組織内に管を形成するデバイス、方法、及びキット
組織内に管を形成する方法と装置が記載されている。いくつかのデバイスは、細長部材と、この細長部材の遠位部分に連結された吸引部材と、組織内に管を形成するために細長部材内に摺動可能に収納された組織貫通部材を具える。その他のデバイスは、一又はそれ以上吸引部材を具える。組織内に管を形成する方法も記載されている。いくつかの方法では、デバイスを組織近傍に進め、このデバイスが一又はそれ以上の吸引部材と組織貫通部材を具えている。吸引は、組織が一又はそれ以上の吸引部材に対して引っ張られるように行われ、組織貫通部材がこの引っ張られた組織を通る第1の方向に進んで、組織内または組織を通って管が形成される。ここに述べた一又はそれ以上のデバイスを組み入れた、一又はそれ以上のツールなどと協働するキットも記載されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2008年7月21に出願した米国暫定特許出願第61/082,449号の利益を請求する。この出願の開示は、参照により全体としてここに組み込まれている。
【0002】
ここに記載した方法、デバイス及びキットは、一般的に組織内に管を形成するのに有用である。特に、ここに記載した方法、デバイス及びキットは、一またはそれ以上の吸引部材を用いて組織内に管を形成するのに有用である。
【背景技術】
【0003】
組織内にあるいは組織を通って管を形成する数々のデバイスと方法がすでに記載されている。例えば、米国特許出願番号10/844,247号、11/544,196号、11/545,272号、11/544,365号、11/544,177号、11/544,149号、10/888,682号、11/432,982号、11/544,317号、11/788,509号、11/873,957号は、すべて、参照により全体としてここに組み込まれており、組織内に管を形成するデバイスと方法を記載している。一般的に、これらに記載されている管は、セルフシールであるか、あるいは、補助的な閉塞デバイスまたは技術が最小限であるか又はこれらを必要としないシールである。これらの管は、組織位置(例えば、ある器官の管腔など)へのアクセスを提供し、一又はそれ以上の器具をこの管を通して進めて手順を行うのに非常に便利である。このような方法の多大な適用可能性を考えると、組織内に管を形成する追加のデバイス及び方法が所望されるであろう。
【発明の概要】
【0004】
ここには、組織内に管を形成する方法及びデバイスが記載されている。いくつかの変形例において、このデバイスは細長部材と、当該細長部材の遠位部分に連結した吸引部材と、当該細長部材内に摺動可能に収納されている組織中に管を形成するための組織貫通部材と、を具える。細長部材は可撓性であっても、なくても良い。いくつかの変形例において、吸引部材は、細長部材に例えばヒンジなどの可撓性部分を介して連結されている。
【0005】
細長部材は、関節接合可能であっても良く、組織貫通部材は関節接合可能であっても良く、吸引部材は関節接合可能であっても良く、あるいは、これらの部材の組み合わせが関節接合可能であっても良い。これらの部材は、例えば、一またはそれ以上の引っ張りワイヤ、一またはそれ以上のヒンジ、などを用いて関節接合可能であっても良い。
【0006】
いくつかの変形例では、組織貫通部材がニードルである。このニードルは中空状であっても、中実であっても良く、適宜の先端部を有している。すなわち、この先端部は適宜の形状(円錐、オフセット円錐、他)を有していても良く、丸い、鋭利、あるいは尖っていてもよく、斜角あるいは非斜角であってもよい。
【0007】
吸引部材は、一またはそれ以上の真空源に連結されていても良い。例えば、細長部材は、真空源への吸引部材の連結を容易にする一またはそれ以上の管腔、スロット、ホール、開口、他を有していても良い。いくつかの変形例では、吸引部材はその上に一またはそれ以上の組織付加部材(tissue apposition member)を有していても良い。組織付加部材は、例えば、リブなどの起伏のある表面であっても良い。所望により、あるいは適宜に、任意の数の組織付加部材を使用できる。同様に、吸引部材は一又はそれ以上の加熱エレメント、一またはそれ以上の電極、又は、一又はそれ以上のセンサ(ドップラーセンサ、圧力センサ、神経センサ、超音波センサ、他)、部材の表面に沿って設けた一またはそれ以上の薬剤送達ポート、一又はそれ以上のけん引部材、などを具えていても良い。吸引部材は、好適なジオメトリを有する。いくつかの変形例では、吸引部材の基底面がほぼ楕円形である。他の変形例では、吸引部材の基底面がほぼ円形である。更なる変形例では、吸引部材の基底面が不規則なジオメトリを有している。
【0008】
組織内に管を形成するその他のデバイスは、細長部材と、当該細長部材の遠位部分に連結されており、組織に対して位置決め可能な第1の吸引部材と、当該第1の吸引部材に対向する第2の吸引部材と、組織内に管を形成する組織貫通部材とを具える。組織貫通部材は、細長部材内に摺動可能に収納されるか、第1又は第2の吸引部材内に摺動可能に収納されるか、あるいは細長部材内と第1又は第2の吸引部材のいずれか一方内に摺動可能に収納されている。第1の吸引部材は、細長部材の遠位部分に例えばヒンジなどの可撓性部分を介して連結されていても良い。同様に、第2の吸引部材も、細長部材の遠位部分に連結されていても良く、また、第1および第2の吸引部材が、ヒンジなどの可撓性部分を介して互いに連結されていても良い。一又はそれ以上の吸引部材は、細長部材に対して、他の吸引部材に対して、あるいはその両方に対して、可動である。
【0009】
これらの変形例において、細長シャフトは、関節接合可能であるか、可撓性であるか、あるいはその双方であっても良い。もちろん、細長シャフトは、関節接合しなくともよく、及び/又は、硬性であっても良い。第1及び第2の吸引部材は、真空源に連結されていても良く、互いに対して可動であっても良く、好適なジオメトリ(例えば、ほぼ楕円形、ほぼ円形、ほぼ半円形、他)を有していても良い。第1及び第2の吸引部材のいずれも、例えば、起伏のある表面またはリブなど、一又はそれ以上の組織付加部材をその上に具えていても良い。同様に、第1及び第2の吸引部材のいずれも、一またはそれ以上の加熱エレメント、一またはそれ以上の電極、一またはそれ以上のセンサ(例えば、ドップラーセンサ、圧力センサ、他)、一またはそれ以上のけん引部材、一またはそれ以上のポート、これらに類するものを具えていても良い。いくつかの変形例では、組織貫通部材がニードルである。上述したデバイスと同様に、このニードルは中空であっても、中実であっても良く、好適な先端部を有する。すなわち、先端部は適宜の形状(円錐、オフセット円錐、他)を有していても良く、丸い、鋭利あるいは尖っていてもよく、斜角あるいは非斜角であってもよい。
【0010】
いくつかの変形例では、このデバイスは更に、一またはそれ以上のエネルギーアプリケータを具えており、この方法は更に、組織にエネルギーを与えるステップを具える。このエネルギーは適宜のエネルギー源(例えば、超音波、RF、光、磁気、あるいはこれらの組み合わせからなる群から選択されたエネルギー)に由来する。いくつかの変形例では、このデバイスは、一またはそれ以上のセンサを具えており、この方法は更に、例えば、温度、圧力、組織同定あるいは位置(例えば神経又は様々な生体構造)、血管内の血流、及びこれらの組み合わせといった、少なくとも一の有用なパラメータを検知するステップを具える。例えば、いくつかの変形例では、このパラメータが血管内の血流であり、この方法は更に、血管内の血流を検出したらデバイスを再配置するステップを具える。ここに述べた一又はそれ以上のデバイスを取り入れた、一又はそれ以上の器具などと協働するキットも、ここに記載されている。
【0011】
組織内に管を形成する方法もここに記載されている。いくつかの方法によれば、一またはそれ以上の吸引部材と組織貫通部材を具えるデバイスを組織近傍に進める。吸引は、一またはそれ以上の吸引部材に対して組織が引き込まれるように行われ、組織貫通部材がこの引き込まれた組織を通って第1の方向に進められて、組織内にあるいは組織を通って管を形成する。この方法は、更に、組織貫通部材を関節接合させるステップと、組織貫通部材を第2の方向に進めるステップを具える。いくつかの変形例では、この方法は更に、一またはそれ以上の吸引部材を関節接合させて組織を再配置するステップであって、この再配置した組織を通って組織貫通部材を進めて、あるいは進めることなく、組織を再配置するステップを具える。この方法は、更に、デバイスを回転させて組織を回転させるステップと、回転させた組織を通って組織貫通部材を進めるステップを具えていても良い。もちろん、この方法は、組織を可視化するステップ、組織の管を通って一又はそれ以上の器具を進めるステップ、組織近傍で、組織を通って、あるいは組織の上で手順を行うステップ、組織に対してデバイスの位置を決定するステップ、これらのステップの組み合わせ、等を具えていても良い。
【0012】
ここに述べた方法は、更に、一またはそれ以上の流体または物質を組織に送達するステップを具えていても良い。この流体は、例えば、組織の洗浄、消毒、処置(治療、他)、などに有用である。この流体は、適宜の物質、または物質の組み合わせを具えていても良い。例えば、この物質は、抗体、防腐剤、消毒薬、化学療法薬、非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)、シクロオキシゲナーゼ−1(COX−1)阻害薬、シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害薬、オピオイド、またはその他の薬剤または物質、及びこれらの混合物及び組み合わせから選択することができる。この流体はまた、例えば、組織を凍結させる、炎症を低減させる、細胞死を局在化させる、上記の組み合わせ、他のための、一又はそれ以上の低温物質を具えていても良い。この低温物質は、例えば、液体窒素、あるいはその他の低温物質であっても良い。更に、金属またはポリマー性の筒状導管を、吸引部材内、外、周囲、あるいは近傍に配置しても良く、細長部材の中、周囲又は近傍に配置した導管に連結して、低温物質が一の導管から次の導管へ組織に直接接触することなく通過するようにしても良い。この方法で、ある種の熱交換機ができて、吸引部材内から熱が除去され組織の温度が治療レベルまで下がる。いくつかの変形例では、以下により詳細に述べるように、組織貫通部材が物質の注入を提供するように構成されている。
【0013】
この方法は、あらゆる好適な組織に使用することができる。いくつかの変形例では、この組織とは、例えば、心臓血管系の器官、消化管系の器官、呼吸器系の器官、排泄系の器官、生殖器系の器官、神経系の器官といった器官である。いくつかの変形例では、この器官は、例えば動脈などの心臓血管系の器官である。ここに述べた方法を使用する場合、管が比較的短時間にシールされ、追加の補助具によってあるいは補助具なしでシールされる。いくつかの変形例において、管は15分またはそれ以下、12分又はそれ以下、10分又はそれ以下、5分またはそれ以下、3分又はそれ以下、あるいは1分又はそれ以下の期間にシールされる。もちろん、シールを補助するために管が形成された後に、管に圧力をかけたり又は吸引を行うことができる。更に、一又はそれ以上の閉塞デバイスを用いることもできる。
【0014】
ここに述べた方法によれば、組織貫通部材を波打つ状態で進めることができ、あるいは、前進する間に回転させるようにしても良い。いくつかの変形例では、組織貫通部材が第1の位置で組織に入り、第2の位置で組織から出てゆくが、第1の位置と第2の位置との間の長さは、組織の厚さより長い。いくつかの変形例では、管の長さが組織の厚さより長い。いくつかの変形例では、この方法は更に、管の断面積を広げるステップを具えている。
【0015】
ここに述べる方法のいくつかの変形例は、組織内に単一の自己シーリング管を形成するのに使用することができ、あるいは単一の組織貫通部材を組織内に進めることによって、組織内に一又はそれ以上の自己シーリング管を形成するのに使用することができる。これによって、例えば組織上のストレスが最小になる。更に、この組織は比較的迅速に回復し、従って、治療時間を比較的短くすることができる。
【0016】
ここに述べる方法のある変形例は、第1の組織貫通部材(例えば、中空ニードルのようなニードル)を組織を通って第1の方向に進めることによって組織内に管を形成するステップを具えており、この管の形成には第1の組織貫通部材のみが組織を通って前進することが必要であり、この管は自己シーリング管である。これらの方法は、また、第1の組織貫通部材を具えるデバイスを第1の組織貫通部材を組織を通って前進させる前に、組織近傍に進めるステップを具えていてもよい。いくつかの変形例では、この方法が、組織を吸引して組織を位置決めするステップを具えていても良い。例えば、このデバイスは更に一又はそれ以上の吸引部材を具えていても良く、この方法は、組織を吸引して、吸引部材あるいは複数の吸引部材に対して組織を引き込むステップを具えていても良い。ある変形例では、第1の組織貫通部材を、引き込んだ組織を通って第1の方向に前進させるようにしてもよい。いくつかの変形例では、吸引を行うことによって組織を位置決めした後に、組織内に管が形成される。この管は、例えば、動脈切開であってもよい。
【0017】
ここに述べる方法のいくつかの変形例は、組織を通って第1の方向に組織貫通部材を進めて組織内に単一の管を形成するステップであって、この単一の管が自己シーリングであるステップを具えていても良い。ここに述べる方法のある変形例は、組織の近傍にデバイス進めるステップを具え、当該デバイスが少なくとも一の組織貫通部材を具える。これらの方法は、更に、組織を通って組織貫通部材または複数の組織貫通部材を進めることによって組織内に管を形成するステップを具えていても良い。管の形成には、組織を通って組織貫通部材又は複数の組織貫通部材を進めることのみが必要である。この管は自己シーリングである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、ここに述べたように組織内に管を形成するのに使用することができる例示的なデバイスの遠位端部を示す図である。
【図2】図2A乃至2Fは、細長部材と吸引部材がどのように互いに連結できるかを示す適宜の構成を示す図であり、これに関連する管腔の構成を含む。
【図3】図3A及び3Bは、ここに述べたような例示的デバイスを、非可撓性の状態と、可撓性の状態でそれぞれ示す図である。
【図4】図4Aは、一またはそれ以上の組織付加部材を有する例示的吸引部材を示す図であり、ここでは、4つのリブと1本の周辺リブの形の部材を示す(ほぼ十字型形状を成す)。図4Bは、図4Aに示すデバイスを詳細Cに沿って拡大して示す図である。
【図5】図5は、一またはそれ以上の組織付加部材、ここでは、8本のリブと1本の周辺リブ(ほぼ星型形状)の形の部材を有する吸引部材を示す図である。
【図6】図6は、吸引ポートを覆うメッシュ又はスクリーンを有する吸引部材を示す図である。
【図7】図7Aは、4本の結合リブと1本の周辺リブに加えて、中央円形リブを有する吸引部材を示す図である。図7B及び7Cは、周辺リブが折りたたみ可能であるか、内側に変形可能な吸引部材を、これらが折りたたまれていない状態と折りたたんだ状態で示す図である。図7Dは、間にある組織を捕捉するトングを有する吸引部材の変形例を示す図である。図7Eは、組織を貫通させるニードルを有する吸引部材の変形例を示す図である。
【図8】図8Aと8Bは、組織貫通部材が吸引部材の中からあるいはこれを通って出たときの組織貫通部材の拡開を示す図である。図8Cは、組織貫通部材が吸引部材の中からあるいはこれを通って出たときの吸引部材の変形例を示す図であり、ここで、吸引部材はドーナッツ形状をしており、この部材を通る一又はそれ以上の開口を規定している。
【図9】図9A及び9Bは、組織貫通部材が吸引部材の中からあるいはこれを通って出たときの組織貫通部材の拡開を示す図であり、ここでは組織付加部材がその上に一又はそれ以上のけん引部材を有している。図9C乃至9Fは、けん引部材を示す図である。図9G及び9Hは、組織貫通部材が吸引部材の中からあるいはこれを通って出たときの組織貫通部材の拡開を示す図であり、ここでは、組織吸引部材が一又はそれ以上の歯を有するリッジを具える。図9Iは、図9G及び9Hに示す吸引部材のリッジの周り及び/又は下で組織がどのように折りたたまれるかを示す断面図である。図9J及び9Kは、吸引部材の関節接合可能なあるいは移動可能なリッジの周り及び/又は下で組織がどのように折りたたまれるかを示す断面図である。図9Lは、歯を有するリッジと、真空を配分するチャンネルも具える吸引部材を示す図である。図9Mは、真空配分用チャネルをよりよく示す、図9LのデバイスのA−A線に沿った断面図である。図9Nは、部材が歯付リッジの形である一またはそれ以上の部材を有し、その間に組織を挟む吸引部材の変形例を示す図である。図9Oは、吸引部材の基本面を示す図であり、ここで吸引部材の基本面は、一連の開口あるいは窓を規定している。図9P及び9Qは、図9Oの吸引部材の断面図であり、窓または開口を規定する一またはそれ以上の壁に対して組織がどのように捕捉されるかを示す。図9R乃至9Uは、拡大可能なあるいはその他の組織接触部材を、吸引部材の基本面に対向する組織と接触するあるいは組織に係合するのにどのように用いて、吸引部材の基本面に組織が引き延ばされるかを示す図である。
【図10】図10A乃至10Dは、吸引部材が、その上またはその中に、電極、加熱エレメント、センサ、マーカ、カメラ、などの一またはそれ以上の別の特徴を有する吸引部材を示す図である。
【図11】図11A乃至11Dは、細長部材−吸引部材取り付けの変形例を示す図であり、取り付けに適した様々な角度を詳細に示す。
【図12】図12A及び12Bは、2本の吸引部材を有するデバイスの一変形例を示す図であり、オープン構造と、たたんだ構造をそれぞれ示す。
【図13】図13A乃至13Mは、組織内あるいは組織を通って管を形成する方法を示す図であり、図13Gと13Hは、特に、ここに述べた方法と共に使用するガイドワイヤの好適な遠位側拡大可能な構造を示す。図13N乃至13Pは、組織の位置又は境界を検出する方法の一変形例を示す図である。
【図14】図14A乃至14Cは、組織内あるいは組織を通って管を形成する別の方法を示す図であり、ここで、デバイスは関節接合しており、組織貫通部材を再度方向付けするようにしている。
【図15】図15Aは、ここに記載したデバイスが身体の自然開口部をどのように進むのか、及び、この場合は胃であるが、組織内にあるいは組織を通って管を形成するのにどのように使用されるのかを示す全体図である。図15B及び15Cは、流体の送出と回収構造の変形例を示す図である。図15D及び15Eは、関節接合可能な細長部材を示す図である。図15F及び15Gは、ここに述べたデバイスと共に使用するハンドルを示す図である。図15H及び15Iは、図に示す細長部材の部分を断面で示す図である。
【図16】図16A乃至16Iは、胃組織内または胃組織を通って管を形成する方法を示す図である。
【図17】図17A乃至17Dは、ここに述べた方法に関連する心臓周辺のスペースにアクセスする方法を示す図である。
【図18】図18A乃至18Kは、心臓組織内又は心臓組織を通って管を形成する方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
ここには、組織内に管を形成する方法とデバイスが記載されている。一般的に、ここに述べたデバイスは、デバイスに対して組織を引き込んで、組織を通る組織貫通部材の進行を容易にする一又はそれ以上の吸引部材を具える。このデバイスは様々な形状とすることができ、以下に詳細に述べるように、多くの追加のあるいは有用な特徴を有している。このデバイスは、あらゆるタイプの組織を通って管を形成するのに使用することができる。この組織は、心臓血管系、消化器系、呼吸器系、排泄系、生殖器系、神経系、その他の組織であっても良い。
【0020】
一般的に、ここに述べたデバイスは、組織内にあるいは組織を通って管を形成するのに使用され、この管は、例えば米国特許出願第10/844,247号、11/544,196号、11/545,272号、11/544,365号、11/544,177号、11/544,149号、10/888,682号、11/432,982号、11/544,317号、11/788,509号、11/873,957号、12/467,251号、61/119,316号および61/178,895号に記載されているように、最小シーリングでのあるいは追加のシーリングをおこなうことなく、自己シーリング可能である。これらの各出願は、ここに全体として参照によって組み込まれている。しかしながら、最初から、ここに記載されているデバイスと方法は、一またはそれ以上の追加の閉塞機構あるいは技術(例えば、閉塞デバイス、エネルギー送達、圧力適用、など)の使用によって補完されると理解すべきである。ここに述べた一またはそれ以上のデバイスを組み込んだ、一又はそれ以上のツールなどと協働するキットも、ここに述べられている。このデバイス、方法、及びキットの変形例について以下に述べる。
【0021】
1.デバイス
図1は、ここに述べた方法に従って組織内に管を形成するデバイス(100)を示す。ここには、細長部材(104)に連結された吸引部材(102)が示されている。この細長部材は、吸引部材(102)をデバイス(図示せず)の近位端に連結するのに適した部材である。細長部材(104)は、デバイスに追加の構成あるいはコントロールを提供する一又はそれ以上のルーメンを具えていてもよい。例えば、細長部材(104)は、真空又は吸引用ルーメン(106)と、組織貫通部材を収納するルーメン、などを具えていても良い。細長部材(104)は、また、一又はそれ以上の引っ張りワイヤ(110)、光学的または電気的結合(例えば、力送達用、センサ接続用、視覚化用、他)、などを収容するための一またはそれ以上のルーメンを具えていても良い。
【0022】
好適なルーメンと細長部材構造の追加の変形例について、図2A乃至2Fを参照して以下に述べる。この方法を参照して近位側のコントロールについて以下により詳細に述べるが、初めに、近位側コントロールには、一またはそれ以上のデバイスの構成を始動させる(例えば、組織貫通部材を始動させる、流体送達を始動させる、真空を始動させる、エネルギーの送達を始動させる、視覚化を始動させる、他)一またはそれ以上のボタン、スイッチ、スライダが含まれることに留意すべきである。もちろん、近位側コントロールには、真空をオンオフする、洗浄ラインをオンオフする、などのための、一またはそれ以上のバルブ(例えば、2方向バルブ又は3方向バルブ)が含まれる(単独で、または上述したこれらのコントロールと組み合わせて)。
【0023】
引っ張りワイヤを使用する場合は、例えば、デバイスの動き、制御または始動を容易にするのにこれらを使用することができる。図1に示す変形例においては、引っ張りワイヤ(110)を用いて、吸引部材(102)を領域(112)において関節接合させている。領域(112)は、吸引部材(102)または細長部材(104)の残りの部分と比較すると、厚さが薄くなったあるいは可撓性が大きくなった領域を具えていても良い。領域(112)は、吸引または細長部材と同じ材料あるいは異なる材料でできていてもよい。例えば、領域(112)は、吸引または細長部材より柔軟な材料、薄い材料、より可撓性のある材料、またはその他の異なる材料を具えていても良く、あるいは領域(112)は、吸引または細長部材とほぼ同じ材料で、一またはそれ以上の物理的又は化学的特性の変形を伴っていても良い。領域(112)は、また、一またはそれ以上のジョイントまたはヒンジ(例えば、単一のあるいは複数の屈曲ジョイント、回転ジョイント、ピボットヒンジ、成形したプラスチックライブヒンジ、ボールアンドソケットジョイント、反対側に対向する屈曲エレメントを持つ摺動可能なチューブ、他)を具えていても良い。
【0024】
もちろん、細長部材は適宜の生体適合性材料でできていても良い。例えば、例えば304、304L、316、316L、440C、などといったステンレススチール、例えば、6Al−4Vなどといったチタン合金、ニッケル−チタン合金(ニチノール)、例えばElgiloy(登録商標)(Elgiloy Specialty Metals, Elgin, IL)、MP35N(登録商標(SPS Technologies, Inc. Jenkintown, PA)、Phynox(登録商標)(Imphy Ugine Precision, France)、などといったコバルト−クロム合金、アルミニウム、例えば、ABS、ナイロン、アセタール、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリポリエチレン(LDPE)ポリエステル、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリオレフィン、ウレタン、シリコーン、ポリビニルクロライド(PVC)、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルスルフォン、ポリアリルエーテルスルフォン、ポリスルフォン、超高分子量ポリエチレン(UHMW−PE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、PEBAX(登録商標)(Colombes Cedex, France)、ポリテトラフルロエチレン(PTFE)などのポリマー、あるいはその他のポリマー、ポリマーブレンド、又は、例えばグラスファイバー、カーボンファイバー、などの充填剤入りファイバー、あるいはその他の好適なカーボンベースの材料を具えていても良く、あるいはこれらの材料でできていても良い。更に、例えば、硫酸バリウム、プラチナ、金、タングステン、などといった、このポリマーの放射線透過性を改善する化合物/化学物質を加えても良い。細長部材を、一又はそれ以上の、波形エッジまたは曲線エッジ(例えば、上側、底側、側部)を有するように作って、可撓性を与えるようにしても良い。
