説明

移動体通信システム

【課題】相手先の状態情報を確認することでき、連絡をとるタイミングを見計らうことができるようになり、心理的なストレスを感じることがない移動体通信システムを提供する。
【解決手段】複数の移動体通信端末100a、bと、複数の移動体通信端末100a、bとの間で無線通信を行う複数の無線基地局200a、bと、複数の無線基地局200a、bと通信を行うと共にこれらを制御する基地局制御装置300と、からなる移動体通信システムにおいて、複数の移動体通信端末100a、bは、自らの位置情報を取得する位置情報取得部及び移動速度情報を算出する移動速度情報算出部とを有しており、基地局制御装置300は地図データベース301と、移動体通信端末の状態情報を所定の移動体通信端末に送信するように複数の無線基地局200a、bを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線基地局と携帯電話などの移動体通信端末との間で、無線回線によって信号の送受信を行う移動体通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話などの移動体通信端末装置においては、移動中や公衆電話などのないところでも通話をすることができるという利点があって急速に普及しつつあるが、その反面で、次のような点で使用者の安全性の確保の問題や公共的なマナーの問題が発生しつつある。
【0003】
例えば、電車など公共交通機関を利用する場合には、着信音が周囲の人にとって耳障りな音として感ずるので、マナーの点で好ましくない。そこで、着信はしたいが着信音を出さないようにするために、マナーモードを設けて、着信時にはバイブレーションなどにより使用者に知らせるように切り換え設定するものである。
【0004】
しかしながら、実際には、携帯電話を鞄やハンドバッグなどに入れたままの状態で電車に乗ったりするといった場合には、マナーモードへの切換設定が怠りがちになる。このため、有用な機能でありながら有効に利用されていないという実情であった。そこで、電車などで移動するときにマナーモードの設定操作を不要とする携帯電話が提案されている。
【0005】
このような携帯電話としては、例えば、特許文献1(特開2003−204577号公報)には、基地局からの距離に応じて携帯無線端末装置から基地局へ送信すべき送信タイミングを早めるタイミング情報を少なくとも3箇所の基地局から受信する受信し、受信した3種類のタイミング情報が示す時間及び電波伝播速度に基づいて移動速度を求め、これに応じて携帯無線端末装置の動作状態をマナーモードに切り換える携帯無線端末装置が開示されている。
【特許文献1】特開2003−204577号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されているような携帯無線端末装置においては、マナーモード状態にある携帯無線端末装置に着信させようとして電話をかけている端末装置側では、当該携帯無線端末装置の所持者がどのような状態にあるためにマナーモードとなっているのかを把握することができない。このように、着信させようとしている携帯無線端末装置の所持者の状態について把握ができないために、かけて側は、連絡をとるタイミングを見計らうことができないと感じ、心理的なストレスとなる、という問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するために、請求項1に係る発明は、移動体通信端末と、前記移動体通信端末との間で無線通信を行う無線基地局と、前記無線基地局と通信を行うと共にこれらを制御する基地局制御装置と、からなる移動体通信システムにおいて、前記移動体通信端末は、自らの位置情報を取得する位置情報取得手段と、自らの移動速度情報を算出する移動速度情報算出手段と、を有しており、前記基地局制御装置は、地図情報が格納される地図データベースと、移動体通信端末の位置情報及び移動速度情報とから移動体通信端末所持者の状態に係る状態情報を判断する状態判断手段と、を有しており、前記状態判断手段によって判断された状態に係る状態情報を、所定の移動体通信端末に送信するように無線基地局を制御することを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の移動体通信システムにおいて、前記移動体通信端末は、前記位置情報取得手段によって取得された位置情報及び前記移動速度情報算出手段によって算出された移動速度情報を無線基地局に送信することを特徴とする。
【0009】
