説明

磁性体検出装置

【課題】小さい磁性体(微小磁性体)に対して検出信号を発生させず、大きい磁性体(標的磁性体)に対して検出信号を発生させるように作動する磁性体検出装置を提供する。
【解決手段】本発明による磁性体検出装置(1)は、移動方向(A)に間隔を隔てて配置された第1の磁気センサ(10)及び第2の磁気センサ(12)を有する。標的磁性体(ML)が第1センサ(10)に来たときに第2センサ(12)が一定レベルよりも大きい信号を発生させ、微小磁性体(MS)が第1センサ(10)に来たときに第2センサ(12)が上記一定レベルよりも小さい信号しか発生させないように、第2センサ(12)が第1センサ(10)に対して配置される。磁気センサ(10,12)に接続されたコントローラ(20)は、両方のセンサ(10,12)が同時に上記一定レベルよりも大きい信号を発生させたとき、磁性体検出信号を発生させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁性体検出装置に関し、詳細には、磁気センサ、特に磁気インピーダンス(MI)センサを使用する磁性体検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
MIセンサを使用した磁性体(金属)検出装置が知られている。MIセンサは、磁気インピーダンス効果を利用した磁気センサである。磁性体の磁界の強さHは、磁性体の磁気量をm、MIセンサと磁性体との間の距離をrとすると、H=m/2πr3で表される。従って、MIセンサは、比較的大きい(即ち、磁気量が比較的多い)磁性体を、比較的小さい(磁気量が比較的少ない)磁性体よりも検出しやすく、また、MIセンサに比較的近い磁性体を、比較的遠い磁性体よりも検出しやすい。また、磁界の強さHは、磁気量mに比例するのに対し、距離rの3乗に反比例するため、MIセンサは、磁性体の大きさの影響よりも、MIセンサと磁性体との間の距離の影響を受けやすい。
【0003】
MIセンサを使用する磁性体検出装置は、検出すべき大きさの磁性体(以下、「標的磁性体」という。)を検出したときに、検出信号を発生させるように作動することが望ましい。即ち、磁性体検出装置は、周囲環境等の磁気に応答して検出信号を発生させないように作動することが望ましく、また、検出すべき大きさよりも小さい磁性体(以下、「微小磁性体」という。)に対して、検出信号を発生させないように作動することが望ましい。
【0004】
しかしながら、磁性体検出装置が、周囲環境等の磁気に応答して検出信号を発生させることがある。例えば、MIセンサの信号レベルに基づいて検出信号を発生させる磁性体検出装置の場合、MIセンサが、周囲環境の磁気(ノイズ)によって所定のレベル以上の信号を発生させると、それに応答して、磁性体検出装置が、検出すべき大きさの磁性体が存在していないにもかかわらず、検出信号を発生させることがある。
【0005】
かかる検出信号を発生させないようにするための磁性体検出装置は、検出すべき大きさの磁性体とノイズの両方を検出するための第1のMIセンサと、ノイズだけを検出するための第2のMIセンサを準備し、第1のMIセンサの信号レベルから第2のMIセンサの信号レベルを差し引いた信号を生じさせ、この信号に基づいて検出信号を発生させる(例えば、特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−71347号公報
【特許文献2】特開2006−98117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
また、磁気センサ、特にMIセンサの信号レベルに基づいて検出信号を発生させる磁性体検出装置において、MIセンサと磁性体との間の距離によって、磁性体検出装置が望ましい作動を行わない場合がある。
【0008】
第1に、磁性体検出装置が、検出信号を発生させるべきでない微小磁性体に対して、検出信号を発生させることがある。詳細には、微小磁性体が、MIセンサの直ぐ近くを通過するとき、微小磁性体の磁気量は小さいがそれとMIセンサとの間の距離が小さいために、微小磁性体からMIセンサに達する磁界の強さが比較的大きくなり、MIセンサの信号レベルが大きくなる。その信号レベルに応答して、磁性体検出装置が、標的磁性体が存在しないにもかかわらず、検出信号を発生させることがある。
【0009】
