説明

穀物粒に由来する乳化剤

本発明は,油相及び水相の安定した乳濁液/分散液を調製する方法に関するものであり,オーツ麦又は大麦穀粒に由来するβ−グルカン類の豊富な基質が有効な乳化成分である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,油類及び他の非水混和性の液体と,水又は主として水溶液及び懸濁液との安定した乳濁液,又は非分離性混合物を調製する方法に関するものであって,乳化及び安定化を,オーツ麦又は大麦由来のβ−グルカン類の豊富な材料により生じさせる。乳濁液は,完全脂肪及び脂肪低減マヨネーズ類,ドレッシング類,ディップ類及びスプレッド類等の多数の食品用,並びに天然乳濁液を必要とする化粧品製剤用の基材として用いられる。
【背景技術】
【0002】
食品産業においては,油及び水の豊富な相が安定化された混合物及び乳濁液が製造され,利用される多種の領域がある。具体的な製品は,マヨネーズ類,ドレッシング類,ディップ類,並びに,マーガリンの食用油/脂肪及びバターベースタイプのスプレッド類である。
【0003】
多数のこれらの製品に関して,乳化及び乳濁液の安定性は,界面活性剤である周知の乳化剤を用いて達成される。これらの中でも,レシチン及び多数のモノ−グリセリド類及びジ−グリセリド類が最も利用される。モノ−グリセリド類は,低脂肪,高含水スプレッド類の製造に特に有用である。英国特許第574,389号は,この分野の原型特許の1つである。
【0004】
特に上記の製品範囲の中で,脂肪含量を減じた,より健康的な製品に対する関心と消費者の需要が増大している。乳濁液を含んで成る脂肪低減食品の調製に関して認められた方法があり,多くの特許化された方法論が存在する。例としては:脂肪低減及び低脂肪スプレッドに焦点を当てた欧州特許出願公開第0 420 315号,欧州特許出願公開第0 422 712号,米国特許第4,849,243号がある。
【0005】
最近,イヌリン等の可溶性繊維タイプの多糖類及びオリゴ糖類を混入し,水との結合性を改善し,内部の総脂肪を低下させ,ドレッシング類及びスプレッド類等の乳化製品の水性成分を増粘させることに大きな関心が向けられている。イヌリンを含有する低脂肪乳化ドレッシングのための方法は,欧州特許出願公開第0 792 587号に記載されている。しかしながら,レシチンが豊富である卵黄が,乳化剤として使用され,最終ドレッシングを製造するには高せん断乳化が用いられる。イヌリン等の可溶性繊維は,又,前生物的材料であることが認められており,ヒトにおける良好な腸内健康を促進すると考えられ,したがって,食品におけるそれらの組込みは健康の観点からも興味深い。しかしながら,上記のとおり,多くのこのような製品において標準的な乳化剤のうちの1種を添加すること,又は,実際には,同様の機能を発揮し,もはや自然物とは言えない少なくとも化学的に修飾された澱粉を混入することが必要である。
【0006】
澱粉は又,例えば,米国特許第4,591,507号にあるように低脂肪マヨネーズ類等の製品,及びスプレッド類における脂肪代替品として広く用いられるが,標準的な乳化剤の添加は,澱粉が化学的に修飾されない限り殆ど常時必要である(日本特許出願公開2000−236810号)。したがって,特に有益な可溶性繊維成分を,最終製品に混入することができる場合,又,特に脂肪低減食品及び低脂肪食品が,簡便で信頼性のある様式で製造できる場合は,ドレッシング類,マヨネーズ類及びスプレッド類等の製品を乳化し,安定化できる自然物を利用することが有利となることが認識されている。しかしながら今日まで,これは困難であることが判っており,このような製品の容易な製造を可能にする天然成分及び方法は極めて少ない。
【0007】
欧州特許出願公開第1 361 264号は,イネ科のβ−グルカン類を含有する脂肪又は油組成物を開示しており,これらは,好ましくは,低分子量,すなわち,分子量が500,000ダルトン未満,多くの場合200,000ダルトン未満,より多くの場合100,000ダルトン未満を有するβ−グルカン類を使用して高温で製造される。このようなβ−グルカン類から作製された乳濁液は,安定した乳濁液を得るために,高せん断混合装置を用いて激しく攪拌しなければならない。非高せん断混合を用いると,該乳濁液の相分離をもたらすことになる。
【0008】
本発明は,これらの多くの問題を扱っている。我々は,食用油,脂肪及び水中における他の非水混和性の液体の安定した乳濁液を製造する天然乳化剤を発見した。さらに,該乳濁液は,この乳化剤を用いて高エネルギー又は高せん断混合に対する材料無しで製造される。この乳化剤は,脂肪低減マヨネーズ類,ドレッシング類,ディップ類,完全脂肪及び脂肪低減スプレッド類,ソース類等の食品,又,アトピー適用のための乳化化粧品用に用いられる乳濁液を製造するために使用できる。本発明において,健康によい(1−3),(1−4)−β−D−グルカン類が豊富であるオーツ麦又は大麦穀粒から得られた材料は,安定した乳濁液及び分散液の形成を可能にする特定の方法で利用される。
【0009】
発明の概要
本発明は以下のことを目的としている:
1.オーツ麦又は大麦穀粒に由来するβ−グルカン類の豊富な基質(単離されたフスマ部分から成り得る)が,有効乳化成分及び安定化成分である,油相及び水相の安定した乳濁液/分散剤を製造すること。
