第四級アンモニウム塩を有するポリマー性封入物および、同じものを生産するための方法
ポリマー性マイクロカプセルにより封入された第四級アンモニウム塩、そのマイクロカプセルを製造するための方法を記述する。第四級アンモニウム塩は塩化セチルピリジニウムであることができる。第四級アンモニウム塩を封入するポリマー性マイクロカプセルは、歯磨剤中の成分として用いることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 当業界で容易に理解されるいくつかの方法の1つにより、ポリマー性マイクロカプセルを生産することができる。そのような方法には、単一および二重エマルジョン溶媒蒸発技法が含まれる。
【背景技術】
【0002】
[0002] ポリマー性マイクロカプセルは多種多様な使い道、例えば薬物送達システムおよび歯磨剤(すなわち歯を磨くためのペーストまたは粉末のような物質)を含む個人用ケア製品における使い道を有している。しかし、ポリマー性マイクロカプセルは、一般にはマイクロカプセルにより封入された有効成分のその外部環境、例えば歯磨剤配合物からなる外部環境からの優れた保護を提供せず、一方で有効成分の徐放を提供する。
【0003】
[0003] 塩化セチルピリジニウム(CPC)は、陽イオン性で、界面活性剤様の、スペクトルの広い抗菌剤であり、口腔ケアの用途に用いることができる。しかし、その正電荷のせいで、CPCは、例えば歯磨剤においてしばしば用いられる様々な一般的な成分、例えば陰イオン性界面活性剤であるラウリル硫酸ナトリウム(SLS)と安定な複合体を形成する。これらのタイプの反応は、例えば有効な抗菌の利益を供給するための一般的な歯磨剤配合物におけるCPCの使用を妨げる。
【0004】
[0004] 歯磨剤の用途において、練り歯磨きの製造および貯蔵過程の間にマイクロカプセルが完全なままであるためには、マイクロカプセルは次の特性を有しているべきである:1)混合および高速充填の間、約1000/sまでのせん断力に耐えるための、機械上での優れた特性;2)約71℃までの温度においてカプセルが完全なままであることを可能にする、優れた温度安定性;3)約2%までの濃度を有するラウリル硫酸ナトリウムの存在下ならびに約5〜8のpH、ならびに様々な水および保水剤の比率においてカプセルが安定であることを可能にする優れた化学的安定性。加えて、ブラッシングの際に、マイクロカプセルは壊れて、不活性な複合体を形成することなく口腔に直接CPCを放出するべきである。
【0005】
[0005] ブラッシングの間にマイクロカプセルが壊れることを可能にする、例えば次のもののような多くの誘因が存在する:1)歯ブラシの毛のすり潰し(grinding)およびせん断による機械的誘因;2)歯磨剤の主成分から口腔環境へのpHの変化によるpHの誘因;3)歯をブラッシングする間の口内の唾液による歯磨剤の希釈による、浸透圧の誘因;4)口内の酵素によるポリマー結合の破壊による、酵素的な誘因。
【0006】
[0006] 最近、文献において、粘膜吸着性ポリマーを有するポリマー性マイクロカプセルが油中水(water−in−oil)エマルジョン法により形成されたとも最近報告された。
【0007】
[0007] 従って、有効成分のその外部環境からの優れた保護を提供し、一方でかなりの期間、例えば24時間の期間にわたる有効成分の徐放プロフィールを提供するポリマー性マイクロカプセルの必要性がいまだ存在する。加えて、歯磨剤において用いられるそのポリマー性マイクロカプセルは、かなりの期間にわたる有効成分の徐放プロフィールを可能にする粘膜吸着特性を有しているべきである。特に、有効成分、例えばCPCを共存できない成分、例えばSLSから守るための封入技術の必要性が、いまだ存在する。
【発明の概要】
【0008】
[0008] 本発明は、ポリマー性マイクロカプセルにより封入された第四級アンモニウム塩を含む組成物を提供し、ここで第四級アンモニウム塩は、次の構造により表わされる陽イオン;
【0009】
【化1】
【0010】
ここでR1、R2、およびR3はそれぞれ独立してアルキル基もしくは水素原子であり、またはR1およびR2は一緒に環構造を形成していてよい;ならびにハロゲンイオン、塩化物イオン、臭化物イオン、およびフッ化物イオンからなるグループから選択される陰イオンを含む。
【0011】
[0009] 本発明はさらに、次のことを含む抗菌性歯磨剤を製造するための方法を提供する:(a)第四級アンモニウム塩をポリマー性マイクロカプセル内に封入する、および(b)歯磨剤を封入された第四級アンモニウム塩と混合する。
【0012】
[0010] 本発明の他の観点は、約5ミクロン〜約50ミクロンの平均直径を有するポリマー性マイクロカプセルにより封入された第四級アンモニウム塩を生産する方法であり、次のことを含む:(a)第四級アンモニウム塩を水相に溶解する、(b)溶解されたポリマーを有する疎水性有機溶媒内に水相を分散させて溶液を形成する、(c)溶液を外部の水相中に分散させる、および(d)工程(c)の外部の水相から溶媒を除去して第四級アンモニウム塩を封入したポリマー性マイクロカプセルを形成する。
【0013】
[0011] 本発明のさらなる観点には、次のことを含む約5ミクロン〜約50ミクロンの平均直径を有するポリマー性マイクロカプセルにより封入された第四級アンモニウム塩を生産する方法が含まれる:(a)ポリマーおよび第四級アンモニウム塩を水相に溶解する、(b)水相を、油中水エマルジョン滴として分散させる、ならびに(c)工程(b)のエマルジョンを高温で攪拌して水相を蒸発させ、第四級アンモニウム塩を封入したポリマー性マイクロカプセルを形成する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
[0012] 上記の要約、さらに下記の本発明の態様の詳細な記述は、添付した図と関連させて読めばよりよく理解されるであろう。しかし、本発明が示された厳密な配置および手段に限られるわけではないことは理解されるべきである。図において:
【図1a】[0013] 図1aは、時間=0での、pH7における水中のキトサンマイクロカプセルの蛍光イメージである;
【図1b】[0014] 図1bは、時間=24時間での、pH7における水中のキトサンマイクロカプセルの蛍光イメージである;
【図2】[0015] 図2は、ラウリル硫酸ナトリウムの存在下でのキトサンマイクロカプセルの蛍光イメージである;
【図3a】[0016] 図3aは、時間=0での、pH4における水中のキトサンマイクロカプセルの蛍光イメージである;
【図3b】[0017] 図3bは、時間=24時間での、pH4における水中のキトサンマイクロカプセルの蛍光イメージである;
【図4a】[0018] 図4aは、時間=0での、pH9における水中のキトサンマイクロカプセルの蛍光イメージである;
【図4b】[0019] 図4bは、時間=24時間での、pH9における水中のキトサンマイクロカプセルの蛍光イメージである;
【図5a】[0020] 図5a〜5cは、それぞれせん断速度0/s、100/s、および500/sにおける水中のキトサンマイクロカプセルの蛍光イメージである;
【図5b】[0020] 図5a〜5cは、それぞれせん断速度0/s、100/s、および500/sにおける水中のキトサンマイクロカプセルの蛍光イメージである;
【図5c】[0020] 図5a〜5cは、それぞれせん断速度0/s、100/s、および500/sにおける水中のキトサンマイクロカプセルの蛍光イメージである;
【図6a】[0021] 図6aは、塩化セチルピリジニウムの存在下でのポリマーマイクロカプセルの蛍光イメージである;および
【図6b】[0022] 図6bは、塩化セチルピリジニウムの非存在下でのポリマーマイクロカプセルの蛍光イメージである;
【発明を実施するための形態】
【0015】
[0023] 本発明は、ポリマー性マイクロカプセル内に封入された第四級アンモニウム塩を含む組成物を提供する。組成物は場合により様々な有効薬剤も含むことができる。有効薬剤は次のものであることができる;第一スズイオン剤、トリクロサン、トリクロサン一リン酸、クロルヘキシジン、アレキシジン、ヘキセチジン、サンギナリン、塩化ベンザルコニウム、サリチルアニリド、アルギン酸エステル類、エチルラウリルアルギネート、ビスフェノール類、臭化ドミフェン、塩化テトラデシルピリジニウム(TPC)、N−テトラデシル−4−エチルピリジニウムクロリド(TDEPC)、オクテニジン(octenidine)、デルモピノール(delmopinol)、オクタピノール(octapinol)、ナイシン(nisin)、亜鉛イオン剤、銅イオン剤、精油、フラノン類、バクテリオシン類、それらの塩類、それらの混合物、および類似の既知の有効物質。
