説明

粉粒体混合装置

【課題】先窄まり状の容器に貯留した粉粒体を供給する場合でも、装置の大型化を避けながら当該粉粒体が容器内で根詰まりを起こすことなく円滑に供給できる粉粒体混合装置を提供する。
【解決手段】それぞれ異なる粉粒体が貯留される粉粒体供給用の複数の貯留手段と、各貯留手段の下方に連続し、複数種の粉粒体を混合するシュート部23とを有する粉粒体混合装置1であって、複数の貯留手段のうちの1つは、少なくとも下部が供給口に向けて縮径する先窄まり状のサイクロン12と、これの供給口を開閉可能なボールバルブ42とからなる。ボールバルブ42からシュート部23へ至る供給経路22上に、サイクロン12の供給口に向けてエアーを噴射するエアー噴射手段として、ノズル45が所定角度で設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数種の粉粒体を混合する、粉粒体混合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の混合装置として、例えば特許文献1や特許文献2がある。特許文献1及び特許文献2は、射出成形や押出成形などの成形機に、基本原料となるナチュラル材と添加剤を含むマスターバッチとを混合供給するための混合装置である。具体的には、ナチュラル材用サイクロンと、マスターバッチ用サイクロンとが、漏斗状のシュート部の上部に設けられており、各サイクロンを介して供給されたナチュラル材及びマスターバッチは、シュート部を滑落しながら混合されて、シュート部下方のパイプ状貯留部に貯留されていく。貯留部の供給口は、成形機の原料供給口に連通している。ナチュラル材及びマスターバッチは、ナチュラル材用フィーダ及びマスターバッチ用フィーダから、エアー輸送機によって各サイクロンへ空送されてくる。ここでのサイクロンの供給口は常時連通状態となっており、空送されてきた各材料は、サイクロン内に貯留されることなくそのまま貯留部内へ落下するようになっている。貯留部には、これの内部に貯留される混合材料量を感知し、その消費量に応じてナチュラル材及びマスターバッチを所定量供給制御するためのセンサが設けられており、当該センサによって各フィーダからのナチュラル材及びマスターバッチの供給量及び供給タイミングが制御される。
【0003】
【特許文献1】特開平6−278190号公報
【特許文献2】特開平9−52230号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1や特許文献2では、サイクロンに各種原料が貯留されない(貯留手段としては機能しない)構成となっていので、混合装置本体の他に、各種原料を供給するためのフィーダが必要である。原料を適宜粉砕したうえで供給する場合でも、粉砕機とサイクロンとの間にフィーダが必要となる。これでは装置が大型化するので、例えばサイクロンの供給口を開閉可能なバルブなどの開閉手段を設けて、サイクロン内に各種原料を貯留することが好ましい。サイクロンに限らず、混合装置本体の上部に、タンクやホッパーなどの容器を設けておいてもよい。しかし、例えばサイクロンとホッパーとを併用した場合、サイクロンの供給口を開閉する開閉手段が設けられていないと、サイクロンにおける圧損よりもホッパーにおける圧損の方が小さくなる傾向があるため、サイクロンへ原料を輸送するエアーがシュートを介してホッパー側へ逆流してしまう。そのため、サイクロンの供給口を開閉する開閉手段が設けられていない特許文献1及び特許文献2では、サイクロンとタンクやホッパーとの併用は難しい。
【0005】
ところで、熱可塑性樹脂により樹脂成形品を成形する場合、原料コスト削減や環境問題等の観点から、成形時のバリや使用済み又は不良製品などを回収した廃棄物をリサイクルすることがある。これらの廃棄物はそのままでは使用できないので、ある程度粉砕された粉砕材として、ナチュラル材及びマスターバッチに混合されて使用される。一般的には、新規原料との良好な混合性や形成性を高めるため、粒状のナチュラル材やマスターバッチよりも粒径が小さくされ、粉状に近い状態にまで粉砕される。
【0006】
