説明

磁気インク文字読取装置、磁気インク文字読取方法、及びプログラム、並びにPOS端末装置

【課題】 光学読取装置による誤認識を抑制することができ、それによって読取率を向上させることができる、磁気インク文字読取装置、磁気インク文字読取方法、及びプログラム、並びにPOS端末装置を提供する。
【解決手段】 磁気インク文字の文字列を読取る磁気インク文字読取装置1は、磁気読取機構45と、光学読取機構47とを備える。磁気読取結果と光学読取結果とを比較し(ステップS5)、結果が異なる場合には、再度光学認識処理を実施する。読取対象の位置を比較し(ステップS6)、文字列と直角な方向で位置がずれている読取対象を特定し(ステップS7)、その読取対象を再認識処理する。再認識処理位置は、位置がずれている読取対象の近傍で、文字列と直角な方向の位置は、磁気読取結果と光学読取結果が一致している読取対象の位置とする(ステップS8,9)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小切手等の被処理媒体に磁気インク文字を連ねて形成された文字列の読取処理を行う磁気インク文字読取装置に関する。また、本発明は、磁気インク文字読取装置を用いて、小切手等の被処理媒体に印刷されている磁気インク文字の読取処理を行う磁気インク文字読取方法及び磁気インク文字読取方法を実現するプログラムに関する。さらに、本発明は、磁気インク文字読取装置を備えたPOS端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、商取引や店舗での買い物、レストランでの支払い等において、小切手や、パーソナルチェック紙(以下総称して「チェック紙」と表記する。)を用いて決済が行われることがある。特に、アメリカ合衆国やヨーロッパ諸国においては、日常的に広く用いられている。一般に、チェック紙の所定の場所(下欄)に、銀行コードや銀行口座番号などが磁気インク文字により印刷されている。小売り店舗などにおいて、金銭の支払い者は支払い先、数字表記による金額、単語表記による金額とサインとを記入し店舗に支払う。店舗においては、磁気インク文字で印刷された銀行コードや銀行口座番号などを読取り、読取りデータを銀行や信用調査機関に照会し、チェック紙の有効性を確認する。有効な場合小売り店舗はチェック紙の裏面にエンドースメント(受領承認)を印刷し使用者から受領する。
【0003】
磁気インク文字で印刷されている銀行コードや銀行口座番号などは、小切手等による精算の基礎データであり、正確な読取りが要求される。特に、磁気インク文字を誤認識すると、誤認識データを基礎として精算処理が進行してしまい、支払い者の口座とは異なる口座で精算処理が行われるなど、後処理工程で大きな問題となる可能性がある。従って、チェック紙の精算処理では磁気インク文字を正しく読取ることは重要である。そのため、磁気読取装置による文字認識の技術を工夫して、読取率の向上や、誤認識率の低下が図られている。
【0004】
また、光学読取装置を併用することによって、磁気的に読取れなかった文字を、光学的に読取ることにより、読取率を向上させる技術も提案されている(特許文献1、2参照)。さらに、読取ができても内容を誤って認識する可能性があることを考慮し、磁気読取装置の読取結果と、光学読取装置の読取結果とを照合し、合致した結果のみを正しい読取り結果とすることで、誤認識率を低減させる技術も提案されている(特許文献3参照)。
【0005】
【特許文献1】特開昭49−49545号公報
【特許文献2】特開平7−182448号公報
【特許文献3】特開2000−259764号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、磁気インク文字が印刷されている位置を確実に読取るためには、磁気インク文字の印刷位置のばらつきや、チェック紙の寸法のばらつきや、磁気インク文字読取装置の寸法のばらつきなどを考慮して、より広い範囲を読取対象領域としなければならない。ところが、より広い範囲を読取対象領域とする場合、チェック紙には支払い者のサインや種々の背景模様などがあり、光学読取装置は、磁気インク文字の近傍にあるこれらのサインや背景模様などを誤って認識する場合があるという課題がある。以降、光学読取装置が誤って認識する可能性がある磁気インク文字ではないサインや模様などの読取対象を、雑音文字と表記する。
【0007】
雑音文字は磁気インク文字ではないため、磁気読取装置によって誤認識される可能性は極めて小さい。従って、磁気読取装置は、雑音文字に影響されず正しく読取っていても、光学読取装置は、雑音文字を読取って誤認識をする場合がある。ところが、磁気読取装置と光学読取装置とで読取結果が異なる場合は、誤認識の危険があるので、むしろ読取不能として処理する方が望ましい。従って、読取ができても内容を誤って認識する可能性があることを考慮した場合、磁気読取装置に加えて光学読取装置を導入することで、むしろ読取率が低下するという課題があった。
【0008】
そこで、本発明は、光学読取装置によるサインや背景模様などの誤認識を抑制することができ、それによって読取率を向上させることができる、磁気インク文字読取装置、磁気インク文字読取方法、及びプログラム、並びにPOS端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による磁気インク文字読取装置は、シート状の被処理媒体に磁気インク文字を連ねて形成された文字列の磁気データを磁気的に取得する磁気データ取得部と、磁気データを認識処理する磁気認識部と、文字列を形成する磁気インク文字を含む画像を光学的に取得する光学データ取得部と、画像に含まれる読取対象を1文字相当分ずつ認識処理する光学認識部と、磁気認識部による文字列の認識結果である第1磁気読取結果と、光学認識部による文字列の認識結果である第1光学読取結果とを比較する比較判定部と、を備え、比較判定部が、第1磁気読取結果と、第1光学読取結果とが異なると判定した場合には、光学認識部は、磁気認識部と光学認識部とが認識した読取対象のうちで、磁気認識部による読取対象の認識結果である第2磁気読取結果と、光学読取部による読取対象の認識結果である第2光学読取結果とが異なっている読取対象である誤認識文字について、文字列方向と直角な方向の認識処理範囲を変更して、認識処理を再度実施することを特徴とする。
【0010】
