説明

移動局の位置検出方法及びその移動局、位置検出装置、基地局

【課題】 基地局から移動局の往復時間を元に位置を算出する際の移動局での処理時間に対して考慮がなされた移動局の位置検出方法及びその移動局、基地局、位置検出装置を得ることを目的とする。
【解決手段】 移動局30から位置測位の要求があった場合に、すくなくとも3つ以上の各基地局21〜24が、位置検出装置10の指令に基づいて移動局30に対して測距信号を送信するステップと、移動局30は、受信した前記測距信号に対してA/D変換した後、特定の符号を用いて拡散変調を行った移動局受信データを生成するステップと、位置検出装置10は、受信した前記移動局受信データに対して特定の符号を用いて逆拡散を行い、前記逆拡散された前記移動局受信データを用いて前記測距信号の送信時から前記移動局の着信時までの時間を算出するステップとを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話等の移動局と、分散配置された複数の基地局を含む無線アクセス通信ネットワーク上における移動局の位置検出法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
移動体通信システムにおける、移動局の位置検出方法には、複数の方法がある。例えば、第三世代移動体通信の標準規格である、"3GPP"(3rd Generation Partnership Project)には、以下の3つの方法が例として記載されている。
【0003】
1つめは、"Cell ID Based positioning method"と呼ばれ、端末が接続している基地局のIDからその基地局がカバーしているエリアをマッピングすることにより、端末の位置情報を取得するものである。この方式を更に発展させ、移動局に、接続している基地局から移動局への電波伝搬時間を算出させ、基地局の位置情報、通信している移動局との送受信電波方向を基地局から受信することにより、移動局の位置検出精度を上げる、という発明が、例えば、特許文献1に開示されている。
【0004】
2つめは、"OTDOA(Observed Time Difference Of Arrival:測定到達時間差法) network positioning method"と呼ばれ、移動局における複数基地局の電波受信の位相差を元に、端末位置を測定するもので、基地局間の同期装置により、基地局が同期していることが前提になっている。この考え方を発展させた発明が、例えば、特許文献2に開示されている。この特許文献2では、移動局における、複数基地局からの電波受信の位相差ではなく、それぞれの基地局と1つの移動局との往復通信時間(RTT:Round Trip Time:移動局と基地局間の往復通信時間。)を元に、移動局の位置を検出する方法が開示されている。
【0005】
3つめは、"Network Assisted GPS positioning method" と呼ばれ、ネットワークからGPS補正情報等を端末側に送信し,通常のGPSより高精度な測位を実現する方式である。いずれも、3GPPに記載された方法であるが、第三世代(CDMA)だけでなく、第二世代の移動体通信でも適用されうる手法である。
【0006】
尚、2つめの"OTDOA(Observed Time Difference Of Arrival:測定到達時間差法) network positioning method"においては、基地局間の同期装置により、基地局が同期していることが前提になっているが、文献4には、基地局にGPS受信機を備え、UTC(協定世界時)情報と移動体通信基地局の位置情報を、基地局が、移動局に送信して移動局が識別符号を付した移動局情報が返送してくるまでの時間を利用して移動局の位置を求める発明が開示されている。
【0007】
【特許文献1】特開2002-40121号公報(図1)
【特許文献2】特表2003-533927号公報(図3)
【特許文献3】特開2001-250183号公報(図1)
【特許文献4】特開平10-48322号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
"OTDOA network positioning method"は、移動局における複数基地局の電波受信の位相差を元に、端末位置を測定するもので、基地局間の同期装置により、基地局が同期していることが前提になっている。現在のW-CDMAネットワークは基地局間が同期しておらず、新規に基地局間同期装置を設置する必要があり、基地局間同期装置を設置しても、OTDOAのために基地局間の相対的なタイミング差を求めるのは、複雑になるため、システムの効率を低減させてしまう。OTDOAの前提である、基地局間が同期していなければならない、という問題を解決する発明を開示したのが特許文献2であるが、この方法は、移動局、基地局それぞれの受信時に、マルチパスタイミングを選択した場合、移動局の位置検出精度が極端に悪くなる、という問題を解決していない。
【0009】
更に、特許文献4は、GPS受信機から得られたUTCに基地局が同期している。また基地局から移動局の往復時間を元に位置を算出することから、移動局での処理時間等の考慮はなされていない。
【0010】
そこで、4つ以上のGPS衛星からの受信情報を元に端末の位置を測定する、"Network Assisted GPS positioning method"の特定精度(数m)と同等の精度を維持しつつ上記課題を解決し得る移動局の位置検出方法及びその移動局、基地局、位置検出装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明に係る移動局の位置検出方法は、各基地局間においての非同期の基準クロックを有する基地局制御回路が、GPS受信データから基準時との差である時計補正データを求めて位置検出装置に送信するステップと、
移動局から位置測位の要求があった場合に、すくなくとも3つ以上の前記各基地局が、前記位置検出装置の指令に基づいて移動局に対して測距信号を送信するステップと、
前記移動局は、受信した前記測距信号に対してA/D変換した後、特定の符号を用いて拡散変調を行った移動局受信データを生成するステップと、
前記位置検出装置は、受信した前記移動局受信データに対して特定の符号を用いて逆拡散を行い、前記逆拡散された前記移動局受信データを用いて前記測距信号の送信時から前記移動局の着信時までの時間を算出するステップと、
前記位置検出装置は、前記前記測距信号の送信時から前記移動局の着信時までの時間を用いて前記移動局の測位結果を求め、前記移動局に前記測位結果を送信するステップとを備えたものである。
【発明の効果】
【0012】
この発明に係る移動局の位置検出方法は、各基地局間においての非同期の基準クロックを有する基地局制御回路が、GPS受信データから基準時との差である時計補正データを求めて位置検出装置に送信するステップと、
移動局から位置測位の要求があった場合に、すくなくとも3つ以上の前記各基地局が、前記位置検出装置の指令に基づいて移動局に対して測距信号を送信するステップと、
前記移動局は、受信した前記測距信号に対してA/D変換した後、特定の符号を用いて拡散変調を行った移動局受信データを生成するステップと、
前記位置検出装置は、受信した前記移動局受信データに対して特定の符号を用いて逆拡散を行い、前記逆拡散された前記移動局受信データを用いて前記測距信号の送信時から前記移動局の着信時までの時間を算出するステップと、
前記位置検出装置は、前記前記測距信号の送信時から前記移動局の着信時までの時間を用いて前記移動局の測位結果を求め、前記移動局に前記測位結果を送信するステップとを備えたことで、互いに非同期の基準クロックを有する基地局においても同期をとることができるとともに、各基地局間と移動局との距離の測定をより正確に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
実施の形態1.
