給電プラグロック装置
【課題】インレットに接続した給電プラグを許可無く不正に取り外されてしまうことを防ぐことができ、かつインレットに対する給電プラグの抜き挿し操作を簡素化することができる給電プラグロック装置を提供する。
【解決手段】給電プラグ10をインレット部5に接続すると、インレット部5に設けたロック装置40によって給電プラグ10がインレット部5にロックされ、第三者による不正な取り外しが不可となる。また、ロック装置40は、給電プラグ10の係止爪21が付勢ばね24によって凹部43内のロック位置に誘導されると、ロックバー45が係止爪21と係合してロック状態となる。また、ロック装置40は、ロックバー45を退避させて、係止爪21との係合状態を解除すると、アンロック状態となる。
【解決手段】給電プラグ10をインレット部5に接続すると、インレット部5に設けたロック装置40によって給電プラグ10がインレット部5にロックされ、第三者による不正な取り外しが不可となる。また、ロック装置40は、給電プラグ10の係止爪21が付勢ばね24によって凹部43内のロック位置に誘導されると、ロックバー45が係止爪21と係合してロック状態となる。また、ロック装置40は、ロックバー45を退避させて、係止爪21との係合状態を解除すると、アンロック状態となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、受電コネクタに接続されてバッテリに充電を行う給電プラグロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両からの排出ガスを少なく抑えることを目的として、各車両メーカでは、モータを駆動とする電気自動車(ハイブリッド車も含む)の開発機運が非常に高くなってきている。このような電気自動車では、車両の動力源であるバッテリの電力残量が少なくなる度に、例えば家庭や電気スタンド等においてバッテリに充電を行わなくてはならないことから、電気自動車にはユーザであっても簡単に扱える様々な充電システムが設けられることになる(例えば、特許文献1参照)。この場合の例としては、例えば家庭の商用電源に繋がる給電コネクタ(給電プラグ)を接続可能な受電コネクタ(インレット)を車両に設け、帰宅したときなどに駐車車両のインレットに給電プラグを接続し、商用電源を車両に送り込むことによって車両のバッテリに充電を行うことが想定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−161898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電気自動車のバッテリ充電には、急速充電の技術が開発されているといっても、ガソリン車のガソリン補給に比べて比較的長い時間を要する現状がある。特に、ユーザが自宅でバッテリ充電を行う場合には、一般家庭に高速充電用の器具が備え付けられることは稀であるので、家庭用電源に繋がる給電プラグを車両のインレットに接続して充電を開始してから、その状態で車両を長時間放置するケースが多くなる。この場合、例えば給電中の車両から給電プラグを取り外して別の車両のインレットに装着して盗電されたり、給電プラグ自体が盗まれたりする可能性も想定されるので、車両のインレットに接続した給電プラグが不正に取り外されてしまうことを防止する技術の開発が要望されていた。
【0005】
また、給電プラグの不正取り外しを防止する機構をインレットに設けた際、これに伴って給電プラグの接続/引き抜き操作が面倒になってしまっては意味がない。よって、インレットに給電プラグを挿し込んだり、或いはインレットから給電プラグを引き抜いたりする際に、これら作業の簡素化もニーズとしてあった。
【0006】
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、インレットに接続した給電プラグを許可無く不正に取り外されてしまうことを防ぐことができ、かつインレットに対する給電プラグの抜き挿し操作を簡素化することができる給電プラグロック装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について説明する。
請求項1に記載の発明は、インレットに給電プラグが接続されると、前記給電プラグの係止爪が前記インレットに係止状態をとって抜け止めされ、前記係止状態の解除操作が行われると、前記給電プラグを前記インレットから取り外せる給電プラグロック装置であって、前記インレットに設けたロック部材を前記係止爪に係止することにより、前記給電プラグを前記インレットから引き抜くことを規制するロック状態とし、前記ロック部材を前記係止爪から退避させることにより、前記給電プラグを前記インレットから引き抜くことを可能とするアンロック状態とするロック機構を備えたことをその要旨としている。
【0008】
同構成によれば、給電プラグをインレットに接続した際に、係止爪に対してロック部材が係止することで、アンロック状態から係止爪の引き抜きが規制されたロック状態に切り換えられる。このため、インレットに接続状態にある給電プラグを、第三者により勝手にインレットから取り外されずに済む。また、ロック部材が係止爪から退避することで、係止爪との係止が解除され、ロック状態から係止爪の引き抜きが可能となるアンロック状態に切り換えられる。このため、正規ユーザが引き抜く際には、給電プラグをインレットから取り外すことができる。また、係止爪に対してロック部材が移動することで、ロック機構がロック・アンロックされるので、インレットに対する給電プラグの抜き挿しに伴って、特に操作をする必要がない。よって、給電プラグの抜き挿し時の操作を簡素化することが可能である。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の給電プラグロック装置において、軸を支点に回動する前記係止爪を、前記ロック部材と係合するロック位置に誘導する誘導手段を備えたことをその要旨としている。
【0010】
同構成によれば、誘導手段が係止爪をロック位置に誘導して、ロック位置にある係止爪をロック部材が係止することでロック機構がロック状態になる。このため、誘導手段によって係止爪とロック部材とを確実に係合させることが可能となる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の給電プラグロック装置において、前記インレットには、前記係止爪の係止先として突部が設けられ、当該突部と前記係止爪との間に前記ロック部材が入り込むことによって、前記ロック部材がロック状態をとることをその要旨としている。
【0012】
同構成によれば、ロック部材と係止爪とが係止したロック状態において、仮に第三者が給電プラグを無理矢理引き抜こうとした際には、係止爪からロック部材に掛かる荷重を突部が支持するので、ロック部材に掛かる荷重を軽減することが可能となる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の給電プラグロック装置において、前記給電プラグを前記インレットに接続する際に、前記突部に当接した前記係止爪の起き上がりを案内する挿込側案内手段を設けたことをその要旨としている。
【0014】
同構成によれば、給電プラグをインレットに接続する際に、挿込側案内手段によって係止爪が起き上がるので、係止爪による突部の乗り越えを、より確実に行うことが可能となる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項3又は4に記載の給電プラグロック装置において、前記インレットに接続された前記給電プラグを前記インレットから引き抜く際に、前記突部に当接した前記係止爪の起き上がりを案内する引抜側案内手段を設けたことをその要旨としている。
【0016】
同構成によれば、給電プラグをインレットから引き抜く際に、引抜側案内手段によって係止爪が起き上がるので、係止爪による突部の乗り越えを、より確実に行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、インレットに接続した給電プラグを許可無く不正に取り外されてしまうことを防ぐことができ、かつインレットに対する給電プラグの抜き挿し操作を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】車両及び充電システムの構成を示す構成図。
【図2】給電プラグの概略構成を示す縦断面図。
【図3】インレット部の概略構成を示す正面図。
【図4】インレット部の概略構成を示す斜視図。
【図5】インレット部の概略構成を示す縦断面図。
【図6】給電プラグがインレット部に接続されるときを示す縦断面図。
【図7】給電プラグがインレット部に接続されるときを示す縦断面図。
【図8】給電プラグがインレット部に接続して係止爪が係合部材と係合したロック状態を示す縦断面図。
【図9】給電プラグがインレット部に接続して係止爪が係合部材と係合していないアンロック状態を示す縦断面図。
【図10】給電プラグがインレット部から取り外されるときを示す縦断面図。
【図11】給電プラグがインレット部に接続されるときを示す縦断面図。
【図12】給電プラグがインレット部に接続して係止爪が係合部材と係合したロック状態を示す縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明をプラグインハイブリッド車の給電プラグロック装置に具体化した一実施形態について図1〜図10を参照して説明する。
図1に示されるように、ハイブリッド式の車両1には、駆動輪2の駆動源としてエンジンとモータとの駆動力を組み合わせて出力するハイブリッドシステム3が備えられている。ハイブリッドシステム3は、エンジンの動力のみを機械的に駆動輪2に伝えて走行するモードと、エンジンの動力で発電を行ってモータにより走行するモードと、エンジン及びモータの双方で駆動輪2を直接駆動するモードと、エンジンを使用せずにモータのみで走行するモードの各種モードにより走行する。
【0020】
ハイブリッドシステム3には、モータに電力を供給するバッテリ4が接続されている。バッテリ4は、エンジンの動力によって発電された電力がバッテリ4に充電されるだけではなく、車両1の外部電源61、例えば家庭用コンセントから夜間電力などでバッテリ4に充電することが可能である。
【0021】
この車両1には、例えば運転者が実際に車両キーを操作しなくてもドアロックの施解錠等の車両動作を行うことが可能な電子キーシステム70が搭載されている。電子キーシステム70は、キー固有のIDコードを無線通信で発信可能な電子キー80が車両キーとして使用されている。電子キーシステム70は、車両1からIDコード返信要求としてリクエスト信号Srqを発信させ、このリクエスト信号Srqを電子キー80が受信すると、それに応答する形で電子キー80が自身のIDコードを含ませたIDコード信号Sidを狭域無線通信により車両1に返信し、電子キー80のIDコードが車両1のIDコードと一致すると、ドアロックの施解錠が許可又は実行されるシステムである。なお、電子キーシステム70が無線認証システムに相当するとともに、電子キー80が通信端末として機能する。
【0022】
