説明

磁場成形装置、フェライト磁石の製造方法、金型

【課題】製造工程における歩留まりを向上させ、品質を安定させることのできる磁場成形装置、フェライト磁石の製造方法等を提供することを目的とする。
【解決手段】磁場成形するに際し、複数のキャビティ13を有した臼型19を、コントローラの制御により、臼型19の下方のヒータブロックに設けたヒータ部材20で臼型19の各部の温度に応じて加熱することで、各キャビティ13におけるスラリー温度を均一にする。このようにして、キャビティ13内における成形用スラリーの温度を均一に向上させることができるので、脱水性が良好かつ安定したものとなり、製品の歩留まりを向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁場成形装置、フェライト磁石の製造方法、およびそれに用いることのできる金型に関する。
【背景技術】
【0002】
フェライト(焼結)磁石は、特性が向上し比較的安価であることから、自動車、家電製品、産業機械等、広い分野で多量に使用されている。
フェライト磁石を製造するには、原料を所定の配合比で混合したものを仮焼してフェライト化させ、得られた仮焼体をサブミクロンサイズまで粉砕し、フェライト粒子からなる微粉砕粉末を得る。次いで、微粉砕粉末を磁場中で金型によって圧縮成形(以下、これを磁場成形と称する)して成形体を得た後、この成形体を焼結することで、フェライト磁石を得る。
磁場成形の工程には、大きく分けて、材料を乾燥させた後に成形を行う乾式と、材料をスラリー状として成形を行う湿式とがある。
【0003】
湿式で磁場成形を行う場合、スラリー中に含まれる水分を除去する脱水を確実に行わないと、成形体にクラック等が生じ、その結果、歩留まりが低下してしまうという問題があった。
このため、従来より、金型に注入する前にスラリーを加熱することでスラリーの粘度を低下させ、脱水性を向上させるという改善技術が提案されていた(例えば、特許文献1、2、3参照。)。
【0004】
特許文献1に記載の技術は、金型装置と、金型装置にスラリーを圧送する圧送装置との間にスラリーを加熱する加熱装置を備えたものである。
しかし、この技術では、加熱に電熱管やウォーターバスを使っていたため、加熱に時間がかかるという問題を抱えている。特許文献2に記載の技術は、これに対して提案されたものであり、加熱にマイクロ波を用いることで、スラリーを短時間で均一に加熱するというものである。
【0005】
また、特許文献3に記載の技術は、金型に注入されるスラリーが貯留されたタンク内で、スラリーをパイプヒータ等で直接加熱したり、タンクの外周面を熱湯等で間接加熱したり、また、タンクから金型にスラリーが自動注入される際に金型までの導入管を外周から加熱することによって、スラリーの温度を40〜90℃に保持しようというものである。
【0006】
しかしながら、上記のように加熱されたスラリーを金型内に注入すると、金型等によって熱が奪われてスラリーの温度が低下し、スラリーの分散媒の粘度が上昇してしまうという問題があることを本発明者らは見出した。
また、特許文献3の技術では、金型内におけるスラリーの温度を40〜90℃に保持するという構成になってはいる。しかし、金型に注入されるスラリーが貯留されたタンク内で、スラリーをパイプヒータ等で直接加熱したり、タンクの外周面を熱湯等で間接加熱したり、また、タンクから金型にスラリーが自動注入される際に金型までの導入管を外周から加熱していたのでは、上記のように金型に注入した段階でスラリーの熱が奪われるため、金型内におけるスラリーの温度を40〜90℃に保持することは現実的に困難であることも実験により確認された。
【0007】
このような問題に対し、金型のキャビティ(成形空間)を取り囲むように、スラリーを加熱する加熱部材を備えた構成の技術が提案されている(例えば、特許文献4参照。)。
【0008】
【特許文献1】特公平1−54167号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】特開平6−182728号公報(請求項1)
【特許文献3】特公平2−13924号公報(特許請求の範囲、第3頁)
【特許文献4】特公平1−54168号公報(特許請求の範囲)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
金型のキャビティは、臼型に形成され、この臼型は、高精度な精密加工がなされている。特許文献4に記載された技術のように、スラリーを加熱する加熱部材は、この臼型に形成しなければならず、臼型に穴あけ加工してヒータを通すのは非常に困難であり、また、ヒータを通すための穴によって、臼型の強度が低下し、臼型の耐久性が低くなるという可能性も生じる。
このため、このような技術は、現実的には、上記問題の有効な解決手段とは言い切れない。
【0010】
また、上記したような問題は、特に、一つの金型で成形体を多数個取りするため、金型に複数のキャビティを形成する等の理由で、大型化した金型を使用する場合等に顕著であった。金型側の熱容量が非常に大きいためである。これらの場合、上記したような従来の技術を適用したとしても、クラックが発生するという問題を有効に解決することができない。さらに、複数のキャビティが金型に形成されている場合、金型内のキャビティの位置によってスラリー温度が異なってしまい、キャビティ毎に脱水性に差が生じるために、最終的に得られる成形体の密度、製品重量にもばらつきが生じるという問題が生じる。