この発明の実施の形態1である移動局の位置検出方法を実現する移動体通信ネットワークのシステム構成を示すブロック図である。
【0014】
図1に示す移動体通信ネットワークのシステムは、位置検出装置10、基地局21〜24、移動局30から構成される。位置検出装置10は、測距信号を出力する測距信号出力手段10a、時計補正データを要求するとともに、基地局21〜24から返信された時計補正データを記憶する時計補正データ管理手段10b、逆拡散手段10c、位置測位手段10d及び各々の信号の基地局21〜24とのやり取りを行う入出力手段10e、電離層、対流圏等の影響を考慮した補正情報、例えばDGPS補正情報やFKP(面補正)のGPS補正情報といった補正情報をGPS受信機ネットワーク網などから入手するGPS補正情報入手手段10fとから構成されている。
【0015】
基地局21はGPSアンテナ21a、GPSアンテナに入力された受信信号に対して、所定の処理をおこなうGPS受信機21b及び、位置測定装置10及び移動局30との各々の信号の中継の制御を行う基地局制御回路21cを備えている。尚、図示していないが、基地局22〜24においても同様の構成を備えており、基地局自体は図に示した4つのみに限られない。
【0016】
移動局30は、少なくとも、送受信用アンテナ30a、受信信号をA/D変換するA/D変換器30b及び、移動局の端末識別番号の付加、及び所定の符号を用いて拡散変調して移動局受信データを生成し、基地局21〜24へ送信させる制御回路30cから構成されている。
【0017】
次に移動局位置検出方法について説明する。
図2は、この発明の実施の形態1である移動局の位置検出方法を実現する移動体通信ネットワークのシステムにおける移動局の測位を行うフローチャートである。
【0018】
まず、S101〜S105では、W−CDMA方式において非同期である各基地局の基地局制御回路21c〜24cの各々について、GPS受信信号を用いて、基準時と基地局制御回路21c〜24cとのクロック基準の差である時計補正データを生成する過程を示している。また、S106〜S111については、移動局30からの位置測位があった場合に移動局30の位置測位を行う過程を示している。
【0019】
まず、時計データを生成する過程について図2をメインに図1も用いて説明する。
S101において、位置検出装置10内の時計補正データ管理手段10bは、基地局21〜24の各々に対して時計補正データ要求を生成し、S102において、時計補正データ管理手段10bが、入出力手段10eに基地局21〜24に対して時計補正データ要求を送信させる。
尚、実際は、この時点では基地局21〜24に限定したものではなく、多数の基地局が存在するため、時計補正データ管理手段10bは、基地局全体に対して、スケジューリングを組んで順次時計補正データの要求を送信することになる。
【0020】
S103において、基地局21〜24内の基地局制御回路21c〜24cが、時計補正データ要求を受信すると、GPS受信データから得られる基準時と基地局制御回路21c〜24cの基準クロックとの差分である時計補正データを生成する。基地局制御回路21c〜24cは、GPSアンテナ21a〜24aを経由して受信したGPS受信データと時計補正データとを、位置検出装置10に送信する。尚、GPS受信データには、擬似距離のデータが含まれている。
尚、基準時は、UTC(世界標準時)またはGPS時である。
位置検出装置10は、入出力手段10eを経由して受信したGPS受信データと時計補正データとを時計補正データ管理手段10bに入力する。時計補正データ管理手段10bは、GPS受信データから基準時を抽出して記憶するとともに、各基地局制御回路21c〜24cの時計補正データを記憶する。
【0021】
S104において、位置検出装置10は、GPSネットワーク等からGPS補正情報入手手段10fによって電離層、対流圏等の影響を考慮した補正情報、例えばDGPS補正情報やFKP(面補正)のGPS補正情報といった補正情報を入手し、GPS補正情報を生成する。
S105において、位置検出装置10は、GPS補正情報を基地局21〜24に送信する。基地局21〜24内のGPS受信機21b〜24bは、各々受信したGPS補正情報に基づいて、電離層、対流圏等の影響に対する補正を行う。S104〜S105によって、基地局の位置、時刻について、より正確な基準位置、時刻を維持することができ、後に位置計測される移動局30の位置精度の向上を図ることができる。
【0022】
位置検出装置10は定期的に時計補正データ要求を基地局21〜24に送信し、基地局21〜24は、GPSアンテナ21a〜24aを経由して受信したGPS受信データを、基地局制御回路21c〜24cを経由して定期的にGPS受信データを送信することで、S101〜s103またはS105を繰り返す。したがって定期的に、各々の基地局21〜24に対する時計補正データを常に正しい値に維持することができる。
【0023】
次に、移動局30の位置測位を行う過程について図2をメインに図1も用いて説明する。
S106において、移動局30が移動局の位置測位の要求を出した場合、基地局21〜24のいずれかを経由して受信した位置検出装置10の測距信号出力手段10aは、基地局21〜24は移動局30に対して測距信号を送信するように指示する。これをうけて基地局21〜24内の基地局制御回路21c〜24cは、移動局30に対して測距信号を送信する。基地局制御回路21c〜24cから送信される測距信号には、各々の基地局制御回路21c〜24cが送信する時間情報が含まれていると共に、後述する、拡散変調及び逆拡散処理によって移動局30までの到達時間が検出されるような規則性のある信号となっている。
