説明

組電池

【課題】2以上の二次電池が接続されてなる組電池の軽量化を図ることができる技術を提供する。
【解決手段】組電池10は、電極体が収容された筐体と、当該筐体の同一の側面31aに設けられ電極体に電気的に接続された正極端子50および負極端子60とを有する2以上の電池30を備える。直列接続される少なくとも2つの電池30は、一方の電池30の正極端子50が設けられた側面31aと他方の電池30の負極端子60が設けられた側面31aとが向かい合うように配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2以上の二次電池が接続されてなる組電池に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、複数の二次電池が接続されてなる組電池では、隣接する二次電池の一方の正極端子と他方の負極端子とがバスバーで直列接続されていた。これに対し、部品点数の削減を目的として、隣接する電池の端子間をバスバーを用いずに接続する構成が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
この構成は、隣接する電池の端子と直接接続されることになる相互接続部が正極端子または負極端子に一体的に形成された扁平型電池を備える。相互接続部は、一方の端部が扁平型電池の筐体の側面から突出する端子に接続され、他方の端部が端子の突出方向に対して垂直な方向に延びている。複数の扁平型電池は、端子の設けられた側面が同じ方向を向くようにして同一平面上に配置されている。そして、隣接する2つの扁平型電池のうち一方の扁平型電池の端子に形成され他方の扁平型電池の端子に向けて延びる相互接続部が、他方の端子に接続されることで、隣接する2つの扁平型電池が直列接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−332627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来の構造では、端子の設けられた側面が同じ方向を向くように扁平型電池が配置されていた。すなわち、隣接する2つの扁平型電池は、端子の設けられたそれぞれの側面が同一平面上に配置されていた。そして、隣接する2つの扁平型電池の端子間に延在する相互接続部を介して両者が直列接続されていた。そのため、従来の組電池には、組電池の軽量化を図る上で改善の余地があった。
【0006】
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、2以上の二次電池が接続されてなる組電池の軽量化を図ることができる技術の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様は、組電池である。当該組電池は、電極体が収容された筐体と、当該筐体の同一の側面に設けられ電極体に電気的に接続された正極端子および負極端子とを有する2以上の二次電池を備え、直列接続される少なくとも2つの二次電池は、一方の二次電池の正極端子が設けられた側面と他方の二次電池の負極端子が設けられた側面とが向かい合うように配置されていることを特徴とする。
【0008】
この態様によれば、端子の設けられた側面が同じ方向を向くように電池が配置された従来構造に比べて、一方の二次電池の正極端子と他方の二次電池の負極端子とを接続する端子接続部材の長さを短くすることができる。あるいは、端子接続部材を省略することができる。そのため、2以上の二次電池が接続されてなる組電池の軽量化を図ることができる。
【0009】
上述した態様において、二次電池は、2つの主表面を持つ扁平状であり、側面は、2つの主表面に接続した面であってもよい。
【0010】
上述したいずれかの態様において、少なくとも2つの二次電池は、同一平面上に配置されてもよい。あるいは、少なくとも2つの二次電池は、正極端子と負極端子の接続部および2つの二次電池の筐体を通る軸を中心として屈折してもよい。
【0011】
上述したいずれかの態様において、2つの二次電池のうち少なくとも一方の二次電池の主表面上方に配置された他の二次電池と、他の二次電池と一方の二次電池の正極端子同士および負極端子同士を並列接続するための端子接続部材と、をさらに備えてもよい。
【0012】