【0025】
同様に、吸引部材も適宜の生体適合性材料で作るようにしても良い。例えば、例えば304、304L、316、316L、440C、などといったステンレススチール、例えば、6Al−4Vなどといったチタン合金、ニッケル−チタン合金(ニチノール)、例えばElgiloy(登録商標)(Elgiloy Specialty Metals, Elgin, IL)、MP35N(登録商標(SPS Technologies, Inc. Jenkintown, PA)、Phynox(登録商標)(Imphy Ugine Precision, France)、などといったコバルト−クロム合金、例えば、ABS、ナイロン、アセタール、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリポリエチレン(LDPE)ポリエステル、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリオレフィン、ウレタン、シリコーン、ポリビニルクロライド(PVC)、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルスルフォン、ポリアリルエーテルスルフォン、ポリスルフォン、超高分子量ポリエチレン(UHMW−PE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、PEBAX(登録商標)(Colombes Cedex, France)、ポリテトラフルロエチレン(PTFE)、ポリイミドなどのポリマー、あるいはその他のポリマー、ポリマーブレンド、又は、例えばグラスファイバー、カーボンファイバー、などの充填剤入りファイバー、あるいはその他の好適なカーボンベースの材料を具えていてもよく、あるいはこれらの材料でできていても良い。更に、例えば、硫酸バリウム、プラチナ、金、タングステン、などといった、このポリマーの放射線透過性を改善する化合物/化学物質を加えても良い。
【0026】
吸引部材、細長部材、あるいは両部材は、一またはそれ以上の可撓性、剛性、あるいはその他の適宜の特性を与える材料でできていても良い。様々な材料をこれらの各部材に用いることができ、これらの部材はこの材料に応じて構成することができると解するべきである。例えば、吸引部材(102)は、当業者に理解されるオーバーモールド技術を用いて周辺部を可撓性のあるものにしても良い。また、吸引部材(102)は、ほぼ楕円形の基底面(または組織接触面)を有するものとして図1に示されているが、この吸引部材の基底面は、適宜のあるいは所望のジオメトリ(例えば、円形、矩形、三角形、台形、他)を有していてもよい。もちろん、このジオメトリは対称、均一、規則的である必要はなく、容易に言葉に表わされるものでなくても良い。以下により詳細に述べるように、吸引部材(102)は、一またはそれ以上の追加の構造(例えば、起伏のある面、電極、センサ、組織付加部材、けん引部材、チャンネル、ポート、カメラ、マーカ、他)を具えていても良い。
【0027】
図2A乃至2Dは、様々な適宜の吸引部材−細長部材連結部の詳細を示す適宜のデバイスを示す図である。図2Aには、吸引部材(202)と細長部分(204)を具えるデバイス(200)が示されている。この変形例では、細長部分(204)が別個の細長本体(206と208)を具えており、各々が個別にルーメンを規定している。細長本体(206)は、真空または吸引用の導管を提供しており、一方、細長本体(208)は、組織貫通部材をその中に摺動可能に収納するよう動作する。図2Aに示す変形例では、両方の細長部材(206と208)がコネクタ(210)に連結あるいは取り付けられており(例えば、オーバーラッピング嵌め、エッジ−エッジ、適合、他)、次いで、吸引部材(202)に連結されている。コネクタ(210)と吸引部材(202)間の連結は、適宜の方法で行うことができる。例えば、コネクタ(210)と吸引部材(202)は、溶接(超音波、熱、化学、他)、スナップ嵌め、圧入、を介して、インターロッキング構造を用いて、一またはそれ以上の接着剤又はのりを用いて、一またはそれ以上の機械的構造又は冶具(ネジ、クランプ、クリンプ、リベット、タブ、ボルト、他)、などを用いて、連結することができる。
【0028】
図2Aに示す変形例は、より高い可撓性が求められる場合(例えば、蛇行する身体構造を通って操作する場合など)の特別な用途を示す。コネクタ(210)は、吸引部材(202)と一体的であっても良い(すなわち、コネクタと吸引部材が単一ピースの材料でできている)が、一体的である必要はないと解するべきである。また、図2Aに示す細長本体(206と208)は、ほぼ円形断面を有するが、細長本体は、適宜のジオメトリを有する断面を有していても良いと解するべきである。
【0029】
図2Bは、ここに述べた方法で使用するデバイスの代替の変形例を示す。図2Bには、吸引部材(214)と細長部材(216)を具えるデバイス(212)が示されている。この変形例では図2Cに示すように、細長部材(216)が別々のルーメン(218、220、222)を規定している。追加の可撓性を必要とする変形例では、図2Bの細長部材(216)が、上述した通り、一又はそれ以上の波形または起伏のあるエッジを有していても良い。
【0030】
ここに述べたルーメンのいずれも、適宜の目的(真空または吸引を容易にする、流体あるいは薬剤を送達する、一またはそれ以上の電極を収納する、一又はそれ以上の引っ張りワイヤを収納する、一又はそれ以上の組織貫通部材を収納する、他)に用いることができる。2以上のルーメンをほぼ同じ目的に使用する(例えば、2本の引っ張りワイヤを収納する2本のルーメン、2つの別々の薬剤を送達する2本のルーメン、等)ことができ、このルーメンは適宜の断面ジオメトリ(同じか、又は異なる)を有すると解するべきである。また、単一のルーメンは、一以上の機能(例えば、単一のルーメンが引っ張りワイヤ(211)を収納しても良く、上述した図2Aに示す変形例と同様に、真空あるいは吸引管として作用しても良い)を容易にするのに有用であると解するべきである。これらのルーメンが同芯状であっても良く、完全なエンクロージヤ(例えば、一またはそれ以上のルーメンは、スリットまたは溝のようであっても良い)を規定していても、いなくともよい。このルーメンは、細長部材の周囲またはこの部材に沿って、様々に配置できる。例えば、ルーメンは、図2Cに示すように、縦方向に配置しても良いし、水平に配置しても、ランダムに配置しても、あるいは平面に沿って選択的に配置して、デバイスに更なる柔軟性を与えるようにしても良い。ルーメンは、何らかの所定のパターンに沿って配置しても良いし、しなくても良い。
【0031】
図2Dは、細長部材(228)がコネクタ(230)を介して吸引部材(226)に連結されている点を除いて、図2Bに示すデバイスと同様のデバイス(224)を示す。図2Eは、デバイス(224)のB−B線に沿った断面を示す図である。ここに示すルーメン(232、234、236)は、上述したいずれかの特徴または特性を有するものでもよい。図2B及び2Dに示す変形例は、デバイスの剛性及び/又はトルク能力が求められる場合に特に有用である。
【0032】
図2Fは、一体型ルーメンと真空用分散コネクタの双方を有するデバイスを示す図である。ここには、吸引部材(240)と、細長部材(242)と、真空ホース又はコネクタ(244)を具えるデバイス(238)が示されている。この変形例では以下により詳細に説明するように、組織貫通部材が吸引部材(240)内に出るように構成されている。従って、細長部材の基底面が吸引部材の基底面を超えて延在する必要がない。このことは、例えば、デバイスに対するプロファイルを下げることになり、所望しない組織と干渉する可能性を防止できるため、有用である。
【0033】
図3A及び3Bは、屈曲していない状態と、屈曲した状態にあるデバイスをそれぞれ示す図である。組織貫通部材のリダイレクトに沿ったデバイスの曲がりと関節接合について、その方法を参照してより詳細に説明する。図3A及び3Bは、吸引部材(302)と細長部材(304)を具えるデバイス(300)を示す図である。両図において、説明を容易にするために、細長部材(304)は近位部分に沿って除かれている。ここに示すように、細長部材は、その中(例えば、細長部材によって規定されるルーメンの中)に組織貫通部材(306)を摺動可能に収納している。図3Aにおいては、デバイスは作動している状態であるが、曲がっていない態様が示されている(例えば、組織貫通部材は出口ポート(308)からでて前進しており、曲がっていない)。
【0034】
吸引部材(302)の基底面と組織貫通部材(306)で規定される、初期の(曲がっていない、あるいは、関節接合していない)角度(A)は、適宜の角度である。例えば、この角度は、約0°乃至約180°であっても良く、約0°乃至約90°、約90°乃至約180°、約0°乃至60°、約0°乃至約30°、約3°乃至約10°、約5°、他、であっても良い。
【0035】
図3Bは、引っ張りワイヤ(310)を近位側に引っ張って、領域(312)を曲げた後のデバイス(300)を示す。図3Bに示す変形例では、組織貫通部材が下側に偏向すると、デバイスの曲がりが吸引部材(302)の基底面と組織貫通部材(306)によって規定される角度(A)を変える(例えば、角度を大きくするあるいは小さくする)。組織貫通部材はニードルである必要はないが、図3A及び3Bに示す組織貫通部材は斜端ニードルである(例えば、組織貫通部材はワイヤ、エネルギー送達デバイス、その他であっても良い)。組織貫通部材がニードルである変形例では、このニードルが中実または中空であっても良く、2つ又はそれ以上の同心のニードル部材であってもよく、斜端であっても、非斜端であっても良く、先がとがっていても、鋭利であっても、丸くても良い。ニードルを用いる場合、ニードル先端が、例えば、円錐、オフセット円錐、円形、等の適宜のジオメトリを有していても良い。組織貫通部材は、個別であっても、分散されていても、一またはそれ以上のワイヤで別々に関節接合されていても良い。もちろん、組織貫通部材が細長部材の一またはそれ以上のルーメン内、その他に収納されている場合は、組織貫通部材を消毒するか、使用前に消毒しておく。
【0036】
組織貫通部材のルーメン(308)は、図3A及び3Bにおいて、吸引部材(302)近傍で突出するように示されているが、このルーメンは、以下に詳細に述べるように、吸引部材(302)内にあるいはこれを通って突出するものでもよい。もちろん、細長部材は任意の数のポート(例えば、複数の組織貫通部材用、追加のツール用、他)を具えていても良く、このポートは、一又はそれ以上のルーメンに接続することができる。
【0037】
図4乃至10は、ここに記載したデバイスと方法に使用する適宜の吸引部材の変形例を示す図である。これらの図面は、吸引部材を下側から見たものである。図4Aと4Bから始めると、一又はそれ以上の組織付加部材を有する吸引部材(400)が示されている。この変形例では、組織付加部材が、周辺リブまたは境界リブ(404)に連結された一又はそれ以上の連結リブ(402)を具える。4つのリブ(402)が周辺リブ(404)に連結されているが、後述するように、リブはいくつ用いても良い(例えば、0、1、2、3、4、5乃至非常にたくさんのリブ)。実際、いくつかの変形例では、吸引部材が周辺リブ又は境界リブのみを有しており、これらは他のどのリブによってもつながれておらず、他のどのリブにも連結されていない。別の変形例では、吸引部材は、周辺リブあるいは境界リブと、これに連結された単一の中央リブ(横に、あるいは縦に配置された)のみを有している。
【0038】
周辺リブ及び連結リブは、別々の部材でなくともよい(すなわち、組織付加部材全体を、単一の材料ピースで形成することができる)。いくつかの場合、組織付加部材が単一の材料ピースでできているか、あるいは一以上の部材を連結してできているかによって、図4Aに、また図4Bにより詳細に示すように、周辺リブと連結リブが連結している一又はそれ以上の溝(406)を具えることが好ましい。このことは、例えば、組織とのより大きな接触面を提供することによって、吸引部材の基底面に沿ってより良好な真空シールを提供するのに、望ましい。これによって、組織の移動によって分裂しやすくなる傾向が低いシールにすることができる。
【0039】
このリブは、例えば真空ポート(図4Aに符号(408)で示されている)から離して組織を保持して、これらのポートを組織が塞がないようにするとともに、真空の均等な分布(組織付加においてより均一性を提供する)を容易にするのに有用である。リブの境界は組織が入ることができる個々の領域を形成しているため、これらのリブは、吸引部材に横方向のけん引を提供するものでもある。リブの数とジオメトリは、所望するように、より大きなあるいはより小さなけん引を行うように選択することができる。ここに述べた方法とデバイスを、非常に柔軟で、適合性のある、あるいは薄い組織(例えば、腸組織)に使用する場合は、より多くのリブが必要となるであろう。
【0040】
また、図4A及び4Bには、細長部材(412)内のルーメン(410)が示されている。ルーメン(410)は、例えば、組織貫通部材をその中に摺動可能に収納するのに有用である。もちろん、このルーメンは、上述のいずれの目的にも使用することができる。
【0041】
図5は、周辺リブ(504)に連結された8本のリブ(502)を有しており、ほぼ星型構造を作っている吸引部材(500)が示されている。図6は、周辺リブ(604)に連結された4本のリブ(602)を有する吸引部材(600)を示す図である。ここに示す変形例では、吸引ポートを覆うメッシュまたはスクリーン(606)が設けられている。このように、組織がポートに入ってポートを塞がないようにすることができる。図6に示すスクリーン(606)は、吸引ポートのすぐ近傍に配置されているが、ポートから適宜離して配置するようにしても良い。すなわち、スクリーン(606)は、吸引部材内のいずれの深さに配置されていても良く、この深さは、所望のように、すなわち、組織けん引に影響するように選択することができる。
【0042】
図7Aは、吸引部材(700)の別の変形例を提供しており、ここでは、4本の連結リブ(702)と、1本の円形中央リブ(706)と、周辺リブ(704)とを有する。もちろん、円形中央リブ(706)自体が、何本かのリブでできていても良く、あるいは円形中央リブは、組織追加部材全体に加えて、単一の材料片でできていても良い。図7Aには円形中央リブ(706)が示されているが、どのようなジオメトリのリブを中央リブ部材に使用しても良い。実際、任意の数及びジオメトリ(幅、長さ、深さ、形状、他)のリブを所望のように用いても良く、これらのリブが個別であっても、一体的に形成されていても良いことは明らかである。
【0043】
これらのリブは、適宜の生体適合性材料、あるいは材料を組み合わせて作ることができる。例えば、これらのリブは、例えば、304、304L、316、316L、440C、などのステンレススチール、例えば6Al−4Vなどのチタン合金、ニッケル−チタン合金(ニチノール)、例えばElgiloy(登録商標)(Elgiloy Specialty Metals,Elgin, IL)、MP35N(登録商標)(SPS Technologies, Inc. Jenkintown, PA)、Phynox(登録商標)(Imphy Ugine Precision, France)、などのコバルト−クロム合金、例えば、ABS、ナイロン、アセタール、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリポリエチレン(LDPE)ポリエステル、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリオレフィン、ウレタン、シリコーン、ポリビニルクロリド(PVC)、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルスルホン、ポリアリルエーテルスルホン、ポリスルホン、超高分子量ポリエチレン(UHMW−PE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、PEBAX(登録商標)(Colombes Cedex, France)、ポリテトラフルオエチレン(PTFE)、ポリイミド、などのポリマー、またはその他のポリマー又はポリマーブレンド、または、例えば、グラスファイバー、カーボンファイバー、又はその他の好適な炭素ベースの材料などの充填剤入りポリマーから作ることができる。
【0044】
これらのリブは、以下により詳細に述べるように、一又はそれ以上の個別部材または個別構造をその上に具えていても良い。連結リブまたは周辺リブは、折りたたみ可能、移動可能、あるいは関節接合可能でもあり、吸引部材の組織に沿ったより大きな操作性を提供することができる、あるいは、真空を止めた後、組織をつかむことができる。例えば、周辺リブは、図7B及び7Cに示すように折りたたみ可能であるか、内側に変形可能であり、エッジ間の組織を捕捉することができる。変形例では、周辺リブ(707)は、ワイヤ(708)を押したときに内側に変形または折り畳まれる。もちろん、周辺リブ(707)は、その他の機械構造(例えば、引っ張りワイヤ、形状記憶動作、他)によっても変形可能である。また、図7B及び7Cは、周辺リブ(707)が細長く変形する変形例を示しているが、周辺リブは横態様でも、内側に向けた半径方向態様でも、変形可能である。
【0045】
図7Dは、トング(712)を有する吸引部材(710)の変形例を示す。このトングの一方、あるいは両方ともが作動可能であり、トングは適宜の態様(例えば、プッシュプルワイヤ、など)で作動可能である。この変形例は、真空で吸引部材のキャビティに組織を引き込んだ後、組織を捕捉あるいはクランプするのに有用である。ここにはトングが示されているが、適当なクランプ機構、あるいはグリップ機構を使用することもできる。もちろん、ここに記載したいずれかの吸引部材が、任意の数のクランプまたはグリップ機構を有していても良い。図7Eは、図7Dと同様の変形例であるが、トング(712)に代えて、組織を穿刺して保持するニードル(714)を有している。
【0046】
図8A及び8Bは、組織貫通部材が吸引部材内にあるいはこの部材を通って突出しているときの組織貫通部材が展開した状態を示す図である。すなわち、組織貫通部材が吸引部材のすぐ近くに突出している上述したデバイスと反対に、図8A及び8Bに示す組織貫通部材は吸引部材自体の中に突出している。もちろん、(図8A及び8Bには示されていないが)、上述したような、組織貫通部材に関連しない一又はそれ以上の目的で、細長部材が吸引部材のすぐ近くに一又はそれ以上のポートを具えるか、または規定していても良い。図8Aには、吸引部材(802)と細長部材(804)を具えるデバイス(800)が示されている。上述したとおり、この変形例の組織貫通部材(806)は、吸引部材(802)の中に突出している。図8Bは、更に展開した状態の組織貫通部材(806)を示す。これは、例えば、一またはそれ以上の引っ張りワイヤ、あるいはその他のコントロールの使用を介して展開し、あるいはユーザが組織貫通部材(806)を遠位側に進めることによって手動で行われる。
【0047】
図8Cは、吸引部材(810)の別の変形例を示しており、ここでは組織貫通部材(812)が吸引部材のキャビティ内に出ている。この構造のデバイスは、デバイスが組織に沿って移動するときの組織のけん引を容易にする。この変形例では、吸引部材(810)はほぼドーナッツ型、あるいはほぼトロイダル型であり、中央開口(814)を規定している。この変形例の吸引部材(810)は、2つのトロイダル型キャビティ(816、818)を具えており、これらのキャビティは同じあるいは異なる高さあるいは深さでもよく、その中に特定量の組織を個別に受けるように構成されている。この変形例のデバイスは、内側真空ポート(822)に開口あるいは管を介して接続された主真空ポート(820)も具えている。このように、両方のトロイダル型キャビティ(816、818)の周りでの吸引が容易になる。もちろん、吸引部材(810)は、任意の数の適宜の真空または吸引ポートを、上述の通り適宜の位置に配置して、具えていても良い。重要なことは、吸引部材のトロイダル型がここに述べたデバイスと共に使用できる一つだけの形状であることである。ここに全体を通じて述べたとおり、吸引部材は適宜のジオメトリを有することができる。
【0048】
図9A及び9Bは、図9A及び9Bのデバイス(900)が、その上に一またはそれ以上のけん引部材(904)を有する組織付加部材(902)を具えていることを除いて、図8A及び8Bと同様である。このことは、リブの数を変える必要なく、あるいは特にそのジオメトリを選択することなく、組織付加とけん引を増やすのに有効であり、特に、組織貫通部材が展開する間に有効あるいは有用である。けん引部材自体は、適宜のジオメトリ、サイズ、又は構成を有していても良く、適宜の材料で作られているか、あるいは適宜の材料で被覆されている。具体的なけん引部材は、例えば図9C乃至9Fに示されている。けん引部材はいずれも、そこを通って物質あるいは流体を送達するための、一またはそれ以上のポート、ルーメン、あるいは開口を有している。このように、けん引部材は、更に、薬物(例えば、局部を殺菌するための抗菌剤など)を局所的に送達するため、あるいは、けん引部材及び/又は吸引部材近傍の組織を洗い流すためにも使用することができる。図9A及び9Bに示す吸引部材は、連結リブの上にけん引部材を有するのみであるが、けん引部材は、周辺リブに沿ってあるいは周辺リブの周囲など、適宜の位置に適宜の態様で配置することもできる。
【0049】
図9G及び9Hは、組織吸引部材(910)の代替の変形例を示す図であり、この例は歯(913)付のリッジ(912)を具えている。この変形例では、組織貫通部材出口ポート(914、図9G)と、組織貫通部材出口ポート(914)から前へ出ている組織貫通部材(916、図9H)が示されている。この変形例では、吸引がなされると、図9Iに示すように、リッジ(912)周辺及び/又は下側で組織が折りたたまれる(ここでは、2つの組織層920、922で示されている)。このように、歯(913)のエッジが、組織がクロスするねじれた経路を提供するため、組織のけん引とグリップが強化される一方で、上述したように吸引ポートの詰まりが緩和される。この変形例は、ツルツルした、非晶質の、粘液性の、あるいは操作が困難な組織にデバイスを使用する場合に、特に有用である。更に、この明細書を通じて記載した歯を有する変形例のすべてについて、歯(913)は適宜の方法で方向付けることができる。例えば、歯(913)は、組織貫通部材が組織の中に向かって進むので、組織貫通部材の方向と反対の方向に方向付けることができる。吸引部材の外側リムとリッジ(912)との間にスペース(918)を設けることは、リッジ(912)の周辺で組織が崩れる能力を高め、更に、真空漏れを引き起こすことがある、正常な操作(ハンドリング)量である間の組織の崩壊を最小に抑えることで真空シールの構造安定性を強化することができる。
【0050】
リッジ(912)の方向及び/又はジオメトリを変更して、吸引部材のキャビティ内により多くのあるいはより少ない組織を捕捉することができる。同様に、歯の数とジオメトリ(長さ、幅、形状、他)を所望するように変形して、組織を捕捉するようにしてもよい。例えば、リッジは1本の歯、2本の歯、4本の歯、6本の歯、あるいはより多くの歯を具えていても良く、これらの歯が内側にバイアスされていても、外側にバイアスされていても良く、適宜の形状を有していても良い。歯(913)はリッジ(912)と同じ材料で作られていなくても良く、リッジ(912)と同一面にあっても、なくてもよい。リッジ(912)は、図9G及び9Hに一般的に示すように単一の成形された物質片でできていてもよく、別の物質片で作って、クランプする、溶接する、のり付けする、あるいは締結して、吸引部材に取り付けるようにしても良い。もちろん、リッジは、適宜の生体適合材料(例えば、ステンレススチール、プラスチック、物質の組み合わせ、その他)で作ることができる。
【0051】