【0024】
S107において、移動局30は、受信した測距信号について、まず、A/D変換する。そして、移動局30は、デジタル化された測距信号に対して、端末識別番号を付加する。さらに、移動局30は、デジタル化され、端末識別番号が付加された測距信号に対して、特定の符号を用いて拡散変調を行う。拡散変調が行われることで、拡散変調された移動局受信データを生成される。
【0025】
S108において、移動局30は、移動局受信データを基地局21〜24のすくなくともいずれが一つを経由して位置検出装置10に送信する。
【0026】
S109において、位置検出装置10は、まず、拡散変調された移動局受信データを入力手段10eを経由して逆拡散手段10cに入力させる。逆拡散手段10cは、拡散変調された移動局受信データに対して、端末識別番号を取得すると共に、特定の符号を用いて逆拡散を行うことにより、測距信号が移動局30に到達してすぐに生成される移動局受信データから移動局30に到達した時間を示すピークを生成する。
【0027】
また、このピークはマルチパス等により、真の時間より遅れた時間で複数生成され、真の時間に対して、誤差を含むこととなる。逆拡散手段10cは、マルチパスによるものを除去するために、例えば、ピークの閾値レベルを上げたり、ピークの立ち上りと立ち下りのエッジを検出し、その中間の時間を真の時間とする。また、逆拡散手段10cは、他の方法もとることができる。
【0028】
これら工程によって、逆拡散手段10cが、マルチパス成分を除去し、基地局21〜24が移動局30に向かって送信した測距信号の送信した時間と、移動局が受信した時間とから、逆拡散手段10cが基地局21〜24から移動局30に到達するまでの時間を算出することができる。また、拡散変調された移動局受信データをそのまま基地局21〜24を経由して位置検出装置10の逆拡散手段10cが入力して処理することで、拡散変調された分、1bitあたりの時間が短くなるため、移動局30が受信した時間をより正確に検出することができる。
【0029】
また、基地局21〜24から移動局30に到達するまでの時間と、時計補正データ、GPS受信データとから位置測位手段10dが移動局30の位置測位の算出を行う。位置測位方法については後述する。
【0030】
S110において、位置検出装置10の位置測位手段10dは、位置測位結果を基地局21〜24のいずれかを経由して移動局30に測位結果を送信する。
S111において、移動局30が移動局30が持つ画面等に測位結果を表示する。
【0031】
次に、時計補正データの算出方法及び位置測位方法について説明する。
図3は、図2におけるS109の移動局測位の理論式を用いて理論的に説明したブロック図である。
【0032】
まず、(1)擬似距離観測方程式は、GPS受信データから得られる擬似距離について誤差要因等について分解した擬似距離観測方程式である。ρは、GPS受信データから得られた擬似距離、rは真の擬似距離、cは光速、δtは基地局制御回路21cについての時計補正データ、δtは衛星時刻の誤差、δoは衛星軌道誤差、δI電離層誤差、δT対流圏誤差、εはランダムノイズである。また下文字の数字は基地局21〜24の下一桁を示している。
【0033】
このうち、衛星時刻の誤差、εはランダムノイズの誤差は小さく、位置測位計算をした際の影響は1m以下程度であるのに対し、衛星軌道誤差、電離層誤差、対流圏誤差は加算すると位置測位計算をした際の影響は20m程度となり、無視できないものである。
【0034】
次に、位置測位手段10dは、基地局21〜24のGPS受信データから得られる擬似距離について基地局21の擬似距離を基準として差分をとる。それが(2)観測値の1重差分である。
【0035】
Δρ12は、基地局21と基地局22のGPS受信データから得られた擬似距離差分、Δr12は、基地局21と基地局22の真の擬似距離差分、δt12は、基地局制御回路21cと基地局制御回路22cとの時計補正データ差分(クロック誤差差分)、δε12は、基地局21と基地局22のGPS受信データのランダムノイズ差である。尚、他の下文字の数字の並びかたは、上記説明した、基地局21と基地局22の場合と同様の規則性を持っている。
【0036】
(1)(2)式の比較から分かるように衛星時刻の誤差成分、衛星軌道誤差成分、電離層誤差成分、対流圏誤差成分がなくなっている。衛星軌道誤差成分、電離層誤差成分、対流圏誤差成分がなくなるのは、衛星から見た場合の各基地局21〜24は近いところにあるため、衛星軌道誤差成分、電離層誤差成分、対流圏誤差成分はみな同じとみてよいからである。
【0037】
そして、(2)式についてδt12を求めるように展開すると(3)基地局21〜24の時計補正データ誤差が算出される。ここで、Δρ12は基地局21と基地局22のGPS受信データから得られた擬似距離差分であるから求めることができ、各基地局21〜24の位置をGPS系の座標等で位置測位手段10dが記憶しておく、またはその情報を取得できる状態にしておけば、衛星の軌道の理論値もわかることから、Δr12も算出することができる。即ち、δt12を位置測位手段は算出することができる。
【0038】
つぎに、基地局21〜24から移動局までの距離である(4)基地局測位における観測方程式をしめす。
