説明

粉粒体材料の減圧式乾燥装置、及び粉粒体材料の減圧式乾燥方法

【課題】粉粒体材料の加熱乾燥効率及びホッパーの清掃性を向上し得る減圧式乾燥装置及び減圧式乾燥方法を提供する。
【解決手段】減圧式乾燥装置1は、加熱したガスをホッパー20内に導入するための導入ガス加熱部、及び導入するガスの流量を調整するための流量調整部を有した加熱ガス導入手段4と、該加熱ガス導入手段を制御するための制御部80と、前記ホッパー20内における粉粒体材料mの加熱乾燥処理状態を示す所定の制御要因を検出するための検出手段25とを備えている。前記制御部は前記ホッパー内を減圧しながら、前記検出手段の検出値が予め設定された所定の閾値を上回ったときには、前記ガスの流量を減少させ、前記検出値が前記閾値を下回ったときには、前記ガスの流量を増加させるように前記流量調整部を制御し、かつ、前記ホッパー内に導入されるガスの温度が予め設定された所定の温度となるように前記導入ガス加熱部を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉粒体材料を貯留するためのホッパーと、該ホッパー内を減圧するための減圧手段とを備えた粉粒体材料の減圧式乾燥装置、及び粉粒体材料の減圧式乾燥方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の粉粒体材料の減圧式乾燥装置としては、粉粒体材料を貯留する乾燥ホッパーを密閉させた状態で、貯留した粉粒体材料を加熱手段としての熱伝導フィンによって加熱するとともに、該乾燥ホッパー内を減圧手段によって減圧することで、該乾燥ホッパー内の粉粒体材料の加熱乾燥処理を行う構成としたものが提案されている(例えば、下記特許文献1、及び下記特許文献2参照)。
また、上記構成とは異なり、加熱ホッパーにおいて熱伝導フィン等の加熱手段により加熱した粉粒体材料を、減圧手段によって減圧される乾燥ホッパーに移送し、該乾燥ホッパーにおいて減圧処理することによって、粉粒体材料の加熱乾燥処理を行う構成としたものが提案されている(例えば、下記特許文献3参照)。
【0003】
上記したような粉粒体材料の減圧式乾燥装置においては、上記減圧手段による減圧処理や加熱手段による加熱処理によって粉粒体材料から発生した水蒸気や揮発性ガスなどの雑ガスを、上記ホッパーの外部から導入させたキャリアガスによって置換してホッパー外部に減圧手段による吸引によって排出する構成とされている。
このような構成とされた減圧式乾燥装置を用いることで、ホッパー内に貯留された粉粒体材料は、熱伝導フィンによる間接的な加熱処理と、キャリアガス置換を行いながらの減圧処理による乾燥処理とがなされ、効率的な加熱乾燥処理がなされるものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−127153号公報
【特許文献2】特開2000−127154号公報
【特許文献3】特開2000−127155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前者の減圧式乾燥装置では、粉粒体材料の加熱処理を、ホッパー内に設けた熱伝導フィンによって行う態様としているので、該ホッパー内の粉粒体材料を均一に加熱するために熱伝導フィンをホッパー内に均一に、かつ密に配置する必要があった。すなわち、例えば、熱伝導率が比較的、低い合成樹脂ペレット等の粉粒体材料を加熱乾燥処理する場合においては、当該粉粒体材料が、熱伝導フィン間の断熱材として機能し、このような粉粒体材料を、均一に加熱するためには、上記熱伝導フィンをホッパー内に均一に、かつ密に配置する必要があった。このため、これら熱伝導フィンを均一に加熱するために、消費電力等の大きいヒータを設置する必要があり、また、上記熱伝導フィンによって、ホッパー内における粉粒体材料の貯留可能容量が小さくなるという問題があった。また、熱伝導フィンをヒータ等の加熱手段からの伝熱によって所定温度に昇温させるまでに時間を要し、特に、装置起動時における立ち上がり時間が長期化し、粉粒体材料を昇温する時間が長期化する傾向があった。さらに、このように熱伝導フィンを密に配置する必要があるので、例えば、材料替え等によってホッパー内を清掃する必要が生じた際にも、密に配置された熱伝導フィンが邪魔になり、清掃性が悪いという問題があった。
また、後者の減圧式乾燥装置では、上記同様の問題に加えて、粉粒体材料の加熱処理と、乾燥処理とを、別々のホッパーで行う態様としているので、装置が大型化するとともに、粉粒体材料を加熱ホッパーから乾燥ホッパーに移送する際に、粉粒体材料の温度が低下してしまい加熱乾燥効率が低下する恐れがあった。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、ホッパーに貯留された粉粒体材料の加熱乾燥効率を簡易な構成でありながら向上し得るとともに、該ホッパーの清掃性を向上し得る粉粒体材料の減圧式乾燥装置、及び粉粒体材料の減圧式乾燥方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明に係る粉粒体材料の減圧式乾燥装置は、粉粒体材料を貯留するためのホッパーと、該ホッパー内を減圧するための減圧手段とを備えた粉粒体材料の減圧式乾燥装置において、加熱したガスを前記ホッパー内に導入するための導入ガス加熱部、及び導入するガスの流量を調整するための流量調整部を有した加熱ガス導入手段と、該加熱ガス導入手段を制御するための制御部と、前記ホッパー内における粉粒体材料の加熱乾燥処理状態を示す所定の制御要因を検出するための検出手段とを備えており、前記制御部は、前記減圧手段を駆動して前記ホッパー内を減圧しながら、前記検出手段の検出値が予め設定された所定の閾値を上回ったときには、前記ガスの流量を減少させ、前記検出値が前記閾値を下回ったときには、前記ガスの流量を増加させるように前記流量調整部を制御し、かつ、前記ホッパー内に導入されるガスの温度が予め設定された所定の温度となるように前記導入ガス加熱部を制御することを特徴とする。
【0008】
ここに、上記粉粒体材料は、粉体・粒体状の材料を指すが、微小薄片状や短繊維片状、スライバー状の材料等を含む。
また、上記材料としては、合成樹脂材等の樹脂ペレットや樹脂繊維片等、或いは金属材料や半導体材料、木質材料、薬品材料、食品材料等どのようなものでもよい。
また、上記減圧手段によってなされるホッパー内の減圧状態は、該ホッパー内が大気圧より低い圧力状態となる真空状態を指す。
また、上記ホッパー内における粉粒体材料の加熱乾燥処理状態を示す所定の制御要因としては、ホッパー内の粉粒体材料が加熱乾燥処理されるに従って変動する種々の物理量が挙げられ、例えば、時間、温度、湿度(露点)、圧力(真空度)等が挙げられる。そして、上記検出手段としては、これら物理量の変動を検出可能なものとすればよい。
【0009】
本発明に係る前記粉粒体材料の減圧式乾燥装置においては、前記制御要因を温度とし、該温度を検出するための温度センサを前記検出手段として設け、該温度センサからの検出温度に基づいて前記流量調整部を前記制御部によって制御するようにしてもよい。
【0010】
本発明に係る前記いずれかの粉粒体材料の減圧式乾燥装置においては、前記流量調整部は、前記ガスの導入側に接続される導入側管路と、該導入側管路を分岐させた複数の分岐管路と、該複数の分岐管路を合流させ、前記導入ガス加熱部に接続される加熱部側管路と、前記分岐管路のうちの少なくとも一つに配された開閉弁とを備えた構成としてもよい。この場合は、前記制御部によって、前記開閉弁を開閉制御することで、前記ガスの流量を増減させるようにすればよい。
【0011】
本発明に係る前記いずれかの粉粒体材料の減圧式乾燥装置においては、前記ホッパーの外周に、ホッパー保温部材を設けるようにしてもよい。
このホッパー保温部材を設けた減圧式乾燥装置においては、該ホッパー保温部材を、加熱手段と、ホッパー外周温度検出用センサとを含んだ構成とし、該ホッパー外周温度検出用センサの検出温度に基づいて、予め設定された所定の温度となるように前記加熱手段を前記制御部によって制御するようにしてもよい。
【0012】
本発明に係る前記いずれかの粉粒体材料の減圧式乾燥装置においては、前記導入ガス加熱部を、前記ガスを通過させて前記ホッパー内に導入するための螺旋状に形成されたガス管路と、該ガス管路内に当該ガス管路に沿って配された線状ヒータとを備えた構成としてもよい。
【0013】
また、前記目的を達成するために、本発明に係る粉粒体材料の減圧式乾燥方法は、ホッパー内を減圧して該ホッパー内に貯留した粉粒体材料の加熱乾燥処理を行う粉粒体材料の減圧式乾燥方法において、前記ホッパー内を減圧しながら、加熱したガスを前記ホッパー内に導入する構成とし、かつ、予め設定された所定の温度となるように前記ガスの温度をコントロールしながら、前記ホッパー内における粉粒体材料の加熱乾燥処理状態を示す所定の制御要因を検出するための検出手段の検出値が、予め設定された所定の閾値を上回ったときには、前記ガスの流量を減少させ、前記検出値が前記閾値を下回ったときには、前記ガスの流量を増加させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る前記粉粒体材料の減圧式乾燥装置は、ホッパー内を減圧するための減圧手段と、該ホッパー内に加熱したガスを導入する加熱ガス導入手段とを備えているので、該ホッパー内を減圧しながら、加熱したガスをホッパー内に導入することができる。これにより、ホッパー内に貯留された粉粒体材料の乾燥処理を、減圧手段による減圧処理によって効率的に行えるとともに、導入された加熱ガスによって粉粒体材料を加熱することができ、粉粒体材料の加熱乾燥処理を効率的に行うことができる。すなわち、上記加熱ガスによって粉粒体材料を加熱するとともに、その加熱処理と、上記減圧手段による減圧処理とによって、粉粒体材料から浮き出てきて、ホッパー内に蒸散した水分や揮発物質(以下、水分等と略す。)を、上記加熱ガスと置換させながら減圧手段による吸引によってホッパー外に排出させることができ、粉粒体材料の加熱乾燥処理を効率的に行うことができる。つまり、上記加熱ガスによって粉粒体材料を加熱しながら、そのすすぎ効果によって、上記ホッパー内に蒸散した水分等を、ホッパー外に効率的に排出することができる。
上記のような加熱ガスは、外気を加熱して導入するようにしてもよいが、比較的、低露点の調質されたコンプレッサーエアー等を導入することで、ホッパー内の粉粒体材料の乾燥処理をより効率的に行うことができる。
また、上記加熱ガス導入手段は、加熱したガスを前記ホッパー内に導入するための導入ガス加熱部と、導入するガスの流量を調整する流量調整部とを有しているので、これら導入ガス加熱部及び流量調整部を上記制御部によって制御することで、前記ホッパー内に導入されるガスを、予め設定された所定の温度となるように温度コントロールしながら、導入するガスの流量を増減させることができる。
【0015】
さらに、上記制御部は、上記ガスの流量を、当該装置によってなされる粉粒体材料の加熱乾燥処理に適した流量となるように、上記所定の制御要因を検出するための検出手段の検出値に基づいて増減させるようにしている。すなわち、該検出手段の検出値が、予め設定された所定の閾値を上回ったときには、上記ガスの流量を減少させ、該検出値が、上記閾値を下回ったときには、上記ガスの流量を増加させるようにしている。
