説明

経皮吸収促進及び/又は保湿性向上作用を示す剤、並びに化粧料

【課題】高い経皮吸収促進性や、優れたバリア機能等を示す保湿性向上作用を有しながら、化粧料に含有させた際に使用感を損なわず、安全性の高い経皮吸収促進及び/又は保湿性向上作用を示す剤、並びに該剤を利用した化粧料を提供すること。
【解決手段】本発明の剤は、式(1)で表されるホスホリルコリン類似基含有化合物を含み、化粧料に利用することができる。
【化1】


(R1、R2:C14〜22のアルキル基)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い経皮吸収促進作用及び/又は優れた保湿性向上作用を示す剤、並びに該剤を利用した使用感にも優れる化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧品には、各種美容効果を期待して抗酸化剤、美白剤、抗炎症剤などの薬剤が配合されている。一方で、皮膚は生体の防御壁として、外部刺激や異物の侵入からのバリア機能を担うことから、薬剤を皮膚内に送達させることは困難であった。そこで、薬剤を効果的に経皮吸収させるべく、メントール、リモネン等の経皮吸収促進剤が利用されている。しかし、これら経皮吸収促進剤は効果が不十分であり、皮膚刺激も強い。また、メントールは清涼感、リモネンは特異臭を有することから、化粧料の使用感を損なう場合がある。よって、高い経皮吸収促進効果を有しながら、安全性が高く、化粧料の使用感を損なわない経皮吸収促進及び/又は保湿性向上作用を示す剤が求められている。
【0003】
ところで、ホスホリルコリン基は、安全性が高い両性の水溶性官能基として良く知られており、同基を持つ代表的な化粧品原料としてはリン脂質やレシチンが知られている。
非特許文献1〜3には、ホスホリルコリン類似基を有する化合物が開示されており、該化合物が既存の界面活性剤と比較して高い界面活性能を有すること、また高い分子会合性を有し、水中で容易に多重層ベシクル構造を形成することが報告されている。
また、特許文献1には、ホスホリルコリン類似基を有する化合物から構成される界面活性剤が、特許文献2には、ホスホリルコリン類似基を有する化合物を界面活性作用を期待して配合した洗浄用化粧料が開示されている。
しかし、これらいずれの文献にも、ホスホリルコリン類似基含有化合物が皮膚に対して、経皮吸収促進作用や、バリア機能等に優れた保湿作用を発揮する点については記載がない。また、特許文献1及び2には、炭素数1〜20もしくは8〜20のアルキル基を有するホスホリルコリン類似基を有する化合物が、界面活性作用を示す化合物として記載されている。しかし、具体的にその作用が示された実施例には、ドデシル基の例が記載されるのみである。加えて、これら特許文献に広く記載されたアルキル基の鎖長が長い、例えば、炭素数14以上の化合物は非水溶性であって、界面活性作用を示さないことが明らかである。従って、このようなアルキル基の鎖長の長い化合物については、これら特許文献にはその作用や産業上の利用性については全く開示されていないのが実状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−262184号公報
【特許文献2】特開2002−293732号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Org. Lett., Vol. 1, No.9, 1347−1350頁(1999)
【非特許文献2】Colloids and Surfaces A:Physicochem. Eng.Aspect 228、197−207頁(2003)
【非特許文献3】J.Am. Chem. Soc. 123、5614−5615頁(2001)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、高い経皮吸収促進性や、優れたバリア機能等を示す保湿性向上作用を有しながら、化粧料に含有させた際に使用感を損なわず、安全性の高い経皮吸収促進及び/又は保湿性向上作用を示す剤、並びに該剤を利用した化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、特定のホスホリルコリン類似基含有化合物が、皮膚に対して良好な親和性を有する安全性の高い化合物であり、薬剤の経皮吸収促進性を改善できること、加えて、皮膚のバリア機能と角層水分量を向上させることで皮膚の保湿性を向上させる作用を示すこと、更には、化粧料に用いることにより、該化粧料の使用感も良好にできることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
本発明によれば、式(1)で表されるホスホリルコリン類似基含有化合物(以下、PC化合物と略す)を含む経皮吸収促進及び/又は保湿性向上作用を示す剤(以下、本発明の剤と略すことがある)が提供される。
【化1】

