説明

端末装置監視システム、端末装置監視方法および端末装置監視プログラム

【課題】SNMP通信のTRAPパケットを用いる監視ネットワークとして、端末装置側の対応のみで回線品質劣化によるTRAPパケットロスを防御可能な端末装置監視システムを提供する。
【解決手段】上り方向から下り方向に順番に回線接続した装置N1〜N8の状況を監視する2台の監視サーバとしてサーバA1を上り方向にサーバA2を下り方向に配置し、各装置N1〜N8に状況変化が発生した際にTRAPパケットをサーバA1,A2の双方に送信するシステムにおいて、例えば装置N3が装置N3−N4との間の無線回線WL34の品質劣化を検知した際に、その旨を示す回線劣化通知パケットを無線回線WL34とは逆方向に位置している装置N2,N1に対して送信し、装置N2,N1は、装置N3と同様、無線回線WL34を通るルートのサーバA2に向かうTRAPパケットの送信動作を中止し、かつ、以降に発生するTRAPパケットを保存する動作を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末装置監視システム、端末装置監視方法および端末装置監視プログラムに関する。特に、無線アクセス機能を有する端末装置の状況監視のためにSNMP(Simple Network Management protocol)通信のTRAPパケット(トラップパケット)を使用した場合における端末装置監視システム、端末装置監視方法および端末装置監視プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
IP(Internet protocol)ベースのSNMP通信におけるTRAPパケット(トラップパケット)は、端末装置のSNMPエージェントから監視サーバのSNMPマネジャに送付される状況変化通知用のパケットである。このTRAPパケットの受信ロスを監視サーバ側で検知することができるように、特許文献1の特開2008−97326号公報「SNMPシーケンス管理方法、マネジャ装置およびエージェント装置」や特許文献2の特開2003−244142号公報「IPネットワークにおけるトラップ抜け検出方式および検出方法」等においては、TRAPパケットに送信順を示すシーケンス番号としてTRAP Sequence IDを付加する技術が提案されている。
【0003】
また、特許文献3の特開2008−198041号公報「装置監視ネットワークシステムおよびSNMPのトラップ管理方法」においては、単位時間当たりのTRAPパケット送信数に対する閾値によりTRAP群を作成して、TRAP群ごとの連続性チェックによるTRAPパケットの再送方法について提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−97326号公報(第6−8頁)
【特許文献2】特開2003−244142号公報(第5−7頁)
【特許文献3】特開2008−198041号公報(第6−8頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1、特許文献2等に提案されているようなTRAP Sequence IDを付加する方法の場合、サーバ側では、端末装置からのTRAPパケットの受信に抜けが発生したことを検出した上で、端末装置に対して、抜けたTRAPパケットの再送要求を行う必要があり、サーバ側における監視システムの変更が必要となる。さらに、サーバ、端末装置間の回線品質の劣化が発生している場合、回線によるTRAPパケット落ちに伴う再送が、サーバ、端末装置間で頻繁に行なわれることになり、サーバ側および端末装置側の双方において負荷が増加するという問題があった。
【0006】
また、前記特許文献3に提案されているようなTRAPパケット送信数に対する閾値によるTRAPパケットの再送方法の場合、途中の回線経路におけるネットワーク障害等が発生した際のTRAPパケットの防御対策として、NMS(Network Management System)側から確認する必要が生じる。
【0007】
(本発明の目的)
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、端末装置を監視するためにSNMP通信のTRAPパケットを用いる監視ネットワークとして、監視装置となるサーバの構成/機能を変更することなく、監視対象装置側の端末装置におけるシステム変更のみで、回線劣化によるTRAPパケットのロスを防御することを可能とする端末装置監視システム、端末装置監視方法および端末装置監視プログラムを提供することを、その目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述の課題を解決するため、本発明による端末装置監視システム、端末装置監視方法および端末装置監視プログラムは、主に、次のような特徴的な構成を採用している。
【0009】
(1)本発明による端末装置監視システムは、上り方向から下り方向に順番に回線接続した1ないし複数台の端末装置それぞれの状況を監視する監視サーバを2台備え、一方の前記監視サーバを上り方向の先頭の前記端末装置に接続し、他方の前記監視サーバを下り方向の最後尾の前記端末装置に接続したIP(Internet Protocol)ネットワークからなり、前記端末装置それぞれは、当該端末装置内に状況の変化が発生した際に、SNMP(Simple Network Management Protocol)規格準拠の状況変化通知用のTRAPパケット(トラップパケット)を上り方向と下り方向とに位置する2台の前記監視サーバ双方に送信する端末装置監視システムにおいて、前記端末装置が、当該端末装置と隣接端末装置とを接続する回線の品質劣化を検知した際に、劣化検知装置として、該回線を品質劣化箇所として記憶して、該品質劣化箇所となった品質劣化回線の方向への前記TRAPパケットの送信動作を中止し、かつ、以降に発生する状況変化通知用の前記TRAPパケットを保存する動作を行うとともに、前記品質劣化回線にて品質劣化が発生した旨を示す回線劣化通知パケットを作成して、当該品質劣化回線とは逆方向に位置しているすべての前記無線装置に対して送信し、前記劣化検知装置からの前記回線劣化通知パケットを受信した前記端末装置は、前記品質劣化回線を品質劣化箇所として記憶して、前記品質劣化回線を通るルートに向かう前記TRAPパケットの送信動作を中止し、かつ、以降に発生する状況変化通知用の前記TRAPパケットを保存する動作を行うことを特徴とする。
【0010】
(2)本発明による端末装置監視方法は、上り方向から下り方向に順番に回線接続した1ないし複数台の端末装置それぞれの状況を監視する監視サーバを2台備え、一方の前記監視サーバを上り方向の先頭の前記端末装置に接続し、他方の前記監視サーバを下り方向の最後尾の前記端末装置に接続したIP(Internet Protocol)ネットワークからなり、前記端末装置それぞれは、当該端末装置内に状況の変化が発生した際に、SNMP(Simple Network Management Protocol)規格準拠の状況変化通知用のTRAPパケット(トラップパケット)を上り方向と下り方向とに位置する2台の前記監視サーバ双方に送信する端末装置監視方法であって、前記端末装置が、当該端末装置と隣接端末装置とを接続する回線の品質劣化を検知した際に、劣化検知装置として、該回線を品質劣化箇所として記憶して、該品質劣化箇所となった品質劣化回線の方向への前記TRAPパケットの送信動作を中止し、かつ、以降に発生する状況変化通知用の前記TRAPパケットを保存する動作を行うとともに、前記品質劣化回線にて品質劣化が発生した旨を示す回線劣化通知パケットを作成して、当該品質劣化回線とは逆方向に位置しているすべての前記無線装置に対して送信し、前記劣化検知装置からの前記回線劣化通知パケットを受信した前記端末装置は、前記品質劣化回線を品質劣化箇所として記憶して、前記品質劣化回線を通るルートに向かう前記TRAPパケットの送信動作を中止し、かつ、以降に発生する状況変化通知用の前記TRAPパケットを保存する動作を行うことを特徴とする。
【0011】
(3)本発明による端末装置監視プログラムは、少なくとも前記(2)に記載の端末装置監視方法を、コンピュータによって実行可能なプログラムとして実施していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の端末装置監視システム、端末装置監視方法および端末装置監視プログラムによれば、以下のような効果を奏することができる。
【0013】
第1の効果として、監視装置のサーバにおいては、監視対象装置である各端末装置それぞれにおける回線の品質劣化状態を意識する必要はなく、かつ、各端末装置それぞれにおけるいずれかの回線に品質劣化が発生した場合においても、サーバが一切関わることなく、各端末装置側にて、品質劣化が発生した回線を通るルートのTRAPパケットの送信動作を確実に中止することができ、各端末装置からTRAPパケットにより送信されてくる状況変化に関する情報の受信ロスを防止することが可能である。
【0014】
第2の効果として、監視装置のサーバにおいては、TRAPパケットの受信方法を変えることなく、監視対象装置の各端末装置側でTRAPパケットの送信動作を中止していた間の状況変化を示す情報を保存していて、回線品質が回復した際に、各端末装置側におけるTRAPパケットの再送動作が自動的に起動されて、中止期間中に保存していた状況変化通知用のTRAPパケットを受け取ることができ、各端末装置の状況変化に関する情報を補完することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明による端末装置監視システムのシステム構成の一例を示すシステム構成図である。
【図2】SNMP TRAPパケットの一部を構成する変数指定部(Variable Bindings)に設定する情報の一例を説明するためのテーブルである。
【図3】図1に示す端末装置監視システムの各装置が他の装置に対して通知する回線劣化通知パケットおよび回線復旧通知パケットのフォーマットの一例を説明するためのテーブルである。
【図4】図1の端末装置監視システムの装置間の無線回線の回線品質が劣化した場合の回線劣化通知パケットの通知方向の一例を説明する説明図である。
【図5】図1の端末装置監視システムの装置間の無線回線の劣化していた回線品質が回復した場合の回線復旧通知パケットの通知方向の一例を説明する説明図である。
【図6】図1に示す端末装置監視システムの各装置が隣接する装置に対して定期的に転送する回線確認用パケットのフォーマットの一例を説明するためのテーブルである。
【図7】図1の端末装置監視システムの装置間の無線回線の回線品質の確認を行う回線確認用パケットの送受信動作の一例を説明する説明図である。
【図8】図1の端末装置監視システムの装置間の無線回線の回線品質の確認を行う回線確認用パケットの送受信動作の他の例を説明する説明図である。
【図9】図1の端末装置監視システムの装置間の複数の無線回線の回線品質が劣化した場合に回線劣化通知パケットの通知が分断される様子を説明する説明図である。
【図10】図1の端末装置監視システムの装置間の無線回線の劣化していた回線品質が回復した場合に送信する回線復旧通知パケットの通知が分断される様子を説明する説明図である。
