説明

組織修復用支持マトリックス上の細胞

本発明は、組織欠損の効果的な処置方法、および組織再生方法に関する。本発明は、支持マトリックス上に自己細胞を播種する工程、および細胞播種支持マトリックスを移植部位に移植する工程を含む。本発明はまた、細胞不含膜上に播種された細胞を含む、様々な組織修復構造物に関する。本発明はまた、培養方法、播種方法、および自己細胞の移植方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
一人ひとりの人の様々な側面において、何らかの型の組織欠損が起こる。火傷、すり傷、筋肉、軟骨または腱の裂傷、神経損傷、骨折等は、活動的な生活様式の人々の間ではありふれたものである。
【0002】
軟骨修復を典型的な例として挙げると、米国で毎年50万件を超える関節形成処置および関節全置換が行われている。ほぼ同じ数の同様の処置が欧州で行われている。これらの数には、約9万件の人工膝関節置換術および膝における欠損を修復するための5万件前後の処置が含まれている(Praemer A., Furner S., Rice, D. P., Musculoskeletal conditions in the United States, Park Ridge, Ill.: American Academy of Orthopaedic Surgeons, 1992, 125より)。
【0003】
米国特許第5,759,190号;第5,989,269号;第6,120,514号;第6,283,980号;第6,379,367号;第6,569,172号;第6,592,598号;第6,592,599号;および第6,599,300号、この全てはその全体が参考として援用されているが、これらには軟骨欠損の部位で軟骨細胞とともに播種された成分を移植することによって軟骨欠損を処置するための方法および組成の様々な態様が記載されている。
【0004】
現在のところ、軟骨以外の欠損のある組織を修復および/または再生する効率的で効果的な方法が必要である。本発明の教示は、細胞播種(cell-seeded)支持マトリックスを用いて欠損のある組織の修復および再生を促進する効果的で効率的な手段を供給する。
【0005】
本発明は、支持マトリックス上に播かれた細胞、好ましくは自己細胞を用いた、組織欠損の効果的な処置のためおよび組織再生のための方法に関する。本発明はまた、1つ以上の特定の組織の修復および/または再生用の1つ以上の特定の型の細胞を播種された膜を含む組織修復構造物にも関する。
【0006】
ある態様において、本発明は支持マトリックス上に播種された細胞(例えば自己の)の移植による、筋肉、軟組織、骨、腱、神経および軟骨組織を含むがこれらに限定されない任意の型の組織欠損の効果的な処置のためまたは組織再生のための、一連の方法および生成物に関する。本発明のいくつかの態様においては、該方法はまた、非自己幹細胞、被覆パッチ(covering patch)および/または止血障壁を含み得る。ある態様においては、被覆パッチおよび/または止血障壁は、本明細書中に記載される任意のマトリックス材料または接着剤であり得る。自己移植およびいくつかの支持マトリックス、被覆パッチおよび/または止血障壁の詳細な説明は、2002年4月30日に発行された米国特許第6,379,367号に記載されており、その全体は参考として本明細書中に援用されている。
【0007】
A. 本発明の細胞および組織
本発明は、組織修復および/または再生用の支持マトリックス上に播種された細胞、好ましくは自己細胞を含む組成物を意図している。「播種」は、細胞を支持マトリックスに接触させ、移植前の一時期、支持マトリックスに(接着剤ありまたはなしで)接着させることを意味する。ある態様において、細胞は移植前に支持マトリックスに接着し、支持マトリックス上で増殖し、所望の細胞型に分化する。
【0008】
本発明のある態様において、本明細書中に全体が参考として援用されている米国公報第20020173806号に記載されているように、細胞は支持マトリックスの一つの面もしくは端の上、またはある深さ(本明細書中に記載されているような)にのみ保持されている。すなわち、細胞は一つの面に接着するか、または支持マトリックスに近接している。
【0009】
本発明において、均一な播種が好ましい。播種される細胞の数は、生じる最終的な組織を限定しないと考えられている。しかしながら、最適な播種によって発生の速度は上昇し得る。最適な播種量は、具体的な培養条件に依存する。ある態様において、天然組織、すなわち神経または腱における生理的細胞密度の約0.05〜約5倍で、マトリックスに播種される。別の態様において、細胞密度は、1 ml当たり約1×105未満〜1×108細胞以上であり得、典型的には1 ml当たり約1×106細胞であり得る。
【0010】
例として、適切な細胞としては腱細胞、筋細胞、幹細胞、骨細胞、軟骨細胞、上皮細胞、ケラチノサイト、神経細胞(nerve cell)(神経細胞(neurocyte)、星状細胞、樹状細胞およびグリア細胞を含むが、これらに限定されない)、線維芽細胞、象牙細胞(odontocyte)、滑膜細胞、脂肪細胞およびセメント芽細胞が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、これらの細胞型の前駆細胞もまた、本発明において有用である。ある態様において、例えば、筋細胞の前駆体である筋芽細胞;骨細胞の前駆体である骨芽細胞;および神経細胞の前駆体である神経芽細胞は、全て本発明において有用である。ある態様において、好ましくは細胞および細胞前駆体は自己細胞および自己細胞前駆体である。
【0011】
本発明の方法および組成物から利益を得る組織としては、腱、筋肉、軟骨、骨および歯、皮膚、神経組織、上皮組織および他の組織が挙げられるが、これらに限定されない。
【0012】
B. 本発明の方法
本発明のある態様において、本発明は、種々の組織欠損の処置および組織の再生のための自己細胞の使用を意図している。
【0013】
限定ではないが例として、本発明は、自己腱細胞を支持マトリックス上に移植することで腱の裂傷を処置する方法を提供する。腱の裂傷の代表的な一例は、部分的な腱の裂傷によるローテーターカフ腱炎である。本発明はまた、腱細胞の培養、支持マトリックス上への腱細胞の播種、および移植部位内または移植部位上への腱細胞播種支持マトリックスの移植の方法も含む。
【0014】
本発明はまた、本発明で教示される、骨欠損の処置および骨の再生の方法の使用を意図している。ある態様において、自己骨芽細胞を支持マトリックス上に播き、細胞播種支持マトリックスを移植部位内または移植部位上に移植する。骨欠損のかかる代表的な例としては、非癒合性骨折(non-union fracture)、骨分節性欠損または骨組織を用いた再建外科手術が挙げられる。本発明はまた、骨芽細胞の培養、支持マトリックス上への骨芽細胞の播種、および移植部位内または移植部位上への細胞播種支持マトリックスの移植の方法を提供する。
【0015】
本発明はまた、本発明で教示される、筋肉欠損の処置および筋肉の再生の方法の使用を意図している。ある態様において、自己筋芽細胞を支持マトリックス上に播き、細胞播種支持マトリックスを移植部位内または移植部位上に移植する。筋肉欠損の代表的な例としては、筋肉変性および筋肉の裂傷が挙げられる。本発明はまた、筋芽細胞の培養、支持マトリックス上への筋芽細胞の播種、および移植部位内または移植部位上への細胞播種支持マトリックスの移植の方法を提供する。
【0016】
本発明はまた、本発明で教示される、軟骨欠損の処置および軟骨の再生の方法の使用を意図している。ある態様において、自己軟骨細胞を支持マトリックス上に播き、細胞播種支持マトリックスを移植部位内または移植部位上に移植する。軟骨欠損の代表的な例としては、膝、肩、肘、股関節または足関節等の関節内の軟骨の劣化または軟骨の損傷が挙げられる。本発明はまた、軟骨細胞の培養、支持マトリックス上への軟骨細胞の播種、および移植部位内または移植部位上への細胞播種支持マトリックスの移植の方法を提供する。
【0017】
