説明

粘性材料塗布装置および粘性材料塗布方法

【課題】凹凸を有する塗布対象面へ平坦で厚さが均一な塗布を実現できる粘性材料塗布装置を提供する。
【解決手段】本発明の粘性材料塗布装置100は、表面に凹凸を有する被塗布体の表面に設けられたマスク19上を摺動可能に設けられ、マスク19上を摺動することにより、粘性材料41をローリングしながら基板13の表面に塗布するスキージ5と、粘性材料41を基板13の表面に押圧可能なヘラ7と、ヘラ7の押圧量を調節可能な上下機構9を有する

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘性材料塗布装置および粘性材料塗布方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板へ搭載されたLSI等の電子部品は、表面の保護や絶縁のために、モールド樹脂で覆われるのが一般的である。
【0003】
ここで、電子部品をモールド樹脂で覆う装置として、粘性体にした樹脂を塗布する粘性材料塗布装置がある。
【0004】
粘性材料塗布装置の一例としては、スキージを備えたものが挙げられ、この構造では、塗布対象である物体表面、即ち電子部品の表面に対応する位置に開口が設けられたメタルマスクでプリント配線板を覆い、メタルマスク上に粘性材料(粘性体)にした樹脂を供給してスキージをメタルマスク上面に沿って摺動させる。
【0005】
すると、塗布方向のスキージ面に接触した粘性材料が、スキージ面とマスク上でローリングされながら、開口から押し出されて物体表面に塗布される(特許文献1、2)。
【0006】
また、粘性材料塗布装置の他の例としては、密閉した気密室内に粘性材料を充填し、気密室内の圧力を調節することにより、スリットから粘性材料を流出させ、塗布を行う構造も知られている(特許文献3、4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−198347号公報
【特許文献2】特開2001−156435号公報
【特許文献3】特開2010−228104号公報
【特許文献4】特許第3949315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1、2記載の構造では、スキージが凸部(電子部品の上面)から凹部(プリント基板の表面)へ移動する際に、粘性材料のローリング位置が凹部の底にある塗布対象面よりも高い位置に浮いた状態になり、粘性材料の粘度によっては、電子部品の側端部やプリント基板の表面の塗布面が凹形状となるという問題があった。
【0009】
このような凹形状は、スキージを進行させると粘性材料で埋まる事もあるが、この場合は、凹形状の開口のみが塞がってボイドとして粘性材料内に残留することがあるという問題があった。
【0010】
一方、特許文献3、4のような気密室を用いた構造は、導電部やビアホールのような限られた領域に粘性材料を塗布・充填する用途には適しているものの、LSIのように、導電部やビアホールよりもはるかに広い塗布範囲に粘性材料を塗布する用途には不適であるという問題があった。
【0011】
また、特許文献3、4の構造は粘性材料を密閉された気密室内に充填しているという構造上、気密室内の圧力を調節して、スリットから流出する粘性材料の量を調節することにより粘性材料を塗布するため、粘性材料をローリングしながら塗布することができず、塗布面の厚さを一定に保つのが困難であり、さらに塗出部から塗布方向後方に流れる粘性材料により、塗布面の平坦性が損なわれるという問題があった。
【0012】
本発明は上記理由に鑑みてなされたものであり、その目的は、凹凸を有する塗布対象面へ平坦で厚さが均一な塗布を実現できる粘性材料塗布装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前述した目的を達成するために、本発明の第1の態様は、表面に凹凸を有する被塗布体の表面に設けられたマスク上を摺動可能に設けられ、前記マスク上を摺動することにより、粘性材料をローリングしながら前記被塗布体の表面に塗布するスキージと、前記粘性材料を前記被塗布体の表面に押圧可能な押圧部と、前記押圧部の押圧量を調節可能な調節部と、を有することを特徴とする粘性材料塗布装置である。
【0014】
