説明

組織病巣の特徴付けおよびマッピングのための方法およびシステム

【課題】組織異常型、形成異常、新形成および癌の発生の間に上皮組織の生化学的および/または機能的特徴で引き起こされた変化のイン・ビボでの非侵入的早期検出およびこれらの変化の程度のマッピングのための方法および装置を提供すること。
【解決手段】該方法は、少なくとも部分的には、光および特別の化学剤での組合せ組織励起の結果として、調査中の組織から再発光された光の特徴の空間的、一時的かつスペクトル的変化の同時測定に基づく。これらの剤の局所または全身投与の結果、組織の正常および異常領域間のわずかなコントラスト増強がもたらされる。該装置は、1以上のスペクトルバンドにおいて一時的に連続するイメージングの同時取り込みを可能とする。測定されたデータに基づき、剤−組織相互作用速度論、ならびにこれらのデータから誘導された数パラメーターを表す特徴曲線が、調べた領域のいずれかの空間点で決定される。病巣のマッピングおよび特徴付けはこれらのパラメーターに基づく。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2000年3月28日に出願されたギリシャ国内出願出願番号20000100102および2000年12月15日に出願された米国国内出願出願番号09/739089に対する優先権を主張する。
【0002】
発明の分野
本出願は、ヒト組織の生化学的および/または機能的病理変化のイン・ビボでの非侵入的検出およびマッピングのための方法および装置に施工される。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
癌前駆体兆候は、もし早い段階で検出されればしばしば治癒できるいわゆる前癌状態である。もし治療されずに放置されると、前癌状態は侵入的癌に発展しかねず、これは引き続いて転移しかねない。この段階において、成功する治療の可能性は劇的に減少する。その結果、前癌状態の早期検出およびひどさの目的的同定は非常に重要である。
【0004】
光学器具を利用する従来の方法は、癌および前癌組織病巣を検出するその能力が非常に制限されている。これは、病気の発生の間に起こる構造的および代謝的変化が病理学的組織のスペクトル的特徴を有意かつ特異的には変化させないという事実による。
【0005】
より正確な診断を得るためには、疑わしい領域からバイオプシー試料を得て、これは組織学的調査に付される。しかしながら、バイオプシーは、a)疑わしい領域を検出し突き止める際における視覚的制限に関連するサンプリング誤差に対する危険;b)バイオプシーは上皮内病巣の自然な履歴を変化させかねない;c)病巣のマッピングおよびモニタリングは、複数の組織サンプリングを必要とし、これはいくつかの危険および制限に付される;およびd)バイオプシーサンプリングおよび組織学的評価で実行される診断手法は定性的で、主観的で、時間がかかり、費用が掛かりかつ面倒であるというようないくつかの問題を引き起こす。
【0006】
最近、従来の診断手法の不利を克服するために、少数の方法およびシステムが開発されてきた。これらの方法は2つのカテゴリー;a)診断情報を改良する試みにおいて、イン・ビボでの組織のスペクトル分析に基づく方法、およびb)病理学的組織と相互作用でき、その光学特徴を選択的に変化させることができ、かくして、病巣および健康な組織の間のコントラストを増強させる特別な剤の助けを借りて、組織の化学的励起に基づく方法に分類することができる。
【0007】
第1の場合において、病気が進行する間に組織の生化学的および/または構造的特徴の変化を検出するこれらの技術の能力によって、分光学的技術の実験的使用が動機付けされてきた。特に、蛍光分光学が種々の組織で広範に使用されてきた。短い波長(青色−紫外線の範囲)の光源(通常はレーザー)の助けを借りて、組織がまず励起される。次に、光の波長の関数としての組織によって発せられた蛍光の強度が測定される。
【0008】
米国特許第5,450,857号においてGarfieldおよびGlassmanは、および米国特許第5,421,339号においてRamanajumらは、頚部の癌および前癌病巣の診断のための、蛍光分光学の使用に基づく方法を提案した。蛍光分光学の主な不利は、病気の進行に関連する現行の生化学的修飾は、測定された蛍光スペクトルにおける修飾として直接的には現れないことである。蛍光スペクトルは2つの基本的な理由で診断情報が制限されている:a)組織はヘモグロビンのごとき非蛍光クロモフォアーを含む。フロオロフォアーからの発せられた光のそのようなクロモフォアーによる吸収は蛍光スペクトルに人工的なディップおよびピークをもたらしかねない。換言すると、スペクトルはいくつかの構成要素についての複雑な情報を運び、従って、診断的に重要な組織特徴の変化を評価するのは困難である;およびb)非常に多数の組織構成要素が光学的に励起され、測定された光学シグナルに寄与するのでスペクトルは広い。その結果、スペクトルは病理学的変化の特定の情報を運ばず、かくして、それは限定された診断的価値のものである。略言すれば、前記した蛍光技術は組織病巣の検出および分類において低い感度および特異性に悩んでいる。
【0009】
これまでの方法の感度および特異性を増強させることを目的とし、国際出願WO98/24369においてRamanujanらは、スペクトルデータの解析のための神経ネットワークの使用に基づく方法を提案した。この方法は、正常および病理学的組織から採取された、非常に多数のスペクトルパターンでのコンピューティングシステムの訓練に基づく。各時刻に測定されたスペクトルを保存されたスペクトルデータと比較し、このようにして、組織病理の同定を容易とする。
【0010】
測定された診断情報の質を改良する目的で、米国特許第5,697,373号においてR.R.Kortunらは、蛍光分光学およびラーマン散乱の組合せに基づく方法を提案した。後者はより多くの分析的情報を提供する能力を有するが、ラーマン分光学は複雑な装置および理想的な実験条件を必要とし、これはその臨床的使用を実質的に妨げる。
【0011】
一般に、組織は空間的均一性の欠如によって特徴付けられることが知られている。その結果、分布した空間点のスペクトル分析は、それらの状態の特徴付けには不十分である。
【0012】
米国特許第5,424,543号においてDombrowskiは、いくつかのスペクトルバンドにおいて組織イメージを取り込むことができる、多波長イメージングシステムを記載する。一般にそのようなシステムの助けを借りると、それらの特定のスペクトル特徴に基づいて診断的に重要な特徴をマップすることが可能である。しかしながら、一般的なケースであるが、正常および病理学的組織の間のスペクトルの差の非有意性のため、狭いスペクトルバンドにおける観察はこれらの特徴の強調を可能とせず、そうであるので、病理学的領域の同定および段階決定はなおさら可能としない。
【0013】
米国特許第5,920,399号においてD.R.Sandisonらは細胞のイン・ビボ調査のために開発されたイメージングシステムを記載しており、これは組織のマルチバンドイメージングおよび光励起を組み合わせるものである。該システムは、源から組織への、次いで、組織から光学ディテクターへの光の透過のためのデュアルファイバーオプティック束も使用する。これらの束は組織と接触するように置かれ、正常および病理学的組織の間のスペクトルの区別を増強させる試みにおいて、励起およびイメージングの種々の波長が組み合わされる。
【0014】
米国特許第5,921,926号において、J.R.Delfyettらは、頸部の病気の診断用の方法を提案しており、これは、スペクトルインターフェロメトリーおよび光学コヒーレンストモグラヒー(OCT)の組み合わせに基づく。このシステムは組織の三次元イメージングおよびスペクトル解析を組み合わせる。
【0015】
