説明

結晶成長方法

【課題】結晶成長過程における組成変化を抑制し、均一性の高い単結晶を製造することができる結晶成長方法を提供する
【解決手段】成長結晶19の組成と同一組成の原料棒21を、炉内に設置されたるつぼ11内の原料溶融体18の表面に接触させ、原料棒21と原料溶融体18との熱接触状態を維持する。単位時間あたりの成長結晶19の成長量に一致する単位時間あたりの供給量で、原料棒21から補充原料を原料溶融体18に供給する。原料棒21は、粒径を調整した結晶粒の集合体であり、原料棒21から成長結晶19への原料溶融体内の対流により、結晶粒が成長結晶19に到達するまでに溶融するように、結晶粒の粒径が決定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結晶成長方法に関し、より詳細には、TSSG法またはカイロポーラス法、ブリッジマン法、温度勾配凝固法による結晶成長において、成長結晶の成長方向に対する組成変化を抑制し、均一な組成の単結晶を製造するための結晶成長方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、酸化物バルク単結晶の結晶成長方法として、溶融した融液表面に種子結晶を浸して引き上げながら結晶を育成するチョクラルスキー法(CZ法)が代表的であり、Si、GaAs、LiNbO3単結晶などの結晶成長法として知られている。また、結晶の引き上げを行わずに成長させるカイロポーラス法、原料溶融体に溶媒成分を付加した溶液成長法の1種である溶液引き上げ(TSSG:Top-Seeded Solution-Growth)法も知られている。その他に、固形原料を光学的に溶融し、溶融部分を移動させながら試料の精製、結晶の成長を行う浮遊帯域溶融(FZ:Floating Zone)法や、溶融した原料の融液または溶液をるつぼの中で固化させる、ブリッジマン法、温度勾配凝固法などが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図1に、従来のCZ法またはTSSG法による抵抗加熱型結晶成長装置を示す。結晶製造装置は、ヒータ4によって温度制御可能な電気炉5を有し、電気炉5内のるつぼ台2に原料溶融体8を入れたるつぼ1を設置している。電気炉5は、炉体ふた10により密閉され、内面に設置された均熱管3により、炉内の温度が一定に保たれるようになっている。このような構成において、引き上げ軸6の先端に取り付けられた種子結晶7を、溶融した原料溶融体8に浸して、成長結晶9を育成する。
【0004】
原料は、素原料である単元素、酸化物、炭化物を所望の組成比となるよう秤量し、るつぼ1に充填する。溶媒として、結晶の構成成分である元素、酸化物、炭化物を過剰に追加したり、結晶の構成成分と異なる元素、酸化物、炭化物を追加して充填することもある。秤量した素原料が充填されたるつぼ1を、電気炉5内に設置されたるつぼ台2上に設置する。ヒータ4を加熱することで、原料を昇温溶融し、原料溶融体8を準備する。種子結晶7が先端に取り付けられた引き上げ軸6を電気炉5に導入し、原料溶融体8に接触させ、結晶育成を開始する。
【0005】
種子結晶7を原料溶融体8の表面に接触させる、すなわち種子付け過程では、原料溶融体8の温度を調整し、種子結晶7が溶融せずかつ結晶成長も生じない状態を実現する。その後、引き上げ軸6を回転しながら引き上げると同時に、加熱量の調整により原料溶融体8を冷却して行く。この冷却により、原料溶融体8は、過冷却または過飽和状態となる。結晶成長に十分な過冷却または過飽和状態が原料溶融体8に実現すると、種子結晶7の先端に結晶が析出し始め、結晶成長が始まる。そして、種子付け、肩拡げ、定径部と順に成長過程を進行させる。成長中は、結晶の成長状態を形状センサまたは重量センサを用いて検出し、成長速度が早い場合には昇温、成長速度が遅い場合には冷却の微調整を加えて、成長結晶9の直径制御を行う。また、引き上げ軸6を引き上げずに、成長結晶9を原料溶融体8の中で成長させてもよい。また、るつぼ台2に回転機構を追加し、るつぼを回転しても良い。
【0006】
溶液原料溶融体を用いた結晶成長においては、溶液原料内の溶質組成と成長結晶の組成が異なる固溶体性や、溶融した原料の組成と成長結晶の組成が異なる不一致溶融性により、成長の進行につれて溶液原料の組成が変化するので、結晶の組成が変化していくことが知られている。また、溶液原料または融液原料のいずれを用いた結晶成長においても、ドーパントを添加した場合、ドーパント原料が結晶に取り込まれる偏析係数が1でないことが多く、成長につれて結晶中のドーパント添加量が変化していく。
【0007】
そこで、結晶組成の変化、ドーパント添加量の変化を抑制する従来技術として、結晶成長中に粉末もしくは液滴状態で追加原料を補充する原料チャージ法が知られている(例えば、特許文献2参照)。追加原料として粉末で補充する場合、その粉末原料の温度は、投入時には室温であり、るつぼ中の原料溶融体の温度より著しく低いので、粉末の供給時や原料溶融体への溶融時に原料溶融体の温度を下げてしまう。一方、追加原料として液滴で補充する場合でも、その液滴を原料溶融体の温度と一致させることは極めて困難であり、液滴原料と原料溶融体の温度差によって、原料溶融体の温度を変化させてしまう。従って、従来の原料チャージ法は、結晶成長中に原料溶融体の温度を変化させ、成長結晶の成長速度に影響を及ぼすという問題があった。成長結晶の組成やドーパント添加量は、成長速度と相関しているので、成長速度の変化は、成長結晶の組成やドーパント添加量の変動を誘起してしまう。
【0008】
原料溶融体の温度を変化させないで追加原料を補充する原料チャージ方法として、成長した結晶の組成と同一組成の原料棒を原料溶融体表面に接触させ、原料棒と原料溶融体との熱接触状態を維持し、単位時間あたりの成長結晶の成長量に一致する単位時間あたりの供給量で、原料棒を溶融することにより、追加原料を原料溶融体に補充供給する方法も開示されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開昭59−107996号公報
【特許文献2】特開2000−344595号公報
【特許文献3】特開2009−137781号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】日本結晶成長学会、「結晶成長ハンドブック」、共立出版株式会社、第1087頁、1995年9月1日発行
【非特許文献2】Z.Cheng, et. al., ‘‘A novel aqueous solution method for K3Li2Nb5O15 film and powder,’’ J. of Crystal Growth 307, 2007, p.353-357
【非特許文献3】Z.X.Cheng, et. al., ‘‘Potassium niobate derived from a novel chemical solution,’’ J. of Crystal Growth 275, 2005, p.971-975