上記のように、上記ホッパー内に導入する加熱したガスの流量を、上記検出手段の検出値に基づいて増減させることで、粉粒体材料の加熱乾燥効率を高めながらも、省エネルギー化が図れるとともに、過熱による粉粒体材料の劣化(酸化、やけ、分解、変色など)等を防止できる。すなわち、上記検出手段の検出値によって、ホッパー内の粉粒体材料の加熱乾燥処理の状態が示され、例えば、所定の状態まで昇温されていない場合には、上記流量調整部を制御して、導入するガスの流量を増加させることで、粉粒体材料を迅速に昇温させることができる。また、ホッパー内の粉粒体材料が、所定の状態まで昇温した後は、導入するガスの流量を減少させることで、減圧手段によりなされるホッパー内の減圧度(真空度)を高めることができるので、粉粒体材料の乾燥処理を効率的に行うことができるとともに、導入するガスを加熱するためのヒータ等のガス加熱手段に対する通電率等が低下するので、省電力化を図ることができる。また、上記のように、導入するガスの流量を減少させることで、導入口付近の既に加熱された粉粒体材料の過熱が低減され、劣化等が生じることを防止することができる。
【0016】
さらにまた、上記のように、ホッパー内を減圧しながら、加熱したガスの流量を上記のように増減させて粉粒体材料の加熱乾燥処理を行うことができるので、従来の減圧式乾燥装置のように、粉粒体材料を加熱するための熱伝導フィンを、ホッパー内に、密に配置する必要がない、或いは熱伝導フィンを設けないようにすることもできる。従って、ホッパー内の清掃性を飛躍的に向上させることができるとともに、ホッパー内における粉粒体材料の貯留可能容量を大きくすることができる。
【0017】
本発明に係る前記粉粒体材料の減圧式乾燥装置において、前記制御要因を温度とし、該温度を検出するための温度センサを前記検出手段として設け、該温度センサからの検出温度に基づいて前記流量調整部を前記制御部によって制御するようにすれば、以下の効果を奏する。
すなわち、上記検出手段を温度センサとすることで、粉粒体材料の昇温度合いを、粉粒体材料の加熱乾燥処理状態を示す温度として迅速に検出することができ、該温度センサの検出温度に基づいた制御を行うことができる。
【0018】
本発明に係る前記いずれかの粉粒体材料の減圧式乾燥装置において、前記流量調整部は、前記ガスの導入側に接続される導入側管路と、該導入側管路を分岐させた複数の分岐管路と、該複数の分岐管路を合流させ、前記導入ガス加熱部に接続される加熱部側管路と、前記分岐管路のうちの少なくとも一つに配された開閉弁とを備えた構成とし、前記制御部によって、前記開閉弁を開閉制御することで、前記ガスの流量を増減させるようにすれば、以下の効果を奏する。
すなわち、分岐管路に設けられた開閉弁を開閉制御することで、加熱部側管路を通過するガスの流量を増減させることができるので、簡易な構成によって流量調整部を構成することができる。
【0019】
また、例えば、上記分岐管路のうちの一つに開閉弁を設けずに、或いは、上記分岐管路のうちの一つに設けた開閉弁を当該装置の作動中は、常時、開とすることで、所定量(例えば、比較的少量)の加熱ガスを連続的に導入させることもできる。これにより、上記減圧手段による減圧処理によって粉粒体材料の表面に浮き出てきて、ホッパー内に蒸散した水分等を、当該加熱ガスによって置換しながら、減圧手段による吸引によってホッパー外にスムーズに排出させることができる。すなわち、減圧手段による吸引のみでは、粉粒体材料から蒸散した水分等がホッパー内に拡散した状態となり、例えば、減圧手段による吸引によってホッパー内が到達真空度に達した状態では、ホッパー外への排出作用がスムーズになされなくなったり、或いは減圧作用により粉粒体材料から徐々に蒸散して拡散する水分等によってホッパー内が到達真空度に達するまでに要する時間が長期化したりする傾向があり、乾燥処理に要する時間が長期化する傾向がある。一方、上記のように当該装置の作動中に、常時、所定量のガスを導入するようにすれば、ホッパー内において蒸散、拡散した水分等を、該ガスと置換させながら、スムーズかつ効率的にホッパー外に排出させることができる。また、これにより、導入するガスを加熱するためのヒータ等のガス加熱手段の損傷等を防止することもできる。
さらに、上記のように複数の分岐管路を備えた態様とすることで、分岐管路の本数や各管路の径、開閉弁等のバルブ径などを、適宜、設定することで、導入するガスの流量を細かく増減させることも可能となる。
【0020】
上記のような態様に代えて、或いは加えて、上記導入ガス加熱部に向けてガスが通過する管路に、開度制御の可能なモータバルブなどの流量調整弁を設けるようにしてもよい。このような流量調整弁を備えた態様においても、開度を制御することで、上記のように、当該装置の作動中には、常時、所定量のガスを連続的に導入させる態様としてもよい。
【0021】
本発明に係る前記いずれかの粉粒体材料の減圧式乾燥装置において、前記ホッパーの外周に、ホッパー保温部材を設けるようにすれば、ホッパーからの放熱を防止することができるので、より効率的な加熱乾燥処理を行うことができる。すなわち、ホッパーの放熱を防止できるので、上記のようにホッパー内に導入される加熱されたガスの熱エネルギーが効率的に粉粒体材料の加熱処理のために消費され、該粉粒体材料の加熱乾燥処理を効率的に行うことができる。従って、導入するガスの流量を、比較的、少量にすることもでき、例えば、新たに投入された粉粒体材料の昇温エネルギーに見合った量等にすることもできる。
【0022】
このホッパー保温部材を設けた減圧式乾燥装置においては、該ホッパー保温部材を、加熱手段と、ホッパー外周温度検出用センサとを含んだ構成とし、該ホッパー外周温度検出用センサの検出温度に基づいて、予め設定された所定の温度となるように前記加熱手段を前記制御部によって制御するようにすれば、ホッパーの放熱をより効果的に防止することができる。このような加熱手段を備えたホッパー保温部材を採用した場合においても、当該装置の運転時間が経過するに従って、上記加熱ガスの導入によって、ホッパー内の粉粒体材料がある程度、昇温された状態となり、ホッパー外周の温度(ホッパー筐体の温度)も徐々に上昇するので、該加熱手段への通電率等が減少し、従来の減圧式乾燥装置と比べて、総合的には省エネルギー化が図れる。
【0023】
本発明に係る前記いずれかの粉粒体材料の減圧式乾燥装置において、前記導入ガス加熱部を、前記ガスを通過させて前記ホッパー内に導入するための螺旋状に形成されたガス管路と、該ガス管路内に当該ガス管路に沿って配された線状ヒータとを備えた構成とすれば、上記螺旋状のガス管路を通過するガスを、該ガス管路内を当該ガス管路に沿って配された線状ヒータによって効率的に加熱することができる。すなわち、螺旋状のガス管路内を通過するガスと線状ヒータとの熱交換が、例えば、シーズヒータやプレートヒータ、放熱フィン付ヒータ等の発熱体を内蔵したヒータボックス等の加熱器と比べて、効率的になされ、該ガスを効率的に加熱することができる。
このように、ガスの加熱効率を向上させることができるので、例えば、上記ヒータボックス等の加熱器と比べて、電気容量を比較的、小さいものにでき、省電力化を図ることができるとともに、当該加熱器自体を小型化できる。従って、当該加熱器を、ホッパーに近接した位置に設置することができるので、熱損失等を低減することができる。
また、上記のように螺旋状のガス管路内を通過するガスを線状ヒータによって加熱する構成としているので、比較的、応答性を高めることができる。すなわち、上記ガス管路内を通過する加熱対象であるガスを加熱するための発熱体が線状であるので、発熱体自体の熱容量が比較的、小さくなり、発熱体自体の昇温または降温が比較的、迅速になされる。この結果、螺旋状のガス管路を通過するガスの流量の増減に伴って、当該線状ヒータへの通電制御がなされることによる当該加熱器の出口側(ホッパー側)におけるガスの温度を、比較的、迅速に所定の温度に追従させることができる。すなわち、オーバーシュートやアンダーシュートなどが生じ難くなり、ホッパー内に導入される加熱したガスの温度を、比較的、安定した温度にコントロールできる。
【0024】
また、本発明に係る前記粉粒体材料の減圧式乾燥方法によれば、上記本発明に係る粉粒体材料の減圧式乾燥装置が奏する効果と同様、ホッパー内に貯留された粉粒体材料の加熱乾燥効率を高めながらも、省エネルギー化を図ることができるとともに、過熱による粉粒体材料の劣化(酸化、やけ、分解、変色など)等を防止することができる。また、ホッパー内の清掃性や粉粒体材料の貯留可能容量を飛躍的に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る粉粒体材料の減圧式乾燥装置の一実施形態を模式的に示す概略構成図である。
【図2】(a)、(b)は、いずれも同減圧式乾燥装置が備える加熱ガス導入手段の一例を説明するための説明図であり、(a)は、同加熱ガス導入手段を模式的に示す概略構成図、(b)は、同加熱ガス導入手段の導入ガス加熱部を模式的に示す概略正面図である。
【図3】同減圧式乾燥装置の制御ブロック図である。
【図4】同減圧式乾燥装置で実行される基本動作の一例を説明するためのタイムチャートである。
【図5】(a)〜(d)は、いずれも同減圧式乾燥装置が備える材料投入部の一例を模式的に示し、それぞれ投入・補給動作を説明するための説明図である。
【図6】(a)〜(c)は、いずれも同減圧式乾燥装置が備える材料排出部の一例を模式的に示し、それぞれ計量・輸送動作を説明するための説明図である。
【図7】(a)は、同材料投入部における投入・補給動作の一例を説明するためのタイムチャート、(b)は、同材料排出部における計量・輸送動作の一例を説明するためのタイムチャートである。
【図8】同減圧式乾燥装置の変形例を模式的に示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1〜図8は、本実施形態に係る粉粒体材料の減圧式乾燥装置を説明するための説明図である。
尚、図1,2,5,6,8においては、ガスや粉粒体材料を流通させる管路(ガス管路、粉粒体材料輸送管路など)の一部を、実線にて模式的に示している。
図例の粉粒体材料の減圧式乾燥装置1は、図1に示すように、大略的に、粉粒体材料mを貯留するためのホッパー部2と、該ホッパー部2のホッパー本体20内を減圧するための減圧手段3と、該ホッパー本体20内に加熱したガスを導入するための加熱ガス導入手段4と、該ホッパー部2の投入側に設けられた材料投入部6と、該ホッパー部2の排出側に設けられた材料排出部7と、制御盤8とを備えている。また、当該減圧式乾燥装置1は、フレーム状に枠組みされ、下部にキャスターを有した機台10に設置されている。
【0027】
上記ホッパー部2のホッパー本体20は、上部が円筒形状、下部が逆円錐形状とされ、アルミニウム等の金属材料等で製されており、該下部には材料排出管20aが連成されている。該ホッパー本体20の内部下方側部位には、貯留した粉粒体材料mを下部側(下層側)から順にスムーズに排出させるための整流部としての円錐形状の先出し傘20bが設けられている。
上記材料排出管20aの下端部には、後記する加熱ガス導入手段4が接続される導入手段接続部21が設けられている。この導入手段接続部21には、上記材料排出管20aに連通する開口部が設けられ、該開口部には、加熱ガス導入手段4からのガスを上記ホッパー本体20内部に導入するためのガス導入口21aが設けられている。
この導入手段接続部21の下方に後記する材料排出部7が設置されている。
【0028】
