組電池
【課題】単電池の厚さ方向の積層高さを抑制し、かつ電気部品間の電気抵抗を低減することができる組電池を提供する。
【解決手段】組電池1は、複数個の単電池10〜14と、当該複数個の単電池を直列に結線するように電極端子間を接続する複数個のバスバー20〜25と、を備える。複数個の単電池10〜14は、外装ケースの厚み方向に単電池を積層してなる積層電池群2,3を複数形成する。当該複数の積層電池群2,3を構成するすべての単電池10〜14は直列結線されている。複数の積層電池群2,3のうち、少なくとも1つの積層電池群3は、隣接する他の積層電池群2よりも積層個数が少なく構成されて、隣接する他の積層電池群2との間に積層個数の違いによる段差空間4を形成する。直列接続の一端をなす電極端子は、段差空間4に隣接する位置に設定される。
【解決手段】組電池1は、複数個の単電池10〜14と、当該複数個の単電池を直列に結線するように電極端子間を接続する複数個のバスバー20〜25と、を備える。複数個の単電池10〜14は、外装ケースの厚み方向に単電池を積層してなる積層電池群2,3を複数形成する。当該複数の積層電池群2,3を構成するすべての単電池10〜14は直列結線されている。複数の積層電池群2,3のうち、少なくとも1つの積層電池群3は、隣接する他の積層電池群2よりも積層個数が少なく構成されて、隣接する他の積層電池群2との間に積層個数の違いによる段差空間4を形成する。直列接続の一端をなす電極端子は、段差空間4に隣接する位置に設定される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の単電池を電気的に直列接続して構成される組電池に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の組電池は、例えば、3行3列に配置した複数のセル(単電池)をすべて直列に結線してなる。さらに、当該組電池において、最も低電位の負極端子を有するセルXと最も高電位の正極端子を有するセルYとが同一の行または同一の列の両端にそれぞれ位置しており、セルXとセルYを含む行または列が、組電池の一側面を形成している。
【0003】
特許文献1の組電池は、3行3列のセル配置によって小型化を図るとともに、最も低電位の負極端子と最も高電位の正極端子とを集合電池の一側面に配置する構成によって、両方の端子を一側面に配するための接続片を不要とするので、部品点数の低減、接続片の発熱に伴う強度低下を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−200017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、組電池を搭載する機器には、他の各種部品の搭載スペースとの関係や、当該機器自体の小型化のため、組電池の搭載スペースについて制約があり、組電池の体格を小型化することが要求されている。
【0006】
この点について、特許文献1の組電池は、前述のように、3行3列のセル配置によって小型化を図っているが、上記の厳しい制約条件を満たすほどの小型化を実現するには十分なものではない。
【0007】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、単電池の厚さ方向の積層高さを抑制し、かつ電気部品間の電気抵抗を低減することができる組電池を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記目的を達成するために以下の技術的手段を採用する。すなわち、請求項1は、直方体状の外装ケースから突出する正極端子(10b〜14b)及び負極端子(10a〜14a)からなる電極端子をそれぞれ有する複数個の単電池(10〜14)と、当該複数個の単電池を直列に結線するように電極端子間を接続する複数個のバスバー(20〜25)と、を備える組電池(1)に係る発明であって、
複数個の単電池は、直方体状の外装ケースの厚み方向に単電池を積層してなる積層電池群(2,3)を複数形成し、当該複数の積層電池群を構成するすべての単電池は直列結線されており、
複数の積層電池群(2,3)のうち、少なくとも1つの積層電池群(3)は、隣接する他の積層電池群(2)よりも積層個数が少なく構成されて、隣接する他の積層電池群(3)との間に積層個数の違いによる段差空間(4)を形成し、
直列結線の一端をなす電極端子(14b)は、段差空間(4)に隣接する位置に設定されることを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、単電池の積層個数が異なる積層電池群を複数個有する組電池を構成し、当該積層電池群間に積層個数の差による段差空間を形成することにより、組電池の積層方向長さを抑制した電池配置が実現できるとともに、組電池に関係する部品等を段差空間に配置して搭載スペースの有効活用を図ることができる。さらに、直列結線の一端をなす電極端子を段差空間に隣接させることにより、電気部品間の距離を抑制することができる。したがって、厚さ方向の積層高さの抑制による小型化と、電気部品間の電気抵抗低減とを図る組電池が得られる。
【0010】
請求項2によると、段差空間(4)には、複数個の単電池の状態を検出する制御基板(5)が配置されることを特徴とする。この発明によれば、制御基板に搭載される部品と単電池との距離を短くして、両者間の電気抵抗を低減でき、電池状態検出用の配線の短縮化や煩雑な引き回し防止を実現できる。また、組電池及びその制御ユニットの搭載スペースの小型化が図れ、電池パックの搭載性を向上することができる。
【0011】
請求項3によると、単電池の正極端子と負極端子との間に位置する外装ケースの端面に設けられ、単電池内部の圧力が異常な圧力になるときに破断する安全弁(10c〜14c)と、安全弁に対向する内壁面を有し、内部の通路(6a)に安全弁が露出するように設けられるダクト部(6)と、を備え、複数個のバスバーは、隣接する単電池の電極端子間を上下方向及び左右方向にのみ接続することを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、複数個のバスバーは隣接する単電池の電極端子間を上下方向及び左右方向にのみ接続するため、バスバーが斜め方向延びるように配置されることがない。したがって、バスバーが安全弁に重なったり、安全弁を覆ったりすることを防止できるため、安全弁が破断してガスが噴き出すような事態になったときに、ガスがバスバーに邪魔されずに排出できる通路を構成することができる。
【0013】
上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明を適用する第1実施形態に係る組電池及び制御基板の配置を説明するための正面図である。
【図2】第1実施形態の組電池、制御基板、及び排煙用ダクトの配置を説明するための正面図である。
【図3】第1実施形態の組電池及び排煙用ダクトの配置を説明するための斜視図である。
【図4】第1実施形態の組電池及び排煙用ダクトの配置を説明するための平面図である。
【図5】第1実施形態の組電池及び排煙用ダクトの構成を説明するための分解斜視図である。
【図6】第1実施形態の組電池の構成を説明するための分解斜視図である。
【図7】第1実施形態の電池パックについてカバーを外した状態の平面図である。
【図8】第1実施形態に係る電池パックのカバーを示した斜視図である。
【図9】第2実施形態の組電池及び排煙用ダクトの配置を説明するための斜視図である。
【図10】第2実施形態の電池パックについてカバーを外した状態の平面図である。
【図11】第3実施形態の組電池及び排煙用ダクトの配置を説明するための斜視図である。
【図12】第3実施形態の電池パックについてカバーを外した状態の平面図である。
【図13】第4実施形態に係る組電池及び制御基板の配置を説明するための正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても実施形態同士を部分的に組み合わせることも可能である。
【0016】
(第1実施形態)
本発明を適用した第1実施形態について、図1〜図8を参照して説明する。第1実施形態の組電池1を構成する複数個の単電池は、例えばアルミ缶等の外殻を構成する外装ケースを有し、直方体状の外装ケースの一端面から突出する正極端子及び負極端子からなる電極端子をそれぞれ有する。組電池1は、当該複数個の単電池を直列に結線するように電極端子間を接続する複数個のバスバーを備える。
