説明

細菌の捕集方法及び捕集装置

細菌サンプルを入れる捕集培地;及び複数のバクテリオファージを含む細菌の検出捕集装置。前記バクテリオファージは、前記捕集培地上又はその中にある。各バクテリオファージは、出力波長で光を発することができる蛋白質をコードする核酸を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンプルを採取する技術、及びそのサンプル中の細菌の存在を判定する技術に関する。建物の屋内において清浄かつ衛生的な環境を維持する過程の一環として、表面からサンプルを採取することに本質的に向けられる。本発明は、病院等の施設にとりわけ適用される。本発明はまた、そのような技術において使用することができる製品に関する。
【背景技術】
【0002】
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)は、最近のほとんどの抗生物質に抵抗性である種々の細菌である。MRSA微生物は一般に、健康な個体によって許容されうるが、すでに具合が悪い人間に移る場合には、この人間においてより重大な感染が引き起こされる場合がある。その結果、そのような微生物は、何ら問題を引き起こすことなく健康な個体によって保有されうるが、より無防備な人々がいるであろう病院又はその他の環境において、感染の重大な危険がある。MRSAは、長期間皮膚及びその他の表面上に保持され、とどまりうるが、表面から表面へ容易に移動する。その結果、個体間で、及び感染しそうな個体へ直接的及び間接的に伝染されうる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
MRSAを検出するための現在の技術は、研究室培養プロセスを必要とし、典型的に2〜3日間かかるので、骨の折れるものである。そのような期間内に、各環境において、存在していた全てのMRSAが広範に広がることがある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一つの視点において、本発明は、増殖中又は休止中の何れかの形態にある細菌、限定されないがとりわけMRSAの存在を検出する時間を劇的に減少させることができる捕集技術に存する。本発明では、複雑な実験機器を使用することがなく、資格のある細菌学者の力添えを必要としない。本発明の技術は、対象となっている細菌を見つけて、これに付着するバクテリオファージを使用する。使用されるバクテリオファージは、蛍光を発する蛋白質をコードする核酸を含むが、当該蛋白質は、第一の波長の光に、第二の波長の光を発することによって、応答する。前記バクテリオファージが対象となっている細菌と接触すると、前記バクテリオファージは増殖する。その結果、増殖したバクテリオファージに第一の波長の光を当てると、第二の波長で発せられる光の量が増大する。これにより、光学的なプロセスによる細菌の存在の迅速な検出が可能となる。実際には、その光学的なプロセスは、対象となっている細菌が存在するかどうか確証を得るために第二の波長での発光(光の放出)を検出することのみが通常必要とされるように、制御されうる。
【0005】
本発明の実施に際して、前記バクテリオファージに関し好ましい蛋白質は、波長395nmの光を当てたときに波長510nmの光を発する緑色蛍光蛋白質(GFP)である。何れの蛋白質が使用されても、前記バクテリオファージは、細菌の一つの菌株に特異的であるように選択され、MRSAの菌株に特異的でありうる。本発明の特定事項であるが限定事項ではないMRSAのうち特に毒性のある菌株は、菌株3、15及び16である。
【0006】
本発明の方法の実施に際して、選択されるバクテリオファージを、固体基質に配することができるが、好ましくは当該基質に固定する。固定化を、共有結合を生じさせることによって行ってもよく、典型的には、カップリング剤によって補ってもよい。バクテリオファージを含むウイルスの固体基質への固定化及び安定化は、ストラスクライド大学の名称で国際特許公報WO 03/093462号において考察されている。前記バクテリオファージは、好ましくはその尾部をつながずに、その頭部を介して固定される。
【0007】
本発明の細菌の検出捕集装置にとって特に好ましい基質は:
1)ナイロン又はアミノ若しくはカルボキシ表面基を有するその他のポリマーであり、かつ前記カップリング剤が、カルボジイミド又はグルタルアルデヒドであるもの;
2)セルロース又はその他の水酸基含有ポリマーであり、かつ前記カップリング剤が、ビニルスルホニルエチレンエーテル又はトリアジンを含むもの;
3)ポリエチレン又は同類のポリマーであり、かつ前記カップリング剤が、コロナ放電又は過マンガン酸酸化を含むもの
である。
【0008】
本発明の実施に際して、細菌を保有すると思われる典型的なサンプルは、表面であろう。そのような表面に、前記バクテリオファージを保持する基質をこすりつけることができ、その後当該基質(又は当該表面)に、第一の波長の光を当てて細菌の存在を判定することができる。しかしながら、前記細菌を保有すると思われるサンプルが液体の場合には、前記バクテリオファージを、単独で又は基質に付着した状態で液体に浸すことができ、その後前述のように光に露出される。前記細菌が増殖できるように前記バクテリオファージとの接触後にとにかく前記細菌サンプルを液体に浸すことには何らかの利益があるかもしれない。この目的に適した液体培地は、グルコース等の炭素源を含む水性栄養培地であろう。
【0009】