電子キーシステム70を以下に説明すると、車両1には、電子キー80との間で狭域無線通信を行う際にID照合を行う照合ECU(Electronic Control Unit)71が設けられている。照合ECU71には、車両1の各ドアに埋設されて車外にLF(Low Frequency)帯の信号を発信可能な車外LF発信機72と、車内床下等に埋設されて車内にLF帯の無線信号を発信可能な車内LF発信機73と、車内後方の車体等に埋設されてUHF(Ultra High Frequency)帯の無線信号を受信可能なUHF受信機74とが接続されている。照合ECU71は、固有のキーコードとしてIDコードが記憶されたメモリ71aを備えている。
【0023】
一方、電子キー80には、車両1との間で電子キーシステム70に準じた無線通信を行う際のコントロールユニットとして通信制御部81が設けられている。通信制御部81は、固有のキーコードとしてIDコードが記憶されたメモリ81aを備えている。通信制御部81には、外部で発信されたLF帯の信号を受信可能なLF受信部82と、通信制御部81の指令に従いUHF帯の信号を発信可能なUHF発信部83とが接続されている。
【0024】
照合ECU71は、車外LF発信機72又は車内LF発信機73から電子キー80へリクエスト信号SrqをLF帯の電波で送信し、いわゆるスマート通信の成立可否を試みる。照合ECU71は、リクエスト信号Srqに対する応答として電子キー80からIDコード信号Sidを受信すると、ID照合としてスマート照合を実行する。照合ECU71は、車外の電子キー80とスマート照合、即ち車外照合が成立することを確認すると、図示しないドアロック装置によるドアロックの施解錠を許可又は実行する。また、照合ECU71は、車内の電子キー80とスマート照合、即ち車内照合が成立することを確認すると、ハイブリッドシステム3の始動を許可する。
【0025】
プラグインハイブリッド式の車両1は、プラグイン式の充電システム60によってバッテリ4に充電する。充電システム60は、例えば住宅や充電スタンド等の外部電源61に設けられた給電プラグ10を車両1に接続してバッテリ4に充電する。この給電プラグ10は、接続ケーブル12を介して外部電源61として例えば交流(商用電源)200Vに接続されている。接続ケーブル12には、充電を開始する際に操作する充電オンオフスイッチ62が設けられている。
【0026】
車両1には、同車両1における給電プラグ10の接続先としてインレット部5が取り付けられている。インレット部5は、給電プラグ10を挿し込むコネクタ部品であって、例えば車体の前方側面にガソリン車の給油口のように搭載されている。インレット部5は、給電プラグ10から送り込まれた交流電圧をコンバータ6によって直流電圧に変換して車両1のバッテリ4に送って、バッテリ4に電力を充電する。インレット部5は、同インレット部5に給電プラグ10が嵌合されるとともに、ユーザが携帯する電子キー80により認証が成立すると、充電が可能となる。
【0027】
車両1には、充電に関わる制御を行う充電ECU75が設けられている。充電ECU75は、車内LAN(Local Area Network)76を介して照合ECU71と通信可能であり、照合ECU71からID照合の成立結果を確認可能である。充電ECU75は、充電開始の条件として、ID照合が成立することと、給電プラグ10がインレット部5に嵌着したこととを確認する。
【0028】
図2に示されるように、給電プラグ10の本体11の基端11aには、接続ケーブル12が接続されている。給電プラグ10の本体11には、ユーザが把持するグリップ部13が形成されている。給電プラグ10の本体11の先端11bには、インレット部5に嵌着される円筒状の嵌着部14が備えられている。嵌着部14の内部には、給電プラグ10をインレット部5に電気的に繋ぐ複数の接続端子15が設けられている。接続端子15は、電力の伝送経路となるパワー端子15aや、各種信号の通信経路となる信号端子15b等を備える。
【0029】
給電プラグ10には、給電プラグ10をインレット部5に挿し込んだ際に、この挿し込み状態を保持するロックアーム20が設けられている。このロックアーム20は、給電プラグ10の長手方向に沿って延出するとともに、給電プラグ10の挿込方向に対して直交する回動軸16を軸として軸回り(図2の上下方向)へ回動可能である。回動軸16は、ロックアーム20の基端に配置されている。
【0030】
ロックアーム20は、回動軸16を軸として回動する回動部23と、この回動部23から給電プラグ10の先端11b側へ延出する係止爪腕部22と、係止爪腕部22に接続されて嵌着部14の上方へ突出し、インレット部5の挿込口31に係合する係止爪21とを備えている。ロックアーム20は、先端の係止爪21が本体11の外部に露出している。係止爪腕部22の上面22aには、係止爪21を下方、言い換えれば係止爪21において嵌着部14側へ付勢する付勢ばね24が取り付けられている。係止爪腕部22は、付勢ばね24を介して本体11の内壁上面に固定されている。付勢ばね24が誘導手段及び付勢手段に相当する。
【0031】
本実施例のロックアーム20は、回動部23から給電プラグ10のグリップ部13側へは延出せず、ロックアーム20をユーザが操作する操作部を備えていない。すなわち、本実施例のロック装置40は、ユーザが給電プラグ10をインレット部5に対して挿し込み時及び引き抜き時に、ロックアーム20を操作する必要がない構造となっている。
【0032】
図3及び図5に示されるように、インレット部5の挿込口31の内部には、給電プラグ10の嵌着部14が備える接続端子15の接続先として接続端子35が設けられている。接続端子35は、電力の伝送経路となるパワー端子35aや、各種信号の通信経路となる信号端子35b等を備える。
【0033】
図4に合わせて示されるように、インレット部5の外周面上部32には、給電プラグ10の係止爪21が係合して、給電プラグ10とインレット部5との係合状態を支持する係合部33が形成されている。なお、係合部33が突部として機能する。係合部33は、係止爪21の挿し込み及び引き抜き時に衝突する位置に突設されている。また、係合部33のインレット部5の軸方向の2面は、係止爪21の挿し込み時及び引き抜き時に係止爪21が衝突すると係止爪21が上方へ移動する傾斜した挿込側斜面33aと、引抜側斜面33bとなっている。なお、挿込側斜面33aが挿込側案内手段として機能するとともに、引抜側斜面33bが引抜側案内手段として機能する。インレット部5は、ボルト95によって車両1に固定されている。
【0034】
係止爪21は、インレット部5に係合する閉じ状態(図2の実線)と、嵌着部14から開いた開き状態(図2の二点鎖線)とをとる。係止爪21は、通常時において閉じ状態をとり、インレット部5への抜き挿しの際、付勢ばね24の付勢力に抗し係合部33によって押し上げられることにより、開き状態に回動可能となっている。
【0035】
充電システム60には、インレット部5に接続された給電プラグ10の不正取り外しを禁止するロック装置40が設けられている。この場合、図6〜図10に示されるように、インレット部5には、ロック装置40の機構部分としてロック機構(電動ロック機構)41が取り付けられている。ロック機構41には、ロック機構41の各種部品を収納するケース42が設けられている。ケース42は、インレット部5と一体に形成されている。ケース42においてインレット部5の上方には、係止爪21を係合部33に対して係脱するときにロックアーム20を通す凹部43が形成されている。凹部43は、係止爪21がインレット部5に係合する係合空間として機能する。
【0036】
この凹部43の係合部33の上方には、凹部43に挿し込まれた係止爪21の回動を規制可能な上壁44が形成されている。係合部33と上壁44とによって形成される空間の高さLは、係止爪21の下端から上面までの高さHと同じとなっている(図2、図5、図7参照)。なお、上壁44が誘導手段及び誘導壁として機能する。
【0037】
ケース42内には、ロックアーム20の引き抜きを規制可能な細長い棒状のロックバー45が、装置幅方向(図3のY軸方向)に沿って直線往復動可能に取り付けられている。ロックバー45は、凹部43の側壁において装置幅方向Yに貫設された貫通孔46を介してケース42の内外を出入りする。ロックバー45は、直方体状であって、係合部33の引抜側斜面33bに対向する面が傾斜している。ロックバー45は、引抜側斜面33bに接した状態で凹部43内に突出する。なお、ロックバー45がロック部材として機能する。ロックバー45は、上壁44と協動して係止爪21を挟み込むことにより、係止爪21の引き抜きを制限する。
【0038】
図3及び図4に示されるように、ケース42の内部には、ロック機構41の駆動源となる駆動手段としてのソレノイド47が収納されている。ソレノイド47は、自己保持ソレノイドであって、ロックバー45をアンロック位置とロック位置とに移動させるときのみ通電され、通常は通電されない。ソレノイド47に順方向の電流が供給されると、ロックバー45をソレノイド47内に吸引して、ソレノイド47内に設けられる図示しない永久磁石によってソレノイド47内のアンロック位置に保持される。一方、ソレノイド47は、逆方向の電流(解放電流)が供給されるとロックバー45をソレノイド47の外部に突出させ、ロックバー45をソレノイド47の外部へ付勢する図示しないばねによってロックバー45がソレノイド47から突出したロック位置に保持される。ソレノイド47から突出したロックバー45は、貫通孔46を嵌挿して凹部43内に位置する。
【0039】
図9に示すように、給電プラグ10をインレット部5に接続後、ロック機構41がアンロック状態をとる際、ソレノイド47に解放電流が供給されると、ソレノイド47によってロックバー45が凹部43内に直進する。よって、図8に示されるように、ロックバー45がロックアーム20の係止爪21と係合部33との間に位置して、係止爪21がロックバー45と上壁44との間に位置する。よって、係止爪21の移動が規制され、ロック機構41がロック状態をとる。一方、ロック状態からソレノイド47に順方向の電流が供給されると、ソレノイド47によってロックバー45が凹部43内からソレノイド47内に直進する。よって、ロックバー45が係止爪21から離間して、係止爪21の移動規制が解除され、ロック機構41が図9に示すアンロック状態をとる。
【0040】
図1に示されるように、インレット部5には、ロック機構41のコントロールユニットとしてロックECU77が設けられている。ロックECU77は、車内LAN76に接続され、各種ECUと各種情報のやり取りが可能である。ロックECU77は、ソレノイド47を通電制御することにより、ロック機構41の動作状態をロック状態又はアンロック状態に切り換える。ロックECU77は、インレット部5のロック機構41に設けられる検知センサ36及びソレノイド47に接続されている。検知センサ36は、給電プラグ10がインレット部5に完挿されたか否か、つまり係止爪21が凹部43のロック位置に位置しているか否かを監視する。そして、検知センサ36は、係止爪21が凹部43のロック位置に位置したことを検知すると、検知信号を充電ECU75やロックECU77へ出力する。ロックECU77は、ID照合が成立することと、係止爪21がロック位置に位置したことを確認すると、ロック機構41をロック状態に切り換える。すなわち、ロックECU77は、ロックバー45を凹部43内に突出させて、係止爪21とロックバー45とを係合させる。充電ECU75は、ID照合が成立することと、ロック装置40がロック状態であることを確認すると、充電動作を実行する。