上述した態様において、複数の二次電池が直列接続されてなる第1電池層と、第1電池層の各二次電池の主表面上方に配置された複数の二次電池が直列接続されてなる第2電池層と、第1電池層の各二次電池と当該各二次電池に対応する第2電池層の各二次電池の正極端子同士および負極端子同士を並列接続ための複数の端子接続部材と、を備え、第1電池層の直列接続と第2電池層の直列接続のそれぞれにおける、一方の終端となる端子同士を接続する端子接続部材、および他方の終端となる端子同士を接続する端子接続部材の少なくとも一方は、当該端子接続部材によって接続される端子を通る直線に垂直な方向の断面積が、他の端子接続部材と比べて大きくてもよい。
【0013】
上述したいずれかの態様において、正極端子および前記負極端子は、互いに向かい合うとともに、着脱可能に接続されてもよい。また、上述したいずれかの態様において、正極端子および負極端子は、互いに向かい合うとともに、正極端子と負極端子の接続部および2つの二次電池の筐体を通る軸を中心として回動可能に接続されてもよい。さらに、上述したいずれかの態様において、正極端子および負極端子は、互いに向かい合うとともに、直に接してもよい。
【0014】
上述したいずれかの態様において、組電池は自動車に搭載されてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、2以上の二次電池が接続されてなる組電池の軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1(A)は、実施形態に係る組電池の概略構造を示す平面図である。図1(B)は、実施形態に係る組電池の概略構造を示す斜視図である。
【図2】電池の概略構造を示す断面図である。
【図3】組電池の屈折部近傍の概略構造を示す斜視図である。
【図4】屈折部と平面部とが組み合わされた組電池の概略構造を示す斜視図である。
【図5】図5(A)は、直列接続された複数の電池からなる第1電池層および第2電池層を有し、各電池層の電池が層間で並列接続された構造を有する組電池の概略構造を示す側面図である。図5(B)は、第1電池層の概略構造を示す平面図である。図5(C)は、第2電池層の概略構造を示す平面図である。
【図6】図6(A)は、複数の電池が直列接続および並列接続された構造を有する従来の組電池における一部分の概略構造を示す平面図である。図6(B)は、図6(A)に示す組電池の回路構成を示す回路図である。図6(C)は、複数の電池が直列接続および並列接続された構造を有する実施形態1に係る組電池における一部分の概略構造を示す側面図である。図6(D)は、図6(C)に示す組電池の回路構成を示す回路図である。
【図7】図7(A)および図7(B)は、一例としての金属製面ファスナーの概略構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0018】
図1(A)は、実施形態に係る組電池の概略構造を示す平面図である。図1(B)は、実施形態に係る組電池の概略構造を示す斜視図である。図1(A)および図1(B)に示すように、組電池10は、正極端子50および負極端子60を有する2以上の電池30を備える。本実施形態では、計6個の電池30a〜30fが直列に接続されて組電池10が形成されている。以下では適宜、電池30a〜30fを総称して電池30とする。なお、電池30の数は特に限定されない。
【0019】
図2は、電池の概略構造を示す断面図である。図2は、図1(B)におけるA−A線を通る面に沿った断面図に相当する。電池30は、リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池であり、外装缶(筐体)31内に、正負極が渦巻状に巻回されてなる電極体32が、外装缶31の缶軸方向に対し横向きに収容されている。外装缶31の開口は、外装缶31の側面31aを構成する封口板33により封口されている。封口板33には電池30の外方に突出した正極端子50と負極端子60が設けられている。また、封口板33には、ガス排出弁(図示せず)が形成されている。外装缶31の内部には、非水電解質が含浸されている。
【0020】