本発明を実施することに関し、実際の検出工程では比較的簡単明瞭な光学技術が使用されうるということが理解されるであろう。前記バクテリオファージの蛍光又は蛍光の増大を、例えば光ダイオード又は光電子増倍管を用いて、観察することができ、細菌と接触させて増殖させる前の前記バクテリオファージの蛍光レベルと比較する以外に蛍光のレベルを定量する必要がない。この蛍光の初期レベルは比較的に低い可能性があるので、実質的な蛍光の同定は、対象となっている細菌が存在するかどうかを確かめるのに十分であることは明白であろう。
【0010】
前記捕集装置自体も同様に、かなり簡単明瞭な装置でありうる。典型的には、その装置は、前記バクテリオファージを含ませるために基質が取り付けられるホルダーを備えるであろう。前記基質は、パッド(pad)又はスワブ(swab)の形態にすることができ、その取り付けは、皿(disc)又は環(annulus)等の適当な形状を選択することにより容易に行うことができる。この装置は、目的とする細菌を含むことが疑われるサンプル表面又は環境に基質を提示するための機器へ装着するための付着層(adhesive layer)を有することができる。
【0011】
本発明の別の視点によれば、前記捕集技術を促進する手段が提供される。その手段は、選択されたバクテリオファージがその上に位置するカード等の試験体(test element)を含む。対象となっている細菌を保有することが疑われるサンプルに、スワブをこすりつけるが、次に当該スワブは、サンプルから採取された全ての細菌を特定のバクテリオファージと照合するため前記試験体にこすりつけられる。その後、前記試験体は、細菌と接触した結果、バクテリオファージにより生ずる蛍光が増大したかどうかを確認するであろうセンサーユニットに導入される。前記ユニットは、対応するシグナルを出し、処理が完了するであろう。前記サンプル中又はサンプル上に対象となっている細菌が存在した場合には、これが即座に明白になるであろう。前記処理は、ほんの数分で完了しうる。使用した試験体は、廃棄されうる。全ての検出された細菌が前記バクテリオファージとの接触により死滅したであろう試験の後に、前記試験体を廃棄することが安全である。
【0012】
前記バクテリオファージを含む試験体には、対象となっている細菌との接触の際に前記バクテリオファージの増殖を促進させるべく栄養素の貯蔵槽(reservoir of nutrient)を含めることができる。例えば、前記試験体は、近傍若しくは一端から延長して形成され、かつ栄養素の貯蔵槽と連絡した溝(groove)又は管(channel)を有するカードであってもよい。しかしながら、通常、前記栄養素及びバクテリオファージは共に前記試験体上に固定されるであろう。溝又は管が形成されることは必須ではないが、そのような試験体は、対象となっている異なる細菌に異なるバクテリオファージを添加する複数の溝又は管を備えるよう形成されうる。栄養素の有り無しで、前記バクテリオファージは、例えば印刷技術によって、前記試験体上に固定した固着層(deposits)の形態で存在しうる。前記溝、管、又は固着層は、色分けされてもよい。
【0013】
前記試験体を、グループ又はセットで作成してもよく、様々な細菌の菌株を検出する際に使用するため様々にチャージされた(charged)溝若しくは管を有する試験体又はカードの選択をすることができる。前記センサーを、各管又は溝からの蛍光をモニターするようにデザインすることができ、それによってどこに細菌が存在するかを検出するばかりでなく本質的に同一の検出プロセスで1以上のいくつかの異なる細菌の菌株を同定することもできる。前記試験体はまた、自身が保有しているバクテリオファージに関する情報ばかりでなく検討されているサンプルを与える個体又は部位の詳細、並びにその他の望ましい同定に関する情報も有しうる。この目的のため前記試験体に磁気ストリップ(magnetic strip)を組み込んでもよい。
【0014】
本発明の一つの視点によれば、
細菌サンプルを受け入れる捕集媒体;及び
前記捕集媒体上又はその中にある複数のバクテリオファージを含み、各バクテリオファージは、1つの出力波長で光を発することができる蛋白質をコードする核酸を含む細菌の検出捕集装置が提供される。
【0015】
好都合には、前記核酸は、蛍光を発する蛋白質をコードし、前記蛍光を発する蛋白質は、前記出力波長の光を発することによって1つの入力波長の光に応答する。
【0016】
好ましくは、前記蛍光を発する蛋白質は、緑色蛍光蛋白質(GFP)を含み;前記入力波長は395nmであり、前記出力波長は510nmである。
【0017】
これに代えて、前記核酸は、1つの発光基質の存在下において特定の出力波長で光を発することができる化学発光する蛋白質をコードする。
【0018】
有利には、前記化学発光する蛋白質は、ルシフェラーゼであり、前記発光基質は、ルシフェリン(lucifern)である。
【0019】
好都合には、前記バクテリオファージは、細菌の一つの菌株に感染すること及び/又はこれを溶解することに特異的である。
【0020】
好ましくは、前記細菌の菌株は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の菌株である。
【0021】
有利には、前記菌株は、MRSA株3、15又は16である。
【0022】
これに代えて、前記細菌の菌株は、炭疽菌の菌株である。
【0023】
有利には、前記捕集媒体は、固体基質である。
【0024】
好都合には、前記バクテリオファージは、前記基質に固定される。
