説明

糸継ぎ装置および糸継ぎ方法

【課題】 巻取パッケージ側の糸端と給糸側の糸端とを糸継ぎする際に、巻取パッケージの表面を傷めずに巻取パッケージに巻かれた糸欠点部分を確実に捕捉し全て除去可能とする糸継ぎ装置および糸継ぎ方法を提供することである。
【解決手段】 糸継ぎ部材と、巻取パッケージの表面に接近して糸端を吸引して糸継ぎ部材まで案内する糸端捕捉手段1と、巻取パッケージを糸解舒方向に回転させる逆転手段2とを備えて、前記糸端捕捉手段1を、巻取パッケージの表面に接近して糸端を吸引する捕捉位置1Bと、糸の不良部分を連続吸引する吸引位置1Cと、吸引した糸端を糸継ぎ部材まで案内する待機位置1Aとに移動自在とする糸継ぎ装置Pとし、前記吸引位置1Cを巻取パッケージPW1から離れた位置とする糸継ぎ方法とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紡績糸の糸継ぎ装置および糸継ぎ方法に関し、特に、巻取パッケージに巻かれた糸の不良部分を全て除去しながら大径の巻取パッケージを巻成可能とする糸継ぎ装置および糸継ぎ方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、紡績装置として、繊維束を複数のドラフトローラ対よりなるドラフト装置でドラフトした後、該ドラフト装置下流側に直列に配置した一段もしくは二段の旋回気流の作用により紡績を行う空気紡績装置が知られている。
【0003】
また、紡出された糸は、紡績糸の糸欠点部分(太糸部や細糸部の糸斑)を検出する検出部を経由して、異常のないことを確認された後、巻取部にて連続的に巻き取られ、大径のパッケージに巻成される構成である。
【0004】
そのために、前記空気紡績装置は、糸欠点検出部と、糸切断部とを備えており、紡績中であっても、検出部で糸欠点が検出されると、強制的に糸を切断し、所定長さの糸を吸引除去した後で、糸継ぎをして紡績を再開することにしている。また、紡績の途中で、自然に糸切れする場合もあり、この際にも糸継ぎして紡績を再開する構成としている。
【0005】
紡績装置は、紡績ユニットを多数併設しており、各紡績ユニットは、繊維束を所定太さまで牽引するドラフト部と、圧縮エアを噴射して紡績を行う紡績ノズルを備える紡績部と、糸の不良部分を検知する検出部と、糸を切断する切断部と、巻取部とを備える構成とされている。また、紡績ユニットが併設される方向に走行自在な糸継台車を配設しており、一台の糸継台車が多数の紡績ユニットの糸継ぎを行う構成である。
【0006】
通常、検出部で糸欠点が検出されると、直ちに糸を強制的に切断するので、糸継ぎの際に、吸引除去する糸長さは所定の長さであればよく、予め解舒して除去する糸長さを規定している。そのために、糸継台車に、糸継ぎ部材と、巻取パッケージの表面に接近し糸端を吸引して糸継ぎ部材まで案内する糸端捕捉手段と、前記巻取パッケージを糸解舒方向に、予め定められた所定時間回転させる逆転手段とを配設して、予め規定される一連の糸継ぎ操作サイクルで糸継ぎ動作を行う構成とされている。
【0007】
糸欠点が単発的に生じる太糸部や細糸部であれば、糸欠点を検出して直ちに切断し、所定長さ巻き取って除去することで、その欠点部分を完全に除去することが可能である。そのために、糸継ぎの際に、巻取パッケージの表面から糸端を吸引して捕捉する前記糸端捕捉手段を、巻取パッケージの極近くまで近接させて、巻取パッケージを糸の解舒方向に短時間回転させるだけで、糸端の捕捉と糸欠点部分の吸引除去を行うことができる。また、短時間近接させるだけなので、前記糸端捕捉手段が巻取パッケージの表面を傷める不具合も生じない。
【0008】
しかし、糸欠点が徐々に生じている場合のように、糸欠点部の長さが長い場合には、かなり長い時間、前記糸端捕捉手段を巻取パッケージ表面に待機させた状態で、巻取パッケージを糸の解舒方向に回転続行する必要があり、その欠点部を完全に除去することは困難であると共に、パッケージ表面を傷める虞も生じる。
【0009】
また、紡績装置としてよく知られているリング紡績機は、糸欠点検出部を備えておらず、糸欠点部分を内在した状態でボビンに巻成されている。そのために、小径である前記ボビンに巻かれた糸を巻き直して、大径のパッケージに巻成する自動ワインダに、糸欠点部分を検出する検出部と糸継ぎ部材を設けて、糸欠点を検知する毎に糸を切断し、糸欠点部を除去しながら大径のパッケージに巻き取ることが一般に行われている。
【0010】