は、基地局21から移動局30までの測定系誤差を含む測定時間から算出された距離、tは移動局が測距信号を受信した時間、tは基地局21が測距信号を送信した時間、tは移動局30の受信時の真の時間(基準時)、δtは移動局の処理時間による誤差、τは、真の伝送時間、また下文字の数字は基地局21〜24の下一桁を示している。
【0039】
基地局21から移動局30までの測定系誤差を含む測定時間から算出された距離d1の場合について説明すると、tは、tすなわち移動局30の受信時の真の時間(基準時)に移動局のA/D変換や、拡散変調等を行った際の処理時間による誤差δtが加算されている。また、基地局21が測距信号を送信した時間tは、tすなわち移動局30の受信時の真の時間(基準時)から正しい伝送時間を引いて、基地局制御回路21cについての時計補正データδtが加算されたものである。
【0040】
これを考慮して式展開すると、dは、移動局30の受信時の真の時間(基準時)t項が消えて、真の伝送時間τと拡散変調等を行った際の処理時間による誤差δt、基地局制御回路21cについての時計補正データδtがのこる。
【0041】
よって(4)式についてdに対するdの差分Δd12をとると(5)移動局30の位置に関する連立方程式が示される。すると、拡散変調等を行った際の処理時間による誤差δt成分が消去される。τ12は、基地局21から移動局30までの真の伝送時間τと、基地局21から移動局30までの真の伝送時間τとの時間差となる。
すると、Δd12は測定によって得られる値であり、前述する通り、δt12も求めることができるものである。すなわちτ12を求めることができる。
【0042】
すなわち、cτ12は、基地局21から移動局30までの真の距離と基地局22から移動局30までの真の距離差となり、これが、cτ13、cτ14とあることから、基地局21と基地局22との距離差、基地局21と基地局23との距離差、基地局21と基地局24との距離差から各々形成される双曲線の交点によって、真の移動局30までの位置1点を求めることができる。
【0043】
尚、上記説明では、基地局4つを用いて説明したが、移動局30が基地局と3つしか通信可能な状態とならない状態であっても、双曲線の交点を求めることは可能である。実際の運用状は3つでも実害とはならない。
また、移動局30が基地局と3つと通信可能な状態において双曲線の交点を用いて移動局の位置を推定する方法は、"3GPP"(3rd Generation Partnership Project)の規格書における”TS25.305V3.9.0”の第9章に”OTDOA(Observed Time Difference Of Arrival) method”に記載されている内容と同一となる。
【0044】
したがって、各基地局21〜24間においての非同期の基準クロックを有する基地局制御回路21c〜24cが、GPS受信データから基準時との差である時計補正データを求めて位置検出装置10に送信するステップと、
移動局30から位置測位の要求があった場合に、すくなくとも3つ以上の各基地局21〜24が、位置検出装置10の指令に基づいて移動局30に対して測距信号を送信するステップと、
移動局30は、受信した前記測距信号に対してA/D変換した後、特定の符号を用いて拡散変調を行った移動局受信データを生成するステップと、
位置検出装置10は、受信した前記移動局受信データに対して特定の符号を用いて逆拡散を行い、前記逆拡散された前記移動局受信データを用いて前記測距信号の送信時から前記移動局の着信時までの時間を算出するステップと、
位置検出装置10は、前記前記測距信号の送信時から前記移動局の着信時までの時間を用いて移動局30の測位結果を求め、移動局30に前記測位結果を送信するステップとを備えたことで、互いに非同期の基準クロックを有する基地局30においても同期をとるのと同じ効果をえることができるとともに、各基地局21〜24間と移動局30との距離の測定をより正確に行うことができる。
【0045】
実施の形態2.
実施の形態1では、図1におけるGPS補正情報を特に有効に利用していなかったが、本実施の形態においては、有効活用する場合について説明する。図、符号等については実施の形態1と同様である。
【0046】
図1におけるGPS補正情報入手手段は、電離層、対流圏等の影響を考慮したGPS補正情報を生成する。図3の(1)擬似距離観測方程式について検討すると、20m程度の誤差を生むδoは衛星軌道誤差、δI電離層誤差、δT対流圏誤差をGPS補正情報によって消すことができる。つまり、GPS補正データを(1)擬似距離観測方程式に代入することで、比較的誤差の小さい衛星時刻誤差やランダムノイズ誤差を除けば、大きな誤差要因は、時計補正データδtのみとなり、これは基地局制御回路21c〜24cの方で求めている。したがって、真の擬似距離rも予め基地局21の位置として求めておけば算出可能であるから、δtの値を算出できる。従って直接(4)基地局測位における観測方程式に、δtの値を代入して直接dの値を求めることができ、移動局30の位置を求めることができる。誤差δtについては、移動局30から基地局21〜24へ送信する際に情報として含めておけばよい。また、ない場合であっても(5)式へ導入すれば、実施の形態1と同様に移動局30の位置を求めることができる。
【0047】
したがって、実施の形態2においては、実施の形態1に対して、GPS補正情報を使用することで、位置検出装置10における算出をより簡単に行うことができる。
【0048】
実施の形態3.