【0025】
好ましくは、前記バクテリオファージは、前記基質に共有結合により固定される。
【0026】
有利には、前記バクテリオファージと前記基質との間の共有結合は、カップリング剤により補われる。
【0027】
好ましくは、前記基質は、ナイロン又はアミノ若しくはカルボキシ表面基を有するその他のポリマーを含み、かつ前記カップリング剤は、カルボジイミド又はグルタルアルデヒドであり;前記基質は、セルロース又はその他の水酸基含有ポリマーを含み、かつ前記カップリング剤は、ビニルスルホニルエチレンエーテル又はトリアジンを含み;或いは前記基質は、ポリエチレン又は同類のポリマーを含み、かつ前記カップリング剤は、コロナ放電(corona discharge)又は過マンガン酸酸化(permanganate oxidation)を含む。
【0028】
好都合には、前記バクテリオファージは、その尾部をつながずに、その頭部を介して固定される。
【0029】
好ましくは、前記基質は、プラスチック材料を含む。
【0030】
有利には、前記装置は、更に、水性栄養培地、好ましくはグルコースを含む水性栄養培地を含む。
【0031】
好都合には、前記細菌の検出捕集装置は、更に、前記捕集媒体を入れるための容器を含む。
【0032】
好ましくは、前記容器は、ELISAプレートである。
【0033】
有利には、前記装置は、複数のバクテリオファージ株を含み、各株は、異なる細菌の菌株に感染すること及び/又はこれを溶解することに特異的であり、各株のバクテリオファージは、異なる出力波長で光を発することができる蛋白質をコードする核酸を含む。
【0034】
好都合には、前記装置は、ヒンジを介して接続された二つの薄板(sheet)を含む。好ましくは、前記薄板の一方は、細菌サンプルを入れるためのスライドカバー付き開口部(slide-covered aperture)を有する。有利には、両方の薄板は、これらの薄板が共にヒンジで折り畳まれるときに整合するように配されたスライドカバー付き開口部を有する。好都合には、前記少なくとも一方の薄板には、二つの薄板を接合するため粘着物(adhesive)が施される。
【0035】
本発明の別の視点によれば、前記請求項の何れかの細菌の検出捕集装置を収容するソケット;及び前記ソケットの部位から前記出力波長で光を検出することができる光検出器を含む細菌の検出装置が提供される。
【0036】
好都合には、前記細菌の検出装置は、更に、前記ソケットの部位において前記入力波長で光を放出することができる光源を含む。
【0037】
好ましくは、前記細菌の検出装置は、更に、前記出力波長での光の検出を表示するため前記光検出器と連絡したユーザーインターフェースを含む。
【0038】
有利には、前記細菌の検出装置は、更に、前記光検出器と前記ユーザーインターフェースとの間に介在したプロセッサを含み、前記プロセッサは、経時で検出した出力波長での光の強度の変化を計算し、前記ユーザーインターフェースを介して強度の変化を表示するためのものである。
【0039】
好都合には、前記光検出器は、複数の異なる出力波長を検出することができる。
【0040】
好ましくは、前記細菌の検出装置は、更に、前記細菌の検出捕集装置を含む。
【0041】
本発明の更なる視点によれば、バクテリオファージが、細菌と結合することができ、それにより前記バクテリオファージの前記細菌との結合に応じてシグナルが生ずる細菌の検出のためのバクテリオファージの使用が提供される。
【0042】
本発明の別の視点によれば、サンプル中の細菌を検出するための本発明の細菌の検出捕集装置又は本発明の細菌の検出装置の使用が提供される。
【0043】
本発明の更に別の視点によれば、下記工程を含むサンプル中の細菌を検出する方法が提供される:
a)前記サンプルを、1つの出力波長の光を発することができる蛋白質をコードする核酸を含むバクテリオファージに露出し、その結果、前記サンプル中の細菌が前記バクテリオファージに感染し、かつ前記細菌において前記核酸が発現する工程;及び
b)前記サンプルから前記出力波長で発せられた光を検出し、前記光の検出が細菌の存在を示す工程。
【0044】
好都合には、前記核酸は、蛍光を発する蛋白質をコードし、前記蛍光を発する蛋白質は、出力波長の光を発することによって入力波長の光に応答し、前記方法は、更に、前記サンプルに前記入力波長の光を当てる工程を含む。
【0045】
これに代えて、前記核酸は、化学発光する蛋白質をコードし、前記方法は、更に、前記サンプルに化学発光基質を与える工程を含む。
【0046】
好ましくは、前記バクテリオファージは、細菌の1つの菌株に特異的であり、前記出力波長での光の検出は、前記菌株の存在を示す。
【0047】
有利には、前記細菌の菌株は、MRSA株、好ましくはMRSA株3、15又は16である。
【0048】
好都合には、前記バクテリオファージは、NCIMB9563として寄託された株であり、更に光を発することができる蛋白質をコードする核酸を含む。
【0049】
好都合には、前記細菌の菌株は、炭疽菌である。
【0050】
好ましくは、前記バクテリオファージは、炭疽菌ファージガンマ(Bacillus anthracis phage Gamma)であり、更に光を発することができる蛋白質をコードする核酸を含む。
【0051】
好ましくは、前記バクテリオファージは、本発明の細菌の検出捕集装置の一部である。
【0052】
有利には、工程a)は、前記サンプルに関し前記基質をこすりつける工程を含む。
【0053】
