説明

立体画像表示装置及びその駆動方法

【課題】機械的な手段を用いること無く、広い空間領域において立体画像の観察を可能とし、しかも、高精細な立体画像を容易に表示し得る立体画像表示装置を提供する。
【解決手段】立体画像表示装置は、画像表示部40、複数の円柱レンズが並置されて成るレンチキュラーレンズ部10、及び、レンズ制御部56を備え、複数の円柱レンズの配列方向をX方向、円柱レンズの軸線をY方向、円柱レンズの光軸をZ方向としたとき、レンチキュラーレンズ部10は、X方向に並置され、且つ、Y方向を軸線とする複数のレンズ室18を備えており、各円柱レンズは、連続するレンズ室18の複数によって構成されたフレネルレンズから成り、電極を備えた各レンズ室は液体レンズを構成し、レンズ制御部56は、円柱レンズの光軸をX方向に移動させるために各レンズ室18における電極21,22,23への電圧の印加を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体画像表示装置及びその駆動方法に関し、詳しくは、所謂レンチキュラー方式の立体画像表示装置及びその駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、視差のある2つの画像を画像観察者が観察することで立体視を実現する裸眼2眼式の立体画像表示装置が、種々、知られている。その中でも、液晶表示装置等の画像表示部(2次元画像表示装置)とレンチキュラーレンズとを組み合わせたレンチキュラー方式の立体画像表示装置の実用化が、鋭意、進められている。ここで、レンチキュラーレンズとは、複数の円柱レンズ(シリンドリカルレンズ)を並置したものである。そして、レンチキュラーレンズを構成する円柱レンズの焦点面が画像表示部の表示面に一致するように、レンチキュラーレンズと画像表示部とを配置する。画像表示部とレンチキュラーレンズとの最も単純な配置として、円柱レンズの軸線と画像表示部の縦方向とが平行になるように配置する方法を挙げることができる。
【0003】
ところで、画像表示部は、通常、水平方向(横方向)及び垂直方向(縦方向)に2次元マトリクス状に配置された複数の画素から構成されており、水平方向に配列された所定数の画素に1つの円柱レンズが対応して配置されている。そして、図17に概念図を示すように、例えば、「A」を表示する画素群(図17では、この画素群に属する画素を「1」で示す)から出射された光線群が、レンチキュラーレンズによって第1番目の視点(空間「a」)において結像する。一方、例えば、「B」を表示する画素群(図17では、この画素群に属する画素を「2」で示す)から出射された光線群が、レンチキュラーレンズによって第2番目の視点(空間「b」)において結像する。尚、図17において、実線及び一点鎖線で表示した光線群は、空間「a」あるいは空間「b」に到達するが、点線で表示した光線群は、空間「a」あるいは空間「b」に到達しない。そして、空間「a」及び空間「b」に画像観察者の左目及び右目が位置するとすれば、適切な画像「A」及び「B」を画像表示部に同時に表示することで、画像観察者は、画像を立体画像として認識することができる。ここで、図17に示した例にあっては、画像「A」及び「B」の2種類の画像が画像表示部に同時に表示されるので、2点の視点が得られる。一般には、NPOV種類の画像が画像表示部に表示される場合、NPOV点の視点が得られる。
【0004】
レンチキュラーレンズを、エレクトロウェッティング現象を応用した液体レンズから構成した立体画像表示装置が、例えば、特表2006−521572や特表2008−529045から周知である。
【0005】
ここで、エレクトロウェッティング現象とは、導電性を有する液体と電極との間に電圧を印加したときに電極表面と液体との固液界面におけるエネルギーが変化し、液体表面の形状が変化する現象を云う。図18の(A)及び(B)に、エレクトロウェッティング現象を説明するための原理図を示す。図18の(A)に模式的に示すように、例えば、電極101の表面に絶縁膜102が形成されており、この絶縁膜102の上に電解液から成る導電性の液滴103が置かれているとする。絶縁膜102の表面には撥水処理が施されており、図18の(A)に示すように、電圧を印加していない状態では、絶縁膜102の表面と液滴103との間の相互作用エネルギーは低く、接触角θ0は大きい。ここで、接触角θ0は、絶縁膜102の表面と液滴103の正接線との成す角度であり、液滴103の表面張力や絶縁膜102の表面エネルギー等の物性に依存する。
【0006】
一方、図18の(B)に模式的に示すように、電極101と液滴103との間に電圧を印加すると、液滴側の電解質イオンが絶縁膜102の表面に集中することによって電荷二重層の帯電量変化が生じ、液滴103の表面張力の変化が誘発される。この現象がエレクトロウェッティング現象であり、印加電圧の大きさによって液滴103の接触角θvが変化する。即ち、図18の(B)において、接触角θvは、印加電圧Vの関数として、以下の式(A)の Lippman-Young の式で表される。
【0007】
cos(θv)=cos(θ0)+(1/2)(ε0・ε)/(γLG・t)×V2 (A)
【0008】
ここで、
ε0 :真空の誘電率
ε :絶縁膜の比誘電率
γLG:電解液の表面張力
t :絶縁膜の膜厚
である。
【0009】
以上のように、電極101と液滴103との間に印加する電圧Vの大きさによって、液滴103の表面形状(曲率)が変化する。従って、液滴103をレンズ素子として用いた場合、焦点位置(焦点距離)を電気的に制御できる光学素子を実現することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特表2006−521572
【特許文献2】特表2008−529045
【特許文献3】特開2009−048116
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、レンチキュラー方式の立体画像表示装置において、立体視できる空間領域を拡大するためには、視点数を増やすことが必要とされる。然るに、上述したとおり、NPOV点の視点を得るためには、NPOV種類の画像を画像表示部に表示する必要がある。それ故、視点数を増やすと立体画像の解像度が低下するといった問題がある。
【0012】
上述した特許公表公報には、このような問題点を解決するための手段は、何ら、開示されていない。
【0013】
このような問題を解決するための一手段が、例えば、特開2009−048116に開示されている。この特許公開公報に開示された立体画像表示装置は、レンチキュラーレンズ又は画像表示部の少なくとも一方を画像表示部の表示面に平行(略平行)な面内で往復移動させることで、各シリンドリカルレンズと画像表示部の各画素との相対的な位置を機械的に周期的に変位させ、各シリンドリカルレンズによる任意の画素からの表示画像光の放射方向を周期的に変位させる変位手段を備えている。係る技術は、視点数を増やすと立体画像の解像度が低下するといった問題の解決には優れた技術である。しかしながら、変位手段が、機械的な変位手段、具体的には、圧電素子から成るが故に、各シリンドリカルレンズと画像表示部の各画素との相対的な位置の周期的な変位を高速にて制御することが困難であるし、より高い信頼性への要求、立体画像表示装置の大型化への対応が困難である。
【0014】
従って、本発明の目的は、機械的な手段を用いること無く、広い空間領域において立体画像の観察を可能とし、しかも、高精細な立体画像を容易に表示し得る立体画像表示装置及びその駆動方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するための本発明の立体画像表示装置は、
(イ)2次元マトリクス状に配列された複数の画素を有する画像表示部、
(ロ)複数の円柱レンズが並置されて成るレンチキュラーレンズ部、及び、
(ハ)レンズ制御部、
を備え、
複数の円柱レンズの配列方向をX方向、円柱レンズの軸線をY方向、円柱レンズの光軸をZ方向としたとき、レンチキュラーレンズ部は、X方向に並置され、且つ、Y方向を軸線とする複数のレンズ室を備えており、各円柱レンズは、連続するレンズ室の複数によって構成されたフレネルレンズから成り、
電極を備えた各レンズ室は、屈折率の異なる第1の液体及び第2の液体によって占められており(封止されており)、電極への電圧の印加によって第1の液体と第2の液体の界面が構成するレンズ面が変化する液体レンズを構成する立体画像表示装置である。そして、レンズ制御部は、円柱レンズの光軸をX方向に移動させるために各レンズ室における電極への電圧の印加を制御する。
【0016】
上記の目的を達成するための本発明の立体画像表示装置の駆動方法は、上述した本発明の立体画像表示装置を用いた駆動方法である。そして、レンズ制御部による各レンズ室における電極への電圧の印加の制御によって、円柱レンズの光軸をX方向に移動させる。
【0017】
ここで、『円柱レンズの光軸』とは、円柱レンズをXZ平面において切断したときの円柱レンズの2つの光学表面の曲率中心を結んだ線である。また、電極に電圧を印加し、円柱レンズが光学パワーを発揮しているとき、YZ平面(あるいは、YZ平面と平行な平面)における円柱レンズの光学パワーは実質的に0であり、XZ平面における円柱レンズの光学パワーは有限の値(正の値あるいは負の値)である。
【発明の効果】
【0018】
