説明

給湯熱源システム

【課題】 効率的な給湯ができ、電力が必要な場合に発電装置の利用による発電割合を高くできる経済的な給湯熱源システムを提供する。
【解決手段】 発電装置の排熱を利用して貯湯槽に蓄積した湯を給湯先に給湯する。1日の整数倍(1以上の整数倍)を周期とする設定周期ごとの時間軸上の各時刻と給湯使用量との関係データおよび前記各時刻と電力使用量との関係データを学習記憶する。これらの関係データと蓄熱量検出部35により検出される貯湯槽内の湯の検出蓄熱値とを給湯開始タイミング遅延制御部48と給湯開始タイミング前倒し制御部49が参照し、貯湯槽2の蓄熱が十分でなくても給湯遅延許容時間内に十分になると予測される時は自動湯張り開始タイミングを遅らせ、設定時間内に設定電力量以上の需要がある時に貯湯槽2内が発電不許可限界閾値になると予測される時に自動湯張り開始タイミングを早めたりする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば固体高分子型燃料電池(PEFC)等の発電装置の排熱を利用して貯湯槽に蓄積した湯(蓄熱)を給湯先に給湯するコジェネレーション給湯熱源装置を備えた給湯熱源システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、省エネルギー効果を奏することが可能なシステムとして、例えば固体高分子型燃料電池等の発電装置の排熱を利用して、貯湯槽に蓄積した湯(蓄熱)を給湯先に給湯するコジェネレーション給湯熱源装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
図8には、コジェネレーション給湯熱源装置の一例が示されている。このコジェネレーション給湯熱源装置3は、発電装置1と貯湯槽2とを有し、貯湯槽2は、貯湯槽2内に給水を導入する給水路11と貯湯槽2の湯を送水する給湯路12を備えている。給湯路12には湯水温検出センサ100が設けられている。
【0004】
貯湯槽2と発電装置1との間には、冷却水導入通路13と排熱湯導入通路14とが配備されており、冷却水導入通路13は貯湯槽2内の水を発電装置1の冷却水として発電装置1側に導入し、この水を発電装置1の発電時に生じる排熱によって加熱して例えば60℃といった設定温度の湯とし、排熱湯導入通路14を介して貯湯槽2に蓄積する。つまり、冷却水導入通路13と排熱湯導入通路14は、貯湯槽2内の水を発電装置1の排熱により加熱して湯にする手段を形成している。
【0005】
貯湯槽2の下方側には、貯湯槽2内の水を排水する排水通路15が設けられ、該排水通路15には排水弁(例えば排水電磁弁)52が設けられている。貯湯槽2の上方側には、圧力逃がし通路16が設けられており、圧力逃がし通路16には、過圧逃がし弁50が設けられている。貯湯槽2内は、通常、湯または水によって満たされており、この図では、図を分かりやすくするために、湯が充填されている領域を斜線で示している。
【0006】
このコジェネレーション給湯熱源装置3において、発電装置1が作動すると、貯湯槽2の下部側に貯められている水が冷却水導入通路13を通して発電装置1に導入され、発電装置1の発電時の排熱によって暖められて湯とされ、この湯が排熱湯導入通路14を通って貯湯槽2の上方側から貯湯槽2内に導入される。この動作が繰り返されると、貯湯槽2の下部側の水が発電装置1の排熱によって湯にされて貯湯槽2の上部側に導入されるので、図8の破線Aで示す、貯湯槽2内の水と湯との境界線が貯湯槽2の下部側に移動していく。
【0007】
なお、例えば貯湯槽2内が全て、発電許容温度(前記設定温度より低い例えば40℃)以上の湯で満たされると、発電装置1への冷却水導入を行うことができないので、発電装置1による発電は行えない。つまり、コジェネレーション給湯熱源装置3は、貯湯槽2内の湯の蓄熱量または蓄熱量に対応する値が発電不許可限界閾値(上記例では貯湯槽2内の全ての湯が40度以上の値)以上の時には発電装置1による発電が停止する構成と成している。
【0008】
また、貯湯槽2の湯が給湯路12を通して適宜の給湯場所に送水されると、この送水によって減少した湯量だけ、給水管11から貯湯槽2内に給水が行われるので、この場合、図8の破線Aで示す、貯湯槽2内の水と湯との境界線は貯湯槽2の上部側に移動していく。
【0009】
上記のようなコジェネレーション給湯熱源装置3は、例えば給湯器を備えた補助給湯熱源装置と併設されて用いられることが多い。補助給湯熱源装置とコジェネレーション給湯熱源装置3とを併設すると、複合給湯熱源システムが形成される。
【0010】
このような複合給湯熱源システムにおいて、コジェネレーション給湯熱源装置3の貯湯槽2から送水される湯水温(例えば湯水温検出センサ100の検出温度)が、例えば(給湯設定温度+1)℃未満になって、蓄熱が無くなったと判断された場合、給湯熱源を補助給湯熱源装置に切り替えて給湯を継続するようにしている。
【0011】
【特許文献1】特開2003―120998
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、給湯熱源システムにおいて、給湯熱源から浴槽に自動的に湯張りをする自動湯張り機能を備えたシステムが多く用いられている。この自動湯張り機能を用いて湯張りをする場合、例えば予めタイマーによって入浴時刻を予約し、この入浴時刻に入浴ができるように湯張りをする場合がある。このタイマー予約による湯張りの場合、給湯熱源システムは、タイマー設定された入浴予約時刻から湯張り開始時刻を逆算し、この湯張り開始時刻に湯張りを開始する。
【0013】
しかしながら、例えば上記のような、コジェネレーション給湯熱源装置と補助給湯熱源装置とを備えた給湯熱源システムにおいて、コジェネレーション給湯熱源装置に蓄熱が無くなったと判断される場合は、補助給湯熱源装置を給湯熱源としての給湯が行われるので、コジェネレーション給湯熱源装置の蓄熱状況によっては、コジェネレーション給湯熱源装置を給湯熱源としての給湯を効率的に行うことができないといった問題があった。
【0014】
また、コジェネレーション給湯熱源装置3を備えた給湯熱源システムにおいては、貯湯槽2内の湯の蓄熱量または蓄熱量に対応する値が発電不許可限界閾値(上記例では貯湯槽2内の全ての湯が40度以上の値)以上の時には発電装置1による発電が停止し、発電装置1による発電は行えないので、その状態の時に電力が必要な場合には、発電装置1によって発電した電力を用いることができず、買電に頼るしかないので、経済的な運転ができないといった問題があった。
【0015】
