説明

粘度管理装置および粘度管理方法

【課題】 泥水の粘性測定を常時行うことを可能とし、この測定結果に基づき泥水の性状を調整する、粘度管理装置と粘度管理方法を提案する。
【解決手段】 泥水Dの性状を調整する泥水調整手段1と、泥水Dの性状を測定する泥水測定手段2と、泥水調整手段1から泥水測定手段2へ泥水Dを常時搬送するサンプリングポンプPsとを備える粘度管理装置Sであって、泥水測定手段2は、サンプリングポンプPsにより搬送された泥水Dがオーバーフロー方式により一定の液面レベルを保持した状態で貯留される測定槽とこの測定槽に貯留された泥水Dの粘度を測定する粘度計とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、泥水の粘度を連続的に測定し、その測定結果に基づき泥水の性状を調整する、粘度管理装置および粘度管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
泥水推進工法、泥水シールド工法、リバース工法等、泥水に所定の圧力を与えて切羽や掘削面の安定を図るとともに、この泥水を循環させることにより掘削土を流体輸送する施工方法において、泥水の粘度管理は重要な管理項目である。
【0003】
従来、このような泥水の粘度管理は、作業員が定期的にファンネル粘度計を用いて、調整槽内の泥水を測定し、その結果に基づいて泥水の希釈や増粘材の添加等を行うことにより行われていた。
【0004】
ところが、ファンネル粘度計を用いた泥水の粘度管理は、測定者の熟練度による個人差が現れる場合があること、最適な測定頻度等による粘度管理が困難となる場合があること、測定に時間がかかること等の問題点を有していた。
【0005】
そのため、特許文献1には、図4に示すように、ファンネル泥水槽103と、このファンネル泥水槽103内の泥水Dの重量を測定するロードセル105と、これらのファンネル泥水槽103およびロードセル105に連動されたタイマ106とを有した粘度計測装置102が開示されている。この粘度計測装置102は、ファンネル泥水槽103の底部にある放出口の弁104を開放することによりこれに接続されたタイマ106が起動し、ロードセル105によるファンネル泥水槽103内の泥水Dの重量測定値が0になった時点でタイマ106が止まることによりファンネル泥水槽103内の泥水Dの自然放出に要する時間を自動的に測定するものである。
【0006】
この粘度計測装置102によれば、ファンネル粘度計(ファンネル泥水槽103)を用いた泥水Dの粘度測定を機械的に行うため、作業員の個人差による誤差が生じることなく、正確な泥水の粘性測定を行うことが可能としている。
【0007】
なお、図4における符号101は調整槽であって、粘度計測装置102により測定される泥水Dは、サンプリングポンプPsを介して調整槽101から粘度計測装置102に搬送される。そして、粘度計測装置102に測定結果に基づき、調整槽101内において、増粘材や希釈材を混合することにより泥水Dを所定の性状に調整する。
【特許文献1】特開平9−133626号公報([0011]−[0019]、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、従来のファンネル粘度計(ファンネル泥水槽103)を用いた泥水Dの粘度測定は、ファンネル粘度計に泥水Dを溜める作業から、ファンネル粘度計に溜まった泥水Dを全て放出するまでの一連の作業に時間がかかるとともに、この一連の作業に要する時間により、地山の掘削とともに随時変化する泥水Dの状況に応じた測定を行うことができない場合があるという問題点を有していた。