本発明の立体画像表示装置あるいはその駆動方法において、レンズ制御部は円柱レンズの光軸をX方向に移動させるために各レンズ室における電極への電圧の印加を制御し、あるいは又、レンズ制御部による各レンズ室における電極への電圧の印加の制御によって円柱レンズの光軸をX方向に移動させる。そして、このような円柱レンズの光軸のX方向への移動によって、画像表示部の見掛けの解像度の増加を図ることができ、視点数を増やすと立体画像の解像度が低下するといった問題を解決することができるし、広い空間領域において立体画像の観察が可能となる。また、円柱レンズの光軸のX方向への移動は、液体レンズの作動に基づくものであり、機械的な手段を用いてはおらず、高速にて制御することができ、長寿命、高信頼性、音が全く発生しないといった利点を有し、電圧制御であり、電流は殆ど流れないため、低消費電力を実現できるし、大面積の立体画像表示装置へ対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1の(A)及び(B)は、それぞれ、実施例1の立体画像表示装置の概念図、及び、レンチキュラーレンズ部の模式的な一部断面図である。
【図2】図2の(A)、(B)及び(C)は、実施例1の立体画像表示装置におけるレンチキュラーレンズ部を構成する円柱レンズの光軸がX方向に移動する状態を示す模式的な一部断面図である。
【図3】図3は、実施例1の立体画像表示装置の全体構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、実施例1の立体画像表示装置において、レンチキュラーレンズ部を構成する円柱レンズの光軸がX方向に移動することで、視点において得られる画像がどのような画像となるかを説明するための図である。
【図5】図5は、図4に引き続き、実施例1の立体画像表示装置において、レンチキュラーレンズ部を構成する円柱レンズの光軸がX方向に移動することで、視点において得られる画像がどのような画像となるかを説明するための図である。
【図6】図6は、図5に引き続き、実施例1の立体画像表示装置において、レンチキュラーレンズ部を構成する円柱レンズの光軸がX方向に移動することで、視点において得られる画像がどのような画像となるかを説明するための図である。
【図7】図7の(A)は、1つのレンズ室を図7の(B)の矢印A−Aに沿って切断したときの模式的な断面図であり、図7の(B)は、1つのレンズ室を図7の(A)の矢印B−Bに沿って切断したときの模式的な断面図であり、図7の(C)は、1つのレンズ室を図7の(A)の矢印C−Cに沿って切断したときの模式的な断面図である。
【図8】図8の(A)〜(C)は、それぞれ、1つのレンズ室を図7の(A)の矢印C−Cに沿って切断したときの模式的な断面図であり、液体レンズの原理を模式的に説明する図である。
【図9】図9は、実施例1のレンチキュラーレンズ部の一部を図7の(B)の矢印A−Aに沿って切断したと同様の模式的な断面図である。
【図10】図10の(A)〜(C)は、ぞれぞれ、実施例1のレンチキュラーレンズ部の一部を図9の矢印C−Cに沿って切断したときの模式的な断面図であり、液体レンズの挙動を模式的に説明する図である。
【図11】図11の(A)〜(C)は、ぞれぞれ、実施例2、実施例3及び実施例4のレンチキュラーレンズ部の一部を図9の矢印C−Cに沿って切断したと同様の模式的な断面図である。
【図12】図12は、実施例5の立体画像表示装置の全体構成を示すブロック図である。
【図13】図13は、実施例5の立体画像表示装置において、画素ピッチと視点間距離と円柱レンズのピッチとの関係を説明するための模式図である。
【図14】図14は、実施例6の立体画像表示装置におけるレンチキュラーレンズ部の概念図である。
【図15】図15は、実施例7の立体画像表示装置におけるレンチキュラーレンズ部、画像表示部等の配置を説明するための概念図である。
【図16】図16は、実施例7の立体画像表示装置の変形例におけるレンチキュラーレンズ部、画像表示部等の配置を説明するための概念図である。
【図17】図17は、従来のレンチキュラー方式の立体画像表示装置の概念図である。
【図18】図18は、の(A)及び(B)は、電気毛管現象を説明するための原理図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、実施例に基づき本発明を説明するが、本発明は実施例に限定されるものではなく、実施例における種々の数値や材料は例示である。尚、説明は、以下の順序で行う。
1.本発明の立体画像表示装置及びその駆動方法、全般に関する説明
2.実施例1(本発明の立体画像表示装置及びその駆動方法)
3.実施例2(実施例1の変形)
4.実施例3(実施例1の別の変形)
5.実施例4(実施例1の更に別の変形)
6.実施例5(実施例1の更に別の変形)
7.実施例6(実施例1の更に別の変形)
8.実施例7(実施例1の更に別の変形、その他)
【0021】
[本発明の立体画像表示装置及びその駆動方法、全般に関する説明]
本発明の立体画像表示装置にあっては、画像表示部における画像の表示切り替えと同期して円柱レンズの光軸をX方向に移動させるために、各レンズ室における電極への電圧の印加を制御する形態とすることが好ましい。また、本発明の立体画像表示装置の駆動方法においては、画像表示部における画像の表示切り替えと同期して円柱レンズの光軸をX方向に移動させる形態とすることが好ましい。
【0022】
上記の好ましい形態を含む本発明の立体画像表示装置あるいは本発明の立体画像表示装置の駆動方法における立体画像表示装置(以下、これらを総称して、『本発明の立体画像表示装置等』と呼ぶ)にあっては、各レンズ室における電極への電圧の印加を制御して、円柱レンズの配置ピッチを変更する構成とすることができる。そして、この場合、円柱レンズの配置ピッチを変更することで視聴距離を変更することができ、更には、画像観察者の位置を測定する位置測定手段を更に有し、位置測定手段によって得られた画像観察者の位置情報に基づき、各レンズ室における電極への電圧の印加を制御する構成とすることが好ましい。これらの構成を採用することで、立体画像の観察(視聴)領域の最適化を図ることができる。尚、連続するレンズ室の複数によって構成されたフレネルレンズから円柱レンズが成るが故に、各レンズ室における電極への電圧の印加を制御することで、円柱レンズの配置ピッチを容易に変更することができる。位置測定手段として、静止画あるいは動画を撮影することができる固体撮像素子を備えたビデオカメラやウエブカメラ、赤外線を用いた位置測定装置を挙げることができる。ここで、視聴距離とは、レンチキュラーレンズ部が画像観察者に面している場合、レンチキュラーレンズ部から画像観察者までの距離を指し、画像表示部が画像観察者に面している場合、画像表示部から画像観察者までの距離を指す。
【0023】
以上に説明した各種の好ましい形態、構成を含む本発明の立体画像表示装置等にあっては、レンズ制御部の制御によって、円柱レンズと円柱レンズとの間に、円柱レンズの有する光学パワーとは逆符号の光学パワーを有するレンズ室(以下、便宜上、『境界レンズ室』と呼ぶ)を配置する形態とすることができ、これによって、境界レンズ室を通過する光が画像観察者に到達することが無くなる結果、画像観察者は円柱レンズと円柱レンズとの境界領域を視認し難くなり、表示される立体画像の画像品質の向上を図ることができる。境界レンズ室の数は、1あるいは2以上であればよい。ここで、円柱レンズを凸レンズとして機能させる場合、境界レンズ室を凹レンズとして機能させればよいし、円柱レンズを凹レンズとして機能させる場合、境界レンズ室を凸レンズとして機能させればよい。
【0024】
更には、以上に説明した各種の好ましい形態、構成を含む本発明の立体画像表示装置等にあっては、光源を更に備え、光源、画像表示部、及び、レンチキュラーレンズ部の順に配置されている構成とすることができるし、光源、レンチキュラーレンズ部、及び、画像表示部の順に配置されている構成とすることもできる。前者の場合、円柱レンズを凸レンズとして機能させればよいし、後者の場合、円柱レンズを凸レンズあるいは凹レンズとして機能させればよい。これらの場合、画像表示部を、例えば、液晶表示装置から構成することができ、光源を、所謂バックライトから構成することができる。但し、本発明の立体画像表示装置等は、これらの構成に限定するものではなく、画像表示部を、自発光形式の画像表示部、具体的には、例えば、有機エレクトロルミネッセンス表示装置やプラズマ表示装置とすることもできる。
【0025】
更には、以上に説明した各種の好ましい形態、構成を含む本発明の立体画像表示装置等において、レンチキュラーレンズ部は、
(A)第1側面部材、
第1側面部材と対向した第2側面部材、
第1側面部材の一端部と第2側面部材の一端部とを結ぶ第3側面部材、
第1側面部材の他端部と第2側面部材の他端部とを結ぶ第4側面部材、
第1側面部材、第2側面部材、第3側面部材及び第4側面部材の頂面に取り付けられた天板、及び、
第1側面部材、第2側面部材、第3側面部材及び第4側面部材の底面に取り付けられた底板、
を備えたハウジング、並びに、
(B)それぞれが、第1側面部材と第2側面部材との間に平行に配置された、(M−1)個の隔壁部材、
を備え、
M個のレンズ室が並置されており、
(a)第1番目のレンズ室は、第1側面部材、第3側面部材、第1番目の隔壁部材、第4側面部材、天板、及び、底板から構成されており、
第1番目のレンズ室を構成する天板の部分の内面には、第1電極が設けられており、
第1番目のレンズ室を構成する第1側面部材の部分の内面には、第2電極が設けられており、
第1番目のレンズ室を構成する第1番目の隔壁部材の部分の内面には、第3電極が設けられており、
(b)第(m+1)番目のレンズ室は、第m番目(但し、m=1,2・・・M−2)の隔壁部材、第3側面部材、第(m+1)番目の隔壁部材、第4側面部材、天板、及び、底板から構成されており、
第(m+1)番目のレンズ室を構成する天板の部分の内面には、第1電極が設けられており、
第(m+1)番目のレンズ室を構成する第m番目の隔壁部材の部分の内面には、第2電極が設けられており、
第(m+1)番目のレンズ室を構成する第(m+1)番目の隔壁部材の部分の内面には、第3電極が設けられており、
(c)第M番目のレンズ室は、第(M−1)番目の隔壁部材、第3側面部材、第2側面部材、第4側面部材、天板、及び、底板から構成されており、
第M番目のレンズ室を構成する天板の部分の内面には、第1電極が設けられており、