さらに、膣鏡のいくつかの改良されたバージョンが提案されており(D.R.Craineら、米国特許第5,791,346号およびK.L.Blaiz、米国特許第5,989,184号)、そのほとんどにおいて、病巣のサイズの定量的評価を含めた、エレクトロニックイメージングシステムがイメージの取り込み、組織イメージの解析のために一体化されている。正常および病理学的組織の間の光学的区別の増強のため、特別の剤が生物医学診断の種々の分野で用いられており、これは局所または全身投与される。そのような剤は酢酸溶液、トルイジンブルー、および種々の光増感剤(ポルフィリン)を含む(S.Anderson Engels, C.Klinteberg,K.Svanberg,S.Svanberg, In vivo fluorescence imaging for tissue diagnostics, Phys Med.Biol.42(1997)815−24)、病理学的組織の選択的染色は、病理学的領域の変化した代謝および構造的特徴と相互作用するこれらの剤の特性から生起する。この相互作用は、正常および病理学的組織の間の反射および/または蛍光のスペクトル特徴の差を徐々にかつ可逆的に増強させる。病理学的組織の選択的染色は動的現象であるという事実にも拘らず、臨床的実施においては、染色の強度および程度が定量的かつ統計学的に評価される。さらに、初期の病理学的状態のいくつかにおいて、剤を投与した後の一時的な染色の現象は長くは続かず、かくして調査をする者は変化を検出できず、なおさら、それらの強度および程度は評価できない。他の場合において、組織の染色は非常にゆっくりと進行し、その結果、患者は不愉快となり、また変化の強度および程度を評価するにおいて実施をする者に問題が持ち上がる。というのは、それらは継続的に変化しているからである。前記したものは、直接的な結果として、これらの診断手法の診断的価値を下げることになる。かくして、それらの有用性は、バイオプシー試料を得るための疑われる領域の特定を容易とすることに制限される。
【0016】
前記したことをまとめると、以下の結論が導かれる:
a)種々の慣用的光分散分光学的技術(蛍光、弾性、非弾性散乱等)が提案されており、それは、病理学的組織の構造的特徴の変化のイン・ビボ検出に実験的に用いられている。これらの技術の主な不利は、それらが、空間的に均一でない組織の分析には不適切である点情報を提供することである。マルチバンドイメージングは、調べようとする領域のいずれかの空間点において、一般に分解能が低いスペクトル情報を提供することによってこの問題を解決する能力を有する。しかしながら、これらのイメージングおよび非イメージング技術は限定された診断的価値を提供する。なぜならば、組織の発生に伴う構造的組織変化は、測定されたスペクトルにおける有意かつ特徴的変化として現れないからである。その結果、取り込んだスペクトル情報は組織病理と直接的には相関できず、その事実はこれらの技術の臨床的有用性を制限する。
【0017】
b)慣用的(非スペクトル)イメージング技術は、二次元または三次元における診断的に重要なマッピング特徴の能力を提供する。それらは、基本的には、形態学的特長を測定するために、および臨床的書類作成ツールとして用いられる。
【0018】
c)特別の剤での病理学的組織の選択的染色に基づく診断方法は、正常および病理学的組織の間の光学コントラストの増強を可能とする。それにもかかわらず、それらは、病気のイン・ビボ同定および段階決定につき制限された情報しか提供しない。
【0019】
健康な組織との光学コントラストを増強させる剤と病理学的組織との選択的相互作用は動的現象である。従って、速度論的特性の測定および分析は組織病巣のイン・ビボ検出、同定および段階決定のための重要な情報を提供できることを示唆しているというのが合理的である。発明者の1人が共著者である以前の刊行物(C.Balas,A.Dimoka,E.Orfanoudaki,E.Koumandakis "In vivo assessment of acetic acid−cervical tissue interaction using quantitative imaging of back−scattered light: Its potential use for the in vivo cervical cancer detection, grading and mapping , SPIE−Optical Biopsies and Microscopic Techniques, Vol.3568pp.31−37,(1998))において、波長および時間の関数としての後方散乱光の特徴の変化の測定が提案されている。これらの変化は、酢酸溶液の局所投与によって頸部で起こる。この特別の場合において、選択された空間点における時間および波長の関数としての後方散乱光の強度の変化を測定するために、チューニング可能な液晶モノクロメーターの周りに形成された汎用マルチスペクトルイメージングシステムが用いられた。後方散乱光の強度−対−時間の曲線の線形状は、組織新形成の直接的同定および段階決定のための進んだ情報を提供することが判明した。同研究チームの未公表結果は、同様の結果が、正常および病理学的組織の間の光学コントラストを増強する特性を有する他の剤での得ることができることを示している。それにもかかわらず、公表された論文で使用された実験方法は:イメージングモノクロメーターはイメージング波長を変化させるのに時間がかかり、その結果、マルチスペクトルイメージングおよび動的現象の分析にそれは不適切である、のごときかなり多数の不利によって特徴付けられる。提示された曲線は選択された点における後方散乱光の強度の一時的変化を示すので、それは、組織病巣の程度のマッピングのための方法を構成しない。注目する領域のいずれかの空間点におけるデータモデリングおよび速度論データのパラメーター分析の欠如は、実験研究において該方法の有用性を制限し、その臨床的実施を妨げる。注目する領域のイメージングで用いるオプティックスは一般的目的のものであり、該方法の臨床的実施のための特別な技術的要件に合致しない。提示されたシステムの臨床的実施は、それが、スナップショットイメージング手法の間に、組織表面およびイメージ取り込みモジュールの間の相対的位置の安定性を確実とするための適切な手段を一体化しない事実によっても妨げられる。患者の小さな動き(すなわち呼吸)は実験手法の間に常に存在するので、これは非常に重要である。もし、剤の適用の後に、イメージが記録されつつある時に微小な運動が起これば、取り込んだイメージの空間的特長は正確でなくなるであろう。これは、マーカー−組織相互作用の速度論を表現するいずれかの空間点における計算の精度を実質的に低下させるであろう。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0020】
発明の概要
本発明は、組織試料に対する病理区別剤の効果をモニターする方法を提供する。該方法は、病理区別剤、例えば、酢酸を組織試料に適用し、経時的に組織試料の、発光スペクトルのごとき、スペクトル特性を測定し、それにより、組織試料に対する病理区別剤の効果をモニターすることを含む。該組織は:子宮の頸部、膣、皮膚、子宮、胃腸管または呼吸管からの試料であってよい。理論に拘束されるつもりはないが、病理区別剤は組織、例えば、異常な上皮の光散乱特性の一時的変化を誘導すると考えられる。
【0021】
もう1つの態様において、本発明は、対象において、組織異常性、例えば、組織異常型、組織形成異常、(頸部上皮内新形成、CINI、CINII、CINIIIのごとき)組織新形成、コンジロームまたは癌のイン・ビボ診断方法をその要旨とする。該方法は病理区別剤、例えば、酢酸溶液、または複数の酸性および塩基性溶液から選択された溶液の組合せを組織に適用することを含む。該方法は、さらに、対象における組織を光学的照射に暴露し、経時的に組織から発せられた光の強度をモニターし、それにより、対象における組織異常性を診断することを含む。該光学的照射は広バンド光学的照射、好ましくは偏光された光学的照射であってよい。
【0022】
本発明の非侵入的方法は組織異常性/変化のイン・ビボ早期検出で有用である。該方法は、また、組織異常型、形成異常、新形成および癌の発生の間に、上皮組織における異常性/変化の程度をマッピングするのに有用である。
【0023】