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
原料棒を用いて原料チャージを行う場合、使用する原料棒には以下に記載した要求条件を満足する必要がある。
1)原料棒が原料溶融体との接触状態を育成中に保持させるために、原料棒の溶融速度を調整できること。
2)原料棒から供給された補充原料が育成中の原料溶融体内で速やかにかつ十分に分解され、浮遊結晶や雑晶を発生させる成長核にならないこと。加えて、育成中の結晶品質を劣化させないこと。
【0012】
原料溶融体は、一般に結晶成長前に過加熱状態を経験させ、原料を十分に分解させることによって未分解原料の残留をなくし、浮遊結晶の発生や結晶品質の劣化を防止している。しかしながら、原料棒は目的とする結晶が成長している近傍で成長中に溶融させることから、例えば、原料棒接触付近を結晶成長付近より100℃高い過加熱状態にすることは難しい。たとえ、そのような過加熱状態が実現できたとしても、それは結晶成長領域と原料チャージ領域に過度な温度差を設定することとなり、成長中結晶の結晶品質を劣化させる一因となってしまう。
【0013】
本発明は、このような課題を克服するためになされたもので、その目的とするところは、結晶成長過程における組成変化を抑制し、均一性の高い単結晶を製造することができる結晶成長方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
このような目的を達成するために、本発明の一実施態様は、炉内に設置されたるつぼ内の原料溶融体に対して、鉛直方向に上低下高の温度分布を形成し、種子結晶を前記原料溶融体の表面に接触させ、前記原料溶融体を冷却することにより、前記種子結晶を核として結晶を成長させる結晶成長方法、または炉内に設置されたるつぼ内の原料溶融体に対して、鉛直方向に上高下低の温度分布を形成し、前記るつぼの下方より上方に向かって結晶を成長させる結晶成長方法において、成長結晶の組成と同一組成の原料棒を前記原料溶融体の表面に接触させ、前記原料棒と前記原料溶融体との熱接触状態を維持し、単位時間あたりの成長結晶の成長量に一致する単位時間あたりの供給量で、前記原料棒から補充原料を前記原料溶融体に供給することであって、前記原料棒は、粒径を調整した結晶粒の集合体であり、前記原料棒から前記成長結晶への前記原料溶融体内の対流により、前記結晶粒が前記成長結晶に到達するまでに溶融するように、前記結晶粒の粒径が決定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、成長結晶の成長量に応じて、原料棒から補充原料を原料溶融体に供給して、原料溶融体の組成を一定に保ちながら結晶成長させるので、均一な組成の単結晶を製造することができ、単結晶の利用効率の向上を図ることが可能となる。
【0016】
加えて、原料棒と原料溶融体とが熱接触状態を保持しているため、原料の追加供給によって原料溶融体の温度が変化することがなく、成長結晶の成長速度を変動させないので、より均一な組成の単結晶を製造することができ、単結晶の利用効率の向上を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】従来のCZ法またはTSSG法による抵抗加熱型結晶成長装置を示す図である。
【図2】過加熱量に対する種子結晶の溶融速度の相関の実験結果の例を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態にかかる結晶製造装置の構成を示す図である。
【図4】実施例4にかかる結晶製造装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の概念は、結晶製造における種子付け過程からヒントを得た。原料溶融体は過加熱状態を経験させた後冷却し、種子結晶が溶融せずかつ結晶成長も生じない温度に調整し、結晶成長を開始する。原料溶融体の温度を冷却しすぎると自然核発生により浮遊結晶が発生したり雑晶が発生してしまうので、最初に種子結晶が溶融する高い温度に設定し、種子結晶が溶融せずかつ結晶成長も生じない温度に調整していく。具体的には、種子結晶を原料溶融体に接触させ、その溶融量を測定し、徐々に温度を下げながら、種子結晶の溶融速度が0となる温度を測定し、種子結晶が溶融せずかつ結晶成長も生じない温度を設定する。この調整の際、結果的に種子結晶の一部が溶融することによって原料溶融体に補充原料が供給されることになる。しかし、その供給された種子結晶の一部は、過加熱状態を経験させていないが、浮遊結晶の発生や結晶品質の劣化の原因になることがない。この現象から、種子結晶と同等な単結晶を原料棒として用いれば、原料棒に必要な要求条件を満足させることが可能である。しかしながら、単結晶は、製造に時間がかかり高価であり、また、ドーパント量や結晶組成が均一な母材を準備することも難しい。
【0019】
安価な原料棒の母材候補として、一つの粒で形成された単結晶に代えて、複数の結晶の粒で形成された多結晶体や素原料焼結体、すなわち単結晶粒の集合体が挙げられる。素原料焼結体は、複数の素原料を所望の組成に秤量し、混合、圧縮成型、焼結することで作製した、単結晶と同じ結晶構造を有した焼結体である。多結晶体や素原料焼結体には、各結晶粒の境界に粒界が存在する。結晶を成長する温度に加熱された原料溶融体は、熱エッチングを行うにふさわしいエッチング液と言うことができる。この原料溶融体に多結晶体や素原料焼結体を浸すと、エッチングされ易い粒界部から浸食され、多結晶や素原料焼結体を構成する結晶粒が固体状態で遊離し、原料溶融体内に分散する。固体状態の結晶粒が溶融分解することなく原料溶融体内に滞在すれば、原料溶融体表面に輸送されてそれが成長核となって浮遊結晶が発生したり、結晶の成長界面に到達し取り込まれ成長結晶の結晶品質を劣化させることになる。また、多結晶や素原料焼結体を構成する結晶粒の粒径は不均一であることが多く、不揃いな結晶粒が遊離するので溶融速度が一定にならない問題もある。
【0020】
原料溶融体に遊離した固体状態の結晶粒の粒径が十分に小さく、すみやかに原子サイズに溶融分解すれば、上記のような障害になることはないはずである。この考えから、原料棒として、結晶粒の粒径の小さい微結晶の集合体を選択することを発案した。前述の「速やかな溶融分解」と「十分に小さい粒径」を試算する。固体状態の結晶粒は、原料溶融体内の対流によって、結晶の成長界面に輸送される。原料溶融体内の対流は、自然対流、るつぼの回転による強制対流、結晶の回転による強制対流により構成される。CZ法、TSSG法を用いた場合、るつぼ壁付近に原料棒を設置すると、原料溶融体表面でるつぼ壁付近から結晶に向かって流れる自然対流とるつぼ回転による強制対流により、結晶粒が最短時間で結晶の成長界面に輸送される。対流の流速は、例えば、Si単結晶の育成の場合、約20mm/秒と報告されている(例えば、非特許文献1参照)。るつぼ半径150mmの場合、るつぼ壁から種子結晶まで7.5秒を要することになる。一方、種子結晶の溶融速度は、種子結晶が溶融せずかつ結晶成長も生じない温度からの過加熱量に比例する。図2に、過加熱量に対する種子結晶の溶融速度の相関の実験結果の例を示す。例えば、13℃高い場合、溶融速度は0.2μm/秒である。原料棒が粒径3μm以下の結晶粒の集合体であり、種子結晶より13℃高いるつぼ壁近傍で溶融させる場合を試算する。結晶粒の半径は1.5μm以下で、溶融速度は0.2μm/秒であるから、1.5/0.2=7.5秒以下で溶融分解することになる。言い換えれば、この場合、原料棒から固体状態で遊離した結晶粒は、成長結晶すなわち成長界面に到達する前に原子サイズに溶融分解できることになる。