本発明の第2の態様は、表面に凹凸を有する被塗布体の表面に設けられたマスク上をスキージを摺動させて前記マスク上の粘性材料をローリングさせ、前記粘性材料を前記被塗布体表面へ、所定の押圧力で押圧しながら塗布することを特徴とする粘性材料塗布方法である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、凹凸を有する塗布対象面へ平坦で厚さが均一な塗布を実現できる粘性材料塗布装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】粘性材料塗布装置100を示す側面図である。
【図2】図1のA2方向矢視図である。
【図3】粘性材料塗布装置100を用いて基板13上に粘性材料41を塗布する際の手順を説明するための図であって、塗布装置1はスキージ5とヘラ7のみを簡略化して描いている。
【図4】粘性材料塗布装置100を用いて基板13上に粘性材料41を塗布する際の手順を説明するための図であって、塗布装置1はスキージ5とヘラ7のみを簡略化して描いている。
【図5】粘性材料塗布装置100を用いて基板13上に粘性材料41を塗布する際の手順を説明するための図であって、塗布装置1はスキージ5とヘラ7のみを簡略化して描いている。
【図6】第2の実施形態に係る粘性材料塗布装置101の構成および動作を説明するための側面図である。
【図7】第2の実施形態に係る粘性材料塗布装置101の構成および動作を説明するための側面図である。
【図8】第2の実施形態に係る粘性材料塗布装置101の構成および動作を説明するための側面図である。
【図9】第2の実施形態に係る粘性材料塗布装置101の構成および動作を説明するための側面図である。
【図10】第2の実施形態に係る粘性材料塗布装置101の構成および動作を説明するための側面図である。
【図11】第2の実施形態に係る粘性材料塗布装置101の構成および動作を説明するための側面図である。
【図12】第3の実施形態に係る粘性材料塗布装置102の構成を説明するための、ヘラ7付近の側面図であって、ヘラ7は断面図で示している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明に好適な実施形態を詳細に説明する。
【0018】
まず、図1および図2を参照して、第1の実施形態に係る粘性材料塗布装置100の構成について説明する。
【0019】
ここでは、粘性材料塗布装置100として、プリント配線板へ搭載されたLSI等の電子部品の表面に粘性材料としての液状モールド樹脂を塗布する装置が例示されている。
【0020】
図1および図2に示すように、粘性材料塗布装置100は、塗布装置1を有している。塗布装置1は、ステージ11上の基板13(被塗布体)の表面に粘性材料を塗布する装置であり、基板13上に設けられたマスク19上に設けられている。
【0021】
より詳細には、塗布装置1は、支持体3の下端に支持され、マスク19の上面21を摺動可能で、摺動により粘性材料をローリングさせながら基板13に塗布するスキージ5と、支持体3の側面に保持され、粘性材料を基板13の表面側(スキージ側)に押圧可能な押圧部としてのヘラ7と、ヘラ7を上下に(基板13の表面から離れる向きと近づく向き、図4ではB1、B2の向き)移動可能な調節部としてのヘラ上下機構9を有している。
【0022】
ヘラ上下機構9は、図1および図2ではクランク構造を有している。
【0023】
具体的には、ヘラ上下機構9は、支持体3の側面に設けられ、ヘラ7を保持し、上下(図4ではB1、B2の向き)に移動可能なスライダ23と、支持体3の、スライダ23が設けられた側面の、スライダ23の上方、即ちスライダ23を挟んでヘラ7と反対側に設けられ、中心軸24を中心に回転可能な円板状の回転部22と、回転部22とスライダ23を連結するように設けられたアダプタ25を有している。アダプタ25は回転部22とスライダ23に対して回転可能なピボット27、29を両端に有しており、ピボット27は回転部22の中心軸24から径方向にオフセットして連結されている。
【0024】
そのため、回転部22を中心軸24を中心に図2のC1、C2の向きに回転させると、回転部22の回転角に応じてスライダ23がヘラ7と一体となって上下(図4ではB1、B2の向き)に移動する。
【0025】
回転部22の中心軸24には、回転部22を回転させるモータ等のアクチュエータ40が設けられている。アクチュエータ40には制御部42が接続されており、アクチュエータ40は、制御部42によってその移動量が制御される。
【0026】