本発明による磁気インク文字読取方法は、シート状の被処理媒体に磁気インク文字を連ねて形成された文字列の磁気データを磁気データ取得部により磁気的に取得するステップと、磁気データを磁気認識部により認識処理するステップと、文字列を形成する磁気インク文字を含む画像を光学データ取得部により光学的に取得するステップと、画像に含まれる読取対象を光学認識部により1文字相当分ずつ認識処理するステップと、磁気認識部による文字列の認識結果である第1磁気読取結果と、光学認識部による文字列の認識結果である第1光学読取結果とを比較するステップと、第1磁気読取結果と、第1光学読取結果とが異なる場合には、光学認識部が、磁気認識部と光学認識部とが認識した読取対象のうちで、磁気認識部による読取対象の認識結果である第2磁気読取結果と、光学読取部による読取対象の認識結果である第2光学読取結果とが異なっている読取対象である誤認識文字について、文字列の列方向の読取位置を限定して、認識処理を再度実施するステップと、を有することを特徴とする。
【0011】
本発明によるプログラムは、シート状の被処理媒体に磁気インク文字を連ねて形成された文字列が磁気データ取得部により磁気的に取得された磁気データを取得するステップと、磁気データをコンピュータの磁気認識部が認識処理するステップと、光学データ取得部によって光学的に取得された文字列を形成する磁気インク文字を含む画像を取得するステップと、画像に含まれる読取対象をコンピュータの光学認識部が1文字相当分ずつ認識処理するステップと、磁気認識部による文字列の認識結果である第1磁気読取結果と、光学認識部による文字列の認識結果である第1光学読取結果とをコンピュータの比較判定部が比較するステップと、第1磁気読取結果と、第1光学読取結果とが異なる場合には、磁気認識部と光学認識部とが認識した読取対象のうちで、磁気認識部による読取対象の認識結果である第2磁気読取結果と、光学読取部による読取対象の認識結果である第2光学読取結果とが異なっている読取対象である誤認識文字について、文字列の列方向の読取位置を限定して、コンピュータの光学認識部による認識処理を再度実施するステップと、をコンピュータに実行させるためのものである。
【0012】
本発明の方法及び構成によれば、磁気認識部による文字列の認識結果と、光学認識部による文字列の認識結果とが一致していない場合に、認識結果が異なる読取対象についてのみ光学認識部で再度認識処理を行う。磁気的読取と、光学的読取とでは検知する事象が異なるため、誤認識を来たす原因が異なっている。従って、磁気認識部による文字列の認識結果と、光学認識部による文字列の認識結果とが一致しているものは、高い確率で正しく認識したと判定できる。磁気認識部による文字列の認識結果と、光学認識部による文字列の認識結果とが異なる場合には、光学認識部で再度認識処理を行うことにより、磁気読取が正確にもかかわらず、光学読取が誤認識したことによる一致率の低下を抑制できる可能性があり、正しい認識の読取率を向上させることができる。磁気認識部による認識結果と、光学認識部による認識結果とが異なる読取対象についてのみ再度認識処理を行うことで、効率良く一致の確率を上げることができ、読取率を向上させることができる。
【0013】
本発明による磁気インク文字読取装置は、シート状の被処理媒体に磁気インク文字を連ねて形成された文字列の磁気データを磁気的に取得する磁気データ取得部と、磁気データを認識処理する磁気認識部と、文字列を形成する磁気インク文字を含む画像を光学的に取得する光学データ取得部と、画像に含まれる読取対象を1文字相当分ずつ認識処理する光学認識部と、磁気認識部による文字列の認識結果である第1磁気読取結果と、光学認識部による文字列の認識結果である第1光学読取結果とを比較する比較判定部と、光学認識部が認識した読取対象の位置である光学文字位置を算出する位置算出部と、を備え、比較判定部が、第1磁気読取結果と、第1光学読取結果とが異なると判定した場合には、磁気認識部と光学認識部とが認識した読取対象のうちで、磁気認識部による読取対象の認識結果である第2磁気読取結果と、光学認識部による読取対象の認識結果である第2光学読取結果とが同じである読取対象の光学文字位置を基準位置として、文字列方向と直角な方向に、所定の許容値を超えて乖離している位置にある読取対象について、光学認識部による認識処理を再度実施することを特徴とする。
【0014】
本発明による磁気インク文字読取方法は、シート状の被処理媒体に磁気インク文字を連ねて形成された文字列の磁気データを磁気データ取得部により磁気的に取得するステップと、磁気データを磁気認識部により認識処理するステップと、文字列を形成する磁気インク文字を含む画像を光学データ取得部により光学的に取得するステップと、画像に含まれる読取対象を光学認識部により1文字相当分ずつ認識処理するステップと、磁気認識部による文字列の認識結果である第1磁気読取結果と、光学認識部による文字列の認識結果である第1光学読取結果とを比較するステップと、光学認識部が認識した読取対象の位置である光学文字位置を算出するステップと、第1磁気読取結果と、第1光学読取結果とが異なる場合には、磁気認識部と光学認識部とが認識した読取対象のうちで、磁気認識部による読取対象の認識結果である第2磁気読取結果と、光学認識部による読取対象の認識結果である第2光学読取結果とが同じである読取対象の光学文字位置を基準位置として、文字列方向と直角な方向に、所定の許容値を超えて乖離している位置にある読取対象について、光学認識部による認識処理を再度実施するステップと、を有することを特徴とする。
【0015】
本発明によるプログラムは、シート状の被処理媒体に磁気インク文字を連ねて形成された文字列が磁気データ取得部により磁気的に取得された磁気データを取得するステップと、磁気データをコンピュータの磁気認識部が認識処理するステップと、光学データ取得部によって光学的に取得された文字列を形成する磁気インク文字を含む画像を取得するステップと、画像に含まれる読取対象をコンピュータの光学認識部が1文字相当分ずつ認識処理するステップと、磁気認識部による文字列の認識結果である第1磁気読取結果と、光学認識部による文字列の認識結果である第1光学読取結果とをコンピュータの比較判定部が比較するステップと、光学認識部が認識した読取対象の位置である光学文字位置をコンピュータの位置算出部が算出するステップと、第1磁気読取結果と、第1光学読取結果とが異なる場合には、磁気認識部と光学認識部とが認識した読取対象のうちで、磁気認識部による読取対象の認識結果である第2磁気読取結果と、光学認識部による読取対象の認識結果である第2光学読取結果とが同じである読取対象の光学文字位置を基準位置として、文字列方向と直角な方向に、所定の許容値を超えて乖離している位置にある読取対象について、コンピュータの光学認識部による認識処理を再度実施するステップと、をコンピュータに実行させるためのものである。
【0016】