【図11】図1の端末装置監視システムの各装置における通常時の動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【図12】図1の端末装置監視システムの各装置における回線劣化通知パケット、回線復旧通知パケットの送信動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【図13】図1の端末装置監視システムの各装置における回線劣化通知パケット受信時の動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【図14】図1の端末装置監視システムの各装置における回線復旧通知パケット受信時の動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【図15】図1の端末装置監視システムの各装置における回線確認用パケット送受信時の動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明による端末装置監視システム、端末装置監視方法および端末装置監視プログラムの好適な実施形態について添付図を参照して説明する。なお、以下の説明においては、本発明による端末装置監視システムおよび端末装置監視方法について説明するが、かかる端末装置監視方法をコンピュータにより実行可能な端末装置監視プログラムとして実施するようにしても良いし、あるいは、端末装置監視プログラムをコンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録するようにしても良いことは言うまでもない。
【0017】
(本発明の特徴)
本発明の実施形態の説明に先立って、本発明の特徴についてその概要をまず説明する。本発明は、端末装置(以下、「装置」と単に略する場合もある)の状況監視のためにSNMP(Simple Network Management Protocol)通信のTRAPパケット(トラップパケット:端末装置のSNMPエージェントから監視サーバのSNMPマネジャに送付される状況変化通知用のパケット)を用いる監視ネットワークに関するものである。各端末装置は、SNMP通信の相手側の対向装置(端末装置または監視サーバ)との間の回線(無線回線、有線回線)における回線品質状態を観測し、回線品質の劣化が発生したか否かを監視している。回線品質の劣化を検知した際には、端末装置は、回線品質の劣化が発生した回線の方向へのTRAPパケットの送信を中止し、かつ、該回線とは逆方向に接続されている他の端末装置に対して該回線の回線品質劣化の旨を示す回線劣化通知パケットを送信する。
【0018】
該回線劣化通知パケットを受信した各端末装置は、回線品質が劣化した回線を通るルートのTRAPパケットの送信処理を中止して、回線品質の劣化発生時点以降のTRAPパケットを未送信TRAPパケットとして保存する。かかる動作を行うことにより、既存の監視サーバ側の構成/機能を変更することなく、監視対象装置側の端末装置におけるシステム変更のみで、回線品質劣化によるTRAPパケットのロスを防御することを可能にしている。
【0019】
さらに、回線品質が劣化した無線回線の無線状況が正常な状態に回復した場合には、回線品質の劣化の旨を示す回線劣化通知パケットを送信済みの各端末装置に対して、回線品質が回復した旨を示す回線復旧通知パケットを送信する。該回線復旧通知パケットを受信した各端末装置においては、当該回線を通るルートに送信することを中止して保存していたTRAPパケットも含め、TRAPパケットの送信動作を再開することにより、監視サーバにおいては、回線品質劣化による監視不能時間における各端末装置の状況変化に関する情報の補完を行うことも可能にしている。
【0020】
(実施形態の構成例)
次に、本発明の実施形態として、本発明による端末装置監視システムのシステム構成例について、図1を用いて説明する。図1は、本発明による端末装置監視システムのシステム構成の一例を示すシステム構成図である。図1に示す端末装置監視システムは、監視対象の端末装置としては、装置N1,N2,…,N8の8台の端末装置が縦列接続された状態で存在し、これら8台の装置N1,N2,…,N8を監視するために、サーバA1、サーバA2の2個の監視サーバを備えている場合を示している。ただし、本発明による端末装置監視システムにおいては、監視対象の端末装置の装置数が、図1に例示するような8台に限るものではなく、如何なる装置数であっても構わない。
【0021】
図1の端末装置監視システムのネットワーク構成としては、監視対象の端末装置である装置N1−装置N2,装置N3−装置N4,装置N5−装置N6,装置N7−装置N8のそれぞれの間については、無線回線WL12,無線回線WL34,無線回線WL56,無線回線WL78それぞれによってIP(Internet Protocol)通信を行うが、装置N2−装置N3,装置N4−装置N5,装置N6−装置N7のそれぞれの間については、有線回線W23,有線回線W45,有線回線W67によってIP通信を行うものとする。また、監視サーバのサーバA1は、上り方向の先頭に配置されている装置N1との間で、有線回線W11によってIP通信を行い、もう一方の監視サーバであるサーバA2は、サーバA1側に接続される装置N1とは反対側にあって、下り方向の最後尾に配置されている装置N8との間で、有線回線W82によってIP通信を行うものとする。
【0022】
監視サーバのサーバA1,A2については、SNMPマネジャとしてIPベースのSNMPプロトコルを実装しており、それぞれ、有線回線W11,W82を経由して、監視対象の8台の装置N1,N2,…,N8との間で、IPベースのSNMP通信を行う。一方、監視対象の端末装置である装置N1,N2,…,N8それぞれは、有線回線および無線回線の2つの回線に接続されており、有線回線および無線回線を使用して、上り方向と下り方向との2つの方向に向かって、IPベースのSNMP通信を行うことが可能である。
【0023】
なお、装置N1,N2,…,N8それぞれは、SNMPエージェントとして、格納している情報の更新が発生したり、何らかのイベントが発生したりする等の、自装置の状況変化が発生した際に、その旨を示す状況変化通知を監視サーバのサーバA1,A2に対して送信するためのIPベースのSNMPプロトコルを実装しており、該状況変化通知を、SNMP通信におけるTRAPパケット(トラップパケット)を用いて送信する。
【0024】
このため、装置N1,N2,…,N8それぞれは、有線回線、無線回線のいずれの方向からSNMP通信のTRAPパケットを受信したか、また、いずれの方向に対してTRAPパケットを送信すべきかを認識することが可能な構成になっている。
【0025】
また、装置N1,N2,…,N8それぞれは、図1に示すように、TRAP送信先アドレス/方向/劣化通知元テーブル10i、送信済みTRAP Sequence ID管理テーブル20iおよび送信TRAPテーブル30iを備えている。ここで、符号に付したiは、1〜8の整数であり、装置N1,N2,…,N8の装置番号に相当する変数である。例えば、装置N1の場合は、TRAP送信先アドレス/方向/劣化通知元テーブル101、送信済みTRAP Sequence ID管理テーブル201および送信TRAPテーブル301を備え、装置N2の場合は、TRAP送信先アドレス/方向/劣化通知元テーブル102、送信済みTRAP Sequence ID管理テーブル202および送信TRAPテーブル302を備えている。
【0026】
1つ目のTRAP送信先アドレス/方向/劣化通知元テーブル10iは、TRAPパケットの送信先、送信方向および回線劣化通知の通知元を設定するためのテーブルであり、送信先IPアドレス11i、方向12i、および、劣化通知元装置13iを少なくとも含んで構成される。送信先IPアドレス11iには、TRAPパケットの送信先となる監視サーバのサーバA1,A2それぞれのIPアドレスを設定する。方向12iには、TRAPパケットをサーバA1,A2向けに送信するTRAPパケットの送信方向のポートに接続している回線の回線種別を設定する。図1に示す設定例の場合、上り方向のサーバA1向けの送信方向の回線種別が無線回線であり、下り方向のサーバA2向けの送信方向の回線種別が有線回線である場合を示している。劣化通知元装置13iには、回線品質の劣化通知を送信してきた通知元の装置をユニークに特定する装置番号を設定する。
【0027】
なお、本実施形態においては、説明の簡明化を図るために、ネットワークにおいて回線品質の劣化が発生する回線種別は、有線回線ではなく、電波状態等が変化する無線回線の場合であるものとして説明するが、かかる場合のみに限るものではない。すなわち、有線回線に品質劣化等が発生する場合についても対象とする場合は、劣化通知元装置13iの他に、無線回線、有線回線のいずれに回線品質の劣化が発生したかを示す回線種別も合わせて設定するようにすれば良い。
【0028】
このTRAP送信先アドレス/方向/劣化通知元テーブル10iにより、装置Ni(i=1〜8)のSNMPエージェントそれぞれは、自装置Niから監視サーバのサーバA1,A2の各SNMPマネジャに対して送信するTRAPパケットを、いずれの方向のポートに送信すべきか、また、回線の品質劣化例えば無線回線の品質劣化が8台の端末装置のどの装置の回線で発生しているのかを認識することが可能である。
【0029】
2つめの送信済みTRAP Sequence ID管理テーブル20iは、装置N1〜N8のいずれかが使用する回線において回線品質の劣化が発生した直前に、自装置Niから当該回線を通るルートを介して監視サーバのサーバA1,A2それぞれに対して送信した最終のTRAPパケットをユニークに特定するためのTRAP Sequence IDを設定するためのテーブルであり、送信先IPアドレス21i、TRAP Sequence ID22iを少なくとも含んで構成される。送信先IPアドレス21iには、TRAPパケットの送信先となる監視サーバのサーバA1,A2それぞれのIPアドレスを設定する。TRAP Sequence ID22iには、回線品質の劣化が発生した時点までに送信した送信済みのTRAPパケットのうち、該時点の直前で送信した最終のTRAPパケットをユニークに特定するためのシーケンス番号を設定する。図1の表示例においては、TRAP Sequence ID22iに"3"が設定されており、サーバA1,A2のいずれに対しても、TRAP Sequence IDが"3"のTRAPパケットまで送信済みであることを例示している。
【0030】
このTRAP Sequence ID管理テーブル20iにより、装置N1〜N8のいずれかの回線に回線品質の劣化が発生した時点までに自装置NiからサーバA1,A2それぞれへ送信済みのTRAPパケットを管理することが可能になる。
【0031】
3つ目の送信TRAPテーブル30iは、装置Ni(i=1〜8)において状況の変化が発生した際に該状況変化通知用として自装置Niから送信したTRAPパケットを順番に保管するためのテーブルであり、TRAP Sequence ID31i、時刻32i、および、TRAP内容33iを少なくとも含んで構成される。TRAP Sequence ID31iには、送信したTRAPパケットをユニークに特定するためのシーケンス番号を設定する。時刻32iには、TRAPパケットを送信した送信時刻を設定する。TRAP内容33iには、状況変化通知用のTRAPパケットの内容を設定する。
【0032】
この送信TRAPテーブル30iには、状況の変化が発生した最新の送信TRAPパケットのみならず、過去に送信した送信TRAPパケットも履歴情報として蓄積しているので、今までに送信したTRAPパケットのうち、任意のTRAP Sequence IDに対応したTRAPパケットを後から再送することも可能になる。
