説明

絶縁性樹脂組成物中の金属粉異物の自動検知方法

【課題】絶縁性樹脂中に存在する最大長が50μm以上の金属粉異物を検知・判別することができ、且つインライン化が可能な金属粉異物の検知方法を提供する。
【解決手段】絶縁性樹脂組成物中に異物として存在する金属粉を、少なくとも1台のX線管2,3を有するX線透視装置を用いて、X線照射角度を変化させることにより検知した後、画像処理装置8を用いて自動的に該金属粉を画像認識することを特徴とする絶縁性樹脂組成物中の金属粉異物の自動検知方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気絶縁性を要求される樹脂組成物中の微細金属粉異物の検知方法に関し、特に、微細配線が存在する半導体素子の絶縁に用いる樹脂組成物中の微細金属粉異物の検知方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
樹脂中の微細金属粉異物の検知方法は、特に、微細な金属粉が、ショート不良を発生させる半導体の樹脂封止に用られる、シリカ粉を主充填材とし、バインダー用の主成分樹脂としてエポキシ樹脂を用いる有機−無機複合材料であるエポキシ成形材料において重要である。
該エポキシ成形材料の製造方法について説明する。
先ず、予備混合装置を用いて、エポキシ樹脂粉末、充填材粉末及びその他の添加物の粉末又は液体を混合する。
この際、予備混合装置は、通常金属で製作され、しかも金属製の回転部を有するため、金属磨耗粉が混入する。
次に、この混合物を二軸加熱ロール機又は二軸加熱混練装置を用いて混練して、シートに加工する。
この際も、金属で製作された回転部を有する装置を用いて混練するため、金属磨耗粉が混入する。
続いて、加熱された混練シートを冷却し、粉砕機で粉砕する。
この粉砕においても、該粉砕機は金属製で、かつ金属製の回転部を有するため、粉砕時の衝撃力によって金属粉が混入する。
更に、この粉砕粉を金属製装置を用いて、円筒状のタブレットに打錠すると、ここでも金属摩耗粉が混入する。
これら金属粉の混入を防ぐため、磁力を用いた磁性金属異物の選別回収装置(例えば、特許文献1参照)及び磁束中に半導体封止用樹脂組成物を置き、その検査体内に金属異物が存在したとき、磁束によって金属異物を誘導加熱状態にして、温度分布を測定する金属異物の検出方法(例えば、特許文献2参照)が知られている。
【0003】
しかしながら、磁力を用いた装置では、微細な金属異物の除去を完全に行うことはできない。
また、磁束によってその金属異物を誘導加熱状態にして、温度分布を測定して金属異物を検出する方法は、装置が大がかりになるうえ、完全に微細な金属異物を検知することはできない。
更に、X線透視装置を用いて絶縁性樹脂中の金属粉異物を検知する方法は、非破壊試験として一般的に行われている。
特に、X線管の焦点寸法が数10μm以下のマイクロフォーカスX線装置を用いると、シリカ粉を主充填材とする半導体封止用樹脂組成物においても、最大長数10μmの金属粉異物を検出することができる。
しかし、焦点寸法を小さくすると検出精度は上昇するが、X線透視画像を拡大する必要があるため、金属粉異物の探索・検知に時間を要し、インラインで金属粉異物の検査に使用するには不適当であった。
マイクロフォーカスX線装置を用いた場合、絶縁性樹脂試料及び金属粉異物の大きさによっても異なるが、試料1個の検出時間(以下、タクトタイムと呼称する)は、約30〜300秒程度となる。
このタクトタイムが長くなる欠点を解消するために、検出器にCMOS(相補性金属酸化膜半導体)ラインセンサーカメラを用いるX線装置が開発・市販され、タクトタイムは約0.2〜1秒前後と高速であるためインライン検査に用いることが検討されたが、シリカ粉を主充填材とする半導体封止用樹脂組成物では、約200μm以下の金属粉異物を検知することは困難であった。
更に、金属性設備の磨耗によって生じる金属粉異物は、不定形(繊維状、箔状、楕円状など)であるため、その形状や異物の存在する場所、或いはX線照射の向きや角度によって検知できる場合と検知できない場合があり、X線透視装置による金属粉異物検査及びその検出精度に問題があった。
【0004】
【特許文献1】特開平9−173890号公報
【特許文献2】特開2006−125937号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、X線透視装置を用いることにより、絶縁性樹脂中に存在する最大長が50μm以上の金属粉異物を検知・判別することができ、且つインライン化(半導体封止用エポキシ樹脂成形材料製造プロセス内に組み込み)が可能な金属粉異物の検知方法及び該装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究した結果、X線透視装置を用いてX線照射角度を変化させることにより微細金属粉異物の検知が確実にできることを見出し、本発明を完成させに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、
1.絶縁性樹脂組成物中に異物として存在する金属粉を、少なくとも1台のX線管を有するX線透視装置を用いて、X線照射角度を変化させることにより検知した後、画像処理装置を用いて自動的に該金属粉を画像認識することを特徴とする絶縁性樹脂組成物中の金属粉異物の自動検知方法、
2.絶縁性樹脂組成物が、無機充填材とエポキシ樹脂で構成される半導体封止用エポキシ樹脂成形材料からなるタブレットである上記1に記載の自動検知方法、
3.タブレットが円筒状である上記2に記載の自動検知方法、
4.円筒状タブレットの側面よりX線照射角度を変化させることにより、異物として存在する金属粉を2回検知する上記3に記載の自動検知方法、