(式(1)において、R1及びR2は同一又は異なる基であって、炭素数14〜22のアルキル基を示す。)
また本発明によれば、化粧料材料と、本発明の剤とを含む化粧料が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明の経皮吸収促進及び/又は保湿性向上作用を示す剤は、非水溶性のPC化合物を有効成分として含むので、皮膚表面への親和性が高く、皮膚表面に緻密な疎水性膜を形成することで、薬剤の経皮吸収性及び、皮膚のバリア機能等の保湿性を高めることができる。これを含む本発明の化粧料は、これらの効果に加えて、特異な清涼感や臭気がなく良好な使用感を付与することができ、化粧水、乳液、クリーム、ゲル剤、美容液、口紅、ファンデーション、化粧下地、日焼け止めクリーム、パック剤、マッサージクリーム等のスキンケア化粧料、メークアップ用化粧料、ボディー用化粧料に有用である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明の経皮吸収促進及び/又は保湿性向上作用を示す剤は、上記式(1)で示されるPC化合物を含有する。
式(1)において、R1、R2は同一又は異なる基であって、炭素数14〜22のアルキル基、具体的には、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコサシル基、ドコシル基、イソテトラデシル基、イソヘキサデシル基、イソオクタデシル基、イソエイコサシル基、イソドコシル基、2−ブチルデシル基、2−ヘキシルデシル基、2−オクチルデシル基、2−デカニルデシル基、2−ドデカニルデシル基等が挙げられる。この中でも直鎖アルキル基であるテトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコサシル基、ドコシル基が、より高い経皮吸収促進及び/又は保湿性向上作用を示す点でより好ましい。アルキル基の炭素数が14未満の場合、経皮吸収促進作用や、バリア機能等の保湿作用、更には安全性が低下する。一方、アルキル基の炭素数が22を超えると原料の入手困難性に加えて、得られるPC化合物の化粧料への配合性が損なわれる恐れがある。
【0011】
本発明に用いるPC化合物は、例えば、高級アルコールと2−クロロ−2−オキソ−1,3,2−ジオキサホスホランとを有機塩基の存在下で反応させて得られる中間体を、ジメチルアルキルアミンにより開環することにより製造することができる。
得られるPC化合物は、再沈殿、再結晶等の一般的な精製方法により精製することができる。
【0012】
本発明の化粧料は、化粧料材料と、本発明の剤とを含む。
本発明の化粧料において、本発明の剤の含有割合は、PC化合物換算で、化粧料全体に対して、0.0001〜50質量%の範囲が好ましい。PC化合物の含有割合が0.0001質量%未満の場合、皮膚に適用してもその表面に存在するPC化合物の量が不十分であるために所望の効果が得られ難いおそれがある。また50質量%を超える場合、使用感を損なうおそれがある。尚、PC化合物は単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いても差し支えない。
【0013】
本発明の化粧料において、化粧料材料は本発明の目的を妨げない限り特に制限されず、例えば、油分、界面活性剤、保湿剤、増粘剤、色材、アルコール類、紫外線防御剤、アミノ酸類、ビタミン類、美白剤、有機酸、無機塩類、酵素、酸化防止剤、安定剤、防腐剤、殺菌剤、消炎剤、皮膚賦活剤、血行促進剤、抗脂漏剤、抗炎症剤等の薬剤、金属イオン封鎖剤、pH調整剤、収斂剤、清涼剤、香料、色素、水が挙げられ、その含有割合は、その目的に応じて適宜決定することができる。
【0014】
本発明の化粧料は、例えば、化粧水、乳液、クリーム、ゲル剤、美容液、口紅、ファンデーション、化粧下地、日焼け止めクリーム、パック剤、マッサージクリーム等のスキンケア化粧料、メークアップ用化粧料、ボディー用化粧料として用いることができる。
【実施例】
【0015】
次に合成例、実施例および比較例により本発明の内容を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。なお、例中の各種分析は、以下の方法に従って実施した。
1.NMR分析
PC化合物の試料を重クロロホルムに溶解させ、内部標準物質にはテトラメチルシラン(TMS)を使用し、FT NMR AL400(日本電子データム社製)を用いて行った。
2.有機元素分析
PC化合物の試料を、機種パーキンエルマー2400II−CHNS/iアナライザーを用いて元素分析することにより行った。
3.質量分析
PC化合物の試料を、JEOL JMS−700(日本電子社製)を用い、イオン化法としてFab(pos)でn−ニトロベンジルアルコールをマトリックスとして用いて行った。
【0016】
合成例1:PC化合物の合成
温度計、滴下漏斗及び攪拌機を備えた1L丸型フラスコに、1−テトラデカノール42.8g(0.2mol)、トリエチルアミン20.2g(0.2mol)及びテトラヒドラフラン280gを加え、4℃に冷却して攪拌、混合した。次いで、2−クロロ−2−オキソ−1,3,2−ジオキサホスホラン28.5g(0.2mol)とテトラヒドラフラン60gの混合溶液を、滴下漏斗を用いて上記の冷却した混合溶液に滴下した。滴下は、冷却した混合溶液を攪拌しながら、反応温度が10℃を超えないように冷却し、2時間かけて徐々に行った。滴下終了後、さらに1時間攪拌し続けた。続いて、副生成物として析出したトリエチルアミン塩酸塩を炉別した。得られた濾液の全量を、攪拌機を備えた2Lの丸底フラスコに投入し、N,N−ジメチルテトラデシルアミン96.4g(0.4mol)とアセトニトリル380gを加え、70℃で12時間攪拌した。その後、反応液を冷却することにより得られた析出物を濾別し、70℃で減圧乾燥することで粗結晶29.1gを得た。得られた粗結晶を、テトラヒドラフランとアセトニトリルの混合溶媒にて再結晶し、白色結晶(以下、GmPC1と略す)25.5g(収率22.7%)を得た。以下に、GmPC1の1H−NMR、元素分析、質量分析の結果を示す。
【0017】
1H-NMR(δ(ppm)):0.88(6H、m、CH3−C1326−O−、−N−C1326CH3)、1.26(44H、m、CH31122−C24−O−、−N−C241122−CH3)、1.56(2H、m、−N−CH2CH2−C1122−CH3)、1.70(2H、m、CH3−C1122CH2−CH2−O)、3.20 (6H、s、CH3−N−CH3)、3.37(2H、m、CH3−C1122−CH2CH2−O−)、3.63(2H、m、−N−CH2−CH2−C1122−CH3)、3.79 (2H、t、−O−CH2−CH2−N−)、4.22 (2H,t、−O−CH2−C2−N−)
元素分析:実測値:C;68.34%、H;12.26%、N;2.61%(理論値:C;68.41%、H;12.20%、N;2.49%)
質量分析:メインピークとしてM+1に相当するMw=563が観測された。
以上の結果から、得られた結晶は式(2)で表されるPC化合物であることを確認した。
【0018】
【化2】

