説明

経皮または局所薬物輸送に伴う副作用の処置方法

本発明は、対象の経皮投与部位に局所適用された生理活性薬物の経皮吸収を阻止する方法に関連し、該方法は対象の経皮投与部位において皮膚に対し用具(1、7)を適用するステップを包含して、該用具は対象の皮膚に接触する膜(8)で、その皮膚接触側(11)は粘着層(10)で被膜されている膜を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は望まない作用を予防し若しくは処置するための、経皮若しくは局所投与される薬物の有効用量を軽減する方法および組成物に関する。本発明の方法は、薬物の過剰摂取や適用後に副作用が望まれる若しくは予想される場合、全身循環への薬物の放出を阻止する方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
合法的に医師によって処方され地元の薬局でカウンター越しに購入されても、また非合法的に購入された場合でも、すべての薬物は潜在的に誤用のおそれがある。他の薬物またはアルコールとともに摂取された場合、通常は安全な薬物でさえ死亡や長期にわたる重篤な結果をもたらし得る。事故による薬物の過剰摂取は処方薬または痛み止め、風邪薬のような通常使用される医薬の誤用の結果かもしれない。兆候は摂取した薬物により異なる。
望まない薬物効果の犠牲者の多くは長期的な効果を受けることなく回復するが、重篤な結果を招くことがあり得る。ある薬物の過剰摂取は腎臓や肝臓といった主要臓器の不全、または呼吸器や循環器のような全身系の不全を起こし得る。
【0003】
薬物は体全体に影響を与える。一般に、過剰摂取の場合、薬物の効果は通常の使用で見られる治療効果が高められるかもしれない。過剰摂取の場合、副作用が顕著となり他では生じない別の効果が表れ得る。ある医薬の大量過剰摂取は最小の効果しか生じさせないが、他の医薬の少量の過剰摂取が重篤な作用、あるときには死亡を起こすことがあり得る。また、ある過剰摂取は慢性病を悪化させることがある。例えば、喘息発作や胸痛が引き起こされる。
【0004】
望ましくない効果を被っている動物若しくはヒトに解毒剤を投与する慣用的な手段は、ポンプを胃に作用させて未吸収の薬物を胃から機械的に除去し、または活性炭のような物質を投与して薬物を吸着させ血中へ吸収される薬物量を軽減させることである。しかしながら、これらの方法は経口的な過剰摂取にのみ適用可能である。
投与量レジメが比較的簡単であることのみならず、全身循環への薬物放出が比較的ゆっくりと制御された経路を提供すると考えられることから、皮膚を経由する治療薬の投与(経皮薬物輸送)に対する注目が高まっている。こうして、経皮系を除くことにより、伝統的には副作用や誤用はいずれも是正されてきた。けれども、現在の経皮技術によれば経皮的取り込み速度は劇的に増加し、誤用のリスクはそれとともに増加した。非経口薬物過剰摂取の治療は現在、効果を逆転させまたはより有害となるのを抑える他の薬剤の投与である。
【0005】
皮膚および/または全身循環からの薬物の除去は、伝統的な治療法に対して臨床上特有なそして患者にとっても利点がある。それは、非侵襲的であってさらなる代謝を避け腎臓や肝臓への衝撃を軽減して自分で投与できる点である。
構造上、皮膚は二つの主たる部分、比較的薄い最外部の層(表皮)およびより厚い内部領域(真皮)からなる。表皮の最外層(角質層)はケラチンで満たされた平たい死亡した細胞よりなる。角質層の平たい死亡した細胞の間の領域は脂質で満たされ、これがラメラ相を構築して天然の皮膚障壁としての性質を担っている。表皮の厚さは、足の裏と手のひらの部分を除いて、体中で驚くほど一定である〔ラッシャー等(Rushmer, et al.), 1966, The Skin. Science, 154(3747), 343-348〕。
【0006】
皮膚に適用された(局所適用)治療薬の有効的な経皮輸送のためには、薬物は最初に基剤から角質層へと分配され、それから典型的には角質層内を拡散して、角質層から生きている表皮と真皮、それから血流中へと分配されなければならない。現在利用可能な経皮系の多くは、角質層内への素早い取り込みとこれに続く分配に依存していて、これによって皮膚内に薬物の貯蔵部を作り出している。パッチ剤や経皮系は除去されるかもしれないが、薬物の貯蔵部は残って全身循環へ薬物を分配し続ける。
望まない効果を避けるためまたは軽減するために、皮膚および/または全身循環から薬物を簡単に除去する効果的な方法が必要である。
【発明の開示】
【0007】
要約
本発明は生理活性薬物の経皮吸収を促進する透過促進剤を含む経皮および局所製剤に関する発明者の研究から生まれたものである。発明者の研究によれば、過剰摂取により引き起こされる望まない効果や副反応を減ずるためには生理活性薬物の放出を阻止するほうがよいことが示された。
本発明は、経皮投与部位に局所適用された生理活性薬物の経皮吸収を阻止する方法を提供し、該方法には経皮投与部位において皮膚に対し用具を適用する手順が含まれ、該用具はその皮膚接触側に粘着剤で被膜された膜が含まれている。本発明は一般に、その他の場合に与えられたであろうよりも低い、局所適用された薬物の血清濃度をその処置の対象にもたらす。膜は好ましくは密封性の半浸透性膜である。
【0008】
本発明の方法に従うと、動物の血清プロフィールにおいて減少を達成するため膜用具は経皮投与部位に適用され、経皮薬物輸送の望まない効果の発生を予防しまたは軽減する。膜用具は好ましくは経皮薬物適用部位の孔に適用され、より好ましくは周辺領域を含む。この方法で血清プロフィールの増加を阻止できる。実際、ある場合には本発明の方法は皮膚からの抽出に誘導する。そして血中レベルの増加およびその他の場合に投与されていたであろう薬物の総用量の両方を有意に減少させる。その上、多くの場合において血中レベルと総用量を低下させる効果は、膜用具の適用が、薬物が局所適用されてから重要な期間が経過した後であってもなお起こる。
【0009】
本発明はまた生理活性薬物を皮膚内の貯蔵部から除去する方法で、膜を経皮薬物の投与部位に適用し望まない効果の存在を除去し若しくは軽減するステップを包含する方法を提供し、ここで経皮薬物投与部位への膜の適用は皮膚内の貯蔵部から生理活性薬物を除去するために用いられる。
本発明はさらに薬物の経皮投与効果を予防しまたは治療するための膜混合物の製造における粘着剤の使用を提供する。
便利には、膜の皮膚接着面を粘着剤の層で覆って、膜の位置をこれで保持し表面のしわを防止する。好ましくは、膜及び粘着剤はしなやかで身体とともに動く。好ましくは、膜は透明で膜の接着していない側(身体に適用した側と遠い方の側)は液体に対して抵抗性があり、各人がシャワーや風呂を使うのを可能にする。