加えて、周囲の雰囲気温度によって金型の温度も変わるため、季節によって金型内でのスラリーの分散媒の粘度が変動し、脱水性が変化するため、得られる製品の品質が安定しないという問題もある。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、製造工程における歩留まりを向上させ、品質を安定させることのできる磁場成形装置、フェライト磁石の製造方法等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このような課題に対してなされた本発明の磁場成形装置は、フェライト磁石を製造するときに用いる磁場成形装置であって、主としてフェライトからなる粉末を分散媒に分散させた成形用スラリーが注入され、成形用スラリーを圧縮成形する金型と、金型中の成形用スラリーに、所定方向の磁場を印加する磁場発生源と、金型に形成され、フェライト磁石を形成するためのキャビティに成形用スラリーを注入する注入パスと、金型のキャビティよりも下方の位置に設けられ、注入パス内の成形用スラリーを加熱するヒータと、ヒータをコントロールするコントローラと、を備えることを特徴とする。
金型に形成された注入パス中の成形用スラリーをヒータで加熱することで、キャビティ内に注入される成形用スラリーの温度低下を防ぎ、脱水性を確実に向上することができる。また、ヒータにより、成形用スラリーだけでなく、臼型についても加熱することができ、これによってもキャビティ内の成形用スラリーの温度低下を防ぐことが可能となる。
このとき、ヒータを金型のキャビティよりも下方の位置に設けることで、フェライト磁石の成形に関与するキャビティ周囲における金型強度が低下するのを防止することができる。
ヒータを金型のキャビティよりも下方の位置に設けるには、金型を構成する臼型や下型のキャビティよりも下方の位置にヒータを設けても良いが、金型を構成する臼型の下面に取り付けられ、臼型とは別体であるブロック部材を設け、このブロック部材に、注入パスおよびヒータを設けるのが好ましい。
このようにすれば、注入パスおよびヒータを設置するための穴等を形成するときには、ブロック部材単体で加工を行うこともでき、また金型よりも硬度の低い材料でブロック部材を形成することで、加工の容易性も高まる。
【0012】
このとき、コントローラでは、ブロック部材の温度が40℃以上120℃以下となるように調整するのが好ましい。この場合、温度の、より好ましい範囲は40℃以上100℃以下、さらに好ましい範囲は40℃以上80℃以下である。
【0013】
金型が、フェライト磁石を多数個取りするための複数のキャビティを有しているものである場合、本発明は特に有効となる。その場合、金型の複数のキャビティの温度分布を調整する温度調整部をさらに備えるのが好ましい。
【0014】
金型の構造が非対称である場合等には、金型内のキャビティの位置によってスラリー温度が異なってしまい、キャビティ毎に脱水性に差が生じるために、最終的に得られる成形体の密度、製品重量にもばらつきが生じるという問題が残りやすい。例えば、金型内にスラリーを導入する導入口が設けられた側は、新たに導入されるスラリーによって金型の温度が低下するのに対し、金型の反対側は金型の温度が低下しにくく、これによって金型の温度が部位によって大きく異なる。この他、成形工程の合間に、ブラシなどを接触させて金型の表面を洗浄するような機構が備えられている場合、ブラシにつけられた洗浄液により、金型の温度が低下することもある。このような場合、洗浄を開始する位置に近いほど、金型の温度が大きく低下する傾向がある。このように、金型の温度分布は様々な要因によって変動しやすくなっているのである。
【0015】
このような問題を解決すべくなされた本発明は、フェライト磁石を製造するときに用いる磁場成形装置であって、主としてフェライトからなる粉末を分散媒に分散させた成形用スラリーが注入されるキャビティを複数有し、成形用スラリーを圧縮成形する金型と、金型中の成形用スラリーに、所定方向の磁場を印加する磁場発生源と、金型の複数のキャビティの温度分布を調整する温度調整部と、を備えることを特徴とする。
温度調整部は、金型に設けられ、金型を加熱する複数のヒータと、複数のヒータを独立してコントロールするコントローラとから構成することができる。また、温度調整部は、金型に設けられ、発熱量が異なる複数のヒータと、複数のヒータを一括してコントロールするコントローラとから構成することも可能である。
また、ヒータは、ヒータの部位により発熱量が異なるものであるものを用いることも可能である。具体的には、例えば、同一のヒータ内で、電熱線の巻き線のピッチを変えることで、部分的に発熱量を変化させるもの等がある。
このような温度調整部により、金型の複数のキャビティの温度分布を調整し、各キャビティに注入された状態における成形用スラリーの温度の均等化を図ることができる。
ヒータは、金型に整列して設けられたキャビティの列数をmとしたとき、m個以上設けるのが好ましい。さらに、ヒータは、金型に設けられたキャビティの数をnとしたとき、n個以上設けるのが好ましい。このように、ヒータを多く設けることで、よりきめ細やかな温度調整が行える。