この場合、粉砕材の粒径が比較的小さいこと、サイクロンが下方に向けて下窄まり状のテーパー面となっていること、サイクロンの供給口とバルブとの間に段差が形成されることなど、種々の要因によって粉砕材がサイクロン下部において根詰まりを起こし、円滑に粉砕材が供給されない問題が発生することがわかった。このような問題は、粉粒体の比重、形状、表面祖度(摩擦係数)などに起因することも考えられ、先窄まり状のサイクロンに限らず、円筒状のホッパーなどに貯留した場合も同様に起こり得る。また、樹脂成形時の粉砕材に限らず、金属、木材、食品、又は薬品などの粉粒体を混合する場合でも同様に起こり得る。このような根詰まりは、粉粒体が外力によって押し固められているものではないので、サイクロンやホッパーなどの容器にちょっとした振動や衝撃を与えたり、下から根詰まりした粉粒体を突付いたりすることで簡単に崩すことができる。しかし、これを人為的に行うのでは、定期的に根詰まりを起こしていないか確認し必要に応じて容器を叩くなどする必要があるので、煩雑かつ人件費の無駄となる。ましてや、粉粒体を下から突付くには装置の一部を解体する必要があるので、大変煩雑である。一方、これらを機械的手段により行うことも考えられるが、その分装置が大型化してしまう。
【0007】
そこで、本発明は上記課題を解決するものであって、先窄まり状の容器に貯留した粉粒体を供給する場合でも、装置の大型化を避けながら当該粉粒体が容器内で根詰まりを起こすことなく円滑に供給できる粉粒体混合装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、それぞれ異なる粉粒体が貯留される粉粒体供給用の複数の貯留手段と、各貯留手段の下方に連続し、該各貯留手段の供給口から供給された複数種の粉粒体を混合するシュート部とを有する粉粒体混合装置に関する。粉粒体とは、粒状ないし粉状に成形または粉砕された固形物を意味し、このようなものであればその素材は特に限定されない。なお、粉体は粒体よりも粒径が小さい。そのうえで、前記複数の貯留手段のうち少なくとも1つの貯留手段の供給口から前記シュート部へ至る供給経路上に、前記貯留手段の供給口に向けてエアーを噴射するエアー噴射手段が設けられていることを特徴とする。なお、複数ある貯留手段の全部にエアー噴射手段を設けても良いし、その一部のみに設けても良い。
【0009】
例えば前記エアー噴射手段が設けられる貯留手段には、少なくともこれの下部が供給口に向けて縮径する先窄まり状の容器とすることができる。換言すれば、先窄まり状の容器には、エアー噴射手段を設けることが好ましい。少なくとも下部が供給口に向けて縮径する先窄まり状の容器は、上縁から下縁にかけてその全部が先窄まり状となっていてもよいし、供給口近傍の下部のみが先窄まり状となっていてもよい。貯留手段として先窄まり状容器と円筒状容器とを併用する場合は、円筒状容器にもエアー噴射手段を設けておくことが好ましいが、設けていなくても良い。また、先窄まり状容器には、これの供給口を開閉可能な開閉手段を設けておくことが好ましい。
【0010】
このとき、前記粉粒体の供給経路の平断面視において、前記エアーの水平方向噴射角度を、前記供給経路の中心からズレた偏心角度に設定しておくことが好ましい。同時に、前記粉粒体の供給経路の側断面視において、前記エアーの上下方向噴射角度を、水平角度より大きく、前記貯留手段の供給口に直接噴射される角度より小さく設定することが好ましい。さらに、前記エアーは断続的に噴射することが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、シュート部の上方に各種粉粒体を貯留する貯留手段が設けられているので、混合装置の小型化が可能である。貯留手段の供給口に向けてエアーを噴射するエアー噴射手段を設けていれば、仮に粉粒体がその粒径や比重などによって貯留手段内で根詰まりしても、当該根詰まりした粉粒体が下方からエアーによって刺激されることで根詰まりが崩れ、円滑に粉粒体を供給することができる。
【0012】