実施の形態3では、実施の形態1や2における、移動局30にもGPS受信機能を有した場合について説明する。尚、特に指示のない場合は、図、符号等については実施の形態1と同様である。
【0049】
図4は、この発明の実施の形態3である移動局の位置検出方法を実現する移動体通信ネットワークのシステム構成を示すブロック図である。
実施の形態1の図1に対して、移動局30に移動局GPSアンテナ30dと擬似距離情報を含む移動局GPS受信データ生成する移動局GPS受信機30eを備えている。尚、移動局GPS受信機30e自身は、得られた擬似距離の情報から位置の計算はしない。
【0050】
図5は、この発明の実施の形態3である移動局の位置検出方法を実現する移動体通信ネットワークのシステムにおける移動局の測位を行うフローチャートである。
S201〜S207までは実施の形態1における図2のS101からS107と同じであるので説明を省略する。
【0051】
S208において、移動局30は、移動局受信データを基地局21〜24の少なくともいずれか1つを経由して位置検出装置10に送信すると共に、移動局GPSアンテナ30dから受信し、移動局GPS受信機30eにて生成した移動局GPS受信データも、制御回路30cを経由し、基地局21〜24の少なくともいずれか1つを経由して位置検出装置10に送信する。
【0052】
S209において、位置検出装置10は、実施の形態1と同様、拡散変調された移動局受信データを入力手段10eを経由して逆拡散手段10cに入力させる。逆拡散手段10cは、実施の形態1の場合と同様に、基地局21〜24が移動局30に向かって送信した測距信号の送信した時間と、移動局が受信した時間とから、逆拡散手段10cが基地局21〜24から移動局30に到達するまでの時間を算出する。
【0053】
また、基地局21〜24から移動局30に到達するまでの時間と、時計補正データ、GPS受信データ、及び移動局GPS受信データとから位置測位手段10dが移動局30の位置測位の算出を行う。位置測位方法については実施の形態1及び2の場合と同様である。
但し、本実施の携帯においては、基地局21〜24から移動局30に到達するまでの時間と、時計補正データ、基地局21〜24のGPS受信データ、を用いて位置を求める手法と、移動局30の移動局GPS受信データを用いて位置を求める手法と二つを備えることとなる。すなわち実施の形態3における位置測位手段10dはGPS測位の機能を有することとなる。
【0054】
したがって、移動局30を捉えている基地局の数や移動局GPS受信データの受信状況、マルチパスの可能性等に応じて、この二つの移動局位置測位結果を使い分け測位結果を生成することができる。
例えば、例えば、移動局GPS受信データのなかに、GPS衛星からの信号が4つ以上ある場合は、移動局GPS受信データを用いてDGPSの位置測位として計算することができるため、移動局GPS受信データの位置測位結果を用いることができる。
【0055】
移動局GPS受信データのなかに、GPS衛星からの信号が3つ以下場合は、位置測位手段10dが求めた、移動局GPS受信デ−タからもとめた位置測位結果と、基地局21〜24から移動局30に到達するまでの時間と、時計補正データ、GPS受信データからもとめた位置測位結果とを突き合わせて、より精度の高いと推定される結果を真の測位結果として生成することができるし、双方とも、マルチパス等の影響で位置測定結果が複数表れた場合に、双方の測位結果が重複してうるものを真の位置測位結果として生成することもできる。
【0056】
移動局GPS受信データのなかに、GPS衛星からの信号がない場合は、基地局21〜24から移動局30に到達するまでの時間と、時計補正データ、GPS受信データからもとめた位置測位結果のみを真の位置測位結果として生成することができる。
【0057】
S210において、位置検出装置10の位置測位手段10dは、位置測位結果を基地局21〜24のいずれかを経由して移動局30に測位結果を送信する。
S211において、移動局30が移動局30が持つ画面等に測位結果を表示する。
【0058】
したがって、実施の形態3においては、実施の形態1に対して、移動局GPS受信データを利用して位置測位を行うことで、より正確な位置測位結果を提供することができる。 尚、本実施の形態の内容の特に記載していない部分については、"3GPP"(3rd Generation Partnership Project)の規格書における”TS25.331V3.15.0”の第8.6.7.19章に記載されたUE−assistedの処理内容と同一となる。
【0059】
実施の形態4.