好都合には、工程a)は、更に水性栄養培地、好ましくはグルコースを含む水性栄養培地中で、前記バクテリオファージに感染させた後、前記細菌を増殖させる工程を含む。
【0054】
好ましくは、工程b)は、前記バクテリオファージが前記細菌に感染するときに、前記出力波長の光を検出することを含み、前記出力波長の光の強度が増大していることの検出が細菌の存在を示す。
【0055】
有利には、前記サンプルは、複数のバクテリオファージの株に接触され、各株は、異なる細菌の菌株に特異的であり、各株のバクテリオファージは、異なる出力波長で光を発することができる蛋白質をコードし、前記方法は、更に各出力波長で前記サンプルから発せられた光を検出する工程を含み、ある波長での光の検出が細菌の対応する菌株の存在を示す。
【0056】
好都合には、前記方法は、更に、前記バクテリオファージで前記サンプル中の細菌を死滅させる工程を含む。
【0057】
本発明の別の視点によれば、NCIMB9563として寄託された株のゲノムを有し、更に光を発する蛋白質をコードする核酸を含むバクテリオファージが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0058】
ここで、実施例として、添付した模式図に基づいて、本発明が記載される。図1の装置は、試験サンプルに接触させるための積み重なったパッド又はスワブ8に連続的に押し込むピストン6に押し付けられるプランジャー4を備える管2から基本的に構成される。各スワブ8は、その露出され又は露出されうる表面10に固定された、選択されたバクテリオファージを既に保持していてもよい。あるいは、バクテリオファージを、使用直前に前記表面10に塗布することもできる。その後前記装置は、その試験サンプルの表面又は環境にこすりつけるか、さもなければ接触するように使用されうる。その結果、前記表面10は、前記サンプル上又はサンプル中に存在するであろう細菌と接触する。前記バクテリオファージは、プロモーターに作動可能に連結した蛍光蛋白質(適当な蛋白質は緑色蛍光蛋白質(GFP)である)をコードする核酸を含む。前記バクテリオファージは、MRSA、又はその1若しくは複数の菌株等の特定の細菌を検出するために選択されるであろう。より具体的には、前記バクテリオファージは、細菌の特定の菌株に感染し、これを溶解するであろう。例えば、受託番号9563でナショナル・コレクション・オブ・インダストリアル・アンド・マリン・バクテリア(National Collection of Industrial and Marine Bacteria)に寄託されたバクテリオファージ(NCIMB9563)は、MRSAの菌株2及び12から17に対して溶菌性であり、そのようなバクテリオファージのベースとして使用されるのに適している。NCIMB9563は、当然、プロモーター連結GFP遺伝子を含むように変更されなければならない。別の例として、炭疽菌ファージガンマ(配列番号1)は、炭疽菌の分類ファージ(typing phage)であり、同様にそのようなバクテリオファージのベース(基礎ないし基本成分)として使用するのに適している。
【0059】
各スワブ8は、皿状で示され、典型的には、プラスチック材料で形成され、使用前に滅菌される。選択されるバクテリオファージは、好ましくは共有結合的な固定化、例えば、前出の国際特許明細書WO 03/093462号において議論されているようなものによりスワブに付着される。前記ファージを固定する利点は、それらの構造がそれに従って安定化され、それによってそれらのファージの寿命が延長されるということである。各スワブを、対象となっている細菌の増殖を補助することができるであろう水性栄養培地と共に包装することもできるであろうし、或いは使用前にそのような溶液で湿らせることもできるであろう。適当な培地は、0.1%グルコースを含むメチルセルロースゲルであるが、他の形態において別のセルロース誘導体、ガラクトマンナン又はその他の炭水化物のゲルが使用される。しかしながら、前記ゲルが、それ自体、蛍光性でないということは重要である。前記培地は検出されうる細菌に合わせて作成されるであろうということにも留意すべきである。例えば、ファージガンマを用いて炭疽菌を検出するため、培地にはペプチド混合物が与えられる。
【0060】
前記スワブ8が、試験時にサンプルの全体にこすりつけられるか、さもなければこれと接触すると、対象となっている細菌が存在する場合には、前記バクテリオファージは自身の生物学的役割を果たして細菌に感染し、前記バクテリオファージ自身が各細菌を溶解又は破裂させることによって細菌を効果的に破壊する前に増殖する。各細菌におけるバクテリオファージ増殖期の間に、蛍光蛋白質をコードする核酸を含む前記バクテリオファージゲノムが、複製され、発現される。このようにして感染した各細菌は、その内部で蛍光蛋白質を合成する。続いて、細胞の溶解の際、前記蛍光蛋白質が細菌から放出され、いくつかはバクテリオファージ粒子に取り込まれるであろ。前記スワブはその後光学試験に付されるが、その段階を図2に図示する。
【0061】