また、金型には、キャビティのそれぞれに成形用スラリーを注入するための注入パスが形成される。ヒータは、この注入パスの近傍に配置するのが好ましい。注入パスの近傍は、成形用スラリーの通過によって温度が大きく変動しやすいからである。
【0016】
本発明は、型に形成された複数のキャビティを、複数段階の温度に設定した複数のヒータによって加熱しておき、主としてフェライトからなる粉末を分散媒に分散させることで得た成形用スラリーを、複数のキャビティに注入し、所定方向の磁場中にて加圧成形することで成形体を得る成形工程と、成形体を焼成することでフェライト磁石を得る焼成工程と、を有することを特徴とするフェライト磁石の製造方法とすることもできる。
このように複数のキャビティを、複数段階の温度に設定した複数のヒータで加熱しておくことで、金型の複数のキャビティの温度分布を調整し、各キャビティに注入される成形用スラリーの温度の均等化を図ることができるのである。
【0017】
本発明は、フェライト磁石の製造工程にて、主としてフェライトからなる粉末を分散媒に分散させた成形用スラリーを圧縮成形し、所定形状の成形体を形成する金型であって、成形体を形成するための複数のキャビティと、金型の外部からキャビティに成形用スラリーを注入するための注入パスと、金型を部位によって異なる温度に加熱するためのヒータと、を備えることを特徴とする金型とすることもできる。
このとき、金型を構成する臼型の下面に取り付けられ、臼型とは別体であるブロック部材をさらに備え、ヒータを、ブロック部材に設けるのが好ましい。また、ヒータは、金型に整列して設けられたキャビティの列に並ぶように設けることができる。
【0018】
注入パスの容積は、一回の成形で複数のキャビティに注入する成形用スラリーの容積以上とするのが好ましい。ここで、一回の成形で複数のキャビティに注入する成形用スラリーの容積は、1回の成形で得られる複数個の成形体の乾燥重量の総和に相当する材料を含む成形用スラリーの容積である。これにより、キャビティに充填したスラリーを圧縮成形している間に、次にキャビティに充填スラリーの全量を加熱することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、キャビティに注入される成形用スラリーを加熱し、その分散媒の粘性率を低下させることができる。これにより、磁場成形中における脱水性を高く維持することが可能となる。そして、金型の複数のキャビティの温度分布を調整することで、各キャビティに注入される成形用スラリーの温度の均等化を図ることができ、脱水性のバラつきを抑え、最終的に得られる成形体の密度を均一化して品質を向上・安定化するとともに、不良品を低減し、製造工程における歩留まりを向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
図1は、本実施の形態におけるフェライト磁石の製造工程の流れの一例を示す図である。なお、本実施の形態で示すフェライト磁石の製造工程はあくまでも一例に過ぎず、適宜変更を加えることが可能なのは言うまでも無い。
この図1に示すように、フェライト磁石を製造するには、まず原料を所定の配合比で混合したものを仮焼してフェライト化させる(ステップS101、S102)。原料としては、酸化物粉末、または焼成により酸化物となる化合物、例えば炭酸塩、水酸化物、硝酸塩等の粉末を用いる。仮焼は、通常、空気中等の酸化性雰囲気中で行えば良い。
次いで、得られた仮焼体を粗粉砕工程を経ることで粉砕し(ステップS103)、フェライト粒子からなる仮焼粉末を得る。次いでこの仮焼粉末に適宜添加物を添加し、微粉砕工程を経てサブミクロンサイズまで粉砕し(ステップS104)、主としてマグネトプランバイト型フェライトからなる微粉砕粉末を得る。粗粉砕工程、微粉砕工程は、湿式で行っても乾式で行ってもよい。ただし、仮焼体は一般に顆粒から構成されるので、粗粉砕工程を乾式で行い、次いで微粉砕工程を湿式で行うのが好ましい。その場合、粗粉砕工程で仮焼体を所定以下の粒径となるまで粗粉砕した後、微粉砕工程で粗粉砕粉と水とを含む粉砕用スラリーを調製し、これを用いて所定以下の粒径となるまでの微粉砕を行う。
【0021】
この後、微粉砕粉末を分散媒に分散させることで所定濃度のスラリー(成形用スラリー)を調製し、これを磁場成形する。微粉砕工程で湿式粉砕を行った場合、脱水工程(ステップS105)にてスラリーを濃縮することで、所定濃度のスラリーを調製するようにしても良い。
ここで、分散媒としては、水、あるいは常温(20℃)において粘性率が0.70[mPa・s]未満の液体が好適である。常温(20℃)において粘性率が0.70[mPa・s]未満の液体としては、例えば、ヘキサン、トルエン、p-キシレン、メタノール等を用いることができる。また、分散媒は、後述の加熱された金型に注入したときに、粘性率が0.70[mPa・s]未満となるものであってもよく、上記したような分散媒だけでなく、他の分散媒を採用することもできる。
【0022】
そして、このスラリーを混練した後(ステップS106)、スラリーを型に注入し、所定方向の磁場をかけながら圧縮成形することで磁場成形を行う(ステップS107)。
【0023】