また、上記導入手段接続部21には、図2(a)に示すように、そのガス導入口21aに連通するように、後記する加熱ガス導入手段4のホッパー側三方継手44の一接続口が接続されている。さらに、この導入手段接続部21には、上記開口部内に検出部が臨むように、材料層最下層部温度検出用センサ29が設けられている。この材料層最下層部温度検出用センサ29は、後記するようにホッパー本体20内において加熱乾燥処理される粉粒体材料mの最下層部の温度を検出するために設けており、該材料層最下層部温度検出用センサ29の測定温度信号(検出温度)に基づいて、ホッパー本体20内の最下層部の材料が、所定の状態まで加熱乾燥処理がなされているか、否かを確認するような態様としてもよい。この場合は、例えば、所定温度未満であれば、次の処理工程への排出または移行を遅らせ、所定温度に達するように、後記する加熱ガス導入手段4から導入する加熱したガスの流量を増加させるような制御を実行するようにしてもよい。或いは、後記する材料層通過温度検出用センサ25に代えて、上記材料層最下層部温度検出用センサ29を、粉粒体材料mの加熱乾燥処理状態を示す所定の制御要因としての温度を検出するための検出手段として把握するようにしてもよい。
【0029】
上記ホッパー本体20の円筒形状とされた上部の上端部は、上方に向けて開口しており、該上端部には、該開口を気密的に封止するための蓋体22が着脱自在に設けられている。この蓋体22には、後記する減圧手段としての真空ポンプ(真空発生器)3に接続された真空吸引管路11が接続される吸引管路接続部23が設けられている。この吸引管路接続部23及び蓋体22には、後記する材料投入部6の材料投入貯留管63と、当該ホッパー本体20の内方空間とを連通させる開口部が設けられており、該吸引管路接続部23の開口部には、ホッパー本体20内において後記するように生じる水分等を含んだガスを、真空吸引管路11に向けて排出するためのガス排出口23aが設けられている。
この吸引管路接続部23の上方に後記する材料投入部6が設置されている。
尚、蓋体22の上部にガス排出口23aを有した吸引管路接続部23を設ける態様に代えて、ホッパー本体20の上部外周部に、該ホッパー本体20内に開口するガス排出口を有した吸引管路接続部を設けるような態様としてもよい。
【0030】
また、本実施形態では、ホッパー本体20に貯留した粉粒体材料mの加熱乾燥効率を高めるために、後記する加熱ガス導入手段4によって導入されるガスが、粉粒体材料層の下層部から上層部に向けて通過するように、加熱ガスのガス導入口21aを、ホッパー本体20の下部に設け、後記する減圧手段3に接続されるガス排出口23aを、ホッパー本体20の上部に設けた態様としているが、他の部位にこれらガス導入口21a及びガス排出口23aを設けるようにしてもよい。
さらに、本実施形態では、ホッパー本体20の内部の清掃性及び貯留可能容量を高めるべく、ホッパー本体20の内周壁を略平滑な面として構成しているが、例えば、後記する加熱ガス導入手段4による粉粒体材料mの加熱処理を補助するためや、ホッパー本体20を補強するなどのために、仕切壁やリブ、熱伝導フィン等をホッパー本体20の内部に設けるようにしてもよい。
【0031】
該ホッパー本体20の上部には、ホッパー本体20内に貯留される粉粒体材料mの材料レベルを検出するためのホッパー材料センサ(レベル計)24と、該ホッパー本体20に貯留された粉粒体材料層を通過したガスの温度を検出するための検出手段としての温度センサ(材料層通過温度検出用センサ)25とが設けられている。
本実施形態では、上記ホッパー材料センサ24は、粉粒体材料の有無によるアーム部の揺動によってリミットスイッチのON/OFFがなされることにより、ホッパー本体20内の材料レベルが、満レベルであるか、所定レベルまで低下したかを検出する態様としているが、ホッパー本体20内の材料レベルを検出可能なものであればどのようなレベル計でもよい。
また、上記材料層通過温度検出用センサ25は、本実施形態では、ホッパー本体20内に貯留されている粉粒体材料mが満レベルまで貯留されている状態(図1に示す状態)において、その粉粒体材料mの最上層部からホッパー本体20の上端部を封止する上記蓋体22までの空間に、その検出部が臨むように配設されている。
すなわち、当該材料層通過温度検出用センサ25は、ホッパー本体20内に貯留されている粉粒体材料層の上方空間(以下、材料非貯留空間と略す)の雰囲気温度を測定している。
これらホッパー材料センサ24及び材料層通過温度検出用センサ25は、後記する制御部としてのCPU80(図3参照)に信号線等を介して接続されている。
【0032】
上記ホッパー本体20の外周には、ホッパー保温部材としての外周ヒータ26と、該外周ヒータ26の外周に設けられた断熱材27と、ホッパー本体20の外周部の温度を検出するためのホッパー外周温度検出用センサ28とが設けられている。
上記外周ヒータ26は、円筒形状とされたホッパー本体20の上部外周を被覆するように設けられるとともに、円錐形状の下部外周を被覆するように設けられており、本実施形態では、上部側を一つのバンドヒータで構成し、下部側を二つのバンドヒータで構成している。この外周ヒータ26としては、ホッパー本体20の外周を被覆するように設けられるものであれば、他の面状ヒータ等、どのようなものとしてもよい。或いは、ホッパー保温部材の加熱手段としては、上記のようなヒータ部材に代えて、熱媒流体が流通される加熱ジャケット等をホッパー本体20の外周に設けるような態様としてもよい。
【0033】
上記外周ヒータ26は、ホッパー外周温度検出用センサ28の測定温度信号(検出温度)に基づいて、ホッパー本体20の外周(ホッパー本体20を構成する筐体外周壁)が予め設定された所定の温度となるように、後記するCPU80(図3参照)によってON/OFF制御或いはPID制御等の通電の制御がなされる。この外周ヒータ26は、ホッパー本体20の放熱を防止するために設けており、上記所定の温度は、後記するように加熱処理がなされて所定温度に加熱される粉粒体材料mの目標加熱温度(粉粒体材料mの種類等により設定される。)等に応じて、適宜、設定可能であり、例えば、40℃〜120℃程度としてもよい。
上記断熱材27としては、各種フォーム系(発泡系)断熱材や繊維系断熱材、樹脂系断熱材としてもよい。或いは、例えば、多孔質のウレタンフォーム、シリカなどの粉末またはグラスファイバーなどの繊維で芯材を形成し、その芯材をガスバリア性の金属フィルムなどの包装材で外装して真空吸引することにより形成された真空断熱材等としてもよい。
【0034】
上記のようなホッパー保温部材を設けることで、ホッパー本体20からの放熱が防止され、後記するように、ホッパー本体20内に貯留された粉粒体材料mを加熱乾燥処理する際に、効率的に加熱乾燥処理することができる。すなわち、ホッパー本体20の放熱を防止できるので、後記するようにホッパー本体20内に導入される加熱されたガスの熱エネルギーが効率的に粉粒体材料mの加熱処理のために消費され、該粉粒体材料mの加熱乾燥処理を効率的に行うことができる。従って、導入するガスの流量を、比較的、少量にすることもできる。特に、本実施形態では、上記ホッパー外周温度検出用センサ28の検出温度に基づいて、ホッパー外周温度が予め設定された所定の温度になるように外周ヒータ26を制御するようにしているので、ホッパー本体20の放熱がより効果的に防止される。
【0035】
尚、本実施形態では、上記ホッパー外周温度検出用センサ28を、ホッパー本体20の上部外周に設けた態様を例示しているが、例えば、外周ヒータ26の設置数に応じて、外周ヒータ26毎に、温度センサを設け、個々の温度センサの検出温度に基づいて、各外周ヒータを制御(多点制御)するような態様としてもよい。
また、上記外周ヒータ26を、ホッパー本体20の上下方向に沿って分割して複数箇所に設置し、それぞれに応じた部位に温度センサを設けて、上記同様に多点制御するようにしてもよい。
【0036】
上記真空ポンプ3は、後記するように、ホッパー本体20に貯留された粉粒体材料mを、減圧作用によって乾燥処理するために駆動され、該ホッパー本体20内を減圧するための減圧手段を構成する。
この真空ポンプ3は、上記ホッパー本体20の上部を閉塞する蓋体22に設けられた吸引管路接続部23に、真空吸引管路11によって接続されており、該真空吸引管路11には、該真空ポンプ3に塵埃や揮発物質等が導入されないようにするため、また、真空ポンプ3から装置外に排気されるガスを清浄化するためにフィルタ11aが設けられている。
ここに、上記真空ポンプ3によってなされるホッパー本体20内の減圧状態は、ホッパー本体20内が大気圧より低い圧力状態となる真空状態を指す。
尚、上記真空ポンプ3に代えて、例えば、エジェクタ装置等の他の真空発生器を採用するようにしてもよい。
【0037】
上記真空ポンプ3は、例えば、ホッパー本体20内の到達真空度が、50kPa(abs)〜4kPa(abs)程度となるよう減圧できるポンプを採用するようにしてもよく、好ましくは、20kPa(abs)〜4kPa(abs)程度となるよう減圧できるポンプを採用するようにしてもよい。また、当該真空ポンプ3の排気速度(排気量)は、上記ホッパー本体20の容量等に応じて、数秒程度の比較的、短時間で該ホッパー本体20内が所定の真空度に到達するよう適宜、設定可能である。
このような真空ポンプ3は、後記する加熱ガス導入手段4によってホッパー本体20内に最大風量のガスが導入された際にも、該ホッパー本体20内が大気圧より低い圧力状態となるようなものとすればよい。
また、図例では、真空ポンプ3を、一段のみで構成したものを例示しているが、ホッパー本体20の容量や所望する到達真空度等に応じて、例えば、真空ポンプを複数設けた多段構成としてもよい。
また、真空ポンプ3の吸引方向上流側(排気側とは異なる側)には、図示を省略しているが、真空度を検出するための圧力センサや圧力ゲージ等の圧力計が設けられている。
【0038】
上記加熱ガス導入手段4は、図2(a)に示すように、大略的に、加熱したガスを上記ホッパー本体20内に導入するための導入ガス加熱部40と、ガス源5,5Aからのガスの切り替え及びガス通過管路の開閉、並びにガスの流量を調整するための流量調整部50とを備えている。
上記ガス源は、本実施形態では、圧縮空気を供給する圧縮空気源5と、フィルタ52bを介して大気開放された外気を導入するための導入源5Aとを備えている。
上記圧縮空気源5は、例えば、コンプレッサー等の圧縮機によって圧縮された空気を、アフタークーラ、ドレンセパレータ等を介して蓄える空気タンク等としてもよい。このような圧縮空気源5は、当該減圧式乾燥装置1専用の圧縮空気源5を設けるようにしてもよいが、空気圧機器が設置される工場等においては、上記のような圧縮空気源5が工場設備として設けられているのが一般的であるので、その設備を利用するようにしてもよい。
尚、該圧縮空気源5に圧縮空気を供給、遮断するための開閉電磁弁を設けるようにしてもよい。
【0039】
上記圧縮空気源5には、乾燥空気導入管路51の一端部が接続されており、該乾燥空気導入管路51には、該圧縮空気源5から他端側に向けて、調質ユニット51bと、ドライヤー51cと、上記圧縮空気源5を介して導入される乾燥空気を供給、遮断するための開閉弁としての第4電磁弁51aとがこの順に配設されている。
上記調質ユニット51bとしては、上記圧縮空気(コンプレッサーエアー)の圧力を調整するためのレギュレータや塵埃等を捕捉するためのフィルタ、ミスト状のオイル等を捕捉するためのマイクロミストセパレータ(オイルミストフィルタ)等を備えたものとしてもよい。