【0041】
また、充電システム60は、電子キーシステム70でID照合が成立するとともに、車両1に設けられた取り外しスイッチ78が操作されたことを条件に、インレット部5から給電プラグ10を取り外すことを可能とする。この場合、車両1には、給電プラグ10を取り外す際に操作する取り外しスイッチ78が設けられ、操作されると操作信号がロックECU77へ出力される。そして、ロックECU77は、ID照合が成立することと、取り外しスイッチ78が操作されたこととを確認すると、ロック装置40をアンロック状態に切り換えて、給電プラグ10の取り外しを許可する。
【0042】
ロックECU77には、照合ECU71からID照合の成立結果を取得する照合結果取得部77aが設けられている。照合結果取得部77aは、検知センサ36からを検知信号が入力すると、照合ECU71へ問い合わせてID照合の結果を取得する。なお、照合結果取得部77aが照合結果取得手段として機能する。
【0043】
ロックECU77には、ロック機構41の動作を制御するロック機構制御部77bが設けられている。ロック機構制御部77bは、ロック機構41がアンロック状態の際、給電プラグ10がインレット部5に接続されたこと、つまり検知センサ36から検知信号が入力すると、ID照合が成立することを条件に、ソレノイド47に解放電流を供給してロック機構41をロック状態に切り換える。また、ロック機構制御部77bは、ロック機構41がロック状態の際、取り外しスイッチ78から操作信号が入力すると、ID照合が成立することを条件に、ソレノイド47に順方向の電流を供給してロック機構41をアンロック状態に切り換える。
【0044】
次に、給電プラグ10でバッテリ4に充電を行うときにとる動作と、ロック装置40の働きとについて図6〜図10を参照して説明する。
まず、図6に示されるように、給電プラグ10をインレット部5に挿し込む際には、ロック装置40がアンロック状態をとる。そして、係止爪21が凹部43に入り込むように位置を合わせ、その状態のまま給電プラグ10をインレット部5の軸方向に沿って奥に挿し込まれる。このとき、係止爪21の下端が係合部33の挿込側斜面33aに当接しながら、係止爪21が凹部43の奥側へ押し込まれる。
【0045】
給電プラグ10の挿し込み時、係止爪21は挿込側斜面33aに押されて、回動軸16を軸心として紙面右方向(時計回り方向)に回動する。このため、凹部43への係止爪21の挿し込みが許容される。よって、給電プラグ10の挿し込み時は、係合部33の挿込側斜面33aを利用して係止爪21を持ち上げることができるので、係止爪21を凹部43に挿し込むことが可能である。
【0046】
続いて、図7に示されるように、係止爪21は、係合部33の挿込側斜面33aを乗り上げると、係合部33の上面に位置する。このとき、係止爪21の下端から上面までの高さHが、係合部33の上面から上壁44までの長さLと略同じとなっている。そして、係止爪21が凹部43の奥へ更に挿し込まれると、係止爪21は付勢ばね24の付勢力によって係合部33から落ち、奥への挿し込み操作に伴って徐々に奥に進んでいく。つまり、係止爪21は、付勢ばね24の付勢力によって係合部33の引抜側斜面33bをなぞりながら移動する。凹部43の奥に挿し込まれた際に、係止爪21の下端は、係合部33のない部分に位置する。
【0047】
そして、図8に示されるように、給電プラグ10がインレット部5の奥まで挿し込まれると、給電側の接続端子15とインレット部5の接続端子35とが接続される。このとき、係止爪21の上面は、上壁44に接触している。
【0048】
給電側の接続端子15とインレット部5の接続端子35とが接続されると、ロックECU77は、信号端子35bを介して接続信号を取得して、給電プラグ10とインレット部5とが接続されたことを認識する。このとき、照合結果取得部77aは、ID照合成立結果を照合ECU71に問い合せ、この時点でID照合が成立していれば、ID照合成立通知を取得する。照合結果取得部77aがID照合成立通知を取得すると、ロック機構制御部77bは、ソレノイド47に解放電流を供給して、ロックバー45を凹部43内に突出させる。すると、係止爪21がロックバー45と上壁44とによって挟まれて、係止爪21の引き抜きが規制されたロック状態となる。このロック状態において充電オンオフスイッチ62がオン操作されると、給電プラグ10からインレット部5に電流が流し込まれ、バッテリ4の充電が開始される。
【0049】
係止爪21がロック状態である際、例えば第三者等が給電プラグ10をインレット部5から取り外そうとしたとする。このとき、係止爪21を凹部43の外部へ抜き出そうとしても、係止爪21はロックバー45及び上壁44によって挟まれるので、抜出が規制される。これにより、給電プラグ10を無理に引き抜こうとしても、給電プラグ10をインレット部5から取り外すことができない。ここで、係止爪21が装置正面方向Xへ引かれると、荷重Fがロックバー45に掛かるが、ロックバー45と接触する係合部33がロックバー45を支持するので、ロックバー45に掛かる荷重を軽減することができる。
【0050】
一方、バッテリ4の充電が完了すると、今度はインレット部5から給電プラグ10を取り外す作業に移行し、ユーザは取り外しスイッチ78を操作する。このとき、給電プラグ10の取り外し作業を正規ユーザが行うのであれば、正規ユーザが所持する電子キー80によってID照合が成立しているはずである。よって、この場合、照合結果取得部77aは、ID照合成立結果を照合ECU71に問い合せた際、ID照合成立通知を取得する。
【0051】
図9に示されるように、ロックECU77は、照合結果取得部77aが照合ECU71からID照合成立通知を取得すると、ソレノイド47に順方向の電流を供給する。これにより、ロックバー45がソレノイド47内に収納され、凹部43内からロックバー45が存在しなくなる。よって、ロックバー45と係止爪21との係合状態が解除されたアンロック状態となる。
【0052】
そして、図10に示されるように、引き抜き操作を行うと、係止爪21の下端は引抜側斜面33bに押されて、回動軸16を軸心として紙面右方向(時計回り方向)に回動する。このため、凹部43から係止爪21の引き抜きが許容される。なお、給電プラグ10の引き抜き時は、係合部33の引抜側斜面33bを利用して係止爪21を持ち上げることができるので、係止爪21を凹部43から引き抜くことが可能である。係止爪21は、ロックバー45に係止されることなく、凹部43の外側へ引き出される。これにより、給電プラグ10をインレット部5から取り外すことが可能となる。
【0053】
さて、本実施形態においては、給電プラグ10をインレット部5へ挿し込む際には、係止爪21は係合部33の挿込側斜面33aに押されて係合部33の上面に乗り上げる。そして、係合部33を登り切った後は、付勢ばね24の付勢力によって係合部33から落ち、係合部33に係止可能な状態となる。よって、給電プラグ10をインレット部5に接続する際、ロックアーム20を特に操作することなく、係止爪21を係合部33に係止することが可能となる。
【0054】
そして、給電プラグ10がインレット部5に完挿されると、ロックバー45がソレノイド47によって凹部43内に突出して係止爪21と係合状態となる。このとき、係止爪21は、ロックバー45と上壁44との間に位置して、移動が規制されたロック状態となる。よって、第三者が勝手に給電プラグ10をインレット部5から取り外すことができず、給電プラグ10の盗難を防止することができる。また、インレット部5の凹部43内に上壁44を形成するという簡単な構成で、ロックバー45と協働して係止爪21の引き抜きを規制することができる。
【0055】
また、給電プラグ10をインレット部5から取り外す際には、ソレノイド47に順方向の電流が供給されてロックバー45が凹部43からソレノイド47内に収納される。すると、係止爪21は、ロックバー45による係合状態が解除されてアンロック状態となる。よって、係止爪21が引き抜かれる際、係止爪21は係合部33の引抜側斜面33bに押されて係合部33の上面に乗り上がる動きをとり、結果、係止爪21が係合部33から離脱する。よって、給電プラグ10を単に引き抜き操作するだけで、給電プラグ10をインレット部5から取り外すことが可能となる。
【0056】
以上、説明した実施形態によれば、以下の作用効果を奏することができる。
(1)係止爪21をロックバー45と上壁44とで挟み込むことにより、ロック装置40をロック状態とし、ロックバー45を係止爪21から離間させることにより、ロック装置40をアンロック状態とするロック装置40をインレット部5に設けた。このため、第三者により勝手にインレット部5から取り外されてしまうことを防止することができる。また、給電プラグ10をインレット部5に抜き挿しするとき、係止爪21が自ら係合部33を乗り越える動きをとるので、ロックアーム20を特に操作することなく、給電プラグ10をインレット部5に抜き挿しすることができる。よって、給電プラグ10の抜き挿し操作を簡素化することができる。
【0057】
(2)ロックアーム20が凹部43に挿し込まれる際、係止爪21は付勢ばね24によってロック位置に誘導され、ロックバー45に係止される。よって、係止爪21をより確実にロック位置に位置させることができる。
【0058】
(3)給電プラグ10をインレット部5から引き抜くときには、係止爪21が係合部33を乗り越えなければならないので、給電プラグ10がインレット部5から簡単に抜け落ちることを抑制できる。また、ロック状態において係止爪21を引き抜こうとした際には、係合部33がロックバー45を後方から支持するので、ロックバー45に掛かる負荷を軽減することができる。
【0059】
(4)係合部33に挿込側斜面33aを設けたので、この挿込側斜面33aによって係止爪21の係合部33の上り動作が案内される。よって、係止爪21は容易に係合部33を登って乗り越えることができ、挿し込み時の操作力を抑制することができる。
【0060】
(5)係合部33に引抜側斜面33bを設けたので、この引抜側斜面33bによって係止爪21の係合部33の上り動作が案内される。よって、係止爪21は容易に係合部33を登って乗り越えることができ、引き抜き時の操作力を抑制することができる。
【0061】
(6)ロック状態のとき、凹部43に形成された上壁44とロックバー45とで隙間なく係止爪21を挟み込むので、係止爪21の移動を確実に規制することができる。このため、インレット部5の凹部43に上壁44を形成するという簡易な構成で係止爪21をロック位置に誘導できるとともに、確実に抜け止めすることができる。
【0062】
(7)ロックECU77がソレノイド47に解放電流を供給して、ロックバー45を凹部43内に突出させるとともに、ソレノイド47に順方向の電流を供給して、ロックバー45を凹部43内からソレノイド47内に収容する。よって、ソレノイド47の通電を切り換えるという電気的な処理によって、ロック装置40のロック状態を切り換えることができる。また、ロックバー45の位置が電気的な処理で切り換えられれば、ロック・アンロックの切り換えの際に、ユーザの操作力を必要とせずに済む。