2.段階的順序で安定した乳濁液/分散剤を得ること:β−グルカン類の豊富な粉末又は粒状体(granulate)を,油相又は油相の一部に添加し,混合し,分散させ,次いで,同時に混合し,攪拌しながら水相を添加すること。水相は,添加前に,必須ではないが約30℃に温めることが好ましく,しかし通常は,室温又は周囲温度,すなわち20℃から22℃近辺に保たれる。しかしながら,安定した乳濁液は,それが必要又は好適である場合,より低温でも形成される。
3.従来から製品に用いられている脂肪と置き換えるか,又は部分的に置き換えるために,バター,他の食用脂肪及び水の混合物,又は脂肪,油及び水の任意の好適な組み合わせに基づく,完全脂肪及び脂肪低減マヨネーズ類,ドレッシング類,ディップ類など,脂肪低減スプレッド類,脂肪低減及び通常脂肪ソース,ベーキング製品及び他の製品のための脂肪低減材料など,多数の食品のための基材として好適である乳濁液/分散剤を得ること。
4.本発明の方法を用いて,前記に掲げたカテゴリーにおける加工品を製造すること。或いは,アトピー適用のための化粧品を,同じ発明方法を用いて調製できる。
【0010】
段階的な方法に従い,かつ,β−グルカン類の豊富な配合物が,最終混合物調合物の2%から10%の間の濃度,任意に25%までの濃度で添加されることを条件に,驚くべきことに,少なくとも100万ダルトンの平均分子量を有することが明白なβ−グルカン類を,乾燥重量を基準にして,少なくとも12重量%,好ましくは少なくとも13重量%,より好ましくは少なくとも14重量%,さらにより好ましくは15重量%含有するオーツ麦及び/又は大麦穀粒,又は,フスマの基質は,油類等の非水混合性の液体と水との混合液,又は,乳濁液又は分散液としての主として水溶液及び懸濁液を乳化し,安定化できることを発見した。該段階的方法は以下のとおりである:
A.好ましくは乾燥粉末又は粒状体形態で,必要量のβ−グルカン類の豊富な材料を,最低スピードのキッチンミキサー又はスプーンなどで攪拌,混合又は他の好適な攪拌をしながら油相,又は油相の一部に添加し,粒状基質が媒体に分散され,各粒子が油で湿潤化するまで攪拌を実施する。この混合物を,任意に30℃以上,40℃未満に加温して分散の改善を促進できる。この段階で必要ならば,さらに油を添加することができる。
B.次に水又は主として水性成分を,高せん断又は高エネルギーミキサー又は混合システムを使用せずに,同時攪拌,混合又は他の好適な方法で攪拌しながら添加すると,混合物のβ−グルカン成分が加えられた水を急速に吸収して膨潤し,同時に2相を一緒にして1つの安定した乳濁液/分散液にする。水性成分を,添加及び混合前に30℃以上に加温し,使用される温度で混合を実施することは有利であるが,必須ではない。
C.加温する場合,混合物を放冷するか,又は積極的に冷却することが好ましいが,必ずしも必要ではなく,一方,攪拌は続ける。
【0011】
マーガリンタイプのスプレッドの場合,この最終相は勿論,完全脂肪及び脂肪低減スプレッド類の当業者にとって周知の連続冷却かき取り法(continuous cold-scraping procedure)であり得る。
【0012】
該油相は,溶融状態における任意の食用植物油又は植物脂肪,又は食品が所望の最終製品である溶融状態におけるバター又はバター脂肪等の任意の動物脂肪又は脂肪の豊富な材料であり得る。このような油脂の例は:エキストラバージン,バージン及びコールドプレス形態でのオリーブ油,従来どおりの,又はコールドプレスで調製されるナタネ油,ヒマワリ油,大豆油,トウモロコシ油,綿実油,ピーナッツ油,ゴマ油,シアナッツ脂,小麦胚芽油等の穀類胚芽油,グレープ核油,パーム油及びパーム核油,アマニ油,ヤシ油,バター及びバター脂肪,硬化植物油,魚油,又はこれら材料の任意の配合物及び組み合わせである。このリストは,単なる例示であり,本発明は勿論,再生可能な資源及びそれらの混合物に由来する全ての油脂類を利用できる。最終製品が化粧品,すなわちアトピー適用のための乳濁液又は分散液である場合,確立された化粧品及び芳香油類は,本発明に含まれる。
【0013】
β−グルカン類の豊富な材料は,オーツ麦又は大麦穀粒から乾燥粉砕し,その後エタノール処理をしたか,又はしないタイプのものであり得て,又はアルカリ,若しくはアルファアミラーゼ等の酵素処理を用いて,オーツ麦又は大麦穀粒或いはフスマから湿潤抽出(wet-extracted)された粉末であり得る。本発明は,β−グルカン類の豊富な成分の調製法とは係わりなく,本文脈においては,その利用についてのみに係わる。主要な評価基準は,記載された乳濁液及び分散液を安定化するためのものである。添加された成分のβ−グルカン類の構成成分は,乾燥物質を基準にして少なくとも12%であり,そのβ−グルカン類は,少なくとも100万ダルトンの平均分子量を有するべきである。
【0014】
好適な材料の例は:
オーツ麦又は大麦の全粒からの,又は該穀粒から粉砕された濃縮フスマからの,水又はアルカリ抽出物であって,引き続き中和し,次いで,粉末へと乾燥するか,或いは,乾燥前にエタノール又は他の有機溶媒,又はエタノール又は他の有機溶媒と水との混合液中に沈殿させる。後者の沈殿段階により,材料のβ−グルカン類含量をさらに高めることができる。
【0015】
