説明

積層体、および積層体を作製する方法

【課題】結晶配向中間層と、中間層上に配設される磁気ゼロ層と、磁気ゼロ層上に配設される磁気記録層とを含む積層体を提供する。
【解決手段】磁気ゼロ層(140,240)は非磁性であるか、または飽和磁束密度(BS)が約100emu/cc未満である。磁気ゼロ層(140,240)および磁性層(150,242)は、非磁性分離体によって囲まれる粒子を含む。磁気ゼロ層(140,240)は、格子不整合が約4%未満である、中間層(130,238)と磁性層(150,242)との間のコヒーレントな界面を設ける。

【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0001】
概要
積層体は、結晶配向中間層と磁性層との間に介在する磁気ゼロ層を含む。磁気ゼロ層は、非磁性であるか、または飽和磁束密度が低い磁性層(たとえばBSが約100emu/cc未満の層)であり、かつ非磁性分離体によって分離される粒子を備える。磁性層は、非磁性分離体によって分離される強磁性粒子を含む。磁気ゼロ層にわたる、中間層と磁性層との間の格子不整合は約4%未満である。
【図面の簡単な説明】
【0002】
【図1】例示的な磁性積層体の概念図である。
【図2】複数の磁気記録層と複数の中間層とを含む例示的な磁性積層体の概念図である。
【図3】磁気積層体を作製するための例示的な技術を図示するフロー図である。
【図4a】さまざまな例示的な積層体について、磁気ゼロ層の厚みに対する磁気保磁力(Hc)の変化を図示するグラフの図である。
【図4b】さまざまな例示的な積層体について、磁気ゼロ層の厚みに対する磁気保磁力と核生成磁界とのデルタ(Hc−Hn)の変化を図示するグラフの図である。
【図5】さまざまな例示的な積層体について、磁気ゼロ層の厚みに対する、中間層の(002)Ruと磁性層の(002)Coとの間の格子不整合の変化を図示するグラフの図である。
【図6】さまざまな例示的な積層体について、磁気ゼロ層の厚みに対する、中間層の(002)Ruと磁気記録層の(002)Coとの間の結晶ロッキングカーブのFWHM(半値幅)の差を図示するグラフの図である。
【図7a】さまざまな例示的な記録積層体について、Ru中間層を形成するのに用いるスパッタリング圧力に対する磁気保磁力(Hc)を示すグラフの図である。
【図7b】さまざまな例示的な記録積層体について、Ru中間層を形成するのに用いるスパッタリング圧力に対する磁気保磁力と核生成界とのデルタ(Hc−Hn)を示すグラフの図である。
【図8】Ru中間層を形成するのに用いるさまざまなスパッタリング圧力における例示的な積層体のアルファの値を図示するグラフの図である。
【図9a】さまざまな種類の例示的な磁気記録媒体についての磁心幅を図示するグラフの図である。
【図9b】さまざまな種類の例示的な磁気記録媒体についての磁気書込幅を図示するグラフの図である。
【図10a】さまざまな種類の例示的な磁気記録媒体についてのトラック上ビットエラーレートを図示するグラフの図である。
【図10b】さまざまな種類の例示的な磁気記録媒体についてのスクイズドトラック外れビットエラーレートを図示するグラフの図である。
【図11】さまざまな種類の例示的な磁気記録媒体についての、トラックピッチによって規格化されたトラック上ビットエラーレートを図示するグラフの図である。
【図12】さまざまな種類の例示的な磁気記録媒体についての媒体信号対ノイズ比を図示するグラフの図である。
【図13a】さまざまな種類の例示的な磁気記録媒体についての、算出された面密度能力(ADC cal)を図示するグラフの図である。
【図13b】さまざまな種類の例示的な磁気記録媒体についての、測定された面密度能力を図示するグラフの図である。
【発明を実施するための形態】
【0003】
詳細な説明
一般的に、本開示は、結晶配向中間層と酸化物などの非磁性材料によって分離される磁性粒子を有する粒子磁性層との間に介在する(本明細書中では「磁気ゼロ」層と称される)層を含む積層体に関する。いくつかの場合、磁気ゼロ層は、非磁性層であるか、または磁気データ記憶装置に用いる垂直磁気記録媒体の一部を形成する飽和磁束密度(BS)が低い磁性層である。結晶配向中間層と磁気記録層との間に磁気ゼロ層を含むことにより、磁気記録媒体を形成する積層体の記録性および/もしくは信頼性を高めることができ、ならびに/または磁気記録媒体を製作するのに用いる工程を改良することができる。たとえば、そのような磁気ゼロ層を含まない実質的に同様の積層体と比較して、磁気ゼロ層を含むことにより、磁性層の磁気保磁力(Hc)を増大させたり、たとえば磁性層の磁気保磁力と核生成磁界との間の差(Hc−Hn)またはアルファパラメータの増大が示すように磁性層の磁気交換減結合を増大させたり、磁性層中の交換減結合の均一性を増大させたり、媒体のビットエラーレート(BER)を減少させたり、媒体の信号対ノイズ比(SNR)を増大させたり、媒体の面記録密度を増大させたり、および/または磁気記録媒体の他の性質を改良したりすることがある。
【0004】
いくつかの例では、磁気ゼロ層は、結晶中間層と磁気記録層との間のエピタキシャル成長軸が磁気ゼロ層にわたって実質的に維持されるようにする。いくつかの場合、磁気ゼロ層を用いることにより、中間層と磁気記録層との間にコヒーレントな界面を維持できるようになる。コヒーレントな界面は、結晶中間層と磁性層との間の格子が弾性応力によって実質的に化学量論的配置(実質的に1対1の整合モード)に維持されることを意味する。界面がコヒーレントでない場合、格子は非化学量論的配置(非1対1の整合モード)に変化して弾性応力が解放される。本明細書中で論じるいくつかの例では、コヒーレントな界面は、中間層と磁性層との間の格子定数の不整合が約4%未満の場合に維持される。
【0005】
磁気ゼロ層を含むことにより、磁気記録媒体の1つ以上の層の堆積圧力を、磁気ゼロ層の形成を含まない堆積工程と比較して低くできるようにしてもよい。より低圧の工程と関連して磁気ゼロ層を含むことにより、磁気ゼロ層が存在しない場合のより高圧の工程を用いて形成する磁気媒体と比較して、磁気記録媒体の磁気記録性を維持する、最適化する、または実質的に損なわないようにすることができることがある。たとえば、中間層と磁気記録層との間に磁気ゼロ層を含むことにより、結晶中間層が、磁気ゼロ層のない実質的に同様の媒体と比較して、より優れた磁気記録性を提供しつつ、相対的に低いスパッタリング圧力でのスパッタリングによって堆積されるようにしてもよい。たとえば、磁気ゼロ層は、交換減結合の増大および/または磁気記録層の交換減結合の均一性の増大を与えてもよく、中間層は、非最適レベルおよび/または交換減結合の非均一性および/または磁気ゼロ層が存在しない場合の磁気記録層の他の劣った性質を典型的に伴うであろうより低いスパッタリング圧力でのスパッタリングで堆積されてもよい。
【0006】
本開示は磁気データ記憶装置のための垂直磁気記録媒体などの磁気記録媒体について主に記載するが、本明細書中に記載する磁性層構造はそのような適用例に限定されるものではなく、他の適用例でも利用されてもよい。たとえば、本明細書中に記載の磁性層構造を、磁気センサまたは磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)で利用してもよい。本明細書中に記載の磁気ゼロ層を組入れる磁気媒体を、たとえば熱アシスト磁気記録で利用してもよい。
【0007】