図2に示したように、前記スワブ8の表面10には、LED又は紫外線を供給する他の光源からの光が当たる。前記表面10に当たる光は適当な波長を有するように適当なフィルターを通って前記スワブ8に伝達される;GFPのための波長は395nmであろう。この露光によって、表面10上の増殖したバクテリオファージ、より具体的には発現した蛍光蛋白質を刺激し、第二の選択した波長の光が発せられる;GFPでは波長は510nmであり、この蛍光は、対応する510nmフィルター18を通って光ダイオード、光電子増倍管、電荷結合デバイス(charge coupled device)又はその他の検出器16によって検出される。前記検出器16が受ける蛍光の量は、増殖しない場合の前記バクテリオファージによって放出される蛍光の量と比較される;有意な如何なる増大も、もちろん対象となっている細菌の存在を示す。必要に応じて、前記検出器を、細菌の存在又は不存在を表示するか、又は汚染レベルの表示をする適当なプロセッサと組み合わせることもできる。
【0062】
この方法で細菌を検出することの長所は、検出が行われるようにするため前記バクテリオファージが増殖する必要があるということであり、そしてまた、これは細菌が生存していることも必要とする。したがって、本発明では、ともすれば死んだ細菌が存在した場合に生ずるであろう偽陽性の結果が全く得られることがない。
【0063】
前記スワブ8及びその表面10については、上記図2の記載の中で言及したが、こすりつけた又は接触したサンプルについては、前記スワブと前記サンプルとの両方向に移動する細菌及びバクテリオファージを考慮して、前記スワブに代えて又は追加して、光学試験を適用することができることは理解されるであろう。前記スワブ又はサンプルの性質に依存するが、前記検出器を、前記光源を基準としてその反対側に配することができる。光学検出器システムの構成部品を、図1の装置が固定されるハウジングに取り付けられるであろう手持ち式の装置に容易に組み込むことができることも理解されるであろう。しかしながら、緑色検出光(Green detected light)からUV源を分離するために必要とされる干渉フィルタの使用に関し注意を払うべきである。同様に光学装置及びシステム形態の緻密なデザインも、前記源から及び蛍光から光を分離するのに役立つであろう。
【0064】
図3には、前述した方法において使用するのに適した試験体が図示されている。それには、典型的にはクレジットカードの大きさの、プラスチック材料で形成されたカード20が示されている。一方の面には、当該カードの前端部24から延長して、栄養素と共に固定されたバクテリオファージの4つのライン22が配されている。4つのライン22のそれぞれは、細菌の異なる菌株に特異性をもつバクテリオファージを保持する。後端部26側には、前記カードの使用中にユーザーがカードを手に持つことができるよう十分な領域28があり、この領域は、ある程度視覚的に識別することができる。また輪郭で示されているのは、前記カード又はそのカードが保有するバクテリオファージの使用に関する追加の情報を保有している磁気ストリップ30である。
【0065】
使用の際、細菌を保有すると思われるサンプルに、スワブをこすりつけ、その後当該スワブを、前記カード20の表面上のライン22にこすりつける。前記溝中の栄養素は、対象となっている細菌に接触した全てのバクテリオファージの増殖又は分裂増殖を増強し、その後必要な波長の光を当てると蛍光の増大をともなうであろう。感染した可能性のある溝を有する前記カードは、その後、光学分析が行われるセンサーユニット(図示せず)において適宜形成されたスロットに導入(挿入)される。各ライン22は、細菌の特定の菌株に対応付けされているので、前記センサーは、選択した細菌の菌株のそれぞれが検出されるかどうかを別々に確認することができる。
【0066】
一つの形態において、先の形態のような積層構造のスワブを設ける代わりに、96ウェルELISAプレートが設けられ、各ウェルには先の形態のようなバクテリオファージを含む栄養サンプル(例えばゲル状のもの)が配される。使用の際、サンプルは、例えば表面に沿ってスワブをこすりつけることから、採取され、その後前記ELISAプレートのウェルに配される。スワブを、部屋又はビルの異なる場所にこすりつけることができ、採取された各サンプルを、前記ELISAプレートの異なるウェルに配することができる。前記バクテリオファージがサンプル中の全ての細菌に感染し増殖するのに十分な時間が経過したら、前記ELISAプレートはELISAプレートリーダーを用いて試験される。この形態の利点は、ELISAプレートリーダーが病院等に普及し、それによって本発明が既存のハードウェアと連結するということである。
【0067】
一つの特定の例として細菌の検出捕集装置及び対応する細菌の検出装置が図4及び5に示されている。図4を参照すると、細菌の検出捕集装置31は、ヒンジ35に接続された第一及び第二の板33、34を備える紙又はカードブック32を備える。前記第一及び第二の板33、34は、それぞれ「クレジットカード」と同一の大きさである。
【0068】
前記第一の板33の末端には、前記ヒンジ35に隣接して、前記第一の板の開口部36が設けられ、当該開口部に、透明のスライドで蓋をしている。前記スライドの内面には、複数のバクテリオファージが備えられ、それぞれが適当なプロモーターの制御下、GFPをコードする核酸を保有する。前記バクテリオファージは、前記スライド表面に共有結合的に固定されている。前記スライドの内面を覆うように、取り外し可能なシール(removable sticker)44が設けられ、これによって使用前にバクテリオファージが保護される。
【0069】
前記第一及び第二の板33、34が押し合わされた(pressed together)ときに二つの開口部36、37は整合するので、前記第二の板34には、前記第一の板33上の第一の開口部36の位置に対応する位置に、第二の開口部37が設けられている。前記第二の開口部37にも、透明のスライドで蓋をしている。前記第二の板34の内面の残りの部分には、粘着性の被膜38が施され、これは、カバー(wrapper)(図示せず)で覆われている。
