紡績機械に用いられるドラフト装置
本発明は、大型のメインドラフト用のボトムローラを備えた紡績機械に用いられるドラフト装置に関する。当該ドラフト装置は、大型のメインドラフト用のボトムローラ(10)とトップエプロンアッセンブリ(50)との間で、形状締結式の駆動装置(12a,22a,22b,32b)によってスリップが阻止されるように形成されている。メインドラフト用のボトムローラ(10)は付加的なエプロン(34)によって部分的に巻き掛けられていてよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念部に記載の形式の、ケパ(KEPA)式のドラフト装置、すなわちスライバをドラフトするための繊維機械、特に紡績機械のケパ式のドラフト装置であって、メインドラフトゾーンを形成する少なくとも1つの第1および第2のローラペアが設けられており、第1のローラペアがケパ式のボトムローラを有しており、該ケパ式のボトムローラに、トップローラと、該トップローラを介して案内されたトップエプロンと、少なくとも1つのトップエプロンガイドとを備えたトップエプロンアッセンブリが対応配置されていて、しかも該トップエプロンアッセンブリは、トップエプロンが、ケパ式のボトムローラの円周の一部にわたって該ケパ式のボトムローラに巻き掛かるように案内されている形式のドラフト装置を備えた繊維機械に関する。
【0002】
さらに本発明は、請求項28の上位概念部に記載の形式の、ダブルエプロン式のドラフト装置、すなわちスライバをドラフトするための繊維機械、特に紡績機械のドラフト装置であって、メインドラフトゾーンを形成する少なくとも1つの第1および第2のローラペアが設けられており、第1のローラペアがメインドラフト用のボトムローラを有しており、該メインドラフト用のボトムローラに、トップローラと、該トップローラを介して案内されたトップエプロンとを備えたトップエプロンアッセンブリが対応配置されており、メインドラフト用のボトムローラが、該ボトムローラに少なくとも部分的に巻き掛かるボトムエプロンを備えたボトムエプロンアッセンブリの一部である形式のドラフト装置を備えた繊維機械に関する。
【0003】
紡績機械に用いられるドラフト装置とは、紡績プロセスにおいて本来の紡出の前の最後の装置を意味する。ドラフト装置は供給されたスライバ(粗糸)を、横断面で見て約40000本の繊維から約4000本の繊維にまでドラフトするか、もしくは牽伸する。スライバがさらに強力にドラフトされる場合、ハイドラフト(Hochverzug)と呼ばれる。ドラフト時には、できるだけ均一なスライバが生じ、かつ引き続きできるだけ均整な糸が生じるようにするために、繊維が静摩擦の克服下にできるだけ均一に互いに相対的にずらされなければならない。
【0004】
ドラフト装置は一般に、相前後して位置する複数のローラペア(ローラ対)を有しており、これらのローラペアはそれぞれボトムローラと上側の押圧ローラとから成っている。ローラペアを通って実際の紡出へ搬送されるスライバはこれらのローラペアによってその都度クランプされる。ドラフトは、繊維走行方向でローラペア毎に周速が増大するようにローラが駆動されることにより生ぜしめられる。繊維走行方向で見て最後の2つのローラペアの間でのドラフトはメインドラフト(主ドラフト)と呼ばれ、その手前の区分でのドラフトはプレドラフト(前ドラフト)と呼ばれる。すなわち、1つまたは2つのプレドラフトを有する紡績機械が存在している。それに対して、2つのローラペアしか有しない紡績機械、つまり固有のメインドラフトしか行わないような紡績機械は極めて稀である。
【0005】
繊維を互いに離れる方向に引き離すことは、ローラ表面もしくはローラ表面に沿って案内されたエプロンで繊維を連行することにより行われる。このためには、繊維がほぼローラの周速をとらなければならない。搬送したい繊維へのローラ運動の伝達は摩擦によってしか行われ得ない。しかしスライバは、それぞれ個々の繊維がローラと接触するには太すぎるので、このことから個々の繊維への引張力の分配のばらつきが生ぜしめられ、ひいては不均一なドラフトが生ぜしめられる。ドラフトに影響を与える別の要因は、ローラもしくはエプロンとローラとの間のスリップの他に、たとえばスライバ中の繊維の配列、繊維間の付着、繊維長さならびにクランプ間隔である。
【0006】
案内されていない浮遊繊維が多く搬送されればされるほど、ドラフトはますます管理されなくなり、スライバはますます不規則的となり、ひいては紡出される糸も不規則的となる。
【0007】
良好な繊維案内のためには、最後のクランプ点を越えるとメインドラフトが終了されているようなローラペアが寄与する。この場合、しばしば、両ローラのそれぞれが、少なくとも1つの別の変向エレメントと、この変向エレメントとローラとを巡って走行するエプロンとにより補填される。この構造は改善された、延長された繊維案内を保証する。この構造の主問題は、摩擦締結的な力伝達におけるスリップに基づいて生じる回転数差にある。
【0008】
これに対する択一的な手段がケパ(KEPA)式のドラフト装置である。ケパ式のドラフト装置はその発明者であるKernおよびPauenに基づいて命名されたものであって、有利であると判明した前記構造を変更したドラフト装置である。すなわち、メインドラフトを導入するローラペアのボトムローラとケージとが、1つの大型のボトムローラによって代えられており、トップエプロンもしくはケージは特に長尺に形成されており、これによってトップエプロンと大型のボトムローラとが、最適な繊維案内のためにできるだけ長く接触するようになっている。ケパ式のドラフト装置は慣用のドラフト装置と同様に2ローラ式、3ローラ式または4ローラ式のドラフト装置として形成可能である。すなわち、大型のボトムローラは唯1回のドラフトを導入することができるか、または全体ドラフトのために部分的にしか寄与しない。ケパ式のドラフト装置はハイドラフト用ドラフト装置としても使用され、これにより正確な繊維案内に対する要求は一層高まる。このようなドラフト装置は、たとえば欧州特許第0350797号明細書に記載されている。
【0009】
ケパ式のドラフト装置の発明は数十年前に遡るが、しかし構造的および経済的な著しい利点(エプロンに比べた、大型のローラの耐用年数および保守、運動させられる構成要素の点数低減、スリップの低減)にもかかわらず、ケパ式のドラフト装置は経済的に最適に利用され得なかった。なぜならば、汎用的に使用される二重のエプロンガイドの方が、エプロン−ローラガイドに比べて全スライバの管理に関しては相変わらず十分に有利であると認められたからである。
【0010】
そこで、上で述べた公知先行技術に基づき、本発明にとっては、良好な繊維案内に課せられた、高められた要求に一層良好に応えられる、繊維機械、特に紡績機械に用いられるケパ式のドラフト装置とダブルエプロン式のドラフト装置とを提案するという課題が生ぜしめられる。
【0011】
この課題は、請求項1の特徴部に記載の特徴を有する繊維機械、すなわちケパ式のボトムローラとトップエプロンアッセンブリとの間に、少なくとも部分的に互いに接触し合う面のスリップを回避するために、互いに係合し合う凸部および凹部または切欠きによって形状締結的な案内部、特に形状締結的な駆動結合部が形成されていることを特徴とする、繊維機械のケパ式のドラフト装置を有する繊維機械により解決される。
【0012】
さらに上記課題は、請求項28の特徴部に記載の特徴を有する繊維機械、すなわちメインドラフト用のボトムローラの直径が、30mmまたはそれ以上であり、ボトムエプロンが、140゜またはそれ以上の巻掛け角度でメインドラフト用のボトムローラに巻き掛かっていることを特徴とする、繊維機械のドラフト装置を有する繊維機械により解決される。
【0013】
請求項2〜請求項27ならびに請求項29〜55には、本発明の有利な改良形が記載されている。
【0014】
本特許出願の枠内で記載された全ての構成に該当する本発明の本質は、ドラフト装置におけるスリップを低減するか、もしくは取り除くという思想である。このためには、たとえばエプロン間、ローラとエプロンとの間および/またはドラフトローラペアのローラ間で駆動力を少なくとも部分的に、摩擦力に基づいた摩擦締結に代わる形状締結、つまり嵌合いや噛合い等の部材相互の形状的関係に基づいた締結および/または改善された摩擦締結によって伝達することが提案される。トップエプロンは有利には直接的または間接的にトップローラを介してボトムローラにより駆動される。しかし、トップローラもボトムローラも、あるいはトップローラだけが駆動されていてもよい。別の改良形としては、駆動されるボトムローラおよび/またはトップローラの他に、付加的な駆動装置が設けられていてよい。この付加的な駆動装置はボトムローラおよび/またはトップローラあるいはこれに対して択一的にボトムエプロンおよび/またはトップエプロンを駆動することができる。
【0015】
以下において、一方ではケパ式のドラフト装置のための駆動コンセプト、他方では「大型のメインドラフト用のボトムローラを備えたダブルエプロン式のドラフト装置」のための駆動コンセプトを説明する。
【0016】
本発明によるケパ式のドラフト装置は2つまたはそれ以上のローラペアから形成されており、メインドラフトゾーンのトップエプロンアッセンブリにトップエプロンがトップローラとガイドとを介して張設されており、この場合、トップエプロンはメインドラフト用のボトムローラ、つまりケパ式のボトムローラに、円周の一部にわたって巻き掛かる。すなわち、トップエプロンはケパ式のボトムローラの部分円周に沿って走行する。共通の部分巻き掛かりの範囲では、トップエプロンとケパ式のボトムローラとの間にスライバが案内される。この部分円周はケパ式のボトムローラの全円周の1/8またはそれ以上、有利には1/4またはそれ以上、特に1/3またはそれ以上であってよい。さらに、部分円周はケパ式のボトムローラの全円周の1/2またはそれ以下、有利には3/8またはそれ以下であってよい。
【0017】
ケパ式のボトムローラは、さらに下で詳しく説明するように、対応するトップローラもしくは慣用のダブルエプロン式のドラフト装置のメインドラフト用のボトムローラよりも著しく大きく形成されていると有利である。
【0018】
スリップを回避するためには、運動させられる可動部分、たとえばガイドエプロンおよびローラにおいて、形状締結的な案内部、つまり係合に基づいた嵌合いや噛合い等の部材相互の形状的関係に基づいた締結による案内部が設けられている。大型のケパ式のボトムローラとトップエプロンアッセンブリおよび/またはトップローラとは、たとえば互いに対して形状締結式に形成されている。このことは、ケパ式のボトムローラの表面または少なくともその一部が複数の突出部および引込み部を有しており、該突出部および引込み部が、トップエプロンおよび/またはトップローラに設けられた、相補的に形成された複数の引込み部もしくは突出部と係合していることを意味する。すなわち、対応配置されたトップローラにおけるトップエプロンおよび/またはこのトップローラがケパ式のボトムローラに形状締結的に、つまり係合に基づいた嵌合により結合可能に形成されている。トップエプロンはケパ式のボトムローラおよび/またはトップローラおよび/または少なくとも1つの別の駆動エレメントによって駆動され得る。形状締結は歯列の形で提供されていると有利である。すなわち、トップエプロンの内側または外側の表面と、ケパ式のボトムローラの表面とはそれぞれ少なくとも各表面の一部に歯列を有していてよい。
【0019】
ようするに、本発明によるドラフト装置は以下の形状締結的な駆動案内部、たとえば歯列を個々にまたは互いに任意に組み合わされた形で有していてよい:
a トップエプロンが外側歯列を有しており、該外側歯列が、ケパ式のボトムローラに設けられた外側歯列と噛み合っているか、もしくは係合している;
b トップエプロンが内側歯列を有しており、該内側歯列が、トップローラに設けられた外側歯列と噛み合っているか、もしくは係合している;
c トップローラが外側歯列を有しており、該外側歯列が、ケパ式のボトムローラに設けられた外側歯列と噛み合っているか、もしくは係合している。トップローラの外側歯列は上記点bによる外側歯列に相当していてよい。ケパ式のボトムローラの外側歯列は上記点aによる外側歯列に相当していてよい。
【0020】
「歯列」とは、本特許出願の枠内では、相応する機械部分の表面に設けられた複数の凸部および/または凹部もしくは貫通部の任意の配列を意味する。この場合、反対の側の他方の機械部分には、対応して相補的に形成された複数の凹部および/または凸部が設けられているので、前記両機械部分は互いに形状締結的に係合している、つまり互いに噛み合っている。
【0021】
歯列は、一般的な機械工学の歯列技術において使用されるような任意の歯列形式、たとえばインボリュート歯列であると有利である。この場合、エプロンに設けられた歯列における歯高さ、つまり歯たけは有利にはモジュールを上回っておらず、これにより安定性が保証されている。
【0022】
ケパ式のドラフト装置に対する択一的な別のドラフト装置構造は、大型のメインドラフト用のボトムローラを備えたダブルエプロン式のドラフト装置に関するものである。ダブルエプロン式のドラフト装置の大型のメインドラフト用のボトムローラは、その大きさの点でケパ式のドラフト装置と比較可能であるが、しかしボトムエプロンによって少なくとも部分的に巻き掛けられる。以下において、この構成を「大型のメインドラフト用のボトムローラを備えたダブルエプロン式のドラフト装置」と呼ぶ。
【0023】
トップエプロンはケパ式のドラフト装置と同様にメインドラフト用のボトムローラに所定の部分円周にわたり巻き掛かることができ、このメインドラフト用のボトムローラの部分円周は、さらに同じくボトムエプロンによって巻き掛けられる。すなわち、トップエプロンおよびボトムエプロンは本発明のこの改良形ではボトムローラの所定の部分円周に一緒に巻き掛かることができる。「巻き掛かる」とはこの場合、相応するローラの輪郭に従うことを意味する。ボトムエプロンにおいては「巻き掛かる」とはさらに、ボトムエプロンがボトムローラとの巻き掛かり範囲にわたって摩擦締結を形成することを意味する。
【0024】
共通の部分巻き掛かりの範囲では、トップエプロンとボトムエプロンとの間にスライバが案内される。前記部分円周の延在長さは、上でケパ式のドラフト装置に関連して挙げた寸法オーダに相当していてよい。
【0025】
付加的に、メインドラフトゾーンの出口側には、出口ローラへ向かってボトムエプロンのためのガイド(案内装置)が設けられていてよい。このガイドにより、ボトムエプロンは所定の角度で、たとえば接線方向で、繊維流れ方向でボトムローラから離れる方向に走行するようになる。トップエプロンはこの場合、ボトムエプロンの走行に追従すると有利である。これによって、大型のボトムローラと出口ローラペアとの間のスライバの、案内されていない自由な範囲を減少させることが可能となる。
【0026】
また、入口側でトップローラとボトムローラとの間のクランプラインの手間にガイドが設けられていることも考えられる。その場合、このガイドにより、ボトムエプロンの走行経路は所定の角度で、たとえば接線方向で繊維流れ方向とは逆の方向でボトムローラから離れる方向に案内されるようになる。
【0027】
ボトムエプロンガイドの枠内でボトムローラに並んで、繊維ガイド面のジオメトリ(幾何学的形状)を形成する目的のためだけに付加的なエプロンガイドが設けられていると有利である。
【0028】
本発明の改良形では、トップエプロンがメインドラフト用のボトムローラとの部分巻き掛かりを成立させないか、または極僅かな部分巻き掛かりしか成立させないようになっていてもよい。この構成では、ボトムエプロンが、トップエプロンに面した区分においてほぼ接線方向でメインドラフト用のボトムローラから離れる方向に案内されて、繊維流れ方向でメインドラフト用のボトムローラに続いてかつメインドラフト用のボトムローラに対して間隔を置いて配置されたガイド、特に変向ブリッジを介して案内される。ケージ内に案内されたトップエプロンはボトムエプロンと共にトップローラおよびボトムローラのクランプ点と変向ブリッジとの間でスライバのためのガイドゾーンを形成する。
【0029】
特にエプロンガイドを備えた前記ボトムローラの場合、ボトムエプロンは慣用のボトムエプロンガイドとは異なり、メインドラフト用のボトムローラの著しく大きな部分円周にわたって案内される。これによって、ボトムローラとボトムエプロンとの間のスリップは著しく減じられる。さらに、メインドラフト用のボトムローラは、あとで詳しく説明するようなエプロンのための特別な走行面を得る。
【0030】
大型のボトムローラにおけるボトムエプロンの巻掛け角度αは有利には140゜またはそれ以上、好ましくは180゜またはそれ以上である。さらに巻掛け角度αは有利には270゜またはそれ以下、特に225゜またはそれ以下である。巻掛け角度はボトムローラの、エプロンが接触しかつ相応して駆動伝達を受ける円周範囲を規定する。
【0031】
有利な構成では、ボトムエプロンの変向が、ボトムローラおよび該ボトムローラと出口ローラとの間に配置された変向ブリッジとを介してのみ行われる。
【0032】
本発明による「大型のメインドラフト用のボトムローラを備えたダブルエプロン式のドラフト装置」はさらに、以下に挙げる駆動案内部もしくは歯列を個々の形で、または互いに任意に有利に組み合わされた形で有していてよい:
a.ボトムエプロンが内側歯列を有しており、該内側歯列が、メインドラフト用のボトムローラに設けられた外側歯列と噛み合っているか、もしくは係合している;
b.ボトムエプロンが外側歯列を有しており、該外側歯列が、トップエプロンに設けられた外側歯列と噛み合っているか、もしくは係合しており;
c.トップエプロンが外側歯列を有しており、該外側歯列が、メインドラフト用のボトムローラに設けられた外側歯列と噛み合っているか、もしくは係合しており;