【0033】
次に、状況変化通知用のTRAPパケットのフォーマットについて、その一例を説明する。装置N1,N2,…,N8それぞれは、自装置の状況の変化が発生した際に、前述のように、監視サーバのサーバA1,A2に対してSNMPプロトコルのTRAPパケットを用いて状況変化の内容を通知する。この際、状況変化通知用のTRAPパケットを受信したサーバA1,A2が、装置N1,N2,…,N8それぞれにおいて発生した状況変化の内容のみならず、発生した状況変化の発生日時、および、受信したTRAPパケットの抜けを認識することができるように、装置N1,N2,…,N8から送信するTRAPパケットには、図2に例示するような情報がTRAPパケットの変数指定部(Variable Bindings)に含まれている。
【0034】
図2は、SNMP TRAPパケットの一部を構成する変数指定部(Variable Bindings)に設定する情報の一例を説明するためのテーブルであり、前述のように、装置N1,N2,…,N8から送信したTRAPパケットの順番や状況変化の発生日時や状況変化の通知内容それぞれを示す情報を内包している。
【0035】
つまり、図2のTRAPパケットのフォーマットに示すように、TRAPパケットの変数指定部(Variable Bindings)は、複数のフィールドから構成されている。図2のVBL1フィールドは、送信TRAPパケットの順番を示すTRAP Sequence IDを設定するフィールドであり、TRAPパケットのシーケンス番号が設定される。また、VBL2フィールドは、状況変化の発生日時を示す変化発生日時を設定するフィールドであり、YYYY/MM/DD HH:MM:SSの形式で時刻情報が設定される。また、VBL3フィールド,VBL4フィールド,…は、変化通知内容1,変化通知内容2,…を設定するフィールドであり、発生した状況変化に関する詳細な通知内容が設定される。
【0036】
次に、装置N1,N2,…,N8が使用する無線回線、有線回線の回線品質の劣化を検知した場合、逆に、回線品質が正常な状態に回復したことを検知した場合の動作について、回線種別として無線回線の回線品質が変化した場合を例にとって説明する。装置N1,N2,…,N8それぞれは、自装置が使用する無線回線の回線品質の変化を監視するために、無線回線部における無線信号の受信電界レベルを測定しており、測定した受信電界レベルが、回線品質の劣化を検知する電界レベルとしてあらかじめ定めた回線劣化電界閾値よりも低下した場合には、無線回線の品質劣化が発生したことを検知する。
【0037】
無線回線の品質劣化を検知した装置Ni(i=1〜8)においては、品質劣化が発生した無線回線の使用を中止するとともに、その旨を示す回線劣化通知パケットを、IPパケットを用いて作成して、他の装置Nj(j=1〜8、かつ、j≠i)に対して通知する。
【0038】
逆に、回線品質が劣化して使用を中止していた無線回線の回線品質が回復して、受信電界レベルが、回線品質が正常な状態に回復したことを検知する電界レベルとしてあらかじめ定めた回線復旧電界閾値以上に達した場合には、無線回線の品質の回復を検知した装置Ni(i=1〜8)においては、回線品質が正常な状態に回復した無線回線の使用を再開するとともに、その旨を示す回線復旧通知パケットを、IPパケットを用いて作成して、他の装置Nj(j=1〜8、かつ、j≠i)に対して通知する。
【0039】
図3は、図1に示す端末装置監視システムの各装置Ni(i=1〜8)が他の装置Nj(j=1〜8、かつ、j≠i)に対して通知する回線劣化通知パケットおよび回線復旧通知パケットのフォーマットの一例を説明するためのテーブルである。図3に示すように、回線劣化通知パケットおよび回線復旧通知パケットのいずれも、宛先アドレス41、送信元アドレス42、および、データ部43を少なくとも含んで構成される。宛先アドレス41には、当該パケットを送信する宛先となる装置のIPアドレスを設定する。送信元アドレス42には、当該パケットの送信元の装置のIPアドレスを設定する。データ部43は、通知内容を設定する部分であり、回線劣化通知、回線復旧通知のいずれかを示す通知種別43a、および、当該パケットを送信した時刻を示す通知時刻43bの各フィールドを少なくとも含んで構成されている。
【0040】
なお、図3の宛先アドレス41に示すように、宛先アドレス41には、回線劣化通知パケットおよび回線復旧通知パケットのいずれも、送信元の装置Ni(i=1〜8)以外のすべての装置Nj(j=1〜8、かつ、j≠i)に対して放送形式で送信している旨を示す「Broadcast Address」(ブロードキャスト・アドレス)が設定されており、すべての装置Nj(j=1〜8、かつ、j≠i)に対して、回線品質の劣化が発生した旨あるいは回線品質が回復した旨を一斉に通知するようにしている。
【0041】
また、図3のデータ部43の通知種別43aに示すように、通知した内容が、送信元アドレス42が示す装置Ni(i=1〜8)において検知された回線品質の変化の通知が、回線品質の劣化を示す回線劣化通知であるか、回線品質の回復を示す回線復旧通知であるかを、フラグ"1"、"0"によって設定している。ただし、各装置Ni(i=1〜8)には、図1に示したように、有線回線と無線回線との2つの回線が備えられているが、本実施形態においては、前述したように、回線品質が変化する回線が無線回線である場合を例にとって示している。有線回線も含めて通知する場合は、回線品質の変化の種別以外に、回線品質の変化が発生した回線種別についても設定するようにしても良い。
【0042】
また、図3のデータ部43の通知時刻43bに示すように、回線品質の変化(すなわち回線品質の劣化や回線品質の回復)を検知した時刻を、YYYY/MM/DD HH:MM:SSの「年/月/日 時:分:秒」の形式を用いて通知するようにしている。
【0043】
回線品質の変化を検知した装置Ni(i=1〜8)から、図3に示すような回線劣化通知パケット、回線復旧通知パケットを送信することによって、該回線劣化通知パケット、該回線復旧通知パケットを受信した他の各装置Nj(j=1〜8、かつ、j≠i)においては、回線品質の変化が発生した発生箇所、回線品質の変化の種別、回線品質の変化の発生時刻を認識することが可能になる。
【0044】
次に、監視対象の端末装置が使用する無線回線に回線品質の変化が発生した場合の動作について、装置N3−装置N4の間の無線回線WL34において回線品質の劣化が発生した場合を例にとって、図4を用いて、回線劣化通知パケットの通知方向を具体的に説明する。図4は、図1の端末装置監視システムの装置間の無線回線の回線品質が劣化した場合の回線劣化通知パケットの通知方向の一例を説明する説明図であり、装置N3−装置N4の間の無線回線WL34において回線品質の劣化が発生した場合を例にとって示している。
【0045】
図4の装置N3,装置N4それぞれにおいては、装置N3と装置N4との間の無線回線WL34の無線通信部における受信電界レベルを測定して、回線品質の劣化の有無を判定するための電界レベルとしてあらかじめ定めた回線劣化電界閾値よりも低下したか否かを監視している。装置N3および装置N4それぞれにおいて、測定した受信電界レベルが前記回線劣化電界閾値よりも低下したことを検知すると、装置N3および装置N4それぞれは、装置N3と装置N4との間の無線回線WL34の回線品質が劣化したものと判定する。
【0046】
装置N3および装置N4それぞれは、無線回線WL34の回線品質の劣化の判定結果に基づいて、当該無線回線WL34の使用を中止するとともに、無線回線WL34の回線品質の劣化が発生した旨を示す図3のような回線劣化通知パケットを作成して、他の装置N1,N2,N5,N6,N7,N8に対して、装置N3,装置N4それぞれから放送形式で送信する動作が起動される。
【0047】
ここで、装置N3,装置N4それぞれは、図4に示すように、回線品質が劣化した無線回線WL34とは逆方向に回線劣化通知パケットを送信する動作を行う。すなわち、当該無線回線WL34の上り方向に位置する装置N3は、回線品質が劣化した無線回線WL34とは逆方向の上り方向に存在している装置N1および装置N2に対して回線劣化通知パケットを送信し、一方、当該無線回線WL34の下り方向に位置する装置N4は、回線品質が劣化した無線回線WL34とは逆方向の下り方向に存在している装置N5,装置N6,装置N7および装置N8に対して回線劣化通知パケットを送信する。
【0048】
その結果、例えば、回線劣化通知パケットの送信元の装置N3の上り方向に位置する装置N2においては、該回線劣化通知パケットを正常な有線回線W23の方向(すなわち下り方向)から受信し、また、回線劣化通知パケットの送信元の装置N3の上り方向に位置する装置N1においても、該回線劣化通知パケットを正常な無線回線WL12の方向(すなわち下り方向)から受信するので、装置N1,N2それぞれにおいて、装置N3の無線回線WL34において回線品質の劣化が発生したことを確実に認識することができる。
【0049】
而して、無線回線WL34の回線品質の劣化を検知した装置N3を含め、装置N1,N2,N3それぞれは、それぞれのTRAP送信先アドレス/方向/劣化通知元テーブル101,102,103の劣化通知元装置131,132,133に、下り方向のサーバA2に向かう通信ルートに存在する装置N3の無線回線WL34に回線品質が劣化している旨を設定する。
【0050】
したがって、TRAP送信先アドレス/方向/劣化通知元テーブル101,102,103の劣化通知元装置131,132,133をそれぞれ参照する装置N1,N2,N3においては、装置N1,N2,N3それぞれから状況変化通知用のTRAPパケットを下り方向のサーバA2に対して送信する動作は中止され、上り方向のサーバA1に対してのみ送信することになる。
【0051】
さらに、装置N1,N2,N3それぞれにおいては、回線劣化通知パケットのデータ部43の通知時刻43bに設定されている通知時刻(無線回線WL34の回線品質の劣化が検知された時刻)と、送信TRAPテーブル301,302,303の時刻321,322,323に設定されている送信TRAPパケットの送信時刻それぞれとを比較する。比較結果に基づいて、通知時刻43bに設定されている時刻以降の時刻に送信した下り方向のサーバA2向けのTRAPパケットはサーバA2に通知することができなかったものと判定し、通知時刻43bに設定されている時刻よりも前の時刻に送信したサーバA2向けのTRAPパケットまでがサーバA2に通知することができたものと判定する。
【0052】
したがって、装置N1,N2,N3それぞれにおいては、無線回線WL34が復旧した旨を示す回線復旧通知パケットを受信して、送信動作を再開する際に、サーバA2に対して通知することができなかったと判定した未送信のTRAPパケットからサーバA2に対して再送することを可能にするために、正常に送信済みのTRAPパケットの最終のTRAP Sequence IDを取得して保存する、次のような処理を行う。すなわち、装置N1,N2,N3それぞれにおいては、通知時刻43bに設定されている通知時刻の直前の時刻に送信していたTRAPパケットのTRAP Sequence IDを、送信TRAPテーブル301,302,303のTRAP Sequence ID311,312,313それぞれから取得して、送信済みTRAP Sequence ID管理テーブル201,202,203のサーバA2向けのTRAP Sequence ID221,222,223それぞれに設定する。
