説明

統合されたセンサシステム

1本以上の露光ビームをターゲット上に集束させるための投影レンズシステム(132)と、ターゲット(9)を支える可動テーブル(134)と、投影レンズシステムの最後の集束要素(104)とターゲット(9)の表面との間の距離に関連する測定を行なう静電容量感知システム(300)と、静電容量感知システムからの信号に少なくとも部分的に基づいて、ターゲット(9)の位置を調整するために、可動テーブル(134)の動きを制御する制御ユニット(400)と、を具備する、リソグラフィマシンのための統合されたセンサシステム。静電容量感知システム(300)は、複数の静電容量センサ(30)を具備しており、各静電容量センサ(30)は、薄膜構造を備えている。静電容量センサと投影レンズシステムの最後の集束要素は、共通のベース(112)に直接にマウントされ、静電容量センサは、投影レンズシステムの最後の集束要素の縁部のすぐ近くに配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、距離を測定するための静電容量センサ、特に、リソグラフィ装置においてターゲットまでの距離を測定するための静電容量センサに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体デバイスの製造工程の一部として、ウェーハ及び他のターゲット上にパターンを露光するために、荷電粒子及び光のリソグラフィマシン及び検査マシンが使用されている。リソグラフィシステムでは、通常、リソグラフィマシンによって生成された光又は粒子の露光ビームによって、複数の位置でウェーハに露光する。通常、ウェーハは、ウェーハテーブル上に置かれる。一般に、静止している電子/光学コラムに対するウェーハテーブルの制御された変位によって、複数の露光が達成される。一般に、露光はウェーハの表面上に連続的に行なわれる。
【0003】
露光されるウェーハの表面が完全に平らであることは、ほとんどない。一般的なウェーハは、ウェーハテーブルにクランプで留めないならば、50μmまでの湾曲(bow)をそこに有し得る。ウェーハの湾曲とは別に、ウェーハの表面は、その表面の全体にわたって他の非一様性を有し得る。ウェーハの湾曲と他の非一様性は、ウェーハの表面における高さの変化をもたらす。最新のリソグラフィマシンに要求される極めて高い精度を達成するために、この高さの変化を修正して、ウェーハの表面を維持し、光又は粒子の露光ビームをウェーハ上に集束させるために使用される投影レンズの焦点面において、ウェーハの表面に露光することが必要である。
【0004】
ウェーハの表面の高さにおけるこれらの変化を補正するために、ウェーハを支えるウェーハテーブルを調整してもよい。露光されるウェーハの表面を投影レンズの焦点面に持ってくるために、ウェーハテーブルの高さを調整してもよい。センサが、ウェーハの表面の高さを測定し、例えば、投影レンズとウェーハの表面との間の距離を測定し、センサから送信される信号を使用して、ウェーハテーブルの高さの制御を達成してもよい。最新のリソグラフィマシンに要求される極めて高い精度で確実にウェーハの位置を正確に制御するために、高感度のセンサが必要である。このタイプの応用には、様々なタイプのセンサ、例えば静電容量プローブが、使用される。しかしながら、既存の静電容量プローブと、関連する測定及び制御システムは、幾つかの欠点を有する。
【0005】
既存の静電容量センサは、一般に、高さとセンサエリアとの両者が大きい。図1Aと1Bは、先行技術の静電容量センサの構造を示している。図1Aはセンサプローブの断面図を示しており、図1Bは端面図を示している。導電性感知電極2は、導電性ガード電極3によって囲まれている。絶縁層4は、2つの電極を切り離している。ハウジング6からガード電極3を切り離すために、別の絶縁層5を使用してもよい。電気ケーブル7とコネクタ8は、要求される最終的な測定信号を導き出すために、信号処理システムにセンサを接続する。センサの動作範囲は、感知電極2の下の感知エリアによって決まる。ガード電極3は、感知電極と同じ電位に設定され、電界を感知エリア内に制限して、感知電極2とターゲット9との間に比較的に一様な電界を生成する。このタイプの構成は、全体的に約20mmの高さの比較的に丈が高いセンサと、比較的に大きな感知電極とをもたらす。
【0006】
センサの幅と高さが比較的に大きいと、投影レンズから比較的遠くにセンサを配置しなければならず、製造公差と熱膨張とによるセンサと投影レンズとの相対的な位置の変化が原因で、誤差が取り込まれる。更に、既存の静電容量プローブの比較的に大きなサイズのために、マルチセンサ構成の中の個々のセンサ間に比較的に大きな間隔を置く必要があり、感知システムの空間解像度が下がり、その結果、ウェーハの表面の小さなエリアの全体にわたって存在するウェーハの表面の非一様性が検出されなくなり得る。更に、比較的広い間隔のために、測定工程がより遅くなり、これらのシステムを使用するリソグラフィマシンのスループットを下げる。
【0007】
英国特許第2,131,176号は、銅のコーティングが片側に付着されている2枚の熱可塑性高分子膜を粘着剤で一緒に接合して、一方のシートの銅被覆面を他方のシートの非被覆面に接合することによって製造される、静電容量距離測定プローブについて記載している。一方のシート上の露出した銅のコーティングは、感知電極を構成する第1のエリアと、感知電極を少なくとも部分的に囲んでいる第2のエリアとに分割され、他方のシート上の銅のコーティングと電気的に相互接続され、感知電極に対するガード電極を定める。この構成は、感知電極を囲んでいるガード電極を備えることにより、図1に示されている構成に似ている。感知電極と、囲んでいるガード電極との両者は、層状デバイスの同じレベルにおいて、同じ表面上に形成されている。この結果、異なる導電層を電気的に接続しなければならず、従って、より複雑でコストのかかる製造工程が必要な構造になる。
【0008】
更に、これらのセンサへの配線接続を行なうのは困難である。配線は静電容量を取り込む。この静電容量は、センサの読み出しに影響を及ぼし、考慮に入れる必要があり、通常は、組み合わされたセンサと配線の取り付けを較正する必要がある。センサの配線と一緒に既存のセンサを較正しなければならないということは、センサを交換する度に再較正しなければならず、交換を複雑にし、時間と費用がかかる。
【0009】
米国特許第4,538,069号は、レチクルを露光する単一電子ビームリソグラフィマシンのための静電容量の高さのゲージを較正する方法について記載している。最初に、レーザ干渉計を使用して、高さのゲージを較正器具において較正する。次に、リソグラフィステーションに対する単一電子ビームリソグラフィマシンの位置を再び定めて、レクチルを露光し、静電容量のゲージで、レクチルまでの距離を測定する。静電容量のゲージは、電子ビーム光学ハウジングの底部に固定された基板上に形成される。レクチルのターゲットは接地される。静電容量のゲージは、位相が180°ずれた信号によって駆動される。各ゲージからの出力信号を別々に処理して、4つの高さ測定信号を生成する。
【発明の概要】
【0010】
本発明は、上述の欠点を解決又は軽減し、1本以上の露光ビームをターゲット上に集束させる投影レンズシステムと、ターゲットを支える可動テーブルと、投影レンズシステムの最後の集束要素とターゲットの表面との間の距離に関連する測定を行なう静電容量感知システムと、静電容量感知システムからの信号に少なくとも部分的に基づいて、ターゲットの位置を調整するために、可動テーブルの動きを制御する制御ユニットと、を具備している、リソグラフィマシンのための改善された統合されたセンサシステムを提供することを目的とする。静電容量感知システムは、複数の静電容量センサを具備しており、各静電容量センサは、薄膜構造を備えている。複数の静電容量センサと投影レンズシステムの最後の集束要素は、共通のベースに直接にマウントされ、複数の静電容量センサは、投影レンズシステムの最後の集束要素の縁部の直ぐ近くに配置される。
【0011】
ターゲットの表面に対して直角に交わるz軸方向において、ターゲットに面している静電容量センサの感知電極の底表面が、投影レンズシステムの最後の集束要素の底表面と実質的に同じ高さであるように、複数の静電容量センサのうちの少なくとも幾つかの位置が定められ得る。複数の静電容量センサのうちの少なくとも幾つかは、静電容量センサの感知電極の底表面がターゲットに面するようにさせており、ターゲットは、ターゲットの表面に対して直角に交わるz軸方向において、投影レンズシステムの最後の集束要素の底表面から50ミクロン以内に位置を定められるように構成され得る。複数の静電容量センサのうちの少なくとも幾つかは、静電容量センサの背表面から、ターゲットに面している静電容量センサの感知電極の前表面までにおいて、50乃至150ミクロン、好ましくは約100ミクロンの厚さを有し得る。投影レンズシステムの最後の集束要素は、100乃至150ミクロンの厚さであり得る。
【0012】
複数の静電容量センサは、最後の集束要素の縁部に対するリソグラフィマシンの視野のサイズの幅又は長さの範囲内に配置され得る。最後の集束要素は、投影レンズシステムの底部の要素であり得る。複数の静電容量センサと、投影レンズシステムの最後の集束要素は、一緒に直接に接続される。
【0013】
複数の静電容量センサは各々、薄膜構造を備え得る。薄膜構造は、第1の絶縁層と、第1の絶縁層の第1の表面上に形成された感知電極を備える第1の導電膜と、第1の絶縁層の第2の表面と第2の絶縁層の第1の表面との上に配置された背部ガード電極を備える第2の導電膜と、を具備しており、背部ガード電極の外周部分は、感知電極を越えて延在し、感知電極を囲み、背部ガード電極と一体をなす側部ガード電極を形成している。複数の静電容量センサの薄膜構造は、第2の絶縁層の第2の表面上に配置されたシールド電極を備える第3の導電膜を更に具備し得る。薄膜構造は、フレキシブルであり得る。
【0014】
静電容量感知システムは、感知電極から離れて配置されている能動電子素子を具備し得る。能動電子素子は、複数の静電容量センサと共に配置されていない。各静電容量センサは、フレキシブルなメンブレンを備えた細長い接続部材を更に具備し得る。フレキシブルなメンブレン上に、導電性トラックがプリント又は付けられている。導電性トラックは、一方の端部において、静電容量センサの感知電極と背部ガード電極とに電気的に接続され、他方の端部において、コネクタに電気的に接続されている。導電性トラックは、第1の絶縁層上に形成され得る。第1の絶縁層は、感知電極と背部ガード電極とが配置されている第1のエリアと、導電性トラックが形成されている第2の細長いエリアと、を具備し得る。
【0015】
複数の静電容量センサは、薄膜の絶縁性のベース層上に形成されている複数の静電容量センサの複数のペアを具備し得る。薄膜の絶縁性のベース層は、共通のベースに直接にマウントされている。統合されたセンサシステムは、複数の静電容量センサの1つのペアのうちの第1のセンサに、複数の静電容量センサの1つのペアのうちの第2のセンサの電流又は電圧に対して位相が180度ずれている交流電流又は電圧で、エネルギを与える構成されている、1つ以上のAC電力源、を更に具備し得る。
【0016】
図面に示されている実施形態を参照して、本発明の様々な態様について更に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1A】静電容量センサの断面図である。
【図1B】図1Aの静電容量センサの端面図である。
【図2】平行プレート電極構成の単純化した概略図である。
【図3】静電容量センサプローブと、接地された導電性ターゲットとの図である。
【図4】差動測定構成の2つの静電容量センサプローブと、接地された導電性ターゲットとの図である。
【図5】薄膜構造を備えた静電容量センサの断面図である。
【図6A】薄膜センサの実施形態の断面図である。
【図6B】薄膜センサの実施形態の断面図である。
【図6C】薄膜センサの実施形態の断面図である。
【図6D】薄膜センサの実施形態の断面図である。
【図6E】図6Aと図6Bのセンサの上面図である。
【図6F】図6Dのセンサの上面図である。
【図7A】正方形の感知電極を備えた薄膜センサの上面図である。
【図7B】図7Aのセンサの断面図である。
【図8A】円形の感知電極を備えた薄膜センサの上面図である。
【図8B】図8Aのセンサの断面図である。
【図9A】統合された差動薄膜センサの実施形態の断面図である。
【図9B】統合された差動薄膜センサの実施形態の断面図である。
【図9C】統合された差動薄膜センサの実施形態の断面図である。
【図9D】統合された差動薄膜センサの上面図である。
【図10A】薄膜静電容量センサの断面図である。
【図10B】薄膜静電容量センサの断面図である。
【図10C】薄膜静電容量センサの断面図である。
【図10D】薄膜静電容量センサの断面図である。
【図11】接続線と接触パッドとを備えたセンサの上面図である。
【図12A】接触パッド構造の断面図である。
【図12B】接触パッド構造の断面図である。
【図13A】共通の基板上に形成されている、センサと、接続線と、接触パッドとの図である。
【図13B】共通の基板上に形成されている、センサと、接続線と、接触パッドとの図である。
【図13C】共通の基板上に形成されている、センサと、接続線と、接触パッドとの図である。
【図13D】共通の基板上に形成されている、センサと、接続線と、接触パッドとの図である。
【図14】リソグラフィマシンにマウントされたセンサの側面図である。
【図15A】フレックスプリントコネクタの図である。
【図15B】フレックスプリントコネクタの図である。
【図16A】荷電粒子リソグラフィマシンの投影レンズのスタックの断面図である。
【図16B】荷電粒子リソグラフィマシンの投影レンズのスタックの断面図である。
【図17A】統合されたフレックスプリントコネクタと、複数のセンサとを有するフレキシブルプリント回路構造の図である。
【図17B】統合されたフレックスプリントコネクタと、複数のセンサとを有するフレキシブルプリント回路構造の図である。
【図17C】統合されたフレックスプリントコネクタと、複数のセンサとを有するフレキシブルプリント回路構造の図である。
【図17D】統合されたフレックスプリントコネクタと、複数のセンサとを有するフレキシブルプリント回路構造の図である。
【図18】リソグラフィマシン上のセンサの別の接続構成である。
【図19A】統合されたフレキシブルプリント回路構造をリソグラフィマシン上にマウントする構成の図である。
【図19B】統合されたフレキシブルプリント回路構造をリソグラフィマシン上にマウントする構成の図である。
【図20A】マウントプレート上の静電容量センサの構成の図である。
【図20B】マウントプレート上の静電容量センサの構成の図である。
【図20C】対角線上に配置された静電容量センサの図である。
【図20D】対角線上に配置された静電容量センサの図である。
【図21A】複数の静電容量センサが上部に形成されている、薄膜構造の図である。
【図21B】複数の静電容量センサが上部に形成されている、薄膜構造の図である。
【図21C】統合されたフレックスプリントコネクタと、複数のセンサとを備えたフレキシブルプリント回路構造の図である。
【図21D】統合されたフレックスプリントコネクタの断面図である。
【図22】センサシステムと信号処理システムとの概略図である。
【図23A】電流源を備えた高インピーダンス増幅器回路の単純化した回路図である。
