説明

積層型セラミック電子部品の製造方法

【課題】金属箔を導体配線層として用いた多層セラミック基板を製造するにあたって、導体配線層とセラミック層との間で剥がれが生じにくい製造方法を提供する。
【解決手段】導体配線層を、Cuを含む金属箔11から構成し、その表面を、Cu2 Oによって覆った状態とした上で、生の積層体23を作製し、これを焼成することによって、多層セラミック基板のための焼結後の積層体を得る。Cuを含む金属箔をCu2 Oによって覆った状態とするため、上記金属箔の表面の少なくとも一部を酸化性雰囲気中で熱処理することが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、積層型セラミック電子部品の製造方法に関するもので、特に、積層型セラミック電子部品に備える導体配線層の形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この発明にとって興味ある積層型セラミック電子部品として、多層セラミック基板がある。近年、高周波化および高密度化が進むICやLSI等の半導体素子を搭載する多層セラミック基板に対して、高速伝播を可能にするため、小型化の要求が高まっている。
【0003】
そのため、多層セラミック基板に備えるセラミック層にあたっては、より低い誘電率を有する材料から構成されることが要求され、他方、多層セラミック基板に備える導体配線層やビアホール導体のような配線導体にあっては、より低い電気抵抗を有する材料から構成されることが要求される。より低い誘電率を与えるセラミック層を構成する材料として、たとえばBaO−Al2 3 −SiO2 系混合セラミック等のたとえば1000℃以下の温度で焼結させることが可能な低温焼結セラミックが注目され、他方、配線導体を構成する材料として、低温焼結セラミックと同時焼成可能であり、かつ電気抵抗の比較的低い金属である、たとえば、銅、銀、金、アルミニウムまたはニッケル等が注目されている。
【0004】
上述のように、低温焼結セラミックをもって構成されたセラミック層を備える多層セラミック基板は、一般に、次のようにして製造されている。
【0005】
まず、低温焼結セラミック原料粉末と有機バインダと有機溶剤とを混合して得られたスラリーを、ドクターブレード法等のシート成形法によってシート状に成形し、セラミックグリーンシートを作製する。次に、セラミックグリーンシートに、ビアホール導体のための貫通孔を打ち抜き加工し、この貫通孔に銅メタライズ組成物または銀メタライズ組成物を含む導電性ペーストを充填し、また、セラミックグリーンシート上に、同様の導電性ペーストを用いて導体配線層をスクリーン印刷法等によって形成する。次に、複数のセラミックグリーンシートを積層し、かつ積層方向にプレスして得られた生の積層体に対して、脱バインダのための加熱工程を実施し、次いで、焼成工程を実施する。
【0006】
しかしながら、上述のような多層セラミック基板の製造方法によれば、導体配線層やビアホール導体のような配線導体は、導電性ペーストの焼結体から構成されるので、配線導体の内部には、空隙や粒界が存在することが避けられず、配線導体の低抵抗化には限界があり、さらなる低抵抗化が要求される高周波回路の形成には必ずしも適していない。
【0007】
また、導体配線層の形成のための導電性ペーストの印刷精度を高めるには限界があり、したがって、たとえば、配線幅100μmより狭い微細な配線を良好な歩留まりをもって形成することは困難である。そのため、多層セラミック基板のさらなる小型化および配線のさらなる高密度化に対する要求を満たすには限界がある。
【0008】
そこで、銅等からなる金属箔を、導体配線層として用いた多層セラミック基板が提案されている。導体配線層を金属箔から構成することにより、金属箔は緻密であるので導体配線層の低抵抗化が可能であり、また、フォトリソグラフィ技術を用いることによって微細なパターニングが可能である、という利点を期待することができる。
【0009】
しかしながら、導体配線層の形成に金属箔を用いると、導電性ペーストを用いた場合には遭遇しにくかった、次のような問題を招く。
【0010】
すなわち、金属箔は、一般的に、セラミック層との反応性が乏しいため、セラミック層に対する接着強度が低い。特に、金属箔によって与えられる導体配線層が微細になるほど、接着強度の低いことがより影響し、金属箔からなる導体配線層がセラミック層から容易に剥がれてしまうという問題に遭遇する。
【0011】
また、金属箔は、焼成工程において熱収縮がほとんど生じない。そのため、焼成工程におけるセラミック層側の収縮挙動と金属箔の収縮挙動とを一致させることが困難であり、そのため、複数のセラミック層をもって構成される積層体において、デラミネーションあるいはクラックといった問題を招くことがある。
【0012】
また、焼成工程におけるセラミック層の主面方向での収縮を抑制するため、いわゆる無収縮プロセスを適用した場合においても、脱バインダ工程を実施した際、酸化性雰囲気中での加熱によって、金属箔において、酸化による体積膨張が生じたり、焼成工程の後の冷却過程において、セラミック層と金属箔との間の熱膨張率の差による応力が発生したりすることから、積層体において、デラミネーションやクラックが生じやすいという問題を完全に解決することはできない。