この後、得られた成形体を焼成して焼結させることで、フェライト磁石を得る(ステップS108)。この後、所定形状への加工を経て、製品としてのフェライト磁石が完成する(ステップS109〜S110)。
【0024】
図2、図3は、上記したようなステップS107の磁場成形を行う工程で用いる磁場成形装置10の概略構成を示す図である。
磁場成形装置10は、所定濃度に調製されたスラリーに対し、磁場中で圧縮成形を施すことで、フェライト粒子を配向させ、所定形状のフェライト磁石を形成するものである。図2に示すように、この磁場成形装置10は、複数のフェライト磁石を多数個取りで形成するため、複数のキャビティ13を有している。
【0025】
図3は、この磁場成形装置10の一列のキャビティ13を対象とした断面図である。この図3に示すように、磁場成形装置10には、金型として、上型11、下型12、臼型19、ヒータブロック(ブロック部材)40が備えられている。上型11、下型12の少なくとも一方は、図示しない駆動シリンダ等を駆動源として、上型11、下型12を互いに接近・離間方向に動作可能となっている。本実施の形態においては、下型12が、上型11に対し所定のストロークで上下動するようになっている。
また、臼型19は、固定されていてもよいし、上下動可能でも良い。
【0026】
臼型19には、その下面に、別体のヒータブロック40が設けられている。このヒータブロック40には、個々のキャビティ13にスラリーを注入するための注入パス14が形成されている。臼型19の内部には、注入パス14に連続するように、各キャビティ13へと繋がる注入パス分岐路41が形成されている。
注入パス14は、外部に設けられた材料容器15から、弁16Aを開いたときにポンプ16によって送り込まれるスラリーを、個々のキャビティ13に分配・注入するようになっている。これら注入パス14および注入パス分岐路41は、その総容積が、成形1回分のスラリーの容積と同等以上となるように形成するのが好ましい。
なお、図3(a)は、注入パス14から各キャビティ13への注入パス分岐路41の流路長が等しくなるよう、注入パス14を金型中央部まで設け、そこから注入パス分岐路41を延ばして形成した場合の例であり、図3(b)は、注入パス14の途中から、注入パス分岐路41の長さが最短となるように形成した例である。
【0027】
臼型19およびヒータブロック40には、下方から下型12を挿通させるための貫通孔32、33が連続して形成されている。
個々の下型12は、そのストローク終端位置において、キャビティ13にて、スラリーを所定の形状に圧縮成形するようになっている。ここで、臼型19には、下型12との隙間をシールするシール部材17が設けられている。
上型11と臼型19の合わせ面には、キャビティ13からスラリーに含まれる水分を排出するための濾布18が挟み込まれている。これにより、スラリーに含まれる水分は、濾布18を伝い、上型11と臼型19の合わせ面から上型11および臼型19の外部に導き出されるようになっている。
そして、上型11の近傍には、図示しない磁界発生コイル等が設けられており、所定の方向の磁場を加えることができるようになっている。
【0028】
さて、本実施の形態において、ヒータブロック40には、注入パス14に沿うように、電熱線、セラミックヒータ等によって構成されるヒータ部材20が埋め込まれている。このヒータ部材20は、各キャビティ13を均一に加熱できるよう決定されたパターンで配置するのが好ましい。
例えば、図2に示したように、ヒータ部材20は、臼型19に形成されたキャビティ13の各列に対応するように並べて設けることができる。この場合、ヒータ部材20は、キャビティ13の列数をmとすると、m個以上設けるのが好ましい。
また、図4に示すように、ヒータ部材20は、臼型19の各キャビティ13に対応するように設けることもできる。この場合、ヒータ部材20は、ヒータブロック40の各キャビティ13に対応した位置に配置するのが好ましい。ヒータ部材20は、キャビティ13の個数をn個とすると、n個以上設けるのが好ましい。さらに、注入パス14の入口側近傍を重点的に加熱するよう、ヒータ部材20を配置しても良い。
【0029】
ヒータ部材20には、それぞれヒータ用電源(図示無し)が接続されており、各ヒータ用電源(図示無し)からそれぞれのヒータ部材20に電圧を印加することで、ヒータ部材20が発熱し、ヒータブロック40を加熱し、これによって注入パス14内のスラリーが加熱される。また、ヒータブロック40の加熱により、臼型19についても加熱が行われ、注入パス分岐路41内のスラリーも加熱される。
ヒータ部材20としては、このような電気式ヒータに限らず、液体(熱媒)循環や電磁誘導等によって加熱を行うものを用いることもできる。
これらヒータ部材20およびヒータ用電源(図示無し)によって、ヒータが構成されている。
【0030】
さらに、ヒータブロック40には、温度を検出する熱電対等のセンサ22が設けられ、さらに、このセンサ22で検出した温度に基づき、ヒータ用電源(図示無し)を制御するコントローラ(図示無し)が備えられている。
