説明

移動通信装置

【課題】ネットワークからデータを取得する際に、データの取得に要する時間をユーザに対して適切に報知することができる移動通信装置を提供する。
【解決手段】複数の通信方式によるデータ通信が可能である場合に、制御部20は、メモリ12に格納された各通信方式毎の通信速度の最大値および最小値に基づいて、ダウンロードを開始する前に、データの取得に要する目安時間(データ取得に要する時間の幅)を表示部14に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば携帯電話機に代表される移動通信装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、携帯電話機やPDAに代表される移動通信装置では、ネットワークとの快適なデータ通信環境をユーザに提供するための技術が開発されている。
たとえば、下記特許文献1では、場所に応じて顕著に変化する受信状態を即時的かつ正確にユーザに通知することにより、ユーザが良好な受信状態でデータ通信を行うことができる移動通信装置としての携帯通信端末に関する技術が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2002−300644号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の移動通信装置では、ネットワークからデータのダウンロードの指示を行う前に、ユーザは、ダウンロードの対象データをすべて移動通信装置内に取り込むために要する時間を予測できないという問題がある。そのため、移動通信装置の通信性能、移動通信装置が存在するエリアの通信環境によって、実際にはデータのダウンロードを行うのに膨大な時間がかかる場合であっても、ユーザはその旨を認識せずにダウンロードの指示を行っていた。
【0005】
また、データのダウンロードを行っている最中には、いわゆるプログレスバーなどによる現在の進捗状況を、たとえば100分率でアニメーションにより表示画面上に表示することが一般的であり、ダウンロードされていない残りのデータを取得するためにあとどのくらい時間を要すか予測することができなかった。
したがって、データの取得に要する時間がユーザの期待値よりも長いことをユーザが認識した際に、ユーザは、残時間に応じてデータの取得を断念するか否かの判断ができなかった。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ネットワークからデータを取得する際に、データの取得に要する時間をユーザに対して適切に報知することができる移動通信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、表示手段と、複数の通信方式のいずれかに従ってネットワークに接続し、データを取得可能な通信手段と、前記複数の通信方式毎に、使用する通信方式の通信速度についての最大値および最小値を記憶する記憶手段と、ネットワークからデータを取得する指示がされたとき、前記データのデータ量と、前記通信速度の最大値および最小値とに基づいて、前記データの取得に要する時間のうち、最長時間または最短時間の少なくともいずれかを算出し、前記表示手段に表示させる制御手段とを有する移動通信装置である。
【0008】
好適には、前記制御手段は、前記データの取得が開始された後、所定時間内に取得したデータ量から現在通信速度を算出し、前記データのデータ量と取得済みのデータ量の差分と、前記現在通信速度とに基づいて、前記データの取得の完了に要する残時間を算出し、前記データの取得の完了に要する残時間を前記表示手段に表示させる。
【0009】
好適には、前記制御手段は、前記現在通信速度を算出する処理を複数回行い、当該複数回の処理結果の平均を通信速度として、前記データの取得の完了に要する残時間を算出する。
【0010】
好適には、前記データの取得に要する時間を表示させる時に、前記データの取得を開始するか否かについての選択手段を設けた。
【0011】
好適には、前記通信手段は、前記データを、前記ネットワーク上の共通のサーバ装置から取得する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ネットワークからデータを取得する際に、データの取得に要する時間をユーザに対して適切に報知することができる。したがって、ユーザは、データの取得を行うか否か、または、データの取得を継続すべきか否かについて適切に判断することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