【0019】
合成例2:PC化合物の合成
原料アミンとしてN,N−ジメチルテトラデシルアミンの代わりに、N,N−ジメチルベヘニルアミン141.2g(0.4mol)を用いた以外は合成例1と同様の操作を行い、白色結晶(以下、GmPC2と略す)27.6g(収率20.5%)を得た。以下に、GmPC2の1H−NMR、元素分析、質量分析の結果を示す。
【0020】
1H−NMR(δ(ppm)):0.88(6H、m、CH3−C1326−O−、−N−C2142CH3)、1.26(60H、m、CH31122−C24−O−、−N−C241938−CH3)、1.58(2H、m、−N−CH2CH2−C1938−CH3)、1.69(2H、m、CH3−C1122CH2−CH2−O)、3.21(6H、s、CH3−N−CH3)、3.38(2H、m、CH3−C1122−CH2CH2−O−)、3.63(2H、m、−N−CH2−CH2−C1938−CH3)、3.78(2H、t、−O−CH2−CH2−N−)、4.23(2H、t、−O−CH2CH2−N−)
元素分析:実測値:C;71.31%、H;12.58%、N;2.23%(理論値:C;71.27%、H;12.56%、N;2.08%)
質量分析:メインピークとしてM+1に相当するMw=675が観測された。
以上の結果から、得られた結晶は式(3)で表されるPC化合物であることを確認した。
【0021】
【化3】

【0022】
合成例3:PC化合物の合成
原料アルコールとして1−テトラデカノールの代わりに、1−ヘキサデカノール48.4g(0.2mol)を用い、更に原料アミンとしてN,N−ジメチルテトラデシルアミンの代わりに、N,N−ジメチルヘキサデシルアミン107.6g(0.4mol)を用いた以外は合成例1と同様の操作を行い、白色結晶(以下、GmPC3と略す)24.6g(収率19.9%)を得た。以下に、GmPC3の1H−NMR、元素分析、質量分析の結果を示す。
【0023】
1H−NMR(δ(ppm)):0.88(6H、m、CH3−C1530O−、−N−C1530CH3)、1.25(52H、m、CH31328−C24-−O−、−N−C241328−CH3)、1.57(2H、m、−N−CH2CH2−C1326−CH3)、1.70(2H、m、CH3−C1326CH2−CH2−O)、3.19(6H、s、CH3−N−CH3)、3.38(2H、m、CH3−C1326−CH2CH2−O−)、3.63ppm(2H、m、−N−CH2−CH2−C1326−CH3)、3.79(2H、t、−O−CH2−CH2−N−)、4.23(2H、t、−O−CH2CH2−N−)
元素分析:実測値:C;70.24%、H;12.26%、N;2.42%(理論値:C;69.97%、H;12.40%、N;2.27%)
質量分析:メインピークとしてM+1に相当するMw=619が観測された。
以上の結果から、得られた結晶は式(4)で表されるPC化合物であることを確認した。
【0024】
【化4】

【0025】
合成例4:PC化合物の合成
原料アルコールとして1−テトラデカノールの代わりに、1−ヘキサデカノール48.4g(0.2mol)を用い、更に原料アミンとしてN,N−ジメチルテトラデシルアミンの代わりに、N,N−ジメチルオクタデシルアミン118.8g(0.4mol)を用いた以外は合成例1と同様の操作を行い、白色結晶(以下、GmPC4と略す)23.6g(収率18.3%)を得た。以下に、GmPC4の1H−NMR、元素分析、質量分析の結果を示す。
【0026】
1H−NMR(δ(ppm)):0.88(6H、m、CH3−C1530−O−、−N−C1734CH3)、1.26(56H、m、CH31328−C24−O−、−N−C241530−CH3)、1.60(2H、m、−N−CH2CH2−C1530−CH3)、1.72(2H、m、CH3−C1326CH2−CH2−O)、3.20(6H、s、CH3−N−CH3)、3.41(2H、m、CH3−C1326−CH2CH2−O−)、3.64(2H、m、−N−CH2−CH2−C1530−CH3)、3.80(2H、t、−O−CH2−CH2−N−)、4.25(2H、t、−O−CH2CH2−N−)
元素分析:実測値:C;71.31%、H;12.58%、N;2.31%(理論値:C;70.65%、H;12.48%、N;2.17%)
質量分析:メインピークとしてM+1に相当するMw=647が観測された。
以上の結果から、得られた結晶は式(5)で表されるPC化合物であることを確認した。
【0027】
【化5】

