説明

組電池

【課題】 単電池の集電体や電極端子における内部抵抗をより一層低減させることで、組電池全体の内部抵抗を低減させうる手段を提供する。
【解決手段】 2n角形の外装の内部に、前記外装と略同一の形状を有する電池要素が封止され、前記電池要素に接続されたn枚の正極端子25が前記外装のそれぞれ異なる辺から導出し、前記電池要素に接続されたn枚の負極端子27が前記外装の前記正極端子の導出する辺以外のそれぞれ異なる辺から導出するシート状電池20mが、複数個直列に接続されてなる組電池であって、第m+1個目に接続される前記シート状電池の正極端子は第m個目に接続される前記シート状電池の負極端子と1対1に接続され、第m+1個目に接続される前記シート状電池の負極端子は第m+2個目に接続される前記シート状電池の正極端子と1対1に接続される、組電池により、上記課題は解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組電池に関する。詳細には、本発明は、組電池を構成する個々の単電池を接続する形態の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、大気汚染や地球温暖化に対処するため、二酸化炭素量の低減が切に望まれている。自動車業界では、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)の導入による二酸化炭素排出量の低減が期待されており、これらの実用化の鍵を握るモータ駆動用電池の開発が盛んに行われている。
【0003】
モータ駆動用電池としては、繰り返し充電が可能な二次電池の使用が提案されており、なかでも、軽量化および小型化のために有用なシート状電池が注目を集めている(例えば、特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開2004−179053号公報(第14頁、図8)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、前記特許文献1に記載の電池1個のみでは、その構造上、出力(電圧)が比較的小さい。このため、出力(電圧)の比較的小さいシート状電池(単電池)を複数個直列に接続し、出力(電圧)の比較的大きい組電池とする方法が考えられる。
【0005】
前記特許文献1に記載のシート状電池においては、正極端子および負極端子が、電池の対向する短辺からそれぞれ導出している。かような構造のシート状電池をバスバーを用いて直列に接続すると、放電時にシート状電池の負極端子側から流入した電流は、正極端子側から流出するまでに、集電体を略全長にわたって流れる必要があり、集電体における内部抵抗が比較的大きく、電池使用時の熱の発生やこれに伴う電池要素の劣化が問題となる。この組電池全体の内部抵抗を低減させるには、この集電体における内部抵抗を低減させることが有効である。また、電極端子の断面積も比較的小さいため、端子部分における内部抵抗を低減させる余地も未だに残されている。
【0006】
そこで本発明は、単電池の集電体や電極端子における内部抵抗をより一層低減させることで、組電池全体の内部抵抗を低減させうる手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、2n角形の外装の内部に、前記外装と略相似形である電池要素が封止され、前記電池要素に接続されたn枚の正極端子が前記外装のそれぞれ異なる辺から導出し、前記電池要素に接続されたn枚の負極端子が前記外装の前記正極端子の導出する辺以外のそれぞれ異なる辺から導出するシート状電池が、複数個直列に接続されてなる組電池であって、第m+1個目に接続される前記シート状電池の負極端子は第m個目に接続される前記シート状電池の正極端子と1対1に接続され、第m+1個目に接続される前記シート状電池の正極端子は第m+2個目に接続される前記シート状電池の負極端子と1対1に接続される、組電池である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、組電池を構成する単電池の集電体および電極端子における内部抵抗がより一層低減されうる。これにより、組電池全体の内部抵抗が効果的に低減されうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明するが、本発明の技術的範囲は特許請求の範囲の記載に基づいて定められるべきであり、以下の形態のみには制限されない。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0010】
(第1実施形態)
本発明の第1は、2n角形の外装の内部に、前記外装と略相似形である電池要素が封止され、前記電池要素に接続されたn枚の正極端子が前記外装のそれぞれ異なる辺から導出し、前記電池要素に接続されたn枚の負極端子が前記外装の前記正極端子の導出する辺以外のそれぞれ異なる辺から導出するシート状電池が、複数個直列に接続されてなる組電池であって、第m+1個目に接続される前記シート状電池の負極端子は第m個目に接続される前記シート状電池の正極端子と1対1に接続され、第m+1個目に接続される前記シート状電池の正極端子は第m+2個目に接続される前記シート状電池の負極端子と1対1に接続される、組電池である。
【0011】
図1は、本実施形態(第1実施形態)の組電池の一部を示す部分平面図である。図1に示す組電池10においては、組電池10を構成する個々の単電池(シート状電池20)が平面方向に接続されている。なお、図1においては、説明の便宜上、組電池10の第m個目〜第m+3個目に接続される4個のシート状電池20〜20m+3を示す。ただし、本発明の組電池を構成するシート状電池の数は特に制限されず、組電池の所望の出力等を考慮して適宜決定されうる。
【0012】
