説明

細長い物体に結合された研磨粒子を包含する研磨物品及び該研磨物品を形成する方法

研磨物品が、細長い物体と、金属を包含し、細長い物体の表面の上を覆う結合層と、ポリマー材料を包含し、結合層の上を覆うコーティング層とを包含する。研磨物品はさらに、結合層及びコーティング層内に含有された研磨砥粒を包含し、結合層が、研磨砥粒の平均グリットサイズの少なくとも約40%の平均厚(tbl)を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下は研磨物品に関し、特に細長い物体に固定された研磨砥粒を包含する研磨物品に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばノコ引き、ドリリング、ポリッシング、クリーニング、カービング、及びグラインディングなど、加工物から材料を取り除くという一般的な機能のための種々の研磨工具が、種々の工業に対して、過去一世紀にわたって開発されてきた。特に、電子工業に関しては、シリコンウェーハのようなウェーハを形成するために材料の単結晶インゴットをスライスするのに適した研磨工具が、該当する。工業が成熟し続けるにつれて、インゴットは、直径がますます大きくなり、収率、生産性、加工変質層、寸法の制約、及び同様の要因のため、このような加工物に対して遊離砥粒とワイヤソーを使用することができるようなった。
【0003】
ワイヤソーは、長いワイヤに取り付けられた研磨粒子を包含する研磨工具を包含しており、ワイヤは、切断作用を引き起こすため、高速で巻き付けることができる。丸ノコ等は、切り込み深さがブレードの半径未満に限定されるが、ワイヤソーは、より大きな柔軟性を有することができるため、直線又は異形の切断経路での切断を可能にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のワイヤソーの中には、金属ワイヤ又はケーブルの上に鋼ビーズを摺動させることによって製造されものがあり、鋼ビーズは一般的に、スペーサによって分離され、ビーズは、通常電気めっき又は焼結のいずれかにより付着させられる研磨粒子によって被覆される。しかしながら、電気めっき及び焼結の作業は時間とコストがかかり得るため、ワイヤソー研磨工具の迅速な製造は妨げられる。蝋付けのような化学結合プロセスによって研磨粒子を付着させようとする試みがなされてきたが、このような製造方法は、ワイヤソーの柔軟性を減少させ、蝋付けコーティングは、疲労及び早期の破損をしやすくなる。他のワイヤソーでは、研磨剤をワイヤに結合するのに樹脂を使用することがある。あいにく、樹脂で結合されたワイヤソーは、すぐ摩耗しがちであり、研磨剤が、粒子の寿命に至る前に、失われてしまう。
【0005】
従って、産業界では、改善されたワイヤソー研磨工具及びこのような工具を形成する方法を依然として必要としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様によれば、研磨物品は、細長い物体と、金属を包含し細長い物体の表面の上を覆う結合層と、ポリマー材料を含み結合層の上を覆うコーティング層と、結合層及びコーティング層内に含有された研磨砥粒とを含む。結合層は、研磨砥粒の平均グリットサイズの少なくとも約40%の平均厚(tbl)を有する。
【0007】
別の態様によれば、研磨物品は、細長い物体と、金属を包含し細長い物体の表面の上を覆う結合層と、ポリマー材料で作られ結合層の上を覆うコーティング層とを含む。コーティング層は、結合層(tbl)の平均厚未満の平均厚(t)を有し、研磨砥粒が、結合層及びコーティング層内に含有される。研磨砥粒が、研磨砥粒の平均グリットサイズの少なくとも約40%の平均押し込み深さ(d)で結合層内に埋め込まれる。
【0008】
さらに別の態様によれば、研磨物品は、細長い物体と、金属で作られ細長い物体の表面の上を覆う結合層と、ポリマー材料を含み結合層の上を覆うコーティング層とを包含し、コーティング層が、結合層(tbl)の平均厚未満の平均厚(t)を有し、結合層及びコーティング層内に含有された研磨砥粒を包含する。研磨砥粒の全体量のうち少量が結合層内に含有され、細長い物体の表面から間隔をおいて配置されている。
【0009】
別の態様は、細長い物体と、金属を包含し細長い物体の表面の上を覆う結合層と、ポリマー材料を有し結合層の上を覆うコーティング層とを包含する研磨物品に関する。コーティング層は、結合層の平均厚(tbl)未満の平均厚(t)を有し、結合層及びコーティング層内に含有された研磨砥粒を含む。
【0010】
別の態様によれば、研磨物品は、細長い物体と、金属を含み細長い物体の表面の上を覆う結合層と、ポリマー材料を含み結合層の上を覆うコーティング層とを包含する。物品はさらに、結合層内に含有された研磨砥粒を包含し、コーティングの一部が、研磨砥粒の一部を選択的に取り囲む湿潤領域と、研磨砥粒の一部の間の非湿潤領域とを包含し、湿潤領域が、非湿潤領域におけるコーティング層の平均厚を上回るコーティング層の平均厚を有する。
【0011】
さらに別の態様では、研磨物品を形成する方法は、金属を含む結合層を細長い物体の表面上に形成することと、研磨砥粒を結合層内に埋め込むことと、研磨砥粒を結合層内に埋め込んだ後、ポリマーを含み結合層の上を覆うコーティング層を形成することとを包含する。
【0012】
他の態様は、金属を含み細長い物体の表面上の結合層、ポリマーを含み結合層の上を覆うコーティング層、及び結合層及びコーティング層内に埋め込まれた研磨砥粒を形成すること、を包含する、研磨物品を形成する方法に関する。この形成プロセスは、少なくとも約1km/時の速度で完了する。
【0013】
本開示は、添付図面を参照することによって、より良く理解され、その多数の特徴及び利点は、当業者に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】一実施形態による研磨物品を形成する方法を図示するフローチャートを包含する。
【図2】一実施形態による研磨物品を形成する方法の略図を包含する。
【図3】一実施形態による研磨物品の一部の横断面図を包含する。
【図4】一実施形態による研磨物品の一部の横断面図を包含する。
【図5】一実施形態による研磨物品の一部の側面図を包含する。
【図6】一実施形態による研磨物品の一部の横断面図を包含する。
【図7】一実施形態による研磨物品の一部の画像を包含する。
【図8】一実施形態による選択的コーティング層を有する研磨物品の一部の画像を含む。
【0015】
異なる図面における同じ参照符号の使用は、同様な又は同一の要素を表す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の事項は一般に、研磨砥粒が固定された細長い物体を組み込む研磨物品に関する。特に、研磨物品は、長さの長い研磨物品を使用するプロセスに適しており、このプロセスは、単結晶材料のブールを分割するため、電子工業において通常用いられる例えばワイヤソーイングの用途を包含する。しかしながら、ここで開示されるような研磨物品を他の研磨プロセスにも使用することができることが認識されるであろう。
【0017】
図1は、一実施形態による研磨物品を形成する方法を提供するフローチャートを包含する。形成プロセスは、金属を含む結合層を細長い物体の表面上に形成することによって、ステップ101において開始することができる。細長い物体は、例えば、無機材料、有機材料及びそれらの組み合わせを包含種々の材料で作ることができる。適当な無機材料には、セラミックス、ガラス、金属、金属合金、サーメット、及びそれらの組み合わせを包含することができる。一事例では、細長い物体は、金属又は金属合金材料を包含する。例えば、細長い物体は、遷移金属又は遷移金属合金材料で作ることができるため、鉄、ニッケル、コバルト、銅、クロム、モリブデン、バナジウム、タンタル、タングステン等の要素を組み込むことができる。場合によっては、細長い物体は、細長い物体を形成するために、紡ぎあわされ互いに固定された複数の細長いストランドを組み込む編組構造体でもよい。
【0018】
適当な有機材料には、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、エラストマー、及びそれらの組み合わせを包含することができるポリマーを包含することができる。特に有用なポリマーには、ポリイミド、ポリアミド、樹脂、ポリウレタン、ポリエステル等を包含することができる。細長い物体には、天然有機材料、例えばゴムを包含することができることが、さらに認識されるであろう。