【0009】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、泥水の粘性測定を常時行うことを可能とし、この測定結果に基づき泥水の性状を調整する、粘度管理装置および粘度管理方法を提案することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、泥水の性状を調整する泥水調整手段と、前記泥水の性状を測定する泥水測定手段と、前記泥水調整手段から前記泥水測定手段へ前記泥水を常時搬送するポンプとを備える粘度管理装置であって、前記泥水測定手段は、前記ポンプにより搬送された前記泥水が一定の液面レベルを保持した状態で貯留される測定槽と、前記測定槽に貯留された前記泥水の粘度を測定する粘度計と、を有することを特徴としている。
【0011】
かかる粘度管理装置は、泥水が、例えば、オーバーフロー方式やポンプの送泥量を調整することにより泥水測定手段において一定の水位に保持された状態で循環されているため、水位による水圧等の変化が測定結果に影響することがなく、より正確な測定が可能となる。
また、泥水の粘度の測定を常時循環された測定槽内の泥水について行うため、リアルタイムでのデータ管理を行うことができる。例えば、この粘度管理装置を泥水シールド工法において採用すれば、泥水の性状の測定結果により地山の変化に対して的確に対応することが可能となる。
【0012】
また、粘度管理装置の測定槽が、泥水の流入口と排水口とが、それぞれ該測定槽の底部と上部に設けられていれば、測定槽内の泥水を流動させて、常に新鮮な泥水の性状測定を可能とし、好適である。
【0013】
また、前記粘度管理装置の前記粘度計として、泥水内において一定の振幅で振動される振動子を有し、粘性抵抗によるこの振動子を振幅するための駆動電流値の変化により、泥水の粘度を測定するものを使用すれば、流動状態の泥水の粘性測定が可能なため、リアルタイムでのデータ管理ができる。また、測定データをそのまま電子データとして管理することができるため、コンピュータ等による早期の電算処理や、既存データを利用した管理等に活用することが可能である。
【0014】
また、前記泥水調整手段として、調整槽と、前記調整槽に増粘材を投入可能に接続された増粘材槽と、前記調整槽に希釈材を投入可能に接続された希釈材槽と、前記粘度計の測定結果に応じて前記調整槽への増粘材または希釈材の投入量を制御する制御手段とを備えていれば、粘度計の測定結果に応じて適量の増粘材または希釈材を投入し、自動的に最適な泥水の性状に調整するため、材料の無駄を省くことが可能となり好適である。
【0015】
また、本発明の粘度管理方法は、調整槽内の泥水を、測定槽へ常時搬送し、前記測定槽において搬送された前記泥水の粘度を粘度計により測定し、前記粘度計による測定結果に基づいて増粘材または希釈材を前記調整槽内に投入することにより前記泥水の性状を調整する粘度管理方法であって、前記粘度計は、前記測定槽に供給された泥水内において一定の振幅で振動子を振幅するために要する駆動電流値により前記泥水の粘度を測定することを特徴としている。
【0016】
かかる粘度管理方法によれば、測定槽内の泥水の粘度を常時測定するため、リアルタイムでのデータ管理ができるほか、掘削停止中や長期休暇中のデータの採取も可能となる。また、本発明の粘度管理方法による測定は、人力に頼ることなく行うことが可能なため、測定結果のバラツキがなく、的確なデータ管理が可能となる。
また、泥水の変化をリアルタイムで管理することが可能なため、地山の変化に的確に対応することが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の粘度管理装置および粘度管理方法により、泥水の粘性測定を常時行うことを可能とし、この測定結果に基づき泥水の性状を調整することが可能となるため、泥水の変化をリアルタイムで管理して、地山の変化に対して的確に対応することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の好適な実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、説明において、同一要素には同一の符号を用い、重複する説明は省略する。
ここで、図1は、本発明の粘度管理装置を示す概略図であって、図2は、本発明の粘度管理装置に係る泥水測定手段を示す概略図である。また、図3は、本発明の粘度管理方法の手順を示すフローチャート図である。
