説明

移動方向検知レーダシステム

【課題】本発明の目的は、物体の移動方向を確実に検知できるレーダシステムを提供することである。
【解決手段】レーダ送受信機と検出反射体とを備えた移動方向検知レーダシステムにおいて、前記レーダ送受信機は、前記レーダ送受信機と該レーダ送受信機のレーダビームの最大利得方向からオフセットした主ローブ範囲内の方向に設置された検出反射体との間を横切って移動する物体から反射したレーダ電波を受信したレベルが最大値を示す時刻を検知する手段と、前記検出反射体から反射したレーダ電波を受信したレベルが前記物体により遮断され最小値を示す時刻を検知する手段と、前記最大値を示す時刻と最小値を示す時刻の前後関係により前記物体の移動方向を判断する手段とを備えたことを特徴とする移動方向検知レーダシステムを用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーダシステムに関し、特に一方通行道路における逆方向進入車両検出と警報出力に用いて好適なレーダシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
道路等における通行車両の検知や交差点への侵入車両の検知に、ミリ波レーダの適用が考えられている。例えば踏み切り内への進入車両を検知するため、踏み切り内道路の両側にレーダと検出反射体を対向して設置し、レーダ信号の遮断により進入を検知するレーダがある(特許文献1参照)。
【0003】
また、交差点における車両の進入方向を検知するためドップラー周波数を利用するミリ波レーダがある(特許文献2参照)。ドップラー周波数による移動速度検知としては、従来からCWレーダまたは最も一般的なFM-CW(Frequency Modulated Continuous Wave )レーダが用いられる。
【0004】
前記FM-CWレーダにより対象物までの距離と移動方向を検知するには、反射してきた電波のドップラー効果を利用するため対象物の移動軸方向に向けてレーダを設置する。FM-CWレーダでは、三角波でFM変調して送信した信号と対象物からの反射波を受信した信号の周波数差であるビート信号を抽出し、FFT(Fast Fourier Transform)により周波数解析を行う。周波数解析は三角波によるFM変調の上昇区間と下降区間に対し行い、それぞれに対応した2つのビート周波数が得られ、これら両者の平均値により距離を決定し、両者の差から得られるドップラー周波数により速度を決定し、2つのビート周波数の上下関係により移動方向を決定する。
【特許文献1】特開2004−98984号公報
【特許文献2】特開平7―105500号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
先に説明した背景技術の最初の例では、レーダ送受信機の対向側に設置した検出反射体により反射されたレーダ電波が踏み切りの遮断機付近に進入した車両により遮蔽され、受信レベルが低下するのを検知して車両の進入を検知するが、進行方向は検知出来ない。従って、上記従来技術を適用しても、一方通行路の違反車両の警報システムとしては、逆方向に侵入してきた違反車両と、順方向に移動する正しい走行車両の区別が付かないという不都合がある。
【0006】
また、先に説明した背景技術の第2の例ではドップラー周波数値により車両の移動方向を検知する。FM−CWレーダは背景技術で説明したように、移動速度と方向の検知はビート信号の周波数解析によるドップラー周波数の検知により行うが、速度が小さいと測定精度の限界があり検知できない。すなわち、一方通行道路入り口において比較的低速で侵入してくる車両による微小なドップラー周波数を検知できない場合が発生する。この検知精度の限界はFM-CWレーダの設計パラメータにより決まり、実現可能なFM-CWミリ波レーダにおいては、検知できる速度精度は10数km/h程度であり、一方通行道路における侵入車両を入り口で確実に検知するには問題がある。
【0007】
また1台のレーダ送受信機と、道路を隔てた対向側に複数の検出反射体を設置したシステムにより、複数反射体によるレーダ電波の遮断の時間を検知し、遮断した移動物体の方向を計算する方法が考えられる。この方法による問題点を図1と図2により説明する。
【0008】
図1において、101はT字交差点、102は一方通行道路、103は通常道路、104はレーダ送受信機、105はレーダ送受信アンテナ、106a、106bは検出反射体、107は送受信レーダビーム、108は逆方向移動車両、109は順方向、110は逆方向をそれぞれ示す。
【0009】
T字交差点101には、従来技術によるレーダシステムが配置され、一方通行道路102は出口にて道路103につながっている。一方通行道路102の出口の片側には、送受信アンテナ105を備えたFM-CWレーダ送受信機104が設置され、対向側にはレーダ電波を反射する2個の検出 反射体106aと106bが設置される。送受信アンテナによるレーダビーム107は利得が最大となるビーム中心方向がほぼ2個の検出反射体106a、106bの中間点方向に向けられる。車両108は道路103から一方通行道路102に逆方向に侵入する車両を表す。また、Rはレーダ送受信機104から逆方向移動車両108までの距離、Rはレーダ送受信機104から検出反射体106a,106bまでの距離を表す。
【0010】
図2には、上記図1のレーダシステムによるレーダ送受信機104の受信レベルの変化を示す。
【0011】
図2において、201は車両からの受信レベル、202は受信レベル201のピークレベル、203は閾値、204は検出反射体からの受信レベル、205は204の最小値レベル、206は閾値をそれぞれ示す。
【0012】
T字交差点101において、車両108が道路103から一方通行道路103に逆方向に侵入すると、FM-CWレーダ104の距離検知機能とそのレベル検知により距離Rの受信レベル201が得られる。受信レベル201は、車両108がレーダのビーム107の範囲内に入ると次第に増加し、時刻tにて閾値203を超えビーム内に車両が入るとほぼ一定の幅の広いピーク値202を示し、車両108が通り過ぎると時刻tにて閾値203より小さくなる。検出反射体106a、106bに対しては、距離Rの受信レベル204が得られる。受信レベル204は、レーダ送受信機104と検出反射体106aもしくは106bとの間に障害物が無い時は、閾値206以上の一定値を示し、車両108がレーダのビーム107の範囲内に入ると急激に減少し、時刻tにて閾値206を下回りビーム内に車両が入るとほぼ一定の最小値レベル205を示し、車両108が2つの検出反射体の前方通過の終了に近い時刻tにて閾値206以上に回復する。距離Rの2個の検出反射体106a、106bは、レーダビーム幅内の間隔で配置されて両者からの反射波を分離出来ないので最小値205に2つの谷を示さない。
【0013】
検知反射体106a、106bをレーダビーム107の幅以上に離して設置すると、1台のレーダ送受信機104では、両方の検知反射体を同時にカバーできないのでシステムが成り立たない。
【0014】
以上により、図1に示したレーダシステムは、一方通行道路の出口を通過する車両の検知はできるが、移動方向の検知ができないため、一方通行道路の逆方向侵入車の検知は出来ないという不都合がある。
【0015】
従って、本発明の目的の1つは物体の移動方向を確実に検知できるレーダシステムを提供することである。
【0016】
尚、上記目的に限らず、後述する発明を実施するための最良の形態に示す各構成により導かれる結果であって、従来の技術によっては得られない効果を奏することも、本発明の他の目的の1つとして位置付けることができる。
【課題を解決するための手段】
【0017】
(1)本発明では、レーダ送受信機と検出反射体とを備えた移動方向検知レーダシステムにおいて、前記レーダ送受信機は、前記レーダ送受信機と該レーダ送受信機のレーダビームの最大利得方向からオフセットした主ローブ範囲内の方向に設置された検出反射体との間を横切って移動する物体から反射したレーダ電波を受信したレベルが最大値を示す時刻を検知する手段と、前記検出反射体から反射したレーダ電波を受信したレベルが前記物体により遮断され最小値を示す時刻を検知する手段と、前記最大値を示す時刻と最小値を示す時刻の前後関係により前記物体の移動方向を判断する手段とを備えたことを特徴とする移動方向検知レーダシステムを用いる。
【0018】
好ましくは、前記レーダ送受信機は、さらに、前記物体から反射したレーダ電波を受信したレベルに対し、該物体までの距離の4乗を乗じる補正と、至近距離においてレーダ散乱断面積が減少する効果を補正する手段と、前記物体の種類に固有のレーダ散乱断面積に対応したレーダ受信レベルにより設定した閾値を超えた前記受信したレベルの最大値を判断する手段と、前記2つの手段により、前記レーダ送受信機と前記検出反射体の間を横切って移動した物体は、前記設定した閾値に対応した物体に固有のレーダ散乱断面積より大きいレーダ散乱断面積を有する物体として種類識別する手段とを備えたことを特徴とする付記1記載の移動方向検知レーダシステムを用いる。
【0019】
好ましくは、前記移動方向を判断する手段は、前記最大値を示した時刻が前記最小値を示した時刻より早い場合は、前記物体がレーダビームの中心方向から検出反射体設置方向へ移動したと判断し、前記最大値を示した時刻が前記最小値を示した時刻より遅い場合は、検出反射体設置方向からレーダビームの中心方向へ移動したと判断する手段であることを特徴とする請求項1記載の移動方向検知レーダシステムを用いる。
【0020】
好ましくは、前記移動方向検知レーダシステムは、さらに、前記移動方向を判断する手段により判断された前記物体の移動方向が、所定の方向とは逆方向であると判断した場合に警報を発する手段を備えることを特徴とする請求項1記載の移動方向検知レーダシステムを用いる。