リッジをここに述べた吸引部材と組み合わせて用いる場合、もちろん、リッジは関節接合可能、制御可能、角度調整可能、離脱可能、あるいは移動可能であっても良い。例えば、図9J及び図9Kは、吸引部材のキャビティ内で関節接合可能あるいは回転可能なリッジ(912’)の一変形例を示す。このように、歯(913’)は、組織から離れ(図9K)、このことが、吸引部材がここに捕捉された組織を解放しやすくする。このことは、例えば、デバイスを取り外したり、引っ張ったり、あるいは位置を変えようとする場合に有用である。例えば、いくつかの変形例では、リッジ(912’)を吸引部材キャビティ内で回転させた後に真空又は吸引を維持することができるので、デバイスをほぼ組織面に沿って移動させることができる。デバイスが第2の位置に進むと、リッジ(912’)は再度展開するか、元の位置に戻るように回転し、その上あるいはその中で「ロック」されるか、あるいは捕捉した組織に係合する。リッジ(912’)は、適宜の方法で作動する、あるいは回転する、さもなければ制御される。例えば、一またはそれ以上のプッシュプルワイヤ、引っ張りワイヤと共に関節接合軸の周りを動くばね、空気式あるいは油圧式作動、などである。もちろん、ここに述べた回転可能なリッジは、好適なリッジの一変形例に過ぎない。ここに述べたように、ここに述べたいずれかの特徴を有する可動リッジは、ここに述べたデバイス及び方法と共に使用することができる。可動リッジの特別な代替変形例を図9Nを参照して以下に述べる。
【0052】
図9Lは、上に一又はそれ以上の歯(928)が付いたリッジ(926)を有する吸引部材(924)の別の変形例を示す図であり、ここでは、吸引部材(924)がその中に一又はそれ以上のチャンネル(930)を具える。図9Mは、図9LのデバイスのA−A線に沿った断面図である。この変形例は、チャンネルが追加されており、上述した図9Gの変形例と同様に機能する。このチャンネルは、例えば、真空又は吸引の促進(または供給および/または分配)、あるいは、例えば、図15Bと15Cに関して以下に述べるように、流体の送達あるいは回収に有用である。もちろん、チャンネル(930)は、吸引部材に沿ってあるいはその中に配置された一又はそれ以上のポートと共に用いて、一又それ以上の有用な流体(例えば、治療剤、消毒液、洗浄液、他)を送達することができる。図9Nは、吸引部材(932)の更に別の変形例を示す図であり、ここでは組織の捕捉を容易にする一又はそれ以上の可動リッジ部材(934)を有する。上述したデバイスと同様に、部材(934)は任意の数の歯(936)を有しており、適宜のジオメトリを有しており、適宜の材料でできている。
【0053】
図9O乃至9Qは、好適な吸引部材の別の変形例を示す図であり、ここでは、組織を捕捉する一又はそれ以上の開口又は窓を有する。特に、図9Oは、吸引部材(940)の基底面を記載しており、ここでこの基底面は一連の開口又は窓(942)を規定している。この変形例では、4つの開口が設けられているが、任意の好適な数の開口にしても良く、これらの開口は任意のジオメトリを有しており、基底面の周囲に任意の態様で方向付けられている。また、図9Oにはアーム(944)が示されており、これは関節接合したときに一又はそれ以上の開口壁(945)に対して組織を引っ張り、これによって組織を捕捉する。この変形例は、余分な組織を捕捉するあるいは収納することが望ましい場合に特に有用である。この変形例は、また、薄い組織、あるいは筒状の器官の組織などと共に使用するときに特に有用である。図9P及び9Qは、図9Oの吸引部材をA−A線に沿って示す図であり、それぞれ、アームが初期状態と作動した状態にある。これらの図面に示すように、プッシュプルワイヤ(946)が近位側に引っ張られると、アーム(944)が近位側に移動して、開口(942)の一又はそれ以上の壁(945)に対して組織を引っ張る。もちろんプッシュプルワイヤ(946)はアーム(944)を作動させる一方法に過ぎない。適宜の作動機構を用いることができる。この態様で一旦組織が捕捉されると、組織貫通部材(図示せず)が、捕捉した組織に係る張力と同じ方向あるいは反対の方向に組織内を進む。
【0054】
図9R乃至9Uは、過剰組織を収容する代替の変形例を示す図であり、上述した変形例と同様に、これらの変形例は薄い組織、筒状あるいはジオメトリの小さい器官の組織、等を扱う時に特に有用である。一般的に、これらの変形例では、拡張可能な部材あるいはその他の組織に接触する部材は、部材が吸引部材の基底面の反対側の組織に隣接する、接触するあるいは並置するように作動または起動する。このように、過剰組織は別の場所に置かれ、目的の組織が吸引部材の基底面に亘って引っ張られる結果、組織をより良く捕捉することができる。図9R及び9Sに示す変形例は、拡張してない状態及び拡張した状態にある拡張可能な部材(948)を示す。拡張可能な部材(948)は、適宜の拡張可能な部材である。例えば、バルーン、拡張可能なポリマー部材、他であっても良く、加圧食塩水、水、空気、他といった適宜の態様で拡張する。図9Tは、拡張可能なあるいは関節接合可能な部材の別の変形例を示す図であり、拡張可能なワイヤあるいは支柱(950)として示されている。このワイヤは、適宜の材料で作ることができる。図9Uは、関節接合可能な部材の更に別の変形例を示す図であり、ここでは、回転可能なあるいは関節接合可能なアーム(952)である。アーム(952)も、適宜の材料で作ることができる。
【0055】
図10A乃至10Dは、吸引部材の更なる変形例を示す図である。図10Aは、吸引部材(1000)を下側から示す図であり、ここでは、吸引部材が複数の分散構造(1002)を有している。構造(1002)は、一又はそれ以上の加熱エレメント、一又はそれ以上の電極(例えば、RF、超音波、光、磁気、これらの組み合わせ、他のエネルギー送達用)、一又はそれ以上のセンサ(例えば、ドップラーセンサ、圧力センサ、温度センサ、他)、可視化を容易にするための一又はそれ以上の放射線不透過性マーカ、直接的可視化を容易にするカメラ、一又はそれ以上のポート、であってもよい。この構造は、所定のパターンに従って配置することができ、あるいは、吸引部材または組織付加部材に沿ってまたはその近傍にランダムに配置することができる。この構造間のスペースは、図10Aに示すように均一であっても良いが、均一でなくても良い。同様に、この構造は、均一なサイズまたは形状を有していなくても良い。任意の数の構造、及び任意の組み合わせを用いることができる。
【0056】
もちろん、可能な構造としてここにはカメラが記載されているが、相当の光減あるいは照明光源付きのカメラあるいは照明光源なしのカメラをデバイス上の適宜の場所に配置して、組織の直接的な視覚化を容易にすることができる(例えば、細長部材に沿った位置に配置する)。このことは、例えば、デバイスを独立型デバイスとして用いる場合であって、動作領域の可視化を提供する内視鏡、胃カメラ、あるいはその他のシース付構造体を通って導入しない場合に、特に有用である。ここに述べたデバイスを単独であるいはシース付構造体と組み合わせて使用する方法について、以下に詳細に述べる。
【0057】
図10Bは、図10Bのデバイス(1004)が更なる周辺構造(1008)を有している点を除いて、図10Aのデバイス(1000)と同様のデバイス(1004)を示す。周辺構造(1008)は、例えば、加熱エレメント、電極、センサ、ポート、照明等、あるいはこれらの組み合わせといった、上述したいずれの構造であっても良い。いくつかの変形例では、構造(1008)が切除またはシーリング用のエネルギーを送達する電極であるが、構造(1006)は一又はそれ以上の有用なパラメータ(例えば、温度、圧力、血流などの動き、他)を検出する一又はそれ以上のセンサを具えていてもよい。もちろん、これらの構造は互いに異なるものでなくても良い。例えば、構造(1008)は構造(1006)と同じ性質であってもよい(例えば、両構造とも検出用である)。同様に、構造(1008)は、2つの構造が一致して特定のタスクを完了する構造(1006)と同じ性質であってもよい。例えば、構造(1008)と構造(1006)は両方とも、別々に用いてあるいは協働して用いて、特定の組織パラメータまたは特性(例えば、抵抗、インピーダンス、導電率、キャパシタンス、など)を検出、検知、あるいは測定する電極であっても良い。この構造は、適宜のあるいは望ましい方法で方向づけられて、適宜のあるいは望ましい組織パラメータまたは特性のマッピング、検知、検出、測定等を行う。もちろん、これらは、例示的なものに過ぎない。ここに述べた構造の組み合わせを用いることができると解すべきである。
【0058】
図10C及び10Dは、吸引部材内及び吸引部材近傍の構造位置と構成を更に示す図である。図10Cは、吸引部材(1012)と細長部材(1014)を具えるデバイス(1010)を示す。吸引部材(1012)は、リブの形をした組織付加部材であって、その上に構造を有する部材を具える。周辺リブ(1015)は4つの分散して配置された構造(1016)を有し、連結リブ(1017)はその上に複数の分散して配置された構造(1018)を有する。図10Dでは、デバイス(1020)の吸引部材(1022)は、リブの形状をした組織付加部材であり、その上に構造を有しているとともに、吸引部材(1022)の内側に沿って構造を有している。特に、上に複数の分散して配置された構造(1026)を有する連結リブ(1024)と、吸引部材(1022)の内側面に沿って配置した構造(1028)が示されている。また、これらの構造は、上述した構造のいずれかであってもよく、適宜の数、サイズ、形状、あるいは構成であっても良い。
【0059】
図11A乃至11Dは、細長部材と吸引部材の間の取付角度の変形例を示す図である。ここでは、図11Aに示すような実質的鋭角から図11Dに示すような直角まで様々な角度の連結または取付が示されている。取付角度は、表示あるいは用途に応じて選択される。例えば、いくつかの場合、吸引部材を細長部材及び取付ポイントから比較的離して吸引部材を配置することが非常に望ましい。このように、吸引部材は、例えば図11Cと11Dに示すように、組織周辺あるいは組織の上を細長部材と取付ポイントに邪魔されることなく自由に移動することができる。もちろん、取付角度は、特定のあるいは所望のアプローチ角度(組織の位置に基づいて)とするように選択することができ、デバイスの人間工学的使用を容易にするように選択することができ、デバイスの制御を容易にするように選択することができ、あるいはこれらの要因の組み合わせに基づいて選択することもできる。更に、細長部材は吸引部材の表面に直交するあるいはほぼ直交するように取り付ける必要はない。実際、取付自体は、デバイスの基底面からいくらか横方向にずらせてあれば、角度が付いていても、真っ直ぐであっても良い。
【0060】
一以上の吸引部材を有するデバイスも意図している。例えば、デバイスは、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上の吸引部材を具えていても良い。いくつかの変形例では、デバイスは例えば図12Aと12Bに示すように2つの吸引部材を具えている。一般的に、この吸引部材の少なくとも一方は、他方の吸引部材に対して可動であり、いくつかの変形例では、両方の吸引部材が互いに対して可動である。これらの変形例は、例えば、胃または腸壁組織などの薄い、軟らかい、あるいは柔軟な組織で、2つの表面の間に組織を挟むことが有用であるか、あるいは必要な場合に、特に有用である。
【0061】
各吸引部材は細長部材に連結されているか、あるいは一の吸引部材のみが細長部材に連結されており、これらの吸引部材は適宜の態様で細長部材に連結することができる。いくつかの変形例では、一又はそれ以上の吸引部材が、いくつかの場合にヒンジである柔軟部分を介して細長部材に連結されている。これらの変形例の吸引部材は適宜のジオメトリを有しており、上述した何らかの構造あるいは構造の組み合わせ(けん引部材、組織付加部材、電極、センサ、カメラ、光源、他)を具える、あるいは含んでいる。
【0062】
図12A及び12Bは、2つの吸引部材(1202、1204)を有するデバイス(1200)の一変形例を示す図であり、ここでは、開いた構成と閉じた構成で、それぞれ示されている。吸引部材は、特定のジオメトリ(例えば、螺旋カム構造(1207a、1207b)、くさび型カム構造、プッシュプルワイヤ、等)を有する摺動可能なアクチュエータの動きによって、その閉じた構造と開いた構造の間で変位する。この変形例では、吸引部材(1202、1204)がほぼ半楕円形状の基底面を有するが、吸引部材は上述した適宜のジオメトリを有していても良い。組織付加部材も示されており、この変形例ではリブの形状である(1203、1205)。
【0063】
この変形例では、各吸引部材がヒンジ機構を介して細長部材(1201)に連結されている。特に、保持ピン又はシャフト(1209)が保持タブ(1208a及び1208b)によって保持されており、吸引部材(1202)がピン(1209)の周囲を自在に回転する。吸引部材(1202)は従って、細長部材(1201)と吸引部材(1204)の双方に対して移動可能である。この変形例では、吸引部材(1204)は、細長部材(1201)と吸引部材(1202)に対しても移動可能である。吸引部材(1202)に相応の方法で、ここでは、ピン又はシャフト(1211)が保持タブ(1210a及び1210b)によって保持されている。もちろん、例えば、単一または複数の柔軟ジョイント、回転ジョイント、成形したプラスチックのライブヒンジ、ボールとソケットジョイント、反対に対向する柔軟なエレメントを有する摺動可能なチューブ、などのその他のヒンジ機構を使用することもできる。また、これらの図面には、組織貫通部材の出口ポート(1206)が示されている。ここでも、図12A及び12Bは単なる例示にすぎない。最後に、ここに述べたいずれのデバイスまたはツールも、ロボットデバイス又はシステムを組み合わせてロボット制御で動作するようにしても良いと解するべきである。
【0064】
II.方法
組織内に管を形成するデバイスを用いる方法について述べる。いくつかの方法によれば、一又はそれ以上の吸引部材を有するデバイスを組織近傍に進めて、吸引を行い、一またはそれ以上の吸引部材に対して組織を引っ張り、次いで、組織貫通部材を引っ張った組織を通して進め、組織内にあるいは組織を通して管を形成する。このデバイスは適宜のデバイス及び/又は方法を用いてターゲット組織部位に進めることができる。一例として、いくつかの変形例では、このデバイスをトロカールのルーメン内に配置することができ、このトロカールをターゲット組織部位に進めることができる。ターゲット組織部位において、デバイスをトロカールから展開させて組織の管を形成するのに使用する。別の実施例では、いくつかの変形例において、デバイスが比較的小さく、導入が容易であり、他のデバイス内に位置させることなく組織を通して進めることができる。いくつかのこのような変形例では、デバイスが尖っているか、のこぎり状である一またはそれ以上の領域(例えば、エッジ)を具えており、デバイスがターゲット部位の周囲組織を通る経路を比較的容易に切断することができる。このようないくつかの変形例では、デバイスは、一またはそれ以上の比較的硬性な部分(例えば、押し出し可能性を強化するため)を具えていても良い。デバイスは、いくつかのケースでは、超音波などの一又はそれ以上の画像技術及び/又は一又はそれ以上の局在化技術(例えば、血管ドップラを用いて血流を測定するなど)を用いてターゲット組織部位に案内される。
【0065】
デバイスは、例えば、上述したいずれのデバイスであっても良い。例えば、デバイスは一またはそれ以上の吸引部材と、一又はそれ以上のエネルギーアプリケータ(例えば、超音波、RF、光、磁気、これらの組み合わせ、他)、一又はそれ以上のセンサ(例えば、温度、圧力、血流、これらの組み合わせ、他を検出する)、一又はそれ以上の組織貫通部材、等を具えていても良い。吸引部材は、上述した構造のいずれかを具えていても良い。一又はそれ以上の吸引デバイスを有するデバイスを使用する場合、吸引部材が開いた形状、閉じた形状、あるいはこれらの中間の形状にあるときにデバイスを進めることができる。いくつかのデバイスの変形例は、吸引部材を具えておらず、及び/又は、方法のいくつかの変形例は組織に吸引を行うステップを具えていない。例えば、デバイスを用いて、組織内に組織貫通部材のみを進めて、組織の吸引を行うことなく、単一の自己シーリング管を組織に形成することができる。
【0066】
ここに述べた方法を、任意の技術又は手順とともに用いて任意の組織内に管を形成することができる。この組織は、その中に管を形成することが望まれるあらゆる組織である。例えば、心臓血管系、消化器系、呼吸器系、排泄系、生殖器系、神経系、その他の組織である。いくつかの変形例では、この組織は、動脈、などの心臓血管系または心臓の組織である。他の変形例では、この組織は、例えば、生殖器系、排泄系、消化管系、などの組織といった、解剖学的開口を通ってアクセスする(例えば、体表に傷跡を残さない内視鏡外科手術(natural orifice translumenal endoscopic surgery “NOTES”)を行うための)組織である。もちろん、同じ組織か異なる組織かにかかわらず、組織内に複数の管を形成する方法も意図されていると解するべきである。
【0067】
以下により詳細に述べるように、この方法はある期間(例えば15分あるいはそれ以下、12分あるいはそれ以下、10分あるいはそれ以下、5分あるいはそれ以下、3分あるいはそれ以下、1分あるいはそれ以下、等)内に自己シールする管を作るステップを具えていても良い。もちろん、ある期間がたったら自己シールする管が、他のメカニズムでシーリングが促進されるものであっても良い(例えば、機械的圧力をかける、吸引を行う、一又はそれ以上のシーリング材を適用する、など)。この方法は、また、エネルギーの適用、一又はそれ以上の流体又は有用な薬剤の送達、一又はそれ以上の有用なツールの組織部位への送達、手順、視覚化、組織に対するデバイスの位置決定、これらの組み合わせ、などを具えていても良い。このデバイスは、以下に述べるように、回転、再配置、あるいはこれらの方法を行う間に操作することができる。
【0068】
特に図面を参照すると、図13A乃至13Mは、組織内に管を形成する一の例示的方法が記載されている。図13Aに示すように、一又はそれ以上の吸引部材(1302)を具えるデバイス(1300)が、組織(1304)近傍に進められる。次いで、吸引部材で吸引を行って、吸引部材が、図13Bに示すように組織に接触して、図13Cに矢印で示すように吸引部材に対して組織方向に引っ張られる。もちろん、吸引はこの方法のどの段階で行っても良い。例えば、吸引が常に行われていても良いし、吸引を行いつつデバイスが前進する。反対に、ここに示すように、デバイスが組織近傍に進められてから、吸引を行うようにしても良い。代替的に、吸引のオンオフを切り替えて、調整し、あるいは変調し、例えば、この明細書に述べられている近位側コントロールを用いて、真空の強度あるいはフローを制御するようにしても良い。
【0069】
図面に戻ると、組織が吸引部材に対して引っ張られると、組織貫通部材を引っ張られた組織を通して進めて、図13Dに示すようにその組織に管を形成する。この管は、どんな長さでも良く、図13Eに示すように、組織内を横切るものであっても良い。一旦管が形成されると、この管を通って一またはそれ以上のツールを進めることができる。例えば、図13Fには、ガイドワイヤ(1308)が組織貫通部材とこの管を通って進められている。
【0070】
ガイドワイヤ(1308)は、対応する組織貫通部材(1306)と共に使用するのに適した径を有するものであればどのようなガイドワイヤであってもよい。ガイドワイヤ(1308)は、また、その遠位端(1310)に、一又はそれ以上の拡張可能な部材(例えば、図13Gに示すような拡張可能なバルーン、図13Hに示すような拡張可能なケージまたは花ワイヤ形状、拡張可能なアーム、等)、あるいは同様の構造を有していても良い。このように、ガイドワイヤの遠位端を用いて、デバイスを組織に対して配置あるいは位置決めし、その手順の一部を行う間その位置を維持するようにしても良い。例えば、ガイドワイヤ(1308)は、組織(1304)と、拡張した遠位側拡張可能な構造を通って進めることができる。ガイドワイヤ(1308)を、次いで、近位側(すなわち、組織の方向)にそっと引っ張る。拡張可能な部材が組織に近接したら(例えば触知フィードバックを介して決定する)、組織の位置が決まり、この情報を残りの手順用のガイドとして用いることができる。もちろん、これらの組織位置決め方法は、間接的(例えば、蛍光透視ガイダンス、超音波、等)あるいは直接的(例えば、カメラ、スコープ、他)視覚化を用いる場合は不要であり、この視覚化技術は、ここに述べたいずれかの方法と共に使用することができる。真空チェックも、組織の位置あるいは組織に対するデバイスの位置を決定するのに有用である。組織の位置を決定する更なる有用な方法は、図13N乃至Pを参照して以下に詳細に述べられている。
【0071】
図13Iを参照すると、ガイドワイヤ(1308)が組織を通って(例えば、組織貫通部材のルーメンを介して)前進したのち、組織貫通部材(1306)を引き抜いても良い。所望であれば吸引を切って、図13Jに示すように、デバイスを近位側に引きだす。必要があれば一またはそれ以上の拡張器(あるいは、単一のステップアップ拡張器)または導入器(1312)をガイドワイヤ(1308)の上に進めて、組織の管を拡張させる。ターゲット部位への十分なアクセスが得られたら、図13K−13Mに示すように、ガイドワイヤ(1308)を取り出してもよい。次いで、一又はそれ以上の追加のツールを導入器を通して導入して、適宜の手順を行うようにしても良い。いくつかの変形例では、ここに述べた方法を使用して、動脈切開を行って、脈管構造にアクセスするようにしている。すべての手順を実行したら、ツールと導入器を取り外し、管を自己シールさせる。もちろん、上述したように、機械的圧力、エネルギーの送達(RF、超音波、マイクロ波、等)によって、あるいは、一又はそれ以上の薬剤または閉塞デバイスの使用、これらの組み合わせ、その他、によって、管のシーリングを容易にするあるいは促進することができる。
【0072】
簡単に上述した通り、いくつかの場合、ここに述べたデバイスまたは方法を用いつつ、一又はそれ以上の組織表面あるいは境界を同定する、検出する、あるいは位置を特定することが望まれる。図13Nは、組織(1322)境界、などを検出する一の例示的システム(1320)変形例を提供している。ここには、加圧流体(1324)が、吊IVバッグに入った流体の形で示されており、これが組織貫通部材(1330)に連結されている。この変形例では、バルブ(1328)が、生理食塩水、抗生物質、消毒剤、あるいは任意の薬剤である、加圧流体(1324)の放出を制御している。この変形例ではゲージ(1326)を介して圧力が検出される。組織貫通部材(1330)が組織(1322)内に進んで、組織貫通部材(1330)が組織内にある間は、図13Oに示すように圧力が比較的高い、あるいは初期圧力より高い。組織貫通部材が組織の境界を通って進むと、流体がそこを通ってより自由に流れ、図13Pに示すように、圧力が再び下がる。更に、放射線不透過性マーカ又はバンド(例えば、遠位領域に、あるいは組織貫通部材の先端にある)を用いて、デバイスを蛍光透視法と共に使用するときに、組織の境界を更に検証することができる。もちろん、流体の粘度を選択して、その他の要因に加えて、ニードルのサイズと長さを収納できるようにする。同様に、この変形例の圧力は、システムの近位端で測定されたものが示されているが、組織貫通部材の先端からの任意の所望する距離で圧力を測定することができる。いくつかの変形例では、例えば、組織貫通部材先端近くの流体圧力を測定することが望ましいであろう。
【0073】
図14A乃至14Cは、組織内に管を形成する別の方法を示す図である。この変形例では、組織貫通部材(1402)が組織(1404)内に進むと、デバイス(1400)が関節接合して組織貫通部材(1402)の向きを変えることができる。組織貫通部材(1402)は、次いで、再配置した方向において組織(1404)内に進む。上述した方法と同様に、ガイドワイヤ(1406)を組織の管内に進めて(例えば、組織貫通部材のルーメンを介して)、管を通るツールの経路を得るために、一又はそれ以上の導入器をガイドワイヤ(1406)の上に進めることができる。
【0074】
もちろん、吸引部材を関節接合させて、細長部材を関節接合させて、組織貫通部材が組織を通って進む前に、吸引部材を回転させて組織を回転させることなどができる。実際、米国特許出願第11/873,957号に記載されている組織操作方法はいずれも、ここで使用することができる。この出願は、全体が参照によりここに組み込まれている。
【0075】
図15Aは、ここに述べたデバイスをどのように使用して胃の中または胃を通る組織、あるいは胃の組織内に管を形成するかを示す全体図である。この変形例では、デバイスは別体の胃カメラと共に使用しておらず、光源または照明源(1504)と組み合わせた一連のカメラあるいはその他の可視化デバイス(1502)によって可視化を行っている。この特別な方法は、例えば、体表に傷跡を残さない内視鏡外科手術に非常に有用である。図15Aも、ここではスライドアクチュエータ(1506)の形態をしているデバイス(1500)の例示的近位側コントロールの詳細を示す。スライドアクチュエータ(1506)を例えば、組織貫通部材を前進させてけん引するのに用いることができ、一又はそれ以上の可視化デバイス(1502)のオンオフに用いることができ、照明源(1504)のオンオフ、あるいはこれらの組み合わせに用いることができる。もちろん、デバイス(1500)は、任意の数の機能あるいは機能の組み合わせ(真空、可視化、組織貫通部材の作動、照明、流体洗浄、他)を制御する、任意の数及び任意のタイプの近位側コントロール(スライド、スイッチ、ボタン、他)を具えていても良い。
