説明

統合アンテナの接続状態検出装置及びカーナビゲーション装置

【課題】VICS光送受信素子が搭載された統合アンテナに流入する消費電流に基づいて統合アンテナの接続状態を検出する際に、消費電流検出用の抵抗の抵抗値を小さくしながら接続状態を確実に検出することができると共にノイズの回り込みの影響を受けることがないようにする。
【解決手段】装置本体2から統合アンテナ3に流入する電流はコイル6を通じて流れる。統合アンテナ3の接続状態を検査するために、VICS(光)信号処理部17から擬似的なアップリンク信号を出力すると、統合アンテナ3の光ビーコン用送信素子26に大きな電流が流れるので、コイル6の降下電圧が大きくなる。アンテナ接続検出部10は、抵抗8,9の分圧電圧によりコイル6の降下電圧が所定範囲であったときは、統合アンテナ3は正常であると判断する。この場合、コイル6には大きな消費電流が流れるので、コイル6として、小さなインピーダンスのものを用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の外部と通信を行うためのアンテナと光ビーコン用送受信素子とを有した統合アンテナの接続状態検出装置及びカーナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、GPSアンテナやVICSの電波ビーコン用アンテナとを統合した統合アンテナを有したカーナビゲーション装置が提供されている。このような統合アンテナを有したカーナビゲーション装置では、統合アンテナと装置本体とをケーブルで接続すると共に、装置本体に、統合アンテナへの給電状態で当該統合アンテナに流入する消費電流が流れる抵抗を設け、統合アンテナのローノイズアンプ(LNA)に流れる消費電流に伴って抵抗で生じた降下電圧を検出することにより、統合アンテナの接続状態(OPEN/正常接続/SHORT)を検出するようにしていた。
【特許文献1】特開2003−234705号公報
【特許文献2】特開2000−132793号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このように統合アンテナのローノイズアンプに流入する消費電流を検出する構成では、回路定数によっては消費電流検出用の抵抗に流れる電流が少なすぎて、その抵抗の降下電圧を検出できない恐れがある。この場合、消費電流検出用の抵抗で大きな降下電圧を得るためには、その抵抗値を大きく設定することが望ましい。
【0004】
ところで、統合アンテナに光ビーコン用送受信素子も搭載した場合、統合アンテナに光アップリンク信号を出力すると、光ビーコン用送信素子に大きな電流が流れ、それに伴って消費電流検出用の抵抗に通常よりも大きな消費電流が流れる。このため、消費電流検出用の抵抗の抵抗値が大きい場合、アップリンク信号送信時に光ビーコン用送信素子に流入する大きな消費電流によって消費電流検出用の抵抗が焼損してしまう恐れがある。また、光ビーコンの送受信時にノイズが回り込んでしまい、光ビーコンの送受信ができなくなることも想定される。
【0005】
一方、光ビーコンの動作を診断するものとして、特許文献1のものでは、診断時に診断用の送信信号を受信信号処理部へ送るように回路を切り替えることにより光ビーコンの動作を診断するようにしている。
また、特許文献2のものでは、光ビーコンの前に反射体を置き、光ビーコンの送信光を反射させて受信手段に入射させることにより、通信動作を確認するようにしている。
しかしながら、これらの特許文献1及び特許文献2ものは、光ビーコンの動作を診断することができるものの、上述した課題を何ら解決することはできない。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、VICS光送受信素子が搭載された統合アンテナに流入する消費電流に基づいて統合アンテナの接続状態を検出する際に、消費電流検出用の抵抗の抵抗値を小さくしながら接続状態を確実に検出することができると共にノイズの回り込みの影響を受けることがない統合アンテナの接続状態検出装置及びカーナビゲーション装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明によれば、統合アンテナに給電すると、当該統合アンテナに消費電流が流入し、それに伴って消費電流が消費電流検出用の抵抗手段に流れるので、抵抗手段において電圧降下を生じる。統合アンテナの接続状態を判断するには、検査信号出力手段から光ビーコン用送信素子に検査信号を送信する。統合アンテナが接続されている場合は、光ビーコン用送信素子に大きな消費電流が流れ、それに伴って抵抗手段に大きな電流が流れることから、抵抗手段の抵抗値を比較的小さく設定するにしても当該抵抗手段において十分に大きな降下電圧を得ることができる。従って、接続状態検出手段は、抵抗手段の降下電圧に基づいて統合アンテナの接続状態を判断することができる。