第2に、磁性体検出装置が、検出信号を発生させるべき標的磁性体に対して、検出信号を発生させないことがある。詳細には、標的磁性体が、MIセンサから遠いところを通過するとき、MIセンサに達する磁界の強さが小さくなり、MIセンサに達する磁界の強さが比較的小さくなり、MIセンサの信号レベルが小さくなる。その信号レベルに応答して、磁性体出装置が、標的磁性体が存在するにもかかわらず、検出信号を発生させないことがある。
【0010】
なお、検出信号を発生させるべきでない微小磁性体がMIセンサから遠いところを通過するとき、MIセンサの信号レベルが小さく、磁性体検出装置は、検出信号を発生させない。また、検出信号を発生させるべき標的磁性体がMIセンサの近くを通過するとき、MIセンサの信号レベルは大きく、磁性体検出装置は、検出信号を発生させる。
【0011】
そこで、本発明は、微小磁性体に対して検出信号を発生させず、且つ、標的磁性体に対して検出信号を発生させるように作動する、磁気センサ、特にMIセンサを使用する磁性体検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明による磁性体検出装置は、移動方向に移動する磁性体を検出する磁性体検出装置であって、移動方向に間隔を隔てて配置された第1の磁気センサ及び第2の磁気センサと、第1の磁気センサ及び第2の磁気センサに接続されたコントローラと、を有し、検出すべき大きさを有する磁性体が第1の磁気センサの前に来たときに第2の磁気センサが一定レベルよりも大きい信号を発生させ、且つ、検出すべき大きさよりも小さい磁性体が第1の磁気センサの前に来たときに第2の磁気センサが上記一定レベルよりも大きい信号を発生させないように、第2の磁気センサが第1の磁気センサに対して配置され、コントローラは、第1の磁気センサと第2の磁気センサの両方が同時に上記一定レベルよりも大きい信号を発生させたときに、磁性体検出信号を発生させることを特徴としている。
【0013】
このように構成された磁性体検出装置において、検出すべき大きさを有する磁性体(標的磁性体)が第1の磁気センサの前に来たとき、第2の磁気センサ、及び、標的磁性体との間の距離が第2の磁気センサよりも短い第1の磁気センサは両方とも同時に、一定レベルよりも大きい信号を発生させる。また、それに応答して、コントローラは、磁性体検出信号を発生させる。一方、検出すべき大きさよりも小さい磁性体(微小磁性体)が第1の磁気センサの前に来たとき、第1の磁気センサが発生させる信号のレベルに関わらず、第2の磁気センサは、上記一定レベルよりも大きい信号を発生させない。この場合、コントローラは、磁性体検出信号を発生させない。かくして、磁性体検出装置は、微小磁性体に対して検出信号を発生させず、且つ、標的磁性体に対して検出信号を発生させるように作動する。
【0014】
本発明による磁性体検出装置の実施形態において、好ましくは、更に、磁性体を移動させるためのコンベヤベルトを有する。第1の磁気センサ及び第2の磁気センサは、コンベヤベルトの直ぐ下に配置されてもよいし、コンベヤベルトの上方に配置されてもよいし、その両方に配置されてもよい。
【0015】
また、上記目的を達成するために、本発明による磁性体検出装置は、移動方向に移動する磁性体を検出する磁性体検出装置であって、移動方向を横切る方向に等間隔で1列に配置された複数の磁気センサと、複数の磁気センサに接続されたコントローラと、を有し、検出すべき大きさを有する磁性体が複数の磁気センサを横切るときに、n個以上の磁気センサが一定レベルよりも大きい信号を発生させ、且つ、検出すべき大きさよりも小さい磁性体が複数の磁気センサを横切るときに、n個よりも少ない磁気センサしか上記一定レベルよりも大きい信号を発生させないように、上記一定のレベルが定められ、コントローラは、上記一定レベルよりも大きい信号を発生させる磁気センサがn個以上であるときに、磁性体検出信号を発生させることを特徴としている。
【0016】
このように構成された磁性体検出装置において、検出すべき大きさを有する磁性体(標的磁性体)が複数の磁気センサを横切るとき、n個以上の磁気センサが、一定レベルよりも大きい信号を発生させる。この場合、コントローラは、磁性体検出信号を発生させる。一方、検出すべき大きさよりも小さい磁性体(微小磁性体)が複数の磁気センサを横切るとき、n個よりも少ない磁気センサしか、上記一定レベルよりも大きい信号を発生させない。この場合、コントローラは、磁性体検出信号を発生させない。かくして、磁性体検出装置は、微小磁性体に対して検出信号を発生させず、且つ、標的磁性体に対して検出信号を発生させるように作動する。
【0017】