図1は、結晶配向中間層130と磁気記録層150との間に介在する磁気ゼロ層140を含む磁気記録媒体100を図示する概略ブロック図である。図1の例に図示するように、磁気記録媒体100は、基板110、1つ以上の軟磁性下地層(SUL)120、結晶配向中間層130、磁気ゼロ層140、硬磁性記録層150、および保護被覆層160から順次構成してもよい。
【0008】
磁気記録媒体100の磁性層150は、粒界において非磁性分離体材料で囲まれる磁性粒子を含んでもよい。磁性層の交換減結合の量は磁性粒子の分離に関連する。たとえば、いくつかの実現例では、磁性層150の磁性粒子は磁性CoまたはCoCr合金を備えてもよく、非磁性分離体は酸化物を備えてもよい。
【0009】
磁気記録媒体の磁性層における磁気交換減結合の制御は、媒体の動的記録性能の要因である可能性があり、たとえば、ビットエラーレート(BER)、信号対ノイズ比(SNR)、面記録密度、および/または他の記録性能パラメータの観点でこれを測定してもよい。交換減結合された磁性層は、たとえば酸化物である非磁性分離体によって分離される柱状磁性粒子の成長に影響を及ぼす物理的および/または化学的スパッタリング技術によって形成されてもよい。
【0010】
たとえば、柱状磁性粒子を備える磁性層の形成を、高圧スパッタリング堆積の間に起こる陰影効果によって容易化することができる。スパッタリング陰影効果は、柱状磁性粒子の分離、および粒子同士の間の非磁性分離体の配列を容易にする。
【0011】
まず、高スパッタリング圧力(たとえば20から200mTorr)でのスパッタリングによって磁性層下方の結晶中間層を堆積して、結晶柱状粒子構造を有する中間層を形成してもよい。高スパッタリング圧力(たとえば20から200mTorr)を用いたスパッタリングによって磁気記録層を柱状結晶中間層上に堆積して、磁性層の磁性柱状粒子を形成してもよい。磁性層中の磁性粒子の酸化物分離は、反応性酸素スパッタリングによっておよび/またはスパッタリングターゲット中に酸化物を組入れることによって達成してもよい。
【0012】
本明細書中に与えるさまざまな例に従うと、結晶中間層と磁性層との間に磁気ゼロ層を配設してもよい。磁気ゼロ層は、磁性層中に存在する交換減結合の量および/または磁性層の交換減結合均一性に影響する可能性がある。上述の技術および磁気記録層内の交換減結合に影響を及ぼすための他の技術に加えてまたはその代わりに、磁気ゼロ層を用いてもよい。
【0013】
いくつかの事例では、たとえば結晶中間層の柱状粒子構造を形成するより高圧のスパッタリング技術を用いることは最適でない。なぜなら、これは、再堆積面積、Arガスの組入れ、ブリスタ形成、劣った機械的性能、腐食の問題、および/または他の効果のために、生産歩留まりがより低くなってしまう結果となる可能性があるからである。
【0014】
いくつかの場合、磁気ゼロ層を組入れることにより、たとえば結晶中間層のための低減された堆積圧力を含む堆積工程を可能にしてもよい。いくつかの場合、これらの減圧工程で形成する磁気媒体は、より高い堆積圧力で形成する媒体の磁気記録性と比較して、改良された記録性を与えることがある。いくつかの場合、減圧工程で形成する磁気媒体の磁性は、より高い堆積圧力で形成する媒体の磁気記録性と比較して、実質的に同様であるかまたは実質的に劣らない記録性を維持することがある。
【0015】
相対的に高い酸化物含有量を用いて反応性スパッタリングによって磁性層中に酸化物で分離された粒子を形成すると、その結果、たとえば、粒子汚染、ブリスタ形成、急な性能勾配、およびスパッタアークによって生産歩留まりがより低くなってしまう可能性がある。高圧および/または高酸化物含有量は膜の密度および結晶質コア充填率を減少させる可能性があり、その両者とも、記録出力信号およびBER、信頼性、ならびに/または他の記録性にマイナスの影響を与える可能性がある。磁気ゼロ層を組入れることにより、磁気ゼロ層を含まない磁気記録媒体の磁性層と比較して、低減された酸化物含有量を用いた磁性層の堆積を可能にすることができる。
【0016】
図2は例示的な磁気記録媒体200を図示する概略ブロック図である。図2に示すように、磁気記録媒体200は、基板228、軟磁性下地層(SUL)230、結晶配向中間層238、磁気ゼロ層240、磁性層242、および保護被覆252を含む。
【0017】
基板228は、たとえば、Al、NiPめっきAl、ガラス、またはセラミックガラスを含む、磁気記録媒体で用いるのに好適な任意の材料を含んでもよい。図2には示さないが、いくつかの実施形態では、基板228のすぐ上に付加的な下地層が存在してもよい。付加的な下地層は非晶質であってもよく、基板への接着性および低い表面粗さを与える。
【0018】
基板228(または存在する場合は付加的な下地層)の上に軟磁性下地層(SUL)230を形成する。SUL230は、十分な飽和磁化(MS)および低い異方性磁界(Hk)を有する任意の軟磁性材料であってもよい。たとえば、SUL230は、Ni;Co;Fe;NiFe(パーマロイ)、FeSiAlもしくはFeSiAlNなどのFe含有合金;CoZr、CoZrCr、もしくはCoZrNbなどのCo含有合金;またはCoFeZrNb、CoFe、FeCoB、もしくはFeCoCなどのCoFe含有合金などの非晶質軟磁性材料であってもよい。SUL230は、磁気読出/書込ヘッドの極からの界のための高透磁率帰還経路を設けてもよい。
【0019】
いくつかの例では、SUL230は複数の軟磁性層を含んでもよく、これらを非磁性スペーサ層で分離してもしなくてもよい。図2に示す例では、SUL230は、スペーサ層234で分離した、軟磁性材料で形成される第1のSUL232と第2のSUL236とを含む。第1および第2のSUL232および236を、上述のように軟磁性材料から形成してもよい。1つの例では、第1のSUL232および第2のSUL236は、たとえば非晶質CoTaZr合金などのCo系非晶質合金、またはたとえば非晶質FeCoCrB合金などのFe系非晶質合金であってもよく、その厚みが約50オングストロームから約300オングストロームの間であってもよい。第1のSUL232の組成および厚みは第2のSUL236と同じであっても異なってもよい。
【0020】
非磁性スペーサ層234は、たとえばCr、Ru、CoCr、Pt、またはその合金などの任意の好適な実質的に非磁性の材料から形成されてもよい。いくつかの例では、スペーサ層234は、第1のSUL232と第2のSUL236との間の反強磁性結合を誘導する反強磁性(AFC)結合層として機能してもよい。いくつかの例では、AFC結合を可能にするため、スペーサ層234をRuから形成してもよく、その厚みが約4から約6オングストローム、または約14から約18オングストロームの間であってもよいが、他の厚みが企図される。
【0021】
結晶配向中間層238をSUL230上に堆積してもよい。いくつかの例では、中間層238を用いて、磁化容易軸が膜平面に対して垂直の第1の磁性層246のHCP(0002)成長を誘導する六方最密(HCP)結晶配向を確立してもよい。中間層238を1つの層または複数の層で形成してもよい。いくつかの例では、中間層238は、柱状粒子を備え、磁性層242の1つ以上の磁性層中の柱状構造のエピタキシャル成長のための基礎を与える柱状構造を含んでもよい。以上で注記したように、そのような柱状構造を、スパッタリング圧力を相対的に高レベルに上昇させることによる中間層238のスパッタ堆積によって生成および/または改良してもよい。中間層238の柱状構造は、磁性層242の1つ以上の層中の柱状構造の成長を容易にして、第1の磁性層246の交換減結合などの、磁性層242の1つ以上の層の磁気交換減結合を増大させてもよい。