【0063】
(8)給電プラグ10がインレット部5に接続しているかのみならず、電子キー80を用いたID照合の成立を条件にロックバー45を係合状態に切り替える。このため、例えば第三者による勝手な充電が行われずに済むので、セキュリティ性を高いものとすることができる。
【0064】
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することができる。
・上記実施形態において、図2に示されるように、給電プラグ10の本体11内にロックアーム20の開き状態を検知する検知センサ25を設けてもよい。検知センサ25は、ロックアーム20が開き状態になると係止爪腕部22の上面22aが接触する。このような構成を採用することで、係止爪21が凹部43に挿しこまれる際に、係止爪21が閉じ状態から開き状態になって、閉じ状態になったことを検出可能となり、このような検出結果のときのみ充電を開始するようにしてもよい。
【0065】
・上記実施形態では、係合部33を設けたが、係合部33を省略した構成を採用してもよい。例えば、図11及び図12に示されるように、付勢ばね24も省略して、給電プラグ10がインレット部5に接続される際に、ロックアーム20が回動することなく、係止爪21が凹部43内に挿し込まれ、ロック位置に位置する。このとき、係止爪21の上面と凹部43の上壁44とが接触する。そして、ロックバー45がソレノイド47によって凹部43内に突出して、係止爪21と係合状態となる。このとき、係止爪21は、上記実施形態と同様に、ロックバー45と上壁44との間に位置して、係止爪21の移動が規制されるロック状態となる。また、給電プラグ10をインレット部5から引き抜く際には、ロックバー45がソレノイド47によって凹部43からソレノイド47内に収容される。そして、ロックアーム20が回動することなく、係止爪21が凹部43内から引き出される。このような構成によれば、係止爪21を容易に凹部43内に挿し込むことが可能となる。また、ロックアーム20が回動する機構、すなわち回動軸16と回動部23とを省略することも可能となる。
【0066】
・上記実施形態では、ソレノイド47は、自己保持ソレノイドに限らず、プッシュソレノイドやプルソレノイド等の他のソレノイドを使用可能である。
・上記実施形態では、ロックバー45をソレノイド47によって駆動したが、ソレノイド47に限らず、モータ等の他の駆動手段によってロックバー45を駆動するようにしてもよい。
【0067】
・上記実施形態では、ロックバー45を装置幅方向(図3のY軸方向)に移動させたが、ロックバー45を装置上下方向(図3のZ軸方向)に移動させてもよい。また、Y軸方向及びZ軸方向に限らず、係止爪21の移動を規制することができれば、ロックバー45の移動方向は任意に設定可能である。
【0068】
・上記実施形態において、ロックバー45は、直進往復動する部材に限定されず、例えば軸回りに回る回転部材としてもよい。
・上記実施形態において、ロックバー45の形状は、略直方体形状に限定されず、例えば平板形状などの他の形状を採用可能である。
【0069】
・上記構成において、付勢ばね24を省略した構成を採用することもできる。このような場合は、係止爪21は、上壁44によってロック位置へ誘導される。
・上記実施形態において、ロックアーム20を嵌着部14に対して下側に、すなわち係止爪21を上向きに配置することによって、ロック装置40を実施形態に対して上下反転させた向きとしてもよい。
【0070】
・上記実施形態では、車両1と電子キー80との電子キーシステムのID照合の照合結果に基づいて給電プラグ10の操作者が正しいか否かの認証を行った。しかしながら、給電プラグ10に電子キー80との無線通信可能な通信手段を設けて、給電プラグ10が直接電子キー80との間でID照合して給電プラグ10の操作者が正しいか否かの認証を行うようにしてもよい。なお、通信手段は、車両1と同様なアンテナ及び送受信機であってもよいし、トランスポンダを備えた電子キーが相手であれば、イモビライザアンプであってもよい。
【0071】
・上記実施形態では、充電開始時に、無線通信によるID照合も行うようにしたが、無線通信によるID照合を省略して、メカニカルキーによる照合のみにしてもよい。
・上記実施形態では、給電プラグ10の嵌着部14の上部に係止爪21を設けるようにしたが、片側だけでなく嵌着部14を挟んで上下に係止爪を設けるようにしてもよい。
【0072】
・上記実施形態では、給電プラグ10の嵌着部14の上部に係止爪21を設けるようにしたが、片側だけでなく嵌着部14を挟んで上下に係止爪を設けるようにしてもよい。
・上記実施形態において、電子キーシステム70は、例えばIDコードの発信元としてトランスポンダを使用するイモビライザーシステムを採用してもよい。
【0073】
・上記実施形態において、電子キーシステム70で使用する電波の周波数は、必ずしもLFやUHFに限定されず、これら以外の周波数が使用可能である。また、車両1から電子キー80に電波発信するときの周波数と、電子キー80から車両1に電波を返すときの周波数とは、必ずしも異なるものに限定されず、これらを同じ周波数としてもよい。
【0074】
・上記実施形態において、ユーザ認証は、必ずしも電子キー80を使用したキー認証に限定されず、例えば生体認証等の他の認証を応用してもよい。
・上記実施形態では、プラグインハイブリッド式の車両1のインレット部5に適用したが、プラグインハイブリッド式の車両に限らず、電気自動車のインレット部等に適用してもよい。
【0075】
・上記実施形態において、本例のロック装置40は、必ずしも車両1のみに適用されることに限らず、充電式バッテリを持つ装置や機器であれば、その採用先は特に限定されない。
【0076】
次に、上記実施形態から把握できる技術的思想をその効果と共に記載する。
(イ)請求項2に記載の給電プラグロック装置において、前記誘導手段は、前記ロック位置へ向かって形成された誘導壁であって、前記給電プラグを前記インレットに接続する際に、前記係止爪の上面と前記誘導壁が衝突することで前記係止爪を誘導するとともに、前記係合状態の際に、前記ロック部材と前記誘導壁との間に前記係止爪が位置することで、当該係止爪の移動が規制されることを特徴とする給電プラグロック装置。
【0077】
同構成によれば、誘導壁によって係止爪をロック部材と係合するロック位置に誘導することが可能であるとともに、ロック部材が係止爪とロック状態である際に係止爪がロック部材と誘導壁との間に位置するので係止爪の移動を規制することが可能である。よって、簡易な構成で係止爪の誘導と係止爪の移動規制とが可能である。
【0078】
(ロ)請求項2又は技術的思想(イ)に記載の給電プラグロック装置において、前記誘導手段は、前記ロック部材と係合する側へ前記係止爪を付勢する付勢手段であることを特徴とする給電プラグロック装置。
【0079】
同構成によれば、付勢手段によって係止爪を付勢することで係止爪をロック部材と係合するロック位置に誘導することが可能であるとともに、ロック部材が係止爪とロック状態である際に係止爪がロック部材に付勢されるので係止爪の移動を規制することが可能である。よって、確実に係止爪をロック位置に位置させることが可能である。
【0080】
(ハ)請求項1〜5及び技術的思想(イ)、(ロ)のいずれかに記載の給電プラグロック装置において、前記ロック部材を移動させる駆動手段を備えることを特徴とする給電プラグロック装置。
【0081】
同構成によれば、駆動手段によってロック機構を自動でロック状態及びアンロック状態を切り換えることができる。
(二)請求項1〜5及び技術的思想(イ)〜(ロ)のいずれかに記載の給電プラグロック装置において、前記インレットが搭載されたマスタ装置には、通信端末と無線通信により当該通信端末のID照合を実行する無線認証システムが設けられ、前記給電プラグが前記インレットに接続されている際、前記無線認証システムのID照合結果を、前記給電プラグの操作者が正しいか否かの認証結果として取得する認証結果取得手段を備えたことを特徴とする給電プラグロック装置。
【0082】
同構成によれば、無線認証システムのID照合結果を認証結果取得手段が取得するので、操作者が正しいか否かの認証のために新たに認証結果を得るものをロック機構に設けずに済む。このため、構成を複雑化させずに済む。
【符号の説明】
【0083】
1…マスタ装置としての車両、2…駆動輪、3…ハイブリッドシステム、4…バッテリ、5…インレットとしてのインレット部、6…コンバータ、10…給電プラグ、11…本体、12…接続ケーブル、13…グリップ部、14…嵌着部、15…接続端子、16…回動軸、20…ロックアーム、21…係止爪、22…係止爪腕部、23…回動部、24…誘導手段及び付勢手段としての付勢ばね、31…挿込口、32…外周面上部、33…突部としての係合部、33a…挿込側案内手段としての挿込側斜面、33b…引抜側案内手段としての引抜側斜面、35…接続端子、36…検知センサ、40…ロック装置、41…ロック機構、42…ケース、43…凹部、44…誘導手段及び誘導壁としての上壁、45…ロック部材としてのロックバー、46…貫通孔、47…駆動手段としてのソレノイド、60…充電システム、61…外部電源、62…充電オンオフスイッチ、70…無線認証システムとしての電子キーシステム、71…照合ECU、72…車外LF発信機、73…車内LF発信機、74…UHF受信機、75…充電ECU、76…車内LAN、77…ロックECU、77a…照合結果取得部、77b…ロック機構制御部、78…取り外しスイッチ、80…通信端末としての電子キー、81…通信制御部、82…LF受信部、83…UHF発信部。
【技術分野】
【0001】
この発明は、受電コネクタに接続されてバッテリに充電を行う給電プラグロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両からの排出ガスを少なく抑えることを目的として、各車両メーカでは、モータを駆動とする電気自動車(ハイブリッド車も含む)の開発機運が非常に高くなってきている。このような電気自動車では、車両の動力源であるバッテリの電力残量が少なくなる度に、例えば家庭や電気スタンド等においてバッテリに充電を行わなくてはならないことから、電気自動車にはユーザであっても簡単に扱える様々な充電システムが設けられることになる(例えば、特許文献1参照)。この場合の例としては、例えば家庭の商用電源に繋がる給電コネクタ(給電プラグ)を接続可能な受電コネクタ(インレット)を車両に設け、帰宅したときなどに駐車車両のインレットに給電プラグを接続し、商用電源を車両に送り込むことによって車両のバッテリに充電を行うことが想定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−161898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電気自動車のバッテリ充電には、急速充電の技術が開発されているといっても、ガソリン車のガソリン補給に比べて比較的長い時間を要する現状がある。特に、ユーザが自宅でバッテリ充電を行う場合には、一般家庭に高速充電用の器具が備え付けられることは稀であるので、家庭用電源に繋がる給電プラグを車両のインレットに接続して充電を開始してから、その状態で車両を長時間放置するケースが多くなる。この場合、例えば給電中の車両から給電プラグを取り外して別の車両のインレットに装着して盗電されたり、給電プラグ自体が盗まれたりする可能性も想定されるので、車両のインレットに接続した給電プラグが不正に取り外されてしまうことを防止する技術の開発が要望されていた。