第M番目のレンズ室を構成する第(M−1)番目の隔壁部材の部分の内面には、第2電極が設けられており、
第M番目のレンズ室を構成する第2側面部材の部分の内面には、第3電極が設けられている構造とすることができる。尚、このような構造を有するレンチキュラーレンズ部を、便宜上、『M−レンズ室構造のレンチキュラーレンズ部』と呼ぶ。
【0026】
M−レンズ室構造のレンチキュラーレンズ部において、少なくとも第1の液体と第2の液体との界面が位置する第1側面部材、第2側面部材及び隔壁部材のそれぞれの表面には、撥水処理が施されていることが好ましい。各レンズ室において、第2電極に印加する電圧と第3電極に印加する電圧とを変化させることで、円柱レンズの光軸をX方向に移動させる構成とすることができる。撥水処理として、例えば、ポリパラキシリレンをCVD法で成膜する方法、フッ素系のポリマーであるPVDF(ポリビニリデンフルオライド)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等の材料をコーティングする方法を挙げることができる。高誘電率材料と撥水性材料とを複数組み合わせた積層構造で、少なくとも第1の液体と第2の液体との界面が位置する第1側面部材、第2側面部材及び隔壁部材のそれぞれの表面、あるいは又、少なくとも第1の液体と第2の液体との界面が位置する外壁部材及び隔壁部材のそれぞれの表面を被覆してもよい。
【0027】
M−レンズ室構造のレンチキュラーレンズ部において、隔壁部材の底面は底板まで延びており、隔壁部材の頂面は天板まで延びている構成とすることができる。尚、このような構成を、便宜上、『第Aの構成』と呼ぶ。ここで、隔壁部材の頂面とは天板に対向した面を指し、隔壁部材の底面とは底板に対向した面を指す。以下においても同様である。あるいは又、隔壁部材の底面は底板まで延びており、隔壁部材の頂面と天板との間には隙間が存在する構成とすることができる。尚、このような構成を、便宜上、『第Bの構成』と呼ぶ。あるいは又、隔壁部材の底面と底板との間には隙間が存在し、隔壁部材の頂面は天板まで延びている構成とすることができる。尚、このような構成を、便宜上、『第Cの構成』と呼ぶ。あるいは又、隔壁部材の底面と底板との間には隙間が存在し、隔壁部材の頂面と天板との間には隙間が存在する構成とすることができる。尚、このような構成を、便宜上、『第Dの構成』と呼ぶ。尚、第Dの構成にあっては、隔壁部材を適切な方法で、外壁部材や底板、天板等に固定すればよい。
【0028】
本発明において、第1の液体と第2の液体とは、不溶、不混合であることが好ましい。また、M−レンズ室構造のレンチキュラーレンズ部において、
第1の液体は導電性を有し、第2の液体は絶縁性を有し、
第1電極は、第1の液体と接しており、
第2電極は、絶縁膜を介して第1の液体及び第2の液体と接しており、
第3電極は、絶縁膜を介して第1の液体及び第2の液体と接している構成とすることができる。また、天板、底板、及び、第1電極は、レンチキュラーレンズ部に入射する光に対して透明な材料から構成されていることが好ましい。
【0029】
ここで、導電性を有する液体(あるいは有極性を有する液体であり、以下、これらを総称して、導電性液体と呼ぶ場合がある)として、例えば、水、電解液(塩化カリウムや塩化ナトリウム、塩化リチウム、硫酸ナトリウム等の電解質の水溶液)、これらの電解質を溶かし込んだ例えばトリエチレングリコール水溶液、分子量の小さなメチルアルコール、エチルアルコール等のアルコール類、常温溶融塩(イオン性液体)、純水等の有極性液体、これらの液体の混合物を挙げることができる。尚、メチルアルコール、エチルアルコール等のアルコール類は、水溶液として導電性を持たせたり、塩を溶かして導電性を持たせて使用すればよい。また、絶縁性を有する液体(あるいは無極性を有する液体であり、以下、これらを総称して、絶縁性液体と呼ぶ場合がある)として、例えば、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、ウンデカン等の炭化水素系の材料、シリコーンオイル、フッ素系の材料等の無極性溶媒を挙げることができる。導電性液体と絶縁性液体とは、互いに異なる屈折率を有すると共に、互いに混和することなく存在できることが要求される。また、導電性液体の密度と絶縁性液体の密度を、出来る限り同じ値とすることが望ましい。導電性液体及び絶縁性液体は、レンチキュラーレンズ部に入射する光(入射光と呼ぶ)に対して透明な液体であることが望ましいが、場合によっては、着色されていてもよい。
【0030】
M−レンズ室構造のレンチキュラーレンズ部において、入射光が通過する部材(具体的には、少なくとも天板及び底板)を構成する材料は、上述したとおり、入射光に対して透明であることが要求される。ここで、「入射光に対して透明である」とは、入射光の光透過率が80%以上であることを意味する。入射光が通過する部材を構成する材料として、具体的には、アクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂(PC)、ABS樹脂、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリアリレート樹脂(PAR)、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ガラスを例示することができる。入射光が通過する各部材を構成する材料は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。天板から光が入射し、底板から光が出射する構成としてもよいし、底板から光が入射し、天板から光が出射する構成としてもよい。
【0031】
電極は、使用される部位、要求される特性に応じて、インジウム−錫酸化物(ITO,Indium Tin Oxide,SnドープのIn23、結晶性ITO及びアモルファスITO、銀添加ITOを含む)、インジウム−亜鉛酸化物(IZO,Indium Zinc Oxide)、In23系材料(FドープのIn23であるIFOを含む)、酸化錫系材料(SbドープSnO2であるATOやFドープのSnO2であるFTOを含む)、酸化亜鉛系材料(ZnO、AlドープのZnOやBドープのZnO、GaドープのZnOを含む)、Sb25系材料、In4Sn312、InGaZnO、酸化チタン(TiO2)、スピネル型酸化物、YbFe24構造を有する酸化物等の導電性金属酸化物や、金属、合金、半導体材料等から構成された透明電極とすることもできるし、不透明な金属や合金から構成された電極とすることもできる。具体的には、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、鉄(Fe)、白金(Pt)、亜鉛(Zn)等の金属;これらの金属元素を含む合金(例えばMoW)あるいは化合物(例えばTiN等の窒化物や、WSi2、MoSi2、TiSi2、TaSi2等のシリサイド);シリコン(Si)等の半導体;ダイヤモンド等の炭素薄膜を例示することができる。これらの電極の形成方法として、例えば、電子ビーム蒸着法や熱フィラメント蒸着法といった蒸着法、スパッタリング法、CVD法やイオンプレーティング法とエッチング法との組合せ;スクリーン印刷法;メッキ法(電気メッキ法や無電解メッキ法);リフトオフ法;レーザアブレーション法;ゾル・ゲル法等を挙げることができる。
【0032】
絶縁膜は、電気絶縁性の物質であれば特に制限されず、好適には、比誘電率が比較的高い物質が選択される。また、比較的大きな静電容量を得るために絶縁膜の膜厚は薄い方が好ましいが、絶縁強度を確保できる膜厚以上であることが必要である。絶縁膜を構成する材料として、例えば、SiOX材料やSiN、SiON、酸化フッ化シリコン、ポリイミド樹脂、SOG(スピンオングラス)、低融点ガラス、ガラスペーストといったSiO2系材料、酸化チタン(TiO2)、酸化タンタル(Ta25)、酸化アルミニウム(Al23)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化クロム(CrOx)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化ニオブ(Nb25)、酸化スズ(SnO2)、又は、酸化バナジウム(VOx)を挙げることができる。絶縁膜の形成方法として、CVD法、塗布法、スパッタリング法、スクリーン印刷法、メッキ法、電着法、浸漬法等の公知のプロセスを挙げることができる。
【0033】
M−レンズ室構造のレンチキュラーレンズ部において、レンズ室におけるX方向に沿った隔壁部材間の距離、X方向に沿った外壁部材と第1番目あるいは第(M−1)番目の隔壁部材との間の距離は、各レンズ室において同じ値としてもよいし、異なる値として変化させてもよい。レンズ室における第2電極と第3電極との間の距離(あるいは、X方向に沿った隔壁部材間の距離、X方向に沿った外壁部材と第1番目あるいは第(M−1)番目の隔壁部材との間の距離)は、毛管長κ-1以下に設定することが望ましい。ここで、毛管長κ-1とは、界面張力に対して重力の影響を無視できる最大の長さを云い、具体的には、導電性液体と絶縁性液体との間の界面張力をΔγ、導電性液体と絶縁性液体との間の密度差をΔρ、重力加速度をgとしたとき、以下の式(B)で表すことができる。
【0034】
κ-1={Δγ/(Δρ・g)}1/2 (B)
【0035】
記号M,NCL,NLC-unit,NPOV,Npx,Nunit-TLがどうような値を指すか、以下に纏めた。尚、本発明の立体画像表示装置における『画素サブユニット』(詳細は後述する)は、通常の2次元画像表示装置における「画素,ピクセル」に相当し、本発明の立体画像表示装置における『画素』は、通常の2次元画像表示装置における「副画素,サブピクセル」に相当する。
M :レンズ室の数
CL :円柱レンズの数
LC-unit :1つの円柱レンズを構成するレンズ室の数
POV :視点の数
px :画素サブユニット(後述する)を構成する画素の数