本発明による磁性体検出装置の実施形態において、好ましくは、更に、磁性体を移動させるためのコンベヤベルトを有する。複数の磁気センサは、コンベヤベルトの直ぐ下に配置されてもよいし、コンベヤベルトの上方に配置されてもよいし、その両方に配置されてもよい。
【発明の効果】
【0018】
上述したように、磁気センサ、特にMIセンサを使用する本発明による磁性体検出装置によれば、微小磁性体を検出しないで標的磁性体を検出するように作動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明による磁性体検出装置の図式的な正面図である。
【図2】本発明による磁性体検出装置の図式的な平面図である。
【図3】1つのMIセンサの前を微小磁性体又は標的磁性体が通り過ぎるときのMIセンサの信号レベルを示す図である。
【図4】第2のMIセンサを追加した図3と同様の図である。
【図5】標的磁性体が複数のセンサを横切るときの複数のセンサの信号レベルを示す図である。
【図6】微小磁性体が複数のセンサを横切るときの複数のセンサの信号レベルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明による磁性体検出装置の実施形態の一例を説明する。図1は、本発明による磁性体検出装置の概略的な正面図である。図2は、図1の磁性体検出装置の概略的な平面図である。
【0021】
図1及び図2に示すように、磁性体検出装置1は、コンベヤの形態をなし、入口端ローラ2及び出口端ローラ4に巻きつけられたコンベヤベルト6を有している。コンベヤベルト6は、平らな搬送部6aを有し、モーター、減速機、伝動装置等(図示せず)によって方向Aに駆動される。コンベヤベルト6の材質は、磁性体を含まない材質等であることが好ましい。
【0022】
磁性体検出装置1は、コンベヤベルト6の搬送部6aの下側に、上流側のMIセンサ10と下流側のMIセンサ12を有している。図1では、上流側MIセンサ10及び下流側MIセンサ12を1つずつ示している。また、磁性体検出装置1は、コンベヤベルト6の搬送部6aの上方に、上流側のMIセンサ14と下流側のMIセンサ16を有している。図1では、上流側MIセンサ14及び下流側MIセンサ16を1つずつしか示していないが、図2に示すように、複数の下流側MIセンサ16が設けられていてもよい。これらのセンサ10、12、14、16は、例えば支持ブラケット(図示せず)を介して磁性体検出装置1のフレーム(図示せず)に取付けられている。
【0023】
MIセンサ10、12、14、16は、同一種類のMIセンサであることが好ましく、その検出範囲は、例えば、0〜25mmである。コンベヤベルト6の下側に配置されたMIセンサ10、12は、コンベヤベルト6の搬送部6aの上方における検出範囲をできるだけ広くするために、コンベヤベルト6にできるだけ近接させて配置されることが好ましい。MIセンサ10、12の検出範囲が0〜25mmである場合、図1の一点鎖線Bは、MIセンサ10、12の検出面10a、12aから25mmのところを示す。また、コンベヤベルト6の上方に配置されるMIセンサ14、16は、一点鎖線Bのところから上方に25mmのところに検出面14a、16aが配置されることが好ましい。このように配置することによって、高さ25mmまでの検出対象物Pに対して、それに含まれる標的磁性体MLを検出することが可能である。
【0024】
複数の下流側MIセンサ16は、それらの検出面16aが、移動方向Aを横切る方向にできるだけ近接するように配置されることが好ましい。複数のMIセンサ16は、等間隔で1列に配列されることが好ましい。MIセンサ16のピッチは、例えば、11mmである。本実施形態では、複数のMIセンサ16が、移動方向Aに対して斜めに配列されているが、移動方向Aに対して垂直に配置されていてもよい。
【0025】
検出信号を発生させるべき標的磁性体は、例えば、金属たわし、薄い刃物の欠け片であり、例えば、寸法が0.8mm以上、好ましくは、0.5mm以上の鉄の切片である。検出信号を発生させるべきでない微小磁性体は、例えば、自然界において磁気を帯びた土壌、砂、鉄鉱石等であり、例えば、寸法が0.3mmよりも小さい塵状物である。
【0026】
磁性体検出装置1は、更に、コントローラ20を有し、コントローラ20に、MIセンサ10、12、14、16が接続されている。コントローラ20は、信号処理装置及び演算装置を有していることが好ましい。また、コントローラ20に、警報及び表示装置22が接続されている。
【0027】