【0005】
また、給電プラグの不正取り外しを防止する機構をインレットに設けた際、これに伴って給電プラグの接続/引き抜き操作が面倒になってしまっては意味がない。よって、インレットに給電プラグを挿し込んだり、或いはインレットから給電プラグを引き抜いたりする際に、これら作業の簡素化もニーズとしてあった。
【0006】
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、インレットに接続した給電プラグを許可無く不正に取り外されてしまうことを防ぐことができ、かつインレットに対する給電プラグの抜き挿し操作を簡素化することができる給電プラグロック装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について説明する。
請求項1に記載の発明は、インレットに給電プラグが接続されると、前記給電プラグの係止爪が前記インレットに係止状態をとって抜け止めされ、前記係止状態の解除操作が行われると、前記給電プラグを前記インレットから取り外せる給電プラグロック装置であって、前記インレットに設けたロック部材を前記係止爪に係止することにより、前記給電プラグを前記インレットから引き抜くことを規制するロック状態とし、前記ロック部材を前記係止爪から退避させることにより、前記給電プラグを前記インレットから引き抜くことを可能とするアンロック状態とするロック機構を備えたことをその要旨としている。
【0008】
同構成によれば、給電プラグをインレットに接続した際に、係止爪に対してロック部材が係止することで、アンロック状態から係止爪の引き抜きが規制されたロック状態に切り換えられる。このため、インレットに接続状態にある給電プラグを、第三者により勝手にインレットから取り外されずに済む。また、ロック部材が係止爪から退避することで、係止爪との係止が解除され、ロック状態から係止爪の引き抜きが可能となるアンロック状態に切り換えられる。このため、正規ユーザが引き抜く際には、給電プラグをインレットから取り外すことができる。また、係止爪に対してロック部材が移動することで、ロック機構がロック・アンロックされるので、インレットに対する給電プラグの抜き挿しに伴って、特に操作をする必要がない。よって、給電プラグの抜き挿し時の操作を簡素化することが可能である。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の給電プラグロック装置において、軸を支点に回動する前記係止爪を、前記ロック部材と係合するロック位置に誘導する誘導手段を備えたことをその要旨としている。
【0010】
同構成によれば、誘導手段が係止爪をロック位置に誘導して、ロック位置にある係止爪をロック部材が係止することでロック機構がロック状態になる。このため、誘導手段によって係止爪とロック部材とを確実に係合させることが可能となる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の給電プラグロック装置において、前記インレットには、前記係止爪の係止先として突部が設けられ、当該突部と前記係止爪との間に前記ロック部材が入り込むことによって、前記ロック部材がロック状態をとることをその要旨としている。
【0012】
同構成によれば、ロック部材と係止爪とが係止したロック状態において、仮に第三者が給電プラグを無理矢理引き抜こうとした際には、係止爪からロック部材に掛かる荷重を突部が支持するので、ロック部材に掛かる荷重を軽減することが可能となる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の給電プラグロック装置において、前記給電プラグを前記インレットに接続する際に、前記突部に当接した前記係止爪の起き上がりを案内する挿込側案内手段を設けたことをその要旨としている。
【0014】
同構成によれば、給電プラグをインレットに接続する際に、挿込側案内手段によって係止爪が起き上がるので、係止爪による突部の乗り越えを、より確実に行うことが可能となる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項3又は4に記載の給電プラグロック装置において、前記インレットに接続された前記給電プラグを前記インレットから引き抜く際に、前記突部に当接した前記係止爪の起き上がりを案内する引抜側案内手段を設けたことをその要旨としている。
【0016】
同構成によれば、給電プラグをインレットから引き抜く際に、引抜側案内手段によって係止爪が起き上がるので、係止爪による突部の乗り越えを、より確実に行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、インレットに接続した給電プラグを許可無く不正に取り外されてしまうことを防ぐことができ、かつインレットに対する給電プラグの抜き挿し操作を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】車両及び充電システムの構成を示す構成図。
【図2】給電プラグの概略構成を示す縦断面図。
【図3】インレット部の概略構成を示す正面図。
【図4】インレット部の概略構成を示す斜視図。
【図5】インレット部の概略構成を示す縦断面図。
【図6】給電プラグがインレット部に接続されるときを示す縦断面図。
【図7】給電プラグがインレット部に接続されるときを示す縦断面図。
【図8】給電プラグがインレット部に接続して係止爪が係合部材と係合したロック状態を示す縦断面図。
【図9】給電プラグがインレット部に接続して係止爪が係合部材と係合していないアンロック状態を示す縦断面図。
【図10】給電プラグがインレット部から取り外されるときを示す縦断面図。
【図11】給電プラグがインレット部に接続されるときを示す縦断面図。
【図12】給電プラグがインレット部に接続して係止爪が係合部材と係合したロック状態を示す縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明をプラグインハイブリッド車の給電プラグロック装置に具体化した一実施形態について図1〜図10を参照して説明する。
図1に示されるように、ハイブリッド式の車両1には、駆動輪2の駆動源としてエンジンとモータとの駆動力を組み合わせて出力するハイブリッドシステム3が備えられている。ハイブリッドシステム3は、エンジンの動力のみを機械的に駆動輪2に伝えて走行するモードと、エンジンの動力で発電を行ってモータにより走行するモードと、エンジン及びモータの双方で駆動輪2を直接駆動するモードと、エンジンを使用せずにモータのみで走行するモードの各種モードにより走行する。
【0020】
ハイブリッドシステム3には、モータに電力を供給するバッテリ4が接続されている。バッテリ4は、エンジンの動力によって発電された電力がバッテリ4に充電されるだけではなく、車両1の外部電源61、例えば家庭用コンセントから夜間電力などでバッテリ4に充電することが可能である。
【0021】
この車両1には、例えば運転者が実際に車両キーを操作しなくてもドアロックの施解錠等の車両動作を行うことが可能な電子キーシステム70が搭載されている。電子キーシステム70は、キー固有のIDコードを無線通信で発信可能な電子キー80が車両キーとして使用されている。電子キーシステム70は、車両1からIDコード返信要求としてリクエスト信号Srqを発信させ、このリクエスト信号Srqを電子キー80が受信すると、それに応答する形で電子キー80が自身のIDコードを含ませたIDコード信号Sidを狭域無線通信により車両1に返信し、電子キー80のIDコードが車両1のIDコードと一致すると、ドアロックの施解錠が許可又は実行されるシステムである。なお、電子キーシステム70が無線認証システムに相当するとともに、電子キー80が通信端末として機能する。
【0022】
電子キーシステム70を以下に説明すると、車両1には、電子キー80との間で狭域無線通信を行う際にID照合を行う照合ECU(Electronic Control Unit)71が設けられている。照合ECU71には、車両1の各ドアに埋設されて車外にLF(Low Frequency)帯の信号を発信可能な車外LF発信機72と、車内床下等に埋設されて車内にLF帯の無線信号を発信可能な車内LF発信機73と、車内後方の車体等に埋設されてUHF(Ultra High Frequency)帯の無線信号を受信可能なUHF受信機74とが接続されている。照合ECU71は、固有のキーコードとしてIDコードが記憶されたメモリ71aを備えている。
【0023】
一方、電子キー80には、車両1との間で電子キーシステム70に準じた無線通信を行う際のコントロールユニットとして通信制御部81が設けられている。通信制御部81は、固有のキーコードとしてIDコードが記憶されたメモリ81aを備えている。通信制御部81には、外部で発信されたLF帯の信号を受信可能なLF受信部82と、通信制御部81の指令に従いUHF帯の信号を発信可能なUHF発信部83とが接続されている。
【0024】
照合ECU71は、車外LF発信機72又は車内LF発信機73から電子キー80へリクエスト信号SrqをLF帯の電波で送信し、いわゆるスマート通信の成立可否を試みる。照合ECU71は、リクエスト信号Srqに対する応答として電子キー80からIDコード信号Sidを受信すると、ID照合としてスマート照合を実行する。照合ECU71は、車外の電子キー80とスマート照合、即ち車外照合が成立することを確認すると、図示しないドアロック装置によるドアロックの施解錠を許可又は実行する。また、照合ECU71は、車内の電子キー80とスマート照合、即ち車内照合が成立することを確認すると、ハイブリッドシステム3の始動を許可する。
【0025】
プラグインハイブリッド式の車両1は、プラグイン式の充電システム60によってバッテリ4に充電する。充電システム60は、例えば住宅や充電スタンド等の外部電源61に設けられた給電プラグ10を車両1に接続してバッテリ4に充電する。この給電プラグ10は、接続ケーブル12を介して外部電源61として例えば交流(商用電源)200Vに接続されている。接続ケーブル12には、充電を開始する際に操作する充電オンオフスイッチ62が設けられている。
【0026】
車両1には、同車両1における給電プラグ10の接続先としてインレット部5が取り付けられている。インレット部5は、給電プラグ10を挿し込むコネクタ部品であって、例えば車体の前方側面にガソリン車の給油口のように搭載されている。インレット部5は、給電プラグ10から送り込まれた交流電圧をコンバータ6によって直流電圧に変換して車両1のバッテリ4に送って、バッテリ4に電力を充電する。インレット部5は、同インレット部5に給電プラグ10が嵌合されるとともに、ユーザが携帯する電子キー80により認証が成立すると、充電が可能となる。
【0027】