アルファアミラーゼ等の澱粉分解酵素による処理後,β−グルカンが可溶化される湿潤抽出により,オーツ麦穀物又はフスマから調製された材料。湿潤粉砕は又,抽出法の構成要素であり得る。引き続きこの抽出物を粉末状に乾燥するか,或いは乾燥前にエタノール又は他の有機溶媒,又はエタノール又は他の有機溶媒と水との混合液中に沈殿させる。後者の沈殿段階により,材料のβ−グルカン類の含量をさらに高めることができる。
【0016】
上記2つの方法に組み合わせにより製造された材料。脱穀又は粉砕前に加熱処理され,該穀粒のサブアリューロン及びアリューロン成分を含有するβ−グルカン類が,空気分級等の物理的手段により富む,粉砕オーツ麦穀粒又はフスマであって,それは又,脂肪及び糖含量を減少させるために,エタノール又はこのような溶媒とさらに処理することによって,β−グルカン類の含量をさらに富ませる。これらの材料は又,穀粒由来の不溶性フスマタイプの繊維の大部分を含有する。
【0017】
このリストは,乾燥物質を基準にして12%以上のβ−グルカン類を含有し,成分が100万ダルトンより高い平均分子量を有するオーツ麦又は大麦穀粒及び/又はフスマからの任意の配合物は本発明の方法に利用できる。これら特定のβ−グルカン類は,正しくは(1−3),(1−4)−β−D−グルカン類として分類され,オーツ麦又は大麦穀粒のサブアリューロン層及びアリューロン層に主に見られることが,化学及び穀類の加工当業者により理解されている。
【0018】
β−グルカン類の豊富な材料は,粉末形態で利用されることが好ましいが,粒状体又は同様の粒子固体状態の形態でもあり得る。
【0019】
発明の詳細な説明
本発明によれば,オーツ麦又は大麦穀粒又はフスマに由来するβ−グルカン類の豊富な材料は,油類及び/又は他の非水混和性の液体及び水の安定した分散液及び/又は乳濁液,或いは,主として水溶液及び懸濁液を製造する,有効な乳化成分及び安定化成分である。
【0020】
本発明は,特に油相及び水相の安定した乳濁液及び/又は分散液を調製する方法に関するものであり,1,000,000ダルトンより高い分子量を有する,少なくとも12重量%のβ−グルカン類を含有するβ−グルカン類の豊富な粉末又は粒状体を,段階的順序で油相又は油相の一部に添加し,混合及び分散させ,次いで,同時混合及び攪拌しながら40℃未満の温度で水相を添加して,水中油乳濁液又は油中水乳濁液を形成する。油−水乳濁液及び/又は分散液は,段階的様式で製造され,第一のステップが,水の不在下でのβ−グルカン類の豊富な成分と油相との混合であって,油相との分散,及びβ−グルカン類の豊富な粒子の表面湿潤化を確保する。次いで,引き続き,水相を攪拌しながら添加する。
【0021】
油中のβ−グルカン類の豊富な材料の懸濁液を加温し,さらに30℃より高く40℃以下の温度において水相を添加することは有利であるが,必須ではない。これにより,β−グルカン類の豊富な材料の急速な膨潤化,油−水混合液中の有効な乳化及び安定化が促進される。
【0022】
本発明の本質的な特徴は,低せん断混合又は非せん断混合を用いて混合及び攪拌を行うことであり,したがって,せん断力を使用せずに,複雑でエネルギーを消費する高せん断混合法及び装置が避けられる。
【0023】
β−グルカン類の豊富な基質を油相へ混合する第一段階の混合は,標準ミキサー(例えば,キッチンミキサー又は工業ミキサー),攪拌機,ブレンダー又は任意の好適な混合法を用いて容易に達成される。水相の添加の際に,混合は又,水中油乳濁液及び油中水乳濁液を作製するために通常用いられる高せん断混合タイプを含み得る標準ミキサー(例えば,キッチンミキサー又は工業ミキサー),攪拌機,ブレンダー又は任意の好適な混合法を用いて達成される。
【0024】
好ましい実施形態において,乳濁液/分散液は,少なくとも10%のβ−グルカン類,好ましくは12%より高いβ−グルカン類を含有し,成分が,少なくとも100万ダルトンの平均分子量を有することが明白なオーツ麦又は大麦穀粒又はフスマから得られる有効成分を用いて達成される。この成分は,粉末又は粒状体として得られることが好ましく,次いで,第一に,必須ではないが,好ましくは,最終製品質量の1重量%から10重量%の間,任意に25重量%までの添加レベルで加温しながら分散される脂肪又は油等の非水混合性液体中で攪拌する。次に水性成分を,必須ではないが,好ましくは,攪拌しながら30℃以上の温度で添加し,安定した乳濁液/分散液が,β−グルカン類成分の膨潤化及び増粘化の際に形成される。乳濁液/分散液内の油性成分対水性成分の比率は,10%の油性成分/90%の水性成分から,80%の油性成分/20%の水性成分までの範囲である。
【0025】
ベータグルカン類成分に存在するベータグルカン類の分子量は,少なくとも1,000,000ダルトン,好ましくは少なくとも1,500,000ダルトン,より好ましくは2,000,000ダルトン,さらにより好ましくは3,000,000ダルトンである。
【0026】
オーツ麦及び大麦フスマからの製剤に関連するデキストリン類及び他のフスマ誘導体を通常含んで成るベータグルカン類成分は,β−グルカン類の少なくとも12重量%,好ましくはβ−グルカン類の少なくとも13重量%,より好ましくはβ−グルカン類の少なくとも14重量%,さらにより好ましくはβ−グルカン類の少なくとも15重量%,さらにより好ましくはβ−グルカン類の少なくとも20重量%,さらになおより好ましくはβ−グルカン類の少なくとも25重量%を含有する。
