説明

籾摺装置

【課題】
本発明は風選された粃を機体正面側以外からも取り出せる構成とすることで、作業性の良い籾摺機にすることを課題とする。
【解決手段】
風選部(H)には風選室(7,8)で風選された粃を処理する粃処理部(S)を設け、粃処理部(S)は上下二段の粃受樋(12,13)内にそれぞれ粃ラセン(14,15)を内装し、上段の粃ラセン(14)と下段の粃ラセン(15)のいずれか一方を操作部(Z)側に、他方を伝動部(D)側に粃を搬送する構成とし、風選室(7,8)で風選された粃が供給される上段の粃受樋(12)の底部には下段の粃受樋(13)に連通する開口部(12a)と、該開口部(12a)を開閉する開閉手段(21)を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、籾摺装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、風選された粃を機体の正面側に設けた揚穀機で籾ホッパに戻す籾摺選別機の構成について記載されている。また、この籾摺選別機では粃を機体正面側に取り出すための切り替え手段を設けていることについて記載されている。
【特許文献1】特開2000‐15120号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1では粃を機体正面側にしか取り出せない。
本発明は風選された粃を機体正面側以外からも取り出せる構成とすることで、作業性の良い籾摺機にすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上記課題を解決するために以下のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1記載の発明は、籾を脱ぷする籾摺部(M)と、籾摺部(M)で脱ぷされた脱ぷ米を籾殻と粃と混合米とに風選する風選部(H)と、運転スイッチあるいは各種操作レバーを設けた操作部(Z)と、籾摺部(M)に動力を伝動する伝動部(D)とを設け、操作部(Z)と伝動部(D)は風選部(H)を挟んで機体正面側と背面側にそれぞれ設け、風選部(H)には風選室(7,8)で風選された粃を処理する粃処理部(S)を設け、粃処理部(S)は上下二段の粃受樋(12,13)内にそれぞれ粃ラセン(14,15)を内装し、上段の粃ラセン(14)と下段の粃ラセン(15)のいずれか一方を操作部(Z)側に、他方を伝動部(D)側に粃を搬送する構成とし、風選室(7,8)で風選された粃が供給される上段の粃受樋(12)の底部には下段の粃受樋(13)に連通する開口部(12a)と、該開口部(12a)を開閉する開閉手段(21)を設けたことを特徴とする籾摺装置とする。
【0005】
この発明によると、風選室(7,8)で風選された粃は上段の粃受樋(12)に供給されるが、上段の粃ラセン(14)で機外に取り出す場合には、開閉手段(21)は開口部(12a)を閉じ状態にしておく。また、下段の粃ラセン(15)で機外に取り出すときには、開閉手段(21)を開いて開口部(12a)を開放する。すると、上段の粃受樋(12)に供給された粃が開口部(12a)を通過して下段の粃受樋(13)に供給され下段の粃ラセン(15)で機外に搬送される。
【0006】
また、請求項2記載の発明は、上段の粃ラセン(14)を操作部(Z)側に、下段の粃ラセン(15)を伝動部(D)側にそれぞれ粃を搬送する構成としたことを特徴とする請求項1記載の籾摺装置とする。
【0007】
また、請求項3記載の発明は、伝動部(D)側に籾摺部(M)に穀粒を揚穀する揚穀機(20)を設け、該揚穀機(20)には伝動部(D)側に搬送する粃ラセンで搬送された粃を揚穀機(20)内に案内する粃案内受体(20a)を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の籾摺装置。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の発明によると、上段の粃ラセン(14)又は下段の粃ラセン(15)で、伝動部(D)側又は操作部(Z)側の所望の方向に粃を排出することができるため、作業性の向上を図ることができる。