本発明はまた、本発明で教示される、皮膚欠損の処置および皮膚の再生の方法の使用を意図している。ある態様において、自己ケラチノサイトを支持マトリックス上に播き、細胞播種支持マトリックスを移植部位内または移植部位上に移植する。皮膚欠損の代表的ないくつかの例としては、火傷、慢性非治癒性、静脈うっ血および糖尿病性潰瘍による部分層または全層の外傷、が挙げられる。本発明はまた、ケラチノサイトの培養、支持マトリックス上へのケラチノサイトの播種、および移植部位内または移植部位上への細胞播種支持マトリックスの移植の方法を提供する。
【0018】
本発明はまた、本発明で教示される、尿路の欠損および疾患(例えば失禁)の処置ならびに上皮組織の再生の方法の使用を意図している。ある態様において、自己上皮細胞を支持マトリックス上に播き、細胞播種支持マトリックスを尿路内の移植部位内または移植部位上に移植する。本発明はまた、上皮細胞の培養、支持マトリックス上への上皮細胞の播種、および移植部位内または移植部位上への細胞播種支持マトリックスの移植の方法を提供する。
【0019】
本発明はまた、本発明で教示される、神経欠損の処置および神経の再生の方法の使用を意図している。ある態様において、自己神経細胞を支持マトリックス上に播き、細胞播種支持マトリックスを移植部位内または移植部位上に移植する。神経欠損の代表的な一例としては、火傷による脊髄損傷または神経損傷が挙げられる。本発明はまた、神経細胞の培養、支持マトリックス上への神経細胞の播種、および移植部位内または移植部位上への細胞播種支持マトリックスの移植の方法を提供する。
【0020】
本発明はまた、患者中の脂肪組織の量を増加させる方法を意図している。例として、脂肪組織の増加は、豊胸または乳房再生等の成形外科または再建外科手術中に望まれ得る。
【0021】
本発明はまた、本発明で教示される、成形外科または再建外科手術(例えば豊胸または乳房再生手術)用の脂肪細胞を生産する方法の使用を意図している。ある態様において、自己脂肪細胞を支持マトリックス上に播き、細胞播種支持マトリックスを移植部位内または移植部位上に移植する。本発明はまた、脂肪細胞の培養、支持マトリックス上への脂肪細胞の播種、および移植部位内または移植部位上への細胞播種支持マトリックスの移植の方法を提供する。
【0022】
本発明はまた、本発明で教示される、任意の組織欠損の処置または任意の組織の再生の方法の使用を意図している。ある態様において、自己幹細胞を支持マトリックス上に播く前に分化させるか、部分的に分化させるか、または分化させず、次いで支持マトリックス上に播き、細胞播種支持マトリックスを移植部位内または移植部位上に移植する。任意に、細胞播種支持マトリックスの移植前、移植中、移植後に、分化を助ける因子を用い得る。本発明はまた、幹細胞の培養および分化、支持マトリックス上への幹細胞または分化した細胞の播種、ならびに移植部位内または移植部位上への細胞播種支持マトリックスの移植の方法を提供する。
【0023】
C. 本発明の組成物
ある態様において、支持マトリックスの所定の最大深度までかなりの部分の細胞または実質的に全ての細胞が支持マトリックスの一つ以上の表面に遊走するように、細胞を支持マトリックスの一つ以上の所定の部分、例えば支持マトリックスの一つの表面または表面の一部と接触させる。例えばある態様において、この深度は支持マトリックスの深さの約50%まで、好ましくは25%まで、さらに好ましくは約10%まで、さらにより好ましくは約3〜5%である。支持細胞の表面上および/または表面付近のかかる制御された細胞の播種によって細胞は自由に遊走でき、移植の部位に移動でき、移植部位での細胞の増大した増殖および組織の再生をもたらす。ある態様において、かかる播種は、全体が参考として本明細書中に援用されている米国公報第20030134411号に記載されているように、真空または非真空で支持マトリックスの表面上または表面付近に細胞を注入することによって達成され得るか、または支持マトリックスの一部に細胞を混合または配置することによって達成され得る。細胞は、生検から得られた細胞を含むがこれに限定されない任意の方法で得ることができる。このようにして得られた細胞は、次いで単離され、培養され、支持マトリックス上に播かれて後述のように本発明の組成物を形成し得る。
【0024】
1. 本発明に使用するための細胞の獲得
細胞は、様々な方法で組織から単離され得、その方法は全て当業者に公知である。ある態様において、細胞は従来の技術によって生検材料から単離され得る。生検材料は、欠損の組織の型または組織再生に関する患者の任意の組織から摘出され得る。例えば、腱の処置または再生が必要な患者は、体内の任意の腱から生検を摘出され得る。かかる腱としては、橈側手根屈筋および踵骨腱の腱が挙げられるが、これらに限定されない。腱細胞は、腱の生検から従来の方法によって単離および培養される。
【0025】
同様に、ローテーターカフ腱炎の処置が必要な患者の任意の腱から生検を摘出し得る。かかる腱としては、橈側手根屈筋および踵骨腱の腱が挙げられるが、これらに限定されない。骨芽細胞は、腱の生検から従来の方法によって単離および培養される。
【0026】
皮膚欠損(例えば火傷、深傷、裂傷)等の軟組織欠損の処置のために、ケラチノサイトを含む患者の表皮の任意の部分から皮膚生検を摘出し得る。ケラチノサイトは、皮膚生検から従来の方法によって単離および培養される。
【0027】
膀胱の上皮層の欠損等の他の軟組織欠損に関して、尿路から生検を摘出し、そこから上皮細胞を単離し得る。上皮細胞は、尿道舟状窩を含むがこれに限られない組織から単離され得る。上皮細胞は、従来の方法で尿道の生検から単離および培養される。
【0028】
骨の欠損の処置のために、体内の任意の骨から生検を摘出し得る。かかる骨としては腸骨稜が挙げられるが、これに限定されない。骨芽細胞は、骨生検から従来の方法によって単離および培養される。
【0029】
軟骨欠損の処置のために、軟骨の型、欠損部位または再生対象の部位の型に応じて、関節軟骨および半月板軟骨を含むがこれらに限定されない体内の任意の型の軟骨から軟骨生検を摘出し得る。軟骨については、軟骨の型は欠損を処置する方法と関係がない。したがって、関節軟骨生検中の細胞を半月板軟骨欠損の処置に用い得、その逆も同様である。半月板軟骨は、例えば膝から得ることができる。関節軟骨は、ヒアリン軟骨のより特殊な型で、あらゆる関節表面に見られる。任意の関節表面から得られた軟骨細胞は、任意の軟骨欠損の処置に用いられ得る。かかる材料としては膝関節が挙げられるが、これに限定されない。
【0030】
神経欠損の処置のために、任意の抹消神経または脊髄から神経細胞生検を摘出し得る。神経細胞は、従来の方法によって生検から単離および培養される。
【0031】
あるいは、任意の型の組織欠損を処置するために、患者の骨髄、臍帯血、皮膚または軟骨から幹細胞を含む生検を摘出し得る。該生検から、患者由来の幹細胞が単離および培養される。幹細胞は、特定の組織欠損の治療用に分化される。
【0032】
幹細胞はまた、従来の方法によって胎児組織および臍帯から単離される。ある幹細胞は臍帯血からのみ入手できるが所望の細胞型へ分化できるので、幹細胞は自己または非自己であり得る。具体的な修復対象の欠損または再生対象の組織に応じて、造血幹細胞、間葉幹細胞、全能幹細胞および多能性幹細胞を含む任意の型の幹細胞を本発明に用い得る。
【0033】
2. 細胞のインキュベーション、単離および培養
生検を摘出したら、生検を洗浄し、細胞を傷つけることなく組織中で細胞を取り囲む生検材料を溶解する適切な酵素を含む細胞成長培地中で所定の時間インキュベートする。細胞成長培地は、生検から取り出される細胞の型に対して特有である。本発明のある態様において、細胞成長培地は20%ウシ胎仔血清を含有し、任意に抗生物質、抗真菌剤および系統細胞分化の誘導に必要な因子を含む(以下「細胞成長培地」)。例えば、培養液中の、軟骨生検から単離された初代軟骨細胞培養からの軟骨細胞分化に必要なある因子はアスコルビン酸である。培養液中の、幹細胞からの軟骨細胞分化に必要な別の因子は形質転換成長因子βである。
【0034】