また、支持体3にはスライダ等のスキージ移動部46が設けられており、塗布装置1は、スキージ移動部46によって図1のA1、A2の向きに移動可能となっている。
【0027】
次に、図1〜図5を参照して粘性材料塗布装置100を用いた粘性材料の塗布方法について説明する。
【0028】
まず、基板13を図1および図2に示すようにステージ11上に配置し、表面にマスク19を配置する。
【0029】
基板13は表面に電子部品15、17が配置されており、マスク19は、電子部品15、17に対応した位置が図2に示すようにマスク開口31を形成している。
【0030】
次に、図3に示すように、塗布装置1を、スキージ5の先端がマスク19の上面21に配置されるように配置し、図示しない供給装置を用いて粘性材料41をマスク19の上面21のうち、ヘラ7に対向する位置に供給する。
【0031】
次に、図3に示すように、スキージ5とマスク19の上面21との間と、スキージ5とマスク開口31から覗く基板13の表面(塗布対象面)との間で、粘性材料41をローリングさせながら、スキージ移動部46(図2参照)を用いて塗布装置1を上面21に平行(図3のA1の向き)に移動させ、スキージ5を摺動させることにより、粘性材料41を所定の厚さで塗布してゆく。
【0032】
ここで、図3および図4に示すように、基板13の表面には電子部品15、17が配置されているため、電子部品15、17間の隙間が、凹部16を形成している。
【0033】
この場合、凹部16は、電子部品15の表面と比べて粘性材料41の必要充填量が多いため、ヘラ7の上下位置が図3の状態でそのまま塗布を続けると、凹部16に粘性材料41が十分に充填されずに塗布面が凹形になったり、内部にボイドを形成したりする恐れがある。
【0034】
そこで制御部42は、図4に示すように、凹部16に粘性材料41を塗布する際には、ヘラ上下機構9を制御してヘラ7を下降(図4のB2の向きに移動)させ、粘性材料41を押圧することにより、凹部16に押し込む。
【0035】
これにより、凹部16に凹形が形成されたり、ボイドが発生したりするのを防ぐことができる。
【0036】
なお、制御部42は、ヘラ7の上下の移動量(粘性材料41への押圧量)をスキージ5の位置、基板13の表面の凹凸形状、粘性材料41の量の少なくとも1つに応じて調節する。
【0037】
具体的には、制御部42は例えば、基板13の凹凸部とマスク19の上面21との位置関係から算出された、直近に塗布されるべき粘性材料41の体積と、スキージ5に押圧されている、マスク19の上面21にある粘性材料41の体積とから、ヘラ7の上下動量を決定する演算を行い、演算結果に基づき、ヘラ上下機構9を制御する。
【0038】
この演算を行う為に必要な粘性材料41の体積値は、塗布開始前にマスク19の上面21に供給されている粘性材料41の体積を測定し、さらに塗布中のマスク19の上面21よりも上にある粘性材料41の体積を測定しフィードバックする事も可能である。
【0039】
そのため、概してヘラ7は基板13の表面形状が凸部から凹部に遷移する付近で図4に示すように下降し、凹部から凸部に遷移する付近で図5に示すように上昇することとなる。
【0040】
また、マスク19上の粘性材料41の量が少なくなるのに伴い下降し、粘性材料41が供給されてその量が増したときは上昇することとなる。
【0041】
なお、基板13の凹凸に関するデータは、例えば、予め測定されたデータを準備して制御部42に読み込ませるか、ヘラ7が移動するのと同時に凹凸を測定する図示しない変位測定器を用いるか、いずれかの手段によって取得することができる。
【0042】
さらに、スキージ5の移動速度を基板13の表面形状によって変化させてもよい。
【0043】
具体的には、表面形状が凸部から凹部に遷移する付近ではスキージ速度を遅くする(場合によっては一時停止する)ことにより、凹部16に確実に粘性材料41を充填することができる。
【0044】
このように、第1の実施形態によれば、粘性材料塗布装置100は、塗布装置1を有し、塗布装置1は、表面に凹凸を有する基板13の表面に設けられたマスク19上を摺動可能に設けられ、マスク19上を摺動することにより、粘性材料41をローリングさせながら基板13の表面に塗布するスキージ5と、粘性材料41を基板13の表面に押圧可能なヘラ7と、ヘラ7の押圧量を調節可能なヘラ上下機構9とを有する。
【0045】
そのため、基板13の表面形状が凸部から凹部に遷移する部分が凹んだりボイドを形成したりするのを防ぐことができ、粘性材料41の塗布面をより平坦化でき、塗布面の厚さを均一にできる。