【0017】
図1に示すように、本実施形態では、組電池1は、一例として5個の単電池10,11,12,13,14で構成されている。組電池1は、例えば内燃機関と電池に充電された電力によって駆動されるモータとを組み合わせて走行駆動源とするハイブリッド自動車、モータを走行駆動源とする電気自動車等に用いられる。組電池1を構成する二次電池は、例えばニッケル水素二次電池、リチウムイオン電池、有機ラジカル電池であり、ケース内に収納された状態で自動車の座席下、後部座席とトランクルームとの間の空間、運転席と助手席の間の空間などに配置される。
【0018】
5個の単電池10〜14のそれぞれは、電池ケース7内の所定の位置に収納されることで、一体となって組電池1を構成している。組電池1を構成する5個の単電池10〜14は、直方体状の外装ケースの厚み方向Xに単電池を積層してなる第1の積層電池群2と第2の積層電池群3を複数形成する。第1の積層電池群2は、単電池10、単電池13及び単電池14を所定の間隔を設けて厚み方向Xに積層して構成されている。第2の積層電池群3は、単電池11及び単電池12を所定の間隔を設けて厚み方向Xに積層して構成されている。すなわち、積層電池群2,3は、複数個の単電池を、直方体状を構成する複数の面のうち最も表面積の大きな面同士を対向させて積層してなる。厚み方向Xは、積層電池群の積層方向でもある。換言すれば、積層電池群2,3は、複数個の単電池を平積みに積み上げた電池群である。
【0019】
単電池10の負極端子10aは、バスバー20に通電接続されており、さらにバスバー20が螺子止め等で車両側に接続されることにより、車両のグランドに接続される。バスバー20の端部は、第1の積層電池群2下部から側方に延びており、すなわち、組電池1Cの下部側面から横方向に延びる形状である。単電池10の正極端子10bは、バスバー21によって単電池11の負極端子11aに接続されている。単電池11の正極端子11bは、バスバー22によって単電池12の負極端子12aに接続されている。単電池12の正極端子12bは、バスバー23によって単電池13の負極端子13aに接続されている。
【0020】
単電池13の正極端子13bは、バスバー24によって単電池14の負極端子14aに接続されている。単電池14の正極端子14bは、バスバー25に通電接続されており、さらにバスバー25が螺子止め、はんだ付け等でパワー基板50に接続されることにより、パワー基板50に電気的に接続される。これにより、組電池1のすべての単電池10〜14は、図1の破線で示したとおり、正面視で電流が蛇行状に流れるように各バスバーを介して電気的に直列接続される。このようにバスバー20〜25は、隣接する電池端子間を、斜め方向に接続する構成ではなく、上下方向及び左右方向にのみ接続する構成となっている。
【0021】
各単電池における外装ケースには、安全弁が設けられている。各安全弁は、正極端子と負極端子の間に位置し、単電池の内部圧力が異常な圧力になるときに破断するように設定されている。安全弁は、例えば、単電池の外装ケースの端面に開口した孔に薄い金属膜を貼り付けて塞いで構成されている。この場合には、単電池の内部圧力が異常な圧力になったときに、当該金属膜が破断して外装ケースの孔が開放されて、単電池の内部のガスが外装ケース外部に放出されることにより、セル内圧が低下し、単電池自身の破裂を防止することができる。図1に示すように、正面視で、安全弁10c、安全弁13c及び安全弁14cが厚み方向Xに並ぶように配置され、安全弁11c及び安全弁12cが厚み方向Xに並ぶように配置されている。
【0022】
図5及び図6に示すように、絶縁カバー8は、バスバー20〜25と単電池10〜14の外装ケースとを絶縁し、少なくとも安全弁10c〜14c及び電極端子を除く外装ケースの端面部分を覆うように設けられている。すなわち、絶縁カバー8には、外装ケースの端面を覆うように絶縁カバー8を装着したときに、各安全弁の対応する位置に安全弁よりも大きい開口部が形成されるとともに、各電極端子の対応する位置に電極端子よりも大きい開口部が形成されている。したがって、各安全弁及び各電極端子は、電池ケース7に収容されて一体となる組電池1に絶縁カバー8を装着した状態では、各開口部の内側にあって、絶縁カバー8に覆われることなく露出することになる。
【0023】
さらに、絶縁カバー8は、各バスバーを位置決めするための凹部を、組電池1が必要とするバスバーの個数分備えている。各バスバーには、単電池の電極端子を挿通する開口部が形成されている。絶縁カバー8の各凹部に対応する各バスバーを嵌めこむと、接続対象の電極端子が各バスバーの開口部に嵌まり、各単電池とバスバーとの位置関係が適正に決まることになる。絶縁カバー8の各凹部に所定の各バスバーを嵌めこむ位置決め工程により、各バスバー20の位置が規制されるので、バスバーと接続対象の電極端子との溶接等の接合工程を迅速、かつ正確に行うことに貢献し、またバスバーが接触すべきでない部品に触れることを妨げて短絡等の不適切な接続や部品の損傷等を未然に防止することができる。
【0024】
接続対象である複数個の電極端子を複数個のバスバーによって接続する工程を実施する場合には、まず、各単電池を電池ケース7の所定の位置に設置して収容する。次に、単電池10〜14が収容された電池ケース7に対して絶縁カバー8を装着する。このとき、電池ケース7及び絶縁カバー8の上部及び下部は、2個のクリップ33を用いて締結され、左右の側部は2個のクリップ32を用いて締結される。次に、電池ケース7及び単電池10〜14と一体に組み立てられた絶縁カバー8の6個の凹部に対して、それぞれ対応する所定のバスバーを嵌め込む。この状態で、各バスバーの開口部には、対応する所定の電極端子が挿通されている。さらに、例えばレーザー溶接、アーク溶接等の溶接により、各バスバーと各電極端子とを接合する。
【0025】
複数の積層電池群2,3のうち、第2の積層電池群3は、隣接する第1の積層電池群2よりも積層個数が少なく構成されている。第2の積層電池群3は、単電池11及び単電池12の2個分の積層高さであり、第1の積層電池群2は、単電池10、単電池13及び単電池14の3個分の積層高さである。このようにして、第2の積層電池群3と第1の積層電池群2は、積層個数の違いによる段差空間4を形成する。この場合、段差空間4は、単電池約1個分の厚み寸法に相当する段差をなしている。この段差空間4には、複数個の単電池10〜14の状態を検出するための制御基板5が配置されている。このため、制御基板5を含めた組電池1の厚み方向Xの高さを低く抑えることができる。また制御基板5の上端部は、隣接する第1の積層電池群2の厚み方向Xの上端部以下に収まるように設置されることが好ましい。なお、制御基板5は、単電池を収容する電池ケース7に立てられたボスに載置されて螺子止め固定されている。
【0026】
直列接続の一端をなす電極端子、すなわち本実施形態の場合、最も高電位となる単電池14の正極端子14bは、段差空間4に隣接する位置に設定されている。またパワー基板50は、端子台51に接続され、ワイヤハーネス52を介して制御基板5や車両に接続されている。このようにして、複数の積層電池群2,3を構成するすべての単電池10〜14は直列結線されている。
【0027】
組電池1は、内部の排煙用通路6aにすべての安全弁10c〜14cを露出するように設けられる排煙用ダクト6を備えている。排煙用ダクト6は、耐熱性を有する材料で形成され、例えば、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ポリエチレン樹脂(PE)、難燃剤を添加した各種樹脂等で形成される。排煙用ダクト6の有する耐熱性は、単電池の内部が異常な高圧状態になって、内部のガスが安全弁の破断によって噴き出しても、ダクト部分が溶けないで破損しない耐熱能力を有することである。また、絶縁カバー8は、絶縁性を有し、例えばポリプロピレン(PP樹脂)、フィラーやタルクを含有するPP樹脂等の合成樹脂で形成されている。さらに、絶縁カバー8は、排煙用ダクト6と同様に耐熱性を有する樹脂で形成されていることが好ましい。
【0028】
