説明

統合された熱調節手段を有する電子センサ

【課題】追加の熱調整システムの使用を必要としない熱画像センサを提供する。
【解決手段】熱画像センサ(100)であって、−各ピクセルが少なくとも1つのボロメータ(112)と前記ボロメータ(112)の端子に電圧を印加する手段とを有する1つのピクセルマトリクス(102)と、−前記ピクセルマトリクス(102)の出力(104)を各ピクセルの前記ボロメータ(112)の端子に電圧を印加する手段の入力(108)に接続すると共に、前記ピクセルマトリックス(102)の出力信号と基準値との間の比較を実行することができる比較手段(106)とを備え、各ピクセルの前記ボロメータ(112)の端子の電圧の値が、前記比較の結果に応じて、少なくとも部分的に決定されることを特徴とするセンサ(100)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子センサの分野に関係すると共に、更に特に、例えば赤外線の画像処理の分野で使用される、ボロメータセンサのような熱画像センサの分野に関係する。
【背景技術】
【0002】
ボロメータは、測定された温度に従って変化する抵抗を備えている。従って、ボロメータの端子に固定電圧を印加することによって、ボロメータで測定された温度の変化は、その抵抗の値、ひいてはそれを通過する電流の値に影響を与える。
【0003】
この温度は、本質的に周囲温度によってもたらされる。測定されるべきである入射赤外線のフローからのエネルギー寄与は、温度上昇を生むが、しかし、それは周囲温度より割合が低く、ボロメータの抵抗値は、(測定されるべきである入射赤外線のフローが提供する)熱力学的温度50度の背景温度上昇において約1.6[%]低下する一方、この抵抗の値は、周囲温度が例えば熱力学的温度300度から325度に変わるとき半分に減らされる。
【0004】
今まで、この問題を克服するために、センサは、一定の周囲温度を維持するために、例えばペルチェ(Peltier)モジュールタイプの熱調整システムを含むケースに入れて、ひもで縛られた。しかしながら、そのような熱調整システムは、サイズ及びコストに関して有意の問題を作り出す。
【非特許文献1】“F.Simoens”等、“New IRCMOS architecture applied to uncooled microbolometers developed at LETI” PROC. OF SPIE, vol. 6542, 2007年05月14日, 65421T-1〜65421T-6頁
【非特許文献2】“M.Tchagaspanian”等、“Design of ADC in 25 m pixels pitch dedicated for IRFPA image processing at LETI” PROC. OF SPIE, vol. 6542, 2007年05月14日, 65421W-1〜65421W-12頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明の1つの目的は、周囲温度の変化からセンサを解放するためのペルチェモジュールのような追加の熱調整システムの使用を必要としない熱画像センサを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的のために、本発明は、少なくとも、−各ピクセルが少なくとも1つのボロメータと前記ボロメータの端子に電圧を印加する手段とを有する1つのピクセルマトリクスと、−前記ピクセルマトリクスの出力を各ピクセルの前記ボロメータの端子に電圧を印加する手段の入力に接続すると共に、前記ピクセルマトリクスの出力信号と基準値との間の比較を実行することができる比較手段とを備え、各ピクセルの前記ボロメータの端子の電圧の値が、前記比較の結果によって、少なくとも部分的に決定されることを特徴とする熱画像センサを提案する。
【0007】
従って、周囲温度がセンサに及ぼす影響は、電子的に調整されると共に、電子的な調整は、例えばピクセルマトリクスにおけるボロメータに接続されたMOS注入トランジスタゲートの容量を使用し得る。
【0008】
ボロメータの端子に印加されると共に、センサのボロメータの全てに共通である電圧を制御することによって、例えばMOS注入トランジスタのゲートに印加される電圧を用いて、これらのボロメータを循環する分極電流の値が与えられる。その結果として、ボロメータを通過する平均電流は、所望の基準値に対応する。従って、その後に変換される大きさ(分極電流)に直接影響を与えると共に、ピクセルマトリクスの出力信号を提供する入力信号(ゲート電圧)を修正することによって、ピクセルマトリクスの出力信号を、アナログまたはデジタルのいずれにせよ、動的に所望の出力信号の中心に調整することができる。
【0009】
この閉ループは、適当な比較器を使用することによって、アナログもしくはデジタル出力信号を提供するセンサによって使用され得る。
【0010】
この場合において、そして文書の残りでは、基準値によって、2つの限界値の間の所定値または所定範囲を意味する。
【0011】
ピクセルマトリクスは、信号をピクセルマトリクスの出力に供給することができる手段を備え得る。これらの手段によって供給された信号は、各ピクセルのボロメータによる測定値から獲得され得る。
【0012】
ピクセルマトリクスは、ピクセルのボロメータによる測定値から獲得された信号を多重化する手段を備え得ると共に、多重化された信号は、その場合にピクセルマトリクスの出力に供給され得る。
【0013】
各ピクセルのボロメータの端子に電圧を印加する手段は、これらの手段の入力がMOSトランジスタのゲートに接続されているMOSトランジスタを備え得る。
【0014】
ピクセルマトリクスは、周囲温度によって変化する電流をボロメータに供給することができる手段を少なくとも備え得ると共に、これらの手段は、少なくとも1つの補償ボロメータを備え得る。
【0015】
