説明

積層基板の製造方法及び積層基板

【課題】製造時間の短縮を図ることが可能な積層基板の製造方法を提供すること。
【解決手段】積層基板を構成する配線層及びビア層は、対応する配線シート70及びビアシート60を別々の製造工程で作成する。そして、コア基板10に対し、上下方向に複数のビアシート60及び配線シート70積層して、プレス装置によって押圧しつつ加熱処理を行うことで、積層基板を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
積層基板の製造方法及び積層基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子部品が実装される基板は、コア基板の上下に積層された複数の絶縁層及び配線層と、配線層間を互いに接続するビアとを含む、所謂多層配線基板である。このような配線基板は、例えばビルドアップ法により形成される(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
ビルドアップ法による製造工程では、絶縁層の形成、絶縁層に対するビア用凹部の形成、凹部及び絶縁層上面に対する導体層の形成、を含み、これらの工程を複数回繰り返すことにより、配線基板を形成する。このような配線基板は、積層基板と呼ばれる場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−190232号公報
【特許文献2】特開2007−158174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記の配線基板では、絶縁層の形成と導体層の形成とを交互に繰り返すため、導体層が多くなると、それにともなって製造開始から配線基板の完成までに多くの時間が掛かってしまう。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、製造時間の短縮を図ることが可能な積層基板の製造方法及び積層基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一観点によれば、積層基板は、第1の絶縁体と、前記第1の絶縁体の第1面と第2面との間を貫通して形成されたビアと、前記第1の絶縁体の第1面に形成された配線パターンと、を有する配線シートを形成する工程と、第2の絶縁体と、前記第1の絶縁体の前記ビアと対応する位置に形成され前記第2の絶縁体の第1面と第2面との間を貫通する貫通孔と、前記貫通孔に収容された導電性ペーストと、を有するビアシートを形成する工程と、前記配線シートと前記ビアシートとを加熱圧着して一体化する工程と、を含む方法により製造される。この方法によれば、配線シートとビアシートとを並行して形成することができ、製造時の短縮を図ることができる。
【0008】
本発明の一観点によれば、積層基板は、積層された少なくとも一対の配線層及びビア層を有し、前記配線層は、第1の絶縁層と、前記第1の絶縁層の第1面と第2面との間を貫通する第1の貫通孔と、前記第1の貫通孔に形成された第1のビアと、前記第1の絶縁層の第1面に形成され、前記第1のビアと接続された配線パターンと、前記第1の絶縁層の第2面に形成され、前記第1のビアを介して前記配線パターンに接続され、前記第1のビアと反対側の面が粗化された接続部と、を有し、前記ビア層は、第2の絶縁層と、前記第2の絶縁層の第1面と第2面との間を貫通する第2の貫通孔と、前記第2の貫通孔に形成されるとともに前記第2の貫通孔に挿入された前記接続部と接続された第2のビアと、を有する。この構成によれば、導体層の多い積層基板を容易に形成することができる。
【0009】
また、本発明の一観点によれば、積層基板は、少なくとも一つの面に配線パターンが形成されたコア基板と、前記配線パターンが形成された面側に、交互に積層された複数の配線層及びビア層と、を有し、前記配線層は、第1の絶縁層と、前記第1の絶縁層の第1面と第2面との間を貫通する第1の貫通孔と、前記第1の貫通孔に形成された第1のビアと、前記第1の絶縁層の第1面に形成され、前記第1のビアと接続された配線パターンと、前記第1の絶縁層の第2面に形成され、前記第1のビアを介して前記配線パターンに接続され、前記第1のビアと反対側の面が粗化された接続部と、を有し、前記ビア層は、第2の絶縁層と、前記第2の絶縁層の第1面と第2面との間を貫通する第2の貫通孔と、前記第2の貫通孔に形成されるとともに、前記第2の貫通孔に挿入された前記接続部と、前記コア基板の配線パターンとを接続する第2のビアと、を有する。この構成によれば、導体層の多い積層基板を容易に形成することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一観点によれば、製造時間の短縮を図ることが可能な積層基板の製造方法及び積層基板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】(a)(b)は本実施形態における積層基板の概略断面図。