【0008】
請求項2の発明によれば、抵抗手段の消費電力が定格消費電力を上回ってしまうことはないことから、抵抗手段に大きな消費電流が流れるにしても、抵抗手段が焼損してしまうことを確実に防止できる。
【0009】
請求項3の発明によれば、検査信号として擬似的な光ビーコンアップリンク信号(高周波信号)を出力した場合、コイルは交流に対して大きなインピーダンスを示すことから、コイルで大きな降下電圧を得ることができる。また、検査信号出力手段として通常の光ビーコンアップリンク信号を出力する手段を利用することができることから、全体構成を簡単化することができる。
【0010】
請求項4の発明によれば、統合アンテナが接続されていることを検出した状態では、長い間隔である第1の所定間隔で接続状態を確認し、接続異常を検出した状態では、短い間隔である第2の所定間隔で接続状態を確認するので、統合アンテナを本来の用途に確実に使用することができると共に、光ビーコン用送信素子の寿命が低下してしまうことを極力防止できる。
【0011】
請求項5の発明によれば、統合アンテナが接続されている場合は、統合アンテナに備えられているGPS受信手段が受信状態にあるので、電圧出力手段からの電圧が不安定なために統合アンテナの接続状態の検出が不確実となる場合であっても、接続状態検出手段は、GPS受信手段が受信可能な状態であるか否かに基づいて統合アンテナの接続状態を確実に判断することができる。
請求項6の発明によれば、本発明をカーナビゲーション装置に適用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(第1実施例)
以下、本発明をカーナビゲーション装置に適用した第1実施例について図1ないし図3を参照して説明する。図1は、カーナビゲーション装置全体の概略図で、本発明に関連した構成のみを図示している。この図1において、カーナビゲーション装置1は、装置本体2と統合アンテナ3から構成されており、それらの間は同軸ケーブル4で接続されている。
【0013】
装置本体2において、電源ライン5と同軸ケーブル4の一端との間には、抵抗手段としてのコイル6と無誘導抵抗7とが直列接続されている。コイル6と無誘導抵抗7の共通接続点と0Vラインとの間には、電圧出力手段としての第1の抵抗8及び第2の抵抗9が直列接続されている。第1の抵抗8と第2の抵抗9の共通接続点にはアンテナ接続検出部(接続状態検出手段に相当)10が接続されている。このアンテナ接続検出部10は、第1の抵抗8と第2の抵抗9とにより分圧された電圧値を接続確認用ポートとして機能するADポートから入力するもので、入力した電圧値に基づいて後述するように統合アンテナ3の接続状態を検出するようになっている。
【0014】
同軸ケーブル4の一端には、コンデンサ11を介して分岐回路12が接続されている。この分岐回路12は、統合アンテナ3から同軸ケーブル4を通じて入力したGPS信号とVICS信号を分離するもので、分離した各信号をGPS信号処理部13とVICS(電波)信号処理部14とにそれぞれ出力する。VICS(電波)では、電波ビーコンから車両の進行方向の前方200km程度の高速道路の情報やインターチェンジ付近の接続道路や平行する一般道路情報などが提供される。情報の内容は、渋滞・高速道路のリンク旅行時間・規制・サービスエリア/パーキング情報・障害情報・IC間の区間旅行時間などである。
【0015】
コイル6と無誘導抵抗7との共通接続点には、コンデンサ15,16を介してVICS(光)信号処理部(検査信号出力手段に相当)17の出力部及び入力部がそれぞれ接続されている。このVICS(光)信号処理部17は、統合アンテナ3を通じて図示しない路上機から光信号によりVICS情報を取得する。VICS(光)信号では、光ビーコンから進行方向の前方30km、後方1kmの一般道路と高速道路の情報が提供される。情報の内容は、渋滞・リンク旅行時間・規制・駐車場情報・区間旅行時間などである。
上述したアンテナ接続検出部10、GPS信号処理部13、VICS(光)信号処理部17、VICS(電波)信号処理部14は、実際には制御装置の機能の一部として構成されるもので、ハード或いはソフトにより構成されている。
【0016】