排煙用ダクト6は、水平方向に延びる筒状体であり、絶縁カバー8に組み付けたときのすべての安全弁10c〜14cに対応する位置に安全弁よりも大きい開口部を備えている。当該開口部の周縁部は、絶縁カバー8に組み付けたときに、パッキン30,31を間に挟み込んで、安全弁10c〜14cの周囲の外装ケース表面に密着して接触する。当該開口部の周縁表面部とパッキン30及びパッキン31とは、排煙用ダクト6と外装ケースとの気密度の確保に寄与する。さらに排煙用ダクト6には、排煙用通路6aと連通し、側部から外方に延びる内部通路を形成する導出ダクト部6bを備えている。導出ダクト部6bは、排煙用通路6aに噴出したガスを組電池1から離れた外部へ排出する機能を果たす。
【0029】
パッキン30,31を備える代わりに、排煙用ダクト6において安全弁10c〜14cの周縁部を押さえる部分にエラストマー等の軟性の高い樹脂を二色食成形等により設けるようにしてもよい。
【0030】
排煙用ダクト6には、電圧検知用端子40が設けられている。電圧検知用端子40は、段差空間4に上方に突出するように延びており、図2に示すように、段差空間4に配置される制御基板5に接続される。電圧検知用端子40には、組電池1の所定の電位を測定する電圧検知センサの検出信号が出力されるようになっており、当該検出信号は制御基板5に出力される。
【0031】
排煙用ダクト6は、長手方向(横方向)の中央付近に位置する上端部及び下端部のそれぞれに、外方に向けて突出する凸部が形成された爪部6cを備えている。さらに、排煙用ダクト6は、長手方向(横方向)の一方側に位置する上端部及び下端部のそれぞれに、外方に向けて突出する凸部が形成された爪部6dを備えている。一方、絶縁カバー8には、2個の爪部6cのそれぞれが対応する位置に嵌合穴部を形成するコの字状の係合片8aが設けられ、2個の爪部6dのそれぞれが対応する位置に嵌合穴部を形成するコの字状の係合片8bが設けられている。排煙用ダクト6を絶縁カバー8に組み付けたときに、上下2個の各爪部6cが対応する係合片8aの内壁面に係合し、上下2個の各爪部6dが対応する係合片8bの内壁面に係合するため、排煙用ダクト6の移動方向が規制されて、排煙用ダクト6が絶縁カバー8側に押し付けられるようにパッキン30,31を圧縮し、安全弁10c〜14cの表面と排煙用通路6aとの気密確保を実現することができる。
【0032】
図7及び図8に示すように、ベース9は、制御基板5が載置固定された組電池1、パワー基板50、端子台51等の電池パックを構成する主要部品が固定され、これらの部品を下方から支持している。ベース9は、例えば、絶縁性を有し、例えばポリプロピレン(PP)、強度向上のためのフィラーやタルク含有のPP等の合成樹脂で形成されている。ベース9は、車両側にボルト締め等により固定するための固定部と、組電池1等を上方から覆うカバー60を取り付けるための取付部とを備えている。このように主要部品が固定されるベース9にカバー60で蓋をしてパッキングすることにより、電池パックとして車両に搭載される。
【0033】
電池監視装置は、組電池1の状態を監視する電池ECUであり、制御基板5に搭載される。電池監視装置は、組電池1の状態に関する情報を検出するために、組電池1の所定の位置に設置された検出端子から延びる複数の検出線を介して、組電池1に接続されている。検出線は、例えば、組電池1の電圧、温度等の情報を電池監視装置に送信するための通信線である。検出端子は、組電池1の状態に関わる情報を検出する電圧計測素子、温度センサ、その他の各種センサである。
【0034】
電池パックは、複数個の単電池10〜14の充電、放電、電池温度監視等を行う電子部品を有する。例えば、電子部品は、DC/DCコンバータ、インバータ、パワー基板50に搭載されるパワー素子、制御基板5に搭載される各種電子部品、各種の電子式制御装置等である。電池パックには、例えば電圧、温度等の電池の状態を監視する各種センサからの検出結果が入力される電池監視装置と、電池監視装置と通信可能に構成されDC/DCコンバータの電力授受を制御するとともに、送風装置のモータ等の駆動を制御する制御装置と、各機器を接続するワイヤハーネス等と、が含まれる。また、電池パックには、送風を提供して各単電池を冷却する送風装置を含むようにしてもよい。
【0035】
次に、本実施形態の組電池1がもたらす作用効果について説明する。組電池1は、複数個の単電池10〜14と、当該複数個の単電池を直列に結線するように電極端子間を接続する複数個のバスバー20〜25と、を備える。複数個の単電池10〜14は、外装ケースの厚み方向に単電池を積層してなる積層電池群2,3を複数形成する。当該複数の積層電池群2,3を構成するすべての単電池10〜14は直列結線されている。複数の積層電池群2,3のうち、少なくとも1つの積層電池群3は、隣接する他の積層電池群2よりも積層個数が少なく構成されて、隣接する他の積層電池群2との間に積層個数の違いによる段差空間4を形成する。直列接続の一端をなす電極端子は、段差空間4に隣接する位置に設定される。
【0036】
この構成によれば、単電池の積層個数が異なる第1の積層電池群2と第2の積層電池群3とを有する組電池1を構成し、当該積層電池群間に積層個数の差による段差空間4を形成する。これにより、組電池1の積層方向長さを抑制した電池配置が実現でき、さらに、組電池1に関係する部品等を段差空間4に配置して部品の搭載スペースを有効活用することができるため、電池パックの小型化に貢献することができる。さらに、直列結線の一端をなす電極端子(最も高電位の正極端子14b)を段差空間4に隣接させる配置を採用することによって、電気部品間の距離を抑制することができるため、電気部品間の電気抵抗低減に貢献することができる。また、本実施形態の組電池1によれば、電池パックを構成する部品点数の低減が図れ、電池パックの小型化、搭載性の向上、及び製品コストの低減に貢献することができる。
【0037】
また、組電池に必要とされる電力特性によっては、組電池を直方体状に形成できない単電池の個数となる場合がある。例えば、単電池の個数が直方体状の組電池を形成できない奇数個となる場合である。このような場合においても、本実施形態の組電池1によれば、搭載性、電気抵抗の低減化、配線の短縮化及び簡単化等に関して有用な電池パックを提供できる。
【0038】
また、排煙用ダクト6は、安全弁の周縁部に相当する外装ケースの端面と、パッキン30,31を介して、または直接的に密着して接触する。これによれば、排煙用ダクト6と外装ケースの端面との密着度合いを高め、外部へのガス遮断性を向上することにより、単電池が異常であるときの外部へのガス漏れ防止効果を向上することができる。
【0039】
また、組電池1が備える段差空間4には、複数個の単電池の状態を検出する制御基板5が配置されている。この構成によれば、制御基板5に搭載される部品と単電池との距離を短くすることができるため、両者間の電気抵抗の低減が図れ、電池状態を検出するための配線の短縮化や煩雑な引き回しの防止を実現できる。また、組電池1及び制御ユニットを搭載するスペースの小型化が図れ、制約条件が厳しい車両に対する電池パックの搭載性を向上することができる。
【0040】
また、組電池1は、単電池の正極端子と負極端子との間に位置する外装ケースの端面に設けられ、単電池内部の圧力が異常な圧力になるときに破断する安全弁10c〜14cと、安全弁10c〜14cに対向する内壁面を有し、内部の排煙用通路6aに安全弁10c〜14cが露出するように設けられる排煙用ダクト6と、を備える。複数個のバスバー20〜25は、隣接する単電池の電極端子間を上下方向及び左右方向にのみ接続する。
【0041】
この構成によれば、複数個のバスバー20〜25は隣接する単電池の電極端子間を上下方向及び左右方向にのみ接続するため、バスバーが斜め方向延びるように配置されることがない。これにより、各バスバーが安全弁10c〜14cに対して干渉する位置に配置されることが防止できるため、安全弁が破断してガスが噴き出すような事態になった場合に、噴出されたガスがバスバー20〜25に邪魔されずに排出できる通路を形成することができる。したがって、電池の内部からの噴出ガスをスムーズに誘導して組電池から離れた場所に排出でき電池パックを提供できる。
【0042】
(第2実施形態)