実施形態
以下、本発明に係る移動通信装置の実施形態を添付図面に関連付けて説明する。
図1は、本発明の移動通信装置としての携帯電話機1のシステム構成の一例を図解したブロック図である。図2は、携帯電話機1の外観の一例を図解した図である。
【0014】
図1に示すように、携帯電話機1は、送受信アンテナ111を含む通信処理部11と、メモリ12と、スピーカ131およびマイクロフォン132を含む音声処理部13と、表示部14と、キー入力部15と、制御部20と、を有している。
なお、通信処理部11は、本発明の通信手段の一実施形態である。
制御部20は、本発明の制御手段の一実施形態である。
メモリ12は、本発明の記憶手段の一実施形態である。
表示部14は、本発明の表示手段の一実施形態である。
【0015】
通信処理部11は、基地局を介した無線通信動作、たとえば、電話番号の発呼動作や電子メールの送受信動作などを行う。
通信処理部11は、送受信アンテナ111を含んで構成され、電波を利用した無線通信で行うために、制御部20で処理された音声情報、電子メール等を変調して送受信アンテナ111により図示しない基地局に送信する。
また、通信処理部11は、基地局から無線により送信され、送受信アンテナ111で受信した電子メールや音声情報等の各種情報を復調して制御部20に出力する。
【0016】
通信処理部11は、複数の通信方式に適合した通信を行うことにより、ネットワーク上のサーバ装置(図示しない)に格納されたデータにアクセスして、ダウンロードすることが可能である。
なお、ユーザの取得対象データ(ダウンロード対象のデータ)は、複数の通信方式による通信に対して、共通のサーバ装置に格納されていてもよいし、通信方式毎に異なるサーバ装置に格納されていてもよい。
【0017】
具体的には、通信処理部11は、以下に述べる(1)〜(3)の3方式の通信方式による通信を行う。
(1)IS95B
米国クアルコム(Qualcomm)社が開発したCDMA(符号分割多元接続)方式の通信方式(cdmaOne)である。キャリア(搬送波)の帯域幅としては、1.25MHzが使用される。
なお、IS95Bの通信速度は、9.6kbps〜57.6kbpsである。
(2)CDMA2000 1X
CDMA2000 1Xは、cdmaOneに対して通信速度の高速化が図られた規格である。基本的にCDMA2000は、下り側(基地局から携帯電話機)の通信に対してマルチキャリアモード(帯域幅:1.25MHz)により行うが、CDMA2000 1Xでは、単一のキャリア(1.25MHz)を使用する。
なお、CDMA2000 1Xの通信速度は、9.6kbps〜153.6kbpsである。
(3)CDMA2000 1X EVDO
CDMA2000 1X EVDO(Evolution-Data Only/Optimized) は、cdmaOneを高速化するHDR(High Data Rate)の規格をCDMA2000に適用した規格である。データ通信と音声通信の帯域を分離することにより、高速なパケットデータ伝送を可能とする。
なお、CDMA2000 1X EVDOの通信速度は、9.6kbps〜2457.6kbpsである。
【0018】
通信処理部11は、以下に述べる発呼処理を行って、基地局(図示しない)とデータリング(データ呼)を確立する。
すなわち、通信処理部11からの発呼処理の要求を受けると、基地局では、トラフィックの状況を判断し、基地局から携帯電話機1に対して、通信を行うチャネル(すなわち、上記通信方式のいずれかに対応するチャネル)の割り当てを行う。これにより、データリングが確立する。
一旦、データリングが確立されると、携帯電話機1は、割り当てられた通信方式によるデータ通信が可能となる。
また、すでに通信処理部11が通信中において、携帯電話機1の移動等により基地局が切り替わる時には、他の基地局に対するチャネルの割り当てが基地局主導で行われる。
【0019】
また、データリングが確立されるプロセスにおいて、通信処理部11は、各通信方式固有のメッセージを受信する。これにより、携帯電話機1では、どのチャネルによりデータリングが確立されたかを認識することができる。
たとえば、通信処理部11は、メッセージとして、IS95Bの場合にはCAM(Channel Assignment Message)を、CDMA2000 1Xの場合にはECAM(Extended Channel Assignment Message) を、CDMA2000 1X EVDOの場合にはTCAM(Traffic Channel Assignment Message)を、それぞれ受信する。