【0022】
図2に示す例では、中間層238は、結晶種層238a、柱状種層238b、および柱状減結合層238cをこの順で含む。結晶種層238aは柱状種層238bの薄膜成長を促進してもよく、この結果、柱状種層238bの結晶品質がより良好になり得る。いくつかの例では、結晶種層238aは、NiW、NiFe、NiFeWおよびその合金、ならびに/またはRuCrおよびその合金を含んでもよい。結晶種層238aの厚みは約40オングストロームから約120オングストロームの間であってもよい。
【0023】
柱状種層238bを結晶種層238aの上に設けてもよく、柱状種層238bは、磁性層242中の柱状成長を促進するように柱状粒子構造を有してもよい。上述のように、いくつかの例では、(たとえば約20から約200mTorrの間の)相対的に高いスパッタリング圧力を用いたスパッタリングによって柱状種層238bを堆積して柱状粒子構造を促進してもよい。いくつかの例では、柱状種層238bは、Ru、Co、またはその合金を含んでもよく、その厚みは約0から約100オングストロームの間であってもよい。
【0024】
柱状減結合層238cを柱状種層238bの上に設けてもよい。(たとえば約20から約200mTorrの範囲の)高いスパッタリング圧力下で柱状減結合層238cを堆積して柱状構造を形成してもよく、これは第1の磁性層246中への柱状構造の形成のための基礎を設ける。いくつかの例では、柱状減結合層238cをRuまたはRu合金から形成してもよく、その厚みは約40オングストロームから約200オングストロームの間であってもよい。
【0025】
いくつかの例では、図2の中間層238の一般的構造は、(たとえば約2から20mTorrの)低スパッタリング圧力で堆積される、(111)Ni−W系合金または(111)NiFe(パーマロイ)−W系合金などの(111)テクスチャ付FCC(面心立方)合金を含む結晶種層などの結晶種層238aと、(002)Ru、(002)RuCr、または(002)RuCoCrなどの(002)テクスチャ付HCP(六方最密)合金を含む(たとえば約2から20mTorrの)低スパッタリング圧力堆積柱状種層構造である柱状種層238bと、(002)Ruまたは(002)RuCrなどの(002)テクスチャ付HCP合金を含む(たとえば約20から200mTorrの)高スパッタリング圧力堆積柱状層構造である柱状減結合層238cとを含む。
【0026】
磁気記録層242を磁気ゼロ層240の上に形成してもよく、これを以下にさらに説明する。図2に示すように、磁性層242は、第1の(底部)磁性層246と、交換遮断層248と、第2の(頂部)磁性層250とを含んでもよい。垂直磁気記録層などの磁気記録層中の交換減結合を制御するため、第1および第2の磁気記録層246、250は、それぞれ交換減結合されたおよび結合された状態で形成可能である。垂直媒体では、第1の磁性層246および第2の磁性層250の磁気異方性は各々、記録層242の平面に対して実質的に垂直の方向に配向される(たとえば、第1の磁性層246と第2の磁性層250との磁化容易軸は各々、記録層242の平面に対して実質的に垂直であってもよい)。
【0027】
交換遮断層248を用いて、第1の磁性層246と第2の磁性層250との間の鉛直方向交換結合を調整してもよい。いくつかの例では、交換遮断層248は、Ru、RuCo系合金、RuCoCr酸化物系合金を含んでもよく、ここで酸化物は、たとえば、SiO2、TiO2、CoO、CoO2、WO2、および/またはTaO2を含む。
【0028】
第1の磁性層246および第2の磁性層250の各々は粒子状層であってもよく、ボイドおよび/または非磁性材料によって隣接する磁性粒子から分離された磁性粒子を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第1の磁性層246および第2の磁性層250の少なくとも一方は、Cr、Ni、Pt、Ta、B、Nb、O、Ti、Si、Mo、Cu、Ag、Ge、およびFeのうち少なくとも1つと組合せたCoなどのCo合金を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第1の磁性層246および第2の磁性層250の少なくとも一方は、たとえば、Fe−Pt合金またはSm−Co合金を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第1の磁性層246および第2の磁性層250の少なくとも一方は、Co合金およびPt合金、またはCo合金およびPd合金の交互の薄い層を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第1および第2の磁性層246、250の少なくとも一方は粒子同士の間に非強磁性材料を実質的に含んでいなくてもよい。非磁性材料で分離された粒子を含む実施形態では、第1の磁性層246および第2の磁性層250のうち少なくとも一方の中の粒子を分離する非磁性材料は、たとえば、SiO2、TiO2、CoO、CoO2、WO2、Cr23、B23、および/またはTaO2などの酸化物を備えてもよい。
【0029】
いくつかの例では、第1の磁性層246と第2の磁性層250との厚みは、約20オングストロームから約200オングストロームの間であってもよく、厚みが互いと実質的に同じであってもまたは異なってもよい。交換遮断層248の厚みは約1オングストロームから約30オングストロームの間であってもよい。
【0030】
1つの例では、第1の磁性層246は、酸化物分離体がSiO2、TiO2、CoO、CoO2、WO2、および/もしくはTaO2などである、CoCrPt合金、FePt系もしくはCoPt系L10型もしくはL11型粒子状規則合金、またはPtおよび/もしくはPdの層と交互になったCoの層から形成されてもよく、第2の磁性層250は、B、C、Ruのうち1つ以上、ならびにSiO2、TiO2、CoO、CoO2、WO2、および/またはTaO2などの酸化物分離体を含むCoCrPt系合金膜から形成されてもよい。
【0031】
たとえばダイヤモンドライクカーボンなどの保護被覆252を垂直記録層250の上に形成してもよい。他の例では、保護被覆252はたとえば、水素または窒素をさらに含む非晶質炭素層を含んでもよい。図示しないが、いくつかの例では、1つ以上の好適な潤滑層を保護被覆252の上に形成してもよい。
【0032】
磁気ゼロ層240は磁性層242と中間層238との間に形成される。中間層238と磁性層242との間に磁気ゼロ層240を介在させることにより、磁性層中の欠陥を低減しおよび/またはその均一性を増大させ、これにより磁性層の記録性能を改良してもよい。たとえば、磁性層242を中間層238のすぐ上に形成する場合、中間層238の近くに位置する磁性層242の磁性粒子のうち一部がともに結合したり、または粒子同士を分離する最小限の非磁性材料を有したりすることがある。これらの欠陥は、交換減結合が低いかまたは交換減結合がなく、かつ層242の交換減結合を劣化させる磁性粒子につながってしまう。磁気ゼロ層が存在しない場合、結晶中間層と接する磁性層は、磁性層の残余と比較して、低減された交換減結合および/または低減された交換減結合均一性を有する傾向がある。
【0033】