実施の形態4では、位置検出装置10の位置測位手段10dが、移動局GPS受信データと、拡散された移動局受信データを用いて測位を行う場合について説明する。尚、本実施の形態においては、図、符号等については実施の形態3と同様である。
【0060】
実施の形態3では、S209において、移動局GPS受信データを用いた測位結果と、GPS受信データを用いた測位結果との突合せを行い、適した結果を選択するようにした。
すなわち、実施の形態4では、移動局GPS受信機30eが、受信した移動局GPS受信データが持つ測位できる衛星と、移動局30が受信した測距信号に含まれる経由した基地局21〜24との中から、移動局GPS受信データ及び拡散された移動局受信データを受信した位置検出装置10の位置測位手段10eが、すくなくとも4つの組を用いて測位計算することで、移動局30の高精度測位演算を行ってもよい。
なぜなら、基地局21〜24は、予めその位置は把握されており、経由した拡散された移動局受信データはいわば、経由した基地局21〜24からの距離である。単純な例として、経由した基地局が2、移動局GPS受信データから得られるGPS衛星の数が2の場合、2つの基地局の距離差から得られる線と、2つのGPS衛星の擬似距離差によって得えられる線との交点を移動局30の位置として測位することも可能である。
【0061】
したがって、移動局GPS受信機30eが、受信した移動局GPS受信データが持つ測位できる衛星と、移動局30が受信した測距信号に含まれる経由した基地局21〜24との中から、移動局GPS受信データ及び拡散された移動局受信データを受信した位置検出装置10の位置測位手段10eが、すくなくとも4つの組を用いて測位計算することで、高精度測位を行うことができる。
【0062】
実施の形態5.
実施の形態1〜4においては、特に基地局の選定方法については言及していなかった。しかし、移動局に対して、横1列に並んだ基地局を選ぶ場合と、四方を囲んだ基地局とを選ぶのでは、移動局を中心にして4方の基地局を選ぶ方が位置精度が向上する。
そこで、実施の形態5では、実施の形態1、2における基地局21〜24を選択する際、位置精度を向上させる基地局の選定を行う場合について説明する。尚、特に限定のない場合は、図、符号等については実施の形態1及び2と同様である。
他の方法も考えられるが、例えば、以下の手順で行う
(1)最初に選択した基地局により、位置検出装置10は、移動体30の位置を算出する(疎測位)。即ち、図2におけるS101〜s109までを行う。
(2)疎測位した移動体30の位置を中心にして、位置測位手段10dは、疎測位した移動体30の位置を中心として4方を囲むような位置にある基地局21〜24を選ぶ。
(3)選んだ基地局21〜24に対して、位置検出装置10は、測距信号を送信するよう指令を出す。即ち図2におけるS106を行う。
(4)移動体30は、選んだ基地局21〜24からの測距信号を受信すると、図2におけるS107〜s108と同じ処理を行う。
(5)位置検出装置10の位置検出手段10dは、移動体30からの拡散された移動局受信データを用いて、再測位する(精測位)。そして、その測位結果を移動局30に送信し、移動局30が画面等を通じて表示する。すなわち、図2におけるS119〜S111と同じ処理を行う。
【0063】
従って、位置検出装置10は、一度粗測位を行った後に、その測位結果に基づいて四方を囲んだ基地局となるよう、基地局21〜24を選定し、精測位を行うことで、より精度の高い測位結果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】この発明の実施の形態1である移動局の位置検出方法を実現する移動体通信ネットワークのシステム構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1である移動局の位置検出方法を実現する移動体通信ネットワークのシステムにおける移動局の測位を行うフローチャートである。
【図3】図2におけるS109の移動局測位の理論式を用いて理論的に説明したブロック図である。
【図4】この発明の実施の形態3である移動局の位置検出方法を実現する移動体通信ネットワークのシステム構成を示すブロック図である。
【図5】この発明の実施の形態3である移動局の位置検出方法を実現する移動体通信ネットワークのシステムにおける移動局の測位を行うフローチャートである。
【符号の説明】
【0065】
10 位置検出装置、10a 測距信号出力手段、10b、時計補正データ管理手段、10c 逆拡散手段、10d 位置測位手段 、10e 入出力手段、10f GPS補正情報入手手段、21〜24 基地局、21a〜24a GPSアンテナ、21b〜24b GPS受信器、21c〜24c 基地局制御手段、30 移動局、30a 送受信用アンテナ 30b A/D変換器、30c 制御回路、30d 移動局GPSアンテナ、30e 移動局GPS受信機。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各基地局間においての非同期の基準クロックを有する基地局制御回路が、GPS受信データから基準時刻との差である時計補正データを求めて位置検出装置に送信するステップと、
移動局から位置測位の要求があった場合に、すくなくとも3つ以上の前記各基地局が、前記位置検出装置の指令に基づいて前記移動局に対して測距信号を送信するステップと、
前記移動局は、受信した前記測距信号に対してA/D変換した後、特定の符号を用いて拡散変調を行った移動局受信データを生成するステップと、
前記位置検出装置は、受信した前記移動局受信データに対して特定の符号を用いて逆拡散を行い、前記逆拡散された前記移動局受信データを用いて前記測距信号の送信時から前記移動局の着信時までの時間を算出するステップと、