次に、本発明の発明者が着目したMIセンサの特性について説明する。図3は、1つのMIセンサの前を微小磁性体又は標的磁性体が通り過ぎるときのMIセンサの信号レベルを示す図である。図3において、横軸は時間であり、MIセンサ10を記載した位置が、微小磁性体又は標的磁性体がMIセンサ10の前(上)を通り過ぎたときである。横軸は、微小磁性体又は標的磁性体がMIセンサ10の前(上)を通り過ぎたときのMIセンサ10からの距離と考えることもでき、本発明では、そのように考えるのがよい。また、線3aは、微小磁性体がMIセンサの直ぐ近くのところを通り過ぎる場合を示し、線3bは、標的磁性体がMIセンサから遠くのところを通り過ぎる場合を示す。
【0028】
従来の作動方法のように、MIセンサの信号レベルのしきい値を3s1とすると、磁性体検出装置1は、標的磁性体に対しても微小磁性体に対しても、検出信号を発生させる。しきい値を高くして3s2に設定すると、標的磁性体に対して検出信号を発生させず、微小磁性体に対して検出信号を発生させる。これらの作動は、磁性体検出装置1の望ましい作動ではない。
【0029】
本願発明者は、線3aが示す信号レベルが、MIセンサ10の近くだけ大きく、MIセンサから離れるにつれて急に減少するのに対し、線3bが示す信号レベルが、MIセンサ10の近くだけでなく、MIセンサ10からある程度離れたところにおいても、ある程度の大きさに維持されていることに着目した。即ち、微小磁性体がMIセンサの直ぐ近くのところを通り過ぎる場合と、標的磁性体がMIセンサから遠くのところを通り過ぎる場合とでは、磁性体の磁界が達する範囲が異なっていることに着目した。本願発明は、このことを利用してなし得た発明である。
【0030】
次に、本発明による磁性体検出装置1の第1の作動例を説明する。図4は、第2のMIセンサを追加した図3と同様の図である。図4の横軸は、微小磁性体又は標的磁性体がMIセンサ10の前を通り過ぎたときのMIセンサ10からの距離である。線4aは、微小磁性体がMIセンサの直ぐ近くのところを通り過ぎる場合を示し、線4bは、標的磁性体がMIセンサから遠くのところを通り過ぎる場合を示す。
【0031】
第2のMIセンサ12は、第1のMIセンサ10から一定の間隔Lを隔てて配置されている。詳細には、標的磁性体が第1のMIセンサ10の前(上)に来たときに第2のMIセンサ12が一定レベル4sよりも大きい信号を発生させ、且つ、微小磁性体が第1のMIセンサ10の前(上)に来たときに第2のMIセンサ12が一定レベル4sよりも大きい信号を発生させないように、第2のMIセンサ12が第1のMIセンサ10に対して配置される。
【0032】
また、コントローラ20は、第1のMIセンサ10と第2のMIセンサ12の両方が同時に一定レベル4sよりも大きい信号を発生させたときに、磁性体検出信号を発生させるように構成される。
【0033】
標的磁性体MLを含む検出対象物P又は微小磁性体MSを方向Aに移動させる。
【0034】
標的磁性体MLが、上流側の(第1の)MIセンサ10の検査面10aから遠く(例えば、25mm)のところを通過する場合、標的磁性体MLが上流側のMIセンサ10の前(上)に来たとき、上流側のMIセンサ10の信号レベルも下流側の(第2の)MIセンサ12の信号レベルも、しきい値4sよりも大きい(線4b参照)。この場合、コントローラ20は、磁性体検出信号を発生させる。
【0035】
また、標的磁性体MLが、上流側のMIセンサ10の検査面10aから近く(例えば、1mm)のところを通過する場合、標的磁性体MLが上流側のMIセンサ10の前(上)に来たとき、上流側のMIセンサ10の信号レベルも下流側のMIセンサ12の信号レベルも、上記の場合よりも大きくなり、かくして、しきい値4sよりも大きい。この場合、コントローラ20は、磁性体検出信号を発生させる。
【0036】
一方、微小磁性体MSが、上流側のMIセンサ10の検査面10aから近く(例えば、1mm)のところを通過する場合、微小磁性体MSが上流側のMIセンサ10の前(上)に来たとき、上流側のMIセンサ10の信号レベルは、しきい値4sよりも大きいが、下流側のMIセンサ12の信号レベルは、しきい値4sよりも小さい(線4a参照)。この場合、コントローラ20は、磁性体検出信号を発生させない。
【0037】
また、微小磁性体MSが、上流側のMIセンサ10の検査面から遠く(例えば、25mm)のところを通過する場合、微小磁性体MSが上流側のMIセンサ10の前に来たとき、上流側のMIセンサ10の信号レベルも下流側のMIセンサ12の信号レベルも、上記の場合よりも小さくなり、下流側のMIセンサ12の信号レベルは、しきい値4sよりも小さい。この場合、コントローラ20は、磁性体検出信号を発生させない。