5.金属粉異物の画像認識と同時に、円筒状タブレットの欠陥を判定する上記4に記載の自動検知方法、
6.金属粉異物の最大長が50μm以上である上記4又は5に記載の自動検知方法、
7.半導体封止用エポキシ樹脂成形材料製造プロセス内に組み込まれた上記1〜6のいずれかに記載の自動検知方法、
8.上記1〜6のいずれかに記載の自動検知方法を用いる、半導体封止用エポキシ樹脂成形材料製造プロセス内に組み込みが可能なX線透視装置及び画像処理装置からなる自動検知装置
を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の金属粉異物の検知方法によれば、従来のインライン方式では検知できなかった絶縁性樹脂中に存在する最大長が50μm以上の微細な金属粉異物を、検知・判別することができる。
従って、半導体封止材料からなる絶縁性樹脂の検査に使用した場合、従来の抜き取り検査に代わってインライン方式により、全数検査・全数保証が可能になるため、回路間ショートの原因となる大きさの金属粉異物が存在しない信頼性に優れた半導体装置用絶縁性樹脂を得ることができ、該絶縁性樹脂を用いた半導体装置は信頼性の高いものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、絶縁性樹脂組成物中に異物として存在する金属粉を、少なくとも1台のX線管を有するX線透視装置を用いて、X線照射角度を変化させることにより検知した後、画像処理装置を用いて自動的に該金属粉を画像認識する絶縁性樹脂組成物中の金属粉異物の自動検知方法に関するものである。
本発明において、試料(絶縁性樹脂組成物)を透過したX線は、検出器で増幅した後撮影される。
その映像信号は、画像キャプチャーによってデジタル変換された後、画像を保存する。
画像処理装置において、デジタル変換された画像を改善するために、画像積分や補正を行うなどの画像処理を行なう。
処理された画像は、アナログ変換されモニターに画像として映し出される。
試料中の金属粉異物が画像認識された場合、試料は不良品と自動的に判定され、系外へ除去することができる。
【0010】
本発明において、X線管及び検出器の位置、向き、照射角度及びその個数には、特に制限はない。
例えば、X線管及び検出器を、それぞれ、複数用いて、試料中の金属粉異物を一度に検出することができる。
また、X線管及び検出器を、それぞれ、1台にして、試料を回転させることによってX線の照射角度を変化させて試料中の金属粉異物を検出したり、X線管及び検出器を可動式にしてX線の照射角度を変化させて試料中の金属粉異物を検出することもできる。
【0011】
本発明の試料の形態には、特に制限はないが、好ましくはタブレットであり、更に好ましくは円筒状である。
本発明においては、試料が、円筒状タブレットの場合、試料の側面よりX線照射角度を変化させることにより、異物として存在する金属粉を2回検知する自動検知方法が好ましい。
この場合、金属粉異物の画像認識と同時に、円筒状タブレットの欠陥(ワレ・カケ・巣等)の欠陥も同時に判定することができる。
検知可能な金属粉異物の最大長は、50μm以上である。
本発明の検知方法によれば、試料の大きさによっても異なるが、試料1個のタクトタイム(検出時間)は、通常、1〜3秒である。
本発明の自動検知方法及びその装置は、半導体封止用エポキシ樹脂成形材料製造プロセス内に組み込むことが可能である。
【0012】
本発明に用いるX線管としては、市販品を使用することができ、特に制限はないが、管電圧が30〜100kV、管電流が0.1〜1.0mA、最小の焦点寸法が0.1mmのX線管が好ましい。
検出器は、市販品を使用することができ、特に制限はないが、検出器としては、X線イメージインテンシファイヤー(X線II)とCCD(電荷結合素子)カメラの組み合わせ、X線イメージインテンシファイヤー(X線II)とフラットパネルディテクターの組み合わせが好ましい。
尚、高い検出精度を必要性としない場合は、CCDラインセンサーカメラを用いることもできる。
画像処理装置は、画像積算、画像平均、エッジ処理、明るさ調整、計測機能及び画像保存ができるものであれば、市販品を使用することができ、特に制限はない。
【0013】
次に、本発明を図1に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の絶縁性樹脂組成物中の金属粉異物の自動検知方法の一実施の形態を示している。
図1の左側は、X線管2、X線管3、検出器4及び検出器5からなるインライン(半導体製造プロセス内に組み込まれた)X線透視装置を示しており、2台のX線管のX線照射角度は90°の場合を示している。
インライン装置の場合、試料(絶縁性樹脂組成物)1は、例えば、コンベア6で整列・搬送され、試料1を透過したX線は、検出器で増幅した後撮影される。
その映像信号は、画像キャプチャー7によってデジタル変換された後、画像を保存する。
画像処理装置8において、デジタル変換された画像を改善するために、画像積分や補正を行うなどの画像処理を行なう。
処理された画像は、アナログ変換されモニター11に画像として映し出される。
試料1中の金属粉異物が画像認識された場合、試料1は不良品であると自動的に判定され、インターフェース10を介して半導体封止用エポキシ樹脂成形材料製造プロセス系外へ除去される。
なお、9は中央処理装置(CPU)である。
【0014】
次に、本発明の絶縁性樹脂組成物について説明する。
本発明の自動検知方法は、絶縁性樹脂組成物が絶縁性であればどのような樹脂組成物に対しても適用可能であるが、好ましくは半導体封止用エポキシ樹脂成形材料である。
