説明

紙加工用樹脂エマルジョンの製造方法

【課題】 原紙に含浸法、コーティング法、スプレー法等の加工方法により付着後に乾燥させ用いる樹脂エマルジョンあり、加工時のサイズプレス性や、加工紙に強度と耐熱黄変性等の優れた特性を付与できる新規な紙加工用樹脂エマルジョンの製造方法を提供する。
【解決手段】 乳化剤(A)の存在下で、メチルアクリレート及び/又はエチルアクリレート(B)と、スルホン酸基及び/又はスルホン酸塩基を有するエチレン性不飽和単量体(C)を必須成分として含有するエチレン性不飽和単量体類を乳化重合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原紙に、例えば、含浸法、コーティング法、スプレー法などの公知の加工方法により付着させ乾燥させて用いる紙加工用樹脂エマルジョンであって、加工時のサイズプレス性や、加工後の紙に強度と耐熱黄変性などの優れた特性を付与する新規な紙加工用樹脂エマルジョンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、コピー用紙、フォーム用紙、レポート用紙、メモ用紙、計測記録紙、伝票などの多様な用途に用いられる加工紙は、原紙に樹脂エマルジョンを付着後、乾燥させたものが用いられている。
【0003】
原紙に樹脂エマルジョンを含浸法、コーティング法、スプレー法などの加工方法で付着させる場合、樹脂エマルジョンの加工時のサイズプレス性が劣っていると、加工紙に多量の付着物が生じ、生産効率の低下や加工紙の品質不良などの原因となるため、優れたサイズプレス性を有する紙加工用樹脂エマルジョンの開発が切望されていた。
【0004】
このような要求に応えるために、繰り返し単位としてアクリロニトリル反応残基を1〜10重量%、分子量が少なくとも100である非イオン性親水基を側鎖として有するモノエチレン性不飽和モノマーの反応残基を0.1〜8重量%含有し、メタアクリル酸メチル反応残基またはエチレン性不飽和アミド反応残基のいずれかの量が5重量%以下であるポリマーを含む紙用組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
しかしながら、特許文献1で得られる乳化重合体は、これを含浸させ加工紙を製造する際のサイズプレス性などの機械的安定性が未だ不十分であり、アクリロニトリルを用いているため加工紙の耐熱黄変性に劣り、また、強度などの特性も満足できるまでには到っていなかった。
【0006】
【特許文献1】特開平9−324393号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、原紙に、例えば、含浸法、コーティング法、スプレー法などの公知の加工方法により付着させ乾燥させて用いる紙加工用樹脂エマルジョンであり、加工時のサイズプレス性や、加工後の紙の強度及び耐熱黄変性などの優れた特性を付与する新規な紙加工用樹脂エマルジョンの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、乳化剤の存在下で、メチルアクリレート及び/又はエチルアクリレートと、スルホン酸基及び/又はスルホン酸塩基を有するエチレン性不飽和単量体を必須成分として含有するエチレン性不飽和単量体類を乳化重合する紙加工用エマルジョンの製造方法により、加工時のサイズプレス性や、加工後の紙に強度及び耐熱黄変性などの優れた特性を付与する新規な紙加工用樹脂エマルジョンが得られることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0009】
即ち、本発明は、乳化剤(A)の存在下で、メチルアクリレート及び/又はエチルアクリレート(B)とスルホン酸基及び/又はスルホン酸塩基を有するエチレン性不飽和単量体(C)を必須成分として含有するエチレン性不飽和単量体類を乳化重合することを特徴とする紙加工用エマルジョンの製造方法、を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の紙加工用樹脂エマルジョンの製造方法によれば、得られる樹脂エマルジョンは保水性に優れ、例えば、含浸法、コーティング法、スプレー法などの従来の加工方法で原紙に付着させる場合でも、生産効率の低下や製品の品質不良などの原因となるフロック(凝集物)の発生がなく、安定した紙の加工が可能であり、その結果、加工時のサイズプレス性や、得られる加工紙の強度及び耐熱黄変性などの特性の改良に極めて有効である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明を実施するにあたり、必要な事項を以下に述べる。
【0012】
本発明の紙加工用樹脂エマルジョンの製造方法は、乳化剤(A)の存在下で、メチルアクリレート及び/又はエチルアクリレート(B)とスルホン酸基及び/又はスルホン酸塩基を有するエチレン性不飽和単量体(C)を必須成分として含有するエチレン性不飽和単量体類を乳化重合することを特徴とする。