(2)本発明では、複数のアンテナを備えたレーダ送受信機と該複数のアンテナに対向する位置に設置された複数の検出反射体とを備えた移動方向検知レーダシステムにおいて、 前記レーダ送受信機は、送信用として水平偏波アンテナと垂直偏波アンテナとの2台と、受信用として水平または垂直の同一偏波アンテナ2台を備え、前記複数の検出反射体は、入力偏波と同一偏波で反射する第1の検出反射体と入力偏波とは異なる偏波で反射する第2の検出反射体とを備え、前記レーダ送受信機は、所定の周期で前記送信用の水平偏波アンテナと垂直偏波アンテナとを切り替える手段と、前記所定の周期で前記受信用の2台の同一偏波アンテナを切り替える手段と、前記第1の検出反射体から反射されたレーダ電波を受信したレベルが、前記レーダ送受信機と前記第1の検出反射体との間を横切って移動する物体により遮断を開始した時刻と遮断されたレベルが回復した時刻とを検知する手段と、
前記第2の検出反射体から反射されたレーダ電波を受信したレベルが、前記物体により遮断を開始した時刻と遮断されたレベルが回復した時刻とを検知する手段と、前記各時刻の前後関係により前記物体の移動方向を判断する手段とを備えたことを特徴とする移動方向検知レーダシステムを用いる。
【0021】
好ましくは、前記送信用水平偏波アンテナと垂直偏波アンテナとを切り替える所定の周期は、前記物体の前端の進行により、前記第1の検出反射体から反射したレーダ電波を受信したレベルが遮断開始する時刻から前記第2の検出反射体から反射したレーダ電波を受信したレベルが遮断開始する時刻までの第1の時間区間と、前記物体の後端の進行により、前記第1の検出反射体から反射したレーダ電波の遮断されたレベルが回復する時刻から前記第2の検出反射体から反射したレーダ電波の遮断されたレベルが回復する時刻までの第2の時間区間と、前記物体の進行により前記第1と第2の検出反射体から反射したレーダ電波の受信レベルの遮断区間が重なる第3の時間区間の、3つの時間区間の中で最も短い区間内に切り替え周期が2以上あることを特徴とする請求項2記載の移動方向検知レーダシステムを用いる。
【0022】
好ましくは、前記受信したレベルが遮断を開始した時刻と遮断されたレベルが回復した時刻は、前記レーダ送受信機から前記検出反射体までの距離と、レーダ散乱断面積によって決まる受信レベルより小さい所定の値に設定した閾値を横切った時刻により決定することを特徴とする請求項2記載の移動方向検知レーダシステムを用いる。
(3)また、前記移動方向検知レーダシステムは、前記レーダ送受信機の前記送信用水平偏波アンテナと前記受信用同一偏波アンテナのうちの1台との中心と、前記送信用垂直偏波アンテナと前記受信用同一偏波アンテナのうちの他の1台との中心との中心間距離、および前記第1の検出反射体と前記第2の検出反射体との設置間隔を、検知すべきでない物体の進行方向長以上であって、検知すべき物体の進行方向長以下とし、さらに、前記第1の検出反射体から反射したレーダ電波が前記物体により遮断された時間区間と前記第2の検出反射体から反射したレーダ電波が前記物体により遮断された時間区間とが重なった時は、前記物体を検知すべき物体であると判断する手段を備えることを特徴とする請求項2記載の移動方向検知レーダシステムを用いる。
【0023】
好ましくは、前記移動方向を判断する手段は、前記第1の検出反射体から反射したレーダ電波が前記物体により遮断された時間区間と前記第2の検出反射体から反射したレーダ電波が前記物体により遮断された時間区間が重なった時に、遮断を開始した時刻が早い方の検出反射体から遮断を開始した時刻が遅い方の検出反射体の方向に前記物体が移動したと判断する手段であること特徴とする請求項2記載の移動方向検知レーダシステムを用いる。
【0024】
好ましくは、前記移動方向検知レーダシステムは、さらに、前記移動方向を判断する手段により判断された前記物体の移動方向が、所定の方向とは逆方向であると判断した場合に警報を発する手段を備えることを特徴とする請求項2記載の移動方向検知レーダシステムを用いる。
(4)本発明では、レーダ送受信機とそれに対向する位置に設置された検出反射体とからなる組を複数個と、移動物体判定装置とを備えた移動方向検知レーダシステムにおいて、 前記レーダ送受信機のそれぞれは、該レーダ送受信機に対向して設置された前記検出反射体から反射したレーダ電波を受信したレベルが、該レーダ送受信機と該検出反射体との間を横切って移動する物体により遮断を開始した時刻と遮断されたレベルが回復した時刻とを検知する手段を備え、前記移動物体判定装置は、前記複数のレーダ送受信機がそれぞれに検知して出力する前記遮断開始の時刻と前記遮断終了の時刻との前後関係により前記物体の移動方向を判断する手段を備えたことを特徴とする移動方向検知レーダシステムを用いる。
【0025】
好ましくは、前記移動方向検知レーダシステムにおいて、前記各レーダ送受信機のアンテナは、隣接したレーダ送受信機のアンテナに対し互いに異なった偏波を使用することを特徴とする請求項4記載の移動方向検知レーダシステムを用いる。
【0026】
好ましくは、前記受信したレベルが遮断を開始した時刻と遮断されたレベルが回復した時刻とは、前記レーダ送受信機から対向する前記検出反射体までの距離と、レーダ散乱断面積によって決まる受信レベルより小さい所定の値に設定した閾値を横切った時刻により決定することを特徴とする請求項4記載の移動方向検知レーダシステムを用いる。
【0027】
好ましくは、前記移動方向検知レーダシステムは、前記複数のレーダ送受信機間の設置間隔および前記複数検出反射体間の設置間隔を、検知すべきでない物体の進行方向長以上であって、検知すべき物体の進行方向長以下とし、さらに、前記複数のレーダ送受信機のうち隣り合ったレーダ送受信機において、該各レーダ送受信機に対向して設置された前記検出反射体から反射したレーダ電波が遮断された時間区間が、互いに重なった時は前記物体を検知すべき物体であると判断する手段を備えることを特徴とする請求項4記載の移動方向検知レーダシステムを用いる。
【0028】
好ましくは、前記移動方向を判断する手段は、前記各レーダ送受信機において対向して設置された前記検出反射体から反射したレーダ電波が遮断された区間が互いに重なった時に、遮断を開始した時刻が早い方の前記検出反射体から遮断を開始した時刻が遅い方の前記検出反射体の方向に前記物体が移動したと判断する手段であることを特徴とする請求項4記載の移動方向検知レーダシステムを用いる。
【0029】
好ましくは、前記移動方向検知レーダシステムは、さらに、前記移動方向を判断する手段により判断された前記物体の移動方向が、所定の方向とは逆方向であると判断した場合に警報を発する手段を備えることを特徴とする請求項4記載の移動方向検知レーダシステムを用いる。
(5)本発明では、レーダ送受信機とそれに対向する位置に設置された検出反射体とからなる組を複数個と、移動物体判定装置とを備えた移動方向検知レーダシステムにおいて、
前記各レーダ送受信機のそれぞれは、該レーダ送受信機に対向して設置された前記検出反射体から反射したレーダ電波を受信したレベルが、該レーダ送受信機と該検出反射体との間を横切って移動する物体により遮断を開始した時刻と遮断されたレベルが回復した時刻とを検知する手段と、前記物体から反射したレーダ電波の受信を開始する時刻と受信を終了する時刻とを検知する手段とを備え前記移動物体判定装置は、前記複数のレーダ送受信機がそれぞれに検知して出力する前記の遮断開始時刻、遮断終了時刻および受信開始時刻、受信終了時刻の各時刻の前後関係により前記物体の移動方向を判断する手段を備えたことを特徴とする移動方向検知レーダシステムを用いる。
【0030】
好ましくは、前記レーダ送受信機は、さらに、前記物体から反射したレーダ電波を受信したレベルに対し、移動物体までの距離の4乗を乗じる補正と、極距離においてレーダ散乱断面積が減少する効果を補正する手段と、前記物体の種類に固有のレーダ散乱断面積に対応したレーダ受信レベルにより設定した閾値を超えた時刻を受信開始時刻とし、該閾値を下まわった時刻を受信終了時刻として決定する手段と、を備えたことを特徴とする請求項5記載の移動方向検知レーダシステムを用いる。
【0031】
好ましくは、前記レーダ送受信機は、前記物体から反射したレーダ電波の受信開始時刻を、前記の補正を受けた受信レベルが前記閾値を超えている時間区間と、前記検出反射体から反射したレーダ電波の受信レベルが前記物体により遮断されている時間区間とが重なった時間区間の最初の時刻として決定する手段と、前記物体から反射したレーダ電波の受信終了時刻を、前記の補正を受けた受信レベルが前記閾値を超えている時間区間と、前記検出反射体から反射したレーダ電波の受信レベルが前記物体により遮断されている時間区間とが重なった時間区間の最後の時刻として決定する手段と、を備えたことを特徴とする請求項5記載の移動方向検知レーダシステムを用いる。
【0032】
好ましくは、前記移動方向検知レーダシステムは、前記複数のレーダ送受信機のうち隣り合うレーダ送受信機間の設置間隔および該隣り合うレーダ送受信機のそれぞれに対向して設置されている前記検出反射体間の設置間隔を、検知すべきでない物体の進行方向長以上であって、検知すべき物体の進行方向長以下とし、さらに、前記複数のレーダ送受信機のうち隣り合ったレーダ送受信機において、該各レーダ送受信機に対向して設置された前記検出反射体から反射したレーダ電波が遮断された時間区間が、互いに重なった時は前記物体を検知すべき物体であると判断する手段を備えることを特徴とする請求項5記載の移動方向検知レーダシステムを用いる。
【0033】
好ましくは、前記移動方向を判断する手段は、前記各レーダ送受信機において対向して設置された前記検出反射体から反射したレーダ電波が遮断された区間が互いに重なった時に、遮断を開始した時刻が早い方の前記検出反射体から遮断を開始した時刻が遅い方の前記検出反射体の方向に前記物体が移動したと判断する手段であることを特徴とする請求項5記載の移動方向検知レーダシステムを用いる。
【0034】
好ましくは、前記移動方向検知レーダシステムは、さらに、前記移動方向を判断する手段により判断された前記物体の移動方向が、所定の方向とは逆方向であると判断した場合に警報を発する手段を備えることを特徴とする請求項5記載の移動方向検知レーダシステムを用いる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、道路を通行する人と車両を判別し、また車両の移動方向を検知することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、図面を参照することにより、本発明の実施の形態について説明する。