本発明は、上記従来の課題を解決するために成されたものであり、その目的は、コジェネレーション給湯熱源装置を給湯熱源としての給湯を効率的に行うことができ、また、電力が必要な場合には、発電装置による発電を利用ができる割合が高い、経済的に運転可能な給湯熱源システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために、本発明は次のような構成をもって課題を解決する手段としている。すなわち、第1の発明は、発電装置の排熱を利用して蓄熱を給湯先に給湯するコジェネレーション給湯熱源装置を備えた給湯熱源システムにおいて、前記コジェネレーション給湯熱源装置の稼働状況の蓄熱量検出に関するモニタ情報に基づき蓄熱量または蓄熱量に対応する値を求める蓄熱量検出部と、前記発電装置の稼働状況を検出する発電装置稼働状況検出部と、該発電装置稼働状況検出部から得られる情報と時計機構から得られる時刻情報とに基づいて、1日の整数倍(1以上の整数倍)を周期とする設定周期ごとの時間軸上の各時刻に対する電力使用量のデータを検出する電力使用量データ検出部と、該電力使用量データ検出部により検出した検出データを蓄積して該蓄積データに基づき前記設定周期ごとの時間軸上の時刻と発電装置利用の電力使用量との関係を電力使用量関係データとして学習記憶する電力使用量関係データ学習記憶部と、前記設定周期ごとの時間軸上の各時刻に対する給湯熱源システムの給湯使用量のデータを流量センサから得られる給湯流量の情報と時計機構から得られる時刻情報とに基づいて検出する給湯使用量データ検出部と、該給湯使用量データ検出部により検出した検出データを蓄積して該蓄積データに基づき前記設定周期ごとの時間軸上の時刻と給湯使用量との関係を給湯使用量関係データとして学習記憶する給湯使用量関係データ学習記憶部とを有し、予め定められた設定給湯量以上の給湯需要がある場合に、蓄熱の利用の可否を判断する蓄熱量または蓄熱量に対応する値が蓄熱利用閾値として与えられており、前記蓄熱量検出部により検出される前記蓄熱量と蓄熱量に対応する値とのいずれか一方の検出蓄熱値が前記蓄熱利用閾値未満のときに前記設定給湯量以上の給湯需要があるときには、前記電力使用量関係データと前記給湯使用量関係データとを参照して予め定めた設定時間以内に前記検出蓄熱値が前記蓄熱利用閾値以上に達するときには検出蓄熱値が蓄熱利用閾値以上に達するまで前記貯湯槽を給湯熱源とした前記設定給湯量以上の給湯の開始を遅らせる給湯開始タイミング遅延制御部が設けられている構成をもって課題を解決する手段としている。
【0017】
また、第2の発明は、発電装置の排熱を利用して蓄熱を給湯先に給湯するコジェネレーション給湯熱源装置を備えた給湯熱源システムにおいて、前記蓄熱量または蓄熱量に対応する値が予め定められる発電許可限界閾値未満の時には発電装置による発電が可能であり、前記蓄熱量または蓄熱量に対応する値が発電不許可限界閾値以上の時には発電装置による発電が停止する構成と成しており、前記コジェネレーション給湯熱源装置の稼働状況の蓄熱量検出に関するモニタ情報に基づき蓄熱量または蓄熱量に対応する値を求める蓄熱量検出部と、前記発電装置の稼働状況を検出する発電装置稼働状況検出部と、該発電装置稼働状況検出部から得られる情報と時計機構から得られる時刻情報とに基づいて、1日の整数倍(1以上の整数倍)を周期とする設定周期ごとの時間軸上の各時刻に対する電力使用量のデータを検出する電力使用量データ検出部と、該電力使用量データ検出部により検出した検出データを蓄積して該蓄積データに基づき前記設定周期ごとの時間軸上の時刻と発電装置利用の電力使用量との関係を電力使用量関係データとして学習記憶する電力使用量関係データ学習記憶部と、前記設定周期ごとの時間軸上の各時刻に対する給湯熱源システムの給湯使用量のデータを流量センサから得られる給湯流量の情報と時計機構から得られる時刻情報とに基づいて検出する給湯使用量データ検出部と、該給湯使用量データ検出部により検出した検出データを蓄積して該蓄積データに基づき前記設定周期ごとの時間軸上の時刻と給湯使用量との関係を給湯使用量関係データとして学習記憶する給湯使用量関係データ学習記憶部とを有し、前記蓄熱量検出部により検出される蓄熱量と蓄熱量に対応する値とのいずれか一方の検出蓄熱値と前記電力使用量関係データと前記給湯使用量関係データとを参照し、予め定めた設定電力量以上の電力需要があると予測される時に前記検出蓄熱値が前記発電不許可限界閾値以上になると予測される時には、予め定めた設定時間以内に前記貯湯槽からの給湯需要があるか否かを判断し、前記設定時間以内に給湯需要があると予測されるときにはこの予測される給湯開始タイミングよりも前記給湯の開始タイミングを早めて前記検出蓄熱値が前記発電不許可限界閾値以上になる以前に前記給湯を開始させる給湯開始タイミング前倒し制御部を有する構成をもって課題を解決する手段としている。
【0018】
さらに、第3の発明は、上記第1または第2の発明の構成に加え、前記貯湯槽の湯を送水して浴槽を含む一つ以上の給湯先に給湯する給湯路が設けられており、給湯の開始タイミングを遅らせるまたは早める給湯は前記浴槽に自動的に湯張りする給湯を含む構成をもって課題を解決する手段としている。
【0019】
さらに、第4の発明は、上記第1または第2または第3の発明の構成に加え、浴槽と、該浴槽内の湯水を追い焚き熱交換器を介して循環させる追い焚き循環管路と、貯湯槽内の湯水を循環させる貯湯槽湯水循環管路とを有し、前記追い焚き熱交換器は貯湯槽内の湯を前記貯湯槽湯水循環管路を通して循環させる時の湯の熱を利用して追い焚き熱交換器内を通る湯水を加熱する構成と成し、給湯の開始タイミングを遅らせるまたは早める給湯は、貯湯槽内の湯を貯湯槽湯水循環管路に通して循環させて前記浴槽内の湯水を追い焚きする自動追い焚き用の給湯を有する構成をもって課題を解決する手段としている。
【0020】
さらに、第5の発明は、上記第1乃至第4のいずれか一つの発明の構成に加え、前記コジェネレーション給湯熱源装置の貯湯槽と発電装置との間には該発電装置の排熱または前記発電装置の排熱吸収流体の熱を利用して貯湯槽内の水を加熱して湯にする手段が配備され、該手段によって形成された湯を貯湯槽に蓄積し、この貯湯槽の湯を前記給湯路を通して給湯先に供給する構成と成している構成をもって課題を解決する手段としている。
【0021】
さらに、第6の発明は、上記第1乃至第5のいずれか一つの発明の構成に加え、通水の水を加熱して作成した湯を給湯先に供給する機能を備えた補助給湯熱源装置がコジェネレーション給湯熱源装置と併設されており、該コジェネレーション給湯熱源装置の貯湯槽から送水される給湯の通路は補助給湯熱源装置の給水導入口に連通され、前記貯湯槽の湯のみを熱源として給湯を行うときは、貯湯槽の湯を非加熱駆動状態の補助給湯熱源装置を経由して給湯先へ給湯する構成と成した構成をもって課題を解決する手段としている。
【0022】