さらに、前記自動ワインダであって、糸欠点部長さを含むデータを出力するクリヤラーコントローラを備え、糸欠点部長さに応じて除去する糸長さを制御するとした、ヤーンクリヤラーを備えた巻取装置が既に本出願人から出願されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−187672号公報(第1−5頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記したように、巻取パッケージ側の糸端と給糸側の糸端とを糸継ぎする際に、巻取パッケージの糸層表面から糸端を見つけ出して捕捉するためには、サクションマウス等の吸引部材を備える糸端捕捉手段をパッケージ表面に近接する必要がある。
【0012】
また、前記糸端捕捉手段をパッケージ表面に近接させた状態のまま、巻取パッケージを糸の解舒方向に長時間回転させると、糸端を確実に吸引捕捉することが可能となる。
【0013】
しかし、前記糸端捕捉手段をパッケージ表面に近接させた状態のまま、巻取パッケージを長時間回転させると、吸引空気流の影響で、パッケージ表面層の表層乱れが生じたり、毛羽立つという問題が生じる虞がある。
【0014】
本発明の目的は、上記問題に鑑み、巻取パッケージ側の糸端と給糸側の糸端とを糸継ぎする際に、巻取パッケージの表面を傷めずに巻取パッケージに巻かれた糸欠点部分を確実に捕捉し全て除去可能とする糸継ぎ装置および糸継ぎ方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するために請求項1に係る発明は、巻取パッケージ側の糸端と給糸側の糸端とを自動的に糸継ぎする糸継ぎ装置であって、少なくとも、巻取パッケージ側の糸端を吸引捕捉して糸継ぎ部材位置へ案内移動するパッケージ側糸端捕捉手段を有する前記糸継ぎ装置において、前記パッケージ側糸端捕捉手段が、巻取パッケージの糸層表面に接近して糸端を吸引捕捉する捕捉位置と、前記パッケージ側糸端捕捉手段が不良糸部分を連続吸引する吸引位置とを異なる位置としたこことを特徴としている。
【0016】
上記の構成を有する請求項1に係る発明によれば、パッケージ側糸端捕捉手段の配置位置を、糸端を吸引捕捉する適当な捕捉位置と不良糸部分を連続吸引するのに適当な吸引位置とにそれぞれ自在に設定可能となるので、安定した効率のよい糸継ぎ動作が可能な糸継ぎ装置とすることができる。
【0017】
請求項2に係る発明は、前記パッケージ側糸端捕捉手段が不良糸部分を連続吸引する吸引位置が、前記捕捉位置よりもさらに巻取パッケージの糸層表面から離れた位置であることを特徴としている。
【0018】
上記の構成を有する請求項2に係る発明によれば、不良糸部分を連続吸引する際のパッケージ側糸端捕捉手段の停止位置を、巻取パッケージ表面から離れた位置としているので、巻取パッケージを高速で回転させても、巻取パッケージと糸端捕捉手段とが干渉したり接触せず、糸を損傷しないと共に巻取パッケージの表層乱れや毛羽立ちを防止可能な糸継ぎ装置とすることができる。
【0019】
請求項3に係る発明は、繊維束を所定太さまで牽引するドラフト部と、ドラフトされた繊維束を加撚して紡績糸に生成する紡績部と、前記紡績糸の糸欠点部分を検知する不良検出部と、前記紡績糸を切断する切断部と、前記紡績糸を巻き取って巻取パッケージを巻回する巻取部とを備える紡績ユニットを多数併設して構成される紡績装置の糸継ぎ装置であって、多数の前記紡績ユニットが併設される方向に走行自在な走行台車を備え、糸継ぎ部材と、巻取パッケージの表面に接近して糸端を吸引捕捉して糸継ぎ部材位置まで案内する糸端捕捉手段と、巻取パッケージを糸解舒方向に回転させる逆転手段と、それらの手段をそれぞれ独立または連続して駆動する駆動制御手段とを備え、前記不良検出部が検知した糸情報に基づいて、吸引除去する糸長さを設定し、前記逆転手段の駆動時間を制御すると共に、前記糸端捕捉手段を、巻取パッケージの表面に接触する程に接近して糸端を吸引捕捉する捕捉位置と、前記糸端を吸引捕捉した後で前記糸端捕捉手段を巻取パッケージの表面から離れる方向に移動して巻取パッケージから少し離れた位置の糸の不良部分を連続吸引する吸引位置と、吸引した糸端を糸継ぎ部材まで案内する待機位置とに移動自在としたことを特徴としている。
【0020】
上記の構成を有する請求項3に係る発明によれば、糸端捕捉手段を所望される位置に自在に移動する構成であるので、糸端の吸引を容易とする位置、解舒を高速で行うことが可能な位置、糸を確実に糸継ぎ部材に案内する位置とに移動自在であり、紡績効率を高めることができる。また、巻取パッケージ表面から離れた位置に糸端捕捉手段が位置しているので、巻取パッケージを高速で回転させても、巻取パッケージと糸端捕捉手段とが干渉したり接触せず、糸を損傷しないと共に巻取パッケージの表層乱れや毛羽立ちを防止することができる。