また、請求項3にかかる発明は、請求項1又は請求項2に記載の移動体通信システムにおいて、前記所定の移動体通信端末は送信された状態情報を表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の請求項1に記載の移動体通信システムによれば、移動体通信端末所持者の状態に係る状態情報を判断する状態判断手段によって、移動体通信端末所持者は、建物の中にいる状態であるのか、車輌により移動中の状態であるのか、電車により移動中の状態であるのか、徒歩により移動中の状態であるのかを判定することが可能となる。また、本発明の請求項1に記載の移動体通信システムによれば、状態情報を、所定の移動体通信端末に送信するように無線基地局を制御するので、予め登録された限定された端末に対してのみ、移動体通信端末所持者の状態情報を提供することができる。
【0011】
また、本発明の請求項2に記載の移動体通信システムによれば、移動体通信端末が、位置情報取得手段によって取得された位置情報及び移動速度情報算出手段によって算出された移動速度情報を無線基地局に送信するので、基地局制御装置側に履歴保存負荷などの負担をかけることなく処理することが可能となる。
【0012】
また、本発明の請求項3に記載の移動体通信システムによれば、移動体通信端末が送信された状態情報を表示するので、移動体通信端末所持者が、建物の中にいる状態であるのか、車輌により移動中の状態であるのか、電車により移動中の状態であるのか、徒歩により移動中の状態であるのかを把握することができ、連絡をとるタイミングを見計らうことができるようになるので、かけて側は、心理的なストレスを感じることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の第1の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は本発明の実施の形態に係る移動体通信システム全体の概略を示す図である。図1において、100a、100b、100c、100dは移動体通信端末、200a、200b、200cは無線基地局、300は基地局制御装置、500は通信網、600はGPS衛星をそれぞれ示している。
【0014】
本実施形態では、自動車電話や携帯電話等の移動体通信端末をいわゆる移動局とし、無線回線を利用して信号の送受信を行う移動体通信システムを例に説明している。このような移動体通信システムでは、移動局である移動体通信端末は、最初に、電話番号、移動体通信端末の製造番号、認証情報等の移動局を識別する情報、いわゆる移動局特定情報を無線基地局に送信する。この送信信号を受信することが可能なサービスエリアをもつ無線基地局では、移動局特定情報を検出して、どの移動局から信号が送信されたのかを判別し、移動局が所望の端末装置に接続されるように制御を行う。
【0015】
この移動体通信システムは、複数の無線基地局、具体的には無線基地局200a、200b、200c、・・・及び、これらの無線基地局200a、200b、200c、・・・と通信を行うと共にこれらを制御する基地局制御装置300を備えている。基地局制御装置300は、基地局制御装置300と通信可能に一般公衆回線網、ISDN、インターネットなどの通信網500と接続される。無線基地局200a、200b、200cは、それぞれ無線基地局サービスエリアを持つ。基地局制御装置300は、無線基地局200a、200b、200c、・・・を統制すると共に、交換機の機能、全ての移動体通信端末の管理機能、通信の保守機能、端末の不正利用監視機能、全ての移動体通信端末の履歴保存機能などを有していることに加え、後述する本実施形態特有の機能を備えるものである。
【0016】
自動車電話や携帯電話等の移動局である移動体通信端末100a、100b、100c、100d、・・・は、それぞれが属する無線基地局サービスエリアを持つ無線基地局と無線回線で接続される。すなわち、移動体通信端末100aは無線基地局200aに、移動体通信端末100bは無線基地局200bに、移動体通信端末100c、100dは無線基地局200cに、それぞれ接続される。
【0017】
これらの移動体通信端末100a、100b、100c、100d、・・・から送信される音声及びデータは、無線基地局200a、200b、200cの内の各移動体通信端末が属する無線基地局サービスエリアを持つ無線基地局及び基地局制御装置300を介して、通信網500に送信される。また、通信網500から送信される音声及びデータは、基地局制御装置300及び無線基地局200a、200b、200cの内の各移動局が属する無線基地局サービスエリアを持つ無線基地局を介して、それぞれの移動体通信端末に送信される。
【0018】
また、移動体通信端末100a、100b、100c、100d、・・・から移動体通信システムに属する移動体通信端末に送信される音声及びデータは、無線基地局200a、200b、200cの内の各移動体通信端末が属する無線基地局サービスエリアを持つ無線基地局から、基地局制御装置300、送信先の移動体通信端末が属する無線基地局サービスエリアを持つ無線基地局を介して、送信先となる移動体通信端末へと送信される。
【0019】