1つの具体例において、注目する組織領域を広バンド光学的照射で照射し、病理区別剤、例えば、変化した生化学的組成および/または細胞機能によって特徴付けられる病理組織領域と相互作用し、組織から再発光される光の特徴の一時的変化を引き起こす剤または剤の組合せと接触させる。組織から再発光される光は反射、散漫散乱、蛍光またはそれらの組合せもしくは亜組合せの形態であってよい。組織から発せされた光の強度は、例えば、与えられた時点において、または経時的に(例えば、剤−組織相互作用の持続の間に)、注目する組織領域の各空間点において同時に測定することができる。診断は、組織の光学的および化学的励起の前後に、与えられた時点に組織から再発光された光の特徴の変化の空間的分布の定量的評価に基づいて行うことができる。また、診断は、組織から再発光された光から得られた速度論曲線から計算されたパラメーターの空間的分布に基づいて行うこともできる。これらの曲線は、組織の光学的および化学的励起の間に、調査中の領域の各空間点で同時に測定される。
【0024】
本発明の1つの具体例において、組織照射の工程は、照射源によって発せられた光のスペクトル幅よりも狭いスペクトル幅の光学的照射に分析下の組織領域を暴露することを含む。もう1つの具体例において、光の強度を測定する工程は、そのスペクトル幅がディテクターの感度のスペクトル幅よりも狭いスペクトルバンドにおいて再発光された光の強度を測定することを含む。なおもう1つの具体例において、光の強度を測定する工程は、そのスペクトル幅がディテクターの感度のスペクトル幅よりも狭い複数のスペクトルバンドにおいて再発光された光の強度を同時に測定することを含む。
【0025】
なおもう1つの態様において、本発明は、組織異常型、形成異常、新形成および癌の発生の間に、上皮組織の生化学的および/または機能的特徴において引き起こされた、組織異常性/変化のイン・ビボ非侵入的早期検出およびこれらの組織異常性/変化の程度のマッピングのための装置をその要旨とする。該装置は、分析下の領域によって再発光された光を収集し、倍率を選択し、該領域のイメージの焦点を合わせるオプティックスを含む。また、該装置は、光学イメージングディテクター、注目する組織領域のイメージの変調、移動、表示および取り込みのための手段も含む。加えて、該装置は、データ保存、処理および解析手段を有するコンピューター、イメージ、曲線および数データを表示するためのモニター、注目する組織領域のイメージの光学的増幅のためのオプティックス、および注目する領域を照射するための光源を含むことができる。該装置は、イメージングおよび照射のスペクトルバンドを選択するための光学フィルター、光を透過させ、注目する領域を照射するための手段、制御エレクトロニクス、および所望により、データの解析および処理のためのソフトウエアも含むことができる。該ソフトウエアは、特定の時点における、かつ複数の時点のために、病理区別剤の投与の前後に、組織イメージの取り込みおよび保存を助けることができる。
【0026】
前記装置を用い、剤の投与の前後に、組織の光学的特徴の誘導された変化の速度論の特徴の空間的分布を表現するイメージまたは一連のイメージを創製することができる。イメージの画素値は、組織の光学的および化学的励起の前後における、与えられた時点に組織から発せられた光の強度の変化の空間的分布に対応する。パラメーターの空間的分布は、時間の関数としての画素灰色値に関連させることができる。前記関数は、測定され保存されたイメージから、および同一の空間座標を持つ画素の各列につき計算することができる。1つの具体例において、イメージングディテクターを濾過する光学工程は、そのスペクトル幅がディテクターの感度のスペクトル幅よりも狭い選択されたスペクトルバンドにおいて一時的に継続的イメージを記録するための、組織のイメージを形成する光線の光学経路に置かれる光学フィルターを含む。
【0027】
さらにもう1つの具体例において、イメージ増幅オプティックスは、注目する領域の2つの同一イメージを創製する光ビーム分割オプティックスを含む。イメージは、その前方に光学フィルターが位置する、2つのイメージングディテクターによって記録される。フィルターは、同一組織領域の一時的に継続するイメージの2つの群が同時に記録され、各1つが異なるスペクトルバンドに対応するように、ディテクターの感度のスペクトル幅よりも短いスペクトル幅を有する光を透過させることができる。
【0028】
もう1つの具体例において、イメージ増幅オプティックスは、注目する領域の複数の同一イメージの創製のための2つ以上のビームスプリッターを含む。イメージは、その前方に光学フィルターが置かれる複数のイメージングディテクターによって記録される。フィルターは異なる透過特徴を有し、ディテクターの感度のスペクトル幅よりも短いスペクトル幅の光を透過させることができる。かくして、同一組織領域の一時的に継続するイメージの複数の群が同時に記録され、各1つは異なるスペクトルバンドに対応する。
【0029】
さらなる具体例において、イメージ増幅オプティックスは、同一組織領域の一時的に継続するイメージの群が同時に記録され、各1つが異なるスペクトルバンドに対応するように、ディテクター感度のスペクトル幅よりも短いスペクトル幅の光を透過でき、かつ好ましくは異なる透過特徴を持つ光学フィルターがその前方に置かれている、複数イメージングディテクターによって記録される注目する領域の複数の同一イメージの創製のための1つのビームスプリッターを含む。
【0030】
なおさらなる具体例において、イメージ増幅オプティックスは、同一ディテクターの異なるサブ領域に記録される注目する領域の複数の同一イメージの創製のための1つのビームスプリッターを含む。異なる透過特徴を有する光学フィルターがスプリットビームの経路に置かれる。フィルターは、ディテクター感度のスペクトル幅よりも短いスペクトル幅の光を透過させることができる。同一組織領域の一時的に継続するイメージの複数の群がディテクターの異なる領域に同時に記録され、各1つは異なるスペクトルバンドに対応する。
【0031】
もう1つの具体例において、光源を濾過する工程は、照射光ビームの光学経路に置かれ、かつ用いられるディテクターの感度のスペクトル幅よりも短いスペクトル幅の光を透過する光学フィルターを含む。
【0032】
さらなる具体例において、光源を濾過する工程は、複数の光学フィルター、および照射光の経路に配置され、かくして、組織を照射する光の中央波長およびスペクトル幅をチューニングするのを可能とするフィルターを選択するためのメカニズムを供することを含む。
【0033】
もう1つの具体例において、注目する組織領域の生化学的および/または機能的特長に関連する変化の程度のマッピングは、注目する組織領域の記録された一時的に連続するイメージの群からの1つのイメージの画素値に基づく。
【0034】
さらなる具体例において、このマッピングは、注目する組織領域の記録された一時的に連続するイメージの群のメンバーである複数のイメージに属する画素値に基づく。
【0035】
もう1つの具体例において、このマッピングは、注目する組織領域の記録された一時的に連続するイメージの群のメンバーである複数のイメージに属する画素値から得られた数データに基づく。
【0036】
さらなる具体例において、異常な組織領域のマッピングで用いられるイメージまたは複数イメージの異なる画素値を異なる色で表す偽色彩スケールがマッピングの可視化で用いられる
1つの具体例において、上皮病巣の境界のイン・ビボ検出、および同定のために、イメージまたは複数イメージが用いられる。
【0037】
もう1つの具体例において、組織の生化学的および/または機能的特徴の変化の程度のマッピングにつき測定される、イメージまたは複数イメージの画素値は、上皮病巣のイン・ビボ同定および段階決定のための診断指標として用いられる。
【0038】
なおもう1つの具体例において、イメージおよび複数イメージは色彩または黒色上に重ねることができ、調査中の組織の同一領域の白色イメージはモニターに表示される。異常な組織領域は強調され、それらの境界は区別され、バイオプシー試料を採取するための代表的領域の選択、異常領域の選択的な外科的除去、および組織の適当なセクションを選択し除去するにおける精度の評価を容易とする。
【0039】
さらなる具体例において、放射線治療、核医学的処置、医薬治療、薬理学的治療および化学療法のごとき種々の治療様式の有効性の評価で、組織の生化学的および/または機能的特徴の変化の程度のマッピングにつき測定されるイメージまたは複数イメージが用いられる。