【図23B】電流源を備えた差動センサ構成の単純化した回路図である。
【図24A】電圧源を備えたホイートストンブリッジ構成の単純化した回路図である。
【図24B】電圧源を備えた差動センサ構成の単純化した回路図である。
【図25】差動センサ回路構成の単純化した回路図である。
【図26】同期検波器回路の単純化した回路図である。
【図27】センサシステムにおける静電容量を示す概略図である。
【図28A】センサを信号処理回路に接続するケーブルを備えた構成の単純化した回路図である。
【図28B】センサを信号処理回路に接続するケーブルを備えた構成の単純化した回路図である。
【図29】同期回路の別の実施形態の単純化した回路図である。
【図30】差動ペアのセンサからの信号を処理する構成の単純化した回路図である。
【図31】リソグラフィマシンに対するウェーハの位置を定める制御システムの概略図である。
【図32A】図31の制御システムに使用するセンサ構成の図である。
【図32B】図31の制御システムに使用するセンサ構成の図である。
【図32C】
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下は、図面を参照して例示的に与えられた本発明の様々な実施形態の説明である。
【0019】
静電容量センサの理論
静電容量センサは、2枚の導電性表面間に作られた均一の電界を使用する。短い距離では、印加された電圧は、表面間の距離に比例する。単一プレートのセンサ(single-plate sensor)は、1つのセンサプレートと導電性ターゲットの表面との間の距離を測定する。
【0020】
図2は、平行プレートの電極構成(parallel plate electrode arrangement)を示している。方程式(1)に表わされているように、2つの電極11、12間の電位差が原因で電極のうちの一方に誘導された電荷を、電位差によって除算することによって、2つの電極11、12間の静電容量が与えられる。
【数1】

【0021】
2つの平行する電極は、距離dによって離されている。2つの電極間の静電容量は、方程式(2)によって与えられる。誘電体の非均一性と電界の曲げ(field bending)の作用を無視している。
【数2】

【0022】
ここで、Cは、2つの電極間の静電容量(F)であり、Aは、2つの電極の重なったエリア(m)であり、εは、自由空間の誘電率(8.85×10−12F/m)であり、εは、電極間の媒体の比誘電率であり、dは、電極間の距離(m)である。
【0023】
交流電流源13を使用して、平行プレートのコンデンサに充電するときに、電極のインピーダンスに応じて、電極間に電圧電位が生じる。平行プレートの静電容量のインピーダンスは、方程式(3)によって与えられる。
【数3】

【0024】
ここで、Zは、インピーダンス(Ω)であり、fは、周波数(Hz)であり、Cは、静電容量(F)である。
【0025】
方程式(3)から、静電容量のインピーダンスは、コンデンサに与えられる信号の周波数と静電容量の値に反比例することが分かる。静電容量センサの場合に、電気のパラメータ(電圧又は電流)の変化を測定する。これは、センサのインピーダンスの変化に対応する。センサに与えられる信号の周波数を一定に保つと、インピーダンスを静電容量の変化に反比例させることができる。方程式(2)は、静電容量が、センサの電極の重なったエリアに正比例し、電極間の距離の変化に反比例することを示している。方程式(2)と(3)とを組み合わせると、次の方程式が得られる。
【数4】

【0026】
ここで、i=電流である。
【0027】
センサに与えられる電気信号(電流)の周波数と電極の重なったエリアとを一定に保つことによって、電極間の距離の変化が、静電容量センサのインピーダンスの変化をもたらす。センサにかかる電圧は、インピーダンスに比例し、且つセンサ電極間の距離(d)に比例し、距離の正確な測定を可能にする。後述するように、様々な測定の概念が使用され得る。
【0028】
静電容量センサの測定原理
図3は、接地された導電性のターゲット9までの分離距離を測定する1つの静電容量センサプローブ1を示している。AC電流を供給されると、経路15に沿って、センサからセンサ−ターゲットの静電容量(sensor-target capacitance)16を通ってターゲットへ、更に、ターゲットからターゲット−接地のインピーダンス(target-ground impedance)17を通って接地へ、電流が流れる。距離の測定に影響を及ぼす変化又は外的影響からの妨害(disturbance)は、電圧19として、図に示されている。センサがセンサ−ターゲットの静電容量16をどれくらい正確に測定できるかによって、センサからターゲットまでの距離の測定の正確さが決まる。ターゲット−接地のインピーダンス17の静電容量は、センサ−ターゲットの静電容量16を大幅に超えることが多く、ターゲットが適切に接地されていない場合は、100倍を超えることがある。この大きな静電容量は小さなインピーダンス17をもたらすので、センサへの作用は小さい。しかしながら、インピーダンス17の変化は、距離の測定に影響を及ぼし、この作用をできるだけ小さくするのが望ましい。
【0029】
図4は、ターゲット9までの分離距離を差動測定する2つの静電容量センサプローブ1a、1bの構成を示している。180度オフセットしたAC電流がセンサに供給されるので、電流は、経路18に沿って、一方のセンサからセンサ−ターゲットの静電容量16aを通ってターゲットへ、更に、ターゲットから他方のセンサ−ターゲットの静電容量16bを通って他方のセンサへ流れる。位相のずれた信号を使って2つのセンサを駆動するこの構成は、電流がターゲットを通って接地に流れるのを回避するのに効果的であり、ターゲット対接地のインピーダンス17の作用を最小化する。更に、これは、接地された復路を必要とすることなく、一方のセンサから他方のセンサに電流が流れるのを可能にするので、接地されていないターゲットにとって有益である。位相のずれた信号を使ってセンサを励起するこの構成は、従来の測定システムで使用され得る。従来の測定システムは、センサのペアのうちの各センサから、別々の独立した静電容量(及び距離)の測定値を導き出している。各センサは、ターゲットまでの距離を個別に測定する。図4において、妨害19は、2つの妨害電圧19aと19bによって示されている。各センサに等しく影響を及ぼす共通モードの妨害の場合に、各妨害電圧19aと19bは、電圧19の値の半分を有する。
【0030】
センサに供給される位相のずれた信号と共に、差動測定構成(differential measurement arrangement)を更に使用することができる。この構成では、センサ1aのセンサ−ターゲットの静電容量16aが、正の半サイクル中にセンサ1aの駆動電圧によって充電され、更に、正の半サイクル中にセンサ1bの駆動電圧によって充電され、一方で、センサ1bのセンサ−ターゲットの静電容量16bが、負の半サイクル中にセンサ1bの駆動電圧によって充電され、更に、負の半サイクル中にセンサ1aの駆動電圧によって充電されるようなやり方で、2つのセンサからの出力が結合される。従って、各センサからの出力信号は、2つのセンサとターゲットとの間の平均距離に相当する。
【0031】
一定のスロープと振幅とを有する三角形の電圧波形でセンサにエネルギを与えると、センサの静電容量への、ほぼ方形波の電流の流れ、即ち、一方の半サイクル中における、ほぼ一定の正の電流の流れと、他方の半サイクル中における、ほぼ一定の負の電流の流れをもたらす。実際には、電流は、各半サイクル中に実質的に定常状態まで上昇するので、各半サイクルの後半部分中に、定常状態の電流の流れに達したときに、測定することが好ましい。
【0032】
センサ及び関連するセンサの静電容量を通った電流を測定し、更なる処理のために電圧に変換することができる。差動ペア(differential pair)のうちの各センサに対する結果として得られた値を組み合わせて、共通モードの妨害を減らす又は無くすことができる。例えば、正の電流の流れのサイクル中にセンサ1aを通った定常状態の電流を、正の電流の流れのサイクル中にセンサ1bを通った定常状態の電流に加えて、合計することができる。同様に、負の電流の流れのサイクル中にセンサ1aを通った定常状態の電流を、負の電流の流れのサイクル中にセンサ1bを通った定常状態の電流に加えて、合計することができる。合計の正のサイクル値から、合計の負のサイクル値を減算して、差動センサ信号を得る。即ち、Vdiff=(V1pos+V2pos)−(V1neg+V2neg)である。
【0033】
ペアのセンサを近付けて位相をずらして駆動することにより、センサの電流が、センサペアの下にあるセンサ対ターゲットの静電容量16aと16bの両者を充電及び放電し、その結果、各測定値は、各センサからターゲットまでの距離の平均になる。これは、2つのセンサの中間にあるターゲット上の点と、センサペアとの間の距離として見なすことができる。各測定値は、何らかの妨害、例えば、図4に示されている妨害19aと19bとによって影響を及ぼされる。これらの妨害は、正のサイクル値と負のサイクル値との両者に存在するが、差動センサ信号を与えるために正と負の値を減算することによって、測定値から本質的に取り除かれる。この構成の利点は、個々のセンサに対する共通モードの妨害が測定中に打ち消されることである。測定中に一定であり続ける2つのセンサにおける差が打ち消され、正確な測定値をもたらす。差動測定構成は、ターゲット−接地の静電容量の影響を大幅に軽減し、感知システムの感度を高める。
【0034】
センサの構造
図5は、薄膜構造を備えた静電容量センサの断面図を示している。導電性感知電極31と、導電性側部ガード電極32が、絶縁膜34上に形成される又は取り付けられている。導電性背部ガード電極35が、絶縁膜34の背側に配置されている。感知電極とガード電極との間のギャップ39は、狭く、一般に10分の数マイクロメータであり、エアギャップであるか、又は絶縁材料で埋められ得る。
【0035】
感知電極とターゲットとの間に生成される電界は、感知電極の縁部の近くで曲がる。感知電極の縁部の近くに導体があると、電界、従って、センサの測定値に対して、大きな予測不能な影響を及ぼす場合がある。この状況を回避する(従って、電界を分析的に計算できるように、センサの測定値をより予測可能にして、モデル化し易くする)ために、感知電極をガード電極によって囲み、感知電極と同じ電位によってガード電極にエネルギを与える。ガード電極は、外部の干渉に対するシールドとして機能し、更に、感知電極の下の感知エリアから、電界の曲げ作用を無くして、寄生静電容量を減らす。感知電極とターゲットとの間の電界の各側部に対して、ターゲットとガード電極との間に電界が生成される。感知電極とガード電極は同じ電位であるので、感知電極とガード電極との間に電界は生成されない。この結果、感知電極の下のエリアの電界は実質的に均一になり、一方で、ガード電極の外側縁部において電界が曲がる。
【0036】
ターゲットから感知電極を離している距離と比較して、感知電極31の面積を大きくすべきである。更に、感知電極とターゲットとの間の距離と比較して、感知電極31と側部ガード電極32との間のギャップ39を小さくすべきである。感知電極とターゲットとの間の距離と比較して、側部ガード電極32の幅を大きくすべきである。1つの実施形態では、感知電極の幅は、センサ電極とターゲットとの間の距離の少なくとも5倍である。感知電極とガード電極との間のギャップは、センサ電極とターゲットとの間の距離の5分の1以下である。ガード電極の幅は、感知電極とターゲットとの間の距離の少なくとも5倍である。これらの相対的な設計ルールに従って、非常に予測可能な静電容量、例えば1ppmの静電容量の予測可能性を有する、静電容量センサの設計ルールの実施形態を提供する。ここでは、予測可能性(predictability)は、無限の電極寸法の代わりに、有限の電極寸法に対する静電容量を計算するために、上述の方程式(2)の理想的なプレート−距離の静電容量の式を使用する場合に生じる相対誤差として定義される。
【0037】
感知電極と測定されるターゲットとの間のセンサの静電容量Cに加えて、センサは、構造中の異なる各要素間に固有の寄生静電容量CとCを有する。測定される静電容量Cと比較して、寄生静電容量CとCは小さい。図5の実施形態では、寄生静電容量は、感知電極と側部ガード電極との間の静電容量Cと、感知電極と背部ガード電極との間の静電容量Cとを含む。
【0038】
センサの1つの実施形態では、感知電極とターゲットとの間の静電容量Cは、0.1pF乃至1pFであり、一方で、感知電極と側部ガード電極との間の寄生静電容量Cは、100乃至1000分の1であり、一般的に0.001pF(即ち、10−15F)のオーダである。感知電極と背部電極との間の寄生静電容量Cは、一般的により大きく、一般的に、約1pF乃至1000pF(即ち、10−12F乃至10−9F)を占める。感知電極と同じ電位を有するガード電極にエネルギを与えることによって、これらの寄生静電容量の影響は弱められる。これは、側部電極と感知電極とを電気的に接続することによって、又はアクティブなガードを使用することによって達成でき、後述でより詳しく説明する。アクティブなガードは、背部ガード電極にも使用され得る。
【0039】
真空チャンバ中のクリーンな環境で動作するリソグラフィマシンを使った応用の場合に、センサは、真空環境中にあるときに非常に低レベルの汚染物質を発するように構成されるのが好ましい。特に、真空環境を汚染し得る物質が使用されている場合は、このタイプの応用で使用されるセンサの導体の上に、保護層、例えば、カプトンポリイミド膜(Kapton polyimide film)又は同様の保護膜が形成され得る。図6A−6Dは、保護層37と38を含む薄膜センサの様々な実施形態の断面図を示している。図6Eは、図6Aと6Bのセンサの上面図を示している。図6Fは、図6Dのセンサの上面図を示している。
【0040】
図6Aは、1つの実施形態の断面図を示しており、絶縁膜34の一方の表面上に形成された又は取り付けられた感知電極31及び側部ガード電極32と、絶縁膜34の他方の表面上の背部ガード電極35とを有している。センサは、プレート40に取り付けられている。一般に、プレート40は、距離の測定に必要な機器の構造の一部分であるか、又は、構造の一部分に取り付けられ得る。例えば、センサが、投影レンズとレンズの下のウェーハとの間の距離を測定する場合に、プレート40は、リソグラフィマシンの投影レンズの周りのスペーサプレート又はマウントプレートである。プレート40は、導電性であってもよく、従って、センサに対するシールド電極の役割を果たすこともできる。
【0041】
図6Bは、代わりの実施形態を示しており、第2の絶縁膜43上に形成された又は取り付けられた導電性のシールド電極44を、センサの構造の一部分として有している。この構成は、センサを非導電性表面にマウントすることを可能にする。導電性表面にマウントされても、これは、その範囲における一貫性と、シールド電極の機能とを保証する。シールド電極44をセンサの構造の一部分として含むと、支持表面から得られたであろう独立した接地電位を更に与える。例えば、電子ビームリソグラフィシステム上でセンサが使用される場合に、マシンからの接地電位は、投影レンズからの電気雑音によって影響を及ぼされ得る。更に、これは、センサのシールド電極が測定回路と同じ接地を有することと、ケーブルでセンサを回路に接続することとを可能にする。
【0042】