【0020】
メモリ12は、EEPROM等の不揮発性メモリを含んで構成され、通話やメールの送受信のための制御プログラム、インターネットブラウザ、メッセージデータ、名前および電話番号が登録されたアドレス帳などを記憶する。
メモリ12は、上述した複数の通信方式毎に、通信速度の最大値および最小値を記憶する。すなわち、IS95Bの場合には、通信速度の最大値として57.6〔kbps〕、最小値として9.6〔kbps〕を記憶する。CDMA2000 1Xの場合には、通信速度の最大値として153.6〔kbps〕、最小値として9.6〔kbps〕を記憶する。CDMA2000 1X EVDOの場合には、通信速度の最大値として2457.6〔kbps〕、最小値として9.6〔kbps〕を記憶する。
【0021】
表示部14は、図1に示すように、携帯電話機1の筐体の上部に配設された液晶表示装置(LCD)等の表示デバイスを有し、制御部20の指示に基づいてテキストデータや画像等を表示デバイス上に表示する。
【0022】
キー入力部15は、複数の入力キー(以下、単にキー)を含んで構成される。図2に示すように、複数のキーは、インターネットに接続するためのウェブキー15a、電子メール機能を行うためのメールキー15b、ソフト1キー15cおよびソフト2キー15f、上下左右キー15d、処理を確定させるための決定キー15e、発話するためのオフフックキー15g、クリアキー15h、終話するためのオンフックキー15i、「0」〜「9」の数字、「*」、「#」に対応したテンキー15jからなる。
【0023】
決定キー15e、ソフト1キー15cおよびソフト2キー15fは、表示部14の表示状態に応じて、操作に対する動作が異なるキーである。操作に対する動作内容は、表示部14の画面最下部に表示される。
上下左右キー15dは、上下左右の4方向の操作が可能なキーである。たとえば、表示部14が複数の選択項目をリスト表示している場合、上下左右キー15dを操作することで、ユーザは、複数の選択項目の中から1つの選択項目を指定することができる。
【0024】
キー入力部15は、入力回路を有し、これらのキーに対するユーザの操作(押下)がなされると、入力回路を介して電気信号を制御部20に伝達する。したがって、制御部20は、いずれのキーが操作されたかについて判断することができる。
【0025】
音声処理部13は、音声処理回路を有し、通話機能のために音声出力を行うスピーカ131と音声入力を行うマイクロフォン132が接続されている。
音声処理部13は、マイクロフォン132により集音した音声に対して符号化等の所定の処理を行って制御部20に供給する。
音声処理部13は、制御部20により供給された音声情報に対して復号化等の所定の処理を行ってスピーカ131から出力させる。
【0026】
制御部20は、マイクロコンピュータを主体として構成され、携帯電話機1の全体の制御を行う。たとえば、制御部20は、通信処理部11における各種情報の無線による送受信の制御、音声処理部13に対する音声情報の処理、表示部14への情報の表示制御、キー入力部15の入力情報に応じた処理、メモリ12に対するアクセス制御等を行う。
【0027】
制御部20は、ウェブ上のホームページを表示し、ホームページからデータを取得するためのブラウザタスクを実行する。
すなわち、制御部20は、受信バッファを有し、ウェブ上の任意のURLにアクセスして、マークアップ言語で記述されたウェブページ1ページ分のデータを受信し、受信バッファに格納する。さらに、制御部20は、受信バッファに格納されたデータを表示用データに変換して、表示部14に表示する。これにより、ユーザは、当該URLのホームページを閲覧することができる。
また、ユーザは、ホームページ上の特定のデータを指定してダウンロードすることができる。その際、ブラウザタスクにより、対象データのダウンロードの指示を行う前に、予め対象データのサイズに関する情報を取得することが可能である。
【0028】
制御部20は、ネットワーク上のサーバ装置からデータをダウンロードする旨の指示がなされると、当該データをダウンロードするために要する時間を算出して、表示部14の画面上に表示する。さらに、制御部20は、ネットワーク上のサーバ装置からデータをダウンロードしている間は、当該データのすべてをダウンロードするための残時間を算出して、表示部14の画面上に表示する。