さらに、第7の発明は、上記第1乃至第6のいずれか一つの発明の構成に加え、前記発電装置は水素と酸素を反応させて電気を発生する燃料電池とした構成をもって課題を解決する手段としている。
【発明の効果】
【0023】
本発明において、給湯開始タイミング遅延制御部が設けられている構成によれば、蓄熱量と蓄熱量に対応する値とのいずれか一方の検出蓄熱値が蓄熱利用閾値未満のときに設定給湯量以上の給湯需要があるときには、予め定めた設定時間以内に前記検出蓄熱値が前記蓄熱利用閾値以上に達するか否かを判断し、前記設定時間以内に前記検出蓄熱値が前記蓄熱利用閾値以上に達すると予測される時には前記検出蓄熱値が蓄熱利用閾値以上に達するまで前記貯湯槽を給湯熱源とした前記設定給湯量以上の給湯の開始を遅らせるので、貯湯槽を給湯熱源とした給湯を効率的に行うことができる。
【0024】
また、本発明において、給湯開始タイミング前倒し制御部を有する構成によれば、予め定めた設定電力量以上の電力需要があると予測される時に、蓄熱量と蓄熱量に対応する値とのいずれか一方の検出蓄熱値が発電不許可限界閾値以上になると予測される時には、予め定めた設定時間以内に前記貯湯槽からの給湯需要があるか否かを判断し、前記設定時間以内に給湯需要があると予測されるときにはこの予測される給湯開始タイミングよりも前記給湯の開始タイミングを早めるので、電力が必要な場合に、発電装置による発電を利用できる割合を高くすることができる。
【0025】
さらに、本発明において、給湯の開始タイミングを遅らせるまたは早める給湯は、浴槽に自動的に湯張りする給湯を含む構成や、貯湯槽内の湯を貯湯槽湯水循環管路に通して循環させて浴槽内の湯水を追い焚きする自動追い焚き用の給湯を有する構成によれば、これらの給湯の開始タイミングを制御することにより、給湯や発電装置の利用を効率的に行える給湯熱源システムを実現できる。
【0026】
さらに、本発明において、コジェネレーション給湯熱源装置の貯湯槽と発電装置との間に配備された手段によって形成された湯を貯湯槽に蓄積し、この貯湯槽の湯を、貯湯槽に備えられた給湯路を通して給湯先に供給する構成によれば、コジェネレーション給湯熱源装置による湯の蓄積と、貯湯槽からの湯の給湯とを効率的に行うことができる。
【0027】
さらに、本発明において、通水の水を加熱して作成した湯を給湯先に供給する機能を備えた補助給湯熱源装置がコジェネレーション給湯熱源装置と併設されており、コジェネレーション給湯熱源装置の貯湯槽から送水される給湯の通路は補助給湯熱源装置の給水導入口に連通され、前記貯湯槽の湯のみを熱源として給湯を行うときは、貯湯槽の湯を非加熱駆動状態の補助給湯熱源装置を経由して給湯先へ給湯する構成によれば、コジェネレーション給湯熱源装置の貯湯槽からの給湯の通路と補助給湯熱源装置の給水導入口とを連通させることにより、システム構成が簡単な複合システムを形成でき、効率的に給湯を行うことができる。
【0028】
さらに、本発明において、発電装置は水素と酸素を反応させて電気を発生する燃料電池とした構成によれば、発電装置を燃料電池とすることによって、環境に悪影響を与える物質を排出することなく、コジェネレーション給湯熱源装置を運転できるので、環境に優しい給湯熱源システムを構築することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0030】
図2には、本発明に係る給湯熱源システムの一実施形態例のシステム構成が示されており、図1には、その制御構成が示されている。図2に示すように、本実施形態例は、発電装置1の排熱を利用して貯湯槽2に蓄積した湯を給湯先に給湯するコジェネレーション給湯熱源装置3と、通水の水を加熱して作成した湯を給湯先に供給する補助給湯熱源装置4とを併設した複合的な給湯システムである。給湯先は浴槽を含む複数設けられている。なお、コジェネレーション給湯熱源装置3において、図8と同様の構成についての重複説明は省略または簡略化する。
【0031】
本実施形態例で適用している発電装置1は、例えば固体高分子型燃料電池(PEFC)等の燃料電池により形成されており、水の電気分解の逆反応で、都市ガス等の燃料から取り出された水素2Hと空気中の酸素(1/2)Oとを反応させて発電する装置である。
【0032】
コジェネレーション給湯熱源装置3を有するシステムは、省エネルギー効果を奏することが可能なシステムとして注目されており、本実施形態例では、特に、発電装置1を燃料電池により形成することによって、環境に悪影響を与える物質を排出することなく、コジェネレーション給湯熱源装置3を運転でき、環境に優しい給湯熱源システムを構築することができる。
【0033】
本実施形態例において、貯湯槽2の容量は例えば200Lであり、貯湯槽2には、互いに間隔を介して貯湯槽内湯水温検出センサ101〜111が設けられている。また、貯湯槽2の下方側に設けられた排水弁52は排水電磁弁52である。
【0034】
また、本実施形態例において、貯湯槽2内の湯の蓄熱量または蓄熱量に対応する値が予め定められる発電許可限界閾値未満の時には発電装置1による発電が可能であり、貯湯槽2内の湯の蓄熱量または蓄熱量に対応する値が発電不許可限界閾値以上の時には発電装置1による発電が停止する構成と成している。
【0035】
本実施形態例において、前記発電許可限界閾値と前記発電不許可限界閾値は同じであり、貯湯槽2内の全ての湯が40度以上の値を、これらの発電許可限界閾値と発電不許可限界閾値としている。なお、発電許可限界閾値と発電不許可限界閾値はこの値に限らず適宜設定されるものであり、互いに異なる値としてもよい。
【0036】
本実施形態例では、コジェネレーション給湯熱源装置3と補助給湯熱源装置4とは、湯水混合ユニット10と接続通路45を介して接続されており、コジェネレーション給湯熱源装置3の給湯路12の出口側には、給湯路12から送水される湯の流量を検出する流量センサ70が設けられている。また、湯水混合ユニット10には給水路11の分岐通路11bが接続されている。給水路11には給水温度センサ112が設けられている。
【0037】
湯水混合ユニット10は、前記給湯路12の開閉を行う湯水開閉弁54と、給湯路12から送水される湯の流量を弁開度によって可変制御する湯水比例弁55と、給水路11から給水される水の流量を弁開度によって可変制御する湯水比例弁56と、接続通路45の入り口側に設けられた流量センサ71とを有している。湯水開閉弁54は電磁弁により、湯水比例弁55,56はギアモータにより形成されている。給湯路12の出口側には湯水温検出センサ120が設けられ、接続通路45の入口側には、湯水温検出センサ118が設けられている。
【0038】