これは、センサのシールド電極をシールド導体に接続ケーブルで接続し、次に、接続ケーブルを、測定回路によって使用される接地点に接続することによって達成できる。これにより、センサと測定電子機器とに対して別々の接地を有することが回避される。3つの導体のケーブル、例えば三軸ケーブルに接続されると、この構成は、センサの3つの導電層の各々と、三軸ケーブルの対応する導体との接続のために配置された接続点が、回路からセンサに独立した接地電位を与えることを可能にする。これはシールド電極を含み、シールド電極を三軸ケーブルのシールド導体に接続することを含む。
【0043】
図6Cは、別の実施形態を示しており、シールド電極44に電気的に接続された外側ガード電極33を含んでいる。この接続は、絶縁層34と43とに、例えばレーザによってホール又はバイアを形成して、各レベルの導電層の一部分の電気的接続を可能にすることによってなされ得る。
【0044】
図6Dは、別の実施形態を示しており、感知電極と同じレベル又は表面上に、側部ガード電極がない。既に記載したように、感知電極によって生成された電界を感知エリア内に制限して、感知電極とターゲットとの間に比較的に一様な電界を生成して、センサの近くに位置を定められた導体がセンサに対して及ぼす影響を弱めるために、従来の設計では、側部カード電極は必ず必要であると考えられていた。例えば図1Aに示されているように、比較的に丈が高くて大きい従来の構成では、センサ電極を囲むために、センサ電極と同じ平面まで下方に延在するガード電極が必要であった。同様に、センサ電極と同じレベルにガード電極を置く薄膜設計において、側部ガード電極は不可欠であると考えられていた。側部ガード電極は背部ガード電極に電気的に接続されることが好ましいが、この配置では、これらの2つの電極を電気接続しなければならず、これは困難である。図6A−6Cに示されている設計では、絶縁層34を通してこの接続を行なっている。センサのサイズが小さく、絶縁層34が薄いので、的確なサイズと位置の穴を絶縁層34に正確に作るのは困難である。この目的のためにレーザを使用してもよいが、製造工程は、より複雑で、よりコストがかかる。
【0045】
しかしながら、薄膜センサの膜が十分に薄い場合は、感知電極と同じレベルに側部ガード電極がなくてもよいことが分かった。背部ガード電極の外周部分が、感知電極を越えて横方向に延在して、感知電極を囲むように、背部ガード電極35よりも小さい感知電極31を有するセンサを設計することによって、同じ効果を得ることができる。従って、背部ガード電極のこの外周部分は、側部ガード電極のように機能する。背部ガード電極35の外周部分から出る電界が、絶縁層34に広がって、感知電極によって生成された電界を感知エリア内に制限するように働き、感知電極とターゲットとの間に比較的に一様な電界を生成する。センサの近くに置かれた導体によって引き起こされる電界の曲げは、感知電極ではなく、背部ガード電極の外周部分の外側縁部に現れる。その結果、より簡単な設計になり、これは、製造の複雑さを軽減し、生産費用をより安くするが、センサの近くに位置を定められた導体によって引き起こされる妨害に対して影響され難い感知電極の下のエリアにおいて、実質的に均一の電界を生成できる。
【0046】
図6Aと6Bの実施形態の上面図は、図6Eに示されている。図6Eでは、感知電極31は円形に作られていて、「C」型の側部ガード電極32が感知電極をほぼ完全に囲んでいて、この2つの電極間の狭いギャップを感知電極31の周囲に置いている。この実施形態では、側部ガード電極32と背部電極35が、絶縁膜34の開口部36によってオプションで電気的に接続され、ガード電極と背部電極が電気的に接触することを可能にしている。この実施形態では、1つの「C」型の開口部が使用されているが、他の形状を使用すること、及び/又は、複数の開口部を使用することができる。ガード電極と背部電極とを接続して、両者の電極を同じ電位にして、それらの間の何等かの静電容量の影響を無くして、アクティブなガードを使用することによって、ガード電極及び背部電極と感知電極との間の何らかの静電容量の影響も無くすことができる。
【0047】
図6Eの実施形態では、内部の感知電極31は、感知電極から外部の信号処理回路に電気的に接続するための接続線41を形成している1つ以上の延在部を有する。同様に、側部ガード電極32は、電気的に接続するための接続線42を形成している1つ以上の延在部を有する。感知電極31と、側部ガード電極32と、接続線41、42は、薄膜から形成されている。示されている実施形態では、電極31、32と、接続線41、42は全て、同じ平面にあり、レーザを使用して、エッチング或いは他の適切な除去技術により、部分を取り除いた膜を配置又は形成することによって、同じ薄膜から形成され得る。側部ガード電極32は、感知電極と信号処理回路とを電気的に接続するために、感知電極から外方向に延在する接続線41のための小さなギャップを残して、感知電極31を実質的に囲んでいる。更に、接続線は、寄生静電容量を加える。寄生静電容量は、センサの設計において考慮に入れられるべきである。
【0048】
図6Dの実施形態の上面図は、図6Fに示されている(背部ガード電極35が見えるように、絶縁層34は示されていない)。側部ガード電極が感知電極と同じレベルにないことを除いて、図6Fは図6Eの実施形態に似ている。この図では、背部ガード電極35の外周領域35aが、側部ガード電極として機能している。センサは、上述の図6Eの実施形態と同じやり方で構成され得る。接続線41と42は、上述のように電気的に接続するために、感知電極及び背部ガード電極から外方向に延在している。
【0049】
これらの実施形態では、電極32、44が含まれている場合には電極32、44と、電極31、35は、約18ミクロンの厚さの導電層から形成され得る。絶縁膜34と43は約25ミクロンの厚さであり得る。保護層37、38は約50ミクロンの厚さであり得る。薄膜センサは、合計約100−200ミクロンの厚さで構成され得る。センサ構造の背表面と、感知電極の前表面(即ち、距離の測定が行なわれる方向に面している表面)との間の厚さは、50−150ミクロン、好ましくは約100ミクロンである。利用可能な空間がほとんどなく(特に、利用可能な高さが制限されている)、センサ間の間隔又はセンサと他の機器との間の間隔が狭いことが要求される応用では、薄膜構造で、小さな面積で、高さ(厚さ)の非常に小さいセンサが、センサに利用できる。
【0050】
図6A−Fに示されている(更に、後述の他の実施形態に示されている)小さなサイズの薄膜センサは、多くの利点を備える。薄膜構造の結果、最小の高さになる。センサの幅又は面積も非常に小さいかもしれない。これは、距離を測定したい場所の直ぐ近くに、センサをマウントすることを可能にする。センサは、投影レンズと露光されるターゲットとの間の距離を測定するために、リソグラフィマシンと共に使用されるときに、投影レンズの直ぐそばであって、同じマウント構造上にマウントされ、その結果、センサと投影レンズとの両者が、同じ基準点に固定される。これは、センサと投影レンズとの間の相対的な動きによる誤差を大幅に減らし、センサをマウントすることに因る変化を修正する必要を無くし、較正の必要性を減らす。更に、センサのサイズが小さいと、センサ自体が平らである必要を減らす。
【0051】
図7と8は、薄膜センサの更なる実施形態を示しており、感知電極31と背部電極35との間にのみ、絶縁層34が形成されていて、側部ガード電極32と背部電極35は、相互に直接に接続することができる。
【0052】
図7Aは、上面図を示している。図7Bは、正方形の感知電極を備えたセンサの断面図を示している。1つの実施形態では、正方形のセンサは、センサとターゲットとの間の100ミクロンの公称の距離において、1pFの公称のセンサの静電容量(感知電極とターゲットとの間の静電容量C)を有して設計されている。感知電極は、3.5mm(+/−0.01mm)の幅と、12.25mmの面積を有している。ガード電極は、1.5mm(+/−0.01mm)の幅を有している。感知電極とガード電極との間のギャップは、0.015mm(+/−0.001mm)である。別の実施形態では、センサは、センサとターゲットの間の100ミクロンの公称の距離において、10pFの公称のセンサの静電容量を有して設計されている。感知電極は、11mm(+/−0.01mm)の幅と、121mmの面積を有している。ガード電極の幅とギャップは、それぞれ、1.5mm(+/−0.01mm)と0.015mm(+/−0.001mm)で変わらない。
【0053】
図8Aは、上面図を示している。図8Bは、円形の感知電極を備えたセンサの断面図を示している。1つの実施形態では、円形のセンサは、センサとターゲットの間の100ミクロンの公称の距離において、1pFの公称のセンサの静電容量を有して設計されている。感知電極は、4mm(+/−0.001mm)の直径と、12.25mmの面積を有している。ガード電極は、4.015mm(+/−0.001mm)の内径と、8mm(+/−0.001mm)の外径とを有している。別の実施形態では、センサは、センサとターゲットの間の100ミクロンの公称の距離において、10pFの公称のセンサの静電容量を有して設計されている。感知電極は、6.2mm(+/−0.001mm)の直径と、121mmの面積を有している。ガード電極は、6.215mm(+/−0.001mm)の内径と、12.4mm(+/−0.001mm)の外径とを有している。
【0054】
図5−8の実施形態は、センサとターゲットとの間に80−180ミクロンの(感知電極の表面に対して直角に交わるz軸における)測定範囲を有するように構成され得る。当業者に分かるように、異なる測定範囲に適応させるために、センサの寸法を変更してもよい。
【0055】
更に、図5−8の実施形態は、リソグラフィ技術を使用して、より一層薄い層の材料を実現するように作られ得る。より一層薄い層の材料は、例えば、100nm(+/−10nm)の厚さを有する感知電極31と、150nm(+/−10nm)の厚さの背部電極35及び(含まれているならば)側部ガード電極32と、50nm(+/−10nm)の厚さの絶縁層34である。これらの実施形態における感知電極は、正方形又は円形であり、大きな感知エリアを備えて、センサの感度を最大化し、一方で、センサの全体的な寸法を最小化している。しかしながら、センサは、これらの形状から逸脱して、感知エリアを最大化するために、長方形、楕円形、又は他の形状を有する感知電極(及び、同様に、ガード電極)を備えていてもよい。
【0056】
図5−8の実施形態は、電極31、32の導電層を、絶縁層35上に配置して、或いは粘着又は接合層を使って絶縁層に付けて構成され得る。感知電極とガード電極との両者に対して1つの導電層を形成し、レーザ又はエッチングを使用して材料を取り除いてギャップを作ることによって、感知電極とガード電極との間にギャップ39を形成してもよい。非常に小さなギャップの幅を作るために、レーザが好ましい。レーザを使用すると、25ミクロンの幅のギャップを、僅かなずれで作ることができる。一方で、エッチングは、一般に精度がより低い。
【0057】
様々な技術を使用して、例えば、リソグラフィ技術、微小電子機械システム(Micro Electro Mechanical System, MEMS)技術、又はフレキシブルプリント回路技術(flexible printed circuit technology)を使用して、センサを製造することができる。フレキシブルプリント回路技術を使用すると、絶縁層34は、適切な材料のフレキシブルなシート又はテープとして提供され得る。適切な材料は、例えば、カプトンポリイミドフィルム又は同様のフレキシブルな絶縁膜である。導電性電極31と、32と、35は、銅又は他の適切な導電性材料の薄い層から作られて、粘着剤を使用して絶縁層34に固定されるか、粘着剤のない積層(adhesiveless laminate)、例えばダイレクトメタライゼーションプロセス(direct metallization process)を使用するものとして形成されるか、或いは導電性インク又は他の適切なプリント技術を使用して絶縁層上にプリントされ得る。保護絶縁膜37と38は、層34と同じタイプの材料から作られ得る。
【0058】
フレキシブルプリント薄膜センサは、製造するに容易であり、素早く作ることができ、その結果、製造のためのリードタイムが短くなる。センサは、センサから信号処理回路へのロバストな接続を備えて作られ得る。サイズが小さいと、距離を測定する場所に又は場所の非常に近くに配置するために、より大きなフレキシビリティを与える。センサを個々のセンサ要素として適切な位置に接着して、感知システムを素早く簡単にアセンブルすることができる。測定手順において個々のセンサを適切な位置に接着して較正した後で、個々のセンサの平坦度(flatness)と傾斜(tilt)とがチェックされ得る。フレキシブルなシートの材料を絶縁層に使用した場合に、センサ全体をフレキシブルに構成することができる。
【0059】
上述の実施形態のうちの幾つかでは、感知電極と側部ガード電極との間のギャップの幅は、例えば、感知電極とガード電極との間のギャップが感知電極とターゲットとの間の距離の5分の1よりも大きいという、上述の相対的な設計ルールを満たしていない。しかしながら、薄膜構造の利点は、センサの多くの応用に関して、これよりも優るであるだろう。
【0060】
図9A乃至9Cは、1つの統合されたユニットとして構成されているセンサペア(sensor pair)の様々な実施形態を示している。これらの実施形態では、統合されたユニットは、2つのセンサ30a、30bを含み、各センサ30a、30bは、自身の感知電極31a、31bと背部ガード電極35a、35bとを有する。図9Aのセンサは、導電性プレート40をシールド電極として使用する。図9Bと9Cのセンサは、センサペアと統合された1つのシールド電極44を共有している。図9Cの実施形態では、シールド電極44とプレート40との間の接着スポット又はライン56を使用して、センサをプレート40に固定している。プレート40が導電性である場合は、導電性の接着剤を使用して、プレート40とシールド電極44とを電気的に接続して、シールド電極をより効果的に接地してもよい。2つのセンサ30a、30bは、上述のように差動ペアとして動作することが好ましい。各センサは、ペアのうちの他方のセンサから位相がずれた、好ましくは位相が180度ずれた電圧又は電流によって駆動される。共通モードの誤差を打ち消すために、差動測定が行われる。
【0061】
図9Dは、差動センサペアの上面図を示している。背部ガード電極と感知電極は、例えば図20Cと20Dとに示されているエリア115内に合うように設計された、丸みを帯びた四辺形に形成されている。この形状は、エリア115の境界内の感知電極に対して最大のエリアをもたらし、最高解像度の測定値を生成する。電極を、同じくエリア115内に密接に嵌る円形にして、最大エリアの感知電極を生成してもよい。
【0062】
