることができる。これらのガスは、一種又は二種以上の混合ガスとして用いることができる。これらの内、好ましいガスは窒素である。
【0229】
本発明の硬化性組成物を用いて封止して得られた発光素子により、発光ダイオードを製造することができる。
【0230】
本発明の硬化性組成物を用いて封止して得られた発光素子の発光波長は、赤外から赤色、緑色、青色、紫色、紫外まで幅広く用いることができ、従来の封止剤では耐光性が不足して劣化してしまう250nm〜550nmの波長の光まで実用的に用いることができる。これにより、長寿命で、エネルギー効率が高く、色再現性の高い白色発光ダイオードを得ることができる。ここで、発光波長とは、主発光ピーク波長のことをいう。
【0231】
使用される発光素子の具体例としては、例えば、基板上に半導体材料を積層して形成した発光素子を例示することができる。この場合、半導体材料としては、例えば、GaAs、GaP、GaAlAs、GaAsP、AlGaInP、GaN、InN、AlN、InGaAlN、SiC等が挙げられる。
【0232】
基板としては、例えば、サファイア、スピネル、SiC、Si、ZnO、GaN単結晶等が挙げられる。必要に応じ、基板と半導体材料の間にバッファー層を形成しても良い。これらバッファー層としては、GaN、AlN等が挙げられる。
【0233】
基板上へ半導体材料を積層する方法としては、特に制限はないが、例えば、MOCVD法、HDVPE法、液相成長法等が用いられる。
【0234】
発光素子の構造は、例えば、MIS接合、PN接合、PIN接合を有するホモ接合、ヘテロ接合、ダブルヘテロ構造等が挙げられる。また、単一或いは多重量子井戸構造とすることも可能である。この場合の封止は、発光素子を本発明の硬化性組成物のみで封じることもできるが、他の封止剤を併用して封止することも可能である。他の封止剤を併用する場合、本発明の硬化性組成物で封止した後、その周囲を他の封止剤で封止する、或いは、他の封止剤で封止した後、その周囲を本発明の硬化性組成物で封止することも可能である。他の封止剤としては、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ウレア樹脂、イミド樹脂、ガラス等が挙げられる。
【0235】
図1は、一実施形態に係る光半導体発光素子の模式断面図である。図1の光半導体発光素子は、リード電極5が付されたハウジング材7と、一方のリード電極5に電気的に接続された発光素子用ダイボンド材2と、発光素子用ダイボンド材2に積層された発光素子1と、発光素子1及び他方のリード電極5と電気的に接続された金ワイヤー4と、発光素子1、発光素子用ダイボンド材2、金ワイヤー4及びリード電極5を封止する発光素子用封止材3と、を備えている。ここで、発光素子用封止材3は、本発明の硬化性組成物を硬化させた硬化物からなるものである。
【0236】
図2は、他の実施形態に係る光半導体発光素子の模式断面図である。図2の光半導体発光素子は、リード電極5が付され、一部に放熱板6を有するハウジング材7と、リード電極5及び発光素子1と電気的に接続された金ワイヤー4と、放熱板6上に配置された発光素子用ダイボンド材2と、発光素子用ダイボンド材2に積層された発光素子1と、発光素子1、発光素子用ダイボンド材2、金ワイヤー4及びリード電極5を封止する発光素子用封止材3と、を備えている。ここで、発光素子用封止材3は、本発明の硬化性組成物を硬化させた硬化物からなるものである。
【0237】
本発明の硬化性組成物で発光素子を封止する方法としては、例えば、モールド型枠中に硬化性組成物を予め注入し、そこに発光素子が固定されたリードフレーム等を浸漬した後に硬化させる方法、発光素子を挿入した型枠中に発光素子封止剤を注入し、硬化する方法等が挙げられる。この際、発光素子封止剤を注入する方法としては、ディスペンサーによる注入、トランスファー成形、射出成形等が挙げられる。更にその他の封止方法としては、発光素子封止剤を発光素子上へ滴下、孔版印刷、スクリーン印刷、或いは、マスクを介して塗布し硬化させる方法、低部に発光素子を配置したカップ等に発光素子封止剤をディスペンサー等により注入し、硬化させる方法等が挙げられる。
【0238】
本発明の硬化性組成物は、発光素子をリード端子やパッケージに固定するダイボンド材、発光素子上のパッシベーション膜、パッケージ基板として用いることもできる。
封止部分の形状は、例えば、砲弾型のレンズ形状、板状、薄膜状等が挙げられる。
【0239】
本発明の硬化性組成物を用いて発光素子を封止して得られた発光ダイオードは、従来公知の方法で性能の向上を図ることができる。性能の向上方法としては、例えば、発光素子背面に光の反射層或いは集光層を設ける方法、補色着色部を底部に形成する方法、主発光ピークより短波長の光を吸収する層を発光素子上に設ける方法、発光素子を封止した後更に硬質材料でモールディングする方法、発光ダイオードを貫通孔に挿入して固定する方法、発光素子をフリップチップ接続等によってリード部材等と接続して基板方向から光を取り出す方法等が挙げられる。
【0240】
本発明の硬化性組成物を用いて発光素子を封止して得られた発光ダイオードは、例えば、液晶ディスプレイ等のバックライト、照明、各種センサー、プリンター、コピー機等の光源、車両用計器光源、信号灯、表示灯、表示装置、面状発光体の光源、ディスプレイ、装飾、各種ライト等として有用である。
【実施例】
【0241】
以下に実施例を示して、本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下に記載の実施例によって限定されるものではない。
ブロック型オルガノハイドロジェンシリコーン、エポキシ変性シリコーンの組成及び特性は、以下に示す方法により求めた。
【0242】
(1)ブロック型オルガノハイドロジェンシリコーンの組成
29Si−NMR測定、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定、及び、H−NMR測定の測定方法により、平均組成式(1)で表されるブロック型オルガノハイドロジェンシリコーン1モルを構成する各単位のモル数を算出した。
(RSiO1/2)(RHSiO1/2)(RSiO2/2)
(RHSiO2/2)(RSiO3/2)(HSiO3/2)(SiO4/2) ・・(1)
【0243】
具体的には、まず、ブロック型オルガノハイドロジェンシリコーンの29Si−NMR測定を下記記載の方法に従って行い、得られたスペクトルパターンから算出された積分値を解析して、水素アルキルシロキシ単位、ジアルキルシロキシ単位等の含有分率を百分率で算出した。
【0244】
次いで、H−NMR測定を下記記載の方法に従って行い、得られたスペクトルパターンから算出された積分値を元に、各有機基を有するアルキルシロキシ単位の存在率を百分率で算出した。