上記ドライヤー51cは、上記コンプレッサーエアーを適度に乾燥させるためのものであって、例えば、中空糸膜式のドライヤー等、簡易型のドライヤーとしてもよい。このドライヤー51cを通過したコンプレッサーエアーの露点は、例えば、−10℃〜−40℃程度の比較的、低露点となるようにしてもよい。
【0040】
上記導入源5Aの上記フィルタ52bには、外気導入管路52の一端部が接続されており、該外気導入管路52には、上記フィルタ52bを介して導入される外気を供給、遮断するための開閉弁としての第6電磁弁52aが配設されている。
上記乾燥空気導入管路51及び上記外気導入管路52のそれぞれの他端部は、三方継手等を介して、流量調整部50の導入側管路53の一端部に接続されている。
該導入側管路53の他端部には、三方継手等を介して、複数(本実施形態では、2本)の分岐管路54,55(第1分岐管路54、第2分岐管路55)の一端部がそれぞれ接続されている。
上記第1分岐管路54には、流量を調整するための流量制御弁としてのニードルバルブ54aが配設されており、上記第2分岐管路55には、当該第2分岐管路55を通過するガスを供給、遮断するための開閉弁としての第5電磁弁55aが配設されている。
【0041】
上記各分岐管路54,55のそれぞれの他端部は、三方継手等を介して、加熱部側管路56の一端部に接続されている。
すなわち、本実施形態では、上記流量調整部50は、ガスの導入側(ガス源)に接続される導入側管路53と、該導入側管路53を分岐させた複数の分岐管路54,55と、該複数の分岐管路54,55を合流させ、後記する導入ガス加熱部40に接続される加熱部側管路56と、上記第2分岐管路55に配された第5電磁弁55aとを備えている。
上記各電磁弁51a,52a,55aは、後記するCPU80(図3参照)に信号線等を介して接続されており、該CPU80によって、その開閉制御がなされる。
【0042】
上記構成とされた流量調整部50においては、上記第4電磁弁51aを開、上記第6電磁弁52aを閉とすれば、上記導入側管路53に向けて、上記圧縮空気源5からのコンプレッサーエアー(乾燥空気)の導入が、上記乾燥空気導入管路51を介して可能となる。一方、上記第4電磁弁51aを閉、上記第6電磁弁52aを開とすれば、上記導入側管路53に向けて、上記導入源5Aからの外気の導入が、上記フィルタ52b、上記外気導入管路52を介して可能となる。すなわち、これら第4電磁弁51a及び第6電磁弁52aを選択的に開閉制御することで、乾燥空気と外気とを選択的に導入可能とし、これら第4電磁弁51a及び第6電磁弁52aが導入ガス切替え手段として機能する。また、上記第4電磁弁51a及び第6電磁弁52aの両方を閉とすれば、ガスの導入が停止される構成とされている。
このように、乾燥空気と外気とを選択的に切り替えて、上記ホッパー本体20内に導入し得る態様とすることで、例えば、夏季等の比較的、外気の湿度が高い場合には、上記乾燥空気導入管路51を介して乾燥空気を導入させるようにしたり、冬季等の比較的、外気の湿度が低い場合には、上記外気導入管路52を介して外気を導入させるようにしたりすることができる。また、例えば、当該減圧式乾燥装置1の起動時等、運転初期の段階では、ホッパー本体20に貯留された粉粒体材料mを昇温させることに重点を置き、加熱した外気を導入させ、ある程度、昇温した後には、粉粒体材料mを乾燥させることに重点を置いて、加熱した乾燥空気を導入させるような制御態様を採用することもできる。
【0043】
尚、本実施形態では、上記第4電磁弁51a及び上記第6電磁弁52aを開閉制御することによって、上記乾燥空気または外気を選択的に切り替えて上記ホッパー本体20内に導入し得る態様を例示しているが、乾燥空気または外気を選択的に切り替えて上記ホッパー本体20に導入し得るものであれば、他の構成を採用するようにしてもよい。
或いは、このような態様に代えて、乾燥空気または外気のいずれか一方を導入可能な態様としてもよい。すなわち、上記乾燥空気導入管路51、外気導入管路52のうちのいずれか一方のみを備えたものとしてもよい。
【0044】
本実施形態では、当該減圧式乾燥装置1の作動中、常時、所定流量のガスの通過が可能となるよう、上記第1分岐管路54に配設されたニードルバルブ54aを調整しており、上記第2分岐管路55に配設された第5電磁弁55aを開閉制御することによって、導入されるガスの流量の増減が可能とされている。
すなわち、上記第5電磁弁55aを閉とすれば、上記第1分岐管路54を介して所定流量のガスが上記ガス源5(5A)から上記加熱部側管路56に向けて流通可能となる。また、上記第5電磁弁55aを開とすれば、上記第1分岐管路54を通過する上記所定流量のガスに、上記第2分岐管路55の流量を加えたガスが上記ガス源5(5A)から上記加熱部側管路56に向けて流通可能となる。尚、以下では、上記第5電磁弁55aを閉とした状態における第1分岐管路54を通過するガスを小流量ガスとし、上記第5電磁弁55aを開とした状態における分岐管路54,55を通過するガスを大流量ガスとして説明する。
このように、複数の分岐管路54,55を設け、このうちの少なくとも一つに開閉弁55aを設けて流量を増減させる態様とすることで、簡易な構成によって流量調整部50を構成することができる。
【0045】
また、上記第1分岐管路54を、常時、所定流量のガスの通過が可能となるように構成しているので、該所定流量のガスをホッパー本体20内に連続的に導入させることができる。これにより、後記するように、真空ポンプ3を駆動して、ホッパー本体20内を減圧しながら、加熱したガスを導入することによって、粉粒体材料mの表面に浮き出てきて、ホッパー本体20内に蒸散した水分等を、当該加熱ガスによって置換しながら、真空ポンプ3による吸引によってホッパー本体20外にスムーズに排出させることができる。
また、これにより、導入するガスを加熱するための後記する線状ヒータ41等のガス加熱手段の損傷等を防止することもできる。
さらに、上記のように複数の分岐管路を設けてガスの流量を増減させる態様とすることで、簡易な構成でありながらも、これら分岐管路の本数や各管路の径、開閉弁等のバルブ径などを、適宜、設定することで、導入するガスの流量を細かく増減させることも可能となる。
【0046】
尚、後記する基本動作の一例では、上記第5電磁弁55aを、間欠的に開放させることによって、上記ホッパー本体20に導入される加熱されたガスの流量を、間欠的に増大させる態様を例示しているが、このような態様に限られない。例えば、導入するガスの流量を増加させる場合は、上記第5電磁弁55aを連続的に開放させ、導入するガスの流量を減少させる場合は、上記第5電磁弁55aを閉止させるような態様としてもよい。
また、本実施形態では、後記する導入ガス加熱部40に向けて供給するガスの流量を調整するための流量調整部50として、複数の分岐管路54,55を設け、このうちの少なくとも一つに開閉弁55aを設けて流量を増減させる態様を例示しているが、後記する導入ガス加熱部40に向けて供給するガスの流量の増減が可能な構成であれば、どのようなものでもよい。例えば、上記第5電磁弁55aを、所定時間当たりの流量が増減するように、増加させる際と、減少させる際とにおいて、開閉タイミングを異ならせたり、開時における通過量を異ならせたりして、比較的、高速で開閉制御することで、導入するガスの流量を増減させるような態様としてもよい。この場合には、上記複数の分岐管路を設けずに、上記ガス源からのガスが通過する管路に開閉弁を設けるようにしてもよい。
または、上記複数の分岐管路を設けずに、或いは、加えて、上記ガス源からのガスが通過する管路に、開度制御の可能なモータバルブなどの流量調整弁を設けるようにしてもよい。このような流量調整弁の開度を、後記するCPU80によって制御することで、導入するガスの流量の増減が可能となる。
さらに、上記ガスとしては、外気や外気を調質するとともに乾燥させた乾燥空気に限られず、窒素、水素、アルゴンなどのガスやその他、不活性ガスとしてもよい。
【0047】
上記導入ガス加熱部40は、図2(a)、(b)に示すように、上記流量調整部50の加熱部側管路56の他端部が接続された導入側三方継手42と、該導入側三方継手42に接続されたガス加熱手段としての線状ヒータ41と、該線状ヒータ41の線状発熱体41aが挿入され、上記導入側三方継手42に一端部が接続された螺旋状ガス管路43と、該螺旋状ガス管路43の他端部が接続されたホッパー側三方継手44と、該ホッパー側三方継手44に接続され、導入ガスの温度を検出するためのガス温度検出用センサ45とを備えている。該ホッパー側三方継手44の一接続口が、上述のように、上記ホッパー本体20の下部に設けられた導入手段接続部21に接続されている。
上記導入側三方継手42の一接続口は、上記線状ヒータ41の端子部が接続されて封止されており、該端子部から導入側三方継手42のガス流通路内を通じて、他方の一接続口から線状ヒータ41の線状発熱体41aを導出させている。
上記ガス温度検出用センサ45は、上記ホッパー側三方継手44の一接続口を封止するように該一接続口から当該ホッパー側三方継手44のガス流通路内に検出部が臨むように配されている。
【0048】
上記螺旋状ガス管路43は、例えば、内径が4mm〜30mm程度、管路長さが1m〜5m程度の銅管等を螺旋状に屈曲させて形成されている。
上記線状ヒータ41の線状発熱体41aは、ニクロム線等の発熱線を、絶縁材で被覆して構成されており、上記螺旋状ガス管路43内に当該螺旋状ガス管路43に沿って配されている。本実施形態では、上記線状ヒータ41の線状発熱体41aは、上記螺旋状ガス管路43の長手方向の全長に亘って配されておらず、該螺旋状ガス管路43の一端部から2/3程度の部位に達するまでの長さとされている。尚、上記線状ヒータ41の線状発熱体41aの径は、例えば、数mm程度としてもよい。また、該線状ヒータ41の線状発熱体41aの長さは、螺旋状ガス管路43の長さ未満とすればよく、粉粒体材料の種類や初期水分率等により設定される上記目標加熱温度や当該線状発熱体41a自体の発熱量等に応じて、適宜、設定可能である。
これら線状ヒータ41と螺旋状ガス管路43とを含んだ加熱器は、上記銅管内に、上記線状ヒータ41の線状発熱体41aを挿入させた後、上記のように螺旋状に銅管を屈曲させて形成するようにしてもよい。
【0049】
上記導入ガス加熱部40の上記線状ヒータ41は、上記ガス温度検出用センサ45の測定温度信号(検出温度)に基づいて、導入するガスの温度が予め設定された所定の温度となるように、後記するCPU80(図3参照)によってON/OFF制御或いはPID制御等の通電の制御がなされる。上記所定の温度は、粉粒体材料の種類や初期水分率等により設定される上記目標加熱温度、ホッパー本体20の容量や次の処理工程(樹脂成形機19や該樹脂成形機19上に設置された一時貯留ホッパー19a、その他の加工機等(不図示))に向けて一度に排出される排出量等に応じて、適宜、設定可能であるが、例えば、80℃〜160℃程度としてもよい。
【0050】
上記のように、ホッパー本体20に導入するためのガスを加熱する加熱器を、線状ヒータ41を挿入した螺旋状ガス管路43によって構成することで、該螺旋状ガス管路43を通過するガスを、上記線状ヒータ41によって効率的に加熱することができる。すなわち、螺旋状ガス管路43内を通過するガスと線状ヒータ41の線状発熱体41aとの熱交換が、例えば、シーズヒータやプレートヒータ、放熱フィン付ヒータ等の発熱体を内蔵したヒータボックス等の加熱器と比べて、効率的になされ、該ガスを効率的に加熱することができる。