【0076】
図15Aにも、吸引、流体注入、などの例示的使用が示されている。ここでは、真空(1510)、バッグ注入器(1512)、シリンジ型インジェクタ(1514)に接続して、その使用を助ける3方向バルブ(1508)が示されている。すなわち、3方向バルブ(1508)は、様々な位置で切り替えることができ、真空または流体(バッグ注入器またはシリンジ型インジェクタを介して)のオンオフを行う。真空をオンオフする能力を有することは、例えば、デバイスが一またはそれ以上の組織表面に張り付いている場合に特に有用である。流体の注入または送達のオンオフ切り替えは、例えば、洗浄、かん流、クロッグの除去、あるいは一又はそれ以上の物質を組織に送達する場合に特に有用である。もちろん、図15Aに示すコントロールは、上述の機能を制御又は操作する一例にすぎない。適宜の構成(更なる近位側コントロール、上述したものの組み合わせ、など、特定の構造を制御する2方向バルブを有する)を使用できると解するべきである。
【0077】
図15B及び15Cは、吸引部材(1520)が真空でありながら、一又はそれ以上の流体(治療薬、洗浄液、消毒剤、他)を組織(1524)に送達す変形例を模式的に示す。例えば、図15Bは、吸引部材(1520)を示す図であり、この部材は、部材を通って送達する一又はそれ以上の流体通路(矢印1523によって示される)を形成するための、部材の上または部材に沿った一またはそれ以上の周辺ポート(1522)を有する。この変形例では、流体は一又はそれ以上の周辺ポート(1522)またはその他のポート(例えば、ニードルポート、けん引部材ポート、他)を介して注入または送達され、次いで、組織(1524)が吸引によって捕捉された状態で、真空ポート(1526)を介して回収される。例えば、図9Jの吸引部材がこの方法を実行するのに有用である。図15Cは、流体が真空ポート(1536)を通って回収されない代替の変形例を示す。ここには、一又はそれ以上の流体(例えば、治療薬、洗浄液、消毒液、他)を組織(1538)に送達する一又はそれ以上の周辺ポート(1532)を、部材の上または部材に沿って有する吸引部材(1530)が示されている。この変形例では、流体が第1のシリンジ(1540)あるいはその他の送達システムを通って注入され、別の第2のシリンジ(1542)あるいはその他の好適な回収システムによって回収されるので、真空ポート(1536)は流体を回収するように機能する必要はない。この変形例のプッシュプルシリンジは、例えば、真空がシリンジの内容物を空にしてしまうことを防止する。
【0078】
図15D及び15Eは、ここに述べたいずれかのデバイス及び方法に連結して使用することができる関節接合可能な細長部材を示す図である、関節接合していない状態と、した状態をそれぞれ示す。これらの変形例における細長部材(1560)は、一連のワイヤ又はケーブル(1564)を介して連結されたリンク(1562)を具えていても良い。これらの図には、最も遠位端のリンク(1566)も示されており、これは2つの別々の構造セット(1568、1570)を有する。これらの構造は、上述したいずれの構造であっても良く、一変形例では、構造(1568)がカメラであり、構造(1570)が照明源である。上述したとおり、任意の組み合わせ、位置、及び数の構造を使用することができる。最も遠位側のリンク(1566)の上あるいは周囲に構造を配置することは、適宜の位置の一例に過ぎない。細長部材(1560)の個々のリンクは露出する必要がないと解するべきである。細長部材(1560)は、シースに入っていても良く、カバーがなされていても良い。さらに、これらの変形例の細長部材は、上述したデバイスの全変形例と同様に、ロボット制御あるいは遠隔制御することができる。
【0079】
図15F及び15Gは、上述したデバイスのいずれかと共に使用する様々なハンドルあるいは近位側コントロールを示す。特に、図15Fは、ジョイスティックタイプのコントロール(1574)を有するハンドル(1572)を示す。この変形例では、ジョイスティックタイプのコントロール(1574)を用いて、コントロール(1574)自体の動きに対応する方法で細長部材の動きを制御することができる。例えば、コントロール(1574)の前方向における動きは、細長部材の前方向の動きとなる。同様に、コントロール(1574)の右への動きは、細長部材の右への動きとなり、以下同様である。このタイプのコントロールは、ユーザの選択と使用の容易性を助けるデバイスの直感的制御が望ましい場合に特に有用である。図15Gは、全てのコントロールが封入されている別のハンドル(1576)を示す。例えば、ハンドル(1576)は、一又はそれ以上のモータ、リニアアクチュエータ、空気圧シリンダ、あるいはその他の電子構造を収納することができる。このタイプのハンドル(1576)はロボットインターフェースとして特に有用である。
【0080】
図15H及び15Iは、上述した関節接合可能なデバイスに関連する最も遠位側のリンクを示す断面図及び斜視図である。図15Hに示すリンクは、追加の構造を有していない。ここには、一又はそれ以上のワイヤ又はケーブルの経路となる貫通ルーメンまたは開口(1578)が示されている。図15Iに示すリンクは、例えば、図15D及び15Eを参照して上述した最も遠位側のリンク(1566)などの、一又はそれ以上の追加の構造を有している。この変形例には、別々の構造(1582)と(1584)が示されており、これは、上述したようなカメラと照明源であってもよく、またはその他の上述したいずれかの構造であってもよい。断面図には、ケーブル又はワイヤを連結する経路用の貫通ルーメン(1580)も示されている。
【0081】
図16A乃至Iは、胃組織の中にあるいは胃組織を通る管を形成する方法を示す図である。デバイスの遠位側部分のみがこれらの図に示されており、この方法は、デバイスが独立型デバイスであるか否かにかかわらず、図に示すような組織の管を形成するのに使用することができる、あるいは、胃カメラと共に使用するあるいはその他のシースが付いた構造体を通して進めることができる(ステアリング、可視化装置、照明、他を伴って、あるいは伴わないデバイスが任意のタイプの胃カメラ、内視鏡、腹腔鏡、他の動作チャンネル内にバックロードされる場合を含む)。図16Aを参照すると、吸引部材(1602)を具えるデバイス(1600)は、ここでは胃組織である、組織に隣接して進められた状態が示されている。図16Bでは、真空又は吸引がオンになっており、この図に矢印で示すように、組織が吸引部材(1602)に対して引っ張られる、あるいは吸引部材内に引き込まれている。次いで、組織貫通部材(1604)(例えば、ニードル、又は、その他の組織貫通カニューレ)がデバイスから前進して、引っ張られている組織を通って図16Cに示すように、組織内に管を形成する。
【0082】
管が一旦形成されると、ガイドワイヤ(1606)、ガイドエレメント、などを、図16Dに示すようにその管を通って前進させて(例えば、組織貫通部材のルーメンを通って前進させることにより)、組織貫通エレメント(1604)を図16Eに示すように引き出す。次いで、ステップアップ型拡張器(1608)または一連の拡張器(図示せず)を、図16Fに示すようにガイドワイヤ(1606)上を前進させる。このように、例えば、管の断面積を拡張あるいは拡大することができる。管が拡張した後、拡張器(1608)の一部でも良いが、導入器(1610)を適所に残して、図16Gに示すように管を通って追加のツールを導入する導管として使用することができる。図16Hは、例えばグリッパ(1614)などのエンドエフェクタを有するツール(1612)を導入器(1610)を通して進めて手順を行う、一例示的方法を示している。任意の数あるいは任意のタイプのツールをこのようにして導入器を通して進めることができる。手順を行った後、このツールと導入器を取りはずして、管(1616)を自己シールさせる。もちろん、適宜の追加機構(例えば、機械圧を介して、超音波を介して、一又はそれ以上の閉塞デバイスを介して、など)によってシーリングを強化することができる。
【0083】
図17A乃至17Dは、ここに述べたデバイスを心膜腔へ進めて、心臓(H)の組織を通る管を形成する方法を示す図である。これらの図に示すように、切開(1700)を行って(例えば、剣状突起下、他)、これを通ってポート(1702)を配置してそこを通って適宜にツールを送達又は交換する。ポート(1702)が一旦配置されると、ここに述べたいずれかのデバイス(1704)をポート(1702)を介して配置して、心臓(H)の組織内にあるいは組織を通る管を形成する。このことは、図18A乃至18Kを参照して以下により詳細に説明する。
【0084】
図18Aを参照すると、吸引部材(1802)を具えるデバイス(1800)が心臓組織近傍に進められている。このデバイスは、例えば、上述したポート(1702)を介して、適宜の態様で心臓組織近傍に進めることができる。次いで、真空又は吸引を行って図18Bに示すように心臓組織を吸引部材(1802)に対して又は吸引部材の中に引き込む。次いで、組織貫通部材(1804)をデバイス(例えば、吸引部材を介して)から進めて、引き込んだ組織を通って図18Cに示すように組織の管を形成する。ガイドワイヤ(1806)あるいはガイドエレメントなどのその他の好適なエレメントを、例えば、組織貫通部材(1804)内のルーメンを通って進めることによって、図18Dに示すように管を通して進める。次いで、図18E及び18Fにそれぞれ示すように、組織貫通部材(1804)とデバイス(1800)を取り除く。
【0085】
次いで、図18Gに示すように、ガイドワイヤ(1806)の上にステップアップ型拡張器(1808)または一連の拡張器(図示せず)を進めることができる。このようにして、例えば、管の断面積を拡張又は拡大することができる。管を拡張した後、拡張器(1808)の一部であってもよい導入器(1810)を適所に残して、図18Hに示すように管を通して更なるツールを導入する導管として使用することができる。図18Iは、ある手順に使用するためにツール(1812)を導入器(1810)を介して進める位置の一例示的方法を示す。ここでは、左心室へのアクセスが行われており、従って、大動脈弁あるいは僧帽弁の修復又は交換に関連するこれらの方法の使用が特に有用である。任意の数あるいはタイプのツールをこの方法で導入器を介して進めることができる。図18J及び18Kに示すように、この手順を行った後、ツールと導入器を取り出して、管(1814)を自己シールさせる。もちろん、適宜の追加機構(例えば、機械圧を介して、超音波を介して、一又はそれ以上の閉塞デバイスを介して、など)によってシーリングを強化することができる。
【0086】
III.キット
ここにキットについても述べる。いくつかの変形例では、キットは、組織を通る管を形成するデバイスを具えており、このデバイスは上述した一又はそれ以上の吸引部材と、一又はそれ以上の追加のツールを具える。例えば、これらのツールは、手順を実行する間に管を通って進められるツール(例えば、ガイドワイヤ、ハサミ、グリッパ、結紮器具、等)、閉塞を補助する一又はそれ以上の補助ツール(例えば、エネルギー送達デバイス、閉塞デバイス、など)、前記手順を補助する一又はそれ以上のツール(例えば、胃カメラ、内視鏡、カメラ、光源、他)、これらの組み合わせ、などのツールである。もちろん、これらのキット共に使用指示書を提供しても良い。
【技術分野】
【0001】
本出願は、2008年7月21に出願した米国暫定特許出願第61/082,449号の利益を請求する。この出願の開示は、参照により全体としてここに組み込まれている。
【0002】
ここに記載した方法、デバイス及びキットは、一般的に組織内に管を形成するのに有用である。特に、ここに記載した方法、デバイス及びキットは、一またはそれ以上の吸引部材を用いて組織内に管を形成するのに有用である。
【背景技術】
【0003】
組織内にあるいは組織を通って管を形成する数々のデバイスと方法がすでに記載されている。例えば、米国特許出願番号10/844,247号、11/544,196号、11/545,272号、11/544,365号、11/544,177号、11/544,149号、10/888,682号、11/432,982号、11/544,317号、11/788,509号、11/873,957号は、すべて、参照により全体としてここに組み込まれており、組織内に管を形成するデバイスと方法を記載している。一般的に、これらに記載されている管は、セルフシールであるか、あるいは、補助的な閉塞デバイスまたは技術が最小限であるか又はこれらを必要としないシールである。これらの管は、組織位置(例えば、ある器官の管腔など)へのアクセスを提供し、一又はそれ以上の器具をこの管を通して進めて手順を行うのに非常に便利である。このような方法の多大な適用可能性を考えると、組織内に管を形成する追加のデバイス及び方法が所望されるであろう。
【発明の概要】
【0004】
ここには、組織内に管を形成する方法及びデバイスが記載されている。いくつかの変形例において、このデバイスは細長部材と、当該細長部材の遠位部分に連結した吸引部材と、当該細長部材内に摺動可能に収納されている組織中に管を形成するための組織貫通部材と、を具える。細長部材は可撓性であっても、なくても良い。いくつかの変形例において、吸引部材は、細長部材に例えばヒンジなどの可撓性部分を介して連結されている。
【0005】
細長部材は、関節接合可能であっても良く、組織貫通部材は関節接合可能であっても良く、吸引部材は関節接合可能であっても良く、あるいは、これらの部材の組み合わせが関節接合可能であっても良い。これらの部材は、例えば、一またはそれ以上の引っ張りワイヤ、一またはそれ以上のヒンジ、などを用いて関節接合可能であっても良い。
【0006】
いくつかの変形例では、組織貫通部材がニードルである。このニードルは中空状であっても、中実であっても良く、適宜の先端部を有している。すなわち、この先端部は適宜の形状(円錐、オフセット円錐、他)を有していても良く、丸い、鋭利、あるいは尖っていてもよく、斜角あるいは非斜角であってもよい。
【0007】
吸引部材は、一またはそれ以上の真空源に連結されていても良い。例えば、細長部材は、真空源への吸引部材の連結を容易にする一またはそれ以上の管腔、スロット、ホール、開口、他を有していても良い。いくつかの変形例では、吸引部材はその上に一またはそれ以上の組織付加部材(tissue apposition member)を有していても良い。組織付加部材は、例えば、リブなどの起伏のある表面であっても良い。所望により、あるいは適宜に、任意の数の組織付加部材を使用できる。同様に、吸引部材は一又はそれ以上の加熱エレメント、一またはそれ以上の電極、又は、一又はそれ以上のセンサ(ドップラーセンサ、圧力センサ、神経センサ、超音波センサ、他)、部材の表面に沿って設けた一またはそれ以上の薬剤送達ポート、一又はそれ以上のけん引部材、などを具えていても良い。吸引部材は、好適なジオメトリを有する。いくつかの変形例では、吸引部材の基底面がほぼ楕円形である。他の変形例では、吸引部材の基底面がほぼ円形である。更なる変形例では、吸引部材の基底面が不規則なジオメトリを有している。
【0008】
組織内に管を形成するその他のデバイスは、細長部材と、当該細長部材の遠位部分に連結されており、組織に対して位置決め可能な第1の吸引部材と、当該第1の吸引部材に対向する第2の吸引部材と、組織内に管を形成する組織貫通部材とを具える。組織貫通部材は、細長部材内に摺動可能に収納されるか、第1又は第2の吸引部材内に摺動可能に収納されるか、あるいは細長部材内と第1又は第2の吸引部材のいずれか一方内に摺動可能に収納されている。第1の吸引部材は、細長部材の遠位部分に例えばヒンジなどの可撓性部分を介して連結されていても良い。同様に、第2の吸引部材も、細長部材の遠位部分に連結されていても良く、また、第1および第2の吸引部材が、ヒンジなどの可撓性部分を介して互いに連結されていても良い。一又はそれ以上の吸引部材は、細長部材に対して、他の吸引部材に対して、あるいはその両方に対して、可動である。
【0009】
これらの変形例において、細長シャフトは、関節接合可能であるか、可撓性であるか、あるいはその双方であっても良い。もちろん、細長シャフトは、関節接合しなくともよく、及び/又は、硬性であっても良い。第1及び第2の吸引部材は、真空源に連結されていても良く、互いに対して可動であっても良く、好適なジオメトリ(例えば、ほぼ楕円形、ほぼ円形、ほぼ半円形、他)を有していても良い。第1及び第2の吸引部材のいずれも、例えば、起伏のある表面またはリブなど、一又はそれ以上の組織付加部材をその上に具えていても良い。同様に、第1及び第2の吸引部材のいずれも、一またはそれ以上の加熱エレメント、一またはそれ以上の電極、一またはそれ以上のセンサ(例えば、ドップラーセンサ、圧力センサ、他)、一またはそれ以上のけん引部材、一またはそれ以上のポート、これらに類するものを具えていても良い。いくつかの変形例では、組織貫通部材がニードルである。上述したデバイスと同様に、このニードルは中空であっても、中実であっても良く、好適な先端部を有する。すなわち、先端部は適宜の形状(円錐、オフセット円錐、他)を有していても良く、丸い、鋭利あるいは尖っていてもよく、斜角あるいは非斜角であってもよい。
【0010】
いくつかの変形例では、このデバイスは更に、一またはそれ以上のエネルギーアプリケータを具えており、この方法は更に、組織にエネルギーを与えるステップを具える。このエネルギーは適宜のエネルギー源(例えば、超音波、RF、光、磁気、あるいはこれらの組み合わせからなる群から選択されたエネルギー)に由来する。いくつかの変形例では、このデバイスは、一またはそれ以上のセンサを具えており、この方法は更に、例えば、温度、圧力、組織同定あるいは位置(例えば神経又は様々な生体構造)、血管内の血流、及びこれらの組み合わせといった、少なくとも一の有用なパラメータを検知するステップを具える。例えば、いくつかの変形例では、このパラメータが血管内の血流であり、この方法は更に、血管内の血流を検出したらデバイスを再配置するステップを具える。ここに述べた一又はそれ以上のデバイスを取り入れた、一又はそれ以上の器具などと協働するキットも、ここに記載されている。
【0011】
組織内に管を形成する方法もここに記載されている。いくつかの方法によれば、一またはそれ以上の吸引部材と組織貫通部材を具えるデバイスを組織近傍に進める。吸引は、一またはそれ以上の吸引部材に対して組織が引き込まれるように行われ、組織貫通部材がこの引き込まれた組織を通って第1の方向に進められて、組織内にあるいは組織を通って管を形成する。この方法は、更に、組織貫通部材を関節接合させるステップと、組織貫通部材を第2の方向に進めるステップを具える。いくつかの変形例では、この方法は更に、一またはそれ以上の吸引部材を関節接合させて組織を再配置するステップであって、この再配置した組織を通って組織貫通部材を進めて、あるいは進めることなく、組織を再配置するステップを具える。この方法は、更に、デバイスを回転させて組織を回転させるステップと、回転させた組織を通って組織貫通部材を進めるステップを具えていても良い。もちろん、この方法は、組織を可視化するステップ、組織の管を通って一又はそれ以上の器具を進めるステップ、組織近傍で、組織を通って、あるいは組織の上で手順を行うステップ、組織に対してデバイスの位置を決定するステップ、これらのステップの組み合わせ、等を具えていても良い。
【0012】
ここに述べた方法は、更に、一またはそれ以上の流体または物質を組織に送達するステップを具えていても良い。この流体は、例えば、組織の洗浄、消毒、処置(治療、他)、などに有用である。この流体は、適宜の物質、または物質の組み合わせを具えていても良い。例えば、この物質は、抗体、防腐剤、消毒薬、化学療法薬、非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)、シクロオキシゲナーゼ−1(COX−1)阻害薬、シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害薬、オピオイド、またはその他の薬剤または物質、及びこれらの混合物及び組み合わせから選択することができる。この流体はまた、例えば、組織を凍結させる、炎症を低減させる、細胞死を局在化させる、上記の組み合わせ、他のための、一又はそれ以上の低温物質を具えていても良い。この低温物質は、例えば、液体窒素、あるいはその他の低温物質であっても良い。更に、金属またはポリマー性の筒状導管を、吸引部材内、外、周囲、あるいは近傍に配置しても良く、細長部材の中、周囲又は近傍に配置した導管に連結して、低温物質が一の導管から次の導管へ組織に直接接触することなく通過するようにしても良い。この方法で、ある種の熱交換機ができて、吸引部材内から熱が除去され組織の温度が治療レベルまで下がる。いくつかの変形例では、以下により詳細に述べるように、組織貫通部材が物質の注入を提供するように構成されている。
【0013】
この方法は、あらゆる好適な組織に使用することができる。いくつかの変形例では、この組織とは、例えば、心臓血管系の器官、消化管系の器官、呼吸器系の器官、排泄系の器官、生殖器系の器官、神経系の器官といった器官である。いくつかの変形例では、この器官は、例えば動脈などの心臓血管系の器官である。ここに述べた方法を使用する場合、管が比較的短時間にシールされ、追加の補助具によってあるいは補助具なしでシールされる。いくつかの変形例において、管は15分またはそれ以下、12分又はそれ以下、10分又はそれ以下、5分またはそれ以下、3分又はそれ以下、あるいは1分又はそれ以下の期間にシールされる。もちろん、シールを補助するために管が形成された後に、管に圧力をかけたり又は吸引を行うことができる。更に、一又はそれ以上の閉塞デバイスを用いることもできる。
【0014】
ここに述べた方法によれば、組織貫通部材を波打つ状態で進めることができ、あるいは、前進する間に回転させるようにしても良い。いくつかの変形例では、組織貫通部材が第1の位置で組織に入り、第2の位置で組織から出てゆくが、第1の位置と第2の位置との間の長さは、組織の厚さより長い。いくつかの変形例では、管の長さが組織の厚さより長い。いくつかの変形例では、この方法は更に、管の断面積を広げるステップを具えている。
【0015】
ここに述べる方法のいくつかの変形例は、組織内に単一の自己シーリング管を形成するのに使用することができ、あるいは単一の組織貫通部材を組織内に進めることによって、組織内に一又はそれ以上の自己シーリング管を形成するのに使用することができる。これによって、例えば組織上のストレスが最小になる。更に、この組織は比較的迅速に回復し、従って、治療時間を比較的短くすることができる。
【0016】
ここに述べる方法のある変形例は、第1の組織貫通部材(例えば、中空ニードルのようなニードル)を組織を通って第1の方向に進めることによって組織内に管を形成するステップを具えており、この管の形成には第1の組織貫通部材のみが組織を通って前進することが必要であり、この管は自己シーリング管である。これらの方法は、また、第1の組織貫通部材を具えるデバイスを第1の組織貫通部材を組織を通って前進させる前に、組織近傍に進めるステップを具えていてもよい。いくつかの変形例では、この方法が、組織を吸引して組織を位置決めするステップを具えていても良い。例えば、このデバイスは更に一又はそれ以上の吸引部材を具えていても良く、この方法は、組織を吸引して、吸引部材あるいは複数の吸引部材に対して組織を引き込むステップを具えていても良い。ある変形例では、第1の組織貫通部材を、引き込んだ組織を通って第1の方向に前進させるようにしてもよい。いくつかの変形例では、吸引を行うことによって組織を位置決めした後に、組織内に管が形成される。この管は、例えば、動脈切開であってもよい。
【0017】
ここに述べる方法のいくつかの変形例は、組織を通って第1の方向に組織貫通部材を進めて組織内に単一の管を形成するステップであって、この単一の管が自己シーリングであるステップを具えていても良い。ここに述べる方法のある変形例は、組織の近傍にデバイス進めるステップを具え、当該デバイスが少なくとも一の組織貫通部材を具える。これらの方法は、更に、組織を通って組織貫通部材または複数の組織貫通部材を進めることによって組織内に管を形成するステップを具えていても良い。管の形成には、組織を通って組織貫通部材又は複数の組織貫通部材を進めることのみが必要である。この管は自己シーリングである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、ここに述べたように組織内に管を形成するのに使用することができる例示的なデバイスの遠位端部を示す図である。
【図2】図2A乃至2Fは、細長部材と吸引部材がどのように互いに連結できるかを示す適宜の構成を示す図であり、これに関連する管腔の構成を含む。
【図3】図3A及び3Bは、ここに述べたような例示的デバイスを、非可撓性の状態と、可撓性の状態でそれぞれ示す図である。
【図4】図4Aは、一またはそれ以上の組織付加部材を有する例示的吸引部材を示す図であり、ここでは、4つのリブと1本の周辺リブの形の部材を示す(ほぼ十字型形状を成す)。図4Bは、図4Aに示すデバイスを詳細Cに沿って拡大して示す図である。