補助給湯熱源装置4は、通水の水を加熱して作成した湯を給湯先に供給する機能を備えた装置であり、給湯器5(5a,5b)を有して形成されている。給湯器5(5a,5b)は、それぞれ燃焼室23,24を有している。給湯器5aの燃焼室23内には、バーナ6と、バーナ6の燃焼の給排気を行なう燃焼ファン8と、バーナ6の燃焼により加熱される給湯熱交換器19とが設けられている。また、給湯器5bの燃焼室24内には、バーナ7と、バーナ7の燃焼の給排気を行なう燃焼ファン9と、バーナ7の燃焼により加熱される追い焚き熱交換器25とが設けられている。
【0039】
バーナ6,7には、それぞれのバーナ6,7に燃料を供給するガス管21,22が接続されており、これらのガス管21,22は、ガス管20から分岐形成されている。ガス管20には、ガス開閉弁80が介設されており、ガス管21には、ガス比例弁86とガス開閉弁81,82,83が、ガス管22には、ガス比例弁87とガス開閉弁84,85がそれぞれ介設されている。これらの弁80〜87はいずれも電磁弁により形成されており、ガス開閉弁80〜85は、対応するバーナ6,7への燃料供給・停止を制御し、ガス比例弁86,87は、対応するバーナ6,7への供給燃料量を弁開度でもって制御する。
【0040】
前記給湯熱交換器19の入口側には給水導入通路18が設けられており、この給水導入通路18は前記接続通路45に接続されている。給水導入通路18の入り口側には、給水導入通路18を流れる湯水の量を検出する流量センサ73が設けられている。
【0041】
給湯熱交換器19の出口側には給湯通路26が設けられており、給湯通路26の先端側は、分岐通路90と湯水経路切替弁58を介して前記給水導入通路18に接続されている。給湯通路26には、分岐通路90の分岐部よりも下流側に出湯湯温検出センサ113が設けられ、給湯熱交換器19側に出湯湯温検出センサ114が設けられている。なお、前記給湯熱交換器19の途中部には過熱防止装置(サーモスタット)115が設けられている。
【0042】
前記追い焚き熱交換器25の一端側には往管91の一端側が接続され、往管91の他端側は循環金具97を介して浴槽126に連通接続されている。また、追い焚き熱交換器25の他端側には通路93が接続され、通路93の他端側は循環ポンプ94の吐出口に接続されている。循環ポンプ94の吸入口には戻り管96の一端側が接続され、戻り管96の他端側は前記循環金具97を介して浴槽126に連通接続されている。戻り管96には浴槽湯水温検出センサ127が設けられている。
【0043】
往管91と追い焚き熱交換器25と通路93と循環ポンプ94と戻り管96とによって、浴槽126の湯水を循環ポンプ94の駆動により循環させて浴槽内の湯水を追い焚きするための追い焚き循環通路99が形成されている。
【0044】
また、前記給湯通路26には、分岐通路90の形成部および出湯湯温検出センサ113の配設部よりも下流側に、給湯熱源から浴槽126への給湯の通路としての風呂用注湯導入通路95が接続され、風呂用注湯導入通路95は、前記通路93に接続されている。風呂用注湯導入通路95には、湯水開閉弁59、逆止弁92、流量センサ74、水位センサ125が設けられている。水位センサ125は、水圧により浴槽126の水位を検出する。
【0045】
前記給湯熱交換器19から給湯通路26と風呂用注湯導入通路95、通路93、追い焚き熱交換器25、往管91を順に通って浴槽126に至るまでの通路によって湯張り通路が構成されている。
【0046】
なお、図2においては、給湯先として、台所等の給湯場所と浴槽126を示しているが、浴室のシャワー等の適宜の給湯先に湯を供給する、様々な態様の給湯システムを構成できる。
【0047】
本実施形態例のシステム構成は以上のように構成されており、次に、図1に示す制御装置44の制御構成について説明する。制御装置44は、蓄熱量検出部35、選択制御部36、燃焼制御部42、時計機構41、給湯使用量データ検出部37、給湯使用量関係データ学習記憶部38、発電装置稼働状況検出部47、電力使用量データ検出部39、電力使用量関係データ学習記憶部43、自動湯張り制御部40、給湯開始タイミング遅延制御部48、給湯開始タイミング前倒し制御部49を有している。
【0048】
蓄熱量検出部35は、コジェネレーション給湯熱源装置3の稼働状況の蓄熱量検出に関するモニタ情報に基づき、蓄熱量(貯湯槽2内の湯の蓄熱量)または蓄熱量に対応する値を求めるものである。前記モニタ情報は、例えば貯湯槽内湯水温検出センサ101〜111による検出温度の情報や、発電装置1の稼働時間の情報等である。発電装置1の稼働時間は、例えば発電装置1のオンオフ情報と時計機構41から得られる時間情報とにより得ることができる。なお、排熱湯導入通路14に流量センサを設ければ、この流量センサの情報から発電装置1の稼働時間の情報を得ることもできる。
【0049】
ここで、貯湯槽2内の湯の蓄熱量に対応する値の求め方の一例を示す。蓄熱量検出部35は、例えば前記モニタ情報として、貯湯槽内湯水温検出センサ101〜111による検出温度の情報を取り込み、貯湯槽内湯水温検出センサ105による検出温度が約60℃であり、貯湯槽内湯水温検出センサ106による検出温度が約20℃であるとすると、図8の破線Aで示したような、貯湯槽2内の水と湯との境界線が貯湯槽内湯水温検出センサ105と貯湯槽内湯水温検出センサ106との間にあり、貯湯槽2内には、約60℃の湯が約80L蓄積されていると判断する。
【0050】
また、蓄熱量検出部35に、発電装置1の稼働による単位時間ごとの湯の蓄積量を予め与えておき、この量が、例えば毎分2Lだとすると、時計機構41から得られる発電装置1の時間情報が30分経過したときに、蓄熱量検出部35は、貯湯槽2内には、約60℃の湯が60L蓄積されていると判断する。このように、蓄熱量検出部35は、時計機構41から得られる発電装置1の稼働時間情報に基づき、貯湯槽2内の湯量を時々刻々と検出することができる。
【0051】
さらに、蓄熱量検出部35は、貯湯槽2内の湯の使用量を、例えば流量センサ70の検出データから算出し、この値を貯湯槽2内に蓄積されている湯量から差し引くことにより、貯湯槽2内に残っている湯量を時々刻々と検出することができるし、湯の蓄積時からの経過時間によって貯湯槽2内に蓄積されている湯の温度を推定することができる。
【0052】
選択制御部36は、給湯熱源の選択制御部であり、例えば前記蓄熱量検出部35により求められた蓄熱量と蓄熱量に対応する値のいずれか一方の検出蓄熱値が、給湯熱源選択用に予め定めた下部閾値以下に低下したときは給湯熱源を前記貯湯槽2から補助給湯熱源装置4へ切替えて給湯を行い、蓄熱量検出部35により求められた貯湯槽2内の湯の蓄熱量または蓄熱量に対応する値が給湯熱源選択用に予め定めた上部閾値以上に上昇したときは給湯熱源を前記補助給湯熱源装置4からコジェネレーション給湯熱源装置3の貯湯槽2へ切替えて給湯を行う。なお、選択制御部36による給湯熱源の選択制御は、特に限定されるものでなく適宜設定されるものである。