【0013】
なお、導電配線層の形成に導電性ペーストを用いた場合には、導体配線層は金属粒子の焼結構造を有しているため、そこには多くの空隙が存在し、金属粒子間の接触状態を変化させることが可能であるとともに、導電性ペースト中にはセラミックやガラス等のフィラー成分を添加することができるため、焼成工程の後の冷却過程における収縮挙動を、導体配線層とセラミック層との間で合わせることが比較的容易である。
【0014】
前述した金属箔を用いた場合に遭遇する課題に関連して、たとえば、特開平7−86743号公報(特許文献1)には、多層セラミック基板に備える導体配線層の形成に用いるCu箔を、高分子フィルム上に貼り付けた状態で酸化処理してCuO箔とし、このCuO箔を用いて生の積層体を作製することが記載されている。この方法によれば、空気雰囲気中での脱バインダ工程において、Cu箔の酸化による体積膨張を抑制することができ、その後の還元性雰囲気中での焼成工程において、CuOをCuに還元して、これを導体とすることができる。
【0015】
しかしながら、上述の特許文献1に記載された方法では、Cu箔の酸化処理は、高分子フィルム上にCu箔を貼り付けた状態で実施されるため、CuがCuOに酸化されるとき、約77%の体積膨張が生じることから、高分子フィルム上のCuO箔は大きく変形し、高分子フィルムから剥がれてしまうことがある。また、脱バインダ工程でのCuO箔のセラミック層からの剥がれは抑制できるものの、還元性雰囲気中でCuOをCuに還元するとき、約44%の体積減少が生じるため、導体配線層における断線や積層体におけるデラミネーションが多発するという問題に遭遇することがある。
【0016】
また、特開2001−15930号公報(特許文献2)には、金属箔からなる高純度金属導体をガラスセラミック基板の配線回路層に用いながら、焼成後における基板と配線回路層との熱膨張係数の差が、25〜800℃の間で14ppm/℃以下になるようにして、焼成後の冷却過程における配線回路層の剥がれを抑制しようとすることが記載されている。
【0017】
しかしながら、上述の特許文献2に記載されている技術は、焼成後の配線回路層の剥がれを抑制するためのものであって、焼成中、特にセラミックの焼結時における配線回路層の剥がれを抑制しようとするものではない。したがって、セラミックの焼結時において、金属箔とセラミックとの反応性が乏しく、互いの間の接着性を確保できないため、ガラスセラミック基板の組成によっては、焼成中に金属箔からなる配線回路層がガラスセラミック基板から剥がれてしまうという問題に遭遇することがある。
【0018】
以上のような問題は、多層セラミック基板に限らず、積層された複数のセラミック層をもって構成される積層体と、セラミック層上に形成される金属箔からなる導体配線層とを備える、積層型セラミック電子部品であれば、どのような積層型セラミック電子部品についても当てはまることである。
【0019】
また、上述の導体配線層を構成する金属箔が、金属線によって置き換えられた場合にも、同様の問題に遭遇する。
【特許文献1】特開平7−86743号公報
【特許文献2】特開2001−15930号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
そこで、この発明の目的は、上述のような問題を解決し得る、積層型セラミック電子部品の製造方法を提供しようとすることである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
この発明は、積層された複数のセラミック層をもって構成される積層体と、セラミック層上に形成される導体配線層とを備える、積層型セラミック電子部品を製造する方法に向けられるものであって、上述した技術的課題を解決するため、次のような構成を備えることを特徴としている。
【0022】
すなわち、この発明に係る積層型セラミック電子部品の製造方法では、上記導体配線層となる、Cuを含む金属箔または金属線を用意する工程と、上記金属箔または金属線の表面の少なくとも一部を、Cu2 Oによって覆う工程と、導体配線層を、セラミック層となるべきセラミックグリーンシートによって保持させる工程と、導体配線層を保持した複数のセラミックグリーンシートを積層する工程と、積層された複数のセラミックグリーンシートをもって構成される生の積層体を焼成する工程とが実施されることを特徴としている。
【0023】
この発明において、上記金属箔または金属線をCu2 Oによって覆う工程は、金属箔または金属線の表面の少なくとも一部を酸化性雰囲気中で熱処理する工程を含むことが好ましい。
【0024】
この発明に係る積層型セラミック電子部品の製造方法は、セラミック層が、焼成時にガラスが生成される低温焼結セラミック材料を含み、積層体が、積層された複数のセラミック層間の特定の界面に沿って位置しかつセラミック層に含まれる低温焼結セラミック材料の焼結温度では焼結しない収縮抑制用無機材料粉末を含む層間拘束層をさらに備える場合において、特に有利に適用される。
【0025】