d.トップエプロンが内側歯列を有しており、該内側歯列が、トップローラに設けられた外側歯列と噛み合っているか、もしくは係合しており;
e.トップローラが外側歯列を有しており、該外側歯列が、メインドラフト用のボトムローラに設けられた外側歯列と噛み合っているか、もしくは係合している。両ローラの外側歯列は上記点aもしくはdによる外側歯列に相当していてよい;
f.ボトムエプロンが外側歯列を有しており、該外側歯列が、トップローラに設けられた外側歯列と噛み合っているか、もしくは係合している。
【0033】
以下の説明は、本発明によるケパ式のドラフト装置にも、本発明による「大型のメインドラフト用のボトムローラを備えたダブルエプロン式のドラフト装置」にも該当する。
【0034】
形状締結的な駆動結合部は、スライバが位置する範囲に並んで位置していて、かつ/またはスライバの載着部の範囲にわたって延びていてよい。両ローラが形状締結的な駆動結合部を形成する場合、これらの駆動結合部はエプロン走行路の側方外側に位置していると有利である。
【0035】
「大型のボトムローラ」とは有利には、ケパ式のドラフト装置のために使用されるようなボトムローラを意味する。大型のボトムローラの直径Dは有利には30mmまたはそれ以上、好ましくは35mmまたはそれ以上、特に40mmまたはそれ以上、特に有利には50mmまたはそれ以上である。直径Dは有利には100mmまたはそれ以下、好ましくは80mmまたはそれ以下、特に70mmまたはそれ以下である。特に有利な直径範囲は45〜60mmである。大型のボトムローラを有する、ボトムエプロンガイドを有するか、または有しないメインドラフト用のドラフト装置ローラペアは、1.2またはそれ以上、特に1.5またはそれ以上、有利には1.8またはそれ以上の、ボトムローラ対トップローラの有利な直径比を有している。この直径比は有利には3またはそれ以下、特に2.5またはそれ以下、好ましくは2.2またはそれ以下である。
【0036】
繊維案内長さ、つまり繊維がトップエプロンとボトムエプロンもしくはケパ式のボトムローラとの間で案内される距離は、加工したい原料、たとえば木綿繊維または化学繊維ならびにそのパイル長さに関連している。繊維案内長さは、これまでダブルエプロン式のドラフト装置において使用されていた繊維案内長さにほぼ相当していると有利である。
【0037】
両ドラフト装置構成では、メインドラフト用のボトムローラもしくはケパ式のボトムローラが、ボトムエプロンもしくは繊維のための最適な付着特性を有する、外側に位置する層もしくはプラスチックから成る走行面を有していてよい。このプラスチックは有利にはエラストマ、特にゴムである。このゴムは、たとえば天然ゴムおよび/または合成ゴムから製造されている。
【0038】
外側に位置する層は有利には0.5mmまたはそれ以上、特に1mmまたはそれ以上の厚さを有している。外側に位置する層は有利には10mmまたはそれ以下、特に5mmまたはそれ以下の厚さを有している。
【0039】
ボトムエプロンの走行面を形成する、外側に位置する層は、溶接や接着等の素材に基づいた素材締結(stoffschluessig)、部材相互の形状的関係に基づいた形状締結(formschluessig)、部材相互の摩擦力に基づいた摩擦締結(reibschluessig)もしくは力に基づいた力締結(kraftschluessig)により、ボトムローラに被着されていてよい。この層は被覆体として提供されているか、またはローラに被せられたバンド状のエレメントとして提供されているか、またはボトムローラに被せられかつこのボトムローラにしっかりと、つまり摩擦締結的に接触したバンド状の中空円筒エレメントとして提供されていてよい。本発明の改良形では、対応するトップローラも、前で挙げた形式のトップエプロンのための走行面を備えていてよい。
【0040】
メインドラフト用のボトムローラはメインドラフトゾーンへの入口ローラである。このメインドラフトゾーンは場合によっては1つまたは複数のプレドラフトゾーンに続いている。本発明による両構成によりローラ間のスリップが取り除かれるか、または少なくとも許容し得るレベルにまで低減されるので、プレドラフトゾーンを不要にすることもできる。すなわち、ドラフト装置は1つのドラフトゾーンからのみ、つまりメインドラフトゾーンからのみ成っていてもよい。大型のメインドラフト用のボトムローラを備えた唯一つのドラフトゾーンへの入口ローラペアには、クランプギャップを備えたローラペアの代わりに粗糸テンション装置が直接にまたは間接的に前置されていてよい。この粗糸テンション装置は繊維粗糸(Faserlunte)、つまりスライバに、入口ローラペアに向かって相応してプレロードもしくはプレテンションをかける。このようなテンション装置の例は後続の実施例に挙げられている。
【0041】
本発明によるドラフト装置を備えた繊維機械は、相応して機械長手方向で相並んで配置された多数のドラフト装置を有している。これらのドラフト装置は一方の機械側にしか配置されていないか、または相応して鏡像反転した形で両機械側に配置されていてよい。
【0042】
大型のメインドラフト用のボトムローラは、機械長手方向で一方の機械側の全ての作業部または複数の作業部にわたって延びる、1つまたは複数の中央の駆動装置を備えた1つのボトムシリンダとして形成されていてよい。本発明の有利な構成では、各ドラフト装置または2つの隣接し合ったドラフト装置から形成されたツインドラフト装置が、それぞれ1つの専用のメインドラフト用のボトムローラを有しており、このメインドラフト用のボトムローラは同一の繊維機械の別のドラフト装置のメインドラフト用のボトムローラとは別個に独立して形成されている。相応して、ボトムローラもしくはツインボトムローラはそれぞれ個別に駆動される。このことは、たとえば前記ボトムローラに専用の駆動装置が対応配置されているか、またはボトムローラが、相応する伝達手段もしくは伝動装置を介して、たとえば摩擦駆動装置、歯車駆動装置または歯付きベルト駆動装置によって、機械長手方向で全ての作業部または複数の作業部にわたって延びる、中央駆動された1つのシリンダからトルクを取り出すことにより行われ得る。駆動装置コンセプトに応じて、相応して構成された駆動装置制御部が設けられている。これにより、ドラフト装置もしくはツインドラフト装置は、たとえばドイツ連邦共和国特許第3904348号明細書に記載されているように、別の(ツイン)ドラフト装置とは別個に独立して運転され得るか、または運転停止され得る。
【0043】
互いに別個に独立して形成されたドラフト装置ローラもしくはドラフト装置ツインローラは、僅かな手間をかけるだけで簡単に別のドラフト装置ローラ構成アッセンブリと交換することのできる構成アッセンブリとして構成されていてよい。こうして、個々のドラフト装置もしくはツインドラフト装置を、ドラフト装置ローラ構成アッセンブリの交換によって、この(ツイン)ドラフト装置で製造したい製品、たとえば糸に個別に適合させることができる。同じことは、互いに相対的なローラの調節可能性およびドラフト装置における別のジオメトリ(幾何学的形状)に対するローラの調節可能性に云える。
【0044】
ボトムローラを個々のドラフト装置もしくはツインドラフト装置にセグメント分割することにより、たとえばローラ間隔を個別に調節することができる。
【0045】
個々のドラフト装置もしくはツインドラフト装置が別のドラフト装置とは別個に独立して駆動されて制御されると、同一の紡績機械において種々異なる糸番手を加工することができる。さらに、同一の紡績機械において種々異なる原料もしくは原料組成を加工し、ひいては種々の紡出部において種々異なる材料から成る糸を製造することもできる。ドラフト装置は、製造したい糸に相応するドラフト装置ローラ構成アッセンブリを支持していて、相応する調節量、たとえばローラ間隔を有している。さらに、同一の紡績機械において標準の糸の他にエフェクトヤーンを製造することもできる。このためには、ドラフト装置が相応して個別に制御される。すなわち、製造したい糸に応じて、個々のドラフト装置において種々異なる紡出プログラムが実行される。
【0046】
ドラフト装置のドラフトゾーンの出口側では、さらに、特に紡績機械において、機械式またはニューマチック式の集束装置(Verdichtungseinrichtung)が配置されていてよい。この集束装置はドラフトされたスライバを集束させる。ドラフト装置に続いて、つまりドラフト機構または集束装置に続いて、形成したい糸のための加撚・巻取り装置が続いている。
【0047】
繊維機械は、リング精紡機、ファンネル精紡機、ポット精紡機または空気ノズル精紡機であってよい。さらに、本発明によるドラフト装置はフライヤのためにも適している。紡績機械ではドラフト装置に、エフェクトヤーンおよび/またはコアヤーン(コア糸)を製造するための付加的なユニットが据え付けられていてよい。コアヤーンの場合、このことはたとえば変向ガイドであってよい。この変向ガイドは入口側で出口ローラペアもしくは撚りブロックギャップ(Drehungssperrspalt)のクランプギャップにコアヤーンを供給する。
【0048】
以下に、本発明を図面につき詳しく説明する。以下の説明は本発明を限定するものではなく、例示的であるに過ぎない。特にドラフト装置は一貫して3ローラドラフト装置として図示されているが、このことも本発明を限定するものではなく、単に説明を分かり易くするためのものである。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明による第1のドラフト装置の配置を概略的に示す横断面図である。
【図2a】本発明による第2のドラフト装置の配置を概略的に示す横断面図である。
【図2b】入口範囲におけるスライバガイドの第1実施例を示す概略図である。
【図2c】入口範囲におけるスライバガイドの第2実施例を示す概略図である。
【図2d】入口範囲におけるスライバガイドの第3実施例を示す概略図である。
【図2e】入口範囲におけるスライバガイドの第4実施例を示す概略図である。
【図2f】入口範囲におけるスライバガイドの第5実施例を示す概略図である。
【図3】ドラフト装置に配置された、運動させられるエレメントに設けられた歯列を示す斜視図である。
【図4】本発明による第3のドラフト装置の配置を概略的に示す横断面図である。
【図5】本発明による第4のドラフト装置の配置を概略的に示す横断面図である。
【図6】本発明による第5のドラフト装置の配置を概略的に示す横断面図である。
【図7a】ローラ軸線に対して直交する横方向で見たケパ式のドラフト装置の配置を示す概略図である。
【図7b】図7aに示したケパ式のドラフト装置の配置の変化実施例を示す概略図である。
【図8a】大型のボトムローラを備えた本発明によるダブルエプロン式のドラフト装置の横断面図である。
【図8b】繊維機械における、図8aに示したドラフト装置の配置を示す平面図である。
【図9】大型のボトムローラを備えた別のダブルエプロン式のドラフト装置の配置を示す横断面図である。
【0050】
全ての図面は、ドラフト装置が繊維機械に組み込まれていることを前提としている:スライバ39は矢印方向でドラフト装置に供給され、このドラフト装置を通って作業部(図示しない)、特に紡出装置へ搬送される。それぞれ上下一対となった入口ローラペア1とミドルローラペア2との間でのプレドラフト(図示しない)は必ずしも必要ではない。また、プレドラフトなしのドラフト装置または複数のプレドラフト用ローラペアを備えたドラフト装置も考えられる。しかし、図面を見易くするために一般に3ローラドラフト装置が図示されている。この3ローラドラフト装置の第1のローラペア1と第2のローラペア2との間では一般にプレドラフトが行われ、第2のローラペア2と第3のローラペア3との間では一般にメインドラフトが行われる。
【0051】
以下に、本発明の実施例を図面につき詳しく説明する。
【0052】
図1には、スライバ39をドラフトするための本発明によるケパ(KEPA)式のドラフト装置が示されている。このケパ式のドラフト装置では、大型のケパ式のボトムローラ10も、トップエプロンアッセンブリ50のトップエプロン30も、その互いに対応し合った面において歯列付けされて形成されており、この場合、たとえ如何なる種類の歯列であろうが、この歯列によってボトムローラ10とトップエプロン30との間には形状締結、つまり係合や噛合いのような形状に基づいた締結が生ぜしめられる。歯列はボトムローラ10に関しては符号11で、トップエプロン30に関しては符号31でそれぞれ示されている。このような装置は第1にトップエプロン30とボトムローラ10との間のスリップを回避するが、しかしボトムローラ10に沿った確実な繊維付着をも保証し、ひいては改善された案内をも保証する。トップエプロン30はトップローラ20(押圧ローラとも呼ばれる)を巡って案内されている。トップエプロンアッセンブリ50は負荷アーム(図示しない)に保持されていてよい。特に有利な構成では、トップエプロン30が、弾性的なガイド14によって付加的にボトムローラ10に押圧される。トップローラ13とボトムローラ12とを備えた出口ローラペア3は、集束ユニット(Verdichtungseinheit)のための例として理解され得る。トップエプロン30は付加的な1つのガイド8または複数のガイド8,9を有していてよい。ドラフトされたスライバ40は出口ローラペア3から作業部の方向へ進出する。
【0053】
図2aには、図1に示したケパ式のドラフト装置の実施例に相当する構成が示されているが、ただしこの構成は入口ローラペアを有しておらず、つまりプレドラフトを有していない。その代わりに、スライバ39の進入範囲41には、コンデンサもしくは集束器および/またはブレーキの形もしくは機能のガイドが配置されている。このガイドは、第1のドラフトローラペア2に供給されるスライバ39に、該スライバ39をドラフトすることなしにプレロードもしくはプレテンションをかけるという役割を有している。プリロードもしくはプレテンションの付与は、前記ガイドが、通過して行くスライバ39に抵抗を加えかつスライバ39をたとえば制動することにより行われる。それと同時に、スライバは機械的にまとめられ、すなわち集束(kondensieren)され得る。抵抗は、ガイドにおける滑り抵抗を高めることにより形成される。このことは、たとえばばね弾性的なクランプ作用を持って、あるいはばね弾性的なクランプ作用なしに通過部を狭めること、またはたとえばローラを介してスライバを変向させることにより行われ得る。
【0054】
進入範囲41におけるこのようなガイドの詳細は図2b、図2c、図2d、図2e、図2fに示されている。進入するスライバは図2b〜図2fにおいてそれぞれ破線で描かれている。図2b〜図2fに示したガイドは図2aに示した進入範囲41において、スライバがそれぞれ矢印方向に供給されるように配置されている。
【0055】
図2bには、繊維流れ方向における狭隘部を備えた、剛性的に形成されたコンデンサ43が図示されている。スライバ39はこの狭隘部を通過しなければならない。図2cには、ばね弾性的な側壁を備えた、同じく繊維流れ方向に狭隘したコンデンサ44が図示されている。図2dには、ピン、ローラまたはストリップの形の変向ガイド45が図示されている。この変向ガイド45においてスライバは変向され、これにより生じる摩擦抵抗により相応して制動される。図2fには、それぞれペアになって相前後して配置された剛性的またはばね弾性的な多数の薄板の形の集束ガイド47が図示されている。この集束ガイド47はそれぞれやはり繊維流れ方向に狭隘した作用をスライバに加える。図2eには、曲げられた金属薄板またはモノリシック体として形成された、繊維流れ方向に狭隘した溝46の形のコンデンサが図示されている。
【0056】
上記ガイドを備えたプレドラフトなしのドラフト装置は、本発明によるケパ式のドラフト装置にも、「大型のメインドラフト用のボトムローラを備えたダブルエプロン式のドラフト装置」にも、図面に示した全ての実施態様にも使用可能である。相応して、プレドラフト、ひいては相応する(プレドラフト用)ローラペアは除去される。
【0057】
図3には、図1に示したケパ式のドラフト装置の変化実施例が概略的に図示されている。この実施例では、ボトムローラ10およびトップエプロン30の全幅がそれぞれ歯列付けされて形成されているのではなく、それぞれ所定の部分範囲だけが歯列付けされて形成されている。この場合、それぞれトップエプロン30の縁範囲21,22およびボトムローラ10の縁範囲23,24だけが凸部もしくは凹部を有している。これらの凸部もしくは凹部は運転時に形状締結的な結合、つまり係合や噛合い等の形状に基づいた結合を成立させるが、しかし繊維案内範囲25は欠歯部のままとなる。言い換えれば、繊維案内範囲25には、形状締結的な表面構造が存在していない。この変化実施例は、特に敏感な繊維のために適している。なぜならば、繊維は形状締結部により案内部からの側方進出を阻止されるが、しかしこの形状締結部によって圧潰される恐れがないからである。また、それぞれこの装置の一方の側の縁範囲、たとえば縁範囲22,23にのみ歯列付けすることも考えられる。また、トップエプロン30およびボトムローラ10の別の任意の部分範囲を互いに形状締結により結合することも考えられる。
【0058】
図4には、図1に示した実施例による本発明によるケパ式のドラフト装置が示されている。ただし図4に示した実施例では、図1の実施例とは異なり、トップエプロン30ではなく、トップローラ20の外面と大型のボトムローラ10の外面とがそれぞれ外側歯列11,32を付与されて形成されている。歯列付けはこの場合にも、有利には一方の縁範囲または両縁範囲で、つまり繊維案内範囲もしくはエプロン案内部の外側で行われる。
【0059】
図5には、図1、図2aおよび図4に示した本発明によるケパ式のドラフト装置が示されているが、ただし図5に示した実施例では、大型のケパ式のボトムローラ10が外側歯列11を有しており、トップローラ20が外側歯列32を有しており、トップエプロン30がその内面に内側歯列33を有している。