【0010】
詳細な説明
本発明の詳細な説明の前に、本発明は特定の薬物輸送系、用具の構造、促進剤や担体に限られるものでなく、これらは変更できることを理解すべきである。また、述語は個々の態様を説明する目的にのみ用いられ、決して限定的な意図のないことを理解すべきである。
本発明の記載において以下の述語を続く定義に従って用いる。
【0011】
ここで「局所」および「経皮」の語は、最も広義に、ヒトを含む動物の粘膜若しくは皮膚表面への薬物投与であって、その薬物が皮膚組織を通過し、および/または動物の血流に入って、それにより局所または全身的効果を提供することを目的とするものをいう。経皮の語は経粘膜薬物投与、即ち、薬物が粘膜組織を通過して血流内に入るよう薬物を動物の粘膜表面に投与することを含むものと意図する。他に記載または意味しない限り、局所薬物輸送の語は経皮薬物輸送と同義的に使用する。
「皮膚貯蔵部」の語は、最も広義に、細胞内(ケラチノサイト内)または細胞間であっても、表皮内における活性薬物と皮膚透過促進剤との持続性製剤若しくは貯蔵部をいうために用いられる。
【0012】
「角質層」の語は、最も広義に、皮膚の外層であって、末端が分化したケラチノサイトの層(約15層)から構成され、主としてタンパク質性物質ケラチンがレンガとモルタルのようになってできたものをいうためにここで用いられる。このモルタルは主にコレステロール、セラミドおよび長鎖脂肪酸でつくられた脂質マトリックスよりなる。この角質層は、活性薬物が皮膚を通過し拡散する際の速度制限的障害を構成する。
既に述べたように、本発明は経皮投与された薬物の望まない効果を被っている動物の血流内における薬物の血清濃度上昇を予防することにより、生理活性薬物の経皮吸収を除去しまたは軽減する方法を提供し、該方法は経皮適用側を粘着剤の層で覆った密封性の半透明性膜を適用するステップを含む。
【0013】
典型的には、当該膜は、例えばポリウレタンとエチルビニル酢酸のコポリマー、ヒドロコロイドまたはセルロースのような適切な伸縮性の密閉性または半透明性の層を含む。
便利には、本発明の膜は一方の側に粘着層を含む。粘着層は抽出しようとする薬物が浸透する物質を含んでなる。粘着層に適した物質の例としては、アクリル、ポリエチレン、ポリシロキサン、ポリイソブチレン、ポリアクリル酸エステル、ポリウレタン、可塑化エチレンビニル酢酸コポリマー、ポリイソブテンのような粘着性ゴム等が含まれる。
膜の厚さは好ましくは5mmより薄く、さらに好ましくは2mmより薄い。
【0014】
本発明の方法の利点は、望ましくない効果がある場合、全身的または局所的取り込みが予防されまたは軽減されて副作用の可能性と効果が軽減され若しくは除去されることでる。その他の過剰摂取処置と比較して、本発明の方法は自らが安全に素早くかつ効果的に適用することができて伝統的治療法における胃腸刺激性の問題がない。
経皮投与の用量は、好ましくは少なくとも10%、さらに好ましくは20%、最も好ましくは30%圧縮される。用量の圧縮は膜により抽出される用量の比率を測定して決定することができる。
【0015】
本発明の方法は、皮膚を通って生理活性薬物を輸送することを含む、どのような経皮輸送系若しくは局所輸送系についても適用してこれを阻止若しくは軽減することができる。皮膚透過促進剤の支援を含んでいても含んでいなくともよい。適切な生理活性薬物のリストには、限定はされないが、次の物を含む;
ジフェノキシレート、ロペラミド、およびヒヨスチアミン等の止瀉薬;
ヒドララジン、ミノキシジル、カプトプリル、エナラプリル、クロニジン、プラゾシン、デブリソキン、ジアゾキシド、グアネチジン、メチルドーパ、レセルピン、トリメタファン、およびラシジピンのような抗高血圧薬;
ジルチアゼム、フェロドピン、アムロジピン、ニトレンジピン、ニフェジピン、およびベラパミルのようなカルシウムチャネル拮抗薬;
【0016】
アミオダロン、フレカイニド、ジソピラミド、プロカインアミド、メキシレテン、およびキニジンのような抗不整脈薬;
ニトログリセリン、四硝酸エリスリトール、四硝酸ペンタエリスリトール、六硝酸マンニトール、パーヘキシレン、二硝酸イソソルビッド、およびニコランジル等の抗狭心症薬
アルプレノロール、アテノロール、ブプラノロール、カルテオロール、ラベタロール、メトプロロール、ナドロール、ナドキソロール、オクスプレノロール、ピンドロール、プロプラノロール、ソタロール、チモロール、およびマレイン酸チモロール等のアドレナリン性β遮断薬;
【0017】
ジゴキシン、およびその他の強心配糖体、およびテオフィリン誘導体のような強心配糖体;
アドレナリン、エフェドリン、フェノテロール、イソプレナリン、オルシプレナリン、リメテロール、ソルブタモール、サルメテロール、テルブタリン、ドブタミン、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、シュードエフェドリン、およびドーパミン等のアドレナリン性刺激薬;
シクランデレート、イソクスプリン、パパベリン、ジピリダモール、二硝酸イソソルビッド、フェントールアミン、ニコチニルアルコール、コデルゴクリン、ニコチン酸、ニトログリセリン、四硝酸ペンタエリスリトール、およびキサンチノール等の血管拡張薬;
【0018】
エルゴタミン、ジヒドロエルゴタミン、メチセルギド、ピゾチフェンおよびスマトリプタン等の抗片頭痛薬;
ワーファリン、ジクマロール、エノキサパリンのような低分子量ヘパリン、ストレプトキナーゼおよびその活性誘導体等の抗凝血薬および血栓溶解薬;アプロチニン、トラネキサム酸、およびプロタミン等の止血薬;
ブプレノルフィン、デキストロモラミド、デキストロプロポキシフェン、ブトルファノール、フェンタニル、ケタミン、アルフェンタニル、スフェンタニル、ヒドロモルフォン、メサドン、モルフィン、オキシコドン、パパベレタム、ペンタゾシン、ペチジン、フェノペリジン、コデイン、およびジヒドロコデインのような麻薬性鎮痛剤を含む鎮痛剤、解熱剤。その他、アセチルサリチル酸(アスピリン)、パラセタモール、リザトリプチン、スマトリプチン、ゾルミトリプタン、およびフェナゾンが含まれる;
【0019】
バルビツレート、アミロバルビトン、ブトバルビトン、およびペントバルビトンのような睡眠薬および鎮静剤、およびケタミン、抱水クロラール、クロルメチアゾール、ヒドロキシジンおよびメプロバメートのような他の睡眠薬および鎮静剤;
ベンゾジアゼピン、アルプラゾラム、ブロマゼパム、クロルジアゼポキシド、クロバザム、クロラゼペート、ジアゼパム、フルニトラゼパム、フルラゼパム、ロラゼパム、ニトラゼパム、ブスピロン、オキサゼパム、テマゼパム、およびトリアゾラムのような抗不安薬;