【0053】
また、回線品質が劣化した無線回線WL34の下り方向に存在する装置N4から回線劣化通知パケットを受信した装置N5,N6,N7,N8それぞれにおいても、回線品質の劣化を検知した装置N4を含め、同様の動作を行う。装置N5,N6,N7,N8それぞれにおいては、まず、それぞれのTRAP送信先アドレス/方向/劣化通知元テーブル104,105,106,107,108の劣化通知元装置134,135,136,137,138それぞれに、上り方向のサーバA1に向かう通信ルートに存在する装置N4の無線回線WL34に回線品質が劣化している旨を設定する。
【0054】
したがって、TRAP送信先アドレス/方向/劣化通知元テーブル104,105,106,107,108の劣化通知元装置134,135,136,137,138をそれぞれ参照する装置N4,N5,N6,N7,N8においては、装置N4,N5,N6,N7,N8それぞれから状況変化通知用のTRAPパケットを上り方向のサーバA1に対して送信する動作は中止され、下り方向のサーバA2に対してのみ送信することになる。
【0055】
さらに、装置N4,N5,N6,N7,N8それぞれにおいては、回線劣化通知パケットのデータ部43の通知時刻43bに設定されている通知時刻(無線回線WL34の回線品質の劣化が検知された時刻)と、送信TRAPテーブル304,305,306,307,308の時刻324,325,326,327,328それぞれに設定されている送信TRAPパケットの送信時刻それぞれとを比較する。比較結果に基づいて、通知時刻43bに設定されている時刻以降の時刻に送信した上り方向のサーバA1向けのTRAPパケットはサーバA1に通知することができなかったものと判定し、通知時刻43bに設定されている時刻よりも前の時刻に送信したサーバA1向けのTRAPパケットまでがサーバA1に通知することができたものと判定する。
【0056】
したがって、装置N4,N5,N6,N7,N8それぞれにおいては、無線回線WL34が復旧した旨を示す回線復旧通知パケットを受信して、送信動作を再開する際に、サーバA1に対して通知することができなかったと判定した未送信のTRAPパケットからサーバA1に対して再送することを可能にするために、正常に送信済みのTRAPパケットの最終のTRAP Sequence IDを取得して保存する、次のような処理を行う。すなわち、装置N4,N5,N6,N7,N8それぞれにおいては、通知時刻43bに設定されている通知時刻の直前の時刻に送信していたTRAPパケットのTRAP Sequence IDを、送信TRAPテーブル304,305,306,307,308のTRAP Sequence ID314,315,316,317,318それぞれから取得して、送信済みTRAP Sequence ID管理テーブル204,205,206,207,208のサーバA1向けのTRAP Sequence ID224,225,226,227,228それぞれに設定する。
【0057】
かくのごとく、例えば無線回線WL34に回線品質の劣化が発生した際には、サーバA1,A2からの要求や指示を受けることなく、各装置N1〜N8からサーバA1,A2向けのTRAPパケットを送信する動作について、回線劣化通知パケットを受信した方向に対するTRAPパケットの送信動作を、すなわち、回線劣化箇所の無線回線WL34を通るルートのTRAPパケットの送信動作を中止する。さらに、回線品質の劣化発生時刻以降に送信した送信TRAPパケットを保存している。したがって、サーバA1,A2におけるTRAPパケットの受信ロスを確実に防止することができる。
【0058】
次に、各装置N1〜N8が、無線回線の回線品質の劣化が発生した以降において、当該無線回線の回線品質が回復したことを確認し、中止していたTRAPパケットの送信を再開するまでの動作について、装置N3−装置N4の間の無線回線WL34の回線品質が回復した場合を例にとって、図5を用いて説明する。図5は、図1の端末装置監視システムの装置間の無線回線の劣化していた回線品質が回復した場合の回線復旧通知パケットの通知方向の一例を説明する説明図であり、装置N3−装置N4の間の無線回線WL34において発生していた回線品質の劣化が回復した場合を例にとって示している。
【0059】
図5の装置N3,装置N4それぞれにおいては、装置N3と装置N4との間の無線回線WL34の無線通信部における受信電界レベルを測定しているが、回線品質の劣化の有無を判定するための電界レベルとしてあらかじめ定めた回線劣化電界閾値よりも低下していた状態から、回線品質が正常な状態に回復したことを判定するための電界レベルとしてあらかじめ定めた回線復旧電界閾値以上に達したことを検知すると、装置N3および装置N4それぞれは、装置N3と装置N4との間の無線回線WL34の回線品質の劣化状態が解消し、正常な回線品質に回復したものと判定する。
【0060】
装置N3および装置N4それぞれは、無線回線WL34の回線品質が回復したとの判定結果に基づいて、当該無線回線WL34の使用を再開するとともに、回線品質が劣化していた無線回線WL34が回復した旨を示す図3のような回線復旧通知パケットを作成して、他の装置N1,N2,N5,N6,N7,N8に対して、装置N3,装置N4それぞれから放送形式で送信する動作が起動される。
【0061】
ここで、装置N3,装置N4それぞれは、図5に示すように、回線劣化通知パケットを送信していた方向と同じ方向に、すなわち、回線品質が回復した無線回線WL34とは逆方向に、回線復旧通知パケットを送信する。すなわち、当該無線回線WL34の上り方向に位置する装置N3は、回線品質が回復した無線回線WL34とは逆方向の上り方向に存在している装置N1および装置N2に対して回線復旧通知パケットを送信し、一方、当該無線回線WL34の下り方向に位置する装置N4は、回線品質が回復した無線回線WL34とは逆方向の下り方向に存在している装置N5,装置N6,装置N7および装置N8に対して回線復旧通知パケットを送信する。
【0062】
その結果、例えば、回線復旧通知パケットの送信元の装置N3の上り方向に位置する装置N2においては、該回線復旧通知パケットを正常な有線回線W23の方向(すなわち下り方向)から受信し、また、回線復旧通知パケットの送信元の装置N3の上り方向に位置する装置N1においても、該回線復旧通知パケットを正常な無線回線WL12の方向(すなわち下り方向)から受信するので、装置N1,N2それぞれにおいて、装置N3の無線回線WL34において回線品質が回復したことを確実に認識することができる。
【0063】
而して、無線回線WL34の回線品質の回復を検知した装置N3を含め、装置N1,N2,N3それぞれは、それぞれのTRAP送信先アドレス/方向/劣化通知元テーブル101,102,103の劣化通知元装置131,132,133それぞれに設定されていた、下り方向のサーバA2に向かう通信ルートに存在する装置N3の無線回線WL34の回線品質が劣化している旨の設定を消去し、装置N3の無線回線WL34の回線品質が正常な状態に回復している状態に切り替える。
【0064】
したがって、TRAP送信先アドレス/方向/劣化通知元テーブル101,102,103の劣化通知元装置131,132,133をそれぞれ参照する装置N1,N2,N3においては、装置N1,N2,N3それぞれから状況変化通知用のTRAPパケットを下り方向のサーバA2に対して送信する動作が再開され、上り方向のサーバA1のみならず、下り方向のサーバA2に対しても送信することになる。
【0065】
さらに、装置N1,N2,N3それぞれにおいては、無線回線WL34の回線品質の劣化が発生した時点以降に送信しようとしていた状況変化通知用のTRAPパケットを再送するために、送信済みTRAPのSequense ID管理テーブル201,202,203のサーバA2向けのTRAP Sequence ID221,222,223それぞれに設定されているTRAP Sequence IDを参照して、サーバA2向けに正常に送信済みであった最終のTRAPパケットのTRAP Sequence IDを取得する。
【0066】
装置N1,N2,N3それぞれは、取得したTRAP Sequence IDを用いて、送信TRAPテーブル301,302,303のTRAP Sequence ID311,312,313それぞれを検索することによって、再送すべきTRAP Sequence ID以降のTRAPパケットを、TRAP内容331,332,333それぞれから取り出して、順次、下り方向のサーバA2に向けて再送する。
【0067】
また、回線品質が回復した無線回線WL34の下り方向に存在する装置N4から回線復旧通知パケットを受信した装置N5,N6,N7,N8それぞれにおいても、回線品質の回復を検知した装置N4を含め、同様の動作を行う。装置N5,N6,N7,N8それぞれにおいては、まず、それぞれのTRAP送信先アドレス/方向/劣化通知元テーブル104,105,106,107,108の劣化通知元装置134,135,136,137,138それぞれに設定されていた、上り方向のサーバA1に向かう通信ルートに存在する装置N4の無線回線WL34の回線品質が劣化している旨の設定を消去し、装置N3の無線回線WL34の回線品質が正常な状態に回復している状態に切り替える。
【0068】
したがって、TRAP送信先アドレス/方向/劣化通知元テーブル104,105,106,107,108の劣化通知元装置134,135,136,137,138をそれぞれ参照する装置N4,N5,N6,N7,N8においては、装置N4,N5,N6,N7,N8それぞれから状況変化通知用のTRAPパケットを上り方向のサーバA1に対して送信する動作が再開され、下り方向のサーバA2のみならず、上り方向のサーバA1に対しても送信することになる。
【0069】
さらに、装置N4,N5,N6,N7,N8それぞれにおいては、無線回線WL34の回線品質の劣化が発生した時点以降に送信しようとしていた状況変化通知用のTRAPパケットを再送するために、送信済みTRAPのSequense ID管理テーブル204,205,206,207,208のサーバA1向けのTRAP Sequence ID224,225,226,227,228それぞれに設定されているTRAP Sequence IDを参照して、サーバA1向けに正常に送信済みであった最終のTRAPパケットのTRAP Sequence IDを取得する。
【0070】
装置N4,N5,N6,N7,N8それぞれは、取得したTRAP Sequence IDを用いて、送信TRAPテーブル304,305,306,307,308のTRAP Sequence ID314,315,316,317,318それぞれを検索することによって、再送すべきTRAP Sequence ID以降のTRAPパケットを、TRAP内容334,335,336,337,338それぞれから取り出して、順次、上り方向のサーバA1に向けて再送する。
【0071】
かくのごとく、各装置N1〜N8は、無線回線WL34の回線品質の劣化状態が正常な状態に回復した際に、サーバA1,A2からの要求や指示を受けることなく、各装置N1〜N8からのサーバA1,A2向けのTRAPパケットの送信動作について、過去に回線劣化通知パケットを受信した方向と同じ方向から送信されてくる回線復旧通知パケットを受信して、該回線復旧通知パケットを受信した方向に対するTRAPパケットの送信動作を再開する。すなわち、回線品質が正常な状態に回復した無線回線WL34を通るルートのTRAPパケットの送信動作を再開する。而して、サーバA1,A2双方へのTRAPパケットの送信動作を行うことができるようになるが、さらに、保存しておいた送信TRAPパケットを再送する動作を行うこともできるので、サーバA1,A2においては、回線品質が劣化していたために発生していた各装置N1〜N8の監視不能時間における状況変化に関する情報についても補完することが可能である。