【0028】
合成例5:PC化合物の合成
原料アルコールとして1−テトラデカノールの代わりに、1−オクタデカノール54.0g(0.2mol)を用い、更に原料アミンとしてN,N−ジメチルテトラデシルアミンの代わりに、N,N−ジメチルオクタデシルアミン118.8g(0.4mol)を用いた以外は合成例1と同様の操作を行い、白色結晶(以下、GmPC5と略す)25.9g(収率19.2%)を得た。以下に、GmPC5の1H−NMR、元素分析、質量分析の結果を示す。
【0029】
1H−NMR(δ(ppm)):0.88(6H、m、CH3−C1734−O−、−N−C1734CH3)、1.27(60H、m、CH31530−C24−O−、−N−C241530−CH3)、1.61(2H、m、−N−CH2CH2−C1530−CH3)、1.75(2H、m、CH3−C1530CH2−CH2−O)、3.18(6H、s、CH3−N−CH3)、3.42(2H、m、CH3−C1530−CH2CH2−O−)、3.66(2H、m、−N−CH2-−CH2−C1530−CH3)、3.83(2H、t、−O−CH2−CH2−N−)、4.26(2H、t、−O−CH2CH2−N−)
元素分析データ:実測値:C;71.04%、H;12.73%、N;2.22%(理論値:C;71.27%、H;12.56%、N;2.08%)
質量分析:メインピークとしてM+1に相当するMw=675が観測された。
以上の結果から、得られた結晶は式(6)で表されるPC化合物であることを確認した。
【0030】
【化6】

【0031】
合成例6:PC化合物の合成
原料アルコールとして1−テトラデカノールの代わりに、1−オクタデカノール54.0g(0.2mol)を用い、更に原料アミンとしてN,N−ジメチルテトラデシルアミンの代わりに、N,N−ジメチルベヘニルアミン141.2g(0.4mol)を用いた以外は合成例1と同様の操作を行い、白色結晶(以下、GmPC6と略す)26.1g(収率17.9%)を得た。以下に、GmPC6の1H−NMR、元素分析、質量分析の結果を示す。
【0032】
1H−NMR(δ(ppm)):0.88(6H、m、CH3−C1734−O−、−N−C1734CH3)、1.27(60H、m、CH31530−C24−O−、−N−C241530−CH3)、1.61(2H、m、−N−CH2CH2−C1530−CH3)、1.75(2H、m、CH3−C1530CH2−CH2−O)、3.18(6H、s、CH3−N−CH3)、3.42(2H、m、CH3−C1530−CH2CH2−O−)、3.66(2H、m、−N−CH2-−CH2−C1530−CH3)、3.83(2H、t、−O−CH2−CH2−N−)、4.26(2H、t、−O−CH2CH2−N−)
元素分析データ:実測値:C;72.25%、H;12.61%、N;2.06%(理論値:C;72.38%、H;12.70%、N;1.92%)
質量分析:メインピークとしてM+1に相当するMw=731が観測された。
以上の結果から、得られた結晶は式(7)で表されるPC化合物であることを確認した。
【0033】
【化7】

【0034】
合成例7:PC化合物の合成
原料アルコールとして1−テトラデカノールの代わりに、1−エイコサノール59.6g(0.2mol)を用い、更に原料アミンとしてN,N−ジメチルテトラデシルアミンの代わりに、N,N−ジメチルヘキサデシルアミン107.6g(0.4mol)を用いた以外は合成例1と同様の操作を行い、白色結晶(以下、GmPC7と略す)21.4g(収率15.9%)を得た。以下に、GmPC7の1H−NMR、元素分析、質量分析の結果を示す。
【0035】
1H−NMR(δ(ppm)):0.89(6H、m、CH3−C1938O−、−N−C1530CH3)、1.27(60H、m、CH31734−C24−O−、−N−C241326−CH3)、1.62(2H、m、−N−CH2CH2−C1326−CH3)、1.76(2H、m、CH3−C1734CH2−CH2−O)、3.20(6H、s、CH3−N−CH3)、3.44(2H、m、CH3−C1734−CH2CH2−O−)、3.66(2H、m、−N−CH2−CH2−C1326−CH3)、3.85(2H、t、−O−CH2−CH2−N−)、4.28(2H、t、−O−CH2CH2−N−)
元素分析データ:実測値:C;71.06%、H;12.42%、N;2.21%(理論値:C;71.27%、H;12.56%、N;2.08%)
質量分析:メインピークとしてM+1に相当するMw=675が観測された。
以上の結果から、得られた結晶は式(8)で表されるPC化合物であることを確認した。
【0036】
【化8】

【0037】
合成例8:PC化合物の合成
原料アルコールとして1−テトラデカノールの代わりに、1−エイコサノール59.6g(0.2mol)を用い、更に原料アミンとしてN,N−ジメチルテトラデシルアミンの代わりに、N,N−ジメチルベヘニルアミン141.2g(0.4mol)を用いた以外は合成例1と同様の操作を行い、白色結晶(以下、GmPC8と略す)20.6g(収率13.6%)を得た。以下に、GmPC8の1H−NMR、元素分析、質量分析の結果を示す。
【0038】
1H−NMR(δ(ppm)):0.89(6H、m、CH3−C1938−O−、−N−C2142CH3)、1.27(72H、m、CH31734−C24-−O−、−N−C241938−CH3)、1.61(2H、m、−N−CH2CH2−C1938−CH3)、1.77(2H、m、CH3−C1734CH2−CH2−O)、3.20(6H、s、CH3−N−CH3)、3.44(2H、m、CH3−C1734−CH2CH2−O−)、3.67(2H、m、−N−CH2−CH2−C1938−CH3)、3.85(2H、t、−O−CH2−CH2−N−)、4.29(2H、t、−O−CH2CH2−N−)
元素分析データ:実測値:C;72.64%、H;12.66%、N;1.71%(理論値:C;72.87%、H;12.76%、N;1.85%)
質量分析:メインピークとしてM+1に相当するMw=759が観測された。
以上の結果から、得られた結晶は式(9)で表されるPC化合物であることを確認した。
【0039】
【化9】