第2実施形態では、第1実施形態に対する他の形態である組電池1Aについて図9及び図10を参照して説明する。また、第1実施形態に係る図面と同一符号を付した構成部品、第2実施形態において説明しない他の構成は、第1実施形態と同様であり、また同様の作用効果を奏するものである。
【0043】
図9及び図10に示すように、組電池1Aにおいて、単電池14の正極端子14bに通電接続されるバスバー25Aは、第1実施形態のバスバー25と異なりパワー基板50ではなく、制御基板5に接続される構成である。バスバー25Aは、制御基板5側、あるいは段差空間4側に延びる端部に貫通穴が形成されている。バスバー25Aは、当該貫通穴と制御基板5の所定の端子穴とを合わせてボルトを挿通しボルトとナットで締結することにより、制御基板5の所定の端子部に電気的に接続されることになる。
【0044】
(第3実施形態)
第3実施形態では、第1実施形態に対する他の形態について図11及び図12を参照して説明する。また、第1実施形態に係る図面と同一符号を付した構成部品、第3実施形態において説明しない他の構成は、第1実施形態と同様であり、また同様の作用効果を奏するものである。
【0045】
第3実施形態の電池パックは、第1実施形態の制御基板5とパワー基板50とが一つの基板で構成された制御基板70を備えている。制御基板70は、図11及び図12に示すように、電圧検知用端子40とバスバー25Bの両方に電気的に接続されている。バスバー25Bは、制御基板5側、あるいは段差空間4側に延びる端部がさらに、上方に突出する3本の端子形状を呈している。当該3本の端子は、制御基板70の所定の端子部に電気的に接続され、段差空間4で上方に突出する電圧検知用端子40も段差空間4に配置される制御基板70に電気的に接続される。
【0046】
組電池1Bに一体に取り付けられる排煙用ダクト6Aは、長手方向(横方向)の中央付近に位置する上端部及び下端部のそれぞれと、長手方向の一方側に位置する上端部及び下端部のそれぞれとの合計4箇所において、ボルトとナット締めにより、絶縁カバー8Aに取り付けられる。この締結固定手段により、排煙用ダクト6Aが絶縁カバー8A側に押し付けられるようにパッキン30,31を圧縮し、安全弁10c〜14cの表面と排煙用通路6aとの気密確保を実現することができる。
【0047】
また、図12に示すように、ベース9Aは、制御基板70が載置固定された組電池1B、端子台51等の電池パックを構成する主要部品が固定され、これらの部品を下方から支持している。ベース9Aは、車両側にボルト締め等により固定するための固定部と、組電池1B等を上方から覆うカバーを取り付けるための取付部とを備える。主要部品が固定されるベース9Aにカバーで蓋をしてパッキングすることにより、電池パックとして車両に搭載される。
【0048】
(第4実施形態)
第4実施形態では、第1実施形態に対する他の形態である組電池1Cについて図13を参照して説明する。また、第1実施形態に係る図面と同一符号を付した構成部品、第4実施形態において説明しない他の構成は、第1実施形態と同様であり、また同様の作用効果を奏するものである。
【0049】
第4実施形態の組電池1Cは、組電池1に対して、直列結線される複数個の単電池の通電経路と、複数個のバスバーの形状とが異なる。図13に示すように、組電池1Cを構成する5個の単電池10〜14は、直方体状の外装ケースの厚み方向Xに単電池を積層してなる第1の積層電池群2と第2の積層電池群3を複数形成する。第1の積層電池群2は、単電池10、単電池11及び単電池12を所定の間隔を設けて厚み方向Xに積層して構成されている。第2の積層電池群3は、単電池13及び単電池14を所定の間隔を設けて厚み方向Xに積層して構成されている。
【0050】
単電池10の負極端子10aは、バスバー20Cに通電接続されており、さらにバスバー20Cが螺子止め等で車両側に接続されることにより、車両のグランドに接続される。バスバー20Cの端部は、第1の積層電池群2上部から側方に延びており、すなわち、組電池1Cの上部側面から横方向に延びる形状である。単電池10の正極端子10bは、バスバー21Cによって単電池11の負極端子11aに接続されている。単電池11の正極端子11bは、バスバー22Cによって単電池12の負極端子12aに接続されている。単電池12の正極端子12bは、バスバー23Cによって単電池13の負極端子13aに接続されている。
【0051】
単電池13の正極端子13bは、バスバー24Cによって単電池14の負極端子14aに接続されている。単電池14の正極端子14bは、バスバー25Cに通電接続されており、さらにバスバー25Cが螺子止め、はんだ付け等で制御基板5に接続されることにより、制御基板5に電気的に接続される。これにより、組電池1Cのすべての単電池10〜14は、図13の破線で示したとおり、第1の積層電池群2を上部から下部に向けて接続し、第1の積層電池群2の下部から第1の積層電池群2を下部から上部に向けて直列に結線されるようになり、正面視で電流が蛇行状に流れるように各バスバーを介して電気的に直列接続される。このようにバスバー20C〜25Cは、隣接する電池端子間を、斜め方向に接続する構成ではなく、上下方向及び左右方向にのみ接続する構成となっている。
【0052】
(他の実施形態)
上述の実施形態では、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。
【0053】
上記実施形態で説明した組電池は、2個の積層電池群を水平方向に並べて単電池約1個分の段差空間を形成したものであるが、本発明は、形成する段差空間を単電池約1個分に限定するものではない。例えば、本発明に含まれる段差空間は、水平方向に単電池約2個以上が並ぶ大きさ、単電池の厚み方向Xに単電池約2個分以上の大きさ等であってもよい。また、本発明の組電池には、厚み方向Xの長さが異なる段差空間を複数個有する実施形態を含むものである。
【0054】
上記実施形態において、組電池1,1A,1B,1Cは、単電池の厚み方向X(積層方向)が上下方向となる姿勢で設置されているが、本発明の組電池の設置姿勢はこの方向に限定するものではない。例えば、各単電池の電極端子が外装ケースから上方に突出する姿勢となるように、組電池を設置してもよい。
【0055】
上記実施形態において、電池ケース7と絶縁カバー8は、別個の部材であるが、本発明はこの形態に限定するものではない。電池ケース7と絶縁カバー8は、同一部材で構成してもよい。
【符号の説明】
【0056】
1,1A,1B,1C…組電池
2…第1の積層電池群(積層電池群)
3…第2の積層電池群(積層電池群)
4…段差空間
5…制御基板
6…排煙用ダクト(ダクト部)
6a…排煙用通路(通路)
10,11,12,13,14…単電池
10a,11a,12a,13a,14a…負極端子(電極端子)
10b,11b,12b,13b,14b…正極端子(電極端子)
10c,11c,12c,13c,14c…安全弁
20,21,22,23,24,25…バスバー
X…厚み方向
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の単電池を電気的に直列接続して構成される組電池に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の組電池は、例えば、3行3列に配置した複数のセル(単電池)をすべて直列に結線してなる。さらに、当該組電池において、最も低電位の負極端子を有するセルXと最も高電位の正極端子を有するセルYとが同一の行または同一の列の両端にそれぞれ位置しており、セルXとセルYを含む行または列が、組電池の一側面を形成している。
【0003】
特許文献1の組電池は、3行3列のセル配置によって小型化を図るとともに、最も低電位の負極端子と最も高電位の正極端子とを集合電池の一側面に配置する構成によって、両方の端子を一側面に配するための接続片を不要とするので、部品点数の低減、接続片の発熱に伴う強度低下を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−200017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、組電池を搭載する機器には、他の各種部品の搭載スペースとの関係や、当該機器自体の小型化のため、組電池の搭載スペースについて制約があり、組電池の体格を小型化することが要求されている。