【0245】
上記より得られた各シロキシ単位の存在率と各シロキシ単位の理論式量とを用いて、シロキシ単位の平均的式量を算出した。
【0246】
引き続いて、ブロック型オルガノハイドロジェンシリコーンのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定を下記記載の方法に従って行い、得られた数平均分子量を平均組成式(1)で表されるブロック型オルガノハイドロジェンシリコーンの1モル当りの分子量として、上記で算出した各単位の存在率を考慮した平均的式量で除して平均組成式(1)で表されるブロック型オルガノハイドロジェンシリコーンを構成する各単位の全モル数を算出した。得られた平均組成式(1)で表されるブロック型オルガノハイドロジェンシリコーンを構成する各単位の全モル数と、該各単位の存在率とから、平均組成式(1)で表されるブロック型オルガノハイドロジェンシリコーン1モルを構成する各単位のモル数を算出した。
【0247】
その後、上記で得られた平均組成式(1)で表されるブロック型オルガノハイドロジェンシリコーン1モルを構成する各単位のモル数を元に、
・平均組成式(1)で表されるブロック型オルガノハイドロジェンシリコーン中に含有 されるT構造単位[(RSiO3/2)及び(HSiO3/2)]とQ構造単位
[(SiO4/2)]のモル数の総和:(g+e+f)、
・ジアルキルシロキシ単位[(RSiO2/2)]のモル数:c
・アルキル水素シロキシ単位[(RHSiO2/2)]のモル数:d
・全末端[(RSiO1/2)及び(RHSiO1/2)]に対するジアルキル
水素シロキシ末端[(RHSiO1/2)]のモル分率:b/(a+b)
・ブロック型オルガノハイドロジェンシリコーンを構成する全Siに対するSiH単位 の含有分率:(b+d+f)/(a+b+c+d+e+f+g)
を算出した。
【0248】
29Si−NMR測定方法>
ブロック型オルガノハイドロジェンシリコーン0.15gを重水素化クロロホルム1gに溶解した。該溶解液にCr(acac)を0.015g添加して溶解した溶液に、テトラメチルシランを10μL更に添加してNMR測定溶液とした。該NMR測定溶液を用いて、プロトン完全デカップル条件における29Si−NMRの測定を積算回数4,000回(装置:日本電子社製α−400)にて行った。
【0249】
H−NMR測定方法>
重水素化クロロホルム1mLに対して、ブロック型オルガノハイドロジェンシリコーン30mgを溶解した溶液を測定試料とした。この測定試料を用いて、400MHz(日本電子社製α−400)のH−NMRの測定を積算回数200回にて行った。
【0250】
<ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定>
東ソー社製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析装置8020GPCシステムを用い、以下の条件により求めた。
【0251】
ブロック型オルガノハイドロジェンシリコーンの0.5質量%テトラヒドロフラン溶液を調製し、その後、0.45μmのフィルターにて濾過したものを測定試料溶液とした。
カラム温度40℃にて、溶離液(テトラヒドロフラン)を流量1mL/分の条件下でカラムを通し、RI検出による溶出時間と検出強度から数平均分子量を算出した。
【0252】
カラム構成は、ガードカラムとして東ソー(株)社製TSKguardcolumnHXL−H(登録商標)を用い、東ソー(株)製TSKgel(登録商標)G5000HXL、東ソー(株)製TSKgel(登録商標)G3000HXL、及び東ソー(株)製TSKgel(登録商標)G1000HXLの各1本ずつを直列に配置して使用した。また、Polymer Laboratories社製の分子量が各7,500,000、2,560,000、841,700、320,000、148,000、59,500、28,500、10,850、2,930、580の単分散ポリポリスチレン標準物質、及びスチレンモノマー(分子量104)を用い、予め作成した検量線から数平均分子量を算出した。
【0253】
(2)ブロック型オルガノハイドロジェンシリコーンの平均連鎖長の算出
29Si−NMRの測定により求めた。
ブロック型オルガノハイドロジェンシリコーン0.15gを重水素化クロロホルム1gに溶解した。該溶解液にCr(acac)をブロック型オルガノハイドロジェンシリコーンに対して0.015g添加して溶解した溶液に、テトラメチルシランを10マイクロリットル更に添加してNMR測定溶液とした。該NMR測定溶液を用いて、プロトン完全デカップル条件における29Si−NMRの測定を積算回数4,000回(装置:日本分光社製α−400)にて行い、得られたスペクトルパターンから算出された積分値を解析して、ブロック型オルガノハイドロジェンシリコーン1分子中の平均組成及び(RSiO2/2)単位、(RHSiO2/2)単位の各々の平均連鎖長を算出した。
【0254】
ここで、以下に、合成例にて製造したブロック型オルガノハイドロジェンシリコーン、具体的には該シリコーンの末端を除くシロキシ単位がシクロヘキシルメチルシロキシ単位、ジメチルシロキシ単位、水素メチルシロキシ単位である場合を例として、平均連鎖長の算出法を具体的に説明する。
【0255】
シクロヘキシルメチルシロキシ単位、ジメチルシロキシ単位をジアルキルシロキシ単位として(D1)、他方、水素メチルシロキシ単位を(H1)とした場合、D1とH1の3連鎖に対応する中心に位置する珪素のケミカルシフト値は、テトラメチルシランの珪素を基準として各々以下の範囲となる。
【0256】
−D1−D1−D1− : −26.5ppm超過−23.9ppm以下
−D1−D1−H1− : −23.9ppm超過−21.5ppm以下
−H1−D1−H1− : −38.5ppm超過−37.4ppm以下
−H1−H1−H1− : −35.5ppm超過−33.0ppm以下
−H1−H1−D1− : −37.4ppm超過−35.5ppm以下
−D1−H1−D1− : −21.5ppm超過−19.5ppm以下
【0257】
上記の−D1−D1−D1−単位、−D1−D1−H1−単位、−H1−D1−H1−単位、−H1−H1−H1−単位、−H1−H1−D1−単位、−D1−H1−D1−単位に相当するピークの積分値を各々、A(D1D1D1)、A(D1D1H1)、A(H1D1H1)、A(H1H1H1)、A(H1H1D1)、A(D1H1D1)とすると、ジメチルシロキシ単位の平均連鎖長(γD1)及び水素メチルシロキシ単位の平均連鎖長(δD1)は、各々下記数式(X)及び(XI)で算出することができる。
【0258】