【0046】
次に、第2の実施形態について、図6〜図11を参照して説明する。
【0047】
第2の実施形態は、第1の実施形態において、塗布終了後にマスク19の上面21に残留している粘性材料41を回収し、再度供給する回収・供給機構200をさらに設けたものである。
【0048】
なお、第2の実施形態において、第1の実施形態と同様の機能を果たす要素については同一の番号を付し、主に第1の実施形態と異なる部分について説明する。
【0049】
まず、第2の実施形態に係る粘性材料塗布装置101の構成について、図6を参照して説明する。
【0050】
図6に示すように、粘性材料塗布装置101は、塗布装置1に加え、塗布終了後にマスク19の上面21に残留している粘性材料41を回収し、再度塗布装置1に供給する回収・供給機構200を有している。
【0051】
回収・供給機構200は、回収した粘性材料41が載せられる箱型の回収トレイ51を有している。回収トレイ51は、側面の1つと、上面のうち、当該側面側の一部が開放されている。
【0052】
回収トレイ51の側面のうち、開放された面と対向する面の外周には、回収トレイ51を塗布方向(図6のA1、A2の向き)に移動可能な第1移動機構57が設けられ、さらに回収トレイ51の上面には、回収した粘性材料41を回収トレイ51から押し出し、再度塗布装置1に供給するためのプッシャ53と、プッシャ53と回収トレイ51を連結するように設けられ、プッシャ53を回収トレイ51の開放面側に移動させる第2移動機構55が設けられている。
【0053】
次に、粘性材料塗布装置101の動作について、図6〜図11を参照して説明する。
【0054】
まず、図6に示すように、塗布装置1を塗布開始位置(図6ではマスク19の左端部)に配置し、回収・供給機構200を、回収トレイ51の開放面が塗布装置1側を向くようにして、塗布終了位置(図6ではマスク19の右端部、即ち塗布装置1の塗布方向の端部)に配置する。
【0055】
次に、塗布装置1を右向き(図6のA1の向き)に移動させながら粘性材料41をスキージングし、基板13上に粘性材料41を塗布する。
【0056】
図7に示すように、塗布装置1が塗布終了位置に達すると、さらに塗布装置1は右側に移動し、スキージ5が粘性材料41を図7のA1の向きに押圧することによって、粘性材料41を回収トレイ51に載せる。
【0057】
次に、図8に示すように、塗布装置1と回収・供給機構200を左向き(A2の向き)に移動させ、粘性材料41ごと塗布開始位置まで移動させる。
この際、回収トレイ51は第1移動機構57によって移動される。
【0058】
塗布装置1と回収・供給機構200が塗布開始位置に達すると、第2移動機構55を左向き(図8のA2の向き)に移動させてプッシャ53を粘性材料41と接触させ、これを押圧させる。
【0059】
すると、図9に示すように、回収トレイ51は反力によって右向き(図9のA1の向き)に移動するが、粘性材料41はスキージ5とプッシャ53に挟み込まれており、動かないため、回収トレイ51は粘性材料41から離れ、図10に示すように、粘性材料41はマスク19の上面21に再配置される。
【0060】
最後に、図11に示すように、回収トレイ51を第1移動機構57を用いて、図6に示す位置(塗布終了位置)まで戻し、第2移動機構55を用いてプッシャ53を図6に示す状態に戻す。
【0061】
このように、回収・供給機構200を用いることにより、粘性材料41を塗布装置1の動作に合わせて回収・供給できる。
以上が粘性材料塗布装置101の動作である。
【0062】
このように、第2の実施形態によれば、粘性材料塗布装置101は塗布装置1を有し、塗布装置1は、表面に凹凸を有する基板13の表面に設けられたマスク19上を摺動可能に設けられ、マスク19上を摺動することにより、粘性材料41をローリングさせながら基板13の表面に塗布するスキージ5と、粘性材料41を基板13の表面に押圧可能なヘラ7と、ヘラ7の押圧量を調節可能なヘラ上下機構9とを有する。
従って、第1の実施形態と同様の効果を奏する。
【0063】
また、第2の実施形態によれば、粘性材料塗布装置101は、塗布終了後にマスク19の上面21に残留している粘性材料41を回収し、再度塗布装置1に供給する回収・供給機構200を有している。
【0064】
そのため、粘性材料41を粘性材料塗布装置100の動作に合わせて回収・供給できる。