【0019】
細長い物体の長さは、細長い物体の長さ方向軸線に沿って延びる寸法によって規定され得る。細長い物体は、研磨プロセスに使用するのに適当であるように、特定の形状を有することができる。例えば、細長い物体は、細長い物体の長さ方向軸線に対して横方向に延びる平面で見て円形横断面の外形を有するように、ほぼ円筒形の形状を有することができる。円形横断面の形状を有する細長い物体の使用において、平均直径は、少なくとも約10ミクロンとすることができる。幾つかの設計においては、平均直径を少なくとも約25ミクロン、少なくとも約40ミクロン、少なくとも約50ミクロン、又は更に少なくとも約100ミクロンとすることができるように、より厚い細長い物体の部材を組み込んでもよい。特定の設計においては、平均直径が、約25ミクロン〜約400ミクロンの範囲、例えば約50ミクロン〜約400ミクロンの範囲内の細長い物体を利用してもよい。
【0020】
他の設計においては、細長い物体は、細長い物体の長さ方向軸線に対して横方向に延びる平面で見て多角形横断面の外形を有することができる。多角形横断面の外形は、特に矩形形状、五角形、六角形等を包含する、種々の多辺形状を包含することができる。特定の一事例では、細長い物体は、矩形形状を有することができ、細長い物体は、第1主要面、第1主要面に対向した第2主要面、及び第1主要面と第2主要面との間に延びる側面を有するベルトである。
【0021】
ベルトの側面は、細長い物体の厚さを規定することができ、一方、第1主要面は、長さ方向軸線に対して横方向に測定されるような細長い物体の幅を規定することができる。特定の事例では、細長い物体の厚さ対幅の比は、少なくとも約1:2とすることができる。他の実施形態では、細長い物体の厚さ対幅の比は少なくとも約1:3とすることができ、例えば少なくとも約1:4、少なくとも約1:5、少なくとも約1:10、少なくとも約1:50とすることができる。さらに、特定の実施形態の厚さ対幅の比は、約1:2〜1:150の範囲、例えば約1:2〜約1:100の範囲内とすることができる。
【0022】
研磨の用途については、細長い物体が十分な長さを有することが適当であることがある。例えば、細長い物体は、少なくとも約1kmの細長い物体の長さ方向軸線に沿って測定されるような長さを有することができる。他の事例では、この長さはより長いものとすることができ、例えば、少なくとも約5km、少なくとも約10km、特に約1km〜約100kmの範囲内などとすることができる。さらに、特定の用途については、細長い物体が、約50m〜1kmの範囲内の長さ、例えば50m〜750mの長さ、を有することができるように、より短い長さで製造することができることが認識されるであろう。
【0023】
結合層は、内部の研磨砥粒の結合及び固定を容易にして最終形の研磨物品を形成するため、細長い物体の上面の上を覆うように形成することができる。特定の事例では、結合層は、細長い物体の上面に直接結合されるように、細長い物体の上面に直接接触している。さらに、特定の研磨物品では、材料の介在層が、結合層と細長い物体の上面との間に配置されてもよい。このような介在層は、細長い物体と結合層との結合を促すために設けられることができる。さらに、結合層は、細長い物体の上面の実質的に全体を被覆するように、形成することができる。結合層を細長い物体上に形成するために適当な方法は、蒸着プロセスを包含することができる。例えば、結合層は、電気めっきプロセスのような、めっきプロセスによって、細長い物体の外面に蒸着させることができる。
【0024】
図2を簡単に参照すると、一実施形態による研磨物品を形成する方法の概要が提供されている。図2は、システム200及びワイヤ201を包含しており、ワイヤ201は、この実施形態による研磨物品を形成するためのシステムを通して、方向202に移動させることができる。システム200は、結合層材料をワイヤ201上に蒸着させるためのめっき装置203を包含する。ワイヤ201は、めっき装置203を通して移動させることができ、めっき装置203において結合層材料を細長い物体の上面上に蒸着させることができる。
【0025】
結合層を形成するのに適した材料には、金属又は金属合金を包含することができる。幾つかの適当な金属種は、銅、ニッケル、タングステン、スズ、モリブデン、鉄、コバルト等を包含することができ、これらは、遷移金属要素を特に包含してもよい。例えば、結合層は、銅を包含することができ、実際には、結合層材料は、全て銅で作ることができる。他の結合層は、銅をベースとした金属合金材料のような、合金を使用することができる。例えば、結合層は、銅及び亜鉛を含む金属合金とすることができる。銅をベースとした金属結合層では、ニッケル、タングステン、スズ、及び他の金属要素のような合金用金属を、銅をベースとした金属合金を形成する銅の含有量と比較して少量、加えてもよい。
【0026】
再び図1を参照すると、ステップ101において結合層を細長い物体上に形成した後、ステップ103において、研磨砥粒を結合層内に埋め込むことによって、プロセスを継続することができる。研磨砥粒がワイヤに固定されて適当な研磨物品を形成するように、研磨砥粒を結合層内に埋め込むプロセスを完了させることができる。とりわけ、研磨砥粒を結合層内に埋め込むプロセスは、構成層を形成するための他のプロセスから分離した、別個のステップとすることができる。従って、研磨物品の長さに沿った研磨砥粒の位置、研磨物品内の各研磨砥粒の配向、及び結合層における研磨砥粒の平均押し込み深さのような、特定の特徴は、最終形の研磨物品における良好な研磨特性を求めて管理されてもよい。
【0027】
再び図2を参照すると、一実施形態によれば、研磨砥粒を結合層内に埋め込むプロセスは、研磨砥粒が結合層材料に圧入される加圧プロセスを包含することができる。図2の領域205において、研磨砥粒209を、2つのローラ223、224間を通され得るワイヤ201に近接して提供することができるため、研磨砥粒209は、ワイヤ201がローラ223、224を通過する際、ローラ223、224間において結合層に圧入され得る。研磨砥粒209を、種々のやり方でワイヤ201及びローラ223、224に対して位置づけすることができることが認識されるであろう。例えば、研磨砥粒209は、ローラ223、224の表面上に提供されてもよい。ワイヤ201がローラ223、224間を通過するにつれ、ローラ223、224の表面上の研磨砥粒209の一部分が結合層内に埋め込まれる。このシステムでは、ローラ223、224の表面を研磨砥粒209で連続的に覆うやり方を行うことができる。他の加圧プロセスでは、研磨砥粒209をローラ223、224間で捕捉し、結合層内に圧入して埋め込むことができるように、研磨砥粒209は、2つのローラ223、224間の領域において研磨物品のワイヤ201に近接して噴射されてもよい。
【0028】
研磨砥粒209の材料は、特に硬く、研磨プロセスに使用するのに適当なものであるようにすることができる。すなわち、研磨砥粒209のモース硬度は、少なくとも約7、例えば少なくとも8、より一般的には少なくとも約9程度とすることができる。研磨砥粒は、カーバイド、カーボンベースの材料(例えば、フラーレン)、窒化物、酸化物、ホウ化物、及びそれらの組み合わせのような材料を包含してもよい。特定の事例では、研磨砥粒209は超研磨砥粒とすることができる。例えば、ダイヤモンド(天然又は合成)、立方晶窒化ホウ素、及びそれらの組み合わせ。特定の一実施形態では、研磨砥粒は、ダイヤモンドによって実質的に構成される。
【0029】
研磨砥粒209の平均グリットサイズは、用途に応じて変えることができる。さらに、研磨砥粒209の平均グリットサイズの粒度分布は、意図した用途に応じて変えることができる。例えば、本明細書での研磨物品は、ポリシリコンのインゴット又はブールをスライスして光起電力装置用ウェーハにするような、電子工業に使用するのに特に適しているものでもよい。このような用途での研磨物品の使用は、平均グリットサイズが約200ミクロン未満の研磨砥粒209の使用が求められるかもしれない。実際には、平均グリットサイズは、約150ミクロン未満、例えば、約100ミクロン未満、約75ミクロン未満、約50ミクロン未満、又は更に約25ミクロン未満としてもよい。さらに、特定の事例では、平均グリットサイズは、少なくとも約10ミクロン、少なくとも50ミクロン、及び特に約10ミクロン〜約200ミクロンの範囲内とすることができる。