【0040】
もう1つの具体例において、分析下の領域において再発光された光を収集するためのオプティックスは、臨床診断調査、外科顕微鏡、膣鏡および内視鏡で用いられる顕微鏡で使用されるオプトメカニカル構成要素を含む。
【0041】
膣鏡適用に指向される本発明の1つの具体例において、装置は、検鏡、その上に光学ヘッドが付着される間節付きアームを含むことができる。光学ヘッドは屈折対物レンズ、焦点合わせオプティックス、倍率を選択するためのメカニズム、接眼レンズ、カメラを付着させるためのマウント、およびイルミネーターを含む。該検鏡は、検鏡の中央長手方向軸が対物レンズの中央領域に垂直となるように取り付けられる。かくして、検鏡が膣に挿入され、その中に固定されると、イメージ取り込みオプティクスの相対的位置および注目する組織領域の相対的位置は、女性対象の調査の間に起こる頸部の微小運動に拘わらず変化しないままである。
【0042】
さらなる具体例において、装置は、剤を送達するためのアトマイザーをさらに含むことができる。アトマイザーは装置の関節付きアーム−光学ヘッドに、および膣開口の前方に付着され、ここに、組織のスプレーイングが制御され、エレクトロニクス制御手段の助けを借りて一時的に連続するイメージの取り込み手法と同期化させることができる。
【0043】
本発明の装置のもう1つの具体例において、イメージ取り込みディテクター手段およびイメージ表示手段はカメラシステムを含む。カメラシステムは1000×1000画素を超える空間的分解能を持つディテクターおよび少なくとも17インチのモニター(対角)のモニターを有し、従って、イメージの品質を維持しつつ大きな視野と共に高倍率が確保される。
【0044】
臨床的診断調査で用いられる顕微鏡、外科的顕微鏡および膣鏡に指向される更なる具体例において、システムは、その上に光学ヘッドが付着される関節付きアームを含む。光学ヘッドは対物レンズ、焦点合わせオプティックス、倍率を選択するためのメカニズム、接眼レンズ、カメラを取り付けるためのマウント、イルミネーターおよび2つの直線偏光子を含む。1つの直線偏光子は照射光ビームの光学経路に配置され、他の直線偏光子は組織のイメージを形成する光線の光学経路に配置される。これらの偏光子の偏光面は回転させることができる。該面が相互に垂直である場合、形成されたイメージに対する組織の表面の反射の寄与は排除される。
【0045】
内視鏡に指向されるもう1つの具体例において、内視鏡は、組織表面に光源からの光を移動させる光学手段を含むことができる。該光学手段は、実質的に同一軸に沿って光線を収集しそれを移動させることも可能とする。光学的手段は組織のイメージを形成する光線の焦点合わせも可能とする。また、内視鏡は2つの直線偏光子を含むこともできる。1つの直線偏光子は照射光ビームの光学経路に配置され、他の直線偏光子は組織のイメージを形成する光線の光学経路に配置される。これらの偏光子の偏光面は回転させることができる。該面が相互に垂直である場合、形成されたイメージに対する組織の表面の反射の寄与は排除される。
【0046】
もう1つの具体例において、臨床的診断調査で用いられる顕微鏡、外科的顕微鏡および膣鏡は屈折レンズを置き換える反射対物レンズを含むことができる。反射対物レンズは、第2の反射鏡が光学前方開口の中央部分に配置されるように縮められる。この検鏡の後方の非反射部分において、照射手段が取り付けられ、それから光が物体に向けて発せされる。照射ズーミングおよび焦点合わせオプティックスの有無にかかわらず、発せられた光円錐の中央の光線は、イメージングレンズに進入する光ビームの中央光線と共軸である。光学イメージングシステムの倍率を変化させるためのメカニズムで同時かつ自動的に調整できる照射ズーミングおよび焦点合わせオプティックスの助けを借りて、照射された領域およびイメージングシステムの視野は同時にかつ比例して変化させることができる。倍率を増加させることによって引き起こられたイメージの明るさのいずれの現象も、照射ビームの同時ズーミングおよび焦点合わせで補償される。
【0047】
本発明は、さらに以下の方法、システム、装置を提供する。
(1) 病理区別剤を組織試料に適用し;
対象における該組織を光学的照射に暴露し;次いで、
該組織が該病理区別剤と相互作用した後に、該組織試料の動的光学特性を測定し、それにより、組織試料に対する病理区別剤の効果をモニターする;
ことを特徴とする組織試料に対する病理区別剤の効果をモニターする方法。
(2) 該病理区別剤が酢酸溶液である項目1に記載の方法。
(3) 該組織試料が子宮の頸部からの試料である項目1に記載の方法。
(4) 該組織試料が膣組織試料である項目1に記載の方法。
(5) 該組織試料が子宮組織試料である項目1に記載の方法。
(6) 該組織試料が皮膚組織試料である項目1に記載の方法。
(7) 該組織試料が口腔組織試料である項目1に記載の方法。
(8) 該組織試料が胃腸管組織試料である項目1に記載の方法。
(9) 該組織試料が呼吸管組織試料である項目1に記載の方法。
(10) 対象における組織を病理区別剤と接触させ;
該対象における該組織を光学的照射に暴露し;次いで、
該組織が該病理区別剤と相互作用した後に、該組織の動的光学特性をモニターに、それにより、対象における組織異常性を診断する;
ことを特徴とする対象における組織異常性のイン・ビボ診断方法。
(11) 該光学的照射が広バンド光学的照射である項目10に記載の方法。
(12) 該光学的照射が偏光された光学的照射である項目10に記載の方法。
(13) 該組織異常性が組織異常型、組織形成異常、組織新形成、
コンジロームおよび癌よりなる群から選択される項目10に記載の方法。
(14) 該組織異常性がいずれかの程度の新形成である項目10に記載の方法。
(15) 該組織異常性が頚部上皮内新形成である項目10に記載の方法。
(16) 該病理区別剤が酢酸溶液である項目10に記載の方法。
(17) 該組織試料が子宮の頚部からの試料である項目10に記載の方法。
(18) 該組織試料が膣組織試料である項目10に記載の方法。
(19) 該組織試料が子宮組織試料である項目10に記載の方法。
(20) 該組織試料が皮膚組織試料である項目10に記載の方法。
(21) 該組織試料が口腔組織試料である項目10に記載の方法。
(22) 該組織試料が胃腸管組織試料である項目10に記載の方法。
(23) 該組織試料が呼吸管組織試料である項目10に記載の方法。
(24) 該組織の動的光学特性が組織の各空間点においてモニターされる項目6に記載の方法。
(25) 正常な組織および異常な組織の間の動的光学特性の差を測定するためのディテクターを含み、該差は病理区別剤を組織に適用することによって増強させることができることを特徴とする組織異常性を診断するためのシステム。
(26) さらに、病理区別剤を組織に適用するためのアプリケーターを含む項目25に記載のシステム。
(27) アプリケーターがアトマイザーである項目26に記載のシステム。
(28) 病理区別剤が、異常組織の反射特徴を変更することができる項目25に記載のシステム。
(29) 病理区別剤が複数の酸性および塩基性溶液から選択される項目28に記載のシステム。
(30) 病理区別剤が、異常組織の蛍光特徴を変更することができる項目25に記載のシステム。
(31) 病理区別剤が複数のポルフィリンおよびポルフィリン前駆体から選択される項目30に記載のシステム。
(32) ディテクターが組織の動的光学特性を測定するための発光スペクトルを得るのに適した項目25に記載のシステム。
(33) ディテクターが、組織の動的光学特性を測定するための組織によって発せられた光を測定するのに適した項目25に記載のシステム。
(34) さらに、組織によって発せられた光を複数のビームに分割するためのビームスプリッターを含む項目33に記載のシステム。
(35) さらに、複数の光学フィルターを含み、フィルターの各々は、複数のビームの各々を濾過するために、特定のスペクトル範囲に渡って透過し、ここに、組織の動的光学特性が複数の濾過されたビームの各々につき測定することができる項目34に記載のシステム。
(36) さらに、組織に光を照射して、動的光学特性の差を得るための光源を含む項目25に記載のシステム。