【0065】
次に、第3の実施形態について、図12を参照して説明する。
【0066】
第3の実施形態は、第1の実施形態において、ヘラ7の粘性材料41を押圧する面に、粘性材料41が塗出する塗出口63を設けたものである。
【0067】
なお、第3の実施形態において、第1の実施形態と同一の機能を果たす要素については同一の番号を付し、主に第1の実施形態と異なる部分について説明する。
【0068】
図12に示すように、第3の実施形態に係る粘性材料塗布装置102は、ヘラ7の粘性材料41を押圧する面に、粘性材料41が塗出する塗出口63が設けられている。塗出口63には、粘性材料41が供給される流路61(供給部)が接続されている。
【0069】
このように、塗出口63を設けることにより、塗布により、粘性材料41の量が減少した場合でも、塗出口63から粘性材料41を塗出させることにより、塗布プロセス中に粘性材料41を補充することが可能である。
【0070】
また、塗出口63をヘラ7の粘性材料41を押圧する面に設けることにより、スキージ5の粘性材料41を押し出す面に近接した位置に粘性材料41を供給できるため、部分的に塗布量が多かった場合でも、大幅に減少した分を、塗布する部分に直接供給でき、粘性材料41の不足が生じることが無い。
【0071】
このように、第3の実施形態によれば、粘性材料塗布装置102は塗布装置1を有し、塗布装置1は、表面に凹凸を有する基板13の表面に設けられたマスク19上を摺動可能に設けられ、マスク19上を摺動することにより、粘性材料41をローリングさせながら基板13の表面に塗布するスキージ5と、粘性材料41を基板13の表面に押圧可能なヘラ7と、ヘラ7の押圧量を調節可能なヘラ上下機構9とを有する。
従って、第1の実施形態と同様の効果を奏する。
【0072】
また、第3の実施形態によれば、塗布装置1のヘラ7の粘性材料41を押圧する面に、塗出口63が設けられている。
【0073】
そのため、塗布により、粘性材料41の量が減少した場合でも、塗布プロセス中に粘性材料41を補充することが可能である。
【0074】
上記した実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0075】
(付記1)
表面に凹凸を有する被塗布体の表面に設けられたマスク上を摺動可能に設けられ、前記マスク上を摺動することにより、粘性材料をローリングしながら前記被塗布体の表面に塗布するスキージと、前記粘性材料を前記被塗布体の表面に押圧可能な押圧部と、前記押圧部の押圧量を調節可能な調節部と、を有することを特徴とする粘性材料塗布装置。
【0076】
(付記2)
前記調節部は、前記押圧部の押圧量を前記スキージの位置、前記被塗布体の表面の凹凸形状、前記粘性材料の量の少なくとも1つに応じて調節可能であることを特徴とする付記1に記載の粘性材料塗布装置。
【0077】
(付記3)
前記調節部は、前記押圧部を前記被塗布体の表面に対して上下動させることにより前記押圧量を変化させる上下機構と、前記上下機構を制御する制御部と、を有することを特徴とする付記2記載の粘性材料塗布装置。
【0078】
(付記4)
前記制御部は、前記被塗布体の表面の凹凸部と前記マスクの上面との位置関係から算出された、直近に塗布されるべき前記粘性材料の体積と、前記スキージに押圧されている前記マスクの上面にある前記粘性材料の体積とから、前記押圧部の上下動量を決定する演算を行い、前記演算結果に基づき、前記上下機構を上下動させることを特徴とする付記3記載の粘性材料塗布装置。
【0079】
(付記5)
前記上下機構は、クランク、ソレノイド、リニアモータ、ボールネジのいずれかを有することを特徴とする、付記3または4のいずれかに記載の粘性材料塗布装置。
【0080】
(付記6)
前記スキージを移動させるスキージ移動部を有し、前記スキージ移動部は、前記被塗布体の表面の凹凸形状に応じて前記スキージの移動速度を変化させることが可能であることを特徴とする付記1〜5のいずれかに記載の粘性材料塗布装置。
【0081】
(付記7)
前記押圧部は、ヘラであることを特徴とする付記1〜6のいずれかに記載の粘性材料塗布装置。
【0082】
(付記8)
前記ヘラは、前記スキージの両側に配置されていることを特徴とする付記7記載の粘性材料塗布装置。
【0083】
(付記9)
前記マスクの上面へ粘性材料を供給する供給部を有することを特徴とする付記1〜8のいずれかに記載の粘性材料塗布装置。