この移動無線通信システムにおいて、無線基地局200a、200b、200cは、移動体通信端末100a、100b、100c、100d、・・・から送信される移動局識別情報を用いて、上記移動体通信端末100a、100b、100c、100d、・・・の正当性を判定し、この判定結果に基づいて、上記移動体通信端末100a、100b、100c、100d、・・・を特定の回線に接続する。
【0020】
本実施形態における移動体通信端末100a、100b、100c、100d、・・・のうちいくつかの移動体通信端末は、GPS衛星600からのGPS信号を受信して自らの位置を計算するGPS測位で車両の位置情報を取得する機能、及び取得した位置情報を時間情報と対応させて保存しておくことにより移動速度情報を算出する機能を有している。
【0021】
次に、本実施形態の移動体通信システムで用いる移動体通信端末100についてより詳しく説明する。図2は本発明の実施の形態に係る移動体通信システムで用いる移動体通信端末100の外観を斜視的に示す図であり、図3は本発明の実施の形態に係る移動体通信システムで用いる移動体通信端末100のブロック構成の概略を示す図である。
【0022】
図2及び図3において、100は移動体通信端末、101はCPU、102はバス、104はRAM、105は入力操作部、106は入力回路、108は音声制御回路、109はマイクロフォン、112はスピーカ、114は表示制御回路、115はディスプレイ、116は通信制御回路、119はGPS受信部、120はデータ保存部をそれぞれ示している。
【0023】
図2は、本実施例で使用される移動体通信端末の外観の一例を示したものである。この移動体通信端末100は2つの筐体をヒンジ機構によって折り畳むことができるタイプのものである。図2はこのような移動体通信端末100のヒンジ機構を開いた状態を示しており、一方の筐体には、出力インターフェイスとしてディスプレイ115及びスピーカ112が配置されており、他方の筐体には、入力インターフェイスとして、十字キー、テンキーなどの入力操作部105及びマイクロフォン109が配置されている。
【0024】
図3は図2に示した移動体通信端末の回路構成の概要を表わしたものである。移動体通信端末100は、CPU(中央処理装置)101を搭載している。CPU101はバス102を通じて装置内の各部と接続されている。このうちROM103はこの移動体通信端末100の各部を制御するためのプログラムを格納したリード・オンリ・メモリである。RAM104はプログラムを実行するときに必要となる一時的なデータおよび画像等を含んだ通信データを一時的に格納するランダム・アクセス・メモリである。移動体通信端末100におけるGPS信号を受信して自らの位置を計算するGPS測位で車両の位置情報を取得する機能、及び取得した位置情報を時間情報と対応させて保存しておくことにより移動速度情報を算出する機能を実現するためのプログラムはROM103に記憶させておくこともできる。
【0025】
入力操作部105は図2に示した他方の筐体の閉じ合わせる側の面に配置されたキースイッチ群から構成されている。入力操作部105の操作により発生した信号は入力回路106を介してバス102に伝達されるようになっている。
【0026】
音声制御回路108は音声の入出力を行う回路で、マイクロフォン109から音声を入力すると共に、スピーカ112から音声を出力するようになっている。表示制御回路114は、前記したディスプレイ115の表示を制御するようになっている。通信制御回路116は、図1に示した無線基地局200a、200b、200cと無線で通信を行うになっている。GPS受信部119は図1に示したGPS衛星600の複数から電波を受信して移動体通信端末100の現在位置を判別する装置である。データ保存部120は電源が切れた時でもデータを保持できるようになっている。例えばフラッシュメモリー、ハードディスク等である。アドレス帳などを記憶させておくことができる。
【0027】
次に、本発明の移動体通信システムが、移動体通信端末所持者の状態を判断し、これを他の移動体通信端末に報知する処理動作について説明する。以下、移動体通信端末100aが移動体通信端末100bの所持者の状態情報を問い合わせるときを例にとり説明する。図4は移動体通信端末100bの状態情報を問い合わせるときの移動体通信システムにおけるデータの流れを視覚的に示す図であり、図5は移動体通信端末100bの状態情報を問い合わせるときの移動体通信システムにおける処理フローチャートを示す図である。
【0028】
まず、図4における基地局制御装置300の地図データベース部301及び状態判断部302について説明する。地図データベース部301には、全国の詳細なディジタル地図情報と、各地域における道路情報、電車の線路情報とが格納されている。これらの情報は、最新の情報に逐次更新される。また、これら道路等に対する工事が行われる場合には、それについて提出される情報に基づいて情報の一時的な変更や訂正が行われるようになっている。
【0029】