【0072】
なお、図1に示す端末装置監視システムの各装置Ni(i=1〜8)は、前述のような回線劣化通知パケット、回線復旧通知パケット以外にも、互いに隣接する装置N(i−1),N(i+1)それぞれのTRAP送信先アドレス/方向/劣化通知元テーブル10jに設定されている情報を定期的に取得して、隣接装置NN(i−1),N(i+1)が設定している回線の品質劣化情報を確認することが可能である。つまり、各装置Ni(i=1〜8)において、回線劣化通知パケットや回線復旧通知パケットを受信することができなかった場合があったとしても、隣接装置から回線の品質劣化情報を取得することによって、状況変化通知用のTRAPパケットのサーバA1,A2向けの送信可否を判別することができる。
【0073】
例えば、次のような回線確認用パケットを用いるようにしても良い。各装置Niは、あらかじめ定めた時間周期ごとに、定期的に、自装置NiのTRAP送信先アドレス/方向/劣化通知元テーブル10iの劣化通知元装置13iに設定されている回線品質の状態(回線品質の劣化箇所の有無)の情報を含む回線確認用パケットを、IPパケットを用いて作成して、隣接する装置N(i−1)、装置N(i+1)に対して送信する。なお、回線確認用パケットは、定期的に送信するのみならず、隣接装置からの要求時に(例えば回線確認用パケットが送信されてきた際に)、その応答として当該隣接装置に対して送信することも可能である。
【0074】
回線確認用パケットを受信した隣接の装置N(i−1)、装置N(i+1)それぞれは、該回線確認用パケットに設定されている回線劣化箇所を示す情報、および、反対側の隣接装置N(i−2)、装置N(i+2)からの回線確認用パケットに設定されている回線劣化箇所を示す情報に基づいて、それぞれの装置N(i−1)、装置N(i+1)のTRAP送信先アドレス/方向/劣化通知元テーブル10(i−1),10(i+1)の劣化通知元装置13(i−1),13(i+1)の設定内容を更新するようにし、状況変化通知用のTRAPパケットの送信の中止/再開を制御する。
【0075】
さらに、装置Niからの回線確認用パケットを受信した隣接する装置N(i−1)、装置N(i+1)それぞれは、当該周期において、自装置N(i−1)、装置N(i+1)それぞれから隣接装置に対して回線確認用パケットをまだ送信していなかった場合には、装置Niからの回線確認用パケットの受信を契機にして、自装置N(i−1),N(i+1)それぞれのTRAP送信先アドレス/方向/劣化通知元テーブル10(i−1),10(i+1)の劣化通知元装置13(i−1),13(i+1)それぞれに設定されている回線品質の状態(回線品質の劣化箇所の有無)の情報を含む回線確認用パケットを作成して、それぞれに隣接する装置N(i−2)、装置Niおよび装置Ni、装置N(i+2)それぞれに対して転送する。
【0076】
かかる動作を順次繰り返すことにより、各装置Ni(i=1〜8)は、自装置Niのみならず、他の装置Nj(j=1〜8、かつ、j≠i)それぞれのTRAP送信先アドレス/方向/劣化通知元テーブル10jの劣化通知元装置13jに設定されている情報を取得することができ、他の装置Njが使用している回線の品質劣化情報を確認することができる。
【0077】
図6は、図1に示す端末装置監視システムの各装置Ni(i=1〜8)が隣接する装置N(i−1),N(i+1)に対して定期的に転送する回線確認用パケットのフォーマットの一例を説明するためのテーブルである。図6に示すように、回線確認用パケットは、宛先アドレス51、送信元アドレス52、および、データ部53を少なくとも含んで構成される。宛先アドレス51には、当該パケットを送信する宛先となる隣接装置のIPアドレスを設定する。送信元アドレス52には、当該パケットの送信元の自装置のIPアドレスを設定する。データ部53は、回線の品質状態を設定する部分であり、回線品質の劣化が発生している場合に、回線品質劣化箇所に関する情報を設定する。
【0078】
なお、データ部53は、劣化方向情報(1)531、劣化方向情報(2)532、…、劣化方向情報(n)53nと、回線品質の劣化箇所の個数に応じて回線品質劣化箇所に関する情報を複数設定することができるフィールドを有している。劣化方向情報(1)531、劣化方向情報(2)532、…、劣化方向情報(n)53nのそれぞれは、品質劣化が発生している回線方向の回線種別を示す回線方向(1)5311、回線方向(2)5321、…、回線方向(n)53n1、および、当該回線品質の劣化を通知してきた装置を示す通知元装置(1)5312、通知元装置(2)5322、…、通知元装置(n)53n2の各フィールドを少なくとも含んで構成されている。
【0079】
次に、装置N1,N2,…,N8が互いに隣接する装置との間で、回線確認用パケットを送受信し合う様子を、各装置N1,N2,…,N8それぞれが使用する無線回線WL12,WL34,WL56,WL78の品質劣化の確認を行う場合について、図7および図8を用いて説明する。図7は、図1の端末装置監視システムの装置間の無線回線の回線品質の確認を行う回線確認用パケットの送受信動作の一例を説明する説明図であり、装置N3−装置N4の間の無線回線WL34において回線品質の劣化が発生している場合の送受信動作の例を示している。図8は、図1の端末装置監視システムの装置間の無線回線の回線品質の確認を行う回線確認用パケットの送受信動作の他の例を説明する説明図であり、装置N3−装置N4の間の無線回線WL34において発生していた回線品質の劣化が正常な状態に回復した場合の送受信動作の例を示している。
【0080】
図7および図8に示すように、装置N2,N3,…,N7の各装置は、あらかじめ定めた時間間隔で、定期的に、上り方向と下り方向との双方に隣接する装置との間で、無線回線の品質劣化が発生しているか否かを確認するための回線確認用パケットを送受信し合っている。なお、上り方向の先頭に位置する装置N1、下り方向の最後尾に位置する装置N8については、それぞれに隣接する装置N2、装置N7の1個の装置との間で、回線確認用パケットを送受信し合っている。
【0081】
ここで、図7においては、装置N3−装置N4の間の無線回線WL34において回線品質の劣化が発生しているので、装置N3と装置N4との間は、回線確認用パケットの送受信を正常に行うことができない。したがって、装置N3は、上り方向の装置N2との間のみで回線確認用パケットを正常に送受信することができる状態になっている。また、装置N4は、下り方向の装置N5との間のみで回線確認用パケットを正常に送受信することができる状態になっている。
【0082】
かかる場合には、装置N3、装置N4は、上り方向、下り方向の両端に位置している装置N1、装置N8と同様である。すなわち、無線回線WL34の逆方向側に隣接する装置N2、装置N5それぞれから送信されて、正常に受信することができた1個の回線確認用パケットに設定されている情報に基づいて、各無線回線の品質劣化状態を確認して、それぞれの装置N3、装置N4のTRAP送信先アドレス/方向/劣化通知元テーブル103,104の劣化通知元装置133,133それぞれの設定内容を更新するようにし、状況変化通知用のTRAPパケットの送信の中止/再開を制御する。
【0083】
一方、回線品質が劣化した無線回線WL34を接続する装置N3,装置N4および両端に位置する装置N1、装置N8以外の各装置N2,N5,N6,N7においては、前述したように、両隣の隣接装置からの2個の回線確認用パケットに設定されている情報に基づいて、各無線回線の品質劣化状態を確認して、それぞれの装置N2,N5,N6,N7のTRAP送信先アドレス/方向/劣化通知元テーブル102,105,106,107の劣化通知元装置132,135,136,137それぞれの設定内容を更新するようにし、状況変化通知用のTRAPパケットの送信の中止/再開を制御する。
【0084】
また、図8に示すように、装置N3−装置N4の間の無線回線WL34において発生していた回線品質の劣化が正常な状態に回復した場合には、装置N3と装置N4との間も、回線確認用パケットの送受信を正常に行うことができる状態になる。したがって、装置N3、装置N4においても、両端に位置する装置N1、装置N8以外の他の装置と同様、両隣の隣接装置との間で回線確認用パケットを正常に送受信することができる。
【0085】
したがって、かかる場合には、装置N3、装置N4においても、他の各装置N2,N5,N6,N7と同様、両隣の隣接装置からの2個の回線確認用パケットに設定されている情報に基づいて、各無線回線の品質劣化状態を確認して、それぞれの装置N3、装置N4のTRAP送信先アドレス/方向/劣化通知元テーブル103,104の劣化通知元装置133,133それぞれの設定内容を更新するようにし、状況変化通知用のTRAPパケットの送信の中止/再開を制御する。
【0086】
かくのごとき回線確認用パケットを定期的に隣接装置間で送受信することによって、各装置Ni(i=1〜8)は、たとえ、回線劣化通知パケット、回線復旧通知パケットをロスするような場合があったとしても、回線の品質が劣化している回線品質劣化箇所を確認することができるので、自装置NiのTRAP送信先アドレス/方向/劣化通知元テーブル10iの劣化通知元装置13iの設定内容を正確な状態に更新することができ、かつ、状況変化通知用のTRAPパケットの送信動作の中止や再開を行うことができる。
【0087】
なお、前述した図4、図5および図7、図8においては、装置N3−装置N4の間の無線回線WL34の1箇所のみに回線品質の劣化が発生し、残りの無線回線は正常な状態にある場合について説明した。しかし、例えば、図9や図10に示すように、複数の無線回線に回線品質の劣化が発生して、回線劣化通知パケットや回線復旧パケットの送受信ルートが分断されるような状態になっても、各装置Ni(i=1〜8)は、隣接装置間で送受信する回線確認用パケットを併用することによって各無線回線の回線品質の状態を確認することができる。したがって、かくのごとく、複数の無線回線に回線品質の劣化が発生して、回線劣化通知パケットや回線復旧パケットの通知が届かない場合であっても、回線確認用パケットを併用することによって、各装置Ni(i=1〜8)は、サーバA1,A2向けに送信する状況変化通知用のTRAPパケットの送信中止や送信再開の動作を適宜実施することができる。
【0088】
図9は、図1の端末装置監視システムの装置間の複数の無線回線の回線品質が劣化した場合に回線劣化通知パケットの通知が分断される様子を説明する説明図であり、図10は、図1の端末装置監視システムの装置間の無線回線の劣化していた回線品質が回復した場合に送信する回線復旧通知パケットの通知が分断される様子を説明する説明図である。
【0089】
図9においては、装置N3−装置N4の間の無線回線WL34の回線品質の劣化が発生していた状態で、さらに、装置N7−装置N8の間の無線回線WL78の回線品質の劣化が発生した場合の回線劣化通知パケットの送信動作を示している。図9に示すように、無線回線WL78の回線品質の劣化を検知した装置N7において、当該無線回線WL78とは逆方向の上り方向に放送形式で回線劣化通知パケットを送信する動作を行うが、回線品質の劣化が既に発生している無線回線WL34を介して送信することはできない。