【0053】
本実施形態例においては、コジェネレーション給湯熱源装置3の貯湯槽2から送水される給湯の通路(給湯路12)は補助給湯熱源装置4の給水導入口に連通されており、前記貯湯槽2の湯のみを熱源として貯湯槽2内から設定温度以上の湯を送水する時は、貯湯槽2の湯を非加熱駆動状態の補助給湯熱源装置4を経由して給湯先へ給湯する構成と成している。
【0054】
つまり、貯湯槽2の湯のみを熱源として給湯を行うときは、選択制御部36は、湯水開閉弁54を開き、湯水比例弁55、56の開弁量を適宜調節して、貯湯槽2内の湯を、給水通路11からその分岐通路11bを介して給水される水と混合して設定温度の湯として非加熱駆動状態の補助給湯熱源装置4に送る。そして、例えば補助給湯熱源装置4に導入された設定温度の湯を、湯水経路切替弁58を切替えて分岐通路90を通して台所等の適宜の給湯先へ給湯したり、湯水開閉弁59を開き、風呂用注湯導入通路95と前記湯張り通路を通して湯張りを行ったりする。
【0055】
また、選択制御部36は、給湯熱源を補助給湯熱源装置4に切り替えたときは、例えば湯水開閉弁54を閉じ、給水路11から分岐通路11bを介して湯水混合ユニット10に導入される水を、接続通路45を介して給湯器5aに導入すると共に、給湯器5aの燃焼制御部42に指令を与え、給湯器5aを稼働させて補助給湯熱源装置4による給湯を行う。
【0056】
燃焼制御部42は、前記選択制御部36が補助給湯熱源装置4からの給湯動作を選択したときには、出湯湯温検出センサ113の検出温度と流量センサ73の検出流量とを参照しながら、ガス開閉弁81,82,83の少なくとも一つを開き、ガス比例弁86の開弁量を調節してバーナ6に供給されるガス量を調節すると共に、燃焼ファン8の風量調節を行い、給湯熱交換器19を通って出湯される湯が設定温度の湯となるようにバーナ6の燃焼制御を行う。なお、図の簡略化のために、図1では、流量センサ73から燃焼制御部42へ向けた矢印を省略している。
【0057】
給湯使用量データ検出部37は、1日の整数倍(1以上の整数倍)を周期とする設定周期ごとの時間軸上の各時刻に対する給湯熱源システムの給湯使用量のデータを、流量センサ73,74からそれぞれ得られる給湯流量の情報と時計機構41から得られる時刻情報とに基づいて検出する。流量センサ73から得られる給湯流量の情報はシステム全体で使用される給湯流量の情報であり、流量センサ74から得られる給湯流量の情報は、浴槽126に給湯される給湯流量の情報である。給湯使用量データ検出部37は、検出データを給湯使用量関係データ学習記憶部38に加える。
【0058】
給湯使用量関係データ学習記憶部38は、給湯使用量データ検出部37により検出した検出データを蓄積して、該蓄積データに基づき、前記設定周期ごとの時間軸上の時刻と給湯使用量との関係を関係データとして学習記憶する。
【0059】
本実施形態例では、上記のように、給湯熱源システム全体で使用される給湯流量の情報を流量センサ73から得られる給湯流量の情報から得て、かつ、浴槽126に給湯される給湯流量の情報を流量センサ74から得られる給湯流量の情報から得ることができる。
【0060】
したがって、本実施形態例において、給湯使用量関係データ学習記憶部38は、給湯使用量データ検出部37により検出した検出データの蓄積データに基づき、前記設定周期ごとの時間軸上の時刻とシステム全体の給湯使用量との関係を関係データとして学習記憶すると共に、前記設定周期ごとの時間軸上の時刻と浴槽126への給湯使用量との関係を関係データとして学習記憶する。なお、図3(a)に、システム全体の給湯使用量関係データの一例が示されている。
【0061】
発電装置稼働状況検出部47は、前記発電装置1の稼働状況を検出し、この検出信号を電力使用量データ検出部39に加える。なお、前記のように、蓄熱量検出部35が発電装置1の稼働状況に基づいて貯湯槽2の蓄熱量を検出する場合は、発電装置稼働状況検出部47の検出情報を蓄熱量検出部35が取り込んでもよい。
【0062】
電力使用量データ検出部39は、発電装置稼働状況検出部47から得られる情報(発電装置稼働状況検出部47の検出情報)と時計機構41から得られる時刻情報とに基づいて、前記設定周期ごとの時間軸上の各時刻に対する発電装置1を利用した電力使用量のデータを検出する。そして、この検出データを電力使用量関係データ学習記憶部43に加える。
【0063】
電力使用量関係データ学習記憶部43は、電力使用量データ検出部39により検出した検出データを蓄積して該蓄積データに基づき前記設定周期ごとの時間軸上の時刻と発電装置利用の電力使用量との関係を電力使用量関係データとして学習記憶する。なお、図3(b)に、電力使用量関係データの一例が示されている。
【0064】
本実施形態例において、給湯開始タイミング遅延制御部48には、予め定められた設定給湯量以上の給湯需要がある場合に、蓄熱の利用の可否を判断する蓄熱量または蓄熱量に対応する値が蓄熱利用閾値として与えられている。
【0065】
給湯開始タイミング遅延制御部48は、前記蓄熱量検出部35により検出される前記検出蓄熱値が前記蓄熱利用閾値未満のときに前記設定給湯量以上の給湯需要があるときには、前記電力使用量関係データと前記給湯使用量関係データとを参照して予め定めた設定時間以内に前記検出蓄熱値が前記蓄熱利用閾値以上に達するか否かを判断する。
【0066】
そして、給湯開始タイミング遅延制御部48は、前記設定時間以内に前記検出蓄熱値が前記蓄熱利用閾値以上に達すると予測される時には、前記検出蓄熱値が前記蓄熱利用閾値以上に達するまで、前記貯湯槽2を給湯熱源とした前記設定給湯量以上の給湯の開始を遅らせる。
【0067】
本実施形態例において、給湯の開始タイミングを遅らせる給湯は、浴槽126に自動的に湯張りする自動湯張りの給湯である。給湯開始タイミング遅延制御部48は、自動湯張り制御部40から湯張り開始時刻の値を取り込むと共に、上記判断により湯張り開始を遅らせる時には、自動湯張り制御部40に給湯開始タイミング遅延信号を加える。
【0068】
湯張り制御部40は、例えばリモコン等の操作部(図示せず)によって入浴時刻がタイマーセットされた場合、このタイマーセットされた入浴時刻に対応させて湯張り開始時刻を逆算設定し、この逆算設定した時刻(湯張り開始予定時刻)に浴槽126への湯張りを開始させる。ただし、前記給湯開始タイミング遅延制御部48から給湯開始タイミング遅延信号が加えられた時には、浴槽126への湯張り開始時刻を遅らせる。
【0069】
つまり、前記湯張り開始予定時刻に前記検出蓄熱値が前記蓄熱利用閾値未満である時に、前記給湯開始タイミング遅延制御部48の制御が行われたときには、この制御に応じ、湯張り制御部40による貯湯槽22から浴槽126への湯張り開始時刻を遅らせる。