【0021】
請求項4に係る発明は、前記不良検出部からの糸情報を蓄積すると共に、糸の不良原因毎の糸解舒長さを予め複数段階に設定可能とする中央制御装置を設け、該中央制御装置からの指令により、前記駆動制御手段が、前記逆転手段と前記補足案内手段との駆動を制御する構成としたことを特徴としている。
【0022】
上記の構成を有する請求項4に係る発明によれば、糸の不良原因を予め分類しておいてそれぞれに応じた糸吸引除去長さを予め複数段階に設定しておくことで、不良部分を完全に除去するための制御構成が容易となり、予めプログラムしておくことができる。
【0023】
請求項5に係る発明は、前記逆転手段による巻取パッケージの回転速度を、糸端を吸引捕捉する糸端捕捉速度と、糸の不良部分を連続吸引する吸引速度とに変更自在とし、前記糸端捕捉速度を前記巻取パッケージの径に応じて変更することを特徴としている。
【0024】
上記の構成を有する請求項5に係る発明によれば、糸端を吸引して捕捉する際には、低速で巻取パッケージを回転させ、糸を連続解舒する際には、巻取パッケージを速く回転して短い時間で所定長さの糸不良部分を解舒可能となる。さらには、径に応じて糸端捕捉速度を変更するので、パッケージの径が大きくても小さくても、所定の時間内に糸端を吸引捕捉することができる。
【0025】
請求項6に係る発明は、前記中央制御装置に巻取パッケージ径に応じた糸端捕捉速度を予め設定しておき、各紡績ユニットもしくは前記糸継ぎ装置に、巻取パッケージの径を検知する検知手段を設け、該検知手段により検知されたパッケージ径に応じた糸端捕捉速度で前記逆転手段を駆動する構成としたことを特徴としている。
【0026】
上記の構成を有する請求項6に係る発明によれば、中央制御装置に予め、パッケージ径に応じた糸端捕捉速度を設定しておくだけで、それぞれの巻取ユニットのパッケージ径に応じた最適な糸端捕捉速度でパッケージを回転することができ、所定の時間内に確実に糸端を吸引捕捉することができる。
【0027】
請求項7に係る発明は、巻取パッケージ側の糸端と給糸側の糸端とを自動的に糸継ぎする際に、少なくとも、巻取パッケージ側の糸端を吸引捕捉して糸継ぎ部材位置へ案内移動するパッケージ側糸端捕捉手段を有する糸継ぎ装置の糸継ぎ方法であって、前記パッケージ側糸端捕捉手段が、巻取パッケージの糸層表面に接近した糸端捕捉位置で糸端を吸引捕捉する糸端捕捉工程と、前記糸端捕捉位置と異なる位置の吸引位置において前記パッケージ側糸端捕捉手段が不良糸部分を連続吸引する吸引工程とを有する糸継ぎ方法としたことを特徴としている。
【0028】
上記の構成を有する請求項7に係る発明によれば、パッケージ側糸端捕捉手段の配置位置を、糸端を吸引捕捉する適当な捕捉位置とする糸端捕捉工程と、不良糸部分を連続吸引するのに適当な吸引位置とする吸引工程とを備える糸継ぎ方法としているので、確実に糸端を吸引捕捉可能で不良糸部分を確実に解舒して糸継ぎが可能な糸継ぎ方法とすることができる。
【0029】
請求項8に係る発明は、前記パッケージ側糸端捕捉手段が不良糸部分を連続吸引する吸引位置が、前記糸端捕捉位置よりもさらに巻取パッケージの糸層表面から離れた位置であることを特徴としている。
【0030】
上記の構成を有する請求項8に係る発明によれば、不良糸部分を連続吸引する際のパッケージ側糸端捕捉手段の停止位置を、巻取パッケージ表面から離れた位置としているので、巻取パッケージを高速で回転させても、パッケージと糸端捕捉手段とが干渉したり接触せず、糸を損傷しないと共にパッケージの表層乱れや毛羽立ちを防止可能な糸継ぎ方法とすることができる。
【0031】
請求項9に係る発明は、繊維束を所定太さまで牽引するドラフト部と、ドラフトされた繊維束を加撚して紡績糸に生成する紡績部と、前記紡績糸の糸欠点部分を検知する不良検出部と、前記紡績糸を切断する切断部と、前記紡績糸を巻き取って巻取パッケージを巻回する巻取部とを備える紡績ユニットを多数併設して構成される紡績装置の糸継ぎ方法であって、巻取パッケージ側の糸端と前記紡績部側の糸端とを自動的に糸継ぎする際に、巻取パッケージ側の糸端を吸引捕捉して糸継ぎ部材位置へ案内移動する糸端捕捉手段を巻取パッケージの表面に接近した糸端捕捉位置で、逆転手段を介して巻取パッケージを糸解舒方向に回転させながら糸端を吸引捕捉する糸端捕捉工程と、前記糸端捕捉位置よりもさらに巻取パッケージの糸層表面から離れた位置の吸引位置において前記糸端捕捉手段が不良糸部分を連続吸引する吸引工程とを有すると共に、前記吸引工程にて、前記不良検出部が検知した糸欠点部分を全て解舒することを特徴としている。