【図2】各層の積層を示す概略断面図。
【図3】配線層の製造方法を示す断面図。
【図4】配線層の製造方法を示す断面図。
【図5】配線層の製造方法を示す断面図。
【図6】配線層の製造方法を示す断面図。
【図7】配線層の製造方法を示す断面図。
【図8】配線層の製造方法を示す断面図。
【図9】配線層の製造方法を示す断面図。
【図10】配線層の製造方法を示す断面図。
【図11】ビア層の製造方法を示す断面図。
【図12】ビア層の製造方法を示す断面図。
【図13】ビア層の製造方法を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して一実施形態を説明する。
尚、添付図面は、構造の概略を説明するためのものであり、実際の大きさを表していない。
【0013】
図1(a)は、本実施形態における積層基板の概略断面図であり、図1(b)は、その一部を拡大した概略断面図である。
図1(a)に示すように、積層基板1は、厚み方向(図面上下方向)の中央に配置されたコア基板10を含む。コア基板10の上方には、複数(本実施形態では3つ)のビア層20a,20b,20cと配線層30a,30b,30cが交互に積層されている。そして、配線層30cの上面にはソルダーレジスト等の保護膜40が形成されている。保護膜40には所定位置に開口41が形成され、その開口41から配線層30cに含まれるパターンが、図示しない半導体チップ等のバンプ等に接続される電極51として露出されている。
【0014】
図1(b)に示すように、コア基板10は、板状に形成された基板本体11を含む。基板本体11には第1面(上面)と第2面(下面)のそれぞれに配線パターン12a,12bが、例えばサブトラクティブ法により形成されている。また、基板本体11には、第1面と第2面との間を貫通する複数の貫通孔13が形成され、その貫通孔13の内側面にはスルーホールビア14が、例えばめっきにより形成されている。配線パターン12a,12bは、スルーホールビア14を介して電気的に接続されている。スルーホールビア14の内部には、樹脂15が充填されている。
【0015】
ビア層20aは、絶縁層21を含む。絶縁層21は、絶縁性樹脂フィルムを硬化して形成されている。絶縁性樹脂フィルムの材料として、例えばエポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂などが用いられる。絶縁層21には、第1面(上面)と第2面(下面)との間を貫通する貫通孔22が形成されている。貫通孔22は、積層基板1の厚み方向において内側、即ちコア基板10側(第2面側)の開口径よりも、第1面側の開口径が大きい、略円錐台状の空洞として形成されている。貫通孔22内には、ビア23が形成されている。ビア23は、貫通孔22内に充填した導電性ペーストを硬化して形成されている。従って、ビア23は、略円錐台状に形成されている。導電性ペーストとして、例えば銅ペースト、半田ペースト、銀ペースト、銅や銀を含む合金ペースト等が用いられる。また、貫通孔22には、後述する接続部34が挿入されている。接続部34は導電性を有する材料、例えば銅により形成されている。そして、接続部34は、ビア23と電気的に接続されている。
【0016】
配線層30aは、絶縁層31を含む。絶縁層31は、絶縁性樹脂を硬化して形成されている。絶縁性樹脂として、例えばエポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂などが用いられる。絶縁層31には、第1面(上面)と第2面(下面)との間を貫通する貫通孔32が形成されている。貫通孔32は、積層基板1の厚み方向において内側、即ちコア基板10側(第2面側)の開口径よりも、第1面側の開口径が大きい、略円錐台状の空洞として形成されている。貫通孔32内には、ビア33が形成されている。従って、ビア33は、円錐台状に形成されている。ビア33は、例えば銅メッキにより形成されている。ビア33の下面には、上記の接続部34が形成されている。接続部34の形状は、例えば円盤状である。
【0017】