ある態様において、細胞成長培地に含まれる酵素は、好ましくはトリプシン/EDTA溶液である。あるいは、該酵素はコラゲナーゼであり得る。
【0035】
ある態様において、インキュベーション後に、生検材料を再度洗浄し、重さを量る。細胞培養を開始するのに十分な数の細胞を得るために、生検材料は80〜300ミリグラムの間の重量である。好ましくは、生検材料は少なくとも200〜300ミリグラムの間の重量である。
【0036】
ある態様において、次いで生検材料は、好ましくは細胞を傷つけない消化酵素によって、生検材料を消化酵素および細胞培養培地の溶液中で約5〜約30時間、好ましくは約15〜約20時間、摂氏37度、5% CO2雰囲気中で培養することによって消化される。消化酵素は、例えば、任意の型のコラーゲンを消化するために粗コラゲナーゼであり得る。ある態様において、生検材料は好ましくは該材料の消化を助けるために細分化される。
【0037】
ある態様において、消化後に、生検溶液を遠心分離し、得られたペレットを細胞成長培地で洗浄することによって生検材料由来の細胞が単離される。あるいは、細分化された材料をまず特定の細胞型に適切な孔サイズを有するメッシュで漉し、より大きい破片を除去し、細胞を単離し得る。単離された細胞は、次いで計数され、生存可能性について評価される。
【0038】
ある態様において、単離後に、細胞を細胞成長培地中で約3日間〜約5週間、摂氏37度、5% CO2雰囲気中で培養する。細胞培養の時間の長さは細胞型によって異なり得る。細胞型によって増殖速度は異なるので、培養時間は種々の細胞型によって異なり得る。
【0039】
3. 本発明の支持マトリックス
十分な密度まで細胞が培養されたら、次いで細胞は支持マトリックス上に播かれる。
【0040】
支持マトリックスは、接着剤ありまたはなしの細胞接着に適切な任意の形態であり得る。限定ではないが一例として、支持マトリックスは膜、マイクロビーズ、フリース、糸もしくはゲル、および/またはこれらの混合物であり得る。支持マトリックス材料は止血障壁として作用する等の他の物理的または機械的特性を有し得る。止血障壁は、補助の細胞および組織の、処置された欠損領域への浸透を阻害する。
【0041】
支持マトリックスは、架橋または非架橋コラーゲン、好ましくはI型をIII型またはII型と組み合わせて含み得る半透性材料である。支持マトリックスはまた、ヒアルロン酸、小腸粘膜下組織(SIS)、腹膜、心膜、ポリ乳酸および関連する酸、血液(すなわち、浮遊有形成分(赤血球、白血球、血小板)を有する液体部分(血漿)または生体的に再吸収可能な(bioresorbable)他の物質等の天然の供給源から、または合成によって得られたポリペプチドまたはタンパク質を含み得る。エラスチン、フィブリン、ラミニンおよびフィブロネクチン等の生体的に再吸収可能なポリマーもまた、本発明において有用である。全体が参考として本明細書中に援用されている米国公報第20020173806号に記載されているような支持マトリックス材料もまた、本発明において有用である。
【0042】
さらに、支持マトリックスは好ましくは始めに(すなわち、移植する細胞と接触させる前に)完全な細胞を含まず患者内に再吸収可能である。支持マトリックスは、有孔性表面、密度の高い表面または両者の組み合わせ等の一つあるいはいくつかの表面を有し得る。支持マトリックスはまた、半透性、不透性または完全に透性の表面を含み得る。有孔性表面を有する支持マトリックスは、例えば、全体が参考として本明細書中に援用されている米国特許第6,569,172号に記載されている。
【0043】
支持マトリックスは自己または同種である。ある態様において、全体が参考として本明細書中に援用されている、2002年4月9日にBerrettaらに発行された米国特許第6,368,298号に例証されているように、適切な自己支持マトリックスは血液から形成される。
【0044】
適切な支持マトリックスは、移植前および移植後の両方において、その上の細胞の接着および/または成長を可能にするため、ならびに細胞の成長および分化を最適化するよう細胞の自然環境と同様な系を提供するための時間、安定な形態を保持できる特徴を有する固体、半固体、ゲルまたはゲル様の骨格(scaffold)である。適切な支持マトリックスの例は、全体が参考として本明細書中に援用されている米国公報第20020173806号に開示されている。ある態様において、支持マトリックスおよび/または細胞は、移植の部位内または部位上で本発明の修復構造の保持を助けるために、個々にまたは組み合わせてのいずれかで、接着剤(例えば、自己または同種であり得るフィブリン糊等の生体適合性のある糊)または再吸収可能なピン等の物理的もしくは機械的保持手段と組み合わせられ得る。支持マトリックスの他の例としては、全体が参考として本明細書中に援用されている、2003年5月1日に出願された米国特許出願第10/427,463号に記載されているものが挙げられる。
【0045】
支持マトリックスは、任意の規則的または不規則な形状に切断されるか、または形作られ得る。好ましい態様において、支持マトリックスは欠損の形状に一致するように切断され得る。支持マトリックスの形状は、平坦、丸形および/または円筒状であり得る。支持マトリックスの形状はまた、特定の組織欠損の形状に適合するように成形され得る。支持マトリックスが繊維質の材料であるか、または繊維の特性を有する場合、支持マトリックスは所望の形状に織られ得る。あるいは、支持マトリックスはゲル、ゲル様、または不織の材料であり得る。
【0046】
ある態様において、本発明の支持マトリックスは、複数の細胞型を播かれ得、支持マトリックスの異なる部分の上および/または中および/または全体および/または近隣に異なる細胞型を有し得る。一例として、支持マトリックスの一部は第一の細胞型(例えば腱細胞)を含み得、マトリックスの別の部分は第二の細胞型(例えば筋細胞)を含み得る。例えば、骨と軟骨の交差の部分での骨および軟骨欠損を修復するために、支持マトリックスの一部は軟骨細胞を含み得、マトリックスの別の部分は骨細胞を含み得る。
【0047】
さらなる例として、マトリックスが2つの面と1つの縁を有する円盤状である場合、第一の面はその面上に第一の細胞型(例えば腱細胞)を含み得、第二の面または縁はその上に第二の細胞型(例えば筋細胞)を含み得る。あるいは、支持マトリックスの各面は、表面の中および/または上および/または全体および/または近隣に同じ細胞型を含み得る。好ましくは、細胞は、一方の面からもう一方の面への細胞の移動が妨げられるように播かれる。したがって、いくつかの態様においては、細胞型は互いに相互作用しない。
【0048】
別の態様において、二つ以上の支持マトリックスが互いに接触し得る。かかる態様においては、一方の支持マトリックスが一つ以上の細胞型と接触する前、接触している間、または接触した後に第一の支持マトリックスは第二のマトリックスと接触し得る。
【0049】
D. 本発明の組成物の移植
細胞を支持マトリックス上に播いた後、処置対象の表面に細胞が面するように、支持マトリックスおよび細胞を組織の欠損に移植する。ある態様において、本明細書中に記載されているように被覆パッチを欠損上に固定(例えば生体適合性のある接着剤または縫合)し、欠損が独力で治癒するようにする。
【0050】
ある態様において、被覆パッチは欠損を覆うのに役立ち、周囲の環境からの線維芽細胞またはマクロファージ等の望ましくない物質の侵入をさらに防ぐ。ある態様において、被覆パッチは本明細書中に記載されている支持マトリックスのいずれかであり得、かつ/またはコラーゲン(I/III型)、ヒアルロン酸、フィブリンおよびポリ乳酸を含み得る。好ましくは、被覆パッチは細胞を含まず、再吸収可能であり、また半透性であり得る。
【0051】
ある態様において、支持マトリックスおよび細胞は、接着剤または糊ありまたはなしで、移植の部位に注射可能である。
【0052】
E. 他の材料
本発明の支持マトリックスまたは播種された支持マトリックスはまた、抗菌剤、抗ウイルス薬、抗生物質、再生および/または修復対象の組織の型に適切な成長因子、ヘパリン等の血液凝固調節因子を含むがこれらに限定されない様々な薬理学的活性剤を含み得、またこれらの混合物および混成の層を、支持マトリックスへの注入の前に、生体適合性のある生体分解性支持マトリックス材料に加え得る。