【0032】
上記の構成を有する請求項9に係る発明によれば、紡績中に生じる糸斑等の糸欠点部分を、その長さに拘らずにすべて吸引除去したあとで糸継ぎ可能な糸継ぎ方法となる。また、巻取パッケージ表面から離れた位置に糸端捕捉手段が位置しているので、巻取パッケージを高速で回転させても、パッケージと糸端捕捉手段とが干渉したり接触せず、糸を損傷しないと共にパッケージの表層乱れや毛羽立ちを防止可能な糸継ぎ方法となる。
【0033】
請求項10に係る発明は、前記逆転ローラによる巻取パッケージの回転速度を、前記糸端捕捉工程時の糸端捕捉速度と、前記吸引工程時の吸引速度とに変更自在とし、前記糸端捕捉速度を前記巻取パッケージの径に応じて変更すると共に、前記吸引工程の作動時間を変更自在としたことを特徴としている。
【0034】
上記の構成を有する請求項10に係る発明によれば、糸端を吸引して捕捉する際には、低速で巻取パッケージを回転させ、糸を連続解舒する際には、巻取パッケージを速く回転して短い時間で所定長さの糸不良部分を解舒可能となる。さらには、径に応じて糸端捕捉速度を変更するので、パッケージの径が大きくても小さくても、所定の時間内に糸端を吸引捕捉することができ、連続解舒の時間を変更することで、所定長さの糸不良部を完全に除去することができる。
【発明の効果】
【0035】
上記したように本発明の糸継ぎ装置および糸継ぎ方法によれば、糸端捕捉手段を、巻取パッケージの表面に接近して糸端を吸引する捕捉位置と、糸の不良部分を連続吸引する吸引位置と、吸引した糸端を糸継ぎ部材まで案内する待機位置とに移動自在とし、前記吸引位置を、前記捕捉位置より遠ざかった位置としたので、比較的高速で糸の不良部分を吸引解舒可能であり、パッケージ表面の表層乱れや毛羽立ちを発生させず、糸を傷めることもなく、比較的短時間に正常な糸を引き出して糸継ぎすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明に係る糸継ぎ装置および糸継ぎ方法の実施の形態について、図1から図5に基づいて詳細に説明する。
【0037】
先ず、本発明に係る糸継ぎ装置を備える紡績装置Mの全体構成について図5により説明する。本紡績装置Mは紡績ユニットUが多数配列された構成となっており、スライバLが、ドラフト装置DRに送られ紡績部Spにより紡績糸Yに紡績される。製造された紡績糸YはニップローラRn及びスラブキャッチャーZ等を経て巻取部WRに巻き取られ、パッケージPWを形成する。Pは糸継ぎを行う糸継ぎ装置であり、紡績装置Mの長手方向に沿って紡績装置Mの内部下方を走行するように構成されている。
【0038】
また、図4に示すように各紡績ユニットUは、機台後部に配置されたケンスK内に収納されているスライバLがガイドGを経て、トランペットTを挿通しドラフト装置DRに搬送された後、段々送り速度が速くなるローラドラフト部を通過して所定細さに牽伸され、紡績部Spにより紡績糸Yとなり、機台前面の巻取部WRに巻き取られ、パッケージPWを形成する構成である。
【0039】
前記紡績部Spは紡績速度が300m/分以上の高速紡績が可能な、紡績ノズルと中空ガイド軸体とを備える空気紡績部から形成されているが、これに限定されるものではなく、2段の空気紡績ノズルを備える紡績部でもよい。また、紡績ノズルと一対の加然ローラとを備える、紡績速度が数百m/分の高速紡績が可能な紡績部であってもよい。
【0040】
次に、紡績装置Mが備えるドラフト部の構成について図3より説明する。
【0041】
ドラフト部DRは、図に示すように、バックローラRb,サードローラRt,エプロンベルトEを有するミドルローラRm、及びフロントローラRfから構成される所謂4線式のドラフト装置であって、それぞれ上下一対のローラが送り方向に沿って配置される構成である。
【0042】
前記ドラフト部DRは、スライバを挿通するガイドであるトランペットTを経て供給されるスライバLを所定の細さに引き伸ばす装置であって、各ローラの回転速度を、上流側から下流側に向かって段々増加しながらスライバLを送ることによってドラフトを行う。所定の細さにドラフトされたスライバLは、紡績部Spに供給され、該紡績部Spにおいて紡績糸Yに生成される。
【0043】