絶縁層31の上面には、配線パターン35が形成されている。配線パターン35は、例えば銅であり、ビア33の上面を覆うように形成されている。つまり、配線パターン35は、ビア33と接続されている。この配線パターン35は、例えばセミアディティブ法により形成されている。尚、配線パターン35を、サブトラクティブ法などの各種の配線形成方法を用いて形成してもよい。ビア33は接続部34と接続されている。従って、絶縁層31の第1面側に形成された配線パターン35は、絶縁層31の第2面側に形成された接続部34と、ビア33を介して電気的に接続されている。
【0018】
図1(a)に示すように、ビア層20b〜20fは、ビア層20aと同様に形成されているため、説明を省略する。また、配線層30b〜30fは、配線層30aと同様に形成されているため、説明を省略する。
【0019】
ビア層20aは、図2に示すビアシート60により形成される。ビアシート60は、絶縁性樹脂フィルム61を含む。この絶縁性樹脂フィルム61の材料としては、例えばエポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂などを用いることができる。フィルム61には、所定位置に、第1面(上面)と第2面(下面)との間を貫通する貫通孔62が形成されている。貫通孔62は、第2面側の開口径よりも、第1面側の開口径が大きい、略円錐台状の空洞として形成されている。貫通孔62内には導電性ペースト63が充填されている。
【0020】
図1(a)に示す配線層30aは、図2に示す配線シート70により形成される。配線シート70は、絶縁層71を含む。絶縁層71は、例えば、ポリイミド樹脂やエポキシ樹脂などの樹脂によって形成されたプリプレグ(prepreg)でありB−ステージ(半硬化状態)のものである。絶縁層71には、所定位置に、第1面(上面)と第2面(下面)との間を貫通する貫通孔72が形成されている。貫通孔72は、第2面側の開口径よりも、第1面側の開口径が大きい、略円錐台状の空洞として形成されている。その貫通孔72内にはビア33が形成されている。ビア33の下面には、接続部34が接続されている。絶縁層71の上面には、配線パターン35が形成されている。接続部34の下面は、粗面化されている。
【0021】
ビアシート60の貫通孔62と、配線シート70の貫通孔72及び接続部34は、図2の一点鎖線で示すように、配線シート70の配線パターン35を接続する内挿側の配線パターン(図2ではコア基板10の配線パターン12a)に対応して形成されている。
【0022】
同様に、図1(a)に示す各ビア層20b〜20fは、ビアシート60と同様に形成されたビアシート(図示略)により形成される。また、図1(a)に示す各配線層30b〜30fは、配線シート70と同様に形成された配線シート(図示略)により形成される。
【0023】
すなわち、コア基板10に対し、上下方向に複数のビアシート及び配線シートを位置合せ(例えば光学的アライメント)しつつ交互に積層する。そして、プレス装置によって押圧しつつ加熱処理を行う。プレス装置の加熱により、各シート60,70の絶縁性樹脂フィルム61と絶縁層71を硬化させる。これにより、フィルム61と絶縁層71が互いに接着されるとともにフィルム61がコア基板10に接着され、図1(b)に示すように、コア基板10に対して積層された絶縁層21,31が形成される。
【0024】
また、ビアシート60の導電性ペースト63が硬化することにより、図1(b)に示すビア23が形成される。プレス装置の押圧により、配線シート70の接続部34は、ビアシート60の導電性ペースト63に埋設される。この導電性ペースト63は、接続部34の粗面、つまり凹部に挿入される。これにより、導電性ペースト63を硬化したビア23と接続部34との間でアンカー効果が発揮され、ビア23と接続部34が接続される。コア基板10の配線パターン12a,12b表面を粗面とすることにより、同様にビア23と配線パターン12aとを接続することができる。
【0025】
また、導電性ペースト63は、接続部34をビアシート60の貫通孔62内に挿入することにより、ビアシート60の第2面に接する面、つまりコア基板10に形成された配線パターン12aの上面に押し付けられる。そして、導電性ペースト63を硬化したビア23と配線パターン12aとが接続される。
【0026】
次に、上記の配線シート70の製造工程を図3〜図10に従って説明する。
先ず、図3に示すように、支持体80を用意する。この支持体80は、製造工程に耐え得る、つまり繰り返し使用することが可能な材質であればよく、例えばステンレスが用いられる。尚、チタン等の他の材料を用いることができる。
【0027】