【0021】
対流の流速が遅ければ、より粒径の大きい結晶粒を原子サイズに溶融できる。例えば、結晶回転をるつぼ回転と逆方向に回転させると、結晶回転による強制対流は結晶からるつぼ壁に向かって流れるので、前述のるつぼ壁から結晶への流れを妨げ、相対的に対流の流速が遅くなる。加えて、ブリッジマン法、温度勾配凝固法による結晶成長の場合、原料溶融体の鉛直方向温度分布は上高下低となり、CZ法、TSSG法の場合と逆であるから、自然対流が抑制され、対流の流速が遅くなる。また、原料棒に対する過加熱量が小さければ、より粒径の小さい結晶粒が必要になる。
【0022】
以上の概念から、原料棒の母材として、結晶粒の集合体であり、かつその粒径を成長界面に到達する前に溶融される粒径に調整することで、単結晶に代えた安価な原料棒を実現することが可能である。
【0023】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。本実施形態では、原料溶融体から成長する結晶組成と同一の組成の原料棒を、原料溶融体の表面と接触させ、熱接触状態を維持する。ここで、原料棒は、種子結晶が原料溶融体と接触している部分の温度より高い温度に保持されている。原料棒は粒径を調整した結晶粒の集合体である。その粒径は、原料溶融体内に供給された後、成長結晶の成長界面に到達するまでに溶融分解するように調整してある。結晶の成長に従って原料溶融体の組成は変化しようとするが、成長結晶の成長量に応じて消費された原料が、熱接触状態を維持したまま原料棒から供給されるので、原料溶融体の組成を一定に保つことができる。供給された原料は、成長結晶の成長界面に到達するまでに溶融分解するので、結晶品質を劣化させない。浮遊結晶や雑晶も発生しない。また、結晶粒の粒径が均一に調整してあるので、原料棒の溶融速度が一定となる。
【0024】
図3に、本発明の一実施形態にかかる結晶製造装置の構成を示す。結晶製造装置は、ヒータ14によって温度制御可能な電気炉15を有し、電気炉15内のるつぼ台12に原料溶融体18を入れたるつぼ11を設置している。電気炉15は、炉体ふた20により密閉され、内面に設置された均熱管13により、炉内の温度が一定に保たれるようになっている。電気炉15内の温度分布を、より精密に調整するために、ヒータ14として、多段の抵抗加熱式ヒータを用いることもある。このような構成において、引き上げ軸16の先端に取り付けられた種子結晶17を、溶融した原料溶融体18に浸して、成長結晶19を育成する。るつぼの回転により、原料溶融体18に強制対流を誘起するために、るつぼ台12に回転機構を追加することもある。
【0025】
また、結晶製造装置は、成長結晶19の成長量を算出するための成長結晶19の重量を測定する重量検出器23と、原料棒21が取り付けられた原料棒昇降軸22を昇降させることができる原料棒昇降装置24と、入力として重量検出器23および出力として原料棒昇降装置24に接続された原料供給制御装置25とを備えている。
【0026】
原料棒21は、粒径がミクロンサイズの結晶粒の集合体である。原料棒の作製方法は、例えば、非特許文献2、3に開示されているように、金属アルコキシドを出発原料として合成することにより、粉末状の結晶粒を生成する。この作製方法の場合、前駆体溶液の乾燥条件およびアニール条件を調整することによって、粒径がサブミクロンの結晶粒を実現することができる。合成した粉末状の結晶粒を金型にて棒状に圧縮成型し、その後加熱焼結する。圧縮圧力を調整することで、充填率が単結晶に近い結晶粒の集合体の原料棒を実現することができる。加熱焼結の温度を高温にするもしくは焼結時間を長時間にすることで、固相反応により結晶粒の粒径を所望のミクロンサイズに増大させる。
【0027】
所望の結晶粒の粒径は、原料棒21から結晶粒が溶融遊離し、原料溶融体18内の対流によって成長結晶19に輸送されるまでに溶融分解するサイズに調整する。結晶成長状態における下記の4つの実験値を事前に求めておく。
1)成長結晶19がある部分の原料溶融体温度と原料棒21がある部分の原料溶融体温度の温度差
2)単結晶が溶融せずかつ結晶成長も生じない温度からの過加熱量に対する溶融速度の相関関数(例えば図2)
3)成長結晶19と原料棒21との間隔
4)原料棒21から成長結晶19への原料溶融体18内対流の流速。
【0028】
なお、原料棒21を挿入する部分の原料溶融体温度は、あらかじめ種子結晶17または成長結晶19の原料溶融体温度より高温に設定してある。1)の温度差が過加熱量であり、それを2)の溶融速度相関関数に代入することにより、結晶の溶融速度を求める。3)の間隔を4)の流速で除算することにより、原料棒21から成長結晶19へ最短距離で輸送される時間を求める。結晶の溶融速度と最短距離で輸送される時間とを乗ずることにより、溶融分解する結晶粒の半径が決定される。以上により、結晶粒の所望粒径を決定する。原料棒21から成長結晶19への原料溶融体18内の対流が、原料溶融体18の表面に位置しているので、原料溶融体18の表面から雰囲気への脱熱で温度が低下する。従って、より好ましくは、決定した所望粒径より粒径を小さくする。ここでは、数値的に所望粒径を導いたが、粒径の異なる複数の原料棒21を準備し、それぞれ原料棒21から原料溶融体18への供給状態、成長結晶19の結晶品質を調査し、実験的に所望粒径を決定しても良い。
【0029】
ヒータ14を制御して、結晶製造装置の電気炉15内に、鉛直方向に上部の温度が低く、下部の温度が高い(上低下高)温度分布を形成しておく。種子付け過程では、原料溶融体18の温度を調整し、種子結晶17が溶融せずかつ結晶成長も生じない状態を実現する。その後、引き上げ軸16を回転しながら、加熱量の調整により原料溶融体18を冷却して行く。この冷却により、原料溶融体18は過飽和状態となり、脱熱されている引き上げ軸16により冷却され、原料溶融体18中で最も温度の低い種子結晶7の先端に結晶が析出し始め、結晶成長が始まる。
【0030】