γD1=1+A(D1D1D1)/{A(D1D1H1)+A(H1D1H1)} ・・・数式(X)
δD1=1+{A(H1H1H1)+A(H1H1D1)}/A(D1H1D1) ・・・数式(XI)
【0259】
(3)エポキシ変性シリコーンの組成
29Si−NMR測定、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定、及び、H−NMR測定によって得られる結果を用いて算出した。
【0260】
具体的には、まず、エポキシ変性シリコーンの29Si−NMR測定を下記記載の方法に従って行い、得られたスペクトルパターンから算出された積分値を解析して、水素アルキルシロキシ単位、ジアルキルシロキシ単位等の含有分率を百分率で算出した。
【0261】
次いで、H−NMR測定を下記記載の方法に従って行い、得られたスペクトルパターンから算出された積分値を元に、各有機基を有するアルキルシロキシ単位の存在率を百分率で算出した。
上記より得られた各シロキシ単位の存在率と各シロキシ単位の理論式量とを用いて、シロキシ単位の平均的式量を算出した。
【0262】
引き続いて、エポキシ変性シリコーンのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定を下記記載の方法に従って行い、得られた数平均分子量を平均組成式(1)で表されるエポキシ変性シリコーンの1モル当りの分子量として、上記で算出した各単位の存在率を考慮した平均的式量で除して平均組成式(1)で表されるエポキシ変性シリコーンを構成する各単位の全モル数を算出した。得られた平均組成式(1)で表されるエポキシ変性シリコーンを構成する各単位の全モル数と、該各単位の存在率とから、平均組成式(1)で表されるエポキシ変性シリコーン1モルを構成する各単位のモル数を算出した。
【0263】
29Si−NMR測定方法>
エポキシ変性シリコーン0.15gを重水素化クロロホルム1gに溶解した。該溶解液にCr(acac)を0.015g添加して溶解した溶液に、テトラメチルシランを10μL更に添加してNMR測定溶液とした。該NMR測定溶液を用いて、プロトン完全デカップル条件における29Si−NMRの測定を積算回数4,000回(装置:日本電子社製α−400)にて行った。
【0264】
H−NMR測定方法>
重水素化クロロホルム1mLに対して、エポキシ変性シリコーン30mgを溶解した溶液を測定試料とした。この測定試料を用いて、400MHz(日本電子社製α−400)のH−NMRの測定を積算回数200回にて行った。
【0265】
<ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定>
東ソー社製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析装置8020GPCシステムを用い、以下の条件により求めた。
エポキシ変性シリコーンの0.5質量%テトラヒドロフラン溶液を調製し、その後、0.45μmのフィルターにて濾過したものを測定試料溶液とした。
【0266】
カラム温度40℃にて、溶離液(テトラヒドロフラン)を流量1mL/分の条件下でカラムを通し、RI検出による溶出時間と検出強度から数平均分子量を算出した。
【0267】
カラム構成は、ガードカラムとして東ソー(株)社製TSKguardcolumnHXL−H(登録商標)を用い、東ソー(株)製TSKgel(登録商標)G5000HXL、東ソー(株)製TSKgel(登録商標)G3000HXL、及び東ソー(株)製TSKgel(登録商標)G1000HXLの各1本ずつを直列に配置して使用した。また、Polymer Laboratories社製の分子量が各7,500,000、2,560,000、841,700、320,000、148,000、59,500、28,500、10,850、2,930、580の単分散ポリポリスチレン標準物質、及びスチレンモノマー(分子量104)を用い、予め作成した検量線から数平均分子量を算出した。
【0268】
(4)エポキシ変性シリコーン中に残留する低沸化合物量の測定
島津社製ガスクロマトグラフィー分析装置GC−14Bを用い、以下の条件により求めた。
5mLのメスフラスコに、エポキシ変性シリコーン約2g及び内部標準としてn−オクタン0.015gを秤量した後、クロロホルムで5mLに希釈した溶液を、測定サンプルとした。
【0269】
カラム:J&W Scientific社製DB−1(登録商標)、
長さ30m、内径0.25mm、液膜1μm
キャリアーガス:ヘリウム
検出器:FID
インジェクション温度:250℃
検出器温度:300℃
昇温条件:50℃にて5min保持した後、50℃から300℃まで10℃/minで昇温した。
【0270】
得られた結果から、別途作成した内部標準法による検量線を用いて、エポキシ変性シリコーン中に含有される各成分の含有量を定量し合計した。なお、数値は、エポキシ変性シリコーンに対する質量分率で表したものである。
【0271】
(5)エポキシ価
以下の操作と算出法により求めた。
エポキシ変性シリコーンをベンジルアルコールと1−プロパノールに溶解した。この溶液にヨウ化カリウム水溶液、ブロモフェノールブルー指示薬を添加した後、1規定塩酸にて滴定し、反応系内が青色から黄色になった点を当量点とした。当量点より、エポキシ変性シリコーンのエポキシ価を以下の式に従って算出した。
【0272】
エポキシ価(当量/100g)=(V×N×F)/(10×W)
[ここで、W、V、N、Fは各々以下の値を表す。
W:試料の重量(g)
V:滴定量(mL)
N:滴定に使用した塩酸の規定度(N)
F:滴定に使用した塩酸のファクター]
【0273】
(6)遷移金属元素の含有量
遷移金属元素の含有量の分析は四重極ICP質量分析装置(Thermo Elemental製:X7−ICP−MS)を用いて測定した。
【0274】
(7)エポキシ変性シリコーン組成物の粘度
回転式E形粘度計(東機産業株式会社製、「TV−22形」、ローター:3°×R14)に0.4mlの樹脂組成物サンプルを仕込み、温度25℃にて樹脂組成物を測定した。
【0275】
(8)透明性
厚さ3mmの硬化物を用い、厚さ方向の350nm、400nm、450nmの光線透過率を日本分光(株)社製JASCO V−550により測定した。初期における光線透過率が80%以上を◎、70%以上80%未満を○、70%未満を×とした。
【0276】
(9)耐光性
光ファイバーを経由してUV照射装置(ウシオ電機製:SP−7)から50℃一定にした恒温乾燥機中の厚さ3mmの硬化物にUV光を照射できるようにセットした。365nmバンドパスフィルターを用いて、330〜410nmの光を、3W/cmになるように照射した。