【0016】
[0024] 1観点において、本発明はポリマー性マイクロカプセルにより封入された第四級アンモニウム塩を含む組成物を提供する。第四級アンモニウム塩には陽イオンおよび陰イオンが含まれる。陽イオンは次の構造(I)により表わされてよい:
【0017】
【化2】
【0018】
ここでR1、R2、およびR3はそれぞれ独立して、直鎖もしくは分岐鎖の、置換もしくは非置換のアルキル基もしくは水素原子であり、またはR1およびR2は一緒に環構造を形成していてよい。陰イオンは様々なハロゲンイオン、例えば塩化物イオン、臭化物イオン、およびフッ化物イオン、ならびに意図された使用と調和する他の類似のイオンまたはそれらの塩類、例えばPO4−、SO4−、等のいずれか1種類であることができる。
【0019】
[0025] 陽イオンは、構造(II)によっても表すことができる:
【0020】
【化3】
【0021】
ここで、R3は5〜25個の炭素原子を有するアルキル基である。R3は直鎖または分岐鎖の、置換または非置換の、10〜20個の炭素を有するアルキル基であることもできる。陽イオンの構造(II)は、少なくとも3個の非置換の結合を含むことができる。
【0022】
[0026] 本態様の第四級アンモニウム塩は、塩化セチルピリジニウムであってよい。加えて、1種類より多い第四級アンモニウム塩が単一のポリマー性マイクロカプセル中に封入されていてよい。
【0023】
[0027] 本発明のポリマー性マイクロカプセルは、様々な標準的なマイクロカプセル材料を含むことができる。そのマイクロカプセル材料は、限定するわけではないが、キチン、キトサン、ポリカプロラクトン、ポリアクリル酸、およびそれらの誘導体およびコポリマー類である。特に、キトサンは、それが生理的pH付近でpHに依存するふるまいを示し、より低いpHで可溶性が増大するという利点を有する可能性がある。従って、約8〜9のpHにおけるポリマー性マイクロカプセルからのCPCの拡散速度は約7におけるよりも遅いであろうから、この特性を歯磨剤配合物において利用できる可能性がある。
【0024】
[0028] 本明細書でポリマー性マイクロカプセルを記述するために用いられる用語”ポリマー性”の使用は、マイクロカプセルを形成する成分の少なくとも1種類がポリマー性物質であることを意味するが、非ポリマー性の物質、例えばゴム、ゼラチン等である他の成分もまたマイクロカプセルの形成において用いられてよいことは理解されるべきである。
【0025】
[0029] ポリマー性マイクロカプセルは約5ミクロン〜約50ミクロンの直径を有することができ、もし使用法が大きさの変形と調和するならば、大きさはより大きい、またはより小さい。
【0026】
[0030] 組成物は、任意のフッ化物イオンの供給源も含むことができる。フッ化物イオンの供給源は、水性の環境においてフッ化物イオンを放出することができるいずれかのものと考えられる。そのフッ化物イオンの供給源の例が米国特許番号3,538,230;3,689,637;3,711,604;3,911,104;3,935,306;および4,040,858に記載されており、これらの関係のある部分を全て援用する。しかし、当技術において、または開発されたことが既知である、あらゆる適切なフッ化物イオンの供給源を組成物に提供することができることは理解されるべきである。
【0027】
[0031] 本発明の第2観点は、第四級アンモニウム塩を封入するポリマー性マイクロカプセルを生産する方法を提供する。この方法には次のことが含まれる:(a)第四級アンモニウム塩(上記のもの)を水相、例えばMilliQ水または蒸留水に溶解する、(b)溶解されたポリマー(例えばキチン、キトサン、ポリカプロラクトン、またはポリアクリル酸)を有する疎水性有機溶媒内に水相を分散させて溶液を形成する、(c)溶液を外部の水相(すなわち第2の水相)中に分散させる、および(d)工程(c)の外部の水相から、例えば蒸発または当技術で既知のいずれかの他の方法により溶媒を除去する。
【0028】
[0032] 本発明は、約5ミクロン〜約50ミクロンのマイクロカプセルの直径を有するポリマー性マイクロカプセルにより封入された第四級アンモニウム塩を生産する方法も提供する。この方法には次のことが含まれる:(a)ポリマー(上記のもの)および第四級アンモニウム塩(上記のもの)を水相に溶解する、(b)水相を、(例えばピペッティングにより)油中水エマルジョン滴として分散させる、ならびに(c)工程(b)のエマルジョンを高温で攪拌して水相を蒸発させ、そうして第四級アンモニウム塩を封入したポリマー性マイクロカプセルを形成する。
【0029】
[0033] この方法の高い温度は、好ましくは約95℃〜約100℃である。
[0034] この方法の第四級アンモニウム塩は、上記のいずれかの第四級アンモニウム塩、好ましくは塩化セチルピリジニウムであることができる。
【0030】
[0035] この方法に従って生産されるポリマー性マイクロカプセルは、様々な形状および形、例えば微小な球体、微粒子、および同様のものに作られることができる。
[0036] 抗菌性歯磨剤を製造するための方法も、本発明に含まれる。歯磨剤は、限定するわけではないが、ペースト、ゲル、粉末等であることができる。方法には、第四級アンモニウム塩、例えば本明細書で記述される第四級アンモニウム塩を、ポリマー性マイクロカプセル内に、この開示の方法を用いて封入すること、および歯磨剤を封入された第四級アンモニウム塩と混合することが含まれる。
【0031】
[0037] この方法の第四級アンモニウム塩は、好ましくは塩化セチルピリジニウムである。
[0038] 本発明には、約5ミクロン〜約50ミクロンの平均直径を有するポリマー性マイクロカプセルにより封入された第四級アンモニウム塩を生産する方法も含まれる。この方法には次のことが含まれる:(a)第四級アンモニウム塩を水相(例えばMilliQ水または蒸留水)に溶解する(b)溶解されたポリマー(例えばキチン、キトサン、ポリカプロラクトン、またはポリアクリル酸)を有する疎水性有機溶媒(上記のもの)内に水相を分散させて溶液を形成する、(c)溶液を外部の水相中に分散させる、および(d)外部の水相から(例えば蒸発により)溶媒を除去し、そうして第四級アンモニウム塩を封入したポリマー性マイクロカプセルを形成する。
【0032】
[0039] 本発明には、第四級アンモニウム塩を封入したポリマー性マイクロカプセルを含む個人用ケア製品も含まれる。個人用ケア製品は、さらにフッ化物イオンの供給源を含むことができる。その個人用ケア製品は、例えば練り歯磨き、口内洗浄剤、ムース、スプレー、フィルム、および他の持ち運びできる形である。
【0033】
[0040] 本発明は、次の特性を有するマイクロカプセルを生産することができる:1)ナノメートルからミリメートルまでの範囲の、マイクロカプセルの大きさ(一般には、マイクロカプセルの大きさが小さい程機械的安定性がよりよくなる);2)大きさの分布;3)ナノメートルからマイクロメートルまでの範囲の、マイクロカプセルのシェルの厚さ;および4)シェルの不浸透性および/または二重のシェルの層構造。
【0034】
[0041] 本発明は、陽イオン性界面活性剤様化合物、例えばCPCを、エマルジョンの安定剤として、封入効率を高めるために、ポリマー性マイクロカプセルを形成する過程の間に用いることもできる。そのカプセルは、CPCをポリマー性マイクロカプセルの外側の他の成分、例えば歯磨剤中の成分から守ることができ、従って、歯をブラッシングする間にカプセルが壊れると、CPCを有効な抗菌剤として届けることができる。
【0035】
[0042] CPCを封入することの利点には、CPCおよび歯磨剤配合物の間の不都合な相互作用を防いで有効なCPC(すなわち、安定な複合体の形でないCPC)の送達を最大限にすること、ならびにCPC自体がエマルジョンの安定剤として機能して油中水または水中油エマルジョンにおける水または油滴の融合を防ぐことができることが含まれる。
【0036】
[0043] 例として、限定するわけではないが、本発明の特定の態様を下記の実施例において図説する。
【実施例】
【0037】
実施例1
[0044] 180mgのCPCを有するキトサン塩化セチルピリジニウム(CPC)のマイクロカプセル(10重量%CPCの組成物(CPCの1%はローダミン標識されていた))を下記のようにして生成して評価した。
【0038】