【0019】
本実施形態に係る粘度管理装置Sは、泥水シールド工法において、掘削時の切羽の安定を図るとともに、掘削土の流体輸送する泥水Dを所定の性状に調整するための装置であって、図1に示すように、泥水調整手段1と、泥水Dの性状を測定する泥水測定手段2と、泥水調整手段1から泥水測定手段2へ泥水Dを常時搬送するサンプリングポンプ(ポンプ)Psとを備えている。
【0020】
そして、泥水測定手段2は、図2に示すように、泥水が貯留される測定槽20と、測定槽20に貯留された泥水Dsの粘度を測定する粘度計21とを有している。サンプリングポンプPsにより搬送された泥水Dsを底部から流入してオーバーフロー方式により上部から排出することで泥水Dsが一定の液面レベルを保持した状態で貯留(循環)される。
【0021】
粘度計21は、図2に示すように、測定槽20に貯留された泥水Ds内において一定の振幅で振動される2本の振動子21a,21aと温度計21bとを有している。この粘度計21による泥水Dsの粘度の測定は、泥水Ds内において、振動子21a,21aを一定の振幅で振動させるための駆動電流値を測定することにより行う。そして、この駆動電流値をコンピュータ3により換算することで、泥水Dsの粘性抵抗(粘度)が算出される。
なお、本実施形態の粘度計21の振動子21aは、棒状の軸部の下端に円板部材が固定されることにより形成されている。ここで、粘度計の振動子の数や形状は限定されるものではなく、粘性抵抗の測定に適した数や形状であればよい。また、本実施形態では、泥水Dsの測定粘度範囲を0.3〜10000Pa・S、測定泥水温度を0〜100℃とするが、測定粘度範囲および測定泥水温度は、粘度計21の能力に応じて適宜設定すればよい。
【0022】
測定槽20の内部は、内壁24により貯留槽20aと排水槽20bとの2槽に分かれており、貯留槽20aの底部近傍に設けられた流入孔(流入口)22から流入された泥水Dsは、貯留槽20aに貯留され、内壁24の上端(排水口)をオーバーフローする分の泥水Dsは、排水槽20bへ流れ込み、排水孔23から調整槽10へ排水される構成となっている。
【0023】
また、泥水測定手段2の測定槽20には、図示しない密度計が設置されており、泥水Dsの粘性測定と並行して、泥水Dsの密度測定も行う。
【0024】
泥水調整手段1は、図1に示すように、調整槽10と、この調整槽10に増粘材Nを投入可能に接続された増粘材槽11と、調整槽10に希釈材Wを投入可能に接続された希釈材槽12とを備えている。
そして、調整槽10は、内部の泥水Dと投入された増粘材Nまたは希釈材Wとを撹拌混合する、図示しない撹拌手段を備えている。
【0025】
増粘材槽11および希釈材槽12から調整槽10への増粘材Nまたは希釈材Wの投入は、それぞれに接続されたポンプPn,Pwを介して行われる。そして、これらのポンプPn,Pwは、粘度計21に接続されたコンピュータ(制御手段)3から粘度計21の測定結果に応じて送信される制御信号32により、制御されている。ここで、増粘材Nおよび希釈材Wの調整槽10への投入は、ポンプPn、Pwによる方法に限定されるものではなく、例えば、増粘材槽11および希釈材槽12を調整槽10の上方に配置し、シュート等を介して、自然流下による投入が可能に構成することにより、増粘材槽11または希釈材槽12の排出口の開閉を制御することにより、増粘材Nおよび希釈材Wの投入を制御する構成としてもよい。
【0026】
増粘材槽11に貯留される増粘材Nは、例えばベントナイト、カルボキシメチルセルロース(CMC)等、泥水Dの粘度を高める材料であれば限定されるものではなく、適宜、公知の材料を選定して使用するものとする。
また、希釈材槽12に貯留される希釈材Wは、例えば、水道水W1および後記する二次分離機7から採取された濾水W2を使用することができる。なお、希釈材Wの採取は、上記のものに限定されるものではなく、例えば河川、湖などから採取してもよく、現地の状況に応じて適宜設定すればよい。また、希釈材Wは、泥水の希釈が可能な材料であれば、水に限定されるものではないことはいうまでもない。