【0084】
(付記10)
前記供給部は、前記押圧部の前記粘性材料と接する面に設けられ、前記粘性材料を塗出する塗出口を有することを特徴とする付記9記載の粘性材料塗布装置。
【0085】
(付記11)
前記粘性材料を回収し、再度供給可能な回収・供給機構を有することを特徴とする付記1〜10のいずれかに記載の粘性材料塗布装置。
【0086】
(付記12)
前記回収・供給機構は、前記マスク上の前記塗布方向側に設けられた回収トレイと、前記回収トレイに設けられ、前記粘性材料を前記スキージ側に押圧可能なプッシャと、前記回収トレイに設けられ、前記回収トレイを前記塗布方向に移動可能な移動機構と、を有することを特徴とする付記11記載の粘性材料塗布装置。
【0087】
(付記13)
前記スキージを支持する支持部を有し、前記支持部は、前記マスクの上面に対して水平に回転可能であることを特徴とする付記1〜12のいずれかに記載の粘性材料塗布装置。
【0088】
(付記14)
表面に凹凸を有する被塗布体の表面に設けられたマスク上をスキージを摺動させて前記マスク上の粘性材料をローリングさせ、前記粘性材料を、前記被塗布体表面へ、所定の押圧力で押圧しながら塗布することを特徴とする、粘性材料塗布方法。
【0089】
(付記15)
前記粘性材料を押圧する押圧部を前記被塗布体の表面に対して上下動させることにより前記押圧量を調節することを特徴とする付記14記載の粘性材料塗布方法。
【0090】
(付記16)
前記押圧部の押圧量を前記スキージの位置、前記被塗布体の表面の凹凸形状、前記粘性材料の量の少なくとも1つに応じて調節することを特徴とする付記14または15のいずれかに記載の粘性材料塗布方法。
【0091】
(付記17)
前記被塗布体の表面の凹凸部と前記マスクの上面との位置関係から算出された、直近に塗布されるべき前記粘性材料の体積と、前記スキージに押圧されている前記マスク上面にある前記粘性材料の体積とから、前記押圧部の上下動量を決定する演算を行い、前記演算結果に基づき、前記押圧部を上下動させることを特徴とする付記14〜16のいずれかに記載の粘性材料塗布方法。
【0092】
(付記18)
前記被塗布体の表面の凹凸形状に応じて前記スキージの移動速度を変化させることを特徴とする付記14〜17のいずれかに記載の粘性材料塗布方法。
【0093】
(付記19)
前記押圧部は、ヘラであることを特徴とする付記14〜18のいずれかに記載の粘性材料塗布方法。
【0094】
(付記20)
前記押圧部の前記粘性材料と接する面に前記粘性材料を塗出することにより前記粘性材料を供給することを特徴とする付記14〜19のいずれかに記載の粘性材料塗布方法。
【0095】
(付記21)
前記粘性材料を回収し、再度供給することを特徴とする付記14〜20のいずれかに記載の粘性材料塗布方法。
【0096】
(付記22)
前記スキージが塗布終了位置に達すると、前記マスク上の前記塗布方向側に設けられた回収トレイに前記粘性材料を搭載することにより前記粘性材料を回収し、前記回収トレイおよび前記スキージを塗布開始位置まで移動させ、前記粘性材料を前記スキージと、前記回収トレイ上のプッシャで挟み込んだ状態で前記粘性材料を前記回収トレイから前記マスク上に再配置することにより、前記粘性材料を再度することを特徴とする付記21記載の粘性材料塗布方法。
【0097】
(付記23)
前記スキージを前記マスクに対して水平に回転させることにより、任意の向きに前記粘性材料を塗布することを特徴とする付記14〜22のいずれかに記載の粘性材料塗布方法。
【産業上の利用可能性】
【0098】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記の実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成は、本願発明の範囲内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0099】
例えば、上記した実施形態ではヘラ上下機構9としてクランク機構を用いたが、本発明は何らこれに限定されるものではなく、粘性材料41を押圧可能にヘラ7を上下動可能なものであれば、他のスライド機構、例えばソレノイド、リニアモータ、ボールネジ等を用いても良い。
【0100】
また、上記した実施形態では、ヘラ7は支持体3の片側(塗布方向側)にのみ設けられていたが、両側に設けてもよい。
【0101】