【0013】
前記乳化剤(A)としては、アニオン乳化剤、カチオン乳化剤、両性乳化剤、非イオン乳化剤などが挙げられる。
【0014】
前記アニオン乳化剤としては、例えば、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩など;前記カチオン乳化剤としては、例えば、アルキルアミン塩、第4級アンモニウム塩など;前記両性乳化剤としては、例えば、アルキルベタイン、アルキルアミンオキサイドなど;前記非イオン乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルなどが挙げられ、これら乳化剤は本発明の目的を阻害しない範囲であれば併用してもよい。
【0015】
前記乳化剤(A)の中でも、非イオン乳化剤が好ましく、その中でも特に、ポリオキシエチレンアルキルエーテルが、適度な保水性が得られ、且つ浸透性、泡切れ性、動的表面張力低下能、洗浄力、及び乳化力などに優れることから好ましい。
【0016】
前記ポリオキシエチレンアルキルエーテル中のオキシエチレン単位は、好ましくは一分子中に平均50個以上であり、より好ましくは平均50〜150個の範囲であり、更に好ましくは平均80〜110個の範囲である。前記ポリオキシエチレンアルキルエーテル中のオキシエチレン単位がかかる領域にあるならば、樹脂エマルジョン中の親水成分が適度な量となり、優れた保水性の発現が可能となり、且つ、紙の加工時に凝集物が発生せず生産中のトラブルもなく、生産効率が低下せず、加工紙の品質不良などの弊害を招くおそれもない。
【0017】
尚、前記ポリオキシエチレンアルキルエーテルとは、一分子中にオキシエチレン単位〔-(CHCHO)-〕を有し、且つ、分子末端にアルキルエーテル基を有する乳化剤のことを総称する。
【0018】
また、前記ポリオキシエチレンアルキルエーテルが有する、分子末端のアルキルエーテル基の炭素原子数は、好ましくは8〜18の範囲、より好ましくは10〜13の範囲であり、直鎖構造でも分岐構造でも環状構造でもよく、特に限定せず、例えば、オクチル基、デシル基、イソデシル基、ラウリル基、トリデシル基、ミリスチル基、オレイル基、ステアリル基等が挙げられ、これらの中でも、重合時の安定性の点からデシル基が好ましい。
【0019】
更に、前記ポリオキシエチレンアルキルエーテルは、一分子中にポリオキシエチレン単位と共に、例えばポリオキシプロピレン単位などを代表とするその他のポリオキシアルキレン単位を、非イオン性の親水基として、本発明の目的を阻害しない範囲で共存させてもよい。
【0020】
前記乳化剤(A)であるポリオキシエチレンアルキルエーテルの使用量は、樹脂エマルジョンの製造に用いるコポリマーの原料であるエチレン性不飽和単量体類の合計100重量部に対して、3〜10重量部の範囲であり、好ましくは5〜8重量部の範囲である。前記ポリオキシエチレンアルキルエーテルの使用量がかかる範囲であれば、サイズプレス性に優れ、樹脂の粘度が適度となり、製造工程でトラブルを生じるおそれがなく、例えば、含浸法、コーティング法、スプレー法などの公知の加工方法での加工適性に優れる。
【0021】
本発明では、前記乳化剤(A)の存在下、メチルアクリレート及び/又はエチルアクリレート(B)と、スルホン酸基及び/又はスルホン酸塩基を有するエチレン性不飽和単量体(C)を必須成分として含有するエチレン性不飽和単量体類を用いて乳化重合するが、前記単量体(B)としては、共重合性に優れ、且つ未反応モノマーの臭気が少なく環境衛生上悪影響がより少ないことから、エチルアクリレートの方が好ましい。
【0022】
次に、スルホン酸基及び/又はスルホン酸塩基を有するエチレン性不飽和単量体(C)について以下に述べる。
【0023】
前記スルホン酸基及び/又はスルホン酸塩基を有するエチレン性不飽和単量体(C)を必須に用いることにより、加工後の紙の保水性が向上し、従来にない優れたサイズプレス性を得ることができる。
【0024】
前記単量体(C)とは、例えば、アクリルアミド−t−ブチルスルホン酸、ビニルスルホン酸、イソプレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、等のスルホン酸基を有するエチレン性不飽和単量体;前記スルホン酸塩基(即ちNa、Kなどのアルカリ金属塩基)を有するエチレン性不飽和単量体、等が挙げられ、これらの中でもアクリルアミド−t−ブチルスルホン酸が重合性及び加工後の紙の保水性に優れる点から好ましい。これら単量体は単独使用でもよく2種以上併用してもよい。
【0025】