【0030】
工業的な用途のような、他の用途については、研磨砥粒209の平均グリットサイズを大きくすることができる。例えば、平均グリットサイズを少なくとも約200ミクロン、少なくとも約300ミクロン、又は更に少なくとも400ミクロン、特に約200ミクロン〜約500ミクロンとすることができる。
【0031】
さらに、用途に応じて、研磨砥粒209によって被覆される最終形の研磨物品の外面積の割合を調整することができる。一般には、研磨砥粒209は、研磨物品の利用可能な全外面積の約1%〜約100%、例えば、約1%〜約80%、約1%〜約75%、約1%〜約60%、約1%〜約50%、約1%〜約40%、約1%〜約30%、約1%〜約20%を被覆する。
【0032】
再び図1を参照すると、ステップ103において研磨砥粒を結合層内に埋め込んだ後、ポリマーを含み結合層の上を覆うコーティング層を形成して、研磨砥粒を固定するための付加的な機械的支持体を提供することによって、プロセスは、ステップ105において継続する。コーティング層は、結合層及び研磨砥粒209の一部の上を覆うようなやり方で提供されることができる。より特別な事例では、コーティング層は、結合層の上面及び結合層の上方に延びる研磨砥粒209の露出面に直接結合されるようなやり方で提供されることができる。幾つかの設計では、コーティング層は、結合層及び研磨砥粒の外表面積にわたって均一かつ連続したコーティングを形成するようなやり方で提供される。さらに、他の実施形態に記載されているように、コーティング層は、湿潤領域及び非湿潤領域が結合層の上面上に形成されるような選択的なやり方で提供されることができる。
【0033】
図2を参照すると、領域211内において、ワイヤ201の上を覆う結合層内に固定された研磨砥粒209を含む予備形成された研磨物品に、コーティング層を塗布することができる。コーティング層を塗布する方法は、蒸着プロセスを包含することができる。このため、例えばコーティング層のポリマー材料215をスプレーコーティング方法によって塗布することができる。特に、スプレーコーティングプロセスは、研磨物品に差し向けられたスプレーノズル213、214の使用を包含することができ、これらのスプレーノズル213、214は、あるサイズのスプレーノズルを利用するあるプロセスに対して、少なくとも約1cc/分、又は少なくとも約2cc/分、少なくとも約5cc/分、8cc/分、10cc/分、又は更に少なくとも約12cc/分程度の制御された平均流量でスプレーヘッドからポリマー材料を噴射するようなっている。このような事例では、スプレーノズル213、214から噴射されるポリマー材料の平均流量は、約1cc/分〜15cc/分の範囲内、例えば約1cc/分〜10cc/分、又は更に約1cc/分〜8cc/分とすることができる。
【0034】
さらに、他のプロセスでは、より大きな平均流量が他のスプレーノズルを用いて利用されてきた。例えば、少なくとも約20cc/分、少なくとも約25cc/分、少なくとも約30cc/分、又は更に少なくとも約40cc/分のような、少なくとも約15cc/分の平均流量が利用されてきた。このようなプロセスの実施形態によれば、スプレーコーティングプロセスは、約10cc/分〜75cc/分、例えば約15cc/分〜50cc/分、又は更に約20cc/分〜40cc/分の平均流量でポリマー材料がスプレーされるように行われる。
【0035】
スプレーコーティングプロセスの利用において、コーティングの制御が便利なように、スプレーヘッド213、214を、ワイヤ201の長さ方向軸線に対して特定の角度で配向してもよい。例えば、ポリマー材料215が噴射される速度、及びスプレーヘッド213、214が配向される角度を、コーティング層の厚さ及び均一性を調整するように変えてもよい。
【0036】
さらに、ポリマー材料215は、塗布を容易にするため、スプレーコーティングプロセスの際、加熱することができる。例えば、ポリマー材料215を、少なくとも約30℃の温度、例えば少なくとも約50℃、及び特に約30℃〜約100℃の範囲内の温度まで、加熱してもよい。
【0037】
とりわけ、コーティングプロセスに対して、溶媒材料を実質的に含まないポリマー材料215を使用してもよい。溶媒材料の揮発が問題とならないであろうため、無溶媒ポリマー材料215の塗布によって、コーティング層の均一性、バブルの減少及びより効率的な形成プロセスをより十分に制御できるようになるかもしれない。さらに、ポリマー材料215が溶媒を含まないこのようなプロセスでは、硬化時のコーティング層の収縮及び厚さの減少に関する懸念が軽減されるかもしれない。
【0038】
特定の事例では、オリゴマー材料も包含するものと理解されるポリマー材料215は、熱可塑性樹脂及び/又は熱硬化性樹脂のような、特定の材料を包含することができる。一例として、ポリマーは、モノマー、オリゴマー、及びポリウレタン、ポリユリア、エポキシ重合体、ポリエステル、ポリイミド、ポリシロキサン(シリコン)、アルキド重合体、又は一般に熱硬化性ポリマーの生成用の反応性樹脂を形成するための樹脂を包含してもよい。別の例は、アクリレート又はメタクリレートポリマーを包含する。ポリマー材料215は、硬化性有機材料(即ち、ポリマーモノマー、又は熱源又は電子ビーム、紫外線光、可視光等のような他のエネルギー源への露出時に、又は化学触媒、水分又はポリマーを硬化させたり重合させたりする他の薬剤の添加時に重合し又は架橋することができる材料)とすることができる。
【0039】
コーティングプロセスに加えて、コーティング層の塗布の後、コーティング層の形成は、ポリマー材料215を硬化させ、適当なコーティング層を形成するように、硬化プロセスを包含することができる。硬化プロセスは、研磨物品を硬化構造体218、219を通して移動させることができる領域217において、実施することができる。硬化構造体218、219は、硬化プロセスを容易にするため、熱源、放射、又はそれらの組み合わせを提供してもよい。一実施形態によれば、硬化プロセスは、硬化プロセスを容易にするため、ポリマー材料215への特定の波長(例えば、紫外線波長)の電磁放射線の照射を包含する。
【0040】
コーティング層の形成は、結合層の形成又は研磨砥粒の埋め込みなどの、他のプロセスステップとは分離した別個のものとすることができるプロセスであることは認識されるであろう。コーティング層は、最終形の装置における研磨砥粒の露出を変えることができるような特定のやり方で形成されることができる。例えば、特定の研磨物品では、コーティング層は、研磨砥粒の上を覆うように形成されてもよく、その結果、大部分の研磨砥粒がコーティング層の上面の下に埋設される。他の実施形態では、研磨物品は、大部分の研磨砥粒がコーティング層の上面に露出し、上面から突出するように、形成することができる。すなわち、本明細書での実施形態は、研磨砥粒が延びる結合層の上面の上方の最大距離として測定されるような、特定の研磨砥粒の露出を有することができる。代表的な数値が研磨物品に対して生成されるように、研磨砥粒の露出は、少なくとも約20個の研磨砥粒のサンプルに対して平均されることができる。それ故、本明細書での実施形態による研磨物品は、研磨砥粒の平均グリットサイズの約1%〜約95%の研磨砥粒の露出を有することができる。
【0041】
図1及び図2に図示されるプロセスは、研磨物品が効率的な速度で形成されるようなやり方で実施することができる。ポリマー及び研磨砥粒の塗布のための反復性の電気めっきプロセス又は浸漬コーティングプロセスのような、時間がかかるプロセスを包含し得る研磨ワイヤ物品を形成する他の特定の方法とは逆に、次のプロセスは、最終形の研磨物品を作るのに、少なくとも約1km/時の速度で実施することができる。他の事例では、形成プロセスは、形成速度が、少なくとも約2km/時、例えば少なくとも約3km/時、又は更に少なくとも約4km/時となるように、より迅速にしてもよい。さらに、本明細書での形成プロセスは、約1km/時〜約15km/時、例えば約1km/時〜約10km/時、より特定的には約3km/時〜約8km/時の範囲内の速度で実施してもよい。
【0042】
図3は、一実施形態による研磨物品の横断面図を包含する。図示されるように、研磨物品300は、円形横断面の形状を有するコア物品として、細長い物体301を包含する。細長い物体301の上面306を実質的に覆うように、結合層303が細長い物体301を取り囲んでいる。