次に、原料溶融体18から成長した結晶の組成と同一組成の原料棒21を、原料溶融体18の表面に接触させ、熱接触状態を維持する。まず、重量検出器23により結晶重量を測定し、成長結晶の成長量を検出する。成長により消費された原料を原料棒から供給するために、原料棒昇降装置24を制御して、原料棒21を原料溶融体18に挿入する。具体的には、重量検出器23で検出した成長結晶の重量より、原料供給制御装置25は、単位時間あたりの結晶成長量を求める。その結晶成長量と同量となるように原料棒を溶融する単位時間あたりの長さを算出する。原料供給制御装置25は、原料棒を溶融する単位時間あたりの長さを原料棒昇降装置24に送信し、原料棒昇降軸22を降下させる。原料棒昇降軸22の先端に固定された原料棒21は、原料棒昇降軸22の降下によって原料溶融体18に溶融する必要長さだけ挿入される。原料棒21を挿入する部分の原料溶融体温度は、あらかじめ種子結晶17もしくは成長結晶19の原料溶融体温度より高温に設定してある。この温度差により原料棒21が溶融し、成長結晶19は成長を維持することができる。以上の操作を成長中に繰り返し行うことによって、熱接触状態を維持したまま、結晶成長量に見合う原料が補充される。このようにして、成長結晶24の成長量に応じて原料溶融体の組成を一定に保つことができる。
【0031】
溶液成長の場合、結晶成長の進行につれて、溶質成分が消費され、溶媒成分中の溶質量が減少し、結晶化温度は低下する。従来の方法では、結晶成長中は溶質成分の消費量に応じて原料溶融体18の温度を冷却し続ける必要があった。しかし、本実施形態では、原料溶融体の組成が一定であるため、冷却を継続する必要はない。
【0032】
このようにして、原料棒21は、原料溶融体18との接触表面から溶融し、原料溶融体18に供給される。原料棒21は、溶融した原料と接触しているから、熱接触が保たれており、原料溶融体18の温度を変動させない。従って、育成中の結晶の成長速度に影響を及ぼすことがなく、結晶品質の変動を抑制することができる。原料棒21から原料溶融体18へ溶融遊離した結晶粒は、原料溶融体18内の対流によって輸送されるが、成長結晶19に到達する前に溶融分解する。従って、結晶粒が成長結晶に取り込まれて、結晶品質を劣化させることもない。また、結晶粒の粒径が均一に調整してあるので、原料棒21の溶融速度が一定となる。
【0033】
種子結晶または成長結晶の温度が低く、原料棒の温度を高く設定することは、図3を用いて説明したTSSG法やカイロポーラス法による結晶成長のみならず、ブリッジマン法や温度勾配凝固法による結晶成長にも適用することができる。単位時間あたりの結晶成長量は、結晶重量測定に代えて、原料溶融体組成と温度降下量から相図に基づいて算出する。または、成長結晶の密度と原料溶融体の密度は異なるから、成長中の原料溶融体表面の高さが結晶成長中に増減する。成長中の原料溶融体表面の高さの変化を測定し、結晶成長量を求めることもできる。求めた単位時間あたりの結晶成長量に基づいて、原料棒を溶融する単位時間あたりの長さを決定し、原料供給制御装置25の制御により、原料溶融体に挿入する。以上の温度降下と原料棒挿入を繰り返し行うことによって、TSSG法やカイロポーラス法と同様に、成長結晶の成長量に見合う原料が補充され、原料溶融体の組成を一定に保つことができる。垂直ブリッジマン法や温度勾配凝固法による結晶成長の場合、上高下低の温度分布が実現されており、自然対流が抑制され、対流の流速が遅くなる。従って、TSSG法、カイロポーラス法による結晶成長で説明した原料棒に較べて、より粒径の小さい結晶粒が必要になる。
【0034】
本発明の実施例を、以下に説明する。本実施例は、一例であり、発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の改良を行いうることは言うまでもない。
【実施例1】
【0035】
TSSG法によるKTaxNb1-x3単結晶の製造法の実施例を、図3を用いて説明する。KTaxNb1-x3溶質原料は、素原料であるK2CO3とTa25とNb25とを所望の組成比となるように秤量し、るつぼ11に充填する。溶媒としてKを選択し過剰のK2CO3も併せてるつぼ11に充填する。KTaxNb1-x3溶質原料と過剰Kが投入されたるつぼ11を、電気炉15内に設置されたるつぼ台12上に設置する。ヒータ14を加熱することで、原料を昇温溶融し、原料溶融体18を準備する。種子結晶17が先端に取り付けられた引き上げ軸16を電気炉15に導入し、原料溶融体18の表面に接触させ、結晶育成を開始する。なお、あらかじめ充填した原料は、昇温溶融中に、不要な炭酸基を脱ガスする為、結晶育成を開始する温度より高い過加熱過程を施す。
【0036】
カリウムアルコキシド、タンタルアルコキシド、ニオブアルコキシドを出発原料として、結晶粒を作製する。KTaxNb1-x3溶質原料から結晶成長し、肩拡げ工程が終了した時点で、成長する結晶組成KTax'Nb1-x'3と同じカリウム、タンタル、ニオブ比率になるように出発原料を秤量する。秤量した出発原料を、カリウムアルコキシド1モルに対して100リットルの割合で、エタノールと混合し溶解させる。これに30%の過酸化水素水を含んだ純水を、エタノール100リットルに対して3リットルの割合で、混合することによりコロイド化させる。その後、100℃に昇温することでエタノールを蒸発させながら、蒸発分だけ純水を補充し、引き続き混合する。出来上がった混合物に、脱水処理、およびアニール処理を行うことにより、粉末状の結晶粒を生成する。
【0037】
生成物は、粉末X線回折法によりKTax'Nb1-x'3と同じ結晶構造で、単相であることを確認した。また、SEM(Scanning Electron Microscope)により直径サブミクロンの立方体形状の結晶粒であることも確認した。生成した粉末状の結晶粒を金型に充填し、プレス機で2トンの圧力を印加し、直径1cm、長さ50cmの棒状に成型する。これに1000℃、5時間の焼成を行うことで、結晶粒の粒径は固相反応により3ミクロンに増大した。以上のプロセスで、粒径3ミクロンの結晶粒集合体である原料棒を作製する。粒径をさらに増大させたい場合、焼成時間を増大させる。例えば40時間、焼成することにより、20ミクロンの結晶粒集合体である原料棒21にすることができる。作製した原料棒を化学分析により組成分析したところ、長さ方向の組成x’は一定で、単結晶のように変化していなかった。
【0038】
種子結晶17を原料溶融体18に接触させる際、すなわち種子付け過程では、原料溶融体18の温度を調整し、種子結晶17が溶融せずかつ結晶成長も生じない状態を実現する。その後、引き上げ軸16を回転させながら、加熱量の調整により原料溶融体18を冷却して行く。この冷却により、原料溶融体18は過飽和状態となり、脱熱されている引き上げ軸16により冷却され原料溶融体18中で最も温度の低い種子結晶17の先端に結晶が析出し始め、結晶成長が始まる。その後、引き上げ軸16を上方に0.1mm/hrの速度で上昇させることで、引き上げを開始する。加熱量の調整による原料溶融体18の冷却を継続することで、成長結晶19の直径が増加し、成長結晶19の肩拡げ工程を行う。
【0039】