【0060】
この場合、種々の変化実施例が可能である:ボトムローラ10ならびに対応するトップローラ20および/またはトップエプロン30が繊維走行方向でスライバ39のための搬送面に並んで一方の側または両方の側に歯列付けされて形成されていてよい。また、同一の配置において種々異なる歯列付けを使用することも可能である。すなわち、トップエプロン30およびトップローラ20が少なくとも所定の部分範囲に、形状締結的な結合のための歯列を有しており、トップエプロン30の別の範囲が、ボトムローラ10と形状締結を成立させることのできる表面を有している。さらに、トップエプロン30がトップローラ20に(31,32)、トップローラ20が、場合によっては付加的な歯列を介してボトムローラ10に(32,11)、それぞれ形状締結的に結合されていることも考えられる。
【0061】
図6には、とりわけトップエプロン30のための付加的な駆動装置35を備えたケパ式のドラフト装置の実施例が示されている。この場合、図1〜図5に示した全てのローラ・エプロン配置が考えられる。また、この付加的なトップエプロン駆動装置がどの個所に配置されているべきかは本発明にとって重要ではない。当該トップエプロン駆動装置はエプロンの内側に配置されていても外側に配置されていてもよい。この場合、複数の変向エレメントのうちの1つが駆動装置35として形成されていることにより、駆動装置35はトップエプロンアッセンブリ50の内側に形成されている。「トップエプロンアッセンブリ」とは、以下の構成要素を意味する;トップローラ20、トップエプロン30およびたとえば別の変向エレメント、有利には図8aに示したケージ116。付加的な駆動装置35はエプロンと共にやはり形状締結的な結合、たとえば歯列による噛合いを成立させることができる。
【0062】
図7aには、ケパ式のドラフト装置アッセンブリ91を、ローラ軸線に対して直交する横方向で見た図が示されている。ケパ式のドラフト装置アッセンブリ91はケパ式のボトムローラ95を有しており、このボトムローラ95は歯列94を備えている。この歯列94は対応するトップローラ97に設けられた歯列93と係合している、つまり噛み合っている。両歯列94,93の間に一点鎖線で示した歯列のピッチ円は、スライバ39のための載着面の範囲におけるボトムローラ95の外径と同じ直径を有していると有利である。付加的にトップローラ97には歯列102が設けられていてよい。この歯列102はトップエプロン100に設けられた内側歯列99と噛み合う。これに対して択一的に、またはこの歯列に対して付加的に、スライバ39の範囲におけるトップローラ97の外面に溝、突起等のプロファイリング部(断面成形部)または歯列98が設けられていてよい。このプロファイリング部または歯列98はトップエプロン100に設けられた内側歯列または内側プロファイリング部と係合している。さらに、前記実施例と同様に、付加的にボトムローラ95およびトップエプロン100の外側にプロファイリング部または歯列96が設けられていてよい。ボトムローラ95もしくはトップローラ97のための支承装置92;101が概略的に図示されている。
【0063】
図7bには、種々の変化形の形の別の構成が示されている:
ボトムローラ95はトップローラ97とのクランプ範囲の外側に歯列103を有しており、この歯列103はトップエプロン100に設けられた外側歯列104と係合している、すなわち噛み合っている。一点鎖線で示したこれらの歯列のピッチ円は、スライバ39の載着部の範囲におけるボトムローラ95の外径と等しい大きさであると有利である。これに対して付加的にまたは択一的に、ボトムローラ95の外周面には歯列96(破線で示す)が設けられていてよい。この歯列96はトップエプロン100に設けられた対応する歯列と係合する。図7aおよび図7bに示した実施例における歯列96は、スライバ39が位置する範囲に並んで配置されていてもよいし、あるいはまたスライバ39の載着部の範囲にわたって延びていてもよい。付加的にトップエプロン100の内側が歯列を有していてよく、その場合、この歯列はトップローラ97に設けられた外側歯列98と係合する。このことは特に、付加的にボトムローラ95がトップローラ97とのクランプ範囲の外側に、トップローラ97の歯列93と係合する歯列94を有している場合に有利である。ボトムローラ95もしくはトップローラ97のための支承装置は符号92,101で示されている。もちろん、ボトムローラ95とトップエプロンアッセンブリ91との間もしくはこのアッセンブリの内部に設けられた、スリップを減少させるか、もしくはスリップを回避する歯列の数が多ければ多いほど、ドラフト装置の機能はますます精密となる。
【0064】
ドラフト装置のボトムローラ95の出口側には、ガイド、特にコンデンサ84または押圧ロッドおよび/または穿孔された表面72を備えたサクションローラ71またはスライバを接触搬送するための穿孔されたエプロンが配置されていてよい(図9参照)。
【0065】
図8aには、大型のメインドラフト用のボトムローラ112を備えたダブルエプロン式のドラフト装置の実施例が示されている。ボトムローラ112を介してボトムエプロン114が案内されている。大型のボトムローラ112はその円周の1/2よりも多い範囲にわたってボトムエプロン114により巻き掛けられる。ボトムエプロン114は出口側で変向ブリッジの形のガイド118を介して、出口ローラペア110,111の間のクランプラインの近傍にまで近付けられる。変向ブリッジ118はボトムエプロン114を繊維案内方向からボトムローラ112の方向へ変向させる。オプショナル(選択的)に、押圧ローラ119の形の別のガイドエレメントが設けられていてよい。その場合、この押圧ローラ119はボトムエプロン114をボトムローラ112の外周面に近付けるか、または押圧する。さらに、側方制限手段120、たとえば側方のガイドエレメントが設けられていてよい。その場合、この側方制限手段120の働きにより、ボトムエプロン114はボトムローラ112からそらされたり、ボトムローラ112を越えて脱落したりしなくなる。側方制限手段120は上で挙げたガイドエレメントもしくは押圧ローラ119と連結されていてよい。
【0066】
トップエプロン115は対応するトップローラ113を巡って案内されていて、ケージ116内で走行する。ボトムエプロン114は繊維流れ方向において所定の角度で、たとえば接線方向でボトムローラ112の周面から変向ブリッジ118を介してできるだけ出口ローラペア110,111のクランプギャップの近傍にまで近付けられる。トップエプロン115はこの範囲ではエプロンケージ116によって案内されて、ボトムエプロン114に接触し、この場合、両エプロンは1つの繊維案内範囲を形成する。トップエプロン115はこの場合、変向ブリッジ118にまでボトムエプロン114に追従する。一対の出口ローラペア110,111のクランプギャップから進出した、ドラフトされたスライバ40は引き続き作業部、特に紡出装置に供給される(図示しない)。図示の出口ローラペア110,111の代わりに、または出口ローラペア110,111に対して付加的に、メインドラフトゾーンにニューマチック式の集束装置(図示しない)が後置されていてもよい。
【0067】
メインドラフト用のボトムローラ112ならびに変向ブリッジ118、ガイドエレメント119および側方制限手段120は保持装置205に支承されるか、もしくは保持される。
【0068】
メインドラフト用のローラペア112,113には、一対の入口ローラペア202,204が前置されている。メインドラフト用のローラペア112,113と入口ローラペア202,204との間には、プレドラフトゾーンが形成される。既に上で述べたように、入口ローラペア202,204およびプレドラフトゾーンを不要にすることもできる。その代わりに、上で挙げた、スライバにプレロードもしくはプレテンションをかけるためのガイドエレメントが設けられていてよい。トップローラ111,113,202は負荷アーム213に支承されている。
【0069】
図8bには、図8aに示した、繊維機械、たとえば紡績機械またはフライヤの長手方向に相並んで配置された多数のドラフト装置を上から見た平面図が概略的に図示されている。たとえば4つのドラフト装置200a,200b,200c,200dが図示されている。これらのドラフト装置はそれぞれ1つのドラフト装置に対応する作業部、たとえば紡出装置を操作する。これらのドラフト装置は機械長手方向に一貫して延びる1つの入口ローラ204ならびに一貫して延びる1つの出口ローラ110を有している。各ドラフト装置には、それぞれ1つの真ん中の大型のメインドラフト用のボトムローラ112が対応配置されており、このメインドラフト用のボトムローラ112はボトムエプロン114によって巻き掛けられている。ボトムエプロン114は付加的に変向ブリッジ118を介して案内されている。ボトムローラ204,112,110には、それぞれ対応するトップローラ202,113,111が対応配置されている(図示しない;図8a参照)。これらのトップローラ202,113,111は負荷アーム213を介して、対応するボトムローラに押圧され、当該ボトムローラと共にクランプラインを形成する。入口ローラ204とメインドラフト用のボトムローラ112との間には、プレドラフトゾーンが形成される。メインドラフト用のボトムローラ112と出口ローラ110との間には、メインドラフトゾーンが形成される。このメインドラフトゾーンでは、トップエプロン115とボトムエプロン114との間にスライバが案内されている。
【0070】
負荷アーム213は機械フレームに設けられた保持装置203に取り付けられている。負荷アーム213は共通の軸線を有するツイントップローラペアを収容しており、これらの共通の軸線はそれぞれ2つの隣接し合ったドラフト装置、つまり「ツインドラフト装置201a,201b」に対応している。すなわち、2つの隣接し合ったドラフト装置のために1つの負荷アーム213が設けられている。メインドラフト用のボトムローラ112は個々に形成されているか、または同じく図8bに図示されているように、共通の軸線208を有するツインローラペアとして形成されていてよい。これに対して択一的に、ドラフト装置のメインドラフト用のボトムローラ112は入口ローラおよび出口ローラと同様に、1つの共通のドラフト装置シリンダによって形成されていてもよい。このドラフト装置シリンダは繊維機械の長手方向に複数の(たとえば1つのセクションにわたって)紡出部または全ての紡出部にわたって延びていて、中央で駆動される。構成に応じて、メインドラフト用のボトムローラ112は1つの共通の駆動装置またはそれぞれ専用の個別の駆動装置を有している。
【0071】
メインドラフト用のボトムローラ112は保持装置205に支承されている。この保持装置205は機械フレームに取り付けられている。メインドラフト用のボトムローラ112またはメインドラフト用のツインローラペア1つ当たり、1つの保持装置が設けられていてよい。メインドラフト用のボトムローラ112はその両軸端部を介して保持装置205に支承されている。メインドラフト用のツインローラペアは図8bに図示されているように、その結合軸を介して片持ち支承式に保持装置205に支承されていてもよい。このためには、保持装置205に、相応する収容部209が設けられている。
【0072】
変向ブリッジが設けられている場合、この変向ブリッジは同じく結合個所210を介して保持装置205に取り付けられている。変向ブリッジは一貫して延びていてよい、すなわち機械長手方向で全ての紡出部または多数の紡出部にわたり延びていてよいか、あるいは各ドラフト装置もしくは各ツインドラフト装置にそれぞれ専用の変向ブリッジが対応配置されていてよい。すなわち、変向ブリッジは機械長手方向で、1つまたは2つまたはそれ以上のドラフト装置にわたって延びる複数のセグメントに分割されている。
【0073】
メインドラフト用のボトムローラもしくはメインドラフト用のツインローラペアは、ローラ軸の持上げにより保持装置から取り出されて少数のハンドグリップを用いるだけで交換され得る構成アッセンブリとして形成されていると有利である。
【0074】
前で述べたように、プレドラフトを不要にすることもできる。その場合には、ドラフト装置は入口ローラ204を有しない。スライバはプレテンション装置もしくはプレロード装置を介して、メインドラフト用のボトムローラと、対応するトップローラとの間のメインドラフトゾーンに供給される。
【0075】
図示の出口ローラペア110,111の代わりに、または図示の出口ローラペア110,111に対して付加的に、メインドラフトゾーンにはニューマチック式の集束装置(図示しない)が後置されていてもよい。
【0076】
図8bに示した繊維機械におけるドラフト装置配置は、ケパ式のドラフト装置にも適用される。その場合には、ドラフト装置はボトムエプロンや変向ブリッジを有しない。
【0077】
図9に示した実施例は、大型のメインドラフト用のボトムローラ64を備えたダブルエプロン式のドラフト装置の別の実施態様を示している。この大型のメインドラフト用のボトムローラ64を介してボトムエプロン65が案内されている。このドラフト装置配置は入口ローラペア60と、中間ローラペア61と、出口ローラペア62とを有しており、中間ローラペア61はメインドラフト用のボトムローラ64と、対応するトップローラ66とから成っている。トップローラ66は部分的にトップエプロン68によって、ボトムローラ64は少なくとも部分的にボトムエプロン65によって、それぞれ巻き掛けられている。トップエプロン68はボトムローラ64に部分周面にわたって相補的に巻き掛かっていて、ボトムエプロン65共にこの区分において繊維ガイドを形成している。
【0078】
本発明によるドラフト装置は以下の形状締結的な案内部もしくは歯列を有している:
a.ボトムエプロン65が内側歯列81を有しており、この内側歯列81はボトムローラ64に設けられた外側歯列63と噛み合う;
b.トップエプロン68が内側歯列69を有しており、この内側歯列69はトップローラ66に設けられた外側歯列67と噛み合う;
c.トップローラ66が外側歯列67を有しており、この外側歯列67はボトムローラ64に設けられた外側歯列63と噛み合う。
【0079】
入口側および/または出口側では、付加的にボトムエプロン65のためのガイド77,78が配置されていてよい。これらのガイド77,78はドラフト時に入口側ではドラフトゾーンへのスライバ39の案内、ひいてはコントロールを改善し、出口側ではドラフトゾーンからのスライバの案内、ひいてはコントロールを改善する。ガイド77,78により、ボトムエプロンはそれぞれボトムローラの周方向から外方へ向かって、たとえば接線方向に離れる方向に案内され、ガイド77,78を巡って変向され、かつ再びボトムローラ64へ向かって案内されるようになる。こうして、スライバは早めにエプロンガイドによって入口ローラペア60から取り出されるか、もしくは遅めに出口ローラペア62に引き渡される。トップエプロンガイドは、このトップエプロンガイドが入口側および出口側でボトムエプロンガイドに追従し、かつボトムエプロンガイドと共に両ガイド77,78の間に1つの繊維案内範囲を形成するように形成されている。付加的なガイド78または両ガイド77,78は、トップエプロン68とボトムエプロン65との間にスライバ39のための適当な案内長さLが生ぜしめられるように配置され得る。
【0080】
トップローラ70およびボトムローラ71を有する出口ローラペアは出口クランプラインを形成し、ひいてはドラフトゾーンの終端部を形成する。トップエプロン68の内部には、トップエプロン68を案内するケージ75が配置されている。このケージ75はボトムローラ64から所定の間隔を有している。この間隔、つまり開口幅を維持するか、または変えるためには、スペーサ部材85が設けられていてよい。このスペーサ部材85は、有利にはボトムローラ64の支承部とケージ75のケージガイド86との間に挿入されている。この場合、前記間隔を変えるためにはスペーサ部材85の種々の構成を使用することができる。スペーサ部材85は直接にケージ75とボトムローラ64との間に挿入されていてもよい。1つのスペーサ部材85に対して択一的に、ボトムローラ64からのケージ75の間隔は作動装置74によって二重矢印で示した方向に可変であってもよい。この作動装置74は作動ねじ、作動レバー、ピストンシリンダユニット等として形成されていてよい。さらに、トップエプロン68のための別の変向ガイド76が設けられていてよい。
【0081】
前記ドラフト装置はさらに、ドラフトゾーンに続いた集束装置82を有している。この集束装置82はメインドラフト用のボトムローラ64の出口側でスライバをニューマチック式に集束する。集束装置82はサクションローラ71を有しており、このサクションローラ71内にはサクション装置80が設けられている。サクションローラ71はパ―フォレーション(穿孔)72を有している。サクションローラ71の代わりに、穿孔されかつ吸引された、循環するエプロンが設けられていてもよい(図示しない)。サクションローラ71もしくは吸引されたエプロンは駆動装置により駆動される。このことは、たとえばボトムローラ64とサクションローラ71もしくは穿孔されたエプロンとの間で中間ローラ79によりボトムローラ64の運動が、規定された周速でサクションローラ71または穿孔されたエプロンへ伝達されることにより実現され得る。しかし、サクションローラ71を直接に駆動することもできる。
【0082】