[0045] 次の物質を用いて、油中水エマルジョンからキトサンマイクロカプセルを製造した:
キトサン(85%より多く脱アセチル化されたもの、Aldrich 417963)、
MilliQ水、
氷酢酸、
FD&C青色#1 食物着色染料、
塩化セチルピリジニウム(CPC)、
鉱油(白色、重い)、および
ソルビタンモノオレエート(Span−80)界面活性剤。
【0039】
[0046] キトサン溶液を、9グラムのキトサンを600mlの水/1%(体積)酢酸溶液を混合することにより調製した。キトサンを600mlの水/1%(体積)酢酸溶液に、混合物をおおよそ60℃に約1日間撹拌および加熱することにより溶解した。10重量%CPCおよび10mgの青色染料を含む3.3mlの水溶液(予め溶解させた)を、200mlのキトサン溶液に添加した。
【0040】
[0047] 次いで、乳化剤(IKA RE162/P)に800mlの鉱油および8mlのSpan−80を添加することにより混合物を調製し、100rpmで5分間撹拌して混合した。混合物を20分間おいて気泡を浮かばせてはじけさせた。次いでキトサン溶液を混合物に、16ゲージの針を付けた2本の60mlシリンジを通して、おおよそ20分間の期間をかけて添加した。次いで得られたエマルジョンを、最後に残ったキトサン溶液を添加した後さらに30分間撹拌した。
【0041】
[0048] 次いでエマルジョンを磁気撹拌プレート上の2LのPyrexビーカーに移した。エマルジョンを撹拌しながらおおよそ70℃に加熱し、一夜(おおよそ14〜16時間)そのままにして酢酸および水のほとんどを蒸発させた。エマルジョンは非常に乳状の薄い青色から、濁った、より暗い青色へと変化した。次いでエマルジョンをおおよそ95℃〜100℃に、撹拌を継続しながら次の日まで(おおよそ24時間)加熱した。エマルジョンの色は青色から淡緑色へと変わった。
【0042】
[0049] 次いでエマルジョンを50ml遠心チューブの中に集め、それぞれを3,500rpmで10分間回した。遠心分離の後に粒子のほとんどは沈殿していたが、最も小さい粒子(数ミクロンまたはそれより小さい大きさを有する)の大部分は浮遊したままであった。溶液を廃液中に注いだ。顕微鏡下で、遠心分離された粒子は極めて密に詰め込まれておりいくらか変形さえしていたのは明らかであり、これはまだいくらか水が残留しておりこれが粒子を柔らかいまま保ったらしいことを示している。
【0043】
[0050] 遠心チューブの半分において、粒子を残っている少量の鉱油に、ガラスピペットを用いて再懸濁した。残っている粒子/油のスラリーの全てをこれらのチューブからガラスのバイアルに移し(総体積はおおよそ15ml)、再度3,500rpmで1時間遠心分離した。溶液を再び廃液中に注ぎ、残留した油をピペットで可能な限り除去した。
【0044】
[0051] チューブのもう一方の半分において、粒子をそれぞれのチューブ中でおおよそ10mlのヘキサンに、ボルテックスにより再懸濁した。液体を全てのチューブから2本のチューブの中に集め、次いでこれを3,500rpmで10分間遠心分離した。溶液を廃液中に注ぎ、粒子をそれぞれのチューブ中でおおよそ10mlのヘキサンに再懸濁した。最後に、溶液を重力濾過により定性濾紙を通して濾過し、ドラフト中で乾燥させておいた。
【0045】
[0052] 方法−物理的および化学的安定性の特性づけ:キトサン、CPC−封入マイクロカプセルの物理的特性づけを、機械的安定性の評価により実施した。キトサン、CPC−封入マイクロカプセルの化学的特性づけを:1)水和実験および2)SLSの存在下での化学的安定性の実験により実施した。
【0046】
[0053] 機械的安定性の特性づけ:キトサン、CPC−封入マイクロカプセルの機械的安定性を、連続的せん断条件の下で、100/sおよび500/sの様々なせん断強度において評価した。
化学的安定性の特徴づけ:
[0054] 水和実験:様々なpH条件における水中のキトサン、CPC−封入マイクロカプセルを評価するために、顕微鏡技法を用いた。懸濁液中のキトサン、CPC−封入マイクロカプセルの上澄み部分における蛍光の変化を評価するために、蛍光分光の技法を用いた。
【0047】
[0055] SLSの存在下での安定性の実験:キトサン、CPC−封入マイクロカプセルを1%SLSに懸濁し、SLSとの相互作用に関して評価した。
[0056] 結果:この方法に従って生産されたキトサン、CPC−封入マイクロカプセルは極めて安定であり、ポリマー母材の親水性によりCPCの急速な放出を可能にした。加えて、水相への10重量%CPCの添加は、所与のせん断速度においてより小さなエマルジョンの小滴の形成を可能にすることによって、加工を容易にしたことが分かった。
【0048】
[0057] キトサンマイクロカプセルの集合の蛍光画像を図1aおよび1bに示す。蛍光はオクタデシルローダミン−Bに由来するもので、これはCPCの濃度の1%で含まれてトレーサーとして役立った。図1aはゼロ時間におけるキトサンマイクロカプセルを示す。図1bは24時間の時間におけるキトサンマイクロカプセルを示す。pH7において、24時間までではキトサンマイクロカプセルの形状および大きさにはほとんど変化が観察されない。加えて、キトサンマイクロカプセルから放出されたローダミン染料の量を、室温において12週間までの間特性づけた。キトサンCPC封入マイクロカプセルから放出されたローダミン染料は0.1%より少なかった。
【0049】
[0058] 図2は、1%ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)の存在下でのキトサンCPC封入マイクロカプセルの化学的安定性を示す。1%SLS中で、4週間の時間の後に、0.1%より少ないキトサンマイクロカプセルが壊れていた。加えて、SLS−CPC相互作用による沈殿は観察されなかった。
【0050】
[0059] 図3および4は、酸性および塩基性のpH条件におけるキトサン、CPC−封入マイクロカプセルの化学的安定性を示す。図3は、キトサンマイクロカプセルが、水性環境で、pH4において24時間までの間安定であることを示す。図4は、キトサンマイクロカプセルが、水性環境で、pH9において24時間までの間安定であることを示す。
【0051】
[0060] 図5a〜5cは、様々なせん断速度におけるキトサン、CPC−封入マイクロカプセルの機械的安定性を示す。図5aは、0/sのせん断速度(すなわち、せん断なし)にさらされたキトサンマイクロカプセル、すなわち対照を示す。図5bは、100/sのせん断速度にさらされたキトサンマイクロカプセルを示す。図5cは、500/sのせん断速度にさらされた、CPCが活発に放出される状態におけるキトサンマイクロカプセルを示す。
【0052】
[0061] 図6aおよび6bは、CPC有りおよび無しで作られたポリマーマイクロカプセルの大きさを示す。図6aは、FD&C青色#1のみ有り、かつCPC無しで作られたポリマーマイクロカプセルの大きさを示す。図6bは、FD&C青色#1およびCPC有りで作られたポリマーマイクロカプセルの大きさを示す。CPCがエマルジョンに添加されると、それは水の小滴の融合を抑制し、これが結果としてその後により小さいカプセルをもたらす。
【0053】
[0062] このように、より単純な加工の提供に加え、この方法は、様々な水溶性、生体適合性、および粘膜吸着性でさえあるポリマーが使用できる可能性があるという利点を提供する。
【0054】
実施例2
[0063] 様々な歯磨剤配合物の実施例は、本発明をさらに深く説明するものであり、本発明を限定することを意図するものでは決して無い。その配合物は、本発明に従って生産されるCPC封入マイクロカプセルで作られる。
【0055】
[0064] 表1は、リン酸塩を有する歯磨剤組成物を提供する。表2は、Gantrezコポリマーを有する歯磨剤組成物を提供する。表3は、PCCを有する歯磨剤組成物を提供する。表4は、液体配合物を用いた歯磨剤組成物を提供する。
【0056】
表1
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】
表3
【0060】
【表3】
【0061】
表4
【0062】
【表4】
【技術分野】
【0001】
[0001] 当業界で容易に理解されるいくつかの方法の1つにより、ポリマー性マイクロカプセルを生産することができる。そのような方法には、単一および二重エマルジョン溶媒蒸発技法が含まれる。
【背景技術】
【0002】