図1に示す形態の組電池10において、組電池10を構成する個々のシート状電池20は、正極、負極、電解質層(セパレータ)などからなる実際に充放電反応が進行する電池要素21が、外装であるラミネートシート29の内部に封止された構造を有する。ここで、ラミネートシート29および電池要素21は、略正方形である。
【0013】
電池要素21の構成要素である正極、負極、電解質層(セパレータ)などは積層されている。電池要素21の構成要素の積層数は、シート状電池20の所望の電池特性に応じて決定される。また、シート状電池20の大きさも、シート状電池20の所望の電池特性や設置環境に応じて決定される。
【0014】
図1に示す組電池10を構成する個々のシート状電池20において、電池要素21に接続された正極端子25は、略正方形のラミネートシート29の対向する2辺(例えば、図1中のシート状電池20m+1における辺ABおよび辺CD)から導出している。一方、電池要素21に接続された負極端子27は、ラミネートシート29の他の2辺(例えば、図1中のシート状電池20m+1における辺BCおよび辺DA)から導出している。
【0015】
図1に示す組電池10において、第m+1個目に接続されるシート状電池20m+1の負極端子27は、第m個目に接続されるシート状電池20の正極端子25と、バスバー40を介して1対1に接続されている(図1中の接続部30を参照)。さらに、図1に示す組電池10において、第m+1個目に接続されるシート状電池20m+1の正極端子25は、第m+2個目に接続されるシート状電池20m+2の負極端子27と、バスバー40を介して1対1に接続されている。
【0016】
バスバー40どうしが接触する箇所におけるバスバー40の表面には絶縁処理が施されている。これにより、バスバー40どうしの接触部における短絡が防止される。場合によっては、バスバー40の、接続部以外の表面全体に絶縁処理が施されていてもよい。絶縁処理としては、例えば、アルマイト処理、テープによる被覆処理などが挙げられる。
【0017】
なお、接続されるシート状電池20の個数を数えるにあたっては、放電時に電流の流れる方向にシート状電池20の接続数が増加するように数えるものとする。すなわち、シート状電池20の内部でいえば、放電時に電流の流れる方向とは「負極端子27→正極端子25」の方向であり、2個のシート状電池20の接続部でいえば、放電時に電流の流れる方向とは「一の電池の正極端子25→他の電池の負極端子27」の方向である。図1に放電時の電流の流れを矢印で示すが、図1に示す組電池10においては、シート状電池20、20m+1、20m+2、20m+3の順に、電流が流れる。
【0018】
従って、図1に示す形態の組電池10がM個のシート状電池20から構成されるとすれば、第1個目(最初)に接続されるシート状電池から導出する負極端子は、組電池10を構成する他のシ−ト状電池の正極端子とは接続されず、また、第M個目(最後)に接続されるシート状電池から導出する正極端子は、組電池10を構成する他のシート状電池の負極端子とは接続されない。組電池10の両端部に位置するこれらの電極端子は、組電池10全体の負極端子27’および正極端子25’として用いられる。
【0019】
図1に示す形態の組電池10によれば、放電時に負極端子27から電池要素21に流入した電流は、電池要素21内部の集電体を全長にわたって流れることなく、正極端子25から流出しうる。よって、集電体を電流が流れることによる内部抵抗が低減されうる。また、本形態の組電池10によれば、ラミネートシート29の4辺から電極端子(正極端子25および負極端子27)が導出するため、電極端子(25、27)の断面積を増加させることもでき、電極端子(25、27)を電流が流れることによる内部抵抗も低減されうる。その結果、組電池10の出力が向上しうる。また、内部抵抗による熱の発生も抑制され、この熱による電池要素21の劣化も防止されうる。
【0020】
シート状電池20が平面方向に接続される形態は、特に制限されない。上述したような端子の接続が可能なのであれば、図1に示す接続形態を繰り返すことにより二列のジグザグ状に接続してもよい。なお、図1には、かような形態におけるシート状電池20の接続形態を、破線矢印で示す。また、第m+3個目に接続されるシート状電池20m+3を、第m+2個目に接続されるシート状電池20m+2の上(図1の上方向)に接続し、これを繰り返すことにより鋸歯状に接続してもよい。
【0021】
本発明の組電池10を構成するシート状電池20としては、特に制限はなく、例えば、リチウムイオン二次電池、ニッケル−水素二次電池、ニッケル−カドミウム二次電池などの非水電解質二次電池が挙げられる。なかでも、車両用電源としての用途を考慮すると、出力およびエネルギ密度に優れるリチウムイオン二次電池が好ましく用いられる。電池を100個直列に接続して組電池化した場合、ニッケル−水素二次電池では全体の出力電圧が120V程度にしかならないのに対し、リチウムイオン二次電池を100個直列に接続して組電池化すると、全体の出力電圧が360V程度の組電池を構成することも可能である。特に、高出力が得られるという観点から、シート状電池20としてのリチウムイオン二次電池は、好ましくはバイポーラ型のリチウムイオン二次電池(以下、「バイポーラ電池」とも称する)である。よって以下、本発明の組電池10を構成するシート状電池20がバイポーラ電池である場合について簡単に説明する。
【0022】
図2は、図1に示す形態の組電池10を構成するシート状電池(バイポーラ電池)20の模式平面図であり、図3は、図2に示す3−3線に沿ったシート状電池(バイポーラ電池)20の模式断面図である。図4は、図2に示す4−4線に沿ったシート状電池(バイポーラ電池)20の模式断面図である。
【0023】
図2に示すように、本実施形態の組電池10を構成するシート状電池(バイポーラ電池)20のラミネートシート29および電池要素21は、略正方形である。シート状電池(バイポーラ電池)20は、対向する2辺から導出する2つの正極端子25と、他の2辺から導出する2つの負極端子27とを有する。
【0024】