集束装置82の出口側および/または該集束装置82が設けられていない場合にはボトムローラ64の出口側には、作業部、特に紡績機械における形成したい糸のための加撚・巻取り装置が続いている。集束装置82の周囲には、撚りの逆行をブロックする撚りブロックローラ83が配置されている。この撚りブロックローラ83はドラフトされたスライバ40をサクションローラ71の周面にクランプし、これにより撚りが加撚装置から集束範囲またはドラフト範囲へ逆行し得なくなる。撚りブロックローラ83に対して付加的に、別のトップローラ70が配置されている。このトップローラ70はドラフトゾーンの出口クランプラインを形成する。集束装置82に対して択一的に、または集束装置82に対して付加的に、スライバ40を集束させるために、メインドラフト用のボトムローラ64の出口側に機械的な集束器84が配置されていてよい。さらに、ドラフト装置はコア糸を供給するための変向ガイド73を有していてよい。
【0083】
図9に示した実施例において説明した特徴は、ボトムエプロンアッセンブリ、対応するボトムエプロンガイドおよびボトムエプロンと噛み合う歯列を除いて、基本的にケパ式のドラフト装置にも適用される。
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念部に記載の形式の、ケパ(KEPA)式のドラフト装置、すなわちスライバをドラフトするための繊維機械、特に紡績機械のケパ式のドラフト装置であって、メインドラフトゾーンを形成する少なくとも1つの第1および第2のローラペアが設けられており、第1のローラペアがケパ式のボトムローラを有しており、該ケパ式のボトムローラに、トップローラと、該トップローラを介して案内されたトップエプロンと、少なくとも1つのトップエプロンガイドとを備えたトップエプロンアッセンブリが対応配置されていて、しかも該トップエプロンアッセンブリは、トップエプロンが、ケパ式のボトムローラの円周の一部にわたって該ケパ式のボトムローラに巻き掛かるように案内されている形式のドラフト装置を備えた繊維機械に関する。
【0002】
さらに本発明は、請求項28の上位概念部に記載の形式の、ダブルエプロン式のドラフト装置、すなわちスライバをドラフトするための繊維機械、特に紡績機械のドラフト装置であって、メインドラフトゾーンを形成する少なくとも1つの第1および第2のローラペアが設けられており、第1のローラペアがメインドラフト用のボトムローラを有しており、該メインドラフト用のボトムローラに、トップローラと、該トップローラを介して案内されたトップエプロンとを備えたトップエプロンアッセンブリが対応配置されており、メインドラフト用のボトムローラが、該ボトムローラに少なくとも部分的に巻き掛かるボトムエプロンを備えたボトムエプロンアッセンブリの一部である形式のドラフト装置を備えた繊維機械に関する。
【0003】
紡績機械に用いられるドラフト装置とは、紡績プロセスにおいて本来の紡出の前の最後の装置を意味する。ドラフト装置は供給されたスライバ(粗糸)を、横断面で見て約40000本の繊維から約4000本の繊維にまでドラフトするか、もしくは牽伸する。スライバがさらに強力にドラフトされる場合、ハイドラフト(Hochverzug)と呼ばれる。ドラフト時には、できるだけ均一なスライバが生じ、かつ引き続きできるだけ均整な糸が生じるようにするために、繊維が静摩擦の克服下にできるだけ均一に互いに相対的にずらされなければならない。
【0004】
ドラフト装置は一般に、相前後して位置する複数のローラペア(ローラ対)を有しており、これらのローラペアはそれぞれボトムローラと上側の押圧ローラとから成っている。ローラペアを通って実際の紡出へ搬送されるスライバはこれらのローラペアによってその都度クランプされる。ドラフトは、繊維走行方向でローラペア毎に周速が増大するようにローラが駆動されることにより生ぜしめられる。繊維走行方向で見て最後の2つのローラペアの間でのドラフトはメインドラフト(主ドラフト)と呼ばれ、その手前の区分でのドラフトはプレドラフト(前ドラフト)と呼ばれる。すなわち、1つまたは2つのプレドラフトを有する紡績機械が存在している。それに対して、2つのローラペアしか有しない紡績機械、つまり固有のメインドラフトしか行わないような紡績機械は極めて稀である。
【0005】
繊維を互いに離れる方向に引き離すことは、ローラ表面もしくはローラ表面に沿って案内されたエプロンで繊維を連行することにより行われる。このためには、繊維がほぼローラの周速をとらなければならない。搬送したい繊維へのローラ運動の伝達は摩擦によってしか行われ得ない。しかしスライバは、それぞれ個々の繊維がローラと接触するには太すぎるので、このことから個々の繊維への引張力の分配のばらつきが生ぜしめられ、ひいては不均一なドラフトが生ぜしめられる。ドラフトに影響を与える別の要因は、ローラもしくはエプロンとローラとの間のスリップの他に、たとえばスライバ中の繊維の配列、繊維間の付着、繊維長さならびにクランプ間隔である。
【0006】
案内されていない浮遊繊維が多く搬送されればされるほど、ドラフトはますます管理されなくなり、スライバはますます不規則的となり、ひいては紡出される糸も不規則的となる。
【0007】
良好な繊維案内のためには、最後のクランプ点を越えるとメインドラフトが終了されているようなローラペアが寄与する。この場合、しばしば、両ローラのそれぞれが、少なくとも1つの別の変向エレメントと、この変向エレメントとローラとを巡って走行するエプロンとにより補填される。この構造は改善された、延長された繊維案内を保証する。この構造の主問題は、摩擦締結的な力伝達におけるスリップに基づいて生じる回転数差にある。
【0008】
これに対する択一的な手段がケパ(KEPA)式のドラフト装置である。ケパ式のドラフト装置はその発明者であるKernおよびPauenに基づいて命名されたものであって、有利であると判明した前記構造を変更したドラフト装置である。すなわち、メインドラフトを導入するローラペアのボトムローラとケージとが、1つの大型のボトムローラによって代えられており、トップエプロンもしくはケージは特に長尺に形成されており、これによってトップエプロンと大型のボトムローラとが、最適な繊維案内のためにできるだけ長く接触するようになっている。ケパ式のドラフト装置は慣用のドラフト装置と同様に2ローラ式、3ローラ式または4ローラ式のドラフト装置として形成可能である。すなわち、大型のボトムローラは唯1回のドラフトを導入することができるか、または全体ドラフトのために部分的にしか寄与しない。ケパ式のドラフト装置はハイドラフト用ドラフト装置としても使用され、これにより正確な繊維案内に対する要求は一層高まる。このようなドラフト装置は、たとえば欧州特許第0350797号明細書に記載されている。
【0009】
ケパ式のドラフト装置の発明は数十年前に遡るが、しかし構造的および経済的な著しい利点(エプロンに比べた、大型のローラの耐用年数および保守、運動させられる構成要素の点数低減、スリップの低減)にもかかわらず、ケパ式のドラフト装置は経済的に最適に利用され得なかった。なぜならば、汎用的に使用される二重のエプロンガイドの方が、エプロン−ローラガイドに比べて全スライバの管理に関しては相変わらず十分に有利であると認められたからである。
【0010】
そこで、上で述べた公知先行技術に基づき、本発明にとっては、良好な繊維案内に課せられた、高められた要求に一層良好に応えられる、繊維機械、特に紡績機械に用いられるケパ式のドラフト装置とダブルエプロン式のドラフト装置とを提案するという課題が生ぜしめられる。
【0011】
この課題は、請求項1の特徴部に記載の特徴を有する繊維機械、すなわちケパ式のボトムローラとトップエプロンアッセンブリとの間に、少なくとも部分的に互いに接触し合う面のスリップを回避するために、互いに係合し合う凸部および凹部または切欠きによって形状締結的な案内部、特に形状締結的な駆動結合部が形成されていることを特徴とする、繊維機械のケパ式のドラフト装置を有する繊維機械により解決される。
【0012】
さらに上記課題は、請求項28の特徴部に記載の特徴を有する繊維機械、すなわちメインドラフト用のボトムローラの直径が、30mmまたはそれ以上であり、ボトムエプロンが、140゜またはそれ以上の巻掛け角度でメインドラフト用のボトムローラに巻き掛かっていることを特徴とする、繊維機械のドラフト装置を有する繊維機械により解決される。
【0013】
請求項2〜請求項27ならびに請求項29〜55には、本発明の有利な改良形が記載されている。
【0014】
本特許出願の枠内で記載された全ての構成に該当する本発明の本質は、ドラフト装置におけるスリップを低減するか、もしくは取り除くという思想である。このためには、たとえばエプロン間、ローラとエプロンとの間および/またはドラフトローラペアのローラ間で駆動力を少なくとも部分的に、摩擦力に基づいた摩擦締結に代わる形状締結、つまり嵌合いや噛合い等の部材相互の形状的関係に基づいた締結および/または改善された摩擦締結によって伝達することが提案される。トップエプロンは有利には直接的または間接的にトップローラを介してボトムローラにより駆動される。しかし、トップローラもボトムローラも、あるいはトップローラだけが駆動されていてもよい。別の改良形としては、駆動されるボトムローラおよび/またはトップローラの他に、付加的な駆動装置が設けられていてよい。この付加的な駆動装置はボトムローラおよび/またはトップローラあるいはこれに対して択一的にボトムエプロンおよび/またはトップエプロンを駆動することができる。
【0015】
以下において、一方ではケパ式のドラフト装置のための駆動コンセプト、他方では「大型のメインドラフト用のボトムローラを備えたダブルエプロン式のドラフト装置」のための駆動コンセプトを説明する。
【0016】
本発明によるケパ式のドラフト装置は2つまたはそれ以上のローラペアから形成されており、メインドラフトゾーンのトップエプロンアッセンブリにトップエプロンがトップローラとガイドとを介して張設されており、この場合、トップエプロンはメインドラフト用のボトムローラ、つまりケパ式のボトムローラに、円周の一部にわたって巻き掛かる。すなわち、トップエプロンはケパ式のボトムローラの部分円周に沿って走行する。共通の部分巻き掛かりの範囲では、トップエプロンとケパ式のボトムローラとの間にスライバが案内される。この部分円周はケパ式のボトムローラの全円周の1/8またはそれ以上、有利には1/4またはそれ以上、特に1/3またはそれ以上であってよい。さらに、部分円周はケパ式のボトムローラの全円周の1/2またはそれ以下、有利には3/8またはそれ以下であってよい。
【0017】
ケパ式のボトムローラは、さらに下で詳しく説明するように、対応するトップローラもしくは慣用のダブルエプロン式のドラフト装置のメインドラフト用のボトムローラよりも著しく大きく形成されていると有利である。
【0018】
スリップを回避するためには、運動させられる可動部分、たとえばガイドエプロンおよびローラにおいて、形状締結的な案内部、つまり係合に基づいた嵌合いや噛合い等の部材相互の形状的関係に基づいた締結による案内部が設けられている。大型のケパ式のボトムローラとトップエプロンアッセンブリおよび/またはトップローラとは、たとえば互いに対して形状締結式に形成されている。このことは、ケパ式のボトムローラの表面または少なくともその一部が複数の突出部および引込み部を有しており、該突出部および引込み部が、トップエプロンおよび/またはトップローラに設けられた、相補的に形成された複数の引込み部もしくは突出部と係合していることを意味する。すなわち、対応配置されたトップローラにおけるトップエプロンおよび/またはこのトップローラがケパ式のボトムローラに形状締結的に、つまり係合に基づいた嵌合により結合可能に形成されている。トップエプロンはケパ式のボトムローラおよび/またはトップローラおよび/または少なくとも1つの別の駆動エレメントによって駆動され得る。形状締結は歯列の形で提供されていると有利である。すなわち、トップエプロンの内側または外側の表面と、ケパ式のボトムローラの表面とはそれぞれ少なくとも各表面の一部に歯列を有していてよい。
【0019】
ようするに、本発明によるドラフト装置は以下の形状締結的な駆動案内部、たとえば歯列を個々にまたは互いに任意に組み合わされた形で有していてよい:
a トップエプロンが外側歯列を有しており、該外側歯列が、ケパ式のボトムローラに設けられた外側歯列と噛み合っているか、もしくは係合している;
b トップエプロンが内側歯列を有しており、該内側歯列が、トップローラに設けられた外側歯列と噛み合っているか、もしくは係合している;
c トップローラが外側歯列を有しており、該外側歯列が、ケパ式のボトムローラに設けられた外側歯列と噛み合っているか、もしくは係合している。トップローラの外側歯列は上記点bによる外側歯列に相当していてよい。ケパ式のボトムローラの外側歯列は上記点aによる外側歯列に相当していてよい。
【0020】
「歯列」とは、本特許出願の枠内では、相応する機械部分の表面に設けられた複数の凸部および/または凹部もしくは貫通部の任意の配列を意味する。この場合、反対の側の他方の機械部分には、対応して相補的に形成された複数の凹部および/または凸部が設けられているので、前記両機械部分は互いに形状締結的に係合している、つまり互いに噛み合っている。
【0021】
歯列は、一般的な機械工学の歯列技術において使用されるような任意の歯列形式、たとえばインボリュート歯列であると有利である。この場合、エプロンに設けられた歯列における歯高さ、つまり歯たけは有利にはモジュールを上回っておらず、これにより安定性が保証されている。
【0022】
ケパ式のドラフト装置に対する択一的な別のドラフト装置構造は、大型のメインドラフト用のボトムローラを備えたダブルエプロン式のドラフト装置に関するものである。ダブルエプロン式のドラフト装置の大型のメインドラフト用のボトムローラは、その大きさの点でケパ式のドラフト装置と比較可能であるが、しかしボトムエプロンによって少なくとも部分的に巻き掛けられる。以下において、この構成を「大型のメインドラフト用のボトムローラを備えたダブルエプロン式のドラフト装置」と呼ぶ。
【0023】
トップエプロンはケパ式のドラフト装置と同様にメインドラフト用のボトムローラに所定の部分円周にわたり巻き掛かることができ、このメインドラフト用のボトムローラの部分円周は、さらに同じくボトムエプロンによって巻き掛けられる。すなわち、トップエプロンおよびボトムエプロンは本発明のこの改良形ではボトムローラの所定の部分円周に一緒に巻き掛かることができる。「巻き掛かる」とはこの場合、相応するローラの輪郭に従うことを意味する。ボトムエプロンにおいては「巻き掛かる」とはさらに、ボトムエプロンがボトムローラとの巻き掛かり範囲にわたって摩擦締結を形成することを意味する。
【0024】
共通の部分巻き掛かりの範囲では、トップエプロンとボトムエプロンとの間にスライバが案内される。前記部分円周の延在長さは、上でケパ式のドラフト装置に関連して挙げた寸法オーダに相当していてよい。
【0025】
付加的に、メインドラフトゾーンの出口側には、出口ローラへ向かってボトムエプロンのためのガイド(案内装置)が設けられていてよい。このガイドにより、ボトムエプロンは所定の角度で、たとえば接線方向で、繊維流れ方向でボトムローラから離れる方向に走行するようになる。トップエプロンはこの場合、ボトムエプロンの走行に追従すると有利である。これによって、大型のボトムローラと出口ローラペアとの間のスライバの、案内されていない自由な範囲を減少させることが可能となる。
【0026】
また、入口側でトップローラとボトムローラとの間のクランプラインの手間にガイドが設けられていることも考えられる。その場合、このガイドにより、ボトムエプロンの走行経路は所定の角度で、たとえば接線方向で繊維流れ方向とは逆の方向でボトムローラから離れる方向に案内されるようになる。
【0027】
ボトムエプロンガイドの枠内でボトムローラに並んで、繊維ガイド面のジオメトリ(幾何学的形状)を形成する目的のためだけに付加的なエプロンガイドが設けられていると有利である。
【0028】
本発明の改良形では、トップエプロンがメインドラフト用のボトムローラとの部分巻き掛かりを成立させないか、または極僅かな部分巻き掛かりしか成立させないようになっていてもよい。この構成では、ボトムエプロンが、トップエプロンに面した区分においてほぼ接線方向でメインドラフト用のボトムローラから離れる方向に案内されて、繊維流れ方向でメインドラフト用のボトムローラに続いてかつメインドラフト用のボトムローラに対して間隔を置いて配置されたガイド、特に変向ブリッジを介して案内される。ケージ内に案内されたトップエプロンはボトムエプロンと共にトップローラおよびボトムローラのクランプ点と変向ブリッジとの間でスライバのためのガイドゾーンを形成する。
【0029】
特にエプロンガイドを備えた前記ボトムローラの場合、ボトムエプロンは慣用のボトムエプロンガイドとは異なり、メインドラフト用のボトムローラの著しく大きな部分円周にわたって案内される。これによって、ボトムローラとボトムエプロンとの間のスリップは著しく減じられる。さらに、メインドラフト用のボトムローラは、あとで詳しく説明するようなエプロンのための特別な走行面を得る。
【0030】
大型のボトムローラにおけるボトムエプロンの巻掛け角度αは有利には140゜またはそれ以上、好ましくは180゜またはそれ以上である。さらに巻掛け角度αは有利には270゜またはそれ以下、特に225゜またはそれ以下である。巻掛け角度はボトムローラの、エプロンが接触しかつ相応して駆動伝達を受ける円周範囲を規定する。
【0031】
有利な構成では、ボトムエプロンの変向が、ボトムローラおよび該ボトムローラと出口ローラとの間に配置された変向ブリッジとを介してのみ行われる。
【0032】
本発明による「大型のメインドラフト用のボトムローラを備えたダブルエプロン式のドラフト装置」はさらに、以下に挙げる駆動案内部もしくは歯列を個々の形で、または互いに任意に有利に組み合わされた形で有していてよい:
a.ボトムエプロンが内側歯列を有しており、該内側歯列が、メインドラフト用のボトムローラに設けられた外側歯列と噛み合っているか、もしくは係合している;
b.ボトムエプロンが外側歯列を有しており、該外側歯列が、トップエプロンに設けられた外側歯列と噛み合っているか、もしくは係合しており;