車両1には、充電に関わる制御を行う充電ECU75が設けられている。充電ECU75は、車内LAN(Local Area Network)76を介して照合ECU71と通信可能であり、照合ECU71からID照合の成立結果を確認可能である。充電ECU75は、充電開始の条件として、ID照合が成立することと、給電プラグ10がインレット部5に嵌着したこととを確認する。
【0028】
図2に示されるように、給電プラグ10の本体11の基端11aには、接続ケーブル12が接続されている。給電プラグ10の本体11には、ユーザが把持するグリップ部13が形成されている。給電プラグ10の本体11の先端11bには、インレット部5に嵌着される円筒状の嵌着部14が備えられている。嵌着部14の内部には、給電プラグ10をインレット部5に電気的に繋ぐ複数の接続端子15が設けられている。接続端子15は、電力の伝送経路となるパワー端子15aや、各種信号の通信経路となる信号端子15b等を備える。
【0029】
給電プラグ10には、給電プラグ10をインレット部5に挿し込んだ際に、この挿し込み状態を保持するロックアーム20が設けられている。このロックアーム20は、給電プラグ10の長手方向に沿って延出するとともに、給電プラグ10の挿込方向に対して直交する回動軸16を軸として軸回り(図2の上下方向)へ回動可能である。回動軸16は、ロックアーム20の基端に配置されている。
【0030】
ロックアーム20は、回動軸16を軸として回動する回動部23と、この回動部23から給電プラグ10の先端11b側へ延出する係止爪腕部22と、係止爪腕部22に接続されて嵌着部14の上方へ突出し、インレット部5の挿込口31に係合する係止爪21とを備えている。ロックアーム20は、先端の係止爪21が本体11の外部に露出している。係止爪腕部22の上面22aには、係止爪21を下方、言い換えれば係止爪21において嵌着部14側へ付勢する付勢ばね24が取り付けられている。係止爪腕部22は、付勢ばね24を介して本体11の内壁上面に固定されている。付勢ばね24が誘導手段及び付勢手段に相当する。
【0031】
本実施例のロックアーム20は、回動部23から給電プラグ10のグリップ部13側へは延出せず、ロックアーム20をユーザが操作する操作部を備えていない。すなわち、本実施例のロック装置40は、ユーザが給電プラグ10をインレット部5に対して挿し込み時及び引き抜き時に、ロックアーム20を操作する必要がない構造となっている。
【0032】
図3及び図5に示されるように、インレット部5の挿込口31の内部には、給電プラグ10の嵌着部14が備える接続端子15の接続先として接続端子35が設けられている。接続端子35は、電力の伝送経路となるパワー端子35aや、各種信号の通信経路となる信号端子35b等を備える。
【0033】
図4に合わせて示されるように、インレット部5の外周面上部32には、給電プラグ10の係止爪21が係合して、給電プラグ10とインレット部5との係合状態を支持する係合部33が形成されている。なお、係合部33が突部として機能する。係合部33は、係止爪21の挿し込み及び引き抜き時に衝突する位置に突設されている。また、係合部33のインレット部5の軸方向の2面は、係止爪21の挿し込み時及び引き抜き時に係止爪21が衝突すると係止爪21が上方へ移動する傾斜した挿込側斜面33aと、引抜側斜面33bとなっている。なお、挿込側斜面33aが挿込側案内手段として機能するとともに、引抜側斜面33bが引抜側案内手段として機能する。インレット部5は、ボルト95によって車両1に固定されている。
【0034】
係止爪21は、インレット部5に係合する閉じ状態(図2の実線)と、嵌着部14から開いた開き状態(図2の二点鎖線)とをとる。係止爪21は、通常時において閉じ状態をとり、インレット部5への抜き挿しの際、付勢ばね24の付勢力に抗し係合部33によって押し上げられることにより、開き状態に回動可能となっている。
【0035】
充電システム60には、インレット部5に接続された給電プラグ10の不正取り外しを禁止するロック装置40が設けられている。この場合、図6〜図10に示されるように、インレット部5には、ロック装置40の機構部分としてロック機構(電動ロック機構)41が取り付けられている。ロック機構41には、ロック機構41の各種部品を収納するケース42が設けられている。ケース42は、インレット部5と一体に形成されている。ケース42においてインレット部5の上方には、係止爪21を係合部33に対して係脱するときにロックアーム20を通す凹部43が形成されている。凹部43は、係止爪21がインレット部5に係合する係合空間として機能する。
【0036】
この凹部43の係合部33の上方には、凹部43に挿し込まれた係止爪21の回動を規制可能な上壁44が形成されている。係合部33と上壁44とによって形成される空間の高さLは、係止爪21の下端から上面までの高さHと同じとなっている(図2、図5、図7参照)。なお、上壁44が誘導手段及び誘導壁として機能する。
【0037】
ケース42内には、ロックアーム20の引き抜きを規制可能な細長い棒状のロックバー45が、装置幅方向(図3のY軸方向)に沿って直線往復動可能に取り付けられている。ロックバー45は、凹部43の側壁において装置幅方向Yに貫設された貫通孔46を介してケース42の内外を出入りする。ロックバー45は、直方体状であって、係合部33の引抜側斜面33bに対向する面が傾斜している。ロックバー45は、引抜側斜面33bに接した状態で凹部43内に突出する。なお、ロックバー45がロック部材として機能する。ロックバー45は、上壁44と協動して係止爪21を挟み込むことにより、係止爪21の引き抜きを制限する。
【0038】
図3及び図4に示されるように、ケース42の内部には、ロック機構41の駆動源となる駆動手段としてのソレノイド47が収納されている。ソレノイド47は、自己保持ソレノイドであって、ロックバー45をアンロック位置とロック位置とに移動させるときのみ通電され、通常は通電されない。ソレノイド47に順方向の電流が供給されると、ロックバー45をソレノイド47内に吸引して、ソレノイド47内に設けられる図示しない永久磁石によってソレノイド47内のアンロック位置に保持される。一方、ソレノイド47は、逆方向の電流(解放電流)が供給されるとロックバー45をソレノイド47の外部に突出させ、ロックバー45をソレノイド47の外部へ付勢する図示しないばねによってロックバー45がソレノイド47から突出したロック位置に保持される。ソレノイド47から突出したロックバー45は、貫通孔46を嵌挿して凹部43内に位置する。
【0039】
図9に示すように、給電プラグ10をインレット部5に接続後、ロック機構41がアンロック状態をとる際、ソレノイド47に解放電流が供給されると、ソレノイド47によってロックバー45が凹部43内に直進する。よって、図8に示されるように、ロックバー45がロックアーム20の係止爪21と係合部33との間に位置して、係止爪21がロックバー45と上壁44との間に位置する。よって、係止爪21の移動が規制され、ロック機構41がロック状態をとる。一方、ロック状態からソレノイド47に順方向の電流が供給されると、ソレノイド47によってロックバー45が凹部43内からソレノイド47内に直進する。よって、ロックバー45が係止爪21から離間して、係止爪21の移動規制が解除され、ロック機構41が図9に示すアンロック状態をとる。
【0040】
図1に示されるように、インレット部5には、ロック機構41のコントロールユニットとしてロックECU77が設けられている。ロックECU77は、車内LAN76に接続され、各種ECUと各種情報のやり取りが可能である。ロックECU77は、ソレノイド47を通電制御することにより、ロック機構41の動作状態をロック状態又はアンロック状態に切り換える。ロックECU77は、インレット部5のロック機構41に設けられる検知センサ36及びソレノイド47に接続されている。検知センサ36は、給電プラグ10がインレット部5に完挿されたか否か、つまり係止爪21が凹部43のロック位置に位置しているか否かを監視する。そして、検知センサ36は、係止爪21が凹部43のロック位置に位置したことを検知すると、検知信号を充電ECU75やロックECU77へ出力する。ロックECU77は、ID照合が成立することと、係止爪21がロック位置に位置したことを確認すると、ロック機構41をロック状態に切り換える。すなわち、ロックECU77は、ロックバー45を凹部43内に突出させて、係止爪21とロックバー45とを係合させる。充電ECU75は、ID照合が成立することと、ロック装置40がロック状態であることを確認すると、充電動作を実行する。
【0041】
また、充電システム60は、電子キーシステム70でID照合が成立するとともに、車両1に設けられた取り外しスイッチ78が操作されたことを条件に、インレット部5から給電プラグ10を取り外すことを可能とする。この場合、車両1には、給電プラグ10を取り外す際に操作する取り外しスイッチ78が設けられ、操作されると操作信号がロックECU77へ出力される。そして、ロックECU77は、ID照合が成立することと、取り外しスイッチ78が操作されたこととを確認すると、ロック装置40をアンロック状態に切り換えて、給電プラグ10の取り外しを許可する。
【0042】
ロックECU77には、照合ECU71からID照合の成立結果を取得する照合結果取得部77aが設けられている。照合結果取得部77aは、検知センサ36からを検知信号が入力すると、照合ECU71へ問い合わせてID照合の結果を取得する。なお、照合結果取得部77aが照合結果取得手段として機能する。
【0043】
ロックECU77には、ロック機構41の動作を制御するロック機構制御部77bが設けられている。ロック機構制御部77bは、ロック機構41がアンロック状態の際、給電プラグ10がインレット部5に接続されたこと、つまり検知センサ36から検知信号が入力すると、ID照合が成立することを条件に、ソレノイド47に解放電流を供給してロック機構41をロック状態に切り換える。また、ロック機構制御部77bは、ロック機構41がロック状態の際、取り外しスイッチ78から操作信号が入力すると、ID照合が成立することを条件に、ソレノイド47に順方向の電流を供給してロック機構41をアンロック状態に切り換える。
【0044】
次に、給電プラグ10でバッテリ4に充電を行うときにとる動作と、ロック装置40の働きとについて図6〜図10を参照して説明する。
まず、図6に示されるように、給電プラグ10をインレット部5に挿し込む際には、ロック装置40がアンロック状態をとる。そして、係止爪21が凹部43に入り込むように位置を合わせ、その状態のまま給電プラグ10をインレット部5の軸方向に沿って奥に挿し込まれる。このとき、係止爪21の下端が係合部33の挿込側斜面33aに当接しながら、係止爪21が凹部43の奥側へ押し込まれる。
【0045】
給電プラグ10の挿し込み時、係止爪21は挿込側斜面33aに押されて、回動軸16を軸心として紙面右方向(時計回り方向)に回動する。このため、凹部43への係止爪21の挿し込みが許容される。よって、給電プラグ10の挿し込み時は、係合部33の挿込側斜面33aを利用して係止爪21を持ち上げることができるので、係止爪21を凹部43に挿し込むことが可能である。
【0046】