前記エチレン性不飽和単量体類中のメチルアクリレート及び/又はエチルアクリレート(B)、及び、スルホン酸基及び/又はスルホン酸塩基を有するエチレン性不飽和単量体(C)の含有率は、単量体(B)が30〜99.5重量%、単量体(C)が0.1〜5重量%であり、好ましくは単量体(B)が40〜95重量%、単量体(C)が0.5〜3重量%の範囲である。前記紙加工用樹脂エマルジョンに用いるコポリマーにおいて、メチルアクリレート及び/又はエチルアクリレート(B)、及び、スルホン酸基及び/又はスルホン酸塩基を有するエチレン性不飽和単量体(C)の含有率がかかる範囲であれば、適度な保水性と優れたサイズプレス性を得ることができる。
【0026】
前記メチルアクリレート及び/又はエチルアクリレート(B)とスルホン酸基及び/又はスルホン酸塩基を有するエチレン性不飽和単量体(C)には、後述するその他のエチレン性不飽和単量体類を、本発明の目的を逸脱しない範囲で併用してもよい。
【0027】
更に、本発明では、エチレン性不飽和単量体類として、前記メチルアクリレート及び/又はエチルアクリレート(B)と、前記スルホン酸基及び/又はスルホン酸塩基を有するエチレン性不飽和単量体(C)と共に、炭素原子数8〜15のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(D)を用いることが好ましい。
【0028】
前記単量体(B)と単量体(C)と単量体(D)の3種を併用することにより、得られる樹脂に疎水基の会合結合が形成され、保水性が一層向上し、より優れたサイズプレス性を得ることができる。
【0029】
前記炭素原子数8〜15のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(D)としては、例えば、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、市販品ではアクリエステルSL(三菱レイヨン株式会社製、炭素原子数12と13のアルキル基を有するアルキルメタクリレートの混合物)、などが挙げられ、これらは単独使用でもよく2種以上を併用してもよい。これらの中でも、共重合性及び重合時の安定性が共に良好であることから、炭素原子数12〜13のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0030】
前記メチルアクリレート及び/又はエチルアクリレート(B)と、前記スルホン酸基及び/又はスルホン酸塩基を有するエチレン性不飽和単量体(C)、及び前記炭素原子数8〜15のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(D)には、前述と同様に、後述するその他のエチレン性不飽和単量体類を本発明の目的を逸脱しない範囲で併用してもよい。
【0031】
前記エチレン性不飽和単量体類中の単量体(B)、単量体(C)、及び単量体(D)の含有率は、単量体(B)が30〜90重量%、単量体(C)が0.1〜5重量%、単量体(D)が1〜10重量%の範囲であり、好ましくは単量体(B)が50〜70重量%、単量体(C)が0.5〜3重量%、単量体(D)が5〜8重量%の範囲であるが、これにはその他のエチレン性不飽和単量体類を併用することもでき、その場合のその他のエチレン性不飽和単量体類の含有率は、0〜69重量%の範囲であり、好ましくは25〜42重量%の範囲である。
【0032】
特に、前記紙加工用樹脂エマルジョンに用いるコポリマーには、エチレン性不飽和単量体類として、単量体(B)と単量体(C)と単量体(D)と共に、ブチル(メタ)アクリレート(E)を併用することにより、共重合性及び重合時の安定性がより向上すると共に、特にコポリマーのガラス転移温度の調整に効果的に働き、より広範囲の用途への適用が可能になる。
【0033】
前記エチレン性不飽和単量体類中の単量体(B)、単量体(C)、単量体(D)及び単量体(E)の含有率は、単量体(B)が30〜90重量%、単量体(C)が0.1〜5重量%、単量体(D)が1〜10重量%、及び単量体(E)が9〜60重量%の範囲であり、好ましくは単量体(B)が50〜70重量%、単量体(C)が0.5〜3重量%、単量体(D)が5〜8重量%、及び単量体(E)が25〜42重量%の範囲である。
【0034】
この場合も、前記メチルアクリレート及び/又はエチルアクリレート(B)、前記スルホン酸基及び/又はスルホン酸塩基を有するエチレン性不飽和単量体(C)、前記炭素原子数8〜15のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(D)、及びブチル(メタ)アクリレート(E)には、その他のエチレン性不飽和単量体類を本発明の目的を逸脱しない範囲で併用してもよい。
【0035】
前記紙加工用樹脂エマルジョンに用いるコポリマーにおいて、メチルアクリレート及び/又はエチルアクリレート(B)の含有率が、30〜90重量%の範囲であれば、適度な親水性が得られ保水性の確保が容易になると共に、優れたサイズプレス性を得ることができ、且つ、コポリマーのガラス転移温度(Tg)の調整が容易になり広範囲の紙への適用が可能になる。
【0036】