【0020】
フェノチアジン、クロロプロマジン、フルフェナジン、ペリシアジン、ペルフェナジン、プロマジン、チオプロパゼート、チオリダジン、トリフルオペラジン、ブチロフェノン、ドロペリドール、およびハロペリドールのような神経安定薬および抗精神病薬、およびその他ピモジド、チオチキセン、オランザピンおよびリチウムのような抗精神病薬;
三環性抗うつ薬アミトリプチリン、クロミプラミン、デシプラミン、ドチエピン、ドキセピン、イミプラミン、ノルトリプチリン、オピプラモール、プロトリプチリン、およびトリミプラミンおよびミアンセリンのような四環性抗うつ薬、およびイソカルボキサジド、フェネリジン、トラニルシプロミンおよびモクロベミドのようなモノアミンオキシダーゼ阻害薬、およびフルオキセチン、パロキセチン、シタロプラム、フルボキサミンおよびセルトラリンのような選択的セロトニン取り込み阻害薬;
【0021】
カフェインおよびメチルフェニデートのようなCNS刺激薬;
タクリンのような抗アルツハイマー病薬、フェナンスロリンおよびその誘導体(例えば1,10-フェナンスロリン)のような亜鉛キレート剤、アリールプロピオン酸およびその誘導体(例えば、イブプロフェンおよびフルルビプロフェン);
アポモルフィン、アマンタジン、ベンセラジド、カルビドーパ、リバスチグミン、レボドーパ、ベンズトロピン、ビペリデン、ベンズヘキソール、プロシクリジン、ペルゴライド、ロピニロールのような抗パーキンソン病薬およびS(-)-2-(N-プロピル-N-2-チエニルエチルアミノ)-5-ヒドロキシテトラリン(N-0923)のようなドーパミン-2作用薬;
【0022】
フェニトイン、バルプロ酸、プリミドン、フェノバルビトン、メチルフェノバルビトン、カルバマゼピン、エトスクシミド、メトスクシミド、フェンスクシミド、スルチアム、およびクロラゼパムのような抗痙攣薬;
フェノチアジン、プロクロペラジン、チエチルペラジンのような制吐薬、鎮吐薬、およびオンダンセトロン、トロピセトロン、およびグラニセトロンのような5HT-3受容体拮抗薬、その他ジメンヒドリネート、ジフェンヒドラミン、メトクロプラミド、ドンペリドン、ヒヨスチン、ヒヨスチン臭化水素酸塩、ヒヨスチン塩酸塩、クレボプリド、およびブロムプリド;
【0023】
そのラセミ混合物または可能な場合は独自のエナンチオマーを含むが、イブプロフェン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、アクロフェナック、ジクロフェナック、アロキシプリン、アプロキセン、アスピリン、ジフルニザル、フェノプロフェン、インドメサシン、メフェナム酸、ナプロキセン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、サリチルアミド、サリチル酸、スリンダック、デソキシスリンダック、テノキシカム、トラマドール、ケトララック、サリチルアミド、フルフェニサール、サルサレート、サリチル酸トリエタノールアミン、アミノピリン、アンチピリン、オキシフェンブタゾン、アパゾン、シンタゾン、フルフェナム酸、クロニキセリル、クロニキシン、マクロフェナム酸、フルニキシン、コイチシン、デメコルシン、アロプリノール、オキシプリノール、ベンジダミン塩酸塩、ジメファダン、インドキソール、イントラゾール、ミムバン塩酸塩、パラニリン塩酸塩、テトリダミン、ベンズインドピリン塩酸塩、フルプロフェン、イブフェナック、ナプロキソール、フェンブフェン、シンコフェン、ジフルミドンナトリウム、フェナモル、フルチアジン、メタザミド、レチミド塩酸塩、ネキセリジン塩酸塩、オクタザミド、ネオシンコフェン、ニマゾール、モリナゾール、プロキサゾールクエン酸塩、テシカム、テシミド、トルメチン、およびトリフルミデートのような非ステロイド性抗炎症剤;
【0024】
ペニシラミン、金チオグルコース、金チオマレートナトリウム、メトトレキサート、オーラノフィンのような抗リウマチ薬;
バクロフェン、ジアゼパム、シクロベンザプリン塩酸塩、ダントロレン、メトカルバモール、オルフェナドリンおよびキニーネのような筋肉弛緩剤;
アロプリノール、コルヒチン、プロベナシッドおよびスルフィンピラゾンのような通風および高尿酸血症用薬;
エストラジオール、エストリオール、エストロン、エチニルエストラジオール、メストラノール、スチルベストロール、ジエノエストロール、エピエストリオール、エストロピペート、およびゼラノールのようなエストロゲン;
【0025】
アリルエストレノール、ディドロゲステロン、リノエストレノール、ノルゲストレノール、ノルエチンドレル、ノルエチステロン、酢酸ノルエチステロン、ゲストロデン、レボノルゲストレル、メドロキシプロゲステロン、およびメゲストロールのようなプロゲステロンおよびその他のプロゲスタゲン;
酢酸シプロテロン、フルタミド、ダナゾールのような抗アンドロゲン;
タモキシフェン、エピチオスタノールのような抗エストロゲン、およびアロマターゼ阻害薬、エキセメスタン、4-ヒドロキシ-アンドロステンジオンおよびその誘導体;
【0026】
カルステロン、酢酸クロステボール、デヒドロエピアンドロステンジオン(DHEA)、ジヒドロテストステロン(DHT)、プロピオン酸ドロモスタノロン、ドロスタノロン、エナンテート、エチルエストレノール、フルオキシメステロン、フラザボール、メタンドリオール、メタンドロステノロン、メチルテストステロン、デカン酸ナンドロロン、ナンドロロン、オキサンドロロン、オキシメトロン、フェンプロピオン酸ナンドロロン、スタノゾロール、テストラクトン、テストステロン、シピオン酸テストステロン、プロピオン酸テストステロン、テストステロン酢酸トレンボロン、7-メチル-19-テストステロン(MENT)、および17-α-メチル-19-ノルテストステロンのようなアンドロゲンおよび同化薬;
【0027】
ミノキシジル、クロマカリン、ピナシジル、ナミニジル、ジフェニルシクロプロペノン、トリコミンのような抗脱毛剤およびs-トリアジン、ベンゾピラン、ピリジノピランおよびチアン-1-オキシドのクラスより選択される化合物;
フィナステリド、ツロステリド、LY-191704、MK-386およびデュタステリドのような5-αリダクターゼ阻害薬;
【0028】
ベタメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、コルチゾン、デキサメタゾン、デキサメタゾン-21-リン酸エステル、フルドロコルチゾン、フルメタゾン、フルオシノニド、フルオシノニドデソニド、フルオシノロン、フルオシノロンアセトニド、フルオコルトロン、ハルシノニド、ハロプレドン、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン-17-吉草酸エステル、ヒドロコルチゾン-17-ブチル酸エステル、ヒドロコルチゾン-17-酢酸エステル、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾロン-21-リン酸エステル、プレドニゾン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニドのようなコルチコステロイド;
【0029】
コルトドキソン、フルオルアセトニド、フルドロコルチゾン、ジフルオルゾンジアセテート、フルランドレノロンアセトニド、メドリゾン、アムシナフェル、アムシナフィド、ベタメサゾンおよびその他のエステル、クロロプレドニゾン、クロルコルテロン、デシノロン、デソニド、ジクロリゾン、ジフルプレドネート、フルクロロニド、フルメタゾン、フルニソリド、フルコルトロン、フルオロメタロン、フルペロロン、フルプレドニゾロン、メプレドニゾン、メチルメプレドニゾロン、パラメサゾン、酢酸コルチゾン、シクロペンチルプロピオン酸ヒドロコルチゾン、コルトドキソン、フルセトニド、酢酸フルドロコルチゾン、フルルアンドレノロンアセトニド、メドリゾン、アムシナファル、アムシナフィド、ベタメサゾン、安息香酸ベタメサゾン、酢酸クロロプレドニゾン、酢酸クロコルトロン、デシノロンアセトニド、デソキシメタゾン、酢酸ジクロリゾン、ジフルプレドネート、フルクロロニド、ピバル酸フルメサゾン、酢酸フルニソリド、酢酸フルペロロン、吉草酸フルプレドニゾロン、酢酸パラメサゾン、プレドニゾラメート、プレドニバール、トリアムシノロンヘキサアセトニド、コルチバゾール、ホルモコルタールおよびニバゾールを包含するステロイド性抗炎症薬のさらなる例;
【0030】
副腎皮質刺激ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体形成ホルモン(LH)、性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)のような下垂体ホルモンおよその活性誘導体若しくは類縁体;
インスリン、クロルプロパミド、グリベンクラミド、グリクラジド、グリピジド、トラザミド、トルブタミドおよびメトホルミンのような血糖降下薬;
カルシトニン、チロキシン、およびリオチロニンのような甲状腺ホルモン、およびカルビマゾールやプロピルチオウラシルのような抗甲状腺薬;
オクトレオチドのようなその他のホルモン;
ブロモクリプチンのような下垂体阻害薬;
【0031】
クロミフェンのような排卵誘発剤;
アトロピン、ベラドンナアルカロイド、ベンザトロピン(ベンズトロピン)、ビペリデン、シクロペントレート、ジシクロベリン(ジシクロミン)、フラボキセート、ホマトロピン、ヒオシン、イプラトロピウム、オルフェナドリン、オキシトロピウム、オキシブチニン、プロシクリジン、プロパンテリン、プロピベリン、チオトロピウム、トルテロジン、トリヘキシルフェニジル(ベンズヘキソール)、トロピカミドおよびトロスピウムを含む抗ムスカリン薬;
【0032】
チアジド、関連する利尿薬およびループ利尿薬、ベンドロフルアジド、クロロチアジド、クロルサリドン、ドーパミン、シクロペンチアジド、ヒドロクロロチアジド、インダパミド、メフルシド、メチコルチアジド、メトラゾン、キネサゾン、ブメタニド、エタクリン酸、フルセミド、カリウム保持性利尿薬、スピロノラクトン、アミロライドおよびトリアムテレンのような利尿薬;
デスモプレッシン、リプレッシン、およびその活性誘導体若しくは類縁体を含むバソプレッシンのような抗利尿薬;
エルゴメトリン、オキシトシン、ゲメプロストのような子宮に作用する薬物を含む産科薬;
【0033】
アルプロスタジル(PGE1)、プロスタシクリン(PG12)、ジノプロスト(プロスタグランディンF2-α)、およびミソプロストールのようなプロスタグランディン;
セファレキシン、セフォキシチンおよびセファロチンのようなセファロスポリンを含む抗微生物薬;
アモキシシリン、クラブラン酸とアモキシシリン、アンピシリン、バカンピシリン、ベンザチンペニシリン、ベンジルペニシリン、カルベニシリン、クロキサシリン、メチシリン、フェネチシリン、フェノキシメチルペニシリン、フルクロキサシリン、メジオシリン、ピペラシリン、チカシリン、およびアジオシリンのようなペニシリン;
ミノサイクリン、クロルテトラシクリン、テトラシクリン、デメクロシクリン、ドキシシクリン、メタシクリン、オキシテトラシクリンおよびその他のテトラシクリン型抗生剤のようなテトラシクリン;
【0034】
アミカシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、ネチルマイシン、およびトブラマイシンのようなアミノグリコシド;
ブテナフィン、ブトコナゾール、クリオキノール、イトラコノアゾール、ラノコナゾール、ネチコナゾール、チオコナゾール、テルコナゾール、シクロピロクスオラミン、アモロルフィン、イソコナゾール、クロトリマゾール、エコナゾール、ミコナゾール、ニスタチン、テルビナフィン、ビフォナゾール、アムホテリシン、グリセオフルビン、ケトコナゾール、フルコナゾールおよびフルシトシン、サリチル酸、フェザチオン、チクラトン、トルナフテート、トリアセチン、亜鉛、ピリチオン、およびピリチオンナトリウムのような抗真菌剤;
【0035】
ナリジクス酸、シノキサシン、シプロフロキサシン、エノキサシンおよびノルフロキサシンのようなキノロン類;
フタリルスルフチアゾール、スルファドキシン、スルファジアジン、スルファメチゾールおよびスルファメトキサゾールのようなスルフォンアミド類;
ダプソンのようなスルフォン類;
【0036】
その他、クロラムフェニコール、クリンダマイシン、エリスロマイシンエチルカーボネート、エリスロマイシンエストレート、エリスロマイシングルセペート、エリスロマイシンエチルサクシネート、エリスロマイシンラクトビオネート、ロキシスロマイシン、リンコマイシン、ナタマイシン、ニトロフラントイン、スペクチノマイシン、バンコマイシン、アズトレオナム、コリスチンIV、メトロニダゾール、チニダゾール、フシジン酸およびトリメトプリム;2-チオピリジン N-オキシド;ハロゲン化合物、特にヨウ素およびヨウ素PVP複合体やジヨードヒドロキシキンのようなヨウ素化合物;ヘキサクロロフェン、クロルヘキシジン、クロラミン化合物;ベンゾイルパーオキシドのような他の抗生剤;
【0037】
エタンブトール、イソニアジド、ピラジンアミド、リファンピシンおよびクロファジミンのような抗結核薬;