支持体80の上面と下面のそれぞれ端部に接着層81を形成し、この接着層81を介して金属箔82を固定する。接着層81の材料としては、例えばプリプレグなどの熱硬化性樹脂などを用いることができる。この金属箔82は、接続部34(図2参照)を構成する材質(例えば、銅)である。この金属箔82の支持体80側の面は粗化面処理がなされている。尚、支持体80の厚さ方向(図面上下方向)の両面において、配線シートを形成する。形成する配線シートの種類は、同じ種類であっても、異なる種類であってもよい。尚、この配線シートを形成する工程の説明に対し、支持体80の上側のみ部材を図示して説明する。
【0028】
次に、金属箔82の表面を覆うように絶縁層71を形成する。絶縁層71は、ポリイミド樹脂やエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂又は感光性樹脂を印刷等によって塗布して形成される。また、ポリイミド樹脂やエポキシ樹脂等の樹脂からなるフィルムを接着して形成してもよい。尚、金属箔82を絶縁層71により被覆した後に支持体80に接着するようにしてもよい。
【0029】
次に、図4に示すように、レーザ等を用いて絶縁層71に貫通孔72を形成し、その貫通孔72によって金属箔82の上面を露出させる。この貫通孔72を有する絶縁層71は、例えば感光性樹脂膜にフォトリソ法を用いてパターニングして形成する方法や、スクリーン印刷を用いてビア開口部が設けられた樹脂膜をパターニングして形成する方法を用いて形成されてもよい。
【0030】
次に、図5に示すように、酸化剤溶液等によって絶縁層の表面、即ち絶縁層71の上面及び貫通孔72の内側面を粗化し、無電解めっき(例えば、銅)によってシード層85を形成する。このシード層85は、例えばスパッタリング等を用いて形成してもよい。
【0031】
次に、図6に示すように、シード層85の上面にマスク86を形成する。このマスク86は、例えばフォトリソ法等を用いて形成されたレジストパターンである。そして、シード層85をめっき給電層に利用した電解めっきによって図7に示す導体パターン87を形成する。尚、マスク86形成する又は電解めっきを行う前に、シード層85の表面を粗面化するとよい。
【0032】
次に、マスク86を除去した後に、導体パターン87をマスクにしてシード層85(図示略)をエッチングし、図8に示すように、ビア33及び所望の配線パターン35を形成する。
【0033】
次に、図9に示すように、支持体80の上面の端部に備える接着層81の内側をルータ88で切断することにより中間体89を形成する。この中間体89は、金属箔82、絶縁層71、ビア33、及び配線パターン35を含む。
【0034】
次に、図10に示すように、中間体89の上面を被覆する保護膜90と、金属箔82の下面一部を覆うマスク91とを形成する。この保護膜90及びマスク91は、フォトリソ法等を用いて形成する。マスク91は、ビア33に対応した金属箔82の下面を覆う。そして、このマスク91により金属箔82をエッチングして接続部34を形成する。そして、保護膜90及びマスク91を除去することで配線シート70が形成される。
【0035】
次に、上記のビアシート60の製造工程を図11〜図13に従って説明する。
先ず、図11に示すように、熱硬化樹脂等が半硬化された絶縁性樹脂フィルム61を用意し、厚み方向(図面上下方向)の両面を保護フィルム93で被覆する。
【0036】
次に、絶縁性樹脂フィルム61の上面及び下面の何れか一方の保護フィルム93の表面からレーザ等を用いて絶縁性樹脂フィルム61を貫通するように深穴94を形成する。
次に、図12に示すように、半硬化状態の導電性ペースト95(例えば、はんだペースト)を、スクリーン印刷等を用いて深穴94に充填する。この導電性ペースト95は、例えばはんだ以外に銀、錫、亜鉛等の単体又は二種類以上の金属から成る合金のペーストでもよい。
【0037】
次に、図13に示すように、絶縁性樹脂フィルム61の上面及び下面から保護フィルム93を除去することで、ビアシート60が形成される。
尚、上記各工程で形成された配線シート70及びビアシート60に対して、外観検査に加えて所望の電気的特性の試験をすることが可能である。この試験結果から良否を判定することで、次の積層する工程に使用される各シートに機能不良なものが含まれない。従って、積層基板1の良品率が向上する、つまり歩留まりを向上させることができる。
【0038】
図1(a)に示すビア層20b〜20f及び配線層30b〜30fについても、同様に、対応するビアシート及び配線シートが形成される。ビアシートと配線シートは、それぞれ異なる工程により形成される。つまり、ビアシートと配線シートとを並行して作成することができる。また、各ビアシートを並行して作成すること、各配線シートを並行して作成することもできる。