前記紙加工用樹脂エマルジョンに用いるコポリマーにおいて、前記スルホン酸基及び/又はスルホン酸塩基を有するエチレン性不飽和単量体(C)の含有率が、0.1〜5重量%の範囲であれば、保水性の発現が容易になり、サイズプレス性が向上し、且つ、反応系のpHが適正な領域になり、共重合時の反応性及び重合時の安定性に優れ、目的とするコポリマーを容易に得ることができる。
【0037】
前記紙加工用樹脂エマルジョンに用いるコポリマーにおいて、炭素原子数8〜15のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(D)の含有率が、1〜10重量%の範囲であれば、疎水基の量が適度となり疎水基の会合結合よる良好な保水性が得られ、且つ、共重合時の反応性及び重合時の安定性に優れ、目的とするコポリマーを容易に得ることができる。
【0038】
また、前記紙加工用樹脂エマルジョンに用いるコポリマーにおいて、前記アルキル(メタ)アクリレート(D)のアルキル基の炭素原子数が8〜15の範囲であれば、共重合時の反応性が適度となり、且つ重合時の安定性にも優れる。
【0039】
前記紙加工用樹脂エマルジョンに用いるコポリマーにおいて、前記エチレン性不飽和単量体類中のブチル(メタ)アクリレート(E)の含有率は、9〜60重量%の範囲、好ましくは25〜42重量%の範囲である。ブチル(メタ)アクリレート(E)の含有率がかかる範囲であれば、ガラス転移温度(Tg)の調整が容易になり、且つ適度な量の親水成分を有するので、より一層保水性の維持が可能となり、優れたサイズプレス性を得ることができる。
【0040】
また、前述の単量体(B)、単量体(C)、単量体(D)及び単量体(E)と、併用可能なその他のエチレン性不飽和単量体類とは、例えば、フェニル(メタ)アクリレート、クロロフェニル(メタ)アクリレート、アミノフェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、スチレン等の置換基を持つか持たない芳香環を有するビニル化合物;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル;2,2,3,3−ペンタフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、β−(パーフルオロオクチル)エチル(メタ)アクリレート等のフッ素含有エチレン性不飽和単量体;グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有重合性単量体;アミノエチル(メタ)アクリレート、N−モノアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、N,N’−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有重合性単量体;アクリロニトリル等が挙げられ、これらは単独使用でもよく2種以上を用いてもよい。
【0041】
但し、その他のエチレン性不飽和単量体類として、アクリロニトリルを用いる場合は、得られる加工紙の耐熱黄変性が若干低下傾向となる場合があるので、その使用量は最小限に留める方が好ましい。
【0042】
前記紙加工用樹脂エマルジョンに用いるコポリマーの原料としては、付加重合可能なエチレン性不飽和結合を有する任意の化合物を使用することができ、例えば、各種の(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸、イタコン酸等の酸モノマー;エチレングリコール(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジアリルフタレート等の多官能性不飽和モノマー、などが挙げられ、これらは単独使用でもよく2種以上を併用してもよい。
【0043】
前記紙加工用樹脂エマルジョンに用いるコポリマーは、公知の方法により合成することができ、重合方法については特に限定しないが、中でもエマルジョン重合が好ましい。
【0044】
前記紙加工用樹脂エマルジョンに用いるコポリマーは、−20〜20℃の範囲の計算ガラス転移温度(以下、「計算Tg」という。)を有することが好ましい。
【0045】
前記紙加工用樹脂エマルジョンに用いるコポリマーの計算Tgが、−20〜20℃という比較的低い温度領域、且つ、広範囲であれば、加工紙に適度な柔軟性と、加工紙の巻き取り時における優れたブロッキング防止性を共に付与でき、例えば、PPC用紙(Paper Photo Copy)等の加工紙に極めて有用である。
【0046】
前記紙加工用樹脂エマルジョンに用いるコポリマーの計算ガラス転移温度(計算Tg)は、下記計算式〔1〕で算出できる。
【0047】
計算式〔1〕
1/計算Tg = W/Tg(1) + W/Tg(2) ・・・・・・ W/Tg(n)
【0048】