上記の実施態様では、Cu2 Oによって覆う工程は、金属箔または金属線の片面を、Cu2 Oによって覆う工程を含み、導体配線層を、セラミック層となるべきセラミックグリーンシートによって保持させる工程は、特定のセラミックグリーンシート上に層間拘束層を形成する工程と、Cu2 Oによって覆われた片面が層間拘束層に接するように、層間拘束層を形成したセラミックグリーンシートによって導体配線層を保持させる工程とを含み、導体配線層を保持した複数のセラミックグリーンシートを積層する工程は、層間拘束層が複数のセラミックグリーンシート間の界面に沿って位置されるように、複数のセラミックグリーンシートを積層する工程を含む。
【発明の効果】
【0026】
以上のように、この発明によれば、金属箔または金属線から構成される導体配線層がCu2 Oで覆われるため、焼成工程において、これら表面被覆がセラミックグリーンシートに対してアンカー構造を形成し、それによって、導体配線層とセラミックグリーンシートとの接着力が向上するので、焼結後の積層体において、導体配線層がセラミック層から剥がれやすいという問題を回避することができる。
【0027】
特に、層間拘束層が形成される場合には、この層間拘束層によってセラミックの焼結に伴う体積収縮を抑制することができるので、導体配線層とセラミック層との界面において収縮挙動の差から生じる応力が抑制されるため、上述の効果がより完璧化されることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下には、この発明の実施の形態を説明するにあたり、積層型セラミック電子部品の一例としての多層セラミック基板について説明する。
【0029】
図1は、この発明の一実施形態を適用して得られた多層セラミック基板1を図解的に示す断面図である。
【0030】
多層セラミック基板1は、積層された複数のセラミック層2をもって構成される積層体3と、セラミック層2上に形成されるいくつかの導体配線層4とを備えている。この実施形態では、導体配線層4の特定のものに接続されながら特定のセラミック層2を厚み方向に貫通するように、いくつかのビアホール導体5がさらに設けられている。
【0031】
また、この実施形態では、セラミック層2を構成するセラミックを得るためのセラミック材料粉末の焼結温度では焼結しない収縮抑制用無機材料粉末を含む層間拘束層6が、セラミック層2間の界面に沿って位置されている。図1では、層間拘束層6は、セラミック層2間の界面のすべてに沿って位置されているが、特定の界面にのみ沿って位置されてもよい。
【0032】
また、多層セラミック基板1に備える積層体3上には、たとえば半導体ICチップのようなチップ状電子部品7が搭載されている。チップ状電子部品7は、積層体3の外表面上であって、上面側に形成された導体配線層4に対して、たとえば半田バンプ8を介して電気的に接続されかつ機械的に固定される。積層体3の下面側に形成された導体配線層4は、この多層セラミック基板1を、図示しないマザーボード上に実装するときに用いられる。
【0033】
このような多層セラミック基板1において、導体配線層4は、Cuを含む金属箔から構成され、その表面の少なくとも一部が、Cu2 Oによって覆われていることを特徴としている。
【0034】
上述の多層セラミック基板1を製造するため、図2ないし図4を参照して説明するような各工程が実施される。
【0035】
まず、図2(1)に示すように、導体配線層4となる、Cuを含む金属箔11が用意される。このCuからなる金属箔11としては、導電率が1.0×105 Ω-1・cm-1以上のものを用いることが好ましい。
【0036】
次に、Cuを含む金属箔11の片面または両面を、Cu2 Oで覆うようにされる。Cuを含む金属箔11の表面がCu2 Oで覆われた状態とするため、たとえば、Cuを含む金属箔11が酸化性雰囲気中において500℃以下の温度で熱処理される。一例として、金属箔11が18μmの厚みを有しかつCuから構成される場合、この金属箔11を、空気雰囲気中において、400℃の温度に設定されたオーブンを用いて、約15〜60分間熱処理することによって、金属箔11を、内部がCuからなりかつ表面がCu2 Oで覆われた状態とすることができる。
【0037】
なお、Cuからなる金属箔11を熱処理するにあたって、500℃より高い熱処理温度を適用したり、60分間を超える熱処理時間を適用したりすると、金属箔11の内部がCuでありながら、表面にCuOが形成されるため、金属箔11の内部と表面との間での体積膨張差が大きくなり過ぎ、金属箔11にクラックが発生し、後の工程において、精細なエッチングを施すことが不可能となることがある。このことから、Cuを含む金属箔11の場合、その表面には、体積膨張のより小さいCu2 Oを形成する必要がある。
【0038】
Cuを含む金属箔11の表面がCu2 Oで覆われた状態を得るため、上述した方法に代えて、たとえば、6N以下の塩酸等で金属箔11の表面を処理し、次いで、25℃程度の温度の空気中に放置するようにしてもよい。
【0039】
