説明

紅斑を治療するための改良ブリモニジン組成物

本発明は、ゲル又はクリームのような薬学的に許容可能な担体中に、約0.17質量%〜約0.19質量%の量のブリモニジンタルトラートを含む医薬組成物を対象とする。本発明は、患者の皮膚上の紅斑部に本発明の組成物を投与することによって、酒さを患う患者における紅斑を治療する方法、及び/又は、使用にも関連する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
従来技術
ブリモニジンタルトラートの水溶液(0.15%及び0.20%)は、眼科用途で知られている。これは、アルファガン(ALPHAGAN(登録商標))Pの名前で、アラガン(Allergan)から、販売されている。
ブリモニジンタルトラートは、酒さにより生じる紅斑の治療にも有用であることが分かっている。ブリモニジンタルトラートを含むクリーム及びゲルは、以下の米国特許出願に開示されている:米国シリアル番号 10/853,585(DeJovin 等);米国シリアル番号 10/626,037(Scherer);及び、米国シリアル番号 10/607,439(Gil 等)。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
発明の概要
一つの局面において、本発明は、酒さに関連する紅斑を治療するための医薬組成物に関する。医薬組成物は、ゲル又はクリームのような薬学的に許容可能な担体中に、約0.17質量%〜約0.19質量%の量のブリモニジンタルトラートを含む。該組成物中のブリモニジンタルトラートの量は、約0.175質量%〜約0.185質量%であることが好ましく、ブリモニジンタルトラートが、約0.18質量%の量で存在することが更に好ましい。
【0003】
好適な態様において、薬学的に許容可能な担体は、ゲル又はクリームである。ゲルは、1つ以上の皮膚浸透剤、保湿剤、防腐剤、ゲル化剤、及び、保護剤を含みうる。クリームは、1つ以上の乳化剤、皮膚浸透剤、保湿剤、防腐剤、及び、保護剤、及び/又は、化粧品剤を含みうる。
皮膚浸透剤は、約2質量%〜約10質量%の量で存在しうる。好適な皮膚浸透剤は、プロピレングリコールである。
保湿剤は、約2質量%〜約10質量%の量で存在することが好ましい。好適な保湿剤は、グリセリンである。
防腐剤は、約0.1質量%〜約1質量%の量で存在しうる。好適な防腐剤は、メチルパラベン、及び、フェノキシエタノールである。
ゲル化剤は、約0.5質量%〜約2質量%の量で存在することが好ましい。好適なゲル化剤は、カルボマー(Carbomer)934Pである。
保護剤は、約0.1質量%〜約1.5質量%の量で存在しうる。好適な保護剤は、二酸化チタンである。
また、組成物は、ゲルが10倍希釈された場合に、担体のpHが約5〜約7.5であるために十分な量の塩基を含むことができる。好ましくは、ゲルが10倍希釈された場合に、pHの範囲が約6.2〜約6.8である。好適な塩基は、水酸化ナトリウム、又は、水酸化カリウムである。
【0004】
好適な態様において、組成物は、水、カルボマー、プロピレングリコール、グリセリン、メチルパラベン、フェノキシエタノール、グリセリン、二酸化チタン、及び、ゲルが10倍希釈された場合に、担体のpHが、約6.2〜約6.8であるために十分な塩基を含む。
本発明は、薬学的に許容可能なクリーム又はゲル中に約0.17質量%〜約0.19質量%の量で含まれるブリモニジンタルトラートを、患者の皮膚上の紅斑の部位に局所的に投与することによって、酒さを患う患者における紅斑を治療するための方法にも関する。
第二の局面において、本発明は、酒さを患う患者における紅斑の治療の方法であって、薬学的に許容可能なクリーム又はゲル中に約0.17質量%〜約0.19質量%の量で含まれるブリモニジンタルトラートを、患者の皮膚上の紅斑の部位に局所的に投与することを含む方法に関する。好ましくは、ブリモニジンタルトラートは、約0.175質量%〜約0.185質量%の量で存在する。最も好ましくは、ブリモニジンタルトラートは、約0.18質量%の量で存在する。
担体は、ゲル、又は、クリームであることが好ましい。担体がゲルである場合、ゲルは、皮膚浸透剤を含むことが好ましい。好適な皮膚浸透剤は、プロピレングリコールである。ゲルは、保湿剤も含みうる。好適な保湿剤は、グリセリンである。ゲルは、防腐剤も含みうる。好適な防腐剤としては、メチルパラベン、及び、フェノキシエタノールが挙げられる。
【0005】