【0040】
合成例9:PC化合物の合成
原料アルコールとして1−テトラデカノールの代わりに、1−ドコサノール65.2g(0.2mol)を用い、更に原料アミンとしてN,N−ジメチルテトラデシルアミンの代わりに、N,N−ジメチルヘキサデシルアミン107.6g(0.4mol)を用いた以外は合成例1と同様の操作を行い、白色結晶(以下、GmPC9と略す)18.1g(収率12.9%)を得た。以下に、GmPC9の1H−NMR、元素分析、質量分析の結果を示す。
【0041】
1H−NMR(δ(ppm)):0.89(6H、m、CH3−C2142−O−、−N−C1530CH3)、1.27(64H、m、CH31938−C24−O−、−N−C241326−CH3)、1.60(2H、m、−N−CH2CH2−C1326−CH3)、1.77(2H、m、CH3−C1938CH2−CH2−O)、3.20(6H、s、CH3−N−CH3)、3.43(2H、m、CH3−C1938−CH2CH2−O−)、3.66(2H、m、−N−CH2−CH2−C1326−CH3)、3.87(2H、t、−O−CH2−CH2−N−)、4.30(2H、t、−O−CH2CH2−N−)
元素分析データ:実測値:C;71.69%、H;12.66%、N;1.80%(理論値:C;71.85%、H;12.63%、N;1.99%)
質量分析:メインピークとしてM+1に相当するMw=703が観測された。
以上の結果から、得られた結晶は式(10)で表されるPC化合物であることを確認した。
【0042】
【化10】

【0043】
合成例10:PC化合物の合成
原料アルコールとして1−テトラデカノールの代わりに、1−ドコサノール65.2g(0.2mol)を用い、更に原料アミンとしてN,N−ジメチルテトラデシルアミンの代わりに、N,N−ジメチルベヘニルアミン141.2g(0.4mol)を用いた以外は合成例1と同様の操作を行い、白色結晶(以下、GmPC10と略す)18.2g(収率11.6%)を得た。以下に、GmPC10の1H−NMR、元素分析、質量分析の結果を示す。
【0044】
1H−NMR(δ(ppm)):0.89(6H、m、CH3−C2142−O−、−N−C2142CH3)、1.27(76H、m、CH31938−C24−O−、−N−C241938−CH3)、1.60(2H、m、−N−CH2CH2−C1938−CH3)、1.78(2H、m、CH3−C1938CH2−CH2−O)、3.20(6H、s、CH3−N−CH3)、3.44(2H、m、CH3−C1938−CH2CH2−O−)、3.87(2H、m、−N−CH2−CH2−C1938−CH3)、3.87(2H、t、−O−CH2−CH2−N−)、4.30(2H、t、−O−CH2CH2−N−)
元素分析データ:実測値:C;71.69%、H;12.66%、N;1.80%(理論値:C;73.32%、H;12.82%、N;1.78%)
質量分析:メインピークとしてM+1に相当するMw=787が観測された。
以上の結果から、得られた結晶は式(11)で表されるPC化合物であることを確認した。
【0045】
【化11】

【0046】
合成例11:PC化合物の合成
原料アルコールとして1−テトラデカノールの代わりに、1−ヘキシル−2−デカノール48.4g(0.2mol)を用い、更に原料アミンとしてN,N−ジメチルテトラデシルアミンの代わりに、N,N−ジメチルオクタデシルアミン118.8g(0.4mol)を用いた以外は合成例1と同様の操作を行い、白色結晶(以下、GmPC11と略す)35.7g(収率27.6%)を得た。以下に、GmPC11の1H−NMR、元素分析、質量分析の結果を示す。
【0047】
1H−NMR(δ(ppm)):0.87(9H、m、CH3−C714−CH−CH2−O−、CH3−C510−CH−CH2−O−、−N−C1734CH3)、1.31(54H、m、CH3714−CH−CH2−O−、CH3510−CH−CH2−O−、−N−C241530−CH3)、1.42(1H、m、−CH−CH2−O−)、1.61(2H、m、−N−CH2CH2−C1530−CH3)、3.23(6H、s、CH3−N−CH3)、3.44(2H、m、−CH−CH2−O−)、3.66(2H、m、−N−CH2−CH2−C1530−CH3)、3.89(2H、t、−O−CH2−CH2−N−)、4.31(2H、t、−O−CH2CH2−N−)
元素分析データ:実測値:C;70.81%、H;12.56%、N;2.51%(理論値:C;70.65%、H;12.48%、N;2.17%)
質量分析:メインピークとしてM+1に相当するMw=647が観測された。
以上の結果から、得られた結晶は式(12)で表されるPC化合物であることを確認した。
【0048】
【化12】