このように、ガスの加熱効率を向上させることができるので、例えば、上記ヒータボックス等の加熱器と比べて、電気容量を比較的、小さいものにでき、省電力化を図ることができるとともに、当該加熱器自体を小型化できる。従って、当該加熱器(導入ガス加熱部40)を、ホッパー本体20に近接した位置に設置することができるので、熱損失等を低減することができる。
また、上記のように螺旋状ガス管路43内を通過するガスを線状ヒータ41によって加熱する構成としているので、比較的、応答性を高めることができる。すなわち、上記螺旋状ガス管路43内を通過する加熱対象であるガスを加熱するための発熱体が線状発熱体41aであるので、発熱体自体の熱容量が比較的、小さくなり、発熱体自体の昇温または降温が比較的、迅速になされる。この結果、螺旋状ガス管路43を通過するガスの流量の増減に伴って、上記線状ヒータ41への通電制御がなされることによる該螺旋状ガス管路43の出口側(ホッパー本体20側)におけるガスの温度を、比較的、迅速に所定の温度に追従させることができる。すなわち、オーバーシュートやアンダーシュートなどが生じ難くなり、ホッパー本体20内に導入される加熱したガスの温度を、比較的、安定した温度にコントロールできる。
【0051】
尚、加熱器としては、上記のような螺旋状ガス管路43に線状ヒータ41を挿入して構成した態様に限られず、他の加熱器を採用するようにしてもよい。例えば、シーズヒータやプレートヒータ等の発熱体をボックス状のガス加熱部内に配設し、該ボックス状ガス加熱部内においてガスを該発熱体によって加熱する構成とされたようなヒータボックスとしてもよい。
或いは、発熱体として面状のセラミック(半導体)ヒータを内蔵した多数の放熱フィン、或いはセラミックヒータに付設された多数の放熱フィンを組み合わせて、多数のガス流通路をガス通過方向に沿って形成した放熱フィン付ヒータとしてもよい。その他、上記以外の加熱器を採用するようにしてもよい。
【0052】
上記材料投入部6は、図1及び図5に示すように、材料貯留タンク9などの材料貯留部から材料輸送管15を介して輸送される粉粒体材料を捕集する捕集器60と、該捕集器60の下部に設けられた第1スライド弁61と、該第1スライド弁61の下部に設けられた吸引管路接続部62と、該吸引管路接続部62の下部に設けられ、上記捕集器60からの粉粒体材料を受け入れて、一時的に貯留する材料投入貯留管63と、該材料投入貯留管63の材料有無を検出するための投入管材料センサ64と、該材料投入貯留管63の下部に設けられた第2スライド弁65と、上記吸引管路接続部62に接続された真空吸引管路12に配された第1電磁弁66とを備えている。
【0053】
上記捕集器60は、吸引方式によって材料貯留タンク9に貯留された粉粒体材料を捕集する構成とされており、その空気吸引管接続部が、材料輸送用ブロア13に空気吸引管14を介して接続されている。また、該捕集器60の材料輸送管接続部に材料貯留タンク9からの材料を輸送するための材料輸送管15が接続されている。尚、図1において、符号14aは、上記同様のフィルタである。
上記第1スライド弁61は、図5(a)に示すように、スライド弁体61bと、該スライド弁体61bをスライド自在に収容した弁体ケーシング61aと、該スライド弁体61bをスライドさせるためのエアシリンダ等からなるスライド弁駆動部61cとを備えている。この第1スライド弁61のスライド弁体61bは、透孔部と閉塞部とを有し、上記スライド弁駆動部61cによってスライド移動されることで、該透孔部を上記捕集器60の排出口に整合させて該排出口と吸引管路接続部62及び材料投入貯留管63とを連通させる補給位置と、上記捕集器60の排出口と材料投入貯留管63との連通を該閉塞部によって遮断する遮断位置とに切り替え制御される。
【0054】
上記吸引管路接続部62は、上記ホッパー本体20の上部に設けられた吸引管路接続部23と略同様の構成であり、材料投入貯留管63に連通する開口部を有し、該開口部に向けて開口したガス排出口62aを有している。この吸引管路接続部62には、上記真空吸引管路11に接続された真空吸引管路12が接続されており、該真空吸引管路12に、上記第1電磁弁66が配設されている。
上記材料投入貯留管63は、上記投入管材料センサ64の種類にもよるが、例えば、透明のガラス管等とされており、その容量は、上記ホッパー本体20に設けられたホッパー材料センサ24の材料レベル低下の検出に伴ってなされる後記する投入動作により投入可能な容量(満レベル以上とならない容量)として適宜、設定可能である。
上記投入管材料センサ64は、上記材料投入貯留管63内の粉粒体材料の貯留有無を検出可能なものであれば、どのようなものでもよいが、例えば、静電容量式レベル計(近接センサ)としてもよい。
【0055】
上記第2スライド弁65は、上記第1スライド弁61と同様の構成であり、透孔部及び閉塞部を有したスライド弁体65b、弁体ケーシング65a、及びスライド弁駆動部65c等を有している。この第2スライド弁65のスライド弁体65bを、上記スライド弁駆動部65cによってスライド移動させることで、該透孔部を上記材料投入貯留管63の下端排出口に整合させて該下端排出口と吸引管路接続部23及び蓋体22の上記開口部とを連通させる投入位置と、上記材料投入貯留管63の下端排出口と吸引管路接続部23及び蓋体22の上記開口部との連通を該閉塞部によって遮断する遮断位置とに切り替え制御される。
尚、上記構成とされた材料投入部6における材料の投入・補給動作については、後述する。
また、本実施形態では、後記するように、この材料投入部6によって、該ホッパー本体20内の減圧状態を破壊(真空破壊)させることなく、上記ホッパー本体20に材料を投入し得る構成としているが、このような態様に限られず、捕集器の下部に開閉バルブを設けて、開閉バルブが開放された際には、ホッパー本体20内の減圧状態が破壊されるような材料投入部を採用するようにしてもよい。
【0056】
上記材料排出部7は、図1、図2(a)及び図6に示すように、大略的に、上記ホッパー本体20の下端排出口から排出された粉粒体材料mを受け入れる計量輸送タンク74と、該計量輸送タンク74の上端部が固着されたスライド弁体71と、該スライド弁体71をスライド自在に支持する弁体ハウジング70と、該スライド弁体71をスライドさせるためのエアシリンダ等からなるタンクスライド弁駆動部72とを備えている。
【0057】
上記弁体ハウジング70は、図2(a)に示すように、矩形板状のスライド弁体71を下方から受け入れる凹溝を有し、該スライド弁体71の両側部裏面に当接して該スライド弁体71を支持する一対の弁体ガイド部70c,70cを有している。また、該弁体ハウジング70には、図6(a)に示すように、上記ホッパー本体20の下端排出口に連通する材料受け入れ開口部70aと、材料輸送管接続部73に連通接続された材料輸送側開口部70bとがスライド方向に沿って設けられている。該材料受け入れ開口部70aと材料輸送側開口部70bとは、スライド方向に沿って所定間隔を隔てて設けられている。この所定間隔は、後記するスライド弁体71が待機位置(図6(a)に示す位置)とされた際に、その透孔部71aが、これら材料受け入れ開口部70a及び材料輸送側開口部70bのいずれにも整合せずに、該弁体ハウジング70の天面によって該透孔部71aの閉塞が可能な程度の間隔とすればよい。
【0058】
上記スライド弁体71は、上記タンクスライド弁駆動部72によるスライド移動を伴って、上記材料受け入れ開口部70a及び材料輸送側開口部70bに連通する透孔部71aと、上記材料受け入れ開口部70aを閉塞する閉塞部とを有している。このスライド弁体71は、上記タンクスライド弁駆動部72によって、後記するように、図6(a)に示す待機位置と、図6(b)に示す計量位置と、図6(c)に示す輸送位置とに切り替え制御される。
上記計量輸送タンク74は、その上端部開口74aを上記スライド弁体71の透孔部71aに整合させて、該スライド弁体71の下面に固着されており、該計量輸送タンク74の外周部には、上記ホッパー本体20の下端排出口から投入される粉粒体材料mの貯留レベルを検出するためのタンク材料センサ75が設けられている。このタンク材料センサ75が計量手段として機能し、計量輸送タンク74内に所定量の粉粒体材料mが貯留されたことを検出する。
この計量輸送タンク74の下端内部には、ガスの流通が可能で粉粒体材料mの通過を阻止するガス流通網やガスの流通が可能とされた多孔質体などのフィルタからなるガス流通部74bが設けられている。また、該計量輸送タンク74の下端部には、該ガス流通部74bに連通するガス流通管接続部74cが設けられている。
【0059】
上記ガス流通管接続部74cには、上記計量輸送タンク74内の空気を吸引、または該計量輸送タンク74内に外気を導入するためのガス流通管路16が接続されている。該ガス流通管路16は、図1に示すように、上記真空吸引管路11に接続された吸引管16aと、外気を導入するための外気導入管16bとに分岐している。
上記吸引管16aには、該吸引管16aを開閉するための開閉弁としての第2電磁弁76が配設されており、上記外気導入管16bには、上記同様のフィルタが設けられるとともに、該外気導入管16bを開閉するための開閉弁としての第3電磁弁77が配設されている。
上記材料輸送管接続部73には、図1に示すように、樹脂成形機19等の加工機上に設置された一時貯留ホッパー19aに向けて粉粒体材料mを輸送するための材料輸送管17が接続されている。
【0060】
尚、図1において、符号19bは、上記一時貯留ホッパー19aの材料投入貯留管に付設された成形機側材料センサ、符号18は、一時貯留ホッパー19aに向けて粉粒体材料mを輸送するために空気吸引する空気吸引管である。この空気吸引管18の末端には、上記材料輸送用ブロア13と同様のブロアが設けられている。このブロアは、上記材料投入部6における投入・補給動作と、当該材料排出部7における計量・輸送動作とが、別のタイミングでなされるように制御される場合等においては、該空気吸引管18を、切り替え弁等を介して、上記材料輸送用ブロア13に接続された上記空気吸引管14に接続して、該材料輸送用ブロア13を、樹脂成形機19への材料輸送用ブロアとして兼用するようにしてもよい。
また、上記構成とされた材料排出部7における材料の計量・輸送動作については、後述する。
また、本実施形態では、後記するように、この材料排出部7によって、該ホッパー本体20内の減圧状態を破壊(真空破壊)させることなく、上記ホッパー本体20からの材料を排出し得る構成としているが、このような態様に限られず、ホッパー本体20の下部に開閉バルブを介して貯留タンク等を設けて、開閉バルブが開放された際には、ホッパー本体20内の減圧状態が破壊されるような材料排出部を採用するようにしてもよい。 或いは、上記各態様に代えて、当該ホッパー本体20を、例えば、樹脂成形機19等の加工機の投入口に直接または一時貯留ホッパー等を介して設置するような態様の場合には、上記材料投入部6と同様の構成とした材料排出部を採用するようにしてもよい。このような態様によっても、該ホッパー本体20内の減圧状態を破壊(真空破壊)させることなく、上記ホッパー本体20からの材料を排出し得る構成となる。
【0061】
上記制御盤8は、図3に示すように、当該減圧式乾燥装置1の上記した各機器を制御する制御部としてのCPU80と、該CPU80に信号線を介してそれぞれ接続された、各種設定などを設定したり、表示したりするための表示操作部を構成する操作パネル81と該操作パネル81の操作により設定された設定条件や後記する基本動作等を実行するための制御プログラムなどの各種プログラム、予め設定された各種動作条件等が格納される記憶部82とが設けられている。