【0006】
この点について、特許文献1の組電池は、前述のように、3行3列のセル配置によって小型化を図っているが、上記の厳しい制約条件を満たすほどの小型化を実現するには十分なものではない。
【0007】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、単電池の厚さ方向の積層高さを抑制し、かつ電気部品間の電気抵抗を低減することができる組電池を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記目的を達成するために以下の技術的手段を採用する。すなわち、請求項1は、直方体状の外装ケースから突出する正極端子(10b〜14b)及び負極端子(10a〜14a)からなる電極端子をそれぞれ有する複数個の単電池(10〜14)と、当該複数個の単電池を直列に結線するように電極端子間を接続する複数個のバスバー(20〜25)と、を備える組電池(1)に係る発明であって、
複数個の単電池は、直方体状の外装ケースの厚み方向に単電池を積層してなる積層電池群(2,3)を複数形成し、当該複数の積層電池群を構成するすべての単電池は直列結線されており、
複数の積層電池群(2,3)のうち、少なくとも1つの積層電池群(3)は、隣接する他の積層電池群(2)よりも積層個数が少なく構成されて、隣接する他の積層電池群(3)との間に積層個数の違いによる段差空間(4)を形成し、
直列結線の一端をなす電極端子(14b)は、段差空間(4)に隣接する位置に設定されることを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、単電池の積層個数が異なる積層電池群を複数個有する組電池を構成し、当該積層電池群間に積層個数の差による段差空間を形成することにより、組電池の積層方向長さを抑制した電池配置が実現できるとともに、組電池に関係する部品等を段差空間に配置して搭載スペースの有効活用を図ることができる。さらに、直列結線の一端をなす電極端子を段差空間に隣接させることにより、電気部品間の距離を抑制することができる。したがって、厚さ方向の積層高さの抑制による小型化と、電気部品間の電気抵抗低減とを図る組電池が得られる。
【0010】
請求項2によると、段差空間(4)には、複数個の単電池の状態を検出する制御基板(5)が配置されることを特徴とする。この発明によれば、制御基板に搭載される部品と単電池との距離を短くして、両者間の電気抵抗を低減でき、電池状態検出用の配線の短縮化や煩雑な引き回し防止を実現できる。また、組電池及びその制御ユニットの搭載スペースの小型化が図れ、電池パックの搭載性を向上することができる。
【0011】
請求項3によると、単電池の正極端子と負極端子との間に位置する外装ケースの端面に設けられ、単電池内部の圧力が異常な圧力になるときに破断する安全弁(10c〜14c)と、安全弁に対向する内壁面を有し、内部の通路(6a)に安全弁が露出するように設けられるダクト部(6)と、を備え、複数個のバスバーは、隣接する単電池の電極端子間を上下方向及び左右方向にのみ接続することを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、複数個のバスバーは隣接する単電池の電極端子間を上下方向及び左右方向にのみ接続するため、バスバーが斜め方向延びるように配置されることがない。したがって、バスバーが安全弁に重なったり、安全弁を覆ったりすることを防止できるため、安全弁が破断してガスが噴き出すような事態になったときに、ガスがバスバーに邪魔されずに排出できる通路を構成することができる。
【0013】
上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明を適用する第1実施形態に係る組電池及び制御基板の配置を説明するための正面図である。
【図2】第1実施形態の組電池、制御基板、及び排煙用ダクトの配置を説明するための正面図である。
【図3】第1実施形態の組電池及び排煙用ダクトの配置を説明するための斜視図である。
【図4】第1実施形態の組電池及び排煙用ダクトの配置を説明するための平面図である。
【図5】第1実施形態の組電池及び排煙用ダクトの構成を説明するための分解斜視図である。
【図6】第1実施形態の組電池の構成を説明するための分解斜視図である。
【図7】第1実施形態の電池パックについてカバーを外した状態の平面図である。
【図8】第1実施形態に係る電池パックのカバーを示した斜視図である。
【図9】第2実施形態の組電池及び排煙用ダクトの配置を説明するための斜視図である。
【図10】第2実施形態の電池パックについてカバーを外した状態の平面図である。
【図11】第3実施形態の組電池及び排煙用ダクトの配置を説明するための斜視図である。
【図12】第3実施形態の電池パックについてカバーを外した状態の平面図である。
【図13】第4実施形態に係る組電池及び制御基板の配置を説明するための正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても実施形態同士を部分的に組み合わせることも可能である。
【0016】
(第1実施形態)
本発明を適用した第1実施形態について、図1〜図8を参照して説明する。第1実施形態の組電池1を構成する複数個の単電池は、例えばアルミ缶等の外殻を構成する外装ケースを有し、直方体状の外装ケースの一端面から突出する正極端子及び負極端子からなる電極端子をそれぞれ有する。組電池1は、当該複数個の単電池を直列に結線するように電極端子間を接続する複数個のバスバーを備える。
【0017】
図1に示すように、本実施形態では、組電池1は、一例として5個の単電池10,11,12,13,14で構成されている。組電池1は、例えば内燃機関と電池に充電された電力によって駆動されるモータとを組み合わせて走行駆動源とするハイブリッド自動車、モータを走行駆動源とする電気自動車等に用いられる。組電池1を構成する二次電池は、例えばニッケル水素二次電池、リチウムイオン電池、有機ラジカル電池であり、ケース内に収納された状態で自動車の座席下、後部座席とトランクルームとの間の空間、運転席と助手席の間の空間などに配置される。
【0018】
5個の単電池10〜14のそれぞれは、電池ケース7内の所定の位置に収納されることで、一体となって組電池1を構成している。組電池1を構成する5個の単電池10〜14は、直方体状の外装ケースの厚み方向Xに単電池を積層してなる第1の積層電池群2と第2の積層電池群3を複数形成する。第1の積層電池群2は、単電池10、単電池13及び単電池14を所定の間隔を設けて厚み方向Xに積層して構成されている。第2の積層電池群3は、単電池11及び単電池12を所定の間隔を設けて厚み方向Xに積層して構成されている。すなわち、積層電池群2,3は、複数個の単電池を、直方体状を構成する複数の面のうち最も表面積の大きな面同士を対向させて積層してなる。厚み方向Xは、積層電池群の積層方向でもある。換言すれば、積層電池群2,3は、複数個の単電池を平積みに積み上げた電池群である。
【0019】
単電池10の負極端子10aは、バスバー20に通電接続されており、さらにバスバー20が螺子止め等で車両側に接続されることにより、車両のグランドに接続される。バスバー20の端部は、第1の積層電池群2下部から側方に延びており、すなわち、組電池1Cの下部側面から横方向に延びる形状である。単電池10の正極端子10bは、バスバー21によって単電池11の負極端子11aに接続されている。単電池11の正極端子11bは、バスバー22によって単電池12の負極端子12aに接続されている。単電池12の正極端子12bは、バスバー23によって単電池13の負極端子13aに接続されている。
【0020】
単電池13の正極端子13bは、バスバー24によって単電池14の負極端子14aに接続されている。単電池14の正極端子14bは、バスバー25に通電接続されており、さらにバスバー25が螺子止め、はんだ付け等でパワー基板50に接続されることにより、パワー基板50に電気的に接続される。これにより、組電池1のすべての単電池10〜14は、図1の破線で示したとおり、正面視で電流が蛇行状に流れるように各バスバーを介して電気的に直列接続される。このようにバスバー20〜25は、隣接する電池端子間を、斜め方向に接続する構成ではなく、上下方向及び左右方向にのみ接続する構成となっている。