後述するセラミックグリーンシートに対する金属箔11の転移性ないしは密着性をより向上させるため、金属箔11の片面または両面を、高周波特性が問題とならない程度に荒らしておいてもよい。この表面を荒らすための工程は、上述したような金属箔11の表面をCu2 Oによって覆う工程の前に実施されることが好ましい。また、金属箔11の表面を荒らす工程は、たとえば、周知のめっき法を用いて、金属箔11の表面にCu等の特定の金属を薄く析出させるように実施される。
【0040】
次に、図2(2)に示すように、金属箔11が支持体12上に貼り付けられる。支持体12としては、たとえば、有機フィルム、ガラス板またはアルミナ板等が用いられる。また、金属箔11を支持体12上に貼り付けるため、接着剤等が適用される。
【0041】
次に、フォトリソグラフィ技術を用いながら金属箔11をエッチングすることによって、図2(3)に示すように、金属箔11がパターニングされ、金属箔11に対して、図1に示した導体配線層4のための形状が与えられる。
【0042】
より具体的には、図2(2)に示した金属箔11の表面に感光性フィルムを貼り付け、これを、所望の露光パターンが形成されたガラス原版によってマスクし、露光処理を行なった後、感光性フィルムに所望のパターンを与えるように現像処理する。次に、上述のようにパターニングされた感光性フィルムをレジストとして、金属箔11をエッチングすることによって、金属箔11に導体配線層4のための形状を与える。この金属箔11のエッチングに際して、たとえば、ペルオキソ2硫酸アンモニウムまたは塩化第2鉄等の溶液がエッチャントとして用いられる。
【0043】
金属箔11に対して、導体配線層4のための形状を与えるため、上述したフォトリソグラフィ技術のほか、たとえば、マスクを用いためっき法や、レーザ加工法やパンチ等による打ち抜き法を適用することもできる。
【0044】
なお、金属箔11の片面に対してのみ、これを、Cu2 Oによって覆えばよい場合、あるいは、表面を荒らせばよい場合には、図2(2)に示した段階あるいは図2(3)に示した段階において、これら覆う工程および荒らす工程を実施してもよい。たとえば、図2(3)に示した段階で、Cuからなる金属箔11を、支持体12とともに、塩酸中に浸漬した後、100℃以下の温度に設定されたオーブンに30分間入れることにより、金属箔11の表面にCu2 Oを形成することができる。
【0045】
他方、図3(1)に示すように、セラミック層2となるべきセラミックグリーンシート21が用意される。セラミックグリーンシート21は、後述する焼成工程において、Cuを含む金属箔11から構成される導体配線層4との同時焼成を可能とするため、たとえば1000℃以下の温度で焼結させることが可能な低温焼結セラミック材料を含むものであることが好ましい。
【0046】
セラミックグリーンシート21は、たとえば、酸化バリウム、酸化ケイ素、アルミナ、酸化カルシウムおよび酸化ホウ素の各粉末を混合したものに、ポリビニルブチラールからなるバインダとジ−n−ブチルフタレートからなる可塑剤とトルエンおよびイソプロピレンアルコールからなる溶剤とを混合して得られたスラリーを、ドクターブレード法等により、有機フィルム上でシート状に成形し、これを乾燥させることによって得ることができる。
【0047】
セラミックグリーンシート21に含まれる低温焼結セラミック材料としては、上記の例のように、焼成時にガラスが生成されるもののほか、予め、ガラスや酸化銅や酸化マグネシウム等の焼結助剤を含有させておくことによって、より低温で焼結し得る組成としたものであってもよい。また、セラミックグリーンシート21に含まれるバインダ、可塑剤および溶剤についても、上記の例以外のものを用いてもよい。
【0048】
次に、図3(2)に示すように、セラミックグリーンシート21上に、セラミックグリーンシート21に含まれるセラミック材料粉末の焼結温度では焼結しない収縮抑制用無機材料粉末を含む層間拘束層6が形成される。この層間拘束層6は、図1にも示されている。
【0049】
前述したように、セラミックグリーンシート21に含まれるセラミック材料粉末が1000℃以下の温度で焼結可能である場合、層間拘束層6は、たとえば、アルミナ、ムライト、窒化アルミニウム、ガラスセラミック、ジルコニア、アノーサイト、フォルステライトおよびコージライトの各粉末の少なくとも1種を主成分とし、軟化点780℃で粒径1.5μmのホウケイ酸ガラス粉末を15〜60体積%含み、さらに、ポリビニルブチラールからなるバインダとジ−n−ブチルフタレートからなる可塑剤とトルエンおよびイソプロピレンアルコールからなる溶剤とを混合して得られたスラリーを、セラミックグリーンシート21上に塗布し、乾燥させることによって形成される。
【0050】
上述のように、層間拘束層6に含まれるガラス粉末の含有量が15体積%未満の場合には、後述する焼成工程において、このガラス粉末によって与えられるガラスが、アルミナ等の収縮抑制用無機材料粉末の隙間に十分浸透しないため、接着層として十分に働かないばかりでなく、収縮抑制用無機材料粉末を十分に固化させることができないため、空隙が生じ、導体配線層4と層間拘束層6との界面における接着面積が減少し、そのため、接着力が極端に弱くなり、図1に示した積層体3を実用に供することが不可能になる。
【0051】