【0027】
好ましい実施形態において,必要な分子量のβ−グルカン類を少なくとも12%,好ましくは14%より高く含有するオーツ麦又は大麦穀粒又はフスマに由来する粉末又は粒状体を,2重量%から20重量%の間のレベルで,多くの中でもオリーブ油,ナタネ油,トウモロコシ油,ヒマワリ種子油等の食用植物油に添加し,攪拌,混合又は他の好適な混合法により油に混入する。次いで,水又は水溶性成分を含有する溶液であり得る水性材料を,必須ではないが,好ましくは,30℃以上の温度で,攪拌,混合又は他の好適な混合法により,20%から80%の間の範囲の比率で,油の豊富な混合物に添加する。この段階で卵,ビネガー,食塩,砂糖,他の調味料,酸性調節剤,食品にきめを出す添加剤(texturant),安定化剤,保存剤を含む他の成分を任意に添加できる。完全脂肪及び脂肪低減マヨネーズ類,完全脂肪及び脂肪低減ドレッシング類及びディップ等の多数の食品用の基材として容易に用いられる安定した乳濁剤/分散剤が形成される。
【0028】
好ましい実施形態において,必要な分子量のβ−グルカン類を少なくとも12%,好ましくは14%より高く含有する,オーツ麦又は大麦穀粒又はフスマに由来する粉末又は粒状体を,2重量%から20重量%の間のレベルで,特にコールドプレス又は従来のナタネ油,コールドプレス又はエキストラバージンオリーブ油など,50%までの他の植物油を任意に含有する溶融バター又はバター脂肪に添加し,攪拌,混合又は他の好適な混合法により脂肪に混合する。次いで,水又は水溶性成分を含有する溶液であり得る水性材料を,必須ではないが,好ましくは,30℃以上の温度で,攪拌,混合又は他の好適な混合法により,20%から80%の間の範囲の比率で,油の豊富な混合物に添加する。この段階で,食塩,他の調味料,着色剤,酸性調節剤,食品にきめを出す添加剤,安定化剤,保存剤を含む他の成分を任意に添加できる。一連の脂肪低減のバターベースのスプレッド類の,又はペストリー類,クロワッサン類,ビスケット類及びクッキー類等の多数のベーキング製品中のバター又はバター脂肪の脂肪低減代替品,又は部分代替品としての製剤を製造するために,攪拌しながら冷却できる安定した乳濁剤/分散剤が形成される。
【0029】
好ましい実施形態において,必要な分子量のβ−グルカン類を少なくとも12%,好ましくは14%超を含有するオーツ麦又は大麦穀粒又はフスマに由来する粉末又は粒状体を,2重量%から20重量%の間のレベルで,調理用,ベーキング用,スプレッド用の,溶融された従来の脂肪マーガリン(すなわち,75〜85%脂肪含量)に添加し,攪拌,混合又は他の好適な混合法により液体脂肪に混入する。次いで,水又は他の水溶性成分を含有する溶液であり得る水性材料を,必須ではないが,好ましくは,30℃以上の温度で,攪拌,混合又は他の好適な混合法により,20%から80%の間の範囲の比率で脂肪の豊富な混合物に添加する。この段階で食塩,他の調味料,着色剤,酸性調節剤,食品にきめを出す添加剤,安定化剤,保存剤を含む他の成分を任意に添加できる。ペストリー類,ケーキ類,クロワッサン類,パン類,ビスケット類及びクッキー類等の製品中の従来の脂肪又はマーガリンの代替品,又は部分代替品としての,調理におけるスプレッド類,又は,ベーキング用材料として使用するための,一連の脂肪低減マーガリン類用の製剤を製造するために,攪拌しながら冷却できる安定した乳濁剤/分散剤が形成される。
【0030】
好ましい実施形態において,必要な分子量のβ−グルカン類を少なくとも12%,好ましくは14%より高く含有する,オーツ麦又は大麦穀粒又はフスマに由来する粉末又は粒状体を,溶融硬化脂肪,特にココナッツ脂肪又はヤシ殻油等,すなわち,20〜25℃及びそれより高温の溶融指標を有し,特にコールドプレス又は従来のナタネ油,コールドプレス又はエキストラバージンオリーブ油,ヒマワリ油等の他の植物油を50%まで任意に含有するこれらの脂肪に添加し,攪拌,混合又は他の好適な混合法により液体脂肪に混合する。次いで,水又は水溶性成分を含有する溶液であり得る水性材料を,必須ではないが,好ましくは,30℃以上の温度で,攪拌,混合又は他の好適な混合法により,20%から80%の間の範囲の比率で,脂肪の豊富な混合物に添加する。この段階で食塩,他の調味料,着色剤,酸性調節剤,食品にきめを出す添加剤,安定化剤,保存剤を含む他の成分を任意に添加できる。一連の脂肪低減スプレッド類のための製剤を製造するために,攪拌しながら冷却できる安定した乳濁剤/分散剤が形成される。
【0031】
好ましい実施形態において,必要な分子量のβ−グルカン類を少なくとも12%,好ましくは14%より高く含有する,オーツ麦又は大麦穀粒又はフスマに由来する粉末又は粒状体を,2重量%から20重量%の間のレベルで,特にコールドプレス又は従来のナタネ油,コールドプレス又はエキストラバージンオリーブ油等の他の植物油を50%まで任意に含有する,多くの中でもオリーブ油,ナタネ油,トウモロコシ油,ヒマワリ種子油等の食用植物油に添加し,攪拌,混合又は他の好適な混合法により液体脂肪に混入する。次いで,水又は他の水溶性成分を含有する溶液であり得る水性材料を,必須ではないが,好ましくは,30℃以上の温度で,攪拌,混合又は他の好適な混合法により,20%から80%の間の範囲の比率で,脂肪の豊富な混合物に添加する。ペストリー類,ケーキ類,クロワッサン類,ビスケット類,マフィン類及びパン類等の多数のベーキング製品に従来から用いられる脂肪を,完全又は部分的に置き換えるために,脂肪低減材料として用いることのできる安定した乳濁剤/分散剤が形成される。