照射開始後、250時間以上硬化物が着色しないものを◎、200時間以上250時間未満で硬化物が着色するものを○、200時間未満で着色するものを×とした。
【0277】
(10)耐熱変色性
厚さ3mmの硬化物を用い、厚さ方向の400nmの光線透過率を日本分光(株)社製JASCO V−550により測定した。次に該硬化物を、空気下で180℃で24時間加熱条件に供した後、室温で放冷した。その後、試料の厚さ方向における400nmの光線透過率を再度測定した。加熱処理前の試料の光線透過率に対する加熱処理後の試料の光線透過率の比率を光線透過保持率として算出した。光線透過保持率が70%以上を◎、50%以上70%未満を○、50%未満を×とした。
【0278】
(11)耐クラック性及び密着性
20mm×20mm×2mmの平板の中央に、10mmφ、深さ1mmの窪みを施したポリフタルアミド(ソルベイ社製アモデル4122)製樹脂型枠内に、5mm×5mm×0.2mmのシリコンチップを入れておき、樹脂組成物を注型し、加熱硬化して試験片を得た。得られた試験片を、冷熱サイクル試験機(エスペック社製TSE−11−A)で−40℃にて15分保持した後、平均3分で120℃まで昇温し、120℃で15分間保持し、次いで、平均3分で−40℃まで降温するサイクルにて試験を行った。
【0279】
硬化した樹脂中のクラックの発生有無を目視で観察し、耐クラック性の評価とした。40サイクル以上クラックが入らなかったものを◎、20サイクル以上40サイクル未満でクラックが発生したものを△、5サイクル未満でクラックが発生したものを×とした。
【0280】
また、密着性は、硬化した樹脂とポリフタルアミド樹脂型枠の間に剥離が発生した回数で評価し、40サイクル以上剥離が生じなかったものを◎、20サイクル以上40サイクル未満で剥離が発生したものを△、5サイクル未満で剥離が発生したものを×とした。
【0281】
[触媒合成例]
窒素雰囲気下で、還流管及びスターラーバーを備えた50mlの2口フラスコに、5塩化リン(和光純薬製試薬)8.34g、塩化アンモニウム(和光純薬製試薬特級品)1.06g及びテトラクロロエタン(アルドリッチ社製試薬)20mlを仕込んだ後、大気圧の窒素を20ml/分で流通させながら160℃で15時間反応を実施し、黄色溶液を得た。反応終了後、大気圧窒素雰囲気下にて攪拌を継続しながら系内に石油エーテル(和光純薬製試薬)20mlを加えて、固体を析出させた。引き続き窒素雰囲気下にて、得られた固体を減圧濾過し、n−ヘキサン(和光純薬社製試薬有機合成用脱水グレード)100mlを用いて洗浄後、再度、窒素下にて減圧濾過を行った後、減圧乾燥して、淡黄色粉末のフォスファゼン化合物7.1gを得た。以下の参考例1〜2では、ジクロロメタン(和光純薬社製試薬有機合成用脱水グレード)1g当たり、得られたフォスファゼン化合物60mgを溶解した溶液を、フォスファゼン溶液として用いた。
【0282】
[参考例1:ポリジアルキルシロキサンの合成]
<加水分解物の合成>
攪拌翼を備えた内容積3リットルのバッフル付きセパラブルフラスコに蒸留水1500gを仕込んだ後、内部を60℃に加熱した。セパラブルフラスコの攪拌翼を600回転/分で回転させながら、シクロヘキシルメチルジクロロシラン(信越化学社製試薬)500gとジメチルジクロロシラン36.4gとを均一に混合した溶液を、2g/分で滴下した。滴下完了後、引き続き2時間反応を継続し、加熱及び攪拌を停止して内溶液を相分離させ、水相を廃棄した。次いで、室温にて、トルエン(和光純薬製試薬特級品)500g、0.02mol/リットルの蟻酸ナトリウム水溶液1リットルを添加し、攪拌翼を600回転/分で回転させた後、攪拌を停止して内溶液を相分離させ、水相を廃棄した。引き続き、室温にて蒸留水1リットルを添加し、攪拌翼を600回転/分で回転させた後、攪拌を停止して内溶液を相分離させ、水相を廃棄する操作を2回実施した。セパラブルフラスコからトルエン溶液を回収し、エバポレーターにて、減圧下、65℃でトルエンを留去して、加水分解物を得た。
【0283】
<ポリジアルキルシロキサンの合成>
留出管及び攪拌翼を供えた500mlのセパラブルフラスコに、得られた加水分解物300g、触媒合成例で得られたフォスファゼン溶液1gを仕込んだ後、攪拌しながら系内を減圧窒素置換した。引き続き、系内を120℃に加熱し、圧力150torrで45分間、重縮合反応させた後、反応系内を窒素にて大気圧に戻すと共に60℃に冷却した。次いで、乾燥窒素下にて蒸留精製した1,1,3,3−テトラメチル−ジシロキサン(信越化学社製試薬)7gを、窒素雰囲気下にて系内に添加し、3時間攪拌を継続して末端封止反応をさせた後、室温に冷却した。内容物をトルエン(和光純薬社製試薬特級品)を合計500ml用いて溶解回収し、得られた溶液からエバポレーターにて、減圧下、65℃でトルエンを留去して、ポリジアルキルシロキサンを得た。
【0284】
得られたポリジアルキルシロキサンの全ての末端構造は、H−Si(CH−O−であり、末端基以外の組成は、ジメチルシロキシ単位20モル%、シクロヘキシルメチルシロキシ単位80モル%であった。分子量測定の結果、溶出曲線は2峰性であり、高分子量側のピークの数平均分子量は11,700、エリア面積は全ピークに対して65%であった。
必要に応じて、上記の合成操作を繰り返し実施してポリジアルキルシロキサンを得て、以下の反応に用いた。
【0285】
[参考例2:ポリ水素メチルシロキサンの合成]
還流冷却器、温度計及びスターラーバーを備えた0.5リットルの反応器に、乾燥窒素下にて蒸留精製した1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン(信越化学社製試薬)を270g、窒素下にて蒸留精製した1,1,3,3−テトラメチル−ジシロキサン(信越化学社製試薬)を145g、真空下にて110℃で5時間乾燥した活性白土(TONSIL OPTIMUM 230FF:ズード ケミー社製)を0.42g仕込み、窒素下、65℃にて攪拌条件下、24時間反応を行った。得られた反応液を乾燥窒素下にて1μmのフィルターを通過させて触媒を除去した後、50℃、2kPaの条件で3時間かけて低分子量オリゴマーを留去してポリ水素メチルシロキサンを得た。
【0286】
得られたポリ水素メチルシロキサンの全ての末端構造はH−Si(CH−O−であり、主鎖構造は水素メチルシロキシ単位のみであった。また、数平均分子量は600であった。
必要に応じて、上記の合成操作を繰り返し実施してポリ水素メチルシロキサンを得て、以下の反応に用いた。
【0287】
[合成例1:水素メチル単位及びジアルキル単位を交互にブロック単位として有するオルガノハイドロジェンシリコーンの合成]
<平衡化反応>