続いて、図7に示されるように、係止爪21は、係合部33の挿込側斜面33aを乗り上げると、係合部33の上面に位置する。このとき、係止爪21の下端から上面までの高さHが、係合部33の上面から上壁44までの長さLと略同じとなっている。そして、係止爪21が凹部43の奥へ更に挿し込まれると、係止爪21は付勢ばね24の付勢力によって係合部33から落ち、奥への挿し込み操作に伴って徐々に奥に進んでいく。つまり、係止爪21は、付勢ばね24の付勢力によって係合部33の引抜側斜面33bをなぞりながら移動する。凹部43の奥に挿し込まれた際に、係止爪21の下端は、係合部33のない部分に位置する。
【0047】
そして、図8に示されるように、給電プラグ10がインレット部5の奥まで挿し込まれると、給電側の接続端子15とインレット部5の接続端子35とが接続される。このとき、係止爪21の上面は、上壁44に接触している。
【0048】
給電側の接続端子15とインレット部5の接続端子35とが接続されると、ロックECU77は、信号端子35bを介して接続信号を取得して、給電プラグ10とインレット部5とが接続されたことを認識する。このとき、照合結果取得部77aは、ID照合成立結果を照合ECU71に問い合せ、この時点でID照合が成立していれば、ID照合成立通知を取得する。照合結果取得部77aがID照合成立通知を取得すると、ロック機構制御部77bは、ソレノイド47に解放電流を供給して、ロックバー45を凹部43内に突出させる。すると、係止爪21がロックバー45と上壁44とによって挟まれて、係止爪21の引き抜きが規制されたロック状態となる。このロック状態において充電オンオフスイッチ62がオン操作されると、給電プラグ10からインレット部5に電流が流し込まれ、バッテリ4の充電が開始される。
【0049】
係止爪21がロック状態である際、例えば第三者等が給電プラグ10をインレット部5から取り外そうとしたとする。このとき、係止爪21を凹部43の外部へ抜き出そうとしても、係止爪21はロックバー45及び上壁44によって挟まれるので、抜出が規制される。これにより、給電プラグ10を無理に引き抜こうとしても、給電プラグ10をインレット部5から取り外すことができない。ここで、係止爪21が装置正面方向Xへ引かれると、荷重Fがロックバー45に掛かるが、ロックバー45と接触する係合部33がロックバー45を支持するので、ロックバー45に掛かる荷重を軽減することができる。
【0050】
一方、バッテリ4の充電が完了すると、今度はインレット部5から給電プラグ10を取り外す作業に移行し、ユーザは取り外しスイッチ78を操作する。このとき、給電プラグ10の取り外し作業を正規ユーザが行うのであれば、正規ユーザが所持する電子キー80によってID照合が成立しているはずである。よって、この場合、照合結果取得部77aは、ID照合成立結果を照合ECU71に問い合せた際、ID照合成立通知を取得する。
【0051】
図9に示されるように、ロックECU77は、照合結果取得部77aが照合ECU71からID照合成立通知を取得すると、ソレノイド47に順方向の電流を供給する。これにより、ロックバー45がソレノイド47内に収納され、凹部43内からロックバー45が存在しなくなる。よって、ロックバー45と係止爪21との係合状態が解除されたアンロック状態となる。
【0052】
そして、図10に示されるように、引き抜き操作を行うと、係止爪21の下端は引抜側斜面33bに押されて、回動軸16を軸心として紙面右方向(時計回り方向)に回動する。このため、凹部43から係止爪21の引き抜きが許容される。なお、給電プラグ10の引き抜き時は、係合部33の引抜側斜面33bを利用して係止爪21を持ち上げることができるので、係止爪21を凹部43から引き抜くことが可能である。係止爪21は、ロックバー45に係止されることなく、凹部43の外側へ引き出される。これにより、給電プラグ10をインレット部5から取り外すことが可能となる。
【0053】
さて、本実施形態においては、給電プラグ10をインレット部5へ挿し込む際には、係止爪21は係合部33の挿込側斜面33aに押されて係合部33の上面に乗り上げる。そして、係合部33を登り切った後は、付勢ばね24の付勢力によって係合部33から落ち、係合部33に係止可能な状態となる。よって、給電プラグ10をインレット部5に接続する際、ロックアーム20を特に操作することなく、係止爪21を係合部33に係止することが可能となる。
【0054】
そして、給電プラグ10がインレット部5に完挿されると、ロックバー45がソレノイド47によって凹部43内に突出して係止爪21と係合状態となる。このとき、係止爪21は、ロックバー45と上壁44との間に位置して、移動が規制されたロック状態となる。よって、第三者が勝手に給電プラグ10をインレット部5から取り外すことができず、給電プラグ10の盗難を防止することができる。また、インレット部5の凹部43内に上壁44を形成するという簡単な構成で、ロックバー45と協働して係止爪21の引き抜きを規制することができる。
【0055】
また、給電プラグ10をインレット部5から取り外す際には、ソレノイド47に順方向の電流が供給されてロックバー45が凹部43からソレノイド47内に収納される。すると、係止爪21は、ロックバー45による係合状態が解除されてアンロック状態となる。よって、係止爪21が引き抜かれる際、係止爪21は係合部33の引抜側斜面33bに押されて係合部33の上面に乗り上がる動きをとり、結果、係止爪21が係合部33から離脱する。よって、給電プラグ10を単に引き抜き操作するだけで、給電プラグ10をインレット部5から取り外すことが可能となる。
【0056】
以上、説明した実施形態によれば、以下の作用効果を奏することができる。
(1)係止爪21をロックバー45と上壁44とで挟み込むことにより、ロック装置40をロック状態とし、ロックバー45を係止爪21から離間させることにより、ロック装置40をアンロック状態とするロック装置40をインレット部5に設けた。このため、第三者により勝手にインレット部5から取り外されてしまうことを防止することができる。また、給電プラグ10をインレット部5に抜き挿しするとき、係止爪21が自ら係合部33を乗り越える動きをとるので、ロックアーム20を特に操作することなく、給電プラグ10をインレット部5に抜き挿しすることができる。よって、給電プラグ10の抜き挿し操作を簡素化することができる。
【0057】
(2)ロックアーム20が凹部43に挿し込まれる際、係止爪21は付勢ばね24によってロック位置に誘導され、ロックバー45に係止される。よって、係止爪21をより確実にロック位置に位置させることができる。
【0058】
(3)給電プラグ10をインレット部5から引き抜くときには、係止爪21が係合部33を乗り越えなければならないので、給電プラグ10がインレット部5から簡単に抜け落ちることを抑制できる。また、ロック状態において係止爪21を引き抜こうとした際には、係合部33がロックバー45を後方から支持するので、ロックバー45に掛かる負荷を軽減することができる。
【0059】
(4)係合部33に挿込側斜面33aを設けたので、この挿込側斜面33aによって係止爪21の係合部33の上り動作が案内される。よって、係止爪21は容易に係合部33を登って乗り越えることができ、挿し込み時の操作力を抑制することができる。
【0060】
(5)係合部33に引抜側斜面33bを設けたので、この引抜側斜面33bによって係止爪21の係合部33の上り動作が案内される。よって、係止爪21は容易に係合部33を登って乗り越えることができ、引き抜き時の操作力を抑制することができる。
【0061】
(6)ロック状態のとき、凹部43に形成された上壁44とロックバー45とで隙間なく係止爪21を挟み込むので、係止爪21の移動を確実に規制することができる。このため、インレット部5の凹部43に上壁44を形成するという簡易な構成で係止爪21をロック位置に誘導できるとともに、確実に抜け止めすることができる。
【0062】
(7)ロックECU77がソレノイド47に解放電流を供給して、ロックバー45を凹部43内に突出させるとともに、ソレノイド47に順方向の電流を供給して、ロックバー45を凹部43内からソレノイド47内に収容する。よって、ソレノイド47の通電を切り換えるという電気的な処理によって、ロック装置40のロック状態を切り換えることができる。また、ロックバー45の位置が電気的な処理で切り換えられれば、ロック・アンロックの切り換えの際に、ユーザの操作力を必要とせずに済む。
【0063】
(8)給電プラグ10がインレット部5に接続しているかのみならず、電子キー80を用いたID照合の成立を条件にロックバー45を係合状態に切り替える。このため、例えば第三者による勝手な充電が行われずに済むので、セキュリティ性を高いものとすることができる。
【0064】
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することができる。
・上記実施形態において、図2に示されるように、給電プラグ10の本体11内にロックアーム20の開き状態を検知する検知センサ25を設けてもよい。検知センサ25は、ロックアーム20が開き状態になると係止爪腕部22の上面22aが接触する。このような構成を採用することで、係止爪21が凹部43に挿しこまれる際に、係止爪21が閉じ状態から開き状態になって、閉じ状態になったことを検出可能となり、このような検出結果のときのみ充電を開始するようにしてもよい。
【0065】
・上記実施形態では、係合部33を設けたが、係合部33を省略した構成を採用してもよい。例えば、図11及び図12に示されるように、付勢ばね24も省略して、給電プラグ10がインレット部5に接続される際に、ロックアーム20が回動することなく、係止爪21が凹部43内に挿し込まれ、ロック位置に位置する。このとき、係止爪21の上面と凹部43の上壁44とが接触する。そして、ロックバー45がソレノイド47によって凹部43内に突出して、係止爪21と係合状態となる。このとき、係止爪21は、上記実施形態と同様に、ロックバー45と上壁44との間に位置して、係止爪21の移動が規制されるロック状態となる。また、給電プラグ10をインレット部5から引き抜く際には、ロックバー45がソレノイド47によって凹部43からソレノイド47内に収容される。そして、ロックアーム20が回動することなく、係止爪21が凹部43内から引き出される。このような構成によれば、係止爪21を容易に凹部43内に挿し込むことが可能となる。また、ロックアーム20が回動する機構、すなわち回動軸16と回動部23とを省略することも可能となる。
【0066】
・上記実施形態では、ソレノイド47は、自己保持ソレノイドに限らず、プッシュソレノイドやプルソレノイド等の他のソレノイドを使用可能である。
・上記実施形態では、ロックバー45をソレノイド47によって駆動したが、ソレノイド47に限らず、モータ等の他の駆動手段によってロックバー45を駆動するようにしてもよい。
【0067】
・上記実施形態では、ロックバー45を装置幅方向(図3のY軸方向)に移動させたが、ロックバー45を装置上下方向(図3のZ軸方向)に移動させてもよい。また、Y軸方向及びZ軸方向に限らず、係止爪21の移動を規制することができれば、ロックバー45の移動方向は任意に設定可能である。
【0068】
・上記実施形態において、ロックバー45は、直進往復動する部材に限定されず、例えば軸回りに回る回転部材としてもよい。