unit-TL :画像表示部の水平方向に沿った画素ユニットの数
【0036】
以上の好ましい各種の形態、構成を含む本発明の立体画像表示装置等(以下、これらを総称して、単に、『本発明』と呼ぶ場合がある)において、連続するレンズ室の複数によって円柱レンズ(フレネルレンズ)が構成されているが、ここで、連続するレンズ室の数(1つの円柱レンズを構成するレンズ室の数)NLC-unitとして、
2≦NLC-unit≦30
好ましくは、
5≦NLC-unit≦20
を挙げることができる。尚、
CL×NLC-unit≦M
である。ここで、境界レンズ室を配さない場合には、
M=NCL×NLC-unit
であり、境界レンズ室を配する場合には、境界レンズ室の総数は
(M−NCL×NLC-unit
である。
【0037】
また、画像表示部の水平方向に配列された1つの画素サブユニットを構成する画素の数をNpxとしたとき、1つの画素サブユニットは、例えば、赤色表示の画素、緑色表示の画素、青色表示の画素の3種類の画素から構成され(画素の数としては、例えば、赤色表示の画素×1、緑色表示の画素×1、青色表示の画素×1の3つであり、Npx=3)、あるいは、例えば、赤色表示の画素×1、緑色表示の画素×2、青色表示の画素×1の4つであり、Npx=4)、あるいは又、これらの3種の画素に加え、輝度向上のために白色光を発光する画素、色再現範囲を拡大するために補色を発光する画素、色再現範囲を拡大するためにイエローを発光する画素、色再現範囲を拡大するためにイエロー及びシアンを発光する画素等、4種、あるいはそれ以上の画素から構成することもできる。(画像表示部の水平方向におけるNpxの値,画像表示部の垂直方向におけるNpxの値)として、VGA(640,480)、S−VGA(800,600)、XGA(1024,768)、APRC(1152,900)、S−XGA(1280,1024)、U−XGA(1600,1200)、HD−TV(1920,1080)、Q−XGA(2048,1536)の他、(1920,1035)、(720,480)、(854,480)、(1280,960)、(4096,2160)、(3840,2160)等、画像表示用解像度の幾つかを例示することができるが、これらの値に限定するものではない。
【0038】
POV点の視点を得るためには、NPOV種類の画像を画像表示部に表示する必要があるが、NPOVの値は2以上であればよい。NPOV種類の画像を画像表示部に表示するために、NPOV個の画素サブユニットが集合して1つの画素ユニットを構成している。1つの画素ユニットを構成する画素の数は、
POV×Npx
である。ここで、画像表示部の水平方向に沿った画素ユニットの数をNunit-TLとすれば、Nunit-TLの値が画像表示部における水平方向の解像度(立体画像表示装置としての水平方向の解像度)に相当し、画像表示部の水平方向に配列された画素の総数は、
unit-TL×NPOV×Npx
である。1つの画素に対するレンズ室の数として、0.25個乃至4個、好ましくは0.5個乃至2個を挙げることができる。
【0039】
LC-unitの値は、一定であってもよいし、円柱レンズの占める位置に依存して、変化させてもよい。また、円柱レンズの中心点を通るYZ平面にて円柱レンズを切断したときのXZ平面に含まれる光学表面は、このYZ平面に対して対称であってもよいし、場合によっては非対称であってもよい。X方向は、画像表示部の水平方向と平行であってもよいし、画像表示部の水平方向に対して或る角度をもって傾いていてもよい。レンチキュラーレンズ部が画像観察者に面している場合、円柱レンズの焦点面が画像表示部の表示面に一致するように、レンチキュラーレンズ部と画像表示部とを配置することが好ましいが、これに限定するものではない。一方、画像表示部が画像観察者に面しており、円柱レンズが凸レンズとして機能する場合、円柱レンズから画像表示部の表示面までの距離が円柱レンズの焦点距離の2倍となるように、レンチキュラーレンズ部と画像表示部とを配置することが好ましく、円柱レンズが凹レンズとして機能する場合、円柱レンズから画像表示部の表示面までの距離が円柱レンズの焦点距離と一致するように、レンチキュラーレンズ部と画像表示部とを配置することが好ましいが、これらに限定するものではない。連続するレンズ室の複数によって円柱レンズが構成され、各レンズ室によってフレネルレンズの一部が構成されるが、このような「フレネルレンズ」の一部の形状は、キノフォーム形状と呼ばれる場合もある。画素の配列として、例えば、ストライプ配列、ダイアゴナル配列、デルタ配列、レクタングル配列を挙げることができる。
【実施例1】
【0040】
実施例1は、本発明の立体画像表示装置及びその駆動方法に関する。実施例1の立体画像表示装置の概念図を図1の(A)に示し、レンチキュラーレンズ部の模式的な一部断面図を図1の(B)、図2の(A)、(B)、(C)に示す。尚、レンチキュラーレンズ部を、便宜上、凸レンズ及び凹レンズの形状を有するように図示している場合があるが、実際には、外観形状は平板状である。
【0041】
実施例1の立体画像表示装置1は、
(イ)2次元マトリクス状に配列された複数の画素41を有する画像表示部40、
(ロ)複数の円柱レンズが並置されて成るレンチキュラーレンズ部10、及び、
(ハ)レンズ制御部56、
を備えている。
【0042】
ここで、実施例1にあっては、光源を更に備え、光源、画像表示部40、及び、レンチキュラーレンズ部10の順に配置されている。画像表示部40は液晶表示装置から構成されており、光源は周知のバックライト42から構成されている。
【0043】
立体画像表示装置1には、図3に示す制御回路50が備えられている。制御回路50は、画像表示部40を構成する各画素41に画像信号に基づく駆動電圧を供給するデータドライバ54と、各画素41を図示しない走査線に沿って線順次駆動するゲートドライバ55と、これらデータドライバ54及びゲートドライバ55を制御するタイミング制御部(タイミング・ジェネレータ)52と、外部からの画像信号を処理して分割画像信号を生成する画像信号処理部51(シグナル・ジェネレータ)と、この画像信号処理部51からの分割画像信号を記憶するフレームメモリである画像メモリ53と、レンズ制御部56とを備えている。
【0044】
画像信号処理部51は、外部から供給される1つの画像データを、所定数(例えば、2あるいは4個)の画像データ(分割画像データ)に分割する。即ち、1つの画像データを構成する画像信号を所定数の画像表示フレームを構成する画像信号(所定数の画像信号群)に分割し、画像メモリ53に送出する。また、画像信号処理部51は、画像表示フレームの切り替えのタイミングに同期してデータドライバ54、ゲートドライバ55及びレンズ制御部56が動作するように、所定の制御信号をタイミング制御部52に供給する。レンズ制御部56は、タイミング制御部52によるタイミング制御に従って、レンズ室18を構成する電極21,22,23に種々の値の電圧を供給する。尚、このような分割画像信号は、表示対象とする撮像対象物を様々な角度から撮像することによって予め作成しておいてもよい。
【0045】
そして、複数の円柱レンズ(NCL個の円柱レンズ)の配列方向をX方向、円柱レンズの軸線をY方向、円柱レンズの光軸OAをZ方向としたとき、レンチキュラーレンズ部10は、X方向に並置され、且つ、Y方向を軸線とする複数のレンズ室18(M個のレンズ室18)を備えており、各円柱レンズは、連続するレンズ室18の複数(NLC-unit個の連続するレンズ室18)によって構成されたフレネルレンズから成る。各レンズ室18は、電極21,22,23を備え、屈折率の異なる第1の液体31及び第2の液体32によって占められている(封止されている)。各レンズ室18は、電極21,22,23への電圧の印加によって第1の液体31と第2の液体32の界面が構成するレンズ面が変化する液体レンズを構成する。円柱レンズは凸レンズとして機能する。
【0046】
レンズ制御部56は、円柱レンズの光軸OAをX方向に移動させるために各レンズ室18における電極21,22,23への電圧の印加を制御する。具体的には、画像表示部40における画像の表示切り替えと同期して円柱レンズの光軸OAをX方向に移動させる。尚、X方向を、画像表示部の水平方向と平行とした。また、円柱レンズの焦点面が画像表示部40の表示面に一致するように、レンチキュラーレンズ部10と画像表示部40とを配置した。
【0047】
具体的には、図1の(B)に示すように、第s番目のレンズ室18sの第3電極23に電圧Vs-Rを印加し、第(s+1)番目のレンズ室の第2電極22に電圧V(s+1)-Lを印加し、第(s+1)番目のレンズ室の第3電極23に電圧V(s+1)-Rを印加し、・・・・・、第(s+10)番目のレンズ室18(s+10)の第3電極23に電圧V(s+10)-Rを印加し、第(s+11)番目のレンズ室の第2電極22に電圧V(s+11)-Lを印加するとする。図1の(B)に示した状態においては、以下の表1のように、電極22,23への電圧の印加をレンズ制御部56において制御する。表1の上段に記載した電圧ほど、値が高い。そして、電極22,23への電圧の印加をレンズ制御部56において制御することで、より具体的には、画像表示フレームが切り替わる毎に電極22,23への電圧の印加を変えることで、図2の(A)、(B)及び(C)に示すように、円柱レンズの光軸OA(図2の(A)、(B)及び(C)にあっては、点線で示す)をX方向に移動させることができる。実施例1にあっては、電極21は、共通電極として接地されている。
【0048】
[表1]
(s+1)-R=V(s+5)-L=V(s+6)-R=V(s+10)-L
(s+2)-R=V(s+4)-L=V(s+7)-R=V(s+9)-L
(s+3)-L=V(s+3)-R=V(s+8)-L=V(s+8)-R
(s+2)-L=V(s+4)-R=V(s+7)-L=V(s+9)-R
(s+1)-L=V(s+5)-R=V(s+6)-L=V(s+10)-R