これらの処理については、より詳細に後述する。
【0029】
以上、携帯電話機1の各構成要素について述べた。
次に、携帯電話機1がネットワーク上のサーバ装置からデータを取得する際の処理について、図3および4に関連付けて述べる。
【0030】
ウェブからダウンロードの指示を行う前の処理
図3において、先ず、ユーザが所望のホームページを閲覧するために、ウェブキー15aを押下することで、発呼処理が開始される(ステップST10)。
すなわち、通信処理部11は、基地局とデータリングを確立するために前述した通信処理を行う。この通信処理プロセスにおいて、基地局側では、トラフィックの状況を判断し、基地局から携帯電話機1に対して、通信を行うチャネルの割り当てを行う。これにより、(1)IS95B、(2)CDMA2000 1X、または(3)CDMA2000 1X EVDOのいずれかの通信方式による通信が確立する。
【0031】
データリングが確立されたならば(ステップST11)、次に、受信メッセージの確認を行う(ステップST12)。通信処理部11は、データリングが確立されるプロセスにおいて、各通信方式固有のメッセージを受信するので、これを確認する。
具体的には、通信処理部11は、メッセージとして、IS95Bの場合にはCAMを、CDMA2000 1Xの場合にはECAMを、CDMA2000 1X EVDOの場合にはTCAMを、それぞれ受信する。したがって、当該メッセージを確認することで、携帯電話機1は、現在いずれの通信方式でデータリングが確立されているかを認識することができる。
【0032】
データリングが確立された後は、制御部20は、予め設定されたURLのホームページにアクセスするように制御する。すなわち、制御部20は、ブラウザタスクを実行することにより、マークアップ言語で記述されたウェブページ1ページ分のデータを受信して、表示用データに変換し、表示部14に表示する。これにより、ユーザは、当該URLのホームページを閲覧することができる(ステップST13)。
なお、この時点では、ユーザは、URLを指定することで任意のホームページを閲覧することができることは言うまでもない。
【0033】
ホームページ上では、ダウンロードの対象となっているデータについては、そのデータをユーザが決定キー15eにより指定することで、ダウンロードの要求を行うことができる。
たとえば、表示部14にて図4の画面SC1に示すダウンロードサイトから、特定のデータを指定してダウンロードすることが可能である。このようなダウンロード可能なデータは、ネットワークに接続されたサーバに格納されている。
【0034】
ダウンロードの要求がされたならば(ステップST14)、制御部20は、図4の画面SC2に例示するように、ダウンロードの対象データについてユーザに確認するとともに、ブラウザタスクの機能により、ダウンロードの対象データのサイズに関する情報をネットワークから取得する(ステップST15)。
たとえば、画面SC2において、着信メロディ「民謡:ももたろう」のダウンロードサイト情報のハイパーリンクされたテキストタグを、上下左右キー15dで指定して決定キー15eを押下することによりダウンロードが指示されると、当該ウェブページにて「民謡:ももたろう」のテキストタグにリンクして記載されたダウンロードデータのサイズ、または、ダウンロードデータのヘッダ部分などのダウンロードデータのサイズ等の諸元情報が記載されたファイルを先に取得することにより、ダウンロードデータのデータサイズを制御部20は取得する。
【0035】
次に、対象データをダウンロードするために要する時間を以下の手順で算出する(ステップST16)。
すなわち、制御部20は、ステップST12において、いずれの通信方式でデータリングが確立されているか認識しているため、その通信方式に対応する通信速度の最大値および最小値をメモリ12から読み出す。また、ステップST15により、ダウンロードの対象データのサイズを取得している。
通信速度の最大値をmax_R、通信速度の最小値をmin_R、ダウンロード対象データのデータ量をDSとすると、制御部20は、対象データをダウンロードするために要する時間の最長時間LPおよび最短時間SPを、それぞれ、以下(1)および(2)式に従って算出する。

最長時間LP=DS/min_R … (1)

最短時間SP=DS/max_R … (2)
【0036】