尚、計算式〔1〕において、W、W・・・・・・Wはコポリマーを構成する成分1、成分2・・・・・・成分nである各ホモポリマーの重量分率を意味し、またTg(1)、Tg(2)・・・・・・Tg(n)は成分1、成分2・・・・・・成分nのホモポリマーのガラス転移温度(文献値、単位は絶対温度)を表す。
【0049】
本発明で採用した代表的なホモポリマーのガラス転移温度の文献値を表1に示す。
参考文献;J.Brandup, E.H.Immergut,E.A.Grulke : Polymer Handbook:JOHNWILEY & SONS,INC
【0050】
【表1】

【0051】
本発明の製造方法で得られる紙加工用樹脂エマルジョンを用いた紙の加工方法は、樹脂エマルジョンに含有される樹脂が紙に付着し得る加工方法であれば、特に限定せず、例えば、含浸機あるいは抄紙機などによる含浸法、コーティング法、スプレー法、サイズプレス法など各種の加工方法が挙げられる。
【0052】
本発明の製造方法で得られる紙加工用樹脂エマルジョンを適用する原紙としては、特に限定せず、例えば、木材のパルプ紙、木材パルプを主体とした紙、レーヨンなどの再生繊維紙、アセテートなどの半合成紙、ポリビニルアルコールタイプ、ポリアミドタイプ、ポリアクリロニトリルタイプ、ポリエステルタイプなどの合成紙、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの合成パルプを含有するものなどが挙げられる。
【0053】
上記の原紙は、例えばサイズ剤、顔料、乾燥増強剤、湿潤強力剤等の各種処理剤にて、前処理しておいてもよく、特に限定はしない。
【実施例】
【0054】
以下、本発明を実施例及び比較例により、一層具体的に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例のみに限定されるものではない。
また、特に断らない限り、「%」は重量%を、「部」は重量部を夫々表すものとする。
尚、本発明で用いた測定方法及び評価方法は以下に記載の通りである。
【0055】
〔樹脂エマルジョンの粘度の測定方法〕
粘度測定管に、樹脂エマルジョンの試料を測定可能な高さまで入れ、25℃設定の恒温水槽にて試料の液温を25℃に調整し、BM型粘度計(東京計器株式会社製)又はビスメトロン粘度計(芝浦システム株式会社製)にて粘度(単位;mPa・s)を測定した。
【0056】
〔樹脂エマルジョン中の分散粒子の平均粒子径の測定方法〕
樹脂エマルジョン中の分散粒子の平均粒子径(体積基準での50%メジアン径)の値(単位;nm)は、粒度分布測定装置(日機装株式会社製、マイクロトラックUPA型)にて測定した。
【0057】
〔試験濾紙の強度の評価方法〕
試験濾紙の強度及び耐熱黄変性は、以下の方法に従い、濾紙に配合液を付着させ、試験濾紙を作成し、評価を行った。
(1)試験片の作成
樹脂エマルジョンを水にて固形分20%に希釈調整し、マングル含浸付着方法で濾紙に付着加工し、下記条件にて乾燥後、得られた試験濾紙を用いて試験片(2.5cm×10cm)を作成し、試験片の濾紙強度を以下のドライ条件及びウェット条件にて測定した。
乾燥条件;熱風乾燥機中100℃にて5分間乾燥後、次いで120℃にて1分間乾燥。
(2)濾紙強度の測定
ドライ条件での強度 ;試験片を乾燥直後に、引張り試験機にて速度300mm/分で測定し、単位(kg/2.5cm)で表記した。
ウェット条件での強度;試験片を常温水に30分浸漬後、引張り試験機にて速度300mm/分で測定し、単位(kg/2.5cm)で表記した。
【0058】
〔試験濾紙の耐熱黄変性の評価方法〕
前記した試験濾紙を用いて同様に試験片を作成し、熱風乾燥機中200℃にて10分間乾燥後の状態を目視観察し、下記の評価基準に従い評価した。
○→変化なし
△→微黄色に変色
×→クリーム色に変色
【0059】
〔サイズプレス性の評価方法〕
樹脂エマルジョンを水にて固形分20%になるように希釈調整し、サイズプレス試験機(熊谷理機工業株式会社製)のローラーを連続稼動させ、希釈液を40℃に加温し、一定流量で循環させ、ローラーに付着物(スカム)が出るまでの時間を目視及び指触により判定した。ローラーに付着物(スカム)が出るまでの時間(hr)を表1に示した。
【0060】
〔乳化剤であるポリオキシエチレンアルキルエーテルの種類〕
乳化剤の品名 注1) 組成 注2) HLB 注3) EO付加モル数 注4)
ノイゲンXL−50 POEDE 11.6 5
ノイゲンXL−160 POEDE 16.3 16
ノイゲンXL−1000 POEDE 20.0 100
【0061】
注1)乳化剤のノイゲンXL−50、同160、同1000は何れも第一工業製薬株式会社製を使用した。
注2)POEDE;ポリオキシエチレンデシルエーテル
注3)HLB;親水性親油性比
注4)EO ;エチレンオキシド
【0062】
〔実施例1〕
(1)乳化液の調製