【0049】
実施例1の立体画像表示装置の駆動方法は、実施例1の立体画像表示装置1を用いた駆動方法である。そして、レンズ制御部56による各レンズ室18における電極21,22,23への電圧の印加の制御によって、円柱レンズの光軸OAをX方向に移動させる。ここで、画像表示部40における画像の表示切り替えと同期して円柱レンズの光軸OAをX方向に移動させる。
【0050】
実施例1の立体画像表示装置において、レンチキュラーレンズ部10を構成する円柱レンズの光軸OAがX方向に移動することで、視点において得られる画像がどのような画像となるかを、以下、図4、図5及び図6を参照して説明する。尚、図4、図5及び図6にあっては、円柱レンズと円柱レンズとの間に、円柱レンズを構成しない領域が存在するかのように表示しているが、実際には、円柱レンズと円柱レンズとの間に円柱レンズを構成しない領域は存在していない。
【0051】
POV種類の画像が画像表示部に表示されたとき、各画像は、NCL個の円柱レンズによって1つの視点に集光される。NPOV種類の画像を画像表示部に表示するために、画素サブユニットは、NPOV個の画素サブユニット群に分けられる。ここで、NPOV=3として説明を行うが、NPOVの値は3に限定するものではない。図4に示すように、第1番目の画素サブユニット群[1]によって表示された「A1」の画像がNCL個の円柱レンズによって第1番目の視点に集光され(図4では、実線で示す)、第2番目の画素サブユニット群[2]によって表示された「B1」の画像がNCL個の円柱レンズによって第2番目の視点に集光され(図4では、点線で示す)、第3番目の画素サブユニット群[3]によって表示された「C1」の画像がNCL個の円柱レンズによって第3番目の視点に集光されたとする(図4では、一点鎖線で示す)。これらの「A1」,「B1」,「C1」の画像は、同時に画像表示部に表示される。次いで、画像表示部において画像の表示が切り替えられる。このとき、画像表示部における画像の表示切り替えと同期して円柱レンズの光軸OAをX方向に移動させる。そして、図5に示すように、第2番目の画素サブユニット群[2]によって表示された「A2」の画像がNCL個の円柱レンズによって第1番目の視点に集光され(図5では、点線で示す)、第3番目の画素サブユニット群[3]によって表示された「B2」の画像がNCL個の円柱レンズによって第2番目の視点に集光され(図5では、一点鎖線で示す)、第1番目の画素サブユニット群[1]によって表示された「C2」の画像がNCL個の円柱レンズによって第3番目の視点に集光される(図5では、実線で示す)。これらの「A2」,「B2」,「C2」の画像も、同時に画像表示部に表示される。更に、画像表示部において画像の表示が切り替えられる。このとき、同様に、画像表示部における画像の表示切り替えと同期して円柱レンズの光軸OAをX方向に移動させる。そして、図6に示すように、第3番目の画素サブユニット群[3]によって表示された「A3」の画像がNCL個の円柱レンズによって第1番目の視点に集光され(図6では、一点鎖線で示す)、第1番目の画素サブユニット群[1]によって表示された「B3」の画像がNCL個の円柱レンズによって第2番目の視点に集光され(図6では、実線で示す)、第2番目の画素サブユニット群[2]によって表示された「C3」の画像がNCL個の円柱レンズによって第3番目の視点に集光される(図6では、点線で示す)。これらの「A3」,「B3」,「C3」の画像も、同時に画像表示部に表示される。また、「A1」,「A2」,「A3」の画像は、1つの画像データ「A0」から作成される同じ画像である。同様に、「B1」,「B2」,「B3」の画像は、1つの画像データ「B0」から作成される同じ画像であるし、「C1」「C2」,「C3」の画像は、1つの画像データ「C0」から作成される同じ画像である。即ち、1つの画像データが、空間的にNPOV個の画素41にて表示される。
【0052】
このようにして、1つの画像データが時間的に所定数(例えば、2あるいは4個)の画像データ(分割画像データ)に分割され、所定数の画像表示によって、或る画像が、第1番目の画素サブユニット群[1]、第2番目の画素サブユニット群[2]、第3番目の画素サブユニット群[3]、・・・・、第NPOV番目の画素サブユニット群[NPOV]に、順次、表示される。即ち、空間的に1つの画像データが、画像表示部、全体において表示される。従って、画像表示部の見掛けの解像度の増加を図ることができ、視点数を増やすと立体画像の解像度が低下するといった問題を解決することができる。
【0053】
即ち、立体画像表示装置1にあっては、画像信号処理部51から供給される分割画像信号に基づき、データドライバ54及びゲートドライバ55から画素41に備えられた画素電極(図示せず)に駆動電圧(画素印加電圧)が供給される。具体的には、ゲートドライバ55から画像表示部40の1水平ライン分のTFT素子のゲート電極へパルス電圧が印加され、それと共に、データドライバ54からその1水平ライン分の画素電極へ、分割画像信号に基づく画素印加電圧が印加される。これにより、バックライトから出射された光が図示しない液晶層で変調され、画像を構成する光(表示画像光)が画像表示部40の各画素41から出射され、2次元表示画像が生成される。そして、画像表示部40から出射された表示画像光は、レンチキュラーレンズ部10を通過する。この際、レンズ制御部56から供給される制御信号に基づき、円柱レンズの光軸OAをX方向に移動させるために各レンズ室18における電極21,22,23への電圧の印加を制御する。すると、画像表示フレーム毎に分割画像信号が切り替えられる度に、画素41から出射される表示画像光の方向が変化する。ここで、表示画像光は両眼視差及び輻輳角に関する情報を含んでいる。そして、画像観察者から画像表示部までの距離に応じて適切な表示画像光が出射されるため、画像観察者から画像表示部までの距離に応じた所望の立体画像の表示がなされる。
【0054】
このように、実施例1の立体画像表示装置1あるいはその駆動方法において、レンズ制御部56は、円柱レンズの光軸OAをX方向に移動させるために各レンズ室18における電極21,22,23への電圧の印加を制御し、また、レンズ制御部56による各レンズ室における電極21,22,23への電圧の印加の制御によって円柱レンズの光軸OAをX方向に移動させる。そして、このような円柱レンズの光軸OAのX方向への移動によって、上述したとおり、画像表示部40の見掛けの解像度の増加を図ることができ、視点数NPOVを増やすと立体画像の解像度が低下するといった問題を解決することができるし、視点数NPOVを増加させることができるが故に、広い空間領域において立体画像の観察が可能となる。また、円柱レンズの光軸OAのX方向への移動は、液体レンズの作動に基づくものであり、機械的な手段を用いてはおらず、高速にて制御することができるし、大面積の立体画像表示装置へ対応することができる。
【0055】
立体画像表示装置によって立体画像を観察するとき、逆視状態になる空間領域が存在する場合があり、画面全体の視認性に悪影響が生じる。ここで、逆視状態とは、本来、画像観察者の左目で視認すべき画像が画像観察者の右目に侵入し、画像観察者の右目で視認すべき画像が画像観察者の左目に侵入する現象を指す。即ち、画像観察者が左右画像を正常な順視(正視)でみることができる場合には立体画像を知覚できるが、左右画像が反転する逆視位置に画像観察者が位置する場合、立体画像を正常に知覚できない。従って、逆視状態が生じた場合、画像観察者は自ら正常に立体画像を知覚できる位置へ移動する必要がある。従来の立体画像表示装置では、逆視状態を解決するために、逆視位置を立体画像表示装置側の操作で移動させて、画像観察者が位置する場所では必ず正視となるように画像表示させるヘッドトラッキングという技術が議論されているが、これまで高精度な視域調整はできなかった。
【0056】
実施例1にあっては、円柱レンズの光軸OAのX方向への移動によって、逆視状態になる空間領域を移動させることができ、高精度な逆視位置調整を可能とし、逆視位置を避け、観察位置の拡大を図ることができる。画像観察者は、基本的に、正常に立体画像を知覚できる位置へ移動する必要が無い。尚、後述する実施例5において説明する画像観察者の位置を測定する位置測定手段57を立体画像表示装置に備えれば、自動的に、逆視位置を画像観察者の位置する空間領域から移動させることができる。
【0057】
以下、レンチキュラーレンズ部10を構成するレンズ室等を説明する。
【0058】
M−レンズ室構造のレンチキュラーレンズ部10は、ハウジングを備えている。図7の(A)、(B)、(C)に、1つのレンズ室18によってレンチキュラーレンズ部10が構成されていると仮定したときのレンズ室18を構成するハウジングを模式的に図示する。ここで、図7の(A)は、図7の(B)の矢印A−Aに沿った模式的な断面図であり、図7の(B)は、図7の(A)の矢印B−Bに沿った模式的な断面図(但し、第1の液体の図示は省略)であり、図7の(C)、図8の(A)〜(C)は、図7の(A)の矢印C−Cに沿った模式的な断面図である。液体レンズのXZ平面で切断したときの形状は模式的な形状であり、実際の形状とは異なっている。
【0059】
このハウジングは、
第1側面部材11、
第1側面部材11と対向した第2側面部材12、
第1側面部材11の一端部と第2側面部材12の一端部とを結ぶ第3側面部材13、
第1側面部材11の他端部と第2側面部材12の他端部とを結ぶ第4側面部材14、
第1側面部材11、第2側面部材12、第3側面部材13及び第4側面部材14の頂面に取り付けられた天板15、及び、
第1側面部材11、第2側面部材12、第3側面部材13及び第4側面部材14の底面に取り付けられた底板16、
から成る。レンズ室18は、軸線が第1側面部材11及び第2側面部材12の延びる方向(Y方向)に延びる円柱レンズとしての液体レンズを構成する第1の液体31及び第2の液体32によって占められている。