センサ22は、コントローラ(図示無し)で、よりきめ細やかな制御を行うため、複数個を設けるのが好ましい。このため、センサ22を、各キャビティ13またはその直近に設けても良い。この場合も、センサ22は、ヒータブロック40内に設けるのが好ましい。また、複数個のキャビティ13に対応したヒータ部材20を一つの群(グループ)とし、これを複数群設けて、それぞれの群のヒータ部材20をコントローラ(図示無し)で一括して制御してもよい。この場合、センサ22は、各群に対応した複数個のキャビティ13に対し、一つ設ければよい。
このようにして、個々のセンサ22で検出した各部の温度に基づき、コントローラ(図示無し)でヒータ用電源(図示無し)を制御し、各ヒータ部材20での発熱を個別に制御する。各部における温度に応じ、ヒータ部材20での発熱を制御することにより、注入パス14内、注入パス分岐路41内のスラリーを加熱することで、各キャビティ13におけるスラリー温度を均一にすることが可能となる。
【0031】
なお、上記では、複数のヒータ部材20は、発熱量が共通のものを用いることを前提としているが、これに限るものではなく、複数のヒータ部材20間において、発熱量が異なる複数種のものを用いるようにしても良い。この場合、一つのヒータ用電源(図示無し)から全てのヒータ部材20に同じ電圧を印加すると、ヒータ部材20の種類によって発熱量が異なり、予め、臼型19の各部の温度変動状況に基づいてヒータ部材20の種類を選定しておくことで、臼型19の温度分布の調整を行うことができ、しかもコントローラ(図示無し)では、すべてのヒータ部材20を一括にコントロールし、単なるON/OFF制御とすることも可能となる。
また、ヒータ部材20としては、例えば電熱線の巻き線のピッチを部分的に変える等して、部位によって発熱量を変化させたものを利用することも可能である。これにより、一つのヒータ部材20で加える熱量を、部位によって変えることができる。
【0032】
ヒータブロック40において、注入パス14の近傍では、ヒータ部材20によって加熱されたスラリーが各キャビティ13に注入されて、材料容器15側から新たなスラリーが送り込まれてくるたびに、温度が低下する。これに対し、注入パス14から離れた部位、あるいはキャビティ13が設けられた領域よりも外側の部位では、スラリーの影響をあまり受けないため、温度変動は生じにくい。
また、臼型19で連続して複数回の成形を行うとき、成形の合間に臼型19の表面を洗浄することがある。このような洗浄は、ブラシ30aを洗浄液に漬けた後、ブラシ30aを往復動させながら臼型19の表面に沿って移動させる洗浄装置30によって自動的に行うことができる。このとき、臼型19において、洗浄を開始する側では、洗浄液によって臼型19の温度が低下しやすいのに対し、その反対側では温度が変化しにくい。
このように、臼型19において、温度分布が不均一になりやすいような場合等においても、臼型19の各部に最適な温度を設定し、スラリーを加熱することで、各キャビティ13におけるスラリー温度を均一にすることができるのである。その結果、キャビティ13毎に脱水性に差が生じるのを抑え、最終的に得られる成形体の密度、製品重量のばらつきを小さく抑えることが可能となる。
【0033】
上記したような構成の磁場成形装置10では、前記のステップS106で混練されたスラリーが、材料容器15からポンプ16によって、注入パス14を通り、上型11、下型12間の各キャビティ13に分配・供給される。所定量のスラリーがキャビティ13に充填されると、図示しない磁界発生コイル等によって発生させた磁界を印加しつつ、下型12を作動させ、上型11、下型12により所定の圧力を加える。これによって、スラリーに含まれる水分は濾布18を伝って外部に導き出されることで、脱水が行われつつ、所定の形状に成形がなされる。なお、磁界の印加を開始する時期は充填直前であってもよい。充填時に磁場を印加しておくことによって磁場によってフェライト粒子が凝集し、脱水が促進される。
そして、成形の完了後、上型11を開き、下型12より所定形状に成形された成形体を抜き出して脱型する。
【0034】
このようにして、磁場成形するに際し、コントローラ(図示無し)の制御により、ヒータブロック40に設けられたヒータ部材20で注入パス14内、注入パス分岐路41内のスラリーを所定の温度に加熱(調整)する。この場合、センサ22によって検出される各部の温度T1が40℃以上となるように加熱するのが好ましい。これは、各部の温度T1が40℃を下回るとスラリーの加熱効果が確実に表れにくいからである。また、各部の温度T1が120℃を超えると、キャビティ13の内圧(すなわちスラリーの圧力)にもよるが、スラリーに含まれる水分が沸騰してしまう。したがって、各部の温度T1の上限は、120℃以下、より好ましくは100℃以下、さらに好ましくは80℃以下とするのが良い。このため、センサ22での検出値に基づき、コントローラ(図示無し)でヒータ用電源(図示無し)を制御するのが好ましい。
これにより、例えば、温度T1=50℃となるようにヒータ部材20で加熱したときには、キャビティ13内に充填されたスラリーの温度T2は43℃、T1=60℃としたときにはT2=49℃等となる。
【0035】
このように、ヒータブロック40に設けられたヒータ部材20で注入パス14内、注入パス分岐路41内のスラリーを加熱することによって、金型注入前にスラリーを加熱する場合に比較し、キャビティ13内におけるスラリーの温度を確実に高くすることができるので、スラリーの分散媒の粘性率を低下させて脱水を良好に行うことができ、製品の歩留まりを向上させることができる。