【0009】
請求項2記載の発明によると、上段の粃ラセン(14)を操作部(Z)側に、下段の粃ラセン(15)を伝動部(D)側にそれぞれ粃を搬送する構成としたことで、操作部側での粃の取り出し高さ位置を所定高さにすることができるため、作業者が粃を取り出しやすくすることができると共に、伝動部(D)側の取り出し高さを低くすることで、各種伝動装置の配置を邪魔し難くすることができる。
【0010】
請求項3記載の発明によると、粃を籾摺部(M)に戻す場合に、伝動部(D)側の揚穀機(20)を利用することで、操作部(Z)側の空間を広くすることができ、各種操作の操作性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
発明を実施するための籾摺選別機について説明する。本実施の形態では作業者が運転を操作する運転スイッチ(図示せず)あるいは各種操作レバー(図示せず)を設けた操作部Z側を正面と呼び、後述の排塵筒11から玄米昇降機39に至る機体長手方向を左右側と呼び、後述の伝動部Dや籾昇降機20や混合米昇降機32側を背面と呼ぶ。
【0012】
1は籾を貯留する籾ホッパで、籾ホッパ1の底部には籾の供給及び供給の停止を行なうシャッタ弁2を設け、シャッタ弁2の開閉はシャッタモータ72で行なう構成である。シャッタ弁2の近傍には回転駆動して籾の供給を促進する籾供給ロール3を設けている。シャッタ弁2及び籾供給ロール3の下方には籾を脱ぷする一対の籾摺ロール4を設けている。本実施の形態では籾ホッパ1とシャッタ弁2と籾供給ロール3と籾摺ロール4とを総称して籾摺部Mと呼ぶ。
【0013】
籾摺ロール4の下方には籾摺ロール4間を通過した籾・玄米の混合米が衝突して拡散する拡散板5を設け、拡散板5の下方には拡散した混合米を風選部Hに案内する混合米案内板6を設けている。
【0014】
風選部Hは斜めに形成する上風選室7及び下風選室8を上下方向に重ねて形成し、下風選室8の混合米流下板8aの下端部を混合米ラセン樋9に接続している。
下風選室8の途中には風選された粃が粃処理部Sに落下する粃落下口8bを設け、下風選室8と上風選室7における風選物搬送終端側を機体の左右一側に配置して設ける吸引ファン10に臨むべく構成し、吸引ファン10の排出側には風選物を機外に排出する排塵筒11を設けている。なお、18は風選室7,8内の風量を調節するための風力調節板である。
【0015】
粃処理部Sは上下方向に上粃受樋12と下粃受樋13を重ねて配置し、上粃受樋12の内部には上粃ラセン14を内装し、下粃受樋13内には下粃ラセン15を内装する構成である。そして、上粃ラセン14は操作部Z側、すなわち機体正面側に向かって粃を搬送するように構成し、搬送終端側の上粃ラセン14のラセン軸14aは図2に示すように風選部Hの側板Kより外側に突出して設け、その突出部分を機外排出案内樋16で覆う構成としている。下粃ラセン15は伝動部D側、すなわち機体背面側に向かって搬送する構成とし、その搬送終端側を風選部Hの側板Kより外側に突出して設け、その突出部分を粃戻し案内筒19で覆う構成とし、粃戻し案内筒19は籾ホッパ1に籾を供給する籾昇降機20に接続する構成としている。
【0016】
上粃受樋12の上部は開口し、粃落下口8bと連通する構成とし、底部は下粃受樋13に連通する開口部12aを形成している。また、機外排出案内樋16の底部には機外に連通する開口部16aを形成している。そして、開口部12aと開口部16aを開閉する開閉シャッタ21を設けている。
【0017】