正極端子50は、略柱状であり、側面にガスケット34が当接した状態で、封口板33の正極用開口33aに嵌め込まれている。また、正極端子50は、封口板33の電池内側において正極タブ部材53と接続している。正極端子50の電池内側の端部には、正極用開口33aに沿って側壁が形成されるような凹部51が設けられている。凹部51の縁部分が広がるようにかしめることで、正極端子50が正極タブ部材53に対して固定されている。正極端子50の電池外方に突出した端部の側面には、周方向に延びる凸部50aが形成されている。したがって、正極端子50は、オス型端子構造をとる。
【0021】
正極タブ部材53と封口板33の電池内側面との間には、絶縁板35が設けられている。正極用開口33aにおいて、絶縁板35とガスケット34とが当接している。これにより、正極タブ部材53および正極端子50が封口板33から絶縁されている。正極タブ部材53は、電極体32の一方の端面から突出した正極集電板群32aに接続されている。なお、正極集電板群32aは、電極体32の一方の端面から突出した複数の正極集電板を束ねたものである。
【0022】
負極端子60は、略柱状であり、側面にガスケット34が当接した状態で、封口板33の負極用開口33bに嵌め込まれている。また、負極端子60は、封口板33の電池内側において負極タブ部材62と接続している。なお、負極端子60の端部には、負極用開口33bに沿って側壁が形成されるような凹部61が設けられている。凹部61の縁部分が広がるようにかしめることで、負極端子60が負極タブ部材62に対して固定されている。負極端子60の電池外方に突出した端部には、正極端子50の電池外方側端部の形状に沿った椀状空間60aが形成されている。したがって、負極端子60は、メス型端子構造をとる。
【0023】
負極タブ部材62と封口板33の電池内側面との間には、絶縁板35が設けられている。負極用開口33bにおいて、絶縁板35とガスケット34とが当接している。これにより、負極タブ部材62および負極端子60が封口板33から絶縁されている。負極タブ部材62は、電極体32の他方の端面から突出した負極集電板群32bに接続されている。なお、負極集電板群32bは、電極体32の他方の端面から突出した複数の負極集電板を束ねたものである。
【0024】
組電池10において、直列接続される少なくとも2つの電池30は、一方の電池30の正極端子50が設けられた側面31aと他方の電池30の負極端子60が設けられた側面31aとが向かい合うように配置されている。このように、一方の電池30の正極端子50が設けられた側面31aと他方の電池30の負極端子60が設けられた側面31aとを対向配置することで、これらの側面31aが同じ方向を向く従来構造に比べて、上述した相互接続部などの正極端子50と負極端子60との間に介在する端子接続部材の長さを短くすることが可能となる。したがって、組電池10の軽量化を図ることができる。
【0025】
本実施形態では、図1(A)および図1(B)に示すように、直列接続される電池30a,30bにおいて、電池30aの側面31aの負極端子60近傍の領域と、電池30bの側面31aの正極端子50近傍の領域とが対向配置されている。また、直列接続される電池30b,30cにおいて、電池30bの側面31aの負極端子60近傍の領域と、電池30cの側面31aの正極端子50近傍の領域とが対向配置されている。また、直列接続される電池30c,30dにおいて、電池30cの側面31aの負極端子60近傍の領域と、電池30dの側面31aの正極端子50近傍の領域とが対向配置されている。また、直列接続される電池30d,30eにおいて、電池30dの側面31aの負極端子60近傍の領域と、電池30eの側面31aの正極端子50近傍の領域とが対向配置されている。また、直列接続される電池30e,30fにおいて、電池30eの側面31aの負極端子60近傍の領域と、電池30fの側面31aの正極端子50近傍の領域とが対向配置されている。
【0026】
さらに、本実施形態では、電池30aの負極端子60と電池30bの正極端子50、電池30bの負極端子60と電池30cの正極端子50、電池30cの負極端子60と電池30dの正極端子50、電池30dの負極端子60と電池30eの正極端子50、電池30eの負極端子60と電池30fの正極端子50とが、それぞれ対向配置されている。そのため、端子接続部材の長さをより短くすることができる。よって、組電池10のさらなる軽量化が可能である。
【0027】