前記位置検出装置は、前記測距信号の送信時から前記移動局の着信時までの時間を用いて前記移動局の測位結果を求め、前記移動局に前記測位結果を送信するステップとを有することを特徴とする移動局の位置検出方法。
【請求項2】
各基地局間においての非同期の基準クロックを有する基地局制御回路が、GPS受信データから擬似距離の情報を含むGPS受信データを前記位置検出装置に送信するステップと、
移動局から位置測位の要求があった場合に、すくなくとも3つ以上の前記各基地局が、前記位置検出装置の指令に基づいて前記移動局に対して測距信号を送信するステップと、
前記移動局は、受信した前記測距信号に対してA/D変換した後、特定の符号を用いて拡散変調を行った移動局受信データを生成するステップと、
前記位置検出装置は、受信した前記移動局受信データに対して特定の符号を用いて逆拡散を行い、前記逆拡散された前記移動局受信データを用いて前記測距信号の送信時から前記移動局の着信時までの時間を算出するステップと、
前記位置検出装置は、各基地局から得られた前記擬似距離の情報を含むGPS受信データについて、一つの基地局における擬似距離と他の基地局における擬似距離との差分である観測値の1重差分を求め、前記観測地の1重差分を用いて求めた前記各基地局間の時計補正データ差分を求めるステップと、前記時計補正データ差分と、前記前記測距信号の送信時から前記移動局の着信時までの時間を用いて前記移動局の測位結果を求め、前記移動局に前記測位結果を送信するステップとを有することを特徴とする移動局の位置検出方法。
【請求項3】
請求項1または2における移動局の位置検出方法において、
前記位置検出装置は、GPSネットワーク等から電離層、対流圏等の影響を考慮した補正情報であるGPS補正情報を生成し、前記各基地局に送信するステップと、
前記各基地局内のGPS受信機が、受信した前記GPS補正情報に基づいて補正を行うステップとを有することを特徴とする移動局の位置検出方法。
【請求項4】
請求項1または2における移動局の位置検出方法において、
前記移動局は、前記移動局に備えられた移動局GPS受信機にて受信した移動局GPS受信データを前記移動局受信データと共に、位置検出装置に送信するステップと、
前記位置検出装置は、受信した前記移動局GPS受信データから前記移動局GPS受信機が受信した衛星の数を算出するステップと、
前記位置検出装置は、受信できた衛星の数が4以上の場合は、前記移動局GPS受信データに基づいて測位を行い、その結果を前記測位結果とするステップと、
前記位置検出装置は、受信できた衛星の数が3以下の場合は、前記移動局GPS受信データに基づいて測位を行なった測位結果と、前記測距信号の送信時から前記移動局の着信時までの時間を用いて前記移動局の測位結果とからより精度の高い測位結果を前記測位結果とするステップと、
前記位置検出装置は、受信できた衛星の数が0の場合は、前記測距信号の送信時から前記移動局の着信時までの時間を用いて前記移動局の測位結果を前記測位結果とするステップとを有することを特徴とする移動局の位置検出方法。
【請求項5】
各基地局間においての非同期の基準クロックを有する基地局制御回路が、GPS受信データから基準時刻との差である時計補正データを求めて位置検出装置に送信する、または前記GPS受信データから擬似距離の情報を含むGPS受信データを前記位置検出装置に送信するステップと、
移動局から位置測位の要求があった場合に、前記各基地局が、前記位置検出装置の指令に基づいて前記移動局に対して測距信号を送信するステップと、
前記移動局は、受信した前記測距信号に対してA/D変換した後、特定の符号を用いて拡散変調を行った移動局受信データを生成するステップと、
前記移動局は、前記移動局に備えられた移動局GPS受信機にて受信した移動局GPS受信データを前記移動局受信データと共に、位置検出装置に送信するステップと、
前記位置検出装置は、受信した前記移動局受信データに対して特定の符号を用いて逆拡散を行い、前記逆拡散された前記移動局受信データを用いて前記測距信号の送信時から前記移動局の着信時までの時間を算出するステップと、
前記位置検出装置は、受信した前記移動局GPS受信データが持つ測位できる衛星と、移動局が受信した測距信号に含まれる経由した前記基地局との中から、あわせてすくなくとも4つの組を用いて測位結果を求め、前記移動局に前記測位結果を送信するステップとを有することを特徴とする移動局の位置検出方法。
【請求項6】
各基地局間においての非同期の基準クロックを有する基地局制御回路が求めた、GPS受信データから基準時との差である時計補正データを記憶する時計補正データ管理手段と、
移動局から位置測位の要求があった場合に、すくなくとも3つ以上の前記各基地局が、前記移動局に対して送信する測距信号を前記各基地局に対して指令信号を送信する測距信号出力手段と、
前記移動局が受信した前記測距信号に対してA/D変換後、特定の符号を用いて拡散変調を行った移動局受信データを受信し、前記移動局受信データに対して特定の符号を用いて逆拡散を行い、逆拡散された前記移動局受信データを用いて前記測距信号の送信時から前記移動局の着信時までの時間を算出する逆拡散手段と、
前記測距信号の送信時から前記移動局の着信時までの時間を用いて前記移動局の測位結果を求める位置測位手段とを備えたことを特徴とする位置検出装置。
【請求項7】
移動局から位置測位の要求があった場合に、すくなくとも3つ以上の前記各基地局が、前記移動局に対して送信する測距信号を前記各基地局に対して指令信号を送信する測距信号出力手段と、
前記移動局が受信した前記測距信号に対してA/D変換後、特定の符号を用いて拡散変調を行った移動局受信データを受信し、前記移動局受信データに対して特定の符号を用いて逆拡散を行い、前記逆拡散された前記移動局受信データを用いて前記測距信号の送信時から前記移動局の着信時までの時間を算出する逆拡散手段と、