上述したように算出された最長時間LPおよび最短時間SPは、図4の画面SC3に例示するフォーマットで表示される(ステップST17)。その際、制御部20は、ダウンロードを行うか否かについてユーザに選択可能に表示する(画面SC3)。なお、ダウンロードを行うか否かについてユーザに選択させるための表示は、本発明の選択手段の一実施形態である。
画面SC3において、ユーザが「はい」を指定して決定キー15eを押下すると、ダウンロードが開始される。
【0037】
ウェブからダウンロードの指示を行った後の処理
次に、ウェブからデータのダウンロードが開始された後の処理について、図4に関連付けて述べる。
ダウンロードが開始されると、基地局から割り当てられた通信方式のチャネルによる正確な通信速度(現在通信速度)を求めることができる。すなわち、所定時間の間に取得したデータ量により実際の通信速度である現在通信速度ARが算出できる。
さらに、対象データをすべて取得してダウンロードを完了させるのに要する時間(残時間RP)を算出することができる。すなわち、すでに取得したデータ量をASとして、残時間RPを、下記(3)式に従って算出する。

残時間RP=(DS−AS)/AR … (3)
【0038】
また、データの取得がどの程度進捗したかを示すデータの取得率ART(%)を、下記(4)式に従って算出する。

取得率ART=(AS/DS)×100 … (4)

制御部20は、算出した残時間RPおよび取得率ARTを、たとえば、図4の画面SC4に例示するように表示する。
図4の画面SC4に示す表示例では、取得率ARTを「ダウンロード中」の後に、残時間RPを「残りあと」の後に、表示するように画面を構成している。そして、取得率ARTをユーザが認識しやすいように、プログレスバーにより表示している。
【0039】
ここで、(3)式により算出された残時間RPを実時間で逐次算出して表示させると、表示される残時間RPの変動が大きく、ユーザにとって煩雑となる場合がある。
たとえば、データリングを確立する際に、基地局より指定された通信方式(チャネル)において、データ通信を行なっているエリアのエアーの状況によっては現在通信速度ARが変動する。また、データ通信中に、データリングを最初に確立したときに指定された通信方式(チャネル)が存在しないエリアに移動した場合には、そのエリアでデータ通信が維持できる他の通信方式に基地局主導で自動的に切替わるようになっており、この場合にも現在通信速度ARが変動する。
したがって、かかる場合には、表示される残時間RPが大きく変動してしまう。
【0040】
そこで、ダウンロードが開始された後は、通信速度が変動する毎に、残時間RPをそのまま表示するのではなく、所定回数だけ現在通信速度ARを求め、その平均通信速度ave_ARを算出する。
たとえば、所定回数を3回とし、n回目の現在通信速度をAR(n)としたならば、3回目の現在通信速度が求められた時点で、平均通信速度ave_ARを下記(5)式に従って算出する。

平均通信速度ave_AR=(AR(1)+AR(2)+AR(3))/3 … (5)

また、4回目の現在通信速度が求められた時点で、平均通信速度ave_ARを下記(6)式に従って算出する。

平均通信速度ave_AR=(AR(2)+AR(3)+AR(4))/3 … (6)
【0041】
以後、同様に、平均通信速度ave_ARを移動平均により算出する。なお、上述の所定回数を3回としたのは一例であって、実際の通信速度の変動幅を考慮して適宜最適な値を設定することができる。
【0042】
また、平均通信速度ave_ARの算出のためのベースとなる現在通信速度ARは、適切なタイミングで更新して算出するようにしてもよい。
たとえば、データ通信中に、データリングを最初に確立したときに指定された通信方式(チャネル)が存在しないエリアに移動した場合など、通信方式が切り替わった場合には、基地局からチャネル切替えメッセージを受信する。したがって、このチャネル切替えメッセージを受信した後の通信速度は大きく変動する可能性が高いので、このタイミングの後に再度所定回数分の現在通信速度ARを求め、平均通信速度ave_ARを算出するようにすることが望ましい。
【0043】
ダウンロードが完了すると、図4の画面SC5およびSC6に例示するように表示がされ、ダウンロードが完了したことをユーザに認識させる。
【0044】