【0043】
特定の任意的な設計では、結合層303は、結合層303内にフィラー309を組み込むことができる。フィラー309は、結合層303の研磨能力及び摩耗特性を向上させるため、粒子を包含することができる。しかしながら、フィラー309の粒子は、特にサイズに関して研磨砥粒307と著しく異なるものとすることができ、例えば、実質的に研磨砥粒307の平均粒度未満の平均粒度を有するフィラー309を包含することができる。すなわち、フィラー309の粒子は、研磨砥粒307の平均グリットサイズの約2分の1倍以下の平均粒度を有することができる。実際には、粒子の平均粒度はさらに小さくしてもよく、3分の1倍程度以下、例えば、約5分の1倍以下、約10分の1倍以下、約100分の1倍以下、又は更に約1000分の1倍にしてもよい。特定の研磨物品は、平均粒度が研磨砥粒307の平均グリットサイズの約2分の1倍〜約1000分の1倍、又は約10倍〜約1000倍の範囲内の粒子を包含するフィラー309を使用してもよい。
【0044】
結合層303内でフィラー309を構成する粒子は、カーバイド、カーボンベースの材料(例えば、フラーレン)、ホウ化物、窒化物、酸化物及びそれらの組み合わせなどの材料から作ることができる。特定の事例では、粒子は、ダイヤモンド、立方晶窒化ホウ素、又はこれらの組み合わせのような、超砥粒材料とすることができる。従って、フィラー309の粒子を研磨砥粒307の粒子と同じ材料とすることができることを認識されるであろう。他の事例では、フィラー309の粒子は、研磨砥粒307の材料と異なる材料を包含することができる。
【0045】
他の設計によれば、フィラー309は、金属又は金属合金材料で作ることができる。例えば、フィラー309は、金属を含む粒子を包含することができる。適当な金属材料は、遷移要素を包含することができる。フィラー309の粒子に使用するのに適した特定の遷移金属要素は、銅、銀、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛、モリブデン、クロム、ニオブ及びそれらの組み合わせを包含することができる。
【0046】
図3にさらに図示されるように、研磨物品300は、結合層303の外面311及び研磨砥粒307の一部分の上を覆うコーティング層305を包含する。さらに図示されるように、コーティング層305は、コーティング層材料305のマトリックス内に含有されるコーティングフィラー材料311を包含することができ、コーティングフィラー材料311は、実質的にその全てがコーティング層材料305によって取り囲まれるように、コーティング層305内に置かれてもよい。とりわけ、コーティング層フィラー311は、結合層303内のフィラー材料309の粒子と同じ特徴を有する粒子を包含することができる。さらに、良好な弾性、硬度、靱性及び摩耗抵抗などの良好な機械的性質を得るため、フィラー311をコーティング層305内に設けてもよい。特定の実施形態では、コーティングフィラー材料311を構成する粒子は、結合層303内のフィラー材料309と同じ粒子とすることができる。さらに、他の実施形態では、コーティングフィラー材料311の粒子は、結合層303のフィラー材料309の粒子と異なるものとすることができる。
【0047】
図4は、一実施形態による研磨物品の一部の横断面図を包含する。図示されるように、研磨物品400は、円形横断面の形状を有するコア構造体のような細長い物体301と、細長い物体301の上面330の上を覆う結合層303とを包含する。さらに、図示されるように、研磨物品400は、結合層303の上を覆うコーティング層305と、結合層303及びコーティング層305の一部内に含有される研磨砥粒307とを包含する。
【0048】
特別な実施形態によれば、結合層は、研磨砥粒307の平均グリットサイズに対して特定の関係をもつ平均厚(tbl)を有するように形成することができる。例えば、結合層303は、研磨砥粒307の平均グリットサイズの少なくとも約40%の平均厚(tbl)を有することができる。他の実施形態では、結合層303の平均厚(tbl)はより大きく、平均グリットサイズの少なくとも約50%、例えば研磨砥粒307の平均グリットサイズの少なくとも約60%、又は更に少なくとも約80%である。特定の研磨物品については、結合層303は、研磨砥粒307の平均グリットサイズの約40%〜約120%の範囲内、より特定的には約50%〜約110%の範囲内、又は更に約50%〜100%の範囲内の平均厚(tbl)を有することができる。
【0049】
さらに平均厚(tbl)に関連して、結合層303は、少なくとも約10ミクロンの平均厚を有するように、形成することができる。他の場合には、結合層303は、少なくとも約15ミクロン程度、少なくとも約20ミクロン、又は更に少なくとも約25ミクロンの平均厚を有し、より堅牢にすることができる。例えば、結合層303は、約10ミクロン〜約30ミクロンの範囲内の平均厚を有することができ、例えば約15ミクロン〜約30ミクロンの範囲内、又は更に特に約20ミクロン〜約30ミクロンの範囲内の平均厚を有することができる。
【0050】
さらに結合層303と研磨砥粒307との関係に関連して、研磨砥粒は、最終形の研磨物品の研磨特性を制御するため、結合層303内の特定の平均押し込み深さ(d)で埋め込まれてもよい。平均押し込み深さ(d)は、研磨砥粒307が結合層303内に固定される平均深さであり、図4に図示されるように、結合層303の上面306と、結合層303内の上面306から最も大きな距離にある対応する研磨砥粒の部分との間の距離として測定される。一実施形態によれば、研磨砥粒307は、結合層303内の研磨砥粒307の平均グリットサイズの少なくとも40%の平均押し込み深さ(d)のところに埋め込むことができる。他の研磨物品では、研磨砥粒307は、平均押し込み深さ(d)が、研磨砥粒307の平均グリットサイズの少なくとも約50%、例えば、少なくとも約60%、又は更に少なくとも約75%となるように、結合層303内により深く埋め込まれてもよい。さらに、研磨物品400は、平均押し込み深さ(d)が、研磨砥粒307の平均グリットサイズの約50%〜90%の範囲内、より特定的には約50%〜80%の範囲内となり得るように、形成することができる。
【0051】
図4に図示されるように、典型的な研磨砥粒331は、研磨砥粒331の底面332、又は細長い物体301の上面330に最も近い研磨砥粒331の表面が上面330から間隔をおいて配置され得るようなやり方で、結合層303内に置かれる。研磨砥粒の底面332と細長い物体301の上面330との間の距離は、間隔距離(d)となる。とりわけ、間隔距離(d)は、結合層303の平均厚の少なくとも約2%とすることができる。他の実施形態では、間隔距離(d)はより大きくすることができ、結合層303の平均厚(tbl)の少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、又は更に少なくとも約40%とすることができる。特定の研磨物品は、結合層303の平均厚(tbl)の約2%〜40%の範囲内、例えば、約10%〜約35%、より特定的には約15%〜30%の範囲内となる間隔距離(d)を利用することができる。
【0052】
特定の研磨物品は、一定数の研磨砥粒が細長い物体の上面330から間隔をおいて配置されるように形成することができる。例えば、研磨物品400内における研磨砥粒307の全数のうち少量(50%未満であるが0%を上回る)を、細長い物体301の上面330から間隔距離(d)だけ間隔をおいて配置することができる。他の研磨物品は、研磨砥粒307の全量のうち大部分の含有量(50%を上回る)が細長い物体301の上面330から間隔距離(d)のところで間隔をおいて配置されるように、形成することができる。例えば、特定の実施形態では、少なくとも約80%、又は少なくとも約85%、少なくとも約90%、又は更に実質的に全ての研磨砥粒が結合層303内に含有され、細長い物体301の上面330から間隔距離(d)のところで間隔をおいて配置されるのが適当である。
【0053】