本発明の構成及び方法によれば、文字位置が文字列方向と直角な方向でずれている読取対象について光学認識部で再度認識処理を行う。光学認識部が誤認識をする場合は、目的の読取対象である磁気インク文字とは異なるサインや模様などの雑音文字を認識している可能性がある。ところで、磁気インク文字が印刷される位置に雑音文字が配置される可能性は低く、雑音文字は、磁気インク文字とは文字位置が文字列方向と直角な方向でずれている可能性が高い。一方、磁気認識部による認識結果と、光学認識部による認識結果とが一致している文字は、正しく読まれた文字である確率が極めて高く、目的の読取対象である磁気インク文字である確率が極めて高い。従って、磁気認識部による認識結果と、光学認識部による認識結果とが一致している読取対象に対して文字列方向と直角な方向でずれている読取対象を、光学認識部で再度認識処理を行うことにより、光学読取が誤認識したことによる一致率の低下を抑制できる可能性があり、正しい認識の読取率を向上させることができる。
【0017】
この場合、磁気インク文字読取装置は、光学認識部による認識処理を再度実施する場合、被処理媒体上の認識処理範囲は、文字列方向においては、第2磁気読取結果と、第2光学読取結果とが異なっている読取対象である誤認識文字が位置する範囲、及び誤認識文字が位置する範囲の近傍であり、文字列の列方向と直角な方向においては、磁気認識部と光学認識部とが認識した読取対象のうちで、第2磁気読取結果と、第2光学読取結果とが同じである読取対象が位置する範囲であることが好ましい。
【0018】
この場合、磁気インク文字読取方法は、光学認識部による認識処理を再度実施するステップでは、被処理媒体上の認識処理範囲は、文字列方向においては、第2磁気読取結果と、第2光学読取結果とが異なっている読取対象である誤認識文字が位置する範囲、及び誤認識文字が位置する範囲の近傍であり、文字列の列方向と直角な方向においては、磁気認識部と光学認識部とが認識した読取対象のうちで、第2磁気読取結果と、第2光学読取結果とが同じである読取対象が位置する範囲であることが好ましい。
【0019】
この場合、プログラムは、コンピュータの光学認識部による認識処理を再度実施するステップでは、被処理媒体上の認識処理範囲は、文字列方向においては、第2磁気読取結果と、第2光学読取結果とが異なっている読取対象である誤認識文字が位置する範囲、及び誤認識文字が位置する範囲の近傍であり、文字列の列方向と直角な方向においては、磁気認識部と光学認識部とが認識した読取対象のうちで、第2磁気読取結果と、第2光学読取結果とが同じである読取対象が位置する範囲であることが好ましい。
【0020】
この構成及び方法によれば、文字列方向の位置が、誤認識文字の位置または誤認識文字の位置の近傍であり、文字列方向と直角な方向の位置が、磁気認識部の認識結果と、光学認識部の認識結果とが同じである読取対象の位置と同じである位置について、光学認識部による認識処理を再度実施する。光学認識部が誤認識をする場合は、目的とする読取対象である磁気インク文字とは異なるサインや模様などの雑音文字を読取っている可能性がある。ところで、磁気インク文字が印刷される位置に雑音文字が配置される可能性は低く、雑音文字は、磁気インク文字とは文字位置が文字列方向と直角な方向でずれている可能性が高い。一方、磁気認識部による認識結果と、光学認識部による認識結果とが一致している読取対象は、正しく認識された文字である確率が極めて高く、目的とする読取対象である磁気インク文字である確率が極めて高い。従って、誤認識文字の位置または誤認識文字の位置の近傍であり、文字列方向と直角な方向の位置が、磁気認識部の認識結果と、光学認識部の認識結果とが同じである前記磁気インク文字の位置について、光学認識部による認識処理を再度実施することにより、光学認識部が誤認識したことによる一致率の低下を抑制できる可能性があり、正しい認識の読取率を向上させることができる。
【0021】
この場合、磁気インク文字読取装置は、ホスト装置と、ホスト装置から送信されるデータに基づいて印刷を実行する印刷部を有する複合処理装置と、を備え、複合処理装置には、磁気データ取得部と、光学データ取得部とが備えられており、ホスト装置には、少なくとも、磁気認識部と光学認識部と比較判定部とが備えられており、各取得部により取得された各データが、複合処理装置からホスト装置に送信され、ホスト装置が受信したデータに基づき、磁気認識部と光学認識部と比較判定部とによる各処理が行われることが好ましい。
【0022】
印刷部を備えることにより、POS端末装置等による小切手などのチェック紙の精算における磁気インク文字の読取、裏書及び表書きの印字も一台の装置で処理することが可能となる。
【0023】
本発明によるPOS端末装置は、前記した磁気インク文字読取装置を備えることを特徴とする。
【0024】
POS端末装置による小切手などのチェック紙の精算において、光学読取が誤認識したために読取結果が一致していない場合の否一致を改善できる可能性があり、正しい認識の読取率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に、添付の図面を参照して、本発明に係る磁気インク文字読取装置について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る磁気インク文字読取装置を構成するホスト装置及び複合処理装置の外観斜視図である。また、図2は、被処理媒体の一例である小切手の概要を示す平面図である。小切手による精算では、小切手の有効性を確認した後、金額、小切手振出人の署名等の表書き及び裏書が行われる。従って、磁気インク文字読取装置にプリンタを設けることにより、小切手の精算に伴う磁気インク文字の読取及び表書き/裏書印刷という一連の処理を一台の装置で処理することが可能となる。
【0026】
尚、本発明はMICR(Magnetic Ink Character Reader)文字の読取処理を行う装置及び方法に関するものであり、小切手のみならず手形等の被処理媒体の処理にも適用可能であるが、最も典型的な例として、以下の説明では被処理媒体として小切手を用いて説明する。さらに、本発明は、必ずしもプリンタを必須の構成要件とするものではないが、以下の説明においては、最も典型的な例として小切手による精算を用いて説明することから、磁気読取機能、光学読取機能、及び印刷機能を備えている複合処理装置10を備えた磁気インク文字読取装置1を用いて説明する。
【0027】
図1に示したように、ホスト装置6は、表示部7と、操作部8とを備えている。図1に示した複合処理装置10は、樹脂製のカバー11で覆われており、複合処理装置10の前面部には、小切手(被処理媒体)20を手差しで挿入する挿入口12が形成されている。挿入口12から挿入された小切手は、上面部に設けられた排出口14から排出される。複合処理装置10は、その後部にロール紙を収納するロール紙収納部(図示せず)を備えており、該ロール紙収納部に収納されたロール紙が印字部を経て装置上面部のロール紙排出口16から引き出される。ホスト装置6と複合処理装置10とはケーブル9で、電気的に結合されている。