プリマキン、ピリメタミン、クロロキン、ヒドロキシクロロキン、キニーネ、メフロキンおよびハロファントリンのような抗マラリア薬;
アシクロビルおよびアシクロビルのプロドラッグ、ファムシクロビル、ジドブジン、ジダノシン、スタブジン、ラミブジン、ザルシタビン、サキナビル、インジナビル、リトナビル、n-ドコサノール、トロマンタジン、およびイドクスリジンのような抗ウイルス薬;
メベンダゾール、チアベンダゾール、ニクロサミド、プラジカンテル、エンボン酸ピランテル、およびジエチルカルバマジンのような駆虫薬;
【0038】
プリカマイシン、シクロホスファミド、ダカルバジン、フルオロウラシルおよびそのプロドラッグ、メトトレキセート、プロカルバジン、6-メルカプトプリンおよびムコフェノール酸のような細胞毒性薬;
デクスフェンツラミン(dexfentturamine)、フェンフルラミン、ジエチルプロピオン、マジンドール、およびフェンテルミンを含む食欲抑制および体重減少薬;
カルシトリオール、ジヒドロタキステロールおよびその活性誘導体または類縁体のような高カルシウム血症用薬;
エチルモルフィン、デキストロメトルファンおよびフォルコデインのような鎮咳薬;
アセチルシステイン、ブロムヘキシン、エメチン、ガイフェネシン、トコンおよびサポニンのような去痰薬;
【0039】
フェニレフリン、フェニルプロパノールアミンおよびシュードエフェドリンのような充血除去薬
エフェドリン、フェノテロール、オルシプレナリン、リミテオール、サルブタモール、クロモグリク酸ナトリウム、クロモグリク酸およびそのプロドラッグ、テルブタリン、イプラトロピウムブロミド、サルメテロール、およびテオフィリンおよびテオフィリン誘導体のような気管支弛緩薬;
【0040】
メクロジン、シクリジン、クロルシクリジン、ヒドロキシジン、ブロムフェニラミン、クロルフェニラミン、クレマスチン、シプロヘプタジン、デクスクロルフェニラミン、ジフェンヒドラミン、ジフェニラミン、ドキシラミン、メブヒドロリン、フェニラミン、トリポリジン、アザタジン、ジフェニルピラリン、メトジラミン、テルフェナジン、アステミゾール、ロラチジン、およびセチリジンのような抗ヒスタミン薬;
ブピバカイン、アメトカイン、リグノカイン、シンコカイン、ジブカイン、メピバカイン、プリロカイン、およびエチドカインのような局所麻酔薬;
【0041】
スキサメトニウム、アルクロニウム、ペンクロニウム、アトラクリウム、ガラミン、ツボクラリン、およびベクロニウムのような神経筋遮断薬;
ニコチン、ブプロピオンおよびイボガインのような禁煙薬;
局所および全身的適用に適した殺虫剤および他の殺虫剤;
ビタミンAおよびE、酢酸ビタミンEおよびソルビン酸ビタミンEのような、皮膚科用薬;
ビタミン、必須アミノ酸、必須脂肪のような栄養薬;
α-ヒドロキシ酸、グリコール酸およびサリチル酸のような角質溶解薬;
【0042】
3-(2-アミノプロピル)インドール、3-(2-アミノブチル)インドールのような精神的活力薬;
イソトレチノイン、トレチノイン、およびベンゾイルパーオキシドを含有するような抗ニキビ薬;
エトレチネート、シクロスポリン、カルシポトリオールをふくむような抗乾癬薬;
カプサイシンおよびその誘導体、例えばノニバミド〔ツアイ等(Tsai, et al.), Drug.Dev Ind Pharm , 20(4), 719, 1994〕のような抗掻痒薬;
【0043】
脇の下の発汗を抑制し、あせもに有効な抗コリン薬;硝酸メタトロピン、臭化プロパンテリン、スコポラミン、臭化メトスコポラミン、および温和な制汗薬の新しいクラス、アシロキシメチル四級アンモニウム塩の制汗作用;
その他の生理活性ペプチドおよびタンパク質、低分子から中分子のペプチド、例えば、バソプレッシン、ヒト成長ホルモンなど。
膜はひとつまたはそれ以上の溶媒貯蔵部を有していてもよい。貯蔵部と粘着層の間の膜部分は一方通行の膜でよい。一方通行の膜は全身循環および/または皮膚層から抽出された薬物が当該膜を通って溶媒貯蔵部へ浸透するように機能する。
該膜は好ましくは経皮薬物適用から4日以内にその部位に適用される;より好ましくは経皮薬物適用から24時間以内、最も好ましくは経皮薬物適用から1時間以内に適用される。
本発明の好ましい態様は添付した図面を参照しより詳しく記載される。
【0044】
好ましい態様に従って、生理活性薬物の貯蔵部を皮膚内に形成し、対象の皮膚に投与された生理活性薬物の過剰な経皮投与効果を軽減する方法が提供される。そして、該方法は膜集合体を皮膚部位に接触させることを含み、該膜集合体は
(a)生理活性薬物の侵入を許容して皮膚と接触させ、その皮膚側に粘着層を伴う選択浸透性膜;(b)裏打ちの層;(c)裏打ち層と膜の間にある溶媒貯蔵部で生理活性薬物の少なくとも一部がその溶媒に溶解性であり;好ましくは(d)粘着層から遠い側の溶媒非浸透性層を含み、膜集合体の粘着層を経皮投与部位に適用し、ここで生理活性薬物が皮膚から膜集合体へと抽出される。
【0045】
薬物は少なくともその一部は選択された溶媒に可溶でなければならないから、貯蔵部で用いられる溶媒の選択は、所望の抽出効果を達成するために以前既に投与された個々の薬物に基づいてなされる。好ましくは、該溶媒はアルコール、アルカン、エーテル、ケトン、クロロ化炭化水素、またはニトリルである。より好ましくは、該溶媒は脂肪族C-C化合物である。最も好ましくは、該溶媒はエタノールおよびその誘導体、メタノール、クロロホルム、イソプロピルアルコール、若しくは既述した溶媒の2種以上の混合物よりなる群から選択される。
使用する溶媒量は最初の局所投与からの経過時間、溶媒および薬物の物理化学的性質、薬物の適用部位に依存する。
【0046】
密閉性および半浸透性膜が経皮適用部位に適用されるのは好ましくは4日以内、より好ましくは24時間以内最も好ましくは1時間以内である。
密閉性および半浸透性膜はその周辺を含めできる限り広く経皮薬物適用部位に適用し、好ましくは12時間、より好ましくは24時間そのまま維持する。
便利には、密閉性または半浸透性膜は粘着層で覆われ、皮膚上の固定された確実な位置に留まる。さらなる態様では、本発明は溶媒抽出の方法を提供し、これによれば薬物適用部位は溶媒混合物および/または貯蔵溶媒を含む密閉性若しくは半浸透性膜でぬぐわれる。
【0047】
本発明の特に好ましい形態では、溶媒は低級アルコールであり、より好ましくはメタノール若しくはクロロホルム、またはその混合物である。
吸収が妨げられ、および/または抽出される薬物の量は多くに因子に依存して、対象から対象へと変化し、特に投与された薬物、および密閉性または半浸透性膜適用前の時間の長さに依存する。本発明の望まれる効果は、存在する薬物量が、副作用を与える濃度に到達する薬物放出速度を超えないことである。