また、各ローラを構成している上下一対のローラはそれぞれ、紡績機の本体フレーム側に配設された下部ローラとなるボトムローラと、該ボトムローラと接離自在に構成されるトップローラとで構成されている。
【0044】
次に図1および図2より本発明に係る糸継ぎ装置が行う糸継ぎ動作について詳細に説明する。図1には、糸継ぎ装置Pが巻取パッケージPW1の糸継ぎを行っているところを示している。
【0045】
前記糸継ぎ装置Pは、糸継ぎ部材と走行台車とを備えており、糸継ぎの必要な紡績ユニットに停止して、巻取パッケージ側の糸端を引き出して、紡績部から送り出されてくる紡績糸と糸継ぎをする装置である。そのために、巻取パッケージPW1の表面に接近して糸端Y1を吸引して糸継ぎ部材まで案内する糸端捕捉手段1と、前記巻取パッケージPW1を糸解舒方向に回転させる逆転手段2とを備えていると共に、それらの手段をそれぞれ独立してまた連続して駆動する駆動制御手段4とを備えている。
【0046】
糸端捕捉手段1は、サクションマウス10と中空アーム11と回転駆動部12とを備えて図中の矢印D1方向に回動自在であり、巻取パッケージPW1の表面に接近して糸端を吸引する捕捉位置1Bと、糸の不良部分を連続吸引して解舒する吸引位置1Cと、走行中の待機位置であり糸端を糸継ぎ部材位置まで案内する案内位置ともなる待機位置1Aとに移動自在とされている。
【0047】
糸継ぎ装置Pが走行中は、前記糸端捕捉手段1は待機位置1Aにあり、所定の紡績ユニットに停止して糸継ぎを行う際には、待機位置1Aから捕捉位置1Bに移動し、糸端Y1を吸引捕捉した後で、解舒する吸引位置1Cに移動する構成である。
【0048】
糸端Y1を吸引したことを検知するには、吸引するのに必要な時間吸引を続行する構成でもよいが、本実施の形態においては、前記中空アーム11の糸通路の所定位置に糸端Y1を検知するセンサ13を配設する構成としている。
【0049】
逆転手段2は、矢印D2方向に回動自在なアーム20と、回転駆動部21と、前記アーム20の先端に装着される逆転ローラ3とを備えている。また、逆転ローラ3は所定の回転速度で回転駆動されるよう構成されている。
【0050】
前記逆転手段2による巻取パッケージPW1の回転速度は、糸端Y1を捕捉する際には低速である方が好ましく、一旦吸引捕捉した糸を解舒する際には、高速で回転する方が好ましい。そのために、前記逆転手段2による巻取パッケージPW1の回転速度を、糸端を吸引する糸端捕捉速度と、糸の不良部分を連続吸引する吸引速度とに変更自在としている。また、逆転ローラ3の回転速度が一定であっても、巻取パッケージPW1の径により前記パッケージの回転速度は変化するので、前記糸端捕捉速度を巻取パッケージPW1の径に応じて変更する構成とした。
【0051】
糸継ぎが必要な所定の紡績ユニットUに停止した糸継ぎ装置Pが行う糸継ぎ動作の手順は、まず、逆転手段2が駆動されて、逆転ローラ3が巻取パッケージPW1に当接して該巻取パッケージPW1を所定位置に保持しながら、糸端Y1を引き出して解舒する方向(図中のD3方向)に回転する。
【0052】
それから、糸端捕捉手段1の回転駆動部12が駆動されて、サクションマウス10が巻取パッケージPW1に接近する捕捉位置1Bに回動移動し、糸端Y1を吸引する。センサ13が糸端Y1を検知すると、前記回転駆動部12が駆動されて、吸引位置1Cに移動する。
【0053】
上記のような構成としているので、吸引位置1Cにある前記サクションマウス10は、既に糸端Y1を吸引した状態であり、そのまま前記巻取パッケージの回転速度を上げても、吸引保持している糸端Y1を安定して吸引し続けることができる。そのために、前記逆転ローラ3の回転速度を上昇して糸端Y1の解舒速度を上げて、短い時間で所定長さの糸端Y1を解舒することが可能である。
【0054】
糸端捕捉手段1を吸引位置1Cに移動し、サクションマウス10を巻取パッケージPW1から離すのは、前記パッケージを高速で回転した時に、パッケージ表面とサクションマウス10の吸引空気流の影響で表面層の糸が切れたり汚れたり、また、毛羽立ちするのを防止するためである。
【0055】
また、糸端Y1を確実に吸引するためには、サクションマウス10が巻取パッケージPW1により近いほうが好ましく、捕捉位置1Bは、前記サクションマウス10がパッケージ表面に最接近した位置とされる。
【0056】
逆にいえば、糸端Y1を吸引する位置と、解舒する位置とを区別することで、吸引して捕捉する位置を巻取パッケージに最接近することと、解舒する際の、前記パッケージを高速回転させて、短時間で解舒することが可能となる。