さらに、上記した実施形態では、塗布装置1を、粘性材料41を特定の向き(A1の向き)にのみ塗布可能な構造としたが、例えば支持体3をマスク19の上面21に対して水平方向に回転可能な構造として、任意の方向に粘性材料41を塗布可能な構造としてもよい。
【符号の説明】
【0102】
1 塗布装置
3 支持体
5 スキージ
7 ヘラ
9 ヘラ上下機構
11 ステージ
13 基板
15 電子部品
16 凹部
17 電子部品
19 マスク
21 上面
22 回転部
23 スライダ
24 中心軸
25 アダプタ
27 ピボット
29 ピボット
31 マスク開口
40 アクチュエータ
41 粘性材料
42 制御部
46 スキージ移動部
51 回収トレイ
53 プッシャ
55 第2移動機構
57 第1移動機構
61 流路
63 塗出口
100 粘性材料塗布装置
101 粘性材料塗布装置
102 粘性材料塗布装置
200 回収・供給機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に凹凸を有する被塗布体の表面に設けられたマスク上を摺動可能に設けられ、前記マスク上を摺動することにより、粘性材料をローリングしながら前記被塗布体の表面に塗布するスキージと、
前記粘性材料を前記被塗布体の表面に押圧可能な押圧部と、
前記押圧部の押圧量を調節可能な調節部と、
を有することを特徴とする粘性材料塗布装置。
【請求項2】
前記調節部は、
前記押圧部を前記被塗布体の表面に対して上下動させる上下機構と、
前記上下機構を制御する制御部と、
を有することを特徴とする請求項1記載の粘性材料塗布装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記被塗布体の表面の凹凸部と前記マスクの上面との位置関係から算出された、直近に塗布されるべき前記粘性材料の体積と、
前記スキージに押圧されている前記マスクの上面にある前記粘性材料の体積とから、前記押圧部の上下動量を決定する演算を行い、
前記演算結果に基づき、前記上下機構を上下動させることを特徴とする請求項2記載の粘性材料塗布装置。
【請求項4】
前記マスクの上面へ粘性材料を供給する供給部を有し、
前記供給部は、
前記押圧部の前記粘性材料と接する面に設けられ、前記粘性材料を塗出する塗出口を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の粘性材料塗布装置。
【請求項5】
前記粘性材料を回収し、再度供給可能な回収・供給機構を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の粘性材料塗布装置。
【請求項6】
表面に凹凸を有する被塗布体の表面に設けられたマスク上をスキージを摺動させて前記マスク上の粘性材料をローリングさせ、前記粘性材料を前記被塗布体表面へ、所定の押圧力で押圧しながら塗布することを特徴とする粘性材料塗布方法。
【請求項7】
前記粘性材料を押圧する押圧部を前記被塗布体の表面に対して上下動させることにより前記押圧量を調節することを特徴とする請求項6記載の粘性材料塗布方法。
【請求項8】
前記被塗布体の表面の凹凸部と前記マスクの上面との位置関係から算出された、直近に塗布されるべき前記粘性材料の体積と、
前記スキージに押圧されている前記マスク上面にある前記粘性材料の体積とから、前記押圧部の上下動量を決定する演算を行い、
前記演算結果に基づき、前記押圧部を上下動させることを特徴とする請求項6または7のいずれか一項に記載の粘性材料塗布方法。
【請求項9】
前記被塗布体の表面の凹凸形状に応じて前記スキージの移動速度を変化させることを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項に記載の粘性材料塗布方法。
【請求項10】
前記押圧部の前記粘性材料と接する面に前記粘性材料を塗出することにより前記粘性材料を供給することを特徴とする請求項6〜9のいずれか一項に記載の粘性材料塗布方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−63560(P2013−63560A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−203054(P2011−203054)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】