一方、統合アンテナ3において、同軸ケーブル4の他端には、無誘導抵抗18及びコイル19を通じて電源ライン20が接続されており、その電源ラインを通じて後述する増幅回路(ローノイズアンプ)21,22に給電される。
統合アンテナ3には、GPSアンテナ(GPS受信手段に相当)23及びVICSアンテナ24が内蔵されており、それらが受信した信号は増幅回路21に出力される。この増幅回路21は、GPSアンテナ23及びVICSアンテナ24が受信した信号をコンデンサ25及び同軸ケーブル4を通じて装置本体2に出力する。また、ここでは増幅回路21は、信号の結合回路を兼ねている。
【0017】
統合アンテナ3には、上述したGPSアンテナ23及びVICSアンテナ24に加えて光ビーコン用送信素子26及び光ビーコン用受信素子27が内蔵されている。光ビーコン用送信素子26のアノードは電源ライン20と接続され、カソードは駆動用トランジスタ28及び抵抗29を介して0Vラインと接続されている。トランジスタ28のベースは、コンデンサ30を介してコイル19と無誘導抵抗18との共通接続点と接続されている。
【0018】
光ビーコン用受信素子27のカソードは電源ライン20と接続され、アノードは抵抗31を介して0Vラインと接続されており、アノードと抵抗31との共通接続点は増幅回路22に接続されている。この増幅回路22は、光ビーコン用受信素子27が受信した路上機からのダウンリンク信号を増幅し、無誘導抵抗18及び同軸ケーブル4を通じて装置本体2に出力する。
【0019】
さて、装置本体2に設けられたコイル6には統合アンテナ3に流入する消費電流が流れるようになっており、その消費電流に応じたコイル6の降下電圧をアンテナ接続検出部10により検出するようになっている。この場合、コイル6の降下電圧を検出することにより当該統合アンテナ3の接続状態を判断することから、コイル6のインピーダンス(消費電流の周波数に応じた抵抗値)は、大きな降下電圧が得られるように大きい方が望ましいものの、コイル6に大きな消費電流が流れた場合は、コイル6が消費電力に応じて発熱することから、コイル6としてインピーダンスの小さなものを用いながら、統合アンテナ3の接続状態検出時にコイル6に大きな消費電流が流れるようにした。
【0020】
即ち、本実施例では、統合アンテナ3の接続状態検出時に、コイル6に流れる電流が大きくなるように、VICS(光)信号処理部17から光ビーコン用送信素子26に擬似的なアップリンク信号(64kbps)を送信し、そのタイミングで光ビーコン用送信素子26に流れる消費電流(交流)により生じるコイル6の降下電圧を検出するようにした。
【0021】
ここで、発熱によりコイル6が焼損してしまうことを考慮して次のような特性のコイル6を用いるようにした。つまり、上述したようにアンテナ接続検出部10により統合アンテナ3の接続状態を検出する際は、統合アンテナ3の光ビーコン用送信素子26に擬似的なアップリンク信号(高周波信号)を送信した場合におけるコイル6の降下電圧を検出するようにしていることから、コイル6として、統合アンテナ3の光ビーコン用送信素子26に擬似的なアップリンク信号を送信した場合のコイル6の消費電力が、コイル6の定格消費電力(64kbpsの交流信号通電時の消費電力)を上回らないような特性のものを用いるようにした。これにより、コイル6に擬似的なアップリンク信号に応じた大きな消費電流が流れるにしても、コイル6が焼損してしまうことを防止できる。
【0022】
次に上記構成の作用について説明する。
カーナビゲーション装置1に電源が投入されると、装置本体2の電源ライン5から、コイル6、無誘導抵抗7、同軸ケーブル4、無誘導抵抗18、コイル19を通じて統合アンテナ3の電源ライン20に給電されるので、各増幅回路21,22が動作可能となる。
【0023】
さて、VICS(光)信号処理部17は、電源が投入されたとき或いは所定時間毎に統合アンテナ3の接続状態を判断する。
図2は、アンテナ接続検出部10の動作を示すフローチャートである。この図2において、アンテナ接続検出部10は、例えば電源投入時或いは所定の接続状態確認タイミングとなったときは、ADポートの電圧を検出し(S1)、第1の電圧値として記憶する(S2)。
【0024】
ここで、統合アンテナ3の内部回路が正常の場合は、増幅回路21,22が信号の増幅動作状態であっても、その消費電流は小さいことから、統合アンテナ3の消費電量は小さく、コイル6の降下電圧も小さい。