【図5】図5は、一またはそれ以上の組織付加部材、ここでは、8本のリブと1本の周辺リブ(ほぼ星型形状)の形の部材を有する吸引部材を示す図である。
【図6】図6は、吸引ポートを覆うメッシュ又はスクリーンを有する吸引部材を示す図である。
【図7】図7Aは、4本の結合リブと1本の周辺リブに加えて、中央円形リブを有する吸引部材を示す図である。図7B及び7Cは、周辺リブが折りたたみ可能であるか、内側に変形可能な吸引部材を、これらが折りたたまれていない状態と折りたたんだ状態で示す図である。図7Dは、間にある組織を捕捉するトングを有する吸引部材の変形例を示す図である。図7Eは、組織を貫通させるニードルを有する吸引部材の変形例を示す図である。
【図8】図8Aと8Bは、組織貫通部材が吸引部材の中からあるいはこれを通って出たときの組織貫通部材の拡開を示す図である。図8Cは、組織貫通部材が吸引部材の中からあるいはこれを通って出たときの吸引部材の変形例を示す図であり、ここで、吸引部材はドーナッツ形状をしており、この部材を通る一又はそれ以上の開口を規定している。
【図9】図9A及び9Bは、組織貫通部材が吸引部材の中からあるいはこれを通って出たときの組織貫通部材の拡開を示す図であり、ここでは組織付加部材がその上に一又はそれ以上のけん引部材を有している。図9C乃至9Fは、けん引部材を示す図である。図9G及び9Hは、組織貫通部材が吸引部材の中からあるいはこれを通って出たときの組織貫通部材の拡開を示す図であり、ここでは、組織吸引部材が一又はそれ以上の歯を有するリッジを具える。図9Iは、図9G及び9Hに示す吸引部材のリッジの周り及び/又は下で組織がどのように折りたたまれるかを示す断面図である。図9J及び9Kは、吸引部材の関節接合可能なあるいは移動可能なリッジの周り及び/又は下で組織がどのように折りたたまれるかを示す断面図である。図9Lは、歯を有するリッジと、真空を配分するチャンネルも具える吸引部材を示す図である。図9Mは、真空配分用チャネルをよりよく示す、図9LのデバイスのA−A線に沿った断面図である。図9Nは、部材が歯付リッジの形である一またはそれ以上の部材を有し、その間に組織を挟む吸引部材の変形例を示す図である。図9Oは、吸引部材の基本面を示す図であり、ここで吸引部材の基本面は、一連の開口あるいは窓を規定している。図9P及び9Qは、図9Oの吸引部材の断面図であり、窓または開口を規定する一またはそれ以上の壁に対して組織がどのように捕捉されるかを示す。図9R乃至9Uは、拡大可能なあるいはその他の組織接触部材を、吸引部材の基本面に対向する組織と接触するあるいは組織に係合するのにどのように用いて、吸引部材の基本面に組織が引き延ばされるかを示す図である。
【図10】図10A乃至10Dは、吸引部材が、その上またはその中に、電極、加熱エレメント、センサ、マーカ、カメラ、などの一またはそれ以上の別の特徴を有する吸引部材を示す図である。
【図11】図11A乃至11Dは、細長部材−吸引部材取り付けの変形例を示す図であり、取り付けに適した様々な角度を詳細に示す。
【図12】図12A及び12Bは、2本の吸引部材を有するデバイスの一変形例を示す図であり、オープン構造と、たたんだ構造をそれぞれ示す。
【図13】図13A乃至13Mは、組織内あるいは組織を通って管を形成する方法を示す図であり、図13Gと13Hは、特に、ここに述べた方法と共に使用するガイドワイヤの好適な遠位側拡大可能な構造を示す。図13N乃至13Pは、組織の位置又は境界を検出する方法の一変形例を示す図である。
【図14】図14A乃至14Cは、組織内あるいは組織を通って管を形成する別の方法を示す図であり、ここで、デバイスは関節接合しており、組織貫通部材を再度方向付けするようにしている。
【図15】図15Aは、ここに記載したデバイスが身体の自然開口部をどのように進むのか、及び、この場合は胃であるが、組織内にあるいは組織を通って管を形成するのにどのように使用されるのかを示す全体図である。図15B及び15Cは、流体の送出と回収構造の変形例を示す図である。図15D及び15Eは、関節接合可能な細長部材を示す図である。図15F及び15Gは、ここに述べたデバイスと共に使用するハンドルを示す図である。図15H及び15Iは、図に示す細長部材の部分を断面で示す図である。
【図16】図16A乃至16Iは、胃組織内または胃組織を通って管を形成する方法を示す図である。
【図17】図17A乃至17Dは、ここに述べた方法に関連する心臓周辺のスペースにアクセスする方法を示す図である。
【図18】図18A乃至18Kは、心臓組織内又は心臓組織を通って管を形成する方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
ここには、組織内に管を形成する方法とデバイスが記載されている。一般的に、ここに述べたデバイスは、デバイスに対して組織を引き込んで、組織を通る組織貫通部材の進行を容易にする一又はそれ以上の吸引部材を具える。このデバイスは様々な形状とすることができ、以下に詳細に述べるように、多くの追加のあるいは有用な特徴を有している。このデバイスは、あらゆるタイプの組織を通って管を形成するのに使用することができる。この組織は、心臓血管系、消化器系、呼吸器系、排泄系、生殖器系、神経系、その他の組織であっても良い。
【0020】
一般的に、ここに述べたデバイスは、組織内にあるいは組織を通って管を形成するのに使用され、この管は、例えば米国特許出願第10/844,247号、11/544,196号、11/545,272号、11/544,365号、11/544,177号、11/544,149号、10/888,682号、11/432,982号、11/544,317号、11/788,509号、11/873,957号、12/467,251号、61/119,316号および61/178,895号に記載されているように、最小シーリングでのあるいは追加のシーリングをおこなうことなく、自己シーリング可能である。これらの各出願は、ここに全体として参照によって組み込まれている。しかしながら、最初から、ここに記載されているデバイスと方法は、一またはそれ以上の追加の閉塞機構あるいは技術(例えば、閉塞デバイス、エネルギー送達、圧力適用、など)の使用によって補完されると理解すべきである。ここに述べた一またはそれ以上のデバイスを組み込んだ、一又はそれ以上のツールなどと協働するキットも、ここに述べられている。このデバイス、方法、及びキットの変形例について以下に述べる。
【0021】
1.デバイス
図1は、ここに述べた方法に従って組織内に管を形成するデバイス(100)を示す。ここには、細長部材(104)に連結された吸引部材(102)が示されている。この細長部材は、吸引部材(102)をデバイス(図示せず)の近位端に連結するのに適した部材である。細長部材(104)は、デバイスに追加の構成あるいはコントロールを提供する一又はそれ以上のルーメンを具えていてもよい。例えば、細長部材(104)は、真空又は吸引用ルーメン(106)と、組織貫通部材を収納するルーメン、などを具えていても良い。細長部材(104)は、また、一又はそれ以上の引っ張りワイヤ(110)、光学的または電気的結合(例えば、力送達用、センサ接続用、視覚化用、他)、などを収容するための一またはそれ以上のルーメンを具えていても良い。
【0022】
好適なルーメンと細長部材構造の追加の変形例について、図2A乃至2Fを参照して以下に述べる。この方法を参照して近位側のコントロールについて以下により詳細に述べるが、初めに、近位側コントロールには、一またはそれ以上のデバイスの構成を始動させる(例えば、組織貫通部材を始動させる、流体送達を始動させる、真空を始動させる、エネルギーの送達を始動させる、視覚化を始動させる、他)一またはそれ以上のボタン、スイッチ、スライダが含まれることに留意すべきである。もちろん、近位側コントロールには、真空をオンオフする、洗浄ラインをオンオフする、などのための、一またはそれ以上のバルブ(例えば、2方向バルブ又は3方向バルブ)が含まれる(単独で、または上述したこれらのコントロールと組み合わせて)。
【0023】
引っ張りワイヤを使用する場合は、例えば、デバイスの動き、制御または始動を容易にするのにこれらを使用することができる。図1に示す変形例においては、引っ張りワイヤ(110)を用いて、吸引部材(102)を領域(112)において関節接合させている。領域(112)は、吸引部材(102)または細長部材(104)の残りの部分と比較すると、厚さが薄くなったあるいは可撓性が大きくなった領域を具えていても良い。領域(112)は、吸引または細長部材と同じ材料あるいは異なる材料でできていてもよい。例えば、領域(112)は、吸引または細長部材より柔軟な材料、薄い材料、より可撓性のある材料、またはその他の異なる材料を具えていても良く、あるいは領域(112)は、吸引または細長部材とほぼ同じ材料で、一またはそれ以上の物理的又は化学的特性の変形を伴っていても良い。領域(112)は、また、一またはそれ以上のジョイントまたはヒンジ(例えば、単一のあるいは複数の屈曲ジョイント、回転ジョイント、ピボットヒンジ、成形したプラスチックライブヒンジ、ボールアンドソケットジョイント、反対側に対向する屈曲エレメントを持つ摺動可能なチューブ、他)を具えていても良い。
【0024】
もちろん、細長部材は適宜の生体適合性材料でできていても良い。例えば、例えば304、304L、316、316L、440C、などといったステンレススチール、例えば、6Al−4Vなどといったチタン合金、ニッケル−チタン合金(ニチノール)、例えばElgiloy(登録商標)(Elgiloy Specialty Metals, Elgin, IL)、MP35N(登録商標(SPS Technologies, Inc. Jenkintown, PA)、Phynox(登録商標)(Imphy Ugine Precision, France)、などといったコバルト−クロム合金、アルミニウム、例えば、ABS、ナイロン、アセタール、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリポリエチレン(LDPE)ポリエステル、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリオレフィン、ウレタン、シリコーン、ポリビニルクロライド(PVC)、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルスルフォン、ポリアリルエーテルスルフォン、ポリスルフォン、超高分子量ポリエチレン(UHMW−PE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、PEBAX(登録商標)(Colombes Cedex, France)、ポリテトラフルロエチレン(PTFE)などのポリマー、あるいはその他のポリマー、ポリマーブレンド、又は、例えばグラスファイバー、カーボンファイバー、などの充填剤入りファイバー、あるいはその他の好適なカーボンベースの材料を具えていても良く、あるいはこれらの材料でできていても良い。更に、例えば、硫酸バリウム、プラチナ、金、タングステン、などといった、このポリマーの放射線透過性を改善する化合物/化学物質を加えても良い。細長部材を、一又はそれ以上の、波形エッジまたは曲線エッジ(例えば、上側、底側、側部)を有するように作って、可撓性を与えるようにしても良い。
【0025】
同様に、吸引部材も適宜の生体適合性材料で作るようにしても良い。例えば、例えば304、304L、316、316L、440C、などといったステンレススチール、例えば、6Al−4Vなどといったチタン合金、ニッケル−チタン合金(ニチノール)、例えばElgiloy(登録商標)(Elgiloy Specialty Metals, Elgin, IL)、MP35N(登録商標(SPS Technologies, Inc. Jenkintown, PA)、Phynox(登録商標)(Imphy Ugine Precision, France)、などといったコバルト−クロム合金、例えば、ABS、ナイロン、アセタール、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリポリエチレン(LDPE)ポリエステル、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリオレフィン、ウレタン、シリコーン、ポリビニルクロライド(PVC)、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルスルフォン、ポリアリルエーテルスルフォン、ポリスルフォン、超高分子量ポリエチレン(UHMW−PE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、PEBAX(登録商標)(Colombes Cedex, France)、ポリテトラフルロエチレン(PTFE)、ポリイミドなどのポリマー、あるいはその他のポリマー、ポリマーブレンド、又は、例えばグラスファイバー、カーボンファイバー、などの充填剤入りファイバー、あるいはその他の好適なカーボンベースの材料を具えていてもよく、あるいはこれらの材料でできていても良い。更に、例えば、硫酸バリウム、プラチナ、金、タングステン、などといった、このポリマーの放射線透過性を改善する化合物/化学物質を加えても良い。
【0026】
吸引部材、細長部材、あるいは両部材は、一またはそれ以上の可撓性、剛性、あるいはその他の適宜の特性を与える材料でできていても良い。様々な材料をこれらの各部材に用いることができ、これらの部材はこの材料に応じて構成することができると解するべきである。例えば、吸引部材(102)は、当業者に理解されるオーバーモールド技術を用いて周辺部を可撓性のあるものにしても良い。また、吸引部材(102)は、ほぼ楕円形の基底面(または組織接触面)を有するものとして図1に示されているが、この吸引部材の基底面は、適宜のあるいは所望のジオメトリ(例えば、円形、矩形、三角形、台形、他)を有していてもよい。もちろん、このジオメトリは対称、均一、規則的である必要はなく、容易に言葉に表わされるものでなくても良い。以下により詳細に述べるように、吸引部材(102)は、一またはそれ以上の追加の構造(例えば、起伏のある面、電極、センサ、組織付加部材、けん引部材、チャンネル、ポート、カメラ、マーカ、他)を具えていても良い。
【0027】
図2A乃至2Dは、様々な適宜の吸引部材−細長部材連結部の詳細を示す適宜のデバイスを示す図である。図2Aには、吸引部材(202)と細長部分(204)を具えるデバイス(200)が示されている。この変形例では、細長部分(204)が別個の細長本体(206と208)を具えており、各々が個別にルーメンを規定している。細長本体(206)は、真空または吸引用の導管を提供しており、一方、細長本体(208)は、組織貫通部材をその中に摺動可能に収納するよう動作する。図2Aに示す変形例では、両方の細長部材(206と208)がコネクタ(210)に連結あるいは取り付けられており(例えば、オーバーラッピング嵌め、エッジ−エッジ、適合、他)、次いで、吸引部材(202)に連結されている。コネクタ(210)と吸引部材(202)間の連結は、適宜の方法で行うことができる。例えば、コネクタ(210)と吸引部材(202)は、溶接(超音波、熱、化学、他)、スナップ嵌め、圧入、を介して、インターロッキング構造を用いて、一またはそれ以上の接着剤又はのりを用いて、一またはそれ以上の機械的構造又は冶具(ネジ、クランプ、クリンプ、リベット、タブ、ボルト、他)、などを用いて、連結することができる。
【0028】
図2Aに示す変形例は、より高い可撓性が求められる場合(例えば、蛇行する身体構造を通って操作する場合など)の特別な用途を示す。コネクタ(210)は、吸引部材(202)と一体的であっても良い(すなわち、コネクタと吸引部材が単一ピースの材料でできている)が、一体的である必要はないと解するべきである。また、図2Aに示す細長本体(206と208)は、ほぼ円形断面を有するが、細長本体は、適宜のジオメトリを有する断面を有していても良いと解するべきである。
【0029】
図2Bは、ここに述べた方法で使用するデバイスの代替の変形例を示す。図2Bには、吸引部材(214)と細長部材(216)を具えるデバイス(212)が示されている。この変形例では図2Cに示すように、細長部材(216)が別々のルーメン(218、220、222)を規定している。追加の可撓性を必要とする変形例では、図2Bの細長部材(216)が、上述した通り、一又はそれ以上の波形または起伏のあるエッジを有していても良い。
【0030】
ここに述べたルーメンのいずれも、適宜の目的(真空または吸引を容易にする、流体あるいは薬剤を送達する、一またはそれ以上の電極を収納する、一又はそれ以上の引っ張りワイヤを収納する、一又はそれ以上の組織貫通部材を収納する、他)に用いることができる。2以上のルーメンをほぼ同じ目的に使用する(例えば、2本の引っ張りワイヤを収納する2本のルーメン、2つの別々の薬剤を送達する2本のルーメン、等)ことができ、このルーメンは適宜の断面ジオメトリ(同じか、又は異なる)を有すると解するべきである。また、単一のルーメンは、一以上の機能(例えば、単一のルーメンが引っ張りワイヤ(211)を収納しても良く、上述した図2Aに示す変形例と同様に、真空あるいは吸引管として作用しても良い)を容易にするのに有用であると解するべきである。これらのルーメンが同芯状であっても良く、完全なエンクロージヤ(例えば、一またはそれ以上のルーメンは、スリットまたは溝のようであっても良い)を規定していても、いなくともよい。このルーメンは、細長部材の周囲またはこの部材に沿って、様々に配置できる。例えば、ルーメンは、図2Cに示すように、縦方向に配置しても良いし、水平に配置しても、ランダムに配置しても、あるいは平面に沿って選択的に配置して、デバイスに更なる柔軟性を与えるようにしても良い。ルーメンは、何らかの所定のパターンに沿って配置しても良いし、しなくても良い。
【0031】
図2Dは、細長部材(228)がコネクタ(230)を介して吸引部材(226)に連結されている点を除いて、図2Bに示すデバイスと同様のデバイス(224)を示す。図2Eは、デバイス(224)のB−B線に沿った断面を示す図である。ここに示すルーメン(232、234、236)は、上述したいずれかの特徴または特性を有するものでもよい。図2B及び2Dに示す変形例は、デバイスの剛性及び/又はトルク能力が求められる場合に特に有用である。
【0032】
図2Fは、一体型ルーメンと真空用分散コネクタの双方を有するデバイスを示す図である。ここには、吸引部材(240)と、細長部材(242)と、真空ホース又はコネクタ(244)を具えるデバイス(238)が示されている。この変形例では以下により詳細に説明するように、組織貫通部材が吸引部材(240)内に出るように構成されている。従って、細長部材の基底面が吸引部材の基底面を超えて延在する必要がない。このことは、例えば、デバイスに対するプロファイルを下げることになり、所望しない組織と干渉する可能性を防止できるため、有用である。
【0033】
図3A及び3Bは、屈曲していない状態と、屈曲した状態にあるデバイスをそれぞれ示す図である。組織貫通部材のリダイレクトに沿ったデバイスの曲がりと関節接合について、その方法を参照してより詳細に説明する。図3A及び3Bは、吸引部材(302)と細長部材(304)を具えるデバイス(300)を示す図である。両図において、説明を容易にするために、細長部材(304)は近位部分に沿って除かれている。ここに示すように、細長部材は、その中(例えば、細長部材によって規定されるルーメンの中)に組織貫通部材(306)を摺動可能に収納している。図3Aにおいては、デバイスは作動している状態であるが、曲がっていない態様が示されている(例えば、組織貫通部材は出口ポート(308)からでて前進しており、曲がっていない)。
【0034】
吸引部材(302)の基底面と組織貫通部材(306)で規定される、初期の(曲がっていない、あるいは、関節接合していない)角度(A)は、適宜の角度である。例えば、この角度は、約0°乃至約180°であっても良く、約0°乃至約90°、約90°乃至約180°、約0°乃至60°、約0°乃至約30°、約3°乃至約10°、約5°、他、であっても良い。
【0035】
図3Bは、引っ張りワイヤ(310)を近位側に引っ張って、領域(312)を曲げた後のデバイス(300)を示す。図3Bに示す変形例では、組織貫通部材が下側に偏向すると、デバイスの曲がりが吸引部材(302)の基底面と組織貫通部材(306)によって規定される角度(A)を変える(例えば、角度を大きくするあるいは小さくする)。組織貫通部材はニードルである必要はないが、図3A及び3Bに示す組織貫通部材は斜端ニードルである(例えば、組織貫通部材はワイヤ、エネルギー送達デバイス、その他であっても良い)。組織貫通部材がニードルである変形例では、このニードルが中実または中空であっても良く、2つ又はそれ以上の同心のニードル部材であってもよく、斜端であっても、非斜端であっても良く、先がとがっていても、鋭利であっても、丸くても良い。ニードルを用いる場合、ニードル先端が、例えば、円錐、オフセット円錐、円形、等の適宜のジオメトリを有していても良い。組織貫通部材は、個別であっても、分散されていても、一またはそれ以上のワイヤで別々に関節接合されていても良い。もちろん、組織貫通部材が細長部材の一またはそれ以上のルーメン内、その他に収納されている場合は、組織貫通部材を消毒するか、使用前に消毒しておく。
【0036】
組織貫通部材のルーメン(308)は、図3A及び3Bにおいて、吸引部材(302)近傍で突出するように示されているが、このルーメンは、以下に詳細に述べるように、吸引部材(302)内にあるいはこれを通って突出するものでもよい。もちろん、細長部材は任意の数のポート(例えば、複数の組織貫通部材用、追加のツール用、他)を具えていても良く、このポートは、一又はそれ以上のルーメンに接続することができる。
【0037】
図4乃至10は、ここに記載したデバイスと方法に使用する適宜の吸引部材の変形例を示す図である。これらの図面は、吸引部材を下側から見たものである。図4Aと4Bから始めると、一又はそれ以上の組織付加部材を有する吸引部材(400)が示されている。この変形例では、組織付加部材が、周辺リブまたは境界リブ(404)に連結された一又はそれ以上の連結リブ(402)を具える。4つのリブ(402)が周辺リブ(404)に連結されているが、後述するように、リブはいくつ用いても良い(例えば、0、1、2、3、4、5乃至非常にたくさんのリブ)。実際、いくつかの変形例では、吸引部材が周辺リブ又は境界リブのみを有しており、これらは他のどのリブによってもつながれておらず、他のどのリブにも連結されていない。別の変形例では、吸引部材は、周辺リブあるいは境界リブと、これに連結された単一の中央リブ(横に、あるいは縦に配置された)のみを有している。
【0038】
周辺リブ及び連結リブは、別々の部材でなくともよい(すなわち、組織付加部材全体を、単一の材料ピースで形成することができる)。いくつかの場合、組織付加部材が単一の材料ピースでできているか、あるいは一以上の部材を連結してできているかによって、図4Aに、また図4Bにより詳細に示すように、周辺リブと連結リブが連結している一又はそれ以上の溝(406)を具えることが好ましい。このことは、例えば、組織とのより大きな接触面を提供することによって、吸引部材の基底面に沿ってより良好な真空シールを提供するのに、望ましい。これによって、組織の移動によって分裂しやすくなる傾向が低いシールにすることができる。
【0039】
このリブは、例えば真空ポート(図4Aに符号(408)で示されている)から離して組織を保持して、これらのポートを組織が塞がないようにするとともに、真空の均等な分布(組織付加においてより均一性を提供する)を容易にするのに有用である。リブの境界は組織が入ることができる個々の領域を形成しているため、これらのリブは、吸引部材に横方向のけん引を提供するものでもある。リブの数とジオメトリは、所望するように、より大きなあるいはより小さなけん引を行うように選択することができる。ここに述べた方法とデバイスを、非常に柔軟で、適合性のある、あるいは薄い組織(例えば、腸組織)に使用する場合は、より多くのリブが必要となるであろう。
【0040】
また、図4A及び4Bには、細長部材(412)内のルーメン(410)が示されている。ルーメン(410)は、例えば、組織貫通部材をその中に摺動可能に収納するのに有用である。もちろん、このルーメンは、上述のいずれの目的にも使用することができる。
【0041】
図5は、周辺リブ(504)に連結された8本のリブ(502)を有しており、ほぼ星型構造を作っている吸引部材(500)が示されている。図6は、周辺リブ(604)に連結された4本のリブ(602)を有する吸引部材(600)を示す図である。ここに示す変形例では、吸引ポートを覆うメッシュまたはスクリーン(606)が設けられている。このように、組織がポートに入ってポートを塞がないようにすることができる。図6に示すスクリーン(606)は、吸引ポートのすぐ近傍に配置されているが、ポートから適宜離して配置するようにしても良い。すなわち、スクリーン(606)は、吸引部材内のいずれの深さに配置されていても良く、この深さは、所望のように、すなわち、組織けん引に影響するように選択することができる。
【0042】