【0028】
次に、小切手20について説明する。図2に示した小切手20の表面には、表書き事項を記入する表書き領域21と、署名をするための署名領域22と、磁気インク文字が印刷されたMICR記録領域23が設けられている。小切手20の裏面には、裏書き事項を記入するための裏書き領域24が設けられている。表書き領域21には、支払い先、日付、金額等の表書き事項を記入する。署名領域22には、金銭の支払い者である小切手20の使用者(買い物客)が自筆で署名を行う。裏書き領域24には、小切手20の使用者の認証番号、日付、使用金額等の小切手20の受取り側(店舗側)として必要な裏書き事項を記入する。MICR記録領域23には、小切手20の使用者の銀行コードや銀行口座番号などが磁気インク文字により印刷されている。なお、図2に示したMICR記録領域23に記載されている文字列は、本実施形態の説明のために設定した架空の文字列であり、実在する小切手に記載されて特定の意味を有する文字列とは異なり、特定の意味は持たない文字列である。
【0029】
小切手20は、図2の矢印vの方向に挿入口12に挿入される。複合処理装置10は、小切手20を搬送しながら、MICR記録領域23に印刷されている磁気インク文字の磁気データ及び光学データを取得する。複合処理装置10からホスト装置6に送信された各データは、ホスト装置6において認識処理され、文字列は図2における右端から矢印wの方向に順次認識処理される。
【0030】
小売り店舗などにおいて、金銭の支払い者は、小切手20を店舗側に渡す。店舗側は、支払い先である店舗名、数字表記による金額、単語による金額を、複合処理装置10の印刷装置で小切手20に印刷し、小切手20を支払い者に戻す。支払い者は、小切手20に印刷された支払い先、数字表記による金額、単語による金額を確認し、サインを記入し店舗側に支払う。店舗においては、磁気インク文字で印刷された銀行コードや銀行口座番号などを読取り、読取りデータを銀行や信用調査機関に照会し、小切手20の有効性を確認する。有効な場合小売り店舗は小切手20の裏面にエンドースメント(受領承認)を印刷し使用者から受領し、小切手20による金銭の支払い処理が完了する。
【0031】
次に、磁気インク文字について説明する。図3は、磁気インク文字の1例の文字形状の概略を示す説明図である。MICR記録領域23に印刷されている磁気インク文字はMICRヘッドで読取られる。MICRヘッドは永久磁石と磁気ヘッドから構成されている。一方、磁気インクには、磁性材料の粉が混合されている。そのため、小切手20が永久磁石の前を通過すると、磁気インク文字は磁化される。磁化された磁気インク文字が読取ヘッドの前を通過すると、磁気インク文字の形に応じて磁束が変化するため、文字の形に応じた波形が読取ヘッドから出力される。磁気インク文字は、規格によりその形状が決まっているため、その波形のパターンにより、磁気インク文字を読取ることができる。MICRフォントとして、例えば、E13B、CMC7等がある。例えば、E13Bフォントは、数字0から9と4種類の記号からなる合計14種類の文字を規定している。図3に示した磁気インク文字は、E13Bフォントである。
【0032】
次に、磁気インク文字読取装置1を駆動するための電気的構成について説明する。図4は、磁気インク文字読取装置を構成する複合処理装置及びホスト装置のハードウェアの主要構成を示すブロック図である。複合処理装置10の制御部40は、複合処理装置10の各部の動作を統括管理するものである。制御部40は、演算処理を行うCPU(Central Processing Unit)41や、ホスト装置6から受け取った制御コマンドや印刷データを一時的に保存するRAM(Random Access Memory)42aや各種演算処理を行うためのルーチン等を記録したROM(Read Only Memory)42bを有している。これらはそれぞれ互いに電気的に接続されている。
【0033】
CPU41には、内部インタフェース43a、内部インタフェース43bを介して磁気読取機構45、印刷機構46、光学読取機構47、用紙搬送機構48、各種センサ49、表示部50、操作部51等が接続されており、ROM42bに記憶している制御プログラムに基づいてCPU41が各部の動作を制御する。各機構にはそれぞれに必要なロジック回路を含んでいる。複合処理装置10は、外部インタフェース52を介して、例えばPOS端末機のホストコンピュータ等のホスト装置6に接続されており、ホスト装置6の制御の下、所定の動作を実行する。
【0034】
ホスト装置6は、複合処理装置10やホスト装置6の各部の動作を統括管理し、演算処理を行うCPU60を備えている。CPU60には、制御コマンドや印刷データや制御プログラムを記憶するメモリ61や、入出力インタフェース62や、表示部7や、操作部8等が接続されている。ホスト装置6は、入出力インタフェース62を介して、複合処理装置10と接続されている。
【0035】
次に、上記した磁気インク文字読取装置1を用いて、小切手20のMICR記録領域23に磁気インク文字により印刷されている小切手20の使用者の銀行コードや銀行口座番号などの読取を実施する過程を説明する。図5は、磁気インク文字の文字列の読取を実施する過程の一実施形態のフローチャートである。
【0036】
小切手20が挿入口12に挿入され、用紙搬送機構48によって搬送される。ステップS1では、磁気読取装置によって、磁気的に磁気インク文字が読取られる。最初に、磁気読取機構45によって、磁気インク文字が磁気データとして取得される。磁気読取機構45によって取得された磁気データは、ホスト装置6に送られ、CPU60によって、磁気インク文字の認識処理が実行される。磁気データは、A/D変換、磁気文字の切りだし、平滑化処理、正規化処理を経て正規化される。正規化された磁気データは、メモリ61に記憶された基準データと比較される。磁気データと基準データとが所定の範囲内で一致するときには、磁気データは一致した基準データに対応する文字と認識される。また、基準データと一致した磁気データが切出された位置が、認識された文字の文字位置であると認識される。文字列を構成する全磁気インク文字について認識処理が実施されて、磁気認識部による文字列の認識処理が完了する。磁気読取機構45が磁気データ取得部に相当し、CPU60とメモリ61とが磁気認識部に相当する。磁気読取機構45とCPU60とメモリ61とが、磁気読取装置に相当する。
【0037】
次にステップS2では、磁気データと一致した基準データに対応する文字及び文字位置が、磁気読取結果としてメモリ61に記憶される。
【0038】