【0057】
回転駆動部12と回転駆動部21と逆転ローラ3との駆動制御は、糸継ぎ装置Pが備える駆動制御手段4を介して、所定のタイミングで所定の速さで、それぞれ独立して、または連続して駆動することができる。また、前記駆動制御手段4は、本体側の中央制御装置5と通信接続されており、それぞれの巻取ユニットUのスラブキャッチャーZが検知した糸情報に基づいて、それぞれの駆動を制御する構成である。
【0058】
つまり、スラブキャッチャーZが検知した糸情報に基づいて、吸引除去する糸長さが予め設定されており、その糸長さを吸引して解舒するよう、糸継ぎ装置Pの糸継ぎ動作が駆動制御されている。
【0059】
前述したように、紡績糸Yの不良部の長さは、その不良原因毎に異なっており、瞬間的に不良部が発生することも、長い糸長に渡って発生する不良原因もある。そのために、不良部糸長さによって、それぞれ解舒する糸長さを変更することが好ましく、解舒されるべき糸を全て除去することで、糸品質の安定した紡績糸を自動生産可能となり、効率のよい紡績を行うことが可能となる。
【0060】
本実施の形態においては、糸の不良原因毎の糸解舒長さを予め複数段階、例えば3段階に定めており、前記中央制御装置5にそれぞれ糸解舒長さYL1、YL2、YL3と設定する(図2参照)ようにした。
【0061】
そのために、各紡績ユニット毎に装着されているそれぞれのスラブキャッチャーZが検知した糸情報に基づいて、それぞれの巻取ユニットの糸解舒長さが設定され、中央制御装置5から駆動制御手段4を介して、回転駆動部12と回転駆動部21と逆転ローラ3とが駆動制御されることになる。
【0062】
また、前述したように逆転ローラ3の回転速度も変更可能とされており、糸端Y1を吸引する糸端捕捉速度と、糸の不良部分を連続吸引する吸引速度とに変更自在としている。さらに、前記糸端捕捉速度を、巻取パッケージPW1の径に応じた速度に予め設定しておき、パッケージ径に拘らずに同程度の時間で吸引可能としている。
【0063】
この逆転ローラ3の駆動について図2よりさらに詳細に説明する。
【0064】
糸継ぎ動作が開始されると、逆転ローラ3が巻取パッケージに当接して回転開始22となり、標準のパッケージ径であれば、標準の糸端捕捉速度20Aで回転し、糸端Y1を吸引捕捉する。また、大きな径の巻取パッケージであれば、前記逆転ローラ3の回転速度をより速い糸端捕捉速度20Bとし、パッケージの回転速度を同程度としてパッケージ表面にある糸端を捕捉するチャンスを同程度の時間としている。さらに、小さな径のパッケージであれば、パッケージの回転が速くなるので、遅い糸端捕捉速度20Cとして、パッケージの回転速度を落として同程度となるようにしている。そのために、パッケージの径に拘らずに、パッケージの回転速度が同程度となり、パッケージ表面にある糸端を同程度のチャンスで捕捉可能となる。
【0065】
パッケージの径はそれぞれの巻取部WRに配設されるセンサ(例えば光電センサ:不図示)で検知することが可能であり、紡績中のそれぞれの紡績ユニットUの巻取パッケージの径を、前記中央制御装置5が認識可能とすることができる。また、それぞれの巻取部WRに設けるのではなく、糸継ぎ装置Pに、パッケージ径を検知するセンサを設けて、糸継ぎ動作毎に、巻取パッケージを回転させる速度を規定するようにすることもできる。この場合でも、前記中央制御装置5に巻取パッケージ径に応じた糸端捕捉速度を予め設定しておくことは明らかである。
【0066】
また、糸の巻取開始からの巻取パッケージの巻取長さを計測しておき、予め算出されるパッケージ径を登録しておくことでも、それぞれの巻取ユニットのパッケージ径を認識することが可能である。この構成であれば、パッケージ径を検知するためのセンサが不要となり好適である。
【0067】
本実施の形態においては、前記中央制御装置5にパッケージ径に応じた糸端捕捉速度を予め設定しておき、各紡績ユニットUに巻取パッケージPW1の径を検知する検知手段(不図示)を設け、該検知手段により検知されたパッケージ径に応じた糸端捕捉速度で前記逆転手段を駆動する構成とした。
【0068】
上記のような構成としているので、逆転ローラ3が巻取パッケージ表面に当接して所定の速度で回転することで、巻取パッケージPW1が、糸の解舒方向に予め定められた所定の回転速度で回転する。それから、上述したように、糸端捕捉手段1が捕捉位置1Bに移動して糸端Y1を吸引捕捉する。前記糸端捕捉手段1が糸端Y1を吸引捕捉してから所定時間経過後、あるいは、センサ13が糸端Y1を検知後に、前記糸端捕捉手段1が吸引位置1Cに移動し、逆転ローラ3が増速開始23となり、予め設定された一定の解除速度21で所定時間回転駆動される。