ピクセルマトリクスは、各ピクセルのボロメータによって供給された電流の一部分を補償することができる手段を少なくとも備え得ると共に、これらの手段は、少なくとも1つの補償ボロメータを備え得る。
【0016】
ピクセルマトリクスは、少なくとも、各ピクセルのボロメータの測定値を一連のパルスを含む信号に変換する手段と、パルスを計数するための手段と、パルスの計数結果を記憶する手段とを備え得る。
【0017】
この場合、変換する手段は、変換する手段の入力と比較器の第1の入力に接続された少な少なくとも1つの積分コンデンサを備えると共に、比較器の第2の入力は、電圧源に接続され得る。
【0018】
この場合、ピクセルマトリクスは、デジタル信号を供給し得る。
【0019】
ピクセルマトリクスは、ピクセルの内の1つのボロメータの少なくとも1つの測定値の入力を受け取るように設計されている少なくとも1つの電流−電圧増幅器を備えると共に、前記電流−電圧増幅器の出力は、ブロッキングサンプラ(blocking sampler)の少なくとも1つの入力に接続され得る。
【0020】
この場合、ピクセルマトリクスは、アナログ信号を供給し得る。
【0021】
比較手段は、少なくとも、−前記ピクセルマトリクスから出力信号を受け取ることができる第1の入力と、−前記基準値を受け取ることができる第2の入力と、−前記比較手段の出力に出力電流“i”を供給することができる手段とを備え、前記出力電流“i”の絶対値|i|が、前記比較手段に印加される分極電圧によって決まると共に、前記出力電流“i”の極性が、前記ピクセルマトリクスの出力信号と前記基準値との間の比較の結果によって決定され、前記ボロメータの端子の電圧値が、前記比較手段により供給される前記出力電流“i”によって変化することを特徴とする。
【0022】
この場合、比較手段の出力に出力電流“i”を供給することができる手段は、少なくとも、−2つのPMOSトランジスタによって形成された電流ミラーと、−ゲートが第2の入力に接続され得る第1のNMOSトランジスタと、−ゲートが第1の入力に接続され得る第2のNMOSトランジスタと、−第1及び第2のNMOSトランジスタに接続された第3のNMOSトランジスタとを備え、前記分極電圧が、第3のNMOSのゲートに印加され得ることを特徴とする。
【0023】
前記比較手段は、少なくとも、−前記ピクセルマトリクスから出力信号を受け取ることができる第1の入力と、−前記比較手段の出力に出力電流“i”を供給することができる手段とを備え、前記出力電流“i”の絶対値|i|が、前記比較手段から獲得された分極電圧によって決まると共に、前記出力電流“i”の極性が、前記ピクセルマトリクスの出力信号と前記基準値との間の比較の結果によって決定され、前記ボロメータの端子の電圧値が、前記比較手段により供給される前記出力電流“i”によって変化することを特徴とする。
【0024】
この場合、比較手段の出力に出力電流“i”を供給することができる手段は、少なくとも、−2つのPMOSトランジスタによって形成された第1の電流ミラーと、−2つのNMOSトランジスタによって形成された第2の電流ミラーと、−ゲートが第1の入力に接続され得ると共に、ソースとドレインが、それぞれ、第2の電流ミラーの2つのNMOSトランジスタの内の1つのソースとドレインに接続され得る第3のNMOSトランジスタと、−ゲートが第1の入力に接続され得ると共に、ソースとドレインが、それぞれ、第1の電流ミラーの2つのPMOSトランジスタの内の1つのソースとドレインに接続され得る第3のPMOSトランジスタと、−第3のNMOSトランジスタと第3のPMOSトランジスタとの間に接続された抵抗器とを備え、前記分極電圧がこの抵抗器の端子で獲得された電圧であり得ることを特徴とする。
【0025】
ピクセルマトリクスの出力信号がデジタル値であるとき、出力信号の1つまたはいくつかの上位ビットは、比較手段の第1の入力の1つまたはいくつかの端子に印加されることを意図され得る。
【0026】
前記比較手段は、複数のMOSトランジスタを備え、前記分極電圧の値は、前記MOSトランジスタのチャネルの幅と長さに少なくとも部分的に依存し得る。
【0027】
前記比較手段は、少なくとも1つの抵抗器を更に備え、前記分極電圧の値は、前記抵抗器の値に少なくとも部分的に依存し得る。
【0028】
更に、本発明は、熱画像センサによって温度を測定する方法に関係し、少なくとも以下の、−測定された温度を代表する信号を生成する段階と、−前記信号の値を基準値と比較する段階と、−前記比較の結果に従って、前記信号の値を修正する段階とを有することを特徴とする。
【0029】
前記測定された温度を代表する信号を生成する段階は、以下の、−前記測定された温度の値によって振幅値が変わる第1の信号を生成する段階と、−前記第1の信号を、前記第1の信号の振幅値によってパルスの数が変わる第2のパルス信号に変換する段階と、−前記第2のパルス信号のパルス数を計数する段階とを適用することによって獲得され、前記測定された温度を代表する信号が、計数されたパルス数を含み得ることを特徴とする。
【0030】
前記信号の値は、前記第1の信号の振幅値を修正することにより、前記比較の結果に従って訂正され得る。
【0031】
前記測定された温度を代表する信号は、デジタル信号であり、前記測定する方法が、時間“τ=n×Tframe”の間用いられ得ると共に、ここで、“n”は、前記測定された温度を代表する信号の量子化レベルの数であり、“Tframe”は、センサによって画像を獲得するための時間であることを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
この発明は、純粋に一例として、そして決して制限的でなく提供された実施例の説明を、添付された図面を参照して読むことによって、更に明らかに理解されることになる。
【0033】
1つの図面から別の図面までの経過を容易にするために、以下で説明される様々な図面の同一、同様、または同等の部分は、同じ参照符号を有する。
【0034】