【0070】
ここで図5を参照すると、細菌の検出装置39は、ケーシング(casing)40を備え、当該ケーシングには、前記カ−ド32を収容するのに適した大きさのスロット41が配されている。前記細菌の検出装置39はまた、入力をし、かつ当該装置からの出力を受けるコントロール画面42、並びにプリンター用紙排出口(paper printer outlet)43を備える。前記ケーシング40の内部には、図2に示した装置と同じ原理で作動する紫外線の光源及び蛍光検出器(図示せず)が設けられている。前記紫外線の光源を、コントロールパネル42を用いてコントロールしてもよく、前記蛍光検出器の結果を、コントロール画面42で確認してもよい。
【0071】
使用の際、サンプルは、例えばスワブを病院の表面にこすりつけることによって、スワブに採集される。前記シール44が、前記第一の板33から取り除かれ、前記サンプルが前記第一の開口部36のスライドの内側に配される。その後粘着性の面38を覆っている前記カバーも取り除かれて処分され、前記第一及び第二の板33、34が、押し合わされ、粘着性の面38によって所定の位置で固定される。これによって、前記サンプル中の全ての有害物質の漏れが防がれ、前記サンプルに混入する可能性のある全ての物質の移入も防がれる。前記第一及び第二の開口部36、37の位置決めのため、前記サンプルは、前記カード32の何れの側からも見える。
【0072】
その後、前記サンプルを、前記バクテリオファージを前記サンプル中の全ての細菌に感染させ、それらの内部で増殖させるべく、ある期間放置する。
【0073】
その後前記カード32を、前記細菌の検出装置39のスロット41に挿入し、前記細菌の検出装置を、コントロールパネル42を用いて稼動させる。その後紫外線を、前記カード32に、より具体的には前記第一及び第二の開口部36、37を通して、注ぐ。同時に、前記サンプルから放出される全ての蛍光が、蛍光検出器により検出され、何かが検出された場合には、その後その強度が、前記コントロールパネル42上に報告される。したがって、前記コントロールパネル42には、前記バクテリオファージが感染することができるという、前記サンプル中の細菌の存在又は不存在に関する表示がなされる。
【0074】
図1に示した形態のバリエーションでは、前記スワブ8にまったく同じバクテリオファージを設ける代わりに、複数の異なるバクテリオファージの菌株が設けられる。各バクテリオファージの菌株は、細菌の異なる菌株に特異的である。例えば、第一のバクテリオファージの菌株を、MRSAの所定の菌株に対して溶解性であるNCIMB 9563とし、第二のバクテリオファージの菌株を、炭疽菌の菌株に対して特異的である炭疽菌ファージ ガンマとする。更に、バクテリオファージの各菌株は異なる波長で蛍光を発する蛋白質をコードする核酸を含む。前記スワブ8は、前記のように使用されるが、検出の間、両方の発光波長が観察され、細菌の何れかの菌株の存在又は不存在が、何れかの又は両方の波長での発光の存在又は不存在を検出することによって、同時に判定されうる。
【0075】
前記形態では、蛍光を発する蛋白質として緑色蛍光蛋白質が例示されているが、他の多くの異なるタイプの蛍光を発する蛋白質が利用できることは理解されるはずである。これらの例として、商品名リビングカラーズ(Living Colors)で入手できる礁珊瑚蛍光蛋白質(reef coral fluorescent protein)が挙げられる。
【0076】
本発明の更なる形態において、前記バクテリオファージは、蛍光を発する蛋白質とは異なるタイプの光を発する蛋白質をコードする核酸を含むことも理解されるはずである。特に、前記蛋白質は、化学発光のもの又はリン光のものであってもよい。適当な化学発光蛋白質の特定の例として、ルシフェラーゼが挙げられる。この61KDa酵素は、発光基質(例えばルシフェリン)及びATPの存在下において、通常緑色から黄色のスペクトルで、光を発すべく二段階の酸化反応を触媒する。これらの形態において、前記スワブ8はまた、発光基質及びATP資源を含み、その結果、溶解した細胞によってルシフェラーゼが放出される場合には、発光が可能となる。
【0077】
ここで本発明の構成成分を製造するのに必要とされる分子生物学について記載する。発光蛋白質をコードする核酸を含む適当なバクテリオファージを製造するため、適当な菌株特異性バクテリオファージが先ず選択される(例えばNCIMB9563又は炭疽菌)。DNAが前記バクテリオファージから抽出され、塩化セシウム勾配遠心法によって精製される。ファージDNAは、適当な大きさのフラグメントに消化され、その後大腸菌プラスミドにクローン化される。前記発光蛋白質をコードする核酸に隣接する適当なファージシーケンスを含むプラスミドも同様に構築される。このプラスミドは、シャトルベクターに組み込まれ、二回相同組み換え(double crossover)によって、前記発光蛋白質をコードする遺伝子は、ファージゲノムにおいて対応する位置に導入される。
【0078】
適当なバクテリオファージを得るための別のアプローチは、前記発光蛋白質遺伝子を含むトランスポソンを使用することであるが、その後そのトランスポソンは、無作為に多数のバクテリオファージに挿入される。前記ファージは、その後大腸菌中で増殖され、前記発光蛋白質を発現するコロニーが選択される。組換えファージDNAは、単離され、適当なホスト細菌(例えば、出発バクテリオファージがNCIMB9563である場合には、前記ホスト菌株は、黄色ブドウ球菌である)に組み込まれる。適当なバクテリオファージを含むプラークが、その後選択される。
