説明

管の機械加工方法

本発明は、コンピュータ制御された管の機械加工、特に、レーザによる管の切断のための方法に関する。上記方法は、以下のステップを備えている。
−或る長さの管を供給するステップと、
−コンピュータ制御された機械加工ステーションに上記供給された管を配置するステップと、
−上記供給された管を機械加工するために、上記機械加工ステーションを制御するためのプログラムを実行するステップと、
−上記コンピュータ制御された機械加工ステーションに上記管を配置する前に、上記供給された長さの管の寸法を計測するステップ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータ制御された管の機械加工、特に、レーザ/プラズマ及び水による管の切断のための方法に関する。上記方法は、以下のステップを備えている。
−或る長さの管を供給するステップと、
−コンピュータ制御された機械加工ステーション(machining station)に上記供給された管を配置するステップと、
−上記供給された管を機械加工するために、上記機械加工ステーションを制御するためのプログラムを実行するステップ。
【0002】
従来技術による管のための機械加工ステーションは、管に対する何種類かの機械加工、例えば、孔開け加工、管から各部品を切り出すレーザ切断加工、管を2つに切断する、のこぎり加工、又は管表面の研削加工を行う。上記従来技術による機械加工ステーションは、上記管に対して所望の機械加工を行うために、機械の工具を所望の位置に移動させるためのプログラムを実行する。これらのプログラムは、或る寸法を有する管が現在、機械加工ステーション内にあると想定している。
【0003】
管は、材料の押し出しによって製造されうる。このことは、プラスチック管又はアルミニウム管の製造に一般的に用いられる。管は、ストリップを管に成形して溶接することによっても製造されうる。この種の製造は、鋼管の製造にしばしば用いられる。
【0004】
これらの製造工程の結果、管の寸法、特に管の横断面の寸法は、管の所望の寸法に関する或る一定の許容をもたらしながら異なりうる。
【0005】
所要の機械加工精度が管の許容誤差と同じ範囲内にある場合、従来技術の機械加工ステーションで機械加工された管が所要の精度内にあるのを保証することは、もはやできない。このことは、機械加工ステーション上で実行されるプログラム中の想定の結果、すなわち、管が或る寸法を有しているということである。例えば、正方形横断面を有する管の表面中央内に、ドリル加工された孔を有することが望ましいとする。もし、機械加工ステーションが、表面の縁から孔の位置を算出し、表面が或る幅を有していると想定すると、孔の実際の位置での、ずれが生じうる。もし、管の実際の幅が想定されていた幅よりも小さい又は大きい場合、孔の位置での、ずれが生じるだろう。また、これらの誤差は、管の横断面形状での、ずれの結果として生じうる。
【0006】
本発明の目的は、上述した不利益が軽減される、コンピュータ制御された管の機械加工のための方法を提供することである。
【0007】
この目的は、上述した方法によって達成される。上述した方法は、コンピュータ制御された機械加工ステーションに管を配置する前に、供給された長さの管の寸法を計測することを特徴としている。
【0008】
コンピュータ制御された機械加工ステーション内に配置される前、又は配置される間に管を計測することによって、管が所要の許容範囲内にあるか否かがわかる。このことは、計測に基づいて管を受け付けないこと、又は機械加工ステーション上で実行されるプログラムを調整することを可能にしている。
【0009】
本発明の好適な実施形態では、上記計測された寸法は、上記管の横断面寸法を含んでいる。管の横断面が、仮想形状から外れる場合、結果として生じる機械加工動作は、かなりのずれを有しうる。例えば、正方形管は、2つの対向する面に孔を有していなければならず、この孔は位置合わせされなければならないとする。正方形管横断面が実際には僅かに台形であるとき、正方形管を想定する機械加工動作に起因する孔は、もはや位置合わせされない。しかしながら、横断面寸法が機械加工前に計測されたとき、管の実際の横断面は想定されていた正方形横断面の代わりに台形であるが、上記プログラムは、孔がまだ位置合わせされる位置で機械加工されるように、ずれを考慮に入れることができる。
【0010】
好ましくは、上記管の横断面寸法は、上記管の長さに沿ったいくつかの位置で計測される。横断面が管の長さ方向にわたって変化することも可能であろうし、起こりうるねじれも計測される。
【0011】
既述のように、上記供給された長さの管のいかなるずれをも修正するために、上記プログラムを実行中に上記計測された寸法が使用されるのは、本発明に係る方法についての非常に好適な実施形態である。
【0012】
さらに本発明の別の実施形態では、或る長さの管は、異なる横断面を有するいくつかの長さの管の中から供給される。コンピュータ制御された機械加工ステーション上で実行されるプログラムは、上記供給された長さの管についての上記計測された寸法に基づいて選択される。
【0013】
このことは、誰かが、必要な管を任意に選び、機械加工ステーションへ、任意の長さの管を機械加工ステーションに供給させることを可能にしている。機械加工ステーションは、いくつかの異なる長さを供給するために、一般的に用いられている。幾つかの長さは、或る長さの管の一部を必要としている。或る長さの管が、機械加工ステーションに配置される場合、異なる長さの各部は、1つの長さの管から製造されうる。任意の長さの管が供給される場合、どの長さの、どの部分が、上記供給された管で製造されうるかは、管の計測値に基づいて決定されうる。
【0014】
さらに、本発明に係る方法に関する別の実施形態では、上記計測された管は、例えば、管の表面にコードを印刷することによって、マークを有している。また、管が計測されるとき、管の各部にマークを付けることもでき、これによって、例えば、管を機械加工した後の管の取扱いが容易になる。1つの管の長さから、いくつかの長さのいくつかの部品が製造される場合、マークは、どの部品がどの長さのものであるかを示すことができる。
【0015】
さらに、統計値を算出するために計測されたデータを使用するのが好ましい。これらの統計データは、例えば、管の品質をチェックするために使用されうる。
【0016】
また、機械加工ステーションを制御するためのプログラムは、算出された統計値を考慮に入れることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明の上述した特徴及び他の特徴は、添付図と共に説明される。
【図1】本発明に係る方法での、一実施形態の各ステップを示す概略図である。
【図2A】管の想定された形状示す概略図である。
【図2B】管の計測された形状示す概略図である。
【0018】
本発明に係る方法の実施形態である4つのステップA−Dを、図1に示す。