好適な態様において、ゲルは、該ゲルが10倍希釈された場合に、担体の最小pHが約5であり、最大pHが約7.5であるために十分な量の塩基を含む。他の好適な態様において、ゲルは、該担体の最小pHが約6.2であり、最大pHが約6.8であるために十分な量の塩基を含む。好適な塩基は、水酸化ナトリウム、及び、水酸化カリウムである。
ゲルは、ゲル化剤を含みうる。好適なゲル化剤は、カルボマーである。ゲルは、保護剤、化粧品剤、又は、それらの組合せを含んでもよい。好適な保護剤、及び/又は、化粧品剤は、二酸化チタンである。
好適な態様において、ゲルは、水、ゲル化剤、皮膚浸透剤、保湿剤、防腐剤、及び、化粧品剤を含む。他の好適な態様において、ゲルは、水、カルボマー、プロピレングリコール、グリセリン、メチルパラベン、フェノキシエタノール、グリセリン、二酸化チタン、及び、ゲルが10倍希釈された場合に、担体の最小pHが約6.2であり、最大pHが約6.8であるために十分な量の塩基を含む。好適な塩基は、水酸化ナトリウム、又は、水酸化カリウムである。
担体がクリームである場合に、クリームは、水、乳化剤、皮膚浸透剤、保湿剤、防腐剤、及び、化粧品剤を含むことが好ましい。好適な態様において、クリームは、水、オレイルアルコール、プロピレングリコール、グリセリン、メチルパラベン、及び、二酸化チタンを含む。
本発明の他の局面は、酒さを患う患者における紅斑の治療のための薬剤の製造における、上記いずれかの態様における組成物の使用に関する。
本発明は、酒さを患う患者における紅斑の治療における、ブリモニジンタルトラートを局所的に投与するための、上記いずれかの態様における組成物の使用にも関する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】全3回の来診に関する、ベースラインCEAの3日間分の平均変化を8時間にわたって示す。
【図2】3つの各投与レベル及び賦形剤に関する、CEA用量反応、すなわち、前投与スコアからの変化を示す。
【図3】成功率を示す。患者は、28日目に診断された。「成功」とは、患者が0か1のCEAスコアを達成した場合、又は、患者の紅斑が少なくとも2点減少している場合として定義される。Y軸、すなわち「%応答者」は、「成功」した患者の割合を8時間にわたって示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
発明の詳細な説明
本発明は、クリーム又はゲルのような薬学的に許容可能な担体におけるブリモニジンタルトラートを含む改良された医薬組成物に関する。ブリモニジンタルトラートは、酒さの症状の治療に効果がある。酒さは、一般的に患者の頬、鼻、顎、及び、額に影響を及ぼす炎症性皮膚疾患である。酒さの主な症状は、紅斑、すなわち、皮膚の異常な赤みである。本発明の薬学的に許容可能な組成物は、患者の皮膚上の紅斑の部位に局所的に塗布することができる。
限られた濃度範囲でブリモニジンタルトラートを含む組成物が、優れた臨床上の特性、例えば、薬効及び許容可能な副作用が均衡の取れた状態を示すことは、予想できない発見である。
ブリモニジンタルトラート、すなわち、5-ブロモ-6- (2-イミダゾリジニリデンアミノ) キノキサリン L-タルトラートは、選択的α−2アドレナリン作動薬である。その構造は、以下の通りである。
【0008】
【化1】


本発明の医薬組成物は、該組成物の全質量に基づいて、約0.17質量%〜約0.19質量%の量のブリモニジンタルトラートを含む。好ましくは、ブリモニジンタルトラートは、約0.175質量%〜約0.185質量%の量で投与される。最も好ましくは、ブリモニジンタルトラートは、約0.18質量%の量で投与される。
【0009】
<薬学的に許容可能な担体>
一つの態様において、薬学的に許容可能な担体は、ゲルである。ゲルは、液体により浸透された(広げられた(interpenetrate))、無機粒子、通常は、小さな無機粒子、又は、有機粒子、通常は、大きな有機粒子の懸濁液を含む半固体系である。ゲルの大部分が、小さな別々の無機粒子の網状組織を含む場合に、それは、2相のゲルとして分類される。単相ゲルは、明確な境界が、分散した高分子と液体との間に存在しないように、液体の全体にわたって均一に分散した有機高分子からなる。本発明における使用のために好適なゲルは、本分野で公知であり、2相系であっても単相系であってもよい。好適なゲルのいくつかの例は、REMINGTON:THE SCIENCE AND PRACTICE OF PHARMACY 1517-1518 (Alfonso R. Gennaro ed. 19版、1995) に開示されている。本発明における使用のための他の好適なゲルは、米国特許番号第6,387,383(2002年5月14日公開);米国特許番号第6,517,847(2003年2月11日公開);及び米国特許番号第6,468,989(2002年10月22日公開)に開示されている。