図面を更に読み易くするために、図面において示された様々な部分は、等分目盛に必ずしも示されるとは限らない。
【0035】
様々な可能性(変形及び実施例)が、相互に排他的ではないと共に、相互に結合され得ると理解されるべきである。
【0036】
最初に、特定の一実施例によるセンサ100を示す図1が参照される。
【0037】
センサ100は、例えば240個の行と320個の列に分散された76800ピクセルを有するピクセルマトリクス102を備える。ピクセルマトリクス102の出力104は、センサ100の出力を形成する。マトリクス102の出力104は、比較手段106、または比較器106の入力に接続されている。最終的に、比較器106の出力が、ピクセルマトリクス102の入力108に接続される。
【0038】
図1に関連して説明された特定の実施例において、この記述において以下で説明されることになるように、サーボループ時定数またはリターンループ時定数の値を増大させるために、比較器106の出力と入力108との間の接続に並列に、コンデンサ110が、ピクセルマトリクス102の入力108に更に接続され得る。
【0039】
ピクセルマトリクス102によって獲得された画像は、出力104にデジタルまたはアナログ信号の形式で供給される。比較器106は、ピクセルマトリクス102によって供給された、獲得された画像を表す出力信号の値と、例えばピクセルマトリクス102の出力が目指すように設計されている平均値に対応する基準値の値との間の比較を実行する。1つの変形において、この基準値は、ピクセルマトリクスの出力に供給された信号の平均値が含まれることを意図している、2つの限界値の間の値の範囲であり得る。
【0040】
この比較の結果は、その場合に、ピクセルマトリクス102の入力108に送信される。閉ループが、その場合に、比較器106を介して、ピクセルマトリクス102の出力104と入力108との間に生成され、従って、ピクセルマトリクス102の出力信号の平均値が、目標値または目標値の範囲に向かう傾向となることを可能にする。
【0041】
デジタル画像の獲得の場合に、ピクセルマトリクス102の一部分は、図2Aにおいて図示される。この図2Aにおいて、マトリクス102のピクセルの獲得部分を形成する単一のボロメータ112が示される。このピクセルマトリクス102は、ピクセルと同数のボロメータを備える。ボロメータ112は、NMOS注入トランジスタ114のソースに接続されている。マトリクス102の入力108は、NMOSトランジスタ114のゲートに接続されている。NMOSトランジスタ114のドレインは、入力に印加される電圧の値を一連のパルスを含む信号に変換する、変換手段(変換する手段)またはコンバータ116に接続されている。コンバータ116の出力は、それ自体は記憶する手段120に接続されている、計数する手段またはカウンタ118に接続されている。コンバータ116、カウンタ118、及び記憶する手段120は、ボロメータ112を読み取るための回路を形成する。
【0042】
記憶する手段120の出力は、マトリクス102のピクセルの同じ列またはピクセルの同じ行の全ての記憶する手段に共通のバス122に接続されている。バス122は、ピクセルの他の列または行のマトリクス102の他のバスの全てと同様に、マトリクス102の全てのバスの信号を多重化すると共に、その出力がピクセルマトリクス102の出力を形成するマルチプレクサ124に接続されている。マルチプレクサ124の出力に供給された信号がアナログ信号であるとき、マルチプレクサ124の出力を、図示されないアナログ−デジタル変換器に接続することができる。同様に、マルチプレクサ124の出力に供給されたシグナルがデジタル信号であるとき、マルチプレクサ124の出力を、同様に図示されないデジタル−アナログ変換器に接続することができる。このコンバータは、ピクセルマトリクス102の一部分であり得るか、もしくはこのマトリクスの外側に配置され得る。
【0043】
ボロメータ112の読み取り回路は、ボロメータ112を循環する電流を、パルスの周波数がボロメータ112を循環する電流の値によって変わる一連のパルスを含む信号に変換する。パルスは、その場合に、ボロメータ112による獲得または測定時間に対応する計数時間の間に計数される。計数されたパルスの数は、その場合に、読み取り回路の出力に供給されると共に、ここでこのパルスの数は、ボロメータ112を通過する電流、つまりボロメータ112によって生成される測定値を代表する。
【0044】
コンバータ116の実施例の1つの例は、図2Bにおいて示される。コンバータ116は、コンバータ116の入力と比較器132の反転入力に接続されている積分コンデンサ130を備える。比較器132の非反転入力は、電圧源134に接続されている。“再充電(recharge)”PMOSトランジスタ136は、比較器132の非反転入力と電源電圧“VDD”との間に配置される。PMOSトランジスタ136とコンデンサ130は、従って、接地と電源電圧“VDD”との間に直列に配置される。インバータ138は、比較器132の出力とコンバータ116の出力との間に接続されている。
【0045】
ピクセルマトリクス102の動作が、ここで詳細に説明されることになる。比較器106の出力において獲得された信号に対応する分極電圧“V”は、マトリクス102の入力108、つまりNMOS注入トランジスタ114のゲートに印加される。電圧“V”がボロメータ112の測定時間の間一定であるので、ボロメータ112の端子の電圧は、同様に一定である。
【0046】
従って、温度が変化するとき、ボロメータ112の抵抗が変化すると共に、ボロメータ112の端子に一定電圧が与えられた場合に、それは、ボロメータ112を通過する電流における変化を意味する。例えば、熱力学的温度50度の背景温度の変化において、ボロメータ112を循環する電流は、約2[nA]変化する。この電流は、積分コンデンサ130から取得され、従って、このコンデンサ130の端子において電圧低下を引き起こす。電圧源134は、比較器132の非反転入力に対して、例えば2[V]に等しい基準電圧“Vref”を印加する。