また、状態判断部302は、後述するアルゴリズムにより、移動体通信端末100bの位置情報及び移動速度情報に基づいて、地図情報データベース部301に紹介することによって、移動体通信端末100bの所持者が、建物の中にいる状態であるのか、車輌により移動中の状態であるのか、電車により移動中の状態であるのか、徒歩により移動中の状態であるのかを判定するものである。
【0030】
図4における移動体通信端末100bの示される位置情報取得部は、GPS信号を受信して自らの位置を計算するGPS測位で車両の位置情報を取得するものであり、また、移動速度情報算出部は、取得した位置情報を時間情報と対応させて保存しておくことにより移動速度情報を算出するものであり、いずれもGPS受信部119から得られるデータに基づくCPU101の処理によって実現することができる。これら位置情報取得部及び移動速度情報算出部の処理は、移動体通信端末100bの電源がオンされている限り、バックグラウンドで定期的に実行され続けられている。また、位置情報取得部で取得された位置情報及び移動速度情報算出部で取得された移動速度情報は、最新のものから所定の時間遡ってログされている。
【0031】
以上のように、移動体通信端末100b側の位置情報取得部によって取得された位置情報、移動体通信端末100b側の移動速度情報算出部によって算出された移動速度情報を、無線基地局に送信するような構成となっているので、基地局制御装置300側に履歴保存負荷などの負担をかけることなく処理することが可能となる。
【0032】
図5において、移動体通信端末100a側のステップS100で処理が開始される。続くステップS101では、移動体通信端末100aのユーザーによって、アドレス帳機能の起動がされると、次にステップS102において、アドレス帳に状態情報の問い合わせ可能な登録者があるか否かが判定される。
【0033】
ここで、移動体通信端末100aにおけるアドレス帳の機能とは、移動体通信端末100aが頻繁に発信する相手先の移動体通信端末の所持者の氏名や、電話番号、メールアドレスを登録する機能である。
【0034】
また、本実施形態の移動体通信端末100bの状態情報を、移動体通信端末100aに報知するサービスは、移動体通信端末100bの所持者のプライバシーに関わるものであるので、当該所持者によって、移動体通信端末100aに状態情報を報知してもよい、という同意を得た上での登録制とする。すなわち、本実施形態によれば、移動体通信端末100bの所持者の状態情報は、所定の移動体通信端末にのみ送信されるように制御されるので、予め登録された限定された端末に対してのみ、移動体通信端末所持者の状態情報が提供され、プライバシーが保護されるようになっている。
【0035】
ステップS102における判定の結果がNOであるときにはステップS118に進む。ステップS118では、通常のアドレス帳の画面をディスプレイ115に表示し、ステップS119に進み処理を終了する。
【0036】
ステップS102における判定の結果がYESであるときにはステップS103に進む。ステップS103では、移動体通信端末100aは、登録者(ここでは登録者は、移動体通信端末100bの所持者として説明するが、複数の登録者があってもよい)の状態の問い合わせを、無線基地局200aに対して送信する。
【0037】
ステップS104において、無線基地局200aは、移動体通信端末100aからの登録者の状態の問い合わせを受信し、これを基地局制御装置300に転送する。
【0038】
ステップS105で、基地局制御装置300が登録者の状態の問い合わせを受信すると、移動体通信端末100bが存在するエリアを特定し、ステップS106では、特定したエリアの無線基地局200bに対して、登録者の情報(位置情報・移動速度情報)要求を送信する。
【0039】
ステップS107では、無線基地局200bは、基地局制御装置300から受信した情報要求を、移動体通信端末100bに対して転送する。
【0040】
移動体通信端末100bが、ステップS108で、無線基地局200bから情報要求の受信をすると、移動体通信端末100bは、ステップS109において、ログされている位置情報・移動速度情報を無線基地局200bに対して送信する。
【0041】
ステップS110では、無線基地局200bは、移動体通信端末100bから受信した位置情報・移動速度情報を、基地局制御装置300に対して転送する。
【0042】
ステップS111で、基地局制御装置300は位置情報・移動速度情報を受信すると、次に、ステップS112で、状態判定処理のサブルーチンを実行して、位置情報・移動速度情報に基づいて、移動体通信端末100b所持者の状態を判定する。ステップS113では、判定された状態情報を保存し、ステップS114では、この状態情報を無線基地局200aに対して送信する。
【0043】