【0070】
なお、例えば、給湯開始タイミング遅延制御部48の制御を解除する操作部を設け、給湯装置の利用者が、湯張り開始が遅れることを望まない場合は、この操作部を操作し、蓄熱を利用せずに補助給湯熱源装置4から湯張りを行うようにしてもよい。
【0071】
給湯開始タイミング前倒し制御部49は、前記検出蓄熱値と前記電力使用量関係データと前記給湯使用量関係データとを参照し、予め定めた設定電力量以上の電力需要があると予測される時に前記検出蓄熱値が前記発電不許可限界閾値以上になると予測される時には、予め定めた設定時間以内に前記貯湯槽からの給湯需要があるか否かを判断する。そして、前記設定時間以内に給湯需要があると予測されるときにはこの予測される給湯開始タイミングよりも前記給湯の開始タイミングを早めて前記検出蓄熱値が前記発電不許可限界閾値以上になる以前に前記給湯を開始させる。
【0072】
本実施形態例では、給湯開始タイミング前倒し制御部49が給湯の開始を早める給湯も、浴槽126への自動湯張りの給湯を含んでおり、給湯開始タイミング前倒し制御部49は、自動湯張り制御部40から湯張り開始時刻の値を取り込むと共に、上記判断により湯張り開始を早める時には、自動湯張り制御部40に給湯開始タイミング前倒し信号を加える。
【0073】
自動湯張り制御部40は、給湯開始タイミング前倒し制御部49から給湯開始タイミング前倒し信号が加えられた時には、給湯開始タイミング前倒し制御部49の制御に応じて湯張り開始時刻を早め、前記検出蓄熱値が前記発電不許可限界閾値以上になる以前に、貯湯槽22を給湯熱源として浴槽126への湯張り給湯を開始する。
【0074】
本実施形態例は以上のように構成されており、選択制御部36により選択された給湯熱源からの給湯や湯張りが行われ、また、給湯使用量データ検出部37により前記設定周期における時間軸上の時刻と給湯使用量との関係が検出され、さらに、給湯使用量データ検出部37の検出データの蓄積データに基づき、給湯使用量関係データ学習記憶部38によって、前記設定周期ごとの時間軸上の時刻と給湯使用量との関係が関係データとして学習記憶される。
【0075】
また、本実施形態例では、発電装置稼働状況検出部47の検出情報に基づいて、電力使用量データ検出部39が前記設定周期ごとの時間軸上の各時刻に対する電力使用量のデータを検出し、この検出データの蓄積データに基づき、電力使用量関係データ学習記憶部43によって、前記設定周期ごとの時間軸上の時刻と発電装置1を利用した電力使用量との関係が電力使用量関係データとして学習記憶される。
【0076】
そして、上記給湯使用量関係データと電力使用量関係データと、蓄熱量検出部35により検出される検出蓄熱値とを、給湯開始タイミング遅延制御部48と給湯開始タイミング前倒し制御部49とが参照し、自動湯張り動作の開始タイミングを遅延させたり早めたりする制御を行う。
【0077】
つまり、自動湯張り制御部40は、リモコン等の操作部(図示せず)によって設定した入浴時刻に対応させて自動湯張りの開始タイミングを設定するが、この設定タイミングに前記検出蓄熱値が前記蓄熱利用閾値未満のときには、給湯開始タイミング遅延制御部48が前記電力使用量関係データと前記給湯使用量関係データとを参照して予め定めた設定時間以内に前記検出蓄熱値が前記蓄熱利用閾値以上に達するか否かを判断する。
【0078】
そして、前記設定時間以内に前記検出蓄熱値が前記蓄熱利用閾値以上に達すると予測される時には、前記検出蓄熱値が前記蓄熱利用閾値以上に達するまで、前記自動湯張りの開始タイミングを遅らせる。
【0079】
また、給湯開始タイミング前倒し制御部49は、予め定めた設定時間以内に設定電力量以上の電力需要があると予測される時に前記検出蓄熱値が前記発電不許可限界閾値以上に達すると予測される時には、設定時間以内に、前記自動湯張り制御部40が設定した自動湯張りの開始タイミングがあるか否かを判断し、前記設定時間以内に自動湯張りの開始タイミングあると判断した時には、自動湯張り制御部40が設定した自動湯張り開始タイミングよりも自動湯張りの開始タイミングを早め、前記検出蓄熱値が前記発電不許可限界閾値以上になる以前に前記給湯を開始する。
【0080】
つまり、本実施形態例では、給湯開始タイミング遅延制御部48が自動湯張りのタイミングを遅らせることによって、貯湯槽2を給湯熱源とした自動湯張りの給湯を効率的に行うことができ、かつ、給湯開始タイミング前倒し制御部49が自動湯張りのタイミングを早めることによって、設定電力量以上の電力需要がある時に発電装置の稼働の割合を多くすることができるので、効率的な利用ができる経済的な給湯熱源システムを実現できる。
【0081】
また、本実施形態例によれば、コジェネレーション給湯熱源装置3の貯湯槽2から送水される給湯の通路(給湯路12)が補助給湯熱源装置4の給水導入口に連通され、貯湯槽2の湯のみを熱源として給湯を行うときは、貯湯槽2の湯を非加熱駆動状態の補助給湯熱源装置4を経由して給湯先へ給湯するので、コジェネレーション給湯熱源装置3の貯湯槽2から送水される給湯の通路と補助給湯熱源装置4の給水導入口とを連通させることによりシステム構成が簡単な複合給湯熱源システムを形成でき、効率的に給湯を行うことができる。
【0082】
なお、本発明は上記実施形態例に限定されることはなく、様々な態様を採り得る。例えば、上記実施形態例では、給湯開始タイミング遅延制御部48と給湯開始タイミング前倒し制御部49とを設けたが、これらの制御部のうちいずれか一方を省略することもできる。
【0083】
また、本発明の給湯熱源システムは、例えば図4に示すようなシステム構成を適用することができる。このシステム構成において、浴槽126内の湯水を循環させる追い焚き循環管路99には、水−水熱交換器によって形成された追い焚き熱交換器25が介設されており、貯湯槽2内の湯水を循環させる貯湯槽湯水循環管路89を通って循環する貯湯槽2内の湯の熱を利用して追い焚き熱交換器25が前記追い焚き循環管路99を通る湯水を加熱する。
【0084】
このシステムにおいては、例えば図5に示すように、自動追い焚き実行部77を設け、自動湯張り終了後の予め定めた保温時間内に、定期的に、自動追い焚き実行部77が貯湯槽2内の湯を貯湯槽湯水循環管路89に通して循環させ、浴槽126内の湯水を前記追い焚き熱交換器25により追い焚きする自動追い焚き用の給湯を行うことができる。
【0085】
そこで、このシステムにおいて、上記自動追い焚き用の給湯の開始タイミングを、給湯開始タイミング遅延制御部48によって遅らせたり、給湯開始タイミング前倒し制御部49によって早めたりする給湯としてもよい。
【0086】