(37) 光源がレーザーおよび発光ダイオードの少なくとも1つを含む項目25に記載のシステム。
(38) 組織に照射された光が第1の方向に直線偏光された項目25に記載のシステム。
(39) さらに、第1の方向に実質的に垂直な方向に、その上への照射光に応答して、組織から発せられた光を偏光するための直線偏光子を含み、それにより、組織表面反射から生じたディテクターに到達する光の寄与を低下させる項目38に記載のシステム。
(40) 光源およびディテクターが光学ヘッド上に含まれる項目36に記載のシステム。
(41) さらに、光学ヘッドに連結されたプローピングデバイスを含み、該プロービングデバイスは、組織および光学ヘッドの間の相対的運動が実質的に排除されるように組織にカップリングされている項目40に記載のシステム。
(42) 組織が膣組織を含み、プロービングデバイスが膣への挿入のための検鏡を含む項目41に記載のシステム。
(43) 組織が胃腸組織または呼吸組織を含み、プロービングデバイスが、各々、胃腸管または呼吸管への挿入のための内視鏡を含む項目41に記載のシステム。
(44) さらに、光源が、対物レンズの長手方向対称軸と実質的に共軸である対称軸を有する光円錐を発するように、反射対物レンズを含む項目41に記載のシステム。
(45) a.拡大分析下の組織によって再発光された光を収集し、組織のイメージの焦点合わせをするためのオプティックス;
b.光学イメージングディテクター;
c.組織のイメージを変調し、移動し、表示しおよび取り込むための手段;
d.データの保存、処理および解析手段を含むコンピューター;
e.イメージ、曲線および数字データを表示するためのモニター;
f. 組織のイメージの光学増幅のためのオプティックス;
g.組織を照射するための光源;
h.イメージングおよび照射のスペクトルバンドを選択するための光学フィルター;
i.光を透過させ、組織を照射するための手段;
j.制御エレクトロニクス;および
k.非典型的および病理学的組織領域の動的光学特性を変化させる剤または剤の組合せの投与の前後に、データを分析し、処理するための、および特定の時刻例におけるおよび複数の時刻例の間にイメージを取り込み、保存するためのソフトウエア、ここに、イメージは剤の投与前後において動的光学特性を得る助けになる;
を含むことを特徴とする組織異常性のイン・ビボ診断のための装置。
(46) 動的光学特性および組織の生化学的および/または機能的特徴とのそれらの対応性の可視化のために、イメージの異なる画素値の色を表す偽色彩スケールを用いる項目45に記載の装置。
(47) 上皮病巣の境界のイン・ビボ検出、マッピングおよび決定のためにイメージを用いる項目46に記載の装置。
(48) 上皮病巣のイン・ビボ同定および段階決定用の診断指標として用いられるべき組織の生化学的および/または機能的特徴を特徴付けるためにイメージの画素値を測定する項目47に記載の装置。
(49) 正常組織および異常組織の間の動的光学特性の差を測定するためのディテクター、ここに、該差は、病理区別剤を組織に適用することによって増強させることができ;
組織に光を照射するための光源、ここに、光源およびディテクターは光学ヘッド上に含まれ;
光学ヘッドに連結されたプロービングデバイス、ここに、該プロービングデバイスは、組織および光学ヘッドの間の相対的運動が実質的に排除されるように組織にカップリングされており;および
病理区別剤を組織に適用するためのアプリケーター;
を含むことを特徴とする組織異常性を診断するためのシステム。
(50) 組織が膣組織を含み、プロービングデバイスが膣への挿入のための検鏡を含む項目49に記載のシステム。
(51) 組織が胃腸組織および呼吸組織を含み、プロービングデバイスが、各々、胃腸管または呼吸管への挿入のための内視鏡を含む項目49に記載のシステム。
(52) さらに、
組織によって発せられた光を複数のビームに分割するためのビームスプリッター;
複数の光学フィルター、フィルターの各々は、複数のビームの各々を濾過するために、特定スペクトル範囲に渡って透過し、ここに、組織の動的光学特性は複数の濾過されたビームの各々につき測定することができる;
を含む項目49に記載のシステム。
(53) 組織に照射された光が第1の方向に直線偏光された項目49に記載のシステム。
(54) 第1の方向に実質的に垂直な方向に、その上への光照射に応答して、組織から発せられた光を偏光するための直線偏光子を含み、それにより、組織表面反射から生じたディテクターに到達する光の寄与を低下させる項目53に記載のシステム。
【0048】
本発明の他の特徴および利点は以下の詳細な記載および請求の範囲から明らかであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
発明の詳細な記載
本発明は、組織、例えば、対象内の組織の生化学的および/または機能的変化のイン・ビボでの非侵入的検出およびマッピングのための方法およびシステムに指向される。(組織の病理に依存する)正常および病理学的組織の間の光学的コントラストを増強する適当な病理区別剤の選択に際し、この剤は例えば組織に局所投与される。
【0050】
本明細書中で用いるごとく、病理区別剤は、組織の光学的特性を変化させることができるいずれかの剤、例えば、組織の反射特徴または蛍光特徴を変化させることができる剤である。病理区別剤は酢酸溶液、塩基性溶液、ポルフィリン溶液またはポルフィリン前駆体溶液とすることができる。本発明の方法で用いられる病理区別剤の好ましい例は酢酸溶液、例えば弱酢酸溶液、または5−アミノルベリン酸を含む。
【0051】
図1において、組織(T)は、剤、例えば、酢酸を含有するアトマイザー(A)を用いてスプレーされる。同時に、剤および組織双方の光学的特徴に依存する特異的スペクトルバンド内に周波数を有する光を発する源で組織を照射する。源から発せられた光の特徴は、特定の源(LS)および光学フィルター(OFS)を選択することによって制御することができる。組織を照射するための光源は発光ダイオードおよびレーザーを含む。
【0052】
注目する領域をイメージングするには、イメージを二次元の光学ディテクター(D)に焦点合わせする光収集オプティックス(L)を用いることができる。適当なエレクトロニクス(EIS)の助けを借りて、後者の出力シグナルを増幅し、変調しデジタル化し、最後に、イメージをモニター(M)で表示し、パーソナルコンピューター(PC)のデータ−保存手段に保存する。組織(T)およびディテクター(D)の間には、光学フィルター(OFI)を設けることができる。フィルターは選択されたスペクトルバンドにおける組織(T)イメージングのために間に置くことができ、その時点で、適当な剤の投与後にそれらの光学的特徴の変化の異なる程度に従う領域の間で最大のコントラストが得られる。
【0053】
後者の投与の前に、イメージを得て、参照として用いることができる。剤が投与された後に、ディテクター(D)は継続的時刻の例において組織のイメージを取り込むのを助けて、これは、次いで、コンピューターのデータ−保存手段に保存される。測定速度は、剤の投与の後に、組織の光学特徴が変化する速度に比例する。
【0054】
本明細書中で用いるごとく、光学特性Pは、電磁波と物質試料、例えば、対象内の組織のごとき組織との相互作用から生起する特性である。例えば、特性は、吸収、発光、またはラーマンスペクトルによって表されるごとく、それが物質と相互作用した後の光の強度であり得る。動的光学特性は、時間−依存性光学特性P(t)から得られた特性であり、それは、1を超える時点におけるP(t)の測定から決定される。例えば、動的光学特性は緩和時間、またはP(t)の時間積分であり得る。
【0055】
図1において、剤(STI)の投与の前後に順次保存された同一組織領域のイメージが模式的に示される。これらのイメージにおいて、剤の投与の後に、黒色の領域は、それらの光学特徴を変化させない組織領域を表し(NAT)、他方、灰色−白色色調は、それらの光学特徴を変化させる領域を表す(AT)。分析下の所定の時刻例における組織領域の各空間点から再発光された光の強度の同時取り込みは、誘導された変化の速度論の計算を可能とする。
【0056】