【0048】
本発明の方法は、パッチ剤、スプレイ、その他の局所的方法によって投与された経皮製剤の範囲からの活性薬の投与レベルを低減させるために用いることができる。そのような製剤は一般に活性薬および担体を含み、該担体は好ましくは揮発性溶媒と任意の透過促進剤を含む。該組成物は好ましくは透過促進剤を含む。そのような組成物の例は米国特許6,229,900号に開示され。参考のためにここで援用する。適切な担体と透過促進剤の例は米国特許6,229,900号に記載されている。
【0049】
皮膚透過促進剤の例としては、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪アルコール、グリコールおよびグリコールエステル、1,3-ジオキソランおよび1,3-ジオキサン、少なくとも12個の炭素原子を含む大環状ケトン、オキサゾリジノンおよびオキサゾリジノン誘導体、アルキル-2-(N,N-二置換アミノ)-アルカノエートエステル、(N,N-二置換アミノ)-アルカノール アルカノエート、サンスクリーンエステルおよびその混合物を包含する。より好ましくは、皮膚透過促進剤はオレイン酸、オレイルアルコール、シクロペンタデカノン(CPE-218(商標))、ソルビタンモノオレエート、グリセロールモノオレエート、プロピレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノラウレート、2-n-ノニル 1,3-ジオキソラン(SEPA)、ドデシル2-(N,N-ジメチルアミノ)-プロピオネート(DDAIP)若しくはその塩誘導体、2-エチルヘキシル 2-エチルヘキサノエート、イソプロピルミリステート、ジメチルイソソルビド、4-デシクロキサゾリジノン-2-オン(SR-38(商標)、TCPI, Inc.)、3-メチル-4-デシクロキサゾリジノン-2-オン、オクチル ジメチルパラアミノベンゾエート、オクチル パラメトキシシンナメート、サリチル酸オクチル、およびその混合物を含むリストから選択される。
【0050】
揮発性溶媒には皮膚が耐えられるエタノール、イソプロパノール等の溶媒が含まれ、エアロゾルの推進剤にはジエチルエーテル、ヒドロフルオロカーボン等が含まれる。
経皮製剤は例えば3分までの速乾性であってもよい。速乾性の製剤が組成物を真皮へ追い出すのにより効果的であるにも拘わらず、我々は本発明の方法がそのような組成物で達成される用量を有意に低減させ得ることを見出した。
これより本発明を以下の実施例を参考にして記載する。これら実施例は本発明の説明の手段として提供するもので本発明の範囲を決して限定するものではないことを理解すべきである。
【実施例】
【0051】
実施例1
この薬物動態研究の目的は健全なボランティアにおいて単回投与後のフェンタニルの薬物動態を決定し、投与部位を密閉または開放したときのフェンタニルの薬物動態プロフィールを比較することである。
【0052】
方法
平行な試験をデザインした。最初の段階で5名の健全なボランティアに処置Aを実施した。次に第二の段階で5名の健全なボランティアに処置Bを実施した。これら処置は、フェンタニル140μlの製剤を腹部に単回投与し投与部位を密閉しまたは開放した。
フェンタニルの血清濃度プロフィールをその経皮投与の後72時間にわたり測定した。バリデートされたGC/MS試験により、血清試料中のフェンタニル濃度を分析した。
【0053】
試験処置
処置A:フェンタニル7.5%およびオクチサレート5.0%を含むフェンタミル製剤(140μl)を腹部側面に適用。
処置B:フェンタニル7.5%およびオクチサレート5.0%を含むフェンタミル製剤(140μl)を腹部側面に適用し、2分以内に当該域全体を密封性ドレッシング(アクリル粘着層で覆ったポリウレタン膜)で覆い24時間維持。
【0054】
結果
処置B(密閉したフェンタニル製剤)の場合、血清フェンタニルのレベルは極めて低かった。試験でLOQ(0.1ng/ml)より小さな値はグラフから省略した。これらの値は処置A(非密閉のフェンタニル製剤)適用後のレベルよりも有意に低かった。このことは、適用部位をアクリル粘着層で覆ったポリウレタン膜パッチ剤で密閉すると皮膚貯蔵部からの吸収を有意に低下させることを示す。
【0055】
【表1】

【0056】
実施例2
密閉的または半浸透性膜は溶媒貯蔵部を含んでいてもよい。貯蔵部において用いる溶媒の選択は、望まれる抽出効果を達成するため既に投与された個々の薬物に基づいて選択される。既に述べた例は限定的であることを意味せず、望まれる薬学的効果を達成するため溶媒の組み合わせもまた使用できることが予想される;例えば、重量基準で
【0057】
【表2】


Figure 4は、望ましくないテストステロンの投与直後に溶媒貯蔵膜を適用して得られたin-vitroの分散プロフィールを示す。
【0058】
実施例3
この実験は実施例1に記載した処置において粘着膜により吸収されたフェンタニル量を決定する。
材料および方法
【0059】
HPLC条件
膜中のフェンタニル量決定のため次のHPLC条件を用いた。移動相はHPLCフェンタニル分散試験のものと同じ成分を用いた。溶出条件は、流速1ml/min、A75%、B25%のイソクラティック溶出である。カラムは「Previal C18」カラム、250 x 4.6 mm(Alltechより入手)を使用した。
条件はバリデートし、標準曲線の濃度は0.1〜2μg/mlフェンタニルの範囲である。
【0060】
抽出手順
1.パッチをガラス容器においた。
2.既知量(40ml)のエタノール(100%)を該容器に加えた。
3.該容器を40分間、超音波処理した。
4.溶液をMillipore Millex HN ナイロン 0.45μmフィルターで濾過した。
5.濾液をMilliQ水で5倍に希釈し、HPLCにインジェクトした。溶液濃度が高すぎる場合はさらに希釈が必要かも知れない。
【0061】
結果及び考察
同一対象から二つのパッチを取得して分析した。二つのパッチから得られたフェンタニル量は5.85 mgであった。
試験では7.5%のフェンタニル溶液140μl、即ちフェンタニル10.2mgが各対象に投与された。従って、パッチから回収された量は投与量の56.8%であった。
【0062】
実施例4
本試験の目的は、種々の曝露時間におけるヒト角質層を通過するフェンタニルの分配を決定することであった。データはビクトリア薬科大のB. T. Traversa 2004博士号から記載する。
方法
ステンレス製外科用刃を用いて真皮膜下側から皮下組織を除去することにより、ヒト皮膚全層標本を作製した。角質層表面をMilli-Q(商標)水ですすぎ、表面上の汚れを除くためにそっとぬぐった。