【0047】
ボロメータ112の獲得の前か、または測定の前に、コンデンサ130は、電源電圧“VDD”に接続されたPMOSプリチャージトランジスタ(図示せず)を用いて、電源電圧“VDD”に“プリチャージ(事前充電)”される。獲得が開始されるとき、コンデンサ130の端子の電圧は、電源電圧“VDD”に実質的に等しく、それは獲得の間に次第に低下する。比較器132の反転入力に印加された電位、つまりコンデンサ130の端子の電圧が、“Vref”に達するとき、比較器132は、切り替わると共に、PMOSトランジスタ136は、電流がコンデンサ130を通過することを可能にすると共に、コンデンサ130の再充電を可能にする。特定の長さの時間の後に比較器132が反対方向に切り替わる前に、コンデンサ130が、完全に、すなわち実質的に“VDD”に再充電され得るように、比較器132は、例えばヒステリシス比較器である。この第1のサイクルの間のコンデンサ130の放電及び充電のおかげで、比較器132の出力においてパルスが生成される。
【0048】
カウンタ118は、各パルスの受信によって増加する。従って、コンバータ116の出力において生成された、所定の獲得期間または計数期間の間にカウンタ118により計数されたパルスの数は、ボロメータ112の抵抗の変化、従ってボロメータ112によって測定される輻射によって引き起こされた温度変化を代表する。記憶する手段120は、カウンタ118によって計数されたパルスの数が、獲得期間の終りにおいて記憶されることを可能にする。
【0049】
カウンタ118は、例えばトグルDを用いて作られ得る非同期論理カウンタであり、従ってデジタル信号を提供するか、または信号のパルスの総数がカウントされることをその容量が可能にすると共に、各パルスがコンデンサにおける一定の電荷の保存を必要とする、コンデンサを含むアナログカウンタであり得る。マトリクス102の出力104に供給された信号は、次に、比較器106の入力に送信される。
【0050】
図3Aは、ピクセルマトリクス102の一部分の実施例のアナログの改良型を図示する。この図3Aにおいて、マトリクス102のピクセルのセンサ部分を形成する単一のボロメータ112の他に、このボロメータ112の読み取り回路が示される。
【0051】
図2Aにおいて示されたデジタルの実施例の例と同様に、ボロメータ112は、NMOSトランジスタ114によって電圧制御される。実施例のこの例において、マトリクス102は、列の先頭に、つまりピクセルの同じ列におけるボロメータの全てに共通に、補償ボロメータ126を備える。この補償ボロメータ126は、例えば3.3[V]に等しい電源電圧“VDD”とNMOSトランジスタ114のドレインとの間に配置される。補償ボロメータ126は、ボロメータ112を通過する電流を補償する、つまりボロメータ112を通過する電流と逆にされる電流を提供するように調整された外部の電位にそのゲートが接続されたPMOSトランジスタ128に接続されており、従って、ボロメータ112を循環する電流と補償ボロメータ126を循環する電流との間の差の電流であると共に、ひいては測定された背景温度に対応する電流を、NMOSトランジスタ114のドレインで獲得する。
【0052】
補償ボロメータ126は、熱中性子化されることができ、つまりそれは、基板の温度変動の少なくとも部分的な補償を可能にするために、その上に補償ボロメータ126が形成される基板の温度だけにおいて、背景温度に鈍感であるか、または、切り取られることができ、つまりそれは、背景温度でそれを変化に鈍感な状態にする熱スクリーンを含む。
【0053】
回路(特にボロメータ112の抵抗、NMOS注入トランジスタ114のスレショルド電圧、そして積分コンデンサ115)のばらつきのために、ボロメータ112を循環する電流は、例えば140[nA]と160[nA]との間で変化する。一方、熱力学的温度50度の背景温度における変化に対応する電流の変化は、2[nA]である。補償ボロメータ126は、従って補償されるべきコモンモードの大部分が、例えば140[nA]に等しくなること、従って背景温度に対応する電流、及び技術上のばらつきに関連する電流を獲得することを可能にする。
【0054】
実施例の1つの変形において、補償ボロメータ126は、例えばクロップト(cropped)ボロメータ112と類似した単純なボロメータと交換され得る。背景温度による変化は別として、ボロメータ112及び補償ボロメータ126は、従って、両方とも、温度における変化による同じドリフトの影響を受けやすい。
【0055】
ボロメータ112を循環する電流と補償ボロメータ126を循環する電流との間の差に対応する補償された電流は、電流−電圧増幅器113の入力に送信されると共に、非反転入力に電圧源119が接続されている演算増幅器117の反転入力を該演算増幅器117の出力に接続する積分コンデンサ115によって積分される。
【0056】
電流−電圧増幅器113の出力で獲得された電圧は、この電圧の値が保存されることを可能にするコンデンサ123を備えるブロッキングサンプラ121の入力に送信される。ブロッキングサンプラ121の出力は、図2Aのデジタルの実施例の例と同様に、バス122及びマルチプレクサ124に接続され、従ってマトリクス102の全てのバスの信号を多重化すると共に、マルチプレクサ124の出力はピクセルマトリクス102の出力104を形成する。
【0057】
ピクセルマトリクス102のこの部分のアナログの実施例の別の変形が、図3Bにおいて図示される。図3Aに対して、PMOSトランジスタ128は、ゲートがNMOS注入トランジスタ114のゲートに接続されているNMOSトランジスタ125と交換される。NMOSトランジスタ114及び125のドレインは、電流ミラーを形成する2つのPMOSトランジスタ127及び129に接続されている。従って、NMOSトランジスタ125及び補償ボロメータ126によって形成されたアームを循環する電流は、ボロメータ112及びNMOSトランジスタ114によって形成されたアームにおいて再現される。