容器に、乳化剤(A)としてポリオキシエチレンアルキルエーテルであるノイゲンXL−1000〔EO付加モル数=100、第一工業製薬株式会社製〕25部とノイゲンXL−160〔EO付加モル数=16、第一工業製薬株式会社製〕5部、及び脱イオン水225部を入れ、均一に溶解した後、エチルアクリレート(B)430部、その他のエチレン性不飽和単量体類としてメチルメタクリレート55部、酸モノマーとしてアクリル酸5部、イタコン酸5部、及びアクリルアミド−t−ブチルスルホン酸(C)5部を加えて乳化を行い、乳化液を得た。
【0063】
(2)樹脂エマルジョン(EM−1)の製造
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、及び滴下漏斗を備えた反応容器に、ノイゲンXL−50〔EO付加モル数=5、第一工業製薬株式会社製〕1.5部と、脱イオン水430部を入れ、窒素を吹き込みながら60℃まで昇温した。攪拌下、過硫酸ナトリウム水溶液4部(有効成分2.5%)とメタ重亜硫酸ソーダ水溶液4部(有効成分2.5%)を添加し、0.15%硫酸第一鉄水溶液3.2部を添加し、次いで前記(1)で調整した乳化液を15.6部仕込み、60℃に保ちながら30分間重合させた。引き続き、残りの乳化液の全部と、過硫酸ナトリウム水溶液36部(有効成分2.5%)、及びメタ重亜硫酸ソーダ水溶液36部を、別々の滴下漏斗から反応温度を60℃に保ちながら4時間かけて滴下して重合を行った。
滴下終了後、60℃にて2時間攪拌した後、内容物を冷却し、pHが7.0になるように水酸化ナトリウム水溶液(有効成分10%)で調整した。これを200メッシュ金網で濾過し、本発明の紙加工用の樹脂エマルジョン(EM−1)を得た。ここで得られた樹脂エマルジョン(EM−1)は、固形分濃度45%、粘度100mPa・s、分散粒子の平均粒子径は280nmであり、計算Tg=−8℃であった。
【0064】
〔実施例2〕
1)乳化液の調製
容器に、乳化剤(A)としてポリオキシエチレンアルキルエーテルであるノイゲンXL−1000〔EO付加モル数=100、第一工業製薬株式会社製〕50部とノイゲンXL−160〔EO付加モル数=16、第一工業製薬株式会社製〕10部、及び脱イオン水225部を入れ、均一に溶解した後、エチルアクリレート(B)400部、その他のエチレン性不飽和単量体類としてメチルメタクリレート60部、酸モノマーとしてアクリル酸10部、及び炭素原子数8〜15のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(D)としてアクリエステルSL(三菱レイヨン株式会社製、炭素原子数12と13のアルキル基を有するアルキルメタクリレートの混合物)25部、スルホン酸基及び/又はスルホン酸塩基を有するエチレン性不飽和単量体(C)としてアクリルアミド−t−ブチルスルホン酸を5部加えて乳化を行い、乳化液を得た。
【0065】
(2)樹脂エマルジョン(EM−2)の製造
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、及び滴下漏斗を備えた反応容器に、ノイゲンXL−50〔EO付加モル数=5、第一工業製薬株式会社製〕を1.5部と、脱イオン水385部を入れ、窒素を吹き込みながら60℃まで昇温した。攪拌下、過硫酸ナトリウム水溶液4部(有効成分2.5%)とメタ重亜硫酸ソーダ水溶液4部(有効成分2.5%)を添加し、0.15%硫酸第一鉄水溶液3.2部を添加し、次いで前記(1)で調整した乳化液を15.6部仕込み、60℃に保ちながら30分間重合させた。引き続き、残りの乳化液の全部と、過硫酸ナトリウム水溶液36部(有効成分2.5%)、及びメタ重亜硫酸ソーダ水溶液36部を、別々の滴下漏斗から反応温度を60℃に保ちながら4時間かけて滴下して重合を行った。
滴下終了後、60℃にて2時間攪拌した後、内容物を冷却し、pHが7.0になるように水酸化ナトリウム水溶液(有効成分10%)で調整した。これを200メッシュ金網で濾過し、本発明の紙加工用の樹脂エマルジョン(EM−2)を得た。ここで得られた樹脂エマルジョン(EM−2)は、固形分濃度45%、粘度200mPa・s、分散粒子の平均粒子径は280nmであり、計算Tg=−10℃であった。
【0066】
〔実施例3〕
(1)乳化液の調製
容器に、乳化剤(A)としてポリオキシエチレンアルキルエーテルであるノイゲンXL−1000〔EO付加モル数=100、第一工業製薬株式会社製〕25部とノイゲンXL−160〔EO付加モル数=16、第一工業製薬株式会社製〕5部、及び脱イオン水225部を入れ、均一に溶解した後、エチルアクリレート(B)275部、ブチルアクリレート(E)135部、その他のエチレン性不飽和単量体類としてメチルメタクリレート50部、酸モノマーとしてアクリル酸10部、及び炭素原子数8〜15のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(D)としてアクリエステルSL(三菱レイヨン株式会社製、炭素原子数12と13のアルキル基を有するアルキルメタクリレートの混合物)(D)25部、アクリルアミド−t−ブチルスルホン酸(C)5部を加えて乳化を行い、乳化液を得た。