先窄まり状の容器では、粉粒体の粒径や比重などの要因のほか、徐々に縮径する容器形状によっても根詰まりが生じ易くなる。そこで、少なくとも先窄まり状の容器に対してエアー供給手段を設けていれば、エアー供給手段を設ける効果が高い。さらに、先窄まり状容器の供給口を開閉する開閉手段を設けてあると、容器の供給口と開閉手段との間に段差が生じることによって、粉粒体がさらに根詰まりし易くなる。そこで、少なくとも開閉手段を有する先窄まり状容器に対してエアー供給手段を設けていれば、エアー供給手段を設ける効果がさらに高まる。また、貯留手段の1つである先窄まり状容器に、これの供給口を開閉可能な開閉手段を設けていれば、例えば貯留手段の1つを先窄まり状のサイクロンとし、他の容器を上面が開口するホッパーとして、粉粒体の種類に応じてサイクロンとホッパーとを併用しても、粉粒体を空送するエアーがホッパー側へ逆流すること防がれる。
【0013】
粉粒体供給経路の平断面視において、エアーの水平方向噴射角度が供給経路の中心からズレた偏心角度に設定されていれば、エアーは供給経路の周壁に沿って上昇することになる。これにより、エアー軌道は渦巻き状(サイクロン状)となることで、粉粒体は攪拌されるように刺激を受けるので、粉粒体の根詰まり防止効果が向上する。
【0014】
粉粒体供給経路の側断面視において、エアーの上下方向噴射角度が水平角度より大きく、供給口に直接噴射される角度より小さく設定されていれば、エアー軌道が長くなる。これによりエアー軌道の渦巻き数が増すので、粉粒体の根詰まり防止効果がより向上する。
【0015】
粉粒体へエアーが常に同じ状態で衝突すると、当該エアーによって粉粒体が下方から押圧されることで逆に根詰まりを生じることが懸念される。これに対し、エアーが断続的に噴射されれば、エアーによって粉粒体が常に押圧されることはなく、かつエアーに強弱がついて刺激が増すので、粉粒体の根詰まり防止効果がさらに向上する。また、粉粒体の供給(下方落下)が阻害されることも避けられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に、本発明の粉粒体混合装置を、熱可塑性樹脂による樹脂成形品を射出成形や押出成形するための成形材料の自動供給装置として使用した場合の態様について説明するが、これに限定されることはなく、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。特に、粉粒体混合装置1における粉砕材P3の貯留手段以外の機構は、以下の実施の形態以外にも種々の機構を採用できる。図1は、粉粒体混合装置の概略断面図である。図2は、樹脂材料を供給している状態の粉粒体混合装置の概略断面図である。図3は、ソケットの平面図である。図4は、ソケットの縦断正面図である。
【0017】
粉粒体混合装置1は、それぞれ異なる粉粒体が貯留される粉粒体供給用の貯留手段と、各貯留手段の下方に連続し、該貯留手段の供給口から供給された複数種の粉粒体を混合するシュート部23と、シュート部23の下方に連続する貯留部24とを有する。具体的には、図1に示されるように、本実施の形態では貯留手段として3つの容器が設けられており、ナチュラル材を貯留する第1ホッパー10と、マスターバッチを貯留する第2ホッパー11と、粉砕材を貯留するサイクロン12とを有する。第1及び第2のホッパー10・11は略円筒状の容器であり、上面開口からそれぞれナチュラル材やマスターバッチを投入する。サイクロン12は、下端の供給口に向けて下部が縮径する先窄まり状を呈し、ブロワなどのエアー輸送機(図示せず)から延びるダクト15を介して粉砕材が空送されてくる。粉砕材を空送してきた輸送エアーは、サイクロン12の上部に設けられたフィルター付きのサイレンサー16を介して上方へ排出される。
【0018】
ナチュラル材は樹脂成形品の主原料となる材料であって、ペレット状(粒状)の熱可塑性樹脂からなる。マスターバッチは、ナチュラル材に種々の性能を付与する添加剤として混合されるものであって、着色剤、安定剤、帯電防止剤、難燃剤、又は乾燥剤などの各種添加剤を、1種又は2種以上組み合わせて熱可塑性樹脂中に高濃度に分散させたもので、ナチュラル材と同様にペレット状(粒状)の形態を有している。粉砕材は、樹脂成形時のバリや外枠、又は使用済み若しくは不良製品などを回収した廃棄物を粉砕したリサイクル材料であって、良好な混合性や形成性を高めるため、粒状のナチュラル材やマスターバッチよりも小さく粉砕され、粉状に近い状態となっている。
【0019】