・上記実施形態において、ロックバー45の形状は、略直方体形状に限定されず、例えば平板形状などの他の形状を採用可能である。
【0069】
・上記構成において、付勢ばね24を省略した構成を採用することもできる。このような場合は、係止爪21は、上壁44によってロック位置へ誘導される。
・上記実施形態において、ロックアーム20を嵌着部14に対して下側に、すなわち係止爪21を上向きに配置することによって、ロック装置40を実施形態に対して上下反転させた向きとしてもよい。
【0070】
・上記実施形態では、車両1と電子キー80との電子キーシステムのID照合の照合結果に基づいて給電プラグ10の操作者が正しいか否かの認証を行った。しかしながら、給電プラグ10に電子キー80との無線通信可能な通信手段を設けて、給電プラグ10が直接電子キー80との間でID照合して給電プラグ10の操作者が正しいか否かの認証を行うようにしてもよい。なお、通信手段は、車両1と同様なアンテナ及び送受信機であってもよいし、トランスポンダを備えた電子キーが相手であれば、イモビライザアンプであってもよい。
【0071】
・上記実施形態では、充電開始時に、無線通信によるID照合も行うようにしたが、無線通信によるID照合を省略して、メカニカルキーによる照合のみにしてもよい。
・上記実施形態では、給電プラグ10の嵌着部14の上部に係止爪21を設けるようにしたが、片側だけでなく嵌着部14を挟んで上下に係止爪を設けるようにしてもよい。
【0072】
・上記実施形態では、給電プラグ10の嵌着部14の上部に係止爪21を設けるようにしたが、片側だけでなく嵌着部14を挟んで上下に係止爪を設けるようにしてもよい。
・上記実施形態において、電子キーシステム70は、例えばIDコードの発信元としてトランスポンダを使用するイモビライザーシステムを採用してもよい。
【0073】
・上記実施形態において、電子キーシステム70で使用する電波の周波数は、必ずしもLFやUHFに限定されず、これら以外の周波数が使用可能である。また、車両1から電子キー80に電波発信するときの周波数と、電子キー80から車両1に電波を返すときの周波数とは、必ずしも異なるものに限定されず、これらを同じ周波数としてもよい。
【0074】
・上記実施形態において、ユーザ認証は、必ずしも電子キー80を使用したキー認証に限定されず、例えば生体認証等の他の認証を応用してもよい。
・上記実施形態では、プラグインハイブリッド式の車両1のインレット部5に適用したが、プラグインハイブリッド式の車両に限らず、電気自動車のインレット部等に適用してもよい。
【0075】
・上記実施形態において、本例のロック装置40は、必ずしも車両1のみに適用されることに限らず、充電式バッテリを持つ装置や機器であれば、その採用先は特に限定されない。
【0076】
次に、上記実施形態から把握できる技術的思想をその効果と共に記載する。
(イ)請求項2に記載の給電プラグロック装置において、前記誘導手段は、前記ロック位置へ向かって形成された誘導壁であって、前記給電プラグを前記インレットに接続する際に、前記係止爪の上面と前記誘導壁が衝突することで前記係止爪を誘導するとともに、前記係合状態の際に、前記ロック部材と前記誘導壁との間に前記係止爪が位置することで、当該係止爪の移動が規制されることを特徴とする給電プラグロック装置。
【0077】
同構成によれば、誘導壁によって係止爪をロック部材と係合するロック位置に誘導することが可能であるとともに、ロック部材が係止爪とロック状態である際に係止爪がロック部材と誘導壁との間に位置するので係止爪の移動を規制することが可能である。よって、簡易な構成で係止爪の誘導と係止爪の移動規制とが可能である。
【0078】
(ロ)請求項2又は技術的思想(イ)に記載の給電プラグロック装置において、前記誘導手段は、前記ロック部材と係合する側へ前記係止爪を付勢する付勢手段であることを特徴とする給電プラグロック装置。
【0079】
同構成によれば、付勢手段によって係止爪を付勢することで係止爪をロック部材と係合するロック位置に誘導することが可能であるとともに、ロック部材が係止爪とロック状態である際に係止爪がロック部材に付勢されるので係止爪の移動を規制することが可能である。よって、確実に係止爪をロック位置に位置させることが可能である。
【0080】
(ハ)請求項1〜5及び技術的思想(イ)、(ロ)のいずれかに記載の給電プラグロック装置において、前記ロック部材を移動させる駆動手段を備えることを特徴とする給電プラグロック装置。
【0081】
同構成によれば、駆動手段によってロック機構を自動でロック状態及びアンロック状態を切り換えることができる。
(二)請求項1〜5及び技術的思想(イ)〜(ロ)のいずれかに記載の給電プラグロック装置において、前記インレットが搭載されたマスタ装置には、通信端末と無線通信により当該通信端末のID照合を実行する無線認証システムが設けられ、前記給電プラグが前記インレットに接続されている際、前記無線認証システムのID照合結果を、前記給電プラグの操作者が正しいか否かの認証結果として取得する認証結果取得手段を備えたことを特徴とする給電プラグロック装置。
【0082】
同構成によれば、無線認証システムのID照合結果を認証結果取得手段が取得するので、操作者が正しいか否かの認証のために新たに認証結果を得るものをロック機構に設けずに済む。このため、構成を複雑化させずに済む。
【符号の説明】
【0083】
1…マスタ装置としての車両、2…駆動輪、3…ハイブリッドシステム、4…バッテリ、5…インレットとしてのインレット部、6…コンバータ、10…給電プラグ、11…本体、12…接続ケーブル、13…グリップ部、14…嵌着部、15…接続端子、16…回動軸、20…ロックアーム、21…係止爪、22…係止爪腕部、23…回動部、24…誘導手段及び付勢手段としての付勢ばね、31…挿込口、32…外周面上部、33…突部としての係合部、33a…挿込側案内手段としての挿込側斜面、33b…引抜側案内手段としての引抜側斜面、35…接続端子、36…検知センサ、40…ロック装置、41…ロック機構、42…ケース、43…凹部、44…誘導手段及び誘導壁としての上壁、45…ロック部材としてのロックバー、46…貫通孔、47…駆動手段としてのソレノイド、60…充電システム、61…外部電源、62…充電オンオフスイッチ、70…無線認証システムとしての電子キーシステム、71…照合ECU、72…車外LF発信機、73…車内LF発信機、74…UHF受信機、75…充電ECU、76…車内LAN、77…ロックECU、77a…照合結果取得部、77b…ロック機構制御部、78…取り外しスイッチ、80…通信端末としての電子キー、81…通信制御部、82…LF受信部、83…UHF発信部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インレットに給電プラグが接続されると、前記給電プラグの係止爪が前記インレットに係止状態をとって抜け止めされ、前記係止状態の解除操作が行われると、前記給電プラグを前記インレットから取り外せる給電プラグロック装置であって、
前記インレットに設けたロック部材を前記係止爪に係止することにより、前記給電プラグを前記インレットから引き抜くことを規制するロック状態とし、前記ロック部材を前記係止爪から退避させることにより、前記給電プラグを前記インレットから引き抜くことを可能とするアンロック状態とするロック機構を備えた
ことを特徴とする給電プラグロック装置。
【請求項2】
請求項1に記載の給電プラグロック装置において、
軸を支点に回動する前記係止爪を、前記ロック部材と係合するロック位置に誘導する誘導手段を備えた
ことを特徴とする給電プラグロック装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の給電プラグロック装置において、
前記インレットには、前記係止爪の係止先として突部が設けられ、当該突部と前記係止爪との間に前記ロック部材が入り込むことによって、前記ロック部材がロック状態をとる
ことを特徴とする給電プラグロック装置。
【請求項4】
請求項3に記載の給電プラグロック装置において、
前記給電プラグを前記インレットに接続する際に、前記突部に当接した前記係止爪の起き上がりを案内する挿込側案内手段を設けた
ことを特徴とする給電プラグロック装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の給電プラグロック装置において、
前記インレットに接続された前記給電プラグを前記インレットから引き抜く際に、前記突部に当接した前記係止爪の起き上がりを案内する引抜側案内手段を設けた
ことを特徴とする給電プラグロック装置。
【請求項1】
インレットに給電プラグが接続されると、前記給電プラグの係止爪が前記インレットに係止状態をとって抜け止めされ、前記係止状態の解除操作が行われると、前記給電プラグを前記インレットから取り外せる給電プラグロック装置であって、
前記インレットに設けたロック部材を前記係止爪に係止することにより、前記給電プラグを前記インレットから引き抜くことを規制するロック状態とし、前記ロック部材を前記係止爪から退避させることにより、前記給電プラグを前記インレットから引き抜くことを可能とするアンロック状態とするロック機構を備えた
ことを特徴とする給電プラグロック装置。
【請求項2】
請求項1に記載の給電プラグロック装置において、
軸を支点に回動する前記係止爪を、前記ロック部材と係合するロック位置に誘導する誘導手段を備えた
ことを特徴とする給電プラグロック装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の給電プラグロック装置において、
前記インレットには、前記係止爪の係止先として突部が設けられ、当該突部と前記係止爪との間に前記ロック部材が入り込むことによって、前記ロック部材がロック状態をとる
ことを特徴とする給電プラグロック装置。
【請求項4】
請求項3に記載の給電プラグロック装置において、
前記給電プラグを前記インレットに接続する際に、前記突部に当接した前記係止爪の起き上がりを案内する挿込側案内手段を設けた
ことを特徴とする給電プラグロック装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の給電プラグロック装置において、
前記インレットに接続された前記給電プラグを前記インレットから引き抜く際に、前記突部に当接した前記係止爪の起き上がりを案内する引抜側案内手段を設けた
ことを特徴とする給電プラグロック装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−253671(P2011−253671A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−125809(P2010−125809)
【出願日】平成22年6月1日(2010.6.1)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月1日(2010.6.1)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】
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