攪拌翼を備えた300mlのセパラブルフラスコに、乾燥窒素下にて参考例1で得られたポリジアルキルシロキサン95g、参考例2で得られたポリ水素メチルシロキサン35.1gを仕込み、攪拌条件下、系内を20℃に冷却した。系内が均一に混合分散された後、乾燥窒素下にて、攪拌を継続しながらトリフルオロメタンスルホン酸(和光純薬社製試薬特級品)を乾燥窒素条件下でポリジアルキルシロキサンとポリ水素メチルシロキサンの合計重量に対して0.25wt%添加して、平衡化反応を15分間反応を行った後、添加したトリフルオロメタンスルホン酸と等モル量のトリエチルアミン(和光純薬社製試薬特級品)を添加して、攪拌を30分継続した。30分経過後、攪拌を停止して反応系を室温として、内容物をトルエン(和光純薬社製試薬特級品)を合計600ml用いて溶解回収した。回収溶液を2リットルの分液ロートに移し、0.02mol/リットルの炭酸水素ナトリウム水溶液700mlを添加して分液洗浄した後、相分離させて水相を廃棄する。引き続き、蒸留水700mlを添加して分液洗浄した後、相分離させて水相を廃棄する操作を2回実施した。トルエン溶液を回収し、エバポレーターにて、減圧下、65℃でトルエンを留去してシリコーンを得た。
【0288】
<低分子量成分の留去>
内径70mm、有効長さ200mmのパイレックス(登録商標)ガラス製の円筒状チューブに、上記で得られたシリコーンを仕込み、加熱用面ヒーターを有するガラスチューブオーブン[柴田科学(株)製GTO−350RG]にセットした。室温条件下、内部を窒素置換した後に、内部の円筒形チューブの回転を開始し、圧力0.1kPaの条件下、温度200℃に昇温して1時間、引き続き温度を250℃に昇温して3時間、更に引き続いて温度を300℃に昇温して3時間かけて低分子量成分の留去を実施した。低沸留去終了後、室温に冷却後に乾燥窒素で大気圧とし、水素メチル単位連鎖及びジアルキル単位連鎖を交互にブロック単位として有する水素アルキルシロキサン(以下、「ブロック型オルガノハイドロジェンシリコーン」と略記する。)を得た。
【0289】
分子量測定の結果、得られたブロック型オルガノハイドロジェンシリコーンの数平均分子量は7,200であった。また、得られたブロック型オルガノハイドロジェンシリコーンの全ての末端構造は、[H−Si(CH−O1/2−]であり、ブロック型オルガノハイドロジェンシリコーンの組成は、[H−Si(CH−O1/2−]単位2.3モル%、水素メチルシロキシ単位29.3モル%、ジメチルシロキシ単位14.2モル%、シクロヘキシルメチルシロキシ単位54.2モル%、ジアルキルシロキシ単位及び水素メチルシロキシ単位の平均連鎖長は、各々40及び4.3であった。
得られたブロック型オルガノハイドロジェンシリコーン中における
・T構造単位とQ構造単位の各々のモル数の総和[本発明における平均組成式(1)中 の(RSiO3/2)、(HSiO3/2)、(SiO4/2)単位のモル数の総和:
(g+e+f)]はゼロ、
・ジアルキルシロキシ単位のモル数[本発明における平均組成式(1)中の
(RSiO2/2)単位のモル数:c]は59.5、
・アルキル水素シロキシ単位のモル数[本発明における平均組成式(1)中の
(RHSiO2/2)のモル数:d]は25.5、
・全末端に対するジアルキル水素シロキシ末端のモル分率[本発明における平均組成式 (1)中の(RSiO1/2)及び(RHSiO1/2)単位の合計モル数に
対する(RHSiO1/2)単位のモル分率:b/(a+b)]は1、
・ブロック型オルガノハイドロジェンシリコーンを構成する全Siに対するSiH単位 の含有分率[本発明における平均組成式(1)中の全Siのモル数に対する
(RHSiO1/2)、(RHSiO2/2)、(HSiO3/2)単位の合計モル
数:(b+d+f)/(a+b+c+d+e+f+g)]は0.316
であった。
【0290】
また、得られたブロック型オルガノハイドロジェンシリコーン中には、シロキサン交換反応に用いたトリフルオロメタンスルホン酸やトリエチルアミン由来の化合物は含まれていなかった。
【0291】
[合成例2:エポキシ変性シリコーンの製造]
還流冷却器、温度計及び撹拌装置を有する1リットルの反応器を乾燥窒素で置換した。乾燥窒素条件下にて、前記装置に、合成例1にて製造したブロック型オルガノハイドロジェンシリコーン60g、乾燥窒素下にて脱水蒸留精製した4−ビニル−シクロへキセンオキサイド(アルドリッチ社製試薬)217.8g、窒素下にて脱水蒸留精製した1,4−ジオキサン(和光純薬社製試薬特級品)328gを仕込み、大気圧乾燥窒素雰囲気下で攪拌しながら65℃に昇温した。
【0292】
これに、白金元素換算で500ppmの白金を含有する白金ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体の1,4−ジオキサン希釈溶液0.5gを乾燥窒素下にて添加し、ヒドロシリル化反応を60時間反応を実施した後、室温まで放冷した。加熱停止直前にサンプリングしたところ、定量的にヒドロシリル化反応が進行しており、未反応のSiH単位は検出されなかった。
【0293】
反応混合液からエバポレーターを用いて、減圧条件下、加熱温度40℃にて1,4−ジオキサンを留去し、エポキシ変性シリコーンを得た。
【0294】
得られたエポキシ変性シリコーン100gを内径70mm、有効長さ200mmのパイレックス(登録商標)ガラス製円筒状チューブに入れ、ガラスチューブオーブン(柴田科学製GTO−350)にセットした。内部の円筒形チューブの回転を開始し、室温条件下にて内部を乾燥窒素置換した後に、温度35℃、圧力0.1kPaにて、内部に大気圧換算で10ml/分の流量にて乾燥窒素を導入しながら80時間処理して、低沸化合物を低減した、エポキシ変性シリコーン(1)を得た。
【0295】
得られたエポキシ変性シリコーン(1)の全ての末端構造は、ヒドロシリル化反応によりトリアルキルシロキシ基に変性されていた。
【0296】
29Si−NMR測定を行った結果、得られたエポキシ変性シリコーン中には、SiH単位は検出されず、全Siに対するSiH単位の残留分率(%)はゼロであった。
【0297】
末端基を除いた組成は、水素メチルシロキシ単位にビニルシクロヘキセンオキサイドが付加した単位30.0モル%、ジメチルシロキシ単位14.5モル%、シクロヘキシルメチルシロキシ単位55.5モル%であった。分子量測定の結果、数平均分子量は9,700であった。また、エポキシ基の開環に伴う高分子量部の形成は全く見られなかった。
【0298】
エポキシ変性シリコーン(1)中に残留する低沸化合物としては、4−ビニル−シクロへキセンオキサイド及び4−ビニル−シクロへキセンオキサイドの炭素−炭素2重結合が内部転移を起こして生成した4−エチリデニルシクロヘキセンオキサイドが検出され、それらの残留量は各々40ppm、30ppmであった。その他の化合物は検出されなかった。