【0038】
かくして、磁性体検出装置1は、微小磁性体MSに対して検出信号を発生させないで、標的磁性体MLに対して検出信号を発生させるように作動する。コントローラ20が発生させた検出信号により、警報及び表示装置22が、警報を発したり、表示したりするのがよい。
【0039】
第1の作動例では、第1のMIセンサ10と第2のMIセンサ12の間の距離を変えることにより、容易に標的磁性体と微小磁性体とを振り分ける大きさを変更することができる。
【0040】
次に、本発明による磁性体検出装置の第2の動作例を説明する。図5及び図6はそれぞれ、標的磁性体及び微小磁性体が複数のセンサを横切るときの複数のセンサの信号レベルを示す図である。図5及び図6の横軸は時間である。MIセンサ16a、16b、16c、16dを記載した位置がそれぞれ、微小磁性体又は標的磁性体がMIセンサ16a、16b、16c、16dの前(下)を通り過ぎたときである。また、図5の線5a、5b、5c、5dはそれぞれ、標的磁性体MLがMIセンサ16a、16b、16c、16dから遠くのところを通り過ぎる場合を示す。また、図6の線6a、6b、6c、6dはそれぞれ、微小磁性体がMIセンサ16a、16b、16c、16dの直ぐ近くのところを通り過ぎる場合を示す。
【0041】
標的磁性体が複数のMIセンサ16を横切るときに、n個(例えば3個)以上のMIセンサ16が一定レベル5sよりも大きい信号を発生させ、且つ、微小磁性体が複数のMIセンサを横切るときに、n個(例えば3個)よりも少ないMIセンサしか一定レベル5sよりも大きい信号を発生させないように、一定のレベル5sが定められる。
【0042】
また、コントローラは20、一定レベル5sよりも大きい信号を発生させるMIセンサ16がn個(例えば3個)以上であるときに、磁性体検出信号を発生させるように構成される。
【0043】
標的磁性体MLを含む検出対象物P又は微小磁性体MSを方向Aに移動させる。
【0044】
標的磁性体MLが、複数のMIセンサ16の検査面16aから遠く(例えば、25mm)のところを通過する場合、MIセンサ16a、16b、16cの信号レベルがしきい値5sよりも大きくなる(図5参照)。この場合、nが3以上なので、コントローラ20は、磁性体検出信号を発生させる。各MIセンサ16の信号レベルがしきい値5sよりも大きくなるタイミングは、同時であってもよいし、異なっていてもよい。
【0045】
また、標的磁性体MLが、複数のMIセンサ16の検査面16aから近く(例えば、1mm)のところを通過する場合、信号レベルがしきい値5sよりも大きくなるMIセンサ16は、上記の場合よりも多くなる。この場合も、コントローラ20は、磁性体検出信号を発生させる。
【0046】
一方、微小磁性体MSが、複数のMIセンサ16の検査面16aから近く(例えば、1mm)のところを通過する場合、MIセンサ16aの信号レベルだけがしきい値5sよりも大きくなる(図6参照)。この場合、nが3よりも小さいので、コントローラ20は、磁性体検出信号を発生させない。
【0047】
また、微小磁性体MSが、複数のMIセンサ16の検査面16aから遠く(例えば、25mm)のところを通過する場合、複数の微小磁性体MSが上流側のMIセンサ10の前に来たとき、信号レベルがしきい値5sよりも大きくなるMIセンサ16は、上記の場合よりも少なくなる。この場合も、コントローラ20は、磁性体検出信号を発生させない。
【0048】
かくして、磁性体検出装置は、微小磁性体に対して、検出信号を発生させないで、標的磁性体に対して検出信号を発生させるように作動する。コントローラ20が発生させた検出信号により、警報及び表示装置が、警報を発したり、表示したりするのがよい。
【0049】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0050】
第1の作動例において、第1のMIセンサを、コンベヤベルト6の下側の上流側のMIセンサ10とし、第2のMIセンサを、コンベヤベルト6の下側の下流側のMIセンサ12として説明したけれども、これとは逆に、第1のMIセンサを下流側の側のMIセンサ12とし、第2のMIセンサを上流側のMIセンサ10としてもよい。また、第1のMIセンサ及び第2のMIセンサを、コンベヤベルト6の上側のMIセンサ14、16としてもよい。
【0051】