次にステップS3では、光学読取装置によって、光学的に磁気インク文字が読取られる。光学読取機構47によって、小切手20は画像化され、画像化されたデータがホスト装置6に送られる。ホスト装置6に送られた画像データは、CPU60によって、磁気インク文字を含む所定の範囲の画像が切取られ、磁気インク文字の認識処理が実行される。光学読取機構47が、光学データ取得部に相当し、CPU60とメモリ61とが光学認識部に相当する。光学読取機構47とCPU60とメモリ61とが、光学読取装置に相当する。画像は所定のテンプレートと比較され、画像データとテンプレートデータとが所定の範囲内で一致するときには、画像は一致したテンプレートに対応する文字と認識される。
【0039】
図6はテンプレートの一例である。図6(a)は、図3に示したE13Bフォントの各文字のテンプレートの一例であり、図6(b)は、文字「1」のテンプレートの拡大図である。説明のために、図に示したように文字の高さ方向をx方向とし、x方向と直行する方向をy方向とする。x方向及びy方向は、後述する図7に示すx方向及びy方向と同一である。一つのテンプレートは、x方向24ドット、y方向19ドット、計456個のドットで形成されている。各ドットの色は黒色又は白色であって、黒色ドットの集合の形状で文字が形成されている。各テンプレートは、図6(b)に示すような基準点となるドットが定められており、基準点からx方向24ドット、y方向19ドットの範囲が、ひとつの文字の大きさである。
【0040】
図7は、切取られた画像の一例である。図7に示した切取り画像70が含む領域は、規格で定められたMICR記録領域23を含むように設定する。切取り画像70は、MICR記録領域23の位置のばらつきを考慮して、MICR記録領域23の画像であるMICR画像71の大きさに対して充分な余裕がある大きさになっている。充分な余裕を持った範囲を切取っているため、切取り画像70は、小切手20の使用者が書いたサインの画像であるサイン画像72の一部も含んでいる。説明のために、図に示したように文字の高さ方向をx方向とし、x方向と直交する文字列方向をy方向とする。x方向及びy方向は、前記した図6に示すx方向及びy方向と同一である。矢印wは、図2に示した矢印wと同様である。なお、図7に記載されている文字列は、本実施形態の説明のために設定した架空の文字列であり、実在する小切手に記載されて特定の意味を有する文字列とは異なり、特定の意味は持たない文字列である。
【0041】
画像のテンプレートとの比較は、切取り画像70のy方向をMICR画像71の1文字分に対応する大きさに区切ったマッチング領域について行われる。マッチング領域の中のx方向24ドット、y方向19ドットの比較区画を、14個のテンプレートと比較し、456個のドットの黒色または白色の不一致率をカウントする。テンプレートと比較し不一致率をカウントする比較区画は、最初は、切取り画像70の図7における左端からx方向24ドット、y方向19ドットの区画であり、次にテンプレートと比較する比較区画は、x方向に1ドットずらしたx方向24ドット、y方向19ドットの区画である。同様に、x方向に1ドットづつ比較区画をずらしながら、各比較区画において14個のテンプレートとの比較を行い、比較区画の右端が図7におけるマッチング領域の右端に到達するまでの各比較区画毎の不一致率を求める。
【0042】
不一致率が所定の限界値以内の場合、不一致率が所定の限界値以内のテンプレートの文字を認識文字とし、不一致率が所定の限界値以内の比較区画の位置を文字位置とする。なお、文字位置は、テンプレートの基準点の位置で表す。複数の比較区画で不一致率が所定の限界値以内であった場合や、複数のテンプレートとの不一致率が所定の限界値以内であった場合には、最も不一致率が小さい比較区画の位置及びテンプレートの文字を、そのマッチング領域における文字位置及び認識文字とする。ひとつのマッチング領域の認識処理が終了すると、次のマッチング領域の認識処理を同様に行う。最初に認識処理を行うマッチング領域は、切取り画像70の図7における最上端のマッチング領域であり、次に認識処理を行うマッチング領域は、最初に読取を行ったマッチング領域に隣接するマッチング領域である。切取り画像70の図7における最下端のマッチング領域まで認識処理を行い、光学認識部による文字列の認識処理が完了する。
【0043】
図5において、ステップS3の次に行われるステップS4では、各マッチング領域における文字位置及び認識文字が、光学読取結果としてメモリ61に記憶される。
【0044】
次のステップS5では、メモリ61に記憶されている光学読取結果の文字と磁気読取結果の文字とが同一であるか否か判定する。光学読取結果の文字と磁気読取結果の文字とが同一である(ステップS5でYES)場合は、MICR記録領域23に磁気インク文字により印刷されている文字列の読取が正確に行われたと判断し、ステップS22に進む。ステップS22では、光学読取結果と磁気読取結果とで一致した読取結果を、読取結果としてメモリ61に記憶し、MICR記録領域23に印刷されている文字列の読取を終了する。
【0045】
光学読取結果の文字と磁気読取結果の文字とが異なる(ステップS5でNO)場合は、光学読取装置による文字列の読取が正確に行われなかった可能性があると判断し、ステップS6に進む。
【0046】
ステップS6では、CPU60が認識した読取対象の文字位置を比較する。より詳細には、図8を参照して説明する。図8は、切取り画像の一部を示す図である。図8には、図7に示した切取り画像70の一部が示してあり、読取られた読取対象に、それぞれaからhの符号を付してある。空白を「空」と表記すると、正しい文字列は、「560O空空081」となる。ここでは、磁気読取は認識が正しく行われ、磁気読取結果は「560O空空081」であるとして、説明する。
【0047】
CPU60は、図8の上側から認識処理を行い、読取対象gと読取対象fと読取対象eの部分を認識し、空白の部分で、サイン画像72の読取対象dの部分を「1」と誤認識している。図8のy方向の読取対象dの位置と読取対象hの位置とが、上記したマッチング領域のy方向の幅より近接していたため、読取対象hの部分は正しく認識処理ができず、無視されてしまい、読取対象dの部分の次に読取対象cの部分を認識している。読取対象eと読取対象dとの間は、サイン文字の一部が存在するが一致するテンプレートがなく、磁気インク文字が存在しない空白があると判断される。その結果、CPU60が認識した光学読取結果の文字列は、「5601空081」となっている。
【0048】