【0299】
また、エポキシ変性シリコーン(1)のエポキシ価は0.214、含有される遷移金属元素は白金のみであり、該元素の含有量は5ppmであった。
上記の合成操作を繰り返し実施してエポキシ変性シリコーン(1)を得て、以下の処理を行った。
【0300】
[実施例1]
<硬化性樹脂組成物の製造>
攪拌翼を備えた内容量2リットルのパイレックス(登録商標)ガラス製攪拌槽にエポキシ変性シリコーン(1)を1,000g、酸化防止剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネートを0.06g[エポキシ変性シリコーン(1)100質量部に対し、0.006質量部に相当]、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸360g[エポキシ変性シリコーン(1)100質量部に対し、36質量部に相当]、1,3−プロパンジオール30g[エポキシ変性シリコーン(1)100質量部に対し、3質量部に相当]、U−CAT 18Xを2.5g[エポキシ変性シリコーン(1)100質量部に対し、0.25質量部に相当]仕込み、窒素雰囲下、30℃にて30分間、全体が均一になるまで混合して、無色透明の硬化性樹脂組成物(1a)を得た。硬化性樹脂組成物(1a)の粘度は、500,000mPa・s以下であった。
【0301】
<硬化物の製造と特性評価>
硬化性樹脂組成物(1a)を、窒素下にて、深さ3mmの型に流し込み、120℃で1時間、更に150℃で3時間硬化反応を行い、硬化物を得た。得られた硬化物の性能を表1に示す。
【0302】
[実施例2]
<硬化性樹脂組成物の製造>
酸化防止剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネートを2g[エポキシ変性シリコーン(1)100質量部に対し、0.2質量部に相当]用いたこと、1,3−プロパンジオールの代わりに1,2−プロパンジオールを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、全体を均一に混合して無色透明の硬化性樹脂組成物(2a)を得た。硬化性樹脂組成物(2a)の粘度は、500,000mPa・s以下であった。
【0303】
<硬化物の製造と特性評価>
硬化性樹脂組成物(2a)を、窒素下にて、深さ3mmの型に流し込み、120℃で1時間、更に150℃で3時間硬化反応を行い、硬化物を得た。得られた硬化物の性能を表1に示す。
【0304】
[実施例3]
<硬化性樹脂組成物の製造>
酸化防止剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネートを5g[エポキシ変性シリコーン(1)100質量部に対し、0.5質量部に相当]用いたこと、1,3−プロパンジオールの代わりに1,2−プロパンジオールを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、全体を均一に混合して無色透明の硬化性樹脂組成物(3a)を得た。硬化性樹脂組成物(3a)の粘度は、500,000mPa・s以下であった。
【0305】
<硬化物の製造と特性評価>
硬化性樹脂組成物(3a)を、窒素下にて、深さ3mmの型に流し込み、120℃で1時間、更に150℃で3時間硬化反応を行い、硬化物を得た。得られた硬化物の性能を表1に示す。
【0306】
[実施例4]
<硬化性樹脂組成物の製造>
酸化防止剤としてジラウリルチオジプロピオネートを2g[エポキシ変性シリコーン(1)100質量部に対し、0.2質量部に相当]用いたこと、1,3−プロパンジオールの代わりに1,2−プロパンジオールを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、全体を均一に混合して無色透明の硬化性樹脂組成物(4a)を得た。硬化性樹脂組成物(4a)の粘度は、500,000mPa・s以下であった。
【0307】
<硬化物の製造と特性評価>
硬化性樹脂組成物(4a)を、窒素下にて、深さ3mmの型に流し込み、120℃で1時間、更に150℃で3時間硬化反応を行い、硬化物を得た。得られた硬化物の性能を表1に示す。
【0308】
[実施例5]
<硬化性樹脂組成物の製造>
酸化防止剤としてジラウリルチオジプロピオネートを40g[エポキシ変性シリコーン(1)100質量部に対し、4質量部に相当]用いたこと、1,3−プロパンジオールの代わりに1,2−プロパンジオールを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、全体を均一に混合して無色透明の硬化性樹脂組成物(5a)を得た。硬化性樹脂組成物(5a)の粘度は、500,000mPa・s以下であった。
【0309】
<硬化物の製造と特性評価>
硬化性樹脂組成物(5a)を、窒素下にて、深さ3mmの型に流し込み、120℃で1時間、更に150℃で3時間硬化反応を行い、硬化物を得た。得られた硬化物の性能を表1に示す。
【0310】
[実施例6]
<硬化性樹脂組成物の製造>
酸化防止剤としてトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトを0.04g[エポキシ変性シリコーン(1)100質量部に対し、0.004質量部に相当]用いたこと、1,3−プロパンジオールの代わりに1,2−プロパンジオールを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、全体を均一に混合して無色透明の硬化性樹脂組成物(6a)を得た。硬化性樹脂組成物(6a)の粘度は、500,000mPa・s以下であった。
【0311】
<硬化物の製造と特性評価>
硬化性樹脂組成物(6a)を、窒素下にて、深さ3mmの型に流し込み、120℃で1時間、更に150℃で3時間硬化反応を行い、硬化物を得た。得られた硬化物の性能を表1に示す。
【0312】
[実施例7]
<硬化性樹脂組成物の製造>
酸化防止剤としてN,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミンを0.04g[エポキシ変性シリコーン(1)100質量部に対し、0.004質量部に相当]用いたこと、1,3−プロパンジオールの代わりに1,2−プロパンジオールを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、全体を均一に混合して無色透明の硬化性樹脂組成物(7a)を得た。硬化性樹脂組成物(7a)の粘度は、500,000mPa・s以下であった。
【0313】
<硬化物の製造と特性評価>
硬化性樹脂組成物(7a)を、窒素下にて、深さ3mmの型に流し込み、120℃で1時間、更に150℃で3時間硬化反応を行い、硬化物を得た。得られた硬化物の性能を表1に示す。