【0090】
したがって、たとえ、回線品質の劣化が検知された無線回線WL78とは逆方向に装置N7から回線劣化通知パケットを送信しても、送信した回線劣化通知パケットは、上り方向の無線回線WL34の手前までに位置する装置N6,N5,N4に対しては通知することができるが、無線回線WL34の先の上り方向に位置している装置N3,N2,N1に対して通知することができず、回線劣化通知パケットの通知動作が分断されることになる。
【0091】
また、図10においては、図9の状態にあった場合において、まだ、装置N3−装置N4の間の無線回線WL34の回線品質の劣化状態が継続している状況下で、回線品質の劣化が発生していた装置N7−装置N8の間の無線回線WL78の回線品質が正常な状態に回復したので、その旨を示す回線復旧通知パケットの送信動作を示している。図10に示すように、無線回線WL78の回線品質の回復を検知した装置N7において、先に回線劣化通知パケットを送信した方向と同一の方向である当該無線回線WL78とは逆方向の上り方向に放送形式で回線復旧通知パケットを送信する動作を行うが、回線品質の劣化が継続している無線回線WL34を介して送信することはできない。
【0092】
したがって、たとえ、先に回線劣化通知パケットを送信した方向と同一の方向に装置N7から回線復旧通知パケットを送信しても、送信した回線復旧通知パケットは、上り方向の無線回線WL34の手前までに位置する装置N6,N5,N4に対しては通知することができるが、無線回線WL34の先の上り方向に位置している装置N3,N2,N1に対して通知することができず、回線復旧通知パケットの通知動作が分断されることになる。
【0093】
かくのごとく、複数の回線に回線品質の劣化が発生して、回線劣化通知パケットや回線復旧通知パケットの送信動作が分断されるような場合であっても、隣接装置間で定期的に送受信している回線確認用パケットを併用することによって、各装置Ni(i=1〜8)は、各回線の回線品質の状態を確認することができ、サーバA1,A2向けのTRAPパケットの送信中止や送信再開を的確に実施することができる。
【0094】
(本実施形態の動作の説明)
次に、本発明の一例として図1に例示した端末装置監視システムの具体的な動作について、フローチャートを用いてさらに詳細に説明する。
【0095】
まず、図1の端末装置監視システムの各装置N1〜N8における通常時の動作シーケンスの一例を、図11のフローチャートを用いて説明する。図11は、図1の端末装置監視システムの各装置N1〜N8における通常時の動作の一例を説明するためのフローチャートである。なお、以下の説明においては、説明を理解し易くするために、各装置N1〜N8のうち、装置N3の場合を例にとって説明する。
【0096】
装置N3内において、状況変化を示す何らかのイベントが発生した場合(ステップS1)、当該装置N3内の送信TRAPテーブル303を参照して、次に送信すべきシーケンス番号を示すTRAP Sequence IDを取得して、当該TRAP Sequence IDを送信TRAPテーブル303のTRAP Sequence ID313に設定するとともに、現在時刻を時刻323に設定し、発生したイベントの内容を、TRAP内容333に設定登録する(ステップS2)。
【0097】
次いで、当該装置N3内のTRAP送信先アドレス/方向/劣化通知先テーブル103を参照して、SNMP Manager(SNMPマネジャ)として登録されているサーバA1,A2のIPアドレスを送信先IPアドレス113から取得して、取得した当該送信先IPアドレスのサーバA1,A2向けの状況変化通知用のTRAPパケットを作成して上り方向と下り方向との双方に送信する(ステップS3)。
【0098】
しかる後、送信済みのTRAPパケットの最終シーケンス番号を格納するために、当該装置N3内の送信済みTRAP Sequence ID管理テーブル201の送信先IPアドレス213に対応するTRAP Sequence ID223に設定されているTRAP Sequence IDを、ステップS3において送信したTRAPパケットのTRAP Sequence IDのシーケンス番号に更新する(ステップS4)。
【0099】
次に、図3ないし図5において説明した回線劣化通知パケット、回線復旧通知パケットの送信シーケンスの一例を、図12のフローチャートを用いて説明する。図12は、図1の端末装置監視システムの各装置N1〜N8における回線劣化通知パケット、回線復旧通知パケットの送信動作の一例を説明するためのフローチャートである。なお、以下の説明においては、説明を理解し易くするために、各装置N1〜N8のうち、装置N3−装置N4の間の無線回線WL34の回線品質が劣化し、しかる後、回線品質が正常な状態に回復した場合の装置N3における動作を例にとって説明する。
【0100】
また、各装置N1〜N8においては、前述したように、それぞれが使用する無線回線の電界レベルをあらかじめ定めた周期で定期的に測定し、かつ、測定した電界レベルに基づいて、回線品質の劣化や回線品質の復旧を検知するために、回線品質の劣化を判定するための電界レベルとしてあらかじめ定めた回線劣化電界閾値、回線品質が正常な状態に回復したことを判定するための電界レベルとしてあらかじめ定めた回線復旧電界閾値を、あらかじめ設定登録している。
【0101】
図12のフローチャートにおいて、装置N3においては、一定周期ごとに、当該装置N3が使用する無線回線WL34の現在の受信電界レベルを定期的に取得している(ステップS11)。このとき、現時点では、回線劣化通知パケットを既に他の装置に送信していて、回線品質の回復を監視するための状態すなわち回線劣化通知済みの状態になっているか否かを確認する(ステップS12)。
【0102】
回線劣化通知済みの状態になっていなかった場合は(ステップS12のNO)、現時点は、無線回線WL34の回線品質の劣化の発生を監視している状態であるので、取得した受信電界レベルと前記回線劣化電界閾値とを比較する(ステップS13)。受信電界レベルが回線劣化電界閾値よりも低下していなかった場合には(ステップS13のNO)、無線回線WL34の回線品質は正常な状態であるので、何もしないで終了し、次の受信電界レベルの測定時刻まで待ち合わせる。
【0103】
一方、受信電界レベルが回線劣化電界閾値よりも低下していた場合には(ステップS13のYES)、無線回線WL34の回線品質が劣化して、パケットの送受信ができない状態にあるものと判定して、図3に示したような回線劣化通知パケットを作成して、当該無線回線WL34とは逆方向の上り方向に位置している各装置N1,N2に対して送信する(ステップS14)。しかる後、当該無線回線WL34を回線劣化状態に設定して、TRAP送信先アドレス/方向/劣化通知元テーブル103、送信済みTRAP Sequence ID管理テーブル203を更新する(ステップS15)。
【0104】
また、ステップS12において、回線劣化通知済みの状態になっていた場合は(ステップS12のYES)、現時点は、回線品質の劣化が発生していた無線回線WL34の回線品質が正常な状態に回復しているか否かを監視している状態であるので、取得した受信電界レベルと前記回線復旧電界閾値とを比較する(ステップS16)。受信電界レベルが回線復旧電界閾値以上に達していなかった場合には(ステップS16のNO)、無線回線WL34はまだ正常な状態に回復していない状態にあるので、何もしないで終了し、次の受信電界レベルの測定時刻まで待ち合わせる。
【0105】
一方、受信電界レベルが回線復旧電界閾値以上に達していた場合には(ステップS16のYES)、無線回線WL34の回線品質が正常な状態に回復して、パケットの送受信を再開することができる状態にあるものと判定して、図3に示したような回線復旧通知パケットを作成して、先に回線劣化通知パケットを送信した方向と同一の方向に、すなわち、当該無線回線WL34とは逆方向の上り方向に位置している各装置N1,N2に対して送信する(ステップS17)。しかる後、当該無線回線WL34の回線劣化状態を解除して、送信済みTRAP Sequence ID管理テーブル203の設定内容に基づいて、送信TRAPテーブル303を参照して、保存しているTRAPパケットの再送動作を開始するとともに、TRAP送信先アドレス/方向/劣化通知元テーブル103、送信済みTRAP Sequence ID管理テーブル203を更新する(ステップS18)。
【0106】
かくのごとく、各装置N1〜N8は、各装置N1〜N8それぞれが使用する無線回線の回線品質の劣化を検知した場合には、回線劣化通知パケットを他の装置に対して送信し、一方、各装置N1〜N8それぞれが使用する無線回線の回線品質が劣化状態から正常な状態に回復したことを検知した場合には、回線復旧通知パケットを他の装置に対して送信することになる。
【0107】
次に、装置Ni(i=1〜8)が他の装置Nj(j=1〜8。j≠i)から回線劣化通知パケットを受信した場合の動作シーケンスの一例を、図13のフローチャートを用いて説明する。図13は、図1の端末装置監視システムの各装置N1〜N8における回線劣化通知パケット受信時の動作の一例を説明するためのフローチャートである。なお、以下の説明においては、説明を理解し易くするために、各装置N1〜N8のうち、装置N2が、装置N3からの回線劣化通知パケットを受信した場合を例にとって説明する。
【0108】
図13のフローチャートにおいて、装置N2においては、装置N3からの回線劣化通知パケットを受信すると(ステップS21)、まず、当該回線劣化通知パケットを受信した受信ポートを確認する(ステップS22)。該受信ポートを確認することによって、当該回線劣化通知パケットを受信した受信方向を確認することができる。本実施形態の場合、装置N3から回線劣化通知パケットを送信してきているので、当該回線劣化通知パケットの受信方向は、下り方向からであることが確認され、該下り方向には、TRAPパケットの送信先となっているサーバA2が存在していることが分かる。
【0109】
次いで、当該回線劣化通知パケットを受信した受信ポートすなわち受信方向に基づいて、当該装置N2におけるTRAP送信先アドレス/方向/劣化通知元テーブル102の送信先IPアドレス112からTRAPパケットの送信先となっているサーバの送信先IPアドレス(本実施形態の場合は、装置N3側にあるサーバA2のIPアドレス)を検索するとともに、TRAP送信先アドレス/方向/劣化通知元テーブル102の方向122、劣化通知元装置132に劣化発生情報を設定する(ステップS23)。
【0110】
さらに、受信した回線劣化通知パケットに含まれている通知時刻情報(無線回線WL34の回線品質の劣化が発生した時刻と同じ時刻)を取り出す(ステップS24)。しかる後、取り出した通知時刻情報が示す回線劣化発生時刻の直前に送信していたTRAPパケットを、送信TRAPテーブル302の時刻322に基づいて検索する。次いで、検索したTRAPパケットを、回線品質の劣化発生前において最終に送信済みとなったTRAPパケットとして特定して、該TRAPパケットのTRAP Sequence IDを送信TRAPテーブル302のTRAP Sequence ID312から取得する(ステップS25)。
【0111】
さらに、ステップS23にて検索された送信元IPアドレスとステップS25にて取得した最終送信済みTRAPパケットのTRAP Sequence IDとに基づいて、送信済みTRAP Sequence ID管理テーブル202のTRAP Sequence ID222を更新する(ステップS27)。