以上説明したように、本実施形態に係る携帯電話機1によれば、複数の通信方式によるデータ通信が可能である場合に、各通信方式毎の通信速度の最大値および最小値に基づいて、ダウンロードを開始する前に、データの取得に要する目安時間(データ取得に要する時間の幅)を表示するので、ユーザは、表示された目安時間に基づいてダウンロードを実際に行なうか否かを判断することができる。したがって、ユーザは、期待していたデータ取得時間よりも実際にダウンロードに要する時間が長いと判断した場合には、ダウンロードを行なわずに済み、当該ユーザにとって無駄な時間を削減することが可能となる。
【0045】
また、本実施形態に係る携帯電話機1によれば、ダウンロードが開始された後には、ダウンロードの完了に要する残時間を逐次更新して表示するように構成したので、ユーザは、表示される残時間に応じて、ダウンロードを継続するか否かを判断することができる。また、仮にダウンロード中に残時間が表示されないとしたならば、あと少しの時間待つだけでダウンロードが完了するような場合であっても、ユーザがダウンロードをキャンセルすることがあり得るが、残時間が表示されればこのような状況が解消され、所望の情報に対する取得機会を逸することがない。
【0046】
また、本実施形態に係る携帯電話機1によれば、ダウンロードが開始された後には、ダウンロードの完了に要する残時間をそのまま表示するのではなく、複数回計算した通信速度の平均通信速度に基づいて残時間を表示するように構成したので、エア環境やエリア間の移動等によって通信速度が変動した場合であっても、安定した信頼できる残時間が表示される。したがって、ユーザは、表示される残時間に応じて、ダウンロードを継続するか否かをより適切に判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】実施形態に係る携帯電話機のシステム構成を示すブロック図である。
【図2】実施形態に係る携帯電話機の外観図である。
【図3】実施形態に係る携帯電話機の処理を示すフローチャートである。
【図4】実施形態に係る携帯電話機の表示画面の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0048】
1…携帯電話機
11…通信処理部
111…送受信アンテナ
12…メモリ
13…音声処理部
131…スピーカ
132…マイクロフォン
14…表示部
15…キー入力部
20…制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示手段と、
複数の通信方式のいずれかに従ってネットワークに接続し、データを取得可能な通信手段と、
前記複数の通信方式毎に、通信速度の最大値および最小値を記憶する記憶手段と、
ネットワークからデータを取得する指示がされたとき、前記データのデータ量と、使用する通信方式の通信速度についての最大値および最小値とに基づいて、前記データの取得に要する時間のうち、最長時間または最短時間の少なくともいずれかを算出し、前記表示手段に表示させる制御手段と
を有することを特徴とする移動通信装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記データの取得が開始された後、所定時間内に取得したデータ量から現在通信速度を算出し、前記データのデータ量と取得済みのデータ量の差分と、前記現在通信速度とに基づいて、前記データの取得の完了に要する残時間を算出し、前記データの取得の完了に要する残時間を前記表示手段に表示させる
ことを特徴とする請求項1記載の移動通信装置。
【請求項3】
前記制御手段は、
前記現在通信速度を算出する処理を複数回行い、当該複数回の処理結果の平均を通信速度として、前記データの取得の完了に要する残時間を算出する
ことを特徴とする請求項2記載の移動通信装置。
【請求項4】
前記データの取得に要する時間を表示させる時に、前記データの取得を開始するか否かについての選択手段を設けた
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一に記載の移動通信装置。
【請求項5】
前記通信手段は、
前記データを、前記ネットワーク上の共通のサーバ装置から取得する
ことを特徴とする請求項1記載の移動通信装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2006−67359(P2006−67359A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−248899(P2004−248899)
【出願日】平成16年8月27日(2004.8.27)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】