【0314】
[実施例8]
<硬化性樹脂組成物の製造>
酸化防止剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネートを1g[エポキシ変性シリコーン(1)100質量部に対し、0.1質量部に相当]とジラウリルチオジプロピオネートを1g[エポキシ変性シリコーン(1)100質量部に対し、0.1質量部に相当]用いたこと、1,3−プロパンジオールの代わりに1,2−プロパンジオールを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、全体を均一に混合して無色透明の硬化性樹脂組成物(8a)を得た。硬化性樹脂組成物(8a)の粘度は、500,000mPa・s以下であった。
【0315】
<硬化物の製造と特性評価>
硬化性樹脂組成物(8a)を、窒素下にて、深さ3mmの型に流し込み、120℃で1時間、更に150℃で3時間硬化反応を行い、硬化物を得た。得られた硬化物の性能を表2に示す。
【0316】
[実施例9]
<硬化性樹脂組成物の製造>
エポキシ変性シリコーン(1)を900g用いたこと、酸化防止剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネートを1g[エポキシ変性シリコーン(1)100質量部に対し、0.1111質量部に相当]とジラウリルチオジプロピオネートを0.5g[エポキシ変性シリコーン(1)100質量部に対し、0.0556質量部に相当]用いたこと、1,3−プロパンジオールの代わりに1,2−プロパンジオールを用いたこと、更に、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンジカルボキシレートを100gを仕込んだこと以外は、実施例1と同様にして、全体を均一に混合して無色透明の硬化性樹脂組成物(9a)を得た。硬化性樹脂組成物(9a)の粘度は、500,000mPa・s以下であった。
【0317】
<硬化物の製造と特性評価>
硬化性樹脂組成物(9a)を、窒素下にて、深さ3mmの型に流し込み、120℃で1時間、更に150℃で3時間硬化反応を行い、硬化物を得た。得られた硬化物の性能を表2に示す。
【0318】
[実施例10]
<硬化性樹脂組成物の製造>
酸化防止剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネートを1.45g[エポキシ変性シリコーン(1)100質量部に対し、0.145質量部に相当]とトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトを0.05g[エポキシ変性シリコーン(1)100質量部に対し、0.005質量部に相当]用いたこと、1,3−プロパンジオールの代わりに1,2−プロパンジオールを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、全体を均一に混合して無色透明の硬化性樹脂組成物(10a)を得た。硬化性樹脂組成物(10a)の粘度は、500,000mPa・s以下であった。
【0319】
<硬化物の製造と特性評価>
硬化性樹脂組成物(10a)を、窒素下にて、深さ3mmの型に流し込み、120℃で1時間、更に150℃で3時間硬化反応を行い、硬化物を得た。得られた硬化物の性能を表2に示す。
【0320】
[比較例1]
<硬化性樹脂組成物の製造>
酸化防止剤としてジラウリルチオジプロピオネートを0.001g[エポキシ変性シリコーン(1)100質量部に対し、0.0001質量部に相当]用いたこと、1,3−プロパンジオールの代わりに1,2−プロパンジオールを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、全体を均一に混合して無色透明の硬化性樹脂組成物(1b)を得た。硬化性樹脂組成物(1b)の粘度は、500,000mPa・s以下であった。
【0321】
<硬化物の製造と特性評価>
硬化性樹脂組成物(1b)を、窒素下にて、深さ3mmの型に流し込み、120℃で1時間、更に150℃で3時間硬化反応を行い、硬化物を得た。得られた硬化物の性能を表2に示す。
【0322】
[比較例2]
<硬化性樹脂組成物の製造>
酸化防止剤としてジラウリルチオジプロピオネートを120g[エポキシ変性シリコーン(1)100質量部に対し、12質量部に相当]用いたこと、1,3−プロパンジオールの代わりに1,2−プロパンジオールを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、全体を均一に混合して無色透明の硬化性樹脂組成物(2b)を得た。硬化性樹脂組成物(2b)の粘度は、500,000mPa・s以下であった。
【0323】
<硬化物の製造と特性評価>
硬化性樹脂組成物(2b)を、窒素下にて、深さ3mmの型に流し込み、120℃で1時間、更に150℃で3時間硬化反応を行い、硬化物を得た。得られた硬化物の性能を表2に示す。
【0324】
[実施例11]
<光半導体発光素子の製造>
150℃で2時間加熱乾燥したリード電極5付きポリフタルアミド製ハウジング材7に、実施例1で製造した硬化性樹脂組成物(1a)を発光素子用のダイボンド材として用い、主発光ピークが460nmの発光素子1を実装し、120℃1時間、更に150℃で2時間硬化させ発光素子1を固定した。続いて、発光素子1とリード電極5とを金ワイヤー4で電気的に接続した後、窒素下にて実施例1にて作成した硬化性樹脂組成物(1a)を型に注入し、120℃で1時間、更に150℃で2時間硬化反応を行って、発光素子用封止材3を形成し、図1に示す構造の光半導体発光素子10(以下、「光半導体素子」ともいう。)を20個作製した。本操作によって得られた光半導体発光素子10に対し、室温にて3V、80mAにて1,000時間通電しても、発光素子1と発光素子用封止材3との封止部の剥離や輝度の低下は見られなかった。
【0325】
[実施例12]
硬化性樹脂組成物(1a)の代わりに実施例2で作成した硬化性樹脂組成物(2a)を用いたこと以外は、実施例11と同様にして、図1に示す構造の光半導体素子10を20個作製した。本操作によって得られた光半導体発光素子10に対し、室温にて3V、80mAにて1,000時間通電しても、発光素子1と発光素子用封止材3との封止部の剥離や輝度の低下は見られなかった。
【0326】
[実施例13]
硬化性樹脂組成物(1a)の代わりに実施例3で作成した硬化性樹脂組成物(3a)を用いたこと以外は、実施例11と同様にして、図1に示す構造の光半導体素子10を20個作製した。本操作によって得られた光半導体発光素子10に対し、室温にて3V、80mAにて1,000時間通電しても、発光素子1と発光素子用封止材3との封止部の剥離や輝度の低下は見られなかった。