図7Aは、吸引部材(700)の別の変形例を提供しており、ここでは、4本の連結リブ(702)と、1本の円形中央リブ(706)と、周辺リブ(704)とを有する。もちろん、円形中央リブ(706)自体が、何本かのリブでできていても良く、あるいは円形中央リブは、組織追加部材全体に加えて、単一の材料片でできていても良い。図7Aには円形中央リブ(706)が示されているが、どのようなジオメトリのリブを中央リブ部材に使用しても良い。実際、任意の数及びジオメトリ(幅、長さ、深さ、形状、他)のリブを所望のように用いても良く、これらのリブが個別であっても、一体的に形成されていても良いことは明らかである。
【0043】
これらのリブは、適宜の生体適合性材料、あるいは材料を組み合わせて作ることができる。例えば、これらのリブは、例えば、304、304L、316、316L、440C、などのステンレススチール、例えば6Al−4Vなどのチタン合金、ニッケル−チタン合金(ニチノール)、例えばElgiloy(登録商標)(Elgiloy Specialty Metals,Elgin, IL)、MP35N(登録商標)(SPS Technologies, Inc. Jenkintown, PA)、Phynox(登録商標)(Imphy Ugine Precision, France)、などのコバルト−クロム合金、例えば、ABS、ナイロン、アセタール、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリポリエチレン(LDPE)ポリエステル、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリオレフィン、ウレタン、シリコーン、ポリビニルクロリド(PVC)、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルスルホン、ポリアリルエーテルスルホン、ポリスルホン、超高分子量ポリエチレン(UHMW−PE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、PEBAX(登録商標)(Colombes Cedex, France)、ポリテトラフルオエチレン(PTFE)、ポリイミド、などのポリマー、またはその他のポリマー又はポリマーブレンド、または、例えば、グラスファイバー、カーボンファイバー、又はその他の好適な炭素ベースの材料などの充填剤入りポリマーから作ることができる。
【0044】
これらのリブは、以下により詳細に述べるように、一又はそれ以上の個別部材または個別構造をその上に具えていても良い。連結リブまたは周辺リブは、折りたたみ可能、移動可能、あるいは関節接合可能でもあり、吸引部材の組織に沿ったより大きな操作性を提供することができる、あるいは、真空を止めた後、組織をつかむことができる。例えば、周辺リブは、図7B及び7Cに示すように折りたたみ可能であるか、内側に変形可能であり、エッジ間の組織を捕捉することができる。変形例では、周辺リブ(707)は、ワイヤ(708)を押したときに内側に変形または折り畳まれる。もちろん、周辺リブ(707)は、その他の機械構造(例えば、引っ張りワイヤ、形状記憶動作、他)によっても変形可能である。また、図7B及び7Cは、周辺リブ(707)が細長く変形する変形例を示しているが、周辺リブは横態様でも、内側に向けた半径方向態様でも、変形可能である。
【0045】
図7Dは、トング(712)を有する吸引部材(710)の変形例を示す。このトングの一方、あるいは両方ともが作動可能であり、トングは適宜の態様(例えば、プッシュプルワイヤ、など)で作動可能である。この変形例は、真空で吸引部材のキャビティに組織を引き込んだ後、組織を捕捉あるいはクランプするのに有用である。ここにはトングが示されているが、適当なクランプ機構、あるいはグリップ機構を使用することもできる。もちろん、ここに記載したいずれかの吸引部材が、任意の数のクランプまたはグリップ機構を有していても良い。図7Eは、図7Dと同様の変形例であるが、トング(712)に代えて、組織を穿刺して保持するニードル(714)を有している。
【0046】
図8A及び8Bは、組織貫通部材が吸引部材内にあるいはこの部材を通って突出しているときの組織貫通部材が展開した状態を示す図である。すなわち、組織貫通部材が吸引部材のすぐ近くに突出している上述したデバイスと反対に、図8A及び8Bに示す組織貫通部材は吸引部材自体の中に突出している。もちろん、(図8A及び8Bには示されていないが)、上述したような、組織貫通部材に関連しない一又はそれ以上の目的で、細長部材が吸引部材のすぐ近くに一又はそれ以上のポートを具えるか、または規定していても良い。図8Aには、吸引部材(802)と細長部材(804)を具えるデバイス(800)が示されている。上述したとおり、この変形例の組織貫通部材(806)は、吸引部材(802)の中に突出している。図8Bは、更に展開した状態の組織貫通部材(806)を示す。これは、例えば、一またはそれ以上の引っ張りワイヤ、あるいはその他のコントロールの使用を介して展開し、あるいはユーザが組織貫通部材(806)を遠位側に進めることによって手動で行われる。
【0047】
図8Cは、吸引部材(810)の別の変形例を示しており、ここでは組織貫通部材(812)が吸引部材のキャビティ内に出ている。この構造のデバイスは、デバイスが組織に沿って移動するときの組織のけん引を容易にする。この変形例では、吸引部材(810)はほぼドーナッツ型、あるいはほぼトロイダル型であり、中央開口(814)を規定している。この変形例の吸引部材(810)は、2つのトロイダル型キャビティ(816、818)を具えており、これらのキャビティは同じあるいは異なる高さあるいは深さでもよく、その中に特定量の組織を個別に受けるように構成されている。この変形例のデバイスは、内側真空ポート(822)に開口あるいは管を介して接続された主真空ポート(820)も具えている。このように、両方のトロイダル型キャビティ(816、818)の周りでの吸引が容易になる。もちろん、吸引部材(810)は、任意の数の適宜の真空または吸引ポートを、上述の通り適宜の位置に配置して、具えていても良い。重要なことは、吸引部材のトロイダル型がここに述べたデバイスと共に使用できる一つだけの形状であることである。ここに全体を通じて述べたとおり、吸引部材は適宜のジオメトリを有することができる。
【0048】
図9A及び9Bは、図9A及び9Bのデバイス(900)が、その上に一またはそれ以上のけん引部材(904)を有する組織付加部材(902)を具えていることを除いて、図8A及び8Bと同様である。このことは、リブの数を変える必要なく、あるいは特にそのジオメトリを選択することなく、組織付加とけん引を増やすのに有効であり、特に、組織貫通部材が展開する間に有効あるいは有用である。けん引部材自体は、適宜のジオメトリ、サイズ、又は構成を有していても良く、適宜の材料で作られているか、あるいは適宜の材料で被覆されている。具体的なけん引部材は、例えば図9C乃至9Fに示されている。けん引部材はいずれも、そこを通って物質あるいは流体を送達するための、一またはそれ以上のポート、ルーメン、あるいは開口を有している。このように、けん引部材は、更に、薬物(例えば、局部を殺菌するための抗菌剤など)を局所的に送達するため、あるいは、けん引部材及び/又は吸引部材近傍の組織を洗い流すためにも使用することができる。図9A及び9Bに示す吸引部材は、連結リブの上にけん引部材を有するのみであるが、けん引部材は、周辺リブに沿ってあるいは周辺リブの周囲など、適宜の位置に適宜の態様で配置することもできる。
【0049】
図9G及び9Hは、組織吸引部材(910)の代替の変形例を示す図であり、この例は歯(913)付のリッジ(912)を具えている。この変形例では、組織貫通部材出口ポート(914、図9G)と、組織貫通部材出口ポート(914)から前へ出ている組織貫通部材(916、図9H)が示されている。この変形例では、吸引がなされると、図9Iに示すように、リッジ(912)周辺及び/又は下側で組織が折りたたまれる(ここでは、2つの組織層920、922で示されている)。このように、歯(913)のエッジが、組織がクロスするねじれた経路を提供するため、組織のけん引とグリップが強化される一方で、上述したように吸引ポートの詰まりが緩和される。この変形例は、ツルツルした、非晶質の、粘液性の、あるいは操作が困難な組織にデバイスを使用する場合に、特に有用である。更に、この明細書を通じて記載した歯を有する変形例のすべてについて、歯(913)は適宜の方法で方向付けることができる。例えば、歯(913)は、組織貫通部材が組織の中に向かって進むので、組織貫通部材の方向と反対の方向に方向付けることができる。吸引部材の外側リムとリッジ(912)との間にスペース(918)を設けることは、リッジ(912)の周辺で組織が崩れる能力を高め、更に、真空漏れを引き起こすことがある、正常な操作(ハンドリング)量である間の組織の崩壊を最小に抑えることで真空シールの構造安定性を強化することができる。
【0050】
リッジ(912)の方向及び/又はジオメトリを変更して、吸引部材のキャビティ内により多くのあるいはより少ない組織を捕捉することができる。同様に、歯の数とジオメトリ(長さ、幅、形状、他)を所望するように変形して、組織を捕捉するようにしてもよい。例えば、リッジは1本の歯、2本の歯、4本の歯、6本の歯、あるいはより多くの歯を具えていても良く、これらの歯が内側にバイアスされていても、外側にバイアスされていても良く、適宜の形状を有していても良い。歯(913)はリッジ(912)と同じ材料で作られていなくても良く、リッジ(912)と同一面にあっても、なくてもよい。リッジ(912)は、図9G及び9Hに一般的に示すように単一の成形された物質片でできていてもよく、別の物質片で作って、クランプする、溶接する、のり付けする、あるいは締結して、吸引部材に取り付けるようにしても良い。もちろん、リッジは、適宜の生体適合材料(例えば、ステンレススチール、プラスチック、物質の組み合わせ、その他)で作ることができる。
【0051】
リッジをここに述べた吸引部材と組み合わせて用いる場合、もちろん、リッジは関節接合可能、制御可能、角度調整可能、離脱可能、あるいは移動可能であっても良い。例えば、図9J及び図9Kは、吸引部材のキャビティ内で関節接合可能あるいは回転可能なリッジ(912’)の一変形例を示す。このように、歯(913’)は、組織から離れ(図9K)、このことが、吸引部材がここに捕捉された組織を解放しやすくする。このことは、例えば、デバイスを取り外したり、引っ張ったり、あるいは位置を変えようとする場合に有用である。例えば、いくつかの変形例では、リッジ(912’)を吸引部材キャビティ内で回転させた後に真空又は吸引を維持することができるので、デバイスをほぼ組織面に沿って移動させることができる。デバイスが第2の位置に進むと、リッジ(912’)は再度展開するか、元の位置に戻るように回転し、その上あるいはその中で「ロック」されるか、あるいは捕捉した組織に係合する。リッジ(912’)は、適宜の方法で作動する、あるいは回転する、さもなければ制御される。例えば、一またはそれ以上のプッシュプルワイヤ、引っ張りワイヤと共に関節接合軸の周りを動くばね、空気式あるいは油圧式作動、などである。もちろん、ここに述べた回転可能なリッジは、好適なリッジの一変形例に過ぎない。ここに述べたように、ここに述べたいずれかの特徴を有する可動リッジは、ここに述べたデバイス及び方法と共に使用することができる。可動リッジの特別な代替変形例を図9Nを参照して以下に述べる。
【0052】
図9Lは、上に一又はそれ以上の歯(928)が付いたリッジ(926)を有する吸引部材(924)の別の変形例を示す図であり、ここでは、吸引部材(924)がその中に一又はそれ以上のチャンネル(930)を具える。図9Mは、図9LのデバイスのA−A線に沿った断面図である。この変形例は、チャンネルが追加されており、上述した図9Gの変形例と同様に機能する。このチャンネルは、例えば、真空又は吸引の促進(または供給および/または分配)、あるいは、例えば、図15Bと15Cに関して以下に述べるように、流体の送達あるいは回収に有用である。もちろん、チャンネル(930)は、吸引部材に沿ってあるいはその中に配置された一又はそれ以上のポートと共に用いて、一又それ以上の有用な流体(例えば、治療剤、消毒液、洗浄液、他)を送達することができる。図9Nは、吸引部材(932)の更に別の変形例を示す図であり、ここでは組織の捕捉を容易にする一又はそれ以上の可動リッジ部材(934)を有する。上述したデバイスと同様に、部材(934)は任意の数の歯(936)を有しており、適宜のジオメトリを有しており、適宜の材料でできている。
【0053】
図9O乃至9Qは、好適な吸引部材の別の変形例を示す図であり、ここでは、組織を捕捉する一又はそれ以上の開口又は窓を有する。特に、図9Oは、吸引部材(940)の基底面を記載しており、ここでこの基底面は一連の開口又は窓(942)を規定している。この変形例では、4つの開口が設けられているが、任意の好適な数の開口にしても良く、これらの開口は任意のジオメトリを有しており、基底面の周囲に任意の態様で方向付けられている。また、図9Oにはアーム(944)が示されており、これは関節接合したときに一又はそれ以上の開口壁(945)に対して組織を引っ張り、これによって組織を捕捉する。この変形例は、余分な組織を捕捉するあるいは収納することが望ましい場合に特に有用である。この変形例は、また、薄い組織、あるいは筒状の器官の組織などと共に使用するときに特に有用である。図9P及び9Qは、図9Oの吸引部材をA−A線に沿って示す図であり、それぞれ、アームが初期状態と作動した状態にある。これらの図面に示すように、プッシュプルワイヤ(946)が近位側に引っ張られると、アーム(944)が近位側に移動して、開口(942)の一又はそれ以上の壁(945)に対して組織を引っ張る。もちろんプッシュプルワイヤ(946)はアーム(944)を作動させる一方法に過ぎない。適宜の作動機構を用いることができる。この態様で一旦組織が捕捉されると、組織貫通部材(図示せず)が、捕捉した組織に係る張力と同じ方向あるいは反対の方向に組織内を進む。
【0054】
図9R乃至9Uは、過剰組織を収容する代替の変形例を示す図であり、上述した変形例と同様に、これらの変形例は薄い組織、筒状あるいはジオメトリの小さい器官の組織、等を扱う時に特に有用である。一般的に、これらの変形例では、拡張可能な部材あるいはその他の組織に接触する部材は、部材が吸引部材の基底面の反対側の組織に隣接する、接触するあるいは並置するように作動または起動する。このように、過剰組織は別の場所に置かれ、目的の組織が吸引部材の基底面に亘って引っ張られる結果、組織をより良く捕捉することができる。図9R及び9Sに示す変形例は、拡張してない状態及び拡張した状態にある拡張可能な部材(948)を示す。拡張可能な部材(948)は、適宜の拡張可能な部材である。例えば、バルーン、拡張可能なポリマー部材、他であっても良く、加圧食塩水、水、空気、他といった適宜の態様で拡張する。図9Tは、拡張可能なあるいは関節接合可能な部材の別の変形例を示す図であり、拡張可能なワイヤあるいは支柱(950)として示されている。このワイヤは、適宜の材料で作ることができる。図9Uは、関節接合可能な部材の更に別の変形例を示す図であり、ここでは、回転可能なあるいは関節接合可能なアーム(952)である。アーム(952)も、適宜の材料で作ることができる。
【0055】
図10A乃至10Dは、吸引部材の更なる変形例を示す図である。図10Aは、吸引部材(1000)を下側から示す図であり、ここでは、吸引部材が複数の分散構造(1002)を有している。構造(1002)は、一又はそれ以上の加熱エレメント、一又はそれ以上の電極(例えば、RF、超音波、光、磁気、これらの組み合わせ、他のエネルギー送達用)、一又はそれ以上のセンサ(例えば、ドップラーセンサ、圧力センサ、温度センサ、他)、可視化を容易にするための一又はそれ以上の放射線不透過性マーカ、直接的可視化を容易にするカメラ、一又はそれ以上のポート、であってもよい。この構造は、所定のパターンに従って配置することができ、あるいは、吸引部材または組織付加部材に沿ってまたはその近傍にランダムに配置することができる。この構造間のスペースは、図10Aに示すように均一であっても良いが、均一でなくても良い。同様に、この構造は、均一なサイズまたは形状を有していなくても良い。任意の数の構造、及び任意の組み合わせを用いることができる。
【0056】
もちろん、可能な構造としてここにはカメラが記載されているが、相当の光減あるいは照明光源付きのカメラあるいは照明光源なしのカメラをデバイス上の適宜の場所に配置して、組織の直接的な視覚化を容易にすることができる(例えば、細長部材に沿った位置に配置する)。このことは、例えば、デバイスを独立型デバイスとして用いる場合であって、動作領域の可視化を提供する内視鏡、胃カメラ、あるいはその他のシース付構造体を通って導入しない場合に、特に有用である。ここに述べたデバイスを単独であるいはシース付構造体と組み合わせて使用する方法について、以下に詳細に述べる。
【0057】
図10Bは、図10Bのデバイス(1004)が更なる周辺構造(1008)を有している点を除いて、図10Aのデバイス(1000)と同様のデバイス(1004)を示す。周辺構造(1008)は、例えば、加熱エレメント、電極、センサ、ポート、照明等、あるいはこれらの組み合わせといった、上述したいずれの構造であっても良い。いくつかの変形例では、構造(1008)が切除またはシーリング用のエネルギーを送達する電極であるが、構造(1006)は一又はそれ以上の有用なパラメータ(例えば、温度、圧力、血流などの動き、他)を検出する一又はそれ以上のセンサを具えていてもよい。もちろん、これらの構造は互いに異なるものでなくても良い。例えば、構造(1008)は構造(1006)と同じ性質であってもよい(例えば、両構造とも検出用である)。同様に、構造(1008)は、2つの構造が一致して特定のタスクを完了する構造(1006)と同じ性質であってもよい。例えば、構造(1008)と構造(1006)は両方とも、別々に用いてあるいは協働して用いて、特定の組織パラメータまたは特性(例えば、抵抗、インピーダンス、導電率、キャパシタンス、など)を検出、検知、あるいは測定する電極であっても良い。この構造は、適宜のあるいは望ましい方法で方向づけられて、適宜のあるいは望ましい組織パラメータまたは特性のマッピング、検知、検出、測定等を行う。もちろん、これらは、例示的なものに過ぎない。ここに述べた構造の組み合わせを用いることができると解すべきである。
【0058】
図10C及び10Dは、吸引部材内及び吸引部材近傍の構造位置と構成を更に示す図である。図10Cは、吸引部材(1012)と細長部材(1014)を具えるデバイス(1010)を示す。吸引部材(1012)は、リブの形をした組織付加部材であって、その上に構造を有する部材を具える。周辺リブ(1015)は4つの分散して配置された構造(1016)を有し、連結リブ(1017)はその上に複数の分散して配置された構造(1018)を有する。図10Dでは、デバイス(1020)の吸引部材(1022)は、リブの形状をした組織付加部材であり、その上に構造を有しているとともに、吸引部材(1022)の内側に沿って構造を有している。特に、上に複数の分散して配置された構造(1026)を有する連結リブ(1024)と、吸引部材(1022)の内側面に沿って配置した構造(1028)が示されている。また、これらの構造は、上述した構造のいずれかであってもよく、適宜の数、サイズ、形状、あるいは構成であっても良い。
【0059】
図11A乃至11Dは、細長部材と吸引部材の間の取付角度の変形例を示す図である。ここでは、図11Aに示すような実質的鋭角から図11Dに示すような直角まで様々な角度の連結または取付が示されている。取付角度は、表示あるいは用途に応じて選択される。例えば、いくつかの場合、吸引部材を細長部材及び取付ポイントから比較的離して吸引部材を配置することが非常に望ましい。このように、吸引部材は、例えば図11Cと11Dに示すように、組織周辺あるいは組織の上を細長部材と取付ポイントに邪魔されることなく自由に移動することができる。もちろん、取付角度は、特定のあるいは所望のアプローチ角度(組織の位置に基づいて)とするように選択することができ、デバイスの人間工学的使用を容易にするように選択することができ、デバイスの制御を容易にするように選択することができ、あるいはこれらの要因の組み合わせに基づいて選択することもできる。更に、細長部材は吸引部材の表面に直交するあるいはほぼ直交するように取り付ける必要はない。実際、取付自体は、デバイスの基底面からいくらか横方向にずらせてあれば、角度が付いていても、真っ直ぐであっても良い。
【0060】
一以上の吸引部材を有するデバイスも意図している。例えば、デバイスは、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上の吸引部材を具えていても良い。いくつかの変形例では、デバイスは例えば図12Aと12Bに示すように2つの吸引部材を具えている。一般的に、この吸引部材の少なくとも一方は、他方の吸引部材に対して可動であり、いくつかの変形例では、両方の吸引部材が互いに対して可動である。これらの変形例は、例えば、胃または腸壁組織などの薄い、軟らかい、あるいは柔軟な組織で、2つの表面の間に組織を挟むことが有用であるか、あるいは必要な場合に、特に有用である。
【0061】
各吸引部材は細長部材に連結されているか、あるいは一の吸引部材のみが細長部材に連結されており、これらの吸引部材は適宜の態様で細長部材に連結することができる。いくつかの変形例では、一又はそれ以上の吸引部材が、いくつかの場合にヒンジである柔軟部分を介して細長部材に連結されている。これらの変形例の吸引部材は適宜のジオメトリを有しており、上述した何らかの構造あるいは構造の組み合わせ(けん引部材、組織付加部材、電極、センサ、カメラ、光源、他)を具える、あるいは含んでいる。
【0062】
図12A及び12Bは、2つの吸引部材(1202、1204)を有するデバイス(1200)の一変形例を示す図であり、ここでは、開いた構成と閉じた構成で、それぞれ示されている。吸引部材は、特定のジオメトリ(例えば、螺旋カム構造(1207a、1207b)、くさび型カム構造、プッシュプルワイヤ、等)を有する摺動可能なアクチュエータの動きによって、その閉じた構造と開いた構造の間で変位する。この変形例では、吸引部材(1202、1204)がほぼ半楕円形状の基底面を有するが、吸引部材は上述した適宜のジオメトリを有していても良い。組織付加部材も示されており、この変形例ではリブの形状である(1203、1205)。
【0063】
この変形例では、各吸引部材がヒンジ機構を介して細長部材(1201)に連結されている。特に、保持ピン又はシャフト(1209)が保持タブ(1208a及び1208b)によって保持されており、吸引部材(1202)がピン(1209)の周囲を自在に回転する。吸引部材(1202)は従って、細長部材(1201)と吸引部材(1204)の双方に対して移動可能である。この変形例では、吸引部材(1204)は、細長部材(1201)と吸引部材(1202)に対しても移動可能である。吸引部材(1202)に相応の方法で、ここでは、ピン又はシャフト(1211)が保持タブ(1210a及び1210b)によって保持されている。もちろん、例えば、単一または複数の柔軟ジョイント、回転ジョイント、成形したプラスチックのライブヒンジ、ボールとソケットジョイント、反対に対向する柔軟なエレメントを有する摺動可能なチューブ、などのその他のヒンジ機構を使用することもできる。また、これらの図面には、組織貫通部材の出口ポート(1206)が示されている。ここでも、図12A及び12Bは単なる例示にすぎない。最後に、ここに述べたいずれのデバイスまたはツールも、ロボットデバイス又はシステムを組み合わせてロボット制御で動作するようにしても良いと解するべきである。
【0064】
II.方法
組織内に管を形成するデバイスを用いる方法について述べる。いくつかの方法によれば、一又はそれ以上の吸引部材を有するデバイスを組織近傍に進めて、吸引を行い、一またはそれ以上の吸引部材に対して組織を引っ張り、次いで、組織貫通部材を引っ張った組織を通して進め、組織内にあるいは組織を通して管を形成する。このデバイスは適宜のデバイス及び/又は方法を用いてターゲット組織部位に進めることができる。一例として、いくつかの変形例では、このデバイスをトロカールのルーメン内に配置することができ、このトロカールをターゲット組織部位に進めることができる。ターゲット組織部位において、デバイスをトロカールから展開させて組織の管を形成するのに使用する。別の実施例では、いくつかの変形例において、デバイスが比較的小さく、導入が容易であり、他のデバイス内に位置させることなく組織を通して進めることができる。いくつかのこのような変形例では、デバイスが尖っているか、のこぎり状である一またはそれ以上の領域(例えば、エッジ)を具えており、デバイスがターゲット部位の周囲組織を通る経路を比較的容易に切断することができる。このようないくつかの変形例では、デバイスは、一またはそれ以上の比較的硬性な部分(例えば、押し出し可能性を強化するため)を具えていても良い。デバイスは、いくつかのケースでは、超音波などの一又はそれ以上の画像技術及び/又は一又はそれ以上の局在化技術(例えば、血管ドップラを用いて血流を測定するなど)を用いてターゲット組織部位に案内される。