【0049】
合成例12:PC化合物の合成
原料アルコールとして1−テトラデカノールの代わりに、イソステアリルアルコール54.1g(0.2mol)を用いた以外は合成例1と同様の操作を行い、白色結晶(以下、GmPC12と略す)31.4g(収率25.4%)を得た。以下に、GmPC12の1H−NMR、元素分析、質量分析の結果を示す。
【0050】
1H−NMR(δ(ppm)):0.81(9H、m(CH32−CH−C1530−O−、−N−C1334CH3)、1.11(37H、m、(CH32CH−C1326−CH2−CH2−O−、−N−C241130−CH3)、1.49(2H、m、−N−CH2CH2−C1118−CH3)、1.56(2H、m、(CH32−CH−C1326CH2−CH2−O−)、3.25(9H、s、CH3−N−CH3)、3.43(2H、m、(CH32−CH−C1326−CH2CH2−O−)、3.67(2H、m、−N−CH2-−CH2−C1118−CH3)、3.88(2H、m、−O−CH2−CH2−N−)、4.30(2H、m、−O−CH2CH2−N−)
元素分析データ:実測値:C;69.81%、H;12.36%、N;2.31%(理論値:C;69.97%、H;12.40%、N;2.27%)
質量分析:メインピークとしてM+1に相当するMw=619が観測された。
以上の結果から、得られた結晶は式(13)で表されるPC化合物であることを確認した。
【0051】
【化13】

【0052】
合成例13:比較化合物の合成
原料アルコールとして1−テトラデカノールの代わりに、1−ドデカノール37.2g(0.2mol)を用い、更に原料アミンとしてN,N−ジメチルテトラデシルアミンの代わりに、N,N−ジメチルドデシルアミン85.2g(0.4mol)を用いた以外は合成例1と同様の操作を行い、白色結晶(以下、GmPC13と略す)26.6g(収率26.3%)を得た。以下に、GmPC13の1H−NMR、元素分析、質量分析の結果を示す。
【0053】
1H−NMR:0.88(6H、m、CH3−C1122−O−、−N−C1122CH3)、1.25(36H、m、CH3918−C24−O−、−N−C24918−CH3)、1.56ppm(2H、m、−N−CH2CH2−C918−CH3)、1.69(2H、m、CH3−C918CH2−CH2−O)、3.37(9H、s、CH3−N−CH3)、3.63(2H、m、CH3−C918−CH2CH2−O−)、3.78ppm(2H、m、−N−CH2-−CH2−C918−CH3)、3.79ppm(2H、t、−O−CH2−CH2−N−)、4.22ppm(2H、t、−O−CH2CH2−N−)
元素分析データ:実測値:C;66.34%、H;12.12%、N;3.01%(理論値:C;66.50%、H;11.96%、N;2.77%)
質量分析:メインピークとしてM+1に相当するMw=507が観測された。
以上の結果から、得られた結晶は式(14)で表される化合物であることを確認した。
【0054】
【化14】

【0055】
合成例14:比較化合物の合成
原料アルコールとして1−テトラデカノールの代わりに、1−ブチル−2−オクタノール37.2g(0.2mol)を用い、更に原料アミンとしてN,N−ジメチルテトラデシルアミンの代わりに、N,N−ジメチルデシルアミン74.0g(0.4mol)を用いた以外は合成例1と同様の操作を行い、白色結晶(以下、GmPC14と略す)27.3g(収率28.6%)を得た。以下に、GmPC14の1H−NMR、元素分析、質量分析の結果を示す。
【0056】
1H−NMR:0.86(9H、m、CH3−C510−CH−CH2−O−、CH3−C36−CH−CH2−O−、−N−C1734CH3)、1.30(32H、m、CH348−CH−CH2−O−、CH336−CH−CH2−O−、−N−C24918−CH3)、1.41(1H、m、−CH−CH2−O−)、1.61(2H、m、−N−CH2CH2−C918−CH3)、3.23(6H、s、CH3−N−CH3)、3.44(2H、m、−CH−CH2−O−)、3.65(2H、m、−N−CH2−CH2−C918−CH3)、3.89(2H、t、−O−CH2−CH2−N−)、4.30ppm(2H、t、−O−CH2CH2−N−)
元素分析データ:実測値:C;70.81%、H;12.56%、N;2.51%(理論値:C;65.37%、H;11.82%、N;2.93%)
質量分析:メインピークとしてM+1に相当するMw=479が観測された。
以上の結果から、得られた結晶は式(15)で表される化合物であることを確認した。
【0057】
【化15】

【0058】
合成例1〜14で合成した14種類の化合物の詳細を表1に示す。
表1中のR1、R2は式(1)に対応し、また表1中の式(16)〜(18)を以下に示す。
【0059】
【化16】

【0060】
【表1】

【0061】
実施例1−1〜1−12:<経皮吸収促進性試験>
リン酸アスコルビン酸マグネシウム(昭和電工株式会社製、以下、VCPと略す)、もしくはd−α―酢酸トコフェロール(エーザイフード・ケミカル株式会社製、以下、VEAcと略す)を指標物質として、三次元培養皮膚(東洋紡績株式会社製、TESTSKIN LSE−High)を隔離膜としたフランツ型セルを用いて、経皮吸収促進性を調べた。
検体は、経皮吸収促進剤として合成例1〜12で得られたGmPC1〜12を各1質量%と各指標物質1質量%との混合液を用い、投与24時間後における、レセプターに充填した生理食塩水中の各指標物質の濃度を測定することで、経皮吸収促進性を比較した。
なお、生理食塩水中の各指標物質濃度は、VCP濃度は下記指標物質測定法1に従い測定し、VEAc濃度は下記指標物質測定法2に従い高速液体クロマトグラフィーを用いて測定した。結果を表2に示す。
【0062】
(指標物質測定法1)
東ソー株式会社製のLC−8020システムを用いて、下記の条件にて測定を行った。
検出器:UV(検出波長:245nm)
カラム:TSKgel、ODS−100v、5μm、4.6mm×25cm
カラム温度:40℃
サンプル量:100μl
流速:1.0ml/min
移動相:0.1重量%リン酸水溶液
(指標物質測定法2)
東ソー株式会社製のLC−8020システムを用いて、下記の条件にて測定を行った。
検出器:UV(検出波長:285nm)
カラム:TSKgel、ODS−100v、5μm、4.6mm×25cm
カラム温度:40℃
サンプル量:100μl
流速:0.5ml/min
移動相:水/メタノール=95/5(体積比)
【0063】
比較例1−1〜1−5:<経皮吸収促進性試験>
GmPC1〜12の代わりに、経皮吸収促進剤として合成例13、14で得られたGmPC13又は14を用いた以外は、実施例1−1〜1−12と同様の方法で経皮吸収促進性を調べた(比較例1−1及び1−2)。
また、GmPC1〜12の代わりに、経皮吸収促進剤としてメントール(高砂香料株式会社製)及びリモネン(日本テルペン株式会社製)を用いた以外は、実施例1−1〜1−12と同様の方法で経皮吸収促進性を調べた(比較例1−3及び1−4)。
更に、経皮吸収促進剤を添加しなかった以外は、実施例1−1〜1−12と同様の方法で経皮吸収促進性を調べた(比較例1−5)。結果を表2に示す。
【0064】
【表2】