磁気ゼロ層240が中間層238と第1の磁性層246との間に介在する場合、中間層上の初期堆積相と関連付けられる欠陥および/または非均一性の多くを含有するのは磁気ゼロ層240である。しかしながら、磁気ゼロ層240は非磁性である(またはBSが低い)ので、磁気ゼロ層240で発生する欠陥および/または非均一性は磁性層242の欠陥の数および/または非均一性を低減することができる。磁気ゼロ層240は、粒子の微細構造を損うことなく、粒子の分離を増大させる、および/または第1の磁性層246の粒子のより均一な分離を与えるように働いてもよい。そのような構成では、磁気ゼロ層240は、実質的に同じ構成を有するが磁気ゼロ層240を含まない媒体と比較して、磁性層242の1つ以上の磁性層内の交換減結合を増大させたり、磁性層242の保磁力を増大させたり、交換減結合の均一性を増大させたり、および/または他の改良された記録特性(SNR、BER、面密度など)を与えたりすることがある。
【0034】
いくつかの実現例では、磁気ゼロ層は、結晶中間層と磁性層との間で(格子不整合が4%未満の)コヒーレントな界面に弾性応力を与える。いずれの特定の理論にも拘束されることを望まなければ、中間層/磁気ゼロ層/磁性層構造における弾性応力を有するコヒーレントな界面は磁気媒体の改良された磁気記録性を担い得る。磁気ゼロ層が中間層と磁気記録層との間のコヒーレントな界面を設ける場合、磁気ゼロの存在によって誘導されるコヒーレントな応力の結果、磁気記録層の交換減結合が増大することがある。いくつかの例では、磁気ゼロ層は、磁気ゼロ層のしきい値層厚みまで、磁気記録層中の増大した交換減結合を伴うコヒーレントな界面を設けてもよい。しきい値量よりも厚みが大きいと、磁気ゼロ層は、結晶中間層と磁気記録層との間にコヒーレントでない界面を生じることがある。コヒーレントでない界面の結果、磁気記録層の交換減結合が低減してしまうことがある。
【0035】
たとえば、上述のように、第1の磁性層246は、第2の磁性層250に対して、より交換減結合された層であってもよく、第2の磁性層250は、第1の磁性層246よりも、より交換結合された層であってもよい。いくつかの例では、第1の磁性層246と中間層238との間に磁気ゼロ層240を含むことにより、第1の磁性層246内の交換減結合は、たとえば、実質的に同様の構成を含むが磁気ゼロ層240を有しない媒体が呈するものを超えて増大することがある。
【0036】
磁気ゼロ層240を含むことによる第1の磁性層246中の交換減結合の増大は、磁気ゼロ層240を含まない実質的に同様の例示的な媒体と比較して、第1の磁性層246の磁気保磁力(Hc)の増大に影響されることがある。いくつかの例では、第1の磁性層246のHcは、磁気ゼロ層240を含むことにより、少なくとも約10パーセントだけまたは約2から約20パーセントの間だけ増大することがある。いくつかの例では、第1の層246のHcは、実質的に同様の構成を含むが磁気ゼロ層240を含まない媒体と比較して、少なくとも約3%だけ、たとえば少なくとも約150Oeだけ増大することがある。いくつかの例では、磁気ゼロ層240が与える交換減結合の増大に部分的により、第1の磁性層246は、少なくとも約2%および約100Oe、または約5%および約250Oe、または約10%および約500OeのHcを呈することがある。第1の磁性層のそのようなHcの値は、たとえば上述のような第1の磁性層240の柱状構造および/または磁性粒子分離によって主に達成されるHcの値などの、磁気ゼロ層240を含まずに達成可能なものよりも大きくなることがある。
【0037】
同様に、磁気ゼロ層240を含むことによる第1の磁性層246中の交換減結合の増大は、磁気ゼロ層240を含まない実質的に同様の例示的な媒体と比較して、第1の磁性層246の磁気保磁力と核生成磁界との間の差(Hc−Hn)の増大に影響されることがある。いくつかの例では、第1の磁性層246の磁気保磁力と核生成磁界との間の差(Hc−Hn)は、磁気ゼロ層240を含むことにより、少なくとも約3から約20パーセントだけ増大することがある。いくつかの例では、第1の層246のHc−Hnは、実質的に同様の構成を含むが磁気ゼロ層240を含まない媒体と比較して、少なくとも約5%から約18%、たとえば少なくとも約150Oeから約500Oeなどだけ、増大することがある。第1の磁性層のそのような値は、たとえば上述のような第1の磁性層240の柱状構造および/または磁性粒子分離によって主に達成される値などの、磁気ゼロ層240を含まずに達成可能なものよりも大きいことがある。
【0038】
いくつかの例では、磁気ゼロ層240を含むことによる第1の磁性層246中の交換減結合の増大は、アルファの値の減少に影響されることがある。ここでアルファは、磁気ゼロ層240を含まない実質的に同様の例示的な媒体と比較して、第1の磁性層246の、第1の磁性層246の磁気保磁力と第1の磁性層246の核生成磁界との間の差で除算される磁気保磁力と等しい(すなわちα=Hc/(Hc−Hn))。いくつかの例では、第1の磁性層246のアルファ値は、磁気ゼロ層240を含むことによって少なくとも約1.5%から約15%だけ減少することがある。いくつかの例では、第1の層246のアルファ値は、実質的に同様の構成を含むが磁気ゼロ層240を含まない媒体と比較して、少なくとも約7%、たとえば少なくとも約0.12だけ減少することがある。第1の磁性層のそのようなアルファの値は、たとえば上述のような第1の磁性層246の柱状構造および/または磁性粒子分離によって主に達成されるアルファ値などの磁気ゼロ層240を含まずに達成可能なものよりも小さいことがある。
【0039】
磁気ゼロ層240は好ましくは非磁性層であるが、いくつかの場合、磁性および/または非磁性構成要素で形成されてもよい。いくつかの例では、磁気ゼロ層240は、磁性元素と非磁性元素との組合せであってもよい。非磁性元素に対する磁性元素の比率に依存して、磁気ゼロ層240は低BS磁性層または非磁性層であってもよい。たとえば、磁気ゼロ層の飽和磁束密度BSは約100emu/ccよりも低くてもよい。いくつかの例では、磁気ゼロ層240は、Co、Cr、Ru、Pt、およびたとえばCoCr酸化物などの酸化物のうち少なくとも1つを含んでもよい。ここで酸化物は、SiO2、TiO2、CoO、CoO2、WO2、および/またはTaO2のうち1つ以上を含む。いくつかの例では、酸化物または他の分離体材料は、磁気ゼロ層240において磁性層242と同じである。いくつかの場合、磁気ゼロ層は磁性層と同じ元素を含む。
【0040】
磁気ゼロ層240の構成は中間層238と磁性層242との間のコヒーレントな界面を与えてもよく、これらの層同士の間の格子不整合は、たとえば以下に説明する図5に図示するように約4%未満である。格子内の弾性応力が界面に存在してもよく、これは材料の性質に影響する。いくつかの構成では、磁気ゼロ層は、中間層の(002)Ruと磁性層の(002)との間の結晶ロッキングカーブのFWHM(半値幅)のデルタが(たとえば以下に説明する図6に図示するように)約0.3度より低い、中間層と磁性層との間のヘテロエピタキシャル成長を容易にすることがある。界面がコヒーレントからコヒーレントでない界面に変換されると、界面の格子は、非化学量論的配置(非1対1の整合モード)に変化して弾性応力が解放され、格子不整合は4%を上回る(図5)またはデルタは0.3度(図6)を上回る。
【0041】
磁気ゼロ層の厚みは約1オングストロームから約1,000オングストロームの間であってもよく、磁気ゼロ層240の組成に依存して異なってもよい。磁気ゼロ層240のいくつかの例の厚みは、約30オングストローム未満、または約25オングストローム未満、または約15オングストローム未満ですらある。
【0042】