【0053】
本発明の支持マトリックスまたは播種された支持マトリックスはまた、全体が参考として本明細書中に援用されている米国公報第20030144197号に記載されているように、形質転換成長因子(TGF-β-3等)、骨形成タンパク質(BMP-2等)、PTHrP、オステオプロテグリン(OPG)、インディアンヘッジホッグ、RANKLおよびインスリン様成長因子(IgF1)を含むがこれらに限定されない再生および/または修復対象の組織の型に適切な自己および非自己成長因子等の成長因子を含み得る。
【0054】
上述のように、本発明はまた、基質および/または生体分解性物質および/または細胞と接触して、生体適合性のある糊を含み得る。かかる生体適合性のある糊または接着剤としては、有機性フィブリン糊(例えばTisseel(登録商標)、Baxter、Austriaから入手可能な、フィブリンをベースにした接着剤、または自己の血液試料を用いて手術室で調製されるフィブリン糊)が挙げられる。ある態様において、本発明の細胞は、本発明の支持マトリックスと接触する前、接触している間、および/または接触した後に、適切な糊と混合され得る。あるいは、適切な糊は欠損の中に配置されるか、または表面もしくは縁の上で細胞の上端に、もしくは細胞の下に層として重ねられるか、または本発明の支持マトリックス中に注入され得る。
【0055】
ある態様において、本発明は、支持マトリックスの表面または縁上に、糊と細胞の混合物中で組み合わされた細胞および糊、または細胞および糊の一つ以上の交代層を含む。自己の細胞は欠損に移植され得ると考えられる。細胞は、細胞/糊混合物を支持マトリックスに適用する前に、均一または不均一に適切な糊と混合される。好ましくは、糊と細胞は、糊および細胞の支持マトリックスへの適用ならびに糊、細胞および支持マトリックスの組み合わせの欠損への移植の直前に(すなわち手術室で)混合される。あるいは、細胞および糊は一つ以上の層で支持マトリックスに交互に適用される。ある態様において、本発明用の糊は、フィブリン糊等の生体適合性のある糊、より具体的には自己フィブリン糊または非自己フィブリン糊のいずれかである。好ましくは、自己フィブリン糊が用いられる。
【0056】
以下の実施例によって、本発明のいくつかの態様を実施するのに適切な方法を説明する。
【実施例】
【0057】
実施例1:腱炎の処置方法
橈側手根屈筋または踵骨腱の腱から生検材料を採取し、DMEM中で洗浄して、次いで脂肪組織を取り除く。該組織をミンチ状にし、0.25%トリプシンを含む無血清DMEM中で、37℃で1時間消化し、続いて1 mg/1 mlコラゲナーゼを含む無血清Dulbecco's修正必須培地(DMEM)中で、37℃で5時間消化する。細胞ペレットを2〜3回洗浄(200 gで約10分間遠心分離)し、成長培地(10% ウシ胎仔血清(FCS)、50μg/mlアスコルビン酸、70μmol/l 硫酸ゲンタマイシン、2.2μmol/l アンホテリシンを含むDMEM)中に再懸濁する。生存率を決定するために、腱細胞を数え、次いで播種する。培養液をCO2インキュベーター内で、5% CO2、95%空気の加湿気相中に37℃で維持し、クラス100実験室内で操作する。培地を2〜3日ごとに交換する。培地の他の組成が細胞の培養に使用され得る。次いで細胞を、トリプシンEDTAを用いて5〜10分間トリプシン処理し、Trypan Blue生体染色を用いてBuurker-Turkチャンバー内で数える。細胞数を7.5×105細胞/mlに調整する。
【0058】
Geistlich Sohne (Switzerland) またはMatricel GmbH (Kaiserstr., Germany) から得られるI/III型コラーゲン膜を支持マトリックスとして使用する。該マトリックスを、NUNCLONTM Delta 6ウェル組織培養トレイのウェルの底に合うように適切な大きさにカットし、無菌条件下でウェルに置く(NUNC (InterMed) Roskilde, Denmark)。血清を含む少量の細胞培地を、マトリックスに吸収されてウェルの底でマトリックスが湿った状態に保たれるように、マトリックスに適用する。
【0059】
培地1 ml中のおよそ106細胞を、マトリックスの頂部に直接置き、マトリックスの表面にわたって分散させる。次いで、組織培養プレートを、COインキュベーター内で、37℃で60分間インキュベートする。2〜5 mlの、5〜7.5% 血清を含む組織培地を、細胞を含む組織培養ウェルに注意深く添加する。必要な場合は、pHを約7.4〜7.5に調整する。3日目に培地を交換して、プレートを3〜7日間インキュベートする。
【0060】
インキュベーション期間の終わりに、培地をデカントし、細胞播種支持マトリックスを洗浄する。次いで、支持マトリックスを、細胞側を下にして欠損部位に移植し、任意に被覆パッチで覆う。次いで、欠損をそれ自身で治癒させておく。
【0061】
実施例2:骨欠損の処置方法
腸骨稜から生検材料を採取し、組織培養フラスコに置く前に小片に切断する。骨片から移動した細胞を、コラゲナーゼ消化により分散させた。骨芽細胞を単離し、生存率を決定するために数える。骨芽細胞を、10% ウシ胎仔血清(FBS)、2 mMのβ−グリセロリンリン酸および50 μg/mlのL-アスコルビン酸を含むα−MEMを用いて単層培養液中に維持する。培養液を、CO2インキュベーター内で、37℃の5% CO2、95%空気の加湿気相中に37℃で維持し、クラス100実験室内で操作する。培地を2〜3日ごとに交換する。培地の他の組成が細胞の培養に使用され得る。細胞を、トリプシンおよびEDTAを用いて5〜10分間トリプシン処理し、Trypan Blue生体染色を用いてBuurker-Turkチャンバー内で数える。細胞数を7.5×105細胞/mlに調整する。
【0062】
Geistlich Sohne (Switzerland) またはMatricel GmbH (Kaiserstr., Germany) から得られるI/III型コラーゲン膜を支持マトリックスとして使用する。該マトリックスを、NUNCLONTM Delta 6ウェル組織培養トレイのウェルの底に合うように適切な大きさにカットし、無菌条件下でウェルに置く(NUNC (InterMed) Roskilde, Denmark)。血清を含む少量の細胞培地を、マトリックスに吸収されてウェルの底でマトリックスが湿った状態に保たれるように、マトリックスに適用する。
【0063】
培地1 ml中のおよそ106細胞を、マトリックスの頂部に直接置き、マトリックスの表面にわたって分散させる。次いで、組織培養プレートを、COインキュベーター内で、37℃で60分間インキュベートする。2〜5 mlの、5〜7.5% 血清を含む組織培地を、細胞を含む組織培養ウェルに注意深く添加する。必要な場合は、pHを約7.4〜7.5に調整する。3日目に培地を交換して、プレートを3〜7日間インキュベートする。
【0064】
インキュベーション期間の終わりに、培地をデカントし、細胞播種支持マトリックスを洗浄する。次いで、支持マトリックスを、細胞側を下にして欠損部位に移植し、任意に被覆パッチで覆う。次いで、欠損をそれ自身で治癒させておく。
【0065】
実施例3:筋欠損の処置方法
腓腹筋から生検材料を採取した。生検材料を10 mmol Hepes/NaOH (pH 7.2) を補ったHam's F12中で洗浄し、腱および脂肪組織を取り除く。組織を小片に切断し、次いで、0.12% (w/v) プロナーゼおよび0.03% (w/v) EDTAを含む上記バッファーである分離バッファー中で、37℃で1時間、振とうしているウォーターバスにおいてインキュベートする。消化後、懸濁液を100μm ナイロンメッシュを通して2.2 g/l の炭酸水素ナトリウム、20% ウシ胎仔血清(FCS)、ならびにペニシリンおよびストレプトマイシンを含むHam's F12である等量の培地に濾過する。細胞ペレットを300 gで10分間、4℃で遠心分離することにより洗浄し、ペレットを培地に再懸濁する。筋細胞を単離し、生存率を測定するために数える。筋芽細胞を培養し、CO2インキュベーター内で、5% CO2、95%空気の加湿気相中に37℃で維持し、クラス100実験室内で操作する。培地を播種後24時間で、次いで4日ごとに交換する。培地の他の組成が細胞の培養に使用され得る。細胞を、トリプシンEDTAを用いて5〜10分間トリプシン化し、Buurker-Turkチャンバー内でTrypan Blue生体染色を用いて数える。細胞数を7.5×105細胞/mlに調整する。