[0002] ポリマー性マイクロカプセルは多種多様な使い道、例えば薬物送達システムおよび歯磨剤(すなわち歯を磨くためのペーストまたは粉末のような物質)を含む個人用ケア製品における使い道を有している。しかし、ポリマー性マイクロカプセルは、一般にはマイクロカプセルにより封入された有効成分のその外部環境、例えば歯磨剤配合物からなる外部環境からの優れた保護を提供せず、一方で有効成分の徐放を提供する。
【0003】
[0003] 塩化セチルピリジニウム(CPC)は、陽イオン性で、界面活性剤様の、スペクトルの広い抗菌剤であり、口腔ケアの用途に用いることができる。しかし、その正電荷のせいで、CPCは、例えば歯磨剤においてしばしば用いられる様々な一般的な成分、例えば陰イオン性界面活性剤であるラウリル硫酸ナトリウム(SLS)と安定な複合体を形成する。これらのタイプの反応は、例えば有効な抗菌の利益を供給するための一般的な歯磨剤配合物におけるCPCの使用を妨げる。
【0004】
[0004] 歯磨剤の用途において、練り歯磨きの製造および貯蔵過程の間にマイクロカプセルが完全なままであるためには、マイクロカプセルは次の特性を有しているべきである:1)混合および高速充填の間、約1000/sまでのせん断力に耐えるための、機械上での優れた特性;2)約71℃までの温度においてカプセルが完全なままであることを可能にする、優れた温度安定性;3)約2%までの濃度を有するラウリル硫酸ナトリウムの存在下ならびに約5〜8のpH、ならびに様々な水および保水剤の比率においてカプセルが安定であることを可能にする優れた化学的安定性。加えて、ブラッシングの際に、マイクロカプセルは壊れて、不活性な複合体を形成することなく口腔に直接CPCを放出するべきである。
【0005】
[0005] ブラッシングの間にマイクロカプセルが壊れることを可能にする、例えば次のもののような多くの誘因が存在する:1)歯ブラシの毛のすり潰し(grinding)およびせん断による機械的誘因;2)歯磨剤の主成分から口腔環境へのpHの変化によるpHの誘因;3)歯をブラッシングする間の口内の唾液による歯磨剤の希釈による、浸透圧の誘因;4)口内の酵素によるポリマー結合の破壊による、酵素的な誘因。
【0006】
[0006] 最近、文献において、粘膜吸着性ポリマーを有するポリマー性マイクロカプセルが油中水(water−in−oil)エマルジョン法により形成されたとも最近報告された。
【0007】
[0007] 従って、有効成分のその外部環境からの優れた保護を提供し、一方でかなりの期間、例えば24時間の期間にわたる有効成分の徐放プロフィールを提供するポリマー性マイクロカプセルの必要性がいまだ存在する。加えて、歯磨剤において用いられるそのポリマー性マイクロカプセルは、かなりの期間にわたる有効成分の徐放プロフィールを可能にする粘膜吸着特性を有しているべきである。特に、有効成分、例えばCPCを共存できない成分、例えばSLSから守るための封入技術の必要性が、いまだ存在する。
【発明の概要】
【0008】
[0008] 本発明は、ポリマー性マイクロカプセルにより封入された第四級アンモニウム塩を含む組成物を提供し、ここで第四級アンモニウム塩は、次の構造により表わされる陽イオン;
【0009】
【化1】
【0010】
ここでR1、R2、およびR3はそれぞれ独立してアルキル基もしくは水素原子であり、またはR1およびR2は一緒に環構造を形成していてよい;ならびにハロゲンイオン、塩化物イオン、臭化物イオン、およびフッ化物イオンからなるグループから選択される陰イオンを含む。
【0011】
[0009] 本発明はさらに、次のことを含む抗菌性歯磨剤を製造するための方法を提供する:(a)第四級アンモニウム塩をポリマー性マイクロカプセル内に封入する、および(b)歯磨剤を封入された第四級アンモニウム塩と混合する。
【0012】
[0010] 本発明の他の観点は、約5ミクロン〜約50ミクロンの平均直径を有するポリマー性マイクロカプセルにより封入された第四級アンモニウム塩を生産する方法であり、次のことを含む:(a)第四級アンモニウム塩を水相に溶解する、(b)溶解されたポリマーを有する疎水性有機溶媒内に水相を分散させて溶液を形成する、(c)溶液を外部の水相中に分散させる、および(d)工程(c)の外部の水相から溶媒を除去して第四級アンモニウム塩を封入したポリマー性マイクロカプセルを形成する。
【0013】
[0011] 本発明のさらなる観点には、次のことを含む約5ミクロン〜約50ミクロンの平均直径を有するポリマー性マイクロカプセルにより封入された第四級アンモニウム塩を生産する方法が含まれる:(a)ポリマーおよび第四級アンモニウム塩を水相に溶解する、(b)水相を、油中水エマルジョン滴として分散させる、ならびに(c)工程(b)のエマルジョンを高温で攪拌して水相を蒸発させ、第四級アンモニウム塩を封入したポリマー性マイクロカプセルを形成する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
[0012] 上記の要約、さらに下記の本発明の態様の詳細な記述は、添付した図と関連させて読めばよりよく理解されるであろう。しかし、本発明が示された厳密な配置および手段に限られるわけではないことは理解されるべきである。図において:
【図1a】[0013] 図1aは、時間=0での、pH7における水中のキトサンマイクロカプセルの蛍光イメージである;
【図1b】[0014] 図1bは、時間=24時間での、pH7における水中のキトサンマイクロカプセルの蛍光イメージである;
【図2】[0015] 図2は、ラウリル硫酸ナトリウムの存在下でのキトサンマイクロカプセルの蛍光イメージである;
【図3a】[0016] 図3aは、時間=0での、pH4における水中のキトサンマイクロカプセルの蛍光イメージである;
【図3b】[0017] 図3bは、時間=24時間での、pH4における水中のキトサンマイクロカプセルの蛍光イメージである;
【図4a】[0018] 図4aは、時間=0での、pH9における水中のキトサンマイクロカプセルの蛍光イメージである;
【図4b】[0019] 図4bは、時間=24時間での、pH9における水中のキトサンマイクロカプセルの蛍光イメージである;
【図5a】[0020] 図5a〜5cは、それぞれせん断速度0/s、100/s、および500/sにおける水中のキトサンマイクロカプセルの蛍光イメージである;
【図5b】[0020] 図5a〜5cは、それぞれせん断速度0/s、100/s、および500/sにおける水中のキトサンマイクロカプセルの蛍光イメージである;
【図5c】[0020] 図5a〜5cは、それぞれせん断速度0/s、100/s、および500/sにおける水中のキトサンマイクロカプセルの蛍光イメージである;
【図6a】[0021] 図6aは、塩化セチルピリジニウムの存在下でのポリマーマイクロカプセルの蛍光イメージである;および
【図6b】[0022] 図6bは、塩化セチルピリジニウムの非存在下でのポリマーマイクロカプセルの蛍光イメージである;
【発明を実施するための形態】
【0015】
[0023] 本発明は、ポリマー性マイクロカプセル内に封入された第四級アンモニウム塩を含む組成物を提供する。組成物は場合により様々な有効薬剤も含むことができる。有効薬剤は次のものであることができる;第一スズイオン剤、トリクロサン、トリクロサン一リン酸、クロルヘキシジン、アレキシジン、ヘキセチジン、サンギナリン、塩化ベンザルコニウム、サリチルアニリド、アルギン酸エステル類、エチルラウリルアルギネート、ビスフェノール類、臭化ドミフェン、塩化テトラデシルピリジニウム(TPC)、N−テトラデシル−4−エチルピリジニウムクロリド(TDEPC)、オクテニジン(octenidine)、デルモピノール(delmopinol)、オクタピノール(octapinol)、ナイシン(nisin)、亜鉛イオン剤、銅イオン剤、精油、フラノン類、バクテリオシン類、それらの塩類、それらの混合物、および類似の既知の有効物質。
【0016】
[0024] 1観点において、本発明はポリマー性マイクロカプセルにより封入された第四級アンモニウム塩を含む組成物を提供する。第四級アンモニウム塩には陽イオンおよび陰イオンが含まれる。陽イオンは次の構造(I)により表わされてよい:
【0017】
【化2】
【0018】
ここでR1、R2、およびR3はそれぞれ独立して、直鎖もしくは分岐鎖の、置換もしくは非置換のアルキル基もしくは水素原子であり、またはR1およびR2は一緒に環構造を形成していてよい。陰イオンは様々なハロゲンイオン、例えば塩化物イオン、臭化物イオン、およびフッ化物イオン、ならびに意図された使用と調和する他の類似のイオンまたはそれらの塩類、例えばPO4−、SO4−、等のいずれか1種類であることができる。