図3および図4に示すように、シート状電池(バイポーラ電池)20は、集電体11の一方の面に正極活物質層13が形成され他方の面に負極活物質層15が形成された複数のバイポーラ電極を有する。各バイポーラ電極は、電解質層17を介して積層されて電池要素21を形成する。この際、一のバイポーラ電極の正極活物質層13と前記一のバイポーラ電極に隣接する他のバイポーラ電極の負極活物質層15とが電解質層17を介して向き合うように、各バイポーラ電極および電解質層17が積層されている。
【0025】
そして、隣接する正極活物質層13、電解質層17、および負極活物質層15は、一つの単電池層33を構成する。従って、シート状電池(バイポーラ電池)20は、単電池層33が積層されてなる構成を有するともいえる。なお、電池要素21の最外層に位置する集電体(最外層集電体)には、片面のみに、正極活物質層13(正極側最外層集電体11a)または負極活物質層15(負極側最外層集電体11b)のいずれか一方が形成されている。
【0026】
図2〜図4に示すシート状電池(バイポーラ電池)20では、正極側最外層集電体11aが図中のX正方向およびX負方向に延長され、ラミネートシート29の対向する2辺から正極端子25として導出している。一方、負極側際外層集電体11bは図中のY正方向およびY負方向に延長され、ラミネートシート29の他の2辺から負極端子27として導出している。なお、図3において、負極側最外層集電体11bは、紙面に直交する方向に沿って手前側および奥側に延長されて、負極端子27として導出している。同様に、図4において、正極側最外層集電体11aは、紙面に直交する方向に沿って手前側および奥側に延長されて、正極端子25として導出している。
【0027】
ここでは、組電池10を構成するシート状電池20が四角形(正方形または長方形)である場合を例に挙げて本発明を説明したが、これらの形態のみに制限されず、シート状電池は2n角形(ただし、nは2以上の整数)であればよい。すなわち、2n角形の外装の内部に、前記外装と略相似形である電池要素が封止され、前記電池要素に接続されたn枚の正極端子が前記外装のそれぞれ異なる辺から導出し、前記電池要素に接続されたn枚の負極端子が、前記外装の前記正極端子の導出する辺以外の、それぞれ異なる辺から導出するシート状電池であれば、本発明の組電池を構成しうる。
【0028】
かような形態においては、シート状電池の形状を構成する2n本の辺のうち、n本の辺からは正極端子が導出し、他のn本の辺からは負極端子が導出するが、その際にいずれの辺から正極端子および負極端子のいずれが導出するかは任意であり、特に制限されない。ただし、上述したような本発明の効果がより一層得られるという観点からは、隣接する辺から正極端子および負極端子が導出することが好ましい。換言すれば、正極端子および負極端子が1個のシート状電池を構成する辺から交互に導出することが好ましい。
【0029】
ここで、2n角形のシート状電池の形状としては、上述した四角形のほか、例えば、六角形、八角形、十二角形などが挙げられる。なかでも、製造の容易さや接続の自由度などの観点から、好ましくは四角形および六角形、より好ましくは四角形のシート状電池が用いられる。また、上記と同様の理由および電池の部分的な劣化を抑制しうるという観点から、シート状電池の形状は略正多角形(例えば、正方形、長方形、正六角形など)であることが好ましい。
【0030】
以下、シート状電池(バイポーラ電池)20を構成する部材について簡単に説明するが、下記の形態のみに制限されることはない。
【0031】
[集電体]
集電体13は、アルミニウム箔、銅箔、ステンレス(SUS)箔など、導電性の材料から構成される。集電体13の一般的な厚さは、1〜30μmである。ただし、この範囲を外れる厚さの集電体13を用いてもよい。集電体13の大きさは、バイポーラ電池20の使用用途に応じて決定される。大型の電池に用いられる大型の電極を作製するのであれば、面積の大きな集電体13が用いられる。小型の電極を作製するのであれば、面積の小さな集電体13が用いられる。
【0032】
[活物質層]
正極活物質層15は、正極活物質を含む。正極活物質としては、リチウム−遷移金属複合酸化物が好ましく、例えば、LiMnなどのLi−Mn系複合酸化物やLiNiOなどのLi−Ni系複合酸化物が挙げられる。場合によっては、2種以上の正極活物質が併用されてもよい。
【0033】
負極活物質層17は、負極活物質を含む。負極活物質としては、上記のリチウム遷移金属−複合酸化物や、カーボンが好ましい。カーボンとしては、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛系炭素材料、カーボンブラック、活性炭、カーボンファイバー、コークス、ソフトカーボン、ハードカーボン等が挙げられる。
【0034】
正極活物質層15および負極活物質層17には、必要であれば、その他の物質が含まれてもよい。例えば、バインダ、導電助剤、リチウム塩(支持電解質)、イオン伝導性ポリマー等が含まれうる。また、イオン伝導性ポリマーが含まれる場合には、前記ポリマーを重合させるための重合開始剤が含まれてもよい。
【0035】
バインダとしては、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、合成ゴム系バインダ等が挙げられる。
【0036】
導電助剤とは、正極活物質層13または負極活物質層15の導電性を向上させるために配合される添加物をいう。導電助剤としては、グラファイトなどのカーボン粉末が挙げられる。
【0037】
リチウム塩(支持電解質)としては、LiBETI(リチウムビス(パーフルオロエチレンスルホニルイミド);Li(CSON)、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiCFSO等が挙げられる。
【0038】