【0069】
前記解舒速度21は、巻取パッケージPW1の径に拘らずに一定の速度とされており、吸引時間を設定することで、吸引解舒して除去する糸長さを設定することができる。
【0070】
そのために、糸の不良原因毎の糸解舒長さを、例えば、スラブやネップ等の短い太さ斑の場合は、比較的短い糸解舒長さYL1とし、徐々に糸の太さが変化している長い太さ斑の場合には、前記YL1よりも長い糸解舒長さYL2とし、弱糸発生等の比較的長く連続して生じる不良原因であれば、より長い糸解舒長さYL3と、予め3段階に定めておくことができる。
【0071】
それぞれの糸解舒長さは、予め前記中央制御装置5に設定する構成であり、それぞれの紡績ユニットのスラブキャッチャーZが検知した糸情報に基づいて、それぞれのユニット毎の糸解舒長さが定められて、糸継ぎ装置Pの駆動制御手段4を介して、所定のタイミングと所定の速度で糸継ぎ動作が行われる構成である。
【0072】
それぞれ所定の糸長さが吸引解舒された後、逆転ローラ3が回転停止24(24A、24B、24C)となり、前記糸端捕捉手段1が待機位置1Aに戻り、糸継ぎ部材により糸継ぎを行い、紡績部から送り出されてくる上糸と、不良部分が解舒された正常な糸端とが糸継ぎされて紡績を再開する。
【0073】
上記したように、本発明に係る糸継ぎ装置および糸継ぎ方法は、糸継ぎ動作時に、糸端を吸引して糸継ぎ部材まで案内する糸端捕捉手段であるサクションマウスをパッケージ表面に接近させて糸端を吸引捕捉し、糸端吸引後は、吸引を維持したまま、サクションマウスをパッケージ表面からさらに離れた位置に停止して、比較的高速で糸の不良部分を吸引解舒する構成としているので、サクションマウスの吸引空気流がパッケージ表面に作用することが少なくなり、パッケージ表面の表層乱れや毛羽立ちを発生させず、糸を傷めることもなく、比較的短時間に正常な糸を引き出して糸継ぎすることができる。
【0074】
また、糸の不良原因毎に、解舒する糸長さを予め設定可能としているので、糸の不良原因毎に予め必要な解舒長さにそれぞれ設定可能であり、余分な糸解舒を行うことがなくなって、糸原料の有効利用が図られる。
【0075】
このように、本発明に係る糸継ぎ装置および糸継ぎ方法によれば、繊維束をドラフトしながら紡績を行う紡績装置であっても、糸品質を損なうことなく、糸欠点部分を完全に除去して糸継ぎ可能とし、紡績効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明に係る糸継ぎ装置および糸継ぎ方法の糸継ぎ動作を示す概略説明図である。
【図2】糸継ぎ動作時の逆転ローラの駆動方法を示すタイムチャートである。
【図3】紡績ユニットの構成を示す斜視図である。
【図4】紡績装置の全体断面図である。
【図5】紡績装置の全体正面図である。
【符号の説明】
【0077】
1 糸端捕捉手段
1A 待機位置(糸端捕捉手段)
1B 捕捉位置(糸端捕捉手段)
1C 吸引位置(糸端捕捉手段)
2 逆転手段
3 逆転ローラ
4 駆動制御手段
5 中央制御装置
20A、20B、20C 糸端捕捉速度
21 解除速度
M 紡績装置
DR ドラフト装置
L スライバ
Y 紡績糸
Y1 糸端(糸端)
YL1、YL2、YL3 糸解舒長さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻取パッケージ側の糸端と給糸側の糸端とを自動的に糸継ぎする糸継ぎ装置であって、少なくとも、巻取パッケージ側の糸端を吸引捕捉して糸継ぎ部材位置へ案内移動するパッケージ側糸端捕捉手段を有する前記糸継ぎ装置において、
前記パッケージ側糸端捕捉手段が、巻取パッケージの糸層表面に接近して糸端を吸引捕捉する捕捉位置と、前記パッケージ側糸端捕捉手段が不良糸部分を連続吸引する吸引位置とを異なる位置としたことを特徴とする糸継ぎ装置。
【請求項2】
前記パッケージ側糸端捕捉手段が不良糸部分を連続吸引する吸引位置が、前記捕捉位置よりもさらに巻取パッケージの糸層表面から離れた位置であることを特徴とする請求項1に記載の糸継ぎ装置。
【請求項3】
繊維束を所定太さまで牽引するドラフト部と、ドラフトされた繊維束を加撚して紡績糸に生成する紡績部と、前記紡績糸の糸欠点部分を検知する不良検出部と、前記紡績糸を切断する切断部と、前記紡績糸を巻き取って巻取パッケージを巻回する巻取部とを備える紡績ユニットを多数併設して構成される紡績装置の糸継ぎ装置であって、