【0027】
次に、本実施形態の粘度管理装置Sの全体について、図1を参照して説明する。
【0028】
調整槽10において、所定の性状に調整された泥水Dである調整泥水D1は、ポンプP1を介して掘削機4に搬送される。切羽まで搬送された調整泥水D1は、所定の圧力が付加されて、切羽の安定を保つ役割を果たす。
【0029】
そして、調整泥水D1は、掘削機4により切削された掘削土を含んだ土砂含有泥水D2として、ポンプP2を介して一次分離機5へと搬送される。
一次分離機5へ搬送された土砂含有泥水D2は、砂礫分5aが分離される。そして、砂礫分5aが分離された分離泥水D3をポンプP3により調整槽10へ搬送する。ここで、一次分離機5において分離された砂礫分5aは、骨材等として再利用することができる。
【0030】
調整槽10に貯留された泥水Dのうち、余剰分である余剰泥水D4は、ポンプP4により余剰泥水槽6へと搬送される。そして、余剰泥水槽6に一旦貯留された余剰泥水D4は、二次分離機7へと搬送されて、濾水W2と脱水ケーキ7aとに分離される。そして、濾水W2は、希釈材槽12へと搬送されて希釈材Wとして再利用され、脱水ケーキ7aは、建設残土として搬出される。
【0031】
また、余剰泥水槽6に貯留された余剰泥水D4の一部は、ポンプP5により調整用の余剰泥水D5として調整槽10へと戻される。ここで、ポンプP5は、コンピュータ3から送信される制御信号32により起動するものであって、調整用の余剰泥水D5は、泥水測定手段2の測定結果に応じて、調整槽10へと投入される。
【0032】
泥水測定手段2は、サンプリングポンプPsにより調整槽10から採取された測定泥水Dsの性状を測定し、その測定データ31をコンピュータ3へと送信する。コンピュータ3は、送信された測定結果を解析して、調整槽10内の泥水Dの性状を所定の状態に保つために、制御信号32をポンプPn,Pw,P5に送信して、増粘材N、希釈材W、調整用の余剰泥水D5を調整槽10へと投入する。
【0033】
本発明の粘度管理方法は、図3に示すように、以下の手順により行う。
(1)調整槽10内の泥水Dを、ポンプPsにより泥水測定手段2へ常時搬送して、泥水を連続採取する(S1)。
(2)泥水測定手段2に搬送された泥水Dsを測定槽20において粘度計21により粘性測定を行う(S2)。
(3)泥水粘性測定と並行して泥水Dsについて密度測定を行う(S2’)。
(4)コンピュータ3により泥水粘性測定結果および泥水密度測定結果のデータ解析を行う(S3)。
(5)コンピュータ3のデータ解析結果に基づいて増粘材N、希釈材Wまたは調整用の余剰泥水D5を調整槽10内に投入することにより調整槽10内の泥水Dの性状を最適の状態に調整する(S4)。
【0034】
(1)泥水の連続採取(S1)
泥水Dsは、サンプリングポンプPsより、泥水測定手段2へ常時搬送される。泥水測定手段2に搬送された泥水Dsは、測定槽20に流入し、測定槽20のオーバーフロー分は、調整槽10に戻されることで、測定槽20内では常に一定量の泥水Dsが貯留(循環)される(図2参照)。ここで、測定槽20のオーバーフロー分の泥水Dsの調整槽10への流下方法は限定されるものではないが、測定槽20を調整槽10の上方に配置すれば、自然流下により泥水Dsを調整槽10に戻すことが可能となり、ポンプ等の設備を必要としないため、好適である。
【0035】
(2)粘性測定(S2)
測定槽20に搬送された泥水Dsの粘性測定を粘度計21により行い、このデータを随時コンピュータ3へ送信する。粘度計21による泥水Dsの測定は、泥水Ds内において、振動子21a,21aを一定の振幅で振動させることにより測定する。この時、泥水Dsの水温の測定も行い、駆動電流値とともに水温をコンピュータ3へ送信する。
【0036】
(3)密度測定(S2’)
泥水粘性測定と並行して、測定槽20内の泥水Dsの密度について、測定を行う。なお、泥水Dsの密度測定に使用する測定器等は、限定されるものではなく、公知の測定器の中から、適切なものを選定して使用すればよい。