イオン伝導性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)系およびポリプロピレンオキシド(PPO)系のポリマーが挙げられる。ここで、前記イオン伝導性ポリマーは、バイポーラ電池20の電解質層17において電解質として用いられるイオン伝導性ポリマーと同じであってもよく、異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。
【0039】
重合開始剤は、イオン伝導性ポリマーの架橋性基に作用して、架橋反応を進行させるために配合される。開始剤として作用させるための外的要因に応じて、光重合開始剤、熱重合開始剤などに分類される。重合開始剤としては、例えば、熱重合開始剤であるアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)や、光重合開始剤であるベンジルジメチルケタール(BDK)等が挙げられる。
【0040】
正極活物質層13および負極活物質層15中に含まれる成分の配合比は、特に限定されない。配合比は、リチウムイオン二次電池についての公知の知見を適宜参照することにより、調整されうる。
【0041】
[電解質層]
電解質層17を構成する電解質としては、一般に、液体電解質またはポリマー電解質が挙げられる。本発明においては、好ましくはポリマー電解質が用いられる。ポリマー電解質を用いることにより、電解質などの液漏れが防止され、バイポーラ電池20の安全性が向上しうる。
【0042】
ポリマー電解質は、イオン伝導性ポリマーから構成され、イオン伝導性を示すのであれば材料は限定されない。優れた機械的強度を発現させることが可能である点で、高分子電解質形成用の重合性ポリマーを熱重合、紫外線重合、放射線重合、電子線重合により架橋構造を形成することにより作製されるものが好適に用いられる。かかる高分子電解質により形成される電解質層では、液漏れが起こらないため、電池の信頼性が向上し、かつ簡易な構成で出力特性に優れたバイポーラ電池20が形成される。
【0043】
ポリマー電解質としては、全固体高分子電解質、および高分子ゲル電解質が挙げられる。
【0044】
全固体高分子電解質としては、特に限定されないが、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、およびこれらの共重合体等が挙げられる。かようなポリアルキレンオキシド系高分子には、LiBETI、LiBF、LiPF、LiN(SOCF、LiN(SO等のリチウム塩がよく溶解しうる。また、これらの高分子は、架橋構造を形成することによって、優れた機械的強度を発現しうる。本発明においては、電極特性をより向上させるために、全固体高分子電解質が正極活物質層13および負極活物質層15の双方に含まれることが好ましい。
【0045】
また、高分子ゲル電解質とは、一般的に、イオン伝導性を有する全固体高分子電解質に、電解液を保持させたものをいう。なお、本願では、リチウムイオン伝導性を有しない高分子の骨格中に、同様の電解液を保持させたものも、前記高分子ゲル電解質に含まれるものとする。用いられる電解液(電解質塩および可塑剤)の種類等は特に制限されない。ただし、電解液としては、非水系の電解液が好ましく用いられうる。
【0046】
また、電解質層が高分子ゲル電解質からなる場合、前記電解質層は、高分子ゲル原料溶液を不織布などのセパレータに含浸させた後、上記の種々の方法を用いて重合することにより形成されたものであってもよい。セパレータを用いることにより、電解液の充填量を高めることができるとともに、電池内部の熱伝導性が確保される。
【0047】
[絶縁層]
バイポーラ電池20においては、通常、各単電池33の周囲に絶縁層35が設けられる。この絶縁層35は、電池内で隣り合う集電体13同士が接触したり、電池要素21における単電池33の端部の僅かな不ぞろいなどによる短絡が起こるのを防止する目的で設けられる。かような絶縁層35の設置により、長期間の信頼性および安全性が確保され、高品質のバイポーラ電池20が提供されうる。
【0048】
絶縁層35としては、絶縁性、固体電解質の脱落に対するシール性や外部からの水分の透湿に対するシール性(密封性)、電池動作温度下での耐熱性などを有するものであればよく、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリイミド樹脂、ゴムなどが用いられうる。なかでも、耐蝕性、耐薬品性、作り易さ(製膜性)、経済性などの観点から、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂が好ましい。
【0049】
[電極端子]
バイポーラ電池20においては、電池外部に電流を取り出す目的で、電極端子(正極端子25および負極端子27)が最外層集電体(11a、11b)に接続される。具体的には、正極端子25が正極用最外層集電体11aに接続され、負極端子27が負極用最外層集電体11bに接続される。
【0050】
電極端子(正極端子25および負極端子27)の材質は、特に制限されず、バイポーラ電池の電極端子として従来用いられている公知の材質が用いられうる。例えば、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、ステンレス鋼(SUS)、これらの合金等が例示される。なお、正極端子25と負極端子27とでは、同一の材質が用いられてもよいし、異なる材質が用いられてもよい。また、図3に示すように、最外層集電体(11a、11b)を延長することにより電極端子(25、27)としてもよいし、別途準備した電極端子を最外層集電体に接続してもよい。
【0051】
[外装]
バイポーラ電池20においては、使用時の外部からの衝撃や環境劣化を防止するために、電池要素21は、好ましくはラミネートシート29などの外装内に収容される。外装としては特に制限されず、従来公知の外装が用いられうる。自動車の熱源から効率よく熱を伝え、電池内部を迅速に電池動作温度まで加熱しうる点で、好ましくは、熱伝導性に優れた高分子−金属複合ラミネートシート等が用いられうる。
