説明

粉体漏出防止構造、粉体容器および画像形成装置

【課題】封止が確実な粉体漏出防止構造を提供する。
【解決手段】粉体が通過可能な開口14を有する接続面15を備える第1部材13と、開口14を取り囲むように接続面15に配設された弾性圧縮可能なシール部材16と、シール部材16を挟み込むように第1部材13に対して取り付け可能な第2部材12とを含み、第2部材12は、先端がシール部材16の内側に位置し、外側に向かって接続面15から遠くなるように傾斜して、シール部材16を内側の圧縮率が高くなるように押圧する傾斜部19を備え、シール部材16を、シール部材16の外周側に向かって作用する力の成分を含むように押圧し、シール部材16の開口14への落ち込みを抑制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体漏出防止構造、粉体容器および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現像器のような粉体容器の開口を封止、或いは、粉体容器の開口に粉体流路を接続する際、発泡ゴムのような弾性材料からなるシール部材で気密性を確保して、粉体の漏れを防止するのが一般的である。特許文献1乃至3に記載されている現像器のように、従来の粉体漏出防止構造では、互いに対向する接続面の間に、厚みのあるシール部材を介在させている。
【0003】
弾性材料からなるシール部材は、変形しやすいので、配置する際に変形してしまい、部分的に開口の内側にはみ出して配置されてしまう場合がある。すると、シール部材が接続面の間で圧縮される際に、内側にはみ出した部分がさらに開口の内側に逃げるように落ち込むことで波打って変形し、接続面との間の封止が十分でなくなることがある。すると、振動や衝撃によって粉体が漏出する問題が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−122114号公報
【特許文献2】特開2006−98645号公報
【特許文献3】特開2008−83441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
封止が確実な粉体漏出防止構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明による粉体漏出防止構造は、粉体が通過可能な開口を有する接続面を備える第1部材と、前記開口を取り囲むように前記接続面に配設された弾性圧縮可能なシール部材と、前記シール部材を挟み込むように前記第1部材に対して取り付け可能な第2部材とを含み、前記第2部材は、前記シール部材の前記開口への落ち込みを抑制するために、前記シール部材を、該シール部材の外周側に向かって作用する力の成分を含むように押圧する構成とする。
【0007】
この構成によれば、シール部材が開口の内側にはみ出して配置されていても、第2部材がシール部材を外側に押し広げるので、シール部材が開口の内側に引き込まれることがなく、シール部材の波打ちを防止して、接続部の気密な封止が確実である。
【0008】
また、本発明の粉体漏出防止構造において、前記第2部材は、先端が前記シール部材の内側に位置し、外側に向かって前記接続面から遠くなるように傾斜する傾斜部を備えてもよい。
【0009】
この構成によれば、第2部材でシール部材を押圧する際、傾斜部がシール部材を外側に押し広げ、シール部材の波打ちを防止して気密性を確保できる。
【0010】
また、本発明の粉体漏出防止構造において、前記傾斜部は、前記シール部材を内側の圧縮率が高くなるように押圧してもよい。
【0011】
この構成によれば、シール部材の弾性圧縮による抗力が外周側に作用し、シール部材の開口側への波打ちを防止できる。
【0012】
また、本発明の粉体漏出防止構造は、前記第1部材に前記第2部材を取り付けた状態で、前記傾斜部の前記シール部材が接触し得る最も内側の部分と前記開口の内縁とを結ぶ直線が、当該傾斜部の外側の面に対して90°以上の角度を有することが好ましい。
【0013】
この構成によれば、開口から突出しているシール部材に対して、傾斜部の押圧力が、外向きに作用する圧力角となり得るので、シール部材の波打ちを確実に防止できる。
【0014】
また、本発明の粉体漏出防止構造において、前記第1部材および前記第2部材の少なくともいずれかは、前記シール部材の外側に、前記第1部材と前記第2部材との間の隙間を定めるスペーサ部を備えることが好ましい。
【0015】
この構成によれば、シール部材の圧縮率を適正なものとし、シール性能を十分に発揮させることができる。また、傾斜部を過剰に押圧することで、シール部材を却って開口の内部に押し込むことも防止される。
【0016】
また、本発明の粉体漏出防止構造において、前記傾斜部は、前記シール部材の内角に当接する部分が面取りされていることが好ましい。
【0017】