図10A乃至10Dは、異なる材料をセンサ基板に使用した薄膜静電容量センサに対する様々な構成を示している。これらの実施形態は、リソグラフィ技術を使用する構成に適している。リソグラフィ技術は、非常に小さなギャップのサイズを有する非常に精密に形成された電極の製造を可能にする。これは、上述の相対的な設計ルールを満たし、非常に小さな特徴と非常に小さな距離とを測定するための非常に高い解像度を有するセンサを構成することを可能にする。更に、リソグラフィ工程は、非常に小さなトラックの幅と精密な寸法とを有する接続線と導体/接合パッドとを作ることを可能にする。更に、リソグラフィ工程は、当業者に周知であり、工程の流れが展開されると、より高い解像度を有するセンサの製造に容易に適用できる。しかしながら、工程の最初の展開は、より長い製造のリードタイムをもたらし、異なる工程段階を確認するために、短いループの実験が必要である。図10A−10Dは、単に層の構成を示しており、側部ガード電極を示していないが、側部ガード電極が含まれている場合は、側部ガード電極は、感知電極と同じ層上に形成され、側部ガード電極と背部ガード電極とのオプションの接続を示していない。
【0063】
リソグラフィマシンのようなマシン上に1つ以上のセンサがマウントされる応用の場合に、これらの実施形態の基板は2つ以上のセンサに共通であってもよく、センサのセットが1つのユニットで構成される。このタイプの構成の一例は、図13A−13Dに示されており、後述で説明する。従って、基板をマウントプレートに接続してもよく、又はセンサをマシンにマウントするマウントプレートとして、基板を使用することができる。
【0064】
図10Aの実施形態は、両側に絶縁層47a、47bが形成されているシリコンの基板45を有する。感知電極31は、絶縁層の一方の表面上に形成され、背部ガード電極35は、他方の絶縁層の表面上に形成されている。この実施形態は、効果的に機能するように、ガード電極のアクティブなバイアスをかけることが必要であり得る。これは、センサが固定されるプレートのパタニングを必要とし得る。更に、投影レンズとセンサとの容量結合は、問題であり得る。
【0065】
図10Bの実施形態は、片側に複数の層が形成されているシリコンの基板45を有する。複数の層は、第1の絶縁層47aと、第1の絶縁層上に形成されている感知電極31と、第2の絶縁層47bと、第2の絶縁層上に形成されている背部ガード電極35とを含む。この実施形態は、センサが固定されるマウントプレートをパタニングする必要を回避し、更に、投影レンズとセンサとの容量結合を回避する。しかしながら、図10Aの実施形態と比較して、追加の絶縁層が必要である。
【0066】
シリコンの基板は良い絶縁体ではないので、これらの実施形態には、絶縁層が含まれている。シリコンの基板の更なる欠点は、シリコン中の不純物のために、シリコンに寄生電流が発生し、これらの電流がセンサの静電容量の測定を妨害し得るということである。
【0067】
図10Cの実施形態は、一方の表面上に感知電極31が形成され、他方の表面上に背部電極35が形成されている、パイレックス(登録商標)の基板46を有する。更に、この実施形態は、ガード電極のアクティブなバイアスをかけることを実施した場合に、センサが固定されるプレートのパタニングを必要とするが、感度の低下と、センサの非線形性の僅かな増加とを伴う、アクティブなガードを省いてもよい。100μmの基板の厚さと、感知電極と側部ガード電極との間の16μmのギャップとを有する、この基板を使った実施形態は、150kHzで50μAの電流のエネルギを与えられたときに、センサとターゲットとの間の0.8μmの距離において約11.5Vの有効出力電圧を生成し、センサとターゲットとの間の1.8μmの距離において約13.5Vの有効出力電圧を生成し得る。
【0068】
図10Dの実施形態は、片側に複数の層が形成されているパイレックスの基板46を有する。複数の層は、ガード電極35と、ガード電極上に形成されている絶縁層47と、絶縁層上に形成されている感知電極31とを含む。この構成の場合に、センサが固定されるプレートのパタニングは必要ない。100μmのパイレックスの層のために、投影レンズとセンサとの容量結合は低減される。パイレックスは良い絶縁体である。パイレックスの基板を使用する実施形態の場合は、シリコンの実施形態に使用される絶縁層を省くことができる。
【0069】
センサ電極(感知電極と、側部ガード電極と、背部ガード電極)と信号処理システムとを電気的に接続するには、小さなセンサ要素にロバストな低インピーダンスの接続をする必要がある。この接続は、予想される機械的応力に耐えることができ、一方で、センサ構成に更なる寄生静電容量を取り込むのを回避できるはずである。更に、リソグラフィマシンを使ったセンサの応用の場合に、汚染物質を真空環境に放出する物質を接続に使用するのを回避すべきである。
【0070】
図11は、センサから信号処理回路への外部接続をするために、接続線41、42の端部に形成されている接触パッド(contact pad)50a、50bを有するセンサを示している。図12Aと12Bは、センサ電極に電気的に接触するための接触パッドの構造の断面図を示している。これらは、シリコンと、パイレックスと、同様の材料の基板を使用する実施形態に特に適している。これらの実施形態は、基板の前側のセンサ電極に電気的に接続するために、基板の背側に接触パッドを備えている。図12Aは、基板55を通り抜けるバイヤホールを有する実施形態を示している。導電性の接触パッド50は、シリコンの基板の背側に形成されている。基板の前側の導電層52と接続するために、バイヤホールを通じて導電性接続51が形成される。図12Bは、基板55の縁部にわたって電気接続をする実施形態を示している。導電性の接触パッド50は、基板の背側に形成され、導電性接続51は、基板の縁部に形成され、基板の前側の導電層52と接続している。
【0071】
シリコン又は他の非誘電性基板を使用する実施形態の場合は、絶縁層53が、基板から導電層52を離し、小さな絶縁層54が、基板から接触パッド50を離している。更に、図12Aでは、バイヤホールが絶縁層で被覆され、図12Bでは、導電性接続51の下の基板の縁部が絶縁層で被覆されている。接触パッドに必要とされる追加の絶縁層は、追加の小さな寄生静電容量を生じる。パイレックスのような誘電性基板を使用する実施形態の場合は、追加の絶縁層は、オプションであり、追加の寄生静電容量が減る。
【0072】
図13A乃至13Dは、リソグラフィマシンの投影レンズ104を囲んでいる1つの基板102上に構成された複数のセンサを有する感知システムの実施形態を示している。図13Aは、基板の前側、即ち、露光されるウェーハに向かって下方に面している側部を示している。(4個のセンサペアから成る)8個のセンサが、ペアになって、投影レンズの周りにおいて、間隔を置いて基板上に形成されている。この実施形態では、各センサについて、導電性の感知電極31が基板の前側に形成されている。側部ガード電極32は、各感知電極を囲んでいて、側部ガード電極32と各感知電極との間に小さなギャップが形成されている。接続線105は、各感知及びガード電極と基板の縁部とを電気的に接続する。この実施形態では、パイレックス又はカプトンのような誘電材料から基板が作られており、電極と基板との間に、追加の絶縁層は使用されていない。更に、薄い保護絶縁層が、基板の前側のセンサ電極の上に形成され得る。
【0073】
図13Bは、基板の背側、即ち、露光されるウェーハから遠い上方に面している側部を示している。各センサについて、導電性の背部ガード電極35が基板の背側に形成されている。各センサについて、背部電極は、基板の前側の感知及び側部ガード電極と整列している。円形の電極を有するこの実施形態では、各センサについて、全ての電極の中心は整列している。背部電極35は、感知電極31よりも大きな直径を有しており、前側の側部ガード電極32の直径以上であり得る。接続線106は、背部ガード電極と基板の縁部とを電気的に接続する。
【0074】
例えば、図11、12A、又は12Bに示されている構成を使用して、基板の前側の接続線105と、背側の接続線106とを配置して、基板の背側の縁部に接触パッド50a、50bを形成してもよい。接触パッド50aは、感知電極31に電気的に接続され、接触パッド50bは、側部ガード電極32と背部ガード電極35とに接続される。この実施形態では、接触パッドのエリアは、交互になっていて、両側で、感知電極からの各接触パッド50aは、対応する側部ガード電極及び背部ガード電極からの接触パッド50bを有する。シールド電極に接続するために、追加の接触パッド50cが基板の縁部に更に形成される。これは、センサを測定システムに接続するケーブルのシールドに接続され得る。基板上のセンサペアの配置に対応して、別々のエリアに配置されている接触パッドのエリアが一緒になって接触パッド50を形成する。
【0075】
図13Cは、基板の背側を示している。基板の縁部の周りにギャップを残して、絶縁層110が基板上に形成されており、接続するために接触パッド50が露出されている。図13Dは、スペーサ/マウントプレート112上にマウントされた基板102を示している。マウントプレート112は、導電性であってもよく、シールド電極として機能することができ、接地され得る。又はその代わりに、シールド電極として機能する導電性のシールドプレートを、別個のコンポーネントとして備えてもよい。接触パッド50cは、例えばセンサのシールドに接続するために、シールド電極に電気的に接続する接続エリアとして機能する。絶縁層110は、マウントプレート/シールド電極からガード電極を電気的に切り離す。この実施形態では、マウントプレートは、マウントプレートの縁部の周りにカットアウトを有し、電気的に接続するために接触パッド50を露出させている。
【0076】
1つの実施形態では、図13A-13Dの構成は、投影レンズを収容するために、例えば19×19mm又は26×26mmの正方形の穴を備えた、50mmの直径のパイレックスの基板を備え得る。感知電極は、3.8mmの直径と、感知電極とガード電極との間の16μmのギャップとを有する。ガード電極は、1mmの幅を有し、背部電極は、6mmの直径を有する。接続線105は、0.05mmの幅と、16μmの間隔とを有する。接続線106は、0.5mmの幅と、0.5mmの間隔とを有する。接触パッドは、0.5mmの幅と、1.4mmの長さとを有する。パッドは、0.5mmのギャップによって相互に離されている。200kHzで10μAの電流で、センサに動力が与えられ得る。
【0077】
図13A-13Dに示されている実施形態における又はここに記載されている他のセンサ構成のうちの何れかにおけるセンサは、例えば、図6A−F、7A−B、8A−B、9A-C、10A−D、11、又は12A−Bに記載されている実施形態のうちの何れかに従って構成され、差動ペアで配置され得る。ペアのうちの各センサは、ペアのうちの他方のセンサから位相がずれている電圧又は電流によって駆動される。例えば、ペアのうちの第1のセンサは、ペアのうちの他のセンサから位相が180度ずれている電流によって駆動され得る。センサのペア間の結合を弱めて、センサの複数の差動ペアを一緒に使用できるようにするために、各センサペアは、隣り合うセンサペアから位相がオフセットした電流又は電圧によって駆動され得る。例えば、隣り合うセンサペアは、互いから位相が90度ずれている電流によって駆動され得る。例えば、図13Aの上側のセンサのペアは、0及び180度の位相の電流によってエネルギを与えられ、一方で、右側のセンサのペアと左側のセンサのペアは、各々、90及び270度の位相でエネルギを与えられ、下側のセンサのペアは、0及び180度の位相でエネルギを与えられる。このように、隣り合うセンサペアの直交バイアスで位相分割技術を使用して、ペアを切り離して、ペア間の干渉を下げる。その代わりに又は更に、周波数分割又は時分割のような他の技術を使用して、センサペア間の干渉を下げてもよい。
【0078】
センサから電気信号を転送し、生のセンサ信号を使用可能なフォーマットに変換するために電気信号を送信するのに、センサプローブから信号処理システムへの電気的接続が必要である。図14は、リソグラフィマシンの投影レンズ104の周りの基板102の前側にマウントされたセンサ30を備えたセンサ構成の側面図を示している。基板102は、センサを機器にマウントするためのマウントプレート112としても機能し得る。機器、例えばリソグラフィマシンの投影レンズから距離が測定される。接触パッド50は、基板の背側に形成される。金属の接触ばねの形態の接続ワイヤ60は、信号処理システムに接続するために、パッドと電気的に接触する。
【0079】
図15Aと15Bは、フレキシブルプリント回路の接続部材110を使用する代わりの接続構成を示している。フレキシブルプリント回路の接続部材110は、フレキシブルなメンブレン111を備えており、フレキシブルなメンブレン111上に、導電性トラック114a、114b、114cがプリント又は付けられている。導電性トラックの上に保護絶縁層を形成してもよい。フレックスプリントコネクタ110の一方の端部は、センサ電極の接続エリア又は接触パッド50に接合され、その結果、導電性トラックはセンサ電極に電気的に接続する。示されている実施形態では、導電性トラック114aは、感知電極のための接触パッドに接続し、導電性トラック114bと114cは、側部ガード電極及び/又は背部電極のための接触パッドに接続する。シールド電極がセンサ構造に含まれている場合は、追加の導電性トラックをフレックスプリントコネクタ上に形成して、センサとセンサ支援構造とから離れた接地電位に、シールド電極を接続してもよい。フレックスプリントコネクタ110の他方の端部には、センサ信号を信号処理システムに転送するワイヤ又は接続ピン120と電気的に接触させる接触端子117と共に、コネクタプラグ又はソケット116が付けられている。図15Aは、導電性トラック114a−114cが見えるフレックスプリントコネクタ110の実施形態の下側を、導電性トラックが接続している1組の接触パッド50の上面図と共に示している。図15Bは、接触パッドに接続されたときの、フレックスプリントコネクタ110の側面図を示している。フレックスプリントコネクタは、フレキシブルであり、ここに記載されているセンサの実施形態の何れにも使用され得る。特に、導電性トラックの幅が非常に小さい場合に、フレックスプリントコネクタの最大曲げ半径を考慮すべきであり、組み立て中に、フレックスプリントコネクタとセンサの接触パッドとを整列させることが重要である。
【0080】
絶縁層34が、高分子絶縁膜又は同様のもののような適切な材料から作られている場合に、フレキシブルなメンブレン111を同じ材料から作って、絶縁層34に、絶縁層34の延在部として統合してもよい。この実施形態では、同様に、導電性トラック114a−cを、感知電極31、側部ガード電極32、及び/又は背部電極35と同じ材料から作って、その延在部として統合してもよい。この構成では、電極と導電性トラックとの間に接触パッドは必要ないが、導電性トラックの端部に接触パッドが使用され得る。別の実施形態では、センサの電極と同じやり方で、導電性トラックを層状にしてもよく、例えば、その結果、背部ガード電極に接続された導電性トラックが、絶縁層の上に形成され、絶縁層が、感知電極に接続された導電性トラックの上に形成される。例えば、図21Dに示されているように、この構造を更に拡張して、背部ガード電極に接続された導電性トラックの上に、絶縁層を形成して、絶縁層の上に、シールド電極が形成して、シールド電極に接続された導電性トラックを含むことができる。
【0081】
図16Aは、荷電粒子リソグラフィマシンの投影レンズとデフレクタのスタック132の断面図を示している。リソグラフィマシンによって生成された荷電粒子ビームレットをウェーハの表面上に集束させて、走査パターンにおいて、それらをウェーハの表面の全体にわたって偏向させるために、スタック132は、一般に、垂直に積み重ねられた投影レンズ要素とビームレットデフレクタ要素とを含む。実際には、各々の垂直に積み重ねられた投影レンズ要素は、多数のビームレットをウェーハの表面上に同時に集束させるために、投影レンズのアレイを含み得る。各ビームレットは、ウェーハの異なる部分を露光する。同様に、各デフレクタ要素は、デフレクタのアレイを含み得る。