【0052】
以上、本実施形態の組電池10を構成するシート状電池20がバイポーラ電池である場合について詳細に説明したが、かような形態のみに制限されず、例えば、バイポーラ型でないリチウムイオン二次電池(一般リチウムイオン二次電池)が、組電池10を構成するシート状電池として用いられてもよい。
【0053】
図1に示す組電池10を構成する個々のシート状電池20から導出する各電極端子(正極端子25および負極端子27)は、バスバー40を介して接続されている。このバスバー40の形状や材質については特に制限はなく、従来公知の形態が適宜参照されうる。バスバー40の材質としては、例えば、アルミニウム、銅などが例示される。
【0054】
続いて、本発明の組電池の製造方法について簡単に説明する。
【0055】
まず、シート状電池20を準備する。シート状電池20の種類や形状については、特に制限はなく、例えばバイポーラ型のリチウムイオン二次電池であるシート状電池を用いる場合には、上述した材料から構成すればよい。
【0056】
次に、隣接して接続されるシート状電池20の正極端子25と負極端子27とを接続する。例えば、バスバー40を用いて正極端子25と負極端子27とを接続する場合には、バスバー40の一方の端と正極端子25とを接続し、さらにバスバー40の他方の端と負極端子27とを接続すればよい。なお、バスバー40と電極端子(25、27)とを接続する順序は特に制限されない。
【0057】
接続の手法についても、特に制限はない。例えば、接続させたい二つの部材を圧着する方法や、導電性接着剤を用いて接着させる方法が用いられてもよい。また、リベットやカシメなどにより接続してもよい。ただし、接続部における抵抗をより低減させるという観点からは、溶接による接続が好ましく採用されうる。溶接により接続する場合には、超音波溶接、抵抗溶接、レーザ溶接などが用いられ、接合の容易さ、接合速度、装置のコストなどの観点から、より好ましくは超音波溶接が用いられうる。
【0058】
上述したように、本実施形態の組電池10を構成する個々のシート状電池20からは、それぞれ2枚ずつの正極端子25および負極端子27が導出している。これらの電極端子(25、27)を接続する際には、正極端子25および負極端子27がそれぞれ1対1に接続される。正極端子25および負極端子27がそれぞれ1対1に接続された各シート状電池20は、電気的に接続されて、組電池10となる。
【0059】
(第2実施形態)
第2実施形態の組電池10は、上記の第1実施形態の組電池10と比較して、組電池10を構成するシート状電池20における電極端子(25、27)の導出形態が異なる。なお、第1実施形態と同様の構成については、詳細な説明を省略する。また、第1実施形態と同一の部材には、同一の参照符号を付す。
【0060】
図5は、本実施形態(第2実施形態)の組電池10の一部を示す部分平面図である。図5においても図1と同様に、組電池10の第m個目〜第m+3個目に接続される4個のシート状電池20〜20m+3が、平面方向に接続されている。
【0061】
図5に示す本実施形態の組電池10を構成する個々のシート状電池20において、電池要素21に接続された正極端子25は、略正方形のラミネートシート29の隣接する2辺(例えば、図5中のシート状電池20m+1における辺GHおよび辺HE)から導出している。一方、電池要素21に接続された負極端子27は、ラミネートシート29の隣接する他の2辺(例えば、図5中のシート状電池20m+1における辺EFおよび辺FG)から導出している。
【0062】
本実施形態の組電池10においても、図1に示す第1実施形態の組電池10と同様に、第m+1個目に接続されるシート状電池20m+1の負極端子27は、第m個目に接続されるシート状電池20の正極端子25と1対1に接続されており、第m+1個目に接続されるシート状電池20m+1の正極端子25は、第m+2個目に接続されるシート状電池20m+2の負極端子27と1対1に接続されている。図5にも、図1と同様に放電時の電流の流れを矢印で示す。
【0063】
また、図5に示す組電池10の両端部に位置する電極端子が組電池10全体の負極端子27’および正極端子25’として用いられることも、図1に示す形態と同様である。
【0064】
本実施形態の組電池10によっても、第1実施形態の組電池10について上記で説明したのと同様の効果が得られる。
【0065】
上記の第1および第2実施形態においては、組電池10が、略正方形のラミネートシート29および電池要素21を有するシート状電池20から構成される形態を示した。しかしながら、かような形態のみには制限されない。例えば、シート状電池20を構成するラミネートシート29および電池要素21が正方形ではなく略長方形であってもよい。すなわち、略長方形のシート状電池20が上記の接続形態により接続されて、組電池10が構成されてもよい。
【0066】
(第3実施形態)
第3実施形態の組電池10は、上記の第1実施形態の組電池10と比較して、組電池10を構成するシート状電池20の接続形態が異なる。なお、第1実施形態と同様の構成については、詳細な説明を省略する。また、第1実施形態と同一の部材には、同一の参照符号を付す。
【0067】
図6は、本実施形態(第3実施形態)の組電池10の一部を示す部分斜視図である。図7は、図6に示すA方向から見た側面図である。図8は、図6に示すY方向から見た側面図である。
【0068】
本実施形態においては、図6〜図8に示すように、シート状電池20が積層されることによって、組電池10が構成されている。本実施形態の組電池10を構成する個々のシート状電池20は、上記の第1実施形態の組電池10を構成するシート状電池20と同一である。なお、図6においては、説明の便宜上、1個のシート状電池20を1個の直方体で示し、図7および図8においては、1個のシート状電池20を1個の台形で示す。また、図6〜図8には、組電池10の第m個目〜第m+4個目に接続(積層)される4個のシート状電池20〜20m+4を示す。