また、本実施形態では、正極端子50の凸部50aを含む端部が負極端子60の椀状空間60aに収容されることで、正極端子50と負極端子60とが接続されている。具体的には、負極端子60の椀状空間60aを形成する側壁が弾性変形可能であり、正極端子50の端部と負極端子60の端部とが互いに押し付けられると、椀状空間60aの側壁が凸部50aによって押し広げられて正極端子50の端部が椀状空間60a内に収容される。正極端子50および負極端子60は、互いに接続された状態でそれぞれの中心軸が重なり、当該中心軸回りに相対回動することができる。また、正極端子50および負極端子60が接続された状態で正極端子50と負極端子60に互いに離れる方向の力が加えられると、椀状空間60aを形成する側壁が凸部50aによって外側に押し広げられて正極端子50の端部が負極端子60の椀状空間60aから退出する。
【0028】
すなわち、正極端子50および負極端子60は、上述したバスバーや相互接続部を介することなく直に接している。そのため、組電池10のさらなる軽量化が可能である。また、正極端子50および負極端子60は、着脱可能に接続されている。そのため、電池30を組電池10に対して簡単に着脱することができる。これにより、各電池30の着脱や交換などを含む、組電池10のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0029】
なお、複数の電池30の直列接続の一方の終端となる電池30aの正極端子50’と、他方の終端となる電池30fの負極端子60’は、外部に引き回される配線を介して外部負荷(ともに図示せず)と接続可能になっている。
【0030】
電池30は、2つの主表面を持つ扁平状である。正極端子50および負極端子60は、2つの主表面に接続する同一の側面31aに設けられている。このように電池30が扁平型電池であり、かつ端子の設けられた側面31aが対向配置されて電池30が直列接続されているため、組電池10の全体形状は面状となる。したがって、本実施形態に係る組電池10は、高さの少ない空間に収容することができる。例えば、組電池10は、電池を収容するための空間として、面方向の空間は確保しやすいが高さ方向の空間を確保することが難しい自動車に対して、好適に搭載することができる。
【0031】
また、直列接続される少なくとも2つの電池30は、同一平面上に配置されている。2つの電池30が同一平面上に配置されることで、この2つの電池30の収容空間において、デッドスペースの少ない空間設計を容易に実現することができる。したがって、組電池10の収容空間におけるデッドスペースを減らすことができる。なお、本実施形態では、電池30aおよび電池30b、電池30bおよび電池30c、電池30cおよび電池30d、電池30dおよび電池30e、電池30eおよび電池30fが、それぞれ同一平面上に配置されている。すなわち、全ての電池30が同一平面上に配置されている。そのため、組電池10の収容空間におけるデッドスペースが最小となる空間設計を容易に実現することができる。
【0032】
図3は、組電池の屈折部近傍の概略構造を示す斜視図である。図4は、屈折部と平面部とが組み合わされた組電池の概略構造を示す斜視図である。上述のように、略柱状の正極端子50および負極端子60は、互いに接続された状態でそれぞれの中心軸が重なり、中心軸回りに回動自在である。すなわち、正極端子50および負極端子60は、正極端子50と負極端子60の接続部70および2つの電池30の外装缶31を通る軸Xを中心として回動可能に接続されている。軸Xは、正極端子50および負極端子60のそれぞれの中心軸と重なる軸である。したがって、組電池10は、軸X回りに電池30を回動させることで、多様な形状をとることができる。これにより、組電池10の搭載配置をより自由に設定することができる。
【0033】
たとえば図3に示すように、電池30b,30cの軸Xを中心として2つの電池30b,30cを屈折させて、組電池10に屈折部12を設けることができる。屈折部12の角度は自由に設定することができる。
【0034】
また、たとえば図4に示すように、組電池10は、電池30d,30e,30fが平面上に配置され、電池30a,30bが他の平面上に配置され、電池30bおよび電池30cが互いに90°屈折し、電池30cおよび電池30dが互いに90°屈折した構造、すなわち電池30cで折り返された構造とすることができる。