【0032】
好ましい実施形態において,必要な分子量のβ−グルカン類を少なくとも12%,好ましくは14%より高く含有する,オーツ麦又は大麦穀粒又はフスマに由来する粉末又は粒状体を,1重量%から80重量%の間のレベルで,バター,バター脂肪,ココナッツ脂肪等の硬化脂肪を任意に含むこともできる,多くの中でもオリーブ油,ナタネ油,トウモロコシ油,ヒマワリ種子油,又はこのような油類の混合物等の食用植物油に添加し,攪拌,混合又は他の好適な混合法により,任意に30℃以上の温度で攪拌しながら油に混入する。次に,β−グルカン類の豊富な材料の懸濁化し,湿潤化した粒子を沈殿させ,及び/又は活発に遠心分離し,過剰の油を,手動又は機械的にデカントするか,又はろ過により除去する。次いで,残った油により湿潤化し,コーティングされた材料を,低脂肪マヨネーズ類,ドレッシング類,ディップ類,スプレッド類,ソース類の範囲にある乳濁液及び安定した分散液の迅速な形成を促進するための成分として利用し,水が,β−グルカン成分を介して製品に結合する脂肪代替剤に対する基材として利用する。
【0033】
好ましい実施形態において,必要な分子量のβ−グルカン類を少なくとも12%,好ましくは14%より高く含有する,オーツ麦又は大麦穀粒又はフスマに由来する粉末又は粒状体を,1重量%から20重量%の間のレベルで,皮膚軟化剤又は芳香油に添加し,攪拌,混合又は他の好適な混合法により油に混合する。次いで,水又は他の水溶性成分を含有する溶液であり得る水性材料を,必須ではないが,好ましくは,30℃以上の温度で,攪拌,混合又は他の好適な混合法により,20%から80%の間の範囲の比率で,脂肪の豊富な混合物に添加する。この段階で,保存剤,他の水溶性化粧品用添加物を添加することができる。アトピー適用のための化粧品又は直接化粧品としての製剤に用いることができる,安定した乳濁剤/分散剤が形成される。用途としては,特に,スキンローション類及びクリーム類,日焼け止め及び日焼け後のクリーム類を含む。
【0034】
好適な実施形態の説明
実施例1:脂肪低減マヨネーズ
オーツ麦フスマから抽出され,β−グルカン類の他にデキストリン類を含んで成り,平均分子量が少なくとも150万ダルトンの28%β−グルカン類を含有するβ−グルカン類の豊富な粉末を,1リットルのガラスビーカー中,195gのヒマワリ油に添加した。25gの該粉末を,均一で塊の無い分散液が得られるまで(約30秒の混合),油中で,低速で標準的なキッチンミキサーを用いた機械的攪拌により混合した。基質を含有するβ−グルカン類は,脂肪により湿ってきた。同じキッチンミキサーを用いて同時に混合しながら,40℃に温めた195gの水を懸濁液に添加した。急速な増粘化及びβ−グルカン成分により媒介された油への水の混入が観察された。他の材料:20gの卵黄,10gの全卵,7gの砂糖,5gの食塩,及び13gのビネガーを添加する時間の間,さらに4分間混合を続けた。この混合物を室温に冷却し,さらに1分間攪拌した。
【0035】
規定された脂肪低減マヨネーズ製品(従来の完全脂肪製品の80%に対して総脂肪が40%)は,良好な口当たり,風味及びこくをもたらした。この製品中のβ−グルカン成分は,乳濁液/分散液の安定化剤,食品にきめを出す添加剤及び親水コロイドとして機能する。
【0036】
実施例2:健康的なドレッシング
実施例1に用いられた同じβ−グルカン類の豊富な粉末(平均分子量が150万ダルトンより高い28%β−グルカン類を含有する)20gを,標準的なキッチンミキサーを用いて攪拌しながら,1リットルのガラスビーカー中,100gのヒマワリ油に添加した。混合物が均一で塊が無くなれば(2分未満の混合時間),同じキッチンミキサーを用いて同時に混合しながら,35℃に温めた315gの水を懸濁液に添加した。急速な増粘化及びβ−グルカン成分により媒介された油への水の混入が観察された。他の材料:20gの卵黄,10gの全卵,7gの砂糖,5gの食塩,13gのビネガー及び8gのミルクタンパク質単離体を添加する時間の間,さらに4分間混合を続けた。この混合物を室温に冷却し,さらに1分間攪拌した。
【0037】
冷蔵庫で冷却後,この製品は,全ての点(味,口当たり,こく,着色など)で,典型的なディップ又は高品質ドレッシングであった。20%の総脂肪含量により,標識低減脂肪(label reduced fat)は,このような製品において快適に使用できる。
【0038】
実施例3:脂肪低減ディップ
実施例1に用いられた同じβ−グルカン類の豊富な粉末(平均分子量が150万ダルトンより高い28%β−グルカン類を含有する)2gを,標準的なキッチンミキサーを用いて攪拌しながら,1リットルのガラスビーカー中,50gのヒマワリ油に添加した。混合物が均一で塊が無くなれば(2分未満の混合時間),同じキッチンミキサーを用いて同時に混合しながら,35℃に温めた365gの水を懸濁液に添加した。急速な増粘化及びβ−グルカン成分により媒介された油への水の混入が観察された。他の材料:20gの卵黄,10gの全卵,7gの砂糖,5gの食塩,13gのビネガー及び8gのミルクタンパク質単離体を添加する時間の間,さらに4分間混合を続けた。この混合物を室温に冷却し,さらに1分間攪拌した。