【0069】
図6〜図8に示す本実施形態の組電池10においても、第1および第2実施形態の組電池10と同様に、第m+1個目に接続(積層)されるシート状電池20m+1の負極端子27は、第m個目に接続(積層)されるシート状電池20の正極端子25と1対1に接続されており、第m+1個目に接続されるシート状電池20m+1の正極端子25は、第m+2個目に接続されるシート状電池の負極端子27と1対1に接続されている(図7および図8中の接続部30を参照)。なお、図6においては、説明の簡略化のために、組電池10のA方向およびB方向に導出する電極端子(25、27)は省略している。
【0070】
本実施形態においては、図6に示すように、第m層目に積層されるシート状電池20の正極端子25の導出方向と、第m+1層目に積層されるシート状電池20m+1の正極端子25の導出方向とは、90度ずれて(すなわち、直交して)いる。90度ずれて積層されることにより、一のシート状電池20(例えば、図6および図7中の20)から導出する正極端子25と、この電池に隣接して積層される他のシート状電池20(例えば、図6および図7中の20m+1)から導出する負極端子27とが、同じ方向に導出される。これにより、前記正極端子25と前記負極端子27とを接続する際にバスバーを用いる必要がなくなる。
【0071】
なお、図6〜図8に示す形態の組電池10の両端部(最上部および最下部)に位置する電極端子(27、25)が組電池10全体の負極端子27’および正極端子25’として用いられることは、上記の形態と同様である。
【0072】
本実施形態の組電池10によっても、第1および第2実施形態の組電池10について上記で説明したのと同様の効果が得られる。
【0073】
また、本実施形態の組電池10によれば、隣接するシート状電池20の正極端子25と負極端子27とを接続する際にバスバーを用いる必要がないため、バスバー設置に伴う内部抵抗の上昇がない。その結果、組電池10の出力の向上といった効果や、内部抵抗による熱の発生およびこれによる電池要素21の劣化の抑制といった効果がより一層発揮されうる。さらに、バスバーを省略できることにより、組電池10の小型化が図れ、体積エネルギ密度が向上しうる。この効果は、本発明の組電池10が輸送機器、特に自動車のモータ駆動用電源として搭載される場合に極めて有利である。また、場合によっては、正極端子25と負極端子27との接続部30が、組電池10の使用に伴って発生した熱を放散するための放熱手段として機能しうるため、組電池10の耐熱性も向上しうる。
【0074】
本実施形態において、隣接するシート状電池20の正極端子25と負極端子27とを接続する手法については特に制限されず、上記の第1実施形態において電極端子(25、27)とバスバー40との接続について説明した形態が同様に採用されうる。また、上述したのと同様の理由から、溶接による接続が好ましく用いられ、なかでも超音波溶接がより好ましく用いられうる。
【0075】
本実施形態の組電池10において、正極端子25と負極端子27との接続部30どうしの間は、絶縁されていることが好ましい。これにより、これらの接続部30の間における短絡が防止されうる。
【0076】
接続部30どうしの間を絶縁する形態については、特に制限はない。例えば、これらの接続部30の間に、樹脂からなる絶縁層を設けてもよい。かような絶縁層を構成する樹脂は特に制限されず、例えば、バイポーラ電池における絶縁層を構成する材料として上記で例示した樹脂が同様に用いられうる。
【0077】
あるいは、接続部30の表面を上記のような樹脂によりコーティングしてもよい。この際、表面が樹脂によりコーティングされた接続部30を、上方または下方に折り返すか、または巻回するとよい。これにより、組電池10の小型化が図れ、組電池10の体積エネルギ密度の向上に寄与しうる。なお、参考までに、本実施形態の組電池10において、接続部30どうしが絶縁されている形態を図9に示す。図9に示す形態においては、樹脂50によりコーティングされた接続部30が、上方に折り返されている。
【0078】
本実施形態においては、上記の第1実施形態の組電池10を構成するシート状電池20を積層することにより組電池10を構成したが、かような形態のみに制限されず、例えば、上記の第2実施形態の組電池10を構成するシート状電池20を積層し、組電池10を構成してもよい。例えば、図5に示す第2実施形態の組電池10のバスバー40を、図5に示す一点鎖線に沿って谷折りし、二点鎖線に沿って山折りして、積層された形態の組電池を構成してもよい。
【0079】
(第4実施形態)
第4実施形態の組電池は、上記の第3実施形態の組電池の耐熱性を向上させうる形態に関する。なお、第3実施形態と同様の構成については、詳細な説明を省略する。また、第3実施形態と同一の部材には、同一の参照符号を付す。
【0080】
図10は、本実施形態(第4実施形態)の組電池10の一部を示す部分断面図である。
【0081】
本実施形態においては、図10に示すように、正極端子25と負極端子27との接続部30に、放熱板60が設けられている。なお、本実施形態においては、放熱板60が設けられていること以外の形態は上記の第3実施形態と同様である。
【0082】
本実施形態の組電池10によっても、第1〜第3実施形態の組電池10について上記で説明したのと同様の効果が得られることは勿論であるが、放熱板60が設けられることにより、さらなる他の効果も得られる。すなわち、かような形態によれば、組電池10の使用に伴って発生した熱が、放熱板60を介して外気中へ放散しうる。その結果、組電池10の耐熱性がより一層向上しうる。
【0083】