【0063】
角質層側を上にして皮膚を平らに置き、ステンレス製外科用刃を用いて1 x 5 cm(幅 x 長さ)の部分に切り分けた(n = 5)。真皮側を上にして各切断部を平らに置き、速乾性スーパーのり(Selleys(登録商標)"Fix'n'Go Supa Glue"セレーズ、オーストラリア)を真皮の腹部表面上に落とした。角質層を上にして皮膚切断部を1 x 7 cm の厚紙片上(扱いを可能とするために2cmの部分を残した)に直ちにマウントした。約10秒間、皮膚を静かに圧迫して厚紙上への接触を確かにした。
95%(v/v)エタノール中に5%(w/v)フェンタニル、および5%(w/v)オクチサレートを溶解して製剤を調製し、各皮膚標本の角質層表面に適用した(5μl/cm2)。あらかじめ決められた時間〔5min(0.08h), 0.5, 2, 6, または16h〕晒した後、過剰の製剤を綿棒で拭って角質層表面から除去した。
【0064】
綿棒をガラス容器に入れ10mlの100%メタノールを加えた。テフロンで裏打ちした蓋で密閉しボルテックスミキサーで30秒間振盪し、周辺温度で16時間、水平ローラーミキサーで静かに混合した(第一ステージ)。16時間の抽出の後、試料をボルテックスミキサーで30秒間振盪し、綿棒を空のガラス容器に移してメタノール5mlを加えた。試料をボルテックスミキサーで30秒間振盪し、周辺温度で8時間、水平ローラーミキサーで静かに混合した(第二ステージ)。8時間の終了時に第一ステージのメタノール抽出物を加えた。試料をボルテックスミキサーで1分間振盪し、抽出物5mlを25℃、3500rpmで15分間遠心分離した。HPLC/UVの分析用に、上澄1mlをメタノール10mlで希釈した。
【0065】
連続して粘着テープを剥がし取ることにより角質層を漸次除去した。1.2 x 5 cm片のポリエステル粘着テープを角質層表面に適用し、テープ上に5秒間、240g/cm2の一定圧をかけた。
テープを適用後に角質層表面から除去した。殆どの角質層を除去するためにテープを剥がし取る作業を20回繰り返した。粘着層を下にしてテープ片をろ紙上に置き、試料を適当な大きさに切って個別に15mlのガラス製遠心分離用バイアルに入れた。HPLC用の100%メタノールを該テープ試料に加えた。最初の10のテープ片には10ml、11から20番目までのテープ片には5mlを加えた。試料はボルテックスミキサーで30秒間振盪し、それから25℃の水浴中、15回/分の割合で24時間連続して振盪した。
【0066】
24時間の終了時に試料を水浴中から取り出しボルテックスミキサーで30秒間振盪した。テープ片とろ紙をバイアルから除去して廃棄した。抽出物を25℃、3500rpmで15分間遠心分離した。遠心分離の後、テープ1および2の各抽出物から1mlを取り出して、HPLC/UVの分析用に、メタノール10mlで希釈した。テープ3から20の抽出物は希釈せずに分析した。
結果
一般に、曝露時間0.08-6時間の間、フェンタニル濃度は角質層を渡って指数関数的に減少した。16時間晒した後、濃度は角質層に対してより直線的に分配されるようになった。フェンタニルをサリチル酸オクチルとともに適用すると、角質層上層の濃度は、晒した時間を変えても比較的一定であった。
【0067】
Figure 5 への言及
サリチル酸オクチルとともに適用したフェンタニルの分配プロフィールである。ACUは角質層全体(即ち、テープ片2−20により除かれた角質層、AUCx/L2-20)、角質層上層(即ち、テープ片2−10により除かれた角質層、AUCx/L2-10)および角質層下層(即ち、テープ片11−20により除かれた角質層、AUCx/L11-20)について計算した。
Figure 5に示すとおり、晒す時間を延長した後も、有意な量のフェンタニルが皮膚表面および角質層上層内に残存する。本発明の方法は、長時間晒された後でもフェンタニルの分配に有意な効果を与えるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】Figure 1 は、本発明の好ましい態様に従って局所的に処置した皮膚領域に適用された密封性膜の横断面を示す概略図である。
【0069】
【図2】Figure 2 は、好適さの順位は落ちるが本発明の別の態様に従って局所的に処置した皮膚領域に適用された密封性膜の横断面を示す概略図である。
【0070】
【図3】Figure 3 は、処置A(フェンタニル製剤140μlの単回用量)および処置B(フェンタニル製剤140μlの単回用量の後24時間密封処理)の後の平均(SEM; n=5)血清中濃度と時間のグラフを示す。LOQ(0.1ng/ml)より小さな値はグラフから省略した。
【0071】
【図4】Figure 4 は、溶媒貯蔵膜を適用若しくは非適用の場合につき、皮膚を拡散したテストステロンの累積量を示すグラフである。
【0072】
【図5】Figure 5 は、皮膚透過促進剤を含むフェンタニル組成物をスプレイで適用し、16時間経過までの異なる時間において角質層上部および下部の間のフェンタニル拡散を示す棒グラフである。
【符号の説明】
【0073】
図面に関して、Figure 1は本発明の好ましい態様に従った膜の集合体(1)を表し、局所処置を受けた皮膚(4)の隣接部位に適用される皮膚側表面(3)を有する密閉性膜(2)、および皮膚から遠い側の自由な面(5)を含む。皮膚側表面(3)は皮膚に安全な粘着剤で構成される粘着層(6)と共に提供される。
【0074】
本発明の方法では、経皮製剤中の活性物の局所投与に続いて、膜の集合体(1)は経皮投与を軽減しまたは終了させることが必要な環境で用いられる。経皮投与を軽減しまたは終了させることの必要性は、過剰用量が局所的に適用された事件または副作用の発生その他の後に、その他の場合に最初の局所適用から由来する用量を軽減することが望ましいと考えられるように導く他の任意の因子を知ったことで生じるかも知れない。局所適用の部位(4)が特定されて、膜集合体は好ましくは、その局所適用部位を少なくとも実質的に覆うのに十分な大きさで適用される。膜(3)の皮膚接触側(3)上にある粘着層(6)が皮膚(4)と接着をするように、膜集合体(1)が適用される。好ましくは、手でしっかりと押さえるような圧を密閉性膜(2)の自由な面(5)に適用し、膜集合体(1)が皮膚(4)に均一に接着するよう促される。
【0075】