【0039】
冷蔵庫で冷却後,この製品は,全ての点(味,口当たり,こく,着色など)で典型的なディップ又は高品質ドレッシングであった。10%の総脂肪含量により,標識低減脂肪は,このような製品において快適に使用できる。
【0040】
実施例4:バターベースのスプレッド
100gの標準的な低塩バターを,400mlのガラスビーカーに入れ,このビーカーを40℃に維持された水槽中に入れることにより溶融させた。バターが溶融すると,上記の実施例1及び実施例2に用いられた同じオーツ麦β−グルカン類の豊富な配合物10gを,混合しながら液体バターに添加した。さらに2分の混合後,懸濁液は均一で塊が無くなり,この時点でキッチンミキサーを用いて迅速に攪拌しながら,35℃に温めた100gの水を混合物に添加した。さらに1.5gの食塩を,攪拌時間(3分)中に添加した。2分以内で,β−グルカン成分が増粘し,同時に溶融バターの水への混入を促進させた。次に,このビーカーを氷槽に移し,混合物が5℃の温度に達するまで,同じキッチンミキサーを用いて攪拌を続けた。
【0041】
この製品は,冷蔵庫から出すとすぐに容易に塗ることができ,原料のバターに極めて似た味がすることが判り,丁度40%の脂肪含量を有し,品質良好のスプレッドと一致する組成及び口当たりを有した。
【0042】
実施例5:脂肪低減マーガリン
100gの標準的なマーガリンを,400mlのガラスビーカーに入れ,40℃に維持された水槽中に入れることにより溶融させた。マーガリンが溶融すると,上記の実施例1及び実施例2に用いられた同じオーツ麦β−グルカン類の豊富な配合物10gを,混合しながら液体バターに添加した。さらに2分の混合後,懸濁液は均一で塊が無くなり,この時点でキッチンミキサーを用いて迅速に攪拌しながら,35℃に温めた100gの水を混合物に添加した。さらに1.5gの食塩を,攪拌時間(3分)中に添加した。2分以内で,β−グルカン成分が増粘し,同時に溶融マーガリンの水への混入を促進させた。次に,このビーカーを氷槽に移し,混合物が5℃の温度に達するまで同じキッチンミキサーを用いて攪拌を続けた。
【0043】
この製品は,冷蔵庫から出すとすぐに容易に塗ることができ,原料のマーガリンに極めて似た味がすることが判り,丁度40%の脂肪含量を有し,品質良好のスプレッドと一致する組成及び口当たりを有した。
【0044】
実施例6:ベーキング用マーガリン
120gの標準的なベーキング用マーガリンを,400mlのガラスビーカーに入れ,このビーカーを40℃に維持された水槽中に入れることにより溶融させた。マーガリンが溶融すると,上記の実施例1及び実施例2に用いられた同じオーツ麦β−グルカン類の豊富な配合物10gを,混合しながら液体バターに添加した。さらに2分の混合後,懸濁液は均一で塊が無くなり,この時点でキッチンミキサーを用いて迅速に攪拌しながら,35℃に温めた80gの水を混合物に添加した。さらに1.5gの食塩を,攪拌時間(3分)中に添加した。2分以内で,β−グルカン成分が増粘し,同時に溶融マーガリンの水への混入を促進させた。次に,このビーカーを氷槽に移し,混合物が5℃の温度に達するまで同じキッチンミキサーを用いて攪拌を続けた。
【0045】
この製品は,冷蔵庫から出すとすぐに容易に塗ることができ,原料のマーガリンに極めて似た味がすることが判り,丁度50%の脂肪含量を有し,品質良好のスプレッドと一致する組成及び口当たりを有した。この製品は,2つの特定のベーキング用途:スイート「デニッシュ」ペストリーレシピ及びフラン又はキッシュロレーヌの標準的なショートクラストペストリーに利用された。どちらの場合においても,通常のマーガリンの代りに新たな混合物が用いられた。通常の完全脂肪ペストリーと極めて似た味及び口当たり有する良好な製品が,どちらの場合においても得られた。
【0046】
実施例7:健康的なバター及び油ベーススプレッド
75gの標準的な低塩バターを,400mlのガラスビーカーに入れ,このビーカーを40℃に維持された水槽中に入れることにより溶融させた。バターが溶融すると,25gのコールドプレスナタネ油を,上記の実施例1及び実施例2に用いられた同じオーツ麦β−グルカン類の豊富な配合物1gと共に添加した。さらに2分の混合後,懸濁液は均一で塊が無くなり,この時点でキッチンミキサーを用いて迅速に攪拌しながら,35℃に温めた100gの水を混合物に添加した。さらに1.5gの食塩を,攪拌時間(3分)中に添加した。2分以内で,β−グルカン成分が増粘し,同時に溶融バターの水への混入を促進させた。次に,このビーカーを氷槽に移し,混合物が5℃の温度に達するまで,同じキッチンミキサーを用いて攪拌を続けた。
【0047】
この製品は,冷蔵庫から出すとすぐに容易に塗ることができ,原料のバターに極めて似た味がすることが判り,丁度40%の脂肪含量を有し,品質良好のスプレッドと一致する組成及び口当たりを有した。このナタネ油成分はコールドプレスされ,特にモノ不飽和脂肪酸及びポリ不飽和脂肪酸に富んでおり,本質的にトランス脂肪酸が無い。このような健康的なスプレッド製剤において,エキストラバージン又はエキストラバージンコールドプレスオリーブ油を,コールドプレスナタネ油の替わりに容易に用いることができる。