【実施例1】
【0037】
この実施例においては、1台のレーダ送受信機と1台の検出反射体により、一方通行道路への逆方向移動車両を検出し警報を出し、通行人は車両と識別し警報は出さないこととする。
・「レーダシステムの構成」
本実施例における移動方向検知レーダシステムの構成と各部の配置を図3に示す。
【0038】
図3において、301はT字交差点、302は一方通行道路、303は通常道路、304はレーダ送受信機、305はレーダ送受信アンテナ、306は警報機、307は送受信レーダビーム、308は検出反射体、309は逆方向移動車両、310は順方向移動車両、311は順方向、312は逆方向、313はC方向、314はD方向をそれぞれ示す。また、Rはレーダ送受信機304から検出反射体308までの距離、RX1はレーダ送受信機304から車両310までの距離、RX2はレーダ送受信機304から車両309までの距離をそれぞれ表す。
【0039】
T字交差点301には本実施例によるレーダシステムが配置され、一方通行道路302は出口にて道路303につながっている。一方通行道路302の出口の片側には、レーダ送受信機304が送受信アンテナ305を備えて設置され、対向側にはレーダ電波を反射する検出反射体308が設置される。送受信アンテナのビーム307は利得が最大となるビーム中心が、検出反射体308からオフセットしたC方向313に向けられ、検出反射体308はC方向313からオフセットしたD方向314に設置される。警報機306は、レーダ送受信機304により、通過中の車両が一方方向を逆方向に侵入してきた、すなわち、所定の方向とは逆の方向に移動していると判断した場合に、警笛と表示を出力することにより車両309の運転手に警報を与える。
【0040】
レーダ送受信機304はFM-CWレーダであり、ビーム307内の対象物からの反射信号を解析することにより対象物までの距離を測定することで、検出反射体308からの反射レベルなのか、車両309または車両310による反射レベルかを識別する。すなわち、レーダ送受信機304において、距離Rと解析されたレベルは検出反射体308からの反射レベル、距離RX2と解析されたレベルは車両309からの反射レベル、距離RX1と解析されたレベルは車両310による反射レベルと識別される。
・「移動方向の検知方法」
図4に一方通行道路302を車両310が順方向に移動したとき、レーダ送受信機304において受信する反射波レベルの時間変化を示す。
【0041】
図4において、401は車両からの受信レベル、402は受信レベル401のピークレベル、403は閾値、404は検出反射体からの受信レベル、405は404の最小値レベル、406は閾値をそれぞれ示す。
【0042】
T字交差点301において、車両310が一方通行道路302を順方向すなわち所定の方向に移動すると、FM-CWレーダ304の距離検知機能とそのレベル検知により距離RX1の受信レベル401が得られる。車両310がC方向に来た時刻tにおいレーダビームの最大利得方向となるのでピーク値402を示す。車両310がさらに移動してD方向に来た時刻tにおいては、車両310からの反射波受信レベルはレーダビームの最大利得から減少した値となる。一方検出反射体からの反射レベルを示す距離R0からの反射波受信レベル404は、時刻tにおいて車両310により遮られ最小値405を示す。以上の様に時刻tがtより前の場合は、レーダ送受信機304は車両310の移動方向は順方向311と判断する。
【0043】
図5に一方通行道路302を車両309が逆方向に侵入したとき、レーダ送受信機304において受信する反射波レベルの時間変化を示す。
【0044】
図5において、501は車両309からの受信レベル、502は受信レベル501のピークレベル、503は閾値、504は検出反射体からの受信レベル、505は504の最小値レベル、506は閾値をそれぞれ示す。
【0045】
車両309が一方通行道路302に侵入すると、FM-CWレーダ304の距離検知機能とそのレベル検知により距離RX2の受信レベル501が得られる。車両309による反射波受信レベル501はレーダビームの範囲内に入るに従い増加し、車両309がC方向に来るとレーダビームの最大利得方向となるので時刻tにおいてピーク値502を示す。一方、検出反射体308からの反射レベルを示す距離R0からの反射波受信レベル504は、時刻tにおいて車両309により遮られ最小値506を示す。この場合は検出反射体からの反射波受信レベルの最小ピーク時刻tが通過中の車両による反射波受信レベルの最大ピーク時刻tより小さくなり、車両309の移動方向は逆方向312と判断する。
【0046】
・「車両と人の識別方法」
また一方通行路の逆方向への侵入禁止は、車両に適用されるものであって通行人には適用されないので、本発明のレーダは車両と人の識別を行う。
【0047】
レーダ電波の反射率は、レーダ周波数、反射物体の大きさや材質で異なりレーダ散乱断面積 (以下RCS)で定量化されている。本実施例におけるミリ波では、乗用車のRCSは人に比べ約20dB大きい値を持っている。また、レーダにおける受信レベルは距離の4乗に反比例するので、レーダと反射物体間の距離が離れるほど、同じ車両でもレーダの受信レベルは小さくなる。これらの関係は、レーダ送信機の出力レベルをPt、送受信のアンテナ利得をGt、Gr、電波の波長をλ、RCSをσ、距離をRとすると、レーダ方程式として式(1)で表される。
【0048】
【数1】

【0049】
受信レベルPrを用いて反射物体の種類を見分けるため、(1)式で表されるレーダ送受信機の受信レベルを距離Rにより補正する。そのため、FM-CWレーダで検知された反射物体までの距離Rを用い、Rを受信レベルPrに掛け算すれば、(1)式によるPrは補正された値となり、距離に依存しなく反射物体のRCSに比例した値となる。例えば距離R=1mを基準とすると距離R=3mの反射物体の受信電力の補正値は、3=81倍となりdB値では19dB増加の補正を行う。
【0050】
また数mの至近距離の反射物体からの受信電力は、反射物体は同じでもRCSの値が変化するので、検知距離による受信電力の補正は、上記のRを掛け算するだけでなく、RCSを距離により変化させる補正を併用するなど、(1)式による理論値のPrと実験により求めたデータとの差のデータによる補正を上記Rの掛け算の補正に加えて用いてもよい。
【0051】
上記による補正を行った結果の受信レベルが図5における501であり、車両に固有の受信レベルのピーク値を示す。閾値503は通行人による補正された受信レベルより高く、車両による補正された受信レベルより低く設定する。これにより車両の場合は補正された受信レベルは閾値503を超えるが、通行人の場合は補正された受信レベルは閾値503より小さくなり、車両だけを移動物体として検知できるようになる。
【0052】
上記の方法により本発明の移動方向検知レーダシステムは、レーダ送受信機304が一方通行路の逆方向へ侵入する車両だけを検知し警報機306に通知する。警報機306は逆方向移動車両309の運転手に警報と電光掲示により警告する。
【実施例2】
【0053】
実施例2は、レーダ送受信機の構成および検出反射体の構成が実施例1と異なっている。この実施例においては、水平偏波と垂直偏波の送信アンテナの切り替えと、水平偏波の受信アンテナ2台の切り替えとを行う1台のレーダ送受信機と、入力した電波と同じ偏波で反射する検出反射体と、入力した電波を異なった偏波に変えて反射する検出反射体とからなる検出反射体の組を用い、一方通行道路への逆方向移動車両を検出して警報を出し、さらに通行人に対しては車両と識別し警報は出さない例を述べる。
【0054】
・「レーダシステムの構成」
本実施例における移動方向検知レーダシステムの構成と各部の配置を図6に示す。
【0055】
図6において、601はT字交差点全体、602は一方通行道路、603は通常道路、604はレーダ送受信機、605a、605b、605c、605dはレーダアンテナ、606は警報機、607および608は電波の伝播路、609は逆方向移動車両、610aおよび610bは検出反射体、611は順方向、612は逆方向をそれぞれ示す。
【0056】
一方通行道路602は出口にて道路603につながっている。一方通行道路602の出口の片側には、レーダ送受信機604が送信アンテナとして水平偏波の605a、垂直偏波の605cおよび受信アンテナとして2台の水平偏波の605b、605dを備えて設置され、対向側には入力されたレーダ電波を異偏波で反射する検出反射体610aと同偏波で反射する検出反射体610bが設置される。607は水平偏波が伝播するゾーン、608は垂直偏波が入射し水平偏波で反射して伝播するゾーンを示す。車両609は道路303から一方通行道路602に逆方向に進入する車両を表す。一方通行道路602の順進行方向は611で示され、逆進行方向は612で示される。警報器606は車両609が逆方向に進入したとレーダ送受信機604により判断された時、警笛と表示にて車両609の運転手に警報を与える。
【0057】
図7は、本実施例のレーダ送受信部における複数アンテナの切り替えの構成を詳細に示した図である。図7において、図6と同じものは同一の番号を付してある。
【0058】
図7において、701は制御信号、702はレーダ送信波、703a、703bはスイッチ、704はレーダ受信波をそれぞれ示す。
【0059】
2つの送信アンテナ605a、605cは、切り替えスイッチ703aにより交互にスイッチされレーダの送信波702を送信する。2つの受信アンテナ605b、605dは、切り替えスイッチ703bにより交互にスイッチされ、入力したレーダ受信波を選択してレーダ受信波704を得る。
【0060】