図4にさらに図示されるように、コーティング層305は、最終形の研磨物品において適当な研磨特性を提供するため、結合層305内で適当な比率の研磨砥粒307を被覆する平均厚(t)を有するように形成することができる。特定の事例では、平均厚(t)は、研磨砥粒307の平均グリットサイズの約50%以下である。例えば、コーティング層305は、研磨砥粒307の平均グリットサイズの約40%以下、30%以下、又は更に約20%以下の平均厚を有することができる。さらに、コーティング層305は、研磨砥粒307の平均グリットサイズの約5%〜50%の範囲内、特に約5%〜30%の範囲内の平均厚を有することができる。
【0054】
コーティング層305は、結合層303の平均厚(tbl)未満の平均厚(t)を有するように形成することができる。例えば、結合層303の平均厚(tbl)に対するコーティング層305の平均厚は、層比(t:tbl)として記載することができる。特定の事例では、層比は、少なくとも約1:2とすることができる。他の事例では、層比は、少なくとも約1:3、例えば少なくとも約1:4とすることができ、特に約1:2〜約1:5の範囲内、又は更に約1:2〜約1:4にすることができる。
【0055】
本明細書での特定の研磨物品は、約25ミクロン以下の平均厚(t)を有するコーティング層305を利用してもよい。他の事例では、コーティング層はより薄くしてもよく、例えば、平均厚(t)が約20ミクロン以下、約15ミクロン以下、例えば約10ミクロン以下の程度、例えば約8ミクロン以下、約5ミクロン以下、特に約2ミクロン〜25ミクロンの範囲内、約5ミクロン〜約20ミクロン、又は更に約5ミクロン〜約10ミクロンとしてもよい。
【0056】
本明細書において、例えば、平均厚(t)、平均厚(t)、平均厚(tbl)、間隔距離(d)等を包含する数値、寸法、平均値への言及は、一般的には研磨物品の横断面で見た、対象とするエリアの拡大写真(例えば、SEM写真)を使用して測定することができる。測定技術は、正確な結果を得るため、特定の寸法の各箇所での多数の測定と組み合わされた研磨物品の長さに沿った多数の箇所からの多様なサンプリングを包含することができる。例えば、適当なサンプリングサイズは、特定の寸法に対して適当な値を得るため、合計で少なくとも3〜10個の異なる箇所、及び少なくとも10個の測定値、少なくとも20個の測定値、特に好ましくは少なくとも50個の測定値のサンプリングを包含することができる。
【0057】
図5は、一実施形態による研磨物品の一部の側面図を包含する。特に、研磨物品500は、本明細書のプロセスに従って形成されてもよい別の研磨物品を示している。とりわけ、研磨物品は、細長い物体501の上面の上を覆う結合層503を包含する細長い物体501を包含している。図示されるように、結合層503は、細長い物体501の上部表面の実質的に全体をほぼ被覆するように形成される。
【0058】
研磨物品500は、選択的コーティング層505を包含しており、選択的コーティング層505は、湿潤領域508、509と、湿潤領域508、509との間に延び湿潤領域508、509を分離する非湿潤領域510、511とを形成する。図示されるように、湿潤領域508、509は、コーティング層505が結合層503の上面を被覆し、非湿潤領域510、511におけるコーティング層505の平均厚を上回るコーティング層505の平均厚を有する領域を規定するエリアである。実際には、湿潤領域508、509におけるコーティング層505の平均厚は、非湿潤領域510、511におけるコーティング層505の平均厚の少なくとも約10%上回ることができる。さらに他の実施形態では、湿潤領域508、509におけるコーティング層505の平均厚はより厚くしてもよく、例えば、非湿潤領域510、511におけるコーティング層505の平均厚を少なくとも約25%程度上回る、少なくとも約50%上回る、75%上回る、又は更に100%上回るものであってもよい。特定の事例では、コーティング層及び湿潤領域508、509における平均厚は、非湿潤領域510、511におけるコーティング層505の平均厚を約10%〜約200%上回る範囲内である。図5に図示されるような特定の研磨物品については、非湿潤領域510、511は、結合層503の上面の上を覆うコーティング層505を実質的に包含しない領域とすることができる。
【0059】
コーティング層505を実質的に含まない非湿潤領域510、511を利用する実施形態では、湿潤領域508、509と非湿潤領域510、511との区別は、コーティング層で被覆されたエリア(即ち、湿潤領域508、509)と被覆されない領域(非湿潤領域510、511)との相違であるとみなすことができる。しかしながら、特定の実施形態では、非湿潤領域510、511は、少量のコーティング層505を含有してもよく、コーティング層505を含まない領域があるとは必ずしも限らない。このような事例では、湿潤領域508、509は、研磨砥粒507の各々のまわりに広がる円形領域によって規定されることができ、円形領域は、平均グリットサイズの約2倍に等しい湿潤領域の半径によって規定される。研磨砥粒507の群を取り囲み、研磨砥粒が稠密に集まった円形領域の重複は、研磨砥粒507の群全体を取り囲む湿潤領域を画定することができることが認識されるであろう。図8は、湿潤領域801及び非湿潤領域803を画定する選択的コーティング層を有する研磨物品の一部の画像を包含する。
【0060】
選択的コーティングを形成するプロセスにより、研磨砥粒507の含有量の大部分を実質的に取り囲むコーティング層505の形成が容易になり得る。すなわち、例えば、全研磨物品500の研磨砥粒507の少なくとも約50%は、湿潤領域508、509内に含有される。他の実施形態では、湿潤領域508、509内に含有される研磨砥粒の部分は増やすことができ、例えば、湿潤領域508、509内に含有されることができる研磨物品の研磨砥粒の少なくとも60%程度、少なくとも約70%、少なくとも約80%、又は更に少なくとも約90%とすることができる。一般的には、湿潤領域508、509内に含有される研磨砥粒507の部分は、約50%〜約95%の範囲内にある。
【0061】
図6は、一実施形態による研磨物品の一部の横断面図を包含する。研磨物品600は、結合層503と、結合層503内に埋め込まれた研磨砥粒607、608とを包含する。コーティング層505が、結合層503及び研磨砥粒607、608の部分の上を覆う。図6に図示されるように、コーティング層505は、研磨砥粒607、608の側面を優先的に湿潤させ、研磨砥粒607、608間の領域のような、研磨砥粒から大きな距離のところに隔てられた領域よりも、研磨砥粒607、608の側面に沿ったより大きな厚さを有する。
【0062】
このような物品は、良好な初期研磨性能を有することができ、その有用な寿命を通じて、良好な平均チップクリアランスが得られる。研磨物品に対するチップクリアランスは、隣接する研磨砥粒607、608の中心間に延びる線609によって規定され、線609の中央から研磨砥粒607と608の間のコーティング層505の上面509までの直交方向の測定値として規定される高さ610に加えられた、隣接する研磨砥粒607、608間の距離の総計として計算してもよい。特に、本明細書での研磨物品は、形成プロセスのパラメータ制御によって、良好な平均チップクリアランスを有し、これは、研磨物品の良好な研磨能力を容易にする。
【実施例】
【0063】
以下に、本明細書のプロセスに従って形成された典型的な研磨物品が記載される。平均直径が約150ミクロンの高強度鋼ワイヤのワイヤコアを得た。電気めっきプロセスを使用して、結合層の平均厚が約20ミクロンとなるように、鋼ワイヤを銅結合層で被覆した。とりわけ、この実施例では、使用される研磨砥粒のサイズから判断して20ミクロンで十分であると決定された。
【0064】
結合層をワイヤコアに電気めっきした後、研磨砥粒を結合層内に埋め込むのを容易にするため、ワイヤを、研磨砥粒が表面に取り付けられたローラに通した。平均直径が25ミクロンのダイヤモンドの研磨砥粒を選定し、銅結合層内の平均約10〜15ミクロンの深さのところに埋め込んだ。
【0065】
次いで、ダイヤモンドが埋め込まれたワイヤを、Nordson Corp.によって動的スプレーガンとして供給された3基のスプレーガンを含むコーティング領域に通した。コーティング層を均一に塗布するため、スプレーガンを、ワイヤに対して角度をなし且つワイヤの周囲の円周上に互いに間隔を隔てるように配向した。ガンノズル距離とワイヤとの距離は75mmであり、ガンとガンとの距離を150mmとした。ワイヤは、3.5km/時の平均速度でコーティング領域を通って移動した。コーティング材料は、30cc/分の平均流量でスプレーされるアクリル材料であった。