【0067】
(2)樹脂エマルジョン(EM−3)の製造
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、及び滴下漏斗を備えた反応容器に、ノイゲンXL−50〔EO付加モル数=5、第一工業製薬株式会社製〕を1.5部と、脱イオン水355部を入れ、窒素を吹き込みながら60℃まで昇温した。攪拌下、過硫酸ナトリウム水溶液4部(有効成分2.5%)とメタ重亜硫酸ソーダ水溶液4部(有効成分2.5%)を添加し、0.15%硫酸第一鉄水溶液3.2部を添加し、次いで前記(1)で調整した乳化液を15.6部仕込み、60℃に保ちながら30分間重合させた。引き続き、残りの乳化液の全部と、過硫酸ナトリウム水溶液36部(有効成分2.5%)、及びメタ重亜硫酸ソーダ水溶液36部を、別々の滴下漏斗から反応温度を60℃に保ちながら4時間かけて滴下して重合を行った。
滴下終了後、60℃にて2時間攪拌した後、内容物を冷却し、pHが7.0になるように水酸化ナトリウム水溶液(有効成分10%)で調整した。これを200メッシュ金網で濾過し、本発明の紙加工用の樹脂エマルジョン(EM−3)を得た。ここで得られた樹脂エマルジョン(EM−3)は、固形分濃度45%、粘度300mPa・s、分散粒子の平均粒子径は280nmであり、計算Tg=−19℃であった。
【0068】
〔比較例1〕
1)乳化液の調製
容器に、乳化剤(A)としてポリオキシエチレンアルキルエーテルであるノイゲンXL−1000〔EO付加モル数=100、第一工業製薬株式会社製〕25部とノイゲンXL−160〔EO付加モル数=16、第一工業製薬株式会社製〕5部、及び脱イオン水225部を入れ、均一に溶解した後、エチルアクリレート(B)430部、その他のエチレン性不飽和単量体類としてメチルメタクリレート55部、酸モノマーとしてアクリル酸5部、イタコン酸5部を加えて乳化を行い、乳化液を得た。
【0069】
(2)樹脂エマルジョン(EM−4)の製造
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、及び滴下漏斗を備えた反応容器に、ノイゲンXL−50〔EO付加モル数=5、第一工業製薬株式会社製〕1.5部と、脱イオン水355部を入れ、窒素を吹き込みながら60℃まで昇温した。攪拌下、過硫酸ナトリウム水溶液4部(有効成分2.5%)とメタ重亜硫酸ソーダ水溶液4部(有効成分2.5%)を添加し、0.15%硫酸第一鉄水溶液3.2部を添加し、次いで前記(1)で調整した乳化液を15.6部仕込み、60℃に保ちながら30分間重合させた。引き続き、残りの乳化液の全部と、過硫酸ナトリウム水溶液36部(有効成分2.5%)、及びメタ重亜硫酸ソーダ水溶液36部を、別々の滴下漏斗から反応温度を60℃に保ちながら4時間かけて滴下して重合を行った。
滴下終了後、60℃にて2時間攪拌した後、内容物を冷却し、pHが7.0になるように水酸化ナトリウム水溶液(有効成分10%)で調整した。これを200メッシュ金網で濾過し、樹脂エマルジョン(EM−4)を得た。ここで得られた樹脂エマルジョン(EM−4)は、固形分濃度45%、粘度150mPa・s、分散粒子の平均粒子径は250nmであり、計算Tg=−8℃であった。
【0070】
〔比較例2〕
(1)乳化液の調製
容器に、乳化剤(A)としてポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸アンモニウムの58.0%溶液1.725部、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルの70%溶液14.3部、ポリオキシエチレンアルキルベータメチルスチデニルエーテル(エチレングリコール付加モル数約50)を5部、及び脱イオン水187.5部を入れ、均一に溶解した後、エチルアクリレート(B)271.5部、ブチルアクリレート(E)193.5部、アクリロニトリル25部、及び酸モノマーとしてイタコン酸10部を加えて乳化を行い、乳化液を得た。
【0071】
(2)樹脂エマルジョン(EM−5)の製造
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、及び滴下漏斗を備えた反応容器に、脱イオン水229部を入れ、窒素を吹き込みながら60℃まで昇温した。攪拌下、過硫酸ナトリウム水溶液4部(有効成分2.5%)とメタ重亜硫酸ソーダ水溶液4部(有効成分2.5%)と0.15%硫酸第一鉄水溶液3.2部を添加し、次いで乳化液を15.6部仕込み、60℃を保ちながら0.5時間重合させた。引き続き、残りの乳化液の全部と、過硫酸ナトリウム水溶液36部(有効成分2.5%)メタ重亜硫酸ソーダ水溶液36部を、別々の滴下漏斗を使用して反応温度を60℃に保ちながら4時間かけて滴下して重合した。