成長結晶19の直径が所望の径に達した時点で、加熱量を一定にすると同時に、原料棒21を原料溶融体18と接触させる。以後、結晶径が一定な定径部工程を行う。結晶成長に伴って、重量検出器23により結晶重量の増加を検出する。原料供給制御装置25は、この成長結晶19の重量の増加により、単位時間あたりの結晶成長量を求める。求めた結晶成長量と同量となるように原料棒21の溶融する必要長さを算出する。算出された原料棒21の溶融する必要長さを原料棒昇降装置24に送信し、原料棒昇降軸22を降下させる。原料棒昇降軸22の先端に固定された原料棒21は、原料棒昇降軸22の降下によって原料溶融体18に溶融する必要長さだけ挿入される。原料棒21を挿入する部分の原料溶融体温度は、あらかじめ種子結晶17または成長結晶19の原料溶融体温度より5℃高温に設定してある。また、原料棒21の挿入位置はるつぼ11の中心軸から60mmであり、原料棒21から成長結晶19へ流れる対流の流速は1mm/秒であった。図2より5℃の過加熱量で溶融速度は0.05μm/秒であり、原料棒21から成長結晶19へ対流によって輸送される時間は60秒である。60秒あれば、60秒×0.05μm/秒=3μmで、半径3μmの結晶粒を溶融分解できる。使用した原料棒21は、粒径すなわち粒の直径3μmの結晶粒集合体であるから、十分に溶融分解できる時間余裕があった訳である。この温度差により原料棒21が溶融し、成長結晶19は成長を維持する。以上の操作を定径部工程中に繰り返し行うことによって、結晶成長量に見合う原料を補充する。
【0040】
所望の長さの成長結晶19を引き上げた時点で、引き上げ軸16を高速で引き上げ、成長結晶19と原料棒21とを原料溶融体18から切り離し、結晶成長を停止する。結晶の成長中に、浮遊結晶は発生しなかった。結晶成長後、ヒータ14の加熱量を下げ、電気炉15を室温まで冷却する。成長した結晶の定径部には、形状変動がないファセット面が表出した。成長条件の変化による外形変化、欠陥発生も認められない。目視による観察で、色調均一でかつ欠陥の介在も認められないKTaxNb1-x3単結晶が得られる。
【0041】
この結晶を引き上げ方向に沿って切断し、研磨することでウエハを作製する。作製したウエハを化学分析により組成分析したところ、定径部工程で成長した成長結晶19の組成x’は、引き上げ方向に対して一定であった。また、透過顕微鏡下でウエハを観察したが、結晶欠陥は認められなかった。原料棒を挿入せずに定径部を冷却により成長させた従来の製法の場合には、KTaxNb1-x3は固溶体であるから、定径部工程で成長した成長結晶の組成xは、引き上げるにつれて減少する。従って、原料棒21を用いた連続チャージにより原料を補充した定径部工程において、成長結晶19の組成を一定に保つことができる。
【0042】
溶質原料や原料棒に元素置換やドーパント添加を行うことも可能である。例えば、溶質原料の炭酸カリウムに代えて炭酸カリウムと、炭酸リチウムまたは炭酸ナトリウムとの混合物とし、原料棒のカリウムアルコキシドに代えてその溶質原料から成長する結晶の組成比と同じ比率のカリウムアルコキシドと、リチウムアルコキシドまたはナトリウムアルコキシドとの混合物にすることによって、Ky1-yTaxNb1-x3の置換型単結晶(M=Li、Na)を製造することができる。また、溶質原料にIIa族のMg、Ca、Sr、Baを添加し、かつ原料棒にその溶質原料から成長する結晶の組成比と同じ比率のカリウムアルコキシドとIIa族アルコキシドの混合物にすることによって、KTaxNb1-x3のIIa族ドープ単結晶を製造することもできる。
【実施例2】
【0043】
CZ法によるMgドープLiNbO3単結晶の製造法の実施例を、図3を用いて説明する。LiNbO3原料は、素原料であるLi2CO3とNb25とを1対1の組成比となるように秤量し、るつぼ11に充填する。ドーパントのMgは、MgO素原料より秤量し、同時に充填する。Mg:LiNbO3原料が投入されたるつぼ11を、電気炉15内に設置されたるつぼ台12上に設置する。ヒータ14を加熱することで、原料を昇温溶融し、原料溶融体18を準備する。種子結晶17が先端に取り付けられた引き上げ軸16を電気炉15に導入し、原料溶融体18に接触させ、結晶育成を開始する。なお、あらかじめ充填した原料は、昇温溶融中に、不要な炭酸基を脱ガスする為、結晶育成を開始する温度より高い状態を経験させ、過加熱処理を施す。
【0044】
リチウムアルコキシド、ニオブアルコキシドを出発原料として、結晶粒を作製する。リチウム、ニオブ比率が1対1になるように出発原料を秤量する。ドーパントのMgは、マグネシウムアルコキシドより秤量する。ドーパントの添加量は種子結晶に混入している添加組成とする。秤量した出発原料を、リチウムアルコキシド1モルに対して100リットルの割合で、エタノールと混合し溶解させる。これに30%の過酸化水素水を含んだ純水を、エタノール100リットルに対して3リットルの割合で、混合することでコロイド化させる。その後、100℃に昇温することでエタノールを蒸発させながら、蒸発分だけ純水を補充し、引き続き混合する。出来上がった混合物に、脱水処理、およびアニール処理を行うことにより、粉末状の結晶粒を生成する。
【0045】
生成物は、粉末X線回折法によりLiNbO3と同じ結晶構造で、単相であることを確認した。また、SEMにより直径サブミクロンの立方体形状の結晶粒であることも確認した。生成した粉末状の結晶粒を金型に充填し、プレス機で2トンの圧力を印加し、直径2cm、長さ50cmの棒状に成型する。これに1000℃、1時間の焼成を行うことで、結晶粒の粒径は0.1ミクロンであった。以上のプロセスで、粒径0.1ミクロンの結晶粒集合体である原料棒を作製する。作製した原料棒を化学分析により組成分析したところ、長さ方向のMg混入量は一定であり、従来のMg:LiNbO3単結晶のようにMg混入量が変化していなかった。
【0046】
種子結晶17を原料溶融体18に接触させる際、すなわち種子付け過程では、原料溶融体18の温度を調整し、種子結晶17が溶融せずかつ結晶成長も生じない状態を実現する。その後、引き上げ軸16を回転させながら、加熱量の調整により原料溶融体18を冷却して行く。この冷却により、原料溶融体18は過飽和状態となり、脱熱されている引き上げ軸16により冷却され原料溶融体18中で最も温度の低い種子結晶17の先端に結晶が析出し始め、結晶成長が始まる。その後、引き上げ軸16を上方に0.5mm/hrの速度で上昇させることで、引き上げを開始する。加熱量の調整による原料溶融体18の冷却を継続することで、成長結晶19の直径が増加し、成長結晶の肩拡げ工程を行う。
【0047】