【0035】
また、本実施形態に係る組電池10には、直列接続された2つの電池30のうち少なくとも一方の電池30の主表面上方に配置された他の電池30と、他の電池30と一方の電池30の正極端子50同士および負極端子60同士を並列接続するためのバスバー80(端子接続部材)とをさらに設けることができる。
【0036】
図5(A)は、直列接続された複数の電池からなる第1電池層および第2電池層を有し、各電池層の電池が層間で並列接続された構造を有する組電池の概略構造を示す側面図である。図5(B)は、第1電池層の概略構造を示す平面図である。図5(C)は、第2電池層の概略構造を示す平面図である。なお、図5(A)において、電池30b,30d,30fと、電池30b,30d,30fの主表面上方に配置された他の電池30h,30j,30lを破線で示している。
【0037】
本実施形態では、図5(A)、図5(B)および図5(C)に示すように、電池30aの主表面に垂直な方向(主表面上方)に、電池30gが配置されている。電池30aと電池30gとは、互いの主表面が対向している。同様に、電池30bの主表面上方に電池30hが、電池30cの主表面上方に電池30iが、電池30dの主表面上方に電池30jが、電池30eの主表面上方に電池30kが、電池30fの主表面上方に電池30lがそれぞれ配置されている。これにより、電池30a〜30fからなる第1電池層14と、電池30g〜30lからなる第2電池層16とが形成されている。なお、電池層の数は特に限定されず、3層以上であってもよい。
【0038】
電池30g〜30lは、電池30a〜30fと同様の形状を有する。また、電池30g〜30lの配置は、電池30a〜30fと同様である。すなわち、電池30gの負極端子60が設けられた側面と、電池30hの正極端子50が設けられた側面とが対向配置されている。また、電池30hの負極端子60が設けられた側面と電池30iの正極端子50が設けられた側面、電池30iの負極端子60が設けられた側面と電池30jの正極端子50が設けられた側面、電池30jの負極端子60が設けられた側面と電池30kの正極端子50が設けられた側面、電池30kの負極端子60が設けられた側面と電池30lの正極端子50が設けられた側面が、それぞれ対向配置されている。
【0039】
電池30aの負極端子60と電池30bの正極端子50との間、電池30bの負極端子60と電池30cの正極端子50との間、電池30cの負極端子60と電池30dの正極端子50との間、電池30dの負極端子60と電池30eの正極端子50との間、および電池30eの負極端子60と電池30fの正極端子50との間には、それぞれ帯状のバスバー80の一方の端部が配置されている。電池30aの正極端子50’の先端部および電池30fの負極端子60’の先端部にはそれぞれ、各電池の端子間に配置されたバスバー80よりも太い(長手方向に垂直な方向の断面積が大きい)バスバー80’の一方の端部が配置されている。
【0040】
また、電池30gの負極端子60と電池30hの正極端子50との間には、電池30aの負極端子60と電池30bの正極端子50との間に配置されたバスバー80の他方の端部が配置されている。電池30hの負極端子60と電池30iの正極端子50の間には、電池30bの負極端子60と電池30cの正極端子50との間に配置されたバスバー80の他方の端部が配置されている。電池30iの負極端子60と電池30jの正極端子50の間には、電池30cの負極端子60と電池30dの正極端子50との間に配置されたバスバー80の他方の端部が配置されている。電池30jの負極端子60と電池30kの正極端子50の間には、電池30dの負極端子60と電池30eの正極端子50との間に配置されたバスバー80の他方の端部が配置されている。電池30kの負極端子60と電池30lの正極端子50との間には、電池30eの負極端子60と電池30fの正極端子50との間に配置されたバスバー80の他方の端部が配置されている。
【0041】
第2電池層16における一方の終端となる電池30gの正極端子50’の先端部には、電池30aの正極端子50’の先端部に配置されたバスバー80’の他方の端部が配置されている。第2電池層16における他方の終端となる電池30lの負極端子60’の先端部には、電池30fの負極端子60’の先端部に配置されたバスバー80’の他方の端部が配置されている。