【0066】
Geistlich Sohne (Switzerland) またはMatricel GmbH (Kaiserstr., Germany) から得られるI/III型コラーゲン膜を支持マトリックスとして使用する。該マトリックスを、NUNCLONTM Delta 6ウェル組織培養トレイのウェルの底に合うように適切な大きさにカットし、無菌条件下でウェルに置く(NUNC (InterMed) Roskilde, Denmark)。血清を含む少量の細胞培地を、マトリックスに吸収されてウェルの底でマトリックスが湿った状態に保たれるように、マトリックスに適用する。
【0067】
培地1 ml中のおよそ106細胞を、マトリックスの頂部に直接置き、マトリックスの表面にわたって分散させる。次いで、組織培養プレートを、COインキュベーター内で、37℃で60分間インキュベートする。5〜7.5% 血清を含む2〜5 mlの組織培地を、細胞を含む組織培養ウェルに注意深く添加する。必要な場合は、pHを約7.4〜7.5に調整する。3日目に培地を交換して、プレートを3〜7日間インキュベートする。
【0068】
インキュベーション期間の終わりに、培地をデカントし、細胞播種支持マトリックスを洗浄する。次いで、支持マトリックスを、細胞側を下にして欠損部位に移植し、任意に被覆パッチで覆う。次いで、欠損をそれ自身で治癒させておく。
【0069】
実施例4:軟骨欠損の処置方法
膝から生検材料を採取し、生検材料を細胞成長培地中で一回洗浄する。成長培地は70μmol/l 硫酸ゲンタマイシン、2.2μmol/l アンホテリシン、0.3 mmol/l アスコルビン酸、および20%ウシ胎仔血清を含む。生検材料を、トリプシンEDTAを含む細胞成長培地中で5〜10分間、37℃で、5%CO2でインキュベートする。生検材料を、細胞培地を用いて更に2〜3回洗浄し、残っているトリプシンEDTAを取り除く。生検材料を計量し、次いでコラゲナーゼ(80〜300 mgの生検材料に対して約5000ユニット)を用いて、約3〜12時間、37℃で、かつ5% CO2で消化する。あるいは、この時点で生検材料をミンチ状にし、材料の消化を助ける。生検材料を次いで700 gで約10分間遠心分離し、ペレットを細胞成長培地で洗浄する。軟骨細胞を単離し、生存率を測定するために数える。軟骨細胞を培養する。
【0070】
軟骨細胞をCO2インキュベーター内で、HAM F12および15 mM Hepes バッファー、ならびに5〜10%自己血清を含む最小必須培地中、37℃で増殖させ、クラス100実験室内で操作する。培地の他の組成が細胞の培養に使用され得る。細胞を、トリプシンEDTAを用いて5〜10分間トリプシン化し、Buurker-Turkチャンバー内でTrypan Blue生体染色を用いて数える。細胞数を7.5×105細胞/mlに調整する。
【0071】
Geistlich Sohne (Switzerland) またはMatricel GmbH (Germany) から得られるI/III型コラーゲン膜を支持マトリックスとして使用する。該マトリックスを、NUNCLONTMDelta 6ウェル組織培養トレイのウェルの底に合うように適切な大きさにカットし、無菌条件下でウェルに置く(NUNC (InterMed) Roskilde, Denmark)。血清を含む少量の細胞培地を、マトリックスに吸収されてウェルの底でマトリックスが湿った状態に保たれるように、マトリックスに適用する。
【0072】
培地1 ml中のおよそ106細胞を、マトリックスの頂部に直接置き、マトリックスの表面にわたって分散させる。次いで、組織培養プレートを、COインキュベーター内で、37℃で60分間インキュベートする。5〜7.5% 血清を含む2〜5 mlの組織培地を、細胞を含む組織培養ウェルに注意深く添加する。必要な場合は、pHを約7.4〜7.5に調整する。3日目に培地を交換して、プレートを3〜7日間インキュベートする。
【0073】
インキュベーション期間の終わりに、培地をデカントし、細胞播種支持マトリックスを洗浄する。次いで、支持マトリックスを、細胞側を下にして欠損部位に移植し、任意に被覆パッチで覆う。次いで、欠損をそれ自身で治癒させておく。
【0074】
実施例5:皮膚欠損の処置方法
ヒト皮膚から生検材料を採取する。生検材料を細胞成長培地中で一回洗浄する。成長培地は70μmol/l 硫酸ゲンタマイシン、2.2μmol/l アンホテリシン、0.3 mmol/l アスコルビン酸、および20%ウシ胎仔血清を含む。生検材料を、トリプシンEDTAを含む細胞成長培地中で5〜10分間、37℃で、かつ5%CO2でインキュベートする。生検材料を、細胞培地を用いて更に2〜3回洗浄し、残っているトリプシンEDTAを取り除く。生検材料を計量し、次いでコラゲナーゼ(80〜300 mgの生検材料に対して約5000ユニット)を用いて、約17〜21時間、37℃で、かつ5% CO2で消化する。この時点で生検材料をミンチ状にし、材料の消化を助けてもよい。生検材料を次いで700 gで約10分間遠心分離し、ペレットを細胞成長培地で洗浄する。ケラチノサイトを単離し、生存率を決定するために数える。ケラチノサイトを培養する。
【0075】
ケラチノサイトを、10%ウシ胎仔血清、ヒドロコルチゾン(0.4μg/ml)、ヒト上皮成長因子(10 ng/ml)10-10 M コレラ毒素および5μg/ml亜鉛不含インスリン、24μg/mlアデニン、および2×10-9M 3,3,5-トリヨード-L-サイロニンを含むDMEM/F12培地中、NIH 3T3線維芽細胞の存在下で培養する。
【0076】
Geistlich Sohne (Switzerland) またはMatricel GmbH (Germany) から得られるI/III型コラーゲン膜を支持マトリックスとして使用する。該マトリックスを、NUNCLONTMDelta 6ウェル組織培養トレイのウェルの底に合うように適切な大きさにカットし、無菌条件下でウェルに置く(NUNC (InterMed) Roskilde, Denmark)。血清を含む少量の細胞培地を、マトリックスに吸収されてウェルの底でマトリックスが湿った状態に保たれるように、マトリックスに適用する。
【0077】
培地1 ml中のおよそ106細胞を、マトリックスの頂部に直接置き、マトリックスの表面にわたって分散させる。次いで、組織培養プレートを、COインキュベーター内で、37℃で60分間インキュベートする。5〜7.5% 血清を含む2〜5 mlの組織培地を、細胞を含む組織培養ウェルに注意深く添加する。必要な場合は、pHを約7.4〜7.5に調整する。2日目に培地を交換して、プレートを4日間インキュベートする。
【0078】
インキュベーション期間の終わりに、培地をデカントし、細胞播種支持マトリックスを、細胞側を下にして欠損部位に移植し、任意に被覆パッチで覆う。次いで、欠損をそれ自身で治癒させておく。
【0079】
実施例6:上皮欠損の処置方法