成長結晶19の直径が所望の径に達した時点で、加熱量を一定にすると同時に、原料棒21を原料溶融体18と接触させる。以後、結晶径が一定な定径部工程を行う。結晶成長に伴って、重量検出器23により結晶重量の増加を検出する。原料供給制御装置25は、この成長結晶19の重量の増加により、単位時間あたりの結晶成長量を求める。求めた結晶成長量と同量となるように原料棒21の溶融する必要長さを算出する。算出された原料棒21の溶融する必要長さを原料棒昇降装置24に送信し、原料棒昇降軸22を降下させる。原料棒昇降軸22の先端に固定された原料棒21は、原料棒昇降軸22の降下によって原料溶融体18に溶融する必要長さだけ挿入される。原料棒21を挿入する部分の原料溶融体温度は、あらかじめ種子結晶17または成長結晶19の原料溶融体温度より20℃高温に設定してある。また、原料棒21の挿入位置はるつぼ11の中心軸から100mmであり、原料棒21から成長結晶19へ流れる対流の流速は200mm/秒であった。図2より20℃の過加熱量で溶融速度は0.3μm/秒であり、原料棒21から成長結晶19へ対流によって輸送される時間は0.5秒である。0.5秒あれば、0.5秒×0.3μm/秒=0.15μmで、半径0.15μmの結晶粒を溶融分解できる。使用した原料棒21は、粒径すなわち粒の直径0.1μmの結晶粒集合体であるから、十分に溶融分解できる時間余裕があった訳である。この温度差により原料棒21が溶融し、成長結晶19は成長を維持する。以上の操作を定径部工程中に繰り返し行うことによって、結晶成長量に見合う原料を補充する。
【0048】
所望の長さの成長結晶19を引き上げた時点で、引き上げ軸16を高速で引き上げ、成長結晶19と原料棒21とを原料溶融体18から切り離し、結晶成長を停止する。結晶の成長中に、浮遊結晶は発生しなかった。結晶成長後、ヒータ14の加熱量を下げ、電気炉15を室温まで冷却する。成長条件の変化による外形変化、欠陥発生も認められない。目視による観察で、色調均一でかつ欠陥の介在も認められないLiNbO3単結晶が得られる。
【0049】
この結晶を引き上げ方向に沿って切断し、研磨することでウエハを作製する。作製したウエハを化学分析により組成分析したところ、定径部工程で成長した成長結晶19のMg混入量は一定であった。また、成長結晶19のLi/(Li+Nb)比は、引き上げ方向に対して0.49であり、一定であった。原料棒を挿入せずに定径部を冷却により成長させた従来の製法の場合には、Mg混入量は、偏析係数が1より小さいので、引き上げ方向に対して増加する。また、LiNbO3は不一致溶融性であるから、定径部工程で成長した成長結晶のLi/(Li+Nb)比は、引き上げるにつれて0.49より増大し、変化する。従って、原料棒21を用いた連続チャージにより原料を補充した定径部工程において成長結晶19のドーパント添加量とLi/(Li+Nb)比を一定に保つことができる。
【0050】
SiやGaAsに代表される半導体結晶においても、ドーパント添加量を一定にすることは課題であり、粒径を調整した結晶粒の集合体を原料棒に用いて連続チャージを行うことが効果を有することは言うまでもない。
【実施例3】
【0051】
CZ法によるLiTaO3単結晶の製造法の実施例を、図3を用いて説明する。LiTaO3原料は、素原料であるLi2CO3とTa25とを1対1の組成比となるように秤量し、るつぼ11に充填する。LiTaO3原料が投入されたるつぼ11を、電気炉15内に設置されたるつぼ台12上に設置する。ヒータ14を加熱することで、原料を昇温溶融し、原料溶融体18を準備する。種子結晶17が先端に取り付けられた引き上げ軸16を電気炉15に導入し、原料溶融体18の表面に接触させ、結晶育成を開始する。なお、あらかじめ充填した原料は、昇温溶融中に、不要な炭酸基を脱ガスする為、結晶育成を開始する温度より高い過加熱過程を施す。
【0052】
リチウムアルコキシド、タンタルアルコキシドを出発原料として、結晶粒を作製する。リチウム、タンタル比率が1対1になるように出発原料を秤量する。秤量した出発原料を、リチウムアルコキシド1モルに対して100リットルの割合で、エタノールと混合し溶解させる。これに30%の過酸化水素水を含んだ純水を、エタノール100リットルに対して3リットルの割合で、混合することでコロイド化させる。その後、100℃に昇温することでエタノールを蒸発させながら、蒸発分だけ純水を補充し、引き続き混合する。出来上がった混合物に、脱水処理、およびアニール処理を行うことにより、粉末状の結晶粒を生成する。
【0053】
生成物は、粉末X線回折法によりLiTaO3と同じ結晶構造で、単相であることを確認した。また、SEMにより直径サブミクロンの立方体形状の結晶粒であることも確認した。生成した粉末状の結晶粒を金型に充填し、プレス機で2トンの圧力を印加し、直径3cm、長さ50cmの棒状に成型する。これに1200℃、1時間の焼成を行うことで、結晶粒の粒径は0.6ミクロンであった。以上のプロセスで、粒径0.6ミクロンの結晶粒集合体である原料棒を作製することができる。
【0054】
種子結晶17を原料溶融体18に接触させる際、すなわち種子付け過程では、原料溶融体18の温度を調整し、種子結晶17が溶融せずかつ結晶成長も生じない状態を実現する。その後、引き上げ軸16を回転させながら、加熱量の調整により原料溶融体18を冷却して行く。この冷却により、原料溶融体18は過飽和状態となり、脱熱されている引き上げ軸16により冷却され原料溶融体18中で最も温度の低い種子結晶17の先端に結晶が析出し始め、結晶成長が始まる。その後、引き上げ軸16を上方に1.0mm/hrの速度で上昇させることで、引き上げを開始する。加熱量の調整による原料溶融体18の冷却を継続することで、成長結晶19の直径が増加し、成長結晶19の肩拡げ工程を行う。
【0055】
成長結晶19の直径が所望の径に達した時点で、加熱量を一定にすると同時に、原料棒21を原料溶融体18と接触させる。以後、結晶径が一定な定径部工程を行う。結晶成長に伴って、重量検出器23により結晶重量の増加を検出する。原料供給制御装置25は、この成長結晶19の重量の増加により、単位時間あたりの結晶成長量を求める。求めた結晶成長量と同量となるように原料棒21の溶融する必要長さを算出する。算出された原料棒21の溶融する必要長さを原料棒昇降装置24に送信し、原料棒昇降軸22を降下させる。原料棒昇降軸22の先端に固定された原料棒21は、原料棒昇降軸22の降下によって原料溶融体18に溶融する必要長さだけ挿入される。原料棒21を挿入する部分の原料溶融体温度は、あらかじめ種子結晶17または成長結晶19の原料溶融体温度より30℃高温に設定してある。また、原料棒21の挿入位置はるつぼ11の中心軸から100mmであり、原料棒21から成長結晶19へ流れる対流の流速は200mm/秒であった。図2より30℃の過加熱量で溶融速度は0.6μm/秒であり、原料棒21から成長結晶19へ対流によって輸送される時間は0.5秒である。0.5秒あれば、0.5秒×0.6μm/秒=0.3μmで、半径0.3μmの結晶粒を溶融分解できる。使用した原料棒21は、粒径すなわち粒の直径0.6μmの結晶粒集合体であるから、十分に溶融分解できる時間余裕があった訳である。この温度差により原料棒21が溶融し、成長結晶19は成長を維持する。以上の操作を定径部工程中に繰り返し行うことによって、結晶成長量に見合う原料を補充する。
【0056】