また、上記CPU80には、図3に示すように、信号線を介して、上記した各機器、各種センサ等が接続されている。
【0062】
次に、上記構成とされた本実施形態に係る減圧式乾燥装置1において実行される基本動作の一例を、図4に基づいて説明する。
尚、図4及び後記する図7では、各機器のON/OFF動作、各電磁弁の開閉動作等を模式的に図示している。また、図4において示す材料層通過温度(上記材料非貯留空間の温度)を示すグラフは、時間軸を横軸、上記材料層通過温度検出用センサ25による検出温度を縦軸で示している。また、加熱ガス流量を示すグラフは、上記同様、時間軸を横軸、加熱ガス導入手段4によってホッパー本体20内に導入される加熱ガスの流量を縦軸で模式的に示している。
【0063】
<材料初期投入工程>
当該減圧式乾燥装置1の起動時等において、上記ホッパー本体20内に粉粒体材料mが貯留されていない状態(空状態)の場合は、材料初期投入工程を実行する。
図1及び図5に示すように、上記材料投入部6の第1スライド弁61及び第2スライド弁65を開とし、上記捕集器60の排出口と、ホッパー本体20上部の蓋体22等の開口部とを連通させる。また、上記材料輸送用ブロア13を駆動して、上記材料貯留タンク9に貯留された粉粒体材料mを、上記材料輸送管15を介して捕集器60に向けて輸送する。この捕集器60に輸送された粉粒体材料mは、上記各スライド弁61,65、上記材料投入貯留管63、蓋体22等を介して、ホッパー本体20内に投入される。上記ホッパー材料センサ24が満レベルを検出すれば、上記各スライド弁61,65を閉とするとともに、上記材料輸送用ブロア13を停止させる。
尚、上記ホッパー本体20内に粉粒体材料mが貯留されている場合は、当該材料初期投入工程の実行は不要である。
また、このような材料初期投入工程を実行する際には、上記ホッパー材料センサ24が満レベルを検出して、第2スライド弁65を閉とした後、上記材料投入貯留管63内に、図5(a)に示すように、所定量の粉粒体材料mを貯留させた後に、上記第1スライド弁61を閉、上記材料輸送用ブロア13を停止させるようにしてもよい。
【0064】
<初期運転工程>
上記のようにホッパー本体20に所定量の粉粒体材料mを貯留させた後、初期運転工程を実行する。この初期運転工程は、上記ホッパー本体20に貯留された粉粒体材料mを、ある程度、昇温させるとともに、少なくとも下層部に位置する排出量に応じた粉粒体材料mの加熱乾燥処理が十分になされるまで(所定の温度、水分率(含水率)になるまで)実行され、粉粒体材料mのホッパー本体20への後記する投入動作、及びホッパー本体20からの後記する排出動作がなされない工程である。
図4に示すように、真空ポンプ3、外周ヒータ26、線状ヒータ41を起動させるとともに、上記加熱ガス導入手段4の第4電磁弁51a及び第5電磁弁55aを開とする。
すなわち、上記ホッパー本体20内を真空ポンプ3の駆動によって減圧しながら、上記加熱ガス導入手段4によって加熱したガスを、ホッパー本体20内に導入させる。
【0065】
上記ホッパー保温部材の外周ヒータ26によってホッパー本体20の放熱を防止しながら(初期においては、ホッパー本体20内の粉粒体材料mの昇温を補助しながら)、上記加熱ガスを導入することによって、材料層を通過したガスの温度は、室温程度の低い状態から徐々に上昇する。該材料層通過ガスの温度が、予め設定された所定の閾値を上回れば、上記加熱ガス導入手段4の第5電磁弁55aを閉とし、導入するガスの流量を減少させる。
このように、本実施形態では、上記材料層を通過したガスの温度を、上記ホッパー本体20内における粉粒体材料mの加熱乾燥処理状態を示す所定の制御要因とし、この温度によって、粉粒体材料mの加熱乾燥処理状態を推定するようにしている。
上記所定の閾値は、粉粒体材料の種類や初期水分率等により設定される上記目標加熱温度、ホッパー本体20の容量や次の処理工程(樹脂成形機19や該樹脂成形機19上に設置された一時貯留ホッパー19a、その他の加工機等(不図示))に向けて一度に排出される排出量等に応じて、適宜、設定可能であり、例えば、40℃〜120℃程度としてもよい。
【0066】
この初期運転工程では、上記閾値を上回るまでは、上記加熱ガス導入手段4の第4電磁弁51a及び第5電磁弁55aを開放させて、上記大流量ガス(最大風量の加熱ガス)を上記ホッパー本体20内に導入させる。これにより、ホッパー本体20に貯留された粉粒体材料mを迅速に昇温させることができる。
また、上記閾値を上回れば、所定の状態まで昇温したと判断し、上記第5電磁弁55aを閉とし、導入するガスの流量を減少させる。すなわち、上記小流量ガスを上記ホッパー本体20内に導入させる。これにより、上記真空ポンプ3による吸引によってなされるホッパー本体20内の真空度が高められ、減圧作用と、小流量ガスの導入による加熱作用とによって、粉粒体材料mの加熱乾燥処理が効率的になされる。
換言すれば、この初期運転工程では、その序盤においては、粉粒体材料mを昇温させることに重点を置いた制御を実行し、終盤においては、少なくとも下層部の排出量に応じた粉粒体材料mの乾燥度を高める制御を実行するようにしている。
【0067】
尚、上記初期運転工程を実行する時間は、ホッパー本体21の容量や排出量、粉粒体材料mの種類や条件(初期水分率等)等に応じて、適宜、設定可能であり、実験的乃至は経験的に設定可能である。或いは、上述のように、上記材料層最下層部温度検出用センサ29の測定温度信号(検出温度)に基づいて、ホッパー本体20内の最下層部の材料が、所定の状態まで加熱乾燥処理がなされているか、否かを確認するような態様としてもよい。
また、上記閾値を上回ったときに、上記CPU80のタイマーによるカウントを開始し、所定時間が経過するまで当該初期運転工程を実行するような態様としてもよい。
また、この初期運転工程においてなされる粉粒体材料mの昇温は、ホッパー本体20に貯留された粉粒体材料mの全量を、均一の温度になるまで昇温させる必要はなく、ホッパー本体20内に貯留されている粉粒体材料mの最下部から4割〜7割程度の粉粒体材料mの温度が所定の温度となるように昇温させるようにすればよい。換言すれば、ホッパー本体20の下部から導入された加熱ガスによって、ホッパー本体20内では、上層部から下層部に向けて徐々に温度が高くなるような温度勾配を形成するように、各層が昇温され、少なくとも後記する連続運転工程を開始するまでに、その連続運転工程の際に随時、最下層から排出される所定量の粉粒体材料mの加熱乾燥処理が十分になされるまで当該初期運転工程が続けられる。
【0068】
<連続運転工程>
上記のように、初期運転工程の実行がなされて、運転準備が完了すれば、連続運転工程に移行する。
この連続運転工程では、上記樹脂成形機19の上部に設置された一時貯留ホッパー19aの成形機側材料センサ19bからの材料要求信号(OFF信号)を受信することによって、後記する排出動作がなされ、また、上記ホッパー材料センサ24からの材料要求信号(OFF信号)を受信することによって、後記する投入動作がなされる。
この投入動作によって、例えば、室温程度の新たな粉粒体材料mがホッパー本体20内に投入され、上記材料層を通過したガスの温度が急激に低下し、上記閾値を下回る。このように該閾値を下回ったときには、上記加熱ガス導入手段4の流量調整部50を制御して、導入するガスの流量を増加させる。
【0069】
本基本動作例における連続運転工程では、図4に示すように、所定時間当りにおけるガスの通過量を増加させるように、上記第5電磁弁55aを間欠的に開放させることで、上記大流量ガスと小流量ガスとを交互に導入させる態様としている。このガスの増加量は、上記のように新たに投入された粉粒体材料mの昇温エネルギーに見合った量とするようにしてもよい。これによれば、より省エネルギー化を図ることができる。
上記のように導入するガスの流量を増加させることで、上記新たに投入された粉粒体材料mの昇温が迅速になされ、上記材料層を通過したガスの温度が徐々に上昇する。その温度が上記閾値を上回ったときには、上記加熱ガス導入手段4の流量調整部50を制御して、導入するガスの流量を減少させる。すなわち、上記初期運転工程時と同様、第5電磁弁55aを閉とし、上記小流量ガスを上記ホッパー本体20内に導入させる。これにより、上記同様、ホッパー本体20内における真空度が高められ、減圧作用と、小流量ガスの導入による加熱作用とによって、粉粒体材料mの加熱乾燥処理が効率的になされる。
以下、同様に、上記真空ポンプ3を駆動させてホッパー本体20内を減圧しながら、上記のように、ホッパー本体20からの粉粒体材料mの排出動作と、ホッパー本体20への粉粒体材料mの投入動作とを伴って、材料層を通過したガスの温度が上記閾値を下回れば、導入するガスの流量を増加させ、材料層を通過したガスの温度が上記閾値を上回れば、導入するガスの流量を減少させるように制御する。
【0070】
以上のように、本実施形態に係る減圧式乾燥装置1によれば、ホッパー本体20内に貯留された粉粒体材料mの加熱乾燥効率を高めながらも、省エネルギー化を図ることができるとともに、過熱による粉粒体材料mの劣化(酸化、やけ、分解、変色など)等を防止することができる。
また、上記のように、予め設定された所定の温度となるように、ホッパー本体20に導入するガスの温度をコントロールしながら、加熱したガスを導入して、ホッパー本体20に貯留された粉粒体材料mを加熱処理するようにしているので、従来の熱伝導フィンによる加熱処理を行うものと比べて、ホッパー本体20内の清掃性や粉粒体材料の貯留可能容量を飛躍的に向上させることができる。
【0071】
尚、導入するガスの流量の増減は、本基本動作例のような態様に限られず、上記したように種々の態様を採用することができる。
また、上記したように、乾燥空気を加熱して導入する態様に代えて、外気を加熱して導入する態様としてもよく、または、運転初期においては、外気を加熱して導入し、その後、乾燥空気を加熱して導入するような態様としてもよい。
また、本基本動作例では、図4に示すように、材料の排出の後、材料の投入が関連してなされるような態様を例示しているが、これら材料の排出動作と、材料の投入動作とが関連してなされるような態様に限られず、個別になされるような態様としてもよい。
さらに、上記基本動作例では、初期運転工程の前に、満レベルとなるまで上記材料初期投入工程を実行する態様を例示しているが、このような態様に限られない。例えば、上記材料初期投入工程に代えて、上記初期運転工程と同様の構成とし、後記する投入動作を繰り返しながら、空状態から満レベルになるまで、徐々にホッパー本体20内に粉粒体材料mを貯留させるような態様としてもよい。これによれば、空状態から満レベルになるまで投入動作がなされる間も、減圧しながら加熱ガスを導入させて加熱乾燥処理が行え、また、後記するように投入動作がなされる際にもホッパー本体20内の真空破壊がなされないので、粉粒体材料mの加熱乾燥処理を効率的に行うことができる。
【0072】
<投入動作(投入・補給動作)>
次に、上記材料投入部6を用いて実行される投入動作の一例を図5及び図7(a)に基づいて説明する。
図5(a)及び図7(a)に示すように、ホッパー材料センサ24からの材料要求信号(OFF信号)、及び当該材料投入部6の投入管材料センサ64からの材料要求信号(OFF信号)が出力されていない状態では、上記第1スライド弁61及び第2スライド弁65は閉止され、また、材料投入貯留管63内に所定量の粉粒体材料mが貯留されている。