【0082】
レンズのスタック132は、ハウジングフレーム部材130の中にマウントされている。マウントプレート112は、フレーム部材130の下に配置されて付けられている。マウントプレート112は、レンズのスタックの2つの静電レンズ要素間のスペーサとしても機能し得る。中央に配置された穴を通して、荷電粒子ビームが投影される。プレート/スペーサ112は、ガラス又は他の適切な絶縁材料から作られ、レンズのスタック132と、底部のレンズ104と、ウェーハと、センサと、近くの他のコンポーネントとに存在する高電圧間に絶縁層を提供し得る。プレート112は、ほぼ円筒型のフレーム部材130と、上部のマウントプレート133と共に、投影レンズとデフレクタのスタック132とのためのハウジング構造を形成する。
【0083】
その代わりに、プレート112は、導電性であるか、又は静電容量センサのためのシールド電極として機能する導電層を含んでもよい。更に、プレート112は、基板102であってもよく、基板102上にセンサが形成される。示されている実施形態では、投影レンズのスタック132は、垂直のスタックで構成された一連の投影レンズ要素を具備する。投影レンズのスタック132は、ほとんどは、プレート112より上に配置されているが、スタックの中の最後の集束レンズ要素104は、プレートの下のプレートの底表面上に配置される。
【0084】
図16Bは、投影レンズのスタックの底部の投影レンズ104と可動ウェーハテーブル134上に載せたウェーハ9との間の距離に関する距離を測定するセンサの構成を示している。ウェーハとテーブルは便宜上概略的に示されており、その幅は、レンズのスタックのハウジングよりも実際ははるかに大きいことに留意すべきである。一般的に、レンズのスタックのハウジングが50−70mmであるのに対して、ウェーハは直径200又は300mmである。センサ30は、底部の投影レンズ104と同じプレート112上にマウントされ、そのレンズ104のすぐ近くにある。センサは、リソグラフィマシンの露光域のサイズよりも小さいことが好ましく、センサのうちの幾つか又は全ては、露光域のサイズの幅又は長さに等しい距離よりも、投影レンズの縁部により接近して配置され得る。
【0085】
この構成では、投影レンズに対して固定された関係で、センサがマウントされるので、センサとウェーハとの間の測定された距離から、底部の投影レンズ104とウェーハ9との間の距離を決定できる。ここに記載されているセンサの非常に小さなサイズが、投影レンズのすぐ近くにセンサをマウントすることを可能にし、投影レンズの最後の集束要素と同じ支持要素上にセンサをマウントすることを可能にするので、これらは両者共、同じ基準点に固定される。1つの構造上で、センサが底部の投影レンズと統合されるので、例えば、底部の投影レンズがマウントされている支持要素と、センサがマウントされている支持要素との間における、熱膨張と、収縮と、動きとによって生じる、センサと投影レンズとの相対的な位置の変化に起因する誤差と、センサと底部の投影レンズのベース構造がそれぞれ異なることによるマウントの不正確さに起因する誤差とが大幅に減る。この結果、x軸及びy軸(即ち、ウェーハの表面に平行な軸)と、z軸(即ち、ウェーハの表面に垂直な軸)とにおける変化に対して、センサシステムを較正する必要を無くすか、又はこのような較正の必要を少なくとも減らすことになる。従来の静電容量センサは、プレート112上にマウントするには丈と幅が大き過ぎて、投影レンズ104から更に遠くに離して、例えばフレーム部材131上にマウントしなければならないであろう。
【0086】
集束効果は、主に最後(底部)の投影レンズ104によって決定される。上述の統合された設計の特徴では、静電容量の高さのセンサが投影レンズと統合されているので、最後の投影レンズ要素の焦点生成エリアとセンサとの間に、他の要素はない。統合されたシステムにおける唯一の重要な変化は、単一の投影レンズ要素104の公差である。これは、非常に薄い要素である(一般に、200μm以下である)。センサと投影レンズとの関係は、最下位の要素104の公差によってのみ乱される。静電容量センサの絶対測定は、集束要素と、ウェーハの表面、即ちビームが集束する平面/位置との間の距離から、集束要素(投影レンズの最下位の要素)の厚さの公差を除いた距離に本質的に一致する。集束要素の厚さの不確かさは、センサの要求される測定及び動作の範囲のほんの僅かな部分である。従って、センサの残りの静電容量を決定する「無限測定(infinity measurement)」を除いて、センサを更に較正する必要がない。これは、無限に、即ち適切な場所にウェーハを置くことなく、単に測定することによって決定され得る。センサと投影レンズとを近付けて統合すると、システムの全体の公差を最小化するので、静電容量センサの読み取り値は、更に較正することなく、リソグラフィマシンで使用するのに十分に正確である。更なる長所は、最小の設計は、露光ビームの近くでターゲット(ウェーハ)までの距離を測定することを可能にし、更に、測定誤差を最小化することである。
【0087】
センサは、投影レンズ104の底部に隣り合って、プレート112上に配置される。例えば図5−9に示されているタイプの薄膜構成に従って、別々に構成されるセンサの場合は、例えば粘着剤を使って、個々のセンサをマウントプレート112に直接に固定してもよい。例えば図13A−13Dに示されているタイプの、共通の基板上に形成されるセンサの場合は、同じく粘着剤又は他の取り付け手段を使用して、センサ基板をマウントプレート112に固定してもよい。更に、共通のセンサ基板はマウントプレート112として機能することもできる。
【0088】
投影レンズ104の底部は、センサ30の感知電極の底表面と実質的に同じ高さであるか、又は僅かにより低くてもよい。測定したい距離が、実際に測定される距離(即ち、感知電極の底表面と、測定されるターゲットとの間の距離)とほぼ等しくなるように、システムを設計することによって、システムの感度が上がる。1つの実施形態では、リソグラフィマシンに使用される場合に、投影レンズ104の底部は、センサ30の感知電極の底表面より50μm下に延在する。投影の焦点面は、投影レンズの底部より50μm下であって、感知電極よりも100μm下にある。ウェーハテーブルは、100nmの位置決めの精度と、感知電極の底表面の下に80−180μmのz軸(垂直)の移動範囲を有し、この範囲の上端は、ウェーハを感知電極の80μm以内に持ってくる。この範囲の下端は、感知電極の180μm下にウェーハを動かす。
【0089】
図17A乃至17Dは、複数のセンサ30と、統合されたフレックスプリントコネクタ110とを有するフレキシブルプリント回路構造120を示している。構造120は、カプトンポリイミドフィルム又は同様のフレキシブルな絶縁膜のような絶縁材料のフレキシブルなベースを具備する。接続線を作る導電性トラックと、センサのための導電性電極は、銅又は他の適切な導電性材料の薄い層から形成されるか、粘着剤を使用して絶縁性のベース層に固定されるか、例えばダイレクトメタライゼーションプロセスを使用して、粘着剤のない積層として形成されるか、或いは、導電性インク又は他の適切なプリント技術を使用して、絶縁層上にプリントされる。次に、保護絶縁膜が導電層の上に形成され得る。
【0090】
図17Bに示されている実施形態では、底部の投影レンズ104を収容する正方形のカットアウト121の周りに、8ペアのセンサを正方形の配列で配置している。更に、センサペアの代わりに、単一のセンサを使用してもよい。更に、センサ又はセンサペアの様々な空間的配置が使用され得る。フレキシブルなベース層は、延在部を含んでいる。延在部は、センサと信号処理システムとを電気的に接続するために、上述のように構成されたフレックスプリントコネクタ110として機能する。フレックスプリントコネクタ110は、コネクタ116に接続する。コネクタ116は、応力を除去し、遠隔信号処理システムに接続するための三軸ケーブル210に対するインターフェイスを提供する。
【0091】
センサから、センサと離れた位置へ、信号を転送するのに必要な接続及び配線と、センサとを統合すると、より大きく且つよりロバストな接続を作ることができ、幾つかの問題を解決することができる。センサのサイズが極めて小さいと、配線とコネクタのハードウェアのサイズが制限されるので、電気的に接続するのが困難になる。配線によって取り込まれる静電容量がセンサシステムを支配しないように、それらを制御しなければならない。配線の何らかの小さな動き又は振動は、損傷をもたらすか、或いはセンサの再較正の必要をもたらし得る。センサとセンサの配線との両者を、1つのフレックスプリントのフレキシブルなベース層上に統合すると、非常に小さな寸法を有するセンサにおける接続を可能にし、配線によって取り込まれる静電容量を、システムの設計中に制御することができる。1つのベース層上に統合すると、構造上ロバストな設計を生成し、配線の動きに関する問題を大幅に減らす。
【0092】
関連する配線を備えた複数のセンサを1つのベース層上に統合すると、更なる長所が得られる。1つのベース層上にセンサのアレイを形成することによって、製造された時に、センサの空間的配置が固定され、より大きな統合された構造は、機器、例えばリソグラフィマシンへの取り付けと取り扱いをより容易にする。
【0093】
フレキシブルなベース層上に回路をプリント又はさもなければ形成することによって、信号前処理回路200がフレックスプリントコネクタ上に統合され得る。信号前処理回路200は、(後述するように)センサのガード電極のアクティブなバイアスをかけることのために使用される緩衝器/増幅器を含んでもよく、追加の回路を含んでもよく、又は信号前処理回路200を省いて、投影レンズに対してローカルな唯一の接続ハードウェアと、全ての能動素子とが離れて配置されるようにしてもよい。リソグラフィマシンは、真空環境の中で動作するので、センサの近くであって、真空の中に能動素子を配置すると、真空中では熱伝達しないので、能動素子からの放熱の問題が生じ得る。しかしながら、アクティブなガードに必要なコンポーネントをガード電極の近くに配置すると、システムの性能が上がる。示されている実施形態では、信号前処理回路200はコネクタ116の隣に配置されているので、回路が発生した熱は、コネクタ116を通じてケーブル210に、より効果的に伝わり、センサ構成から離れ得る。
【0094】
図18は、別の接続構成を示している。フレックスプリントコネクタ110は、一方の端部において、マウントプレート112上のセンサ30に接続し、他方の端部において、接続配線又はピン201を介して、信号前処理回路200に接続する。信号前処理ユニット200は、フレーム部材131上に、好ましくは凹部又は仕切りの中にマウントされ得る。信号前処理回路200の出力は、ワイヤ又はピン202と、コネクタ204と、三軸ケーブル210とを介して、制御システムに送信される。
【0095】
図19Aと19Bは、リソグラフィマシンにおいて(図17A乃至17Dに示されている)統合されたフレキシブルプリント回路構造120をマウントする構成を示している。図19Aは、構成を上から示しており、見易さを改善するために投影レンズのスタックが取り除かれていて、フレキシブルプリント回路構造120は、フレーム部材131の窪みに配置されている。コネクタ116は、三軸ケーブル210を介して、ケーブリングバンドル(cabling bundle)212に接続する。次に、ケーブリングバンドル212は、遠隔信号処理システムに接続するためにケーブル214に接続する。図19Bは、ウェーハに面するセンサ30とフレキシブルプリント回路構造120とを示す下面図を表わしている。
【0096】
粘着剤又は他の適切な取り付け方法を使用して、フレキシブルプリント回路構造120を、マウントプレート、例えば図16Aと16Bとに示されているマウントプレート112の底表面に固定してもよい。この結果、関連する配線を備えたセンサアレイと、底部の投影レンズ104及びマウントプレート112とが全て、単一の構造で統合される。これによって、投影レンズのすぐ近くであって、且つ投影レンズに対して固定された関係で、センサがマウントされ、図16Aと16Bの実施形態の上述の恩恵がもたらされる。
【0097】
図20Aと、20Bと、20Dは、リソグラフィマシンの投影レンズ104を囲んでいるマウントプレート112上の静電容量センサの様々な構成を示している。図20Aでは、マウントプレート112の4つの四分円に、4つのセンサペアを分散させている。センサは、差動感知のためにペアで配置されている。マウントプレートの底側において、各センサは、感知電極31を具備し、側部ガード電極32を更に含み得る。この配置は、特に、ウェーハの高さと傾斜とを測定するのに特に適している。図20Bは、正方行列(square matrix)で配置されたペアの16個のセンサの配置を示している。正方形の真ん中は、センサを有しておらず、投影レンズ104が配置されている。上述の構成の全てについて、センサ基板の背側に、背部ガード電極が含まれていることが好ましく、更に、既に記載したようにシールド電極が含まれていてもよい。図20Cは、マウントプレート112及びセンサに関連する様々な位置のウェーハ9a、b、c、dを示しており、4つのウェーハの位置の重なったエリアは、投影レンズ104の四隅から延在しているマウントプレート112上の4つのエリア115を示している。図20Dは、これらの4つのエリア115に配置された4つのセンサ(差動)ペアを示している。
【0098】
エリア115のこの配置は、センサを分散させて、少なくとも1つのセンサ又はセンサペアを使って、ウェーハの表面までの距離を測定する可能性を最大化する。1つのみのセンサ/ペアがウェーハの上に配置されるように、ウェーハの位置を定めると、ウェーハの表面までの距離の測定は、このセンサ/ペアのみに基づく。別のセンサ/ペアがウェーハの上に位置を定められると直ぐに、このセンサ/ペアから更に測定して、ウェーハの上の2つのセンサ/ペアから、平均距離値を計算できる。同様に、第3と第4のセンサ/ペアがウェーハの上に位置を定められると、これらを考慮に入れる。最後の測定距離値における突然のステップを回避するために、更なるセンサ/ペアの寄与をフェードインさせることによって、例えば段階的に含めることによって、追加のセンサ/ペアを平均距離の計算に含めることが好ましい。
【0099】
マウントプレート112のサイズは、最小の、一般に約60mmの、ターゲットのサイズを決定する。300mmのウェーハに対して、ウェーハの位置9a−9dの4つの重なったエリア115は、センサの適切な配置エリアを示すが、リソグラフィマシンの光又は電子ビームの実際の投影エリアにできるだけ近付くように、センサをマウントすることが好ましい。より大きなウェーハのサイズ、例えば450mmは、エリア115を大きくする傾向がある。その理由は、エリア115を定める円形断面が、直線になる傾向があるからである。
【0100】