【0037】
(4)データ解析(S3)
泥水粘性測定および泥水密度測定の結果、送信された測定データを、コンピュータ3を介して解析する。この時、コンピュータ3のデータ解析結果が、管理基準設定値外の場合には泥水異常信号を発して、作業員に知らせる。
【0038】
(5)泥水の調整(S4)
コンピュータ3によるデータ解析結果に応じて、コンピュータ3は、制御信号32を発信し、ポンプPn,Pw,P5の起動の制御を行うことで、増粘材N、希釈材Wまたは余剰泥水D5の調整槽10への投入を調整する。つまり、例えば、データ解析の結果、泥水Dsの水分が多く、粘度が不足していると判断された場合には、ポンプPnを起動させて、増粘材Nを調整槽10に投入することにより、調整槽10内の泥水Dを所望の粘度に調整する。逆に、泥水Dsの粘度が高い場合には、ポンプPwを起動させて、希釈材Wを調整槽10に投入することにより、調整槽10内の泥水Dを所望の粘度に調整する。さらに、ポンプP5を起動させることにより、余剰泥水D5を投入して、調整槽10内の泥水Dの粘度や量を調整してもよい。
【0039】
本発明の粘度管理装置Sによれば、掘削機4に送泥される泥水D1の性状を常時測定し、この測定結果をコンピュータ3により管理することにより、従来に比べて精密な泥水Dの性状管理が可能となる。つまり、常時連続での測定を行うため、泥水Dの変化に適宜対応して調整することを可能としている。
【0040】
また、測定結果をコンピュータ3によりグラフ化することで、地山の状態の変化を一目で把握することが可能となり、掘削機4による掘進方法への反映することが可能となる。
【0041】
また、測定データ31は、粘度計21からの電子データでの管理のため、泥水輸送、増粘材輸送、希釈材輸送などの設備の管理をコンピュータ3による集中管理で自動的に行い、人力の省力化が可能となり、経済的である。
【0042】
また、当該粘度管理装置Sは、泥水Dの性状を常時測定することを可能としているため、掘削停止中や、長期休暇中の泥水Dの性状の測定を行うことで、一定の状態に泥水Dの性状を保つことを可能とし、工事再開時の手間を省略することが可能となる。
【0043】
また、当該粘度計21によれば、電子データによる自動測定であるため、測定者の熟練度などにより生じる測定誤差が生じることがなく、所定の精度による安定した泥水Dの性状管理が可能となる。
【0044】
また、粘度計21は、センサ(振動子21a)の泥水Ds内での振幅に伴う振動子21aに作用する粘性抵抗により測定されるため、所定の量に保たれた測定槽20内での測定であれば、流動状態にある泥水での測定が可能なため、連続して泥水Dsを流動した状態で、常時泥水の測定を行うことを可能としている。
また、泥水測定手段2において、泥水Dsは、オーバーフロー方式により一定の水位に保持されているため、水位による水圧等の変化が測定結果に影響することがなく、より正確な測定が可能となる。また、測定槽20への泥水Dsの流入口(流入孔22)と排水口との位置を、測定槽20の底部と上部として離間させることにより、測定槽20内の泥水Dsを流動状態として、連続的に搬送された泥水Dsを随時測定することを可能としている。
【0045】
以上、本発明について、好適な実施形態について説明した。しかし、本発明は、前述の各実施形態に限られず、前記の各構成要素については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜設計変更が可能であることはいうまでもない。
例えば、前記実施形態では、シールドトンネルにおいて、当該粘度管理装置および粘度管理方法を使用するものとしたが、例えば、泥水推進工法やリバース工法等にも使用可能であり、泥水を循環させて施工を行う工法であれば、本発明の粘度管理装置および粘度管理方法を採用可能な工種は限定されるものではない。
【0046】
また、前記実施形態では、増粘材または希釈材の投入を、コンピュータにより制御して、自動的に行うものとしたが、コンピュータが発する異常信号に応じて、随時作業員が投入してもよいことはいうまでもない。