他方、ガラス粉末の含有量が60体積%より多くなると、後述する焼成工程において、液相化したガラスが、アルミナ等の収縮抑制用無機材料粉末の間に多量に介在することになり、層間拘束層6によるセラミックグリーンシート21の収縮抑制作用が十分に働かず、導体配線層4とセラミックグリーンシート21との熱応力の差によって、得られた積層体3に変形や割れが生じ、積層体3を実用に供することが不可能になる。
【0052】
これらのことから、ガラス粉末による良好な接着力を確保しながら、得られた積層体3の変形や割れ等を生じないようにするため、ガラス粉末の添加量は、15〜60体積%であることが好ましく、より好ましくは、25〜45体積%である。
【0053】
また、層間拘束層6に添加されるガラスは、焼成温度以下において、その粘度が106.7 Pa・s-1以下に低下し、アルミナ等の収縮抑制用無機材料粉末の隙間を埋め、これを緻密化するものであればよく、このようなガラスとして、たとえば、高軟化点の非晶質ガラスや、緻密化した後、粘度上昇する結晶化ガラスや、焼成終了間際に液相が生成する酸化物混合物などを用いることができる。さらに、このガラスは、焼成工程において、セラミックグリーンシート21が収縮している、たとえば850〜950℃の温度域において、層間拘束層6に含まれる収縮抑制用無機材料粉末の固化助剤として働くものであることが好ましく、また、層間拘束層6から流れ出したりするほど粘度が低下し過ぎないものであることが好ましい。ただし、焼成工程において、液相が生じないガラスまたは酸化物を添加した場合には、層間拘束層6に含まれる収縮抑制用無機材料粉末の隙間を埋めることなく、これを緻密化できないため、層間拘束層6を固化することができない。
【0054】
図3(2)に示すように、セラミックグリーンシート21上に層間拘束層6を形成するためのスラリーの塗布方法としては、周知の印刷法またはドクターブレード法等を適用することができる。この場合、導体配線層4が形成される領域に対応する領域にのみ、スラリーを塗布してもよく、あるいは、位置合わせ精度を考慮しなくてもよいようにするため、セラミックグリーンシート21上の全面にわたって塗布するようにしてもよい。
【0055】
層間拘束層6は、図1に示した積層体3に備える複数のセラミック層2の各々を与えるセラミックグリーンシート21のすべてに形成する必要はない。たとえば、図1に示した複数のセラミック層2のうち、最も上のセラミック層2上には層間拘束層6が形成されていないため、このセラミック層2を与えるセラミックグリーンシート21には層間拘束層6が形成されない。また、図示しないが、中間に位置するセラミックグリーンシート21においても、層間拘束層6が形成されないものがあってもよい。
【0056】
また、上述した説明では、セラミックグリーンシート21が用意された後に、このセラミックグリーンシート21上に層間拘束層6が形成されるとしたが、先に、層間拘束層6を用意し、その上にセラミックグリーンシート21を形成するようにしてもよい。
【0057】
次に、図3(3)に示すように、セラミックグリーンシート21および層間拘束層6を貫通するように、たとえば穿孔機またはレーザ等を用いて、貫通孔22が形成される。貫通孔22は、図1に示したビアホール導体5を設けるためのものである。
【0058】
次に、図3(4)に示すように、貫通孔22に、導電性ペーストが充填され、それによってビアホール導体5が形成される。貫通孔22内へ導電性ペーストを付与するため、たとえばスクリーン印刷法が適用される。
【0059】
上述の導電性ペーストとしては、たとえば、Ag、Au、Cu、Ni、Ag−PdおよびAg−Ptから選ばれた少なくとも1種の金属を主成分とする導電性粉末に対して、バインダと溶剤とを混合した有機ビヒクルを所定量加え、攪拌擂潰機および3本ロールミルによって攪拌かつ混練して得られたものを用いることができる。
【0060】
導電性粉末の中心粒径および粒子形状は、特に限定されないが、中心粒径が0.3〜10μmであって、粗大粉や極端な凝集粉のないものが望ましい。
【0061】
また、有機ビヒクルを構成するバインダおよび溶剤についても、特に限定されないが、バインダとしては、たとえば、エチルセルロース、アクリル樹脂、ポリビニルブチラールまたはメタクリル樹脂等を用いることができ、溶剤としては、たとえば、テレピネオール、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテートまたはアルコール類等を用いることができる。
【0062】
また、導電性ペーストには、必要に応じて、分散剤、可塑剤および活性剤を添加してもよい。さらに、セラミックとの収縮挙動のマッチングを図るため、導電性ペーストに、ガラスフリット、Cu2 O等の金属酸化物、セラミック粉末および/または樹脂粉末を、70重量%以下の範囲で添加してもよい。また、導電性ペーストの粘度は、印刷性を考慮して、50〜700Pa・s-1であることが好ましい。
【0063】
次に、図3(4)に示した層間拘束層6が形成されたセラミックグリーンシート21に向かって、図2(3)に示した支持体12によって保持された金属箔11が、図4(1)に示すように押し付けられ、たとえば100kg/cm2 程度の圧力が加えられる。そして、支持体12が除去されたとき、図4(2)に示すように、金属箔11が層間拘束層6上に転移される。このとき、少なくとも、金属箔11の、層間拘束層6に接する面は、Cu2 Oによって覆われた状態となっている。なお、層間拘束層6が形成されない場合には、セラミックグリーンシート21上に金属箔11が転移される。