しかしながら、統合アンテナ3の内部回路が故障によりショートしていた場合は、装置本体2の電源ライン5から同軸ケーブル4を通じて統合アンテナ3に通常よりも大きな電流が流入するので、コイル6のインピーダンス(直流が流れた場合の抵抗)により大きな降下電圧が発生する。この場合、コイル6の降下電圧は、コイル6に流れる電流が大きいほど大きくなり、それに伴って、アンテナ接続検出部10が検出する電圧値が低くなる。従って、アンテナ接続検出部10は、検出した第1の電圧値が所定値未満であったときは(S3:NO)、統合アンテナ3は内部でショートしていると判断し(S10)、そのことを報知する。
【0025】
一方、アンテナ接続検出部10は、検出した電圧値が所定値以上のときは(S3:YES)、統合アンテナ3はショートしていないと判断し、次の検査を行うためにVICS(光)信号処理部17を動作させて擬似的なアップリンク信号を統合アンテナ3に出力する(S4)。この擬似的なアップリンク信号は、通常のアップリンク信号と同様な64kbpsで、例えば1秒間継続して出力する。
【0026】
ここで、同軸ケーブル4の他端は、コイル19を介して電源ライン20に接続されていると共に、コンデンサ30を介してトランジスタ28に接続されているので、統合アンテナ3に出力された擬似的なアップリンク信号は、統合アンテナ3の電源ライン20に影響を与えることなくトランジスタ28に出力される。
【0027】
トランジスタ28が擬似的なアップリンク信号に応じて64kbpsでスイッチングすると、それに伴って光ビーコン用送信素子26に電流が流れ、擬似的なアップリンク信号が光信号として出力される。これにより、装置本体2に設けられたコイル6には、擬似的なアップリンク信号に応じた大きな消費電流が流れる。
【0028】
このようにコイル6に擬似的なアップリンク信号に応じた大きな消費電流が流れると、その消費電流は交流信号であることから、コイル6に電圧降下が発生する。このとき、コイル6の降下電圧は、コイル6に64kbpsの擬似的なアップリンク信号が流れる際のインピーダンスにより生じるもので、それに伴ってVICS(光)信号処理部17が検出する電圧が降下する。
このとき、VICS(光)信号処理部17は、擬似的なアップリンク信号を出力したタイミングでADポートの電圧を検出し(S5)、第2の電圧値として記憶してから(S6)、上述したように記憶した第1の電圧値から第2の電圧値を減算する(S7)。
【0029】
さて、統合アンテナ3の内部回路が例えば断線によりオープン状態であったときは、擬似的なアップリンク信号を出力するにしても、統合アンテナ3の消費電流が変化することはない。また、統合アンテナ3の内部回路に異常が発生した場合は、擬似的なアップリンク信号を出力したときに、異常に大きな電流が流れることがある。
従って、アンテナ接続検出部10は、第1の電圧値と第2の電圧値との電圧差が所定の下限値よりも小さいか、或いは所定の上限値以上のときは(S8:NO)、統合アンテナ3はオープン状態(異常状態)であると判断し(S11)、そのことを報知する。
【0030】
これに対して、第1の電圧値から第2の電圧値を減算した値が、所定の下限値(オープンに対応した値)以上で且つ所定の上限値(異常電流に対応した値)以下であったときは(S8:YES)、正常であると判断する(S9)。
以上のような動作により、統合アンテナ3のショート状態、オープン状態、正常状態を判断することができる。
【0031】
ところで、上述したように統合アンテナ3の接続状態の監視する場合に、統合アンテナ3に擬似的なアップリンク信号を常に出力していると、統合アンテナ3を本来の用途に使用できないことが考えられ、また、光ビーコン用送信素子26の寿命低下につながる。
そこで、本実施例では、アンテナ接続検出部10は、統合アンテナ3に常に擬似的な信号を送って接続状態を確認するのではなく、統合アンテナ3が接続されていると判断している状態であれば、数分から数十分おきといったように確認間隔を長くし、統合アンテナ3が接続されていないと判断している状態であれば、上記の問題は起きないことから、できるだけ接続状態を確認する回数を増やすよう確認間隔を短くした。
【0032】
このような判定による状態遷移を図3に示す。この図3において、アンテナ接続検出部10は、ACCがON状態、またはユーザからのシステムチェックや他のソフトウェアからの確認要求があった状態(S1)では、接続確認用ポートとしてのADポートの電圧値に基づいて統合アンテナ3の接続状態を確認する。この場合、ADポートの電圧値が統合アンテナ3の接続状態を示していたときは(A11)、接続状態(S2)に移行する。この接続状態(S2)では、長い間隔(例えば数分から数十分(第1の所定間隔に相当))でADポートの電圧に基づいて統合アンテナ3の接続を確認する。