【0047】
また、粘度計の形式は限定されるものではなく、流動中の泥水内において粘度の測定が可能な装置であればよい。
また、前記実施形態では、粘性測定と密度測定とを同一の測定槽において行う構成としたが、それぞれ個別の測定槽を有していてもよく、その構成は限定されるものではない。
【0048】
また、前記実施形態では、オーバーフロー(越流)方式により測定槽内の液面レベルを一定に保持する構成としたが、これに限定されるものではなく、例えばサンプリングポンプの送泥量を制御することにより調整するなど、適宜設定すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の粘度管理装置を示す概略図である。
【図2】本発明の粘度管理装置に係る泥水測定手段を示す概略図である。
【図3】本発明の粘度管理方法の手順を示すフローチャート図である。
【図4】従来の粘度計測装置を示す概略図である。
【符号の説明】
【0050】
1 泥水調整手段
10 調整槽
11 増粘材槽
12 希釈材槽
2 泥水測定手段
20 測定槽
21 粘度計
21a 振動子
3 コンピュータ
4 掘削機
5 一次分離機
D,Ds 泥水
Ps サンプリングポンプ
S 粘度管理装置
N 増粘材
W 希釈材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
泥水の性状を調整する泥水調整手段と、
前記泥水の性状を測定する泥水測定手段と、
前記泥水調整手段から前記泥水測定手段へ前記泥水を常時搬送するポンプと、を備える粘度管理装置であって、
前記泥水測定手段は、前記ポンプにより搬送された前記泥水が一定の液面レベルを保持した状態で貯留される測定槽と、
前記測定槽に貯留された前記泥水の粘度を測定する粘度計と、を有することを特徴とする、粘度管理装置。
【請求項2】
前記測定槽は、泥水の流入口と排水口とが、それぞれ該測定槽の底部と上部に設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の粘度管理装置。
【請求項3】
前記粘度計が、泥水内において一定の振幅で振動される振動子を有していることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の粘度管理装置。
【請求項4】
前記泥水調整手段は、調整槽と、前記調整槽に増粘材を投入可能に接続された増粘材槽と、前記調整槽に希釈材を投入可能に接続された希釈材槽と、を備えており、
前記増粘材槽および前記希釈材槽には、前記粘度計の測定結果に応じて前記調整槽への増粘材または希釈材の投入量を制御する制御手段が接続されていることを特徴とする、請求項1乃至請求項3いずれか1項に記載の粘度管理装置。
【請求項5】
調整槽内の泥水を、測定槽へ常時搬送し、
前記測定槽において搬送された前記泥水の粘度を粘度計により測定し、
前記粘度計による測定結果に基づいて増粘材または希釈材を前記調整槽内に投入することにより前記泥水の性状を調整する粘度管理方法であって、
前記粘度計は、前記測定槽に供給された泥水内において一定の振幅で振動子を振幅するために要する駆動電流値により前記泥水の粘度を測定することを特徴とする、粘度管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−313104(P2006−313104A)
【公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−135695(P2005−135695)
【出願日】平成17年5月9日(2005.5.9)
【出願人】(000206211)大成建設株式会社 (1,602)
【出願人】(501405096)エーケーケミカル株式会社 (3)
【出願人】(390026446)株式会社テルナイト (17)
【出願人】(591075630)株式会社アクティオ (33)
【Fターム(参考)】