【0327】
[実施例14]
硬化性樹脂組成物(1a)の代わりに実施例8で作成した硬化性樹脂組成物(8a)を用いたこと以外は、実施例11と同様にして、図1に示す構造の光半導体素子10を20個作製した。本操作によって得られた光半導体発光素子10に対し、室温にて3V、80mAにて1,000時間通電しても、発光素子1と発光素子用封止材3との封止部の剥離や輝度の低下は見られなかった。
【0328】
[実施例15]
硬化性樹脂組成物(1a)の代わりに実施例9で作成した硬化性樹脂組成物(9a)を用いたこと以外は、実施例11と同様にして、図1に示す構造の光半導体素子10を20個作製した。本操作によって得られた光半導体発光素子10に対し、室温にて3V、80mAにて1,000時間通電しても、発光素子1と発光素子用封止材3との封止部の剥離や輝度の低下は見られなかった。
【0329】
[実施例16]
硬化性樹脂組成物(1a)の代わりに実施例10で作成した硬化性樹脂組成物(10a)を用いたこと以外は、実施例11と同様にして、図1に示す構造の光半導体素子10を20個作製した。本操作によって得られた光半導体発光素子10に対し、室温にて3V、80mAにて1,000時間通電しても、発光素子1と発光素子用封止材3との封止部の剥離や輝度の低下は見られなかった。
【0330】
【表1】

【0331】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0332】
良好な透明性、優れた耐光性、優れた耐熱変色性、優れた密着性を有する発光素子用封止材として好適に用いられる硬化性樹脂組成物、並びに、該樹脂組成物を用いて形成された発光部品を提供することが可能となる。
また、本発明は、射出成形に適し、硬化後において硬質であり寸歩安定性にも優れた、レンズ材料として好適な硬化性樹脂組成物を提供することが可能となる。
【符号の説明】
【0333】
1…発光素子、2…発光素子用ダイボンド材、3…発光素子用封止材、4…金ワイヤー、5…リード電極、6…放熱板、7…ハウジング材、10…光半導体発光素子(光半導体素子)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記[A]成分、[B]成分、[C]成分及び[D]成分を有し、[A]成分100質量部に対する、[B]成分の含有量が0.1質量部以上1,500質量部以下、[C]成分の含有量が0.001質量部以上10質量部以下、[D]成分の含有量が0.001質量部以上10質量部以下であることを特徴とする硬化性樹脂組成物。
[A]下記<A>及び<B>の要件を同時に満足する下記平均組成式(1)によって表されるブロック型オルガノハイドロジェンシリコーンに対し、ヒドロシリル化触媒の存在下、炭素−炭素2重結合及びエポキシ基を有する化合物(a)を含むビニル化合物(b)をヒドロシリル化反応により付加して得られるエポキシ変性シリコーン。
<A>:(RSiO2/2)単位の平均連鎖長が3以上100以下。
<B>:(RHSiO2/2)単位の平均連鎖長が2以上20以下。
(RSiO1/2)(RHSiO1/2)(RSiO2/2)
(RHSiO2/2)(RSiO3/2)(HSiO3/2)(SiO4/2) ・・(1)
[但し、Rは各々独立に、A)ヒドロキシル基、B)ハロゲン原子、C)無置換又は置換された鎖状、分岐状及び環状よりなる構造群から選ばれる1種以上の構造からなる脂肪族炭化水素単位を有する、炭素数が1以上24以下及び酸素数が0以上5以下の1価又は2価の脂肪族有機基、D)無置換又は置換された芳香族炭化水素単位であって、必要に応じて無置換又は置換された鎖状、分岐状及び環状よりなる構造群から選ばれる1種以上の構造からなる脂肪族炭化水素単位を有する、炭素数が6以上24以下及び酸素数が0以上5以下の1価の芳香族有機基、からなる群から選ばれる少なくとも1種以上の有機基を表す。
上記の有機基は、前記の炭素数及び酸素数の範囲内であれば、有機基としてヒドロキシル基、アルコキシ基、アシル基、カルボキシル基、アルケニルオキシ基、アシルオキシ基、ハロゲン原子、或いは、エステル結合を含んでいてもよい。また、窒素、リン、硫黄等の酸素を除くヘテロ原子を含んでいてもよい。]
[B]エポキシ樹脂用硬化剤
[C]フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤及びアミン系酸化防止剤なる群から選ばれる少なくとも1種の酸化防止剤
[D]硬化触媒
【請求項2】
[A]成分のエポキシ変性シリコーンのエポキシ価が0.10以上0.50以下の範囲であることを特徴とする、請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
平均組成式(1)で表されるブロック型オルガノハイドロジェンシリコーンの(b+d+f)/(a+b+c+d+e+f+g)の値が0.100以上0.800以下の範囲であることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
平均組成式(1)によって表されるブロック型オルガノハイドロジェンシリコーンにおいて、(e+f+g)の値がゼロであることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
[A]成分のエポキシ変性シリコーンの残留SiH単位数が、全Si数に対して2%未満であることを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項6】
[A]成分のエポキシ変性シリコーン中に残留する低沸化合物の合計量が、エポキシ変性シリコーンに対し2質量%以下であることを特徴とする、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物からなる発光素子用封止材。
【請求項8】
請求項7に記載の発光素子用封止材を用いて発光素子を封止して製造した発光部品。
【請求項9】
請求項8に記載の発光部品を用いた表示機器。
【請求項10】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物からなるレンズ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−236894(P2012−236894A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−106190(P2011−106190)
【出願日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】