【0048】
実施例8:ベーキング用等の脂肪低減油
上記の実施例1及び実施例2に用いられた同じオーツ麦β−グルカン類の豊富な配合物10gを,攪拌しながら95gのナタネ油に添加した。粉末成分が,油中で均一に分配されるまで懸濁液を混合した(2分の混合時間)。次いで,迅速に混合しながら,40℃に温めた95gの水を懸濁液に添加した。急速な増粘化及びβ−グルカン成分により媒介された油への水の混入が観察された。この混合物は,さらに2分の攪拌後に冷却し,冷蔵庫で24時間後,安定した分散液/乳濁液であることが判明した。
【0049】
次に45%脂肪を含有する混合物は,ケーキ類(スウェーデンスタイルの「スポンジケーキ」及びマフィン類),ビスケット及びペストリー類など,多くのベーキング製品中のナタネ油の代りに使用できる。砂糖,又はスポンジケーキ,ケーキにおいて,この混合物は,標準的なナタネ油の代りに用いられた。優れた品質と,きめを有するケーキは,ケーキのレシピを僅かに調整することにより製造された。脂肪が同じ混合物により交換されたマフィンベーキング試験において,同等の満足すべき結果が得られた。
【0050】
本発明の方法は,油脂類の乳濁液を提供するために,低分子量β−グルカン類の配合物の使用を示す欧州特許出願公開第1 361 264号に記載されたものと比較された。したがって,多くの試験は,分子量が60,000ダルトンを有するβ−グルカン類を含有するβ−グルカン類の配合物を用いて実施された。比較例9〜11による試験から明らかなように,安定した乳濁液は,高せん断混合を用いた場合のみに得られた。
【0051】
比較例9
100gのヒマワリ油を400mlのガラスビーカーに入れた。平均分子量が60,000ダルトンの45%β−グルカン類を含有する,オーツ麦穀粒から抽出された12gのβ−グルカン類の豊富な粉末を油に添加して,均一で塊の無い分散液が得られるまで攪拌した。100gの温水(35℃)を該混合物に添加し,低速設定のキッチンミキサーを用いて同時に5分間攪拌した。著しい増粘化のない懸濁液が得られ,この懸濁液は,室温に放置すると急速に分離した(3分以内)。
【0052】
次に同じ混合物を,高せん断混合のためにエマルサースクリーン(emulsor screen)を装着したシルバーソン(Silverson) L4Rミキサーを用いて3分間高せん断混合した。希薄であるが安定した乳濁液を生じた。この場合,増粘効果は見られなかった。
【0053】
比較例10
平均分子量が60,000ダルトンの45%β−グルカン類を含有する12gの粉末を,80℃の温度で100gのヒマワリ油に混合し,分散液は,実施例9に記載された水の添加前に,この温度で2時間保持されたこと以外,実施例9に報告されたものと同じ方法を実施した。
【0054】
実施例9に見られたものと比較して反応における差は見られず,高せん断混合は,上記のとおり乳濁液を生成するのに必要であった。
【0055】
比較例11
250ミクロン未満の粒径に粉砕された9.2%β−グルカン類(混合結合β−グルカン類に関してMcClearry法,AACC基準法32−23を用いて分析)を含有する粉砕オーツ麦フスマ製品を用いた。13gの該粉末を,100gのヒマワリ油に添加し,分散を促進させるために,低速キッチンミキサーにより5分間攪拌した。次に100gの微温水(35℃)を,さらに5分間の連続低速攪拌をしながら添加した。この混合物の注目すべき増粘化は見られず,さらに3分間の放置後,油相と水相とに分離し,粉末の多くは,ビーカーの底に沈殿した。
【0056】
次に同じ混合物を,高せん断混合のためにエマルサースクリーンを装着したシルバーソンL4Rミキサーを用いて3分間高せん断混合した。即座に分離の徴候を示す不安定した分散液が生じ,水相と油相とは,室温放置1時間後に大部分が分離した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油相及び水相の安定した乳濁液/分散液を調製する方法であって,
1,000,000ダルトンより高い分子量を有するβ−グルカン類の少なくとも12重量%を含有するβ−グルカン類の豊富な粉末又は粒状体を,段階的順序で前記油相又は前記油相の一部に添加し,混合し,分散し,次いで,同時に混合及び攪拌しながら40℃未満の温度で前記水相を添加して,水中油乳濁液又は油中水乳濁液を形成する方法。
【請求項2】
前記水相を,添加前に必須ではないが,任意に少なくとも25℃まで温める請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記水相を,添加前に必須ではないが,任意に少なくとも30℃まで温める請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記水相を,室温で添加する請求項1記載の方法。
【請求項5】
混合及び攪拌が,低せん断混合又は非せん断混合を用いて行われる請求項1〜4の1項以上に記載の方法。
【請求項6】
前記β−グルカン類の豊富な基質が,乾燥重量を基準にしてβ−グルカン類の少なくとも13重量%,より好ましくは少なくとも14重量%,さらにより好ましくは15重量%を含有する請求項1〜5の1項以上に記載の方法。