スイッチ703aは制御信号701により動作し、制御信号のパルスが1のとき送信波702をアンテナ605aに接続し、0のときアンテナ605cに接続する。同時にスイッチ703bは制御信号701により動作し、制御信号のパルスが1のとき受信波704をアンテナ605bから選択し、0のときアンテナ605dから選択する。
【0061】
607は電波の伝播路を示し、送信アンテナ605aから送信された水平偏波の電波が検出反射体610bにより水平偏波で反射し、受信アンテナ605bで受信されるまでの経路を示す。608はもう一方の電波の伝播路を示し、送信アンテナ605cから送信された垂直偏波の電波が検出反射体610aにより水平偏波に変換されて反射し、受信アンテナ605dで受信されるまでの経路を示す。
【0062】
本実施例において、レーダ送受信機604は、パルスが1の時は水平偏波の電波を送信し、検出反射体610bは入力した該水平偏波の電波を入力と同じ水平偏波で反射し、検出反射体610aは入力した該水平偏波の電波を垂直偏波で反射し、レーダ送受信機604の2つの受信アンテナは共に水平偏波のみを受信するので、レーダ送受信機604はパルスの1区間内は検出反射体610bからの反射電波のみを受信する。他方レーダ送受信機604は、パルスが0の時は垂直偏波の電波を送信し、検出反射体610bは入力した該垂直偏波の電波を入力と同じ垂直水平偏波で反射し、検出反射体610aは入力した該垂直偏波の電波を水平偏波で反射し、レーダ送受信機604の2つの受信アンテナは共に水平偏波のみを受信するので、レーダ送受信機604はパルスの0区間内は検出反射体610aからの反射電波のみを受信する。
【0063】
上記の動作により、検出反射体の設置間隔dが、レーダの送受信アンテナ605a、605b、605c、605dのビーム幅内に入るほど近くても、2つの検出反射体610aと610bのどちらから反射されて受信したかを識別することが出来る。
【0064】
従来技術の様に同じ偏波を使用した場合は、レーダの送受信アンテナ605a、605b、605c、605dのビーム幅内に入るほど近いと、2つの検出反射体610aと610bの両方から同じレベルで受信するので、どちらの検出反射体からの反射レベルかを識別することが出来ない。
【0065】
また、本実施例では、受信アンテナとして2台の水平偏波を用いるが、受信アンテナとして2台の垂直偏波を用いても(図示せず)、全く同じ効果が得られる。すなわち、送受信機604において、パルスが1の区間と0の区間に受信する偏波が逆になるだけであって、パルスが1の区間には検出反射体610aからの反射電波のみを受信し、パルスが0の区間には検出反射体610bからの反射電波のみを受信するので、2つの検出反射体610aと610bのどちらから反射されて受信したかを識別することが出来る。
【0066】
前記に説明したように、異なった偏波を用いることにより、2つの検出反射体間の距離dを短く設置出来るので、後に説明する「車と人の識別方法」において、幅の小さい人の識別が可能となる。
・「移動方向の検知方法」
図8は、本実施例により車両の移動方向を検知するための偏波切り替えの制御信号パルス波形と各偏波による受信レベル波形の変化、および各波形の時間的関係を示す。
【0067】
図8において、801は制御信号パルス、802は伝播路608による受信レベル、803は伝播路607による受信レベル、804および805は受信レベルの閾値をそれぞれ示す。
【0068】
制御信号パルス801が1の時、レーダ送信波は送信アンテナ605aに接続され、水平偏波にて送信される。送信された水平偏波は、一方通行道路の対向側に設置された検出反射体610bにより、同じ水平偏波で反射され伝播路607を通りレーダの水平偏波受信アンテナ605bで受信される。伝播路607に車両などの障害物がなければこの受信レベルは、閾値805以上となる。制御信号パルスは周期Tsにて繰り返され、障害物が現れたパルスの時刻tにて電波遮断されるので受信レベルが閾値805以下となり、図8の時刻tから時刻tの時間区間T01にて、伝播路607が障害物により遮断されたことが検知される。
【0069】
また、制御信号パルス801が0の時、レーダ送信波は送信アンテナ605cに接続され、垂直偏波にて送信される。送信された垂直偏波は、一方通行道路の対向側に設置された検出反射体610aにより、異なった偏波の水平偏波で反射され伝播路608を通りレーダの水平偏波受信アンテナ605dで受信される。伝播路608に車両などの障害物がなければこの受信レベルは、閾値804以上となる。制御信号パルスは周期Tsにて繰り返され、障害物が現れたパルスの時刻tにて電波遮断されるので受信レベルが閾値804以下となり、図8の時刻tから時刻tの区間T02にて、伝播路608が障害物により遮断されたことが検知される。
【0070】
この場合、制御信号パルスが1の時の受信レベルの遮断開始時刻tは、0の時の受信レベルの遮断開始時刻tより前となるので、障害物の移動方向は検出反射体610bから検出反射体610aへ向かう方向、すなわち一方通行道路の逆方向612と判断する。
【0071】
車両などの障害物が、一方通行道路を順方向611に移動した時は、時刻tが時刻tより後となる。検出の方法は、上記と同様であるので説明は省略する。
【0072】
以上により、本発明のレーダ送受信機は受信レベルの遮断開始時刻tとtの前後関係により、一方通行道路の移動物体の移動方向を検知できる。
【0073】
・「車両と人の識別方法」
本実施例においては、図7におけるアンテナ605a、605bの中心と、アンテナ605c、605dの中心間距離d、および検出反射体610aと610bの設置間隔dを、人の進行方向長以上とし、検知対象の車両長L以下とする。
【0074】
一方通行道路602を通行する移動物体による遮断時刻の間隔が、レーダ送受信機604に近い側でも、検出反射体610a、610bに近い側でも同じとなる様に、アンテナ605c、605dの中心間距離と、検出反射体610aと610bの設置間隔は同じdとする。
【0075】
例えばd=0.5mとし、車両長3.7mの小型乗用車と横幅0.5m以下の通行人の識別をすることを考える。なお検知しない対象物と検知すべき対象車両の種類により、設置間隔dは適宜設定することが出来る。
【0076】
図8は、逆方向侵入車両609の車両長Lが検出反射体610aと610bの設置間隔dより長い場合を示している。この場合には、車両609の移動方向から見て後端が伝播路607を通り過ぎるより前に、車両609の前端が伝播路608を通過し始めることになるので、図8における時刻t〜tの関係はt<t<t<tとなり、伝播路607の遮断区間T01と伝播路608の遮断区間T02はt〜tの時刻で重なる。
【0077】
一方通行道路への逆方向への侵入が人の場合は、図7における2つの検出反射体の間隔dが人体の幅より広いので、まず伝播路607のレーダ電波の遮断が完了した後に、伝播路608のレーダ電波の遮断が発生する。すなわち、図8の各波形の時刻t〜tの関係はt<t<t<tとなり、遮断区間T01とT02は重ならない。
【0078】
従って、時間区間T01とT02とが重なる場合には、例えば車両など距離dよりも長い物体と、また時間区間T01とT02とが重ならない場合には、例えば人間など距離dよりも短い物体が移動していると判断することができる。
【0079】
また、車両が電波伝搬路607に入る時刻tと、電波伝搬路608に入るまでの時刻tは、パルス信号の半周期ごとにしか判断できないので、検知時刻の前後関係を間違わないためには、t−tの時間長にパルス1の区間Ts/2全体が必ず1個以上入る必要がある。このためには、t−tの時間長にパルス周期Tsが2個以上なくてはならない。この条件は、パルスの周期をTs、検出反射体610aと610bの設置間隔をd、車両の速度をvとすると(2)式で表される。
【0080】
【数2】

【0081】
さらに、遮断区間T01と遮断区間T02が重なるt−tの時間長に、パルス1の区間Ts/2全体が必ず1個以上入る必要がある。このためには、t−tの時間長にパルス周期Tsが2個以上なくてはならない。この条件は(3)式で表される。
【0082】
【数3】

【0083】
例えば、アンテナの組605a、605bとアンテナの組605c、605dの中心距離dおよび、検出反射体610aと610bの設置間隔dを、車両長L=3.7mの小型乗用車より短く、人の進行方向長より長い間隔d=0.5mとすると、車両の最大速度v=80km/s の場合(2)式より、Ts≦0.01sec となる。また(3)式より、Ts≦0.07secとなり、この場合Ts≦0.01sec により両方の条件が満たされる。従って、パルス繰り返し周波数fsとしては、fs≧100Hzとなる。
【0084】
パルス繰り返し周期Tsは上記の数値に限らず、検知が必要な車両長の最短値L、車両速度の最大値v、Lより短く人の進行方向長より長い、アンテナ間距離および検出反射体間の設置間隔dを用い、(2)式、(3)式により設定することが出来る。
【0085】
以上で説明したように、2つの受信レベル802、803が閾値以下となる区間の重なりの有無により、移動物体が車両か人かを識別することが出来る。
【0086】
以上の方法により一方通行路の逆方向へ侵入する車両だけを検知し警報機606に警報発信を指令する。警報機606は進入車両609の運転手に警報と電光掲示により警告する。
【実施例3】
【0087】
実施例3は、レーダ送受信機の構成および検出反射体の構成が実施例1および2と異なっている。実施例2では、移動物体の大きさを識別するために、1台のレーダ送受信機に複数の送信用アンテナ及び複数の受信用アンテナを備える構成を述べたが、実施例3では、移動物体の大きさを識別するために、実施例1と同様の1台の送受信アンテナを備えたレーダ送受信機を複数台設置する構成を備える。この実施例においては、2台のレーダ送受信機とそれぞれのレーダ送受信機に対向した2台の検出反射体によりレーダシステムを構成し、2台のレーダ受信機の受信レベルの遮断時刻の前後関係により通行物体の方向と大きさを判断し、一方通行道路への逆方向移動車両を検出し警報を出し、さらに通行人に対しては車両と識別し警報は出さないこととする。
【0088】
・「レーダシステムの構成」