開閉シャッタ21は機外排出案内樋16の開口部16aを開閉するスライド式の開閉シャッタ部21bと、上粃受樋12の開口部12aを開閉するスライド式の開閉シャッタ部21cと、開閉シャッタ部21bを支持する支持アーム21dと、開閉シャッタ部21cを支持する支持アーム21eと、支持アーム21dと支持アーム21eとを左右横方向に横スライドさせるための回動軸21fと、該回動軸21fを図示しないリンク機構を介して横軸芯に回動させる操作レバー21gとを設けている。また、開閉シャッタ部21bには開口部16aと略同じ面積の開口部21hを形成している。
【0018】
混合米受樋30内には機体背面側に設ける混合米昇降機32に混合米を搬送する混合米ラセン31を内装している。混合米昇降機32の搬送終端側には混合米を一次貯留する混合米タンク33を設けている。混合米タンク33とシャッタ弁2とはリンク部材75で連結しており、混合米タンク33内に貯留される混合米の量に応じてシャッタ弁2の開度が調節され籾摺ロール4に供給する籾の量を調節する構成である。リンク部材75は途中籾昇降機20で支持される構成であり、リンク部材の歪み等をし難くしている。
【0019】
混合米タンク33から混合米を排出する排出口の下方には渡し樋34を設け、渡し樋35の搬送終端側には多段の揺動選別板36の背面側からそれぞれに混合米を分配して供給する分配樋37を設けている。
【0020】
その板面に多数の凹凸を形成した揺動選別板36は機体左右方向に傾斜して配置し、揺動モータ73により機体左右方向に揺動する構成であり、機体正面側には籾層を取り出す籾仕切板40と、玄米を取り出す玄米仕切板41とを設け、揺動選別板36の正面側の側部には籾層を取り出す籾取出箱42を設けている。
【0021】
揺動選別板36の正面側の下方には籾仕切板40及び籾取出箱42で取り出された籾が流下する籾流下板43と、籾仕切板40と玄米仕切板41とで取り出された混合米が流下する混合米流下板49と、玄米仕切板41で取り出された玄米が流下する玄米流下板44とを設けている。そして、玄米流下板44の流下始端部には玄米仕切板41で取り出された玄米を混合米流下板49か玄米流下板44とに切り替える仕上循環切替弁45を設けている。
【0022】
玄米流下板44の流下終端部は玄米昇降機39に連通する構成とし、玄米昇降機39の搬送終端側には仕上玄米から塵埃を除去する吸引除去筒46を設け吸引除去筒46の一端には塵埃除去ファン47を設ける。塵埃除去ファン47には揺動選別板36の上方及び籾摺部Aの側方を通過する塵埃通過筒48を接続し、塵埃通過筒の終端部は風選部Hの上風選室7の風選始端側に接続される。76は仕上昇降機を駆動するモータである。
【0023】
籾流下板43の流下終端側を籾受樋50の搬送始端側に臨ませ、混合米流下板44の流下終端側を混合米受樋30の搬送始端側に臨ませる構成としている。
籾受樋50と混合米受樋30の上方に重ねて並列して配置し、籾受樋50内には機体背面側に向かって搬送する籾ラセン51を内装している。籾受樋50の搬送終端側を籾昇降機20に接続する構成である。
【0024】
籾昇降機20は混合米昇降機32の前側に並列して設け、下部の左右一側には粃案内受体20aを設けて粃戻し案内筒19を接続する構成とし、籾昇降機20の下部の左右他側には籾案内受体20bを設けて籾受樋50の搬送終端部を接続する構成としている。そして、混合米受樋30は籾案内受体20bの下方を通過し、混合米昇降機の左右一側に形成する混合米案内受体32aに接続する構成である。
【0025】
混合米受樋30と籾受樋50とは図6と図7に示すように混合米ラセン31と籾ラセン51を内装した状態でユニットとして一体化形成している。すなわち、連結部材60で混合米受樋30と籾受樋50とを連結してユニット化する構成であり、ユニットの状態で籾昇降機20と機体の土台部k2とを連結する止め具61で固定する構成である。ユニット化することで組み付けやすくすることができる。
【0026】