さらに、給湯開始タイミング遅延制御部48によって給湯の開始タイミングを遅らせたり、給湯開始タイミング前倒し制御部49によって給湯の開始タイミングを早めたりする給湯は、上記のような自動湯張りや自動追い焚き用の給湯とは限らず、適宜の給湯を設定できるものである。なお、自動湯張りの給湯は、給湯する湯量が多く、給湯終了タイミングが多少ずれても利用者が不自由を感じることが少ないので、給湯開始タイミング遅延制御部48や給湯開始タイミング前倒し制御部49により給湯開始タイミングを制御する給湯として適している。
【0087】
なお、給湯開始タイミング遅延について、例えば設定時間を5分として、遅延時間が5分を上回ると予測される場合には、給湯終了タイミングがずれすぎて利用者が不自由を感じると判断し、不足分を補助給湯熱源装置(給湯器)でまかなうようにしてもよい。
【0088】
この場合、例えば通常なら指定された(タイマーセットされた)入浴時刻から逆算した湯張り開始予定時刻から湯張りを開始し、入浴時刻の5分前に「およそ5分で入浴できます。」と音声案内を行い、入浴時刻に「入浴できます。」と音声案内を流すところを、給湯開始タイミングの遅延を行う場合には、湯張り開始予定時刻から設定時間後(5分後)に湯張りを開始し、指定された入浴時刻または入浴時刻1分前くらいに「およそ5分で入浴できます。」との音声を流す(指定された入浴時刻の5分後に「入浴できます。」との音声案内を流す)ことで、給湯終了タイミングが少しずれているのを利用者に知らせることによってシステムに不具合が生じているのではないかとの利用者の不安が出ないようにすると、より好ましい。
【0089】
また、給湯開始タイミングを早める場合、例えば20分前に湯張りが終了していても、入浴時刻5分前に、「およそ5分で入浴できます。」とのアナウンスを流すようにしてもよい。
【0090】
さらに、上記実施形態例では、設定周期を1日としたが、設定周期は1日とは限らず1週間としてもよく、1日×1以上の整数に適宜設定されるものである。
【0091】
さらに、上記実施形態例では、コジェネレーション給湯熱源装置3の発電装置1は燃料電池としたが、発電装置1にはガスタービン発電装置やディーゼルエンジン発電装置等を適用することができ、発電システムの排熱を用いて貯湯槽2内への蓄熱を行ってもよいものであり、発電装置1の燃料や構成は特に限定されるものでなく、適宜設定されるものである。
【0092】
また、上記実施形態例では、コジェネレーション給湯熱源装置3の貯湯槽2と発電装置1との間には発電装置1の排熱を利用して貯湯槽2内の水を加熱して湯にする手段を配備したが、図6(a)、(b)に示すように、発電装置1の排熱吸収流体の熱を利用して貯湯槽2内の水を加熱して湯にする手段を配備して、該手段によって形成された湯を貯湯槽2に蓄積してもよい。
【0093】
図6(a)に示す構成は、発電装置1の排熱吸収流体を循環させる循環管路66を貯湯槽2内に通し、排熱吸収流体と貯湯槽2内の水との間で熱交換を行って、貯湯槽2内の水を湯にする。また、このとき、排熱吸収流体は、その熱を貯湯槽2内の水に与えることにより、冷却され、排熱吸収流体は冷却流体となって発電装置1に送られるものである。
【0094】
また、図6(b)に示す構成は、貯湯槽2と発電装置1との間に、例えば銅板等によって形成した熱交換部材67を設け、発電装置1の排熱吸収流体を循環させる循環管路66を熱交換部材67に通し、また、熱交換部材67には、貯湯槽2内の水を循環させる循環管路68を設け、熱交換部材67を介し、循環管路66を通る排熱吸収流体と循環管路68を通る水との間で熱交換させる。つまり、熱交換部材67を介し、排熱吸収流体の熱を、循環管路68を通る貯湯槽2内の水に与えて貯湯槽2内の水を湯にし、このとき、排熱吸収流体を冷却して冷却流体とするものである。
【0095】
また、上記実施形態例では、給水路11を、湯水混合ユニット10を介して補助給湯熱源装置4の給水導入通路18に接続したが、図7(a)に示すように、給水路11を、弁69を介して給湯通路26側に接続してもよいし、図7(b)に示すように、給水路11を、弁69を介して、給水導入通路18と給湯通路26の両方に接続してもよい。
【0096】
さらに、上記実施形態例では、コジェネレーション給湯熱源装置3の貯湯槽2の給湯路12を、湯水混合ユニット10と接続通路45を介して補助給湯熱源装置4の給水導入口に連通したが、本発明は、コジェネレーション給湯熱源装置3と補助給湯熱源装置4とを別個に設けて併設してもよい。
【0097】
さらに、上記実施形態例では、コジェネレーション給湯熱源装置3と補助給湯熱源装置4とを有する複合的な給湯システムとしたが、補助給湯熱源装置4を省略した給湯システムとしてもよい。この場合、例えば選択制御部36等の、複合給湯システムに特有の構成は省略される。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明に係る給湯熱源システムの一実施形態例の制御構成をブロック図により示す要部構成図である。
【図2】本発明に係る給湯熱源システムの一実施形態例のシステム構成を模式的に示す要部構成図である。
【図3】上記実施形態例において学習記憶される給湯や電力の使用量データ例を示すグラフである。
【図4】本発明に係る給湯熱源システムの他の実施形態例に適用されるコジェネレーション給湯熱源装置の構成を模式的に示す要部説明図である。
【図5】図4の給湯熱源システムに適用される制御構成例をブロック図により示す説明図である。
【図6】本発明に係る給湯熱源システムの他の実施形態例における発電装置と貯湯槽との接続例を示す説明図である。
【図7】本発明に係る給湯熱源システムの他の実施形態例に適用される補助給湯熱源装置とコジェネレーション給湯熱源装置の給水路との接続構成を模式的に示す要部説明図である。
【図8】コジェネレーション給湯熱源装置の構成例とその動作を模式的に示す説明図である。
【符号の説明】
【0099】
1 発電装置
2 貯湯槽
3 コジェネレーション給湯熱源装置
4 補助給湯熱源装置
5 給湯器
35 蓄熱量検出部
36 選択制御部
37 給湯使用量データ検出部
38 給湯使用量関係データ学習記憶部
39 電力使用量データ検出部
40 自動湯張り制御部
41 時計機構
42 燃焼制御部
43 電力使用量関係データ学習記憶部
44 制御装置
48 給湯開始タイミング遅延制御部
49 給湯開始タイミング前倒し制御部
70,73,74 流量センサ
77 自動追い焚き実行部