所望の長さの成長結晶19を引き上げた時点で、引き上げ軸16を高速で引き上げ、成長結晶19と原料棒21とを原料溶融体18から切り離し、結晶成長を停止する。結晶の成長中に、浮遊結晶は発生しなかった。結晶成長後、ヒータ14の加熱量を下げ、電気炉15を室温まで冷却する。成長条件の変化による外形変化、欠陥発生も認められない。目視による観察で、色調均一でかつ欠陥の介在も認められないLiTaO3単結晶が得られた。
【0057】
この結晶を引き上げ方向に沿って切断し、研磨することでウエハを作製する。作製したウエハを化学分析により組成分析したところ、定径部工程で成長した成長結晶19のLi/(Li+Ta)比は、引き上げ方向に対して0.48であり、一定であった。原料棒を挿入せずに定径部を冷却により成長させた従来の製法の場合には、LiTaO3は不一致溶融性であるから、定径部工程で成長した成長結晶のLi/(Li+Ta)比は、引き上げるにつれて0.48より増大し、変化する。従って、原料棒の挿入により原料を補充しながら定径部工程を実施することにより、成長結晶の成長量に応じて原料溶融体18のLi/(Li+Ta)比を一定に保つことができる。
【実施例4】
【0058】
温度勾配凝固法によるKTaxNb1-x3単結晶の製造方法を説明する。図4に、実施例4にかかる結晶製造装置の構成を示す。結晶製造装置は、ヒータ34によって温度制御可能な電気炉35を有し、電気炉35内のるつぼ台32にるつぼ31を設置している。るつぼ31の底部に種子結晶37を配置し、投入された原料を加熱溶融させて原料溶融体38とする。電気炉35は、炉体ふた40により密閉され、内面に設置された均熱管33とヒータ34とにより、鉛直方向に沿って予め決められた温度勾配曲線に従って保持されている。ヒータ34の設定により、原料溶融体38を冷却すると、結晶の成長温度に達した結晶は、種子結晶37と同じ結晶方位を有する結晶に成長し、増径部成長過程と定径部成長過程とを経て成長結晶39となる。
【0059】
また、結晶製造装置は、原料棒41が取り付けられた原料棒昇降軸42を昇降させることができる原料棒昇降装置44と、成長結晶19の成長量を算出するためのパラメータとして、原料溶融体38の液面の高さを測定する原料溶融体表面位置検出器43と、入力として原料溶融体表面位置検出器43および出力として原料棒昇降装置44に接続された原料供給制御装置45とを備えている。
【0060】
KTaxNb1-x3溶質原料は、素原料であるK2CO3とTa25とNb25とを所望の組成比となるように秤量し、るつぼ31に充填する。溶媒としてKを選択し過剰のK2CO3も併せてるつぼ31に充填する。また、るつぼ31の底には種子結晶37が設置してある。KTaxNb1-x3溶質原料と過剰Kが投入されたるつぼ31を、電気炉35内に設置されたるつぼ台32上に設置する。ヒータ34を加熱することで、原料を昇温溶融し、原料溶融体38を準備する。ヒータ34を徐々に冷却することで、結晶育成を開始する。
【0061】
カリウムアルコキシド、タンタルアルコキシド、ニオブアルコキシドを出発原料として、結晶粒を作製する。KTaxNb1-x3溶質原料から結晶成長し、テーパー部の結晶成長が終了した時点で、成長する結晶組成KTax'Nb1-x'3と同じカリウム、タンタル、ニオブ比率になるように出発原料を秤量する。秤量した出発原料を、カリウムアルコキシド1モルに対して100リットルの割合で、エタノールと混合し溶解させる。これに30%の過酸化水素水を含んだ純水を、エタノール100リットルに対して3リットルの割合で、混合することによりコロイド化させる。その後、100℃に昇温することでエタノールを蒸発させながら、蒸発分だけ純水を補充し、引き続き混合する。出来上がった混合物に、脱水処理、およびアニール処理を行うことにより、粉末状の結晶粒を生成する。
【0062】
生成物は、粉末X線回折法によりKTax'Nb1-x'3と同じ結晶構造で、単相であることを確認した。また、SEMにより直径サブミクロンの立方体形状の結晶粒であることも確認した。生成した粉末状の結晶粒を金型に充填し、プレス機で2トンの圧力を印加し、直径1cm、長さ50cmの棒状に成型する。これに1200℃、100時間の焼成を行うことで、結晶粒の粒径は固相反応により100ミクロンに増大した。以上のプロセスで、粒径100ミクロンの結晶粒集合体である原料棒を作製する。作製した原料棒を化学分析により組成分析したところ、長さ方向の組成x’は一定で、単結晶のように変化していなかった。
【0063】
ヒータ34の設定によりるつぼ31内の原料溶融体38は、鉛直方向に上部の温度が高く、下部の温度が低い(上高下低)温度分布が実現されている。種子付け過程では、原料溶融体38の温度を調整し、種子結晶37が溶融せずかつ結晶成長も生じない温度を実現する。その後、加熱量の調整により原料溶融体38を冷却して行く。この冷却により、原料溶融体38は過飽和状態となり、原料溶融体38中で最も温度の低い種子結晶37の先端に結晶が析出し始め、結晶成長が始まる。その後、加熱量の調整による原料溶融体38の冷却を継続することで、成長結晶39の直径が増加し、成長結晶39の肩拡げ工程をるつぼ31内で行う。
【0064】
成長結晶39の直径が所望の径に達した時点で、原料棒41を原料溶融体38の表面と接触させる。以後、結晶径が一定な定径部工程をるつぼ31内で行う。原料溶融体38の冷却による結晶成長に伴って、原料溶融体表面位置検出器43により原料溶融体表面の高さの低下が検出できる。これは、成長結晶39の密度が原料溶融体38の密度より大きいため、成長結晶39の成長に応じて発生している。原料供給制御装置45は、この原料溶融体表面の高さの低下より、単位時間あたりの結晶成長量を求める。求めた結晶成長量と同量となるように原料棒41の溶融する必要長さを算出する。算出された原料棒41の溶融する必要長さを原料棒昇降装置44に送信し、原料棒昇降軸42を降下させる。原料棒昇降軸42の先端に固定された原料棒41は、原料棒昇降軸42の降下によって原料溶融体38に溶融する必要長さだけ挿入される。原料棒41を挿入する部分の原料溶融体温度は、上高下低の鉛直方向の温度分布により、種子結晶37の原料溶融体温度より40℃高温に設定してある。また、原料棒41と原料溶融体38との接触位置は、成長結晶39の成長界面と、成長終期に20mmの距離であった。原料棒41から成長結晶19へ流れる対流の流速は成長終期で0.2mm/秒であった。図2より40℃の過加熱量で溶融速度は1.0μm/秒であり、原料棒41から成長結晶19へ対流によって輸送される時間は成長終期で100秒である。100秒あれば、100秒×1.0μm/秒=100μmで、半径100μmの結晶粒を溶融分解できる。使用した原料棒41は、粒径すなわち粒の直径100μmの結晶粒集合体であるから、十分に溶融分解できる時間余裕があった訳である。この温度差により原料棒37が溶融し、成長結晶39は成長を維持する。以上の操作を定径部工程中に繰り返し行うことによって、結晶成長量に見合う原料を補充する。
【0065】