本実施例における移動方向検知レーダシステムの構成と各部の配置を図9に示す。
【0089】
図9において、901はT字交差点全体、902は一方通行道路、903は通常道路、904a、904bはレーダ送受信機、905a、905bはレーダ送受信アンテナ、906は移動物体判定装置、907は警報機、908および909は電波の伝播路、910は車両、911は通行人、912aおよび912bは検出反射体、913は順方向、914は逆方向をそれぞれ示す。
【0090】
一方通行道路902は出口にて道路903につながっている。一方通行道路902の出口の片側には、レーダ送受信機904aおよび904bが所定の間隔dで設置され、送受信アンテナとしてそれぞれ905a、905bを備えている。道路の対向側には各レーダ送受信機のレーダ電波を反射する検出反射体912aおよび912bが所定の間隔dで設置される。
【0091】
2つの電波伝搬路908と909は、レーダ送受信アンテナ905aと905bのビーム特性および検出反射体912aと912bの反射特性により形成され、互いの伝播路が重なり干渉しないように、検出反射体912aと912bの設置間隔dは一定距離以上離す必要がある。設置間隔dを短くして干渉を無くするために、隣り合うレーダ送受信機904aおよび904bは異なった偏波を用いてもよい。例えば、レーダ送受信アンテナ905aと検出反射体912aは水平偏波を用い、レーダ送受信アンテナ905bと検出反射体912bは垂直偏波を用いることもできる。車両910は一方通行道路902を逆方向914に侵入する車両を示す。
【0092】
レーダ送受信機904aと904bの設置間隔dおよび、検出反射体912aと912bの設置間隔dは、車両長Lより短く、通行人の進行方向長Wより長く設定される。
・「移動方向の検知方法」
図10に一方通行道路902を車両910が逆方向914に侵入したとき、レーダ送受信機904aおよび904bが受信する反射波レベルの時間変化を示す。
【0093】
図10において、1001はレーダ送受信機904aの受信レベル、1002は受信レベル1001の最小値レベル、1003は閾値、1004は送受信機904bの受信レベル、1005は1004の最小値レベル、1006は閾値をそれぞれ示す。
【0094】
FM-CWレーダ904aおよび904bの距離検知機能とそのレベル検知により、各レーダから対向した検出反射体までの距離R0の受信レベル1001および1004が得られる。レーダ送受信機と検出反射体の間、すなわち電波伝搬路908と電波伝搬路909に障害物が無い時は、閾値1003および1006以上の一定値を示す。
【0095】
車両910が一方通行道路902に侵入し時刻tにおいて電波の伝播路908を遮ると、レーダ904aの受信レベルは時刻tにて閾値1003以下となり最小レベル1002を示す。車両910が時刻tにおいて電波の伝播路908を通過終了すると、904aの受信レベルは時刻tにて閾値1003以上となり一定値に回復する。
【0096】
車両910が時刻tにおいて電波の伝播路909を遮ると、レーダ904aの受信レベルは時刻tにて閾値1006以下となり最小レベル1005を示す。車両910が時刻tにおいて電波の伝播路909を通過終了すると、904bの受信レベルは時刻tにて閾値1006以上となり一定値に回復する。
【0097】
一方、図9には示さないが車両などの障害物が一方通行道路を順方向913に移動した時は、時刻tが時刻tより後となる。時刻検出の方法は上記と同様であるので説明は省略する。
【0098】
以上により、レーダ送受信機904aが得たレーダ受信レベルの遮断開始時刻tと、レーダ送受信機904bが得たtの関係がt<tの時、両レーダ送受信機から時刻tの及びtの情報を得た移動物体判定装置906は、一方通行道路の移動物体の移動方向は逆方向914と判断する。
【0099】
・「車両と人の識別方法」
図10は、レーダ送受信機904aと904bの設置間隔dおよび、検出反射体912aと912bの設置間隔dが、通行人の進行方向長Wより長く、車両長Lより短い場合であって、例えば車両910などのように設置間隔dよりも長い通行物体が逆方向914へ移動している場合のレベル変化の時間関係を示している。この場合には、t<t<t<tとなり、レーダ送受信機904aと904bの受信レベルの遮断区間が重なる区間Tが存在する。
【0100】
一方、例えば通行人911などのように通行物体がが設置間隔dよりも短い場合、実施例2で説明したのと同様に図10における受信レベル1001と1004が閾値以下となる区間が重なることは無く、各時刻の関係はt<t<t<tとなり、レーダ送受信機904aと904bの受信レベルの遮断区間が重なる区間Tが存在しない(図示せず)。
【0101】
上記のように、2つの受信レベル1001、1004が同時に閾値以下となる区間の重なりTの有無を、移動物体判定装置906は2台のレーダ送受信機904aおよび904bからの時刻情報t、t、t、tにより判断し、移動物体が例えば車両などの設置間隔dよりも長い物体か人などのdよりも短い物体かを識別する。
【0102】
以上の方法により、本発明の移動方向検知レーダシステムは、移動物体の移動方向を検出するのみではなく、物体の種類(大きさ)も識別することが可能になり、一方通行路の逆方向へ侵入する車両だけを検知し、移動物体判定装置906は警報機907に警報発信を指令することが可能になる。警報機907は進入車両910の運転手に警報と電光掲示により警告する。
【実施例4】
【0103】
この実施例においては、2台のレーダ送受信機とそれぞれのレーダ送受信機に対向した2組の検出反射体によりレーダシステムを構成し、2台のレーダ受信機の受信レベルの形状により通行物体の方向と大きさを判断し、一方通行道路への逆方向移動車両を検出し警報を出し、通行人は車両と識別し警報は出さないこととする。
【0104】
実施例4は、実施例3と同様に、移動物体の大きさを識別するために、実施例1と同様の1台の送受信アンテナを備えたレーダ送受信機を複数台設置する構成を備えるが、一方通行道路の通行人が多く、車両と重なってレーダビーム内を通過するときの検知に好適な識別方法を提供するものである。
【0105】
・「レーダシステムの構成」
本実施例における移動方向検知レーダシステムの構成と各部の配置図を図11に示す。
【0106】
図11において、図9と異なるのは1101aおよび1101bで示された通行人群であり、その他の図9と同じものは同一の番号を付してある。
【0107】
・「車両と人の識別方法」
実施例1で説明した如く、レーダ電波の反射率は、レーダ周波数、反射物体の大きさや材質で異なりレーダ散乱断面積 (RCS)で定量化されている。本実施例におけるよるミリ波では、乗用車のRCSは人に比べ約20dB大きい値を持っている。また、レーダでの受信レベルは距離の4乗に反比例するので、レーダと反射物体間の距離が離れるほど、同じ車両でもレーダの受信レベルは小さくなる。これらの関係は、レーダ送信機の出力レベル、送受信のアンテナ利得、電波の波長、RCS、距離Rにより実施例1で説明したレーダ方程式(1)で表わされる。
【0108】
実施例1で説明したように、レーダ送受信機から距離R離れた反射物体からの受信レベルを距離Rごとに補正することにより、反射物体の種類により固有のレベル値に変換することが出来た。この補正された受信レベルを図12に示す。
【0109】
図12において、1201は検出反射体912aから反射されレーダ904aで受信したレベル、1202は道路902を通行する移動物体により反射され904aで受信したレベル、1203は1202に対する閾値、1204は1201に対する閾値をそれぞれ示し、また1205は検出反射体912bから反射されレーダ904bで受信したレベル、1206は道路902を通行する移動物体により反射され904bで受信したレベル、1207は1206に対する閾値、1208は1205に対する閾値をそれぞれ示す。
【0110】
検出反射体912aおよび912bから反射されたレベルは、FM-CWレーダ904aの距離検知機能とそのレベル検知機能により距離Rからのレベルとして検知され、道路内を移動した物体による反射されたレベルは、距離Rx1、Rx2からのレベルとして検知され両者が識別される。
【0111】
物体から反射受信レベルPrは、実施例1で説明した様に、レーダ周波数、反射物体の大きさや材質で異なるレーダ散乱断面積 (RCS)により、式(1)で表わされた。本実施例におけるミリ波では、乗用車のRCSは人に比べ約20dB大きい値を持っている。
【0112】
受信レベルPrを用いて反射物体の種類を見分けるため、(1)式で表されるレーダ送受信機の受信レベルを距離Rにより補正する。そのため、FM-CWレーダで検知された反射物体までの距離Rを用い、Rを受信レベルPrに掛け算すれば、(1)式によるPrは補正された値となり、距離に依存しなく反射物体のRCSに比例した値となる。例えば距離R=1mを基準とすると距離R=3mの反射物体の受信電力の補正値は、3=81倍となりdB値では19dB増加の補正を行う。
【0113】
また数mの至近距離の反射物体からの受信電力は、反射物体は同じでもRCSの値が変化するので、検知距離による受信電力の補正は、上記のRを掛け算するだけでなく、RCSを距離により変化させる補正を併用するなど、(1)式による理論値のPrと実験により求めたデータとの差のデータによる補正を上記Rの掛け算の補正に加えて用いてもよい。
【0114】
上記による補正を行った結果が、図12における各受信レベル1201、1202、1205、1206である。
【0115】
図11における一方通行道路902を逆方向に通行する通行人群1101bが、電波伝搬路909に入ると、レーダ904bにおける検出反射体912bからの反射受信レベル1205は、図12の時刻tにおいて閾値1208より小さくなる。同時に通行人群1101bにより反射された受信レベル1206は増加するが、閾値1207より小さい。次に、車両910が電波伝搬路909に入ると912bからの反射受信レベルは遮断された状態が続くが、車両910からの反射レベルは通行人群110bより大きくなり、時刻t2xにおいて閾値1207を超える。通行人群1101bおよび車両910が、電波伝搬路909を過ぎると、時刻t4xにおいて受信レベル1206は閾値1207より小さくなり最低値にもどり、受信レベル1205は遮断がなくなるので時刻tにて閾値1208を超え最大値に回復する。