【0021】
各単電池における外装ケースには、安全弁が設けられている。各安全弁は、正極端子と負極端子の間に位置し、単電池の内部圧力が異常な圧力になるときに破断するように設定されている。安全弁は、例えば、単電池の外装ケースの端面に開口した孔に薄い金属膜を貼り付けて塞いで構成されている。この場合には、単電池の内部圧力が異常な圧力になったときに、当該金属膜が破断して外装ケースの孔が開放されて、単電池の内部のガスが外装ケース外部に放出されることにより、セル内圧が低下し、単電池自身の破裂を防止することができる。図1に示すように、正面視で、安全弁10c、安全弁13c及び安全弁14cが厚み方向Xに並ぶように配置され、安全弁11c及び安全弁12cが厚み方向Xに並ぶように配置されている。
【0022】
図5及び図6に示すように、絶縁カバー8は、バスバー20〜25と単電池10〜14の外装ケースとを絶縁し、少なくとも安全弁10c〜14c及び電極端子を除く外装ケースの端面部分を覆うように設けられている。すなわち、絶縁カバー8には、外装ケースの端面を覆うように絶縁カバー8を装着したときに、各安全弁の対応する位置に安全弁よりも大きい開口部が形成されるとともに、各電極端子の対応する位置に電極端子よりも大きい開口部が形成されている。したがって、各安全弁及び各電極端子は、電池ケース7に収容されて一体となる組電池1に絶縁カバー8を装着した状態では、各開口部の内側にあって、絶縁カバー8に覆われることなく露出することになる。
【0023】
さらに、絶縁カバー8は、各バスバーを位置決めするための凹部を、組電池1が必要とするバスバーの個数分備えている。各バスバーには、単電池の電極端子を挿通する開口部が形成されている。絶縁カバー8の各凹部に対応する各バスバーを嵌めこむと、接続対象の電極端子が各バスバーの開口部に嵌まり、各単電池とバスバーとの位置関係が適正に決まることになる。絶縁カバー8の各凹部に所定の各バスバーを嵌めこむ位置決め工程により、各バスバー20の位置が規制されるので、バスバーと接続対象の電極端子との溶接等の接合工程を迅速、かつ正確に行うことに貢献し、またバスバーが接触すべきでない部品に触れることを妨げて短絡等の不適切な接続や部品の損傷等を未然に防止することができる。
【0024】
接続対象である複数個の電極端子を複数個のバスバーによって接続する工程を実施する場合には、まず、各単電池を電池ケース7の所定の位置に設置して収容する。次に、単電池10〜14が収容された電池ケース7に対して絶縁カバー8を装着する。このとき、電池ケース7及び絶縁カバー8の上部及び下部は、2個のクリップ33を用いて締結され、左右の側部は2個のクリップ32を用いて締結される。次に、電池ケース7及び単電池10〜14と一体に組み立てられた絶縁カバー8の6個の凹部に対して、それぞれ対応する所定のバスバーを嵌め込む。この状態で、各バスバーの開口部には、対応する所定の電極端子が挿通されている。さらに、例えばレーザー溶接、アーク溶接等の溶接により、各バスバーと各電極端子とを接合する。
【0025】
複数の積層電池群2,3のうち、第2の積層電池群3は、隣接する第1の積層電池群2よりも積層個数が少なく構成されている。第2の積層電池群3は、単電池11及び単電池12の2個分の積層高さであり、第1の積層電池群2は、単電池10、単電池13及び単電池14の3個分の積層高さである。このようにして、第2の積層電池群3と第1の積層電池群2は、積層個数の違いによる段差空間4を形成する。この場合、段差空間4は、単電池約1個分の厚み寸法に相当する段差をなしている。この段差空間4には、複数個の単電池10〜14の状態を検出するための制御基板5が配置されている。このため、制御基板5を含めた組電池1の厚み方向Xの高さを低く抑えることができる。また制御基板5の上端部は、隣接する第1の積層電池群2の厚み方向Xの上端部以下に収まるように設置されることが好ましい。なお、制御基板5は、単電池を収容する電池ケース7に立てられたボスに載置されて螺子止め固定されている。
【0026】
直列接続の一端をなす電極端子、すなわち本実施形態の場合、最も高電位となる単電池14の正極端子14bは、段差空間4に隣接する位置に設定されている。またパワー基板50は、端子台51に接続され、ワイヤハーネス52を介して制御基板5や車両に接続されている。このようにして、複数の積層電池群2,3を構成するすべての単電池10〜14は直列結線されている。
【0027】
組電池1は、内部の排煙用通路6aにすべての安全弁10c〜14cを露出するように設けられる排煙用ダクト6を備えている。排煙用ダクト6は、耐熱性を有する材料で形成され、例えば、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ポリエチレン樹脂(PE)、難燃剤を添加した各種樹脂等で形成される。排煙用ダクト6の有する耐熱性は、単電池の内部が異常な高圧状態になって、内部のガスが安全弁の破断によって噴き出しても、ダクト部分が溶けないで破損しない耐熱能力を有することである。また、絶縁カバー8は、絶縁性を有し、例えばポリプロピレン(PP樹脂)、フィラーやタルクを含有するPP樹脂等の合成樹脂で形成されている。さらに、絶縁カバー8は、排煙用ダクト6と同様に耐熱性を有する樹脂で形成されていることが好ましい。
【0028】
排煙用ダクト6は、水平方向に延びる筒状体であり、絶縁カバー8に組み付けたときのすべての安全弁10c〜14cに対応する位置に安全弁よりも大きい開口部を備えている。当該開口部の周縁部は、絶縁カバー8に組み付けたときに、パッキン30,31を間に挟み込んで、安全弁10c〜14cの周囲の外装ケース表面に密着して接触する。当該開口部の周縁表面部とパッキン30及びパッキン31とは、排煙用ダクト6と外装ケースとの気密度の確保に寄与する。さらに排煙用ダクト6には、排煙用通路6aと連通し、側部から外方に延びる内部通路を形成する導出ダクト部6bを備えている。導出ダクト部6bは、排煙用通路6aに噴出したガスを組電池1から離れた外部へ排出する機能を果たす。
【0029】
パッキン30,31を備える代わりに、排煙用ダクト6において安全弁10c〜14cの周縁部を押さえる部分にエラストマー等の軟性の高い樹脂を二色食成形等により設けるようにしてもよい。
【0030】
排煙用ダクト6には、電圧検知用端子40が設けられている。電圧検知用端子40は、段差空間4に上方に突出するように延びており、図2に示すように、段差空間4に配置される制御基板5に接続される。電圧検知用端子40には、組電池1の所定の電位を測定する電圧検知センサの検出信号が出力されるようになっており、当該検出信号は制御基板5に出力される。
【0031】
排煙用ダクト6は、長手方向(横方向)の中央付近に位置する上端部及び下端部のそれぞれに、外方に向けて突出する凸部が形成された爪部6cを備えている。さらに、排煙用ダクト6は、長手方向(横方向)の一方側に位置する上端部及び下端部のそれぞれに、外方に向けて突出する凸部が形成された爪部6dを備えている。一方、絶縁カバー8には、2個の爪部6cのそれぞれが対応する位置に嵌合穴部を形成するコの字状の係合片8aが設けられ、2個の爪部6dのそれぞれが対応する位置に嵌合穴部を形成するコの字状の係合片8bが設けられている。排煙用ダクト6を絶縁カバー8に組み付けたときに、上下2個の各爪部6cが対応する係合片8aの内壁面に係合し、上下2個の各爪部6dが対応する係合片8bの内壁面に係合するため、排煙用ダクト6の移動方向が規制されて、排煙用ダクト6が絶縁カバー8側に押し付けられるようにパッキン30,31を圧縮し、安全弁10c〜14cの表面と排煙用通路6aとの気密確保を実現することができる。
【0032】
図7及び図8に示すように、ベース9は、制御基板5が載置固定された組電池1、パワー基板50、端子台51等の電池パックを構成する主要部品が固定され、これらの部品を下方から支持している。ベース9は、例えば、絶縁性を有し、例えばポリプロピレン(PP)、強度向上のためのフィラーやタルク含有のPP等の合成樹脂で形成されている。ベース9は、車両側にボルト締め等により固定するための固定部と、組電池1等を上方から覆うカバー60を取り付けるための取付部とを備えている。このように主要部品が固定されるベース9にカバー60で蓋をしてパッキングすることにより、電池パックとして車両に搭載される。