文字位置比較は、隣合う読取対象の文字位置を順次比較し、x方向のずれ量を比較する。より詳細には、図8(a)において、最初に読取対象aの文字位置を仮の基準とする。次に読取対象aの文字位置と読取対象bの文字位置とを比較し、x方向のずれ量を求める。ずれ量が所定のドット数より少ない場合には、読取対象bは読取対象aとずれていないと判定し、読取対象bを読取対象aと同一の文字ブロックに入れる。ずれ量が所定のドット数より多い場合には、読取対象bは読取対象aとずれていると判定し、読取対象bを読取対象aとは別の新たな文字ブロックに入れる。図8に示した場合では、読取対象bは読取対象aと同一の文字ブロックに入れられる。読取対象cも同様にして、読取対象bと同一のブロック即ち読取対象aと同一の文字ブロックに入れられる。
【0049】
読取対象dは文字列からずれた位置にあり、読取対象dの文字位置を読取対象cの文字位置と比較してずれ量が所定のドット数より多いため、読取対象dは読取対象cとずれていると判定し、読取対象dを読取対象cとは別の新たな文字ブロックに入れる。読取対象eは文字列の位置にあり、読取対象eの文字位置を読取対象dの文字位置と比較してずれ量が所定のドット数より多いため、読取対象eは読取対象dとずれていると判定し、読取対象eを読取対象dとは別の新たな文字ブロックに入れる。読取対象eが読取対象dとは別の新たな文字ブロックに入れられるため、読取対象eと読取対象dとのあいだの空白部は読取対象dと同じ文字ブロックに入れられる。
【0050】
読取対象fと読取対象gも同様に文字位置を比較し、読取対象eと同一の文字ブロックに入れられる。こうして、各読取対象は、abcの文字ブロックと、dの文字ブロックと、efgの文字ブロックと、の3つの文字ブロックに分類される。ずれ量を判定する所定のドット数は、例えばテンプレートのx方向のドット数である24ドットに画像が傾いた場合のずれ量を加えて35ドットに設定する。
【0051】
次のステップS7では、x方向の位置が乖離している文字(読取対象)を求める。本実施形態では、光学読取結果の文字と磁気読取結果の文字とが一致した読取対象を含まない中央の文字ブロックに入っている読取対象dが、x方向の位置が乖離した文字である誤認識文字であると判断される。
【0052】
次に、ステップS8では、再認識処理を実施する位置を決定する。再認識処理位置は位置が乖離していると判断された読取対象を含むブロックに隣接する文字ブロックの端に位置する読取対象の文字位置を基準にして決定する。本実施形態では、読取対象cと読取対象eの位置を基準にする。再認識処理を実施する位置のy方向の範囲は、読取対象cと読取対象eとの間、即ち、誤認識文字である読取対象dが含まれる文字ブロックの範囲に設定する。再認識処理を実施する位置のx方向の範囲は、読取対象cまたは読取対象eのx方向の幅に補正値を加えた範囲に設定する。
【0053】
補正値は、磁気文字の大きさのばらつきや、印刷位置のばらつきを考慮したもので、例えば、読取対象cまたは読取対象eのx方向の幅の両側に各4ドットを加える。ここで、印刷位置のばらつきは、文字列の中の磁気インク文字の相互の位置ばらつきである。切取り画像70の範囲を決定する場合に考慮する印刷位置のばらつきは、小切手20に対する文字列の印刷位置のばらつきであり、それと比較して、磁気インク文字の相互の位置ばらつきは非常に小さいばらつきである。図8(b)に網掛け表示した部分が本実施形態の再認識範囲(再認識位置)である。
【0054】
次に、ステップS9では、CPU60による再認識処理を実施する。再認識処理を実施する範囲は、ステップS8で決定された範囲であり、本実施形態では、図8(b)に網掛け表示した部分である。網掛け表示した部分には、最初の光学認識では誤認識文字である読取対象dを認識したために無視されてしまった読取対象hが含まれている。また、読取対象dは再認識処理範囲には含まれていない。従って、再認識処理において最初の認識が再現する可能性はほとんどなく、正しく認識される可能性が極めて高くなる。さらに、再認識処理を実施するx方向の幅は、最初の認識処理で認識する切取り画像70のx方向の幅より大幅に狭くなっており、テンプレートとのマッチングを行う時間は大幅に少なくなる。
【0055】
次に、ステップS10では、再認識処理による再読取結果の文字を、メモリ61に記憶されている磁気読取結果の文字と比較し、同じであるか否かを判定する。再読取結果と磁気読取結果とが異なる(ステップS10でNO)場合は、ステップS21に進む。
【0056】
この場合は、再認識処理を実施しても光学読取結果と磁気読取結果が一致せず、正しく読取れなかった可能性が高い場合であり、読取不能として処理する事が望ましい場合である。ステップS21で、読取不能であったことをホスト装置6の表示部7に表示し、MICR記録領域23に印刷されている文字列の読取を終了する。
【0057】
ステップS10で、再認識処理による再読取結果の文字を、メモリ61に記憶されている磁気読取結果の文字と比較し、同一である(ステップS10でYES)場合は、MICR記録領域23に磁気インク文字により印刷されている文字列の読取が正確に行われたと判断し、ステップS11に進む。ステップS11では、メモリ61に記憶されている光学読取結果の文字を、再認識処理による再読取結果の文字に置き換える。
【0058】
ステップS22では、光学読取結果と磁気読取結果とで一致した読取結果を、読取結果として記憶し、MICR記録領域23に印刷されている文字列の読取を終了する。
【0059】
この実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)磁気読取による文字列の読取結果と、光学読取による文字列の読取結果とが一致していない場合に、光学認識部であるCPU60で再度認識処理を行う。光学認識部で再度認識処理を行うことにより、磁気認識が正確にもかかわらず、光学認識が誤認識したことによる一致率の低下を抑制できる可能性があり、正しい認識の読取率を向上させることができる。
【0060】
(2)磁気読取による文字列の読取結果と、光学読取による文字列の読取結果とが異なる場合には、磁気読取による読取結果と、光学読取による読取結果とが異なる読取対象についてのみ再度認識処理を行うことで、効率良く一致の確率を上げることができ、正しい認識の読取率を向上させることができる。
【0061】
本発明の実施形態は、前記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論であり、以下のように実施することもできる。
【0062】
(変形例1)前記実施形態においては、磁気読取機構45、印刷機構46、光学読取機構47などを備える複合処理装置10とは別体のホスト装置6において認識処理を行っているが、認識処理を行うCPUを別に設けることは必須ではない。複合処理装置10内のCPU41などの制御部40を用いて認識処理を行うこともできる。また、ホスト装置6は、磁気インク文字読取装置に専用のホスト装置であってもよいし、POS端末装置などのホスト装置であってもよい。
【0063】
