説明

給電装置

【課題】構成部品の共用化を図ることで大型化の抑制を可能とする給電装置を提供する。
【解決手段】給電装置において、交流電源部110から供給される電力を整流する整流部120と、整流部120で整流された電力の電圧調整をして、蓄電池210に対して接触式の給電を可能とする昇降圧回路130と、整流部120の電力によって自己誘導起電力を発生させて、非接触式の給電を可能とする1次側共振回路150と、昇降圧回路130と1次側共振回路150との作動を切替える作動切替えリレー162a〜162cと、スイッチング切替えによって昇降圧回路130の作動および1次側共振回路150の作動の両方を行うスイッチング素子141〜144と、作動切替えリレー162a〜162cの切替えを行うと共に、スイッチング素子141〜144の切替えを行うことによって昇降圧回路130あるいは1次側共振回路150の作動を制御する制御部170とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電池に対して接触式、あるいは非接触式にて電力の供給を行う給電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の車両用電源装置として、例えば特許文献1に示されたものが知られている。特許文献1の車両用電源装置(車両用電源システム)は、車両に搭載された蓄電部と住宅電源とが電気的に接続された状態で電力の授受を行う導通充電手段と、蓄電部と車両外部の誘導充電型充電器とが磁気的に結合された状態で電力の授受を行う誘導充電手段との、2つの充電手段を備えている。
【0003】
導通充電手段においては、コネクタによって住宅電源と車両とが接続されると、住宅電源からの商用交流電力は、インバータによって直流電力に変換されて、蓄電部に充電されるようになっている。また、誘導充電手段においては、誘導充電型充電器のパドルに自己誘導起電力が誘起され、これによって車両側のポートに相互誘導起電力が誘起され、ポートに誘起された電圧が整流回路によって直流電圧に整流されて、蓄電部に充電されるようになっている。このように、特許文献1では、導通式あるいは誘導式による2種類の充電が可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−220130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1では、蓄電部への充電に際して、導通充電手段と誘導充電手段との2つの充電手段を独立して設けているので、充電手段全体として大型となり、コスト増に繋がっている。
【0006】
本発明の目的は、上記問題に鑑み、蓄電池への充電を行う際に、接触式あるいは非接触式のいずれかを使い分けることのできるものにおいて、構成部品の共用化を図ることで大型化の抑制を可能とする給電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記目的を達成するために、以下の技術的手段を採用する。
【0008】
請求項1に記載の発明では、給電装置において、交流電源部(110)から供給される電力を整流する整流部(120)と、
整流部(120)で整流された電力の電圧調整をして、蓄電池(210)に対して接触式の給電を可能とする昇降圧回路(130)と、
整流部(120)で整流された電力によって自己誘導起電力を発生させて、2次側共振回路(230)を介して充電する蓄電池(220)に対して非接触式の給電を可能とする1次側共振回路(150)と、
昇降圧回路(130)と、1次側共振回路(150)との作動を切替える作動切替えリレー(162a〜162c)と、
昇降圧回路(130)と、1次側共振回路(150)とに対して共用設定されて、スイッチング切替えによって昇降圧回路(130)の作動および1次側共振回路(150)の作動の両方を行うスイッチング素子(141〜144)と、
作動切替えリレー(162a〜162c)の切替えを行うと共に、スイッチング素子(141〜144)の切替えを行うことによって、昇降圧回路(130)あるいは1次側共振回路(150)の作動を制御する制御部(170)とを備えることを特徴としている。
【0009】
この発明によれば、制御部(170)は、作動切替えリレー(162a〜162c)の切替えによって昇降圧回路(130)を作動状態とすることで、交流電源部(110)から供給される電力を整流部(120)によって整流し、更に昇降圧回路(130)によって電圧調整して、蓄電池(210)に対して接触式の給電を行う接触式給電装置として機能させることができる。
【0010】