図1において、2つの曲線が示される:位置xy(PVxy)における画素値−対時間t。曲線ATCは、剤の投与が組織の光学特徴の変化を誘導した領域(AT)に対応する。曲線(NATC)は、変化が起こらなかった領域(NAT)に対応する。
【0057】
各画素(x,y)は、一般に時間に依存する強度Iのごとき画素値に関連し得る。例えば、時刻tiおよび画素(x,y)において、画素値はPVxy(ti)によって示すことができる。特定の画素(x,y)における画素値−対−時刻を測定することによって得ることができる1つの有用な動的スペクトル特性は緩和時間trel(x,y)である。PVxy−対−時間曲線の最大をAによって示すと、trel(x,y)はPVxy(trel)=A/Eを満たし、ここに、Eは自然対数の底である。例えば、もし画素値−対−時間曲線が緩和速度r、PVxy(t)=A exp(−rt)(ここに、r>0)にて指数関数によって近似できるならば、trel(x,y)=1/rである。
【0058】
分析下の領域の各空間点におけるこれらのパラメータ(P)の計算は、これらのパラメーターと相関する画素値にて、速度論情報(KI)が得られることを可能とする。これらの値は偽色彩(Pmin,Pmax)のスケールで表すことができ、その空間的分布は誘導された変化の強度および程度の直後の光学的評価を可能とする。誘導された変化の強度および程度の間の度合いと組織病巣の病理および段階との相関に応じて、測定された定量的データおよび誘導されたパラメーターは病巣のマッピング、特徴付けおよび境界−ライニングを可能とする。1以上のパラメーターの空間的分布を表す現象の速度論(KI)の偽色彩イメージは(計算された後に)組織イメージ上に重ねることができ、これはリアルタイムにてモニターで表示される。ガイドとして重ねたイメージを用いると、全病巣の首尾よい外科的除去のために、またはバイオプシー試料を得るのに疑われる領域を突き止めるために、病巣の境界の同定を容易とする。さらに、現象の速度論と組織の病理との相関に基づき、測定された定量的データおよびそれから導かれたパラメーターは、病巣または後者のサブ領域のイン・ビボ段階決定のための定量的臨床指標を提供することができる。
【0059】
いくつかの場合において、2つ以上のスペクトルバンドにおける現象の速度論を取り込む必要がある。これは、照射のイン・ビボ測定および/または最大診断シグナルが得られるスペクトルバンドのイメージングにおいて助けとなり得る。さらに、2つ以上のスペクトルバンドにおける同時イメージングは、望まない内因性散乱、蛍光および組織の反射の、ディテクターによって測定された光学シグナルへの寄与を最小化するのに助けとなり得る。測定された光学シグナルは、マーカー−組織相互作用によって生じた光学シグナルおよび組織の内因性構成要素から発せられた光を含む。多くの場合、組織の構成要素の記録された応答はノイズを構成する。というのは、それは、診断情報を運ぶ生じた光学シグナルを閉塞するからである。従って、それらの特定のスペクトル特徴に基づくこれらのシグナルの分離の結果、シグナル−対−ノイズの比の最大化および、その結果としての、得られた診断情報の改良がもたらされる。
【0060】
図2は、コントラスト増強剤の投与の前後での、同時に2つのスペクトルバンドにおける、および分析下の領域のいずれかの空間点における、組織から発せされた光の特徴の変化の速度論を測定する方法を示す。組織から発せられた光は光学イメージングモジュール(L)によって収集され焦点合わせされ、ビーム分割(BSP)光学エレメントを通過する。かくして、組織(T)の2つの同一イメージが生じ、これは2つのディテクター(D1,D2)によって取り込むことができる。ディテクターの前方において、適当な光学フィルター(Ofλ1)、(Ofλ2)を置くことができ、従って、異なるスペクトル特徴を持つイメージが取り込まれる。ビームスプリッター以外に、光学フィルター、二色性鏡等もまた物体のイメージを分割するのに用いることができる。ディテクター(D1)、(D2)が、コンピュータのデータ保存手段に保存される組織(Tiλ1)(Tiλ2)の対応するスペクトルイメージを同時および順次の時間間隔で取り込むするようにそれらのディテクターを同期化させる。一般に、複数のスペクトルイメージは、複数の分割エレメント、フィルターおよび源を組み合わせることによって同時に取り込むことができる。
【0061】
図3は、コントラスト増強剤の投与の前後にて、同時に異なるスペクトルバンドにおいて、および分析下の領域のいずれかの空間点において、組織から発せられた光の特徴の変化の速度論を取り込むためのもう1つの方法を示す。特殊なプリズム(MIP)およびイメージングオプティックスの助けを借りて、同一ディテクター(D)の表面に同一イメージの複数コピーを形成することが可能である。複数のイメージが異なるスペクトル領域iに対応するように、種々の光学フィルター(OFλ1)、(OFλ2)、(OFλ3)および(OFλ4)を、対象のイメージのコピーを形成する光線の光学経路の長さに沿って重ねることができる。
【0062】
本発明の方法の臨床的使用では、前記したイメージングの異なる実施を従来の光学イメージング診断デバイスに組み込むことができる。そのようなデバイスは、組織のイン・ビボ診断検査に通常に使用される種々の医療顕微鏡、膣鏡および内視鏡である。ヒト身体の内部組織のイメージングは、ほとんどの場合、身体のキャビティーを通って同一光学経路に沿って移動する照射およびイメージング光線を必要とする。その結果、通常の光学診断デバイスにおいては、組織の表面反射が形成されたイメージに実質的に寄与する。これは表面下特徴についてのイメージング情報を制限し、これは、一般に診断の大きな重要性である。この問題は、粘液および唾液のごとき流体によって被覆される、頸部、喉頭および口腔のような上皮組織で特に深刻となる。表面反射は、正常および病理学的組織の間の光学コントラストを増強させる剤の投与の後に誘導された組織の光学特性の変化の検出および測定を阻害する。より詳しくは、剤が病理学的組織の散乱特徴を選択的に変化させると、病理学的(剤応答性)および正常(剤非応答性)組織領域双方で起こる強力な表面反射は、剤と組織の表面下特徴との相互作用から生じる診断シグナルを閉塞する。換言すれば、表面反射は、診断シグナルにおいて光学ノイズを構成し、剤応答性および剤非応答性組織領域の間の認識されるコントラストを実質的に劣化させる。
【0063】
前記したイメージングデバイスを用いる正確な診断では、適切なオプティックスを用いて、表面反射から生じるノイズを排除することができる。図4は光源(LS)、倍率選択メカニズム(MS)、接眼レンズ(EP)およびイメージ取り込みモジュール(CA)、(ディテクター(類)、リードアウトエレクトロニクス等)を取り付けるためのマウントを含む医療顕微鏡の模式的ダイアグラムを示す。表面反射を排除するには、直線偏光子の対を使用する。源からの光は直線偏光子(LPO)を通過し、直線偏光された光(LS)が得られ、次いで、組織に衝突する、表面反射された光(TS)は入射光線と同一の偏光面を有する(フレスネル反射)。第1のものに対して直角向きのもう1つの直線偏光子(IPO)を組織から発せられた光の経路に置くことによって、表面反射された光の寄与は排除される。表面反射されなかった光は組織に進入し、そこで、複数の散乱により光偏光がランダム化される。次いで、再発光された光の一部はイメージング偏光オプティックスを通過し、表面下特徴についての改良された情報を運ぶ。
【0064】
図5は、電子イメージングシステムに適合させることができる接眼レンズ(EP)、および照射およびイメージ光線双方の透過用の光ファイバーまたは結晶を含む内視鏡を示す。内視鏡は照射光線(LE)の光学経路に配置された第1の直線偏光子(LPO)、および組織(II)によって発せられた光の経路に配置された、第1のものに直角に向けられた第2の偏光子(IPO)を含む。偏光子(LPO)は図面に示されたごとく配することができ、あるいは、ここに、光は内視鏡(IL)に進入する。後者の場合において、内視鏡は、光を移動させるための偏光維持結晶またはファイバーオプティックスを用いて構成されなければならない。偏光維持光透過媒体を用いれば、イメージング光線のための偏光子を、接眼レンズ(EP)の前方または後方にそれらの経路に配することができる。