【0065】
デバイスは、例えば、上述したいずれのデバイスであっても良い。例えば、デバイスは一またはそれ以上の吸引部材と、一又はそれ以上のエネルギーアプリケータ(例えば、超音波、RF、光、磁気、これらの組み合わせ、他)、一又はそれ以上のセンサ(例えば、温度、圧力、血流、これらの組み合わせ、他を検出する)、一又はそれ以上の組織貫通部材、等を具えていても良い。吸引部材は、上述した構造のいずれかを具えていても良い。一又はそれ以上の吸引デバイスを有するデバイスを使用する場合、吸引部材が開いた形状、閉じた形状、あるいはこれらの中間の形状にあるときにデバイスを進めることができる。いくつかのデバイスの変形例は、吸引部材を具えておらず、及び/又は、方法のいくつかの変形例は組織に吸引を行うステップを具えていない。例えば、デバイスを用いて、組織内に組織貫通部材のみを進めて、組織の吸引を行うことなく、単一の自己シーリング管を組織に形成することができる。
【0066】
ここに述べた方法を、任意の技術又は手順とともに用いて任意の組織内に管を形成することができる。この組織は、その中に管を形成することが望まれるあらゆる組織である。例えば、心臓血管系、消化器系、呼吸器系、排泄系、生殖器系、神経系、その他の組織である。いくつかの変形例では、この組織は、動脈、などの心臓血管系または心臓の組織である。他の変形例では、この組織は、例えば、生殖器系、排泄系、消化管系、などの組織といった、解剖学的開口を通ってアクセスする(例えば、体表に傷跡を残さない内視鏡外科手術(natural orifice translumenal endoscopic surgery “NOTES”)を行うための)組織である。もちろん、同じ組織か異なる組織かにかかわらず、組織内に複数の管を形成する方法も意図されていると解するべきである。
【0067】
以下により詳細に述べるように、この方法はある期間(例えば15分あるいはそれ以下、12分あるいはそれ以下、10分あるいはそれ以下、5分あるいはそれ以下、3分あるいはそれ以下、1分あるいはそれ以下、等)内に自己シールする管を作るステップを具えていても良い。もちろん、ある期間がたったら自己シールする管が、他のメカニズムでシーリングが促進されるものであっても良い(例えば、機械的圧力をかける、吸引を行う、一又はそれ以上のシーリング材を適用する、など)。この方法は、また、エネルギーの適用、一又はそれ以上の流体又は有用な薬剤の送達、一又はそれ以上の有用なツールの組織部位への送達、手順、視覚化、組織に対するデバイスの位置決定、これらの組み合わせ、などを具えていても良い。このデバイスは、以下に述べるように、回転、再配置、あるいはこれらの方法を行う間に操作することができる。
【0068】
特に図面を参照すると、図13A乃至13Mは、組織内に管を形成する一の例示的方法が記載されている。図13Aに示すように、一又はそれ以上の吸引部材(1302)を具えるデバイス(1300)が、組織(1304)近傍に進められる。次いで、吸引部材で吸引を行って、吸引部材が、図13Bに示すように組織に接触して、図13Cに矢印で示すように吸引部材に対して組織方向に引っ張られる。もちろん、吸引はこの方法のどの段階で行っても良い。例えば、吸引が常に行われていても良いし、吸引を行いつつデバイスが前進する。反対に、ここに示すように、デバイスが組織近傍に進められてから、吸引を行うようにしても良い。代替的に、吸引のオンオフを切り替えて、調整し、あるいは変調し、例えば、この明細書に述べられている近位側コントロールを用いて、真空の強度あるいはフローを制御するようにしても良い。
【0069】
図面に戻ると、組織が吸引部材に対して引っ張られると、組織貫通部材を引っ張られた組織を通して進めて、図13Dに示すようにその組織に管を形成する。この管は、どんな長さでも良く、図13Eに示すように、組織内を横切るものであっても良い。一旦管が形成されると、この管を通って一またはそれ以上のツールを進めることができる。例えば、図13Fには、ガイドワイヤ(1308)が組織貫通部材とこの管を通って進められている。
【0070】
ガイドワイヤ(1308)は、対応する組織貫通部材(1306)と共に使用するのに適した径を有するものであればどのようなガイドワイヤであってもよい。ガイドワイヤ(1308)は、また、その遠位端(1310)に、一又はそれ以上の拡張可能な部材(例えば、図13Gに示すような拡張可能なバルーン、図13Hに示すような拡張可能なケージまたは花ワイヤ形状、拡張可能なアーム、等)、あるいは同様の構造を有していても良い。このように、ガイドワイヤの遠位端を用いて、デバイスを組織に対して配置あるいは位置決めし、その手順の一部を行う間その位置を維持するようにしても良い。例えば、ガイドワイヤ(1308)は、組織(1304)と、拡張した遠位側拡張可能な構造を通って進めることができる。ガイドワイヤ(1308)を、次いで、近位側(すなわち、組織の方向)にそっと引っ張る。拡張可能な部材が組織に近接したら(例えば触知フィードバックを介して決定する)、組織の位置が決まり、この情報を残りの手順用のガイドとして用いることができる。もちろん、これらの組織位置決め方法は、間接的(例えば、蛍光透視ガイダンス、超音波、等)あるいは直接的(例えば、カメラ、スコープ、他)視覚化を用いる場合は不要であり、この視覚化技術は、ここに述べたいずれかの方法と共に使用することができる。真空チェックも、組織の位置あるいは組織に対するデバイスの位置を決定するのに有用である。組織の位置を決定する更なる有用な方法は、図13N乃至Pを参照して以下に詳細に述べられている。
【0071】
図13Iを参照すると、ガイドワイヤ(1308)が組織を通って(例えば、組織貫通部材のルーメンを介して)前進したのち、組織貫通部材(1306)を引き抜いても良い。所望であれば吸引を切って、図13Jに示すように、デバイスを近位側に引きだす。必要があれば一またはそれ以上の拡張器(あるいは、単一のステップアップ拡張器)または導入器(1312)をガイドワイヤ(1308)の上に進めて、組織の管を拡張させる。ターゲット部位への十分なアクセスが得られたら、図13K−13Mに示すように、ガイドワイヤ(1308)を取り出してもよい。次いで、一又はそれ以上の追加のツールを導入器を通して導入して、適宜の手順を行うようにしても良い。いくつかの変形例では、ここに述べた方法を使用して、動脈切開を行って、脈管構造にアクセスするようにしている。すべての手順を実行したら、ツールと導入器を取り外し、管を自己シールさせる。もちろん、上述したように、機械的圧力、エネルギーの送達(RF、超音波、マイクロ波、等)によって、あるいは、一又はそれ以上の薬剤または閉塞デバイスの使用、これらの組み合わせ、その他、によって、管のシーリングを容易にするあるいは促進することができる。
【0072】
簡単に上述した通り、いくつかの場合、ここに述べたデバイスまたは方法を用いつつ、一又はそれ以上の組織表面あるいは境界を同定する、検出する、あるいは位置を特定することが望まれる。図13Nは、組織(1322)境界、などを検出する一の例示的システム(1320)変形例を提供している。ここには、加圧流体(1324)が、吊IVバッグに入った流体の形で示されており、これが組織貫通部材(1330)に連結されている。この変形例では、バルブ(1328)が、生理食塩水、抗生物質、消毒剤、あるいは任意の薬剤である、加圧流体(1324)の放出を制御している。この変形例ではゲージ(1326)を介して圧力が検出される。組織貫通部材(1330)が組織(1322)内に進んで、組織貫通部材(1330)が組織内にある間は、図13Oに示すように圧力が比較的高い、あるいは初期圧力より高い。組織貫通部材が組織の境界を通って進むと、流体がそこを通ってより自由に流れ、図13Pに示すように、圧力が再び下がる。更に、放射線不透過性マーカ又はバンド(例えば、遠位領域に、あるいは組織貫通部材の先端にある)を用いて、デバイスを蛍光透視法と共に使用するときに、組織の境界を更に検証することができる。もちろん、流体の粘度を選択して、その他の要因に加えて、ニードルのサイズと長さを収納できるようにする。同様に、この変形例の圧力は、システムの近位端で測定されたものが示されているが、組織貫通部材の先端からの任意の所望する距離で圧力を測定することができる。いくつかの変形例では、例えば、組織貫通部材先端近くの流体圧力を測定することが望ましいであろう。
【0073】
図14A乃至14Cは、組織内に管を形成する別の方法を示す図である。この変形例では、組織貫通部材(1402)が組織(1404)内に進むと、デバイス(1400)が関節接合して組織貫通部材(1402)の向きを変えることができる。組織貫通部材(1402)は、次いで、再配置した方向において組織(1404)内に進む。上述した方法と同様に、ガイドワイヤ(1406)を組織の管内に進めて(例えば、組織貫通部材のルーメンを介して)、管を通るツールの経路を得るために、一又はそれ以上の導入器をガイドワイヤ(1406)の上に進めることができる。
【0074】
もちろん、吸引部材を関節接合させて、細長部材を関節接合させて、組織貫通部材が組織を通って進む前に、吸引部材を回転させて組織を回転させることなどができる。実際、米国特許出願第11/873,957号に記載されている組織操作方法はいずれも、ここで使用することができる。この出願は、全体が参照によりここに組み込まれている。
【0075】
図15Aは、ここに述べたデバイスをどのように使用して胃の中または胃を通る組織、あるいは胃の組織内に管を形成するかを示す全体図である。この変形例では、デバイスは別体の胃カメラと共に使用しておらず、光源または照明源(1504)と組み合わせた一連のカメラあるいはその他の可視化デバイス(1502)によって可視化を行っている。この特別な方法は、例えば、体表に傷跡を残さない内視鏡外科手術に非常に有用である。図15Aも、ここではスライドアクチュエータ(1506)の形態をしているデバイス(1500)の例示的近位側コントロールの詳細を示す。スライドアクチュエータ(1506)を例えば、組織貫通部材を前進させてけん引するのに用いることができ、一又はそれ以上の可視化デバイス(1502)のオンオフに用いることができ、照明源(1504)のオンオフ、あるいはこれらの組み合わせに用いることができる。もちろん、デバイス(1500)は、任意の数の機能あるいは機能の組み合わせ(真空、可視化、組織貫通部材の作動、照明、流体洗浄、他)を制御する、任意の数及び任意のタイプの近位側コントロール(スライド、スイッチ、ボタン、他)を具えていても良い。
【0076】
図15Aにも、吸引、流体注入、などの例示的使用が示されている。ここでは、真空(1510)、バッグ注入器(1512)、シリンジ型インジェクタ(1514)に接続して、その使用を助ける3方向バルブ(1508)が示されている。すなわち、3方向バルブ(1508)は、様々な位置で切り替えることができ、真空または流体(バッグ注入器またはシリンジ型インジェクタを介して)のオンオフを行う。真空をオンオフする能力を有することは、例えば、デバイスが一またはそれ以上の組織表面に張り付いている場合に特に有用である。流体の注入または送達のオンオフ切り替えは、例えば、洗浄、かん流、クロッグの除去、あるいは一又はそれ以上の物質を組織に送達する場合に特に有用である。もちろん、図15Aに示すコントロールは、上述の機能を制御又は操作する一例にすぎない。適宜の構成(更なる近位側コントロール、上述したものの組み合わせ、など、特定の構造を制御する2方向バルブを有する)を使用できると解するべきである。
【0077】
図15B及び15Cは、吸引部材(1520)が真空でありながら、一又はそれ以上の流体(治療薬、洗浄液、消毒剤、他)を組織(1524)に送達す変形例を模式的に示す。例えば、図15Bは、吸引部材(1520)を示す図であり、この部材は、部材を通って送達する一又はそれ以上の流体通路(矢印1523によって示される)を形成するための、部材の上または部材に沿った一またはそれ以上の周辺ポート(1522)を有する。この変形例では、流体は一又はそれ以上の周辺ポート(1522)またはその他のポート(例えば、ニードルポート、けん引部材ポート、他)を介して注入または送達され、次いで、組織(1524)が吸引によって捕捉された状態で、真空ポート(1526)を介して回収される。例えば、図9Jの吸引部材がこの方法を実行するのに有用である。図15Cは、流体が真空ポート(1536)を通って回収されない代替の変形例を示す。ここには、一又はそれ以上の流体(例えば、治療薬、洗浄液、消毒液、他)を組織(1538)に送達する一又はそれ以上の周辺ポート(1532)を、部材の上または部材に沿って有する吸引部材(1530)が示されている。この変形例では、流体が第1のシリンジ(1540)あるいはその他の送達システムを通って注入され、別の第2のシリンジ(1542)あるいはその他の好適な回収システムによって回収されるので、真空ポート(1536)は流体を回収するように機能する必要はない。この変形例のプッシュプルシリンジは、例えば、真空がシリンジの内容物を空にしてしまうことを防止する。
【0078】
図15D及び15Eは、ここに述べたいずれかのデバイス及び方法に連結して使用することができる関節接合可能な細長部材を示す図である、関節接合していない状態と、した状態をそれぞれ示す。これらの変形例における細長部材(1560)は、一連のワイヤ又はケーブル(1564)を介して連結されたリンク(1562)を具えていても良い。これらの図には、最も遠位端のリンク(1566)も示されており、これは2つの別々の構造セット(1568、1570)を有する。これらの構造は、上述したいずれの構造であっても良く、一変形例では、構造(1568)がカメラであり、構造(1570)が照明源である。上述したとおり、任意の組み合わせ、位置、及び数の構造を使用することができる。最も遠位側のリンク(1566)の上あるいは周囲に構造を配置することは、適宜の位置の一例に過ぎない。細長部材(1560)の個々のリンクは露出する必要がないと解するべきである。細長部材(1560)は、シースに入っていても良く、カバーがなされていても良い。さらに、これらの変形例の細長部材は、上述したデバイスの全変形例と同様に、ロボット制御あるいは遠隔制御することができる。
【0079】
図15F及び15Gは、上述したデバイスのいずれかと共に使用する様々なハンドルあるいは近位側コントロールを示す。特に、図15Fは、ジョイスティックタイプのコントロール(1574)を有するハンドル(1572)を示す。この変形例では、ジョイスティックタイプのコントロール(1574)を用いて、コントロール(1574)自体の動きに対応する方法で細長部材の動きを制御することができる。例えば、コントロール(1574)の前方向における動きは、細長部材の前方向の動きとなる。同様に、コントロール(1574)の右への動きは、細長部材の右への動きとなり、以下同様である。このタイプのコントロールは、ユーザの選択と使用の容易性を助けるデバイスの直感的制御が望ましい場合に特に有用である。図15Gは、全てのコントロールが封入されている別のハンドル(1576)を示す。例えば、ハンドル(1576)は、一又はそれ以上のモータ、リニアアクチュエータ、空気圧シリンダ、あるいはその他の電子構造を収納することができる。このタイプのハンドル(1576)はロボットインターフェースとして特に有用である。
【0080】
図15H及び15Iは、上述した関節接合可能なデバイスに関連する最も遠位側のリンクを示す断面図及び斜視図である。図15Hに示すリンクは、追加の構造を有していない。ここには、一又はそれ以上のワイヤ又はケーブルの経路となる貫通ルーメンまたは開口(1578)が示されている。図15Iに示すリンクは、例えば、図15D及び15Eを参照して上述した最も遠位側のリンク(1566)などの、一又はそれ以上の追加の構造を有している。この変形例には、別々の構造(1582)と(1584)が示されており、これは、上述したようなカメラと照明源であってもよく、またはその他の上述したいずれかの構造であってもよい。断面図には、ケーブル又はワイヤを連結する経路用の貫通ルーメン(1580)も示されている。
【0081】
図16A乃至Iは、胃組織の中にあるいは胃組織を通る管を形成する方法を示す図である。デバイスの遠位側部分のみがこれらの図に示されており、この方法は、デバイスが独立型デバイスであるか否かにかかわらず、図に示すような組織の管を形成するのに使用することができる、あるいは、胃カメラと共に使用するあるいはその他のシースが付いた構造体を通して進めることができる(ステアリング、可視化装置、照明、他を伴って、あるいは伴わないデバイスが任意のタイプの胃カメラ、内視鏡、腹腔鏡、他の動作チャンネル内にバックロードされる場合を含む)。図16Aを参照すると、吸引部材(1602)を具えるデバイス(1600)は、ここでは胃組織である、組織に隣接して進められた状態が示されている。図16Bでは、真空又は吸引がオンになっており、この図に矢印で示すように、組織が吸引部材(1602)に対して引っ張られる、あるいは吸引部材内に引き込まれている。次いで、組織貫通部材(1604)(例えば、ニードル、又は、その他の組織貫通カニューレ)がデバイスから前進して、引っ張られている組織を通って図16Cに示すように、組織内に管を形成する。
【0082】
管が一旦形成されると、ガイドワイヤ(1606)、ガイドエレメント、などを、図16Dに示すようにその管を通って前進させて(例えば、組織貫通部材のルーメンを通って前進させることにより)、組織貫通エレメント(1604)を図16Eに示すように引き出す。次いで、ステップアップ型拡張器(1608)または一連の拡張器(図示せず)を、図16Fに示すようにガイドワイヤ(1606)上を前進させる。このように、例えば、管の断面積を拡張あるいは拡大することができる。管が拡張した後、拡張器(1608)の一部でも良いが、導入器(1610)を適所に残して、図16Gに示すように管を通って追加のツールを導入する導管として使用することができる。図16Hは、例えばグリッパ(1614)などのエンドエフェクタを有するツール(1612)を導入器(1610)を通して進めて手順を行う、一例示的方法を示している。任意の数あるいは任意のタイプのツールをこのようにして導入器を通して進めることができる。手順を行った後、このツールと導入器を取りはずして、管(1616)を自己シールさせる。もちろん、適宜の追加機構(例えば、機械圧を介して、超音波を介して、一又はそれ以上の閉塞デバイスを介して、など)によってシーリングを強化することができる。
【0083】
図17A乃至17Dは、ここに述べたデバイスを心膜腔へ進めて、心臓(H)の組織を通る管を形成する方法を示す図である。これらの図に示すように、切開(1700)を行って(例えば、剣状突起下、他)、これを通ってポート(1702)を配置してそこを通って適宜にツールを送達又は交換する。ポート(1702)が一旦配置されると、ここに述べたいずれかのデバイス(1704)をポート(1702)を介して配置して、心臓(H)の組織内にあるいは組織を通る管を形成する。このことは、図18A乃至18Kを参照して以下により詳細に説明する。
【0084】
図18Aを参照すると、吸引部材(1802)を具えるデバイス(1800)が心臓組織近傍に進められている。このデバイスは、例えば、上述したポート(1702)を介して、適宜の態様で心臓組織近傍に進めることができる。次いで、真空又は吸引を行って図18Bに示すように心臓組織を吸引部材(1802)に対して又は吸引部材の中に引き込む。次いで、組織貫通部材(1804)をデバイス(例えば、吸引部材を介して)から進めて、引き込んだ組織を通って図18Cに示すように組織の管を形成する。ガイドワイヤ(1806)あるいはガイドエレメントなどのその他の好適なエレメントを、例えば、組織貫通部材(1804)内のルーメンを通って進めることによって、図18Dに示すように管を通して進める。次いで、図18E及び18Fにそれぞれ示すように、組織貫通部材(1804)とデバイス(1800)を取り除く。
【0085】
次いで、図18Gに示すように、ガイドワイヤ(1806)の上にステップアップ型拡張器(1808)または一連の拡張器(図示せず)を進めることができる。このようにして、例えば、管の断面積を拡張又は拡大することができる。管を拡張した後、拡張器(1808)の一部であってもよい導入器(1810)を適所に残して、図18Hに示すように管を通して更なるツールを導入する導管として使用することができる。図18Iは、ある手順に使用するためにツール(1812)を導入器(1810)を介して進める位置の一例示的方法を示す。ここでは、左心室へのアクセスが行われており、従って、大動脈弁あるいは僧帽弁の修復又は交換に関連するこれらの方法の使用が特に有用である。任意の数あるいはタイプのツールをこの方法で導入器を介して進めることができる。図18J及び18Kに示すように、この手順を行った後、ツールと導入器を取り出して、管(1814)を自己シールさせる。もちろん、適宜の追加機構(例えば、機械圧を介して、超音波を介して、一又はそれ以上の閉塞デバイスを介して、など)によってシーリングを強化することができる。
【0086】
III.キット
ここにキットについても述べる。いくつかの変形例では、キットは、組織を通る管を形成するデバイスを具えており、このデバイスは上述した一又はそれ以上の吸引部材と、一又はそれ以上の追加のツールを具える。例えば、これらのツールは、手順を実行する間に管を通って進められるツール(例えば、ガイドワイヤ、ハサミ、グリッパ、結紮器具、等)、閉塞を補助する一又はそれ以上の補助ツール(例えば、エネルギー送達デバイス、閉塞デバイス、など)、前記手順を補助する一又はそれ以上のツール(例えば、胃カメラ、内視鏡、カメラ、光源、他)、これらの組み合わせ、などのツールである。もちろん、これらのキット共に使用指示書を提供しても良い。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織内に管を形成するデバイスにおいて:
細長部材と;
前記細長部材の遠位部分に連結した吸引部材と;
前記細長部材内に摺動可能に収納した組織に管を形成する組織貫通部材と;
を具えることを特徴とするデバイス。
【請求項2】
請求項1に記載のデバイスにおいて、前記細長部材が可撓性であることを特徴とするデバイス。
【請求項3】
請求項1に記載のデバイスにおいて、前記吸引部材が前記細長部材に可撓性部分を介して連結されていることを特徴とするデバイス。
【請求項4】
請求項3に記載のデバイスにおいて、前記可撓性部分がヒンジであることを特徴とするデバイス。
【請求項5】
請求項1に記載のデバイスにおいて、前記細長部材が関節接合可能であることを特徴とするデバイス。
【請求項6】
請求項1に記載のデバイスにおいて、前記組織貫通部材が関節接合可能であることを特徴とするデバイス。
【請求項7】
請求項1に記載のデバイスにおいて、前記吸引部材が関節接合可能であることを特徴とするデバイス。
【請求項8】
請求項1に記載のデバイスにおいて、前記吸引部材がその上に一又はそれ以上の組織付加部材を有することを特徴とするデバイス。
【請求項9】
請求項8に記載のデバイスにおいて、前記組織付加部材がリブであることを特徴とするデバイス。
【請求項10】
請求項1に記載のデバイスが更に、一又はそれ以上のセンサを具えることを特徴とするデバイス。
【請求項11】
請求項1に記載のデバイスにおいて、前記組織貫通部材がニードルであることを特徴とするデバイス。
【請求項12】
請求項11に記載のデバイスにおいて、前記ニードルが中空であることを特徴とするデバイス。
【請求項13】
請求項1に記載のデバイスにおいて、前記吸引部材が真空源に連結されていることを特徴とするデバイス。
【請求項14】
請求項1に記載のデバイスにおいて、前記細長部材がその中を通る一又はそれ以上のルーメンを具えることを特徴とするデバイス。
【請求項15】
組織内に管を形成するデバイスにおいて:
細長部材と;
前記細長部材の遠位側部分に連結されており、組織に対して位置決め可能な第1の吸引部材と;
前記第1の吸引部材に対向する第2の吸引部材と;
組織内に管を形成する組織貫通部材と;
を具えることを特徴とするデバイス。
【請求項16】
請求項15に記載のデバイスにおいて、前記組織貫通部材が前記細長部材内に摺動可能に収納されていることを特徴とするデバイス。
【請求項17】
請求項15に記載のデバイスにおいて、前記第1及び第2の吸引部材が互いに連結されていることを特徴とするデバイス。
【請求項18】
請求項17に記載のデバイスにおいて、前記第1及び第2の吸引部材が可撓性部分を介して互いに連結されていることを特徴とするデバイス。
【請求項19】
請求項18に記載のデバイスにおいて、前記可撓性部分がヒンジであることを特徴とするデバイス。
【請求項20】
請求項15に記載のデバイスにおいて、前記第1及び第2の吸引部材が互いに対して可動であることを特徴とするデバイス。
【請求項21】
請求項15に記載のデバイスにおいて、前記組織貫通部材がニードルであることを特徴とするデバイス。
【請求項22】
組織内に管を形成する方法において:
組織近傍にデバイスを進めるステップであって、当該デバイスが一又はそれ以上の吸引部材と組織貫通部材を具えるステップと;
前記組織が前記一又はそれ以上の吸引部材に対して引っ張られるように吸引を行うステップと;