放熱板60を構成する材料は、特に制限されない。放熱性に優れるという観点からは、熱伝導性の高い材料により放熱板60が構成されることが好ましい。また、一の接続部30とこれに隣接する他の接続部30との間での短絡を防止しうるという観点からは、絶縁性の材料、または表面が絶縁処理された材料により放熱板60が構成されることが好ましい。かような特性を兼ね備えた材料としては、アルマイト処理されたアルミニウムやタンタルなどが挙げられるが、これらの材料に制限されない。例えば、表面が樹脂によりコーティングされた金属材料により、放熱板60を構成してもよい。
【0084】
正極端子25と負極端子27との接続部30に放熱板60を設置する手法は特に制限されず、電極端子の接続について上記で例示した手法が同様に用いられうる。
【0085】
(第5実施形態)
本実施形態においては、上記の第1〜第4実施形態の組電池を複数個接続し、複合組電池を構成する。
【0086】
本実施形態の複合組電池100の形態としては、例えば、上記の第3実施形態の組電池10を、図1に示す組電池10のような接続形態によって直列に接続する形態が例示される。
【0087】
かような形態の複合組電池100を図11に示す。図11は、本実施形態(第5実施形態)の複合組電池100の一部を示す部分平面図である。図11に示す形態の複合組電池100の構成は、図1に示す組電池10において、組電池10を構成する個々のシート状電池20が、それぞれ上記の第3実施形態の積層されてなる組電池10に置換されている構成に対応する。なお、図11においても、図1と同様に、複合組電池100の第m個目〜第m+3個目に接続される4個の組電池10〜10m+3を示す。また、図11においては、個々の組電池10を構成する個々のシート状電池20から導出する電極端子のうち、隣接して積層されるシート状電池から導出する電極端子と接続されていない電極端子のみを示す。換言すれば、複合組電池100を構成する個々の組電池10全体の正極端子25’および負極端子27’のみを示し、その他の電極端子については図示を省略する。
【0088】
図11に示す複合組電池100を構成する個々の組電池10において、個々の組電池10全体の正極端子25’および負極端子27’は、積層されてなる組電池10の最上層または最下層のいずれかのシート状電池の対向する2辺から導出している。図11において具体的には、第m個目に接続される組電池10および第m+2個目に接続される組電池10m+2においては、最上層のシート状電池の対向する2辺から正極端子25’が導出しており、最下層のシート状電池の対向する2辺から負極端子27’が導出している。一方、第m+1個目に接続される組電池10m+1および第m+3個目に接続される組電池10m+3においては、最下層のシート状電池の対向する2辺から正極端子25’が導出しており、最上層のシート状電池の対向する2辺から負極端子27’が導出している。なお、本実施形態の複合組電池100を構成する個々の組電池10において、「上層」とは、紙面に直交する方向に対して手前側をいい、「下層」とは、紙面に直交する方向に対して奥側をいう。
【0089】
また、図11に示す複合組電池100においては、上記の第1実施形態と同様に、第m+1個目に接続される組電池10m+1の正極端子25’が、第m個目に接続される組電池10の負極端子27’と、バスバー40を介して1対1に接続されている。さらに、第m+1個目に接続される組電池10m+1の負極端子27’は、第m+2個目に接続される組電池10m+2の正極端子25’と、バスバー40を介して1対1に接続されている。
【0090】
ここで、バスバー40の具体的な形態や、バスバー40を介した接続の具体的な形態については、上記の第1実施形態の欄において説明したのと同様の形態が採用されうる。
【0091】
本実施形態の複合組電池100は、内部抵抗が低減された本発明の組電池10を用いて構成されていることから、複合組電池100全体の内部抵抗も低減されうる。その結果、出力面で特に高い性能を発揮しうる複合組電池100が提供されうる。また、内部抵抗に基づく熱の発生も低減され、この熱による電池要素21の劣化も防止されうる。
【0092】
なお、一定の個数のシート状電池20から複合組電池10を構成する場合には、個々の組電池10を構成するシート状電池20の個数を減らし、複合組電池100を構成する組電池10の個数を増やすことで、複合組電池100の表面積が増大し、放熱性が向上しうる。この効果は、本発明の複合組電池100が高出力(すなわち、内部抵抗により発生する熱量も大きい)条件下において使用される場合に極めて有利である。かような形態においては、個々の組電池10に、上記の第4実施形態で説明したような放熱板60が設けられるとより好ましい。ただし、これらの形態のみに制限されないことは勿論である。
【0093】
本実施形態の複合組電池100については、本発明の第3実施形態の組電池10がさらに直列に接続されてなる形態を例に挙げて説明したが、かような形態のみには制限されない。例えば、上記の第3実施形態の積層されてなる組電池10が、複数個並列に接続されてもよい。かような形態によれば、容量の面でも優れた性能を示す複合組電池が提供されうる。また、第3実施形態の組電池10に限らず、その他の形態の組電池10が複数個接続されて複合組電池を構成してもよい。例えば、第1または第2実施形態の組電池10を同一の接続形態で複数個準備し、準備した複数個の組電池10を積層して、当該組電池10の両端部に位置する正極端子および負極端子を直列または並列に接続することで、複合組電池が構成されうる。かような複合組電池によっても、上記の複合組電池と同様の効果が得られる。
【0094】
なお、場合によっては、複合組電池を構成する際の接続形態として、直列接続または並列接続のいずれか一方のみではなく、直列接続および並列接続の組み合わせもまた、採用されうる。
【0095】
(第6実施形態)
第6実施形態では、上記の第1〜第4実施形態の組電池10または第5実施形態の複合組電池100をモータ駆動用電源として搭載し、輸送機器を構成する。この際、本発明の組電池10または複合組電池100のいずれか一方のみが搭載されてもよく、双方が組み合わされることにより搭載されてもよい。