【0033】
ADポートの電圧値が接続状態を示している状態(A21)から接続状態以外の状態を示すようになったときは(A22)、接続異常状態(S3)に移行する。この接続異常状態(S3)では、ADポートの電圧値に基づいて統合アンテナ3の接続を確認し、ADポートの電圧値が接続状態を示していたときは(A31)、接続状態(S2)に復帰する。また、ADポートの電圧値が未接続状態を示していたときは(A32)、未接続状態(S4)に移行し、ショート状態を示していたときは(A33)、ショート状態(S5)に移行する。
【0034】
未接続状態(S4)またはショート状態では、短い間隔(数秒から数十秒、(第2の所定間隔に相当))でADポートの電圧値に基づいて統合アンテナ3の接続を確認し、接続結果に応じて接続状態(S2)、未接続状態(S4)、ショート状態(S5)に移行し、それに伴って上述したように監視間隔を変更する。
【0035】
一方、ステータスS1状態で、ADポートの電圧値が未接続状態を示していたときは(A12)、未接続状態(S4)に移行し、ショート状態を示していたときは(A13)、ショート状態に移行し(S5)、短い間隔(数秒から数十秒)で接続確認を行なう。
以上のような動作により、ADポートの電圧値が接続状態を示している状態では、長い間隔で接続確認が行なわれ、未接続状態を示している状態では、短い間隔で接続確認が行なわれる。
【0036】
このような実施例によれば、光ビーコン用送信素子26及び光ビーコン用受信素子27を内蔵した統合アンテナ3の接続状態を検出する構成において、統合アンテナ3に流入する消費電流によるコイル6の降下電圧を検出する際に、光ビーコン用送信素子26に擬似的なアップリンク信号を出力した場合のコイル6の降下電圧に基づいて統合アンテナ3の接続状態を検出するようにしたので、コイル6に比較的大きな消費電流が流れる状態で当該コイル6の降下電圧を検出することができる。従って、統合アンテナのローノイズアンプの消費電流による降下電圧により当該統合アンテナの接続状態を検出する従来例のものと違って、統合アンテナ3の接続状態を確実に検出することができる。
【0037】
しかも、コイル6として、光ビーコン用送信素子26に擬似的なアップリンク信号を出力した際のコイル6の消費電力が、その擬似的なアップリンク信号の通電状態に対応した定格消費電力よりも小さい特性のものを用いるようにしたので、アンテナ接続検出部10によりコイル6の降下電圧を確実に検出しながら、検出時のコイル6の消費電力を抑制してコイル6が焼損してしまうことを確実に防止できる。
【0038】
また、従来のようにローノイズアンプに流れる消費電流により統合アンテナ3の接続状態を検出するものでないことから、統合アンテナ3に光ビーコン用送受信素子26,27を設けるにしても、その動作時にノイズが回り込んでしまうことを効果的に防止できる。
さらに、統合アンテナ3が接続されていると判断している状態では、長い間隔で接続状態を確認し、統合アンテナ3が接続されていない判断している状態では、短い間隔で接続状態を確認するようにしたので、統合アンテナ3を本来の用途に確実に使用できると共に、光ビーコン用送信素子26の寿命が低下してしまうことを極力防止できる。
【0039】
(変形例)
GPSアンテナ23を統合した統合アンテナ3の接続状態を確認する場合、統合アンテナ3の接続状態が確認されていれば、図4に示すようにGPSの受信状態をチェックし、GPS衛星からの電波を受信できなくなった場合は、統合アンテナ3の接続が外れたと判断して接続確認を再度行うようにしてもよい(A21´)。但し、GPS衛星からの電波は非常に微弱なため、何らかの理由で誤判定することもありえるので、図4に示す非接続状態(S4)から接続状態(S2)の判定にGPSの受信状態で判定することは行なわないのが望ましい。
【0040】
(第2実施例)
次に、本発明の第2実施例について図5を参照して説明するに、第1実施例と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。この第2実施例は、第1実施例で説明した統合アンテナからGPSアンテナを分離して構成したことを特徴とする。
全体構成を概略的に示す図5において、カーナビゲーション装置1の装置本体2には、VICS(電波/光)の統合アンテナ3が同軸ケーブル4と接続されていると共に、GPSアンテナ23を有したGPS受信装置41が同軸ケーブル42を介して接続されている。
【0041】