c.トップエプロンが外側歯列を有しており、該外側歯列が、メインドラフト用のボトムローラに設けられた外側歯列と噛み合っているか、もしくは係合しており;
d.トップエプロンが内側歯列を有しており、該内側歯列が、トップローラに設けられた外側歯列と噛み合っているか、もしくは係合しており;
e.トップローラが外側歯列を有しており、該外側歯列が、メインドラフト用のボトムローラに設けられた外側歯列と噛み合っているか、もしくは係合している。両ローラの外側歯列は上記点aもしくはdによる外側歯列に相当していてよい;
f.ボトムエプロンが外側歯列を有しており、該外側歯列が、トップローラに設けられた外側歯列と噛み合っているか、もしくは係合している。
【0033】
以下の説明は、本発明によるケパ式のドラフト装置にも、本発明による「大型のメインドラフト用のボトムローラを備えたダブルエプロン式のドラフト装置」にも該当する。
【0034】
形状締結的な駆動結合部は、スライバが位置する範囲に並んで位置していて、かつ/またはスライバの載着部の範囲にわたって延びていてよい。両ローラが形状締結的な駆動結合部を形成する場合、これらの駆動結合部はエプロン走行路の側方外側に位置していると有利である。
【0035】
「大型のボトムローラ」とは有利には、ケパ式のドラフト装置のために使用されるようなボトムローラを意味する。大型のボトムローラの直径Dは有利には30mmまたはそれ以上、好ましくは35mmまたはそれ以上、特に40mmまたはそれ以上、特に有利には50mmまたはそれ以上である。直径Dは有利には100mmまたはそれ以下、好ましくは80mmまたはそれ以下、特に70mmまたはそれ以下である。特に有利な直径範囲は45〜60mmである。大型のボトムローラを有する、ボトムエプロンガイドを有するか、または有しないメインドラフト用のドラフト装置ローラペアは、1.2またはそれ以上、特に1.5またはそれ以上、有利には1.8またはそれ以上の、ボトムローラ対トップローラの有利な直径比を有している。この直径比は有利には3またはそれ以下、特に2.5またはそれ以下、好ましくは2.2またはそれ以下である。
【0036】
繊維案内長さ、つまり繊維がトップエプロンとボトムエプロンもしくはケパ式のボトムローラとの間で案内される距離は、加工したい原料、たとえば木綿繊維または化学繊維ならびにそのパイル長さに関連している。繊維案内長さは、これまでダブルエプロン式のドラフト装置において使用されていた繊維案内長さにほぼ相当していると有利である。
【0037】
両ドラフト装置構成では、メインドラフト用のボトムローラもしくはケパ式のボトムローラが、ボトムエプロンもしくは繊維のための最適な付着特性を有する、外側に位置する層もしくはプラスチックから成る走行面を有していてよい。このプラスチックは有利にはエラストマ、特にゴムである。このゴムは、たとえば天然ゴムおよび/または合成ゴムから製造されている。
【0038】
外側に位置する層は有利には0.5mmまたはそれ以上、特に1mmまたはそれ以上の厚さを有している。外側に位置する層は有利には10mmまたはそれ以下、特に5mmまたはそれ以下の厚さを有している。
【0039】
ボトムエプロンの走行面を形成する、外側に位置する層は、溶接や接着等の素材に基づいた素材締結(stoffschluessig)、部材相互の形状的関係に基づいた形状締結(formschluessig)、部材相互の摩擦力に基づいた摩擦締結(reibschluessig)もしくは力に基づいた力締結(kraftschluessig)により、ボトムローラに被着されていてよい。この層は被覆体として提供されているか、またはローラに被せられたバンド状のエレメントとして提供されているか、またはボトムローラに被せられかつこのボトムローラにしっかりと、つまり摩擦締結的に接触したバンド状の中空円筒エレメントとして提供されていてよい。本発明の改良形では、対応するトップローラも、前で挙げた形式のトップエプロンのための走行面を備えていてよい。
【0040】
メインドラフト用のボトムローラはメインドラフトゾーンへの入口ローラである。このメインドラフトゾーンは場合によっては1つまたは複数のプレドラフトゾーンに続いている。本発明による両構成によりローラ間のスリップが取り除かれるか、または少なくとも許容し得るレベルにまで低減されるので、プレドラフトゾーンを不要にすることもできる。すなわち、ドラフト装置は1つのドラフトゾーンからのみ、つまりメインドラフトゾーンからのみ成っていてもよい。大型のメインドラフト用のボトムローラを備えた唯一つのドラフトゾーンへの入口ローラペアには、クランプギャップを備えたローラペアの代わりに粗糸テンション装置が直接にまたは間接的に前置されていてよい。この粗糸テンション装置は繊維粗糸(Faserlunte)、つまりスライバに、入口ローラペアに向かって相応してプレロードもしくはプレテンションをかける。このようなテンション装置の例は後続の実施例に挙げられている。
【0041】
本発明によるドラフト装置を備えた繊維機械は、相応して機械長手方向で相並んで配置された多数のドラフト装置を有している。これらのドラフト装置は一方の機械側にしか配置されていないか、または相応して鏡像反転した形で両機械側に配置されていてよい。
【0042】
大型のメインドラフト用のボトムローラは、機械長手方向で一方の機械側の全ての作業部または複数の作業部にわたって延びる、1つまたは複数の中央の駆動装置を備えた1つのボトムシリンダとして形成されていてよい。本発明の有利な構成では、各ドラフト装置または2つの隣接し合ったドラフト装置から形成されたツインドラフト装置が、それぞれ1つの専用のメインドラフト用のボトムローラを有しており、このメインドラフト用のボトムローラは同一の繊維機械の別のドラフト装置のメインドラフト用のボトムローラとは別個に独立して形成されている。相応して、ボトムローラもしくはツインボトムローラはそれぞれ個別に駆動される。このことは、たとえば前記ボトムローラに専用の駆動装置が対応配置されているか、またはボトムローラが、相応する伝達手段もしくは伝動装置を介して、たとえば摩擦駆動装置、歯車駆動装置または歯付きベルト駆動装置によって、機械長手方向で全ての作業部または複数の作業部にわたって延びる、中央駆動された1つのシリンダからトルクを取り出すことにより行われ得る。駆動装置コンセプトに応じて、相応して構成された駆動装置制御部が設けられている。これにより、ドラフト装置もしくはツインドラフト装置は、たとえばドイツ連邦共和国特許第3904348号明細書に記載されているように、別の(ツイン)ドラフト装置とは別個に独立して運転され得るか、または運転停止され得る。
【0043】
互いに別個に独立して形成されたドラフト装置ローラもしくはドラフト装置ツインローラは、僅かな手間をかけるだけで簡単に別のドラフト装置ローラ構成アッセンブリと交換することのできる構成アッセンブリとして構成されていてよい。こうして、個々のドラフト装置もしくはツインドラフト装置を、ドラフト装置ローラ構成アッセンブリの交換によって、この(ツイン)ドラフト装置で製造したい製品、たとえば糸に個別に適合させることができる。同じことは、互いに相対的なローラの調節可能性およびドラフト装置における別のジオメトリ(幾何学的形状)に対するローラの調節可能性に云える。
【0044】
ボトムローラを個々のドラフト装置もしくはツインドラフト装置にセグメント分割することにより、たとえばローラ間隔を個別に調節することができる。
【0045】
個々のドラフト装置もしくはツインドラフト装置が別のドラフト装置とは別個に独立して駆動されて制御されると、同一の紡績機械において種々異なる糸番手を加工することができる。さらに、同一の紡績機械において種々異なる原料もしくは原料組成を加工し、ひいては種々の紡出部において種々異なる材料から成る糸を製造することもできる。ドラフト装置は、製造したい糸に相応するドラフト装置ローラ構成アッセンブリを支持していて、相応する調節量、たとえばローラ間隔を有している。さらに、同一の紡績機械において標準の糸の他にエフェクトヤーンを製造することもできる。このためには、ドラフト装置が相応して個別に制御される。すなわち、製造したい糸に応じて、個々のドラフト装置において種々異なる紡出プログラムが実行される。
【0046】
ドラフト装置のドラフトゾーンの出口側では、さらに、特に紡績機械において、機械式またはニューマチック式の集束装置(Verdichtungseinrichtung)が配置されていてよい。この集束装置はドラフトされたスライバを集束させる。ドラフト装置に続いて、つまりドラフト機構または集束装置に続いて、形成したい糸のための加撚・巻取り装置が続いている。
【0047】
繊維機械は、リング精紡機、ファンネル精紡機、ポット精紡機または空気ノズル精紡機であってよい。さらに、本発明によるドラフト装置はフライヤのためにも適している。紡績機械ではドラフト装置に、エフェクトヤーンおよび/またはコアヤーン(コア糸)を製造するための付加的なユニットが据え付けられていてよい。コアヤーンの場合、このことはたとえば変向ガイドであってよい。この変向ガイドは入口側で出口ローラペアもしくは撚りブロックギャップ(Drehungssperrspalt)のクランプギャップにコアヤーンを供給する。
【0048】
以下に、本発明を図面につき詳しく説明する。以下の説明は本発明を限定するものではなく、例示的であるに過ぎない。特にドラフト装置は一貫して3ローラドラフト装置として図示されているが、このことも本発明を限定するものではなく、単に説明を分かり易くするためのものである。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明による第1のドラフト装置の配置を概略的に示す横断面図である。
【図2a】本発明による第2のドラフト装置の配置を概略的に示す横断面図である。
【図2b】入口範囲におけるスライバガイドの第1実施例を示す概略図である。
【図2c】入口範囲におけるスライバガイドの第2実施例を示す概略図である。
【図2d】入口範囲におけるスライバガイドの第3実施例を示す概略図である。
【図2e】入口範囲におけるスライバガイドの第4実施例を示す概略図である。
【図2f】入口範囲におけるスライバガイドの第5実施例を示す概略図である。
【図3】ドラフト装置に配置された、運動させられるエレメントに設けられた歯列を示す斜視図である。
【図4】本発明による第3のドラフト装置の配置を概略的に示す横断面図である。
【図5】本発明による第4のドラフト装置の配置を概略的に示す横断面図である。
【図6】本発明による第5のドラフト装置の配置を概略的に示す横断面図である。
【図7a】ローラ軸線に対して直交する横方向で見たケパ式のドラフト装置の配置を示す概略図である。
【図7b】図7aに示したケパ式のドラフト装置の配置の変化実施例を示す概略図である。
【図8a】大型のボトムローラを備えた本発明によるダブルエプロン式のドラフト装置の横断面図である。
【図8b】繊維機械における、図8aに示したドラフト装置の配置を示す平面図である。
【図9】大型のボトムローラを備えた別のダブルエプロン式のドラフト装置の配置を示す横断面図である。
【0050】
全ての図面は、ドラフト装置が繊維機械に組み込まれていることを前提としている:スライバ39は矢印方向でドラフト装置に供給され、このドラフト装置を通って作業部(図示しない)、特に紡出装置へ搬送される。それぞれ上下一対となった入口ローラペア1とミドルローラペア2との間でのプレドラフト(図示しない)は必ずしも必要ではない。また、プレドラフトなしのドラフト装置または複数のプレドラフト用ローラペアを備えたドラフト装置も考えられる。しかし、図面を見易くするために一般に3ローラドラフト装置が図示されている。この3ローラドラフト装置の第1のローラペア1と第2のローラペア2との間では一般にプレドラフトが行われ、第2のローラペア2と第3のローラペア3との間では一般にメインドラフトが行われる。
【0051】
以下に、本発明の実施例を図面につき詳しく説明する。
【0052】
図1には、スライバ39をドラフトするための本発明によるケパ(KEPA)式のドラフト装置が示されている。このケパ式のドラフト装置では、大型のケパ式のボトムローラ10も、トップエプロンアッセンブリ50のトップエプロン30も、その互いに対応し合った面において歯列付けされて形成されており、この場合、たとえ如何なる種類の歯列であろうが、この歯列によってボトムローラ10とトップエプロン30との間には形状締結、つまり係合や噛合いのような形状に基づいた締結が生ぜしめられる。歯列はボトムローラ10に関しては符号11で、トップエプロン30に関しては符号31でそれぞれ示されている。このような装置は第1にトップエプロン30とボトムローラ10との間のスリップを回避するが、しかしボトムローラ10に沿った確実な繊維付着をも保証し、ひいては改善された案内をも保証する。トップエプロン30はトップローラ20(押圧ローラとも呼ばれる)を巡って案内されている。トップエプロンアッセンブリ50は負荷アーム(図示しない)に保持されていてよい。特に有利な構成では、トップエプロン30が、弾性的なガイド14によって付加的にボトムローラ10に押圧される。トップローラ13とボトムローラ12とを備えた出口ローラペア3は、集束ユニット(Verdichtungseinheit)のための例として理解され得る。トップエプロン30は付加的な1つのガイド8または複数のガイド8,9を有していてよい。ドラフトされたスライバ40は出口ローラペア3から作業部の方向へ進出する。
【0053】
図2aには、図1に示したケパ式のドラフト装置の実施例に相当する構成が示されているが、ただしこの構成は入口ローラペアを有しておらず、つまりプレドラフトを有していない。その代わりに、スライバ39の進入範囲41には、コンデンサもしくは集束器および/またはブレーキの形もしくは機能のガイドが配置されている。このガイドは、第1のドラフトローラペア2に供給されるスライバ39に、該スライバ39をドラフトすることなしにプレロードもしくはプレテンションをかけるという役割を有している。プリロードもしくはプレテンションの付与は、前記ガイドが、通過して行くスライバ39に抵抗を加えかつスライバ39をたとえば制動することにより行われる。それと同時に、スライバは機械的にまとめられ、すなわち集束(kondensieren)され得る。抵抗は、ガイドにおける滑り抵抗を高めることにより形成される。このことは、たとえばばね弾性的なクランプ作用を持って、あるいはばね弾性的なクランプ作用なしに通過部を狭めること、またはたとえばローラを介してスライバを変向させることにより行われ得る。
【0054】
進入範囲41におけるこのようなガイドの詳細は図2b、図2c、図2d、図2e、図2fに示されている。進入するスライバは図2b〜図2fにおいてそれぞれ破線で描かれている。図2b〜図2fに示したガイドは図2aに示した進入範囲41において、スライバがそれぞれ矢印方向に供給されるように配置されている。
【0055】
図2bには、繊維流れ方向における狭隘部を備えた、剛性的に形成されたコンデンサ43が図示されている。スライバ39はこの狭隘部を通過しなければならない。図2cには、ばね弾性的な側壁を備えた、同じく繊維流れ方向に狭隘したコンデンサ44が図示されている。図2dには、ピン、ローラまたはストリップの形の変向ガイド45が図示されている。この変向ガイド45においてスライバは変向され、これにより生じる摩擦抵抗により相応して制動される。図2fには、それぞれペアになって相前後して配置された剛性的またはばね弾性的な多数の薄板の形の集束ガイド47が図示されている。この集束ガイド47はそれぞれやはり繊維流れ方向に狭隘した作用をスライバに加える。図2eには、曲げられた金属薄板またはモノリシック体として形成された、繊維流れ方向に狭隘した溝46の形のコンデンサが図示されている。
【0056】
上記ガイドを備えたプレドラフトなしのドラフト装置は、本発明によるケパ式のドラフト装置にも、「大型のメインドラフト用のボトムローラを備えたダブルエプロン式のドラフト装置」にも、図面に示した全ての実施態様にも使用可能である。相応して、プレドラフト、ひいては相応する(プレドラフト用)ローラペアは除去される。
【0057】
図3には、図1に示したケパ式のドラフト装置の変化実施例が概略的に図示されている。この実施例では、ボトムローラ10およびトップエプロン30の全幅がそれぞれ歯列付けされて形成されているのではなく、それぞれ所定の部分範囲だけが歯列付けされて形成されている。この場合、それぞれトップエプロン30の縁範囲21,22およびボトムローラ10の縁範囲23,24だけが凸部もしくは凹部を有している。これらの凸部もしくは凹部は運転時に形状締結的な結合、つまり係合や噛合い等の形状に基づいた結合を成立させるが、しかし繊維案内範囲25は欠歯部のままとなる。言い換えれば、繊維案内範囲25には、形状締結的な表面構造が存在していない。この変化実施例は、特に敏感な繊維のために適している。なぜならば、繊維は形状締結部により案内部からの側方進出を阻止されるが、しかしこの形状締結部によって圧潰される恐れがないからである。また、それぞれこの装置の一方の側の縁範囲、たとえば縁範囲22,23にのみ歯列付けすることも考えられる。また、トップエプロン30およびボトムローラ10の別の任意の部分範囲を互いに形状締結により結合することも考えられる。
【0058】
図4には、図1に示した実施例による本発明によるケパ式のドラフト装置が示されている。ただし図4に示した実施例では、図1の実施例とは異なり、トップエプロン30ではなく、トップローラ20の外面と大型のボトムローラ10の外面とがそれぞれ外側歯列11,32を付与されて形成されている。歯列付けはこの場合にも、有利には一方の縁範囲または両縁範囲で、つまり繊維案内範囲もしくはエプロン案内部の外側で行われる。