【請求項7】
前記β−グルカン類の豊富な基質が,活性の乳化成分である請求項1〜5記載の方法により製造された油相及び水相の安定した乳濁液/分散液。
【請求項8】
前記β−グルカン類の豊富な基質が,オーツ麦又は大麦穀物に由来する請求項1〜5記載の方法により製造された油相及び水相の安定した乳濁液/分散液。
【請求項9】
前記β−グルカン類の豊富な粉末又は粒状体が,油相又は前記油相の一部に含有される請求項1〜5記載の方法により製造された油相及び水相の安定した乳濁液/分散液。
【請求項10】
前記β−グルカン類が,オーツ麦又は大麦穀物に由来する(1−3),(1−4)−β−D−グルカン類である請求項1〜5記載の方法により製造された油相及び水相の安定した乳濁液/分散液。
【請求項11】
前記β−グルカン類の豊富な基質が,粒状体又は同様な粒状体の固体状態の形態で,より好ましくは粉末形態で利用される請求項1〜5記載の方法により製造された油相及び水相の安定した乳濁液/分散液。
【請求項12】
前記β−グルカン類の豊富な基質が,乾燥重量を基準にしてβ−グルカン類の少なくとも12重量%,好ましくは少なくとも13重量%,より好ましくは少なくとも14重量%,さらにより好ましくは15重量%を含有する請求項1〜5記載の方法により製造された油相及び水相の安定した乳濁液/分散液。
【請求項13】
前記β−グルカン類の豊富な基質中の前記β−グルカン類の分子量が,少なくとも1,000,000ダルトン,好ましくは150万ダルトンである請求項1〜5記載の方法により製造された油相及び水相の安定した乳濁液/分散液。
【請求項14】
前記β−グルカン類の豊富な基質が,最終混合物製剤の2%から10%の間,任意に25%までの濃度で添加される請求項1〜5記載の方法により製造された油相及び水相の安定した乳濁液/分散液。
【請求項15】
製造物の乳濁液/分散液内の油成分が,10%から80%までの範囲であり,残りは水性成分である請求項1〜5記載の方法により製造された油相及び水相の安定した乳濁液/分散液。
【請求項16】
前記油相が,オリーブ油,ナタネ油,ヒマワリ油,大豆油,トウモロコシ油,綿実油,ピーナッツ油,ゴマ油,シアナッツ脂,小麦胚芽油等の穀類胚芽油,グレープ核油,パーム油及びパーム核油,ヤシ油等の溶融状態での任意の食用植物油又は植物脂肪,又はバター又はバター脂肪又は魚油等の任意の動物脂肪又は動物脂肪の豊富な物質,又はこれら材料の任意の配合物及び組み合わせであり得る請求項1〜5記載の方法により製造された油相及び水相の安定した乳濁液/分散液。
【請求項17】
全脂肪配合物又は脂肪低減配合物中の好適な基材として使用するための,請求項1〜5記載の方法により製造された油相及び水相の安定した乳濁液/分散液。
【請求項18】
食品中の全脂肪材料又は脂肪低減材料として使用するための請求項1〜5記載の方法により製造された油相及び水相の安定した乳濁液/分散液。
【請求項19】
マヨネーズ中の全脂肪材料又は脂肪低減材料中の基材として使用するための請求項1〜5記載の方法により製造された油相及び水相の安定した乳濁液/分散液。
【請求項20】
ドレッシング中の全脂肪材料又は脂肪低減材料中の基材として使用するための請求項1〜5記載の方法により製造された油相及び水相の安定した乳濁液/分散液。
【請求項21】
ディップ中の全脂肪材料又は脂肪低減材料中の基材として使用するための請求項1〜5記載の方法により製造された油相及び水相の安定した乳濁液/分散液。
【請求項22】
バター類,他の食用脂肪類及び水の混合物又は脂肪類,油類及び水の任意の好適な組み合わせに基づいた脂肪低減スプレッド中の基材として使用するための請求項1〜5記載の方法により製造された油相及び水相の安定した乳濁液/分散液。
【請求項23】
脂肪低減ソース又は通常脂肪ソース中の完全脂肪材料又は脂肪低減材料として使用するための請求項1〜5記載の方法により製造された油相及び水相の安定した乳濁液/分散液。
【請求項24】
ベーキング製品中の完全脂肪材料又は脂肪低減材料として使用するための請求項1〜5記載の方法により製造された油相及び水相の安定した乳濁液/分散液。
【請求項25】
アトピー適用のための化粧品中の完全脂肪材料又は脂肪低減材料として使用するための請求項1〜5記載の方法により製造された油相及び水相の安定した乳濁液/分散液。
【請求項26】
油中水乳濁液の形態で請求項1〜5記載の方法により製造された油相及び水相の安定した乳濁液/分散液。
【請求項27】
水中油乳濁液の形態で請求項1〜5記載の方法により製造された油相及び水相の安定した乳濁液/分散液。

【公表番号】特表2008−502348(P2008−502348A)
【公表日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−516440(P2007−516440)
【出願日】平成17年6月17日(2005.6.17)
【国際出願番号】PCT/SE2005/000961
【国際公開番号】WO2005/122778
【国際公開日】平成17年12月29日(2005.12.29)
【出願人】(506417485)ペーベー プロモート アクチェンゲゼルシャフト (1)
【Fターム(参考)】