【0042】
バスバー80は、両端部の第1主表面上に正極端子50の先端部と同一形状のオス型端子部82を有し、両端部の第2主表面上に負極端子60の先端部と同一形状のメス型端子部84を有する。また、電池30aおよび電池30gの正極端子50’の先端部に配置されたバスバー80’は、両端部の一方の主表面上にメス型端子部84を有する。電池30fおよび電池30lの負極端子60’の先端部に配置されたバスバー80’は、両端部の一方の主表面上にオス型端子部82を有する。なお、電池層が3層以上である場合は、バスバー80,80’の長手方向に沿って、層数に対応する数のオス型端子部82およびメス型端子部84が設けられる。また、バスバー80’は、長手方向の略中間位置において長手方向に対して垂直に延びる、外部配線が接続される接続部86を有する。
【0043】
電池30a〜30eの負極端子60は、バスバー80の一方の端部の第1主表面上に設けられたオス型端子部82に着脱可能かつ回動可能に接続されている。また、電池30b〜30fの正極端子50は、バスバー80の一方の端部の第2主表面上に設けられたメス型端子部84に着脱可能かつ回動可能に接続されている。したがって、電池30a〜30fにおいて、直列接続される2つの電池30の一方の正極端子50と他方の負極端子60とは、バスバー80の一方の端部を介して直列接続されている。
【0044】
また、電池30g〜30kの負極端子60は、バスバー80の他方の端部の第1主表面上に設けられたオス型端子部82に着脱可能かつ回動可能に接続されている。また、電池30h〜30lの正極端子50は、バスバー80の他方の端部の第2主表面上に設けられたメス型端子部84に着脱可能かつ回動可能に接続されている。したがって、電池30g〜30lにおいて、直列接続される2つの電池30の一方の正極端子50と他方の負極端子60とは、バスバー80の他方の端部を介して直列接続されている。
【0045】
さらに、電池30aおよび電池30gの正極端子50’は、それぞれバスバー80’の一方あるいは他方の端部に設けられたメス型端子部84に着脱可能かつ回動可能に接続されている。また、電池30fおよび電池30lの負極端子60’は、それぞれバスバー80’の一方あるいは他方の端部に設けられたオス型端子部82に着脱可能かつ回動可能に接続されている。
【0046】
このようなバスバー80,80’の接続によって、第1電池層14の電池30と第2電池層16の電池30とが並列接続されている。具体的には、電池30aおよび電池30gの正極端子50’同士および負極端子60同士、電池30bおよび電池30hの正極端子50同士および負極端子60同士、電池30cおよび電池30iの正極端子50同士および負極端子60同士、電池30dおよび電池30jの正極端子50同士および負極端子60同士、電池30eおよび電池30kの正極端子50同士および負極端子60同士、電池30fおよび電池30lの正極端子50同士および負極端子60’同士が、それぞれバスバー80,80’によって並列接続されている。
【0047】
図6(A)は、複数の電池が直列接続および並列接続された構造を有する従来の組電池における一部分の概略構造を示す平面図である。図6(B)は、図6(A)に示す組電池の回路構成を示す回路図である。図6(C)は、複数の電池が直列接続および並列接続された構造を有する実施形態1に係る組電池における一部分の概略構造を示す側面図である。図6(D)は、図6(C)に示す組電池の回路構成を示す回路図である。
【0048】
図6(A)および図6(B)に示すように、従来の組電池10は、並列接続された複数の電池30からなるユニットを複数有し、これらの複数のユニットが直列接続された構造を有する。具体的には、複数の電池30が、平面視で電池30の長手方向が略平行になるように所定の間隔で並設されている。各電池30の正極端子50および負極端子60は、上方に向けられている。そして、隣接する3つの電池30の正極端子50同士、負極端子60同士がそれぞれバスバー80で接続されて、3つの電池30からなるユニットが形成されている。バスバー80は、正極端子50および負極端子60に対してねじ止め固定されている。
【0049】