装置本体2の電源ライン5と同軸ケーブル42の一端との間には、抵抗43及び無誘導抵抗44が直列接続されている。無誘導抵抗44と同軸ケーブル42との共通接続点にはコンデンサ45を介してGPS信号処理部13が接続されている。GPS信号処理部13は、コンデンサ45を介してGPS受信装置41から入力したGPS信号を処理する。
抵抗43と無誘導抵抗44との共通接続点と0Vラインとの間には、抵抗46及び抵抗47が直列接続されている。抵抗46と抵抗47との共通接続点には、アンテナ接続検出部48が接続されている。
【0042】
統合アンテナ3は、第1実施例で説明した統合アンテナ3からGPSアンテナ23を省略しただけで、他の構成は同一であることから、その説明は省略する。
GPS受信装置41は、GPSアンテナ23及び増幅回路49を主体として構成されている。同軸ケーブル42の他端には無誘導抵抗50及びコイル51を介して増幅回路49が接続されており、装置本体2側から同軸ケーブル42を介して増幅回路49に給電されるようになっている。増幅回路49は、GPSアンテナ23からの受信信号を増幅してコンデンサ52及び同軸ケーブル42を介して装置本体2に出力する。
【0043】
さて、装置本体2のVICS(光)信号処理部17は、VICS信号の非受信状態では、定期的に擬似的なアップリンク信号を出力する。アンテナ接続検出部10は、VICS(光)信号処理部17からの擬似的なアップリンク信号の出力タイミングでコイル6による降下電圧を検出するようになっている。従って、統合アンテナ3との接続状態が不安定となったり、統合アンテナ3に異常が発生したりしたときは、アンテナ接続検出部10が検出する降下電圧値が通常と異なるようになるので、カーナビゲーション装置1は、統合アンテナ3が異常であることをユーザに報知するようになる。
【0044】
一方、GPS受信装置41に対応したアンテナ接続検出部48は、抵抗43による降下電圧を常時検出している。従って、GPS受信装置41との接続状態が不安定となったり、GPS受信装置41に異常が発生したりしたときは、アンテナ接続検出部48が検出する降下電圧値が通常と異なるようになるので、カーナビゲーション装置1は、GPS受信装置41が異常であることをユーザに報知するようになる。
【0045】
このような実施例によれば、GPSアンテナ23を統合アンテナ3から分離し、GPSアンテナ23を有したGPS受信装置41として構成し、そのGPS受信装置41の接続状態を常時監視するようにしたので、GPSアンテナ23に異常が発生した場合は、擬似的なアップリンク信号の出力タイミングでのみでしかGPSアンテナ23の異常を検出できない第1実施例の構成に比較して、GPSアンテナ23の異常を早期に報知することができる。
【0046】
(第3実施例)
次に、本発明の第3実施例について図6を参照して説明するに、第1実施例と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。この第3実施例は、第1実施例で説明したアンテナ接続検出部によるコイルの電圧降下の検出方法として電磁誘導を用いたことを特徴とする。
【0047】
全体構成を概略的に示す図6において、カーナビゲーション装置1の装置本体2には、コイル6に対応して検出コイル(電圧出力手段に相当)61が設けられている。この検出コイル61は、コイル6と電磁結合可能に配置されており、コイル6に流れる電流に応じて電磁誘導作用により逆起電力が発生するようになっている。
アンテナ接続検出部62は、VICS(光)信号処理部17から光ビーコン用送信素子26に擬似的なアップリンク信号が送信されるタイミングで検出コイル61の起電力を監視するようになっている。
【0048】
さて、統合アンテナ3が接続されている場合は、統合アンテナ3に擬似的なアップリンク信号(高周波信号)が送信されるのに伴って当該統合アンテナ3に消費電流(高周波電流)が流れる。これにより、コイル6に消費電流(高周波電流)が流れるので、それに伴って検出コイル61に所定レベルの大きさの起電力が発生する。従って、アンテナ接続検出部62は、検出コイル61に起電力が発生することに基づいて統合アンテナ3が接続されていることを検出することができる。これに対して、統合アンテナ3が接続されていない場合は、擬似的なアップリンク信号の送信タイミングであっても検出コイル61に起電力が発生しないので、アンテナ接続検出部62は、そのことに基づいて統合アンテナが接続されていないことを検出することができる。
【0049】
このような実施例によれば、統合アンテナ3に擬似的なアップリンク信号(高周波信号)を送信したタイミングで、検出コイル61に起電力が発生するか否かに基づいて統合アンテナ3の接続状態を検出するようにしたので、統合アンテナ3に給電したり、或いは信号を送信するための電気回路からアンテナ接続検出部62を電気的に独立して構成することができる。