上部または下部尿路から得られた生検材料を収集し、10 mM 4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジン-エタンスルホン酸(HEPES)バッファーおよび100 KIU/mlアプロチニンを含み、0.35 g/l炭酸水素ナトリウムを有する、カルシウム不含マグネシウム不含HBSS(Hank's 平衡塩溶液)中に移す。検体をHBSS中で2回洗浄し、過剰な間質組織を無菌的に取り除く。次いで組織を、4℃で一晩、0.1%EDTA中で消化する前に、3立方mmの断片に切断する。細胞ペレットを初代ケラチノサイト培養用に調製された低カルシウム血清不含培地である成長培地中で2〜3回すすぐ(200 gで約10分間遠心分離)。培地に、添加物として組換え上皮成長因子およびウシ下垂体抽出物を補う。培地にコレラ毒素を、最終濃度30 ng/mlで添加する。尿路上皮細胞を単離し、生存率を測定するために数える。細胞を播種し、CO2インキュベーター内で、5% CO2、95%空気の加湿気相中に37℃で維持し、クラス100実験室内で操作する。培地を1週間に3回交換する。培地の他の組成が細胞の培養に使用され得る。細胞を、トリプシンEDTAを用いて5〜10分間トリプシン化し、Buurker-Turkチャンバー内でTrypan Blue生体染色を用いて数える。細胞数を7.5×105細胞/mlに調整する。
【0080】
Geistlich Sohne (Switzerland) またはMatricel GmbH (Germany) から得られるI/III型コラーゲン膜を支持マトリックスとして使用する。該マトリックスを、NUNCLONTMDelta 6ウェル組織培養トレイのウェルの底に合うように適切な大きさにカットし、無菌条件下でウェルに置く(NUNC (InterMed) Roskilde, Denmark)。この特定の支持マトリックスをまず、0.6%のグルタルアルデヒドで1分間、またはフィブリン糊であるTisseel(登録商標)(Immuno AG, Vienna, Austria)のいずれかで前処理する。これらの処理は有意にマトリックスの再吸収を遅らせる。この支持マトリックスを、未反応のグルタルアルデヒドが取り除かれるまで、蒸留水中で数回洗浄する。血清を含む少量の細胞培地を、マトリックスに吸収されてウェルの底でマトリックスが湿った状態に保たれるように、マトリックスに適用する。
【0081】
培地1 ml中のおよそ106細胞を、マトリックスの頂部に直接置き、マトリックスの表面にわたって分散させる。次いで、組織培養プレートを、COインキュベーター内で、37℃で60分間インキュベートする。5〜7.5% 血清を含む2〜5 mlの組織培地を、細胞を含む組織培養ウェルに注意深く添加する。必要な場合は、pHを約7.4〜7.5に調整する。3日目に培地を交換して、プレートを3〜7日間インキュベートする。
【0082】
インキュベーション期間の終わりに、培地をデカントし、細胞播種支持マトリックスを洗浄する。次いで、支持マトリックスを、細胞側を下にして欠損部位に移植し、任意に被覆パッチで覆う。次いで、欠損をそれ自身で治癒させておく。
【0083】
実施例7:脊髄欠損の処置方法
生検材料を、任意の末梢神経または脊髄から採取する。ヒト末梢神経を、10%FBS、100μg/mlペニシリンおよび100μg/mlストレプトマイシンを有するDMEM中に維持する。神経上膜を取り除き、神経束を1〜2mm長断片に切断する。断片から得られる外植片を上記培地中で維持し、14日間、インビトロウォーラー変性を誘導する。この期間中、培地を一日おきに交換する。14日後、外植片を、1300ユニット/mlコラゲナーゼおよび10ユニット/mlディスパーゼを含むDMEM中で、継続して振動させながら37℃で1時間消化し、次いで、消化された組織を、パスツールピペットを通して粉砕を繰り返すことにより、更に分離する。細胞ペレットを洗浄し、I型ラット尾コラーゲンでコートされた培養皿上に播種する前に10%FBSを含むDMEM中に懸濁する。神経細胞培養液を、CO2インキュベーター内で、5% CO2、95%空気の加湿気相中に37℃で維持し、クラス100実験室内で操作する。培地の他の組成が細胞の培養に使用され得る。細胞を、トリプシンEDTAを用いて5〜10分間トリプシン化し、Buurker-Turkチャンバー内でTrypan Blue生体染色を用いて数える。細胞数を7.5×105細胞/mlに調整する。
【0084】
Geistlich Sohne (Switzerland) またはMatricel GmbH (Kaiserstr., Germany) から得られるI/III型コラーゲン膜を支持マトリックスとして使用する。該マトリックスを、NUNCLONTM Delta 6ウェル組織培養トレイのウェルの底に合うように適切な大きさにカットし、無菌条件下でウェルに置く(NUNC (InterMed) Roskilde, Denmark)。この特定の支持マトリックスをまず、0.6%のグルタルアルデヒドで1分間、またはフィブリン糊であるTisseel(登録商標)(Immuno AG, Vienna, Austria)のいずれかで前処理する。これらの処理は有意にマトリックスの再吸収を遅らせる。この支持マトリックスを、未反応のグルタルアルデヒドが取り除かれるまで、蒸留水中で数回洗浄する。血清を含む少量の細胞培地を、マトリックスに吸収されてウェルの底でマトリックスが湿った状態に保たれるように、マトリックスに適用する。
【0085】
培地1 ml中のおよそ106細胞を、マトリックスの頂部に直接置き、マトリックスの表面にわたって分散させる。次いで、組織培養プレートを、COインキュベーター内で、37℃で60分間インキュベートする。5〜7.5% 血清を含む2〜5 mlの組織培地を、細胞を含む組織培養ウェルに注意深く添加する。必要な場合は、pHを約7.4〜7.5に調整する。3日目に培地を交換して、プレートを3〜7日間インキュベートする。
【0086】
インキュベーション期間の終わりに、培地をデカントし、細胞播種支持マトリックスを洗浄する。次いで、支持マトリックスを、細胞側を下にして欠損部位に移植し、任意に被覆パッチで覆う。次いで、欠損をそれ自身で治癒させておく。
【0087】
実施例8:任意の組織欠損の処置方法
生検材料を骨髄から採取し、生検材料を細胞成長培地中で一回洗浄する。成長培地はHAM F12および15 mM HEPESバッファー、70μmol/l 硫酸ゲンタマイシン、2.2μmol/l アンホテリシン、0.3mmol/lアスコルビン酸、および20% ウシ胎仔血清を含む。1または複数の特定の成長因子が、特定の細胞系列を誘導するために成長培地中に含まれる。例えば、トランスホーミング成長因子βが軟骨細胞分化誘導用の培地に含まれる一方で、線維芽細胞成長因子が腱細胞分化誘導用の培地に含まれる。幹細胞を培地中で培養し、生存率を測定するために数える。分化した細胞を、CO2インキュベーター内で、HAM F12および15 mM HEPES バッファー、ならびに5〜7.5%自己血清を含む最小必須培地中、37℃で増殖させ、クラス100実験室内で操作する。培地の他の組成が細胞の培養に使用され得る。細胞を、トリプシンEDTAを用いて5〜10分間トリプシン化し、Buurker-Turkチャンバー内でTrypan Blue生体染色を用いて数える。細胞数を7.5×105細胞/mlに調整する。
【0088】
Geistlich Sohne (Switzerland) またはMatricel GmbH (Kaiserstr., Germany) から得られるI/III型コラーゲン膜を支持マトリックスとして使用する。該マトリックスを、NUNCLONTM Delta 6ウェル組織培養トレイのウェルの底に合うように適切な大きさにカットし、無菌条件下でウェルに置く(NUNC (InterMed) Roskilde, Denmark)。血清を含む少量の細胞培地を、マトリックスに吸収されてウェルの底でマトリックスが湿った状態に保たれるように、マトリックスに適用する。
【0089】
培地1 ml中のおよそ106細胞を、マトリックスの頂部に直接置き、マトリックスの表面にわたって分散させる。次いで、組織培養プレートを、COインキュベーター内で、37℃で60分間インキュベートする。5〜7.5% 血清を含む2〜5 mlの組織培地を、細胞を含む組織培養ウェルに注意深く添加する。必要な場合は、pHを約7.4〜7.5に調整する。3日目に培地を交換して、プレートを3〜7日間インキュベートする。
【0090】