【0065】
前記した方法の効果的な臨床実施についての問題は、同一組織領域のスナップショットイメージングの間に存在する患者の微小な運動を含む。この問題は、患者が麻酔にかかっている状態(切開手術)にあれば排除される。しかしながら、ほとんどの場合には、継続的イメージ取り込みの場合に起こるイメージ取り込みモジュールに対する組織の運動の結果、調査中の組織領域の同一空間点x,yに正確には対応しない同一イメージ座標を持つイメージ画素が生じる。この問題は典型的には膣鏡で遭遇する。組織およびイメージ取り込みモジュールの間の相対的運動の測定された一時的データに対する影響を排除する方法は下に示す。
【0066】
図6に示された膣鏡装置は、それに光学ヘッド(OS)が取り付けられた関節付アーム(AA)を含む。該ヘッド(OH)は光源(LS)、対物レンズ(OBJ)、接眼レンズ(EP)および倍率を選択するためのオプティックス(MS)を含む。イメージ取り込みモジュールはオプトメカニカルアダプタを通じて光学ヘッド(OH)に取り付けられる。頸部の可視化のために膣管を開けるのに用いられる検鏡(KD)は、光学ヘッド(OS)に機械的に結合され、従って、その長手方向対称軸(LA)は対物レンズ(OBJ)の中央領域に垂直である。膣鏡は膣に進入し、そのブレードは膣の側壁の圧縮を開ける。光学ヘッド(OH)と機械的に連結する検鏡(KD)は患者のいずれの微小な運動も光学ヘッド(OH)に伝え、そのヘッドは関節付アーム(AA)に設けられ、これらの運動に追従する。かくして、組織および光学ヘッドの間の相対的な位置はほとんど一定のままである。
【0067】
本明細書中に記載した診断方法の成功した臨床実施にやはり向けられなければならない重要な論点は、スナップショットイメージング手法の開始と病理区別剤の適用との同期化である。図6は顕微鏡の光学ヘッドに取り付けられたアトマイザー(A)を示す。ユニット(MIC)は剤スプレイヤーを制御するためのエレクトロニクスからなり、それは、剤を貯蔵するための容器も一体化させることができる。ユニット(MIC)がコンピューターから適切な命令を受け取ると、それは所定量の剤を組織表面にスプレーし、他方、同一またはもう1つの命令はスナップショットイメージ取り込み手法を開始させる。
【0068】
ヒト身体のキャビティー(耳、頸部、口腔、食道、結腸、胃)に位置した非直接的に接近可能な組織の診断調査は通常の臨床的顕微鏡の助けを借りて行われる。これらのデバイスにおいては、照射−イメージング光線は共軸に近い。より詳しくは、光の空気への出口点に垂直な線、および対物レンズに垂直な線は数度の角度を形成する。その結果、これらの顕微鏡は対象から特定の距離(ワーキング距離)で操作され、ここに、照射された組織領域はイメージングシステムの視野と一致する。これらの顕微鏡は、直径の小さいヒト身体キャビティーを通じての、かつ短いワーキング距離での組織イメージングが必要な場合には不適切であることが判明している。これらの技術の制限は、本明細書中に記載した方法の首尾よい臨床的実施を妨げる。前記したごとく、表面反射の排除の結果、マーカー−組織相互作用速度論の定量的評価から得られる診断情報の実質的改良がもたらされる。もし通常の臨床顕微鏡が光学イメージングモジュールとして使用されれば、前記した照射−イメージング幾何学の結果、分析下の組織に光が到達する前に複数の反射がキャビティーの壁で起こる。膣に挿入されて頸部の観察を容易とする検鏡のかなり反射するブレードのため複数の反射は膣鏡でより多い。
【0069】
もしイメージング装置のイリュミネーターが直線偏光された光を発するならば、複数反射は入射光の偏光面をランダム化する。前記したごとく、もし組織に衝突する光が直線偏光されないならば、イメージに対する表面反射の寄与の排除は効果的とはなり得ない。
【0070】
図7は、その前面−開口の中央部分に位置した光源を含む光学イメージング装置を示す。この配置にて、発せられた光円錐の中央光線が、イメージング装置に進入する光ビームの中央光線と共軸である。これは、複数反射がキャビティーの壁または検鏡で起こる前に調査中の組織表面に照射光線が直接到達することを可能とする。第1の反射(1RM)および第2の反射(2RM)鏡を含む反射−対物レンズが用いられる。光源(LS)は、必要なズーミングおよび焦点合わせ(SO)のごとき光ビーム操作用のオプティックスと共に、第2の反射光(2RM)の後方に配置される。従来の顕微鏡で用いられている通常の屈折−対物レンズを置き換えることによって反射−対物レンズ(RO)は、ワーキング距離を選択する自由度を持つ小さな直径のキャビティーにおいてイメージング能力を提供する。光ビームのズーミングおよび焦点合わせオプティックスは、イメージングシステムの照射領域および視野が同時にかつ比例して変化するように、光学イメージングシステムの倍率を変化させるためのメカニズムと同時に調節することができる。かくして、イメージの明るさはレンズの倍率レベルとは無関係に維持される。光ビーム操作オプションと共に、この光学イメージング装置で具体化されたイメージング−照射幾何学は、イメージに対する表面反射の寄与を排除するのに助けとなり、その結果、本明細書中に記載された方法を効果的に実施する助けとなる。
【0071】
同等物
当業者であれば、通常の実験を用いるだけで、本明細書中に記載した発明の特別の具体例に対して多くの同等物を認識するか、あるいはそれを確認することができよう。そのような同等物は前記特許請求の範囲に含まれることを意図する。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】図1は本発明の方法の基本的な原理の模式図である。
【図2】図2は、コントラスト増強剤の投与の前後での、同時に2つのスペクトルバンドにおいて、および分析下の領域のいずれかの空間点において、組織から再発光された光の特徴の変化の速度論を捕らえるための方法を含む本発明の具体例を示す。
【図3】図3は、コントラスト増強剤の投与の前後での、同時に異なるスペクトルバンドにおいて、および分析下のいずれかの空間点において、組織から再発光された光の特徴の変化の速度論を捕らえるための方法を含む本発明のもう1つの具体例を示す。
【図4】図4は、光源(LS)、倍率選択メカニズム(MS)、接眼レンズ(EP)、およびイメージ取り込みモジュール(CA)、(ディテクター(類)、リードアウトエレクトロニクス等)を取り付けるためのマウントを含む、医療顕微鏡の模式的ダイアグラムを示す。
【図5】図5は、エレクトロニックイメージングシステムに結合させることができる接眼レンズ(EP)、照射およびイメージ光線双方の透過のための光ファイバーまたは結晶、光の直線偏光用のオプティックス(1つは照射光線(LE)の光学経路に配置され、1つは組織(II)の光学イメージを形成する光線の経路に設けられる)を含む内視鏡を示す。
【図6】図6は、光源(LS)、対物レンズ(OBJ)、接眼レンズ(EP)および倍率を選択するためのオプティックス(MS)を含む、それに光学ヘッド(OH)が取り付けられた、関節付アーム(AA)を含む膣鏡装置を示す。
【図7】図7は、その前方−開口の中央部分に位置する光源を含む光学イメージング装置を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動的光学特性を測定及びマッピングするイメージングシステムであって、
a.分析対象の生体組織試料からの発光を収集して焦点処理する光学機器と、
薬剤の利用前後に生体組織試料の複数のイメージを捕獲するためのデータデジタル化ボード及びコンピュータに接続されたイメージング検出器とを含んだ光学イメージングヘッドと、
b.分析対象の生体組織試料に病理区別剤を適用するアプリケータと、
c.データ保存、処理及び分析ソフトウェア並びにハードウェアを含んだコンピュータと、
d.イメージ、データ曲線及び数値データを表示するモニターと、
e.ブロードバンドの連続波光線で生体組織試料を照射する光源と、
f.イメージング及び照明のスペクトルバンドを選択するための光学フィルターと、