位置測位手段は、前記各基地局から得られた前記擬似距離の情報を含むGPS受信データについて、一つの基地局における擬似距離と他の基地局における擬似距離との差分である観測値の1重差分を求め、前記観測地の1重差分を用いて求めた前記各基地局間の時計補正データ差分を求め、前記観測地の1重差分を用いて求めた前記各基地局間の時計補正データ差分を求めると共に、前記時計補正データ差分と、前記前記測距信号の送信時から前記移動局の着信時までの時間を用いて前記移動局の測位結果を求めることを特徴とする位置検出装置。
【請求項8】
請求項6または7における位置検出装置において、
前記逆拡散手段は、前記逆拡散された前記移動局受信データに含まれるマルチパス成分を除去した上で、前記測距信号の送信時から前記移動局の着信時までの時間を算出することを特徴とする位置検出装置。
【請求項9】
請求項6または7における位置検出装置において、
GPSネットワーク等から電離層、対流圏等の影響を考慮した補正情報であるGPS補正情報を生成するGPS補正情報入手手段とを備えたことを特徴とする位置検出装置。
【請求項10】
請求項6または7における位置検出装置において、
位置測位手段は、受信した前記移動局GPS受信データから前記移動局GPS受信機が受信した衛星の数を算出した結果、
受信できた衛星の数が4以上の場合は、前記移動局GPS受信データに基づいて測位を行い、その結果を前記測位結果とし
受信できた衛星の数が3以下の場合は、前記移動局GPS受信データに基づいて測位を行なった測位結果と、前記測距信号の送信時から前記移動局の着信時までの時間を用いて前記移動局の測位結果とからより精度の高い測位結果を前記測位結果とし、
受信できた衛星の数が0の場合は、前記測距信号の送信時から前記移動局の着信時までの時間を用いて前記移動局の測位結果を前記測位結果とすることを特徴とする位置検出装置。
【請求項11】
移動局から位置測位の要求があった場合に、各基地局が、前記移動局に対して送信する測距信号を前記各基地局に対して指令信号を送信する測距信号出力手段と、
前記移動局が受信した前記測距信号に対してA/D変換後、特定の符号を用いて拡散変調を行った移動局受信データを受信し、前記移動局受信データに対して特定の符号を用いて逆拡散を行い、逆拡散された前記移動局受信データを用いて前記測距信号の送信時から前記移動局の着信時までの時間を算出する逆拡散手段と、
前記測距信号の送信時から前記移動局の着信時までの時間を用いると共に、受信した前記移動局GPS受信データが持つ測位できる衛星と、移動局が受信した測距信号に含まれる経由した前記基地局との中から、あわせてすくなくとも4つの組を用いて前記移動局の測位結果を求める位置測位手段とを備えたことを特徴とする位置検出装置。
【請求項12】
すくなくとも3つ以上の前記各基地局から受信した測距信号を受信すると、受信した前記測距信号に対してA/D変換をおこなうA/D変換機と、
前記位置検出装置に位置測位の要求を行うと共に、前記A/D変換された前記測距信号に対して、特定の符号を用いて拡散変調を行った移動局受信データを生成する制御回路と、前記移動局受信データに基づいて測位計算された測位結果を表示することを特徴とする移動局。
【請求項13】
請求項12における移動局において、
GPS受信信号を受信する移動局GPSアンテナと、前記移動局GPSアンテナから受信したGPS信号に基づいて、移動局GPS受信データを生成する移動局GPS受信機とを備えたことを特徴とする移動局。
【請求項14】
衛星からの信号を受信するGPSアンテナと、
前記信号に基づいて擬似距離の情報を含むGPS受信データを生成するGPS受信機と、各基地局間においての非同期の基準クロックを有し、GPS受信データから基準時との差である時計補正データを求めて位置検出装置に送信する基地局制御回路とを有し、
前記基地局制御回路は、移動局からの位置測位要求を前記位置検出装置に転送し、前記位置検出装置からの指令に基づいて測距信号を前記移動局へと送信し、前記移動局からの前記逆拡散された前記移動局受信データを前記位置検出装置へと転送し、前記位置検出装置からの前記測位結果を前記移動局へと転送することを特徴とする基地局。
【請求項15】
衛星からの信号を受信するGPSアンテナと、
前記信号に基づいて擬似距離の情報を含むGPS受信データを生成するGPS受信機と、各基地局間においての非同期の基準クロックを有し、GPS受信データを前記位置検出装置に送信する基地局制御回路とを有し、
前記基地局制御回路は、移動局からの位置測位要求を前記位置検出装置に転送し、前記位置検出装置からの指令に基づいて測距信号を前記移動局へと送信し、前記移動局からの前記逆拡散された前記移動局受信データを前記位置検出装置へと転送し、前記位置検出装置からの前記測位結果を前記移動局へと転送することを特徴とする基地局。
【請求項16】
請求項14または15における基地局において、
前記基地局内のGPS受信機が、受信した前記GPS補正情報に基づいて補正を行うことを特徴とする基地局。
【請求項17】
請求項1または2における移動局の位置検出方法において、
前記位置測位手段が、移動体の前記測位結果を中心として4方を囲むような位置にある基地局を選び、前記選んだ基地局に対して、測距信号を送信するよう指令を出し、前記移動体の位置の再測位を行うステップとを有することを特徴とする移動局の位置検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−218868(P2007−218868A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−42895(P2006−42895)
【出願日】平成18年2月20日(2006.2.20)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】