【0116】
また伝播路908に関しては、まず車両909によりレーダ904aにおける検出反射体912aからの反射受信レベル1201は時刻tにおいて閾値1204より小さくなる。電波伝搬路908を車両901が通過完了しても、通行人群1101aが通行しているので、受信レベル1201の遮断状態は継続し、通行人群1101aの通過が完了した時刻tにて、受信レベル1201は閾値1204を超え最大値に回復する。
【0117】
また伝播路908における通行物体からの反射レベル1202は、まず車両910により時刻t1xにおいて閾値1203を超え、車両が電波伝搬路908を通過完了した時刻t3xにおいて閾値1203より小さくなる。時刻t3x以降は通行人群1101aによる受信レベルが残り、通行人群1101aの通過完了する時刻tまで継続するが閾値1203より小さいので車両による反射レベルでは無いと判断される。
【0118】
本実施においては、通行物体による反射波の受信レベル増加と検出反射体による受信レベルの減少の両方を使用するが、前者のみによる判断では、レーダ送受信機904aのアンテナ905aのサイドローブにより、例えば、電波伝搬路908より離れた一般道路903を通行するトラックのような大きな通行物体を誤検知する可能性がある。検出反射体912aからの反射レベルの遮断を併用すれば、電波伝搬路908を通過する物体のみを確実に検知できる。
【0119】
また本実施例では、レーダ送受信機904aから車両910と通行人群1101aとまでの距離Rx1とRx2との識別は必要がなく、検出反射体までの距離Rとの識別をすればよいので、通行物体が非常に接近する場合でも問題はない。レーダ送受信機904aから検出反射体912aまでの距離Rは道路内とは離れているので、RとRX1およびRX2とは識別できる。
【0120】
また本実施例では、図11においてレーダ送受信機904aと904bの設置間隔dおよび、検出反射体912aと912bの設置間隔dが、車両長Lより短く設定されるので、道路902を移動する物体が車両の場合、図12において、レーダ送受信機904aと904bにおける通行車両からの受信レベルが閾値以上になる区間TaとTbが重なる区間が存在する。
【0121】
上記の方法により、道路を移動した車両のみを検知できる。
・「移動方向の検知方法」
図12において、レーダ904aにおける車両910からの反射レベル1202の増加がt1xで始まり、次にレーダ904bにおける車両910からの反射レベル1206の増加がt2xで始まり、次にレーダ904aにおける車両910からの反射レベル1202の減少がt3xで始まり、次にレーダ904bにおける車両910からの反射レベルの減少がt4xで始まり、且つ、上記各レーダにおける車両からの反射レベルの増加が、検出反射体からの受信レベルが遮断された区間に起きた場合に車両が逆方向914に移動したと判断する。
【0122】
これを、各レベルが閾値を横切る時刻により示すと、t1x<t2x<t3x<t4x、およびt<t1x、t<t2x、t3x<t、t4x<tがすべて成立した時となる。
【0123】
また図12において、車両単体が通過する場合の検出反射体からの受信レベル1201の遮断開始時刻tと車両からの反射レベル1202の検出開始時刻t1xは、1つの物体による遮断事象と反射事象の始まる時刻であるから前後関係の判断がつきにくい場合がある。
【0124】
この様な場合の対策として、車両による反射レベルが検知された時間長TaおよびTを用いて、検出反射体からの受信レベルの遮断に関する時刻t、t、t、tを、次のように補正してもよい。遮断開始の時刻t、tをそれぞれm×Ta、m×T早くしてt1h、t2hとし、遮断完了の時刻t、tをそれぞれm×Ta、m×Tb遅くしてt3h、t4hとする補正を行う。ただしmは0以上0.5未満の値であり、たとえばm=0.1と設定すれば、遮断開始の時刻補正値はそれぞれt1h=t―0.1×Ta、t2h=t―0.1×Tbとなり、遮断完了の時刻補正値はそれぞれt3h=t+0.1×Ta、t4h=t+0.1×Taとなる。この補正した時刻値を用いて、上記の判断条件としてt1x<t2x<t3x<t4x、およびt1h<t1x、t2h<t2x、t3x<t3h、t4x<t4hがすべて成立した時としてもよい。
【0125】
mは検知する車両の最短長により選択することが出来、車両長が長いトラックのみを検知する場合はmは大きくし、軽四輪車以上の場合は小さい値とすることにより、検出反射体からの受信レベルの遮断区間を広げ時刻の判断を確実に行うことが出来る。
【0126】
以上の方法により一方通行路の逆方向へ侵入する車両だけを検知し、移動物体判定装置906は警報機907に通報し、警報機907は進入車両910の運転手に警報と電光掲示により警告することが可能になる。
【0127】
図13に本実施例の動作フローを示す。
【0128】
図13において、S1301は本システムを起動するステップ、S1302はレーダ送受信機904aが912aからの反射受信レベルの遮断を判断するステップ、S1303はレーダ送受信機904aが時刻情報t、t1x、t、t3xを判断して移動物体判定装置906に通知するステップ、S1304はレーダ送受信機904bが検出反射体912bからの反射受信レベルの遮断を判断するステップ、S1305はレーダ送受信機904bが時刻情報t、t2x、t、t4xを判断して移動物体判定装置906に通知するステップ、S1306は906においてt1x<t2x<t3x<t4xの判定を行うステップ、S1307は906において時刻の補正値t1h、t2h、t3h、t4hを計算するステップ、S1308は906においてt1h<t1x、t2h<t2xおよびt3x<t3h、t4x<t4hを判定するステップ、S1309は906が907に警報を出すよう指令するステップ、S1310は907が警報を出すステップ、S1311は906が時刻データを0にリセットするステップをそれぞれ示す。
【0129】
ステップ1301によりシステム全体の動作が開始され、ステップ1302では、レーダ送受信機904aが検出反射体912aからの反射による受信レベル1201を閾値1204と比較して、電波伝搬路908が遮断されたかどうかを判断する。遮断がない場合はレーダ測定を繰り返す。遮断された場合はステップ1303にて検出反射体912aからの反射受信レベルの遮断開始時刻t、回復時刻tおよび一方通行道路902における移動車両からの反射レベルの受信開始時刻t1x、受信終了時刻t3xを判断して移動物体判定装置906に通知する。
【0130】
上記のレーダ送受信機904aの動作と平行して、ステップ1304では、レーダ送受信機904bが検出反射体912bからの反射による受信レベル1205を閾値1208と比較して、電波伝搬路909が遮断されたかどうかを判断する。遮断がない場合はレーダ測定を繰り返す。遮断された場合はステップ1305にて検出反射体912bからの反射受信レベルの遮断開始時刻t、回復時刻tおよび一方通行道路902における移動車両からの反射レベルの受信開始時刻t2x、受信終了時刻t4xを判断して移動物体判定装置906に通知する。
【0131】
時刻の通知を受けた移動物体判定装置906は、ステップS1306にて各時刻の前後関係について、t1x<t2x<t3x<t4xが成立するかどうかを判断する。
【0132】
上記条件が成立しない場合、順方向に移動する車両の通過や車両でない通行人などによる事象と判断し、次のレーダ測定にもどる。
【0133】
上記条件が成立した場合は、次のステップS1307にて検出反射体からの反射レベルの遮断時間幅を広げる補正を行う。この補正は、車両など検出すべき移動物体が単体で通行した場合、検出反射体からの受信レベルが遮断された状態において移動車両からの受信レベルが開始、終了する時刻を確実に判断するために行う。時刻t、t、t、tに対し補正結果の時刻はt1h、t2h、t3h、t4hとなる。
【0134】
ステップS1308において、補正された時刻t1h、t2h、t3h、t4hおよび通知されたままの時刻t1x、t2x、t3x、t4xを用い、t1h<t1x、t2h<t2x、t3x<t3h、t4x<t4hがすべて成立するかどうかを判断する。
【0135】
上記条件が成立しない場合、一方通行道路外の移動物体などによる事象と判断して、次のレーダ測定にもどる。
【0136】
上記条件が成立した場合は、一方通行道路を車両が逆方向に移動したことを検知したと判断し、移動物体判定装置906は次のステップS1309にて警報機907に対し警報発信を指令する。ステップ1310にて警報機907は警報と電光掲示を出力することにより進入車両910の運転手に警告する。ステップ1311では、時刻データをリセットし次のレーダ測定にもどる。
【0137】
以上の方法により、本発明の移動方向検知レーダシステムは、実施例4では、所定の方向とは異なる方向へ移動する物体であって、所定の長さ以上の幅を持つ物体を検知することができ、一方通行路の逆方向へ侵入する車両だけを検知し、移動物体判定装置906は警報機907に警報発信を指令することが可能になる。
(付記1)
レーダ送受信機と検出反射体とを備えた移動方向検知レーダシステムにおいて、
前記レーダ送受信機は、前記レーダ送受信機と該レーダ送受信機のレーダビームの最大利得方向からオフセットした主ローブ範囲内の方向に設置された検出反射体との間を横切って移動する物体から反射したレーダ電波を受信したレベルが最大値を示す時刻を検知する手段と、
前記検出反射体から反射したレーダ電波を受信したレベルが前記物体により遮断され最小値を示す時刻を検知する手段と、
前記最大値を示す時刻と最小値を示す時刻の前後関係により前記物体の移動方向を判断する手段と
を備えたことを特徴とする移動方向検知レーダシステム。
(付記2)
前記レーダ送受信機は、さらに、