1つの例では、磁気ゼロ層240は、Co濃度が約75atm%よりも低い、たとえば約20atm%から約70atm%の間のCo合金を備える。Co濃度は、合金の磁気モーメントBSが約100emu/ccよりも低くて実質的に非磁性であるようなものであってもよい。加えてまたはこれに代えて、いくつかの例では、磁気ゼロ層240は、HCP結晶構造、(0001)成長配向、ならびに中間層238のすぐ隣接する層および/または磁気記録層242のすぐ隣接する層(図2の例ではそれぞれ柱状減結合層238cおよび第1の磁性層246)の格子パラメータと実質的に等しい格子パラメータを有する材料を備える。
【0043】
加えてまたはこれに代えて、磁気ゼロ層240は、結晶質HCP非磁性または低BS磁性粒子核および非晶質非磁性粒子分離体材料を有する粒子状合金を含んでもよい。例示的な非磁性粒子分離体材料は、酸化物(たとえば、SiO2、TiO2、CoO、CoO2、WO2、および/またはTaO2)、窒化物、炭化物、ならびにホウ化物を含んでもよい。非晶質材料の濃度は実質的に磁気ゼロ層240に隣接する第1の磁性層246中の非晶質材料の濃度以上であってもよい。いくつかの例では、磁気ゼロ層240中の、たとえば非晶質材料などの分離体材料の濃度は、約5モル%よりも大きくてもよいおよび/または約10体積%よりも大きくてもよい。いくつかの例では、結晶質粒子核は、中間層238および磁性層242の隣接する層のうち1つ以上と実質的に同様のHCP格子パラメータを維持しつつ、磁気ゼロ層240の磁気飽和MSを低減する合金化元素を含んでもよい。例示的な合金化元素は、Cr、Pt、Ru、Mo、Mn、Ti、Cu、および(たとえば約20から約40at%の)相対的に低濃度のHCP溶液としてCoと合金化する他の元素を含んでもよい。たとえば、磁気ゼロ層がCrを含む場合、Cr含有量は約30%未満であってもよい。いくつかの場合、磁気ゼロ層に用いる合金元素は、磁性層に用いる合金元素とは異なってもよい。いくつかの場合、磁気ゼロ層に用いる合金元素は、磁性層に用いるものと同じであってもよいが、磁気ゼロ合金中の元素の割合は磁性層中の元素の割合とは異なってもよい。
【0044】
磁気ゼロ層の厚みは分離体含有量に反比例してもよい。いくつかの場合、磁気記録媒体の記録特性を高める際のより薄い磁気ゼロ層の有効性は、より厚い磁気ゼロ層と比較して、相対的により高い酸化物含有量を組入れることによって可能化されてもよい。以前論じたように、(たとえば体積%および/またはモル%での)磁気ゼロ層中の酸化物(または他の分離体)の量は、磁性層の酸化物含有量以上であってもよい。
【0045】
図3は、中間層と磁気記録層との間に磁気ゼロ層を有する磁気記録媒体を形成するための例示的な技術を図示するフロー図である。いくつかの場合、磁気ゼロ層は中間層と磁性層との両者に直接に接している。図示の容易のため、図2に示す例示的な記録媒体200について図3の例示的な技術を説明する。しかしながら、例はそれらの構成に限定されない。
【0046】
図3に示すように、SUL230上に中間層238を堆積してもよい354。SUL230上への中間層238の堆積は、結晶種層238a、柱状種層238b、および柱状減結合層238cの順次の堆積を含んでもよい。次に磁気ゼロ層240を、中間層238上、たとえば中間層238のすぐ上に堆積してもよい356。その後、磁気ゼロ層240上、たとえば磁気ゼロ層のすぐ上に磁性層242を堆積してもよい358。磁性層242の堆積は、第1の磁性層246、交換遮断層248、および第2の磁性層250の順次の堆積を含んでもよい。
【0047】
中間層238、磁気ゼロ層240、および磁性層242を堆積するのに任意の好適な技術を利用してもよい。いくつかの例では、真空下DCマグネトロンスパッタリング工程を用いて中間層238、磁気ゼロ層240、および磁気記録層242中のそれぞれの層を形成してもよい。層の性質に依存して、単一の堆積ステップまたは複数の堆積ステップを用いて個別の層を形成してもよい。層を形成するのに用いる複数の堆積ステップにかかわらず、いくつかの事例で層を単一の層と称することがある。
【0048】
予め定められた層の組成、厚み、および他の予め定められた層の性質に基づいて、用いる堆積技術を制御してもよい。たとえば、粒子状層については、酸素環境でスパッタリングを行なって、堆積層中に材料を分離する酸化物を生成してもよい。そのような例では、分離材料の濃度を制御するように酸素濃度を変更してもよい。これに代えて、酸化物材料または他の非磁性分離材料を含むターゲットを用いて、最適化された粒子状組成を有する層をスパッタ堆積してもよい。以上で注記したように、スパッタリングによって中間層238、磁気ゼロ層240、および/または磁性層242を堆積して粒子状層を形成してもよい。磁気ゼロ層240および磁性層242は、酸化物または他の非磁性分離体によって分離された粒子を含む粒子状層であってもよい。
【0049】
別の例として、以上注記したように、スパッタリングの際に用いるスパッタリング圧力は結果的に得られる層の柱状構造に影響を及ぼすことがある。いくつかの例では、中間層238の1つ以上の層238a−cおよび/または磁性層242の1つ以上の層246、250を堆積する際に用いるスパッタリング圧力を、層が柱状構造を有するように選択してもよい。以上で注記したように、いくつかの例では、中間層238および第1の磁性層246のための柱状構造を設けるようにスパッタリング圧力を選択してもよい。非磁性分離体によって分離されるそのような柱状構造は、第1の磁性層246中の交換減結合を与える。中間層238、磁気ゼロ層240、および/または磁性層242を堆積するのに用いる例示的なスパッタリング圧力は、たとえば約60mTorrから120mTorrなど、約2から200mTorrの範囲にわたってもよい。
【0050】
中間層238と磁性層242との間に磁気ゼロ層240を含むことと組合せて、媒体200のそれぞれの層を形成するのに用いる堆積工程の1つ以上の変数を、予め定められたレベルの交換減結合を有する磁性層242を与えるようにおよび/または他の性質を与えるように制御してもよい。例示的な堆積変数は、スパッタリング圧力、反応性スパッタリングの際に用いる酸素レベルの濃度、およびスパッタリングバイアス電圧を含んでもよい。中間層238、磁気ゼロ層240、および/または磁性242を堆積するのに用いる例示的なスパッタリングバイアス電圧は、たとえば約75Vから275Vなど、約5Vから約500Vの範囲にわたってもよい。
【0051】
いくつかの例では、スパッタリング圧力、酸素レベル濃度、およびスパッタリングバイアス電圧のうち1つ以上を、実質的に同じ構造を有するが磁気ゼロ層を有しない磁気記録媒体内の対応する層を形成するのに用いる値に対して調整してもよい。たとえば、部分的に、たとえば増大した交換減結合量および/もしくは均一性、増大した保磁力、ならびに/または他の効果などの磁気ゼロ層240によって与えられる効果により、磁気ゼロ層を含まない磁気記録媒体と等しいかまたはそれよりも良好ですらある全体的な記録性能レベルを依然として与えつつ、低減したスパッタリング圧力を用いて中間層238cおよび/または第1の磁性層246を堆積してもよい。たとえば、磁気ゼロ層を用いることにより、より高いスパッタリング圧力で形成される中間層238を含むが磁気ゼロ層240を有しない例示的な媒体と等しいかまたはそれよりも大きくすらなる第1の磁性層246中の交換減結合および/または保磁力の全体的なレベルを与えてもよい。いくつかの例では、中間層238cを形成するのに用いるスパッタリング圧力は約80mTorr未満であってもよく、第1の磁性層246は約4700Oeよりも大きなHcを依然として有してもよい。一般的に、第1の磁性層246内の交換減結合を一般的に減少させるであろう態様で1つ以上のスパッタリングパラメータを調整するにもかかわらず、磁気記録層242内の交換減結合は、中間層238と磁性層242との間に磁気ゼロ層240を含むことによって実質的に同じになるかまたは増大すらすることがある。