図21Aと21Bは、4つの差動センサペア30a、30bを有するフレキシブルプリント回路構造120の実施形態を示している。構造120は、図17A−17Dの実施形態と同様に、カプトンポリイミドフィルム又は同様のフレキシブルな絶縁膜のような絶縁材料のフレキシブルなベースから作られ、更に、1つ以上の統合されたフレックスプリントコネクタ110を含み得る。感知電極に面して(感知電極が見えるように、センサの上の絶縁性の保護層を省いて)下から見て示されている実施形態では、底部の投影レンズ104の周りの、図20Dのエリア115の中に位置を定めるように、4つのセンサペアが配置されている。更に、センサペアの代わりに、単一のセンサを使用してもよい。センサと配線接続とを統合すると、非常に小さなセンサに対する単純でロバストな接続と、配線によって取り込まれる静電容量の制御とを可能にする。図21Aは、円形のセンサを使った実施形態を示している。図21Bは、エリア115の使用量を最大化するために、四辺形のセンサを使った実施形態を示している。(単純化のために尖った角を有するセンサが示されているが、例えば図9Dに示されているように、丸みを帯びた角が好ましい)。
【0101】
図21Cは、フレキシブルプリント回路構造120をセンサの裏からある角度で示している。4つの統合されたフレックスコネクタ110が、折り曲げられて、ベース層120から上方に延在している。導電性トラックは、遠隔回路に接続するためのケーブルに接続するために、各センサのセンサ電極から、フレックスコネクタ110に沿って、次に、フレキシブルなメンブレン122と123の周りに延在している。ベース層を上から見て、センサの背部ガード電極35a、35bが示されている(背部ガード電極が見えるように、絶縁層とシールド電極は省かれている)。導電性トラック114bは、フレックスコネクタ110の内側110b上に形成されている。導電性トラックは、フレックスコネクタ110の外側110aに更に形成され得る。導電性トラックは、銅又は他の適切な導電性材料の薄い層から形成されるか、粘着剤を使用して絶縁層に固定されるか、粘着剤のない積層として形成されるか、或いは図17A−17Dの実施形態のように絶縁層上にプリントされ得る。
【0102】
図21Dは、センサ30と、関連するフレックスコネクタ110との断面図である。センサを遠隔回路に接続するために、導電性トラック114a−eが、センサ電極から、フレックスコネクタ110に沿って延在している。この実施形態では、導電性トラック114a−eは、同じ材料から作られ、電極の延在部としてセンサ電極に統合されている。導電性トラックは、センサの電極と同じやり方で、層状に配置されている。絶縁層34は、フレックスコネクタ110のための延在部分を含んでいる。導電性トラック114aは、感知電極31から延在しており、両者は、絶縁層34上に形成されている。導電性トラック114bは背部ガード電極35から延びており、両者は、絶縁層34と43との間に形成されている。導電性トラック114bは、導電性トラック114aよりも幅が広い。導電性トラック114bは外周部分を有し、外周部分は導電性トラック114aに対する側部ガード電極として機能する。導電性トラック114aは、感知電極から信号を伝送し、周囲環境中の導体に対してある特定の静電容量を有する。導電性トラック114aの近くの導体は、センサの感知電極に影響を及ぼすのと同じやり方で、この静電容量に影響を及ぼす。従って、近くの導体による妨害を減らすために、導電性トラック114bが、側部ガード電極の役割をするように設計されている。
【0103】
センサがシールド電極を含んでいる場合に、シールド電極44から導電性トラック114dが延在しており、両者は、絶縁層43と38との間に形成されている。この配置は、感知電極から測定信号を伝送する導電性トラック114aの長さの全体に、シールド電極の効果を拡張し、距離の測定に対する妨害と外部の影響とを減らす。
【0104】
図21Cの実施形態では、導電性トラック114b、114dと、これらの間の絶縁層は、フレックスコネクタの内側表面110b上において、内側に延在している。フレックスコネクタの外側表面110a上に、同様の配置が再現され得る。フレックスコネクタ110に沿って導電性トラック114aの上に絶縁保護材37を形成して延在させてもよい。導電性トラック114cは、フレックスコネクタに沿って導電性トラック114aより上に延在している。導電性トラック114aの両側には、外周部分が延在している。導電性トラック114cを、背部ガード電極に接続された導電性トラック114bに電気的に接続すると、導電性トラック114cを背部ガード電極と同じ電位にすることができる。導電性トラック114cを、背部ガード電極に直接に接続するか、又は他の何らかの手段によって電気的に接続することもできる。
【0105】
同様に、フレックスコネクタに沿って導電性トラック114cの上に延在している別の絶縁層43aを形成してもよい。別の導電性トラック114eは、フレックスコネクタに沿って導電性トラック114cより上に延在している。接地電位、好ましくは、導電性トラック114eは、センサから離れた接地に接続するためにケーブル導体に又は導電性トラック114dに電気的に接続され得る。最後に、保護層38aが最上部の上に形成され得る。
【0106】
この二面構成(two-sided arrangement)を使って、感知電極から信号を伝送する導電性トラック114aは、背部ガード電極の延在部間に効果的に挟まれ、この組み合わせ構造は、シールド電極の延在部間に挟まれるので、距離の測定に対する妨害と外部の影響とを大幅に減らす。
【0107】
導電性トラック114a−eは、センサから離れた端部において、センサ信号を遠隔回路に送るケーブルに接続され得る。三軸ケーブルを使用してもよく、中心のケーブル導体は導電性トラック114aに接続され、真ん中のケーブル導体は導電性トラック114bと114cに接続され、外側のケーブル導体は導電性トラック114dと114eとに接続される。上から覆い被せた絶縁層の穴を通して、各導電性トラックの金属の接触パッドを露出することによって、これらの接続を行なうことができる。
【0108】
図21Cに示されているセンサとコネクタの構造は、静電容量センサのアレイをマウントして、リソグラフィマシンの投影レンズに接続するのに適している。この構成は、幾つかの目的を達成し、非常に小さな薄膜静電容量センサを、最下位の投影レンズ要素がマウントされているのと同じマウントプレートに直接に、且つ投影レンズの焦点のすぐ近くにマウントするためのフレキシブルなベース層を提供する。このマウント方法は、感知要素と投影レンズとの高さの違いのためにセンサシステムを較正する必要を排除する。センサ電極から延在している一体化したコネクタは、センサへのロバストな電気接続を生成し、これは、システムの静電容量の変化を最小にし、センサに接続したときの変化による較正の必要を排除する。
【0109】
これは、もとの位置に(in situ)較正することを必要としない非常に簡単なシステムをもたらす。センサの残りの静電容量を決定して(これは、単に、無限に、即ちセンサの前にウェーハが無くても、測定することによって行われ得る)、その後に、相殺することができる。センサの残りの静電容量は、本質的に固定されるので、センサの更なる較正は必要ない。固定接続構造と三軸ケーブルとによって、接続の振動又は動きは大部分が取り除かれるので、(例えば、配線の小さな動きによる)寄生静電容量は、容易に低く維持される。結果として得られる構造は、リソグラフィマシン内に容易に取り付けられ、時間のかかる再較正をすることなく、センサ、又は組み合わされた投影レンズとセンサの構造を、取り除いて交換することを容易にする。
【0110】
電子回路
図22は、センサシステム300を示している。センサシステム300は、1つ以上のセンサプローブ30と、信号処理システム301と、センサプローブから信号処理システムに信号を伝達する接続システム302とを具備している。信号処理システム301は、センサプローブを駆動する電流又は電圧源回路と、生のセンサ信号を増幅する増幅器/緩衝器回路と、センサガード電極にバイアスをかけてケーブル導体を接続する回路と、プローブから受信した信号を処理して、処理された信号を測定データとして出力する信号処理回路と、システムを較正する回路とを含み得る。接続システム302は、センサを信号処理システムに接続するケーブルを含み得る。
【0111】
システムの各部分は、様々なタイプの測定誤差と、感度を下げる要素とに対する源であり得る。プローブの制限された形状と、センサ電極及び他のコンポーネントの形状を不揃いで不正確にする製造工程の限界とが原因で、センサプローブによって誤差が取り込まれる。センサプローブの構造と、プローブの近くの他のコンポーネントの干渉とが原因の、固有(intrinsic)/寄生(parasitic)の静電容量は、センサの感度を下げ得る。
【0112】
プローブをマウントすることによって、マウント表面又はプローブが傾斜する又は平らでなくなることと、マウントに関係する位置及び他の要素の公差との結果として、誤差が取り込まれ得る。信号処理のエラーと、コンポーネントの公差と、外部又は内部の干渉と、他の要素とが原因で、信号処理システムによって誤差が取り込まれ得る。接続システムによって、誤差が更に取り込まれ得る。誤差は、例えば、接続線と、接触パッドと、接続ワイヤと、ケーブリングとのような接続コンポーネントによって取り込まれる追加の静電容量である。
【0113】
センサとターゲットとの間の距離を表わす、センサの静電容量の変化を検出するために、様々な増幅器構成を使用することができる。図23Aは、基本的な高インピーダンス増幅器回路の単純化した回路図である。高入力インピーダンス増幅器は、増幅器305の単位利得非反転構成(unity gain non-inverting configuration)を使用する。AC電流源306は、センサプローブ30と並列し、増幅器への入力として接続される。回路は、静電容量の変化に比例する線形出力309を生成する。静電容量は、センサプローブ30とターゲット9との間の距離に応じて変わる。
【0114】
センサ30は、増幅器の入力と、接地又は仮想接地との間に接続されている。即ち、測定される静電容量の一方の電極は、接地に接続されている。しかしながら、ウェーハまでの距離を測定するために、センサの感知電極は、測定される静電容量の一方の電極を形成し、一方で、ウェーハの導電層は、他方の電極を形成する。一般に、ウェーハ9の導電層は、ウェーハテーブル134とリソグラフィマシンの他のコンポーネントとを介して、接地に容量的に接続される。ウェーハと接地との間の静電容量は、一般に6pFと70nFとの間で変化する。センサの静電容量の公称値は、一般に約0.1pF乃至1pFである。センサ30とウェーハ9との間の距離の小さな変化を正確に測定するために、センサの公称静電容量よりも少なくとも1000倍大きなウェーハ対接地の静電容量を有することが必要である。ウェーハ対接地の静電容量の変化の範囲は、非常に大きいので、この静電容量の小さな変化が、距離の測定に影響を及ぼす場合がある。ウェーハ対接地の静電容量が、センサの公称静電容量よりも、少なくとも1000倍大きくない場合は、ウェーハ対接地の静電容量の小さな変化が、測定される静電容量の変化と、距離の測定値の望ましくない変化とを引き起こす。
【0115】
図23Bに示されているように、差動測定原理において、差動ペアの2つのセンサ30a、30bは、電流源306a、306bによって駆動され、電流源306a、306bは、位相が180度ずれている。一方のプローブを通る電流は、ターゲットにおける導電層を通る経路を見付ける。仮想接地、即ち、電流経路における最低電位又は定電位は、電流経路の中心に生成される。高インピーダンス増幅器305a、305bを使用して、ターゲットの導電層とセンサとの間の距離の変化に対応する電圧信号を測定する。差動測定原理は、ウェーハ対接地のインピーダンスの変化から、距離の測定を独立させる。
【0116】
図24Aは、電圧源を使ってセンサ30にバイアスをかける代わりの回路を示している。2つの固定インピーダンス71、72と、可変静電容量73と、センサ30(可変静電容量として示されている)が、電圧源306によってエネルギを与えられるホイートストンブリッジ構成(whetstone bridge arrangement)で配置されている。ブリッジは、並列回路に配置されている2本の脚を有している。インピーダンス71と可変静電容量73は、第1のノードで一緒に接続され、一方の脚を形成している。インピーダンス72とセンサ30は、第2のノードで接続され、他方の脚を形成している。固定インピーダンス71、72は、同じインピーダンス値を有し、可変静電容量73は、センサ30の公称静電容量と一致するように調整される。ブリッジの各脚の中間点における2つのノードは、差動増幅器75の2つの入力に接続されている。差動増幅器75は、ノードにかかる、即ち、可変静電容量73とセンサ30とにかかる電圧の差を測定する。可変静電容量を調節して、差動増幅器のヌル値を調整する。自動較正アルゴリズムによって、可変静電容量を調整してもよい。
【0117】
ブリッジコンポーネントと差動増幅器とを、センサに配置してもよい。図17A−17Dに示されているフレックスプリント構成と併せて使用される場合に、センサと同じフレキシブルなベース層上に、固定インピーダンス71、72を形成してもよい。可変静電容量73は、可変静電容量のダイオード(バリキャップ)又は他の適切なコンポーネントを使用して形成され得る。更に、可変静電容量73は、ベース層上にマウント又は形成されるコンポーネントとして、フレキシブルなベース層上で統合されるか、或いは、銅と絶縁層とを使用して、フレキシブルな構造自体に統合され得る。差動増幅器をベース層上に形成してもよいが、上述の真空環境中の能動素子に関する考慮すべき事項が当てはまる。差動増幅器を遠く離して配置して、同じケーブル長を、センサ及び可変静電容量への接続に使用すると、事実上のケーブルの静電容量を取り除くことができ、共通モードの妨害が打ち消され得る。
【0118】
図24Bは、差動センサペアに対して実施される図24Aの回路を示している。ペアのうちの各センサ30a、30bは、固定インピーダンス71、72に接続され、電圧源306a、306bによってバイアスをかけられる。ここでは、ホイートストンブリッジ構成は、固定静電容量71、72と、センサペア30a、30bとによって形成される。これらは、ターゲット上の導電性ウェーハレジストを介して接続される。
【0119】
図25は、高インピーダンス増幅器回路を用いた差動測定を使用する実施形態を示している。2つのセンサ30a、30bは、差動ペアで構成されている。センサ30aの感知電極31aは、AC電流源306aによって駆動され、センサ30bの感知電極31bは、AC電流源306bによって駆動される。2つの電流源306a、306bは、互いに位相が180度ずれている。半サイクル中に、電流307は、センサ30a及びセンサ対ターゲットの静電容量16aを通り、ターゲット9の導電層を通り、センサ対ターゲットの静電容量16bを通り、センサ30bを通り、一方向に流れる。次の半サイクル中に、電流は逆方向に流れる。
【0120】
増幅器/緩衝器305aは、センサ30aの生の出力電圧を増幅し、更なる処理のために出力信号309aを発生する。更に、出力309aは、センサ30aの側部ガード電極32a及び/又は背部ガード電極35aにフィードバックされ得る。これは、感知電極に存在する電圧と同じ電圧でガード電極にエネルギを与えることによってアクティブなガードを実施する。従って、感知電極とガード電極との間に電界は形成されない。従って、感知電極とターゲットとの間の電界はできるだけ一様になる。同様に、増幅器/緩衝器305bは、センサ30bの生の出力電圧を増幅し、出力信号309bを生成し、センサ30bのガード電極に対するアクティブなバイアスをかける信号を供給する。出力信号309a、309bは、同期検波器回路330a、330bにそれぞれ入力され得る。