また、制御部(170)は、作動切替えリレー(162a〜162c)によって1次側共振回路(150)を作動状態とすることで、交流電源部(110)から供給される電力を整流部(120)によって整流し、更に1次側共振回路(150)にて自己誘導起電力を発生させ、2次側共振回路(230)を介して充電する蓄電池(220)に対して非接触式の給電を行う非接触式給電装置として機能させることができる。
【0011】
ここで、昇降圧回路(130)の作動を行うスイッチング素子(141〜144)と、1次側共振回路(150)の作動を行うスイッチング素子(141〜144)とが、互いに共用設定されるようにしているので、構成部品の共用化を図ることができ、給電装置(100)の大型化を抑制すると共に低コスト化を図ることができる。
【0012】
請求項2に記載の発明では、昇降圧回路(130)は、蓄電池(210)とは異なる他の蓄電池(220)に対しても接触式の給電を可能としており、
昇降圧回路(130)から蓄電池(210)、あるいは他の蓄電池(220)への給電を切替える給電切替えリレー(163a〜163d)を備え、
制御部(170)は、作動切替えリレー(162a〜162c)の切替え、およびスイッチング素子(141〜144)の切替えによって昇降圧回路(130)を作動させると共に、給電切替えリレー(163a〜163d)の切替えによって蓄電池(210)あるいは他の蓄電池(220)への給電を制御することを特徴としている。
【0013】
この発明によれば、制御部(170)は、作動切替えリレー(162a〜162c)の切替え、およびスイッチング素子(141〜144)の切替えによって昇降圧回路(130)を作動状態とし、給電切替えリレー(163a〜163d)によって昇降圧回路(130)から蓄電池(210)への給電が可能となるように切替えることで、蓄電池(210)への接触式給電が可能となる。また、制御部(170)は、作動切替えリレー(162a〜162c)の切替え、およびスイッチング素子(141〜144)の切替えによって昇降圧回路(130)を作動状態とし、給電切替えリレー(163a〜163d)によって昇降圧回路(130)から他の蓄電池(220)への給電が可能となるようにすることで、他の蓄電池(220)への接触式給電が可能となる。このように、蓄電池(210)に加えて他の蓄電池(220)を備える場合において、蓄電池(210)および他の蓄電池(220)への接触式給電の切替えが可能となる。
【0014】
請求項3に記載の発明では、整流部(120)と昇降圧回路(130)との間から分岐して、蓄電池(210)とは異なる他の蓄電池(220)への接続を可能とする電力線(185、186)と、
電力線(185、186)の途中部位における切断状態あるいは接続状態を形成する電力線断続リレー(164a、164b)とを備え、
制御部(170)は、作動切替えリレー(162a〜162c)の切替え、およびスイッチング素子(141〜144)の切替えによって昇降圧回路(130)を作動させると共に、電力線断続リレー(164a、164b)によって電力線(185、186)を接続状態にして、蓄電池(210)および他の蓄電池(220)間の給電を制御することを特徴としている。
【0015】
この発明によれば、制御部(170)は、作動切替えリレー(162a〜162c)の切替え、およびスイッチング素子(141〜144)の切替えによって昇降圧回路(130)を作動状態とし、更に電力線断続リレー(164a、164b)によって電力線(185、186)を接続状態にすることで、蓄電池(210)と他の蓄電池(220)とを昇降圧回路(130)を介して接続状態にすることができる。よって、蓄電池(210)から他の蓄電池(220)への給電、あるいは他の蓄電池(220)から蓄電池(210)への給電が可能となる。
【0016】
請求項4に記載の発明では、蓄電池(210)は、1次側共振回路(150)に接続されており、
制御部(170)は、作動切替えリレー(162a〜162c)の切替えによって1次側共振回路(150)を作動させ、蓄電池(210)から1次側共振回路(150)に給電すると共に、スイッチング素子(141〜144)の切替えによって1次側共振回路(150)の作動を制御することを特徴としている。
【0017】
この発明によれば、制御部(170)は、蓄電池(210)から1次側共振回路(150)に給電することで、1次側共振回路(150)にて自己誘導起電力を発生させることができ、2次側共振回路(230)を介して充電する蓄電池(220)に対して非接触式の給電を行う非接触式給電装置として機能させることができる。
【0018】