第1ホッパー10と第2ホッパー11の下方には、当該第1及び第2ホッパー10・11の供給口に連続し、ナチュラル材及びマスターバッチが混合された状態で供給されていく第1供給経路21が形成されている。サイクロン12の下方には、当該サイクロン12の供給口に連続し、粉砕材が供給されていく第2供給経路22が形成されている。第1及び第2の供給経路21・22は、シュート部23において1つに交わっている。シュート部23において混合された、ナチュラル材、マスターバッチ、及び粉砕材は、当該シュート部23の下方に連続するように設けられた円筒状の貯留部24に貯留されていく。なお、第1の供給経路21、第2の供給経路22、及びシュート部23は、所定形状の貫通穴が穿設された複数枚の金属プレートを上下に積層して形成されている。粉粒体混合装置1の下方には、樹脂成形機30が連結されている。詳しくは、粉粒体混合装置1の貯留部24の下面開口と、樹脂成形機30の原料仕込口31とが連通するように連結されている。符号25は、貯留部24に貯留される混合材料の高さを検知するセンサであり、符号32は、混合原料を搬送するスクリューである。
【0020】
第1及び第2ホッパー10・11の供給口の直下には、それぞれ円板形の第1及び第2のホイール40・41が軸回動可能に設けられている。第1及び第2のホイール40・41は、それぞれ第1及び第2ホッパー10・11の径方向中心位置から所定量偏心した位置に設けられており、両ホイール40・41が停止しているときは、ナチュラル材及びマスターバッチはそれぞれ第1ホイール40及び第2ホイール41によって堰き止められる。サイクロン12の直下には、当該サイクロン12の供給口を開閉可能な開閉手段として、ボールバルブ42が設けられている。ボールバルブ42は、貫通孔42aが穿設されたボール状のバルブ42bが回動可能に内蔵されており、バルブ42bの貫通孔42aが図1に示すように粉砕材の供給経路22に対して直交するような角度にある状態では、サイクロン12の供給口が閉口され、粉砕材がサイクロン12の内部に貯留される。一方、バルブ42bの貫通孔42aが図2に示すように粉砕材の供給経路22に対して平行となる角度にある状態では、サイクロン12の供給口が開口され、粉砕材はボールバルブ42を介して供給口から下方に落下供給されていく。
【0021】
ボールバルブ42は、円筒形のソケット43を介して混合装置本体1へ設置されており、ボールバルブ42からシュート部23へ至る粉砕材用の供給経路22上にあるソケット43には、サイクロン12の供給口に向けてエアーを噴射するエアー噴射手段が設けられている。エアー噴射手段は、ソケット43の周壁に内外貫通状に穿設した孔に溶接されたノズル45と、図外のエアー噴射器と、エアー噴射器とノズル45とを繋ぐチューブ46とからなる。チューブ46は、ノズル45の後端に設けられたワンタッチ継手を介して連結されている。サイクロン12、ボールバルブ42、及びソケット43は、それぞれ互いに螺合連結されている。
【0022】
次に、本発明の粉粒体混合装置1を、熱可塑性樹脂成形品を押出成形や射出成形する際の成形材料の自動供給装置として使用した場合の作用について説明する。図1に示す粉粒体混合装置1が停止状態では、第1及び第2ホイール40・41は停止しており、第1ホッパー10には粒状のナチュラル材P1が、第2ホッパー11には粒状のマスターバッチP2が、それぞれ上面開口から投入されて貯留されている。第1ホイール40と第2ホイール41とは左右に対向するように設けられており、互いに逆方向へ回動可能となっている。第1ホイール40及び第2ホイール41の回動方向とは逆側の周面外方には隙間がないが、回動方向側の周面にはナチュラル材P1及びマスターバッチP2をそれぞれ供給可能な程度の隙間が形成されている。一方、サイクロン12の供給口はボールバルブ42によって閉口されており、粉砕材P3は、廃棄物などが図外の粉砕機で粉状に近い状態にまで粉砕されたうえで、当該粉砕機に直結されたブロワ(図示せず)を介してダクト15からサイクロン12内へ空送される。粉砕材P3がサイクロン12へ空送されると、粉砕材P3はその自重によってサイクロン12内で捕集され、輸送エアーG1は上部のサイレンサー16から排出される。
【0023】