この構成によれば、シール部材の角に過剰な応力が作用して断裂を生じたり、シール部材が波打ってシール性が低下したりしない。
【0018】
また、本発明による粉体容器、特に、画像形成装置は、前記粉体漏出防止構造のいずれかを備えるものとする。
【0019】
この構成によれば、容器の接続部や封止部から粉体が漏出しない。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、粉体漏出防止構造に、シール部材を外周側に押し広げる傾斜部を設けたので、シール部材が開口の内側に引き込まれることがなく、シール部材の波打ちを防止して、気密な接続ができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る粉体漏出防止構造の実施形態を備える画像形成装置の概略図である。
【図2】図1の現像器およびトナー供給機構の断面図である。
【図3】図2の現像器の斜視図である。
【図4】図2の現像器の分解斜視図である。
【図5】図2の現像器のシュートの底側を示す斜視図である。
【図6】図2の現像器とシュートの継手構造の概略断面図である。
【図7】図6の部分拡大図である。
【図8】図2の現像器と搬送用蓋部材とを示す斜視図である。
【図9】図8の現像器の概略断面図である。
【図10】本発明の変形例を示す概略断面図である。
【図11】本発明のさらなる変形例を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
これより、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1に、本発明の1つの実施形態である粉体漏出防止構造を備える画像形成装置1を示す。
【0023】
画像形成装置1は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の粉体であるトナーによって画像を形成する作像部2Y,2M,2C,2Kを有する。各作像部2Y,2M,2C,2Kは、感光体3Y,3M,3C,3Kの表面に露光器4によって静電潜像を形成し、現像器5Y,5M,5C,5Kによって静電潜像にトナーを供給してトナー画像を形成する。各現像器5Y,5M,5C,5Kには、それぞれ、トナーボトル6Y,6M,6C,6Kから新しいトナーが供給される。
【0024】
各作像部2Y,2M,2C,2Kが形成したトナー画像は、中間転写ベルト7に1次転写され、2次転写ローラ8によって、給紙部9から供給される記録紙に2次転写される。トナー画像が転写された記録紙は、定着器10によって加圧加熱され、トナーが溶融して画像が固定される。
【0025】
図2に、現像器5Kとトナーボトル6Kとの接続構造を示す。トナーは、供給スクリュ11によって送り出され、シュート(第2部材)12を介して現像器5Kのハウジング(第1部材)13の開口14から現像器5K内に供給される。シュート12は、現像器5Kのハウジング13に対して取り付けられる。
【0026】
図3に示すように、ハウジング13のシュート12に対向する接続面15には、開口14を取り囲むように、例えばウレタンフォーム(ブリジストン社製エバーライトSTXE等)からなる弾性圧縮可能なシール部材16が配置されている。これにより、シール部材16が、ハウジング13とシュート12との間で圧縮され、両者の間を気密に封止する。
【0027】
シュート12は、図4に示すように、上部の開口を封止する蓋17を有している。また、図5に示すように、シュート12のハウジング13に対向する開口部18は、内側エッジがハウジング13に向かって突出し、外側に向かってハウジング13の接続面15から遠くなるように傾斜した面を構成する傾斜部19を有する。傾斜部19の傾斜した面の間の角(シール部材16の内角に接する部分)は、面取りされている。
【0028】
図6に、ハウジング13とシュート12との接続構造、つまり、粉体漏出防止構造を簡略化して示す。傾斜部19の先端(内側エッジ)は、シール部材16の内側に位置するように、ハウジング13の開口14よりも十分に小さく形成されている。
【0029】
また、ハウジング13は、シール部材16の外側に、接続面15とシュート12との隙間を定めるスペーサ部20を有している。これにより、シール部材16は、外周部において、約33%圧縮(例えば厚さ3mmを2mmまで圧縮)され、内側の圧縮率はさらに高い状態になる。尚、図には、圧縮前のシール部材16を二点鎖線で示している。
【0030】
傾斜部19の傾斜面は、シュート12をハウジング13に取り付ける際、シール部材16の外周側に向かって作用する力の成分を含むように押圧力を発揮することで、シール部材16を外側に押し広げる。このため、図示するように、傾斜部19は、開口15の内側にシール部材16がはみ出していても、シール部材16を開口15の中に引き込まない。これによって、シール部材16の意図しない変形(波打ち)による開口14への落ち込みを防止して、シール性が低下するのを防止できる。