【0019】
[0025] 陽イオンは、構造(II)によっても表すことができる:
【0020】
【化3】
【0021】
ここで、R3は5〜25個の炭素原子を有するアルキル基である。R3は直鎖または分岐鎖の、置換または非置換の、10〜20個の炭素を有するアルキル基であることもできる。陽イオンの構造(II)は、少なくとも3個の非置換の結合を含むことができる。
【0022】
[0026] 本態様の第四級アンモニウム塩は、塩化セチルピリジニウムであってよい。加えて、1種類より多い第四級アンモニウム塩が単一のポリマー性マイクロカプセル中に封入されていてよい。
【0023】
[0027] 本発明のポリマー性マイクロカプセルは、様々な標準的なマイクロカプセル材料を含むことができる。そのマイクロカプセル材料は、限定するわけではないが、キチン、キトサン、ポリカプロラクトン、ポリアクリル酸、およびそれらの誘導体およびコポリマー類である。特に、キトサンは、それが生理的pH付近でpHに依存するふるまいを示し、より低いpHで可溶性が増大するという利点を有する可能性がある。従って、約8〜9のpHにおけるポリマー性マイクロカプセルからのCPCの拡散速度は約7におけるよりも遅いであろうから、この特性を歯磨剤配合物において利用できる可能性がある。
【0024】
[0028] 本明細書でポリマー性マイクロカプセルを記述するために用いられる用語”ポリマー性”の使用は、マイクロカプセルを形成する成分の少なくとも1種類がポリマー性物質であることを意味するが、非ポリマー性の物質、例えばゴム、ゼラチン等である他の成分もまたマイクロカプセルの形成において用いられてよいことは理解されるべきである。
【0025】
[0029] ポリマー性マイクロカプセルは約5ミクロン〜約50ミクロンの直径を有することができ、もし使用法が大きさの変形と調和するならば、大きさはより大きい、またはより小さい。
【0026】
[0030] 組成物は、任意のフッ化物イオンの供給源も含むことができる。フッ化物イオンの供給源は、水性の環境においてフッ化物イオンを放出することができるいずれかのものと考えられる。そのフッ化物イオンの供給源の例が米国特許番号3,538,230;3,689,637;3,711,604;3,911,104;3,935,306;および4,040,858に記載されており、これらの関係のある部分を全て援用する。しかし、当技術において、または開発されたことが既知である、あらゆる適切なフッ化物イオンの供給源を組成物に提供することができることは理解されるべきである。
【0027】
[0031] 本発明の第2観点は、第四級アンモニウム塩を封入するポリマー性マイクロカプセルを生産する方法を提供する。この方法には次のことが含まれる:(a)第四級アンモニウム塩(上記のもの)を水相、例えばMilliQ水または蒸留水に溶解する、(b)溶解されたポリマー(例えばキチン、キトサン、ポリカプロラクトン、またはポリアクリル酸)を有する疎水性有機溶媒内に水相を分散させて溶液を形成する、(c)溶液を外部の水相(すなわち第2の水相)中に分散させる、および(d)工程(c)の外部の水相から、例えば蒸発または当技術で既知のいずれかの他の方法により溶媒を除去する。
【0028】
[0032] 本発明は、約5ミクロン〜約50ミクロンのマイクロカプセルの直径を有するポリマー性マイクロカプセルにより封入された第四級アンモニウム塩を生産する方法も提供する。この方法には次のことが含まれる:(a)ポリマー(上記のもの)および第四級アンモニウム塩(上記のもの)を水相に溶解する、(b)水相を、(例えばピペッティングにより)油中水エマルジョン滴として分散させる、ならびに(c)工程(b)のエマルジョンを高温で攪拌して水相を蒸発させ、そうして第四級アンモニウム塩を封入したポリマー性マイクロカプセルを形成する。
【0029】
[0033] この方法の高い温度は、好ましくは約95℃〜約100℃である。
[0034] この方法の第四級アンモニウム塩は、上記のいずれかの第四級アンモニウム塩、好ましくは塩化セチルピリジニウムであることができる。
【0030】
[0035] この方法に従って生産されるポリマー性マイクロカプセルは、様々な形状および形、例えば微小な球体、微粒子、および同様のものに作られることができる。
[0036] 抗菌性歯磨剤を製造するための方法も、本発明に含まれる。歯磨剤は、限定するわけではないが、ペースト、ゲル、粉末等であることができる。方法には、第四級アンモニウム塩、例えば本明細書で記述される第四級アンモニウム塩を、ポリマー性マイクロカプセル内に、この開示の方法を用いて封入すること、および歯磨剤を封入された第四級アンモニウム塩と混合することが含まれる。
【0031】
[0037] この方法の第四級アンモニウム塩は、好ましくは塩化セチルピリジニウムである。
[0038] 本発明には、約5ミクロン〜約50ミクロンの平均直径を有するポリマー性マイクロカプセルにより封入された第四級アンモニウム塩を生産する方法も含まれる。この方法には次のことが含まれる:(a)第四級アンモニウム塩を水相(例えばMilliQ水または蒸留水)に溶解する(b)溶解されたポリマー(例えばキチン、キトサン、ポリカプロラクトン、またはポリアクリル酸)を有する疎水性有機溶媒(上記のもの)内に水相を分散させて溶液を形成する、(c)溶液を外部の水相中に分散させる、および(d)外部の水相から(例えば蒸発により)溶媒を除去し、そうして第四級アンモニウム塩を封入したポリマー性マイクロカプセルを形成する。
【0032】
[0039] 本発明には、第四級アンモニウム塩を封入したポリマー性マイクロカプセルを含む個人用ケア製品も含まれる。個人用ケア製品は、さらにフッ化物イオンの供給源を含むことができる。その個人用ケア製品は、例えば練り歯磨き、口内洗浄剤、ムース、スプレー、フィルム、および他の持ち運びできる形である。
【0033】
[0040] 本発明は、次の特性を有するマイクロカプセルを生産することができる:1)ナノメートルからミリメートルまでの範囲の、マイクロカプセルの大きさ(一般には、マイクロカプセルの大きさが小さい程機械的安定性がよりよくなる);2)大きさの分布;3)ナノメートルからマイクロメートルまでの範囲の、マイクロカプセルのシェルの厚さ;および4)シェルの不浸透性および/または二重のシェルの層構造。
【0034】
[0041] 本発明は、陽イオン性界面活性剤様化合物、例えばCPCを、エマルジョンの安定剤として、封入効率を高めるために、ポリマー性マイクロカプセルを形成する過程の間に用いることもできる。そのカプセルは、CPCをポリマー性マイクロカプセルの外側の他の成分、例えば歯磨剤中の成分から守ることができ、従って、歯をブラッシングする間にカプセルが壊れると、CPCを有効な抗菌剤として届けることができる。
【0035】
[0042] CPCを封入することの利点には、CPCおよび歯磨剤配合物の間の不都合な相互作用を防いで有効なCPC(すなわち、安定な複合体の形でないCPC)の送達を最大限にすること、ならびにCPC自体がエマルジョンの安定剤として機能して油中水または水中油エマルジョンにおける水または油滴の融合を防ぐことができることが含まれる。
【0036】
[0043] 例として、限定するわけではないが、本発明の特定の態様を下記の実施例において図説する。
【実施例】
【0037】
実施例1
[0044] 180mgのCPCを有するキトサン塩化セチルピリジニウム(CPC)のマイクロカプセル(10重量%CPCの組成物(CPCの1%はローダミン標識されていた))を下記のようにして生成して評価した。
【0038】
[0045] 次の物質を用いて、油中水エマルジョンからキトサンマイクロカプセルを製造した:
キトサン(85%より多く脱アセチル化されたもの、Aldrich 417963)、
MilliQ水、
氷酢酸、
FD&C青色#1 食物着色染料、
塩化セチルピリジニウム(CPC)、
鉱油(白色、重い)、および
ソルビタンモノオレエート(Span−80)界面活性剤。
【0039】
[0046] キトサン溶液を、9グラムのキトサンを600mlの水/1%(体積)酢酸溶液を混合することにより調製した。キトサンを600mlの水/1%(体積)酢酸溶液に、混合物をおおよそ60℃に約1日間撹拌および加熱することにより溶解した。10重量%CPCおよび10mgの青色染料を含む3.3mlの水溶液(予め溶解させた)を、200mlのキトサン溶液に添加した。
【0040】