尚、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1実施形態における給電装置を示す回路図である。
【図2】交流電源部から住宅バッテリへの接触式給電状態を示す回路図である。
【図3】交流電源部から車両バッテリへの接触式給電状態を示す回路図である。
【図4】住宅バッテリと車両バッテリ間の接触式給電状態を示す回路図である。
【図5】交流電源部からの非接触式給電状態を示す回路図である。
【図6】住宅バッテリからの非接触式給電状態を示す回路図である。
【図7】車両バッテリと昇降圧回路との接続形態を示す回路図である。
【図8】その他の実施形態における給電装置を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
【0021】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態における給電装置100について図1(あるいは図5、図6)を参照しながら説明する。図1は、給電装置100を示す回路図である。
【0022】
図1に示すように、給電装置100は、例えば住宅に設けられて、住宅バッテリ210、あるいは車両バッテリ220に接触式の給電(充電)を行う、または、図5、図6に示す非接触式充電器の2次側共振回路230に接続されるバッテリ(ここでは車両バッテリ220)に非接触式の給電(充電)を行う装置である。また、給電装置100は、住宅バッテリ210および車両バッテリ220間の給電も可能としている。
【0023】
住宅バッテリ210は、住宅に設置されて、住宅内における例えばエアコン、テレビ、冷蔵庫、照明、電気給湯器等の各種家電機器に対して電力供給を行うバッテリである。車両バッテリ220は、例えばハイブリッド自動車や電気自動車に搭載されて、走行用駆動源となる走行用モータに電力供給を行うバッテリである。住宅バッテリ210は、本発明における蓄電池に対応し、車両バッテリ220は、本発明における他の蓄電池および2次側共振回路を介して充電する蓄電池に対応する。
【0024】
給電装置100は、交流電源部110、整流回路120、昇降圧回路130、スイッチング素子141〜144、1次側共振回路150、リレー161a、161b、162a〜162c、163a〜163d、164a、164b、および制御装置170等を備えている。
【0025】
交流電源部110は、商用の交流電力(例えば3相交流電力)を整流回路120に対して供給する電源部である。整流回路120は、交流電力を直流電力に整流する整流部である。交流電源部110と整流回路120との間には、リレー161a、161bが設けられており、リレー161a、161bのオンオフによって、交流電源部110と整流回路120との間が接続状態、あるいは切断状態に切替えができるようになっている。リレー161a、161bのオンオフは、制御装置170によって制御されるようになっている。
【0026】
昇降圧回路130は、整流回路120によって整流された電力の電圧を、各バッテリ210、220に必要とされる電圧に調整する昇降圧部である。昇降圧回路130は、H状を成すと共にH状の低電位側同士が接続された回路を成しており、H状の中央部にリアクトル131が設けられている。リアクトル131は、エネルギを蓄えるための巻線である。また、H状の端部側となる4つの部位には、ダイオードを備えるスイッチング素子141〜144が設けられている。
【0027】
昇降圧回路130においては、スイッチング素子141〜144のうち、所定部位のスイッチング素子がオンにされ、他の部位のスイッチング素子がオフにされることによって昇降圧回路130の作動状態が形成され、リアクトル131に流れる電流が調整されて、整流回路120によって整流された電力の電圧調整が行われるようになっている。スイッチング素子141〜144のオンオフは、制御装置170によって制御されるようになっている。
【0028】
そして、昇降圧回路130には、リアクトル131に対して直列配置されるリレー162aが設けられている。リレー162aのオンオフによって、昇降圧回路130の作動状態、あるいは非作動状態が切替えされるようになっている。リレー162aのオンオフは、制御装置170によって制御されるようになっている。
【0029】
1次側共振回路150は、整流回路120によって整流された電力によって自己誘導起電力を発生させて、例えば図5、図6に示すように、2次側共振回路230を備えるバッテリ(例えば車両バッテリ220)に対して非接触式の給電を可能とするトランス部である。1次側共振回路150は、2次側共振回路230に対して非接触の状態で、2次側共振回路230に接続される車両バッテリ220への給電を可能とする。