【0079】
下記参考文献により、細菌の検出のためのバクテリオファージにおける緑色蛍光蛋白質の使用についてのいくつかの有用な考察がもたらされる:
1.構築したファージベースの微生物吸着剤の効率を評価するための生物発光サルモネラの使用。W.Sun、L Brovko、及びM Griffiths J Ind.Micro&Biotech 2000年 25 273−275

2.緑色蛍光蛋白質標識PP01バクテリオファージを用いることによる大腸菌157:H7の迅速な検出。Masahito Oda、Masamoto Morita Hajime Unno及びYasunori Tanji Appl.Environ、Micro 2004年1月 527−534。

3.Nachweis Und Identifikation von Bakterienstammen(細菌の菌株の検出及び同定)01/09370 A2 Miller、Stefan。

4.緑色蛍光蛋白質の分子構造(The Molecular Structure of Green Fluorescent Protein)。Yang Fら ネイチャーバイオテクノロジー 14、1246−1251(1996)。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明を実施した捕集装置の部分断面側面図である。
【図2】目的とする細菌が存在するかどうかを決定するために、複数のバクテリオファージがどのように試験されうるかを示す図である。
【図3】本発明の別の実施形態による細菌の検出捕集装置の平面図である。
【図4】本発明の更なる実施形態による細菌の検出捕集装置の斜視図である。
【図5】図4に示した実施形態と組み合わせて動作可能な細菌の検出装置の斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細菌サンプルを受け入れる捕集媒体;及び
前記捕集媒体上又はその中に位置する複数のバクテリオファージを含み、各バクテリオファージは、1つの出力波長で光を発することができる蛋白質をコードする核酸を含む細菌の検出捕集装置。
【請求項2】
前記核酸は、蛍光を発する蛋白質をコードし、前記蛍光を発する蛋白質は、前記出力波長の光を発することによって1つの入力波長の光に応答する請求項1の細菌の検出捕集装置。
【請求項3】
前記蛍光を発する蛋白質は、緑色蛍光蛋白質(GFP)を含み;前記入力波長は395nmであり、前記出力波長は510nmであることを特徴とする請求項2の細菌の検出捕集装置。
【請求項4】
前記核酸は、発光基質の存在下において前記出力波長で光を発することができる化学発光する蛋白質をコードする請求項1の細菌の検出捕集装置。
【請求項5】
前記化学発光する蛋白質は、ルシフェラーゼであり、前記発光基質は、ルシフェリンである請求項4の細菌の検出捕集装置。
【請求項6】
前記バクテリオファージは、細菌の1つの菌株に感染すること及び/又はこれを溶解することに特異的である請求項1〜5の何れかの細菌の検出捕集装置。
【請求項7】
前記細菌の菌株は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の菌株である請求項6の細菌の検出捕集装置。
【請求項8】
前記菌株は、MRSA株3、15又は16である請求項7の細菌の検出捕集装置。
【請求項9】
前記バクテリオファージは、NCIMB9563として寄託された株であり、更に光を発することができる蛋白質をコードする核酸を含む請求項1〜8の何れかの細菌の検出捕集装置。
【請求項10】
前記細菌の菌株は、炭疽菌株である請求項1〜6の何れかの細菌の検出捕集装置。
【請求項11】
前記バクテリオファージは、炭疽菌ファージガンマであり、更に光を発することができる蛋白質をコードする核酸を含む請求項10の細菌の検出捕集装置。
【請求項12】
前記捕集媒体は、固体基質である請求項1〜11の何れかの細菌の検出捕集装置。
【請求項13】
前記バクテリオファージは、前記基質に固定されている請求項12の細菌の検出捕集装置。
【請求項14】
前記バクテリオファージは、前記基質に共有結合により固定されている請求項13の細菌の検出捕集装置。
【請求項15】
前記バクテリオファージと前記基質との間の共有結合は、カップリング剤により補われている請求項14の細菌の検出捕集装置。
【請求項16】
前記基質は、ナイロン又はアミノ若しくはカルボキシ表面基を有するその他のポリマーを含み、かつ前記カップリング剤は、カルボジイミド又はグルタルアルデヒドであり;前記基質は、セルロース又はその他の水酸基含有ポリマーを含み、かつ前記カップリング剤は、ビニルスルホニルエチレンエーテル又はトリアジンを含み;或いは前記基質は、ポリエチレン又は同類のポリマーを含み、かつ前記カップリング剤は、コロナ放電又は過マンガン酸酸化を含む請求項15の細菌の検出捕集装置。
【請求項17】
前記バクテリオファージは、その尾部をつながずに、その頭部を介して固定されている請求項13〜16の何れかの細菌の検出捕集装置。
【請求項18】
前記基質は、プラスチック材料を含む請求項12〜17の何れかの細菌の検出捕集装置。
【請求項19】
更に、水性栄養培地、好ましくはグルコースを含む水性栄養培地を含む請求項1〜18の何れかの細菌の検出捕集装置。