101〜111 貯湯槽内湯水温検出センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電装置の排熱を利用して蓄熱を給湯先に給湯するコジェネレーション給湯熱源装置を備えた給湯熱源システムにおいて、前記コジェネレーション給湯熱源装置の稼働状況の蓄熱量検出に関するモニタ情報に基づき蓄熱量または蓄熱量に対応する値を求める蓄熱量検出部と、前記発電装置の稼働状況を検出する発電装置稼働状況検出部と、該発電装置稼働状況検出部から得られる情報と時計機構から得られる時刻情報とに基づいて、1日の整数倍(1以上の整数倍)を周期とする設定周期ごとの時間軸上の各時刻に対する電力使用量のデータを検出する電力使用量データ検出部と、該電力使用量データ検出部により検出した検出データを蓄積して該蓄積データに基づき前記設定周期ごとの時間軸上の時刻と発電装置利用の電力使用量との関係を電力使用量関係データとして学習記憶する電力使用量関係データ学習記憶部と、前記設定周期ごとの時間軸上の各時刻に対する給湯熱源システムの給湯使用量のデータを流量センサから得られる給湯流量の情報と時計機構から得られる時刻情報とに基づいて検出する給湯使用量データ検出部と、該給湯使用量データ検出部により検出した検出データを蓄積して該蓄積データに基づき前記設定周期ごとの時間軸上の時刻と給湯使用量との関係を給湯使用量関係データとして学習記憶する給湯使用量関係データ学習記憶部とを有し、予め定められた設定給湯量以上の給湯需要がある場合に、蓄熱の利用の可否を判断する蓄熱量または蓄熱量に対応する値が蓄熱利用閾値として与えられており、前記蓄熱量検出部により検出される前記蓄熱量と蓄熱量に対応する値とのいずれか一方の検出蓄熱値が前記蓄熱利用閾値未満のときに前記設定給湯量以上の給湯需要があるときには、前記電力使用量関係データと前記給湯使用量関係データとを参照して予め定めた設定時間以内に前記検出蓄熱値が前記蓄熱利用閾値以上に達するときには検出蓄熱値が蓄熱利用閾値以上に達するまで前記貯湯槽を給湯熱源とした前記設定給湯量以上の給湯の開始を遅らせる給湯開始タイミング遅延制御部が設けられていることを特徴とする給湯熱源システム。
【請求項2】
発電装置の排熱を利用して蓄熱を給湯先に給湯するコジェネレーション給湯熱源装置を備えた給湯熱源システムにおいて、前記蓄熱量または蓄熱量に対応する値が予め定められる発電許可限界閾値未満の時には発電装置による発電が可能であり、前記蓄熱量または蓄熱量に対応する値が発電不許可限界閾値以上の時には発電装置による発電が停止する構成と成しており、前記コジェネレーション給湯熱源装置の稼働状況の蓄熱量検出に関するモニタ情報に基づき蓄熱量または蓄熱量に対応する値を求める蓄熱量検出部と、前記発電装置の稼働状況を検出する発電装置稼働状況検出部と、該発電装置稼働状況検出部から得られる情報と時計機構から得られる時刻情報とに基づいて、1日の整数倍(1以上の整数倍)を周期とする設定周期ごとの時間軸上の各時刻に対する電力使用量のデータを検出する電力使用量データ検出部と、該電力使用量データ検出部により検出した検出データを蓄積して該蓄積データに基づき前記設定周期ごとの時間軸上の時刻と発電装置利用の電力使用量との関係を電力使用量関係データとして学習記憶する電力使用量関係データ学習記憶部と、前記設定周期ごとの時間軸上の各時刻に対する給湯熱源システムの給湯使用量のデータを流量センサから得られる給湯流量の情報と時計機構から得られる時刻情報とに基づいて検出する給湯使用量データ検出部と、該給湯使用量データ検出部により検出した検出データを蓄積して該蓄積データに基づき前記設定周期ごとの時間軸上の時刻と給湯使用量との関係を給湯使用量関係データとして学習記憶する給湯使用量関係データ学習記憶部とを有し、前記蓄熱量検出部により検出される蓄熱量と蓄熱量に対応する値とのいずれか一方の検出蓄熱値と前記電力使用量関係データと前記給湯使用量関係データとを参照し、予め定めた設定電力量以上の電力需要があると予測される時に前記検出蓄熱値が前記発電不許可限界閾値以上になると予測される時には、予め定めた設定時間以内に前記貯湯槽からの給湯需要があるか否かを判断し、前記設定時間以内に給湯需要があると予測されるときにはこの予測される給湯開始タイミングよりも前記給湯の開始タイミングを早めて前記検出蓄熱値が前記発電不許可限界閾値以上になる以前に前記給湯を開始させる給湯開始タイミング前倒し制御部を有することを特徴とする給湯熱源システム。
【請求項3】
貯湯槽の湯を送水して浴槽を含む一つ以上の給湯先に給湯する給湯路が設けられており、給湯の開始タイミングを遅らせるまたは早める給湯は前記浴槽に自動的に湯張りする給湯を含むことを特徴とする請求項1または請求項2記載の給湯熱源システム。
【請求項4】
浴槽と、該浴槽内の湯水を追い焚き熱交換器を介して循環させる追い焚き循環管路と、貯湯槽内の湯水を循環させる貯湯槽湯水循環管路とを有し、前記追い焚き熱交換器は貯湯槽内の湯を前記貯湯槽湯水循環管路を通して循環させる時の湯の熱を利用して追い焚き熱交換器内を通る湯水を加熱する構成と成し、給湯の開始タイミングを遅らせるまたは早める給湯は、貯湯槽内の湯を貯湯槽湯水循環管路に通して循環させて前記浴槽内の湯水を追い焚きする自動追い焚き用の給湯を有することを特徴とする請求項1または請求項2または請求項3記載の給湯熱源システム。
【請求項5】
コジェネレーション給湯熱源装置の貯湯槽と発電装置との間には該発電装置の排熱または前記発電装置の排熱吸収流体の熱を利用して貯湯槽内の水を加熱して湯にする手段が配備され、該手段によって形成された湯を貯湯槽に蓄積し、この貯湯槽の湯を前記給湯路を通して給湯先に供給する構成と成していることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一つに記載の給湯熱源システム。
【請求項6】
通水の水を加熱して作成した湯を給湯先に供給する機能を備えた補助給湯熱源装置がコジェネレーション給湯熱源装置と併設されており、該コジェネレーション給湯熱源装置の貯湯槽から送水される給湯の通路は補助給湯熱源装置の給水導入口に連通され、前記貯湯槽の湯のみを熱源として給湯を行うときは、貯湯槽の湯を非加熱駆動状態の補助給湯熱源装置を経由して給湯先へ給湯する構成と成したことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一つに記載の給湯熱源システム。
【請求項7】
発電装置は水素と酸素を反応させて電気を発生する燃料電池とした請求項1乃至請求項6のいずれか一つに記載の給湯熱源システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2006−29657(P2006−29657A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−207468(P2004−207468)
【出願日】平成16年7月14日(2004.7.14)
【出願人】(000129231)株式会社ガスター (277)
【Fターム(参考)】