滴下終了後、60℃にて2時間攪拌した後、内容物を冷却し、pHが7.0になるように水酸化ナトリウム水溶液(有効成分10%)で調整した。これを200メッシュ金網で濾過し、樹脂エマルジョン(EM−5)を得た。ここで得られた樹脂エマルジョン(EM−5)は、固形分濃度55%、粘度800mPa・s、分散粒子の平均粒子径は200nmであり、計算Tg=−25℃であった。
【0072】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明の紙加工用樹脂エマルジョンの製造方法は、加工時のサイズプレス性に優れるので加工紙を製造する際に付着物が発生せず、生産効率の低下や加工紙の品質不良がなく、且つ、加工紙に強度と耐熱黄変性などの優れた特性を付与する紙加工用樹脂エマルジョンを提供でき、かかる紙加工用樹脂エマルジョンを用いて得られる加工紙は、例えばコピー用紙、フォーム用紙、レポート・メモ用紙、計測記録紙、及び伝票など広範囲の用途に利用できる。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳化剤(A)の存在下で、メチルアクリレート及び/又はエチルアクリレート(B)とスルホン酸基及び/又はスルホン酸塩基を有するエチレン性不飽和単量体(C)を必須成分として含有するエチレン性不飽和単量体類を乳化重合することを特徴とする紙加工用樹脂エマルジョンの製造方法。
【請求項2】
前記エチレン性不飽和単量体類中のメチルアクリレート及び/又はエチルアクリレート(B)の含有率が30〜99.5重量%、及び、スルホン酸基及び/又はスルホン酸塩基を有するエチレン性不飽和単量体(C)の含有率が0.1〜5重量%である請求項1記載の紙加工用樹脂エマルジョンの製造方法。
【請求項3】
前記スルホン酸基及び/又はスルホン酸塩基を有するエチレン性不飽和単量体(C)が、アクリルアミド−t−ブチルスルホン酸である請求項1又は2記載の紙加工用樹脂エマルジョンの製造方法。
【請求項4】
前記エチレン性不飽和単量体類が、メチルアクリレート及び/又はエチルアクリレート(B)とスルホン酸基及び/又はスルホン酸塩基を有するエチレン性不飽和単量体(C)と共に、炭素原子数8〜15のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(D)を必須成分として含有する請求項1記載の紙加工用樹脂エマルジョンの製造方法。
【請求項5】
前記エチレン性不飽和単量体類中のメチルアクリレート及び/又はエチルアクリレート(B)の含有率が30〜90重量%、スルホン酸基及び/又はスルホン酸塩基を有するエチレン性不飽和単量体(C)の含有率が0.1〜5重量%、及び炭素原子数8〜15のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(D)の含有率が1〜10重量%である請求項4記載の紙加工用樹脂エマルジョンの製造方法。
【請求項6】
前記エチレン性不飽和単量体類が、更にブチル(メタ)アクリレート(E)を必須成分として含有する請求項4記載の紙加工用樹脂エマルジョンの製造方法。
【請求項7】
前記エチレン性不飽和単量体類中のメチルアクリレート及び/又はエチルアクリレート(B)の含有率が30〜90重量%、スルホン酸基及び/又はスルホン酸塩基を有するエチレン性不飽和単量体(C)の含有率が0.1〜5重量%、炭素原子数8〜15のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(D)の含有率が1〜10重量%、及びブチル(メタ)アクリレート(E)の含有率が9〜60重量%である請求項6記載の紙加工用樹脂エマルジョンの製造方法。
【請求項8】
前記乳化剤(A)が、ポリオキシエチレンアルキルエーテルである請求項1〜7の何れか一項に記載の紙加工用樹脂エマルジョンの製造方法。
【請求項9】
前記乳化剤(A)が、一分子中にオキシエチレン単位を平均50〜150個有するポリオキシエチレンアルキルエーテルである請求項1〜7の何れか一項に記載の紙加工用樹脂エマルジョンの製造方法。
【請求項10】
前記乳化剤(A)を、前記エチレン性不飽和単量体類の全量100重量部に対して、3〜10重量部の範囲で存在させる請求項1〜7の何れか一項に記載の紙加工用樹脂エマルジョンの製造方法。



【公開番号】特開2007−145892(P2007−145892A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−338525(P2005−338525)
【出願日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【出願人】(000002886)大日本インキ化学工業株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】