【0030】
1次側共振回路150は、H状を成すと共にH状の高電位側同士および低電位側同士が接続された回路を成しており、H状の中央部に1次側コイル151およびキャパシタ152が設けられている。1次側コイル151とキャパシタ152は直列に接続されている。1次側コイル151は、供給される電流によって自己誘導起電力を誘起させるための巻線である。また、キャパシタ152は、給電時の電力に含まれる変動成分を低減する蓄電部である。また、H状の端部側となる4つの部位には、ダイオードを備えるスイッチング素子141〜144が設けられている。
【0031】
1次側共振回路150においては、4つのスイッチング素子141〜144のうち、対角上に位置するスイッチング素子141、144が対となり、またスイッチング素子142、143が対となり、対となったスイッチング素子141、144と、スイッチング素子142、143とが高速で交互にオンオフすることで、1次側共振回路150の作動状態が制御され、自己誘導起電力が発生されるようになっている。スイッチング素子141〜144のオンオフは、制御装置170によって制御されるようになっている。
【0032】
本実施形態では、昇降圧回路130を構成するスイッチング素子141〜144と、1次側共振回路150を構成するスイッチング素子141〜144とは、共用設定されたスイッチング素子141〜144となっている。スイッチング素子141〜144は、オンオフの切替えによって、昇降圧回路130の作動と、1次側共振回路150の作動との両方を行うことができるようになっている。
【0033】
そして、1次側共振回路150には、1次側コイル151、キャパシタ152に対して直列配置されるリレー162bが設けられている。また、1次側共振回路150の高電位側には、リレー162cが設けられている。リレー162b、162cのオンオフによって、1次側共振回路150の作動状態、あるいは非作動状態が切替えされるようになっている。リレー162b、162cのオンオフは、制御装置170によって制御されるようになっている。
【0034】
昇降圧回路130におけるリレー162a、および1次側共振回路150におけるリレー162b、162cは、本発明において、昇降圧回路130と1次側共振回路150との作動を切替える作動切替えリレーに対応する。
【0035】
上記1次側共振回路150と共に車両バッテリ220に非接触式の給電を行う2次側共振回路230は、図5、図6に示すように、2次側コイル231とキャパシタ232とが並列に接続されて形成されている。2次側共振回路230は、1次側共振回路150に近接配置された際に、1次側共振回路150の自己誘導起電力によって、同様に自己誘導起電力を誘起させるトランス部となっている。2次側共振回路230と車両バッテリ220との間には、2次側共振回路230側から順に整流回路240、およびリレー165a、165bが設けられている。リレー165a、165bのオンオフによって、2次側共振回路230と車両バッテリ220との間が接続状態、あるいは切断状態に切替えができるようになっている。リレー165a、165bのオンオフは、制御装置170によって制御されるようになっている。
【0036】
昇降圧回路130の出力部130A、130Bには、それぞれ電力線181、182の一端側が接続されている。そして、電力線181、182の他端側は、住宅バッテリ210に接続されている。
【0037】
電力線181の途中部位には、リレー163aが設けられ、また電力線182の途中部位には、リレー163bが設けられている。リレー163a、163bのオンオフによって、昇降圧回路130と住宅バッテリ210との間は、接続状態、あるいは切断状態に切替えができるようになっている。リレー163a、163bのオンオフは、制御装置170によって制御されるようになっている。
【0038】
電力線181には、電力線181の途中部位であって出力部130Aとリレー163aとの間から分岐する電力線183が設けられ、また電力線182には、電力線182の途中部位であって出力部130Bとリレー163bとの間から分岐する電力線184が設けられている。そして、分岐された電力線183、184の先端側は、車両バッテリ220に接続可能となっている。つまり、電力線183、184の先端側には例えば接続部が設けられており、必要に応じて車両バッテリ220への接続、あるいは取り外しが可能となっている。例えば、車両バッテリ220と昇降圧回路130とを図7に示すコネクタ980とプラグ982とを通して接続することが可能である。この場合、コネクタ980から車両バッテリ220側が車両で、プラグ982から昇降圧回路130を含む側が地上側となる。このプラグ982とコネクタ980は標準化された形態で接続することも可能である。(日本国内でのCHAdeMO規格準拠など)。そして、電力線183、184(プラグ980)の車両バッテリ220(コネクタ980)に対する接続状態は、制御装置170において、認識可能となっている。