【0060】
そして、天板15の部分の内面には第1電極21が設けられており、第1側面部材11の内面には第2電極22が設けられており、第2側面部材12の内面には第3電極23が設けられている。ここで、図7に示す状態にあっては、第1電極21、第2電極22、第3電極23には電圧を印加していない。
【0061】
この状態から、第1電極21、第2電極22、第3電極23に適切な電圧を印加すると、図8の(A)、(B)あるいは(C)に示す状態に第1の液体31と第2の液体32の界面の状態が変化する。ここで、図8の(A)に示す状態は、第2電極22と第3電極23に同じ電圧を印加したときの状態を示し、レンズ室内で形成される液体レンズのXZ平面で切断したときの形状は、光軸OAに対して対称である。また、図8の(B)及び(C)に示す状態は、第2電極22と第3電極23に異なる電圧を印加したときの状態を示し、レンズ室内で形成される液体レンズのXZ平面で切断したときの形状は、光軸OAに対して非対称である。尚、第2電極22と第3電極23との間の電位差は、図8の(C)に示す状態の方が、図8の(B)に示す状態よりも大きい。図8の(B)及び(C)に示すように、第2電極22と第3電極23との間の電位差に応じて、各レンズ室における光学パワーを変化させることができるし、液体レンズの光軸OA(点線で表示する)をY方向と直交するX方向に移動させることができる。そして、NLC-unit個の連続するレンズ室18によって、全体としてフレネルレンズを構成することができる。
【0062】
このような複数のレンズ室18によってM−レンズ室構造のレンチキュラーレンズ部10が構成される。ここで、複数のレンズ室18の模式的な断面図を、図9及び図10の(A)〜(C)に示す。尚、図9は、図7の(B)の矢印A−Aに沿ったと同様の模式的な断面図であり、図10の(A)〜(C)は、図9の矢印C−Cに沿った模式的な断面図である。また、図9の矢印B−Bに沿った模式的な断面図は、図7の(B)に示したと同様である。このようなM−レンズ室構造のレンチキュラーレンズ部は第Aの構成を有する。
【0063】
そして、実施例1の第Aの構成を有するM−レンズ室構造のレンチキュラーレンズ部10は、
(A)第1側面部材11、
第1側面部材11と対向した第2側面部材12、
第1側面部材11の一端部と第2側面部材12の一端部とを結ぶ第3側面部材13、
第1側面部材11の他端部と第2側面部材12の他端部とを結ぶ第4側面部材14、
第1側面部材11、第2側面部材12、第3側面部材13及び第4側面部材14の頂面に取り付けられた天板15、及び、
第1側面部材11、第2側面部材12、第3側面部材13及び第4側面部材14の底面に取り付けられた底板16、
を備えたハウジング、並びに、
(B)それぞれが、第1側面部材11と第2側面部材12との間に平行に配置された、(M−1)個の隔壁部材17、
を備えている。
【0064】
ここで、図示した例では、レンズ室18(181,182,183,184,185)が並置されている状態を示しているが、これは、あくまでも、図面の簡素化のためである。各レンズ室18(181,182,183,184,185)は、軸線が隔壁部材17の延びる方向と平行な方向(Y方向)である円柱レンズとしての液体レンズを構成する第1の液体31及び第2の液体32によって占められている。
【0065】
第1番目のレンズ室181は、第1側面部材11、第3側面部材13、第1番目の隔壁部材17、第4側面部材14、天板15、及び、底板16から構成されている。そして、第1番目のレンズ室181を構成する天板15の部分の内面には、第1電極21が設けられており、第1番目のレンズ室181を構成する第1側面部材11の部分の内面には、第2電極22が設けられており、第1番目のレンズ室181を構成する第1番目の隔壁部材17の部分の内面には、第3電極23が設けられている。
【0066】
また、第(m+1)番目のレンズ室18(m+1)は、第m番目(但し、m=1,2・・・M−2)の隔壁部材17、第3側面部材13、第(m+1)番目の隔壁部材17、第4側面部材14、天板15、及び、底板16から構成されている。そして、第(m+1)番目のレンズ室18(m+1)を構成する天板15の部分の内面には、第1電極21が設けられており、第(m+1)番目のレンズ室18(m+1)を構成する第m番目の隔壁部材17の部分の内面には、第2電極22が設けられており、第(m+1)番目のレンズ室18(m+1)を構成する第(m+1)番目の隔壁部材17の部分の内面には、第3電極23が設けられている。
【0067】
更には、第M番目のレンズ室18M(=185)は、第(M−1)番目の隔壁部材17、第3側面部材13、第2側面部材12、第4側面部材14、天板15、及び、底板16から構成されている。そして、第M番目のレンズ室18M(=185)を構成する天板15の部分の内面には、第1電極21が設けられており、第M番目のレンズ室18M(=185)を構成する第(M−1)番目の隔壁部材17の部分の内面には、第2電極22が設けられており、第M番目のレンズ室18M(=185)を構成する第2側面部材12の部分の内面には、第3電極23が設けられている。
【0068】
尚、図示した例では、各レンズ室毎に第1電極21が設けられているが、図1あるいは図2に示したように、天板15の内面に1枚の第1電極21を設けてもよい。
【0069】
実施例1のM−レンズ室構造のレンチキュラーレンズ部10において、少なくとも第1の液体31と第2の液体32との界面が位置する第1側面部材11、第2側面部材12及び隔壁部材17のそれぞれの表面には、撥水処理が施されている。また、図1あるいは図2においては隔壁部材17の頂面と天板15との間に隙間があるように図示しているが、隔壁部材17の底面は底板16まで延びており、隔壁部材17の頂面は天板15まで延びている。ハウジングの外形形状は矩形形状である。そして、底板16から光が入射し、天板15から光が出射する。
【0070】
実施例1あるいは後述する実施例2〜実施例7のレンチキュラーレンズ部において、第1の液体31と第2の液体32とは、不溶、不混合であり、第1の液体31と第2の液体32との界面がレンズ面を構成する。ここで、第1の液体31は導電性を有し、第2の液体32は絶縁性を有し、第1電極21は第1の液体31と接しており、第2電極22は絶縁膜24を介して第1の液体31及び第2の液体32と接しており、第3電極23は絶縁膜24を介して第1の液体31及び第2の液体32と接している。また、天板15、底板16、及び、第1電極21は、レンチキュラーレンズ部10に入射する光に対して透明な材料から構成されている。
【0071】
より具体的には、天板15、底板16、第1側面部材11、第2側面部材12、第3側面部材13、第4側面部材14及び隔壁部材17は、ガラス、あるいは、アクリル系樹脂等の樹脂から作製されている。導電性を有する第1の液体31は塩化リチウム水溶液から成り、密度は1.06グラム/cm3であり、屈折率は1.34である。一方、絶縁性を有する第2の液体32はシリコーンオイル(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社(旧GE東芝シリコーン株式会社))製TSF437から成り、密度は1.02グラム/cm3であり、屈折率は1.49である。第1電極21はITOから成り、第1電極22及び第3電極23は、例えば、金、アルミニウム、銅、銀等の金属電極から成る。絶縁膜24は、ポリパラキシレンや酸化タンタル、酸化チタン等の金属酸化物から成る。尚、絶縁膜24の上に撥水処理層(図示せず)が設けられている。撥水処理層はポリパラキシリレンやフッ素系のポリマーから成る。第1電極21の表面に親水処理を施し、第3側面部材13や第4側面部材14の内面に撥水処理を施すことが好ましい。後述する実施例2〜実施例7のレンチキュラーレンズ部においても、以上に説明した事項は、特に断りの無い限り同様とすることができる。
【0072】
第1電極21、第2電極22及び第3電極23は、図示しない接続部を介してレンズ制御部56に接続され、所望の電圧が印加される構成、構造となっている。そして、第1電極21、第2電極22及び第3電極23に電圧を印加すると、第1の液体31と第2の液体32との界面によって構成されたレンズ面が、図10の(A)に示す下に凸の状態から、図10の(B)に示す上に凸の状態に向かって変化する。レンズ面の変化状態は、電極21,22,23に印加する電圧によって変化する(式(A)参照)。図10の(B)に示した例においては、第2電極22と第3電極23に同じ電圧を印加している。それ故、レンズ室内で形成される液体レンズのXZ平面で切断したときの形状は、液体レンズの光軸に対して対称である。また、図10の(C)に示す状態は、第2電極22と第3電極23とに異なる電圧を印加したときの状態を示し、フレネルレンズが構成される。そして、レンチキュラーレンズ部10全体としての光軸を移動させることができる。しかも、第2電極22と第3電極23との間の電位差に応じて、1つのレンズ室における光学パワーを変化させることができる。尚、第1電極21、第2電極22及び第3電極23に電圧を印加し、フレネルレンズが光学パワーを発揮しているとき、YZ平面(あるいは、YZ平面と平行な平面)におけるフレネルレンズの光学パワーは実質的に0であり、XZ平面におけるフレネルレンズの光学パワーは有限の値である。ここで、『フレネルレンズの光軸』とは、フレネルレンズをXZ平面において切断したときにフレネルレンズ全体として得られる仮想レンズ(フレネルレンズ全体としての1枚のレンズ)の2つの仮想光学表面の曲率中心を結んだ線である。
【0073】
以上に説明した実施例1のレンチキュラーレンズ部10の基本的な動作は、後述する実施例2〜実施例7のレンチキュラーレンズ部においても同様である。
【実施例2】
【0074】