【0058】
図4は、ピクセルマトリクス102の出力に供給された信号がアナログもしくはデジタル形式であるときに使用され得る比較器106の実施例の第1の例を示す。この比較器106は、ピクセルマトリクス102の出力信号が印加される第1の入力140を備える。電流ミラーは、2つのPMOSトランジスタ142及び144によって形成される。更に、比較器106は、そのゲートが所望の基準値が印加される第2の入力148に接続されている第1のNMOSトランジスタ146を備える。比較器106は、そのゲートが第1の入力140に接続されている第2のNMOSトランジスタ150を備える。最終的に、第3のNMOSトランジスタ152が、第1のNMOSトランジスタ146及び第2のNMOSトランジスタ150に接続される。
【0059】
分極電圧“Vbias”は、この第3のNMOSトランジスタ152のゲートに印加される。この分極電圧“Vbias”の値は、比較器106を通過するように設計されている所望の分極電流“Ibias”に適合するように選択される。この分極電流“Ibias”は、一定であると共に、トランジスタ142及び146によって形成された第1のアームを通過する電流と、トランジスタ144及び150によって形成された第2のアームを通過する電流との和に等しい。最終的に、比較器106の出力154が、電流“i”を供給する、ピクセルマトリクス102の入力108、つまりNMOS注入トランジスタ114のゲート(そして、更に一般的に、マトリクス102の全てのNMOS注入トランジスタのゲート)に接続される。
【0060】
従って、比較器106の第2の入力148に印加された基準値が、比較器106の第1の入力140に印加された入力信号と比較されるとき、もし入力信号が(例えば“VDD/2”に等しい)基準値より高いならば、そこには、NMOS注入トランジスタ114のゲートによって形成された容量から取得されて、NMOSトランジスタ150及び152を通過する値“i=−Ibias”の電流が存在する。センサ100が図1において示されるコンデンサ110を備えるとき、電流“Ibias”は、同様にこのコンデンサ110から取得される。トランジスタ142、144、及び146には電流が流れない。逆に、もし基準値が入力信号の値を超えているならば、その場合に、値“Ibias”の電流は、PMOSトランジスタ142及び144、そしてNMOSトランジスタ146及び152を通過する。一方、NMOSトランジスタ150は電流を通過させないと仮定すると、その場合に、値“i=Ibias”の電流が、MOS注入トランジスタのゲート及び場合によりコンデンサ110によって形成された容量を充電する。
【0061】
従って、比較器106の出力154では、その電流は、基準値とピクセルマトリクス102によって供給された信号との間で実行された比較の結果によって決まる“+Ibias”または“−Ibias”に等しい。
【0062】
基準電圧または基準値“Vbias”とのピクセルの各々の出力のこの比較は、コードが生成されることを可能にする。このコードは、処理されたピクセルが、所望の基準値より大きいか、または小さい出力値を有しているということを示す。それ故に、この比較は、注入トランジスタのゲートから電流が注入されるか、または回収されることを可能にし、従って、この電流が通過するMOS注入トランジスタ114のゲートによって形成される容量の端子、及び場合によりコンデンサ110の端子における電位を変更する。これらの容量の端子で獲得された電位は、MOS注入トランジスタ114のゲートに印加される電位“V”に対応する。
【0063】
図5は、センサ100のアナログ出力信号の平均値を示す。この図において、ピクセルの全てによって獲得の最初に測定された値は、基準値を超えている。更に多くの画像をセンサが測定するほど、出力で獲得された平均値が基準値に更に近づくということが観察され得る。赤外線において、画像の上側(空)と下側(地球)は、同じ温度を有しておらず、それは異なるデジタルコードにより特徴付けられる。従って、測定値を訂正するための閉ループに測定値を戻すことによって、リターンループ時定数“τ”、つまりその間にセンサが測定を実行することになる時間を獲得することが可能であり、それはフレーム時間“Tframe”、つまり画像の獲得時間より重要である。図5において、時定数“τ”は、“y=基準値”の直線と、出力カーブの起点に対する接線とが交差する時間に対応するということが観察され得る。例えば、リターンループ時定数は、“τ=20[s]”に等しくなり得ると共に、その間に、1000個の画像がセンサ100によって獲得され得る。この時定数“τ”の上限値は、その中にセンサ100が配置されるケースまたはカメラの熱時定数によって供給され得る。
【0064】
コンデンサ110の追加は、広範囲の適応を可能にすると共に、単にMOS注入トランジスタ114のゲートの容量がピクセルマトリクス102と比較器106との間の容量を形成する場合よりも大きい時定数“τ”を提供する。
【0065】
図6は、ピクセルマトリクス102の出力で供給された信号がデジタル形式であるときに使用され得る比較器106の実施例の第2の例を示す。この比較器106は、2つのPMOSトランジスタ156及び158によって形成された電流ミラーを備える。更に、比較器106は、PMOSトランジスタ156に並列に接続されると共に、そのゲートが比較器106の入力140に接続された第3のPMOSトランジスタ160を備える。更に、比較器106は、同様に電流ミラーを構成するように取り付けられた2つのNMOSトランジスタ162及び164、そしてNMOSトランジスタ162に並列に接続されると共に、そのゲートが入力140に接続された第3のNMOSトランジスタ166を備える。
【0066】