【0059】
図5には、図1、図2aおよび図4に示した本発明によるケパ式のドラフト装置が示されているが、ただし図5に示した実施例では、大型のケパ式のボトムローラ10が外側歯列11を有しており、トップローラ20が外側歯列32を有しており、トップエプロン30がその内面に内側歯列33を有している。
【0060】
この場合、種々の変化実施例が可能である:ボトムローラ10ならびに対応するトップローラ20および/またはトップエプロン30が繊維走行方向でスライバ39のための搬送面に並んで一方の側または両方の側に歯列付けされて形成されていてよい。また、同一の配置において種々異なる歯列付けを使用することも可能である。すなわち、トップエプロン30およびトップローラ20が少なくとも所定の部分範囲に、形状締結的な結合のための歯列を有しており、トップエプロン30の別の範囲が、ボトムローラ10と形状締結を成立させることのできる表面を有している。さらに、トップエプロン30がトップローラ20に(31,32)、トップローラ20が、場合によっては付加的な歯列を介してボトムローラ10に(32,11)、それぞれ形状締結的に結合されていることも考えられる。
【0061】
図6には、とりわけトップエプロン30のための付加的な駆動装置35を備えたケパ式のドラフト装置の実施例が示されている。この場合、図1〜図5に示した全てのローラ・エプロン配置が考えられる。また、この付加的なトップエプロン駆動装置がどの個所に配置されているべきかは本発明にとって重要ではない。当該トップエプロン駆動装置はエプロンの内側に配置されていても外側に配置されていてもよい。この場合、複数の変向エレメントのうちの1つが駆動装置35として形成されていることにより、駆動装置35はトップエプロンアッセンブリ50の内側に形成されている。「トップエプロンアッセンブリ」とは、以下の構成要素を意味する;トップローラ20、トップエプロン30およびたとえば別の変向エレメント、有利には図8aに示したケージ116。付加的な駆動装置35はエプロンと共にやはり形状締結的な結合、たとえば歯列による噛合いを成立させることができる。
【0062】
図7aには、ケパ式のドラフト装置アッセンブリ91を、ローラ軸線に対して直交する横方向で見た図が示されている。ケパ式のドラフト装置アッセンブリ91はケパ式のボトムローラ95を有しており、このボトムローラ95は歯列94を備えている。この歯列94は対応するトップローラ97に設けられた歯列93と係合している、つまり噛み合っている。両歯列94,93の間に一点鎖線で示した歯列のピッチ円は、スライバ39のための載着面の範囲におけるボトムローラ95の外径と同じ直径を有していると有利である。付加的にトップローラ97には歯列102が設けられていてよい。この歯列102はトップエプロン100に設けられた内側歯列99と噛み合う。これに対して択一的に、またはこの歯列に対して付加的に、スライバ39の範囲におけるトップローラ97の外面に溝、突起等のプロファイリング部(断面成形部)または歯列98が設けられていてよい。このプロファイリング部または歯列98はトップエプロン100に設けられた内側歯列または内側プロファイリング部と係合している。さらに、前記実施例と同様に、付加的にボトムローラ95およびトップエプロン100の外側にプロファイリング部または歯列96が設けられていてよい。ボトムローラ95もしくはトップローラ97のための支承装置92;101が概略的に図示されている。
【0063】
図7bには、種々の変化形の形の別の構成が示されている:
ボトムローラ95はトップローラ97とのクランプ範囲の外側に歯列103を有しており、この歯列103はトップエプロン100に設けられた外側歯列104と係合している、すなわち噛み合っている。一点鎖線で示したこれらの歯列のピッチ円は、スライバ39の載着部の範囲におけるボトムローラ95の外径と等しい大きさであると有利である。これに対して付加的にまたは択一的に、ボトムローラ95の外周面には歯列96(破線で示す)が設けられていてよい。この歯列96はトップエプロン100に設けられた対応する歯列と係合する。図7aおよび図7bに示した実施例における歯列96は、スライバ39が位置する範囲に並んで配置されていてもよいし、あるいはまたスライバ39の載着部の範囲にわたって延びていてもよい。付加的にトップエプロン100の内側が歯列を有していてよく、その場合、この歯列はトップローラ97に設けられた外側歯列98と係合する。このことは特に、付加的にボトムローラ95がトップローラ97とのクランプ範囲の外側に、トップローラ97の歯列93と係合する歯列94を有している場合に有利である。ボトムローラ95もしくはトップローラ97のための支承装置は符号92,101で示されている。もちろん、ボトムローラ95とトップエプロンアッセンブリ91との間もしくはこのアッセンブリの内部に設けられた、スリップを減少させるか、もしくはスリップを回避する歯列の数が多ければ多いほど、ドラフト装置の機能はますます精密となる。
【0064】
ドラフト装置のボトムローラ95の出口側には、ガイド、特にコンデンサ84または押圧ロッドおよび/または穿孔された表面72を備えたサクションローラ71またはスライバを接触搬送するための穿孔されたエプロンが配置されていてよい(図9参照)。
【0065】
図8aには、大型のメインドラフト用のボトムローラ112を備えたダブルエプロン式のドラフト装置の実施例が示されている。ボトムローラ112を介してボトムエプロン114が案内されている。大型のボトムローラ112はその円周の1/2よりも多い範囲にわたってボトムエプロン114により巻き掛けられる。ボトムエプロン114は出口側で変向ブリッジの形のガイド118を介して、出口ローラペア110,111の間のクランプラインの近傍にまで近付けられる。変向ブリッジ118はボトムエプロン114を繊維案内方向からボトムローラ112の方向へ変向させる。オプショナル(選択的)に、押圧ローラ119の形の別のガイドエレメントが設けられていてよい。その場合、この押圧ローラ119はボトムエプロン114をボトムローラ112の外周面に近付けるか、または押圧する。さらに、側方制限手段120、たとえば側方のガイドエレメントが設けられていてよい。その場合、この側方制限手段120の働きにより、ボトムエプロン114はボトムローラ112からそらされたり、ボトムローラ112を越えて脱落したりしなくなる。側方制限手段120は上で挙げたガイドエレメントもしくは押圧ローラ119と連結されていてよい。
【0066】
トップエプロン115は対応するトップローラ113を巡って案内されていて、ケージ116内で走行する。ボトムエプロン114は繊維流れ方向において所定の角度で、たとえば接線方向でボトムローラ112の周面から変向ブリッジ118を介してできるだけ出口ローラペア110,111のクランプギャップの近傍にまで近付けられる。トップエプロン115はこの範囲ではエプロンケージ116によって案内されて、ボトムエプロン114に接触し、この場合、両エプロンは1つの繊維案内範囲を形成する。トップエプロン115はこの場合、変向ブリッジ118にまでボトムエプロン114に追従する。一対の出口ローラペア110,111のクランプギャップから進出した、ドラフトされたスライバ40は引き続き作業部、特に紡出装置に供給される(図示しない)。図示の出口ローラペア110,111の代わりに、または出口ローラペア110,111に対して付加的に、メインドラフトゾーンにニューマチック式の集束装置(図示しない)が後置されていてもよい。
【0067】
メインドラフト用のボトムローラ112ならびに変向ブリッジ118、ガイドエレメント119および側方制限手段120は保持装置205に支承されるか、もしくは保持される。
【0068】
メインドラフト用のローラペア112,113には、一対の入口ローラペア202,204が前置されている。メインドラフト用のローラペア112,113と入口ローラペア202,204との間には、プレドラフトゾーンが形成される。既に上で述べたように、入口ローラペア202,204およびプレドラフトゾーンを不要にすることもできる。その代わりに、上で挙げた、スライバにプレロードもしくはプレテンションをかけるためのガイドエレメントが設けられていてよい。トップローラ111,113,202は負荷アーム213に支承されている。
【0069】
図8bには、図8aに示した、繊維機械、たとえば紡績機械またはフライヤの長手方向に相並んで配置された多数のドラフト装置を上から見た平面図が概略的に図示されている。たとえば4つのドラフト装置200a,200b,200c,200dが図示されている。これらのドラフト装置はそれぞれ1つのドラフト装置に対応する作業部、たとえば紡出装置を操作する。これらのドラフト装置は機械長手方向に一貫して延びる1つの入口ローラ204ならびに一貫して延びる1つの出口ローラ110を有している。各ドラフト装置には、それぞれ1つの真ん中の大型のメインドラフト用のボトムローラ112が対応配置されており、このメインドラフト用のボトムローラ112はボトムエプロン114によって巻き掛けられている。ボトムエプロン114は付加的に変向ブリッジ118を介して案内されている。ボトムローラ204,112,110には、それぞれ対応するトップローラ202,113,111が対応配置されている(図示しない;図8a参照)。これらのトップローラ202,113,111は負荷アーム213を介して、対応するボトムローラに押圧され、当該ボトムローラと共にクランプラインを形成する。入口ローラ204とメインドラフト用のボトムローラ112との間には、プレドラフトゾーンが形成される。メインドラフト用のボトムローラ112と出口ローラ110との間には、メインドラフトゾーンが形成される。このメインドラフトゾーンでは、トップエプロン115とボトムエプロン114との間にスライバが案内されている。
【0070】
負荷アーム213は機械フレームに設けられた保持装置203に取り付けられている。負荷アーム213は共通の軸線を有するツイントップローラペアを収容しており、これらの共通の軸線はそれぞれ2つの隣接し合ったドラフト装置、つまり「ツインドラフト装置201a,201b」に対応している。すなわち、2つの隣接し合ったドラフト装置のために1つの負荷アーム213が設けられている。メインドラフト用のボトムローラ112は個々に形成されているか、または同じく図8bに図示されているように、共通の軸線208を有するツインローラペアとして形成されていてよい。これに対して択一的に、ドラフト装置のメインドラフト用のボトムローラ112は入口ローラおよび出口ローラと同様に、1つの共通のドラフト装置シリンダによって形成されていてもよい。このドラフト装置シリンダは繊維機械の長手方向に複数の(たとえば1つのセクションにわたって)紡出部または全ての紡出部にわたって延びていて、中央で駆動される。構成に応じて、メインドラフト用のボトムローラ112は1つの共通の駆動装置またはそれぞれ専用の個別の駆動装置を有している。
【0071】
メインドラフト用のボトムローラ112は保持装置205に支承されている。この保持装置205は機械フレームに取り付けられている。メインドラフト用のボトムローラ112またはメインドラフト用のツインローラペア1つ当たり、1つの保持装置が設けられていてよい。メインドラフト用のボトムローラ112はその両軸端部を介して保持装置205に支承されている。メインドラフト用のツインローラペアは図8bに図示されているように、その結合軸を介して片持ち支承式に保持装置205に支承されていてもよい。このためには、保持装置205に、相応する収容部209が設けられている。
【0072】
変向ブリッジが設けられている場合、この変向ブリッジは同じく結合個所210を介して保持装置205に取り付けられている。変向ブリッジは一貫して延びていてよい、すなわち機械長手方向で全ての紡出部または多数の紡出部にわたり延びていてよいか、あるいは各ドラフト装置もしくは各ツインドラフト装置にそれぞれ専用の変向ブリッジが対応配置されていてよい。すなわち、変向ブリッジは機械長手方向で、1つまたは2つまたはそれ以上のドラフト装置にわたって延びる複数のセグメントに分割されている。
【0073】
メインドラフト用のボトムローラもしくはメインドラフト用のツインローラペアは、ローラ軸の持上げにより保持装置から取り出されて少数のハンドグリップを用いるだけで交換され得る構成アッセンブリとして形成されていると有利である。
【0074】
前で述べたように、プレドラフトを不要にすることもできる。その場合には、ドラフト装置は入口ローラ204を有しない。スライバはプレテンション装置もしくはプレロード装置を介して、メインドラフト用のボトムローラと、対応するトップローラとの間のメインドラフトゾーンに供給される。
【0075】
図示の出口ローラペア110,111の代わりに、または図示の出口ローラペア110,111に対して付加的に、メインドラフトゾーンにはニューマチック式の集束装置(図示しない)が後置されていてもよい。
【0076】
図8bに示した繊維機械におけるドラフト装置配置は、ケパ式のドラフト装置にも適用される。その場合には、ドラフト装置はボトムエプロンや変向ブリッジを有しない。
【0077】
図9に示した実施例は、大型のメインドラフト用のボトムローラ64を備えたダブルエプロン式のドラフト装置の別の実施態様を示している。この大型のメインドラフト用のボトムローラ64を介してボトムエプロン65が案内されている。このドラフト装置配置は入口ローラペア60と、中間ローラペア61と、出口ローラペア62とを有しており、中間ローラペア61はメインドラフト用のボトムローラ64と、対応するトップローラ66とから成っている。トップローラ66は部分的にトップエプロン68によって、ボトムローラ64は少なくとも部分的にボトムエプロン65によって、それぞれ巻き掛けられている。トップエプロン68はボトムローラ64に部分周面にわたって相補的に巻き掛かっていて、ボトムエプロン65共にこの区分において繊維ガイドを形成している。
【0078】
本発明によるドラフト装置は以下の形状締結的な案内部もしくは歯列を有している:
a.ボトムエプロン65が内側歯列81を有しており、この内側歯列81はボトムローラ64に設けられた外側歯列63と噛み合う;
b.トップエプロン68が内側歯列69を有しており、この内側歯列69はトップローラ66に設けられた外側歯列67と噛み合う;
c.トップローラ66が外側歯列67を有しており、この外側歯列67はボトムローラ64に設けられた外側歯列63と噛み合う。
【0079】
入口側および/または出口側では、付加的にボトムエプロン65のためのガイド77,78が配置されていてよい。これらのガイド77,78はドラフト時に入口側ではドラフトゾーンへのスライバ39の案内、ひいてはコントロールを改善し、出口側ではドラフトゾーンからのスライバの案内、ひいてはコントロールを改善する。ガイド77,78により、ボトムエプロンはそれぞれボトムローラの周方向から外方へ向かって、たとえば接線方向に離れる方向に案内され、ガイド77,78を巡って変向され、かつ再びボトムローラ64へ向かって案内されるようになる。こうして、スライバは早めにエプロンガイドによって入口ローラペア60から取り出されるか、もしくは遅めに出口ローラペア62に引き渡される。トップエプロンガイドは、このトップエプロンガイドが入口側および出口側でボトムエプロンガイドに追従し、かつボトムエプロンガイドと共に両ガイド77,78の間に1つの繊維案内範囲を形成するように形成されている。付加的なガイド78または両ガイド77,78は、トップエプロン68とボトムエプロン65との間にスライバ39のための適当な案内長さLが生ぜしめられるように配置され得る。
【0080】
トップローラ70およびボトムローラ71を有する出口ローラペアは出口クランプラインを形成し、ひいてはドラフトゾーンの終端部を形成する。トップエプロン68の内部には、トップエプロン68を案内するケージ75が配置されている。このケージ75はボトムローラ64から所定の間隔を有している。この間隔、つまり開口幅を維持するか、または変えるためには、スペーサ部材85が設けられていてよい。このスペーサ部材85は、有利にはボトムローラ64の支承部とケージ75のケージガイド86との間に挿入されている。この場合、前記間隔を変えるためにはスペーサ部材85の種々の構成を使用することができる。スペーサ部材85は直接にケージ75とボトムローラ64との間に挿入されていてもよい。1つのスペーサ部材85に対して択一的に、ボトムローラ64からのケージ75の間隔は作動装置74によって二重矢印で示した方向に可変であってもよい。この作動装置74は作動ねじ、作動レバー、ピストンシリンダユニット等として形成されていてよい。さらに、トップエプロン68のための別の変向ガイド76が設けられていてよい。
【0081】
前記ドラフト装置はさらに、ドラフトゾーンに続いた集束装置82を有している。この集束装置82はメインドラフト用のボトムローラ64の出口側でスライバをニューマチック式に集束する。集束装置82はサクションローラ71を有しており、このサクションローラ71内にはサクション装置80が設けられている。サクションローラ71はパ―フォレーション(穿孔)72を有している。サクションローラ71の代わりに、穿孔されかつ吸引された、循環するエプロンが設けられていてもよい(図示しない)。サクションローラ71もしくは吸引されたエプロンは駆動装置により駆動される。このことは、たとえばボトムローラ64とサクションローラ71もしくは穿孔されたエプロンとの間で中間ローラ79によりボトムローラ64の運動が、規定された周速でサクションローラ71または穿孔されたエプロンへ伝達されることにより実現され得る。しかし、サクションローラ71を直接に駆動することもできる。
【0082】