[0047] 次いで、乳化剤(IKA RE162/P)に800mlの鉱油および8mlのSpan−80を添加することにより混合物を調製し、100rpmで5分間撹拌して混合した。混合物を20分間おいて気泡を浮かばせてはじけさせた。次いでキトサン溶液を混合物に、16ゲージの針を付けた2本の60mlシリンジを通して、おおよそ20分間の期間をかけて添加した。次いで得られたエマルジョンを、最後に残ったキトサン溶液を添加した後さらに30分間撹拌した。
【0041】
[0048] 次いでエマルジョンを磁気撹拌プレート上の2LのPyrexビーカーに移した。エマルジョンを撹拌しながらおおよそ70℃に加熱し、一夜(おおよそ14〜16時間)そのままにして酢酸および水のほとんどを蒸発させた。エマルジョンは非常に乳状の薄い青色から、濁った、より暗い青色へと変化した。次いでエマルジョンをおおよそ95℃〜100℃に、撹拌を継続しながら次の日まで(おおよそ24時間)加熱した。エマルジョンの色は青色から淡緑色へと変わった。
【0042】
[0049] 次いでエマルジョンを50ml遠心チューブの中に集め、それぞれを3,500rpmで10分間回した。遠心分離の後に粒子のほとんどは沈殿していたが、最も小さい粒子(数ミクロンまたはそれより小さい大きさを有する)の大部分は浮遊したままであった。溶液を廃液中に注いだ。顕微鏡下で、遠心分離された粒子は極めて密に詰め込まれておりいくらか変形さえしていたのは明らかであり、これはまだいくらか水が残留しておりこれが粒子を柔らかいまま保ったらしいことを示している。
【0043】
[0050] 遠心チューブの半分において、粒子を残っている少量の鉱油に、ガラスピペットを用いて再懸濁した。残っている粒子/油のスラリーの全てをこれらのチューブからガラスのバイアルに移し(総体積はおおよそ15ml)、再度3,500rpmで1時間遠心分離した。溶液を再び廃液中に注ぎ、残留した油をピペットで可能な限り除去した。
【0044】
[0051] チューブのもう一方の半分において、粒子をそれぞれのチューブ中でおおよそ10mlのヘキサンに、ボルテックスにより再懸濁した。液体を全てのチューブから2本のチューブの中に集め、次いでこれを3,500rpmで10分間遠心分離した。溶液を廃液中に注ぎ、粒子をそれぞれのチューブ中でおおよそ10mlのヘキサンに再懸濁した。最後に、溶液を重力濾過により定性濾紙を通して濾過し、ドラフト中で乾燥させておいた。
【0045】
[0052] 方法−物理的および化学的安定性の特性づけ:キトサン、CPC−封入マイクロカプセルの物理的特性づけを、機械的安定性の評価により実施した。キトサン、CPC−封入マイクロカプセルの化学的特性づけを:1)水和実験および2)SLSの存在下での化学的安定性の実験により実施した。
【0046】
[0053] 機械的安定性の特性づけ:キトサン、CPC−封入マイクロカプセルの機械的安定性を、連続的せん断条件の下で、100/sおよび500/sの様々なせん断強度において評価した。
化学的安定性の特徴づけ:
[0054] 水和実験:様々なpH条件における水中のキトサン、CPC−封入マイクロカプセルを評価するために、顕微鏡技法を用いた。懸濁液中のキトサン、CPC−封入マイクロカプセルの上澄み部分における蛍光の変化を評価するために、蛍光分光の技法を用いた。
【0047】
[0055] SLSの存在下での安定性の実験:キトサン、CPC−封入マイクロカプセルを1%SLSに懸濁し、SLSとの相互作用に関して評価した。
[0056] 結果:この方法に従って生産されたキトサン、CPC−封入マイクロカプセルは極めて安定であり、ポリマー母材の親水性によりCPCの急速な放出を可能にした。加えて、水相への10重量%CPCの添加は、所与のせん断速度においてより小さなエマルジョンの小滴の形成を可能にすることによって、加工を容易にしたことが分かった。
【0048】
[0057] キトサンマイクロカプセルの集合の蛍光画像を図1aおよび1bに示す。蛍光はオクタデシルローダミン−Bに由来するもので、これはCPCの濃度の1%で含まれてトレーサーとして役立った。図1aはゼロ時間におけるキトサンマイクロカプセルを示す。図1bは24時間の時間におけるキトサンマイクロカプセルを示す。pH7において、24時間までではキトサンマイクロカプセルの形状および大きさにはほとんど変化が観察されない。加えて、キトサンマイクロカプセルから放出されたローダミン染料の量を、室温において12週間までの間特性づけた。キトサンCPC封入マイクロカプセルから放出されたローダミン染料は0.1%より少なかった。
【0049】
[0058] 図2は、1%ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)の存在下でのキトサンCPC封入マイクロカプセルの化学的安定性を示す。1%SLS中で、4週間の時間の後に、0.1%より少ないキトサンマイクロカプセルが壊れていた。加えて、SLS−CPC相互作用による沈殿は観察されなかった。
【0050】
[0059] 図3および4は、酸性および塩基性のpH条件におけるキトサン、CPC−封入マイクロカプセルの化学的安定性を示す。図3は、キトサンマイクロカプセルが、水性環境で、pH4において24時間までの間安定であることを示す。図4は、キトサンマイクロカプセルが、水性環境で、pH9において24時間までの間安定であることを示す。
【0051】
[0060] 図5a〜5cは、様々なせん断速度におけるキトサン、CPC−封入マイクロカプセルの機械的安定性を示す。図5aは、0/sのせん断速度(すなわち、せん断なし)にさらされたキトサンマイクロカプセル、すなわち対照を示す。図5bは、100/sのせん断速度にさらされたキトサンマイクロカプセルを示す。図5cは、500/sのせん断速度にさらされた、CPCが活発に放出される状態におけるキトサンマイクロカプセルを示す。
【0052】
[0061] 図6aおよび6bは、CPC有りおよび無しで作られたポリマーマイクロカプセルの大きさを示す。図6aは、FD&C青色#1のみ有り、かつCPC無しで作られたポリマーマイクロカプセルの大きさを示す。図6bは、FD&C青色#1およびCPC有りで作られたポリマーマイクロカプセルの大きさを示す。CPCがエマルジョンに添加されると、それは水の小滴の融合を抑制し、これが結果としてその後により小さいカプセルをもたらす。
【0053】
[0062] このように、より単純な加工の提供に加え、この方法は、様々な水溶性、生体適合性、および粘膜吸着性でさえあるポリマーが使用できる可能性があるという利点を提供する。
【0054】
実施例2
[0063] 様々な歯磨剤配合物の実施例は、本発明をさらに深く説明するものであり、本発明を限定することを意図するものでは決して無い。その配合物は、本発明に従って生産されるCPC封入マイクロカプセルで作られる。
【0055】
[0064] 表1は、リン酸塩を有する歯磨剤組成物を提供する。表2は、Gantrezコポリマーを有する歯磨剤組成物を提供する。表3は、PCCを有する歯磨剤組成物を提供する。表4は、液体配合物を用いた歯磨剤組成物を提供する。
【0056】
表1
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】
表3
【0060】
【表3】
【0061】
表4
【0062】
【表4】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー性マイクロカプセルにより封入された第四級アンモニウム塩を含む組成物であって、第四級アンモニウム塩が次の構造により表される陽イオン:
【化1】
ここでR1、R2、およびR3はそれぞれ独立してアルキル基もしくは水素原子であり、またはR1およびR2は一緒に環構造を形成していてよい;ならびに
ハロゲンイオン、塩化物イオン、臭化物イオン、およびフッ化物イオンからなるグループから選択される陰イオンを含む組成物。
【請求項2】
請求項1の組成物であって、陽イオンが次の構造により表される組成物:
【化2】
ここでR3は5〜25個の炭素原子を有するアルキル基である。
【請求項3】
請求項2の組成物であって、R3が10〜20個の炭素原子を有するアルキル基である組成物。
【請求項4】
請求項2の組成物であって、構造が少なくとも3個の非置換の結合を含む組成物。
【請求項5】
請求項1の組成物であって、第四級アンモニウム塩が塩化セチルピリジニウムである組成物。
【請求項6】