【0039】
電力線183の途中部位には、リレー163cが設けられ、また電力線184の途中部位には、リレー163dが設けられている。リレー163c、163dのオンオフによって、昇降圧回路130と車両バッテリ220との間は、接続状態、あるいは切断状態に切替えができるようになっている。リレー163c、163dのオンオフは、制御装置170によって制御されるようになっている。
【0040】
電力線181、182におけるリレー163a、163b、および電力線183、184におけるリレー163c、163cは、本発明において、昇降圧回路130から住宅バッテリ210への給電と、昇降圧回路130から車両バッテリ220への給電とを切替える給電切替えリレーに対応する。
【0041】
更に、整流回路120と昇降圧回路130とを高電位側で接続する電力線187には、電力線187の途中部位から分岐する電力線185が設けられ、また整流回路120と昇降圧回路130とを低電位側で接続する電力線188には、電力線188の途中部位から分岐する電力線186が設けられている。そして、分岐された電力線185の先端側は、電力線183の車両バッテリ220とリレー163cとの間に接続されている。また分岐された電力線186の先端側は、電力線184の車両バッテリ220とリレー163dとの間に接続されている。
【0042】
電力線185の途中部位には、リレー164aが設けられ、また電力線186の途中部位には、リレー164bが設けられている。リレー164a、164bのオンオフによって、昇降圧回路130の入力部130C、130Dと車両バッテリ220との間は、接続状態、あるいは切断状態に切替えができるようになっている。リレー164a、164bのオンオフは、制御装置170によって制御されるようになっている。
【0043】
電力線185、186におけるリレー164a、164bは、本発明において、電力線185、186の途中部位における切断状態あるいは接続状態を切替える電力線断続リレーに対応する。
【0044】
制御装置170は、スイッチング素子141〜144、およびリレー161a、161b、162a〜162c、163a〜163d、164a、164b、165a、165bのオンオフを行うことで、住宅バッテリ210および車両バッテリ220への給電、1次側共振回路150を用いた非接触式の給電、および住宅バッテリ210と車両バッテリ220間の給電を制御する制御部となっている。
【0045】
尚、制御装置170は、使用者からの指示に基づいて給電を開始し、各バッテリ210、220への充電状態を見て、給電を停止する。あるいは、制御装置170は、使用者からの給電のための設定条件(例えば、何時までに給電完了等)および各バッテリ210、220の充電状態に基づいて、給電のためのスケジュールを作成して、作成したスケジュールに従って給電の開始、停止を行う。
【0046】
次に、上記構成に基づく給電装置100の作動および作用効果について、図2〜図6を加えて説明する。制御装置170は、以下のような給電モード1〜5を可能としている。尚、図2〜図6において、各リレーによって接続された回路部分を太い実線で示している。
【0047】
1.交流電源部から住宅バッテリへの接触式給電
図2に示すように、制御装置170は、リレー161a、161bをオンにして交流電源部110と整流回路120との間が接続状態となるようにする。また、リレー162aをオンにし、リレー162b、162cをオフにして、昇降圧回路130と1次側共振回路150のうち、昇降圧回路130が作動可能となるようにする。また、リレー163a、163bをオンにし、リレー163c、163dをオフにして、住宅バッテリ210と車両バッテリ220のうち、住宅バッテリ210が昇降圧回路130に接続状態となるようにする。また、リレー164a、164bをオフにして、電力線185、186が切断状態となるようにする。
【0048】
上記のリレーオンオフにより、給電装置100においては、交流電源部110、整流回路120、昇降圧回路130、および住宅バッテリ210が順に繋がる。そして、交流電源部110から供給される交流電力は、整流部120で整流される。制御装置170は、スイッチング素子141〜144のオンオフ制御を行うことで、昇降圧回路130による電圧の調整を行う。そして、電圧調整された電力は、住宅バッテリ210に供給され、住宅バッテリ210は充電される。