【0052】
いくつかの実現例では、中間層238と磁性層242との間に磁気ゼロ層240を設けて第1の磁性層246の交換減結合および/または保磁力を増大させてもよい。いくつかの例では、磁気ゼロ層240は、トポグラフィックな粗さ(表面粗さ)がより少なく、反応性酸化の濃度がより低く、かつ第1の磁性層246内の合計非晶質分離体体積がより少ない第1の磁性層246の磁性粒子の増大した分離を可能にしてもよい。そのような例では、スパッタ堆積の際に、第1の磁性層246は、単一のスパッタターゲットからの実質的に一定の組成を有するコア磁性粒子を含んでもよいが、第1の磁性層246内の非晶質材料体積は、層が成長するにつれて反応性酸化によって減少してもよい。そのような例は、相対的に低いスパッタリング圧力(たとえば約2mTorrから20mTorrの間のスパッタリング圧力)を用いて第1の磁性層246内の予め定められたレベルの交換減結合を可能にして中間層238を堆積してもよく、また中間層238をFCC+Ruから形成するようにしてもよい。FCC+Ruから形成される中間層238は、中間層238aの結晶構造が(たとえば(111)NiW、(111)NiFeWなどの)FCCでありスパッタリング圧力が低い(2mTorrから20mTorr)、中間層238bの結晶構造が(たとえば(002)Ru、(002)RuCrなどの)HCPでありスパッタリング圧力が低い(たとえば2mTorrから20mTorr)、また中間層238cの結晶構造が(たとえば(002)Ru、(002)RuCrなどの)HCPでありスパッタリング圧力が高い(たとえば20mTorrから200mTorrの間)例を含んでもよい。そのような場合、中間層238はFCC層(中間層238a)とHCP層(中間層238bおよび中間層238c)とから構成される。
【0053】
いくつかの例では、中間層238の厚みが約25nmよりも小さい事例ですら、第1の磁性層246のHc−Hnが約2500Oeよりも大きく、格子不整合が約4%未満であってもよい。
【実施例】
【0054】
以下の実施例は本開示の1つ以上の実施形態を図示するものであるが、本開示の範囲を限定するものではない。
【0055】
実施例1
図2に示されるものと実質的に同様の層構成を有するさまざまな例示的な垂直磁気記録媒体を準備し、評価した。層間層と磁気記録層との間の磁気ゼロ層(「Mo層」)の影響を評価するため、磁気ゼロ層の厚みが、0(すなわち磁気ゼロ層なし)、約2オングストローム、約7オングストローム、約16オングストローム、約23オングストローム、および約33オングストロームの例を生成した。
【0056】
さまざまな例の各々で、底部SULは厚みが約100から200オングストロームの間の非晶質FeCoCrB合金であり;AFC層は厚みが約4から4オングストロームの間のRu合金であり;頂部SULは厚みが約100から200オングストロームの間の非晶質FeCoCrB合金であり;結晶種層は厚みが約60から100オングストロームの間の非晶質NiW合金であり;柱状種層は厚みが約40から80オングストロームの間のRuCr合金であり;柱状減結合層は厚みが約60から100オングストロームの間のRu合金であり;磁気ゼロ層は(以上で示したように厚みが異なる)CoCr−(TiO2)材料であり;底部磁性層は厚みが約60から100オングストロームの間のCoCrPt−(SiO2)であり;交換遮断層は厚みが約5から10オングストロームの間のRuCo合金であり;頂部磁性層は厚みが約20から50オングストロームの間のCoCrPt−(TiO2)層であり、その次に厚みが約40から80オングストロームのCoCrPtB層が引き続いた。
【0057】
図4aおよび図4bは、例示的な媒体についての、磁気ゼロ層の厚みに対する磁性層の底部磁気記録層についての、磁気保磁力(Hc)と、磁気保磁力と核生成磁界とのデルタ(Hc−Hn)との変化をそれぞれ示すグラフである。示すように、(図4aおよび図4b中の磁気ゼロ層の厚みゼロに対応する)結晶中間層と磁気記録層との間に磁気ゼロ層を有しない媒体と比較して、実施例の磁気記録媒体が呈するHcおよびHc−Hnの値の両者とも、層厚み約7オングストロームまでは大きくなり、次に磁気ゼロ層の厚みが約7オングストロームを超えて約33オングストロームまで増大するとほぼ単調な態様で減少する。HcおよびHc−Hnの増大は、磁気ゼロ層を含むことにより、磁気ゼロ層を含まない比較例の磁気記録媒体と比較して、実施例の磁気記録媒体中の交換減結合が改良されることを図示する。
【0058】
図5は、図4aおよび図4bの同じ例示的な垂直記録媒体について、磁気ゼロ層の厚みに対する、中間層の(002)Ruと底部磁気記録層の(002)Coとの間の格子不整合の変化を示すグラフである。図5に示すように、磁気ゼロ層の厚みが約7オングストロームに達するまでは格子不整合は約4%よりも下に維持され、このことは、中間層の(002)Ruと磁気記録層の(002)Coとの間のコヒーレントな界面を示す。しかしながら、磁気ゼロ層の厚みが約7オングストロームを超えて大きくなると、たとえば厚み15、23、および33オングストロームで、格子不整合は約4.2パーセントよりも上に増大し、このことは、中間層の(002)Ruと磁気記録層の(002)Coとの間の実質的にコヒーレントでない界面を示す。
【0059】
図4aおよび図4bの結果と合せると、コヒーレントな界面を有する磁気ゼロ構造は、一定のヤング弾性率下での格子パラメータ歪の増大として、界面において誘導された応力を増大させるように思われる。いずれの特定の理論にも拘束されなければ、この誘導されたコヒーレントな応力は垂直磁気記録媒体における交換減結合の改良に寄与し得、このことは、図4aおよび図4bに示すHcおよびHc−Hnの増大と矛盾しない。しかしながら、約15オングストロームを超える磁気ゼロ層の厚みでは、図4aおよび図4bに表示するHcおよびHc−Hnの単調な減少とともに格子不整合の増大が観察され、このことは、Mo構造によるコヒーレントでない界面によって実施例の垂直磁気記録媒体において交換減結合が低減することを示す。いくつかの局面では、図5は、たとえば、関連の弾性応力を有する、CI層の(002)Ruと垂直磁気記録層の(002)Coとの間のコヒーレントな界面が垂直記録媒体における交換減結合を改良し得ることを示唆する。
【0060】
いくつかの例では、CI層の(002)Ruと垂直磁気記録層の(002)Coとの間のコヒーレントな界面を維持するため、磁気ゼロ層は中間層と磁気記録層との間にエピタキシャル結晶軸を維持する。図6は、磁気ゼロ層の厚みに対する、中間層の(002)Ruと底部磁気記録層の(002)Coとの間の結晶ロッキングカーブのFWHM(半値幅)の差を図示するグラフである。図6に示すように、磁気ゼロ層の存在は、(002)Ru層と(002)Co層とのデルタFWHMを実質的に劣化させない。というのも、(002)Ru層と(002)Co層との間の差は、磁気ゼロ層の厚みが約33オングストロームである例を除いて相対的に一定であるからである。
【0061】