半導体封止用エポキシ樹脂成形材料は、例えば、(A)エポキシ樹脂、(B)フェノール樹脂硬化剤、(C)硬化促進剤及び(D)無機充填剤などから得られるものであり、通常、タブレット状に成形される。
【0015】
(A)エポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するものであれば、分子構造、分子量などに制限はなく、一般に半導体素子の封土用に使用されるものを使用することができる。
具体的には、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、多官能型エポキシ樹脂及びナフタレン骨格含有ユポキシ樹脂などが挙げられる。
エポキシ樹脂は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、エポキシ樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂及びこれらの臭素化エポキシ樹脂などを併用することができる。
【0016】
(B)フェノール樹脂硬化剤としては、1分子中にフェノール性水酸基を2個以上有し、(A)成分のエポキシ樹脂中のエポキシ基と反応して硬化させ得るものであれば、制限なく使用することができるが、耐湿信頼性などの点から、以下に述べるものを使用することが好ましい。
すなわち、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ジシクロペンタジェン変性フェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂及び多官能型フェノール樹脂などが挙げられる。
フェノール樹脂硬化剤は、1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
また、フェノール樹脂硬化剤として、ナフトールアラルキル樹脂のようなフェノール樹脂を併用することもできる。
【0017】
(C)硬化促進剤は、主として(A)エポキシ樹脂と(B)フェノール樹脂硬化剤との反応を促進するものである。
硬化促進剤としては、特に制限はないが、不純物濃度の低いものが好ましい。
具体的には、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフイン、トリ(p−メチルフェニル)ホスフイン、トリ(ノニルフェニル)ホスフイン、メチルジフェニルホスフィン、ジブチルフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン、1,2−ビス(ジフェニルホスフイノ)エタン、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィンテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィントリフェニルボランなどの有機リン系の硬化促進剤、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7(DBU)、1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)ノネン−5などのジアザビシクロアルケン化合物系の硬化促進剤、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−エチルイミダゾール、2−フェニル−4−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾール系硬化促進剤などが挙げられる。
硬化促進剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
硬化促進剤の配合割合は、通常、エポキシ樹脂成形材料(エポキシ樹脂組成物)全体に対して0.01〜5質量%である。
配合割合が0.01質量%未満では、エポキシ樹脂組成物のゲル時間が長くなり、樹脂封止された半導体装置の生産サイクルが長くなってしまう。
また、5質量%を超えると、エポキシ樹脂組成物の流動性が著しく低下するため充填性が悪くなり、封止後の硬化物の耐湿信頼性も低下する。
【0018】
(D)無機充填剤としては、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、ジルコニア、タルク、クレー、マイカ、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、チタンホワイト、ベンガラ、炭化珪素、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウムなどの粉末、これらを球形化したビーズ、単結晶繊維、ガラス繊維などが挙げられる。
なかでも、不純物濃度の低い溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナの各粉末が好ましい。
また、最大粒径が半導体パッケージなどのピン間隔よりも小さいものが好ましく、通常、最大粒径が50μm以下のものが使用される。
無機充填剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
無機充填剤の配合割合は、エポキシ樹脂組成物全体に対して70〜95質量%が好ましく、80〜92質量%がより好ましい。
配合割合が70質量%未満では、封止後の硬化物の耐湿信頼性が低下し、95質量%を超えると、エポキシ樹脂組成物の流動性が低下して充填性が不良となる。
【0019】