【0049】
2.交流電源部から車両バッテリへの接触式給電
図3に示すように、制御装置170は、リレー161a、161bをオンにして交流電源部110と整流回路120との間が接続状態となるようにする。また、リレー162aをオンにし、リレー162b、162cをオフにして、昇降圧回路130と1次側共振回路150のうち、昇降圧回路130が作動可能となるようにする。また、リレー163c、163dをオンにし、リレー163a、163bをオフにして、住宅バッテリ210と車両バッテリ220のうち、車両バッテリ220が昇降圧回路130に接続可能状態となるようにする。また、リレー164a、164bをオフにして、電力線185、186が切断状態となるようにする。
【0050】
上記のリレーオンオフにより、給電装置100においては、交流電源部110、整流回路120、および昇降圧回路130が順に繋がる。使用者によって電力線183、184の先端側のコネクタが車両バッテリ220に接続されると、交流電源部110、整流回路120、昇降圧回路130、および車両バッテリ220が順に繋がる。このとき、制御装置170は、コネクタの接続状態を認識する。そして、交流電源部110から供給される交流電力は、整流部120で整流される。制御装置170は、スイッチング素子141〜144のオンオフ制御を行うことで、昇降圧回路130による電圧の調整を行う。そして、電圧調整された電力は、車両バッテリ220に供給され、車両バッテリ220は充電される。
【0051】
3.住宅バッテリと車両バッテリ間の接触式給電
図4に示すように、制御装置170は、リレー161a、161bをオフにして交流電源部110と整流回路120との間が切断状態となるようにする。また、リレー162aをオンにし、リレー162b、162cをオフにして、昇降圧回路130と1次側共振回路150のうち、昇降圧回路130が作動可能となるようにする。また、リレー163a、163bをオンにし、リレー163c、163dをオフにして、住宅バッテリ210と車両バッテリ220のうち、住宅バッテリ210が昇降圧回路130に接続状態となるようにする。また、リレー164a、164bをオンにして、電力線185、186が接続状態となるようにする。リレー164a、164bをオンにすることで、使用者によって電力線183、184の先端側のコネクタが車両バッテリ220に接続されると、車両バッテリ220は、昇降圧回路130の入力部130C、130Dに接続されることになる。
【0052】
上記のリレーオンオフおよびコネクタの接続により、給電装置100においては、住宅バッテリ210、昇降圧回路130、および車両バッテリ220が順に繋がる。そして、制御装置170は、スイッチング素子141〜144のオンオフ制御を行うことで、昇降圧回路130による電圧の調整を行う。これにより、住宅バッテリ210および車両バッテリ220間での給電が可能となる。制御装置170は、充電量の多いバッテリから充電量の少ないバッテリへの給電を行う。例えば、制御装置170は、車両バッテリ220への給電要求があると、住宅バッテリ210から車両バッテリ220への給電を行う。逆に、住宅で使用する電力が増加して住宅バッテリ210の充電量が低下すると、車両バッテリ220から住宅バッテリ210への給電を行う。
【0053】
4.交流電源部からの非接触式給電
図5に示すように、制御装置170は、リレー161a、161bをオンにして交流電源部110と整流回路120との間が接続状態となるようにする。また、リレー162b、162cをオンにし、リレー162aをオフにして、昇降圧回路130と1次側共振回路150のうち、1次側共振回路150が作動可能となるようにする。また、リレー163a〜163dをオフにして、住宅バッテリ210と車両バッテリ220との両者が、昇降圧回路130および1次側共振回路150から切断状態となるようにする。また、リレー164a、164bをオフにして、電力線185、186が切断状態となるようにする。また、リレー165a、165bをオンにして2次側共振回路230が車両バッテリ220と接続状態となるようにする。このとき、1次側共振回路150には、2次側共振回路230が、非接触の状態で近接配置されて給電の準備がなされる。
【0054】