図5(b)及び図7(a)に示すように、ホッパー材料センサ24から材料要求信号が出力されれば、上記第1電磁弁66を所定時間、開放させて、上記材料投入貯留管63内を上記真空ポンプ3によって真空状態にする。
【0073】
上記のように第1電磁弁66を開放させた後、所定の第1時間t1が経過すれば、図7(a)に示すように、上記第2スライド弁65を所定の第2時間t2が経過するまで開とする。すなわち、図5(c)に示すように、該第2スライド弁65のスライド弁体65bを上記投入位置に切り替えて、該材料投入貯留管63内に貯留された粉粒体材料mを、ホッパー部2のホッパー本体20内に投入する。
上記第1時間t1は、上記第1電磁弁66を開放させることでなされる材料投入貯留管63内の真空度が、上記ホッパー本体20内の真空度と概ね同程度となるように、適宜、設定される。上記材料投入貯留管63の容量は、上記ホッパー本体20の容量に比べて、非常に小さく、また、ガスの導入等がなされておらず、瞬時に所定の真空度に達するので、上記第1時間t1は、数秒程度の短い時間としてもよい。
また、上記第2時間t2は、上記材料投入貯留管63内に貯留された粉粒体材料mの全量がホッパー本体20内に投入可能な時間以上に設定すればよい。
上記状態では、上記材料投入貯留管63内の粉粒体材料mがホッパー本体20に投入されて、該材料投入部6の投入管材料センサ64から材料要求信号が出力されるが、上記第2スライド弁65が閉とされるまでは、材料投入貯留管63への材料補給は行わないようにしている。
【0074】
上記所定時間が経過すれば、図5(d)及び図7(a)に示すように、上記第1電磁弁66及び上記第2スライド弁65を閉とし、その後、上記材料輸送用ブロア13を駆動し、上記第1スライド弁61を所定の第3時間t3が経過するまで開とする。
これにより、材料貯留タンク9(図1参照)から粉粒体材料mが捕集器60に向けて材料輸送管15を介して輸送され、捕集器60から上記材料投入貯留管63に補給される。
上記粉粒体材料mの投入動作は、図7(a)に示すように、上記ホッパー材料センサ24からの材料要求信号の出力がなされている間は、繰り返しなされる。
上記のように、本実施形態に係る材料投入部6を用いて上記ホッパー本体20への粉粒体材料mの投入動作を行う態様とすることで、上記のように真空ポンプ3によって所定の減圧状態とされるホッパー本体20の減圧状態を破壊するようなことがない。これにより、ホッパー本体20内において、上記のように加熱乾燥処理される粉粒体材料mの加熱乾燥効率を、より効果的に高めることができる。
【0075】
<排出動作(計量・輸送動作)>
次に、上記材料排出部7を用いて実行される排出動作の一例を図6及び図7(b)に基づいて説明する。
上記のように初期運転工程から連続運転工程に移行した後、樹脂成形機19からの材料要求信号が出力されれば、排出動作を実行する。
すなわち、図6及び図7(b)に示すように、上記成形機側材料センサ19bから材料要求信号が出力されれば、上記計量輸送タンク74を、上記タンクスライド弁駆動部72によって、図6(a)に示す待機位置から図6(b)に示す計量位置に移動させる。
【0076】
上記待機位置では、図6(a)に示すように、上記スライド弁体71の透孔部71aは、上記弁体ハウジング70の天面によって閉塞されており、この状態で、上記吸引管16aに配された第2電磁弁76を開とすることで、上記真空ポンプ3による吸引によって、上記計量輸送タンク74内は、真空状態となる。
該計量輸送タンク74が上記待機位置から上記計量位置に移動される際には、上記第2電磁弁76の開状態を継続させており、該計量位置では、図6(b)に示すように、上記スライド弁体71の透孔部71aが上記ホッパー本体20の材料排出管20aに連通し、該ホッパー本体20内の粉粒体材料mが計量輸送タンク74に向けて投入される。
【0077】
上記計量位置において、上記計量輸送タンク74に設けられたタンク材料センサ75が満信号を出力すれば、上記計量輸送タンク74を、上記計量位置から輸送位置に移動させる。また、上記第2電磁弁76を閉、上記第3電磁弁77を開とし、成形機側ブロア(不図示)を、所定の第4時間t4が経過するまで駆動させる。
上記輸送位置では、図6(c)に示すように、上記スライド弁体71の透孔部71aが上記弁体ハウジング70に設けられた材料輸送側開口部70bを介して上記材料輸送管接続部73に連通した状態となる。また、上記外気導入管16bからの外気導入を伴って、成形機側ブロアの駆動による吸引空気によって、上記計量輸送タンク74内に貯留された粉粒体材料mが、上記材料輸送管17を介して、上記一時貯留ホッパー19aに向けて輸送される。
上記第4時間t4は、上記計量輸送タンク74内に貯留された粉粒体材料mの全量が上記一時貯留ホッパー19aに向けて輸送可能な時間以上に設定すればよい。
【0078】
上記第4時間t4が経過し、かつ、成形機側材料センサ19bの材料要求信号の出力が継続されている場合は、上記第2電磁弁76を開、上記第3電磁弁77を閉とし、所定の第5時間t5が経過するまで、上記計量輸送タンク74を上記計量位置に位置させる。
この第5時間t5は、上記輸送位置において真空破壊された計量輸送タンク74内を所定の真空状態(ホッパー本体20と概ね同程度の真空状態)となるまでに要する時間として、適宜、設定可能である。
上記第5時間t5が経過すれば、上記計量輸送タンク74を、上記待機位置から上記計量位置に移動させ、上記同様、計量輸送タンク74内に所定量の粉粒体材料mを貯留させ、上記タンク材料センサ75が満信号を出力すれば、上記第2電磁弁76を閉、上記第3電磁弁77を開とし、成形機側ブロア(不図示)を、上記第4時間t4が経過するまで駆動させるとともに、上記計量輸送タンク74を上記計量位置から上記輸送位置に移動させる。
【0079】
上記計量・輸送動作によって粉粒体材料mが上記一時貯留ホッパー19bに輸送されて、上記成形機側材料センサ19bから満信号が出力されれば、計量・輸送動作を停止し、上記計量輸送タンク74を上記のように待機位置に位置させる。
以降、同様に、上記成形機側材料センサ19bからの材料要求信号によって、上記計量・輸送動作の実行が繰り返しなされる。
上記のように、本実施形態に係る材料排出部7を用いて上記ホッパー本体20からの粉粒体材料mの排出動作を行う態様とすることで、上記のように真空ポンプ3によって所定の減圧状態とされるホッパー本体20の減圧状態を破壊するようなことがない。これにより、ホッパー本体20内において、上記のように加熱乾燥処理される粉粒体材料mの加熱乾燥効率を、より効果的に高めることができる。また、ホッパー本体20内の下層部において加熱乾燥処理がなされた粉粒体材料mが外気等に晒されることがない。また、上記真空ポンプ3によるホッパー本体20内における真空度が比較的、高い場合には、ホッパー本体20の下端排出口からの急激な外気の侵入によって、下層部の粉粒体材料mが吹き上げられて、攪拌等がなされる場合があるが、そのようなことも防止できる。
【0080】
次に、本実施形態に係る減圧式乾燥装置の一変形例について図8に基づいて説明する。
尚、本変形例に係る減圧式乾燥装置1Aでは、ホッパー本体20内における粉粒体材料mの加熱乾燥処理状態を示す所定の制御要因を検出するための検出手段、及びホッパー保温部材の構成が、図1に示した減圧式乾燥装置1とは、主に異なり、図8では同様の構成については一部、図示を省略している。また、同様の構成及び作用については、同一符号を付して、その説明を省略、或いは簡略に説明する。
【0081】
本変形例に係る減圧式乾燥装置1Aが備えるホッパー保温部材は、上記態様とは異なり、ホッパー本体20の外周に、上記同様の断熱材27を被覆させて構成されている。すなわち、本変形例では、上記のような外周ヒータ26を設けずに、断熱材27をホッパー保温部材として把握している。このような態様によっても、ホッパー本体20からの放熱が低減され、粉粒体材料mを効率的に加熱乾燥処理することができる。
【0082】
また、上記減圧式乾燥装置1Aでは、材料層を通過したガスの温度を検出するための材料層通過温度検出用センサ25Aを、その検出部が上記真空吸引管路11内に臨むように配設している(第1変形例)。このような態様によっても、上記同様、材料層を通過したガスの温度の検出が可能である。
このようなホッパー本体20内における粉粒体材料mの加熱乾燥処理状態を示す所定の制御要因を検出するための検出手段としては、上記した材料層通過温度検出用センサ25,25Aに限られず、後記するように、他の部位の温度を制御要因として検出するものとしてもよく、または、他の制御要因を検出するための検出手段を採用するようにしてもよい。
【0083】
例えば、図8において、二点鎖線で示すように、ホッパー本体20内に貯留された粉粒体材料mの上層部の層内温度を検出するための材料層上層部温度検出用センサ25Bを採用するようにしてもよい(第2変形例)。
すなわち、この材料層上層部温度検出用センサ25Bは、ホッパー本体20内に貯留されている粉粒体材料層の上層部の粉粒体材料層内に、その検出部が位置するように配設されており、この上層部の粉粒体材料層の層内温度、すなわち、実質的には、その粉粒体材料層における粉粒体材料npmの温度を測定している。
この上層部の粉粒体材料npmは、上記した連続運転工程の際に、ホッパー本体20の下部の上記材料排出部7から排出された粉粒体材料mの排出量等に応じて、上記材料投入部6から新たに投入された粉粒体材料に相当する。換言すれば、粉粒体材料npmは、ホッパー本体20の粉粒体材料mの貯留レベルが下部からの排出によって低下して、上記材料投入部6からの材料の投入が開始される材料投入開始レベルの位置から、所定の満レベルになるまで新たに投入されて、貯留されている粉粒体材料である。
【0084】
上記のように新たに投入された粉粒体材料npmは、投入された直後は、上記したように、例えば、室温程度であり、ホッパー本体20内に導入された加熱ガスによって徐々に昇温される。この粉粒体材料npmの温度は、上記基本動作例において説明したように上記材料層通過温度の変化と略同様に推移し、上記材料層上層部温度検出用センサ25Bによって、ホッパー本体20内における粉粒体材料mの加熱乾燥処理状態を示す制御要因としての温度を検出するようにしてもよい。
このような態様によれば、上層部の粉粒体材料npmの温度を直接、測定することにより、上記した各例よりも加熱乾燥処理状態を示す温度の検出を迅速に行うことができる。
【0085】
或いは、図8において、二点鎖線で示すように、ホッパー本体20内に貯留された粉粒体材料mの中層部の層内温度を検出するための材料層中層部温度検出用センサ25Cを採用するようにしてもよい(第3変形例)。
すなわち、この材料層中層部温度検出用センサ25Cは、上記した各運転工程時において昇温過程にある粉粒体材料層内に、その検出部が位置するように配設されており、この中層部に貯留された昇温過程にある粉粒体材料層の層内温度、すなわち、実質的には、その粉粒体材料層における粉粒体材料nhmの温度を測定している。
【0086】
上記昇温過程にある粉粒体材料nhmは、上記した初期運転工程及び連続運転工程時において、未だ十分に昇温がなされていない粉粒体材料であって、上記初期運転工程において十分に昇温がなされて所定の温度に達した下層部の粉粒体材料hmよりも低温の粉粒体材料である。
すなわち、下層部の粉粒体材料hmは、上記基本動作例において説明したように、上記連続運転工程への移行前に所定の温度に昇温されているが、その上方に貯留されている粉粒体材料nhmは、上記初期運転工程及び連続運転工程時においては、その所定の温度までは昇温されていない状態である。