そして、隣接する2つのユニットにおける一方のユニットの正極端子50同士を接続するバスバー80と、他方のユニットの負極端子60同士を接続するバスバー80とが連結されて、隣接する2つのユニットが直列接続されている。図6(A)に示す従来の組電池10では、一方のユニットの正極端子50を接続するバスバー80と、他方のユニットの負極端子60同士を接続するバスバー80とは、一体的に形成された一本のバスバー80からなっている。したがって、この一本のバスバーに、一方のユニットを構成する3つの電池30の正極端子50と、他方のユニットを構成する3つの電池30の負極端子60とが接続されている。なお、各ユニットを構成する電池30の数は3つに限定されない。
【0050】
一方、図6(C)および図6(D)に示すように、本実施形態に係る組電池10は、直列接続された複数の電池からなる第1電池層14、第2電池層16および第3電池層18を有し、各電池層の電池30が層間で並列接続された構造を有する。各電池層において電池30同士が直列接続される構造、および各電池層の電池が電池層間で並列接続される構造については上述した通りである。
【0051】
従来の組電池10では、複数の電池30が並列接続されたユニットが直列接続されていたため、バスバー80のユニット間を接続する部分に電流が集中してしまっていた。したがって、バスバー80の抵抗Rに応じた発熱(RI)が生じ、無視できない電力ロスが生じるおそれがあった。これに対し、実施形態1に係る組電池10では、各電池層の各電池30が層間で並列接続されているため、各電池30が均質で電池間に電位差がなければ、電池層間で電池30同士を並列接続するバスバー80には理論上電流が流れない。
【0052】
実際は、各電池30間に電位差があることが多いため、バスバー80には、並列接続する2つの電池30間の電位が等しくなるだけの電流が流れる。しかしながら、この電流は、従来の構造においてバスバー80に流れる電流に比べて極めて小さいものである。したがって、電流がバスバー80を通過することによる電力ロスを小さくすることができる。また、バスバー80を細くすることができる。
【0053】
なお、図5(A)〜図5(C)に示すように、各電池層の直列接続の一方の終端となる正極端子50’および他方の終端となる負極端子60’を並列接続するバスバー80’は、各電池層を流れる電流が集合するため、他のバスバー80に比べて太くなっている。すなわち、バスバー80’は、バスバー80’によって接続される、隣り合う端子の並ぶ方向に垂直な断面積(隣り合う端子を通る直線に垂直な方向の断面積)が、他のバスバー80に比べて大きい。
【0054】
このように、本実施形態に係る組電池10によれば、正極端子50’および負極端子60’を接続するバスバー80’を相対的に太くし、他のバスバー80を相対的に細くすることができるため、組電池10における電力ロスの低減と、組電池10の軽量化とを図ることができる。なお、バスバー80’のうち少なくとも一方が他のバスバー80よりも太くなっていれば、従来の組電池10に比べて、上述した電力ロスの低減を図ることができる。
【0055】
なお、正極端子50および負極端子60の接続構造は、上述した構造に限定されない。たとえば、正極端子50および負極端子60の着脱可能な接続構成として、正極端子50および負極端子60の端部を金属製面ファスナーを用いて接続する構成を挙げることができる。
【0056】
図7(A)および図7(B)は、一例としての金属製面ファスナーの概略構造を示す斜視図である。金属製面ファスナーとしては、例えば図7(A)および図7(B)に示すように、フック−ループファスナー型のものを用いることができる。この金属製面ファスナーは、例えば正極端子50の上面に溶接等により固定されたフック部材90Aと、負極端子60の上面に溶接等により固定されたループ部材90Bとからなる。フック部材90Aは、その表面にマトリクス状に配列された複数のフックを有し、ループ部材90Bは、その表面にマトリクス状に配列された複数のループを有する。正極端子50の上面と負極端子60の上面とが押し合わされた際に、フック部材90Aのフックがループ部材90Bのループに引っかかることで、正極端子50と負極端子60とが着脱可能に接続される。
【0057】