半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂、(B)フェノール樹脂硬化剤、(C)硬化促進剤及び(D)無機充填剤を必須成分とするが、封止効果を阻害しない限り、必要に応じて、一般に配合される、カップリング剤、天然ワックス類、合成ワックス類、直鎖脂肪族の金属塩、酸アミド及びエステル類などの離型剤、ゴム系やシリコーン系ポリマーのような低応力付与剤などを更に配合することができる。
また、コバルトブルーなどのカーボンブラック以外の着色剤も適宜配合することができる。
【0020】
カップリング剤としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、イミダゾールシランなどのシランカップリング剤が挙げられるが、その他、チタンカップリング剤やアルミニウムアルコレート類なども使用可能である。
【0021】
半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂、(B)フェノール樹脂硬化剤、(C)硬化促進剤及び(D)無機充填剤、必要に応じて配合される上記各種成分とを、ミキサーなどによって均一に混合し、更に熱ロール又はニーダーなどにより加熱溶融して混練した後、冷却固化し、次いで適当な大きさに粉砕することにより調製される。
この粉砕粉を金型に入れプレス機で圧縮することによって、半導体封止用エポキシ樹脂組成物のタブレットを作製することができる。
【実施例】
【0022】
実施例1及び2、比較例1〜5
球状溶融シリカ(平均粒径20μm)87.4質量%、オルソクレゾールノボラックエポキシ樹脂(住友化学株式会社製、商品名ESCH195XL)7.15質量%、フェノールノボラック樹脂(昭和高分子株式会社製、商品名BRG−556)5.0質量%、トリフェニルホスフィン0.15質量%、カーボンブラック0.3質量%、カルバナワックス0.2質量%を混合した後、60〜130℃の加熱ロールで混練し、その後冷却、粉砕して半導体封止用エポキシ樹脂組成物を作製した。
次に、予め最大長を測定した異物となる金属磨耗粉(SUS304)を混合した後、試料として円筒状のタブレット(直径14mm、高さ20mm)を作り、各種検知器からなるX線透視装置を用い、金属粉異物の検知試験を行なった。
結果を表1に示す。
なお、表中の数字は、(X線で検知された試料タブレット数)/(試料タブレットの総数)を示し、タクトタイムは、試料1個中の金属粉異物の検出時間を示す。
【0023】
【表1】

【0024】
また、上記円筒状のタブレット(直径14mm、高さ20mm)試料の作成において、最大径0.5〜2.0mmのカケが発生した試料について、同様にして、欠陥の検知試験を行なった。
結果を表2に示す。
なお、表中の数字は、(X線又は目視で検知された欠陥試料タブレット数)/(欠陥試料タブレットの総数)を示す。
【0025】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明の金属粉異物の検知方法によれば、従来のインライン方式では検知できなかった絶縁性樹脂中に存在する最大長が50μm以上の微細な金属粉異物を検知・判別することができるため、従来の抜き取り検査に代わってインライン方式により、全数検査・全数保証が可能となり、信頼性に優れた製品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】絶縁性樹脂中の金属粉異物の自動検知方法の一実施の形態を示したものである。
【符号の説明】
【0028】
1 試料
2、3 X線管
4、5 検出器
6 コンベア
7 画像キャプチャー
8 画像処理装置
9 中央処理装置(CPU)
10 インターフェース
11 モニター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性樹脂組成物中に異物として存在する金属粉を、少なくとも1台のX線管を有するX線透視装置を用いて、X線照射角度を変化させることにより検知した後、画像処理装置を用いて自動的に該金属粉を画像認識することを特徴とする絶縁性樹脂組成物中の金属粉異物の自動検知方法。
【請求項2】
絶縁性樹脂組成物が、無機充填材とエポキシ樹脂で構成される半導体封止用エポキシ樹脂成形材料からなるタブレットである請求項1に記載の自動検知方法。
【請求項3】
タブレットが円筒状である請求項2に記載の自動検知方法。
【請求項4】
円筒状タブレットの側面よりX線照射角度を変化させることにより、異物として存在する金属粉を2回検知する請求項3に記載の自動検知方法。
【請求項5】
金属粉異物の画像認識と同時に、円筒状タブレットの欠陥を判定する請求項4に記載の自動検知方法。
【請求項6】
金属粉異物の最大長が50μm以上である請求項4又は5に記載の自動検知方法。
【請求項7】
半導体封止用エポキシ樹脂成形材料製造プロセス内に組み込まれた請求項1〜6のいずれかに記載の自動検知方法。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれかに記載の自動検知方法を用いる、半導体封止用エポキシ樹脂成形材料製造プロセス内に組み込みが可能なX線透視装置及び画像処理装置からなる自動検知装置。

【図1】
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【公開番号】特開2010−127702(P2010−127702A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−301242(P2008−301242)
【出願日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【出願人】(390022415)京セラケミカル株式会社 (424)
【Fターム(参考)】