【0010】
使用されうるゲル化剤は、化粧品工業及び製薬工業で頻繁に使用される親水性及び含水アルコール性のゲル化剤のような、当業者に公知であるものを含む。好ましくは、親水性又は含水アルコール性のゲル化剤としては、"CARBOPOL(登録商標)"(B.F. Goodrich, Cleveland, Ohio)、"HYP AN(登録商標)"(Kingston Technologies, Dayton, N.J.)、"NATROSOL(登録商標)"(Aqualon, Wilmington, Del.)、"KLUCEL(登録票表)"(Aqualon, Wilmington, Del.)、又は、"STABILEZE(登録商標)"(ISP Technologies, Wayne, N.J.)が挙げられる。
"CARBOPOL(登録商標)"は、一般名カルボマーで示される多くの架橋アクリル酸ポリマーの一つである。"カルボマー"は、分散可能であるが水不溶性である様々なポリマー酸のためのUSP(米国薬局方)名称である。酸性分散物が塩基で中和されたときに、透明で安定したゲルが形成される。好適なカルボマーは、カルボマー934Pである。なぜならば、それは、生理的に不活性であり、かつ、一次刺激原でも増感剤でもないためである。他のカルボナーとしては、910、940、941、及び、1342が挙げられる。
カルボマーは、水に溶解し、そして、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミン、又は、他のアミン塩基のような腐食性物質で中和することで透明なゲル、又は、わずかに濁ったゲルを形成する。"KLUCEL(登録商標)"は、水に分散し、そして、完全に水和することで均一なゲルを形成するセルロースポリマーである。他に好適なゲル化剤としては、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースガム、MVE/MAデカジエン架橋ポリマー、PVM/MAコポリマー、又は、それらの組合せが挙げられる。
【0011】
好適な態様において、組成物中のゲル化剤の最小量は、約0.5%であり、より好ましくは、約0.75%であり、最も好ましくは約1%である。
他の好適な態様において、組成物中のゲル化剤の最大量は、約2%であり、より好ましくは、約1.75%であり、最も好ましくは約1.5%である。
薬学的な担体は、クリームであってもよい。クリームは、エマルション、すなわち、少なくとも2つの不混和相(1つの相が、他の相の中に、0.1μm〜100μmの直径の範囲の液滴で分散している)を含む分散系である。乳化剤は、概して安定性を改良するために含まれる。好適な乳化剤としては、制限されないが、グリセリルステアラート、オレイルアルコール、ペグ(Peg)-20ステアラート、セトアリール(cetaryl)アルコール、セチルアルコール、レシチン、蜜蝋、及び、ポリソルベート80が挙げられる。
水が分散相であり、油が分散媒である場合に、エマルションは、油中水エマルションと呼ばれる。水相の全体にわたって、油が液滴で分散している場合、エマルションは、水中油エマルションと呼ばれる。局所用の担体として用いることができるエマルション及びそれらの調製は、REMINGTON:THE SCIENCE AND PRACTICE OF PHARMACY 282-291 (Alfonso R. Gennaro ed. 19版、1995) に開示されている。
【0012】
薬剤的な担体のpHは、例えば、水酸化ナトリウム、又は、水酸化カリウムのような塩基で調製される。担体の最小pHは、該担体が10倍希釈された場合に、約5であり、好ましくは5.5であり、最も好ましくは6.2である。担体の最大pHは、該担体が10倍希釈された場合に、約7.5であり、好ましくは7であり、最も好ましくは6.8である。各最小pH値は、各最大pHと組合せて、様々なpH範囲を作ることができる。例えば、pHは、最小6.2で、最大7.5であってもよい。
上記のpH値は、組成物が水で10倍希釈された場合に、生じる値である。pH値を得るために組成物を10倍希釈することは必要でない。実際には、組成物は、pHの測定を可能とするいずれかの値に希釈することができる。例えば、組成物は、約5倍から約20倍に希釈することができる。