図2は、ナチュラル材P1,マスターバッチP2、粉砕材P3をそれぞれ供給している駆動状態を示している。図2に示すように、第1ホッパー10直下の第1ホイール40が、第1ホッパー10に対する偏心位置方向へ回動することで、第1ホッパー10内に貯留されているナチュラル材P1が第1供給経路21へ供給される。同時に、第2ホッパー11直下の第2ホイール41も、第2ホッパー11に対する偏心位置方向へ回動することで、第2ホッパー11内に貯留されているマスターバッチP2が第1供給経路21へナチュラル材P1と混合されながら供給される。なお、ナチュラル材P1とマスターバッチP2との混合比は、第1ホイール40と第2ホイール41との直径比や回転速度比などによって適宜設定できる。マスターバッチP2は樹脂成形品の主原料となるナチュラル材P1に対して添加剤を混合するものなので、その供給量はナチュラル材P1よりも少量でよい。本実施の形態では、第2ホイール41が第1ホイール40よりも小径となっている。
【0024】
一方、粉砕材P3を供給する場合、ボールバルブ42の貫通孔42aが第2供給経路22と平行となるようにバルブ42bが90°回動することで、サイクロン12の供給口とボールバルブ42の貫通孔42aとが連通する。このとき、粉砕材P3の粒径が比較的小さいこと、サイクロン12が供給口向けて縮径していること、サイクロン12の供給口とボールバルブ42との連結部に段差が形成されていることなどの要因によって、粉砕材P3がサイクロン12下部において根詰まりを起こしている場合がある。そこで、ボールバルブ42によるサイクロン12の供給口の開口と同時に、ソケット43に設けられたノズル45から、サイクロン12の供給口に向けてエアーG2が噴射される。当該エアーG2がボールバルブ42を通して粉砕材P3群の下面に衝突することで、粉砕材P3の根詰まりが崩される。
【0025】
このとき、粉砕材P3の根詰まりを確実に崩すことができるように、ノズル45の設置角度及びエアーG2の噴射パターンに特徴を有する。具体的には、図3によく示されるように、ノズル45は、ソケット43の径方向中心に対して所定角度θ1スレた向きで設けられている。すなわち、第2供給経路22の平断面視において、エアーG2の水平方向噴射角度は、第2供給経路22の中心から所定角度θ1だけズレた偏心角度となる。これにより、ノズル45から噴射されたエアーG2は、第2供給経路22の周壁に沿って図2に示されるような渦巻き状(サイクロン状)に上昇していく。
【0026】
また、図4によく示されるように、ノズル45の上下方向の傾斜角度θ2は、サイクロン12の供給口よりも下方に向けた角度となっている。すなわち、第2供給経路22の側断面視において、エアーG2の上下方向噴射角度θ2は、水平角度より大きく、サイクロン12の供給口に直接噴射される角度より小さく設定されている。これにより、ノズル45からサイクロン12の供給口に至るエアー軌道を長くなる。
【0027】
さらに、エアーG2は断続的にパルス噴射される。エアーG2が断続的に噴射されれば、その噴射間隔は特に限定されないが、0.1〜1.0秒間隔程度が好ましい。一回の噴射間隔が短すぎると、粉砕材P3への衝撃が小さくなってしまう。逆に、一回の噴射間隔が長すぎると、パルス噴射の効果が得られ難い。より好ましくは0.3〜0.7秒間隔程度である。
【0028】
第1供給経路21を通して供給されたナチュラル材P1及びマスターバッチP2と、第2供給経路22を通して供給された粉砕材P3は、シュート部23において混合され、これらが混合原料として貯留部24に貯留されていく。ナチュラル材P1、マスターバッチP2、及び粉砕材P3からなる混合原料が、センサ25の設置位置を越えたところで、各原料の供給がストップするよう制御される。そして、樹脂成形品を射出成形等するために、貯留部24に貯留されている混合原料は、原料仕込口31を介して樹脂成形機30のスクリュー32によって搬送されていく。これにより、貯留部24内の混合原料が減少してセンサ25より少なくなると、再度第1ホイール40、第2ホイール41、及びボールバルブ42が制御駆動され、ナチュラル材P1、マスターバッチP2、粉砕材P3が新たに供給され、このような一連の動作が繰り返される。
【0029】