多数の前記紡績ユニットが併設される方向に走行自在な走行台車を備え、
糸継ぎ部材と、巻取パッケージの表面に接近して糸端を吸引捕捉して糸継ぎ部材位置まで案内する糸端捕捉手段と、巻取パッケージを糸解舒方向に回転させる逆転手段と、それらの手段をそれぞれ独立または連続して駆動する駆動制御手段とを備え、
前記不良検出部が検知した糸情報に基づいて、吸引除去する糸長さを設定し、前記逆転手段の駆動時間を制御すると共に、
前記糸端捕捉手段を、巻取パッケージの表面に接触する程に接近して糸端を吸引捕捉する捕捉位置と、前記糸端を吸引捕捉した後で前記糸端捕捉手段を巻取パッケージの表面から離れる方向に移動して巻取パッケージから少し離れた位置の糸の不良部分を連続吸引する吸引位置と、吸引した糸端を糸継ぎ部材まで案内する待機位置とに移動自在としたことを特徴とする糸継ぎ装置。
【請求項4】
前記不良検出部からの糸情報を蓄積すると共に、糸の不良原因毎の糸解舒長さを予め複数段階に設定可能とする中央制御装置を設け、該中央制御装置からの指令により、前記駆動制御手段が、前記逆転手段と前記補足案内手段との駆動を制御する構成としたことを特徴とする請求項3に記載の糸継ぎ装置。
【請求項5】
前記逆転手段による巻取パッケージの回転速度を、糸端を吸引捕捉する糸端捕捉速度と、糸の不良部分を連続吸引する吸引速度とに変更自在とし、前記糸端捕捉速度を巻取パッケージの径に応じて変更することを特徴とする請求項3または4に記載の糸継ぎ装置。
【請求項6】
前記中央制御装置に巻取パッケージ径に応じた糸端捕捉速度を予め設定しておき、各紡績ユニットもしくは前記糸継ぎ装置に、巻取パッケージの径を検知する検知手段を設け、該検知手段により検知されたパッケージ径に応じた糸端捕捉速度で前記逆転手段を駆動する構成としたことを特徴とする請求項5に記載の糸継ぎ装置。
【請求項7】
巻取パッケージ側の糸端と給糸側の糸端とを自動的に糸継ぎする際に、少なくとも、巻取パッケージ側の糸端を吸引捕捉して糸継ぎ部材位置へ案内移動するパッケージ側糸端捕捉手段を有する糸継ぎ装置の糸継ぎ方法であって、
前記パッケージ側糸端捕捉手段が、巻取パッケージの糸層表面に接近した糸端捕捉位置で糸端を吸引捕捉する糸端捕捉工程と、前記糸端捕捉位置と異なる位置の吸引位置において前記パッケージ側糸端捕捉手段が不良糸部分を連続吸引する吸引工程とを有することを特徴とする糸継ぎ方法。
【請求項8】
前記パッケージ側糸端捕捉手段が不良糸部分を連続吸引する吸引位置が、前記糸端捕捉位置よりもさらに巻取パッケージの糸層表面から離れた位置であることを特徴とする請求項7に記載の糸継ぎ方法。
【請求項9】
繊維束を所定太さまで牽引するドラフト部と、ドラフトされた繊維束を加撚して紡績糸に生成する紡績部と、前記紡績糸の糸欠点部分を検知する不良検出部と、前記紡績糸を切断する切断部と、前記紡績糸を巻き取って巻取パッケージを巻回する巻取部とを備える紡績ユニットを多数併設して構成される紡績装置の糸継ぎ方法であって、
巻取パッケージ側の糸端と前記紡績部側の糸端とを自動的に糸継ぎする際に、巻取パッケージ側の糸端を吸引捕捉して糸継ぎ部材位置へ案内移動する糸端捕捉手段を巻取パッケージの表面に接近した糸端捕捉位置で、逆転手段を介して巻取パッケージを糸解舒方向に回転させながら糸端を吸引捕捉する糸端捕捉工程と、前記糸端捕捉位置よりもさらに巻取パッケージの糸層表面から離れた位置の吸引位置において前記糸端捕捉手段が不良糸部分を連続吸引する吸引工程とを有すると共に、前記吸引工程にて、前記不良検出部が検知した糸欠点部分を全て解舒することを特徴とする糸継ぎ方法。
【請求項10】
前記逆転手段による巻取パッケージの回転速度を、前記糸端捕捉工程時の糸端捕捉速度と、前記吸引工程時の吸引速度とに変更自在とし、前記糸端捕捉速度を前記巻取パッケージの径に応じて変更すると共に、前記吸引工程の作動時間を変更自在としたことを特徴とする請求項9に記載の糸継ぎ方法。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2007−284812(P2007−284812A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−112064(P2006−112064)
【出願日】平成18年4月14日(2006.4.14)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】