【0013】
<賦形剤>
本発明の組成物は、薬学的に許容可能な賦形剤、例えば、制限されないが、保護剤、吸着剤、防腐剤、保湿剤、及び、皮膚浸透剤を含んでもよい。薬学的に許容可能な賦形剤は、REMINGTON: THE SCIENCE AND PRACTICE OF PHARMACY 866-885(Alfonso R. Gennaro ed. 19版、1995);Ghosh, T. K;等 TRANSDERMAL AND TOPICAL DRUG DELIVERY SYSTEMS (1997) に記載されている。
好適な保護剤、及び/又は、化粧品剤、及び、吸着剤としては、制限されないが、散布剤、ステアリン酸亜鉛、コロジオン、ジメチコン、シリコーン、炭酸亜鉛、アロエベラゲル、及び、他のアロエ製品、ビタミンEオイル、アラントイン(allatoin)、ワセリン、二酸化チタン、及び、酸化亜鉛が挙げられる。好適な保護剤は、二酸化チタンである。二酸化チタンは、化粧品剤としても作用しうる。
好適な態様において、組成物中の化粧品剤の最小量は、約0.01%であり、より好ましくは約0.025%であり、最も好ましくは、約0.05%である。
他の好適な態様において、組成物中の化粧品剤の最大量は、約0.15%であり、より好ましくは約0.1%であり、最も好ましくは、約0.075%である。
【0014】
好適な防腐剤としては、制限されないが、第4級アンモニウム化合物、例えば、ベンザルコニウム クロリド、ベンゼトニウム クロリド、セトリミド、デカリニウム クロリド、及び、セチルピリジニウム クロリド;水銀剤、例えば、硝酸フェニル水銀、酢酸フェニル水銀、及び、チメロサール;アルコール剤、例えば、クロロブタノール、フェニルエチルアルコール、及び、ベンジルアルコール;パラベン、例えば、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、及び、ブチルパラベン;抗菌エステル、例えば、パラヒドロキシ安息香酸のエステル;及び、他の抗-微生物剤、例えば、クロルヘキシジン、クロロクレゾール、安息香酸、ポリミキシン、及び、フェノキシエタノールが挙げられる。好適な防腐剤は、メチルパラベン、及び、フェノキシエタノールである。
好適な態様において、組成物中の防腐剤の最小量は、約0.1%であり、より好ましくは、約0.2%であり、最も好ましくは、約0.3%である。
他の好適な態様において、組成物中の防腐剤の最大量は、約1%であり、より好ましくは、約0.75%であり、最も好ましくは、約0.5%である。
好適な保湿剤としては、限定されないが、グリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコール、尿素、及び、プロピレングリコールが挙げられる。好適な保湿剤は、グリセリンである。
好適な態様において、組成物中の保湿剤の最小量は、約2%であり、より好ましくは、約3.5%であり、最も好ましくは約4.5%である。
他の好適な態様において、組成物中の保湿剤の最大量は、約10%であり、より好ましくは約8%であり、最も好ましくは約6%である。
【0015】
好適な皮膚浸透剤としては、制限されないが、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、オクチルフェニルポリエチレングリコール、オレイン酸、ポリエチレングリコール400、プロピレングリコール、N-デシルメチルスルホキシド、脂肪酸エステル(例えば、イソプロピル ミリスタート、メチル ラウラート、グリセリン モノオレアート、及び、プロピレングリコール モノオレアート);及び、N-メチルピロリドンが挙げられる。好適な皮膚浸透剤は、プロピレングリコールである。
好適な態様において、組成物中の皮膚浸透剤の最小量は、約2%であり、より好ましくは約3.5%であり、最も好ましくは、約4.5%である。
他の好適な態様において、組成物中の皮膚浸透剤の最大量は、約10%であり、より好ましくは約8%であり、最も好ましくは、約6%である。
【0016】
<局所性投与>
好適な態様において、医薬組成物を、皮膚の患部に局所的に供することができる。酒さの症状、更に具体的には、紅斑を治療するために、本発明の医薬組成物は、本分野でよく知られた従来の方法で、患部に局所的に直接塗布される。例えば、該組成物は、綿棒又は塗布用スティックによって、又は、簡単に本発明の調合物を指で患部に広げることによって塗布される。概して、皮膚の患部に塗布される本発明の局所的な調合物の量は、約0.0001g/cm2(皮膚面積)〜約0.01g/cm2(皮膚面積)の範囲であり、好ましくは、0.001g/cm2(皮膚面積)〜0.003g/cm2(皮膚面積)の範囲である。典型的に、治療の期間中、1日当たり1〜4回の塗布が、推奨される。