以上説明したように、本実施形態に係る組電池10では、直列接続される少なくとも2つの電池30において、一方の電池30の正極端子50が設けられた側面31aと他方の電池30の負極端子60とが設けられた側面31aとが向かい合うように配置されている。そのため、端子の設けられた側面が同じ方向を向くように電池30が配置されていた従来構造に比べて、正極端子50と負極端子60との間に介在する端子接続部材の長さをより短くすることができる。さらには、正極端子50および負極端子60を端子接続部材を介さずに直に接続することもできる。したがって、組電池10の軽量化を図ることができる。また、端子接続部材の短縮あるいは省略によって組電池10の製造コストを削減することができ、また、端子接続部材における電気抵抗の増大も軽減あるいは回避することができる。
【0058】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施形態も本発明の範囲に含まれうるものである。
【符号の説明】
【0059】
10 組電池、 12 屈折部、 30,30a,30b,30c,30d,30e,30f,30g,30h,30i,30j 電池、 31 外装缶、 31a 側面、 32 電極体、 50,50’ 正極端子、 60,60’ 負極端子、 70 接続部、 X 軸。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極体が収容された筐体と、当該筐体の同一の側面に設けられ前記電極体に電気的に接続された正極端子および負極端子とを有する2以上の二次電池を備え、
直列接続される少なくとも2つの二次電池は、一方の二次電池の正極端子が設けられた側面と他方の二次電池の負極端子が設けられた側面とが向かい合うように配置されていることを特徴とする組電池。
【請求項2】
前記二次電池は、2つの主表面を持つ扁平状であり、
前記側面は、前記2つの主表面に接続した面である請求項1に記載の組電池。
【請求項3】
前記少なくとも2つの二次電池は、同一平面上に配置されている請求項1または2に記載の組電池。
【請求項4】
前記少なくとも2つの二次電池は、前記正極端子と前記負極端子の接続部および前記2つの二次電池の筐体を通る軸を中心として屈折している請求項1または2に記載の組電池。
【請求項5】
前記2つの二次電池のうち少なくとも一方の二次電池の主表面上方に配置された他の二次電池と、
前記他の二次電池と前記一方の二次電池の正極端子同士および負極端子同士を並列接続するための端子接続部材と、
をさらに備える請求項1乃至4のいずれか1項に記載の組電池。
【請求項6】
複数の前記二次電池が直列接続されてなる第1電池層と、
前記第1電池層の各二次電池の主表面上方に配置された複数の前記二次電池が直列接続されてなる第2電池層と、
前記第1電池層の各二次電池と当該各二次電池に対応する前記第2電池層の各二次電池の正極端子同士および負極端子同士を並列接続ための複数の端子接続部材と、
を備え、
前記第1電池層の直列接続と前記第2電池層の直列接続のそれぞれにおける、一方の終端となる端子同士を接続する前記端子接続部材、および他方の終端となる端子同士を接続する前記端子接続部材の少なくとも一方は、当該端子接続部材によって接続される端子を通る直線に垂直な方向の断面積が、他の端子接続部材と比べて大きい請求項1乃至5のいずれか1項に記載の組電池。
【請求項7】
前記正極端子および前記負極端子は、互いに向かい合うとともに、着脱可能に接続されている請求項1乃至6のいずれか1項に記載の組電池。
【請求項8】
前記正極端子および前記負極端子は、互いに向かい合うとともに、前記正極端子と前記負極端子の接続部および前記2つの二次電池の筐体を通る軸を中心として回動可能に接続されている請求項1乃至7のいずれか1項に記載の組電池。
【請求項9】
前記正極端子および前記負極端子は、互いに向かい合うとともに、直に接している請求項1乃至8のいずれか1項に記載の組電池。
【請求項10】
自動車に搭載される請求項1乃至9のいずれか1項に記載の組電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−178271(P2012−178271A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−40600(P2011−40600)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】