実施例のこの第2の例において、ピクセルマトリクス102の出力104に供給されたデジタル信号の最上位ビットだけが、比較器106によって考慮される。抵抗器168は、PMOSトランジスタ156のドレインとNMOSトランジスタ162のドレインとの間に接続されている。比較器106のこの変形において、基準値は、比較器106の入力に印加されないが、しかし抵抗器168の選択された値から部分的に発生する。抵抗器168の端子の電圧値が一定値であると仮定すると、抵抗器168の値は、この抵抗器168を通過する分極電流“Ibias”の所望の値に適合するように選択される。2個のトランジスタ156及び162は、同様に、それらのチャネルの長さ“L”に対する幅“W”の比率が、トランジスタ158及び164のW/L比率のN倍に等しくなるように、特定の寸法に合わせられる。従って、これは、“Ibias=N×i”を提供すると共に、ここで“i”は、出力154及び場合によりコンデンサ110に接続されたMOS注入トランジスタ114のゲートによって形成された容量に充電されるか、または容量から取得される電流である。この図6において示される比較器106は、デジタル−アナログ変換器を形成するということが観察され得る。
【0067】
入力140に供給された信号の最上位ビットの値に応じて、PMOSトランジスタ160またはNMOSトランジスタ166は、電流が通過することを可能にし、一方の場合において、抵抗器146を通過する値“i”の電流によって、MOS注入トランジスタ114のゲートの容量を充電すると共に、他方の場合において、MOS注入トランジスタ114のゲートの容量から値“i”の電流を取得する
【0068】
図7は、センサ100がデジタル信号を供給するときに出力で獲得された信号の平均値を示す。この図において、ピクセルの全てによって獲得の最初に測定された値は、基準値を超えている。信号の値が基準値の周辺で振動しているということが、いくらかの測定の後で観察され得る。前と同じように、それらの測定は、例えば20[s]に等しい時定数“τ”に対応する時間の間に実行され得る。同様に、そのような出力信号は、2進比較器のようなアナログ−デジタル変換器へ送信されるアナログ信号を出力に供給するピクセルマトリクスを使用することによって獲得され得る。
【0069】
所望の解像度及び背景偏位(scene excursion)に応じて、有益な情報は、n個(n=出力信号のビット数)のレベルで量子化される。時定数の効果が量子化レベルを越えないように、時定数は、“τ=n×Tframe”に選択されると共に、ここで“Tframe”は、画像の獲得時間である。
【0070】
基準値に到達するときに、第1の次数のループを閉じることは、MOS注入トランジスタのゲート電圧に影響を与えることを停止し、これ以降、アナログ出力信号の場合の生成されるコード、またはデジタル信号の場合の直接的な出力フローの上位ビットは、等確率(equi-probable)になる(デジタル信号に関しては同数の“1”及び“0”を有することになる)。
【0071】
いくらかの上位ビット(最上位ビット、及び1つまたはいくらかの次の上位ビット)は、更に、センサの出力信号の平均値を調整するために、それを超えてシステムが介在する上限値及び下限値を与えるために使用され得る。図8は、そのような場合のセンサ100の出力信号の平均値を示す。この図において、信号がこれらの2つの限界値の間にあると共に、信号がこれらの2つの限界値の内のいずれか1つに到達するとき、信号は、これらの2つの限界値の内のもう一方の限界値の方へ送り返されるということが観察され得る。
【0072】
この比較器に入るデジタル信号の最上位2ビットを考慮することによって比較を実行する比較器106の一例は、図9に示される。
【0073】
この比較器106は、2つの比較ステージを備えている。第1のステージは、電流ミラーを構成するように取り付けられる第1のPMOSトランジスタ170及び第2のPMOSトランジスタ172を備える。第1のNMOSトランジスタ174及び第2のNMOSトランジスタ176は、同様に、電流ミラーを構成するように取り付けられる。これらの4個のトランジスタによって形成された構造は、図6において示される比較器106の4個のトランジスタ156、158、162、及び164によって形成された構造と類似しており、この場合に、ここでは、この比較器の抵抗器168が、抵抗器168と同じ役割を果たす第3のPMOSトランジスタ178と置き換えられている。この第3PMOSトランジスタ178に関しては、チャネルの長さ“L”に対する幅“W”の比率が、このトランジスタ178を通過する分極電流“Ibias”の所望の値、つまり電流の所望の注入または電荷の回収に従って選択される。図6の比較器106と同様に、2個のトランジスタ170及び174は、それらのチャネルの長さ“L”に対する幅“W”の比率が、トランジスタ172及び176のW/L比率のN倍に等しくなるように、特定の寸法に合わせられる。
【0074】
第2のステージは、電流ミラーを構成するように取り付けられる第4のPMOSトランジスタ180及び第5のPMOSトランジスタ182によって形成される。第3のNMOSトランジスタ184及び第4のNMOSトランジスタ186は、同様に、電流ミラーを構成するように取り付けられる。これらの4個のトランジスタによって形成された構造は、4個のトランジスタ170〜176によって形成された構造と類似している。2個のトランジスタ180及び184は、それらのチャネルの長さ“L”に対する幅“W”の比率が、トランジスタ182及び186のW/L比率のN倍に等しくなるように、特定の寸法に合わせられる。比較器106は、比較の結果を出力154に供給する。従って、これは、“Ibias=N×i”を提供すると共に、ここで“i”は、出力154及び場合によりコンデンサ110に接続されたMOS注入トランジスタ114のゲートによって形成された容量に充電されるか、または容量から取得される電流である。
【0075】