下粃受樋13の底部には開口部13aを形成しており、該開口部13aには図2に示すように機体前後方向に引き出し可能な開閉シャッタ13bを設けている。また、混合米受樋30と籾受樋50の底部にも下粃受樋13の底部と同様開口部30a,50aと機体前側に引き出し可能な開閉シャッタ30b,50bを設けている。そして、籾受樋50の開口部50aと混合米受樋30内とを連通する構成としている。
【0027】
また、下粃受樋13と混合米受樋30を左右両側としてその間の下方には受箱Uを設け、下粃受樋13の底部から受箱Uに向かって粃案内傾斜板62を設け、混合米受樋30の底部から受箱Uに向かって混合米案内傾斜板63を設けている。
【0028】
次に本実施の形態の籾摺選別機の背面側にある伝動部Dの構成について以下説明する。
70は本機モータで風選部Hの下方に設けており、本機モータ70のプーリp1と籾摺ロール4の駆動軸71のプーリp2とを伝動ベルトb1で接続する。籾摺ロールの駆動軸71のプーリp3から伝動軸77のプーリp4に伝動ベルトb2で接続し、伝動軸72には上粃ラセン14のプーリp7に伝動するプーリp5と、下粃ラセン15のプーリp8に伝動するプーリp6と、混合米昇降機のプーリp9に伝動するプーリp10とをそれぞれ形成している。そして、プーリp5とプーリp7とを伝動ベルトb3で巻回し、プーリp6とプーリp8とを伝動ベルトb4で巻回し、プーリp5とプーリp7とを伝動ベルトb5で巻回している。
【0029】
なお、伝動軸77は図示しないが籾昇降機20に隣接して設ける架台で支持される構成としている。また、籾昇降機20のプーリは図示しないが伝動ベルトb3が巻回され、籾ラセン51のプーリp11は伝動ベルトb4が巻回されており、伝動ベルトb4は籾昇降機20と混合米昇降機32との間を通過する構成である。また、混合米ラセン31のプーリp12は混合米昇降機32のプーリp13から伝動ベルトb6を経て伝動される構成である。
【0030】
次に本実施の形態の籾摺選別機における籾摺選別作業について説明する。
運転スイッチ(図示せず)をONして本機モータ70を駆動し、シャッタ弁2を開くと籾ホッパ1内部に供給した籾は籾供給ロール3で籾摺ロール4に繰り出され、脱ぷ作業がなされる。
【0031】
籾摺ロール4で脱ぷされた籾と玄米の混合米は拡散板5に衝突して拡散され、混合米案内板6を流下して風選部Hの上風選室7に落下供給される。
混合米は上風選室7及び下風選室8を順に落下しながら、風選処理がなされ、下風選室8の混合米流下板8aを流下して混合米ラセン樋30に供給される。
【0032】
下風選室8で風選された粃は粃落下口8bから上粃受樋12に落下し、上風選室7と下風選室8とで風選された籾殻は吸引ファン10で吸引され排塵筒11から機外に排出される。
【0033】
混合米ラセン樋30に供給された混合米は混合米ラセン31で混合米昇降機32に搬送され、混合米昇降機32で昇降された混合米は混合米タンク33に貯留される。そして、混合米タンク33から渡し樋34に混合米を順次供給し、渡し樋34から分配樋37を経て多段の揺動選別板36に分配供給される。
【0034】
揺動選別板36で揺動されながら機体正面側に流れた混合米は籾層と混合米層と玄米層に分離され、籾層は籾取出箱42と籾仕切板40とで取り出されて籾流下板44を流下して籾受樋50に供給される。混合米層は籾仕切板40と玄米仕切板41とで仕切られて取り出されて混合米流下板42を流下して混合米受樋30に供給され、再度揺動選別板36に供給される。
【0035】
玄米仕切板41に仕切られた玄米を機外に排出するときは玄米を玄米流下板44に供給する側に仕上循環切替弁45を切替え、機内を循環させるときには玄米を混合米流下板42に供給する側に仕上循環切替弁45を切替える。
【0036】
籾受樋50に供給された籾は籾ラセン51で籾昇降機20に搬送され、再度籾ホッパ1に投入されて籾摺作業がなされる。