前記物体から反射したレーダ電波を受信したレベルに対し、該物体までの距離の4乗を乗じる補正と、至近距離においてレーダ散乱断面積が減少する効果を補正する手段と、
前記物体の種類に固有のレーダ散乱断面積に対応したレーダ受信レベルにより設定した閾値を超えた前記受信したレベルの最大値を判断する手段と、
前記2つの手段により、前記レーダ送受信機と前記検出反射体の間を横切って移動した物体は、前記設定した閾値に対応した物体に固有のレーダ散乱断面積より大きいレーダ散乱断面積を有する物体として種類識別する手段と
を備えたことを特徴とする付記1記載の移動方向検知レーダシステム。
(付記3)
前記移動方向を判断する手段は、前記最大値を示した時刻が前記最小値を示した時刻より早い場合は、前記物体がレーダビームの中心方向から検出反射体設置方向へ移動したと判断し、前記最大値を示した時刻が前記最小値を示した時刻より遅い場合は、検出反射体設置方向からレーダビームの中心方向へ移動したと判断する手段であることを特徴とする付記1記載の移動方向検知レーダシステム。
(付記4)
前記移動方向検知レーダシステムは、さらに、
前記移動方向を判断する手段により判断された前記物体の移動方向が、所定の方向とは逆方向であると判断した場合に警報を発する手段を備えることを特徴とする付記1記載の移動方向検知レーダシステム。
(付記5)
複数のアンテナを備えたレーダ送受信機と該複数のアンテナに対向する位置に設置された複数の検出反射体とを備えた移動方向検知レーダシステムにおいて、
前記レーダ送受信機は、送信用として水平偏波アンテナと垂直偏波アンテナとの2台と、受信用として水平または垂直の同一偏波アンテナ2台を備え、
前記複数の検出反射体は、入力偏波と同一偏波で反射する第1の検出反射体と入力偏波とは異なる偏波で反射する第2の検出反射体とを備え、
前記レーダ送受信機は、
所定の周期で前記送信用の水平偏波アンテナと垂直偏波アンテナとを切り替える手段と、
前記所定の周期で前記受信用の2台の同一偏波アンテナを切り替える手段と、
前記第1の検出反射体から反射されたレーダ電波を受信したレベルが、前記レーダ送受信機と前記第1の検出反射体との間を横切って移動する物体により遮断を開始した時刻と遮断されたレベルが回復した時刻とを検知する手段と、
前記第2の検出反射体から反射されたレーダ電波を受信したレベルが、前記物体により遮断を開始した時刻と遮断されたレベルが回復した時刻とを検知する手段と、
前記各時刻の前後関係により前記物体の移動方向を判断する手段と、
を備えたことを特徴とする移動方向検知レーダシステム。
(付記6)
前記送信用水平偏波アンテナと垂直偏波アンテナとを切り替える所定の周期は、前記物体の前端の進行により、前記第1の検出反射体から反射したレーダ電波を受信したレベルが遮断開始する時刻から前記第2の検出反射体から反射したレーダ電波を受信したレベルが遮断開始する時刻までの第1の時間区間と、前記物体の後端の進行により、前記第1の検出反射体から反射したレーダ電波の遮断されたレベルが回復する時刻から前記第2の検出反射体から反射したレーダ電波の遮断されたレベルが回復する時刻までの第2の時間区間と、前記物体の進行により前記第1と第2の検出反射体から反射したレーダ電波の受信レベルの遮断区間が重なる第3の時間区間の、3つの時間区間の中で最も短い区間内に切り替え周期が2以上あることを特徴とする付記5記載の移動方向検知レーダシステム。
(付記7)
前記受信したレベルが遮断を開始した時刻と遮断されたレベルが回復した時刻は、前記レーダ送受信機から前記検出反射体までの距離と、レーダ散乱断面積によって決まる受信レベルより小さい所定の値に設定した閾値を横切った時刻により決定することを特徴とする付記5記載の移動方向検知レーダシステム。
(付記8)
前記移動方向検知レーダシステムは、前記レーダ送受信機の
前記送信用水平偏波アンテナと前記受信用同一偏波アンテナのうちの1台との中心と、前記送信用垂直偏波アンテナと前記受信用同一偏波アンテナのうちの他の1台との中心との中心間距離、および前記第1の検出反射体と前記第2の検出反射体との設置間隔を、検知すべきでない物体の進行方向長以上であって、検知すべき物体の進行方向長以下とし、
さらに、
前記第1の検出反射体から反射したレーダ電波が前記物体により遮断された時間区間と前記第2の検出反射体から反射したレーダ電波が前記物体により遮断された時間区間とが重なった時は、前記物体を検知すべき物体であると判断する手段
を備えることを特徴とする付記5記載の移動方向検知レーダシステム。
(付記9)
前記移動方向を判断する手段は、前記第1の検出反射体から反射したレーダ電波が前記物体により遮断された時間区間と前記第2の検出反射体から反射したレーダ電波が前記物体により遮断された時間区間が重なった時に、遮断を開始した時刻が早い方の検出反射体から遮断を開始した時刻が遅い方の検出反射体の方向に前記物体が移動したと判断する手段であること特徴とする付記5記載の移動方向検知レーダシステム。
(付記10)
前記移動方向検知レーダシステムは、さらに、
前記移動方向を判断する手段により判断された前記物体の移動方向が、所定の方向とは逆方向であると判断した場合に警報を発する手段を備えることを特徴とする付記5記載の移動方向検知レーダシステム。
(付記11)
レーダ送受信機とそれに対向する位置に設置された検出反射体とからなる組を複数個と、移動物体判定装置とを備えた移動方向検知レーダシステムにおいて、
前記レーダ送受信機のそれぞれは、
該レーダ送受信機に対向して設置された前記検出反射体から反射したレーダ電波を受信したレベルが、該レーダ送受信機と該検出反射体との間を横切って移動する物体により遮断を開始した時刻と遮断されたレベルが回復した時刻とを検知する手段を備え、
前記移動物体判定装置は、
前記複数のレーダ送受信機がそれぞれに検知して出力する前記遮断開始の時刻と前記遮断終了の時刻との前後関係により前記物体の移動方向を判断する手段を備えたことを特徴とする移動方向検知レーダシステム。
(付記12)
前記移動方向検知レーダシステムにおいて、前記各レーダ送受信機のアンテナは、隣接したレーダ送受信機のアンテナに対し互いに異なった偏波を使用することを特徴とする付記11記載の移動方向検知レーダシステム。
(付記13)
前記受信したレベルが遮断を開始した時刻と遮断されたレベルが回復した時刻とは、前記レーダ送受信機から対向する前記検出反射体までの距離と、レーダ散乱断面積によって決まる受信レベルより小さい所定の値に設定した閾値を横切った時刻により決定することを特徴とする付記11記載の移動方向検知レーダシステム。
(付記14)
前記移動方向検知レーダシステムは、前記複数のレーダ送受信機間の設置間隔および前記複数検出反射体間の設置間隔を、検知すべきでない物体の進行方向長以上であって、検知すべき物体の進行方向長以下とし、
さらに、
前記複数のレーダ送受信機のうち隣り合ったレーダ送受信機において、該各レーダ送受信機に対向して設置された前記検出反射体から反射したレーダ電波が遮断された時間区間が、互いに重なった時は前記物体を検知すべき物体であると判断する手段を備えることを特徴とする付記11記載の移動方向検知レーダシステム。
(付記15)
前記移動方向を判断する手段は、前記各レーダ送受信機において対向して設置された前記検出反射体から反射したレーダ電波が遮断された区間が互いに重なった時に、遮断を開始した時刻が早い方の前記検出反射体から遮断を開始した時刻が遅い方の前記検出反射体の方向に前記物体が移動したと判断する手段であることを特徴とする付記11記載の移動方向検知レーダシステム。
(付記16)
前記移動方向検知レーダシステムは、さらに、
前記移動方向を判断する手段により判断された前記物体の移動方向が、所定の方向とは逆方向であると判断した場合に警報を発する手段を備えることを特徴とする付記11記載の移動方向検知レーダシステム。
(付記17)
レーダ送受信機とそれに対向する位置に設置された検出反射体とからなる組を複数個と、移動物体判定装置とを備えた移動方向検知レーダシステムにおいて、
前記各レーダ送受信機のそれぞれは、
該レーダ送受信機に対向して設置された前記検出反射体から反射したレーダ電波を受信したレベルが、該レーダ送受信機と該検出反射体との間を横切って移動する物体により遮断を開始した時刻と遮断されたレベルが回復した時刻とを検知する手段と、
前記物体から反射したレーダ電波の受信を開始する時刻と受信を終了する時刻とを検知する手段とを備え
前記移動物体判定装置は、
前記複数のレーダ送受信機がそれぞれに検知して出力する前記の遮断開始時刻、遮断終了時刻および受信開始時刻、受信終了時刻の各時刻の前後関係により前記物体の移動方向を判断する手段
を備えたことを特徴とする移動方向検知レーダシステム。
(付記18)
前記レーダ送受信機は、さらに、
前記物体から反射したレーダ電波を受信したレベルに対し、移動物体までの距離の4乗を乗じる補正と、極距離においてレーダ散乱断面積が減少する効果を補正する手段と、
前記物体の種類に固有のレーダ散乱断面積に対応したレーダ受信レベルにより設定した閾値を超えた時刻を受信開始時刻とし、該閾値を下まわった時刻を受信終了時刻として決定する手段と、
を備えたことを特徴とする付記17記載の移動方向検知レーダシステム。
(付記19)
前記レーダ送受信機は、
前記物体から反射したレーダ電波の受信開始時刻を、付記18の補正を受けた受信レベルが前記閾値を超えている時間区間と、前記検出反射体から反射したレーダ電波の受信レベルが前記物体により遮断されている時間区間とが重なった時間区間の最初の時刻として決定する手段と、
前記物体から反射したレーダ電波の受信終了時刻を、付記18の補正を受けた受信レベルが前記閾値を超えている時間区間と、前記検出反射体から反射したレーダ電波の受信レベルが前記物体により遮断されている時間区間とが重なった時間区間の最後の時刻として決定する手段と、
を備えたことを特徴とする付記17記載の移動方向検知レーダシステム。
(付記20)
前記移動方向検知レーダシステムは、
前記複数のレーダ送受信機のうち隣り合うレーダ送受信機間の設置間隔および該隣り合うレーダ送受信機のそれぞれに対向して設置されている前記検出反射体間の設置間隔を、検知すべきでない物体の進行方向長以上であって、検知すべき物体の進行方向長以下とし、