(変形例2)印刷機構は、例えばインクリボン上のインクを小切手20に転写するドットインパクト方式の印刷ヘッドを採用する。また、例えばインクジェットのような他の方式の印刷ヘッドを採用しても良い。
【0064】
(変形例3)前記実施形態においては、読取結果を保存して読取工程を終了しているが、読取工程に続けて読取結果を照会することもできる。
【0065】
(変形例4)前記実施形態においては、読取結果を保存して読取工程を終了しているが、読取結果を表示部7に表示することもできる。
【0066】
(変形例5)前記実施形態においては、読取不能であったことをホスト装置6の表示部7に表示したが、複合処理装置10の表示部50に表示することもできる。
【0067】
(変形例6)前記実施形態においては、各機能をCPU60を用いてソフト的に実現することにしたが、上記の各機能が演算装置を用いない単独の電子回路によって実現できる場合には、そのような電子回路を用いる。
【0068】
上記した実施の形態および変形例から把握される技術的思想を以下に記載する。
(技術的思想1) 前記所定の許容値は、前記被処理媒体上における前記磁気インク文字の印刷位置のばらつきの規格から決定されている磁気インク文字読取装置。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の磁気インク文字読取装置を構成するホスト装置及び複合処理装置の外観斜視図。
【図2】被処理媒体の一例である小切手の概要を示す平面図。
【図3】磁気インク文字の1例の文字形状を示す図。
【図4】磁気インク文字読取装置を構成する複合処理装置及びホスト装置のハードウェアの主要構成を示すブロック図。
【図5】磁気インク文字の文字列の読取を実施する過程のフローチャート。
【図6】磁気インク文字のテンプレートの一例を示す図。
【図7】切取られた画像の一例を示す図。
【図8】切取られた画像の一部を示す図。
【符号の説明】
【0070】
1…磁気インク文字読取装置、6…ホスト装置、7…表示部、8…操作部、9…ケーブル、10…複合処理装置、11…カバー、12…挿入口、14…排出口、20…小切手、21…表書き領域、22…署名領域、23…MICR記録領域、24…裏書き領域、40…制御部、41…CPU、42a…RAM、42b…ROM、43a…内部インタフェース、43b…内部インタフェース、45…磁気読取装置を構成する磁気読取機構、46…印刷機構、47…光学読取装置を構成する光学読取機構、60…CPU、61…メモリ、62…入出力インタフェース、70…切取り画像、71…MICR画像、72…サイン画像。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の被処理媒体に磁気インク文字を連ねて形成された文字列の磁気データを磁気的に取得する磁気データ取得部と、
前記磁気データを認識処理する磁気認識部と、
前記文字列を形成する前記磁気インク文字を含む画像を光学的に取得する光学データ取得部と、
前記画像に含まれる読取対象を1文字相当分ずつ認識処理する光学認識部と、
前記磁気認識部による前記文字列の認識結果である第1磁気読取結果と、前記光学認識部による前記文字列の認識結果である第1光学読取結果とを比較する比較判定部と、を備え、
前記比較判定部が、前記第1磁気読取結果と、前記第1光学読取結果とが異なると判定した場合には、
前記光学認識部は、前記磁気認識部と前記光学認識部とが認識した読取対象のうちで、前記磁気認識部による前記読取対象の認識結果である第2磁気読取結果と、前記光学読取部による前記読取対象の認識結果である第2光学読取結果とが異なっている前記読取対象である誤認識文字について、前記文字列方向と直角な方向の認識処理範囲を変更して、認識処理を再度実施することを特徴とする、磁気インク文字読取装置。
【請求項2】
シート状の被処理媒体に磁気インク文字を連ねて形成された文字列の磁気データを磁気的に取得する磁気データ取得部と、
前記磁気データを認識処理する磁気認識部と、
前記文字列を形成する前記磁気インク文字を含む画像を光学的に取得する光学データ取得部と、
前記画像に含まれる読取対象を1文字相当分ずつ認識処理する光学認識部と、
前記磁気認識部による前記文字列の認識結果である第1磁気読取結果と、前記光学認識部による前記文字列の認識結果である第1光学読取結果とを比較する比較判定部と、
前記光学認識部が認識した読取対象の位置である光学文字位置を算出する位置算出部と、を備え、
前記比較判定部が、前記第1磁気読取結果と、前記第1光学読取結果とが異なると判定した場合には、
前記磁気認識部と前記光学認識部とが認識した前記読取対象のうちで、前記磁気認識部による前記読取対象の認識結果である第2磁気読取結果と、前記光学認識部による前記読取対象の認識結果である第2光学読取結果とが同じである前記読取対象の前記光学文字位置を基準位置として、前記文字列方向と直角な方向に、所定の許容値を超えて乖離している位置にある前記読取対象について、前記光学認識部による認識処理を再度実施することを特徴とする、磁気インク文字読取装置。
【請求項3】
前記光学認識部による認識処理を再度実施する場合、
前記被処理媒体上の前記認識処理範囲は、前記文字列方向においては、前記第2磁気読取結果と、前記第2光学読取結果とが異なっている前記読取対象である誤認識文字が位置する範囲、及び前記誤認識文字が位置する範囲の近傍であり、
前記文字列の列方向と直角な方向においては、前記磁気認識部と前記光学認識部とが認識した前記読取対象のうちで、前記第2磁気読取結果と、前記第2光学読取結果とが同じである前記読取対象が位置する範囲であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の磁気インク文字読取装置。
【請求項4】
磁気インク文字読取装置は、
ホスト装置と、
前記ホスト装置から送信されるデータに基づいて印刷を実行する印刷部を有する複合処理装置と、を備え、
前記複合処理装置には、前記磁気データ取得部と、前記光学データ取得部とが備えられており、
前記ホスト装置には、少なくとも、前記磁気認識部と前記光学認識部と前記比較判定部とが備えられており、
前記各取得部により取得された各データが、前記複合処理装置から前記ホスト装置に送信され、前記ホスト装置が受信したデータに基づき、前記磁気認識部と前記光学認識部と前記比較判定部とによる各処理が行われることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の磁気インク文字読取装置。
【請求項5】
シート状の被処理媒体に磁気インク文字を連ねて形成された文字列の磁気データを磁気データ取得部により磁気的に取得するステップと、
前記磁気データを磁気認識部により認識処理するステップと、
前記文字列を形成する前記磁気インク文字を含む画像を光学データ取得部により光学的に取得するステップと、