【0096】
参考までに、図12に、複合組電池100を搭載する自動車200の概略図を示す。自動車に搭載される複合組電池100は、上記で説明したような効果を有する。従って、本実施形態の輸送機器、特に自動車は特に出力の面で優れた性能を発揮しうる。また、場合によっては、体積エネルギ密度の向上した組電池10または複合組電池100が搭載されるため、輸送機器、特に自動車を製造する際の製造コストが低減されうる。
【0097】
本発明の組電池10または複合組電池100を搭載しうる輸送機器としては、例えば、自動車のほか、列車、二輪車、船舶、航空機などが例示される。ただし、これらの形態には制限されず、モータを駆動することにより動力を得る輸送機器であれば、本実施形態の輸送機器として用いられうる。また、本実施形態の自動車としては、例えば、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、燃料電池自動車などが挙げられる。
【0098】
以上、本発明の幾つかの好適な実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は、上記で説明した実施形態のみに制限されず、当業者によって種々の変更、省略、および追加が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の第1実施形態の組電池の一部を示す部分平面図である。
【図2】本発明の第1実施形態の組電池を構成するシート状電池(バイポーラ電池)の模式平面図である。
【図3】図2に示す3−3線に沿ったシート状電池(バイポーラ電池)20の模式断面図である。
【図4】図2に示す4−4線に沿ったシート状電池(バイポーラ電池)20の模式断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態の組電池の一部を示す部分平面図である。
【図6】本発明の第3実施形態の組電池の一部を示す部分斜視図である。
【図7】図6に示すA方向から見た側面図である。
【図8】図6に示すB方向から見た側面図である。
【図9】本発明の第3実施形態の組電池の変形例を示す模式断面図である。
【図10】本発明の第4実施形態の組電池の一部を示す部分断面図である。
【図11】本発明の第5実施形態の複合組電池の一部を示す部分平面図である。
【図12】本発明の複合組電池を搭載する自動車の概略図である。
【符号の説明】
【0100】
10 組電池、
10 m個目に接続される組電池、
11 集電体、
11a 正極側最外層集電体、
11b 負極側最外層集電体、
13 正極活物質層、
15 負極活物質層、
17 電解質層、
20 シート状電池(バイポーラ電池)、
20 m個目に接続されるシート状電池、
21 電池要素、
25 正極端子、
25’ 組電池全体の正極端子、
27 負極端子、
27’ 組電池全体の負極端子、
29 ラミネートシート、
30 接続部、
33 単電池層、
35 絶縁層、
40 バスバー、
50 樹脂、
60 放熱板、
100 複合組電池、
200 自動車。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2n角形の外装の内部に、前記外装と略相似形である積層型の電池要素が封止され、前記電池要素に接続されたn枚の正極端子が前記外装のそれぞれ異なる辺から導出し、前記電池要素に接続されたn枚の負極端子が前記外装の前記正極端子の導出する辺以外のそれぞれ異なる辺から導出するシート状電池が、複数個直列に接続されてなる組電池であって、
第m+1個目に接続される前記シート状電池の負極端子は第m個目に接続される前記シート状電池の正極端子と1対1に接続され、第m+1個目に接続される前記シート状電池の正極端子は第m+2個目に接続される前記シート状電池の負極端子と1対1に接続される、組電池。
【請求項2】
複数の前記シート状電池は前記電池要素の積層方向に積層され、
第m層目に積層される前記シート状電池の前記正極端子の導出方向と、第m+1層目に積層される前記シート状電池の前記正極端子の導出方向とは180/n(度)ずれる、請求項1に記載の組電池。
【請求項3】
前記外装および前記電池要素は略正方形である、請求項1または2に記載の組電池。
【請求項4】
前記正極端子と前記負極端子との接続は、超音波溶接、抵抗溶接、またはレーザ溶接によりなされたものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組電池。
【請求項5】
前記正極端子と前記負極端子との一の接続部と、他の接続部との間は、絶縁されている、請求項2〜4のいずれか1項に記載の組電池。
【請求項6】
前記正極端子と前記負極端子との接続部に、放熱板が設けられている、請求項2〜5のいずれか1項に記載の組電池。
【請求項7】
前記シート状電池は、非水電解質二次電池である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組電池。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の組電池が、複数個接続されてなる、複合組電池。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の組電池、または請求項8に記載の複合組電池をモータ駆動用電源として搭載する輸送機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−66083(P2006−66083A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−243833(P2004−243833)
【出願日】平成16年8月24日(2004.8.24)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】