【0039】
以上記述したように、本実施の形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)積層基板1は、コア基板10に対し、上下方向に沿って交互に積層されたビア層20a〜20f及び配線層30a〜30fを含む。ビア層20a〜20f及び配線層30a〜30fは、対応するビアシート及び配線シート積層して、プレス装置によって押圧しつつ加熱処理を行うことで形成される。ビアシート60及び配線シート70は別々の製造工程で作成される。この結果、ビアシート及び配線シートを並行して作成でき、製造時間の短縮を図ることができる。
【0040】
(2)配線シート70の製造工程において、支持体80の上面の端部に備える接着層81を介して金属箔82を固定し、その金属箔82の上面にビア33及び配線パターン35を含む絶縁層71が作成される。そして、接着層81の内側をルータ88で切断することにより中間体89が作成される。配線シート70は、その中間体89の金属箔82をエッチングにより接続部34としたシートから形成される。これにより、配線シート70を容易に形成することができる。
【0041】
(3)ビア33は、銅メッキ等により貫通孔22内に金属を充填して形成されている。そして、配線パターン35は、ビア33の上面を覆うように形成されている。この結果、ビアを、各層と垂直な直線方向に沿って形成する、所謂スタックビアが可能となり、高集積化を図ることができる。
【0042】
(4)各工程で形成された配線シート70及びビアシート60に対して、外観検査に加えて所望の電気的特性の試験をすることが可能である。この試験結果から良否を判定することで、次の積層する工程に使用される各シートに機能不良なものが含まれない。従って、積層基板1の良品率が向上する、つまり歩留まりを向上させることができる。
【0043】
(5)配線シート70の接続部34を、導電性ペースト63が充填された貫通孔62内に挿入する。そして、積層する工程において、接続部34は、プレス装置の押圧により、ビアシート60の導電性ペースト63に埋設される。この導電性ペースト63は、接続部34の粗面、つまり凹部に挿入される。これにより、導電性ペースト63を硬化したビア23と接続部34との間でアンカー効果が発揮されるため、硬化後において、接続部34とビア33との間の電気的接続を確実に行うことができる。
【0044】
また、導電性ペースト63が充填された貫通孔62内に配線シート70の接続部34を挿入することにより、その導電性ペースト63は、ビアシート60の貫通孔62から内側に存在する配線パターン、例えばコア基板10の配線パターン12aに向って押圧される。従って、硬化後において、ビア33と、そのビア33より内側に存在する配線パターン12a,35との間の電気的接続を確実に行うことができる。
【0045】
(6)配線シート70は、ビアシート60の貫通孔62に挿入される接続部34を有する。これにより、配線層の多い積層基板を製造する場合であっても、配線シート及びビアシートを容易に積層することができる。
【0046】
尚、上記実施の形態は、以下の態様で実施してもよい。
・上記実施形態において、積層基板1は、配線層30a〜30fとビア層20a〜20fとがコア基板10を中心として厚み方向(図面上下方向)に積層されているが、コア基板10の上面側及び下面側の何れか一方に積層した積層基板を作成するようにしてもよい。
【0047】
・上記実施形態において、コア基板10を省略してもよい。つまり、少なくとも一対又は複数対の配線シートとビアシートとを積層した積層基板であってもよい。
・上記実施形態において、支持体80の厚さ方向の両面において、配線シート70を形成したが、上面及び下面の少なくとも一方に配線シートを形成してもよい。
【0048】
・上記実施形態において、接続部34を省略してもよい。その場合、ビア33,23を互いに接続するために、ビア33の下面を粗面化するとよい。
・上記実施形態において、支持体80に固定された金属箔82は、支持体80側の面が粗化面処理されていたが、粗面化処理については、金属箔82を支持体から切り離した後に実施してもよい。
【0049】
・上記実施形態における積層基板1の層数及び配線パターンは一例であるため、必要な層数及び配線パターンに適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0050】