原料溶融体表面位置検出器43を、相図、原料溶融体仕込み量、原料溶融体38の鉛直軸方向の温度分布、ヒータ34の設定値、ヒータ34の冷却速度の5点から、結晶の生成量を算出することに代えることもできる。相図、原料溶融体仕込み量、原料溶融体38の鉛直軸方向の温度分布が既知であれば、成長中のある時間t0に使用したヒータ34の設定値を使用し、時間t0での結晶生成量が算出できる。次に時間t0より単位時間Δt経過した後に使用するヒータ34の設定値は、時間t0に使用したヒータ34の設定値からヒータ34の冷却速度と経過時間Δtの積を引いた値である。時間t0+Δtでのヒータ34の設定値が既知なので、時間t0+Δtでの結晶生成量も算出できる。単位時間あたりの結晶成長量は、時間t0+Δtでの結晶生成量から時間t0での結晶生成量を引くことにより算出することができる。この算出した結晶成長量に見合う原料を補充してもよい。
【0066】
所望の長さの成長結晶39が成長した時点で、原料棒41を原料溶融体38から切り離し、結晶成長を停止する。結晶成長後、ヒータ34の加熱量を下げ、電気炉35を室温まで冷却する。成長した結晶の定径部には、形状変動がないファセット面が表出した。成長条件の変化による外形変化、欠陥発生も認められない。目視による観察で、色調均一でかつ欠陥の介在も認められないKTaxNb1-x3単結晶が得られた。
【0067】
この結晶を成長方向に沿って切断し、研磨することでウエハを作製した。作製したウエハを化学分析により組成分析したところ、定径部工程で成長した成長結晶39の組成x’は成長方向に対して一定であった。原料棒41の挿入により原料を補充せず定径部を冷却により成長した従来作製法の場合、KTaxNb1-x3は固溶体であるから、定径部工程で成長した成長結晶の組成xは成長するにつれて減少する。従って、原料棒41を用いた連続チャージにより原料を補充した定径部工程において成長結晶39の組成を一定に保つことができる。
【0068】
溶質原料や原料棒に、元素置換やドーパント添加を行うことも可能である。例えば、溶質原料の炭酸カリウムに代えて、炭酸カリウムと炭酸リチウムまたは炭酸ナトリウムとの混合物とし、原料棒のカリウムアルコキシドに代えてその溶質原料から成長する結晶の組成比と同じ比率のカリウムアルコキシドとリチウムアルコキシドまたはナトリウムアルコキシドとの混合物にすることによって、Ky1-yTaxNb1-x3の置換型単結晶(M=Li、Na)を製造することができる。また、溶質原料にIIa族のMg、Ca、Sr、Baを添加し、かつ原料棒をその溶質原料から成長する結晶の組成比と同じ比率のカリウムアルコキシドと、IIa族アルコキシドとの混合物にすることによって、KTaxNb1-x3のIIa族ドープ単結晶を製造することもできる。
【0069】
本実施例では温度勾配凝固法によるKTaxNb1-x3単結晶の成長を説明したが、ヒータ34を冷却することに代えて、るつぼ31を下方に移動すれば垂直ブリッジマン法によるKTaxNb1-x3単結晶の成長となる。垂直ブリッジマン法によるKTaxNb1-x3単結晶の製造法に適用できる。さらに、実施例2および実施例3では、それぞれCz法によるMg:LiNbO3、LiTaO3単結晶の製造法を説明したが、本実施例を組み合わせて、温度勾配凝固法や垂直ブリッジマン法によるMg:LiNbO3、LiTaO3単結晶の製造法にも適用できる。
【符号の説明】
【0070】
1,11,31 るつぼ
2,12,32 るつぼ台
3,13,33 均熱管
4,14,34 ヒータ
5,15,35 電気炉
6,16 引き上げ軸
7,17,37 種子結晶
8,18,38 原料溶融体
9,19,39 成長結晶
10,20,40 炉体ふた
21,41 原料棒
22,42 原料棒昇降軸
23 重量検出器
24,44 原料棒昇降装置
25,45 原料供給制御装置
43 原料溶融体表面位置検出器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炉内に設置されたるつぼ内の原料溶融体に対して、鉛直方向に上低下高の温度分布を形成し、種子結晶を前記原料溶融体の表面に接触させ、前記原料溶融体を冷却することにより、前記種子結晶を核として結晶を成長させる結晶成長方法において、
成長結晶の組成と同一組成の原料棒を前記原料溶融体の表面に接触させ、前記原料棒と前記原料溶融体との熱接触状態を維持し、単位時間あたりの成長結晶の成長量に一致する単位時間あたりの供給量で、前記原料棒から補充原料を前記原料溶融体に供給することであって、前記原料棒は、粒径を調整した結晶粒の集合体であり、前記原料棒から前記成長結晶への前記原料溶融体内の対流により、前記結晶粒が前記成長結晶に到達するまでに溶融するように、前記結晶粒の粒径が決定されていることを特徴とする結晶成長方法。
【請求項2】
炉内に設置されたるつぼ内の原料溶融体に対して、鉛直方向に上高下低の温度分布を形成し、前記るつぼの下方より上方に向かって結晶を成長させる結晶成長方法において、
成長結晶の組成と同一組成の原料棒を前記原料溶融体の表面に接触させ、前記原料棒と前記原料溶融体との熱接触状態を維持し、単位時間あたりの成長結晶の成長量に一致する単位時間あたりの供給量で、前記原料棒から補充原料を前記原料溶融体に供給することであって、前記原料棒は、粒径を調整した結晶粒の集合体であり、前記原料棒から前記成長結晶への前記原料溶融体内の対流により、前記結晶粒が前記成長結晶に到達するまでに溶融するように、前記結晶粒の粒径が決定されていることを特徴とする結晶成長方法。
【請求項3】
前記結晶粒の粒径は、前記原料棒と前記原料溶融体との接触位置から、前記成長結晶までの距離を、前記原料棒から前記成長結晶への前記原料溶融体内の対流の流速で除算して輸送時間を求め、前記結晶の溶融速度と前記輸送時間とを乗ずることにより決定されることを特徴とする請求項1または2に記載の結晶成長方法。
【請求項4】
前記結晶粒の粒径は、0.1μm以上100μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の結晶成長方法。
【請求項5】
前記原料棒は、成長した結晶の組成と同一組成となるように、原料を混合して結晶粒を生成し、生成した結晶粒を圧縮成型して、焼結することにより作製されることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の結晶成長方法。
【請求項6】
前記結晶粒の集合体で構成された原料棒は、焼結する温度および時間によって結晶粒の粒径が調整されていることを特徴とする請求項5に記載の結晶成長方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−41200(P2012−41200A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−181029(P2010−181029)
【出願日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】