例えば、比較されるべき信号の1番目の最上位ビットは、2つの入力端子188及び190に印加される。2番目の上位ビットは、例えば2つの他の入力端子192及び194に印加される。4つのMOSトランジスタ195〜198は、2つの入力188及び192の間、つまり2つの上位ビット(上位2ビット)の間にノアロジックゲートを形成する。4つの他のMOSトランジスタ200〜203は、2つの入力190及び194の間、つまり2つの上位ビットの間にナンドロジックゲートを形成する。従って、2つの上位ビットが“0”であるとき、出力154及び場合によりコンデンサ110に接続されたMOS注入トランジスタ114のゲートによって形成された容量に電荷が加えられると共に、2つの上位ビットが“1”であるとき、電荷は回収され、それは、出力信号を所定の上限値と下限値との間に維持することを可能にする。
【0076】
図6において示された比較器と比較すると、この比較器106の2つのステージ構造は、訂正されるべき比較器に使用されるNMOSトランジスタとPMOSトランジスタとの間の電流ミラーのエラーの等化を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】特定の実施例による、本発明の主題である熱画像センサを示す図である。
【図2A】実施例の第1の変形による、本発明の主題であるセンサに使用されるピクセルマトリクスの一部分を示す図である。
【図2B】電圧−パルス信号コンバータの一例を示す図である。
【図3A】実施例の第2の変形による、本発明の主題であるセンサに使用されるピクセルマトリクスの一部分を示す図である。
【図3B】実施例の第3の変形による、本発明の主題であるセンサに使用されるピクセルマトリクスの一部分を示す図である。
【図4】本発明の主題であるセンサに使用される比較器の一例を示す図である。
【図5】図4において示された比較器を備える本発明の主題であるセンサの出力で獲得されたアナログ信号の平均値を示す図である。
【図6】本発明の主題であるセンサに使用される比較器の第2の例を示す図である。
【図7】図5において示された比較器を備える本発明の主題であるセンサの出力で獲得されたデジタル信号の平均値を示す図である。
【図8】デジタル信号の2つの上位ビット(上位2ビット)の比較を実行する比較器を備える本発明の主題であるセンサの出力で獲得されたデジタル信号の平均値を示す図である。
【図9】本発明の主題であるセンサの出力のデジタル信号の2つの上位ビットの比較を実行する比較器の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0078】
100 センサ
102 ピクセルマトリクス
104 ピクセルマトリクス102の出力
106 比較手段(比較器)
108 ピクセルマトリクス102の入力
110 コンデンサ
112 ボロメータ
113 電流−電圧増幅器
114 NMOS注入トランジスタ
115 積分コンデンサ
116 コンバータ
117 演算増幅器
118 カウンタ
119 電圧源
120 記憶する手段
121 ブロッキングサンプラ
122 共通のバス
123 コンデンサ
124 マルチプレクサ
125 NMOSトランジスタ
126 補償ボロメータ
127、129 PMOSトランジスタ
128 PMOSトランジスタ
130 積分コンデンサ
132 比較器
134 電圧源
136 “再充電(recharge)”PMOSトランジスタ
138 インバータ
140 第1の入力
142、144 PMOSトランジスタ
146 第1のNMOSトランジスタ
148 第2の入力
150 第2のNMOSトランジスタ
152 第3のNMOSトランジスタ
154 比較器106の出力
156、158 PMOSトランジスタ
160 第3のPMOSトランジスタ
162、164 NMOSトランジスタ
166 第3のNMOSトランジスタ
168 抵抗器
170 第1のPMOSトランジスタ
172 第2のPMOSトランジスタ
174 第1のNMOSトランジスタ
176 第2のNMOSトランジスタ
178 第3のPMOSトランジスタ
180 第4のPMOSトランジスタ
182 第5のPMOSトランジスタ
184 第3のNMOSトランジスタ
186 第4のNMOSトランジスタ
188、190 入力端子
192、194 他の入力端子
195〜198 MOSトランジスタ
200〜203 他のMOSトランジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱画像センサ(100)であって、
−各ピクセルが少なくとも1つのボロメータ(112)と前記ボロメータ(112)の端子に電圧を印加する手段とを有する1つのピクセルマトリクス(102)と、
−前記ピクセルマトリクス(102)の出力(104)を各ピクセルの前記ボロメータ(112)の端子に電圧を印加する手段の入力(108)に接続すると共に、前記ピクセルマトリックス(102)の出力信号と基準値との間の比較を実行することができる比較手段(106)とを備え、
各ピクセルの前記ボロメータ(112)の端子の電圧の値が、前記比較の結果に応じて、少なくとも部分的に決定される
ことを特徴とするセンサ(100)。
【請求項2】
前記各ピクセルの前記ボロメータ(112)の端子に電圧を印加する手段が、MOSトランジスタ(114)を備えると共に、
これらの手段の入力(108)が、前記MOSトランジスタ(114)のゲートに接続されている
ことを特徴とする請求項1に記載のセンサ(100)。
【請求項3】
前記ピクセルマトリクス(102)が、各ピクセルの前記ボロメータ(112)によって供給された電流の一部分を補償することができる手段を少なくとも備える
ことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか一項に記載のセンサ(100)。
【請求項4】
前記各ピクセルの前記ボロメータ(112)によって供給された電流の一部分を補償することができる手段が、少なくとも1つの補償ボロメータ(126)を備える
ことを特徴とする請求項3に記載のセンサ(100)。