【0031】
ここで、傾斜部19の傾斜面が、シール部材16を外側に押し広げる効果を発揮しやすくするために、図7に示すように、傾斜部19が当接するシール部材16の内縁(P点)と開口15の内側エッジ(E点)とを結ぶ直線(圧縮応力の作用する方向)が傾斜部19の傾斜面の外側部分に対して90°以上の角度を有することが好ましい。尚、傾斜部19の形状は、シール部材16が位置ずれして配置されることによるP点の位置のばらつきを考慮して定める必要がある。
【0032】
また、本実施形態では、シール部材16の内角に当接する傾斜部19の角が面取りされているので、シール部材16の内角に応力が集中せず、シール部材16の断裂やシール性を低下させるような変形(波打ち等)を防止できる。尚、本実施形態では、曲面を形成するR面取りがなされているが、平面を形成するC面取りであってもよい。
【0033】
また、現像器5Kには、交換部品として輸送(特に使用後に回収)する際、および、交換作業時に、トナーの漏出を防止するために、図8に示すように、開口15を封止する搬送用蓋部材21を装着することができるようになっている。搬送用蓋部材21は、図9に簡略化して示すように、シュート12と同様に、シール部材16を外側に押し広げる傾斜面を構成する傾斜部22を有する。
【0034】
また、本発明において、図10に示すように、傾斜部19は、曲面からなる傾斜面を構成してもよい。
【0035】
また、本発明は、図11に示すような、角のない楕円形の開口14に係る接続構造にも適用できる。
【0036】
また、本発明では、シュート12側にシール部材16を配置する接続面15を形成し、ハウジング13側にシール部材16を外周方向に作用する力の成分を含むように押圧する傾斜部19を形成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0037】
さらに、本発明は、上記実施形態のような現像器だけでなく、あらゆる粉体容器、および、トナーボトルとトナー搬送路との接続のような粉体流路の接続や封止に係る粉体漏出防止構造全般に広く適用できる。
【符号の説明】
【0038】
5K…現像器
12…シュート(第2部材)
13…ハウジング(第1部材)
14…開口
15…接続面
16…シール部材
19…傾斜部
20…スペーサ部
21…搬送用蓋部材
22…傾斜部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体が通過可能な開口を有する接続面を備える第1部材と、
前記開口を取り囲むように前記接続面に配設された弾性圧縮可能なシール部材と、
前記シール部材を挟み込むように前記第1部材に対して取り付け可能な第2部材とを含み、
前記第2部材は、前記シール部材の前記開口への落ち込みを抑制するために、前記シール部材を、該シール部材の外周側に向かって作用する力の成分を含むように押圧することを特徴とする粉体漏出防止構造。
【請求項2】
前記第2部材は、先端が前記シール部材の内側に位置し、外側に向かって前記接続面から遠くなるように傾斜する傾斜部を備えることを特徴とする請求項1に記載の粉体漏出防止構造。
【請求項3】
前記傾斜部は、前記シール部材を内側の圧縮率が高くなるように押圧することを特徴とする請求項1または2に記載の粉体漏出防止構造。
【請求項4】
前記第1部材に前記第2部材を取り付けた状態で、前記傾斜部の前記シール部材が接触し得る最も内側の部分と前記開口の内縁とを結ぶ直線が、当該傾斜部の外側の面に対して90°以上の角度を有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の粉体漏出防止構造。
【請求項5】
前記第1部材および前記第2部材の少なくともいずれかは、前記シール部材の外周側に、前記第1部材と前記第2部材との間の隙間を定めるスペーサ部を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の粉体漏出防止構造。
【請求項6】
前記傾斜部は、前記シール部材の内角に当接する部分が面取りされていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の粉体漏出防止構造。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の粉体漏出防止構造を備えることを特徴とする粉体容器。
【請求項8】
請求項1から6のいずれかに記載の粉体漏出防止構造を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−12707(P2011−12707A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−155348(P2009−155348)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】