【0050】
本発明は、上記実施例に限定されることなく、次のように変形または拡張できる。
上記各実施例では、電源や送受信信号が1本の同軸ケーブルに重畳される構成の統合アンテナを示したが、電源や信号の送受信を個別のケーブルで行うように構成した統合アンテナに適用するようにしてもよい。
【0051】
GPS信号とVICS信号の増幅回路を個別に設けるようにしてもよい。
統合アンテナ3の接続状態を検出する際に、統合アンテナ3に64kbpsの擬似的なアップリンク信号を出力するのに代えて、異なる周波数の検査用信号或いは直流信号を出力するようにしてもよい。この場合、光ビーコン用送信素子26に流れる消費電流が直流の場合は、抵抗手段として抵抗を設けるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の第1実施例における全体構成を示す概略図
【図2】アンテナ接続検出部の動作を示すフローチャート
【図3】接続確認の状態遷移を示す図
【図4】第1実施例の変形例を示す図3相当図
【図5】本発明の第2実施例を示す図1相当図
【図6】本発明の第3実施例を示す図1相当図
【符号の説明】
【0053】
図面中、1はカーナビゲーション装置、2は装置本体、3は統合アンテナ、4は同軸ケーブル、6はコイル(抵抗手段)、8,9は抵抗(電圧出力手段)、10はアンテナ接続検出部(接続状態検出手段)、17はVICS(光)信号処理部(検査信号出力手段)、23はGPSアンテナ(GPS受信手段)、24はVICSアンテナ、26は光ビーコン用送信素子、27は光ビーコン用受信素子、61は検出コイル(電圧出力手段)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の外部と通信を行うためのアンテナと光ビーコン用送受信素子とを有した統合アンテナに流れる消費電流を検出することにより当該統合アンテナの接続状態を検出する統合アンテナの接続状態検出装置であって、
前記統合アンテナに給電することにより当該統合アンテナに流入する消費電流が流れる抵抗手段と、
この抵抗手段の降下電圧に応じた電圧を出力する電圧出力手段と、
前記光ビーコン用送信素子に検査信号を出力する検査信号出力手段と、
この検査信号出力手段の動作状態における前記電圧出力手段からの電圧に基づいて前記統合アンテナの接続状態を検出する接続状態検出手段とを備え、
前記抵抗手段の抵抗値は、前記光ビーコン用送信素子に前記検査信号が流れるのに伴って前記抵抗手段に消費電流が流れた際に、前記抵抗手段が所定の降下電圧を得られる抵抗値に設定されていることを特徴とする統合アンテナの接続状態検出装置。
【請求項2】
前記抵抗手段の抵抗値は、前記光ビーコン用送信素子に前記検査信号が流れるのに伴って前記抵抗手段に消費電流が流れた際に、前記抵抗手段の消費電力が定格消費電力を上回らない抵抗値に設定されていることを特徴とする請求項1記載の統合アンテナの接続状態検出装置。
【請求項3】
前記検査信号は、擬似的な光ビーコンアップリンク信号であり、
前記抵抗手段は、コイルであることを特徴とする請求項1または2記載の統合アンテナの接続状態検出装置。
【請求項4】
前記接続状態検出手段は、前記統合アンテナが接続されていることを検出した状態では、第1の所定間隔で接続状態を確認し、接続異常を検出した状態では、前記第1の所定間隔よりも短い第2の所定間隔で接続状態を確認することを特徴とする請求項1ないし3の何れかに記載の統合アンテナの接続状態検出装置。
【請求項5】
GPS受信手段を備え、
前記接続状態検出手段は、前記GPS受信手段が受信可能な状態にあるときは、前記統合アンテナは接続されていると判断することを特徴とする請求項1ないし4の何れかに記載の統合アンテナの接続状態検出装置。
【請求項6】
請求項1ないし5の何れかに記載の統合アンテナの接続状態検出装置を備えたことを特徴とするカーナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−143100(P2007−143100A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−107606(P2006−107606)
【出願日】平成18年4月10日(2006.4.10)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】