【0066】
コーティング層の塗布の後、ワイヤを硬化領域を通して移動させ、紫外線(UV)をワイヤに照射し、コーティング層材料を硬化させた。UVランプ(特に、直径10インチの2つのランプ、即ち、10インチのD型バルブのランプと10インチのH型バルブのランプ)を600W/インチで動作させることによって、UV放射を行った。図7は、実施例に従って形成された研磨物品の一部の拡大画像を包含する。
【0067】
3インチのCプレーンのサファイア・インゴットをスライスする試験の間、ワイヤは、DWT RTDワイヤソー機械において0.11mm/分の平均切断速度で、全体が10,626cmのサファイアをスライスすることができた。スライスしたウェーハの平均厚は750〜850ミクロンであり、平均表面粗度は約0.4ミクロンであった。これに対応するワイヤは、使用前には、0.12mm/分の平均切断速度で7,297cmをスライスすることができた。
【0068】
以上のことは、技術の最先端からの脱却を示す研磨物品の記載を包含する。本明細書の研磨物品は、金属の結合層とポリマー材料のコーティング層を介して細長い物体に固定された研磨砥粒を有する、細長い物体が組み込まれた、ワイヤソー研磨工具に関する。特に、ここでの研磨物品は、ワイヤソーイングの用途、特に光起電力装置に使用され得る単結晶又は多結晶材料のスライス又は切断を包含する電子工業に適し得る。本明細書での実施形態には、結合層と研磨砥粒のサイズとの特定の関係、結合層及びコーティング層の厚さ、研磨砥粒のグリットサイズに関するコーティング層の厚さ、選択的コーティング、コーティング層による研磨砥粒の優先的な湿潤化、及び良好な研磨特性を包含する特徴の組み合わせが含まれる。これらの特徴は、本明細書に記載されたような形成プロセスによって可能になり強化される。
【0069】
接合又は連結されているような要素に関する言及は、これらの要素間の直接的な連結、または本明細書に記載された方法を実施するために認識される1つ以上の介在要素を通じての間接的な連結のいずれかを開示することを目的としていることが認識されるであろう。それ故、上述の開示された要旨は、限定的ではなく例示的なものとみなされるべきであり、添付の特許請求の範囲は、このような修正、拡張、及び本発明の真正な範囲内に入る他の実施形態の全てを含むことを意図している。従って、本発明の範囲は、法律によって認められる最大程度まで、以下の特許請求の範囲及びその均等物の最も広く許容される解釈によって決定されるべきであり、上述の詳細な説明によって制限も限定もされるべきではない。
【0070】
以上の詳細な説明は、本開示を提示する目的のため、単一の実施形態にまとめられ又は記載され得た種々の特徴を包含する。本開示は、請求された実施形態が各請求項において強調されたものよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映するものとして解釈されるべきではない。むしろ、以下の請求項を反映するものとして、発明の要旨は、開示された実施形態の任意の特徴の全てではないものに関するものであり得る。従って、以下の特許請求の範囲は、詳細な説明に組み込まれ、各請求項は、別個の請求された要旨を規定するものとして、それ自身成立する。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長い物体と、
金属を含み、前記細長い物体の表面の上を覆う結合層と、
ポリマー材料を含み、前記結合層の上を覆うコーティング層と、
前記結合層及び前記コーティング層内に含有された研磨砥粒とを含み、
前記結合層が、前記研磨砥粒の平均グリットサイズの少なくとも約40%の平均厚(tbl)を有する、研磨物品。
【請求項2】
前記細長い物体が、少なくとも約1kmの長さ方向軸線に沿って延びた長さを有する請求項1に記載の研磨物品。
【請求項3】
前記細長い物体が、少なくとも約10kmの長さを有する請求項2に記載の研磨物品。
【請求項4】
前記細長い物体が、少なくとも約10ミクロンの平均直径によって規定された円形横断面形状を包含する請求項1又は2に記載の研磨物品。
【請求項5】
前記平均直径が、少なくとも約25ミクロンである請求項4に記載の研磨物品。
【請求項6】
前記平均直径が、約25ミクロン〜約400ミクロンの範囲内にある請求項4に記載の研磨物品。
【請求項7】
前記細長い物体が、前記長さ方向軸線に対して横方向に延びる平面で見て多角形横断面の外形を含む請求項2に記載の研磨物品。
【請求項8】
前記細長い物体が、矩形横断面の外形を含む請求項7に記載の研磨物品。
【請求項9】
前記細長い物体が、第1主要平面、前記第1主要平面に対向した第2主要平面、及び前記第1主要平面と前記第2主要平面との間に延びる側面を有するベルトを含む請求項8に記載の研磨物品。
【請求項10】
前記細長い物体が、少なくとも約1:2の厚さ対幅の比を有し、前記厚さが前記側面に沿って測定され、前記幅が前記第1主要平面を横切る前記物体の前記長さ方向軸線に対して横方向に測定される請求項9に記載の研磨物品。
【請求項11】
前記厚さ対幅の比が、少なくとも約1:3である請求項10に記載の研磨物品。
【請求項12】
前記厚さ対幅の比が、少なくとも約1:5である請求項11に記載の研磨物品。
【請求項13】
前記厚さ対幅の比が、約1:2〜約1:150の範囲内にある請求項10に記載の研磨物品。
【請求項14】
前記厚さ対幅の比が、約1:2〜約1:100の範囲内にある請求項13に記載の研磨物品。
【請求項15】
前記結合層が金属を含む請求項1に記載の研磨物品。
【請求項16】
前記結合層が銅を含む請求項15に記載の研磨物品。
【請求項17】
前記結合層が、銅をベースとした金属合金を含む請求項16に記載の研磨物品。
【請求項18】
前記細長い物体の前記表面が、前記結合層によって実質的に被覆されている請求項1、2、および4のうちいずれか一項に記載の研磨物品。
【請求項19】
前記結合層が、前記研磨砥粒の平均グリットサイズの少なくとも約40%の平均厚(tbl)を有する請求項1、2、4および18のうちいずれか一項に記載の研磨物品。
【請求項20】
前記結合層が、前記研磨砥粒の平均グリットサイズの約40%〜約120%の範囲内の平均厚(tbl)を有する請求項1、2、4、18および19のうちいずれか一項に記載の研磨物品。
【請求項21】
前記結合層が、前記研磨砥粒の平均グリットサイズの約50%〜約110%の範囲内の平均厚(tbl)を有する請求項20に記載の研磨物品。
【請求項22】
前記結合層が、前記研磨砥粒の平均グリットサイズの約50%〜約100%の範囲内の平均厚(tbl)を有する請求項21に記載の研磨物品。
【請求項23】
前記結合層が、少なくとも約10ミクロンの平均厚(tbl)を有する請求項1、2、4、18、19および20のうちいずれか一項に記載の研磨物品。
【請求項24】
前記結合層が、少なくとも約20ミクロンの平均厚(tbl)を有する請求項23に記載の研磨物品。
【請求項25】
前記結合層が、約10ミクロン〜約30ミクロンの範囲内の平均厚(tbl)を有する請求項1、2、4、18、19、20および23のうちいずれか一項に記載の研磨物品。
【請求項26】
前記結合層が、約15ミクロン〜約30ミクロンの範囲内の平均厚(tbl)を有する請求項25に記載の研磨物品。
【請求項27】
前記結合層が、約20ミクロン〜約30ミクロンの平均厚(tbl)を有する請求項25に記載の研磨物品。
【請求項28】
前記結合層がフィラーを含む請求項1、2、4、18、19、20、23および25のうちいずれか一項に記載の研磨物品。
【請求項29】
前記フィラーが粒子を含む請求項28に記載の研磨物品。
【請求項30】
前記粒子が、カーバイド、カーボンベース、ホウ化物、窒化物、酸化物、及びそれらの組み合わせによって構成される材料の群から選定される請求項29に記載の研磨物品。
【請求項31】
前記粒子が超砥粒材料を含む請求項29に記載の研磨物品。
【請求項32】
前記粒子が、実質的に前記研磨砥粒の平均グリットサイズの平均粒度未満を有する請求項29に記載の研磨物品。
【請求項33】
前記粒子が、前記研磨砥粒の平均グリットサイズの少なくとも約2分の1の平均粒度を有する請求項32に記載の研磨物品。