【0019】
ステップAで、いくつかの管1は、様々な断面形状を有している。ステップBで、管2のうちの1つが、この管1の不ぞろいな集合の中から選ばれる。この実施例では、選択された管2は、正方形断面を有している。
【0020】
上記断面は、略正方形であるが、実際の形状は異なっている。したがって、ステップCで、管2は、計測装置3によって計測される。この計測装置3は、管2の長さ方向に沿って異なる位置で、管2の寸法を計測する。これらの計測は、従来の方法で行われうる。例えば、計測装置3は、管の表面に沿って動かされるプローブを使用し、例えば、超音波及び画素型の計測装置として接触及び非接触の計測装置を使用しうる。
【0021】
計測装置3の計測結果をステップDに示す。若干大げさであるが、管2の横断面4は全く正方形ではないことが明らかである。
【0022】
特定の断面4での管2の正確な形状が知られているので、機械加工ステーションの制御部は、管3にいくつかの機械加工を施すとき、想定された形状からのこのずれを考慮に入れることができる。
【0023】
機械加工後における管3の所望の形状5を図2Aに示す。この所望の形状5において、上記管は、完全な正方形断面を有している。上面6及び底面7において、孔8,9は、y軸と一直線になるように配置されている。
【0024】
上述したように、管2の真の形状は計測される。この計測された断面4を図1のステップDに示す。
【0025】
機械加工ステーションのコントローラは、想定された形状5を上記計測された形状4と比較することによって、上記ずれをすぐに考慮に入れることができる。上記計測された形状5は台形なので、上記コントローラは、事前に規定された規則に基づいて、まだ孔8及び9が一直線になるようにy軸を傾ける決定をすることができる。
【0026】
修正された形状10を図2Bに示す。この修正された形状10において、y’軸は、元のY軸に対して傾いている。また、孔8’及び9’は、まだ孔8’及び9’が一直線になるように傾けられていて、ロッドが両方の孔8’及び9’に挿入されうる。上記管の計測中、管は機械取付金具内に保持され、固定されている。機械の仮想x軸及びy軸と、上記固定された管からのx軸及びy軸とは、角度において異なる場合がある。そして、管の形状は、機械の取付金具で保持される理論上の形状とは異なっている場合がある。このため、修正されなければならない2つのずれがある。
【0027】
想定された形状5をどのように修正するかについての選択は、或る形状についての要素の機能に基づくべきである。図2A及び2Bに示す例において、ロッド又は管は、孔8’及び9’に挿入されなければならない。したがって、修正するとき、孔8’及び9’が依然として1本の軸y’の上にあり、孔8’及び9’の側壁は、この軸y’に対して平行であることが必要である。
【0028】
管フレームの部品を製造するために本発明に係る方法を使用する場合、或る管が、別の管に作られた孔に挿入されなければならない状況が起こりうる。挿入される管が、直径に関して想定されていたものよりも大きいとき、管フレームを組み立てられないということが起こりうる。なぜなら、上記孔は、想定された直径で製造されているからである。もちろん、上記孔は、より大きい管にさえ合うくらい大きく作られうるが、ロジスティックアルゴリズム(logistic algorithm)を使用することによって、そのような状況を回避することができる。そのようなアルゴリズムは、どの管が最初に計測され、製造されるべきであるかを決めるはずである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ制御された管の機械加工、特に、レーザ,プラズマ及び水による管の切断のための方法であって、この方法は、
或る長さの管を供給するステップと
コンピュータ制御された機械加工ステーションに上記供給された管を配置するステップと、
上記供給された管を機械加工するために、上記機械加工ステーションを制御するためのプログラムを実行するステップと
を備え、
上記コンピュータ制御された上記機械加工ステーションに上記管を配置する前に、上記供給された長さの管の寸法を計測するステップを備えていることを特徴とするコンピュータ制御された管の機械加工方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
上記計測された寸法は、上記管の横断面寸法を含むことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法において、
上記管の横断面寸法は、上記管の長さに沿ったいくつかの位置で計測されることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載の方法において、
上記供給された長さの管のいかなるずれをも修正するために、上記プログラムを実行中に上記計測された寸法が使用されることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1つに記載の方法において、
或る長さの管は、異なる横断面を有するいくつかの長さの管の中から供給され、
上記コンピュータ制御された上記機械加工ステーション上で実行されるプログラムは、上記供給された長さの管についての上記計測された寸法に基づいて選択されることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1つに記載の方法において、
上記計測された管は、例えば、上記管の表面にコードを印刷又はレーザ印刷することによって、マークを有していることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1つに記載の方法において、
上記計測されたデータは、統計値を算出するために使用されることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法において、
上記機械加工ステーションを制御するためのプログラムは、上記算出された統計値を考慮に入れることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【公表番号】特表2012−517905(P2012−517905A)
【公表日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−549553(P2011−549553)
【出願日】平成22年2月11日(2010.2.11)
【国際出願番号】PCT/EP2010/051691
【国際公開番号】WO2010/092105
【国際公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(511188705)
【氏名又は名称原語表記】Carel Johannes Wilhelm Theodoor VAN SORGEN
【Fターム(参考)】