【請求項5】
前記ピクセルマトリクス(102)が、
各ピクセルの前記ボロメータ(112)の測定値を一連のパルスを含む信号に変換する手段(116)と、
前記パルスを計数する手段(118)と、
前記パルスの計数結果を記憶する手段(120)とを少なくとも備える
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のセンサ(100)。
【請求項6】
前記変換する手段(116)が、前記変換する手段(116)の入力と比較器(132)の第1の入力に接続された少なくとも1つの積分コンデンサ(130)を備え、
前記比較器(132)の第2の入力が、電圧源(134)に接続されている
ことを特徴とする請求項5に記載のセンサ(100)。
【請求項7】
前記ピクセルマトリクス(102)が、前記ピクセルの内の1つのボロメータ(112)の少なくとも1つの測定値の入力を受け取るように設計されている少なくとも1つの電流−電圧増幅器(113)を備え、
前記電流−電圧増幅器の出力が、ブロッキングサンプラ(121)の少なくとも1つの入力に接続されている
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のセンサ(100)。
【請求項8】
前記比較手段(106)が、少なくとも、
−前記ピクセルマトリクス(102)から出力信号を受け取ることができる第1の入力(140)と、
−前記基準値を受け取ることができる第2の入力(148)と、
−前記比較手段(106)の出力に出力電流“i”を供給することができる手段とを備え、
前記出力電流“i”の絶対値|i|が、前記比較手段(106)に印加されるように設計されている分極電圧によって決まると共に、
前記出力電流“i”の極性が、前記ピクセルマトリクス(102)の出力信号と前記基準値との間の比較の結果によって決定され、
前記ボロメータ(112)の端子の電圧値が、前記比較手段(106)により供給される前記出力電流“i”によって決まる
ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のセンサ(100)。
【請求項9】
前記比較手段(106)が、少なくとも、
−前記ピクセルマトリクス(102)から出力信号を受け取ることができる第1の入力(140、188、190、192、194)と、
−前記比較手段(106)の出力に出力電流“i”を供給することができる手段とを備え、
前記出力電流“i”の絶対値|i|が、前記比較手段(106)から獲得された分極電圧によって決まると共に、
前記出力電流“i”の極性が、前記ピクセルマトリクス(102)の出力信号と前記基準値との間の比較の結果によって決定され、
前記ボロメータ(112)の端子の電圧値が、前記比較手段(106)により供給される前記出力電流“i”によって決まる
ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のセンサ(100)。
【請求項10】
前記ピクセルマトリクス(102)の出力信号がデジタル値であるとき、前記出力信号の1つまたはいくつかの上位ビットが、前記比較手段(106)の第1の入力の1つまたはいくつかの端子(140、188、190、192、194)に印加されるように設計されている
ことを特徴とする請求項9に記載のセンサ(100)。
【請求項11】
前記比較手段(106)が、複数のMOSトランジスタ(142〜146、150、152、156〜166、170〜186)を備え、
前記分極電圧の値が、前記MOSトランジスタのチャネルの幅と長さに少なくとも部分的に依存する
ことを特徴とする請求項9または請求項10のいずれか一項に記載のセンサ(100)。
【請求項12】
前記比較手段(106)が、少なくとも1つの抵抗器を更に備え、
前記分極電圧の値が、前記抵抗器の値に少なくとも部分的に依存する
ことを特徴とする請求項9から請求項11のいずれか一項に記載のセンサ(100)。
【請求項13】
熱画像センサ(100)によって温度を測定する方法であって、少なくとも以下の、
−測定された温度を代表する信号を生成する段階と、
−前記信号の値を基準値と比較する段階と、
−前記比較の結果に従って、前記信号の値を修正する段階と
を有することを特徴とする方法。
【請求項14】
前記測定された温度を代表する信号を生成する段階が、以下の、
−前記測定された温度の値によって振幅値が変わる第1の信号を生成する段階と、
−前記第1の信号を、前記第1の信号の振幅値によってパルスの数が変わる第2のパルス信号に変換する段階と、
−前記第2のパルス信号のパルス数を計数する段階とを適用することによって獲得され、
前記測定された温度を代表する信号が、計数されたパルス数を含む
ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記信号の値が、前記第1の信号の振幅値を修正することにより、前記比較の結果に従って訂正される
ことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記測定された温度を代表する信号が、デジタル信号であり、
前記測定する方法が、時間“τ=n×Tframe”の間用いられると共に、
ここで、“n”は、前記測定された温度を代表する信号の量子化レベルの数であり、“Tframe”は、センサ(100)によって画像を獲得するための時間である
ことを特徴とする請求項13から請求項15のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−20113(P2009−20113A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−181830(P2008−181830)
【出願日】平成20年7月11日(2008.7.11)
【出願人】(590000514)コミツサリア タ レネルジー アトミーク (429)
【Fターム(参考)】