集束装置82の出口側および/または該集束装置82が設けられていない場合にはボトムローラ64の出口側には、作業部、特に紡績機械における形成したい糸のための加撚・巻取り装置が続いている。集束装置82の周囲には、撚りの逆行をブロックする撚りブロックローラ83が配置されている。この撚りブロックローラ83はドラフトされたスライバ40をサクションローラ71の周面にクランプし、これにより撚りが加撚装置から集束範囲またはドラフト範囲へ逆行し得なくなる。撚りブロックローラ83に対して付加的に、別のトップローラ70が配置されている。このトップローラ70はドラフトゾーンの出口クランプラインを形成する。集束装置82に対して択一的に、または集束装置82に対して付加的に、スライバ40を集束させるために、メインドラフト用のボトムローラ64の出口側に機械的な集束器84が配置されていてよい。さらに、ドラフト装置はコア糸を供給するための変向ガイド73を有していてよい。
【0083】
図9に示した実施例において説明した特徴は、ボトムエプロンアッセンブリ、対応するボトムエプロンガイドおよびボトムエプロンと噛み合う歯列を除いて、基本的にケパ式のドラフト装置にも適用される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スライバ(39)をドラフトするための繊維機械、特に紡績機械のケパ式のドラフト装置であって、メインドラフトゾーンを形成する少なくとも1つの第1および第2のローラペア(2,3)が設けられており、第1のローラペアがケパ式のボトムローラ(95)を有しており、該ケパ式のボトムローラに、トップローラ(97)と、該トップローラ(97)を介して案内されたトップエプロン(100)と、少なくとも1つのトップエプロンガイド(75)とを備えたトップエプロンアッセンブリ(91)が対応配置されていて、しかも該トップエプロンアッセンブリ(91)は、トップエプロン(100)が、ケパ式のボトムローラ(95)の円周の一部にわたって該ケパ式のボトムローラ(95)に巻き掛かるように案内されている形式のものにおいて、ケパ式のボトムローラ(95)とトップエプロンアッセンブリ(91)との間に、少なくとも部分的に互いに接触し合う面のスリップを回避するために、互いに係合し合う凸部および凹部または切欠きによって形状締結的な案内部、特に形状締結的な駆動結合部が形成されていることを特徴とする、繊維機械のケパ式のドラフト装置。
【請求項2】
トップエプロン(100)に対応配置されたトップローラ(97)と、ケパ式のボトムローラ(95)とが、互いに対応し合った、互いに接触し合う面または両ローラの外側の面の一部に、形状締結的な駆動結合部を形成している、請求項1記載のドラフト装置。
【請求項3】
トップエプロン(100)の外側と、ケパ式のボトムローラ(95)の外面とが、それぞれ少なくともその各外側の一部に、形状締結的な駆動結合部を形成している、請求項1または2記載のドラフト装置。
【請求項4】
トップエプロン(100)の内側と、トップローラ(97)の外側とが、形状締結的な駆動結合部を形成している、請求項1から3までのいずれか1項記載のドラフト装置。
【請求項5】
形状締結的な駆動結合部が、形状締結的に互いに係合する両機械部分に設けられた歯列または互いに係合し合う凸部および凹部もしくは切欠きを有している、請求項1から4までのいずれか1項記載のドラフト装置。
【請求項6】
前記歯列が、相応する機械部分の表面に設けられた凸部および/または凹部の任意に配列された配置であり、反対の側の機械部分には、当該両機械部分が互いに形状締結的に係合するように相補的に形成された凹部および/または凸部が設けられている、請求項5記載のドラフト装置。
【請求項7】
形状締結的な駆動結合部がインボリュート歯列であり、安定性が保証されるようにするために、エプロンに設けられた歯列における歯たけが有利にはモジュールを上回らない、請求項5または6記載のドラフト装置。
【請求項8】
トップエプロンの内側が内側歯列を有している、請求項4記載のドラフト装置。
【請求項9】
形状締結的な駆動結合が、トップエプロン、トップローラまたはボトムローラのような機械部分の外側を介して行われ、該機械部分の外側が外側歯列を有している、請求項1から8までのいずれか1項記載のドラフト装置。
【請求項10】
ケパ式のボトムローラ(95)が歯列(96)を有しており、該歯列(96)が、トップエプロン(100)に設けられた外側歯列と係合しており、両歯列のピッチ円が、スライバ(39)の載着部の範囲におけるケパ式のボトムローラ(95)の外径と同じ大きさを有している、請求項3記載のドラフト装置。
【請求項11】
形状締結的な駆動結合部は、スライバ(40)が位置する範囲に並んで設けられており、かつ/またはスライバ(39)の載着部の範囲に設けられている、請求項1から10までのいずれか1項記載のドラフト装置。
【請求項12】
トップエプロン(30)が、直接にまたは間接的にケパ式のボトムローラ(10)またはトップローラ(20)によって駆動可能である、請求項1から11までのいずれか1項記載のドラフト装置。
【請求項13】
トップエプロン(30)を駆動するための別の駆動エレメント(35)が設けられている、請求項1から12までのいずれか1項記載のドラフト装置。
【請求項14】
当該ドラフト装置が、第1のローラペアと第2のローラペアとの間に唯一つのドラフトゾーンしか有していない、請求項1から13までのいずれか1項記載のドラフト装置。
【請求項15】
当該ドラフト装置が、プレドラフトゾーンを備えたプレドラフト装置を有している、請求項1から14までのいずれか1項記載のドラフト装置。
【請求項16】
当該ドラフト装置が、機械式またはニューマチック式の集束装置を備えた集束ドラフト装置である、請求項1から15までのいずれか1項記載のドラフト装置。
【請求項17】
当該ドラフト装置にコア糸供給装置(73)が対応配置されている、請求項1から16までのいずれか1項記載のドラフト装置。
【請求項18】
ドラフト装置ローラの駆動装置が制御部を有しており、該制御部は、エフェクトヤーンを製造するために回転数変化が可能となるように形成されている、請求項1から17までのいずれか1項記載のドラフト装置。
【請求項19】
ケパ式のボトムローラ(10)の出口側にガイド、特にコンデンサ(84)または押圧ロッドおよび/またはスライバの接触搬送のための、穿孔された表面を備えたサクションローラ(71)または穿孔されたエプロンが配置されている、請求項1から18までのいずれか1項記載のドラフト装置。
【請求項20】
トップエプロン(68)の内部でスライバ(39)の出口側にガイド、特にケージ(75)が配置されている、請求項1から19までのいずれか1項記載のドラフト装置。
【請求項21】
ケージ(75)のための作動装置(74)が設けられており、該作動装置(74)を用いてケージ(75)とケパ式のボトムローラ(64)との間の間隔が可変調節可能である、請求項20記載のドラフト装置。
【請求項22】
ケージ(75)とケパ式のボトムローラ(64)との間の間隔を調節するために、スペーサ部材(85)が設けられており、該スペーサ部材(85)が、ケージ(75)とケパ式のボトムローラ(64)との間に挿入されている、請求項20または21記載のドラフト装置。
【請求項23】
ケパ式のボトムローラ(95)が、30mmまたはそれ以上、有利には40mmまたはそれ以上の直径(D)および100mmよりも小さい、有利には70mmよりも小さい直径を有している、請求項1から22までのいずれか1項記載のドラフト装置。
【請求項24】
ケパ式のボトムローラが、ボトムエプロンのための最適な付着特性を有するプラスチック、有利にはエラストマ、特に天然ゴムおよび/または合成ゴムから成る、外側に位置する層を支持している、請求項1から23までのいずれか1項記載のドラフト装置。
【請求項25】
前記外側に位置する層が、0.5mmまたはそれ以上、有利には1mmまたはそれ以上の厚さを有している、請求項24記載のドラフト装置。
【請求項26】
ケパ式のボトムローラ対トップローラの直径比が、1.2またはそれ以上、特に1.5またはそれ以上、有利には1.8またはそれ以上である、請求項1から25までのいずれか1項記載のドラフト装置。
【請求項27】
繊維機械が、空気ノズル精紡機、リング精紡機、ファンネル精紡機、ループ精紡機、ポット精紡機またはフライヤである、請求項1から26までのいずれか1項記載のドラフト装置。
【請求項28】
スライバ(39)をドラフトするための繊維機械、特に紡績機械のドラフト装置であって、メインドラフトゾーンを形成する少なくとも1つの第1および第2のローラペア(61,62)が設けられており、第1のローラペアがメインドラフト用のボトムローラ(64)を有しており、該メインドラフト用のボトムローラ(64)に、トップローラ(66)と、該トップローラ(66)を介して案内されたトップエプロン(68)とを備えたトップエプロンアッセンブリが対応配置されており、メインドラフト用のボトムローラ(64)が、該ボトムローラ(64)に少なくとも部分的に巻き掛かるボトムエプロン(65)を備えたボトムエプロンアッセンブリの一部である形式のものにおいて、メインドラフト用のボトムローラ(64)の直径(D)が、30mmまたはそれ以上であり、ボトムエプロン(65)が、140゜またはそれ以上の巻掛け角度(α)でメインドラフト用のボトムローラ(64)に巻き掛かっていることを特徴とする、繊維機械のドラフト装置。
【請求項29】
トップエプロン(68)にトップエプロンガイド(75)が対応配置されており、該トップエプロンガイド(75)は、トップエプロン(68)がメインドラフト用のボトムローラ(64)の円周の一部にわたって該メインドラフト用のボトムローラ(64)に巻き掛かるように形成されている、請求項28記載のドラフト装置。
【請求項30】
ボトムエプロン(65)に、該ボトムエプロンのための付加的なガイド(78)、有利には変向ブリッジが対応配置されており、該ガイド(78)が、メインドラフトゾーンにおけるスライバの出口側で出口ローラ(70,71)に向けられて配置されており、しかも前記ガイド(78)は、繊維を案内するボトムエプロン表面の平均曲げ半径が、メインドラフト用のボトムローラ(64)の半径よりも大きくなるように配置されている、請求項28または29記載のドラフト装置。
【請求項31】
ボトムエプロン(65)に入口側で、入口ガイド(77)、有利には変向ブリッジが対応配置されており、該入口ガイド(77)は、繊維を案内するボトムエプロン表面の平均曲げ半径がメインドラフト用のボトムローラ(64)の半径よりも大きくなるように配置されている、請求項28から30までのいずれか1項記載のドラフト装置。
【請求項32】
入口ガイド(77)および/または出口ガイド(78)は、繊維を案内するボトムエプロン表面がトップエプロン(68)と共にほぼ平坦な、または少しだけ曲げられた案内面を形成するように配置されている、請求項28から31までのいずれか1項記載のドラフト装置。
【請求項33】
入口ガイド(77)および/または出口ガイド(78)は、繊維を案内するボトムエプロン表面がトップエプロン(68)と共に少なくとも所定の部分区分にわたって、メインドラフト用のボトムローラ(64)の半径に相当する曲げ半径を有する、曲げられた案内面を形成するように配置されている、請求項28から32までのいずれか1項記載のドラフト装置。
【請求項34】
ボトムエプロンアッセンブリとトップエプロンアッセンブリとの間に、少なくとも部分的に互いに接触し合う面におけるスリップを回避するために、互いに係合し合う凸部および凹部または切欠きによって、形状締結的な案内部、特に形状締結的な駆動結合部が形成されている、請求項28から33までのいずれか1項記載のドラフト装置。
【請求項35】
ボトムローラ(64)が、40mmまたはそれ以上、有利には50mmまたはそれ以上の直径(D)および100mmよりも小さい、有利には70mmよりも小さい直径を有している、請求項28から34までのいずれか1項記載のドラフト装置。
【請求項36】
前記出口ガイド(78)もしくは前記入口出口両ガイド(77,78)は、ボトムエプロン(65)が140゜またはそれ以上、有利には180゜またはそれ以上の巻掛け角度(α)で大型のボトムローラ(64)に巻き掛かるように配置されている、請求項28から35までのいずれか1項記載のドラフト装置。
【請求項37】
大型のボトムローラ(64)におけるボトムエプロン(65)の巻掛け角度(α)が、270゜またはそれ以下、有利には225゜またはそれ以下である、請求項36記載のドラフト装置。
【請求項38】
当該ドラフト装置が、機械式またはニューマチック式の集束装置を備えた集束ドラフト装置である、請求項28から37までのいずれか1項記載のドラフト装置。
【請求項39】
当該ドラフト装置にコア糸供給装置(73)が対応配置されている、請求項28から38までのいずれか1項記載のドラフト装置。
【請求項40】
ドラフト装置ローラのための駆動装置が制御装置を有しており、該制御装置は、エフェクトヤーンを製造するために回転数変化が可能となるように形成されている、請求項28から39までのいずれか1項記載のドラフト装置。
【請求項41】
メインドラフト用のボトムローラ(64)の出口側にコンデンサ(84)および/または穿孔された表面を備えたサクションローラ(71)またはスライバを接触搬送するための穿孔された、吸引されたエプロンが配置されている、請求項28から40までのいずれか1項記載のドラフト装置。
【請求項42】
トップエプロン(69)の内側でスライバ(39)の出口側にガイド、特にケージ(75)が配置されている、請求項28から41までのいずれか1項記載のドラフト装置。
【請求項43】
前記ケージ(75)のための作動装置(74)が設けられており、該作動装置(74)によって前記ケージ(75)とボトムローラ(64)との間の間隔が可変調節可能である、請求項42記載のドラフト装置。
【請求項44】
スペーサ部材(85)が設けられており、該スペーサ部材(85)が、前記ケージ(75)とボトムローラ(64)との間の間隔を調節するために前記ケージ(75)とボトムローラ(64)との間に挿入されている、請求項42または43記載のドラフト装置。
【請求項45】
ボトムエプロン(65)が、ボトムローラ(64)と共に形状締結的な駆動結合部を形成していて、ボトムエプロン(65)が有利には内側歯列(81)を有しており、該内側歯列(81)が、ボトムローラ(64)に設けられた外側歯列(63)と噛み合っている、請求項28から44までのいずれか1項記載のドラフト装置。
【請求項46】
ボトムエプロンがトップエプロンと共に形状締結的な駆動結合部を形成していて、ボトムエプロンが有利には外側歯列を有しており、該外側歯列が、トップエプロンに設けられた外側歯列と噛み合っている、請求項28から45までのいずれか1項記載のドラフト装置。
【請求項47】
トップエプロン(68)がトップローラ(66)と共に形状締結的な駆動結合部を形成していて、トップエプロン(68)の内側が有利には内側歯列(69)を有しており、該内側歯列(69)が、トップローラ(66)に設けられた外側歯列(67)と噛み合っている、請求項28から46までのいずれか1項記載のドラフト装置。
【請求項48】
ボトムローラ(64)がトップローラ(66)と共に形状締結的な駆動結合部を形成していて、ボトムローラ(64)が有利には外側歯列(63)を有しており、該外側歯列(63)が、トップローラ(66)に設けられた外側歯列(67)と噛み合っている、請求項28から47までのいずれか1項記載のドラフト装置。
【請求項49】
ボトムエプロンがトップローラと共に形状締結的な駆動結合部を形成していて、ボトムエプロンが有利には外側歯列を有しており、該外側歯列が、トップローラに設けられた外側歯列と噛み合っている、請求項28から48までのいずれか1項記載のドラフト装置。
【請求項50】
ボトムローラがトップエプロンと共に形状締結的な駆動結合部を形成していて、ボトムローラが有利には外側歯列を有しており、該外側歯列が、トップエプロンに設けられた外側歯列と噛み合っている、請求項28から49までのいずれか1項記載のドラフト装置。
【請求項51】
ボトムエプロンがトップローラと共に形状締結的な駆動結合部を形成していて、ボトムエプロンが有利には外側歯列を有しており、該外側歯列が、トップローラに設けられた外側歯列と噛み合っている、請求項28から50までのいずれか1項記載のドラフト装置。
【請求項52】
メインドラフト用のボトムローラが、ボトムエプロンのための最適な付着特性を有するプラスチック、有利にはエラストマ、特に天然ゴムおよび/または合成ゴムから成る、外側に位置する層を支持している、請求項28から51までのいずれか1項記載のドラフト装置。
【請求項53】
前記外側に位置する層が、0.5mmまたはそれ以上、有利には1mmまたはそれ以上でかつ10mmまたはそれ以下、有利には5mmまたはそれ以下の厚さを有している、請求項52記載のドラフト装置。
【請求項54】
メインドラフト用のボトムローラ対対応するトップローラの直径比が、1.2またはそれ以上、特に1.5またはそれ以上、有利には1.8またはそれ以上である、請求項28から53までのいずれか1項記載のドラフト装置。
【請求項55】
繊維機械が、空気ノズル精紡機、リング精紡機、ファンネル精紡機、ループ精紡機、ポット精紡機またはフライヤである、請求項1から54までのいずれか1項記載のドラフト装置。
【請求項1】
スライバ(39)をドラフトするための繊維機械、特に紡績機械のケパ式のドラフト装置であって、メインドラフトゾーンを形成する少なくとも1つの第1および第2のローラペア(2,3)が設けられており、第1のローラペアがケパ式のボトムローラ(95)を有しており、該ケパ式のボトムローラに、トップローラ(97)と、該トップローラ(97)を介して案内されたトップエプロン(100)と、少なくとも1つのトップエプロンガイド(75)とを備えたトップエプロンアッセンブリ(91)が対応配置されていて、しかも該トップエプロンアッセンブリ(91)は、トップエプロン(100)が、ケパ式のボトムローラ(95)の円周の一部にわたって該ケパ式のボトムローラ(95)に巻き掛かるように案内されている形式のものにおいて、ケパ式のボトムローラ(95)とトップエプロンアッセンブリ(91)との間に、少なくとも部分的に互いに接触し合う面のスリップを回避するために、互いに係合し合う凸部および凹部または切欠きによって形状締結的な案内部、特に形状締結的な駆動結合部が形成されていることを特徴とする、繊維機械のケパ式のドラフト装置。