【0112】
しかる後、ステップS23にて検索された送信先IPアドレス(本実施形態の場合は、装置N3側にあるサーバA2の送信先IPアドレス)に対してのTRAPパケットの送信動作を停止する(ステップS27)。
【0113】
かくのごとく、各装置N1〜N8は、他の装置N1〜N8から無線回線の回線品質の劣化を示す回線劣化通知パケットを受信した場合に、当該無線回線を通るルートのTRAPパケットの送信動作を中止すると同時に、当該無線回線の回線品質が正常な状態に回復した際に、次に再送を開始すべきTRAPパケットのシーケンス番号であるTRAP Sequence IDを保存した状態に設定することができる。
【0114】
次に、装置Ni(i=1〜8)が他の装置Nj(j=1〜8。j≠i)から回線復旧通知パケットを受信した場合の動作シーケンスの一例を、図14のフローチャートを用いて説明する。図14は、図1の端末装置監視システムの各装置N1〜N8における回線復旧通知パケット受信時の動作の一例を説明するためのフローチャートである。なお、以下の説明においては、説明を理解し易くするために、各装置N1〜N8のうち、装置N2が、装置N3からの回線復旧通知パケットを受信した場合を例にとって説明する。
【0115】
図14のフローチャートにおいて、装置N2においては、装置N3からの回線復旧通知パケットを受信すると(ステップS31)、回線劣化通知パケットの受信時と同様、まず、当該回線復旧通知パケットを受信した受信ポートを確認する(ステップS32)。該受信ポートを確認することによって、当該回線劣化通知パケットを受信した受信方向を確認することができる。本実施形態の場合、装置N3から回線復旧通知パケットを送信されてきているので、当該回線復旧通知パケットの受信方向は、下り方向からであることが確認され、該下り方向には、TRAPパケットの送信先となっているサーバA2が存在していることが分かる。
【0116】
次いで、当該回線復旧通知パケットを受信した受信ポートすなわち受信方向に基づいて、当該装置N2におけるTRAP送信先アドレス/方向/劣化通知元テーブル102の送信先IPアドレス112からTRAPパケットの送信先となっているサーバの送信先IPアドレス(本実施形態の場合は、装置N3側にあるサーバA2の送信先IPアドレス)を検索するとともに、TRAP送信先アドレス/方向/劣化通知元テーブル102の方向122、劣化通知元装置132に設定されていた劣化発生情報を消去する(ステップS33)。
【0117】
さらに、ステップS33にて検索された送信元IPアドレス(本実施形態の場合は、装置N3側にあるサーバA2の送信先IPアドレス)に基づいて、送信済みTRAP Sequence ID管理テーブル202のTRAP Sequence ID222から、当該受信方向に位置している送信先IPアドレス(本実施形態の場合は、装置N3側にあるサーバA2の送信先IPアドレス)に対して回線品質の劣化発生前において最終に送信済みとなったTRAPパケットのTRAP Sequence IDを、当該装置N2における送信済みTRAP Sequence ID管理テーブル202のTRAP Sequence ID222から検索する(ステップS34)。
【0118】
しかる後、ステップS34にて検索された最終送信済みのTRAPパケットのTRAP Sequence IDに基づいて、当該装置N2における送信TRAPテーブル302を参照して、再送すべき先頭のTRAPパケットを決定して、該当するTRAP内容332に保存されている状況変化通知用の情報を取り出して、TRAPパケットを作成して、ステップS33にて検索された送信先IPアドレスが示すサーバA2に向けて下り方向のポートから送信し、以降、送信TRAPテーブル302に保存されている順番に、順次、TRAPパケットを作成してサーバA2に向けて送信する(ステップS35)。
【0119】
かくのごとく、各装置N1〜N8は、他の装置N1〜N8から無線回線の回線品質の回復を示す回線復旧通知パケットを受信した場合には、当該無線回線を通るルートのTRAPパケットの送信動作を再開すると同時に、当該無線回線の回線品質の劣化発生時に送信を保留していたTRAPパケットから順次再送することにより、TRAPパケットの抜けを防止し、サーバA1,A2において、各装置Ni(i=1〜8)の状況変化に関する情報の補完を行うことが可能になる。
【0120】
次に、装置Ni(i=1〜8)が両隣に隣接する装置N(i−1)、装置N(i+1)との間で回線確認用パケットを送受信して無線回線の劣化情報を交換し合う場合の動作シーケンスの一例を、図15のフローチャートを用いて説明する。図15は、図1の端末装置監視システムの各装置N1〜N8における回線確認用パケット送受信時の動作の一例を説明するためのフローチャートである。なお、以下の説明においては、説明を理解し易くするために、各装置N1〜N8のうち、装置N3が、隣接する装置N2、装置N4との間で図6に示す回線確認用パケットを送受信した場合を例にとって説明する。
【0121】
図15のフローチャートにおいて、装置N3においては、あらかじめ定めた時間周期に達すると、当該装置N3のTRAP送信先アドレス/方向/劣化通知元テーブル103の劣化通知元装置133に設定されている内容を参照して、図6に示したような回線確認用パケットを作成して、隣接する装置N2、装置N4に対して送信するとともに(ステップS41)、隣接する装置N2、装置N4から、応答として、回線確認用パケットが送信されてくるか否かを監視する(ステップS42)。
【0122】
隣接する装置N2、装置N4から、応答があって、回線確認用パケットを受信した場合は(ステップS42のYES)、受信した回線確認用パケットに設定されている内容に基づいて、当該装置N3のTRAP送信先アドレス/方向/劣化通知元テーブル103の劣化通知元装置133に設定されている内容を書き換える(ステップS43)。このとき、劣化通知元装置133に回線品質劣化箇所の情報が設定されていなかった状態から1個以上の回線品質劣化箇所の情報(1個以上の劣化通知元装置の情報)が新たに設定登録された状態に更新された場合は、設定登録された当該装置が位置している方向に向かうポート方向に対するTRAPパケットの送信動作を停止する。また、劣化通知元装置133に1個以上の回線品質劣化箇所の情報(1個以上の劣化通知元装置の情報)が設定されていた状態から1個も設定されていない状態に更新された場合は、今まで送信動作を停止していたポート方向に対するTRAPパケットの送信動作を再開する。
【0123】
一方、隣接する装置N2、装置N4から、応答がなく、回線確認用パケットを受信することができなかった場合は(ステップS42のNO)、応答がなかった隣接装置例えば装置N4との間の無線回線WL34に回線品質の劣化が新たに発生しているものと判定して、当該装置N3のTRAP送信先アドレス/方向/劣化通知元テーブル103の劣化通知元装置133に応答がなかった隣接装置例えば装置N4を回線品質の劣化発生元として設定登録する(ステップS44)。さらに、装置N3は、応答がなかった隣接装置例えば装置N4に向かう方向のTRAPパケットの送信動作を停止する。
【0124】
なお、隣接する装置N2、N4それぞれにおいては、装置N3から回線確認用パケットを受信した際に、当該装置N2,N4からの回線確認用パケットを隣接装置N3に対してまだ送信していなかった場合には、応答として、当該装置N2,N4における回線状態の設定情報を示す回線確認用パケットを作成して、隣接装置N3に対して送信する。ここで、該応答用の回線確認用パケットには、装置N3に向かうポートとは逆方向のポート側の方向に無線回線の劣化が発生しているか否かを示す情報(発生していた場合には、その発生箇所を示す劣化通知元装置に関する情報)を設定して送信する。
【0125】
かくのごとく、各装置N1〜N8は、あらかじめ定めた時間周期に達する都度、定期的に、隣接装置との間で、回線確認用パケットの送受信動作を行うことにより、各装置N1〜N8は、たとえ、図3に示した回線劣化通知パケットや回線復旧通知パケットの受信ロスを生じたとしても、常に、TRAPパケットの送信可否を最新の状態で保持することが可能になる。
【0126】
また、隣接装置においては、回線確認用パケットが送信されてきた装置の方向とは逆方向に回線品質の劣化が発生しているか否かを示す情報を設定した回線確認用パケットを、応答として、回線確認用パケットが送信されてきた装置に送信するようにしても良く、かかる回線確認用パケットを応答用として受信する場合には、必要とする回線方向のみの回線状態に関する情報の更新が可能となる。
【0127】
(本実施形態の効果の説明)
以上に詳細に説明したように、本実施形態においては、次のような効果が得られる。
【0128】
監視装置のサーバA1,A2においては、監視対象装置である端末装置の装置N1〜N8それぞれにおける回線劣化状態を意識する必要はなく、かつ、装置N1〜N8それぞれにおけるいずれかの回線に回線品質の劣化が発生した場合においても、サーバA1,A2が一切関わることなく、各装置N1〜N8側にて、品質劣化が発生した回線を通るルートのTRAPパケットの送信動作を確実に中止することができ、各装置N1〜N8からTRAPパケットにより送信されてくる状況変化に関する情報の受信ロスを防止することが可能である。
【0129】
また、監視装置のサーバA1,A2においては、TRAPパケットの受信方法を変えることなく、監視対象装置の装置N1〜N8側でTRAPパケットの送信動作を中止していた間の状況変化を示す情報を保存していて、回線品質が回復した際に、装置N1〜N8側におけるTRAPパケットの再送動作の自動的に起動されて、中止期間中に保存していた状況変化通知用のTRAPパケットを受け取ることができ、各装置N1〜N8の状況変化に関する情報を補完することが可能である。
【0130】
以上、本発明の好適な実施形態の構成を説明した。しかし、かかる実施形態は、本発明の単なる例示に過ぎず、何ら本発明を限定するものではないことに留意されたい。本発明の要旨を逸脱することなく、特定用途に応じて種々の変形変更が可能であることが、当業者には容易に理解できよう。
【符号の説明】
【0131】
10i TRAP送信先アドレス/方向/劣化通知元テーブル
101 TRAP送信先アドレス/方向/劣化通知元テーブル
102 TRAP送信先アドレス/方向/劣化通知元テーブル
103 TRAP送信先アドレス/方向/劣化通知元テーブル
104 TRAP送信先アドレス/方向/劣化通知元テーブル
105 TRAP送信先アドレス/方向/劣化通知元テーブル
106 TRAP送信先アドレス/方向/劣化通知元テーブル
107 TRAP送信先アドレス/方向/劣化通知元テーブル
108 TRAP送信先アドレス/方向/劣化通知元テーブル
11i 送信先IPアドレス
12i 方向
13i 劣化通知元装置
131 劣化通知元装置
132 劣化通知元装置
133 劣化通知元装置
134 劣化通知元装置
135 劣化通知元装置
136 劣化通知元装置
137 劣化通知元装置
138 劣化通知元装置
20i 送信済みTRAP Sequence ID管理テーブル
201 送信済みTRAP Sequence ID管理テーブル
202 送信済みTRAP Sequence ID管理テーブル
203 送信済みTRAP Sequence ID管理テーブル
204 送信済みTRAP Sequence ID管理テーブル