1…積層基板、10…コア基板、12a,12b,35…配線パターン、13…貫通孔、20a〜20f…ビア層、22,62…貫通孔(第2の貫通孔)、23…ビア(第2のビア)、30a〜30f…配線層、32,72…貫通孔(第1の貫通孔)、33…ビア(第1のビア)、34…接続部、60…ビアシート、61…絶縁性樹脂フィルム(第2の絶縁体)、63,95…導電性ペースト、70…配線シート、71…絶縁層(第1の絶縁体)、80…支持体、82…金属箔、89…中間体、93…保護フィルム、94…深穴。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の絶縁体と、前記第1の絶縁体の第1面と第2面との間を貫通して形成されたビアと、前記第1の絶縁体の第1面に形成された配線パターンと、を有する配線シートを形成する工程と、
第2の絶縁体と、前記第1の絶縁体の前記ビアと対応する位置に形成され前記第2の絶縁体の第1面と第2面との間を貫通する貫通孔と、前記貫通孔に収容された導電性ペーストと、を有するビアシートを形成する工程と、
前記配線シートと前記ビアシートとを加熱圧着して一体化する工程と、
を含むことを特徴とする積層基板の製造方法。
【請求項2】
前記配線シートは、前記第1の絶縁体の第2面に形成された前記ビアを介して前記配線パターンと接続された接続部を有し、
前記接続部は、前記配線シートと前記ビアシートとを積層する際に前記貫通孔に挿入される、ことを特徴とする請求項1に記載の積層基板の製造方法。
【請求項3】
前記配線シートを形成する工程は、
支持体に対し、金属箔と、その金属箔の上面に前記第1の絶縁体とを形成する工程と、
前記第1の絶縁体に、前記ビアと、前記配線パターンとを形成する工程と、
前記金属箔及び前記第1の絶縁体を前記支持体から切り離して中間体を形成する工程と、
前記中間体の前記金属箔をエッチングして前記接続部を形成する工程と、
を含むことを特徴とする請求項2に記載の積層基板の製造方法。
【請求項4】
前記接続部に対して、前記ビアシートの前記貫通孔に挿入される面を粗化する工程を含むことを特徴とする請求項2又は3に記載の積層基板の製造方法。
【請求項5】
前記ビアシートを形成する工程は、
前記第2の絶縁体の前記第1面と前記第2面とを保護フィルムで被覆する工程と、
前記第1面又は第2面の何れか一方における前記保護フィルムの表面から深穴を形成し、前記貫通孔とする工程と、
前記貫通孔に前記導電性ペーストを充填し、前記保護フィルムを除去する工程と、
を含むことを特徴とする請求項1〜4のうちの何れか一項に記載の積層基板の製造方法。
【請求項6】
積層された少なくとも一対の配線層及びビア層を有し、
前記配線層は、
第1の絶縁層と、前記第1の絶縁層の第1面と第2面との間を貫通する第1の貫通孔と、前記第1の貫通孔に形成された第1のビアと、
前記第1の絶縁層の第1面に形成され、前記第1のビアと接続された配線パターンと、
前記第1の絶縁層の第2面に形成され、前記第1のビアを介して前記配線パターンに接続され、前記第1のビアと反対側の面が粗化された接続部と、を有し、
前記ビア層は、
第2の絶縁層と、前記第2の絶縁層の第1面と第2面との間を貫通する第2の貫通孔と、
前記第2の貫通孔に形成されるとともに前記第2の貫通孔に挿入された前記接続部と接続された第2のビアと、を有すること、
を特徴とする積層基板。
【請求項7】
少なくとも一つの面に配線パターンが形成されたコア基板と、
前記配線パターンが形成された面側に、交互に積層された複数の配線層及びビア層と、を有し、
前記配線層は、
第1の絶縁層と、前記第1の絶縁層の第1面と第2面との間を貫通する第1の貫通孔と、前記第1の貫通孔に形成された第1のビアと、
前記第1の絶縁層の第1面に形成され、前記第1のビアと接続された配線パターンと、
前記第1の絶縁層の第2面に形成され、前記第1のビアを介して前記配線パターンに接続され、前記第1のビアと反対側の面が粗化された接続部と、を有し、
前記ビア層は、
第2の絶縁層と、前記第2の絶縁層の第1面と第2面との間を貫通する第2の貫通孔と、
前記第2の貫通孔に形成されるとともに、前記第2の貫通孔に挿入された前記接続部と、前記コア基板の配線パターンとを接続する第2のビアと、を有すること、
を特徴とする積層基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−9566(P2012−9566A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−143040(P2010−143040)
【出願日】平成22年6月23日(2010.6.23)
【出願人】(000190688)新光電気工業株式会社 (1,516)
【Fターム(参考)】