【0064】
上述した転移に際して、焼成工程において焼失する樹脂接着剤を、金属箔11の表面に予め塗布しておくと、層間拘束層6またはセラミックグリーンシート21に対する金属箔11の密着力を高めることができる。
【0065】
なお、金属箔11が層間拘束層6またはセラミックグリーンシート21上に形成された状態を得るため、上述のような支持体12からの転移工程を適用することなく、直接、セラミックグリーンシート21または層間拘束層6上に金属箔11を形成するようにしてもよい。
【0066】
次に、図4(2)に示すような金属箔11を保持したセラミックグリーンシート21を含む複数のセラミックグリーンシート21が、図4(3)に示すように積層され、次いで、たとえば温度80℃および圧力200kg/cm2 の条件で積層方向にプレスされることによって、生の積層体23が得られる。
【0067】
次に、生の積層体23は、脱バインダ工程を経て、還元性雰囲気中で、たとえば温度900℃および1時間の条件で焼成され、それによって、図1に示した焼結後の積層体3が得られる。積層体3において、セラミック層2はセラミックグリーンシート21に由来するものであり、導体配線層4は金属箔11に由来するものである。
【0068】
このような積層体3を得るための焼成工程において、導体配線層4を構成する金属箔11の表面は、前述したように、Cu2 Oによって覆われているので、この被覆材料がセラミックグリーンシート21に対してアンカー構造を形成し、導体配線層4とセラミック層2との界面での接着力を高め、セラミック層2に含まれるセラミックの焼結の前後において、導体配線層4がセラミック層2から剥がれることを抑制する。
【0069】
また、この実施形態では、生の積層体23には、層間拘束層6が形成されている。この層間拘束層6に含まれる、たとえばアルミナ粉末のような収縮抑制用無機材料粉末は、焼成工程において、実質的に焼結しないため、層間拘束層6には実質的な収縮が生じない。したがって、層間拘束層6による収縮抑制作用がセラミックグリーンシート21に及ぼされ、焼成工程において、セラミックグリーンシート21が主面方向に収縮することが抑制される。その結果、層間拘束層6とセラミック層2との界面において収縮挙動の差から生じる応力を抑制する。このことによっても、導体配線層4とセラミック層2との界面での接着強度を高く確保することができる。また、焼結後の積層体3の寸法精度を高くでき、そのため、導体配線層4およびビアホール導体5によって与えられる配線の高密度化を高い信頼性をもって達成することができる。
【0070】
なお、図4(3)に示した生の積層体23と図1に示した積層体3とを対比したとき、積層体3の下面に形成された導体配線層4は、図4(3)では図示されていない。この下面上の導体配線層4については、生の積層体23を得るための積層工程の前に、最も下のセラミックグリーンシート21上に予め形成しておいても、あるいは、生の積層体23を得た後、その下面に導体配線層4を形成するようにしてもよい。また、この下面側の導体配線層4は、金属箔11から構成するのではなく、導電性ペーストによって形成し、生の積層体23の焼成工程において、同時にこれを焼き付けるようにしてもよい。さらに、焼結後の積層体3の下面に導電性ペーストを付与し、これを焼き付けることによって、下面側の導体配線層4を形成するようにしてもよい。
【0071】
次に、焼結後の積層体3の上面に、図1に示すように、チップ状電子部品7が搭載され、半田バンプ8を介して上面上の導体配線層4に接続されることによって、多層セラミック基板1が完成される。
【0072】
以上、この発明を、図示した実施形態に関連して説明したが、この発明の範囲内において、その他、種々の変形例が可能である。
【0073】
たとえば、前述した実施形態において、導体配線層4を形成するために用いられた金属箔11は、金属線に置き換えられてもよい。
【0074】
また、多層セラミック基板1に備える積層体3において、導体配線層4のすべてが金属箔11または金属線から構成されるのではなく、その一部において、導電性ペーストから形成された導体配線層が設けられてもよい。
【0075】
また、図示した実施形態では、層間拘束層6が形成されたが、このような層間拘束層が形成されない実施形態もこの発明の範囲内にあるものと理解すべきである。
【0076】
また、前述した実施形態は、たとえば、LCフィルタ、マルチチップモジュール、チップスケールパッケージ等に用いる多層セラミック基板に向けられるものであったが、この発明は、積層された複数のセラミック層をもって構成される積層体と、セラミック層上に形成される導体配線層とを備えるものであれば、たとえば、積層コンデンサや積層インダクタ等の他の積層型セラミック電子部品に対しても適用することができる。
【0077】
次に、この発明による効果を確認するために実施した実験例について説明する。
【0078】
(実験例)