【0033】
電池監視装置は、組電池1の状態を監視する電池ECUであり、制御基板5に搭載される。電池監視装置は、組電池1の状態に関する情報を検出するために、組電池1の所定の位置に設置された検出端子から延びる複数の検出線を介して、組電池1に接続されている。検出線は、例えば、組電池1の電圧、温度等の情報を電池監視装置に送信するための通信線である。検出端子は、組電池1の状態に関わる情報を検出する電圧計測素子、温度センサ、その他の各種センサである。
【0034】
電池パックは、複数個の単電池10〜14の充電、放電、電池温度監視等を行う電子部品を有する。例えば、電子部品は、DC/DCコンバータ、インバータ、パワー基板50に搭載されるパワー素子、制御基板5に搭載される各種電子部品、各種の電子式制御装置等である。電池パックには、例えば電圧、温度等の電池の状態を監視する各種センサからの検出結果が入力される電池監視装置と、電池監視装置と通信可能に構成されDC/DCコンバータの電力授受を制御するとともに、送風装置のモータ等の駆動を制御する制御装置と、各機器を接続するワイヤハーネス等と、が含まれる。また、電池パックには、送風を提供して各単電池を冷却する送風装置を含むようにしてもよい。
【0035】
次に、本実施形態の組電池1がもたらす作用効果について説明する。組電池1は、複数個の単電池10〜14と、当該複数個の単電池を直列に結線するように電極端子間を接続する複数個のバスバー20〜25と、を備える。複数個の単電池10〜14は、外装ケースの厚み方向に単電池を積層してなる積層電池群2,3を複数形成する。当該複数の積層電池群2,3を構成するすべての単電池10〜14は直列結線されている。複数の積層電池群2,3のうち、少なくとも1つの積層電池群3は、隣接する他の積層電池群2よりも積層個数が少なく構成されて、隣接する他の積層電池群2との間に積層個数の違いによる段差空間4を形成する。直列接続の一端をなす電極端子は、段差空間4に隣接する位置に設定される。
【0036】
この構成によれば、単電池の積層個数が異なる第1の積層電池群2と第2の積層電池群3とを有する組電池1を構成し、当該積層電池群間に積層個数の差による段差空間4を形成する。これにより、組電池1の積層方向長さを抑制した電池配置が実現でき、さらに、組電池1に関係する部品等を段差空間4に配置して部品の搭載スペースを有効活用することができるため、電池パックの小型化に貢献することができる。さらに、直列結線の一端をなす電極端子(最も高電位の正極端子14b)を段差空間4に隣接させる配置を採用することによって、電気部品間の距離を抑制することができるため、電気部品間の電気抵抗低減に貢献することができる。また、本実施形態の組電池1によれば、電池パックを構成する部品点数の低減が図れ、電池パックの小型化、搭載性の向上、及び製品コストの低減に貢献することができる。
【0037】
また、組電池に必要とされる電力特性によっては、組電池を直方体状に形成できない単電池の個数となる場合がある。例えば、単電池の個数が直方体状の組電池を形成できない奇数個となる場合である。このような場合においても、本実施形態の組電池1によれば、搭載性、電気抵抗の低減化、配線の短縮化及び簡単化等に関して有用な電池パックを提供できる。
【0038】
また、排煙用ダクト6は、安全弁の周縁部に相当する外装ケースの端面と、パッキン30,31を介して、または直接的に密着して接触する。これによれば、排煙用ダクト6と外装ケースの端面との密着度合いを高め、外部へのガス遮断性を向上することにより、単電池が異常であるときの外部へのガス漏れ防止効果を向上することができる。
【0039】
また、組電池1が備える段差空間4には、複数個の単電池の状態を検出する制御基板5が配置されている。この構成によれば、制御基板5に搭載される部品と単電池との距離を短くすることができるため、両者間の電気抵抗の低減が図れ、電池状態を検出するための配線の短縮化や煩雑な引き回しの防止を実現できる。また、組電池1及び制御ユニットを搭載するスペースの小型化が図れ、制約条件が厳しい車両に対する電池パックの搭載性を向上することができる。
【0040】
また、組電池1は、単電池の正極端子と負極端子との間に位置する外装ケースの端面に設けられ、単電池内部の圧力が異常な圧力になるときに破断する安全弁10c〜14cと、安全弁10c〜14cに対向する内壁面を有し、内部の排煙用通路6aに安全弁10c〜14cが露出するように設けられる排煙用ダクト6と、を備える。複数個のバスバー20〜25は、隣接する単電池の電極端子間を上下方向及び左右方向にのみ接続する。
【0041】
この構成によれば、複数個のバスバー20〜25は隣接する単電池の電極端子間を上下方向及び左右方向にのみ接続するため、バスバーが斜め方向延びるように配置されることがない。これにより、各バスバーが安全弁10c〜14cに対して干渉する位置に配置されることが防止できるため、安全弁が破断してガスが噴き出すような事態になった場合に、噴出されたガスがバスバー20〜25に邪魔されずに排出できる通路を形成することができる。したがって、電池の内部からの噴出ガスをスムーズに誘導して組電池から離れた場所に排出でき電池パックを提供できる。
【0042】
(第2実施形態)
第2実施形態では、第1実施形態に対する他の形態である組電池1Aについて図9及び図10を参照して説明する。また、第1実施形態に係る図面と同一符号を付した構成部品、第2実施形態において説明しない他の構成は、第1実施形態と同様であり、また同様の作用効果を奏するものである。
【0043】
図9及び図10に示すように、組電池1Aにおいて、単電池14の正極端子14bに通電接続されるバスバー25Aは、第1実施形態のバスバー25と異なりパワー基板50ではなく、制御基板5に接続される構成である。バスバー25Aは、制御基板5側、あるいは段差空間4側に延びる端部に貫通穴が形成されている。バスバー25Aは、当該貫通穴と制御基板5の所定の端子穴とを合わせてボルトを挿通しボルトとナットで締結することにより、制御基板5の所定の端子部に電気的に接続されることになる。
【0044】
(第3実施形態)
第3実施形態では、第1実施形態に対する他の形態について図11及び図12を参照して説明する。また、第1実施形態に係る図面と同一符号を付した構成部品、第3実施形態において説明しない他の構成は、第1実施形態と同様であり、また同様の作用効果を奏するものである。
【0045】
第3実施形態の電池パックは、第1実施形態の制御基板5とパワー基板50とが一つの基板で構成された制御基板70を備えている。制御基板70は、図11及び図12に示すように、電圧検知用端子40とバスバー25Bの両方に電気的に接続されている。バスバー25Bは、制御基板5側、あるいは段差空間4側に延びる端部がさらに、上方に突出する3本の端子形状を呈している。当該3本の端子は、制御基板70の所定の端子部に電気的に接続され、段差空間4で上方に突出する電圧検知用端子40も段差空間4に配置される制御基板70に電気的に接続される。
【0046】
組電池1Bに一体に取り付けられる排煙用ダクト6Aは、長手方向(横方向)の中央付近に位置する上端部及び下端部のそれぞれと、長手方向の一方側に位置する上端部及び下端部のそれぞれとの合計4箇所において、ボルトとナット締めにより、絶縁カバー8Aに取り付けられる。この締結固定手段により、排煙用ダクト6Aが絶縁カバー8A側に押し付けられるようにパッキン30,31を圧縮し、安全弁10c〜14cの表面と排煙用通路6aとの気密確保を実現することができる。
【0047】
また、図12に示すように、ベース9Aは、制御基板70が載置固定された組電池1B、端子台51等の電池パックを構成する主要部品が固定され、これらの部品を下方から支持している。ベース9Aは、車両側にボルト締め等により固定するための固定部と、組電池1B等を上方から覆うカバーを取り付けるための取付部とを備える。主要部品が固定されるベース9Aにカバーで蓋をしてパッキングすることにより、電池パックとして車両に搭載される。
【0048】
(第4実施形態)