Figure 2に関して、別の膜集合体(2)は、局所適用組成物の侵入を許す選択浸透性の皮膚側層(9)を含む、多層の半浸透性膜(8)を含む。皮膚側層(9)はその皮膚側(11)にある皮膚接触粘着剤(10)とともに提供され、非浸透性であって皮膚と遠い側(13)にある、第二層(12)と結合する。一つまたはそれ以上の溶媒貯蔵部(14)が第一層(9)および第二層(12)の間にある。溶媒貯蔵部(14)は浸透圧位を有していて第一層(選択浸透性)(9)を通じて局所組成物の吸収を促進する。好ましくは、第一層(9)は溶媒貯蔵部(14)からの溶媒の放出に対して実質上非浸透性である。この態様では、本発明の方法はその膜集合体を局所適用がなされた皮膚領域に適用することを含む。集合体(7)は粘着層(10)が皮膚(15)と接着するように適用され、その接着は、膜集合体の外側(18)に圧(例えば、手で押さえて)を適用して実質的に均一とするのが好ましい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の経皮投与部位に局所的に適用された生理活性薬物の経皮吸収を阻害する方法であって、その皮膚接触側が粘着層で覆われた、対象の皮膚に接触する膜を含む用具を、経皮投与部位において皮膚に適用する工程を包含する方法。
【請求項2】
少なくとも、(a)経皮的に適用された生理活性薬物が過剰用量であり、(b)生理活性薬物の副作用を被っている対象に対して、膜用具がその経皮投与部位に適用され、これにより血流中に移行した生理活性薬物の用量が低下される、請求項1の方法。
【請求項3】
当該膜が経皮投与された部位全体に適用される、先のクレームのいずれかに記載の方法。
【請求項4】
生理活性薬物が投与されて皮膚中に該生理活性薬物の貯蔵部を形成し、該膜用具が適用された結果、その生理活性薬物が皮膚から吸収され、その他の場合に経皮的に投与されていたであろう薬物の総用量を有意に軽減させる、先のクレームのいずれかに記載の方法。
【請求項5】
対象の皮膚内の貯蔵部から生理活性薬物を除去する方法であって、その生理活性薬物を対象の皮膚上の部位に経皮投与した後に、膜を含む用具をその生理活性薬物が経皮投与された部位に適用する工程を含む方法。
【請求項6】
当該膜が経皮投与部位に接着するように膜の皮膚接触側が粘着剤の層で覆われている、請求項5の方法。
【請求項7】
当該膜用具が、ポリウレタンポリマー、エチレンビニルアセテートコポリマー、ヒドロコロイドおよびセルロース膜から選択される伸縮性の密閉性または半浸透性層を含む、先のクレームのいずれかに記載の方法。
【請求項8】
粘着層が生理活性薬物に対して浸透性であって、アクリル、ポリエチレン、ポリシロキサン、ポリイソブチレン、ポリアクリル酸エステル、ポリウレタン、可塑化エチレンビニルアセテートコポリマー、および粘着性ゴムよりなる群から選択される、請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
膜の厚さが2mmよりも薄い、先のクレームのいずれかに記載の方法。
【請求項10】
生理活性薬物の経皮適用から24時間以内に当該膜をその経皮投与部位に適用する、先のクレームのいずれかに記載の方法。
【請求項11】
当該膜の適用前に、生理活性薬物の過剰用量が皮膚の部位に局所適用された、先のクレームのいずれかに記載の方法。
【請求項12】
膜用具が、皮膚に適用される方から遠い側に少なくとも一つの層を含み、その少なくとも一つの層と当該膜との間に溶媒貯蔵部が設けられて該活性薬物が少なくとも部分的にはその溶媒に溶解性を有する集合体である、先のクレームのいずれかに記載の方法。
【請求項13】
当該溶媒が、アルコール、アルカン、エーテル、ケトン、塩素化炭化水素およびニトリルよりなる群から選択される、請求項12の方法。
【請求項14】
当該溶媒が、エタノールおよびその誘導体、メタノール、クロロホルム、イソプロピルアルコールおよびその二つ以上の混合物よりなる群から選択される請求項12の方法。
【請求項15】
当該膜が少なくとも12時間の期間中、経皮投与部位に接着したままである、請求項12の方法。
【請求項16】
皮膚内に生理活性薬物の貯蔵部を形成すべく、その生理活性薬物を対象の皮膚部位に経皮投与する場合の過剰用量の効果を軽減する方法であって、皮膚に接触させるための膜集合体の提供を包含し、当該膜集合体は(a)皮膚と接触させて生理活性薬物の侵入を許し、その皮膚側に粘着層を設けた選択的な浸透膜、(b)裏打ち層、(c)当該裏打ち層と膜との間の溶媒貯蔵部(該活性薬物が少なくとも部分的にはその溶媒に溶解性を有する)、(d)当該膜の粘着層から遠い側に隣接する溶媒非浸透層を包含し、さらに該方法は膜集合体の粘着層を経皮投与部位に適用することを含み、ここで生理活性薬物が皮膚から膜集合体に抽出される、方法。
【請求項17】
生理活性薬物が、止瀉薬、抗高血圧薬、カルシウムチャネル拮抗薬、抗不整脈薬、抗狭心症薬、アドレナリン性β遮断薬、強心配糖体、アドレナリン性刺激薬、血管拡張薬、抗偏頭痛薬、抗凝血薬、抗血栓薬、鎮痛剤、睡眠薬、抗不安薬、神経安定薬、抗精神薬、抗うつ薬、CNS刺激薬、抗アルツハイマー病薬、抗パーキンソン病薬、抗痙攣薬、制吐薬、非ステロイド性抗炎症薬、抗リウマチ薬、筋弛緩薬、痛風治療薬、高尿酸血症治療薬、エストロゲン、プロゲステロン、抗アンドロゲン、抗エストロゲン、アンドロゲン、抗脱毛薬、5-αリダクターゼ阻害薬、カルボステロイド、下垂体ホルモン、血糖降下薬、甲状腺ホルモン、下垂体阻害薬、排卵促進薬、抗ムスカリン薬、利尿剤、抗利尿剤、産科薬、プロスタグランディン、抗微生物薬、抗結核薬、抗マラリア薬、抗ウイルス薬、駆虫薬、細胞毒性薬、食欲抑制薬、低カルシウム血症用薬、鎮咳薬、去痰薬、充血除去剤、気管支弛緩薬、抗ヒスタミン薬、局所麻酔薬、神経筋肉遮断薬、禁煙薬、殺虫剤、皮膚科薬、栄養薬、角質溶解薬、精神的活力薬、抗ニキビ薬、抗掻痒薬、および抗コリン薬よりなる群から選択される少なくとも一つを含む、先のクレームのいずれかに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−520262(P2007−520262A)
【公表日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−543319(P2006−543319)
【出願日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【国際出願番号】PCT/AU2004/001738
【国際公開番号】WO2005/056103
【国際公開日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(503196558)アクルックス・ディ・ディ・エス・プロプライエタリー・リミテッド (12)
【氏名又は名称原語表記】ACRUX DDS PTY LTD
【Fターム(参考)】