実施例2は、実施例1の変形であり、第Bの構成に関する。図11の(A)に模式的な断面図を示すように、実施例2のM−レンズ室構造のレンチキュラーレンズ部において、隔壁部材17の底面は底板16まで延びており、隔壁部材17の頂面と天板15との間には隙間が存在する。尚、図11の(A)あるいは後述する図11の(B)、(C)は、図9の矢印C−Cに沿ったと同様の模式的な断面図である。この点を除き、実施例2の立体画像表示装置の構成、構造は、実施例1の立体画像表示装置の構成、構造と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
【実施例3】
【0075】
実施例3も、実施例1の変形であり、第Cの構成に関する。図11の(B)に模式的な断面図を示すように、実施例3のM−レンズ室構造のレンチキュラーレンズ部において、隔壁部材17の底面と底板16との間には隙間が存在し、隔壁部材17の頂面は天板15まで延びている。この点を除き、この点を除き、実施例3の立体画像表示装置の構成、構造は、実施例1の立体画像表示装置の構成、構造と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
【実施例4】
【0076】
実施例4も、実施例1の変形であり、第Dの構成に関する。図11の(C)に模式的な断面図を示すように、実施例4のM−レンズ室構造のレンチキュラーレンズ部において、隔壁部材17の底面と底板16との間には隙間が存在し、隔壁部材17の頂面と天板15との間には隙間が存在する。この点を除き、実施例4の立体画像表示装置の構成、構造は、実施例1の立体画像表示装置の構成、構造と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
【0077】
例えば、実施例4において説明したレンチキュラーレンズ部は、以下の方法で作製することができる。
【0078】
先ず、第1側面部材11、第2側面部材12、第3側面部材13、第4側面部材14、天板15、底板16、隔壁部材17を作製する。尚、第2側面部材12及び第4側面部材14には、液体を注入し、また、液体を排出するための注入口及び排出口を適宜設けておく。そして、第1側面部材11、第2側面部材12、第3側面部材13、第4側面部材14、底板16及び、隔壁部材17を、接着剤等を用いて組み立てる。次いで、第1側面部材11、第3側面部材13及び隔壁部材17の上に、例えば、スパッタリング法やメッキ法に基づき第2電極22及び第3電極23を形成する。一方、天板15には、第1電極21を、例えば、スパッタリング法やメッキ法に基づき形成しておき、天板15を側面部材11,12,13,14に固定する。
【0079】
次いで、レンズ室18を減圧しながら、第2側面部材12に設けられた注入口(図示せず)から第2の液体32を注入し、次いで、第1の液体31を注入する。このとき、第1の液体31は、第2の液体32との間で界面を形成しながら注入され、第2の液体32の一部は排出口(図示せず)から排出される。最後に、注入口及び排出口を封止し、電極をレンズ制御部56と接続することで、レンチキュラーレンズ部を完成させることができる。
【0080】
尚、他の実施例において説明したレンチキュラーレンズ部も、実質的に同様の方法で作製することができる。
【実施例5】
【0081】
実施例5は、実施例1〜実施例4の変形である。実施例5の立体画像表示装置にあっては、各レンズ室における電極への電圧の印加を制御して、円柱レンズの配置ピッチを変更する。ここで、円柱レンズの配置ピッチを変更することで画像観察者から画像表示部までの距離である視聴距離を変更することができる。実施例5の立体画像表示装置において、画素ピッチと視点間距離と円柱レンズのピッチとの関係を説明するための模式図を図13に示す。また、実施例5の立体画像表示装置の全体構成を示すブロック図を図12に示す。
【0082】
第1番目の画素サブユニット群[1]に含まれる或る画素(『画素−1』と呼ぶ)と、第2番目の画素サブユニット群[2]に含まれる或る画素(『画素−2』と呼ぶ)とを想定する。ここで、画素−1によって得られる画像(一種、点状の画像である)と画素−2によって得られる画像(一種、点状の画像である)とが隣接するように、画像表示部において、画素−1と画素−2とは隣接して配置されているとする。図13に示すように、画素−1と画素−2との間の距離(画素−1と画素−2のピッチ)を「P1」とする。また、画像表示部40からレンチキュラーレンズ部10までの距離をd1、第1番目の視点と第2番目の視点との間の距離(視点間距離)をP2、画像表示部40から2つの視点を含む仮想平面までの距離をd2とし、隣接する円柱レンズのピッチ(円柱レンズの配置における空間的な周波数)をP3とする。図13から、P1,P2,P3,d1,d2の関係は、以下の式(1)及び式(2)のとおりとなる。
【0083】
2=(P1+P2)d21/P1 (1)
3={(d2−d1)/d2}NPOV・P1 (2)
【0084】
式(1)及び式(2)から、以下の式(3)、式(4)が導かれる。
【0085】
2=NPOV・P1・d1/(NPOV・P1−P3) (3)
2=P1・P3/(NPOV・P1−P3) (4)
【0086】
ところで、従来の立体画像表示装置にあっては、一般に、レンチキュラーレンズ部のピッチP3で決まる距離d2(上記の式(3)を参照)を変化させることができないため、特定の大きさの部屋を想定して視聴距離(d2−d1)を予め決めたうえで、立体画像表示装置を設計している。それ故、想定した視聴距離(d2−d1)から外れた位置で画像観察者が画像を観察する場合、立体画像の知覚に悪影響が生じる場合がある。つまり、画像を観察する部屋の大きさに応じた多種のモデルが必要となり、量産を考慮した場合に問題となる。
【0087】
上記の式(3)から、隣接する円柱レンズのピッチP3の設定を変更することができれば、d2、即ち、視聴距離(d2−d1)を変えることができる。従って、画像を観察する部屋の大きさに応じた多種のモデルが必要となることが無い。このように、画像観察者の位置が変わったときでも、即ち、距離d2が変化したときでも、実施例5の立体画像表示装置にあっては、隣接する円柱レンズのピッチをP3を変えることができるので、画像観察者による立体画像の観察に支障をきたすことが無い。尚、隣接する円柱レンズのピッチをP3を変えるためには、各レンズ室18における電極21,22,23に印加する電圧をレンズ制御部56によって適切に制御すればよい。
【0088】
実施例5の立体画像表示装置にあっては、画像観察者の位置を測定する位置測定手段57を更に有し、位置測定手段57によって得られた画像観察者の位置情報に基づき、各レンズ室における電極への電圧の印加を制御する。図12に示すように、位置測定手段57として、静止画あるいは動画を撮影することができる固体撮像素子を備えたビデオカメラやウエブカメラ、赤外線を用いた位置測定装置を挙げることができる。位置測定手段57からの出力を受け取ったレンズ制御部56は、周知の方法に基づき画像観察者の位置を決定し、係る画像観察者の位置情報に基づき、上述したとおり、各レンズ室18における電極21,22,23に印加する電圧を制御すればよい。
【0089】
あるいは又、立体画像表示装置に、例えば、「1m」、「2m」、「3m」等の画像観察者のおおよその位置(立体画像表示装置から画像観察者までの距離)を入力するスイッチ等を設けておき、どのスイッチが操作されたかをレンズ制御部56は調べ、上述したとおり、各レンズ室18における電極21,22,23に印加する電圧を制御してもよい。
【0090】
以上の点を除き、実施例5の立体画像表示装置の構成、構造は、実施例1の立体画像表示装置の構成、構造と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
【実施例6】
【0091】
実施例6は、実施例1〜実施例5の変形である。レンチキュラーレンズ部10Aの概念図を図14に示すが、実施例6にあっては、レンズ制御部56の制御によって、円柱レンズと円柱レンズとの間に、円柱レンズの有する光学パワーとは逆符号の光学パワーを有する境界レンズ室19を配置する。具体的には、円柱レンズは、凸レンズとして機能し、境界レンズ室19によって構成されるレンズは、凹レンズとして機能する。
【0092】
以上の点を除き、実施例6の立体画像表示装置の構成、構造は、実施例1の立体画像表示装置の構成、構造と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。そして、実施例6にあっては、境界レンズ室19を通過する光が画像観察者に到達することが無くなる結果、画像観察者は、円柱レンズと円柱レンズとの境界領域を視認し難くなり、表示される立体画像の画像品質の向上を図ることができる。
【実施例7】
【0093】
実施例7は、実施例1〜実施例6の変形である。立体画像表示装置におけるレンチキュラーレンズ部、画像表示部等の配置を説明するための概念図を図15に示すように、実施例7にあっては、光源、レンチキュラーレンズ部10B、及び、画像表示部40の順に配置されている。また、レンチキュラーレンズ部10Bにおいて、円柱レンズは凸レンズとして機能する。指向性を有する光源からの光、即ち、光源から出射された平行光は、レンチキュラーレンズ部10Bを通過し、画像表示部40に入射する。図15において、一点鎖線で示す領域が円柱レンズの焦点面である。円柱レンズから画像表示部の表示面までの距離が円柱レンズの焦点距離の2倍となるように、レンチキュラーレンズ部10Bと画像表示部40とを配置した。
【0094】
あるいは又、立体画像表示装置におけるレンチキュラーレンズ部、画像表示部等の配置を説明するための概念図を図16に示すように、レンチキュラーレンズ部10Cにおいて、円柱レンズを凹レンズとして機能させてもよい。指向性を有する光源からの光、即ち、光源から出射された平行光は、レンチキュラーレンズ部10Cを通過し、画像表示部40に入射する。図16において、一点鎖線で示す領域が円柱レンズの焦点面である。円柱レンズから画像表示部の表示面までの距離が円柱レンズの焦点距離と一致するように、レンチキュラーレンズ部10Cと画像表示部とを配置した。