【請求項34】
前記粒子が、前記研磨砥粒の材料と異なる材料を含む請求項29に記載の研磨物品。
【請求項35】
コーティング層が、熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂の一方を含む請求項1、2、4、18、19、20、23、25および28のうちいずれか一項に記載の研磨物品。
【請求項36】
前記コーティング層が、溶媒を実質的に含まない請求項1、2、4、18、19、20、23、25、28および35のうちいずれか一項に記載の研磨物品。
【請求項37】
前記コーティング層が、前記研磨砥粒の平均グリットサイズの約50%以下の平均厚(t)を有する請求項1、2、4、18、19、20、23、25、28、35および36のうちいずれか一項に記載の研磨物品。
【請求項38】
前記コーティング層が、前記研磨砥粒の平均グリットサイズの約40%以下の平均厚(t)を有する請求項37に記載の研磨物品。
【請求項39】
前記コーティング層が、前記研磨砥粒の平均グリットサイズの約30%以下の平均厚(t)を有する請求項38に記載の研磨物品。
【請求項40】
前記コーティング層が、前記研磨砥粒の平均グリットサイズの約5%〜約50%の範囲内の平均厚(t)を有する請求項37に記載の研磨物品。
【請求項41】
前記コーティング層が、前記研磨砥粒の平均グリットサイズの約5%〜約30%の範囲内の平均厚(t)を有する請求項40に記載の研磨物品。
【請求項42】
前記コーティング層が、約25ミクロン以下の平均厚(t)を有する請求項1、2、4、18、19、20、23、25、28、35、36および37のうちいずれか一項に記載の研磨物品。
【請求項43】
前記コーティング層が、約20ミクロン以下の平均厚(t)を有する請求項42に記載の研磨物品。
【請求項44】
前記コーティング層が、約10ミクロン以下の平均厚(t)を有する請求項43に記載の研磨物品。
【請求項45】
前記コーティング層が、約5ミクロン〜約20ミクロンの範囲内の平均厚(t)を有する請求項42に記載の研磨物品。
【請求項46】
前記コーティング層が、コーティングフィラー材料を含む請求項1、2、4、18、19、20、23、25、28、35、36、37および42のうちいずれか一項に記載の研磨物品。
【請求項47】
前記コーティングフィラー材料が粒子を含む請求項46に記載の研磨物品。
【請求項48】
前記粒子が超砥粒材料を含む請求項47に記載の研磨物品。
【請求項49】
前記研磨砥粒が、カーバイド、カーボンベース、窒化物、酸化物、ホウ化物及びそれらの組み合わせによって構成される材料の群から選定された材料を含む請求項1、2、4、18、19、20、23、25、28、35、36、37、42および46のうちいずれか一項に記載の研磨物品。
【請求項50】
前記研磨砥粒が超砥粒材料を含む請求項1、2、4、18、19、20、23、25、28、35、36、37、42、46および49のうちいずれか一項に記載の研磨物品。
【請求項51】
前記研磨砥粒が、ダイヤモンドによって実質的に構成される請求項1、2、4、18、19、20、23、25、28、35、36、37、42、46、49および50のうちいずれか一項に記載の研磨物品。
【請求項52】
前記研磨砥粒が、約200ミクロン未満の平均グリットサイズを有する請求項1、2、4、18、19、20、23、25、28、35、36、37、42、46、49、50および51のうちいずれか一項に記載の研磨物品。
【請求項53】
前記平均グリットサイズが約150ミクロン未満である請求項52に記載の研磨物品。
【請求項54】
前記平均グリットサイズが約100ミクロン未満である請求項53に記載の研磨物品。
【請求項55】
前記平均グリットサイズが少なくとも約10ミクロンである請求項1、2、4、18、19、20、23、25、28、35、36、37、42、46、49、50、51および52のうちいずれか一項に記載の研磨物品。
【請求項56】
前記平均グリットサイズが少なくとも約50ミクロンである請求項55に記載の研磨物品。
【請求項57】
前記平均グリットサイズが約10ミクロン〜約200ミクロンの範囲内にある請求項55に記載の研磨物品。
【請求項58】
細長い物体と、
金属を含み、前記細長い物体の表面の上を覆う結合層と、
ポリマー材料を含み、前記結合層の上に位置し、前記結合層(tbl)の平均厚未満の平均厚(t)を有するコーティング層と、
前記結合層及びコーティング層内に含有された研磨砥粒とを含み、
前記研磨砥粒が、前記研磨砥粒の平均グリットサイズの少なくとも約40%の平均押し込み深さ(d)のところで前記結合層内に埋め込まれる、研磨物品。
【請求項59】
前記平均押し込み深さ(d)が、前記研磨砥粒の平均グリットサイズの少なくとも約50%である請求項58に記載の研磨物品。
【請求項60】
前記平均押し込み深さ(d)が、前記研磨砥粒の平均グリットサイズの約50%〜約90%の範囲内にある請求項59に記載の研磨物品。
【請求項61】
前記平均押し込み深さ(d)が、前記研磨砥粒の平均グリットサイズの約50%〜約80%の範囲内にある請求項60に記載の研磨物品。
【請求項62】
細長い物体と、
金属を含み、前記細長い物体の表面の上を覆う結合層と、
ポリマー材料を含み、前記結合層の上に位置し、前記結合層(tbl)の平均厚未満の平均厚(t)を有するコーティング層と、
前記結合層及びコーティング層内に含有された研磨砥粒とを含み、
研磨砥粒の前記全体量のうち少量が、前記結合層内に含有され、前記細長い物体の前記表面から間隔をおいて配置されている、研磨物品。
【請求項63】
前記研磨砥粒が、前記結合層の前記平均厚(tbl)の少なくとも約2%の間隔距離のところで前記細長い物体の前記表面から間隔をおいて配置されている請求項62に記載の研磨物品。
【請求項64】
前記間隔距離が、前記結合層の前記平均厚(tbl)の少なくとも約5%である請求項63に記載の研磨物品。
【請求項65】
前記間隔距離が、前記結合層の前記平均厚(tbl)の少なくとも約10%である請求項64に記載の研磨物品。
【請求項66】
前記間隔距離が、前記結合層の前記平均厚(tbl)の約2%〜約40%の範囲内にある請求項63に記載の研磨物品。
【請求項67】
研磨砥粒の全体量のうち大部分の量が、前記結合層内に含有され、前記細長い物体の前記表面から間隔をおいて配置されている請求項62又は63に記載の研磨物品。
【請求項68】
研磨砥粒の前記全体量のうち少なくとも約80%が、前記結合層内に含有され、前記細長い物体の前記表面から間隔をおいて配置されている請求項67に記載の研磨物品。
【請求項69】
前記研磨砥粒の実質的に全てが、前記結合層内に含有され、前記細長い物体の前記表面から間隔をおいて配置されている請求項68に記載の研磨物品。
【請求項70】
細長い物体と、
金属を含み、前記細長い物体の表面の上を覆う結合層と、
ポリマー材料を含み、前記結合層の上に位置し、前記結合層(tbl)の平均厚未満の平均厚(t)を有するコーティング層と、
前記結合層及びコーティング層内に含有された研磨砥粒とを含む、研磨物品。
【請求項71】
前記コーティング層の前記平均厚(t)及び前記結合層の前記平均厚(tbl)が、少なくとも約1:2の層比(t:tbl)を有する請求項70に記載の研磨物品。
【請求項72】
前記層比(t:tbl)が少なくとも約1:3である請求項71に記載の研磨物品。
【請求項73】
前記層比(t:tbl)が少なくとも約1:4である請求項72に記載の研磨物品。
【請求項74】
前記層比(t:tbl)が、約1:2〜約1:5の範囲内にある請求項71に記載の研磨物品。
【請求項75】
前記層比(t:tbl)が、約1:2〜約1:4の範囲内にある請求項74に記載の研磨物品。
【請求項76】
前記結合層が銅を含む請求項70又は71に記載の研磨物品。
【請求項77】
前記結合層が、銅及び亜鉛を含む金属合金を含む請求項76に記載の研磨物品。
【請求項78】
前記結合層が、前記研磨砥粒の平均グリットサイズの少なくとも約40%の平均厚(tbl)を有する請求項70、71および76のうちいずれか一項に記載の研磨物品。
【請求項79】
前記結合層が、前記研磨砥粒の平均グリットサイズの約40%〜約120%の範囲内の平均厚(tbl)を有する請求項78に記載の研磨物品。
【請求項80】
前記結合層がフィラーを含む請求項70、71、76および78のうちいずれか一項に記載の研磨物品。.