しかも、ヒータ部材20は、臼型19とは別体に設けられたヒータブロック40内に、注入パス14とともに設けられている。臼型19とは別体のヒータブロック40にヒータ部材20を設けることで、臼型19が超硬金属等によって形成される場合であっても、ヒータ部材20を設置するための加工を容易に行え、また臼型19の強度には何らの影響を及ぼさないため、臼型19の耐久性、成形精度低下を招くこともない。また、ヒータブロック40内において、ヒータ部材20を注入パス14に沿って設けたことで、注入パス14内のスラリーを効率よく加熱でき、効率の良い構造を実現している。
【0036】
さらに、各部に最適な温度を設定し、ヒータ部材20で加熱することで、各キャビティ13におけるスラリー温度を均一にすることができ、キャビティ13毎に脱水性に差が生じるのを抑え、最終的に得られる成形体の密度、製品重量のばらつきを小さく抑えることが可能となる。
上記のように、複数のキャビティ13が形成され、さらに金型が大型のものである場合等にも、各キャビティ13の温度を均一にできるので、最終的に得られる成形体の密度自体も均一にすることができる。さらに、季節によって周囲の雰囲気温度が変わっても、そのような変動の影響を受けにくくすることができ、常に安定した品質でフェライト磁石を製造することができる。
【0037】
また、注入パス14の総容積を、成形1回分のスラリーの容積と同等以上となるようにすることで、キャビティ13で成形を行っている間、次回の成形時にキャビティ13に供給されるスラリーを注入パス14内で確実かつ効率良く加熱でき、上記効果を確実なものとすることができる。例えば、成形(乾燥)単重量40gの製品で16個取り(キャビティ16個)の場合、スラリー濃度を76%、密度を2.59g/cmとすると、注入パス14の容量は325cm以上であることが好ましい。
なお、注入パス14の総容積が、成形1回分のスラリーの容積に満たない場合には、材料容器15からポンプ16によって注入パス14にスラリーが送り込まれる前段で、ヒータ等によってスラリーを予備加熱するのが好ましい。
【実施例1】
【0038】
ここで、スラリーの温度とキャビティ内圧の関係を調べたのでその結果を以下に示す。
まず、図1に示したような工程で、成形用スラリーを調製した。スラリーの分散媒には水を使用した。
そして、φ30mmの円盤状のキャビティに、温度を種々変化させた前記成形用スラリーを一定条件で注入し、次いで、一定の成形条件で磁場成形を行った。磁場成形には、単一のキャビティ13のみを有し、ヒータ部材20、ヒータ用電源(図示無し)、センサ22およびコントローラ(図示無し)を備えない他は、上記の磁場成形装置10と同様の構成の装置を使用した。このとき、注入パス14の直近かつ臼型19の外部の、スラリーの注入経路上に設置した圧力センサで測定された最大の圧力を、キャビティ内圧として記録した。また、スラリーを注入してから20秒後のキャビティ内のスラリーの温度を測定し、スラリー温度として記録した。キャビティ内圧はスラリーの脱水性の指標となり、数値が低いほうが脱水性がよいと言える。図5はその結果を示すものである。
この図5に示すように、キャビティ内圧は、スラリー温度が高まるにつれて低下することが確認された。
【0039】
次いで、金型温度とキャビティ内圧の関係を調べたのでその結果を以下に示す。
まず、図1に示したような工程で、成形用スラリーを調製した。スラリーの分散媒には水を使用した。
そして調製したスラリーを用い、図3に示した磁場成形装置10を用い、ヒータ部材20によってヒータブロック40の温度を、25℃(非加熱)、40、50、60、70℃としてそれぞれ磁場成形を行い、断面略円弧状の所定形状・サイズのフェライト磁石を製造した。キャビティ内圧は前述の方法で測定した。図6はその結果を示すものである。
図6に示すように、金型温度を上昇させるほどキャビティ内圧を低減させる効果はあるが、非加熱の場合と比較して明確な効果を得るためには、金型温度が40℃を超えることが好ましい。また、キャビティ内圧(すなわちスラリーの圧力)にもよるが、金型温度が100〜120℃を超えると水が沸騰して気泡を生じるなどの問題を生じることから、金型温度は100℃以下であることが好ましい。
金型温度を40℃としたときのスラリー温度は36℃であった。また、このときの分散媒(水)の粘性率を調べたところ0.70[mPa・s]であった。
図7に温度と分散媒である水の粘性率の関係を示した。水の粘性率は温度が高まるにつれて低下し、脱水性が改善される。つまり、上述の結果は分散媒(水)の粘性率が0.70[mPa・s]未満となれば、キャビティ内圧の低下が顕著になると言い換えられる。
【実施例2】
【0040】
続いて、臼型19に設けた複数のキャビティ13に対し、独立して温度制御を行うことの効果を確認した。
図8に示すように、臼型19に、所定形状を有したキャビティ13を、各列4個、合計6列並べて設け、各列に隣接するようにヒータ部材20を設けた。また、外部からスラリーを注入するための注入パス14の両側にも、ヒータ部材20を設けた。
このような臼型19の各キャビティ13に、注入パス14からスラリーを注入し、一定の成形条件で磁場成形を行い、断面略円弧状の所定形状・サイズのフェライト磁石を製造した。スラリーには、実施例1と同様に調製したものを用いた。