第4実施形態では、第1実施形態に対する他の形態である組電池1Cについて図13を参照して説明する。また、第1実施形態に係る図面と同一符号を付した構成部品、第4実施形態において説明しない他の構成は、第1実施形態と同様であり、また同様の作用効果を奏するものである。
【0049】
第4実施形態の組電池1Cは、組電池1に対して、直列結線される複数個の単電池の通電経路と、複数個のバスバーの形状とが異なる。図13に示すように、組電池1Cを構成する5個の単電池10〜14は、直方体状の外装ケースの厚み方向Xに単電池を積層してなる第1の積層電池群2と第2の積層電池群3を複数形成する。第1の積層電池群2は、単電池10、単電池11及び単電池12を所定の間隔を設けて厚み方向Xに積層して構成されている。第2の積層電池群3は、単電池13及び単電池14を所定の間隔を設けて厚み方向Xに積層して構成されている。
【0050】
単電池10の負極端子10aは、バスバー20Cに通電接続されており、さらにバスバー20Cが螺子止め等で車両側に接続されることにより、車両のグランドに接続される。バスバー20Cの端部は、第1の積層電池群2上部から側方に延びており、すなわち、組電池1Cの上部側面から横方向に延びる形状である。単電池10の正極端子10bは、バスバー21Cによって単電池11の負極端子11aに接続されている。単電池11の正極端子11bは、バスバー22Cによって単電池12の負極端子12aに接続されている。単電池12の正極端子12bは、バスバー23Cによって単電池13の負極端子13aに接続されている。
【0051】
単電池13の正極端子13bは、バスバー24Cによって単電池14の負極端子14aに接続されている。単電池14の正極端子14bは、バスバー25Cに通電接続されており、さらにバスバー25Cが螺子止め、はんだ付け等で制御基板5に接続されることにより、制御基板5に電気的に接続される。これにより、組電池1Cのすべての単電池10〜14は、図13の破線で示したとおり、第1の積層電池群2を上部から下部に向けて接続し、第1の積層電池群2の下部から第1の積層電池群2を下部から上部に向けて直列に結線されるようになり、正面視で電流が蛇行状に流れるように各バスバーを介して電気的に直列接続される。このようにバスバー20C〜25Cは、隣接する電池端子間を、斜め方向に接続する構成ではなく、上下方向及び左右方向にのみ接続する構成となっている。
【0052】
(他の実施形態)
上述の実施形態では、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。
【0053】
上記実施形態で説明した組電池は、2個の積層電池群を水平方向に並べて単電池約1個分の段差空間を形成したものであるが、本発明は、形成する段差空間を単電池約1個分に限定するものではない。例えば、本発明に含まれる段差空間は、水平方向に単電池約2個以上が並ぶ大きさ、単電池の厚み方向Xに単電池約2個分以上の大きさ等であってもよい。また、本発明の組電池には、厚み方向Xの長さが異なる段差空間を複数個有する実施形態を含むものである。
【0054】
上記実施形態において、組電池1,1A,1B,1Cは、単電池の厚み方向X(積層方向)が上下方向となる姿勢で設置されているが、本発明の組電池の設置姿勢はこの方向に限定するものではない。例えば、各単電池の電極端子が外装ケースから上方に突出する姿勢となるように、組電池を設置してもよい。
【0055】
上記実施形態において、電池ケース7と絶縁カバー8は、別個の部材であるが、本発明はこの形態に限定するものではない。電池ケース7と絶縁カバー8は、同一部材で構成してもよい。
【符号の説明】
【0056】
1,1A,1B,1C…組電池
2…第1の積層電池群(積層電池群)
3…第2の積層電池群(積層電池群)
4…段差空間
5…制御基板
6…排煙用ダクト(ダクト部)
6a…排煙用通路(通路)
10,11,12,13,14…単電池
10a,11a,12a,13a,14a…負極端子(電極端子)
10b,11b,12b,13b,14b…正極端子(電極端子)
10c,11c,12c,13c,14c…安全弁
20,21,22,23,24,25…バスバー
X…厚み方向
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直方体状の外装ケースから突出する正極端子(10b〜14b)及び負極端子(10a〜14a)からなる電極端子をそれぞれ有する複数個の単電池(10〜14)と、当該複数個の単電池を直列に結線するように前記電極端子間を接続する複数個のバスバー(20〜25)と、を備える組電池(1)であって、
前記複数個の単電池は、前記直方体状の外装ケースの厚み方向に前記単電池を積層してなる積層電池群(2,3)を複数形成し、当該複数の積層電池群を構成するすべての単電池は前記直列結線されており、
前記複数の前記積層電池群(2,3)のうち、少なくとも1つの積層電池群(3)は、隣接する他の積層電池群(2)よりも積層個数が少なく構成されて、前記隣接する他の積層電池群(2)との間に積層個数の違いによる段差空間(4)を形成し、
前記直列結線の一端をなす前記電極端子(14b)は、前記段差空間(4)に隣接する位置に設定されることを特徴とする組電池。
【請求項2】
前記段差空間(4)には、前記複数個の単電池の状態を検出する制御基板(5)が配置されることを特徴とする請求項1に記載の組電池。
【請求項3】
前記単電池の前記正極端子と前記負極端子との間に位置する前記外装ケースの端面に設けられ、前記単電池内部の圧力が異常な圧力になるときに破断する安全弁(10c〜14c)と、
前記安全弁に対向する内壁面を有し、内部の通路(6a)に前記安全弁が露出するように設けられるダクト部(6)と、を備え、
前記複数個のバスバーは、隣接する単電池の前記電極端子間を上下方向及び左右方向にのみ接続することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の組電池。
【請求項1】
直方体状の外装ケースから突出する正極端子(10b〜14b)及び負極端子(10a〜14a)からなる電極端子をそれぞれ有する複数個の単電池(10〜14)と、当該複数個の単電池を直列に結線するように前記電極端子間を接続する複数個のバスバー(20〜25)と、を備える組電池(1)であって、
前記複数個の単電池は、前記直方体状の外装ケースの厚み方向に前記単電池を積層してなる積層電池群(2,3)を複数形成し、当該複数の積層電池群を構成するすべての単電池は前記直列結線されており、
前記複数の前記積層電池群(2,3)のうち、少なくとも1つの積層電池群(3)は、隣接する他の積層電池群(2)よりも積層個数が少なく構成されて、前記隣接する他の積層電池群(2)との間に積層個数の違いによる段差空間(4)を形成し、
前記直列結線の一端をなす前記電極端子(14b)は、前記段差空間(4)に隣接する位置に設定されることを特徴とする組電池。
【請求項2】
前記段差空間(4)には、前記複数個の単電池の状態を検出する制御基板(5)が配置されることを特徴とする請求項1に記載の組電池。
【請求項3】
前記単電池の前記正極端子と前記負極端子との間に位置する前記外装ケースの端面に設けられ、前記単電池内部の圧力が異常な圧力になるときに破断する安全弁(10c〜14c)と、
前記安全弁に対向する内壁面を有し、内部の通路(6a)に前記安全弁が露出するように設けられるダクト部(6)と、を備え、
前記複数個のバスバーは、隣接する単電池の前記電極端子間を上下方向及び左右方向にのみ接続することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の組電池。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−110038(P2013−110038A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255633(P2011−255633)
【出願日】平成23年11月23日(2011.11.23)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月23日(2011.11.23)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]