以上、本発明の粉粒体混合装置1を樹脂成形用成形材料の自動供給装置として使用した場合の実施の形態について説明したが、これに限らず、本発明の粉粒体混合装置1は金属、木材、食品、又は薬品などの粉粒体を混合する装置としても使用できる。粉粒体の根詰まりは、貯留手段を構成する容器の形状等のほか、当該粉粒体自体の比重、形状、表面祖度などに起因して生じることもあるので、本発明の粉粒体混合装置1で混合される粉粒体としては、1つ1つが固体物であるものであれば粒状、粉状など、その大きさや形状も特に限定されることはない。混合する粉粒体の種類も、3種に限らず、2種のみでもよいし、4種以上とすることもできる。当然、混合する粉粒体の数に応じて、貯留手段の数も増やす必用がある。この場合、少なくとも根詰まりを起こし得る貯留手段に、エアー噴射手段を設けておく。又は、全ての貯留手段にそれぞれエアー噴射手段を設けておき、根詰まりを起こし得る粉粒体を貯留する貯留手段のエアー噴射手段のみを選択的に駆動するよう制御することもできる。また、粉粒体は、供給口開閉手段が設けられていない常時供給口開放型の容器であっても、根詰まりが生じ得る。上記実施の形態において、ナチュラル材P1やマスターバッチP2貯留用の貯留手段にも、これらが空送されるサイクロンを使用してもよい。逆に、粉砕材P3貯留用の貯留手段を構成する容器として、サイクロンに限らず円筒形のホッパーやタンクなども使用できる。粉砕材P3貯留用のサイクロン12に、ボールバルブ42を設けていない構成とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】粉粒体混合装置の概略断面図である。
【図2】樹脂材料を供給している状態の粉粒体混合装置の概略断面図である。
【図3】ソケットの平面図である。
【図4】ソケットの縦断面図である。
【符号の説明】
【0031】
1 粉粒体混合装置
10 第1タンク
11 第2タンク
12 サイクロン
15 ダクト
16 サイレンサー
21 第1供給経路
22 第2供給経路
23 シュート部
24 貯留部
25 センサ
30 樹脂成形機
31 原料仕込口
32 スクリュー
40 第1ホイール
41 第2ホイール
42 ボールバルブ
43 ソケット
45 ノズル
G1 輸送エアー
G2 噴射エアー
P1 ナチュラル材
P2 マスターバッチ
P3 粉砕材



【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ異なる粉粒体が貯留される粉粒体供給用の複数の貯留手段と、各貯留手段の下方に連続し、該各貯留手段の供給口から供給された複数種の粉粒体を混合するシュート部とを有する粉粒体混合装置であって、
前記複数の貯留手段のうち少なくとも1つの貯留手段の供給口から前記シュート部へ至る供給経路上に、前記貯留手段の供給口に向けてエアーを噴射するエアー噴射手段が設けられていることを特徴とする、粉粒体混合装置。
【請求項2】
前記エアー噴射手段が設けられた貯留手段は、少なくとも下部が供給口に向けて縮径する先窄まり状の容器である、請求項1に記載の粉粒体混合装置。
【請求項3】
前記先窄まり状容器の供給口を開閉可能な開閉手段を有する、請求項2に記載の粉粒体混合装置。
【請求項4】
前記粉粒体の供給経路の平断面視において、前記エアーの水平方向噴射角度は、前記供給経路の中心からズレた偏心角度に設定されている、請求項1ないし請求項3のいずれか記載の粉粒体混合装置。
【請求項5】
前記粉粒体の供給経路の側断面視において、前記エアーの上下方向噴射角度は、水平角度より大きく、前記貯留手段の供給口に直接噴射される角度より小さく設定されている、請求項4に記載の粉粒体混合装置。
【請求項6】
前記エアーは断続的に噴射される、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の粉粒体混合装置。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2009−297672(P2009−297672A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−156702(P2008−156702)
【出願日】平成20年6月16日(2008.6.16)
【出願人】(308013436)小島プレス工業株式会社 (386)
【Fターム(参考)】