つまり、ホッパー本体20内に貯留されている粉粒体材料の温度分布は、上述のように、上記下層部では略一定の温度となっており、該下層部の上層側では、最上層部に向けて徐々に温度が低くなるような分布となっている。換言すれば、上記下層部に貯留された粉粒体材料hmは、上記初期運転工程終了時において、また、上記連続運転工程中には、略全量が概ね一定の温度に達している。一方、その下層部の粉粒体材料hmの上層側に貯留された粉粒体材料nhm及び新たに投入された粉粒体材料npmは、昇温過程にあり、上記所定の温度には達しておらず、最上層部に向けて徐々に温度が低くなるような温度分布で積層されている。
【0087】
上記昇温過程にある粉粒体材料nhmの温度は、上記した各温度センサ25,25A,25Bによって検出される温度よりも高温域での変化ではあるが、上述のように粉粒体材料の排出及び投入に伴って、降下と上昇とを繰り返すように推移する。
すなわち、上記のような温度分布とされたホッパー本体20内においては、ホッパー本体20の下部からの下層部の粉粒体材料hmの一部の排出に伴い、上記材料層中層部温度検出用センサ25Cの検出部周囲には、昇温過程にある粉粒体材料nhmのうち、さらに低温の粉粒体材料が降下してくる。その降下してきた粉粒体材料nhmは、上記各例と同様、導入された加熱ガスによって徐々に昇温されて、その温度が徐々に上昇する。本変形例では、この温度を、ホッパー本体20内における粉粒体材料mの加熱乾燥処理状態を示す制御要因とし、上記材料層中層部温度検出用センサ25Cによって検出するようにしている。
尚、本変形例では、上記基本動作例で説明した閾値は、上記各例のように、新たに投入された粉粒体材料による急激な温度降下がなく、また、ある程度の昇温がなされた粉粒体材料nhmの温度を測定しているので、上記した各例よりも高く設定するようにすればよい。
【0088】
このような態様によれば、特に、昇温過程にある粉粒体材料nhmの温度に基づいて、ホッパー本体20内における粉粒体材料mの加熱乾燥処理状態を推定するようにしているので、上記各例に比べて、検出する温度変化の上下幅が小さく、より精密かつ緻密な制御を行うことができる。
また、ホッパー本体20の下部から材料の排出に伴い、下層部へと移行する前の粉粒体材料nhmの温度に基づいて、上述のように導入するガスの流量の増減がなされるので、下層部の粉粒体材料hmが所定の温度となるように確実に制御することもできる。換言すれば、所定の温度にする必要がある下層部の粉粒体材料hmの前段に位置し、昇温過程にある粉粒体材料nhmの温度に基づいて、上記のように導入するガスの流量を増減させることで、ホッパー本体20内における上述のような好ましい粉粒体材料の温度分布を制御することも可能となる。
尚、本変形例において、上記下層部の粉粒体材料hmの量、上記昇温過程にある粉粒体材料nhmの量は、ホッパー本体20の下部からの排出量や排出態様(排出頻度等)に応じて、適宜、設定される。すなわち、上記樹脂成形機19等からの材料要求信号に応じて排出される最下層の所定量の粉粒体材料が、常に十分に加熱乾燥処理がなされたものとなるよう、上記下層部の粉粒体材料hm及び上記昇温過程にある粉粒体材料nhmの各量を設定すればよい。
また、上記のように、それぞれの箇所に設置された温度センサのうちの少なくとも2個以上の温度センサを採用し、これら各温度センサの検出温度の温度差に基づいて、導入するガスの流量を増減させるような態様としてもよい。例えば、温度差が大きくなれば、ホッパー本体20内に貯留された粉粒体材料の上記温度分布が崩れたと判断し、導入するガスの流量を増加させるような態様としてもよい。
【0089】
或いは、上記のように、ホッパー本体20内における粉粒体材料mの加熱乾燥処理状態を示す所定の制御要因を温度とし、該温度を検出するための温度センサを設ける態様に代えて、制御要因を湿度(露点)として、図8において、二点鎖線で示すように、該湿度(露点)を検出するための湿度(露点)センサ25Dを設ける態様としてもよい(第4変形例)。
この湿度(露点)センサ25Dは、上記真空ポンプ3によって吸引されて、排気される上記ホッパー本体20内の粉粒体材料mを通過したガスの露点を検出するためのものであって、本変形例では、該湿度(露点)センサ25Dの検出湿度(露点)に基づいて、上記同様、導入する加熱ガスの流量の増減を行うようにしている。
上記湿度(露点)センサ25Dの検出湿度(露点)は、上記温度と同様、ホッパー本体20内における粉粒体材料mの加熱乾燥処理が進むに従って、徐々に低下し、新たな粉粒体材料mが投入されれば、外気同様に水分を含んでいるので、急激に上昇するように推移する。この検出湿度(露点)に基づいて上記基本動作例と同様の制御を実行することで、上記同様の効果を奏する。
【0090】
尚、この湿度(露点)センサ25Dの設置箇所は、本実施形態では、大気圧下における湿度(露点)を検出するために、真空ポンプ3の排気側に設けるようにしているが、上記各例において説明した各温度センサと同様の部位に設けるようにしてもよい。この場合は、減圧下における湿度(露点)を、大気圧下における湿度(露点)に換算するようにしてもよい。
また、このように、制御要因を湿度(露点)とした場合には、湿度(露点)が高い側から低い側に移行する場合が検出値の上昇と把握し、湿度(露点)が低い側から高い側に移行する場合が検出値の下降と把握すればよい。
【0091】
さらに、ホッパー本体20内における粉粒体材料mの加熱乾燥処理状態を示す所定の制御要因としては、上記したような温度や湿度(露点)に限られず、例えば、ホッパー本体20内または真空吸引管路11等の真空度を制御要因とし、該真空度を検出するための圧力計を検出手段として設けるようにしてもよい。このような真空度は、上記のようにホッパー本体20内を減圧しながら加熱乾燥処理を行う際に、ホッパー本体20内の真空度は、徐々に所定の真空度に近づいていくが、ホッパー本体20内の粉粒体材料m等に含まれる水分は、上記減圧処理によって、徐々に気化し、その気化作用によって、急激には所定の真空度に達することがないので、そのような所定の真空度を閾値として設定し、上記圧力計の検出した真空度が、所定の真空度に達したときに、粉粒体材料mの加熱乾燥処理状態が所望の状態に達したと推定し、導入するガスの流量を減少させるような態様としてもよい。このような態様では、導入するガスの流量に応じた複数の閾値を設定するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0092】
1,1A 粉粒体材料の減圧式乾燥装置
20 ホッパー本体(ホッパー)
25,25A 材料層通過温度検出用センサ(検出手段、温度センサ)
25B 材料層上層部温度検出用センサ(検出手段、温度センサ)
25C 材料層中層部温度検出用センサ(検出手段、温度センサ)
25D 排気側湿度検出用センサ(検出手段)
26 外周ヒータ(ホッパー保温部材、加熱手段)
27 断熱材(ホッパー保温部材)
28 ホッパー外周温度検出用センサ
3 真空ポンプ(真空発生器、減圧手段)
4 加熱ガス導入手段
40 導入ガス加熱部
41 線状ヒータ
43 螺旋状ガス管路
50 流量調整部
53 導入側管路
54 第1分岐管路(分岐管路)
55 第2分岐管路(分岐管路)
55a 第5電磁弁(開閉弁)
56 加熱部側管路
80 CPU(制御部)
m 粉粒体材料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒体材料を貯留するためのホッパーと、該ホッパー内を減圧するための減圧手段とを備えた粉粒体材料の減圧式乾燥装置において、
加熱したガスを前記ホッパー内に導入するための導入ガス加熱部、及び導入するガスの流量を調整するための流量調整部を有した加熱ガス導入手段と、該加熱ガス導入手段を制御するための制御部と、前記ホッパー内における粉粒体材料の加熱乾燥処理状態を示す所定の制御要因を検出するための検出手段とを備えており、
前記制御部は、前記減圧手段を駆動して前記ホッパー内を減圧しながら、前記検出手段の検出値が予め設定された所定の閾値を上回ったときには、前記ガスの流量を減少させ、前記検出値が前記閾値を下回ったときには、前記ガスの流量を増加させるように前記流量調整部を制御し、かつ、前記ホッパー内に導入されるガスの温度が予め設定された所定の温度となるように前記導入ガス加熱部を制御することを特徴とする粉粒体材料の減圧式乾燥装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記制御要因が温度であり、該温度を検出するための温度センサを前記検出手段として設けており、
前記制御部は、該温度センサからの検出温度に基づいて前記流量調整部を制御することを特徴とする粉粒体材料の減圧式乾燥装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記流量調整部は、前記ガスの導入側に接続される導入側管路と、該導入側管路を分岐させた複数の分岐管路と、該複数の分岐管路を合流させ、前記導入ガス加熱部に接続される加熱部側管路と、前記分岐管路のうちの少なくとも一つに配された開閉弁とを備え、
前記制御部は、前記開閉弁を開閉制御することで、前記ガスの流量を増減させることを特徴とする粉粒体材料の減圧式乾燥装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項において、
前記ホッパーの外周には、ホッパー保温部材が設けられていることを特徴とする粉粒体材料の減圧式乾燥装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記ホッパー保温部材は、加熱手段と、ホッパー外周温度検出用センサとを含んでおり、
前記制御部は、前記ホッパー外周温度検出用センサの検出温度に基づいて、予め設定された所定の温度となるように前記加熱手段を制御することを特徴とする粉粒体材料の減圧式乾燥装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項において、
前記導入ガス加熱部は、前記ガスを通過させて前記ホッパー内に導入するための螺旋状に形成されたガス管路と、該ガス管路内に当該ガス管路に沿って配された線状ヒータとを備えていることを特徴とする粉粒体材料の減圧式乾燥装置。
【請求項7】
ホッパー内を減圧して該ホッパー内に貯留した粉粒体材料の加熱乾燥処理を行う粉粒体材料の減圧式乾燥方法において、
前記ホッパー内を減圧しながら、加熱したガスを前記ホッパー内に導入する構成とし、
予め設定された所定の温度となるように前記ガスの温度をコントロールしながら、前記ホッパー内における粉粒体材料の加熱乾燥処理状態を示す所定の制御要因を検出するための検出手段の検出値が、予め設定された所定の閾値を上回ったときには、前記ガスの流量を減少させ、前記検出値が前記閾値を下回ったときには、前記ガスの流量を増加させることを特徴とする粉粒体材料の減圧式乾燥方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−255977(P2010−255977A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−109072(P2009−109072)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【出願人】(000146054)株式会社松井製作所 (70)
【Fターム(参考)】