前記画像に含まれる読取対象を光学認識部により1文字相当分ずつ認識処理するステップと、
前記磁気認識部による前記文字列の認識結果である第1磁気読取結果と、前記光学認識部による前記文字列の認識結果である第1光学読取結果とを比較するステップと、
前記第1磁気読取結果と、前記第1光学読取結果とが異なる場合には、前記光学認識部が、前記磁気認識部と前記光学認識部とが認識した読取対象のうちで、前記磁気認識部による前記読取対象の認識結果である第2磁気読取結果と、前記光学読取部による前記読取対象の認識結果である第2光学読取結果とが異なっている前記読取対象である誤認識文字について、前記文字列の列方向の読取位置を限定して、認識処理を再度実施するステップと、を有することを特徴とする磁気インク文字読取方法。
【請求項6】
シート状の被処理媒体に磁気インク文字を連ねて形成された文字列の磁気データを磁気データ取得部により磁気的に取得するステップと、
前記磁気データを磁気認識部により認識処理するステップと、
前記文字列を形成する前記磁気インク文字を含む画像を光学データ取得部により光学的に取得するステップと、
前記画像に含まれる読取対象を光学認識部により1文字相当分ずつ認識処理するステップと、
前記磁気認識部による前記文字列の認識結果である第1磁気読取結果と、前記光学認識部による前記文字列の認識結果である第1光学読取結果とを比較するステップと、
前記光学認識部が認識した読取対象の位置である光学文字位置を算出するステップと、
前記第1磁気読取結果と、前記第1光学読取結果とが異なる場合には、前記磁気認識部と前記光学認識部とが認識した前記読取対象のうちで、前記磁気認識部による前記読取対象の認識結果である第2磁気読取結果と、前記光学認識部による前記読取対象の認識結果である第2光学読取結果とが同じである前記読取対象の前記光学文字位置を基準位置として、前記文字列方向と直角な方向に、所定の許容値を超えて乖離している位置にある前記読取対象について、前記光学認識部による認識処理を再度実施するステップと、を有することを特徴とする磁気インク文字読取方法。
【請求項7】
前記光学認識部による認識処理を再度実施するステップでは、
前記被処理媒体上の前記認識処理範囲は、前記文字列方向においては、前記第2磁気読取結果と、前記第2光学読取結果とが異なっている前記読取対象である誤認識文字が位置する範囲、及び前記誤認識文字が位置する範囲の近傍であり、前記文字列の列方向と直角な方向においては、前記磁気認識部と前記光学認識部とが認識した前記読取対象のうちで、前記第2磁気読取結果と、前記第2光学読取結果とが同じである前記読取対象が位置する範囲であることを特徴とする、請求項5又は6に記載の磁気インク文字読取方法。
【請求項8】
シート状の被処理媒体に磁気インク文字を連ねて形成された文字列が磁気データ取得部により磁気的に取得された磁気データを取得するステップと、
前記磁気データをコンピュータの磁気認識部が認識処理するステップと、
光学データ取得部によって光学的に取得された前記文字列を形成する前記磁気インク文字を含む画像を取得するステップと、
前記画像に含まれる読取対象をコンピュータの光学認識部が1文字相当分ずつ認識処理するステップと、
前記磁気認識部による前記文字列の認識結果である第1磁気読取結果と、前記光学認識部による前記文字列の認識結果である第1光学読取結果とをコンピュータの比較判定部が比較するステップと、
前記第1磁気読取結果と、前記第1光学読取結果とが異なる場合には、前記磁気認識部と前記光学認識部とが認識した読取対象のうちで、前記磁気認識部による前記読取対象の認識結果である第2磁気読取結果と、前記光学読取部による前記読取対象の認識結果である第2光学読取結果とが異なっている前記読取対象である誤認識文字について、前記文字列の列方向の読取位置を限定して、コンピュータの前記光学認識部による認識処理を再度実施するステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項9】
シート状の被処理媒体に磁気インク文字を連ねて形成された文字列が磁気データ取得部により磁気的に取得された磁気データを取得するステップと、
前記磁気データをコンピュータの磁気認識部が認識処理するステップと、
光学データ取得部によって光学的に取得された前記文字列を形成する前記磁気インク文字を含む画像を取得するステップと、
前記画像に含まれる読取対象をコンピュータの光学認識部が1文字相当分ずつ認識処理するステップと、
前記磁気認識部による前記文字列の認識結果である第1磁気読取結果と、前記光学認識部による前記文字列の認識結果である第1光学読取結果とをコンピュータの比較判定部が比較するステップと、
前記光学認識部が認識した読取対象の位置である光学文字位置をコンピュータの位置算出部が算出するステップと、
前記第1磁気読取結果と、前記第1光学読取結果とが異なる場合には、前記磁気認識部と前記光学認識部とが認識した前記読取対象のうちで、前記磁気認識部による前記読取対象の認識結果である第2磁気読取結果と、前記光学認識部による前記読取対象の認識結果である第2光学読取結果とが同じである前記読取対象の前記光学文字位置を基準位置として、前記文字列方向と直角な方向に、所定の許容値を超えて乖離している位置にある前記読取対象について、コンピュータの前記光学認識部による認識処理を再度実施するステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項10】
コンピュータの前記光学認識部による認識処理を再度実施するステップでは、
前記被処理媒体上の前記認識処理範囲は、前記文字列方向においては、前記第2磁気読取結果と、前記第2光学読取結果とが異なっている前記読取対象である誤認識文字が位置する範囲、及び前記誤認識文字が位置する範囲の近傍であり、前記文字列の列方向と直角な方向においては、前記磁気認識部と前記光学認識部とが認識した前記読取対象のうちで、前記第2磁気読取結果と、前記第2光学読取結果とが同じである前記読取対象が位置する範囲である、請求項8又は9に記載のプログラム。
【請求項11】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の磁気インク文字読取装置を備えたことを特徴とするPOS端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−40256(P2006−40256A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−150583(P2005−150583)
【出願日】平成17年5月24日(2005.5.24)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】