請求項1の組成物であって、さらに次のものからなるグループから選択される有効薬剤を含む組成物;第一スズイオン剤、トリクロサン、トリクロサン一リン酸、クロルヘキシジン、アレキシジン、ヘキセチジン、サンギナリン、塩化ベンザルコニウム、サリチルアニリド、アルギン酸エステル類、エチルラウリルアルギネート、ビスフェノール類、臭化ドミフェン、塩化テトラデシルピリジニウム(TPC)、N−テトラデシル−4−エチルピリジニウムクロリド(TDEPC)、オクテニジン、デルモピノール、オクタピノール、ナイシン、亜鉛イオン剤、銅イオン剤、精油、フラノン類、バクテリオシン類、およびそれらの塩類。
【請求項7】
請求項1の組成物であって、ポリマー性マイクロカプセルがキチン、キトサン、ポリカプロラクトン、およびポリアクリル酸の少なくとも1種類を含む組成物。
【請求項8】
請求項5の組成物であって、さらにフッ化物イオンの供給源を含む組成物。
【請求項9】
次のことを含む、抗菌性歯磨剤を製造するための方法:
第四級アンモニウム塩をポリマー性マイクロカプセルの内部に封入する;および
歯磨剤を封入された第四級アンモニウム塩と混合する。
【請求項10】
請求項9の方法であって、第四級アンモニウム塩が塩化セチルピリジニウムである方法。
【請求項11】
請求項10の方法であって、さらにフッ化物イオンの供給源を歯磨剤と混合することを含む方法。
【請求項12】
約5ミクロン〜約50ミクロンの平均直径を有するポリマー性マイクロカプセルにより封入された第四級アンモニウム塩を生産する方法であって、次のことを含む方法:
(a)第四級アンモニウム塩を水相に溶解する;
(b)溶解されたポリマーを有する疎水性有機溶媒内に水相を分散させて溶液を形成する;
(c)溶液を外部の水相中に分散させる;および
(d)工程(c)の外部の水相から溶媒を除去して第四級アンモニウム塩を封入したポリマー性マイクロカプセルを形成する。
【請求項13】
請求項12の方法であって、第四級アンモニウム塩が次の構造により表される陽イオン:
【化3】
ここでR1、R2、およびR3はそれぞれ独立してアルキル基もしくは水素原子であり、またはR1およびR2は一緒に環構造を形成していてよい;ならびに
ハロゲンイオン、塩化物イオン、臭化物イオン、およびフッ化物イオンからなるグループから選択される陰イオンを含む方法。
【請求項14】
請求項13の方法であって、陽イオンが次の構造により表される方法:
【化4】
ここでR3は5〜25個の炭素原子を有するアルキル基である。
【請求項15】
請求項14の方法であって、R3が10〜20個の炭素原子を有するアルキル基である方法。
【請求項16】
請求項14の方法であって、構造が少なくとも3個の非置換の結合を含む方法。
【請求項17】
請求項12の方法であって、第四級アンモニウム塩が塩化セチルピリジニウムである方法。
【請求項18】
請求項12の方法であって、ポリマー性マイクロカプセルがキチン、キトサン、ポリカプロラクトン、およびポリアクリル酸の少なくとも1種類を含む方法。
【請求項19】
請求項12に従って生産されるポリマー性マイクロカプセルにより封入された第四級アンモニウム塩を含む個人用ケア製品。
【請求項20】
請求項19の個人用ケア製品であって、さらにフッ化物イオンの供給源を含む個人用ケア製品。
【請求項21】
約5ミクロン〜約50ミクロンの平均直径を有するポリマー性マイクロカプセルにより封入された第四級アンモニウム塩を生産する方法であって、次のことを含む方法:
(a)ポリマーおよび第四級アンモニウム塩を水相に溶解する;
(b)水相を、油中水エマルジョン滴として分散させる;ならびに
(c)工程(b)のエマルジョンを高温で攪拌して水相を蒸発させ、第四級アンモニウム塩を封入したポリマー性マイクロカプセルを形成する。
【請求項22】
請求項21の方法であって、第四級アンモニウム塩が次の構造により表される陽イオン:
【化5】
ここでR1、R2、およびR3はそれぞれ独立してアルキル基もしくは水素原子であり、またはR1およびR2は一緒に環構造を形成していてよい;ならびに
ハロゲンイオン、塩化物イオン、臭化物イオン、およびフッ化物イオンからなるグループから選択される陰イオンを含む方法。
【請求項23】
請求項22の方法であって、陽イオンが次の構造により表される方法:
【化6】
ここでR3は5〜25個の炭素原子を有するアルキル基である。
【請求項24】
請求項23の方法であって、R3が10〜20個の炭素原子を有するアルキル基である方法。
【請求項25】
請求項23の方法であって、構造が少なくとも3個の非置換の結合を含む方法。
【請求項26】
請求項21の方法であって、第四級アンモニウム塩が塩化セチルピリジニウムである方法。
【請求項27】
請求項21の方法であって、高い温度が約95℃〜約100℃である方法。
【請求項28】
請求項21の方法であって、ポリマー性マイクロカプセルがキチン、キトサン、ポリカプロラクトン、およびポリアクリル酸の少なくとも1種類を含む方法。
【請求項29】
請求項28に従って生産されたポリマー性マイクロカプセルにより封入された第四級アンモニウム塩を含む個人用ケア製品。
【請求項30】
請求項29の個人用ケア製品であって、さらにフッ化物イオンの供給源を含む個人用ケア製品。
【請求項31】
第四級アンモニウム塩を含むポリマー性マイクロカプセルであって、第四級アンモニウム塩が次の構造により表される陽イオン:
【化7】
ここでR1、R2、およびR3はそれぞれ独立してアルキル基もしくは水素原子であり、またはR1およびR2は一緒に環構造を形成していてよい;ならびに
ハロゲンイオン、塩化物イオン、臭化物イオン、およびフッ化物イオンからなるグループから選択される陰イオンを含むポリマー性マイクロカプセル。
【請求項32】
請求項31のポリマー性マイクロカプセルであって、陽イオンが次の構造により表されるポリマー性マイクロカプセル:
【化8】
ここでR3は5〜25個の炭素原子を有するアルキル基である。
【請求項33】
請求項32のポリマー性マイクロカプセルであって、R3が10〜20個の炭素原子を有するアルキル基であるポリマー性マイクロカプセル。
【請求項34】
請求項32のポリマー性マイクロカプセルであって、構造が少なくとも3個の非置換の結合を含むポリマー性マイクロカプセル。
【請求項35】
請求項32のポリマー性マイクロカプセルであって、第四級アンモニウム塩が塩化セチルピリジニウムであるポリマー性マイクロカプセル。
【請求項36】
請求項31のポリマー性マイクロカプセルであって、さらに次のものからなるグループから選択される有効薬剤を含むポリマー性マイクロカプセル;第一スズイオン剤、トリクロサン、トリクロサン一リン酸、クロルヘキシジン、アレキシジン、ヘキセチジン、サンギナリン、塩化ベンザルコニウム、サリチルアニリド、アルギン酸エステル類、エチルラウリルアルギネート、ビスフェノール類、臭化ドミフェン、塩化テトラデシルピリジニウム(TPC)、N−テトラデシル−4−エチルピリジニウムクロリド(TDEPC)、オクテニジン、デルモピノール、オクタピノール、ナイシン、亜鉛イオン剤、銅イオン剤、精油、フラノン類、バクテリオシン類、それらの塩類;およびそれらの混合物。
【請求項1】
ポリマー性マイクロカプセルにより封入された第四級アンモニウム塩を含む組成物であって、第四級アンモニウム塩が次の構造により表される陽イオン:
【化1】
ここでR1、R2、およびR3はそれぞれ独立してアルキル基もしくは水素原子であり、またはR1およびR2は一緒に環構造を形成していてよい;ならびに
ハロゲンイオン、塩化物イオン、臭化物イオン、およびフッ化物イオンからなるグループから選択される陰イオンを含む組成物。
【請求項2】
請求項1の組成物であって、陽イオンが次の構造により表される組成物:
【化2】
ここでR3は5〜25個の炭素原子を有するアルキル基である。
【請求項3】
請求項2の組成物であって、R3が10〜20個の炭素原子を有するアルキル基である組成物。
【請求項4】
請求項2の組成物であって、構造が少なくとも3個の非置換の結合を含む組成物。
【請求項5】
請求項1の組成物であって、第四級アンモニウム塩が塩化セチルピリジニウムである組成物。
【請求項6】
請求項1の組成物であって、さらに次のものからなるグループから選択される有効薬剤を含む組成物;第一スズイオン剤、トリクロサン、トリクロサン一リン酸、クロルヘキシジン、アレキシジン、ヘキセチジン、サンギナリン、塩化ベンザルコニウム、サリチルアニリド、アルギン酸エステル類、エチルラウリルアルギネート、ビスフェノール類、臭化ドミフェン、塩化テトラデシルピリジニウム(TPC)、N−テトラデシル−4−エチルピリジニウムクロリド(TDEPC)、オクテニジン、デルモピノール、オクタピノール、ナイシン、亜鉛イオン剤、銅イオン剤、精油、フラノン類、バクテリオシン類、およびそれらの塩類。