205 送信済みTRAP Sequence ID管理テーブル
206 送信済みTRAP Sequence ID管理テーブル
207 送信済みTRAP Sequence ID管理テーブル
208 送信済みTRAP Sequence ID管理テーブル
21i 送信先IPアドレス
22i TRAP Sequence ID
221 TRAP Sequence ID
222 TRAP Sequence ID
223 TRAP Sequence ID
224 TRAP Sequence ID
225 TRAP Sequence ID
226 TRAP Sequence ID
227 TRAP Sequence ID
228 TRAP Sequence ID
30i 送信TRAPテーブル
301 送信TRAPテーブル
302 送信TRAPテーブル
303 送信TRAPテーブル
304 送信TRAPテーブル
305 送信TRAPテーブル
306 送信TRAPテーブル
307 送信TRAPテーブル
308 送信TRAPテーブル
31i TRAP Sequence ID
311 TRAP Sequence ID
312 TRAP Sequence ID
313 TRAP Sequence ID
314 TRAP Sequence ID
315 TRAP Sequence ID
316 TRAP Sequence ID
317 TRAP Sequence ID
318 TRAP Sequence ID
32i 時刻
321 時刻
322 時刻
323 時刻
324 時刻
325 時刻
326 時刻
327 時刻
328 時刻
33i TRAP内容
41 宛先アドレス
42 送信元アドレス
43 データ部
43a 通知種別
43b 通知時刻
51 宛先アドレス
52 送信元アドレス
53 データ部
531 劣化方向情報(1)
532 劣化方向情報(2)
53n 劣化方向情報(n)
5311 回線方向(1)
5321 回線方向(2)
53n1 回線方向(n)
5312 通知元装置(1)
5322 通知元装置(2)
53n2 通知元装置(n)
A1 サーバ(監視サーバ)
A2 サーバ(監視サーバ)
N1 装置(端末装置)
N2 装置(端末装置)
N3 装置(端末装置)
N4 装置(端末装置)
N5 装置(端末装置)
N6 装置(端末装置)
N7 装置(端末装置)
N8 装置(端末装置)
W11 有線回線
W23 有線回線
W45 有線回線
W67 有線回線
W82 有線回線
WL12 無線回線
WL34 無線回線
WL56 無線回線
WL78 無線回線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上り方向から下り方向に順番に回線接続した1ないし複数台の端末装置それぞれの状況を監視する監視サーバを2台備え、一方の前記監視サーバを上り方向の先頭の前記端末装置に接続し、他方の前記監視サーバを下り方向の最後尾の前記端末装置に接続したIP(Internet Protocol)ネットワークからなり、前記端末装置それぞれは、当該端末装置内に状況の変化が発生した際に、SNMP(Simple Network Management Protocol)規格準拠の状況変化通知用のTRAPパケット(トラップパケット)を上り方向と下り方向とに位置する2台の前記監視サーバ双方に送信する端末装置監視システムにおいて、前記端末装置が、当該端末装置と隣接端末装置とを接続する回線の品質劣化を検知した際に、劣化検知装置として、該回線を品質劣化箇所として記憶して、該品質劣化箇所となった品質劣化回線の方向への前記TRAPパケットの送信動作を中止し、かつ、以降に発生する状況変化通知用の前記TRAPパケットを保存する動作を行うとともに、前記品質劣化回線にて品質劣化が発生した旨を示す回線劣化通知パケットを作成して、当該品質劣化回線とは逆方向に位置しているすべての前記無線装置に対して送信し、前記劣化検知装置からの前記回線劣化通知パケットを受信した前記端末装置は、前記品質劣化回線を品質劣化箇所として記憶して、前記品質劣化回線を通るルートに向かう前記TRAPパケットの送信動作を中止し、かつ、以降に発生する状況変化通知用の前記TRAPパケットを保存する動作を行うことを特徴とする端末装置監視システム。
【請求項2】
前記劣化検知装置からの前記回線劣化通知パケットを受信した前記端末装置は、以降に発生する状況変化通知用の前記TRAPパケットを保存する動作を行う際に、当該回線劣化通知パケットに含まれている前記品質劣化回線において品質劣化が発生した劣化発生時刻と当該端末装置から状況変化通知用の前記TRAPパケットを送信した送信時刻とを比較し、少なくとも、前記劣化発生時刻以降に送信していた前記TRAPパケットを、前記品質劣化回線の回線品質が正常な状態に回復した場合に再送すべきTRAPパケットとして保存することを特徴とする請求項1に記載の端末装置監視システム。
【請求項3】
前記劣化検知装置が、前記品質劣化回線の回線品質が正常な状態に回復したことを検知した際に、記憶していた前記品質劣化箇所の記憶を削除して、当該品質劣化回線の方向への前記TRAPパケットの送信動作を再開し、送信中止期間中に保存していた前記TRAPパケットの送信を行うとともに、前記品質劣化回線が正常な状態に回復した旨を示す回線復旧通知パケットを作成して、回線品質が回復した当該品質劣化回線とは逆方向に位置していて、前記回線劣化通知パケットの送信先となっていたすべての前記無線装置に対して送信し、前記劣化検知装置からの前記回線復旧通知パケットを受信した前記端末装置は、記憶していた前記品質劣化箇所の記憶を削除して、前記品質劣化回線を通るルートに向かう前記TRAPパケットの送信動作を再開し、前記回線劣化回線において品質劣化が発生した時点以降に発生した状況変化通知用の前記TRAPパケットを送信する動作を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の端末装置監視システム。
【請求項4】
前記端末装置は、当該端末装置内に記憶している前記品質劣化箇所の情報を含む回線確認用パケットを、あらかじめ定めた周期ごとに、定期的に、当該端末装置に隣接する隣接端末装置間と送受信し合い、前記隣接端末装置から受信した当該隣接端末装置の回線確認用パケットに含まれている前記品質劣化箇所の情報に基づいて、当該端末装置内に記憶している前記品質劣化箇所の情報を更新することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の端末装置監視システム。
【請求項5】
上り方向から下り方向に順番に回線接続した1ないし複数台の端末装置それぞれの状況を監視する監視サーバを2台備え、一方の前記監視サーバを上り方向の先頭の前記端末装置に接続し、他方の前記監視サーバを下り方向の最後尾の前記端末装置に接続したIP(Internet Protocol)ネットワークからなり、前記端末装置それぞれは、当該端末装置内に状況の変化が発生した際に、SNMP(Simple Network Management Protocol)規格準拠の状況変化通知用のTRAPパケット(トラップパケット)を上り方向と下り方向とに位置する2台の前記監視サーバ双方に送信する端末装置監視方法であって、前記端末装置が、当該端末装置と隣接端末装置とを接続する回線の品質劣化を検知した際に、劣化検知装置として、該回線を品質劣化箇所として記憶して、該品質劣化箇所となった品質劣化回線の方向への前記TRAPパケットの送信動作を中止し、かつ、以降に発生する状況変化通知用の前記TRAPパケットを保存する動作を行うとともに、前記品質劣化回線にて品質劣化が発生した旨を示す回線劣化通知パケットを作成して、当該品質劣化回線とは逆方向に位置しているすべての前記無線装置に対して送信し、前記劣化検知装置からの前記回線劣化通知パケットを受信した前記端末装置は、前記品質劣化回線を品質劣化箇所として記憶して、前記品質劣化回線を通るルートに向かう前記TRAPパケットの送信動作を中止し、かつ、以降に発生する状況変化通知用の前記TRAPパケットを保存する動作を行うことを特徴とする端末装置監視方法。
【請求項6】
前記劣化検知装置からの前記回線劣化通知パケットを受信した前記端末装置は、以降に発生する状況変化通知用の前記TRAPパケットを保存する動作を行う際に、当該回線劣化通知パケットに含まれている前記品質劣化回線において品質劣化が発生した劣化発生時刻と当該端末装置から状況変化通知用の前記TRAPパケットを送信した送信時刻とを比較し、少なくとも、前記劣化発生時刻以降に送信していた前記TRAPパケットを、前記品質劣化回線の回線品質が正常な状態に回復した場合に再送すべきTRAPパケットとして保存することを特徴とする請求項5に記載の端末装置監視方法。
【請求項7】
前記劣化検知装置が、前記品質劣化回線の回線品質が正常な状態に回復したことを検知した際に、記憶していた前記品質劣化箇所の記憶を削除して、当該品質劣化回線の方向への前記TRAPパケットの送信動作を再開し、送信中止期間中に保存していた前記TRAPパケットの送信を行うとともに、前記品質劣化回線が正常な状態に回復した旨を示す回線復旧通知パケットを作成して、回線品質が回復した当該品質劣化回線とは逆方向に位置していて、前記回線劣化通知パケットの送信先となっていたすべての前記無線装置に対して送信し、前記劣化検知装置からの前記回線復旧通知パケットを受信した前記端末装置は、記憶していた前記品質劣化箇所の記憶を削除して、前記品質劣化回線を通るルートに向かう前記TRAPパケットの送信動作を再開し、前記回線劣化回線において品質劣化が発生した時点以降に発生した状況変化通知用の前記TRAPパケットを送信する動作を行うことを特徴とする請求項5または6に記載の端末装置監視方法。
【請求項8】
前記端末装置は、当該端末装置内に記憶している前記品質劣化箇所の情報を含む回線確認用パケットを、あらかじめ定めた周期ごとに、定期的に、当該端末装置に隣接する隣接端末装置間と送受信し合い、前記隣接端末装置から受信した当該隣接端末装置の回線確認用パケットに含まれている前記品質劣化箇所の情報に基づいて、当該端末装置内に記憶している前記品質劣化箇所の情報を更新することを特徴とする請求項5ないし7のいずれかに記載の端末装置監視方法。
【請求項9】
前記端末装置は、前記隣接端末装置から前記回線確認用パケットを受信した際に、該回線確認用パケットを受信した周期において、当該端末装置から、前記隣接端末装置に対して前記回線確認用パケットを送信していなかった場合には、前記隣接端末装置からの前記回線確認用パケットの受信を契機として、当該端末装置内に記憶している前記品質劣化箇所の情報のうち、該隣接端末装置が位置している方向と逆方向に存在している品質劣化箇所の情報を含む前記回線確認用パケットを応答用として作成して、該隣接端末装置に送信することを特徴とする請求項8に記載の端末装置監視方法。
【請求項10】
請求項5ないし9のいずれかに記載の端末装置監視方法を、コンピュータによって実行可能なプログラムとして実施していることを特徴とする端末装置監視プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−199641(P2012−199641A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−60888(P2011−60888)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】