上記のリレーオンオフにより、給電装置100においては、交流電源部110、整流回路120、および1次側共振回路150が順に繋がる。そして、交流電源部110から供給される交流電力は、整流部120で整流される。制御装置170は、スイッチング素子141〜144のオンオフ制御を行うことで、1次側共振回路150の1次側コイル151に自己誘導起電力を発生させる。そして、2次側共振回路230にも自己誘導起電力が発生されて、この自己誘導起電力が整流回路240で整流されて、1次側共振回路150から車両バッテリ220への非接触による給電が行われ、車両バッテリ220は充電される。
【0055】
5.住宅バッテリからの非接触式給電
図6に示すように、制御装置170は、リレー161a、161bをオフにして交流電源部110と整流回路120との間が切断状態となるようにする。また、リレー162b、162cをオンにし、リレー162aをオフにして、昇降圧回路130と1次側共振回路150のうち、1次側共振回路150が作動可能となるようにする。また、リレー163a、163bをオンにし、リレー163c、163dをオフにして、住宅バッテリ210と車両バッテリ220のうち、住宅バッテリ210が1次側共振回路150に接続状態となるようにする。また、リレー164a、164bをオフにして、電力線185、186が切断状態となるようにする。また、リレー165a、165bをオンにして2次側共振回路230が車両バッテリ220と接続状態となるようにする。このとき、1次側共振回路150には、2次側共振回路230が、非接触の状態で近接配置されて給電の準備がなされる。
【0056】
上記のリレーオンオフにより、給電装置100においては、住宅バッテリ210、および1次側共振回路150が順に繋がる。そして、住宅バッテリ210から供給される直流電力は、1次側共振回路150に至る。制御装置170は、スイッチング素子141〜144のオンオフ制御を行うことで、1次側共振回路150の1次側コイル151に自己誘導起電力を発生させる。そして、2次側共振回路230にも自己誘導起電力が発生されて、この自己誘導起電力が整流回路240で整流されて、1次側共振回路150から車両バッテリ220への非接触による給電が行われ、車両バッテリ220は充電される。
【0057】
以上のように、本実施形態では、制御装置170は、リレー161a、161b、162a〜162d、163a〜163d、164a、164b、165a、165bのオンオフ切替えを行うと共に、スイッチング素子141〜144のオンオフ制御を行うことで、上記1〜5のように種々のモードによる給電を可能としている。給電モード1〜3は接触式の給電であり、またモード4、5は非接触式の給電である。
【0058】
ここで、昇降圧回路130を作動させるスイッチング素子141〜144と、1次側共振回路150を作動させるスイッチング素子141〜144とが、互いに共用設定されるようにしているので、構成部品の共用化を図ることができ、給電装置100の大型化を抑制すると共に低コスト化を図ることができる。
【0059】
(その他の実施形態)
上記第1実施形態では、1次側共振回路150は、1次側コイル151とキャパシタ152とが直列に接続されて形成されるものとして説明したが、これに限らず、図8に示すように、一次側コイル151とキャパシタ152とが並列に接続されて形成される1次側共振回路150Aとしても良い。
【0060】
また、本発明における給電装置は、交流電源部110、整流回路120、昇降圧回路130、スイッチング素子141〜144、1次側共振回路150、リレー162a〜162c、および制御装置170を最小限備え、例えば住宅バッテリ210に対して接触式給電(第1実施形態で説明した給電モード1)、あるいは例えば2次側共振回路230を備える車両バッテリ220に対して非接触式給電(第1実施形態で説明した給電モード4)を可能とするものである。よって、以下のような変形例1〜4での対応も可能である。
【0061】
変形例1
上記実施形態の給電装置100に対して、電力線183〜186、リレー161a、161b、163a〜163d、164a、164bを廃止したものとしても良い。この場合は、第1実施形態で説明した給電モードの1、4の対応が可能である。
【0062】
変形例2
上記実施形態の給電装置100に対して、電力線185、186、リレー161a、161b、164a、164bを廃止したものとしても良い。この場合は、第1実施形態で説明した給電モードの1、2、4の対応が可能である。
【0063】
変形例3
上記実施形態の給電装置100に対して、電力線183、184、リレー163a〜163dを廃止したものとしても良い。この場合は、第1実施形態で説明した給電モードの1、3、4の対応が可能である。
【0064】
変形例4