【実施例】
【0017】
<実施例1>
ブリモニジン(5−ブロモキノキサリン−6−イル)−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)アミンの合成
6−アミノ−5−ブロモキノキサリン ヒドロブロミド(10g)を含む希釈水(150ml)の攪拌溶液に、チオホスゲン(3ml)を添加した。該溶液を2時間、室温で、攪拌し、得られた沈殿物を、ろ過して回収し、水で洗浄し、乾燥させて、5−ブロモ−6−イソチオシアナト−キノキサリンを得た。
5−ブロモ−6−イソチオシアナト-キノキサリン(3.5g)を、ベンゼン(400ml)の中に直接溶解し、エチレンジアミン(15g)を含むベンゼン(50ml)の良く攪拌された溶液に滴下した。約2時間で、油が下層として分離した。上のベンゼン層を捨てて、油をジエチルエーテルで洗浄し、次いで、メタノール(500ml)中に溶解した。硫化水素の発生が止むまで、メタノール溶液を還流した。メタノール溶液を真空で、容積がおおよそ100mlになるまで濃縮し、黄色の固体が沈殿した。沈殿物をろ過して回収し、メタノールから再結晶させて、(5−ブロモ−キノキサリン−6−イル)−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−アミン(融点:250〜251℃)を得た。
【0018】
<実施例2>
ブリモニジン タルトラート 5−ブロモ−6−(2−イミダゾリジニリデンアミノ) キノキサリン L−タルトラートの合成
(L)−(+)−酒石酸を、水メタノール中のブリモニジンの溶液に添加することで、ブリモニジンの酒石酸塩を合成することができる。ブリモニジンタルトラートは、溶液から分離される。
<実施例3>
ゲル調合物
【0019】
【表1】

<実施例4>
クリーム調合物I
【0020】
【表2】

<実施例5>
クリーム調合物II
【0021】
【表3】

【0022】
<実施例6>
ブリモニジンタルトラートゲルの臨床研究
二重盲検法、プラセボ対照試験を、中度から重度の紅斑を患う、6センターの110人の患者に対して行った。患者は、実施例3における調合物と同様のゲルを投与された。該ゲルは、「低」用量のブリモニジンタルトラート(0.02質量%)、「中」用量のブリモニジンタルトラート(0.07質量%)、「高」用量のブリモニジンタルトラート(0.20質量%)のいずれかを含むゲルか、又は、ブリモニジンタルトラートなし(「賦形剤」又はプラセボ群))のゲルとした。(これらの濃度は、請求の範囲におけるものより大きいか、小さい。)治療は、28日間続け、その間、患者は毎日ゲルを塗布した。第1、14、28日目に、該研究センターの臨床スタッフの指揮の下で、患者は、ゲルを塗布し、8時間にわたって、規定の間隔で診断された。
診断により、臨床医の紅斑アセスメントスコア(Clinician's Erythema Assessment Score (CEA))を求めた。各患者の紅斑は、0〜4のスケール(0が紅斑なしを示し、4が極度の紅斑を示す)で評価した。この研究で選ばれた各患者の最初のスコアは、3又は4であった。
平均CEAにおける統計的に有意な低下は、高い用量群(p<0.001)における全ての来診を通して確認された。また、副作用プロフィールが確立された。結果を、図1〜3に示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲル及びクリームからなる群から選択される薬学的に許容可能な担体中に、約0.17質量%〜約0.19質量%の量のブリモニジンタルトラートを含む、医薬組成物。
【請求項2】
ブリモニジンタルトラートが、約0.175質量%〜約0.185質量%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ブリモニジンタルトラートが、約0.18質量%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
担体が、ゲルである、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