玄米流下板44から玄米昇降機39に供給された玄米は、玄米昇降機39の投げ口39aで塵埃除去ファン47で塵埃の吸引作用がなされて、吸引された塵埃は塵埃吸引筒46から塵埃通過筒48を通過し、風選部Hの上風選室7の風選始端側に供給され、吸引ファン10の作用で機外に籾殻と共に排出される構成である。
【0037】
次に粃処理部Sに風選された粃の処理について説明する。
風選された粃を伝動部(D)側の籾揚穀機20側に戻して再度籾ホッパ1に供給する場合には、図4に示すように開閉シャッタ部21bと開閉シャッタ部21cとを引くよう操作レバー21gで回動軸21fを回動操作することで、開口部12aを開口させると共に、開口部21hと開口部16aの位相をずらして開口部16aを閉じるようにする。すると、粃落下口8bから上粃受樋12内に落下した粃は開口部12aから下粃受樋13内にそのまま落下し、下粃ラセン15で搬送終端側の粃戻し案内筒19に搬送され、粃案内受体20aから籾昇降機20に供給され籾ホッパ1に戻される。なお、粃案内受体20aは着脱可能に形成して粃戻し案内筒19から粃を機外に取り出すようにしても良い。
【0038】
風選された粃を操作部Z側の機外に排出させたい場合には図5に示すように、開閉シャッタ部21bと開閉シャッタ部21cとを押すよう操作レバー21gで回動軸21fを操作することで、開口部12aを開閉シャッタ部21cで閉じると共に、開口部21hと開口部16aの位相を同じにして開口部14aを開口するようにする。
【0039】
すると、粃落下口8bから上粃受樋12内に落下した粃はそのまま、搬送終端側の機外排出案内樋16に搬送され、開口部16aから排出シュート16bを経て機外に排出される。
【0040】
次に、籾摺作業終了後に上粃受樋12、下粃受樋13、混合米受樋30、籾受樋50内の残米を取り出す作業について以下説明する。
上粃受樋12の開口部12aが閉じている状態の場合には開口部12aが開くように開閉シャッタ21を操作し、上粃受樋12内に残留する粃を下粃受樋13に落下させる。そして、下粃受樋13の開閉シャッタ13bを操作部Z側に引き出すと下粃受樋13の開口部13aから粃が落下し、粃案内傾斜板62を流下して受箱U内に供給される。
【0041】
また、籾受樋の開閉シャッタ50bを下粃受樋13の開閉シャッタ13bと同様に操作部Z側に引き出すと、籾受樋50内に残留する籾が開口部50aから混合米受樋30に落下する。そして、混合米受樋30の開閉シャッタ30bも同様に引き出すと混合米受樋30内に残留する混合米が開口部30aから落下し、混合米案内傾斜板63を流下して受箱Uに流下する。
【0042】
以上の操作が終わると受箱Uを操作側に引き出し残米を作業者が適宜処理する。
以上、本実施の形態の効果について以下説明する。
本実施の形態の粃処理部Sを構成することで、上段の粃ラセン14又は下段の粃ラセン15で、伝動部D側又は操作部Z側の所望の方向に粃を排出することができるため、作業性の向上を図ることができる。
【0043】
また、上段の粃ラセン14を操作部Z側に、下段の粃ラセン15を伝動部D側にそれぞれ粃を搬送する構成としたことで、操作部側での粃の取り出し高さ位置を所定高さにすることができるため、作業者が粃を取り出しやすくすることができると共に、伝動部D側の取り出し高さを低くすることで、各種伝動装置の配置を邪魔し難くすることができる。
【0044】
粃と揺動選別板36で選別した籾とを共通の籾昇降機20で籾ホッパ1に戻すことができ、揚穀機の本数を減らすことができる。また、粃及び揺動選別板36で選別された籾を籾ホッパ1に戻す籾昇降機20を操作部Z側の機体正面側ではなく、伝動部D側の機体背面側に設けることで、機体正面側がすっきりとした構成にすることができ、玄米仕切板41や籾仕切板40の調節操作をし易くすることができ、運転スイッチあるいはや各種レバーを設ける操作部Zの操作性を向上させることができる。また、作業者が必要に応じて粃を操作部Z側の機体外に切り替えて取り出すことができる。
【0045】