前記引っ張られた組織を通る第1の方向に前記組織貫通部材を進めて前記組織に管を形成するステップと;
を具えることを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法が更に、前記組織貫通部材を関節接合するステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項23に記載の方法が更に、前記組織貫通部材を第2の方向に進めるステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項25】
請求項22に記載の方法において、前記デバイスが更に一又はそれ以上のセンサを具え、前記方法が更に、少なくとも一の有用なパラメータを検知するステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項26】
請求項25に記載の方法において、前記パラメータが、温度、圧力、血管内の血流、及びこれらの組み合わせから成る群から選択されることを特徴とする方法。
【請求項27】
請求項22に記載の方法において、前記組織が器官であることを特徴とする方法。
【請求項28】
請求項27に記載の方法において、前記器官が、心臓血管系の器官、消化管系の器官、呼吸器官系の器官、排泄系の器官、生殖器系の器官、及び神経系の器官から成る群から選択されることを特徴とする方法。
【請求項29】
請求項28に記載の方法において、前記器官が心臓血管系の器官であることを特徴とする方法。
【請求項30】
請求項29に記載の方法において、前記器官が動脈であることを特徴とする方法。
【請求項31】
請求項22に記載の方法が更に、前記組織から前記組織貫通部材を取り出すステップを具え、前記組織貫通部材を取り出した後に前記管がシールすることを特徴とする方法。
【請求項32】
請求項31に記載の方法において、前記管が12分又はそれ以下の時間でシールすることを特徴とする方法。
【請求項33】
請求項22に記載の方法が更に、前記管を通って一又はそれ以上のツールを進めるステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項34】
請求項22に記載の方法において、前記組織貫通部材が第1の位置で前記組織に入り、第2の位置で前記組織から出て、前記第1の位置と前記第2の位置間の長さが前記組織の厚さより大きいことを特徴とする方法。
【請求項35】
請求項22に記載の方法において、前記管の長さが前記組織の厚さより大きいことを特徴とする方法。
【請求項36】
請求項22に記載の方法において、前記管が自己シールすることを特徴とする方法。
【請求項37】
請求項36に記載の方法において、前記管が15分又はそれ以下でシールすることを特徴とする方法。
【請求項38】
請求項36に記載の方法において、前記管が5分又はそれ以下でシールすることを特徴とする方法。
【請求項39】
請求項36に記載の方法において、前記管が1分又はそれ以下でシールすることを特徴とする方法。
【請求項40】
組織に管を形成するすステップであって、前記組織を通して第1の方向に第1の組織貫通部材を進めることによって管を形成するステップを具え;
前記管の形成が、前記組織を通って前記第1の組織貫通部材のみを進めることが必要であり、前記管が自己シールする;
ことを特徴とする方法。
【請求項41】
請求項40に記載の方法において、前記第1の組織貫通部材がニードルを具えることを特徴とする方法。
【請求項42】
請求項40に記載の方法が更に、前記第1の組織貫通部材を前記組織を通って進める前に、前記組織近傍に前記第1の組織貫通部材を具えるデバイスを進めることを特徴とする方法。
【請求項43】
請求項42に記載の方法において、前記デバイスが更に一又はそれ以上の吸引部材を具えることを特徴とする方法。
【請求項44】
請求項43に記載の方法が更に、前記組織に吸引を行って、前記一又はそれ以上の吸引部材に対して前記組織を引っ張るステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項45】
請求項44に記載の方法において、前記第1の組織貫通部材が前記引っ張られている組織を通って前記第1の方向に進むことを特徴とする方法。
【請求項46】
請求項40に記載の方法が更に、前記組織に吸引を行って当該組織を位置決めするステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項47】
請求項46に記載の方法において、前記組織が前記吸引を行うことによって位置決めされた後に、前記管が前記組織内に形成されることを特徴とする方法。
【請求項48】
請求項40に記載の方法において、前記組織が器官であることを特徴とする方法。
【請求項49】
請求項48に記載の方法において、前記器官が、心臓血管系の器官、消化管系の器官、呼吸器官系の器官、排泄系の器官、生殖器系の器官、及び神経系の器官から成る群から選択されることを特徴とする方法。
【請求項50】
請求項40に記載の方法において、前記器官が器官であることを特徴とする方法。
【請求項51】
請求項50に記載の方法において、前記器官が動脈であり、前記管が動脈切開であることを特徴とする方法。
【請求項52】
請求項40に記載の方法が更に、前記組織を回転させるステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項53】
請求項52に記載の方法が更に、前記第1の貫通部材を前記回転させた組織を通して進めるステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項54】
請求項40に記載の方法が更に、前記第1の組織貫通部材を前記組織から取り出すステップを具え、前記第1の組織貫通部材を取り出した後に前記管がシールすることを特徴とする方法。
【請求項55】
請求項54に記載の方法において、前記管が15分又はそれ以下でシールすることを特徴とする方法。
【請求項56】
請求項54に記載の方法において、前記管が5分又はそれ以下でシールすることを特徴とする方法。
【請求項57】
請求項54に記載の方法において、前記管が1分又はそれ以下でシールすることを特徴とする方法。
【請求項58】
請求項40に記載の方法が更に、一又はそれ以上のツールを前記管を通って進めるステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項59】
組織内に管を形成する方法において:
前記管を通って第1の方向に組織貫通部材を進めて、前記組織に単一の管を形成するステップを具え、
前記単一の管が自己シールすることを特徴とする方法。
【請求項60】
請求項59に記載の方法において、前記組織が血管であることを特徴とする方法。
【請求項61】
請求項60に記載の方法において、前記組織が動脈であり、前記管が動脈切開であることを特徴とする方法。
【請求項62】
請求項59に記載の方法が更に、前記組織から前記組織貫通部材を取り出すステップを具え、前記組織貫通部材を取り出した後に前記管がシールすることを特徴とする方法。
【請求項63】
請求項62に記載の方法において、前記管が15分又はそれ以下でシールすることを特徴とする方法。
【請求項64】
請求項62に記載の方法において、前記管が5分又はそれ以下でシールすることを特徴とする方法。
【請求項65】
請求項62に記載の方法において、前記管が1分又はそれ以下でシールすることを特徴とする方法。
【請求項66】
組織内に管を形成する方法において:
組織近傍にデバイスを進めるステップであって、当該デバイスが少なくとも一の組織貫通部材を具えるステップと;
前記組織を通って前記少なくとも一の組織貫通部材を進めることによって前記組織内に管を形成するステップと;を具え、
前記管の形成が、前記組織を通って前記少なくとも一の組織貫通部材のみを進めることを必要とし、前記管が自己シールであることを特徴とする方法。
【請求項67】
請求項66に記載の方法において、前記組織が血管であることを特徴とする方法。
【請求項68】
請求項67に記載の方法において、前記組織が動脈であり、前記管が動脈切開であることを特徴とする方法。
【請求項69】
請求項66に記載の方法が更に、前記組織から前記少なくとも一の組織貫通部材を取り出すステップを具え、前記少なくとも一の組織貫通部材を取り出した後に前記管がシールすることを特徴とする方法。
【請求項70】
請求項69に記載の方法において、前記管が15分又はそれ以下でシールすることを特徴とする方法。
【請求項71】
請求項69に記載の方法において、前記管が5分又はそれ以下でシールすることを特徴とする方法。
【請求項72】
請求項69に記載の方法において、前記管が1分又はそれ以下でシールすることを特徴とする方法。
【請求項1】
組織内に管を形成するデバイスにおいて:
細長部材と;
前記細長部材の遠位部分に連結した吸引部材と;
前記細長部材内に摺動可能に収納した組織に管を形成する組織貫通部材と;
を具えることを特徴とするデバイス。
【請求項2】
請求項1に記載のデバイスにおいて、前記細長部材が可撓性であることを特徴とするデバイス。
【請求項3】
請求項1に記載のデバイスにおいて、前記吸引部材が前記細長部材に可撓性部分を介して連結されていることを特徴とするデバイス。
【請求項4】
請求項3に記載のデバイスにおいて、前記可撓性部分がヒンジであることを特徴とするデバイス。
【請求項5】
請求項1に記載のデバイスにおいて、前記細長部材が関節接合可能であることを特徴とするデバイス。
【請求項6】
請求項1に記載のデバイスにおいて、前記組織貫通部材が関節接合可能であることを特徴とするデバイス。
【請求項7】
請求項1に記載のデバイスにおいて、前記吸引部材が関節接合可能であることを特徴とするデバイス。
【請求項8】
請求項1に記載のデバイスにおいて、前記吸引部材がその上に一又はそれ以上の組織付加部材を有することを特徴とするデバイス。
【請求項9】
請求項8に記載のデバイスにおいて、前記組織付加部材がリブであることを特徴とするデバイス。
【請求項10】
請求項1に記載のデバイスが更に、一又はそれ以上のセンサを具えることを特徴とするデバイス。
【請求項11】
請求項1に記載のデバイスにおいて、前記組織貫通部材がニードルであることを特徴とするデバイス。
【請求項12】
請求項11に記載のデバイスにおいて、前記ニードルが中空であることを特徴とするデバイス。
【請求項13】
請求項1に記載のデバイスにおいて、前記吸引部材が真空源に連結されていることを特徴とするデバイス。
【請求項14】
請求項1に記載のデバイスにおいて、前記細長部材がその中を通る一又はそれ以上のルーメンを具えることを特徴とするデバイス。
【請求項15】
組織内に管を形成するデバイスにおいて:
細長部材と;
前記細長部材の遠位側部分に連結されており、組織に対して位置決め可能な第1の吸引部材と;
前記第1の吸引部材に対向する第2の吸引部材と;
組織内に管を形成する組織貫通部材と;
を具えることを特徴とするデバイス。
【請求項16】
請求項15に記載のデバイスにおいて、前記組織貫通部材が前記細長部材内に摺動可能に収納されていることを特徴とするデバイス。
【請求項17】
請求項15に記載のデバイスにおいて、前記第1及び第2の吸引部材が互いに連結されていることを特徴とするデバイス。
【請求項18】
請求項17に記載のデバイスにおいて、前記第1及び第2の吸引部材が可撓性部分を介して互いに連結されていることを特徴とするデバイス。
【請求項19】
請求項18に記載のデバイスにおいて、前記可撓性部分がヒンジであることを特徴とするデバイス。
【請求項20】
請求項15に記載のデバイスにおいて、前記第1及び第2の吸引部材が互いに対して可動であることを特徴とするデバイス。
【請求項21】
請求項15に記載のデバイスにおいて、前記組織貫通部材がニードルであることを特徴とするデバイス。
【請求項22】
組織内に管を形成する方法において:
組織近傍にデバイスを進めるステップであって、当該デバイスが一又はそれ以上の吸引部材と組織貫通部材を具えるステップと;
前記組織が前記一又はそれ以上の吸引部材に対して引っ張られるように吸引を行うステップと;
前記引っ張られた組織を通る第1の方向に前記組織貫通部材を進めて前記組織に管を形成するステップと;
を具えることを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法が更に、前記組織貫通部材を関節接合するステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項23に記載の方法が更に、前記組織貫通部材を第2の方向に進めるステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項25】
請求項22に記載の方法において、前記デバイスが更に一又はそれ以上のセンサを具え、前記方法が更に、少なくとも一の有用なパラメータを検知するステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項26】
請求項25に記載の方法において、前記パラメータが、温度、圧力、血管内の血流、及びこれらの組み合わせから成る群から選択されることを特徴とする方法。
【請求項27】
請求項22に記載の方法において、前記組織が器官であることを特徴とする方法。
【請求項28】
請求項27に記載の方法において、前記器官が、心臓血管系の器官、消化管系の器官、呼吸器官系の器官、排泄系の器官、生殖器系の器官、及び神経系の器官から成る群から選択されることを特徴とする方法。
【請求項29】
請求項28に記載の方法において、前記器官が心臓血管系の器官であることを特徴とする方法。
【請求項30】
請求項29に記載の方法において、前記器官が動脈であることを特徴とする方法。
【請求項31】
請求項22に記載の方法が更に、前記組織から前記組織貫通部材を取り出すステップを具え、前記組織貫通部材を取り出した後に前記管がシールすることを特徴とする方法。
【請求項32】
請求項31に記載の方法において、前記管が12分又はそれ以下の時間でシールすることを特徴とする方法。
【請求項33】
請求項22に記載の方法が更に、前記管を通って一又はそれ以上のツールを進めるステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項34】
請求項22に記載の方法において、前記組織貫通部材が第1の位置で前記組織に入り、第2の位置で前記組織から出て、前記第1の位置と前記第2の位置間の長さが前記組織の厚さより大きいことを特徴とする方法。
【請求項35】
請求項22に記載の方法において、前記管の長さが前記組織の厚さより大きいことを特徴とする方法。
【請求項36】
請求項22に記載の方法において、前記管が自己シールすることを特徴とする方法。
【請求項37】
請求項36に記載の方法において、前記管が15分又はそれ以下でシールすることを特徴とする方法。
【請求項38】
請求項36に記載の方法において、前記管が5分又はそれ以下でシールすることを特徴とする方法。
【請求項39】
請求項36に記載の方法において、前記管が1分又はそれ以下でシールすることを特徴とする方法。
【請求項40】
組織に管を形成するすステップであって、前記組織を通して第1の方向に第1の組織貫通部材を進めることによって管を形成するステップを具え;
前記管の形成が、前記組織を通って前記第1の組織貫通部材のみを進めることが必要であり、前記管が自己シールする;
ことを特徴とする方法。
【請求項41】
請求項40に記載の方法において、前記第1の組織貫通部材がニードルを具えることを特徴とする方法。
【請求項42】
請求項40に記載の方法が更に、前記第1の組織貫通部材を前記組織を通って進める前に、前記組織近傍に前記第1の組織貫通部材を具えるデバイスを進めることを特徴とする方法。
【請求項43】
請求項42に記載の方法において、前記デバイスが更に一又はそれ以上の吸引部材を具えることを特徴とする方法。
【請求項44】
請求項43に記載の方法が更に、前記組織に吸引を行って、前記一又はそれ以上の吸引部材に対して前記組織を引っ張るステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項45】
請求項44に記載の方法において、前記第1の組織貫通部材が前記引っ張られている組織を通って前記第1の方向に進むことを特徴とする方法。
【請求項46】
請求項40に記載の方法が更に、前記組織に吸引を行って当該組織を位置決めするステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項47】
請求項46に記載の方法において、前記組織が前記吸引を行うことによって位置決めされた後に、前記管が前記組織内に形成されることを特徴とする方法。
【請求項48】
請求項40に記載の方法において、前記組織が器官であることを特徴とする方法。
【請求項49】
請求項48に記載の方法において、前記器官が、心臓血管系の器官、消化管系の器官、呼吸器官系の器官、排泄系の器官、生殖器系の器官、及び神経系の器官から成る群から選択されることを特徴とする方法。
【請求項50】
請求項40に記載の方法において、前記器官が器官であることを特徴とする方法。
【請求項51】
請求項50に記載の方法において、前記器官が動脈であり、前記管が動脈切開であることを特徴とする方法。
【請求項52】
請求項40に記載の方法が更に、前記組織を回転させるステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項53】
請求項52に記載の方法が更に、前記第1の貫通部材を前記回転させた組織を通して進めるステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項54】
請求項40に記載の方法が更に、前記第1の組織貫通部材を前記組織から取り出すステップを具え、前記第1の組織貫通部材を取り出した後に前記管がシールすることを特徴とする方法。
【請求項55】
請求項54に記載の方法において、前記管が15分又はそれ以下でシールすることを特徴とする方法。
【請求項56】
請求項54に記載の方法において、前記管が5分又はそれ以下でシールすることを特徴とする方法。
【請求項57】
請求項54に記載の方法において、前記管が1分又はそれ以下でシールすることを特徴とする方法。
【請求項58】
請求項40に記載の方法が更に、一又はそれ以上のツールを前記管を通って進めるステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項59】
組織内に管を形成する方法において:
前記管を通って第1の方向に組織貫通部材を進めて、前記組織に単一の管を形成するステップを具え、
前記単一の管が自己シールすることを特徴とする方法。
【請求項60】
請求項59に記載の方法において、前記組織が血管であることを特徴とする方法。
【請求項61】
請求項60に記載の方法において、前記組織が動脈であり、前記管が動脈切開であることを特徴とする方法。
【請求項62】
請求項59に記載の方法が更に、前記組織から前記組織貫通部材を取り出すステップを具え、前記組織貫通部材を取り出した後に前記管がシールすることを特徴とする方法。
【請求項63】
請求項62に記載の方法において、前記管が15分又はそれ以下でシールすることを特徴とする方法。
【請求項64】
請求項62に記載の方法において、前記管が5分又はそれ以下でシールすることを特徴とする方法。
【請求項65】
請求項62に記載の方法において、前記管が1分又はそれ以下でシールすることを特徴とする方法。
【請求項66】
組織内に管を形成する方法において:
組織近傍にデバイスを進めるステップであって、当該デバイスが少なくとも一の組織貫通部材を具えるステップと;
前記組織を通って前記少なくとも一の組織貫通部材を進めることによって前記組織内に管を形成するステップと;を具え、
前記管の形成が、前記組織を通って前記少なくとも一の組織貫通部材のみを進めることを必要とし、前記管が自己シールであることを特徴とする方法。
【請求項67】
請求項66に記載の方法において、前記組織が血管であることを特徴とする方法。
【請求項68】
請求項67に記載の方法において、前記組織が動脈であり、前記管が動脈切開であることを特徴とする方法。
【請求項69】
請求項66に記載の方法が更に、前記組織から前記少なくとも一の組織貫通部材を取り出すステップを具え、前記少なくとも一の組織貫通部材を取り出した後に前記管がシールすることを特徴とする方法。
【請求項70】
請求項69に記載の方法において、前記管が15分又はそれ以下でシールすることを特徴とする方法。
【請求項71】
請求項69に記載の方法において、前記管が5分又はそれ以下でシールすることを特徴とする方法。
【請求項72】
請求項69に記載の方法において、前記管が1分又はそれ以下でシールすることを特徴とする方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図9E】
【図9F】
【図9G】
【図9H】
【図9I】
【図9J】
【図9K】
【図9L】
【図9M】
【図9N】
【図9O】
【図9P】
【図9Q】
【図9R】
【図9S】
【図9T】
【図9U】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図11D】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図13D】
【図13E】
【図13F】
【図13G】
【図13H】
【図13I】
【図13J】
【図13K】
【図13L】
【図13M】
【図13N】
【図13O】
【図13P】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図15A】
【図15B】
【図15C】
【図15D】
【図15E】
【図15F】
【図15G】
【図15H】
【図15I】
【図16A】
【図16B】
【図16C】
【図16D】
【図16E】
【図16F】
【図16G】
【図16H】
【図16I】
【図17A】
【図17B】
【図17C】
【図17D】
【図18A】
【図18B】
【図18C】
【図18D】
【図18E】
【図18F】
【図18G】
【図18H】
【図18I】
【図18J】
【図18K】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図9E】
【図9F】
【図9G】
【図9H】
【図9I】
【図9J】
【図9K】
【図9L】
【図9M】
【図9N】
【図9O】
【図9P】
【図9Q】
【図9R】
【図9S】
【図9T】
【図9U】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図11D】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図13D】
【図13E】
【図13F】
【図13G】
【図13H】
【図13I】
【図13J】
【図13K】
【図13L】
【図13M】
【図13N】
【図13O】
【図13P】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図15A】
【図15B】
【図15C】
【図15D】
【図15E】
【図15F】
【図15G】
【図15H】
【図15I】
【図16A】
【図16B】
【図16C】
【図16D】
【図16E】
【図16F】
【図16G】
【図16H】
【図16I】
【図17A】
【図17B】
【図17C】
【図17D】
【図18A】
【図18B】
【図18C】
【図18D】
【図18E】
【図18F】
【図18G】
【図18H】
【図18I】
【図18J】
【図18K】
【公表番号】特表2011−528605(P2011−528605A)
【公表日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−520145(P2011−520145)
【出願日】平成21年7月21日(2009.7.21)
【国際出願番号】PCT/US2009/051317
【国際公開番号】WO2010/011695
【国際公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(511018446)アルスタシス,インコーポレイテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】ARSTASIS,INC.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月21日(2009.7.21)
【国際出願番号】PCT/US2009/051317
【国際公開番号】WO2010/011695
【国際公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(511018446)アルスタシス,インコーポレイテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】ARSTASIS,INC.
【Fターム(参考)】
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