図5に示すように、中間層(Ru層)と磁性層(Co層)との間のコヒーレントな界面は2つの層の間の格子不整合が4%未満であることによって維持可能である。さらに、図6に示すように、Ru層とCo層との間のエピタキシャル結晶軸は、2つの層同士の間の一定のFWHMデルタ(ロッキングカーブ同士の間の差)が約0.35度を下回ることによって維持可能である。したがって、示す例では、中間層と第1の磁性層との間の格子不整合を4%よりも低くすることと、Ru層とCo層との間の一定のFWHMロッキングカーブデルタを0.35度よりも小さくすることとの組合せによって、Ru層とCo層との間の界面がコヒーレントであるエピタキシャル結晶軸を維持することができ、このことは、約11Aよりも小さい磁気ゼロ厚みに対応する。磁気ゼロ層の厚みが約33オングストロームでは、磁気ゼロ層は中間層と第1の磁性層との間にコヒーレントでない界面を形成したが、これは、これらの2つの層同士の間にエピタキシャルな関係が欠けるためである。約11Aと約33Aとの間の磁気ゼロ厚みは、コヒーレントなエピタキシャル界面からコヒーレントでない非エピタキシャル界面への中間遷移域とみなすことができる。
【0062】
実施例2
中間層と磁気記録層との間に磁気ゼロ層を含むことの影響をさらに評価するため、3種類の例示的な磁気記録媒体を準備し、評価した。(タイプAと称する)第1の例示的な媒体は実施例1で用いたものと実質的に同じであったが、磁気ゼロ層を有しなかった。(タイプBと称する)第2の例示的な媒体および(タイプCと称する)第3の例は、実施例1で用いたものと実質的に同じ構成を有し、磁気ゼロ層の厚みは約7オングストロームであった。しかしながら、タイプBおよびタイプCの例を準備するのに用いた工程は異なった。タイプBは、タイプBの媒体における層間層と磁性層との間の磁性ゼロの挿入を除き、スパッタリング工程および円板状構造がタイプAと同じであった。タイプCの媒体は、第1の磁気記録層(図2の第1の磁性層246を参照)のために異なるスパッタリング工程を用いることを除き、スパッタリング工程および円板状構造がタイプBの媒体と同じであった。
【0063】
図2を参照して、タイプBの媒体と比較してタイプCの媒体については複数ステップ工程を用いた。タイプAおよびタイプBの媒体については第1の磁気記録層246のスパッタリング工程を第1のスパッタリング工程と称し、タイプCの媒体については2ステップまたは複数ステップ工程と称する。タイプAおよびタイプBの第1のスパッタリング工程では、第1の磁気記録層246の堆積の際にスパッタリング条件を1つだけ適用した。しかしながら、タイプCの複数ステップ工程では、第1の磁気記録層246の堆積の際にいくつかのスパッタリング条件を順次適用した。たとえば、堆積持続時間の半分(層厚みの前半)の間はより低いバイアス電圧を印加し、堆積持続時間の残余の半分(層厚みの後半)の間はより高いバイアス電圧を印加した。そのような例を2ステップ堆積と称してもよい。第1の磁気記録層246のために3つの異なるスパッタリング条件を用いる場合、これを3ステップ堆積と称してもよく、以下同じである。複数ステップスパッタリング工程のための変更可能なパラメータは、スパッタリング圧力、スパッタリング酸素ガス含有量、スパッタリングバイアス電圧、スパッタリングサブ層厚み比率などであり得る。
【0064】
以下のグラフに示すように、各々の例示的な媒体中の中間層238のRu減結合層238cのスパッタリングの際に用いるスパッタリング圧力を、タイプA−タイプCの例の各々において変更した。特に、約80、90、104、120、および140mTorrのスパッタリング圧力を用いた。以上で注記したように、いくつかの事例では、中間層238のRu減結合層238cを形成するのに用いるスパッタリング圧力を増大させると、誘導される柱状構造によって磁性層242の磁気交換減結合を改良することができる。
【0065】
図7aおよび図7bは、3種類の例示的な記録媒体、すなわちタイプA−タイプCについての、中間層238を形成するためのスパッタリング圧力の観点での、磁気保磁力(Hc)および磁気保磁力と核生成界とのデルタ(Hc−Hn)による交換減結合レベルをそれぞれ示すグラフである。図7aおよび図7bに示すように、タイプBの媒体と比較して、タイプAの媒体は、Ruスパッタリング圧力が減少するにつれてHcおよびHc−Hnの相対的に迅速な低下を呈する。このことは、中間層の堆積に相対的により低圧を用いる場合ですら、タイプ2の円板の磁気ゼロ層が媒体の改良された交換減結合を与えることを示す。
【0066】
磁気ゼロ層の評価の目的のため、別の例示的な交換減結合パラメータ、すなわちアルファを評価した。アルファは、磁気保磁力と核生成磁界との間の差で除算した磁気保磁力に等しい(すなわちアルファ=Hc/(Hc−Hn))。アルファは、ヒステリシスループの第2象限の傾斜に対応してもよい。アルファが1に等しい場合、磁性層は完全に交換減結合されたものと特徴付けてもよい。アルファの値が1から増大するにつれ、磁性層が交換結合されていっていると特徴付けてもよい。
【0067】
図8は、異なるスパッタリング圧力での、3種類の例示的な垂直記録媒体、すなわちタイプA−タイプCについての磁性層のアルファの値を図示するグラフである。示すように、タイプAの例のアルファの値は、Ruスパッタリング圧力が増大するにつれて低減し、このことは、Ru層が、より高いRu圧力で、交換減結合された柱状構造を形成することを示す。しかしながら、より低圧、たとえば80mTorrでのタイプBの例についてのアルファ値は、タイプAの例の最も高いスパッタリング圧力すらのアルファ値よりも低いアルファ値を見せる。そのような結果は、磁気ゼロ層が、タイプAの例と比較してタイプBの例において増大した交換減結合を誘導したことを示し得る。
【0068】
いくつかの場合、磁気ゼロ層を含むことによる、タイプAの例と比較したタイプBの例で見られる増大した交換減結合により、交換減結合は、磁気媒体の製作の際に1つ以上の工程パラメータを制御することによって磁性層中の目標交換減結合(および/または他の磁気記録パラメータ)を達成するように適応されてもよい。目標交換減結合を達成するように調整し得る例示的な工程パラメータは、スパッタリング圧力、反応性スパッタリングに用いる反応性酸素ガス濃度、およびスパッタリングバイアス電圧を含んでもよい。
【0069】
図9aおよび図9bは、さまざまなスパッタリング圧力での、3種類の例示的な垂直記録媒体、すなわちタイプA−タイプCについての磁心幅(WR_WDT)および磁気書込幅(WPE_AVG)をそれぞれ図示するグラフである。磁気書込幅は磁心幅プラス消去帯に等しい。示すように、磁気ゼロ層が与えるより狭い磁心幅および磁気書込幅によって、増大した面記録密度能力(ADC)が可能になり得る。
【0070】
図10aおよび図10bは、さまざまなスパッタリング圧力での、3種類の例示的な垂直記録媒体、すなわちタイプA−タイプCについてのトラック上ビットエラーレート(PE_EFL)およびスクイズドトラック外れビットエラーレート(OTC_EFL)をそれぞれ図示するグラフである。上述のように、いくつかの事例では、中間層を形成するのに用いるスパッタリング圧力を増大させると、誘導される柱状構造によって、磁性層の磁気交換減結合を改良することができる。そのような増大は、ビットエラーレート性能の向上を生じることができる。増大した交換減結合を与えるように中間層を堆積するためにより高いスパッタリング圧力に依拠する代わりに、挿入される磁気ゼロ層が、より低いスパッタリング圧力で交換減結合を増大させる。このように、タイプBおよびタイプCの媒体のように磁気ゼロ層を組入れることにより、たとえば、磁気ゼロ層を含まないタイプAの例と比較して、低スパッタリング圧力でのトラック上ビットエラーレートおよびスクイズドトラック外れビットエラーレートを最適化することができる。