本実施の形態の残米処理のための構成にすることで、各受樋の残米を共通の受箱Uに集めて取り出せるので、籾摺選別作業後の残米取り出し処理を簡単にすることができる。また、残米を受箱Uに案内する粃案内傾斜板62と混合米案内傾斜板63の長さを短くすることができ、残米が流下する傾斜角度を大きくすることができ、残米を円滑に受箱Uに集めることができる。また、籾受樋50と混合米受樋30の残米を共通の混合米案内傾斜板63で受箱Uに案内することができるためコストダウンになる。また、従来に比べて籾摺選別機の機体左右幅をコンパクトにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】正面から見た籾摺選別機の内部を説明する図
【図2】側面から見た籾摺選別機の内部を説明する図
【図3】正面から見た籾摺選別機の内部の一部を説明する図
【図4】上粃受樋の開閉シャッタの動作を説明する図
【図5】上粃受樋の開閉シャッタの動作を説明する図
【図6】混合米受樋と籾受樋の斜視図
【図7】側面から見た混合米受樋と混合米昇降機及び籾受樋と籾昇降機の接続状態を示す図
【図8】平面から見た混合米受樋と混合米昇降機の接続状態と、籾受樋及び粃戻し案内筒と籾昇降機の接続状態とを示す図
【図9】正面から見た籾受樋及び粃戻し案内筒と籾昇降機の接続状態とを示す図
【符号の説明】
【0047】
M 籾摺部
H 風選部
S 粃処理部
Z 操作部
D 伝動部
12 受樋(上段の粃受樋)
12a 開口部
13 受樋(下段の粃受樋)
14 搬送手段(上段の粃ラセン)
15 搬送手段(下段の粃ラセン)
16 機外排出案内樋
16b 取出部(排出シュート)
20 揚穀機(籾昇降機)
20a 粃案内受体
20b 籾案内受体
21 開閉手段(開閉シャッタ)
36 選別部(揺動選別板)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
籾を脱ぷする籾摺部(M)と、籾摺部(M)で脱ぷされた脱ぷ米を籾殻と粃と混合米とに風選する風選部(H)と、運転スイッチあるいは各種操作レバーを設けた操作部(Z)と、籾摺部(M)に動力を伝動する伝動部(D)とを設け、
操作部(Z)と伝動部(D)は風選部(H)を挟んで機体正面側と背面側にそれぞれ設け、
風選部(H)には風選室(7,8)で風選された粃を処理する粃処理部(S)を設け、
粃処理部(S)は上下二段の粃受樋(12,13)内にそれぞれ粃ラセン(14,15)を内装し、上段の粃ラセン(14)と下段の粃ラセン(15)のいずれか一方を操作部(Z)側に、他方を伝動部(D)側に粃を搬送する構成とし、風選室(7,8)で風選された粃が供給される上段の粃受樋(12)の底部には下段の粃受樋(13)に連通する開口部(12a)と、該開口部(12a)を開閉する開閉手段(21)を設けたことを特徴とする籾摺装置。
【請求項2】
上段の粃ラセン(14)を操作部(Z)側に、下段の粃ラセン(15)を伝動部(D)側にそれぞれ粃を搬送する構成としたことを特徴とする請求項1記載の籾摺装置。
【請求項3】
伝動部(D)側に籾摺部(M)に穀粒を揚穀する揚穀機(20)を設け、該揚穀機(20)には伝動部(D)側に搬送する粃ラセンで搬送された粃を揚穀機(20)内に案内する粃案内受体(20a)を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の籾摺装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−195880(P2009−195880A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−43140(P2008−43140)
【出願日】平成20年2月25日(2008.2.25)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】