さらに、
前記複数のレーダ送受信機のうち隣り合ったレーダ送受信機において、該各レーダ送受信機に対向して設置された前記検出反射体から反射したレーダ電波が遮断された時間区間が、互いに重なった時は前記物体を検知すべき物体であると判断する手段を備えることを特徴とする付記17記載の移動方向検知レーダシステム。
(付記21)
前記移動方向を判断する手段は、前記各レーダ送受信機において対向して設置された前記検出反射体から反射したレーダ電波が遮断された区間が互いに重なった時に、遮断を開始した時刻が早い方の前記検出反射体から遮断を開始した時刻が遅い方の前記検出反射体の方向に前記物体が移動したと判断する手段であることを特徴とする付記17記載の移動方向検知レーダシステム。
(付記22)
前記移動方向検知レーダシステムは、さらに、
前記移動方向を判断する手段により判断された前記物体の移動方向が、所定の方向とは逆方向であると判断した場合に警報を発する手段を備えることを特徴とする付記17記載の移動方向検知レーダシステム。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【図1】従来技術による移動車両検知レーダシステムの構成例を示す図である。
【図2】従来技術における移動車両による反射レベルの時間変化を示す図である。
【図3】実施例1によるレーダシステムの構成例を示す図である。
【図4】実施例1におけるレーダ受信レベルの時間変化例を示す図である。
【図5】実施例1におけるレーダ受信レベルの時間変化例を示す図である。
【図6】実施例2によるレーダシステムの構成例を示す図である。
【図7】実施例2によるレーダシステムの詳細構成例を示す図である。
【図8】実施例2におけるレーダシステムの信号タイミングを示す図である。
【図9】実施例3によるレーダシステムの構成例を示す図である。
【図10】実施例3におけるレーダ受信レベル例を示す図である。
【図11】実施例4によるレーダシステムの構成例を示す図である。
【図12】実施例4におけるレーダ受信レベル例を示す図である。
【図13】実施例4における移動方向検知フロー例を示す図である。
【符号の説明】
【0139】
101 T字交差点
102 一方通行道路
103 通常道路
104 レーダ送受信機
105 レーダ送受信アンテナ
106a 検出反射体
106b 検出反射体
107 送受信レーダビーム
108 逆方向移動車両
109 順方向
110 逆方向
201 車両からの受信レベル
202 受信レベル201のピークレベル
203 閾値
204 検出反射体からの受信レベル
205 204の最小値レベル
206 閾値
301 T字交差点
302 一方通行道路
303 通常道路
304 レーダ送受信機
305 レーダ送受信アンテナ
306 警報機
307 送受信レーダビーム
308 検出反射体
309 逆方向移動車両
310 順方向車両
311 順方向
312 逆方向
313 C方向
314 D方向
401 車両からの受信レベル
402 受信レベル401のピークレベル
403 閾値
404 検出反射体からの受信レベル
405 404の最小値レベル
406 閾値
501 車両309からの受信レベル
502 受信レベル501のピークレベル
503 閾値
504 検出反射体からの受信レベル
505 504の最小値レベル
506 閾値
601 T字交差点全体
602 一方通行道路
603 通常道路
604 レーダ送受信機
605a レーダアンテナ
605b レーダアンテナ
605c レーダアンテナ
605d レーダアンテナ
606 警報機
607 電波の伝播路
608 電波の伝播路
609 逆方向移動車両
610a 検出反射体
610b 検出反射体
611 順方向
612 逆方向
701 制御信号
702 レーダ送信波
703a スイッチ
703b スイッチ
704 レーダ受信波
801 制御信号パルス
802 伝播路608による受信レベル
803 伝播路607による受信レベル
804 受信レベルの閾値
805 受信レベルの閾値
901 T字交差点全体
902 一方通行道路
903 通常道路
904a レーダ送受信機
904b レーダ送受信機
905a レーダ送受信アンテナ
905b レーダ送受信アンテナ
906 移動物体判定装置
907 警報機
908 電波の伝播路
909 電波の伝播路
910 車両
911 通行人
912a 検出反射体
912b 検出反射体
913 順方向
914 逆方向
1001 レーダ送受信機904aの受信レベル
1002 受信レベル1001の最小値レベル
1003 閾値
1004 送受信機904bの受信レベル
1005 1004の最小値レベル
1006 閾値
1101a 通行人群
1101b 通行人群
1201 検出反射体912aからの受信したレベル
1202 移動物体からの受信したレベル
1203 1202に対する閾値
1204 1201に対する閾値
1205 検出反射体912bからの受信したレベル
1206 移動物体からの受信したレベル
1207 1206に対する閾値
1208 1205に対する閾値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーダ送受信機と検出反射体とを備えた移動方向検知レーダシステムにおいて、
前記レーダ送受信機は、前記レーダ送受信機と該レーダ送受信機のレーダビームの最大利得方向からオフセットした主ローブ範囲内の方向に設置された検出反射体との間を横切って移動する物体から反射したレーダ電波を受信したレベルが最大値を示す時刻を検知する手段と、
前記検出反射体から反射したレーダ電波を受信したレベルが前記物体により遮断され最小値を示す時刻を検知する手段と、
前記最大値を示す時刻と最小値を示す時刻の前後関係により前記物体の移動方向を判断する手段と
を備えたことを特徴とする移動方向検知レーダシステム。
【請求項2】
複数のアンテナを備えたレーダ送受信機と該複数のアンテナに対向する位置に設置された複数の検出反射体とを備えた移動方向検知レーダシステムにおいて、
前記レーダ送受信機は、送信用として水平偏波アンテナと垂直偏波アンテナとの2台と、受信用として水平または垂直の同一偏波アンテナ2台を備え、
前記複数の検出反射体は、入力偏波と同一偏波で反射する第1の検出反射体と入力偏波とは異なる偏波で反射する第2の検出反射体とを備え、
前記レーダ送受信機は、
所定の周期で前記送信用の水平偏波アンテナと垂直偏波アンテナとを切り替える手段と、
前記所定の周期で前記受信用の2台の同一偏波アンテナを切り替える手段と、
前記第1の検出反射体から反射されたレーダ電波を受信したレベルが、前記レーダ送受信機と前記第1の検出反射体との間を横切って移動する物体により遮断を開始した時刻と遮断されたレベルが回復した時刻とを検知する手段と、
前記第2の検出反射体から反射されたレーダ電波を受信したレベルが、前記物体により遮断を開始した時刻と遮断されたレベルが回復した時刻とを検知する手段と、
前記各時刻の前後関係により前記物体の移動方向を判断する手段と、
を備えたことを特徴とする移動方向検知レーダシステム。
【請求項3】
請求項2記載の移動方向検知レーダシステムは、前記レーダ送受信機の
前記送信用水平偏波アンテナと前記受信用同一偏波アンテナのうちの1台との中心と、前記送信用垂直偏波アンテナと前記受信用同一偏波アンテナのうちの他の1台との中心との中心間距離、および前記第1の検出反射体と前記第2の検出反射体との設置間隔を、検知すべきでない物体の進行方向長以上であって、検知すべき物体の進行方向長以下とし、
さらに、
前記第1の検出反射体から反射したレーダ電波が前記物体により遮断された時間区間と前記第2の検出反射体から反射したレーダ電波が前記物体により遮断された時間区間とが重なった時は、前記物体を検知すべき物体であると判断する手段
を備えることを特徴とする請求項2記載の移動方向検知レーダシステム。
【請求項4】
レーダ送受信機とそれに対向する位置に設置された検出反射体とからなる組を複数個と、移動物体判定装置とを備えた移動方向検知レーダシステムにおいて、
前記レーダ送受信機のそれぞれは、
該レーダ送受信機に対向して設置された前記検出反射体から反射したレーダ電波を受信したレベルが、該レーダ送受信機と該検出反射体との間を横切って移動する物体により遮断を開始した時刻と遮断されたレベルが回復した時刻とを検知する手段を備え、
前記移動物体判定装置は、
前記複数のレーダ送受信機がそれぞれに検知して出力する前記遮断開始の時刻と前記遮断終了の時刻との前後関係により前記物体の移動方向を判断する手段を備えたことを特徴とする移動方向検知レーダシステム。
【請求項5】
レーダ送受信機とそれに対向する位置に設置された検出反射体とからなる組を複数個と、移動物体判定装置とを備えた移動方向検知レーダシステムにおいて、
前記各レーダ送受信機のそれぞれは、
該レーダ送受信機に対向して設置された前記検出反射体から反射したレーダ電波を受信したレベルが、該レーダ送受信機と該検出反射体との間を横切って移動する物体により遮断を開始した時刻と遮断されたレベルが回復した時刻とを検知する手段と、
前記物体から反射したレーダ電波の受信を開始する時刻と受信を終了する時刻とを検知する手段とを備え
前記移動物体判定装置は、
前記複数のレーダ送受信機がそれぞれに検知して出力する前記の遮断開始時刻、遮断終了時刻および受信開始時刻、受信終了時刻の各時刻の前後関係により前記物体の移動方向を判断する手段
を備えたことを特徴とする移動方向検知レーダシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−139650(P2007−139650A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−335928(P2005−335928)
【出願日】平成17年11月21日(2005.11.21)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】