【0071】
図11は、さまざまなスパッタリング圧力での、3種類の例示的な垂直記録媒体、すなわちタイプA−タイプCについてのトラックピッチによって規格化されたトラック上ビットエラーレート(PE+10LnWPE/TP)を図示するグラフである。示すように、磁気ゼロ層を有する例(タイプBおよびタイプC)は、タイプAの例と比較して、改良されたトラックピッチによって規格化されたトラック上ビットエラーレートを実証した。さらに、タイプCの例は、タイプBの例と比較して、改良されたトラックピッチによって規格化されたトラック上ビットエラーレートを実証した。
【0072】
図12は、さまざまなスパッタリング圧力での、3種類の例示的な垂直記録媒体、すなわちタイプA−タイプCについての媒体信号対ノイズ比(ESMNR)を図示するグラフである。示すように、磁気ゼロ層の存在(タイプBおよびタイプCの例)と交換減結合を制御するための工程パラメータの調整(タイプCの例)との組合せからの媒体信号対ノイズ比の増大は上記ビットエラーレート性能と一致する。
【0073】
図13aおよび図13bは、さまざまなスパッタリング圧力での、3種類の例示的な垂直記録媒体、すなわちタイプA−タイプCについての、算出された面密度能力(ADC cal)および測定された面密度能力(ADC−747)をそれぞれ図示するグラフである。算出された面密度能力は、x(1−0.1(PE_EFL+5))/WPEに等しいものとして算出された。式中、xは平方インチあたりキロビットに等しく、PE_EFLはトラック上ビットエラーレートに等しく、WPEは磁気書込幅に等しい。
【0074】
図13aおよび図13bに示すように、磁気ゼロ層の存在(タイプBおよびタイプCの例)と工程パラメータの調整(タイプCの例)との組合せは、タイプAの例と比較して、算出された測定値および実測値あたりの面記録密度を増大させた。
【0075】
この開示は、開示する数値範囲を通して実践可能ないくつかの数値範囲を含む。
さまざまな実施形態の以上の説明は、限定のためではなく図示および説明の目的のために提示された。開示する実施形態は、網羅的であったり、可能な実現例を開示する実施形態に限定したりすることを意図するものではない。多数の変形例および修正例が上記教示に照らして可能である。
【符号の説明】
【0076】
100、200 磁気記録媒体、110、228 基板、120、230 軟磁性下地層、130、238 結晶配向中間層、140、240 磁気ゼロ層、150、242 磁性層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層体であって、
結晶配向中間層と、
前記中間層上に配設される磁気ゼロ層とを備え、前記磁気ゼロ層は、非磁性であるか、または飽和磁束密度(BS)が約100emu/cc未満であり、かつ非磁性分離体によって分離される粒子を備え、さらに
前記磁気ゼロ層上に配設される磁性層を備え、前記磁性層は非磁性分離体によって分離される強磁性粒子を備え、前記中間層と前記磁性層との間の格子不整合は約4%未満である、積層体。
【請求項2】
前記結晶配向中間層と前記磁性層との間の結晶ロッキングカーブの半値幅(FWHM)の差は約0.35度未満である、請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
前記磁気ゼロ層は、前記磁性層と同じ元素を異なる割合で備える、請求項1に記載の積層体。
【請求項4】
前記磁気ゼロ層の厚みは約25Å未満である、請求項1に記載の積層体。
【請求項5】
前記磁性層は、前記磁気ゼロ層に隣接する第1の磁性層と、交換遮断層によって前記第1の磁性層から離される第2の磁性層とを備える、請求項1に記載の積層体。
【請求項6】
前記磁気ゼロ層の前記粒子は、HCP結晶構造および(0001)成長方向を有する柱状粒子である、請求項1に記載の積層体。
【請求項7】
前記磁気ゼロ層はPtおよびRuのうち1つ以上を備える、請求項1に記載の積層体。
【請求項8】
積層体を作製する方法であって、
結晶配向中間層を堆積するステップと、
前記結晶配向中間層の上に磁気ゼロ層を堆積するステップとを備え、前記磁気ゼロ層は、非磁性であるか、または飽和磁束密度(BS)が約100emu/cc未満であり、かつ非磁性分離体によって分離される粒子を備え、さらに
前記磁気ゼロ層の上に磁性層を堆積するステップを備え、前記磁性層は、非磁性分離体によって分離される強磁性粒子を備え、前記中間層と前記磁性層との間の格子不整合は約4%未満である、方法。
【請求項9】
前記磁気ゼロ層を堆積するステップは、酸化物を備える分離体によって分離される、CoCrと、PtおよびRuのうち1つ以上とを備える粒子を堆積するステップを備え、
前記磁性層を堆積するステップは、前記酸化物を備える分離体によって分離される、Co合金を備える粒子を堆積するステップを備え、前記磁気ゼロ層は前記磁性層よりも高い堆積百分率の前記酸化物を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記結晶配向中間層を堆積するステップは、約80mTorr未満の圧力でスパッタリングするステップを備える、請求項8に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5】
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【図6】
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【図7a】
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【図7b】
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【図8】
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【図9a】
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【図9b】
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【図10a】
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【図10b】
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【図11】
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【図12】
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【図13a】
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【図13b】
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【公開番号】特開2012−181908(P2012−181908A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−39799(P2012−39799)
【出願日】平成24年2月27日(2012.2.27)
【出願人】(500373758)シーゲイト テクノロジー エルエルシー (278)
【Fターム(参考)】