【0065】
実施例2−1〜2−12:<バリア機能向上性試験>
20代〜50代の男女7名を被験者とした。被験者の前腕内側1cm2に、合成例1〜12で得られたGmPC1〜12の各0.05質量%水分散液20μlをそれぞれ塗布した。塗布前、および塗布2時間後に経表皮水分損失量(以下、TEWLと略す)をTEWAMETER TM210(Courage+Khasaka Electric社製)を用いて測定した。得られた測定値を下記式に導入し、塗布前のTEWL値を100とする相対値をバリア機能向上指数として算出した。結果を表3に示す。
なお、このとき各TEWL値が塗布前のTEWL値に比較して高いほど、高いバリア機能向上効果を付与したことになる。
バリア機能向上指数=A÷B×100
式中Aは塗布2時間後のTEWL値、Bは塗布前のTEWL値を示す。
【0066】
比較例2−1〜2−5:<バリア機能向上性試験>
GmPC1〜12の水分散液の代わりに、合成例13、14で得られたGmPC13、14、比較例1−3又は1−4で用いたメントール、リモネン、もしくは蒸留水を用いた以外は、実施例2−1〜2−12の方法に準じて、TEWLを測定し、バリア機能向上指数を算出した。結果を表3に示す。
【0067】
【表3】

【0068】
実施例3−1〜3―12:<角層水分量改善性試験>
20代〜50代の男女7名を被験者とした。被験者の前腕内側1cm2に、合成例1〜12で得られたGmPC1〜12の各0.05質量%水分散液20μlをそれぞれ塗布した。塗布前、および塗布2時間後に角層水分量をSKICON−200EX(IBS社製)を用いて測定した。得られた測定値を下記式に導入し、塗布前の角層水分量を100とする相対値を角層水分量改善指数として算出した。結果を表4に示す。
なお、このとき各角層水分量値が塗布前の角層水分量値に比較して高いほど、高い角層水分量改善効果を付与したことになる。
角層水分量改善指数=A÷B×100
式中Aは塗布2時間後の角層水分量、Bは塗布前の角層水分量を示す。
【0069】
比較例3−1〜3−5:<角層水分量改善性試験>
GmPC1〜12の水分散液の代わりに、合成例13、14で得られたGmPC13又は14、もしくは比較例1−3又は1−4で用いたメントール、リモネン、もしくは蒸留水を用いた以外は、実施例3−1〜3−12の方法に準じて、角層水分量を測定し、角層水分量改善指数を算出した。結果を表4に示す。
【0070】
【表4】

【0071】
実施例4−1〜4−12:<安全性評価>
ウサギ角膜上皮様細胞の懸濁液100μlを96ウェルプレートに播種し(1万個/ウェル)、24時間CO2インキュベーターにて培養した。次いで、合成例1〜12で得られたGmPC1〜12の各2質量%水分散液を各ウェルに100μl添加し、CO2インキュベーターにて24時間培養した。所定時間後、培養液を除去し、5mg/100mlのニュートラルレッド溶液を各ウェルに加え、更にCO2インキュベーターにて3時間培養した。各ウェルより培養液を除去し、pH7.4のリン酸緩衝液100μlで各ウェルを2回洗浄した。1%酢酸を含む50%エタノール水溶液を各ウェルに100μl添加し、5分間振とうさせた後、540nmの吸光度を測定した。得られた吸光度を下記式に導入することで細胞生存率(%)を算出した。結果を表5に示す。
細胞生存率(%)=吸光度(GmPC添加系)÷吸光度(GmPC無添加系)×100
【0072】
比較例4−1〜4−5:<安全性評価>
GmPC1〜12の代わりに、合成例13、14で得られたGmPC13又は14、比較例1−3〜1−4で用いたメントール、リモネン、もしくは蒸留水を用いた以外は、実施例5−1〜12の方法に準じて、細胞生存率(%)を測定した。結果を表5に示す。
【0073】
【表5】