第1の作動例において、2つのMIセンサを用いたけれども、3つ以上のMIセンサを移動方向Aに間隔を隔てて配置し、コントローラ20が、これらすべてのMIセンサが同時に一定レベルよりも大きい信号を発生させたときに、磁性体検出信号を発生させてもよい。
【0052】
第2の作動例において、複数のMIセンサを、コンベヤベルト6の上側の下流側のMIセンサ16として説明したけれども、その他のMIセンサ10、12、14を複数設けて、上記複数のMIセンサを構成してもよい。
【0053】
また、上記実施形態において、MIセンサ10、12、14、16は、コンベヤベルト6の上方又は下方に配置されたが、側方に配置されてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 磁性体検出装置
6 コンベヤベルト
10 上流側MIセンサ(第1のMIセンサ)
12 下流側MIセンサ(第2のMIセンサ)
14 上流側MIセンサ(第1のMIセンサ)
16 下流側MIセンサ(第2のMIセンサ、複数のMIセンサ)
20 コントローラ
A 移動方向
ML 標的磁性体(検出すべき大きさを有する磁性体)
MS 検出すべき大きさよりも小さい磁性体
4s 一定レベル
5s 一定レベル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動方向に移動する磁性体を検出する磁性体検出装置であって、
前記移動方向に間隔を隔てて配置された第1の磁気センサ及び第2の磁気センサと、
第1の磁気センサ及び第2の磁気センサに接続されたコントローラと、を有し、
検出すべき大きさを有する磁性体が第1の磁気センサの前に来たときに第2の磁気センサが一定レベルよりも大きい信号を発生させ、且つ、検出すべき大きさよりも小さい磁性体が第1の磁気センサの前に来たときに第2の磁気センサが前記一定レベルよりも大きい信号を発生させないように、第2の磁気センサが第1の磁気センサに対して配置され、
コントローラは、第1の磁気センサと第2の磁気センサの両方が同時に前記一定レベルよりも大きい信号を発生させたときに、磁性体検出信号を発生させることを特徴とする磁性体検出装置。
【請求項2】
更に、磁性体を移動させるためのコンベヤベルトを有することを特徴とする請求項1に記載の磁性体検出装置。
【請求項3】
第1の磁気センサ及び第2の磁気センサは、コンベヤベルトの直ぐ下に配置されることを特徴とする請求項2に記載の磁性体検出装置。
【請求項4】
第1の磁気センサ及び第2の磁気センサは、コンベヤベルトの上方に配置されることを特徴とする請求項2又は3に記載の磁性体検出装置。
【請求項5】
移動方向に移動する磁性体を検出する磁性体検出装置であって、
前記移動方向を横切る方向に等間隔で1列に配置された複数の磁気センサと、
前記複数の磁気センサに接続されたコントローラと、を有し、
検出すべき大きさを有する磁性体が複数の磁気センサを横切るときに、n個以上の磁気センサが一定レベルよりも大きい信号を発生させ、且つ、検出すべき大きさよりも小さい磁性体が複数の磁気センサを横切るときに、n個よりも少ない磁気センサしか前記一定レベルよりも大きい信号を発生させないように、前記一定のレベルが定められ、
コントローラは、前記一定レベルよりも大きい信号を発生させる磁気センサがn個以上であるときに、磁性体検出信号を発生させることを特徴とする磁性体検出装置。
【請求項6】
更に、磁性体を移動させるためのコンベヤベルトを有することを特徴とする請求項5に記載の磁性体検出装置。
【請求項7】
複数の磁気センサは、コンベヤベルトの直ぐ下に配置されることを特徴とする請求項6に記載の磁性体検出装置。
【請求項8】
複数の磁気センサは、コンベヤベルトの上方に配置されることを特徴とする請求項6又は7に記載の磁性体検出装置。
【請求項9】
磁気センサがMIセンサであることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の磁性体検出装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−112545(P2011−112545A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−270091(P2009−270091)
【出願日】平成21年11月27日(2009.11.27)
【出願人】(000000066)味の素株式会社 (887)
【出願人】(000110952)ニッカ電測株式会社 (12)
【Fターム(参考)】