【0121】
センサから、信号処理を行う離れた位置へ、ケーブル接続することによって取り込まれる追加の静電容量により生じる誤差が取り込まれるのを防ぐために、特に、ガード電極のアクティブなバイアスをかけることを実施するときに、増幅器305a、305bをセンサ30a、30bの近くに配置することが好ましい。真空中で動作するリソグラフィマシンの静電容量センサの応用の場合に、センサの近くに能動素子を置くには、一般に、これらの能動素子を真空チャンバの中に置く必要がある。(真空中における伝導による伝熱(heat transfer)は依然として行われるが)真空中における放射による伝熱は不十分であるので、能動素子を真空チャンバ中に置くことは、放熱(heat dissipation)の問題をもたらし得る。このために、電流源306a、306bと、更なる信号処理回路、例えば同期検波器330a、330bは、センサから遠く離して、真空チャンバの外部に配置され得る。しかしながら、能動素子から離して熱伝導を可能にする構成で、より低い測定誤差を達成するために、増幅器305a、305bを、真空チャンバの中の、センサの近くに配置するのが好ましい。
【0122】
図26は、同期検波器回路330の1つの実施形態を示している。基準発振器331は、基準周波数f1を発生する。基準周波数f1は、センサを駆動する交流電流332を発生するために電流源306によって使用され、(同じく、周波数f1の)基準信号334を発生するために位相シフタ333によって使用される。基準信号334は、基準周波数に対して位相シフトされている。センサからの信号309と基準周波数との間における位相シフトに等しくなるように、基準信号334の位相シフトを調節して、感知構成内のセンサと同期検波器回路330とのケーブル接続の際に生じる位相シフトを補う。
【0123】
センサからの周波数f2における出力309は、入力緩衝器335への入力である。乗算器337は、周波数f2の緩衝又は増幅された入力信号336と、周波数f1の基準信号334とを受信する。乗算器337からの出力は、2つの入力周波数の和(f1+f2)の成分と、2つの入力周波数間の差(f1−f2)の成分とを含む。乗算器337からの出力は、低域フィルタ338に通され、より高い周波数をフィルタにかけて取り除き、2つの入力周波数間の差(f1−f2)を表わす低周波成分を残す。この信号を増幅器339によって増幅し、測定信号340を発生する。この測定信号340は、センサによって測定されるインピーダンスの変化を表わし、これは、センサとターゲットとの間の距離の変化によって決まる。
【0124】
既に記載したように、センサと信号処理回路とを駆動する電流源回路は、センサから遠く離して配置され得る。しかしながら、センサを遠隔回路に接続するために使用されるケーブル接続は、システムにおける追加の望ましくない静電容量を取り込む。図27は、センサシステムにおける静電容量を示す図である。静電容量Cinは、ケーブルの静電容量と、電流源306の出力の静電容量とを加えたもの表わす。静電容量Csは、測定されるセンサ対ターゲットの静電容量と、センサとセンサの接続線との固有(寄生)静電容量とを加えたものを表わす。静電容量Coutは、ケーブルの静電容量と、緩衝器305の入力の静電容量とを加えたものを表わす。浮遊静電容量Cin、Coutは、測定されるセンサ対ターゲットの静電容量Csと比較して小さくすべきである。その理由は、大きな浮遊静電容量は、センサの感度を下げるからである。
【0125】
センサを信号処理回路に接続するケーブルの静電容量は、大きく、センサの感度に悪影響を及ぼし得る。この問題を軽減又は解消するために、アクティブなガードがケーブル導体に使用され得る。図28Aは、センサ30を信号処理回路330に接続するケーブル350を備えた構成を示している。示されている構成では、増幅器/緩衝器305は、センサ30の近くに(垂直方向の点線の左側に)に配置され、電流源306は、センサから遠く離れて(垂直方向の点線の右側に)に配置される。電流源306は、ケーブルの中心の導体351を介して、センサ30に電流を送る。緩衝器305は、センサの感知電極にある電圧と同じ電圧で、同軸の導体352にエネルギを与える。中心の導体351と同軸の導体352は、同じ電圧がかけられるので、これらの導体間の浮遊静電容量の影響は事実上ゼロになる。
【0126】
図28Bは、ケーブル350の導体と、センサ30の導電性電極との接続を示している。中心の導体351は感知電極31に接続され、内側の同軸の導体352は背部ガード電極35に接続され、外側の同軸の導体353はシールド電極44に接続される。
【0127】
この実施形態におけるケーブルは、第3の同軸の導体353を備えた三軸ケーブルである。第3の同軸の導体353は、シールドとして機能し、接地される。シールドは、ケーブルの遠端、例えば回路330で、別の接地に接続されるのが好ましい。この接地は、単なるシールディングの接地であり、センサにおいて接地に接続されないことが好ましい。
【0128】
この構成に対する多くの代替案が可能である。例えば、非同軸ケーブルも使用できる。緩衝器305を、センサから遠く離して配置して、信号処理回路330の近くのケーブル350の遠端から導体352にエネルギを与えてもよい。
【0129】
従来の設計では、センサと信号処理回路との物理的分離は避けられていた。従来の設計では、センサと回路は、1つの製造業者によって一緒に供給され、工場で1つのセットとして一緒に較正され、電子回路をセンサに整合させ、非線形性を回避していた。ここに記載されているシステムでは、ウェーハテーブル制御システムと共に、自動スクリプトを使用し、例えば、ウェーハテーブルを既知の位置に動かして、センサから測定することによって、感知システムを素早く較正し得る。これは、センサと信号処理回路とをマッチしたペアとして扱う必要をなくし、信号処理回路を交換せずにセンサを交換できるようにし、メンテナンスを大幅に単純化し、リソグラフィマシンの非生産時間を減らし、従って、スループットを上げる。
【0130】
図29は、同期回路360の別の実施形態を示している。ディジタル基準発振器376は、基準周波数f1を発生する。基準周波数f1は、ミキサ372への基準信号入力となり、更に、ディジタル移相器377にも供給されて位相遅延を取り込む。位相遅延した基準周波数は、ディジタル/アナログ変換器378によってアナログ信号に変換される。アナログ位相遅延信号は、電流源306を駆動する。電流源306は、センサ30にエネルギを与える。感知システム及びケーブル350で生じる位相シフトと等しくなるように、即ち、同期検波器回路への入力におけるセンサシステム出力信号361と、基準周波数f1との位相差に等しくなるように、位相遅延を同調させる。ミキサ372から最大出力が得られるまで、移相器377を調整することによって、位相遅延を定めてもよい。なお、センサの静電容量が変わる場合でさえ、感知システム及びケーブルにおける位相シフトは一定を維持するべきである。
【0131】
入力緩衝器362は、センサ信号361を受信する。緩衝された信号から雑音と干渉とをフィルタにかけて取り除くために、緩衝された信号は帯域フィルタ363に入力される。フィルタにかけられた信号は、アナログ対ディジタル変換器364によってディジタル信号に変換される。次に、ディジタル処理を使用する。従って、回路360は、信号のアナログとディジタルの処理とを組み合わせて、両者の最良の特徴を使用する。次に、ディジタルフィルタにかけられたセンサ信号は、2つの差動出力を備えた、単一入力差動出力、差動増幅器(single-input differential-output, differential amplifier)(又は、分相器)371に入力される。一方の出力は、入力信号と同相であり、他方の出力は、入力信号と位相が180度ずれている。ミキサ372は、(周波数f2の)差動出力と、(周波数f1の)基準信号とを受信する。入力周波数f1(基準周波数)とf2(センサ信号361の周波数)は、ミキサ372で消される。ミキサの出力は、入力周波数の和と差の周波数(即ち、f1+f2とf1−f2)を有する成分を含んでいる。低域フィルタ373は、周波数の和にフィルタをかけて取り除いて、低周波成分を残す。低周波成分は、基準周波数とセンサ信号周波数との差(f1−f2)を表わす。周波数f1とf2が、等しくて同相である場合に、ミキサは、センサ信号361の振幅に比例するDC値を出力する。これは、センサの静電容量に比例し、センサとターゲットとの間の距離に比例する。低域フィルタからの出力を、増幅器374が増幅し、次に、それは制御システムへ入力され得る。
【0132】
較正アルゴリズムを使用して、センサシステムに対する同期検波器回路を自動的に較正してもよい。アルゴリズムは、位相遅延をインクリメント又はディクリメントする段階でディジタル移相器377を調整し、ミキサ372の出力をモニタする。ミキサ372の出力において最大値が達成され、基準信号とセンサ信号が同相であることを示すまで、移相器は調整される。
【0133】
フィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array, FPGA)を使用して、同期検波回路のディジタル処理を実施してもよい。更に、FPGA、及び/又はFPGAと共に働くソフトウェアにおいて、較正アルゴリズムを実施することができる。
【0134】
自動較正を備えたこの設計では、1又は複数のセンサからの測定信号を処理する信号処理回路を交換又は再較正する必要なしに、センサ又はセンサのアレイを交換することができる。従来のセンサシステムの設計は、マッチしたセットとして工場で一緒に較正されたセンサ及び信号処理回路を含むので、センサを交換するのに、信号処理回路を交換することも必要であった。自動較正アルゴリズムは、信号処理回路から独立してセンサを交換することと、既存の信号処理回路に対して新しいセンサを素早く較正することとを可能にし、メンテナンスを非常に簡単にし、リソグラフィマシンの非生産時間を減らす。これは、リソグラフィマシンの中断時間をより少なくし、リソグラフィマシンのスループットをより高めることを可能にする。
【0135】
図30は、センサ30a、30bの差動ペアのための処理回路の単純化したダイアグラムである。位相が180度ずれて動作する電流(又は電圧)源306a、306bによって、センサにバイアスをかける。各センサ30a、30bの出力は、同期検波器回路360a、360bにそれぞれ供給される。同期検波器回路の出力は、減算関数を実施する回路380に入力される。同期検波器回路出力の出力は、位相が180度ずれているので、減算は、センサ信号を維持する一方で、2つの同期検波器回路の出力から、共通モードの干渉を取り除くように作用する。
【0136】
静電容量センサは、リソグラフィマシンのウェーハの位置決めの制御に使用され得る。図31は、このような制御システムの概略図である。センサ30は、リソグラフィマシンの投影レンズ104と、可動ウェーハテーブル134に載っているウェーハ9との間の距離に関連する距離を測定する。この構成では、投影レンズに対して固定された関係で、センサをマウントしているので、センサとウェーハとの間の測定される距離から、投影レンズとウェーハとの間の距離を決定できる。センサの信号は信号処理ユニット301に送信され、信号処理ユニットによって出力された測定データは、制御ユニット400に送信される。制御ユニット400を使用して、ウェーハテーブルのZ軸(垂直)の動きを制御して、リソグラフィマシンの投影レンズの焦点面においてウェーハを維持するので、ウェーハがx及びy軸において動くときに、マシンによって発生された荷電粒子ビームレットは、ウェーハの表面で集束する。
【0137】
制御システムと共にセンサシステムを使用して、ウェーハが動かされたときの様々な場所におけるウェーハと投影レンズとの間の距離を正確に決定してもよい。これによって、システムは、ウェーハの表面のトポロジ(topology)を決定し、ウェーハの傾斜又は湾曲と、ウェーハの表面における他の不規則性(irregularity)とを検出することができる。ウェーハの表面が完全に平らであることはほとんどない。一般的なウェーハは、クランプで留めないならば、50μmまでの湾曲をその中に有し得る。ウェーハの湾曲とは別に、ウェーハの表面は、他の非一様性をその表面の全体にわたって有し得る。ウェーハの湾曲及び他の非一様性は、ウェーハの表面の高さの変化をもたらし、その結果、ウェーハの表面が投影レンズの焦点面に存在しなくなる。制御システムを使用して、この高さの変化を修正し、光又は粒子露光ビームをウェーハ上に集束させるために使用される投影レンズの焦点面において、ウェーハの表面を維持することができる。センサから送信された信号を使用して、ウェーハの表面の高さにおけるこれらの変化を補償するために、ウェーハテーブルの垂直位置を調整してもよい。
【0138】
このシステムは、前もって測定するのではなく、ウェーハを処理(例えば、露光)する一方で、ウェーハの表面のトポロジを測定するように設計されている。これは、全体的なウェーハの処理時間を減らして、スループットを上げる。
【0139】
1つの実施形態では、図32Aに示されているように、投影レンズの周りに正方行列で8個のセンサを配置したものを使用している。この配置は、ウェーハの傾斜と、ウェーハの湾曲と、他の不規則性とを測定すること、及び1回のウェーハの走査でウェーハの露光を終了することを可能にする。一般的な配置では、機械の走査方向にウェーハを動かして、一方で、リソグラフィマシンの光又は荷電粒子ビームでウェーハの表面全体にわたって走査し、露光パターンに従ってウェーハを露光する。
【0140】
図32Aの実施形態では、ウェーハが機械の走査方向405に動かされるときに、第1の列のセンサA−Cは、センサAと、Bと、Cとに対応する、ウェーハの表面上の1本のラインの中の3つの点において、ウェーハの表面までの距離を測定する。センサBからの測定値とセンサA及びCからの測定値とを比較することによって、ウェーハの位置の傾斜、ウェーハの湾曲、又は他の表面の不規則性の、存在と大きさとを計算することができる。ラインに沿ったウェーハの傾斜、湾曲、又は不規則性の計算値は、制御システムのメモリに記憶される。ウェーハが方向405に進むときに、センサA−Cによって既に測定されたラインが、投影レンズ104の下に入ると、露光される準備が整う。投影レンズの両側のセンサD及びEは、センサA及びCによって既に測定されたライン上の点までの距離を測定する。記憶された値と、センサD及びEからの現在の測定値とに基づいて、投影レンズの下の点におけるウェーハの高さを計算することができる。制御システムは、投影レンズの下の点におけるウェーハの高さのこの計算結果を使用して、ウェーハテーブルの高さを調整して、ウェーハの表面が投影レンズの焦点面に確実に留まるようにすることができる。これは、ウェーハの1回の走査で、ウェーハの表面の傾斜、湾曲、又は他の不規則性に対する補償を測定して修正することを可能にする。
【0141】
機械の両方の走査方向において、即ち、ウェーハが方向405に動いている場合と反対方向に動いている場合とにおいて、上述と同じ工程を使用できるようにするために、第3の列のセンサF−Hが設けられている。図32Aは、8つのセンサからなる行列を示しているが、異なる数のセンサを使って、上述の方法を実施してもよい。更に、図32Aに示されている各センサは、各点A−Hにおいて異なる測定を行なう、差動ペアのセンサであってもよい。