【請求項7】
請求項1の組成物であって、ポリマー性マイクロカプセルがキチン、キトサン、ポリカプロラクトン、およびポリアクリル酸の少なくとも1種類を含む組成物。
【請求項8】
請求項5の組成物であって、さらにフッ化物イオンの供給源を含む組成物。
【請求項9】
次のことを含む、抗菌性歯磨剤を製造するための方法:
第四級アンモニウム塩をポリマー性マイクロカプセルの内部に封入する;および
歯磨剤を封入された第四級アンモニウム塩と混合する。
【請求項10】
請求項9の方法であって、第四級アンモニウム塩が塩化セチルピリジニウムである方法。
【請求項11】
請求項10の方法であって、さらにフッ化物イオンの供給源を歯磨剤と混合することを含む方法。
【請求項12】
約5ミクロン〜約50ミクロンの平均直径を有するポリマー性マイクロカプセルにより封入された第四級アンモニウム塩を生産する方法であって、次のことを含む方法:
(a)第四級アンモニウム塩を水相に溶解する;
(b)溶解されたポリマーを有する疎水性有機溶媒内に水相を分散させて溶液を形成する;
(c)溶液を外部の水相中に分散させる;および
(d)工程(c)の外部の水相から溶媒を除去して第四級アンモニウム塩を封入したポリマー性マイクロカプセルを形成する。
【請求項13】
請求項12の方法であって、第四級アンモニウム塩が次の構造により表される陽イオン:
【化3】
ここでR1、R2、およびR3はそれぞれ独立してアルキル基もしくは水素原子であり、またはR1およびR2は一緒に環構造を形成していてよい;ならびに
ハロゲンイオン、塩化物イオン、臭化物イオン、およびフッ化物イオンからなるグループから選択される陰イオンを含む方法。
【請求項14】
請求項13の方法であって、陽イオンが次の構造により表される方法:
【化4】
ここでR3は5〜25個の炭素原子を有するアルキル基である。
【請求項15】
請求項14の方法であって、R3が10〜20個の炭素原子を有するアルキル基である方法。
【請求項16】
請求項14の方法であって、構造が少なくとも3個の非置換の結合を含む方法。
【請求項17】
請求項12の方法であって、第四級アンモニウム塩が塩化セチルピリジニウムである方法。
【請求項18】
請求項12の方法であって、ポリマー性マイクロカプセルがキチン、キトサン、ポリカプロラクトン、およびポリアクリル酸の少なくとも1種類を含む方法。
【請求項19】
請求項12に従って生産されるポリマー性マイクロカプセルにより封入された第四級アンモニウム塩を含む個人用ケア製品。
【請求項20】
請求項19の個人用ケア製品であって、さらにフッ化物イオンの供給源を含む個人用ケア製品。
【請求項21】
約5ミクロン〜約50ミクロンの平均直径を有するポリマー性マイクロカプセルにより封入された第四級アンモニウム塩を生産する方法であって、次のことを含む方法:
(a)ポリマーおよび第四級アンモニウム塩を水相に溶解する;
(b)水相を、油中水エマルジョン滴として分散させる;ならびに
(c)工程(b)のエマルジョンを高温で攪拌して水相を蒸発させ、第四級アンモニウム塩を封入したポリマー性マイクロカプセルを形成する。
【請求項22】
請求項21の方法であって、第四級アンモニウム塩が次の構造により表される陽イオン:
【化5】
ここでR1、R2、およびR3はそれぞれ独立してアルキル基もしくは水素原子であり、またはR1およびR2は一緒に環構造を形成していてよい;ならびに
ハロゲンイオン、塩化物イオン、臭化物イオン、およびフッ化物イオンからなるグループから選択される陰イオンを含む方法。
【請求項23】
請求項22の方法であって、陽イオンが次の構造により表される方法:
【化6】
ここでR3は5〜25個の炭素原子を有するアルキル基である。
【請求項24】
請求項23の方法であって、R3が10〜20個の炭素原子を有するアルキル基である方法。
【請求項25】
請求項23の方法であって、構造が少なくとも3個の非置換の結合を含む方法。
【請求項26】
請求項21の方法であって、第四級アンモニウム塩が塩化セチルピリジニウムである方法。
【請求項27】
請求項21の方法であって、高い温度が約95℃〜約100℃である方法。
【請求項28】
請求項21の方法であって、ポリマー性マイクロカプセルがキチン、キトサン、ポリカプロラクトン、およびポリアクリル酸の少なくとも1種類を含む方法。
【請求項29】
請求項28に従って生産されたポリマー性マイクロカプセルにより封入された第四級アンモニウム塩を含む個人用ケア製品。
【請求項30】
請求項29の個人用ケア製品であって、さらにフッ化物イオンの供給源を含む個人用ケア製品。
【請求項31】
第四級アンモニウム塩を含むポリマー性マイクロカプセルであって、第四級アンモニウム塩が次の構造により表される陽イオン:
【化7】
ここでR1、R2、およびR3はそれぞれ独立してアルキル基もしくは水素原子であり、またはR1およびR2は一緒に環構造を形成していてよい;ならびに
ハロゲンイオン、塩化物イオン、臭化物イオン、およびフッ化物イオンからなるグループから選択される陰イオンを含むポリマー性マイクロカプセル。
【請求項32】
請求項31のポリマー性マイクロカプセルであって、陽イオンが次の構造により表されるポリマー性マイクロカプセル:
【化8】
ここでR3は5〜25個の炭素原子を有するアルキル基である。
【請求項33】
請求項32のポリマー性マイクロカプセルであって、R3が10〜20個の炭素原子を有するアルキル基であるポリマー性マイクロカプセル。
【請求項34】
請求項32のポリマー性マイクロカプセルであって、構造が少なくとも3個の非置換の結合を含むポリマー性マイクロカプセル。
【請求項35】
請求項32のポリマー性マイクロカプセルであって、第四級アンモニウム塩が塩化セチルピリジニウムであるポリマー性マイクロカプセル。
【請求項36】
請求項31のポリマー性マイクロカプセルであって、さらに次のものからなるグループから選択される有効薬剤を含むポリマー性マイクロカプセル;第一スズイオン剤、トリクロサン、トリクロサン一リン酸、クロルヘキシジン、アレキシジン、ヘキセチジン、サンギナリン、塩化ベンザルコニウム、サリチルアニリド、アルギン酸エステル類、エチルラウリルアルギネート、ビスフェノール類、臭化ドミフェン、塩化テトラデシルピリジニウム(TPC)、N−テトラデシル−4−エチルピリジニウムクロリド(TDEPC)、オクテニジン、デルモピノール、オクタピノール、ナイシン、亜鉛イオン剤、銅イオン剤、精油、フラノン類、バクテリオシン類、それらの塩類;およびそれらの混合物。
【図1a】
【図1b】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図4a】
【図4b】
【図5b】
【図5c】
【図5a】
【図6a】
【図6b】
【図1b】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図4a】
【図4b】
【図5b】
【図5c】
【図5a】
【図6a】
【図6b】
【公表番号】特表2010−524853(P2010−524853A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−502178(P2010−502178)
【出願日】平成20年3月12日(2008.3.12)
【国際出願番号】PCT/US2008/056654
【国際公開番号】WO2008/121518
【国際公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PYREX
【出願人】(590002611)コルゲート・パーモリブ・カンパニー (147)
【氏名又は名称原語表記】COLGATE−PALMOLIVE COMPANY
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月12日(2008.3.12)
【国際出願番号】PCT/US2008/056654
【国際公開番号】WO2008/121518
【国際公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PYREX
【出願人】(590002611)コルゲート・パーモリブ・カンパニー (147)
【氏名又は名称原語表記】COLGATE−PALMOLIVE COMPANY
【Fターム(参考)】
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