【請求項81】
前記フィラーが粒子を含む請求項80に記載の研磨物品。
【請求項82】
前記粒子が、カーバイド、カーボンベース、ホウ化物、窒化物、酸化物及びそれらの組み合わせによって構成される材料の群から選定される請求項81に記載の研磨物品。
【請求項83】
前記研磨砥粒の各々が、前記結合層内の前記研磨砥粒の平均グリットサイズの少なくとも約40%の平均押し込み深さ(d)のところに埋め込まれる請求項70、71、76、78および80のうちいずれか一項に記載の研磨物品。
【請求項84】
コーティング層が樹脂を含む請求項70、71、76、78、80および83のうちいずれか一項に記載の研磨物品。
【請求項85】
前記コーティング層が、前記研磨砥粒の平均グリットサイズの約50%以下の平均厚(t)を有する請求項70、71、76、78、80、83および84のうちいずれか一項に記載の研磨物品。
【請求項86】
前記コーティング層が、前記研磨砥粒の平均グリットサイズの約5%〜約40%の範囲内の平均厚(t)を有する請求項85に記載の研磨物品。
【請求項87】
前記コーティング層が、前記研磨砥粒の平均グリットサイズの約5%〜約30%の範囲内の平均厚(t)を有する請求項86に記載の研磨物品。
【請求項88】
前記コーティング層が、約25ミクロン以下の平均厚(t)を有する請求項70、71、76、78、80、83、84および85のうちいずれか一項に記載の研磨物品。
【請求項89】
前記コーティング層が、約5ミクロン〜約20ミクロンの範囲内の平均厚(t)を有する請求項88に記載の研磨物品。
【請求項90】
細長い物体と、
金属を含み、前記細長い物体の表面の上を覆う結合層と、
ポリマー材料を含み、前記結合層の上を覆うコーティング層と、
前記結合層内に含有された研磨砥粒とを含み、
前記コーティングの一部が、前記研磨砥粒の一部を選択的に取り囲む湿潤領域と、前記研磨砥粒の一部の間の非湿潤領域とを包含し、前記湿潤領域が、前記非湿潤領域における前記コーティング層の平均厚を超える前記コーティング層の平均厚を有する、研磨物品。
【請求項91】
各湿潤領域が、研磨砥粒を取り囲む円形領域によって画定され、前記円形領域が、前記平均グリットサイズの2倍又はそれ以下の湿潤領域半径を有する請求項90に記載の研磨物品。
【請求項92】
前記湿潤領域における前記コーティング層の前記平均厚が、前記非湿潤領域における前記コーティング層の前記平均厚を少なくとも約10%上回る請求項90又は91に記載の研磨物品。
【請求項93】
前記湿潤領域における前記コーティング層の前記平均厚が、前記非湿潤領域における前記コーティング層の前記平均厚を少なくとも約25%上回る請求項92に記載の研磨物品。
【請求項94】
前記湿潤領域における前記コーティング層の前記平均厚が、前記非湿潤領域における前記コーティング層の前記平均厚を約10%〜約200%上回る範囲にある請求項92に記載の研磨物品。
【請求項95】
前記非湿潤領域の部分が、前記コーティング層を含まないものとすることができる請求項90、91および92のうちいずれか一項に記載の研磨物品。
【請求項96】
金属を含む結合層を細長い物体の表面上に形成することと、
研磨砥粒を前記結合層内に埋め込むことと、
前記結合層内に前記研磨砥粒を埋め込んだ後、ポリマーを含み、前記結合層の上を覆うコーティング層を形成することと、
を含む、研磨物品を形成する方法。
【請求項97】
前記細長い物体が少なくとも約1kmの長さを有する請求項96に記載の方法。
【請求項98】
前記結合層の形成が、めっきプロセスを含む請求項96又は97に記載の方法。
【請求項99】
前記結合層が、銅ベースの合金を含む請求項96、97および98のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項100】
前記研磨砥粒の埋め込みが、前記研磨砥粒を前記結合層に圧入することを含む請求項99に記載の方法。
【請求項101】
前記加圧プロセスが、2つのローラ間に前記細長い物体を通すことと、前記2つのローラの間に研磨砥粒を提供することとを含む請求項100に記載の方法。
【請求項102】
前記研磨砥粒が、前記結合層内に埋め込まれ、前記細長い部材の前記表面から間隔をおいて配置されている請求項96、97、98および99のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項103】
前記コーティング層の形成が、スプレーコーティングプロセスを含む請求項96、97、98、99および102のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項104】
前記スプレーコーティングプロセスの間、前記ポリマー材料が、30℃〜約100℃の範囲内の温度に加熱される請求項103に記載の方法。
【請求項105】
前記ポリマー材料が溶媒を実質的に含まない請求項103に記載の方法。
【請求項106】
前記スプレーコーティングプロセスが、約10cc/分〜約75cc/分の範囲内の平均流量でスプレーヘッドから前記ポリマー材料を噴射することを含む請求項103に記載の方法。
【請求項107】
前記コーティング層を形成することが、前記ポリマー材料を硬化させることを含む請求項96、97、98、99、102および103のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項108】
硬化が、前記ポリマー材料への放射線の照射を含む請求項107に記載の方法。
【請求項109】
前記コーティング層を形成することが、湿潤領域及び非湿潤領域を含む選択的コーティングを形成することを含み、前記湿潤領域が、前記非湿潤領域における前記コーティング層の平均厚を上回る前記コーティング層の平均厚を有する請求項96、97、98、99、102、103および107のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項110】
前記湿潤領域が前記研磨砥粒を取り囲み、前記非湿潤領域が研磨砥粒間にある請求項109に記載の方法。
【請求項111】
前記非湿潤領域の一部が、コーティング層を実質的に含まない請求項109に記載の方法。
【請求項112】
前記コーティング層がフィラーを含む請求項96、97、98、99、102、103、107および109のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項113】
前記フィラーが粒子を含む請求項112に記載の方法。
【請求項114】
前記コーティング層の前記ポリマー材料が樹脂を含む請求項96、97、98、99、102、103、107、109および112のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項115】
前記コーティング層が、前記結合層(tbl)の平均厚未満の平均厚(t)を有する請求項96、97、98、99、102、103、107、109、112および114のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項116】
金属を含む結合層を細長い物体の表面上に形成することと、
ポリマーを含み、前記結合層の上を覆うコーティング層と、
前記結合層及びコーティング層内に埋め込まれた研磨砥粒とを含み、
前記形成プロセスが、少なくとも約1km/時の速度で完了する、研磨物品を形成する方法。
【請求項117】
前記形成プロセスが、少なくとも約2km/時の速度で完了される請求項116に記載の方法。
【請求項118】
前記形成プロセスが、少なくとも約3km/時の速度で完了される請求項117に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2013−501637(P2013−501637A)
【公表日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−524936(P2012−524936)
【出願日】平成22年8月16日(2010.8.16)
【国際出願番号】PCT/US2010/045647
【国際公開番号】WO2011/020109
【国際公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(391010770)サンーゴバン アブレイシブズ,インコーポレイティド (87)
【出願人】(507169495)サン−ゴバン アブラジフ (41)
【Fターム(参考)】