このとき、表1に示すように、実施条件1では、コントローラ(図示無し)によりヒータ部材20で発熱させ、各ヒータ部材20の温度が50℃とセンサ22で検出されるようにした。また、比較条件1ではヒータ部材20による加熱を行わず、磁場成形を行った。
そして、各キャビティ13から得られた成形体の重量を計測した。
【0041】
【表1】

【0042】
図9、図10は、その結果を示すものであり、臼型19におけるキャビティ13の位置を図8に示すように、列L1〜L6、行S1〜S4としている。また、ヒータ部材20の位置を列H1〜H8で示している。
図9に示すように、ヒータ部材20による加熱を行わなかった比較条件1においては、成形体の重量が最小のものを100%とすると、100〜101.7%の範囲内でバラついており、その範囲Rは1.7%、標準偏差σは0.559%となっている。さらに、列L1側から列L6側に向けて、成形体の重量が徐々に大きくなる傾向が見受けられる。これは、臼型19において、列L1側には洗浄装置30が設けられており、洗浄時の洗浄液の影響により、臼型19の列L1側の温度が、列L6側に比較して大きく低下するためと考えられる。
【0043】
一方、ヒータ部材20による加熱を行った実施条件1においては、成形体の重量が最小のものを100%とすると成形体の重量は100.0〜101.7%、範囲Rは1.7%、標準偏差σは0.441%となり、図10に示すように、比較条件1よりも、バラつきが小さくなっていることが確認された。これは、洗浄液の影響によって大きく温度低下が生じる列L1側が加熱されることで、その影響の度合いを小さくできるためであると考えられる。
【0044】
しかし、実施条件1においても、列L1側から列L6側に向けて、成形体の重量が徐々に大きくなる傾向が、比較条件1ほどではないにしても見受けられる。そこで、表1に示すように、実施条件2として、ヒータ部材20による加熱を、列H8側から列H1側に向けて、温度が高くなるようにして磁場成形を行った。その結果、成形体の重量が最小のものを100%とすると成形体の重量は100.0〜101.5%、範囲Rは1.5%、標準偏差σは0.394%であった。図11を見れば明らかなように、列L1側から列L6側に向けて、成形体の重量が徐々に大きくなる傾向は見受けられず、温度を高くした列L1側の成形体の重量が大きくなった。
【0045】
さらに条件を改善するため、表1に示すように、成形体の重量が大きかった列L1側のヒータ列H1の温度を若干下げるような温度条件とし、実施条件3として磁場成形を行った。
その結果、成形体の重量が最小のものを100%とすると成形体の重量は100.0〜101.0%、範囲Rは1.0%、標準偏差σは0.302%となり、バラつきも小さくなり、また、図12に示すように、成形体の重量も平均化された。
この結果に基づき、さらに細かく、ヒータ部材20による温度調整条件を設定することで、更なる改善が行えることが期待できる。
【0046】
さらに、得られたフェライト磁石を検査した。その結果を図13に示す。
この図13に示すように、金型加熱を行った実施条件1〜3では、金型加熱を行わなかった比較条件1に比べ、横クラック(成形工程における脱水性が悪く、成形密度が低いために成形体にクラックが生じてしまう現象)、はがれ(同、成形密度が低いために臼型19からの脱型時に成形体の表面がはがれてしまう現象)、クロカワ(同、成形密度が低いために成形体が規定寸法より小さくなることで、成形後の研磨工程で研磨されずに残ってしまう現象)といった不良が明らかに減少し、特に臼型19の温度分布がより均等になるように改善した実施条件2、3においては、これらの不良の発生がほぼ0%になっていることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本実施の形態におけるフェライト磁石の製造工程を示す図である。
【図2】複数のキャビティを有した成形装置に対するヒータの配置を示す図である。
【図3】成形装置の一部を示す断面図である。
【図4】複数のキャビティを有した成形装置に対するヒータの配置の他の例を示す図である。
【図5】スラリーの温度とキャビティ内圧の関係を示す図である。
【図6】金型温度とキャビティ内圧との関係を示す図である。
【図7】分散媒の温度と粘性率の関係を示す図である。
【図8】実施例2における金型の構成を示す図である。
【図9】比較条件1における、キャビティの位置と成形体重量との関係を示す図である。
【図10】実施条件1における、キャビティの位置と成形体重量との関係を示す図である。
【図11】実施条件2における、キャビティの位置と成形体重量との関係を示す図である。
【図12】実施条件3における、キャビティの位置と成形体重量との関係を示す図である。
【図13】実施例2の各条件における不良の発生率を示す図である。
【符号の説明】
【0048】
10…磁場成形装置、11…上型(金型)、12…下型(金型)、13…キャビティ、14…注入パス、19…臼型(金型)、20…ヒータ部材、22…センサ、40…ヒータブロック(金型、ブロック部材)、41…注入パス分岐路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェライト磁石を製造するときに用いる磁場成形装置であって、