インキュベーション期間の終わりに、培地をデカントし、細胞播種支持マトリックスを洗浄する。次いで、支持マトリックスを、細胞側を下にして欠損部位に移植し、任意に被覆パッチで覆う。次いで、欠損をそれ自身で治癒させておく。
【0091】
広く記載された本発明の趣旨または範囲を逸脱すること無しに、特定の態様において示された本発明に対して多数の変化および変更がなされ得ることは当業者により理解されるであろう。従って、本態様および実施例は、全ての点で例示として考慮されるべきであり、限定的ではない。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞不含支持マトリックスおよび該マトリックスに近接した幹細胞を含む、組織修復構造物。
【請求項2】
前記支持マトリックスが再吸収可能である、請求項1記載の組織修復構造物。
【請求項3】
前記支持マトリックスが膜、マイクロビーズ、フリース、ゲル、糸、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1記載の組織修復構造物。
【請求項4】
前記支持マトリックスが自己由来である、請求項1記載の組織修復構造物。
【請求項5】
前記支持マトリックスが同種である、請求項1記載の組織修復構造物。
【請求項6】
前記支持マトリックスがI型コラーゲンおよびIII型コラーゲンの組み合わせを含む、請求項1記載の組織修復構造物。
【請求項7】
前記支持マトリックスがII型コラーゲンを含む、請求項1記載の組織修復構造物。
【請求項8】
前記支持マトリックスが、小腸粘膜下組織、腹膜、心膜、ポリ乳酸、血液、およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるタンパク質またはポリペプチドを含む、請求項1記載の組織修復構造物。
【請求項9】
前記構造物が移植可能または注射可能である、請求項1記載の組織修復構造物。
【請求項10】
前記幹細胞が前記支持マトリックスに接着している、請求項1記載の組織修復構造物。
【請求項11】
細胞不含支持マトリックスおよび該マトリックスに近接した腱細胞を含む、腱修復構造物。
【請求項12】
前記支持マトリックスが再吸収可能である、請求項11記載の腱修復構造物。
【請求項13】
前記支持マトリックスが膜、マイクロビーズ、フリース、ゲル、糸、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項11記載の腱修復構造物。
【請求項14】
前記支持マトリックスが自己由来である、請求項11記載の腱修復構造物。
【請求項15】
前記支持マトリックスが同種である、請求項11記載の腱修復構造物。
【請求項16】
前記支持マトリックスがI型コラーゲンおよびIII型コラーゲンの組み合わせを含む、請求項11記載の腱修復構造物。
【請求項17】
前記支持マトリックスがII型コラーゲンを含む、請求項11記載の腱修復構造物。
【請求項18】
前記支持マトリックスが、小腸粘膜下組織、腹膜、心膜、ポリ乳酸、血液、およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるタンパク質またはポリペプチドを含む、請求項11記載の腱修復構造物。
【請求項19】
前記構造物が移植可能または注射可能である、請求項11記載の腱修復構造物。
【請求項20】
前記腱細胞が前記支持マトリックスに接着している、請求項11記載の腱修復構造物。
【請求項21】
細胞不含支持マトリックスおよび該マトリックスに近接した筋細胞を含む、筋修復構造物。
【請求項22】
前記支持マトリックスが再吸収可能である、請求項21記載の筋修復構造物。
【請求項23】
前記支持マトリックスが膜、マイクロビーズ、フリース、ゲル、糸、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項21記載の筋修復構造物。
【請求項24】
前記支持マトリックスが自己由来である、請求項21記載の筋修復構造物。
【請求項25】
前記支持マトリックスが同種である、請求項21記載の筋修復構造物。
【請求項26】
前記支持マトリックスがI型コラーゲンおよびIII型コラーゲンの組み合わせを含む、請求項21記載の筋修復構造物。
【請求項27】
前記支持マトリックスがII型コラーゲンを含む、請求項21記載の筋修復構造物。
【請求項28】
前記支持マトリックスが、小腸粘膜下組織、腹膜、心膜、ポリ乳酸、血液、およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるタンパク質またはポリペプチドを含む、請求項21記載の筋修復構造物。
【請求項29】
前記構造物が移植可能または注射可能である、請求項21記載の筋修復構造物。
【請求項30】
前記筋細胞が前記支持マトリックスに接着している、請求項21記載の筋修復構造物。
【請求項31】
細胞不含支持マトリックスおよび該マトリックスに近接した上皮細胞を含む、上皮修復構造物。
【請求項32】
前記支持マトリックスが再吸収可能である、請求項31記載の上皮修復構造物。
【請求項33】
前記支持マトリックスが膜、マイクロビーズ、フリース、ゲル、糸、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項31記載の上皮修復構造物。
【請求項34】
前記支持マトリックスが自己由来である、請求項31記載の上皮修復構造物。
【請求項35】
前記支持マトリックスが同種である、請求項31記載の上皮修復構造物。
【請求項36】
前記支持マトリックスがI型コラーゲンおよびIII型コラーゲンを含む、請求項31記載の上皮修復構造物。
【請求項37】
前記支持マトリックスがII型コラーゲンを含む、請求項31記載の上皮修復構造物。
【請求項38】
前記支持マトリックスが、小腸粘膜下組織、腹膜、心膜、ポリ乳酸、血液、およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるタンパク質またはポリペプチドを含む、請求項31記載の上皮修復構造物。
【請求項39】
前記構造物が移植可能または注射可能である、請求項31記載の上皮修復構造物。
【請求項40】
前記上皮細胞が前記支持マトリックスに接着している、請求項31記載の上皮修復構造物。
【請求項41】
細胞不含支持マトリックスおよび該マトリックスに近接した神経細胞を含む、神経組織修復構造物。
【請求項42】
前記支持マトリックスが再吸収可能である、請求項41記載の神経組織修復構造物。
【請求項43】
前記支持マトリックスが膜、マイクロビーズ、フリース、ゲル、糸、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項41記載の神経組織修復構造物。
【請求項44】
前記支持マトリックスが自己由来である、請求項41記載の神経組織修復構造物。
【請求項45】
前記支持マトリックスが同種である、請求項41記載の神経組織修復構造物。
【請求項46】
前記支持マトリックスがI型コラーゲンおよびIII型コラーゲンの組み合わせを含む、請求項41記載の神経組織修復構造物。
【請求項47】
前記支持マトリックスがII型コラーゲンを含む、請求項41記載の神経組織修復構造物。
【請求項48】
前記支持マトリックスが、小腸粘膜下組織、腹膜、心膜、ポリ乳酸、血液、およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるタンパク質またはポリペプチドを含む、請求項41記載の神経組織修復構造物。
【請求項49】
前記構造物が移植可能または注射可能である、請求項41記載の神経組織修復構造物。
【請求項50】
前記神経細胞が前記支持マトリックスに接着している、請求項41記載の神経組織修復構造物。
【請求項51】
細胞不含支持マトリックスおよび該細胞に近接した骨細胞を含む、骨修復構造物。
【請求項52】
前記支持マトリックスが再吸収可能である、請求項51記載の骨修復構造物。
【請求項53】
前記支持マトリックスが膜、マイクロビーズ、フリース、ゲル、糸、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項51記載の骨修復構造物。