ここで、状態判定処理のサブルーチンについて説明する。図6は移動体通信システムにおける状態判定処理のサブルーチンのフローチャートを示す図である。図6において、ステップS200で、サブルーチンが開始されると、次にステップS201に進み、状態判定対象となる移動体通信端末100bからの位置情報・移動速度情報を取得する。続く、ステップS202では、地図データベース部301と、これらの情報を照合する。
【0044】
ステップS203では、(位置情報)=(建物位置)であるか否かが判定される。建物位置は地図データベース部301にデータに基づくものである。ステップS203の判定結果がYESであるときにはステップS209に進み、移動体通信端末100bの所持者の状態は、建物内にいるものと判定する。ステップS210に進み、リターンする。
【0045】
ステップS203の判定結果がNOであるときにはステップS204に進みむ。ステップS204においては、(移動速度)>(所定速度以上)であるか否かが判定される。
【0046】
ステップS204における判定の結果がNOであるときにはステップS208に進む。ステップS208では、移動体通信端末100bの所持者の状態は、徒歩により移動中と判定する。ステップS210に進み、リターンする。
【0047】
ステップS205における判定の結果がYESであるときにはステップS205に進む。ステップS205では、(位置情報)=(線路上)であるか否かが判定される。線路の位置は地図データベース部301にデータに基づくものである。
【0048】
ステップS204における判定の結果がYESであるときにはステップS206に進む。ステップS206では、移動体通信端末100bの所持者の状態は、電車により移動中と判定する。ステップS210に進み、リターンする。
【0049】
ステップS204における判定の結果がNOであるときにはステップS207に進む。ステップS207では、移動体通信端末100bの所持者の状態は、道路上を走行する車輌による移動中であると判定する。ステップS210に進み、リターンする。
【0050】
以上のように、本実施形態の移動体通信システムの状態判定処理のサブルーチンによれば、移動体通信端末所持者が、建物の中にいる状態であるのか、車輌により移動中の状態であるのか、電車により移動中の状態であるのか、徒歩により移動中の状態であるのかを判定することが可能となる。
【0051】
再び図5のメインルーチンに戻ると、ステップS115では、無線基地局200aは、基地局制御装置300から受信した状態情報を、移動体通信端末100aに対して転送する。
【0052】
移動体通信端末100aは、ステップS116で、移動体通信端末100b所持者の状態情報を受信すると、次のステップS117では、この状態情報をRAM104などに保存する。次のステップS118では、状態情報をディスプレイ115に表示する。ステップS119で処理を 終了する。
【0053】
ここで、ステップS118におけるディスプレイ115での状態情報の表示例について説明する。図7は移動体通信端末100aのディスプレイ115における状態情報の表示例を示す図である。状態情報の表示は、例えば図7に示すように、移動体通信端末100aのアドレス帳機能と連動させると利便性が高い。
【0054】
図7のディスプレイ115でのアドレス帳表示においては、氏名の欄、当該氏名の者の有する移動体通信端末の電話番号の欄、また当該氏名の者の状態情報を示すアイコンの欄からなっている。
【0055】
図7のディスプレイ115の表示において、氏名「特許太郎」の状態の欄には、携帯電話のアイコンと、人が歩行する状態を示すアイコンとが表示されている。これは、移動体通信端末100b所持者の状態情報が、徒歩による移動中であることを示しており、携帯電話の着信に対応することが可能である状態であることを示している。
【0056】
また、図7のディスプレイ115の表示において、氏名「実用次郎」の状態の欄には、携帯電話にXが重ね合わされたアイコンと、車のアイコンと表示されている。これは、移動体通信端末100b所持者の状態情報が、自動車等による移動中であることを示しており、携帯電話の着信に対応することができない状態であることを示している。
【0057】
また、図7のディスプレイ115の表示において、氏名「商標花子」の状態の欄には、携帯電話のアイコンと、眷属物のアイコンとが表示されている。これは、移動体通信端末100b所持者の状態情報が、建物の中にいる状態であることを示しており、携帯電話の着信に対応することが可能である状態であることを示している。
【0058】
また、図7のディスプレイ115の表示において、氏名「意匠三郎」の状態の欄には、携帯電話にXが重ね合わされたアイコンと、電車のアイコンと表示されている。これは、移動体通信端末100b所持者の状態情報が、電車による移動中であることを示しており、携帯電話の着信に対応することができない状態であることを示している。
【0059】
また、図7のディスプレイ115の表示において、氏名「国際一郎」の状態の欄には、「未登録」が表示されており、「国際一郎」氏は、自らの状態情報を報知するサービスに登録していないことを示している。