上記実施形態の給電装置100に対して、電力線183〜186、リレー163a〜163d、164a、164bを廃止したものとしても良い。この場合は、第1実施形態で説明した給電モードの1、4、5の対応が可能である。
【0065】
また、制御装置170は、車両に設けられた車両制御装置から通信によって接続されて、車両制御装置からの指令によって給電装置100を制御するものとしても良い。
【符号の説明】
【0066】
100 給電装置
110 交流電源部
120 整流回路(整流部)
130 昇降圧回路
141〜144 スイッチング素子
150 1次側共振回路
162a〜162c リレー(作動切替えリレー)
163a〜163d リレー(給電切替えリレー)
164a、164b リレー(電力線断続リレー)
170 制御装置(制御部)
210 住宅バッテリ(蓄電池)
220 車両バッテリ(他の蓄電池)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源部(110)から供給される電力を整流する整流部(120)と、
前記整流部(120)で整流された電力の電圧調整をして、蓄電池(210)に対して接触式の給電を可能とする昇降圧回路(130)と、
前記整流部(120)で整流された電力によって自己誘導起電力を発生させて、2次側共振回路(230)を介して充電する蓄電池(220)に対して非接触式の給電を可能とする1次側共振回路(150)と、
前記昇降圧回路(130)と、前記1次側共振回路(150)との作動を切替える作動切替えリレー(162a〜162c)と、
前記昇降圧回路(130)と、前記1次側共振回路(150)とに対して共用設定されて、スイッチング切替えによって前記昇降圧回路(130)の作動および前記1次側共振回路(150)の作動の両方を行うスイッチング素子(141〜144)と、
前記作動切替えリレー(162a〜162c)の切替えを行うと共に、前記スイッチング素子(141〜144)の切替えを行うことによって、前記昇降圧回路(130)あるいは前記1次側共振回路(150)の作動を制御する制御部(170)とを備えることを特徴とする給電装置。
【請求項2】
前記昇降圧回路(130)は、前記蓄電池(210)とは異なる他の蓄電池(220)に対しても接触式の給電を可能としており、
前記昇降圧回路(130)から前記蓄電池(210)、あるいは前記他の蓄電池(220)への給電を切替える給電切替えリレー(163a〜163d)を備え、
前記制御部(170)は、前記作動切替えリレー(162a〜162c)の切替え、および前記スイッチング素子(141〜144)の切替えによって前記昇降圧回路(130)を作動させると共に、前記給電切替えリレー(163a〜163d)の切替えによって前記蓄電池(210)あるいは前記他の蓄電池(220)への給電を制御することを特徴とする請求項1に記載の給電装置。
【請求項3】
前記整流部(120)と前記昇降圧回路(130)との間から分岐して、前記蓄電池(210)とは異なる他の蓄電池(220)への接続を可能とする電力線(185、186)と、
前記電力線(185、186)の途中部位における切断状態あるいは接続状態を形成する電力線断続リレー(164a、164b)とを備え、
前記制御部(170)は、前記作動切替えリレー(162a〜162c)の切替え、および前記スイッチング素子(141〜144)の切替えによって前記昇降圧回路(130)を作動させると共に、前記電力線断続リレー(164a、164b)によって前記電力線(185、186)を接続状態にして、前記蓄電池(210)および前記他の蓄電池(220)間の給電を制御することを特徴とする請求項1に記載の給電装置。
【請求項4】
前記蓄電池(210)は、前記1次側共振回路(150)に接続されており、
前記制御部(170)は、前記作動切替えリレー(162a〜162c)の切替えによって前記1次側共振回路(150)を作動させ、前記蓄電池(210)から前記1次側共振回路(150)に給電すると共に、前記スイッチング素子(141〜144)の切替えによって前記1次側共振回路(150)の作動を制御することを特徴とする請求項1に記載の給電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−200064(P2012−200064A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−61864(P2011−61864)
【出願日】平成23年3月21日(2011.3.21)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】