【請求項2】
トップエプロン(100)に対応配置されたトップローラ(97)と、ケパ式のボトムローラ(95)とが、互いに対応し合った、互いに接触し合う面または両ローラの外側の面の一部に、形状締結的な駆動結合部を形成している、請求項1記載のドラフト装置。
【請求項3】
トップエプロン(100)の外側と、ケパ式のボトムローラ(95)の外面とが、それぞれ少なくともその各外側の一部に、形状締結的な駆動結合部を形成している、請求項1または2記載のドラフト装置。
【請求項4】
トップエプロン(100)の内側と、トップローラ(97)の外側とが、形状締結的な駆動結合部を形成している、請求項1から3までのいずれか1項記載のドラフト装置。
【請求項5】
形状締結的な駆動結合部が、形状締結的に互いに係合する両機械部分に設けられた歯列または互いに係合し合う凸部および凹部もしくは切欠きを有している、請求項1から4までのいずれか1項記載のドラフト装置。
【請求項6】
前記歯列が、相応する機械部分の表面に設けられた凸部および/または凹部の任意に配列された配置であり、反対の側の機械部分には、当該両機械部分が互いに形状締結的に係合するように相補的に形成された凹部および/または凸部が設けられている、請求項5記載のドラフト装置。
【請求項7】
形状締結的な駆動結合部がインボリュート歯列であり、安定性が保証されるようにするために、エプロンに設けられた歯列における歯たけが有利にはモジュールを上回らない、請求項5または6記載のドラフト装置。
【請求項8】
トップエプロンの内側が内側歯列を有している、請求項4記載のドラフト装置。
【請求項9】
形状締結的な駆動結合が、トップエプロン、トップローラまたはボトムローラのような機械部分の外側を介して行われ、該機械部分の外側が外側歯列を有している、請求項1から8までのいずれか1項記載のドラフト装置。
【請求項10】
ケパ式のボトムローラ(95)が歯列(96)を有しており、該歯列(96)が、トップエプロン(100)に設けられた外側歯列と係合しており、両歯列のピッチ円が、スライバ(39)の載着部の範囲におけるケパ式のボトムローラ(95)の外径と同じ大きさを有している、請求項3記載のドラフト装置。
【請求項11】
形状締結的な駆動結合部は、スライバ(40)が位置する範囲に並んで設けられており、かつ/またはスライバ(39)の載着部の範囲に設けられている、請求項1から10までのいずれか1項記載のドラフト装置。
【請求項12】
トップエプロン(30)が、直接にまたは間接的にケパ式のボトムローラ(10)またはトップローラ(20)によって駆動可能である、請求項1から11までのいずれか1項記載のドラフト装置。
【請求項13】
トップエプロン(30)を駆動するための別の駆動エレメント(35)が設けられている、請求項1から12までのいずれか1項記載のドラフト装置。
【請求項14】
当該ドラフト装置が、第1のローラペアと第2のローラペアとの間に唯一つのドラフトゾーンしか有していない、請求項1から13までのいずれか1項記載のドラフト装置。
【請求項15】
当該ドラフト装置が、プレドラフトゾーンを備えたプレドラフト装置を有している、請求項1から14までのいずれか1項記載のドラフト装置。
【請求項16】
当該ドラフト装置が、機械式またはニューマチック式の集束装置を備えた集束ドラフト装置である、請求項1から15までのいずれか1項記載のドラフト装置。
【請求項17】
当該ドラフト装置にコア糸供給装置(73)が対応配置されている、請求項1から16までのいずれか1項記載のドラフト装置。
【請求項18】
ドラフト装置ローラの駆動装置が制御部を有しており、該制御部は、エフェクトヤーンを製造するために回転数変化が可能となるように形成されている、請求項1から17までのいずれか1項記載のドラフト装置。
【請求項19】
ケパ式のボトムローラ(10)の出口側にガイド、特にコンデンサ(84)または押圧ロッドおよび/またはスライバの接触搬送のための、穿孔された表面を備えたサクションローラ(71)または穿孔されたエプロンが配置されている、請求項1から18までのいずれか1項記載のドラフト装置。
【請求項20】
トップエプロン(68)の内部でスライバ(39)の出口側にガイド、特にケージ(75)が配置されている、請求項1から19までのいずれか1項記載のドラフト装置。
【請求項21】
ケージ(75)のための作動装置(74)が設けられており、該作動装置(74)を用いてケージ(75)とケパ式のボトムローラ(64)との間の間隔が可変調節可能である、請求項20記載のドラフト装置。
【請求項22】
ケージ(75)とケパ式のボトムローラ(64)との間の間隔を調節するために、スペーサ部材(85)が設けられており、該スペーサ部材(85)が、ケージ(75)とケパ式のボトムローラ(64)との間に挿入されている、請求項20または21記載のドラフト装置。
【請求項23】
ケパ式のボトムローラ(95)が、30mmまたはそれ以上、有利には40mmまたはそれ以上の直径(D)および100mmよりも小さい、有利には70mmよりも小さい直径を有している、請求項1から22までのいずれか1項記載のドラフト装置。
【請求項24】
ケパ式のボトムローラが、ボトムエプロンのための最適な付着特性を有するプラスチック、有利にはエラストマ、特に天然ゴムおよび/または合成ゴムから成る、外側に位置する層を支持している、請求項1から23までのいずれか1項記載のドラフト装置。
【請求項25】
前記外側に位置する層が、0.5mmまたはそれ以上、有利には1mmまたはそれ以上の厚さを有している、請求項24記載のドラフト装置。
【請求項26】
ケパ式のボトムローラ対トップローラの直径比が、1.2またはそれ以上、特に1.5またはそれ以上、有利には1.8またはそれ以上である、請求項1から25までのいずれか1項記載のドラフト装置。
【請求項27】
繊維機械が、空気ノズル精紡機、リング精紡機、ファンネル精紡機、ループ精紡機、ポット精紡機またはフライヤである、請求項1から26までのいずれか1項記載のドラフト装置。
【請求項28】
スライバ(39)をドラフトするための繊維機械、特に紡績機械のドラフト装置であって、メインドラフトゾーンを形成する少なくとも1つの第1および第2のローラペア(61,62)が設けられており、第1のローラペアがメインドラフト用のボトムローラ(64)を有しており、該メインドラフト用のボトムローラ(64)に、トップローラ(66)と、該トップローラ(66)を介して案内されたトップエプロン(68)とを備えたトップエプロンアッセンブリが対応配置されており、メインドラフト用のボトムローラ(64)が、該ボトムローラ(64)に少なくとも部分的に巻き掛かるボトムエプロン(65)を備えたボトムエプロンアッセンブリの一部である形式のものにおいて、メインドラフト用のボトムローラ(64)の直径(D)が、30mmまたはそれ以上であり、ボトムエプロン(65)が、140゜またはそれ以上の巻掛け角度(α)でメインドラフト用のボトムローラ(64)に巻き掛かっていることを特徴とする、繊維機械のドラフト装置。
【請求項29】
トップエプロン(68)にトップエプロンガイド(75)が対応配置されており、該トップエプロンガイド(75)は、トップエプロン(68)がメインドラフト用のボトムローラ(64)の円周の一部にわたって該メインドラフト用のボトムローラ(64)に巻き掛かるように形成されている、請求項28記載のドラフト装置。
【請求項30】
ボトムエプロン(65)に、該ボトムエプロンのための付加的なガイド(78)、有利には変向ブリッジが対応配置されており、該ガイド(78)が、メインドラフトゾーンにおけるスライバの出口側で出口ローラ(70,71)に向けられて配置されており、しかも前記ガイド(78)は、繊維を案内するボトムエプロン表面の平均曲げ半径が、メインドラフト用のボトムローラ(64)の半径よりも大きくなるように配置されている、請求項28または29記載のドラフト装置。
【請求項31】
ボトムエプロン(65)に入口側で、入口ガイド(77)、有利には変向ブリッジが対応配置されており、該入口ガイド(77)は、繊維を案内するボトムエプロン表面の平均曲げ半径がメインドラフト用のボトムローラ(64)の半径よりも大きくなるように配置されている、請求項28から30までのいずれか1項記載のドラフト装置。
【請求項32】
入口ガイド(77)および/または出口ガイド(78)は、繊維を案内するボトムエプロン表面がトップエプロン(68)と共にほぼ平坦な、または少しだけ曲げられた案内面を形成するように配置されている、請求項28から31までのいずれか1項記載のドラフト装置。
【請求項33】
入口ガイド(77)および/または出口ガイド(78)は、繊維を案内するボトムエプロン表面がトップエプロン(68)と共に少なくとも所定の部分区分にわたって、メインドラフト用のボトムローラ(64)の半径に相当する曲げ半径を有する、曲げられた案内面を形成するように配置されている、請求項28から32までのいずれか1項記載のドラフト装置。
【請求項34】
ボトムエプロンアッセンブリとトップエプロンアッセンブリとの間に、少なくとも部分的に互いに接触し合う面におけるスリップを回避するために、互いに係合し合う凸部および凹部または切欠きによって、形状締結的な案内部、特に形状締結的な駆動結合部が形成されている、請求項28から33までのいずれか1項記載のドラフト装置。
【請求項35】
ボトムローラ(64)が、40mmまたはそれ以上、有利には50mmまたはそれ以上の直径(D)および100mmよりも小さい、有利には70mmよりも小さい直径を有している、請求項28から34までのいずれか1項記載のドラフト装置。
【請求項36】
前記出口ガイド(78)もしくは前記入口出口両ガイド(77,78)は、ボトムエプロン(65)が140゜またはそれ以上、有利には180゜またはそれ以上の巻掛け角度(α)で大型のボトムローラ(64)に巻き掛かるように配置されている、請求項28から35までのいずれか1項記載のドラフト装置。
【請求項37】
大型のボトムローラ(64)におけるボトムエプロン(65)の巻掛け角度(α)が、270゜またはそれ以下、有利には225゜またはそれ以下である、請求項36記載のドラフト装置。
【請求項38】
当該ドラフト装置が、機械式またはニューマチック式の集束装置を備えた集束ドラフト装置である、請求項28から37までのいずれか1項記載のドラフト装置。
【請求項39】
当該ドラフト装置にコア糸供給装置(73)が対応配置されている、請求項28から38までのいずれか1項記載のドラフト装置。
【請求項40】
ドラフト装置ローラのための駆動装置が制御装置を有しており、該制御装置は、エフェクトヤーンを製造するために回転数変化が可能となるように形成されている、請求項28から39までのいずれか1項記載のドラフト装置。
【請求項41】
メインドラフト用のボトムローラ(64)の出口側にコンデンサ(84)および/または穿孔された表面を備えたサクションローラ(71)またはスライバを接触搬送するための穿孔された、吸引されたエプロンが配置されている、請求項28から40までのいずれか1項記載のドラフト装置。
【請求項42】
トップエプロン(69)の内側でスライバ(39)の出口側にガイド、特にケージ(75)が配置されている、請求項28から41までのいずれか1項記載のドラフト装置。
【請求項43】
前記ケージ(75)のための作動装置(74)が設けられており、該作動装置(74)によって前記ケージ(75)とボトムローラ(64)との間の間隔が可変調節可能である、請求項42記載のドラフト装置。
【請求項44】
スペーサ部材(85)が設けられており、該スペーサ部材(85)が、前記ケージ(75)とボトムローラ(64)との間の間隔を調節するために前記ケージ(75)とボトムローラ(64)との間に挿入されている、請求項42または43記載のドラフト装置。
【請求項45】
ボトムエプロン(65)が、ボトムローラ(64)と共に形状締結的な駆動結合部を形成していて、ボトムエプロン(65)が有利には内側歯列(81)を有しており、該内側歯列(81)が、ボトムローラ(64)に設けられた外側歯列(63)と噛み合っている、請求項28から44までのいずれか1項記載のドラフト装置。
【請求項46】
ボトムエプロンがトップエプロンと共に形状締結的な駆動結合部を形成していて、ボトムエプロンが有利には外側歯列を有しており、該外側歯列が、トップエプロンに設けられた外側歯列と噛み合っている、請求項28から45までのいずれか1項記載のドラフト装置。
【請求項47】
トップエプロン(68)がトップローラ(66)と共に形状締結的な駆動結合部を形成していて、トップエプロン(68)の内側が有利には内側歯列(69)を有しており、該内側歯列(69)が、トップローラ(66)に設けられた外側歯列(67)と噛み合っている、請求項28から46までのいずれか1項記載のドラフト装置。
【請求項48】
ボトムローラ(64)がトップローラ(66)と共に形状締結的な駆動結合部を形成していて、ボトムローラ(64)が有利には外側歯列(63)を有しており、該外側歯列(63)が、トップローラ(66)に設けられた外側歯列(67)と噛み合っている、請求項28から47までのいずれか1項記載のドラフト装置。
【請求項49】
ボトムエプロンがトップローラと共に形状締結的な駆動結合部を形成していて、ボトムエプロンが有利には外側歯列を有しており、該外側歯列が、トップローラに設けられた外側歯列と噛み合っている、請求項28から48までのいずれか1項記載のドラフト装置。
【請求項50】
ボトムローラがトップエプロンと共に形状締結的な駆動結合部を形成していて、ボトムローラが有利には外側歯列を有しており、該外側歯列が、トップエプロンに設けられた外側歯列と噛み合っている、請求項28から49までのいずれか1項記載のドラフト装置。
【請求項51】
ボトムエプロンがトップローラと共に形状締結的な駆動結合部を形成していて、ボトムエプロンが有利には外側歯列を有しており、該外側歯列が、トップローラに設けられた外側歯列と噛み合っている、請求項28から50までのいずれか1項記載のドラフト装置。
【請求項52】
メインドラフト用のボトムローラが、ボトムエプロンのための最適な付着特性を有するプラスチック、有利にはエラストマ、特に天然ゴムおよび/または合成ゴムから成る、外側に位置する層を支持している、請求項28から51までのいずれか1項記載のドラフト装置。
【請求項53】
前記外側に位置する層が、0.5mmまたはそれ以上、有利には1mmまたはそれ以上でかつ10mmまたはそれ以下、有利には5mmまたはそれ以下の厚さを有している、請求項52記載のドラフト装置。
【請求項54】
メインドラフト用のボトムローラ対対応するトップローラの直径比が、1.2またはそれ以上、特に1.5またはそれ以上、有利には1.8またはそれ以上である、請求項28から53までのいずれか1項記載のドラフト装置。
【請求項55】
繊維機械が、空気ノズル精紡機、リング精紡機、ファンネル精紡機、ループ精紡機、ポット精紡機またはフライヤである、請求項1から54までのいずれか1項記載のドラフト装置。
【図1】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図2d】
【図2e】
【図2f】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図8a】
【図8b】
【図9】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図2d】
【図2e】
【図2f】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図8a】
【図8b】
【図9】
【公表番号】特表2010−508449(P2010−508449A)
【公表日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−534972(P2009−534972)
【出願日】平成19年9月3日(2007.9.3)
【国際出願番号】PCT/CH2007/000435
【国際公開番号】WO2008/052370
【国際公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(590005597)マシーネンファブリク リーター アクチェンゲゼルシャフト (93)
【氏名又は名称原語表記】Maschinenfabrik Rieter AG
【住所又は居所原語表記】Klosterstrasse 20,CH−8406 Winterthur,Switzerland
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月3日(2007.9.3)
【国際出願番号】PCT/CH2007/000435
【国際公開番号】WO2008/052370
【国際公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(590005597)マシーネンファブリク リーター アクチェンゲゼルシャフト (93)
【氏名又は名称原語表記】Maschinenfabrik Rieter AG
【住所又は居所原語表記】Klosterstrasse 20,CH−8406 Winterthur,Switzerland
【Fターム(参考)】
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