担体が、クリームである、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
皮膚浸透剤を含む、請求項4又は5に記載の組成物。
【請求項7】
皮膚浸透剤が、プロピレングリコールである、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
保湿剤を含む、請求項4又は5に記載の組成物。
【請求項9】
保湿剤が、グリセリンである、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
防腐剤を含む、請求項4又は5に記載の組成物。
【請求項11】
防腐剤が、メチルパラベンである、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
防腐剤が、フェノキシエタノールである、請求項10に記載の組成物。
【請求項13】
ゲルが10倍希釈された場合に、
担体の最小pHが約5であり、最大pHが約7.5であるために十分な量の塩基を、
前記ゲルが含む、請求項4に記載の組成物。
【請求項14】
ゲルが10倍希釈された場合に、
pHの最小値が約6.2であり、及び、最大値が約6.8である、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
塩基が、水酸化ナトリウム、又は、水酸化カリウムである、請求項13に記載の組成物。
【請求項16】
ゲルが、ゲル化剤を含む、請求項4に記載の組成物。
【請求項17】
ゲル化剤が、カルボマーである、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
保護剤、化粧品剤、又は、それらの組合せを含む、請求項4又は5に記載の組成物。
【請求項19】
保護剤、及び/又は、化粧品剤は、二酸化チタンである、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
ゲルが、水、ゲル化剤、皮膚浸透剤、保湿剤、防腐剤、及び、化粧品剤を含む、請求項4に記載の組成物。
【請求項21】
水、カルボマー、プロピレングリコール、グリセリン、メチルパラベン、フェノキシエタノール、二酸化チタン、及び、ゲルが10倍希釈された場合に、担体の最小pHが約6.2であり、最大pHが約6.8であるために十分な量の塩基を、
前記ゲルが含む、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
塩基が、水酸化ナトリウム、又は、水酸化カリウムである、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
クリームが、水、乳化剤、皮膚浸透剤、保湿剤、防腐剤、及び、化粧品剤を含む、請求項5に記載の組成物。
【請求項24】
クリームが、水、オレイルアルコール、プロピレングリコール、グリセリン、メチルパラベン、及び、二酸化チタンを含む、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
酒さを患う患者における紅斑を治療するための方法であって、
薬学的に許容可能なクリーム又はゲル中に約0.17質量%〜約0.19質量%の量で含まれるブリモニジンタルトラートを、患者の皮膚上の紅斑の部位に局所的に投与することを含む、方法。
【請求項26】
酒さを患う患者における紅斑の治療のための薬剤の製造における、請求項1〜24のいずれかに記載の組成物の使用。
【請求項27】
酒さを患う患者における紅斑の治療において、ブリモニジンタルトラートを局所的に投与するための、請求項1〜24のいずれかに記載の組成物の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−537988(P2010−537988A)
【公表日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−522973(P2010−522973)
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【国際出願番号】PCT/US2008/010290
【国際公開番号】WO2009/032223
【国際公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(510052573)ガルデマ ラボラトリーズ インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】