酸化バリウム、酸化ケイ素、アルミナ、酸化カルシウムおよび酸化ホウ素の各粉末を混合したものに、ポリビニルブチラールからなるバインダとジ−n−ブチルフタレートからなる可塑剤とトルエンおよびイソプロピレンアルコールからなる溶剤とを混合して、スラリーを作製し、このスラリーをドクターブレード法によって有機フィルム上でシート状に成形し、乾燥させて、厚み100μmのセラミックグリーンシートを得た。
【0079】
次に、アルミナ粉末65体積%に対し、軟化点780℃で粒径1.5μmのホウケイ酸ガラス粉末を35体積%となるように添加するとともに、ポリビニルブチラールからなるバインダとジ−n−ブチルフタレートからなる可塑剤とトルエンおよびイソプロピレンアルコールからなる溶剤とを添加し、これらを混合して得られたスラリーを、上述のセラミックグリーンシート上に塗布し、セラミックグリーンシート上に層間拘束層を形成した。
【0080】
次に、表1および表2に示すような導体材料からなる金属箔を用意した。ここで、試料1〜20および30〜47に係るCu箔、Ag箔、Al箔およびNi箔については、厚み18μmのものを用意し、試料21〜29に係るAu箔については、厚み3μmのものを用意した。
【0081】
このようにして用意されたCu箔、Ag箔、Al箔、Ni箔およびAu箔の各々について、表1および表2に示すように、表面被覆を施さない試料(試料1、12、21、30および39)のほか、表面被覆として、無電解めっきによって、厚み約0.5μmのCr、Mo、Cr2 3 、Mo2 3 、Al2 3 、Ti、TiO2 またはNiOからなる膜を成膜した各試料(試料4〜11、13〜20、22〜29、31〜38および40〜47)を作製した。また、Cu箔については、約5リットル/分の流量をもって空気を導入したオーブン中で、温度300℃で30分間熱処理し、表面にCu2 Oを形成した試料(試料2)と、温度600℃で30分間熱処理して、表面にCuOを形成した試料(試料3)とを作製した。
【0082】
次に、アクリル系フィルム上に、上述した各試料に係る金属箔を貼り付け、さらにその上に、厚み20μmの感光性フィルムを貼り付け、これを、所望の回路パターンを与えるべく露光パターンが形成されたガラス原版によってマスクし、露光処理を行なった後、感光性フィルムに所望のパターンを与えるように現像処理した。
【0083】
次に、上述のようにパターニングされた感光性フィルムをレジストとして、各々の金属箔を、エッチング速度5〜30μm/分をもってエッチングし、金属箔に対して所望のパターンを付与した。ここで、エッチャントとしては、Cu箔に対しては過硫酸アンモニウム水溶液を用い、Ag箔に対しては硝酸を用い、Au箔に対してはシアン化カリウムを用い、Al箔に対してはリン酸と酢酸と硝酸との混合液を用い、Ni箔に対しては塩酸を用いた。
【0084】
次に、感光性フィルムからなるレジストを剥離し、その結果、0.1mm×20mmの平面寸法を有する金属箔からなる導体配線層を得た。
【0085】
次に、上述のようにしてフィルム上でパターニングされた各金属箔からなる導体配線層を、前述の層間拘束層が形成されたセラミックグリーンシートに、100kg/cm2 の圧力を加えて転移させた。
【0086】
次に、導体配線層も層間拘束層も形成されていないセラミックグリーンシートを9枚重ね合わせるとともに、その5枚目に、上述のようにして得られた導体配線層を保持しかつ層間拘束層が形成されたセラミックグリーンシートを挿入し、温度80℃および圧力200kg/cm2 の条件で積層方向にプレスし、生の積層体を得た。この生の積層体において、導体配線層の各端部は、相対向する側面にそれぞれ露出する状態となるようにした。
【0087】
次に、Cuを主成分としかつ中心粒径が0.8μmの導電性粉末に対して、ポリビニルブチラールからなるバインダおよびテレピネオールからなる溶剤を所定量加え、攪拌擂潰機および3本ロールミルによって攪拌し、混練することによって得られた導電性ペーストを、上述の生の積層体の側面に周知の印刷法によって付与し、生の積層体中の導体配線層に電気的に接触するようにした。
【0088】
次に、上述の生の積層体を、脱バインダ処理した後、還元性雰囲気中において、温度900℃および1時間の条件で焼成し、評価用試料となる多層セラミック基板を得た。
【0089】
次に、この評価用試料としての多層セラミック基板について、触針型表面粗さ計によって、基板変形量を測定した。この基板変形量に関しては、30μm以上の場合が不良と評価される。
【0090】
また、評価用試料としての多層セラミック基板について、デジタルマルチメータを用いて、2端子法によって電気的導通検査を行ない、100Ω以上を断線として、断線発生の有無を評価した。
【0091】
さらに、評価用試料としての多層セラミック基板について、導体配線層を横切るように、この導体配線層の平面に対して垂直に切断し、導体配線層とセラミック部分との界面付近を金属顕微鏡で100〜1000倍に拡大して観察し、直径5μm以上の空隙が観察されたとき、デラミネーションが生じているとし、それによって、デラミネーションの有無を評価した。
【0092】
以下の表1および表2には、上述した評価結果が示されている。