主としてフェライトからなる粉末を分散媒に分散させた成形用スラリーが注入され、前記成形用スラリーを圧縮成形する金型と、
前記金型中の前記成形用スラリーに、所定方向の磁場を印加する磁場発生源と、
前記金型に形成され、前記フェライト磁石を形成するためのキャビティに前記成形用スラリーを注入する注入パスと、
前記金型の前記キャビティよりも下方の位置に設けられ、前記注入パス内の前記成形用スラリーを加熱するヒータと、
前記ヒータをコントロールするコントローラと、
を備えることを特徴とする磁場成形装置。
【請求項2】
前記金型を構成する臼型の下面に取り付けられ、前記臼型とは別体であるブロック部材が設けられ、
前記注入パスおよび前記ヒータが前記ブロック部材に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の磁場成形装置。
【請求項3】
前記コントローラは、前記ブロック部材の温度が40℃以上120℃以下となるように調整することを特徴とする請求項1または2に記載の磁場成形装置。
【請求項4】
前記金型は、前記フェライト磁石を多数個取りするための複数のキャビティを有していることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の磁場成形装置。
【請求項5】
前記金型の複数の前記キャビティの温度分布を調整する温度調整部をさらに備えることを特徴とする請求項4に記載の磁場成形装置。
【請求項6】
フェライト磁石を製造するときに用いる磁場成形装置であって、
主としてフェライトからなる粉末を分散媒に分散させた成形用スラリーが注入されるキャビティを複数有し、前記成形用スラリーを圧縮成形する金型と、
前記金型中の前記成形用スラリーに、所定方向の磁場を印加する磁場発生源と、
前記金型の複数の前記キャビティの温度分布を調整する温度調整部と、
を備えることを特徴とする磁場成形装置。
【請求項7】
前記温度調整部は、前記金型に設けられ、前記金型を加熱する複数のヒータと、
複数の前記ヒータを独立してコントロールするコントローラとから構成されることを特徴とする請求項6に記載の磁場成形装置。
【請求項8】
前記温度調整部は、前記金型に設けられ、発熱量が異なる複数のヒータと、
複数の前記ヒータを一括してコントロールするコントローラとから構成されることを特徴とする請求項6に記載の磁場成形装置。
【請求項9】
前記ヒータは、前記ヒータの部位により発熱量が異なるものであることを特徴とする請求項6から8のいずれかに記載の磁場成形装置。
【請求項10】
前記ヒータは、前記金型に整列して設けられた前記キャビティの列数をmとしたとき、m個以上設けられていることを特徴とする請求項7から9のいずれかに記載の磁場成形装置。
【請求項11】
前記ヒータは、前記金型に設けられた前記キャビティの数をnとしたとき、n個以上設けられていることを特徴とする請求項7から9のいずれかに記載の磁場成形装置。
【請求項12】
前記金型に、前記キャビティのそれぞれに前記成形用スラリーを注入するための注入パスが形成され、前記ヒータは、前記注入パスの近傍に配置されていることを特徴とする請求項6から11のいずれかに記載の磁場成形装置。
【請求項13】
型に形成された複数のキャビティを、複数段階の温度に設定した複数のヒータによって加熱しておき、
主としてフェライトからなる粉末を分散媒に分散させることで得た成形用スラリーを、複数の前記キャビティに注入し、所定方向の磁場中にて加圧成形することで成形体を得る成形工程と、
前記成形体を焼成することでフェライト磁石を得る焼成工程と、
を有することを特徴とするフェライト磁石の製造方法。
【請求項14】
フェライト磁石の製造工程にて、主としてフェライトからなる粉末を分散媒に分散させた成形用スラリーを圧縮成形し、所定形状の成形体を形成する金型であって、
前記成形体を形成するための複数のキャビティと、
前記金型の外部から前記キャビティに前記成形用スラリーを注入するための注入パスと、
前記金型を部位によって異なる温度に加熱するためのヒータと、
を備えることを特徴とする金型。
【請求項15】
前記金型を構成する臼型の下面に取り付けられ、前記臼型とは別体であるブロック部材をさらに備え、
前記ヒータは、前記ブロック部材に設けられていることを特徴とする請求項14に記載の金型。
【請求項16】
前記注入パスは前記ブロック部材に形成され、
前記ヒータは、前記注入パスに沿って設けられていることを特徴とする請求項15に記載の金型。
【請求項17】
前記ヒータは、前記金型に整列して設けられた前記キャビティの列に並ぶように設けられていることを特徴とする請求項14から16のいずれかに記載の金型。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−123854(P2007−123854A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−258281(P2006−258281)
【出願日】平成18年9月25日(2006.9.25)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】