【請求項20】
更に、前記捕集培地を入れるための容器を含む請求項1〜19の何れかの細菌の検出捕集装置。
【請求項21】
前記容器は、ELISAプレートである請求項20の細菌の検出捕集装置。
【請求項22】
複数のバクテリオファージ株を含み、各株は異なる細菌の菌株に感染すること及び/又はこれを溶解することに特異的であり、各株のバクテリオファージは、異なる出力波長で光を発することができる蛋白質をコードする核酸を含む請求項1〜5の何れかの細菌の検出捕集装置。
【請求項23】
請求項1〜22の何れかの細菌の検出捕集装置を収容するソケット;及び前記ソケットの位置から前記出力波長の光を検出することができる光検出器を含む細菌の検出装置。
【請求項24】
更に、前記ソケットの位置に前記入力波長の光を放出することができる光源を含む請求項2又は3に従属するような請求項23の細菌の検出装置。
【請求項25】
更に、前記出力波長での光の検出を表示するため前記光検出器と連絡したユーザーインターフェースを含む請求項23又は24の細菌の検出装置。
【請求項26】
更に、前記光検出器と前記ユーザーインターフェースとの間に介在したプロセッサを含み、前記プロセッサは、経時で検出した出力波長での光の強度の変化を計算し、前記ユーザーインターフェースを介して強度の変化を表示するためのものである請求項25の細菌の検出装置。
【請求項27】
前記光検出器は、複数の異なる出力波長での光を検出することができる請求項23〜26の何れかの細菌の検出装置。
【請求項28】
更に、請求項1〜22の何れかの細菌の検出捕集装置を含む請求項23〜27の何れかの細菌の検出装置。
【請求項29】
バクテリオファージが、細菌と結合することができ、それにより前記バクテリオファージの前記細菌との結合に応じてシグナルが生ずることを特徴とする細菌の検出のためのバクテリオファージの使用。
【請求項30】
サンプル中の細菌を検出するための請求項1〜22の何れかの細菌の検出捕集装置又は請求項23〜28の何れかの細菌の検出装置の使用。
【請求項31】
下記工程を含むサンプル中の細菌を検出する方法:
a)前記サンプルを、1つの出力波長の光を発することができる蛋白質をコードする核酸を含むバクテリオファージに露出し、その結果、前記サンプル中の細菌が前記バクテリオファージに感染し、かつ前記細菌において前記核酸が発現する工程;及び
b)前記サンプルから前記出力波長で発せられた光を検出し、前記光の検出が細菌の存在を示す工程。
【請求項32】
前記核酸は、蛍光を発する蛋白質をコードし、前記蛍光を発する蛋白質は、前記出力波長の光を発することによって1つの入力波長の光に応答し、前記方法は、更に、前記サンプルに前記入力波長の光を当てる工程を含む請求項31の方法。
【請求項33】
前記核酸は、化学発光する蛋白質をコードし、前記方法は、更に、前記サンプルに化学発光基質を与える工程を含む請求項31の方法。
【請求項34】
前記バクテリオファージは、細菌の1つの菌株に特異的であり、前記出力波長での光の検出は、前記菌株の存在を示す請求項31〜33の何れかの方法。
【請求項35】
前記菌株は、MRSA株、好ましくはMRSA株3、15又は16である請求項34の方法。
【請求項36】
前記菌株は、炭疽菌である請求項34の方法。
【請求項37】
前記バクテリオファージは、請求項1〜22の何れかの細菌の検出捕集装置の一部である請求項31〜36の何れかの方法。
【請求項38】
工程a)は、前記サンプルに関し前記基質をこすりつける工程を含む請求項37の方法。
【請求項39】
工程a)は、好ましくはグルコースを含む水性栄養培地中で、前記バクテリオファージに感染させた後、前記細菌を増殖させる工程をさらに含む請求項31〜38の何れかの方法。
【請求項40】
工程b)は、前記バクテリオファージが前記細菌に感染するときに、前記出力波長の光を検出することを含み、前記出力波長の光の強度が増大していることの検出が細菌の存在を示す請求項31〜39の何れかの方法。
【請求項41】
前記サンプルは、複数のバクテリオファージの株に接触され、各株は異なる細菌の菌株に特異的であり、各株のバクテリオファージは、異なる出力波長で光を発することができる蛋白質をコードし、前記方法は、更に各出力波長で前記サンプルから発せられた光を検出する工程を含み、ある波長での光の検出が細菌の対応する菌株の存在を示す請求項31〜40の何れかの方法。
【請求項42】
更に、前記バクテリオファージで前記サンプル中の細菌を死滅させる工程を含む請求項31〜41の何れかの方法。
【請求項43】
NCIMB9563として寄託された株のゲノムを有し、更に光を発する蛋白質をコードする核酸を含むバクテリオファージ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2008−535480(P2008−535480A)
【公表日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−557598(P2007−557598)
【出願日】平成18年3月6日(2006.3.6)
【国際出願番号】PCT/GB2006/000790
【国際公開番号】WO2006/092629
【国際公開日】平成18年9月8日(2006.9.8)
【出願人】(507297787)ブレイズ ベンチャー テクノロジーズ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】