【0074】
実施例5−1〜5−12:<化粧水の使用感評価>
表6の処方に従い、イの各成分を室温下にて溶解した。一方、表6に示すロの各成分を60℃にて均一に溶解し、これにかき混ぜながらイの成分を加え、ローション状化粧水を調製した。得られた化粧水に関して、下記官能試験を実施した。結果を表6に示す。
【0075】
<官能試験>
20代〜50代の女性10人を対象として、化粧水を前腕内側部に適量塗布し、保湿感、刺激感のなさ、特異な清涼感のなさ、特異な臭気のなさについて、下記基準により5段階評価した。更にそれを平均して判定した。
(官能評価試験基準)
評価点;5点:非常に良好、4点:良好、3点:普通、2:やや不良、1:不良
判定基準;平均点4.0点以上を合格、平均点4.0点未満を不合格とした。
【0076】
比較例5−1〜5−5:<化粧水の使用感評価>
表6の処方に従い、GmPC1〜12の代わりに合成例13、14で得られたGmPC13又は14、比較例1−3又は1−4で用いたメントール、リモネンを加えた、もしくは何も加えなかった以外は、実施例6−1〜12の方法に準じて化粧水を調製した。得られた化粧水に関して、実施例6−1〜12と同様にして官能試験にて評価した。結果を表6に示す。
【0077】
【表6】

【0078】
実施例6−1〜6−12:<乳液の使用感評価>
表7の処方に従い、イの各成分を75℃にて均一に溶解した。またロの各成分を同様に75℃にて均一に溶解し、イを徐々に加えて予備乳化した。次に、卓上型ホモミキサー(機種:LR−1(みづほ工業株式会社製))を用い、75℃の温浴中で3000rpmにて10分間攪拌した。これをかき混ぜながら冷却し、乳液を調製した。得られた乳液に関して、実施例5−1〜5−12と同様に官能試験を実施した。結果を表7に示す。
【0079】
比較例6−1〜6−5:<乳液の使用感評価>
表7の処方に従い、GmPC1〜12の代わりに合成例13、14で得られたGmPC13又は14、比較例1−3又は1−4で用いたメントール、リモネンを加えた、もしくは何も加えなかった以外は、実施例6−1〜6−12の方法に準じて乳液を調製した。得られた乳液に関して、実施例6−1〜6−12と同様にして官能試験にて評価した。結果を表7に示す。
【0080】
【表7】

【0081】
実施例7−1〜7−12:<ファンデーションの使用感評価>
表8の処方に従い、イ及びハの各成分を別に混合し、それぞれを80℃で加熱溶解した。続いて、ロの各成分をヘンシェルミキサー(IMC−1857(株式会社井元製作所製))に秤り込み、高速で2分間混合した後、イに加えて卓上型ホモミキサー(機種:LR−1(みづほ工業株式会社製))を用いて、75℃の温浴中で混合した。次いで、ハを徐々に加えて乳化し、攪拌しながら冷却して各ファンデーションを調製した。得られたファンデーションに関して、実施例5−1〜5−12と同様に官能試験を実施した。結果を表8に示す。
【0082】
比較例7−1〜7−5:<ファンデーションの使用感評価>
表8の処方に従い、GmPC1〜12の代わりに合成例13、14で得られたGmPC13又は14、比較例1−3又は1−4で用いたメントール、リモネンを加えた、もしくは何も加えなかった以外は、実施例7−1〜7−12の方法に準じてファンデーションを調製した。得られたファンデーションに関して、実施例7−1〜7−12と同様にして官能試験にて評価した。結果を表8に示す。
【0083】
【表8】

【0084】
表2より、合成例1〜12で調製したGmPC1〜12は、合成例13、14で調製したGmPC13、14や、メントール、リモネンと比較して指標物質の親疎水性を問わず、指標物質の経皮吸収促進性に優れていることが分かった。
表3及び表4より、合成例1〜12で調製したGmPC1〜12は、合成例13、14で調製したGmPC13、14や、メントール、リモネンと比較してバリア機能向上効果及び角層水分量改善効果に優れること、即ち優れた保湿性向上作用を有することが分かった。
表5より、合成例1〜12で調製したGmPC1〜12は、合成例13、14で調製したGmPC13、14や、メントール、リモネンと比較して高い安全性を有することが分かった。
表6、7及び8より、合成例1〜12で調製したGmPC1〜12は、合成例13、14で調製したGmPC13、14や、メントール、リモネンと比較して保湿感に優れ、刺激感が低いことが分かった。加えて、合成例1〜12で調製したGmPC1〜12は、メントールのような特異な清涼感、リモネンのような特異な臭気がないこと、即ち化粧料の使用感を損なわないことが分かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)で表されるホスホリルコリン類似基含有化合物を含む経皮吸収促進及び/又は保湿性向上作用を示す剤。
【化1】

(式(1)において、R1及びR2は同一又は異なる基であって、炭素数14〜22のアルキル基を示す。)
【請求項2】
式(1)において、R1及びR2がともに直鎖アルキル基である請求項1記載の経皮吸収促進及び/又は保湿性向上作用を示す剤。
【請求項3】
化粧料材料と、請求項1又は2記載の経皮吸収促進及び/又は保湿性向上作用を示す剤とを含む化粧料。
【請求項4】
請求項1又は2記載の経皮吸収促進及び/又は保湿性向上作用を示す剤の含有割合が、化粧料全体に対して、式(1)で表されるホスホリルコリン類似基含有化合物として、0.0001〜50質量%である請求項3記載の化粧料。

【公開番号】特開2011−213602(P2011−213602A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−80488(P2010−80488)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000004341)日油株式会社 (896)
【Fターム(参考)】