【0060】
以上のような構成によれば、移動体通信端末のディスプレイ115で状態情報を表示するので、移動体通信端末所持者が、建物の中にいる状態であるのか、車輌により移動中の状態であるのか、電車により移動中の状態であるのか、徒歩により移動中の状態であるのかを把握することができ、連絡をとるタイミングを見計らうことができるようになるので、かけて側は、心理的なストレスを感じることがない。
【0061】
なお、実施例においては、携帯電話についての説明を行ったが、近年車両に搭載されている、例えば経路等を案内する情報端末としてのナビゲーション装置を移動通信端末装置とした場合などにも適用可能である。移動通信端末装置としてのナビゲーション装置は、移動速度情報を車両から入力された車速から得ることができ、位置情報取得手段はその位置情報をGPS信号などから得ることができる。そして、所定の移動通信端末装置に状態情報を送信することができる。そして、その利用者が車両に乗っている場合には、所定の移動通信端末装置に利用者が車両に乗っていることを情報付与してやることによって、所定の移動通信端末に王正確な状態情報を送信することができ、所定の移動通信端末の利用者にとって利便性が向上する等も考えられ、本発明は、実施例に記載の携帯電話に限られること無く、移動通信端末に対して適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施の形態に係る移動体通信システム全体の概略を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る移動体通信システムで用いる移動体通信端末100の外観を斜視的に示す図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る移動体通信システムで用いる移動体通信端末100のブロック構成の概略を示す図である。
【図4】移動体通信端末100bの状態を問い合わせるときの移動体通信システムにおけるデータの流れを視覚的に示す図である。
【図5】移動体通信端末100bの状態を問い合わせるときの移動体通信システムにおける処理フローチャートを示す図である。
【図6】移動体通信システムにおける状態判定処理のサブルーチンのフローチャートを示す図である。
【図7】移動体通信端末100のディスプレイ115における状態情報の表示例を示す図である。
【符号の説明】
【0063】
100、100a、100b、100c、100d・・・移動体通信端末、101・・・CPU、102・・・バス、104・・・RAM、105・・・入力操作部、106・・・入力回路、108・・・音声制御回路、109・・・マイクロフォン、112・・・スピーカ、114・・・表示制御回路、115・・・ディスプレイ、116・・・通信制御回路、119・・・GPS受信部、120・・・データ保存部、200a、200b、200c・・・無線基地局、300・・・基地局制御装置、301・・・地図データベース部、302・・・状態判断部、500・・・通信網、600・・・GPS衛星

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体通信端末と、
前記移動体通信端末との間で無線通信を行う無線基地局と、
前記無線基地局と通信を行うと共にこれらを制御する基地局制御装置と、からなる移動体通信システムにおいて、
前記移動体通信端末は、自らの位置情報を取得する位置情報取得手段と、自らの移動速度情報を算出する移動速度情報算出手段と、を有しており、
前記基地局制御装置は、地図情報が格納される地図データベースと、移動体通信端末の位置情報及び移動速度情報とから移動体通信端末所持者の状態に係る状態情報を判断する状態判断手段と、を有しており、前記状態判断手段によって判断された状態に係る状態情報を、所定の移動体通信端末に送信するように無線基地局を制御することを特徴とする移動体通信システム。
【請求項2】
前記移動体通信端末は、前記位置情報取得手段によって取得された位置情報及び前記移動速度情報算出手段によって算出された移動速度情報を無線基地局に送信することを特徴とする請求項1に記載の移動体通信システム。
【請求項3】
前記所定の移動体通信端末は送信された状態情報を表示することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の移動体通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−152720(P2009−152720A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−326916(P2007−326916)
【出願日】平成19年12月19日(2007.12.19)
【出願人】(591261509)株式会社エクォス・リサーチ (1,360)
【Fターム(参考)】