【0142】
別の実施形態が、図32Bに示されている。図32Bは、8個のセンサを差動ペアで投影レンズ104の四隅に配置したものを有している。この配置は、例えば、ウェーハの湾曲を許容値に下げるために、露光中、ウェーハを十分によくクランプで留めるリソグラフィシステムに適している。しかしながら、非常に平らなウェーハテーブルと、ウェーハをそのウェーハテーブルに押し付けて平らに保つ良いクランプとを使っても、ウェーハの変化とその表面上のレジスト層とのために、ウェーハの表面に依然として変化があるであろう。この実施形態では、ウェーハを機械の走査方向405に動かすと、センサペアA、Bとを含む第1の列は、位置AとBとに対応するウェーハの表面上のラインの中の2つの点において、ウェーハの表面までの距離を測定する。更に、センサペアC、Dによって、位置CとDとにおいて測定することができる。
【0143】
点A、B、C、Dにおけるウェーハまでの距離と、ウェーハまでの平均距離と、ウェーハにおける傾斜(例えば、走査方向及び他の方向におけるウェーハの傾斜)の存在と大きさとを計算して、制御システムのメモリに記憶することができる。これらの測定値から、投影レンズ104の中心とウェーハの表面との間の距離を計算することができる。
【0144】
図32Cは、投影レンズとウェーハの表面との間の距離と、ウェーハの表面にわたる傾斜値とを決定する測定方法を示している。幾つかの所定の位置において、例えば、図32Cに示されているように、ウェーハの外周の近くの4つの等間隔の位置と、中心とにおいて、ウェーハの局部的な勾配を、露光する前に測定する。x方向におけるウェーハテーブルの傾斜Rxと、y方向におけるウェーハテーブルの傾斜Ryとを調整するために、ウェーハテーブルを制御することができる。測定中、ウェーハテーブルの傾斜RxとRyは、一定の値に維持される。
【0145】
測定結果を使用して、処理ユニットよって露光されるウェーハの全エリアについて、高さマップ(height map)を計算する。露光中にウェーハテーブルを動かして、ウェーハテーブルを傾斜させて、ウェーハの表面にわたる高さの変化を修正するために、高さマップから、傾斜修正値Rx(x,y)とRy(x,y)とを計算する。x方向とy方向とに対する全体的な露光のために、一定の傾斜修正値が計算され得る。即ち、Rx(x,y)は、露光についての一定の値であり、Ry(x,y)は、(恐らく異なる)一定の値である。更に、ウェーハの異なる領域に対して、複数の傾斜修正値RxとRyを計算して、各領域が露光されたときに、それに応じてウェーハテーブルを調整する場合に、より複雑な計算を行なってもよい。
【0146】
露光中に、x方向とy方向とにおけるウェーハテーブルの傾斜は、計算された傾斜修正値RxとRyとに従って制御される。これは、例えば、ウェーハテーブルの位置と傾斜とのフィードバックに対する干渉計信号を使用して達成することができる。次に、このレベルセンサを使用して、z方向のデータのみ、即ち、投影レンズとウェーハの表面との間の距離を生成してもよい。
【0147】
この手順は、上述のインラインで測定する方法(in-line measuring method)と異なる。先にウェーハをマッピングする方法(advance wafer mapping method)では、ウェーハまでのz方向の距離を様々な位置で測定し、それからx方向とy方向とにおけるウェーハの表面の全体的な傾斜を計算する。次に、露光する前に、ウェーハテーブルを調整して、このような傾斜を最適に修正し、ウェーハの走査中に、リソグラフィのカラムの光軸と交差する投影器のヘッドに対して公称上平行するウェーハの表面を提供する。走査中に、ウェーハの表面の計算された高さマップを使用し、z方向における変化、即ち、投影レンズとウェーハの表面との間の距離の変化に適応させてもよい。測定値間の補間を使用することによって、又は前もって決定された高さマップから、z方向の値を直接に見付けてもよい。
【0148】
本発明は、上述のある特定の実施形態を参照することによって記載されている。様々な構成と代替例が記載されており、当業者に分かるように、ここに記載されている実施形態の何れかと共に、これらの構成と代替例とを使用してもよいことに留意すべきである。更に、これらの実施形態は、本発明の意図及び範囲から逸脱することなく、当業者に周知の様々な変更及び代わりの形態が可能であることが分かるであろう。従って、特定の実施形態が記載されているが、これらは単に例であって、本発明の範囲を制限していない。本発明の範囲は、請求項において定められている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リソグラフィマシンのための統合されたセンサシステムであって、
前記統合されたセンサシステムは、
1本以上の露光ビームをターゲット上に集束させる投影レンズシステム(132)と、
前記ターゲット(9)を支える可動テーブル(134)と、
前記投影レンズシステムの最後の集束要素(104)と前記ターゲット(9)の表面との間の距離に関連する測定を行なう静電容量感知システム(300)と、
前記静電容量感知システムからの信号に少なくとも部分的に基づいて、前記ターゲット(9)の位置を調整するために、前記可動テーブル(134)の動きを制御する制御ユニット(400)と、
を具備しており、
前記静電容量感知システム(300)は、複数の静電容量センサ(30)を具備しており、
各静電容量センサ(30)は、薄膜構造を備えており、
前記複数の静電容量センサと前記投影レンズシステムの前記最後の集束要素(104)は、共通のベース(112)に直接にマウントされ、
前記複数の静電容量センサは、前記投影レンズシステムの前記最後の集束要素の前記縁部の直ぐ近くに配置される、統合されたセンサシステム。
【請求項2】
前記ターゲット(9)の前記表面に対して直角に交わるz軸方向において、前記ターゲットに面している前記静電容量センサ(30)の感知電極(31)の底表面が、前記投影レンズシステムの前記最後の集束要素の底表面と実質的に同じ高さであるように、前記複数の静電容量センサ(30)のうちの少なくとも幾つかの位置が定められる、請求項1の統合されたセンサシステム。
【請求項3】
前記複数の静電容量センサ(30)のうちの少なくとも幾つかは、前記静電容量センサの感知電極(31)の底表面が前記ターゲットに面するようにさせており、
前記ターゲットは、前記ターゲットの前記表面に対して直角に交わるz軸方向において、前記投影レンズシステムの前記最後の集束要素(104)の底表面から50ミクロン以内に位置を定められる、請求項1又は2の何れか1項の統合されたセンサシステム。
【請求項4】
前記複数の静電容量センサのうちの少なくとも幾つかは、前記静電容量センサの背表面から、前記ターゲットに面している前記静電容量センサの感知電極の前表面までにおいて、50乃至150ミクロン、好ましくは約100ミクロンの厚さを有する、請求項1乃至3の何れか1項の統合されたセンサシステム。
【請求項5】
前記投影レンズシステムの前記最後の集束要素(104)は、100乃至150ミクロンの厚さである、請求項1乃至4の何れか1項の統合されたセンサシステム。
【請求項6】
前記複数の静電容量センサは、前記最後の集束要素の前記縁部に対する前記リソグラフィマシンの視野のサイズの幅又は長さの範囲内に配置される、請求項1乃至5の何れか1項の統合されたセンサシステム。
【請求項7】
前記最後の集束要素は、前記投影レンズシステムの底部の要素である、請求項1乃至6の何れか1項の統合されたセンサシステム。
【請求項8】
前記複数の静電容量センサと、前記投影レンズシステムの前記最後の集束要素(104)は、一緒に直接に接続される、請求項1乃至7の何れか1項の統合されたセンサシステム。
【請求項9】
前記静電容量感知システム(300)は、複数の静電容量センサ(30)を具備しており、
各静電容量センサ(30)は、薄膜構造を備えており、
前記薄膜構造は、
第1の絶縁層(34)と、
前記第1の絶縁層の第1の表面上に形成された感知電極(31)を備える第1の導電膜と、
前記第1の絶縁層(34)の第2の表面と第2の絶縁層(43)の第1の表面との上に配置された背部ガード電極(35)を備える第2の導電膜と、
を具備しており、
前記背部ガード電極の外周部分は、前記感知電極を越えて延在し、前記感知電極を囲み、前記背部ガード電極と一体をなす側部ガード電極を形成している、請求項1乃至8の何れか1項の統合されたセンサシステム。
【請求項10】
前記複数の静電容量センサの前記薄膜構造は、
前記第2の絶縁層(43)の第2の表面上に配置されたシールド電極(44)を備える第3の導電膜、
を更に具備している、請求項9の統合されたセンサシステム。
【請求項11】
前記薄膜構造は、フレキシブルである、請求項1乃至10の何れか1項の統合されたセンサシステム。
【請求項12】
前記静電容量感知システム(300)は、前記感知電極から離れて配置されている能動電子素子を具備しており、
前記能動電子素子は、前記複数の静電容量センサと共に配置されていない、請求項1乃至11の何れか1項の統合されたセンサシステム。
【請求項13】
各静電容量センサは、フレキシブルなメンブレンを備えた細長い接続部材(110)を更に具備しており、
前記フレキシブルなメンブレン上に、導電性トラック(114a−c)がプリントされ又は付けられていて、
前記導電性トラックは、一方の端部において、前記静電容量センサの前記感知電極(31)と前記背部ガード電極(35)とに電気的に接続され、他方の端部において、コネクタ(116)に電気的に接続されている、請求項1乃至12の何れか1項の統合されたセンサシステム。
【請求項14】
前記導電性トラック(114a−c)は、前記第1の絶縁層(34)上に形成されており、
前記第1の絶縁層は、
前記感知電極(31)と前記背部ガード電極(35)とが配置されている第1のエリアと、
前記導電性トラックが形成されている第2の細長いエリアと、
を具備する、請求項13の統合されたセンサシステム。
【請求項15】
前記複数の静電容量センサは、薄膜の絶縁性のベース層(34、102、120)上に形成されている複数の静電容量センサの複数のペアを具備しており、
前記薄膜の絶縁性のベース層は、前記共通のベースに直接にマウントされている、請求項1乃至14の何れか1項の統合されたセンサシステム。
【請求項16】
前記複数の静電容量センサは、前記薄膜の絶縁性のベース層(34、102、120)上に形成されている複数の静電容量センサの複数のペアを具備しており、
前記統合されたセンサシステムは、
前記前記静電容量センサの1つペアのうちの第1のセンサに、前記複数の静電容量センサの前記1つのペアのうちの第2のセンサの電流又は電圧に対して位相が180度ずれている交流電流又は電圧で、エネルギを与えるように構成されている、1つ以上のAC電力源、
を更に具備している、請求項1乃至15の何れか1項の統合されたセンサシステム。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【図6F】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図13D】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17A】
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【図17B】
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【図17C】
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【図17D】
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【図18】
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【図19A】
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【図19B】
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【図20A】
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【図20B】
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【図20C】
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【図20D】
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【図21A】
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【図21B】
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【図21C】
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【図21D】
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【図22】
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【図23A】
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【図23B】
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【図24A】
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【図24B】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28A】
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【図28B】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32A】
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【図32B】
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【図32C】
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【公表番号】特表2013−516752(P2013−516752A)
【公表日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−546448(P2012−546448)
【出願日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【国際出願番号】PCT/EP2010/070890
【国際公開番号】WO2011/080310
【国際公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(505152479)マッパー・リソグラフィー・アイピー・ビー.ブイ. (55)
【Fターム(参考)】