を含んで構成され、本イメージングシステムは、前記イメージ内、画素値が記録された時刻(ti任意のXY空間に対応する画素値PVXYから、検査対象生体組織試料のいかなる空間位置で得られる画素値(PVXY)対時間の曲線のモデル化並びにパラメータ分析も実行するようにプログラムされており、前記曲線から動的光学特性を表すパラメータを計算し、動的光学特性を表す前記パラメータの空間分布を表すイメージを創出して表示することを特徴とするシステム。
【請求項2】
発光収集及び焦点処理する光学機器はレンズ、医療顕微鏡、外科顕微鏡及び膣鏡から選択されることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項3】
発光収集及び焦点処理する光学機器はイメージ拡大用光学機器をさらに含んでいることを特徴とする請求項2記載のシステム。
【請求項4】
発光収集及び焦点処理する光学機器は内視鏡であることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項5】
光学イメージング検出器は二次元センサーアレイであることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のシステム。
【請求項6】
光学イメージング検出器は複数の二次元センサーアレイを含んでいることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のシステム。
【請求項7】
光学イメージング検出器はCCDセンサーであることを特徴とする請求項5または6記載のシステム。
【請求項8】
複数の二次元センサーアレイから同時的に捕獲される複数の同一イメージにイメージを分割するビーム分割光学機器をさらに含んでいることを特徴とする請求項6または7記載のシステム。
【請求項9】
イメージングのスペクトルバンドを選択する光学フィルターは、センサー感度のスペクトル幅よりも狭い特定スペクトル幅で伝達する光学フィルターを含んでいることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のシステム。
【請求項10】
光学フィルターは、複数のスペクトルバンドで同時的に経時連続的イメージを記録するために、同一イメージを形成する光線の光学通路に設置されることを特徴とする請求項9記載のシステム。
【請求項11】
生体組織試料を照射する光源は光学の可視領域の光を発光することを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載のシステム。
【請求項12】
生体組織試料を照射する光源は白光源の発光光学範囲の幅よりも狭い光学幅の光線を発光することを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載のシステム。
【請求項13】
生体組織試料を照射する光源は発光ダイオード(LED)であることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載のシステム。
【請求項14】
発光収集及び焦点処理する光学機器は第1反射鏡と第2反射鏡とを含んだ反射対物レンズをさらに含んでいることを特徴とする請求項2または3記載のシステム。
【請求項15】
光源は第2反射鏡の背後に設置されることを特徴とする請求項11から14のいずれかに記載のシステム。
【請求項16】
第1方向に照射光を偏光する偏光器をさらに含んでいることを特徴とする請求項1から15のいずれかに記載のシステム。
【請求項17】
光源を偏光する偏光器をさらに含んでおり、第1方向とは実質的直角である第2方向に生体組織試料のイメージを形成し、記録イメージに対する表面反射光の影響を実質的に排除することを特徴とする請求項16記載のシステム。
【請求項18】
光学ヘッドの支持及び設置のための物理的支持手段をさらに含んでいることを特徴とする請求項1から17のいずれかに記載のシステム。
【請求項19】
生体組織試料の可視化及びイメージングを行うプローブ装置をさらに含んでいることを特徴とする請求項1から18のいずれかに記載のシステム。
【請求項20】
プローブ装置は開孔器であり、生体組織試料は子宮頚部のものであることを特徴とする請求項19記載のシステム。
【請求項21】
光学ヘッドをプローブ装置あるいは開孔器と接続する機械的シャフトをさらに含んでおり、生体組織試料と光学ヘッドとの間の相対的運動は実質的に排除され、時間的連続的に捕獲されたイメージは実質的に整合されていることを特徴とする請求項19または20記載のシステム。
【請求項22】
薬剤のアプリケータはアトマイザーを含んでおり、該薬剤を生体組織試料上に噴霧することを特徴とする請求項1から21のいずれかに記載のシステム。
【請求項23】
アトマイザーと連結された薬剤保存用の容器をさらに含んでいることを特徴とする請求項22記載のシステム。
【請求項24】
薬剤アプリケータの状況を感知して制御し、感知した薬剤アプリケータ状況に基づいてイメージ捕獲手順を開始させる開始信号にセンサーデータを変換するためのセンサーと電子機器とをさらに含んでいることを特徴とする請求項22または23記載のシステム。
【請求項25】
画素値(PVXY)対時間の曲線は、薬剤により誘引された一過性光学効果有効期間中の組織の光学特性の薬剤誘引変化の動態を表していることを特徴とする請求項1から24のいずれかに記載のシステム。
【請求項26】
動的光学特性は緩和時間(trel(x,y))、P(t)=Aの最大値及びその値に到達する時間、薬剤で誘引された一過性光学効果の有効期間により決定される一定期間のP(t)整数対時間の曲線を含むパラメータ群から選択されることを特徴とする請求項1から25のいずれかに記載のシステム。
【請求項27】
パラメータは、従来方法で得られた診断に値を相関させることで病状表示に変換されることを特徴とする請求項26記載のシステム。
【請求項28】
病状表示の空間分布は病状イメージを含んでいることを特徴とする請求項27記載のシステム。
【請求項29】
動的光学特性または病状イメージは偽色彩のスケールで表されることを特徴とする請求項1から28のいずれかに記載のシステム。
【請求項30】
偽色彩動的光学特性または病状イメージは生体組織試料イメージに重ねられることを特徴とする請求項29記載のシステム。
【請求項31】
偽色彩動的光学特性または病状イメージは生体組織試料のリアルタイムの表示イメージに重ねられることを特徴とする請求項29記載のシステム。
【請求項32】
生体組織試料の動的光学特性イメージは薬剤誘引変化の程度の空間分布を表すマップを含んでいることを特徴とする請求項1から31のいずれかに記載のシステム。
【請求項33】
異常な生体組織試料領域の病状イメージは、病状程度を決定する生物化学的、機能的あるいは構造的病状変化の程度を表すマップを含んでいることを特徴とする請求項27から31のいずれかに記載のシステム。
【請求項34】
マッピングは1イメージの画素値に基づいていることを特徴とする請求項1から33のいずれかに記載のシステム。
【請求項35】
マッピングは複数のイメージの画素値に基づいていることを特徴とする請求項1から33のいずれかに記載のシステム。
【請求項36】
マッピングは複数のイメージの画素値から導かれた数値データに基づいていることを特徴とする請求項1から33のいずれかに記載のシステム。
【請求項37】
薬剤は酸性溶液及び塩基性溶液から選択されることを特徴とする請求項1から36のいずれかに記載のシステム。
【請求項38】
酸性溶液は酢酸溶液であることを特徴とする請求項1から36のいずれかに記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−220977(P2008−220977A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−115094(P2008−115094)
【出願日】平成20年4月25日(2008.4.25)
【分割の表示】特願2001−570178(P2001−570178)の分割
【原出願日】平成13年3月28日(2001.3.28)
【出願人】(503050685)フォース フォトニクス リミテッド (4)
【氏名又は名称原語表記】Forth Photonics Limited
【Fターム(参考)】