【0093】
【表1】

【0094】
【表2】

【0095】
表1および表2において、試料番号に*を付したものは、金属箔に表面被覆を施さなかった点で、この発明の範囲外の試料である。他方、試料2が、この発明の範囲内の試料である。これら以外の試料4〜11、13〜20、22〜29、31〜38および40〜47は、導体材料としてCu以外のものを用いたか、あるいは表面被覆材料としてCuO以外のものを用いた点で、この発明の範囲外の参考例としての試料である。
【0096】
表1および表2を参照して、試料番号に*を付した試料1、12、21、30および39のように、導体配線層を形成するための金属箔に表面被覆を施さなかったものについては、デラミネーションが発生した。
【0097】
また、試料3のように、Cu箔からなる導体配線層を形成したものであって、Cu箔をCuOによって表面被覆したものについては、デラミネーションは発生しなかったが、還元反応による収縮量が大きいため、基板変形量が大きく、また、断線が発生した。
【0098】
これらに対して、この発明の範囲内にある試料2によれば、参考例としての試料4〜11、13〜20、22〜29、31〜38および40〜47と同様、基板変形量が小さく、断線が発生せず、また、デラミネーションも発生しなかった。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】この発明の一実施形態を適用して得られた多層セラミック基板1を図解的に示す断面図である。
【図2】図1に示した多層セラミック基板1に備える導体配線層4を得るための工程を順次示す断面図である。
【図3】図1に示した多層セラミック基板1に備えるセラミック層2、ビアホール導体5および層間拘束層6を得るためにセラミックグリーンシート21に施される工程を順次示す断面図である。
【図4】図2(3)に示した金属箔11および図3(4)に示した層間拘束層6が形成されたセラミックグリーンシート21を用いて、図1に示した多層セラミック基板1に備える積層体3のための生の積層体23を得るための工程を順次示す断面図である。
【符号の説明】
【0100】
1 多層セラミック基板
2 セラミック層
3 積層体
4 導体配線層
6 層間拘束層
11 金属箔
21 セラミックグリーンシート
23 生の積層体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層された複数のセラミック層をもって構成される積層体と、前記セラミック層上に形成される導体配線層とを備える、積層型セラミック電子部品を製造する方法であって、
前記導体配線層となる、Cuを含む金属箔または金属線を用意する工程と、
前記金属箔または金属線の表面の少なくとも一部を、Cu2 Oによって覆う工程と、
前記導体配線層を、前記セラミック層となるべきセラミックグリーンシートによって保持させる工程と、
前記導体配線層を保持した複数の前記セラミックグリーンシートを積層する工程と、
積層された複数の前記セラミックグリーンシートをもって構成される生の積層体を焼成する工程と
を備える、積層型セラミック電子部品の製造方法。
【請求項2】
前記金属箔または金属線をCu2 Oによって覆う工程は、前記金属箔または金属線の表面の少なくとも一部を酸化性雰囲気中で熱処理する工程を含む、請求項1に記載の積層型セラミック電子部品の製造方法。
【請求項3】
前記セラミック層は、焼成時にガラスが生成される低温焼結セラミック材料を含み、
前記積層体は、積層された複数の前記セラミック層間の特定の界面に沿って位置しかつ前記セラミック層に含まれる前記低温焼結セラミック材料の焼結温度では焼結しない収縮抑制用無機材料粉末を含む層間拘束層をさらに備え、
前記Cu2 Oによって覆う工程は、前記金属箔または金属線の片面を、Cu2 Oによって覆う工程を含み、
前記導体配線層を、前記セラミック層となるべきセラミックグリーンシートによって保持させる工程は、特定の前記セラミックグリーンシート上に前記層間拘束層を形成する工程と、前記Cu2 Oによって覆われた前記片面が前記層間拘束層に接するように、前記層間拘束層を形成した前記セラミックグリーンシートによって前記導体配線層を保持させる工程とを含み、
前記導体配線層を保持した複数の前記セラミックグリーンシートを積層する工程は、前記層間拘束層が複数の前記セラミックグリーンシート間の界面に沿って位置されるように、複数の前記セラミックグリーンシートを積層する工程を含む、請求項1または2に記載の積層型セラミック電子部品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−34860(P2008−34860A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−213491(P2007−213491)
【出願日】平成19年8月20日(2007.8.20)
【分割の表示】特願2002−209488(P2002−209488)の分割
【原出願日】平成14年7月18日(2002.7.18)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】