【0095】
以上、本発明を好ましい実施例に基づき説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例において説明した立体画像表示装置やレンチキュラーレンズ部の構成、構造は例示であるし、レンチキュラーレンズ部等を構成する材料等も例示であり、適宜、変更することができる。また、第1電極、第2電極、第3電極の構成、構造、配置状態も、これらの電極と直接、あるいは絶縁膜を介して接する液体の性質(導電性、絶縁性)に応じて、適宜、変更することができる。レンチキュラーレンズ部を構成する円柱レンズの光軸のX方向への移動によって、視点の位置を移動させてもよい。そのためには、立体画像表示装置に、例えば、「立体画像表示装置の正面位置」、「立体画像表示装置の正面から右側に0.5mずれた位置」、「立体画像表示装置の正面から左側に0.5mずれた位置」等の画像観察者のおおよその観察位置を入力するスイッチ等を設けておき、どのスイッチが操作されたかをレンズ制御部56は調べ、上述したとおり、各レンズ室18における電極21,22,23に印加する電圧を制御すればよいし、位置測定手段57によって得られた画像観察者の位置情報に基づき、各レンズ室における電極への電圧の印加を制御することで視点の位置を移動させてもよい。あるいは又、画像観察者が立体画像表示装置に表示された画像を観察しながら、視聴距離の調整、視点位置の調整を適切なスイッチを操作することで、レンズ制御部56による各レンズ室18における電極21,22,23への印加電圧の制御を行うこともできる。また、実施例にあっては、立体画像表示装置によって動画を表示する例を示したが、立体画像表示装置によって静止画を表示することもできる。実施例にあっては、画像表示部を液晶表示装置から構成したが、画像表示部を、自発光形式の画像表示部、具体的には、例えば、有機エレクトロルミネッセンス表示装置やプラズマ表示装置から構成することもできる。レンチキュラーレンズ部における天板及び底板の概念は相対的なものである。従って、天板を第1光透過部材と読み替え、底板を第2光透過部材と読み替えてもよい。
【符号の説明】
【0096】
1・・・立体画像表示装置、10,10A,10B,10C・・・レンチキュラーレンズ部、11・・・第1側面部材、12・・・第2側面部材、13・・・第3側面部材、14・・・第4側面部材、15・・・天板、16・・・底板、17・・・隔壁部材、18・・・レンズ室、21・・・第1電極、22・・・第2電極、23・・・第3電極、24・・・絶縁膜、31・・・第1の液体、32・・・第2の液体、40・・・画像表示部、41・・・画素、42・・・バックライト、50・・・制御回路、51・・・画像信号処理部(シグナル・ジェネレータ)、52・・・タイミング制御部(タイミング・ジェネレータ)、53・・・画像メモリ、54・・・データドライバ、55・・・ゲートドライバ、56・・・レンズ制御部、57・・・位置測定手段、OA・・・光軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(イ)2次元マトリクス状に配列された複数の画素を有する画像表示部、
(ロ)複数の円柱レンズが並置されて成るレンチキュラーレンズ部、及び、
(ハ)レンズ制御部、
を備えた立体画像表示装置であって、
複数の円柱レンズの配列方向をX方向、円柱レンズの軸線をY方向、円柱レンズの光軸をZ方向としたとき、レンチキュラーレンズ部は、X方向に並置され、且つ、Y方向を軸線とする複数のレンズ室を備えており、各円柱レンズは、連続するレンズ室の複数によって構成されたフレネルレンズから成り、
電極を備えた各レンズ室は、屈折率の異なる第1の液体及び第2の液体によって占められており、電極への電圧の印加によって第1の液体と第2の液体の界面が構成するレンズ面が変化する液体レンズを構成し、
レンズ制御部は、円柱レンズの光軸をX方向に移動させるために各レンズ室における電極への電圧の印加を制御する立体画像表示装置。
【請求項2】
画像表示部における画像の表示切り替えと同期して円柱レンズの光軸をX方向に移動させるために、各レンズ室における電極への電圧の印加を制御する請求項1に記載の立体画像表示装置。
【請求項3】
各レンズ室における電極への電圧の印加を制御して、円柱レンズの配置ピッチを変更する請求項1又は請求項2に記載の立体画像表示装置。
【請求項4】
円柱レンズの配置ピッチを変更することで、視聴距離を変更する請求項3に記載の立体画像表示装置。
【請求項5】
画像観察者の位置を測定する位置測定手段を更に有し、
位置測定手段によって得られた画像観察者の位置情報に基づき、各レンズ室における電極への電圧の印加を制御する請求項4に記載の立体画像表示装置。
【請求項6】
レンズ制御部の制御によって、円柱レンズと円柱レンズとの間に、円柱レンズの有する光学パワーとは逆符号の光学パワーを有するレンズ室を配置する請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の立体画像表示装置。
【請求項7】
光源を更に備え、
光源、画像表示部、及び、レンチキュラーレンズ部の順に配置されている請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の立体画像表示装置。
【請求項8】
光源を更に備え、
光源、レンチキュラーレンズ部、及び、画像表示部の順に配置されている請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の立体画像表示装置。
【請求項9】
レンチキュラーレンズ部は、
(A)第1側面部材、
第1側面部材と対向した第2側面部材、
第1側面部材の一端部と第2側面部材の一端部とを結ぶ第3側面部材、
第1側面部材の他端部と第2側面部材の他端部とを結ぶ第4側面部材、
第1側面部材、第2側面部材、第3側面部材及び第4側面部材の頂面に取り付けられた天板、及び、
第1側面部材、第2側面部材、第3側面部材及び第4側面部材の底面に取り付けられた底板、
を備えたハウジング、並びに、
(B)それぞれが、第1側面部材と第2側面部材との間に平行に配置された、(M−1)個の隔壁部材、
を備え、
M個のレンズ室が並置されており、
(a)第1番目のレンズ室は、第1側面部材、第3側面部材、第1番目の隔壁部材、第4側面部材、天板、及び、底板から構成されており、
第1番目のレンズ室を構成する天板の部分の内面には、第1電極が設けられており、
第1番目のレンズ室を構成する第1側面部材の部分の内面には、第2電極が設けられており、
第1番目のレンズ室を構成する第1番目の隔壁部材の部分の内面には、第3電極が設けられており、
(b)第(m+1)番目のレンズ室は、第m番目(但し、m=1,2・・・M−2)の隔壁部材、第3側面部材、第(m+1)番目の隔壁部材、第4側面部材、天板、及び、底板から構成されており、
第(m+1)番目のレンズ室を構成する天板の部分の内面には、第1電極が設けられており、
第(m+1)番目のレンズ室を構成する第m番目の隔壁部材の部分の内面には、第2電極が設けられており、
第(m+1)番目のレンズ室を構成する第(m+1)番目の隔壁部材の部分の内面には、第3電極が設けられており、
(c)第M番目のレンズ室は、第(M−1)番目の隔壁部材、第3側面部材、第2側面部材、第4側面部材、天板、及び、底板から構成されており、
第M番目のレンズ室を構成する天板の部分の内面には、第1電極が設けられており、
第M番目のレンズ室を構成する第(M−1)番目の隔壁部材の部分の内面には、第2電極が設けられており、
第M番目のレンズ室を構成する第2側面部材の部分の内面には、第3電極が設けられている請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の立体画像表示装置。
【請求項10】
少なくとも第1の液体と第2の液体との界面が位置する第1側面部材、第2側面部材及び隔壁部材のそれぞれの表面には、撥水処理が施されていることを特徴とする請求項9に記載の立体画像表示装置。
【請求項11】
各レンズ室において、第2電極に印加する電圧と第3電極に印加する電圧とを変化させることで、円柱レンズの光軸をX方向に移動させる請求項9に記載の立体画像表示装置。
【請求項12】
(イ)2次元マトリクス状に配列された複数の画素を有する画像表示部、
(ロ)複数の円柱レンズが並置されて成るレンチキュラーレンズ部、及び、
(ハ)レンズ制御部、
を備え、
複数の円柱レンズの配列方向をX方向、円柱レンズの軸線をY方向、円柱レンズの光軸をZ方向としたとき、レンチキュラーレンズ部は、X方向に並置され、且つ、Y方向を軸線とする複数のレンズ室を備えており、各円柱レンズは、連続するレンズ室の複数によって構成されたフレネルレンズから成り、
電極を備えた各レンズ室は、屈折率の異なる第1の液体及び第2の液体によって占められており、電極への電圧の印加によって第1の液体と第2の液体の界面が構成するレンズ面が変化する液体レンズを構成する立体画像表示装置の駆動方法であって、
レンズ制御部による各レンズ室における電極への電圧の印加の制御によって、円柱レンズの光軸をX方向に移動させる立体画像表示装置の駆動方法。
【請求項13】
画像表示部における画像の表示切り替えと同期して円柱レンズの光軸をX方向に移動させる請求項12に記載の立体画像表示装置の駆動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−95369(P2011−95369A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−247480(P2009−247480)
【出願日】平成21年10月28日(2009.10.28)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】