【請求項54】
前記支持マトリックスが自己由来である、請求項51記載の骨修復構造物。
【請求項55】
前記支持マトリックスが同種である、請求項51記載の骨修復構造物。
【請求項56】
前記支持マトリックスがI型コラーゲンおよびIII型コラーゲンの組み合わせを含む、請求項51記載の骨修復構造物。
【請求項57】
前記支持マトリックスがII型コラーゲンを含む、請求項51記載の骨修復構造物。
【請求項58】
前記支持マトリックスが、小腸粘膜下組織、腹膜、心膜、ポリ乳酸、血液、およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるタンパク質またはポリペプチドを含む、請求項51記載の骨修復構造物。
【請求項59】
前記構造物が移植可能または注射可能である、請求項51記載の骨修復構造物。
【請求項60】
前記骨細胞が前記支持マトリックスに接着している、請求項51記載の骨修復構造物。
【請求項61】
細胞不含支持マトリックスおよび該マトリックスに近接したケラチノサイトを含む、皮膚修復構造物。
【請求項62】
前記支持マトリックスが再吸収可能である、請求項61記載の皮膚修復構造物。
【請求項63】
前記支持マトリックスが膜、マイクロビーズ、フリース、ゲル、糸、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項61記載の皮膚修復構造物。
【請求項64】
前記支持マトリックスが自己由来である、請求項61記載の皮膚修復構造物。
【請求項65】
前記支持マトリックスが同種である、請求項61記載の皮膚修復構造物。
【請求項66】
前記支持マトリックスがI型コラーゲンおよびIII型コラーゲンの組み合わせを含む、請求項61記載の皮膚修復構造物。
【請求項67】
前記支持マトリックスがII型コラーゲンを含む、請求項61記載の皮膚修復構造物。
【請求項68】
前記支持マトリックスが小腸粘膜下組織、腹膜、心膜、ポリ乳酸、血液、およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるタンパク質またはポリペプチドを含む、請求項61記載の皮膚修復構造物。
【請求項69】
前記構造物が移植可能または注射可能である、請求項61記載の皮膚修復構造物。
【請求項70】
前記ケラチノサイトが前記支持マトリックスに接着している、請求項61記載の皮膚修復構造物。
【請求項71】
a)患者から細胞を抽出し、単離する工程;
b)該細胞を細胞不含支持マトリックス上に播種する工程;および
c)該支持マトリックスを組織欠損の部位に移植する工程
を含み、ここで、該細胞は腱細胞、幹細胞、神経細胞、筋細胞、ケラチノサイト、上皮細胞、および骨細胞からなる群より選択される、患者において組織欠損を修復するための方法。
【請求項72】
前記支持マトリックスが、小腸粘膜下組織、腹膜、心膜、ポリ乳酸、血液、およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるタンパク質またはポリペプチドを含む、請求項71記載の方法。
【請求項73】
前記支持マトリックスが再吸収可能である、請求項71記載の方法。
【請求項74】
前記支持マトリックスが膜、マイクロビーズ、フリース、ゲル、糸、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項71記載の方法。
【請求項75】
前記支持マトリックスが自己由来である、請求項71記載の方法。
【請求項76】
前記支持マトリックスが同種である、請求項71記載の方法。
【請求項77】
前記支持マトリックスがI型コラーゲンおよびIII型コラーゲンの組み合わせを含む、請求項71記載の方法。
【請求項78】
前記支持マトリックスがII型コラーゲンを含む、請求項71記載の方法。
【請求項79】
前記支持マトリックスが移植可能または注射可能である、請求項71記載の方法。
【請求項80】
前記細胞が前記支持マトリックスに接着している、請求項71記載の方法。
【請求項81】
a)患者から脂肪細胞を抽出し、単離する工程;
b)該脂肪細胞を、細胞不含支持マトリックス上に播種する工程;および
c)脂肪組織の増加のために、該支持マトリックスを所望の部位に移植する工程
を含む、患者において脂肪組織を増加させるための方法。
【請求項82】
前記所望の部位が前記患者の胸部である、請求項81記載の方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞不含支持マトリックスおよび該マトリックスに近接した腱細胞を含む、腱修復構造物。
【請求項2】
前記支持マトリックスが再吸収可能である、請求項1記載の腱修復構造物。
【請求項3】
前記支持マトリックスが膜、マイクロビーズ、フリース、ゲル、糸、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1記載の腱修復構造物。
【請求項4】
前記支持マトリックスが自己由来である、請求項1記載の腱修復構造物。
【請求項5】
前記支持マトリックスが同種である、請求項1記載の腱修復構造物。
【請求項6】
前記支持マトリックスがI型コラーゲンおよびIII型コラーゲンの組み合わせを含む、請求項1記載の腱修復構造物。
【請求項7】
前記支持マトリックスがII型コラーゲンを含む、請求項1記載の腱修復構造物。
【請求項8】
前記支持マトリックスが、小腸粘膜下組織、腹膜、心膜、ポリ乳酸、血液、およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるタンパク質またはポリペプチドを含む、請求項1記載の腱修復構造物。
【請求項9】
前記構造物が移植可能または注射可能である、請求項1記載の腱修復構造物。
【請求項10】
前記腱細胞が前記支持マトリックスに接着している、請求項1記載の腱修復構造物。
【請求項11】
a)患者から細胞を抽出し、単離する工程;
b)該細胞を細胞不含支持マトリックス上に播種する工程;および
c)該支持マトリックスを組織欠損の部位に移植する工程
を含み、ここで、該細胞は腱細胞からなる群より選択される、患者において組織欠損を修復するための方法。
【請求項12】
前記支持マトリックスが、小腸粘膜下組織、腹膜、心膜、ポリ乳酸、血液、およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるタンパク質またはポリペプチドを含む、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記支持マトリックスが再吸収可能である、請求項11記載の方法。
【請求項14】
前記支持マトリックスが膜、マイクロビーズ、フリース、ゲル、糸、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項11記載の方法。
【請求項15】
前記支持マトリックスが自己由来である、請求項11記載の方法。
【請求項16】
前記支持マトリックスが同種である、請求項11記載の方法。
【請求項17】
前記支持マトリックスがI型コラーゲンおよびIII型コラーゲンの組み合わせを含む、請求項11記載の方法。
【請求項18】
前記支持マトリックスがII型コラーゲンを含む、請求項11記載の方法。
【請求項19】
前記支持マトリックスが移植可能または注射可能である、請求項11記載の方法。
【請求項20】
前記細胞が前記支持マトリックスに接着している、請求項11記載の方法。


【公表番号】特表2006−500129(P2006−500129A)
【公表日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−539047(P2004−539047)
【出願日】平成15年9月29日(2003.9.29)
【国際出願番号】PCT/EP2003/010796
【国際公開番号】WO2004/029230
【国際公開日】平成16年4月8日(2004.4.8)
【出願人】(505071619)フェーリゲン アーゲー (2)
【Fターム(参考)】